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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】包装袋装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/18 20060101AFI20240123BHJP
   B65D 33/38 20060101ALI20240123BHJP
   B65D 25/42 20060101ALI20240123BHJP
   B65D 77/30 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
B65D41/18
B65D33/38
B65D25/42 A
B65D77/30 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019192538
(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公開番号】P2021066461
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000216195
【氏名又は名称】天龍化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 仁昭
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-046184(JP,A)
【文献】特開2014-046939(JP,A)
【文献】特開2019-031299(JP,A)
【文献】特開2004-067184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00-55/16
B65D 33/38
B65D 25/42
B65D 77/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋体とその縁部に接合された合成樹脂製の注出装置とを有して、前記注出装置は、前記袋体の内外に開口した中空状の本体と、前記本体に設けた注出口を塞ぐ合成樹脂製キャップとから成っており、
前記注出装置の本体は、前記袋体が溶着された固定部と、前記袋体の外側に位置して前記注出口を備えた露出部とを有して、前記固定部は、軸心を挟んで反対方向に張り出した一対の膨大部を有している一方、前記キャップは、天板と筒体を有するコップ状の形態を成している構成であって、
前記注出装置における本体の露出部のうち前記固定部に近接した部位には、軸心方向から見て前記固定部の外側に張り出したフランジが形成されて、前記注出口には環状突起が形成されており、
更に、前記本体のフランジに、前記キャップの筒体を人が摘んで軸心方向に押し狭めると当該筒体の開口縁が滑り移動して前記キャップを開き方向に移動させるテーパ面が形成されている一方、
前記キャップの天板に、前記キャップが軸心方向に移動すると弾性変形して前記環状突起に係脱する下向きのフック片の群が、前記本体の注出口を囲うように形成されており、
かつ、前記フック片の群は、前記注出口から離れる方向への倒れ変形が抑制されるように弾性リングで抱持されている、
装袋装置。
【請求項2】
袋体とその縁部に接合された合成樹脂製の注出装置とを有して、前記注出装置は、前記袋体の内外に開口した中空状の本体と、前記本体に設けた注出口を塞ぐ合成樹脂製キャップとから成っており、
前記注出装置の本体は、前記袋体が溶着された固定部と、前記袋体の外側に位置して前記注出口を備えた露出部とを有して、前記固定部は、軸心を挟んで反対方向に張り出した一対の膨大部を有している一方、前記キャップは、天板と筒体を有するコップ状の形態を成している構成であって、
前記注出装置における本体の露出部のうち前記固定部に近接した部位には、軸心方向から見て前記固定部の外側に張り出したフランジが形成されて、前記注出口には環状突起が形成されており、
更に、前記本体のフランジに、前記キャップの筒体を人が摘んで軸心方向に押し狭めると当該筒体の開口縁が滑り移動して前記キャップを開き方向に移動させるテーパ面が形成されている一方、
前記キャップの天板に、前記キャップが軸心方向に移動すると弾性変形して前記環状突起に係脱する下向きのフック片の群が、前記本体の注出口を囲うように形成されており、
かつ、前記隣り合ったフック片は、弾性変形し得るジョイント部によって繋がっている、
装袋装置。
【請求項3】
袋体とその縁部に接合された合成樹脂製の注出装置とを有して、前記注出装置は、前記袋体の内外に開口した中空状の本体と、前記本体に設けた注出口を塞ぐ合成樹脂製キャップとから成っており、
前記注出装置の本体は、前記袋体が溶着された固定部と、前記袋体の外側に位置して前記注出口を備えた露出部とを有して、前記固定部は、軸心を挟んで反対方向に張り出した一対の膨大部を有している一方、前記キャップは、天板と筒体を有するコップ状の形態を成している構成であって、
前記注出装置における本体の露出部のうち前記固定部に近接した部位には、軸心方向から見て前記固定部の外側に張り出したフランジが形成されて、前記注出口には環状突起が形成されており、
更に、前記本体のフランジに、前記キャップの筒体を人が摘んで軸心方向に押し狭めると当該筒体の開口縁が滑り移動して前記キャップを開き方向に移動させるテーパ面が形成されている一方、
前記キャップの天板に、前記キャップが軸心方向に移動すると弾性変形して前記環状突起に係脱する下向きのフック片の群が、前記本体の注出口を囲うように形成されており、
かつ、前記本体のフランジは、軸心方向から見て前記膨大部の張り出し方向に長手の形態である一方、前記テーパ面は、前記フランジの短手方向の幅と略同径の真円に形成されており、このため、前記フランジは、テーパ部の外側に位置した一対の平坦部を有している、
装袋装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、袋体に合成樹脂製の注出装置が取り付けられた包装袋装置(パウチ容器)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば液体飲料やシャンプー、ゼリー状飲料等の流体物品の包装体として、ガスバリアー性の高い積層構造の袋(パウチ)に注出装置を取り付けた包装袋装置(パウチ容器)が多く使用されている。この包装袋装置において、注出装置は、袋体に溶着された本体とこれを塞ぐキャップとから成っており、キャップとして一般にねじ蓋が使用されている。
【0003】
ねじ蓋は小出しに対応できるため重宝であるが、開封や封止に際しては一々回転操作せねばならないため、開封や封止の作業に手間が掛かるという問題があった。そこで特許文献1には、キャップをヒンジ蓋方式にすることにより、開封・封止の作業を簡単化することが開示されている。すなわち、キャップを、ヒンジを介して蓋体が本体に一体に連結された形式と成すことにより、開閉の容易化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-64850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、キャップをヒンジ方式に構成すると、ねじ蓋に比べると開閉は容易になるが、幾つかの問題が指摘される。例えば、ヒンジ方式の蓋は開閉に方向性があるため、一々ヒンジの位置を確認してから袋体を手に持たねばならず、従って、開封の容易性が十分とは言い難い。
【0006】
また、ヒンジ蓋方式では、一方の手で袋体又は本体を掴んで、他方の手で蓋体を起こすことになるが、蓋体の起こしは、ヒンジと反対側に出っ張った小さなタブに指先を掛けて行わねばならず、これも簡単でワンタッチ的に行えるとは言い難い。特に、水やお湯に濡れた手で蓋を起こす場合は指先が滑りやすいため、開封は特に面倒になる。
【0007】
本願発明は、このような現状を契機に成されたものであり、開閉をワンタッチ的に行える包装袋装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の包装袋装置は、
「袋体とその縁部に接合された合成樹脂製の注出装置とを有して、前記注出装置は、前記袋体の内外に開口した中空状の本体と、前記本体に設けた注出口を塞ぐ合成樹脂製キャップとから成っており、
前記注出装置の本体は、前記袋体が溶着された固定部と、前記袋体の外側に位置して前記注出口を備えた露出部とを有して、前記固定部は、軸心を挟んで反対方向に張り出した一対の膨大部を有している一方、前記キャップは、天板と筒体を有するコップ状の形態を成している」
という基本構成になっている。
【0009】
そして、請求項1の発明は、上記基本構成に加えて、
「前記注出装置における本体の露出部のうち前記固定部に近接した部位には、軸心方向から見て前記固定部の外側に張り出したフランジが形成されて、前記注出口には環状突起が形成されており、
更に、前記本体のフランジに、前記キャップの筒体を人が摘んで軸心方向に押し狭めると当該筒体の開口縁が滑り移動して前記キャップを開き方向に移動させるテーパ面が形成されている一方、
前記キャップの天板に、前記キャップが軸心方向に移動すると弾性変形して前記環状突起に係脱する下向きのフック片の群が、前記本体の注出口を囲うように形成されており、
かつ、前記フック片の群は、前記注出口から離れる方向への倒れ変形が抑制されるように弾性リングで抱持されている
という構成が付加されている。
【0011】
また、請求項2の発明は、上記基本構成に加えて、
前記注出装置における本体の露出部のうち前記固定部に近接した部位には、軸心方向から見て前記固定部の外側に張り出したフランジが形成されて、前記注出口には環状突起が形成されており、
更に、前記本体のフランジに、前記キャップの筒体を人が摘んで軸心方向に押し狭めると当該筒体の開口縁が滑り移動して前記キャップを開き方向に移動させるテーパ面が形成されている一方、
前記キャップの天板に、前記キャップが軸心方向に移動すると弾性変形して前記環状突起に係脱する下向きのフック片の群が、前記本体の注出口を囲うように形成されており、
かつ、前記隣り合ったフック片は、弾性変形し得るジョイント部によって繋がっている」
という構成になっている。
【0012】
更に、請求項の発明は、上記基本構成に加えて、
前記注出装置における本体の露出部のうち前記固定部に近接した部位には、軸心方向から見て前記固定部の外側に張り出したフランジが形成されて、前記注出口には環状突起が形成されており、
更に、前記本体のフランジに、前記キャップの筒体を人が摘んで軸心方向に押し狭めると当該筒体の開口縁が滑り移動して前記キャップを開き方向に移動させるテーパ面が形成されている一方、
前記キャップの天板に、前記キャップが軸心方向に移動すると弾性変形して前記環状突起に係脱する下向きのフック片の群が、前記本体の注出口を囲うように形成されており、
かつ、前記本体のフランジは、軸心方向から見て前記膨大部の張り出し方向に長手の形態である一方、前記テーパ面は、前記フランジの短手方向の幅と略同径の真円に形成されており
、このため、前記フランジは、テーパ部の外側に位置した一対の平坦部を有している」
という構成になっている。
【発明の効果】
【0013】
本願発明では、キャップを摘んで潰すように軸心方向に押すと、キャップにおける筒体の開口縁(下端縁)が本体のテーパ面に当たって滑ることにより、テーパ面のガイド作用によってキャップが開き方向に移動し、これに伴って、各フック片は注出口から離れるように倒れ変形して環状突起から離脱する。従って、キャップを摘むだけのワンタッチ的な操作によって開封できる。
【0014】
そして、キャップと袋体との間に方向性はないため、袋体やキャップの姿勢の確認のような手間を掛けることなく簡単に開封することができ、また、タブに指先を掛けるような手間は不要であってキャップを摘むだけでよいため、水やお湯で濡れた手であってもワンタッチ的に開封できる。
【0015】
また、封止作業は、キャップを本体に対して軸方向に押し込むだけでよく、これもワンタッチ的に行える。この封止に際しては、本体のうち袋体が溶着されている固定部を一方の手で摘んで、他方の手でキャップを本体に押し込むことになるが、フランジは固定部の外側に張り出しているため、本体の固定部を指で摘むに際して、指先をフランジの下面に当てることにより、軽く摘んだだけであっても指の滑りを無くしてキャップを容易に押し込むことができる。従って、本体の固定部を軽く摘んだ状態で封止をワンタッチ的に簡単に行える。
【0016】
請求項のように、フック片の群を弾性リングで抱持すると、フック片の弾性復元力を弾性リングによって補助できるため、弾性リングの弾性復元力を選択することにより、環状突起に対するフック片の係合力を適切な状態に調節できる。従って、例えば流通段階で袋体が加圧されたり、外気温の上昇によって袋体の内圧が上昇したりしても、キャップが外れない状態に保持できる。
【0017】
請求項の構成も同様であり、ジョイント部によってフック片の群の弾性復元力を補助できるため、請求項1と同様に、流通段階等で袋体をキャップが外れない状態に保持することを簡単に実現できるが、請求項では、ジョイント部はキャップに一体に形成されているため、取り付けの手間は不要であり、それだけコストを抑制できる。また、取り付け忘れや取り付け位置のずれといった問題は皆無であるため、品質維持の点においても優れている。
【0018】
本願発明のように、本体に膨大部を設けると、袋体の溶着面積を大きくして接合強度を向上できるが、膨大部は本体の軸心を挟んだ両側に広がっているため、本体のうち袋体が溶着されている部分は軸心方向から見て細長い形状になっており、従って、フランジも細長い形状になる。
【0019】
そして、テーパ面はフランジの全面に亙って形成することも可能であるが、キャップは円形であるため、フランジの全面にテーパ面を形成すると、キャップのガイド作用を発揮しない部分が存在して、材料に無駄が発生する。これに対して請求項の構成を採用すると、テーパ面は必要最小限度の大きさに設定できるため、材料の無駄を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態を示す事で、(A)は全体の正面図、(B)は注出装置の平面図、(C)は注出装置の底面図である。
図2】(A)は第1実施形態の一部破断分離正面図、(B)は(A)のB-B視底面事、(C)は(A)のC-C視平面図、(D)は別例の部分断面図である。
図3】(A)は第1実施形態の縦断正面図、(B)は別例の底面図である。
図4】(A)は開封状態を示す図、(B)は封止状態を示す図である。
図5】(A)は第2実施形態に係るキャップの底面図、(B)は(A)のB-B視断面図、(C)は別例図である。
図6】(A)は第3実施形態の底面図、(B)は第4実施形態の底面図、(C)は第5実施形態の底面図、(D)は(C)のD-D視断面図、(E)は第6実施形態の縦断面図、(F)は第7実施形態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(1).第1実施形態の構造
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、図1~4に示す第1実施形態を説明する。包装袋装置は、2枚の積層フィルムを接合して形成された袋体1と、袋体1の上端部に接合された注出装置2とで構成されている。以下では、方向を特定するため前後・左右の文言を使用するが、この文言は、包装袋装置を袋体1の広幅面と直交した方向から見た状態での方向として定義している。
【0022】
袋体1は四角形に形成されているが、上部を先窄まりに形成していることもある。或いは、左右の上コーナー部のうち一方のコーナー部を斜めにカットして、このカット部に注出装置2を傾斜姿勢で取り付けることもある。
【0023】
注出装置2は、合成樹脂製の本体3と、これを塞ぐ合成樹脂製のキャップ4とで構成されている。本体3は、基本的には、袋体1の内外に開口した筒状の形態であり、袋体1が溶着されて隠れている固定部5と、袋体1の外側(上方)に露出した露出部とを有しており、露出部は、円筒状の注出口7とその下端に連続した大径の中間部8とを有している一方、固定部5は、図1(C)のとおり、軸心を挟んだ左右両側に張り出した膨大部9を有している。固定部5の内径は中間部8の内径と同径になっている。
【0024】
図1(C)に示すように、膨大部9は底面視で略三角形になっている。このため、固定部5は、全体として、底面視で目玉形になっている。また、固定部5には、袋体1の溶着性を高めるための横長リブ10が複数段形成されている。更に、固定部5の左右両端には、袋体1を溶着するに当たって隙間を無くすための縦リブ11が形成されている。
【0025】
露出部の下端には、袋体1の上端を位置決めする左右長手の補助リブ12が形成されており、中間部8に、補助リブ12との間にある程度の間隔の環状溝13を開けた状態でフランジ14が形成されている。補助リブ12の左右長さは固定部5とほぼ同じであるが、軸心方向から見て固定部5の略全体から外側に張り出しており、底面視で左右横長の略八角形になっている。また、フランジ14は、軸心方向から見て補助リブ12の全体から外向きに張り出しており、このフランジ14も、平面視において略八角形になっている。
【0026】
キャップ4は、天板15と筒体16とを有するコップ状の基本形態であり、本体3の注出口7のうちキャップ4で覆われている部分の上下中途部に環状突起17を形成している一方、キャップ4の天板15から内筒18を垂下し、内筒18に、環状突起17に係脱する多数のフック片19を形成している。すなわち、内筒18の略下半部に下向きに開口した多数のスリット20を周方向に断続して形成することにより、内筒18の下半部に多数の細片を形成して、各細片の先端に内向きに爪部21を形成することによって多数のフック片19と成している。なお、フック片19は天板15から垂下してもよい(すなわち、内筒18とスリット20は存在しなくてもよい。)。
【0027】
環状突起17は略三角形の断面形状であるが、上面はフック片19の誘い込みのために傾斜は緩くなって、下面はフック片19の引っ掛かり性を高めるため傾斜はきつくなっている。他方、フック片19の爪部21は断面略三角形で、下面の傾斜が少し緩くなっている。
【0028】
そして、フランジ14の上面に、キャップ4の筒体16の下端よりも上に向けて縮径したテーパ面22を形成している。フランジ14は左右長手の形態であるが、テーパ面22は、フランジ14の最大前後幅寸法と略同じ寸法を直径とする真円になっている。従って、フランジ14の左右両端端部には、テーパ面22の外側に位置した平坦部23が存在している。なお、キャップ4における天板15の下面には、本体3における注出口7の開口部に嵌入するシールリング(中足)24を形成している。
【0029】
(2).第1実施形態のまとめ
図4(A)に示すように、キャップ4の筒体16を2本の指Fで摘んで軸心方向に押し窄めると、筒体16の下端がテーパ面22に当接して上向きに滑ることにより、キャップ4には上向きに移動する外力が作用するため、フック片19が外側に倒れ変形して環状突起17から離脱し、容器は開封される。
【0030】
このように、単にキャップ4を摘んで押し込むだけで開封できるが、キャップ4の外周のどの部分を押しても開封できるため、注出装置2の姿勢を確認する手間は不要であり、ワンタッチ的に開封できる。また、ヒンジ蓋の場合のように小さいタブに指先を掛ける手間は不要であり、キャップ4を単に強く摘むだけで開封できる。この面においても、ワンタッチ的に開封できる。従って、手が水や湯で濡れていても、ごく簡単に開封できる。
【0031】
開封後に再封止するに際しては、図5(B)に示すように、一方の手で本体3の固定部5を前後方向から摘んで、他方の手でキャップ4を本体3の注出口7に押し込んだらよいが、フランジ14は左右中間部においても固定部5の外側に張り出しているため、固定部5を摘んで指先Fをフランジ14に下方から当てることができる。従って、固定部5を軽く摘んでも指が滑ることはなくて、キャップ4の嵌め込み(封止)をしごく容易に行える。
【0032】
また、実施形態のようにフランジ14の左右両端部に平坦部23を形成すると、フランジ14の全面に亙ってテーパ面22を形成した場合に比べてテーパ面22を下方に下げることができるため、固定部5を左右長手の形態にして袋体1の溶着性を向上させつつ、樹脂の使用量を節約してコストを抑制できる。
【0033】
図2(D)に示すように、フック片19の群をOリング等の弾性リング25で抱持することも可能である。この場合は、フック片19の弾性復元力が弾性リング25によって補強されるため、環状突起17に対する係合力を、袋体1に外圧又は内圧が掛かっても環状突起17から離脱しない強さに設定できる。また、フック片19のへたりの影響を無くして、安定した係合力を保持することもできる。
【0034】
環状突起17に対するフック片19の群による係合力は、フック片19の数や高さ(スリット20の数や深さ)、或いはフック片19の厚さなどを変更することによって任意に調整できる。その例として、図3(B)に示す別例では、フック片19の数(スリット20の数)数を4本としている。このように構成すると、フック片19の数が8本である場合に比べて、各フック片19の曲がり変形に対する断面係数が増大するため、環状突起17との係合力を増大できる。
【0035】
その結果、流通段階で外から袋体1が加圧されたり温度上昇によって内圧が高くなったりしても、それらの圧力に抗して係合状態を保持できるに至った。すなわち、キャップ4に通常求められる係合力を確保することができた。従って、ねじ蓋に代わるキャップとして十分な実用性を有することができる。しかも、筒体16を摘むことによる開封の容易性には問題はなかった。従って、実用的価値は非常に高いと云える。
【0036】
(3).他の実施形態
次に、図5,6に示す他の実施形態を説明する。図5(A)に示す第2実施形態は、隣り合ったフック片19をジョイント部27で繋ぐことによって補強した例であるが、この実施形態では、ジョイント部27は底面視で半径方向外向きに膨れたU形(或いは半円状)に形成している。(B)に示すように、ジョイント部27は、若干の抜き勾配をつけつつストレートに近い単純な形状に形成している。また、ジョイント部27は、内筒18の外向き張り出し部18aに形成している。
【0037】
他方、(C)に別例として示すように、ジョイント部27を、下端(先端)を厚肉部27aと成して、厚肉部27aよりも上の部分の一部又は全部を薄肉部27bと成すことも可能である。薄肉部27bはバリ状にあってもよい。この(C)の別例では、厚肉部27aは図2(D)の弾性リング25と同じ作用を果たすため、フック片19の倒れ変形の容易性を保持しつつ、必要とする係合力を容易に設定できる。
【0038】
キャップ4を成型する金型は、キャップの外面を形成する外型(キャビ)28と、キャップ4の内部を形成する筒状コア29及び棒状コア30を備えているが、型抜きは、外型28、筒状コア29、棒状コア30の順で行われるため、フック片19の爪部21やジョイント部27の厚肉部27aは、型抜きの容易性を損なうことなく成型できる。他の実施形態も同様である。
【0039】
図6(A)に示す第3実施形態では、フック片19の長手両側縁に外向きの補強リブ31を形成しており、図6(B)に示す第4実施形態では、フック片19のうち幅方向の中間部に外向きの補強リブ31を形成している。従って、図6(A)の第3実施形態では,フック片19は底面視で略コ字形の形態を成して、図6(B)の第4実施形態では,フック片19は底面視で略T字形の形態を成している。
【0040】
図6(C)(D)に示す第5実施形態では、ジョイント部27は、隣り合ったフック片19の間に位置して内向きに膨れるように弓形に湾曲している。そして、ジョイント部27は、肉厚が下方に向けて小さくなるように設定している。この実施形態でも、隣り合ったフック片19を弾性体で繋いだような状態になるため、環状突起17に対する袋体1の係合強度を適切に管理できる。第5実施形態において、ジョイント部27の下半部は薄肉部27bになっているが、薄肉部27bはバリの状態でもよいし、存在しなくても差し支えない。
【0041】
図6(E)は図5(A)(B)の実施形態の変形例である第6実施形態であり、ジョイント部27の下端はフック片19の下端よりも少し上に位置している。また、フック片19は従前の実施形態よりも長くなっている(内筒18に形成したスリット20が長くなっている。)。
【0042】
図6(F)に示す第7実施形態は図5(C)(D)の実施形態の変形例であり、スリット20を長くしつつ(各フック片19の長さを長くしつつ)、ジョイント部27に爪部21が掛からないように設定している。これら図6(E)(F)のようにジョイント部27の下端の位置や高さを変えることによっても、環状突起17に対するフック片19の係合強度を調節できる。
【0043】
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えば、ジョイント部はV形や波形なども採用できる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本願発明は、包装袋装置に具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 袋体
2 注出装置
3 本体
4 キャップ
5 固定部
7 注出口
9 膨大部
14 フランジ
15 天板
16 筒体
17 環状突起
18 内筒
19 フック片
20 スリット
21 爪部
22 テーパ面
23 平坦部
25 弾性リング
27 ジョイント部
図1
図2
図3
図4
図5
図6