(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】管理システム及び管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/30 20230101AFI20240123BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240123BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240123BHJP
【FI】
G06Q10/30
G05B19/418 Z
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2019233025
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】512319232
【氏名又は名称】株式会社KMC
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】北大路 史聡
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 声喜
【審査官】藤澤 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-108021(JP,A)
【文献】特開2005-165571(JP,A)
【文献】特開2005-157775(JP,A)
【文献】特開2017-207950(JP,A)
【文献】金型メーカーへの支払いは原則一括、経産省がルール設定,2019年10月26日,[令和5年10月6日検索], <URL : https://newswitch.jp/p/19782>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を構成する部品の製造に必要な金型、治工具又は材料の保管を管理する管理システムにおいて、
前記製品を特定する製品識別子と、前記部品を特定する部品識別子と、前記製品の量産期間及び量産期間終了後の補修期間と、前記金型、治工具又は材料を使って前記部品を製造する1又は2以上製造先とを含むデータを保存するデータベースを有し、
前記データベースに保存されたデータに基づき、前記製品の補修期間が終了したかどうかを判別し、
前記補修期間の終了時に、前記製造先に金型、治工具又は材料の廃棄を通達する
管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の管理システムであって、
前記データベースにより保存されるデータは、前記製造先に金型、治工具又は材料の廃棄を通達した通達結果と、前記廃棄の通達に対する前記製造先からの廃棄エビデンスが返送された返送結果とをさらに含む
管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の管理システムであって、
前記データベースにより保存された前記製品の量産期間及び前記補修期間のデータは、変更可能である
管理システム。
【請求項4】
製品を構成する部品の製造に必要な金型、治工具又は材料の保管を管理する管理システムにおいて、
前記製品を特定する製品識別子と、前記部品を特定する部品識別子と、前記製品の量産期間と、前記金型、治工具又は材料を使って前記部品を製造する1又は2以上製造先とを含むデータを保存するデータベースを有し、
前記データベースに保存されたデータに基づき、前記製品の量産期間終了後に2以上の前記製造先があるかどうかを判別し、
2以上の
前記製造先があるときには、少なくとも1の前記製造先以外の前記製造先の金型、治工具又は材料の廃棄を決定し、該当する前記製造先に廃棄を通達する
管理システム。
【請求項5】
製品を構成する部品の製造に必要な金型、治工具又は材料の保管を
管理システムが管理する方法において、
前記管理システムの処理部であって、他のコンピュータとの間で通信が可能なコンピュータにより構成される処理部が、コンピュータソフトウェアを実行することにより、
データベースに保存された、前記製品を特定する製品識別子と、前記部品を特定する部品識別子と、前記製品の量産期間及び量産期間終了後の補修期間と、前記金型、治工具又は材料を使って前記部品を製造する1又は2以上製造先とを含む
データに基づき、前記製品の補修期間が終了したかどうかを判別し、
前記補修期間の終了時に、前記製造先に金型、治工具又は材料の廃棄を通達する
管理方法。
【請求項6】
製品を構成する部品の製造に必要な金型、治工具又は材料の保管を
管理システムが管理する方法において、
前記管理システムの処理部であって、他のコンピュータとの間で通信が可能なコンピュータにより構成される処理部が、コンピュータソフトウェアを実行することにより、
データベースに保存された、前記製品を特定する製品識別子と、前記部品を特定する部品識別子と、前記製品の量産期間及び量産期間終了後の補修期間と、前記金型、治工具又は材料を使って前記部品を製造する1又は2以上製造先とを含む
データに基づき、前記製品の量産期間終了後に2以上の製造先があるかどうかを判別し、
2以上の製造先があるときには、少なくとも1の製造先以外の製造先の金型、治工具又は材料の廃棄を決定し、該当する製造先に廃棄を通達する
管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば部品の製造に必要な金型を管理するのに好適な管理システム及び管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、家電、通信機器、医療機器など主要な製品はユーザー指向の多様化により多品種化し、さらに販売も世界中に販売するようになり益々製品種は増加傾向にある。一方では次々と新製品を繰り出し購買意欲を掻き立てる必要もあり、製品の短命化が起きている。いわゆる多品種・小ロット・短命化に商品サイクルになってきた。
【0003】
製品は多くの部品で構成され、プラスチック、板金、ゴム、ダイカスト部品などが多く使用されそれらは全て金型によって製造され、必然的に金型も多品種に対応して増え続けている。
【0004】
市場に販売された製品は、販売期間を終えると「補修期間」に入り、いずれ補修サービスの打ち切りを迎える。自動車の場合は、一般的に量産終了後(新製品の切り替え)15年の補修サービス期間が設定されている。家電・情報機器等は3年から7年、製造機械は10年から15年となっていて、その間、補修部品の製造のために金型を保管しなければならず、補修金型は増加傾向にある。
【0005】
経産省は「中小下請けいじめ」としてこの金型の保管費用を「発注側が支払う」ことを金型管理ルールとして公表する予定だ。しかしながら、発注側も受注側も従来補修部品などは部品で発注することが多く、双方が金型管理台帳を持っていないところが多い。また、補修部品が発注できても、その補修パーツを2次、3次の下請けに任せているところもあり、金型管理が末端の企業まではできていない。従って、従来の部品管理にくわえて金型管理を双方が行わないと、金型保管費用の支払いはできない。
【0006】
量産部品メーカは、数個単位の補修パーツ製造は量産の邪魔になるので下請けの外注に委託する。製品メーカの発注側は、部品リストと発注先リストの台帳は管理しているが、金型は管理していない。何故なら、部品さえ発注すればよいので、管理不要の状態だったからである。受注側も補修パーツの金型は、ずさんな管理状態で台帳もなく、保管料支払いや廃棄申請もできない状況であった。また、そのような金型は山積みの状態で保管され整理がされていない。
【0007】
本発明に関連する技術は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
今回の経産省指針では、保管料を支払と受領のために、発注側及び受注側双方で金型管理をする必要があるが、管理に手間を要し、しかも双方で齟齬が生じる可能性もある。今後、金型だけでなく、製品を構成する部品の製造に必要な治工具や材料でも同様の問題が生じるものと考えられる。
【0010】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、手間を要することなく正確に無駄なく金型等の廃棄管理を行うことができる管理システム及び管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る管理システムは、製品を構成する部品の製造に必要な金型、治工具又は材料の保管を管理する管理システムにおいて、前記製品を特定する製品識別子と、前記部品を特定する部品識別子と、前記製品の量産期間及び量産期間終了後の補修期間と、前記金型、治工具又は材料を使って前記部品を製造する1又は2以上製造先とを含むデータを保存するデータベースを有し、前記データベースに保存されたデータに基づき、前記製品の補修期間が終了したかどうかを判別し、前記補修期間の終了時に、前記製造先に金型、治工具又は材料の廃棄を通達する。
【0012】
本発明では、データベースに保存されたデータに基づき補修期間を管理し、補修期間の終了時に製造先に金型、治工具又は材料の廃棄を通達するので、手間を要することなく正確に無駄なく金型等の廃棄管理を行うことができる。
【0013】
本発明に係る管理システムでは、前記補修期間終了時に、当該部品が他の製品に流用されているかどうかを判別し、前記部品が他の製品に流用され、前記他の製品の量産期間と補修期間とを加算した期間が前記製品の量産期間と補修期間とを加算した期間より長いとき、前記金型、治工具又は材料の廃棄の通達を前記他の製品の補修期間の終了時に延長してもよい。
【0014】
これにより、流用部品に対する補修期間の間、部品供給が可能となる。
【0015】
本発明に係る管理システムでは、前記データベースにより保存されるデータは、前記部品を流用する前記他の製品を特定する製品識別子と、前記他の製品の量産期間及び量産期間終了後の補修期間とをさらに含み、前記データベースに保存されたデータに基づき、前記部品が前記他の製品に流用されているかどうか及び前記他の製品の量産期間と補修期間とを加算した期間が前記製品の量産期間と補修期間とを加算した期間より長いかどうかを判別してもよい。
【0016】
これにより、流用部品に対する補修期間の期間、手間を要することなく確実に部品供給が可能となる。
【0017】
本発明に係る管理システムでは、前記データベースに保存されたデータに基づき、前記製品の量産期間終了後に2以上の前記製造先があるかどうかを判別し、2以上の前記製造先があるときには、少なくとも1の前記製造先以外の前記製造先の金型、治工具又は材料の廃棄を決定し、該当する前記製造先に廃棄を通達してもよい。
【0018】
これにより、量産期間終了後に必要以上の金型、治工具又は材料を残すことがなくなる。
【0019】
本発明に係る管理システムでは、前記データベースにより保存されるデータは、前記部品の製造に必要な金型、治工具又は材料が2以上の前記製造先で製造されているときに、それぞれの前記製造先での前記金型、治工具又は材料の廃棄を規制することが可能なデータを含み、前記データベースに保存されたデータに基づき、前記製品の量産期間終了後に前記製造先の金型、治工具又は材料を廃棄する決定を規制してもよい。
【0020】
本発明に係る管理システムでは、前記データベースにより保存されるデータは、前記製造先に金型、治工具又は材料の廃棄を通達した通達結果と、前記廃棄の通達に対する前記製造先からの廃棄エビデンスが返送された返送結果とをさらに含んでもよい。
【0021】
本発明に係る管理システムでは、前記データベースにより保存された前記製品の量産期間及び前記補修期間のデータは、変更可能としてもよい。
【0022】
本発明に係る管理システムは、製品を構成する部品の製造に必要な金型、治工具又は材料の保管を管理する管理システムにおいて、前記製品を特定する製品識別子と、前記部品を特定する部品識別子と、前記製品の量産期間と、前記金型、治工具又は材料を使って前記部品を製造する1又は2以上製造先とを含むデータを保存するデータベースを有し、前記データベースに保存されたデータに基づき、前記製品の量産期間終了後に2以上の前記製造先があるかどうかを判別し、2以上の善意製造先があるときには、少なくとも1の前記製造先以外の前記製造先の金型、治工具又は材料の廃棄を決定し、該当する前記製造先に廃棄を通達する。
【0023】
これにより、量産期間終了後に必要以上の金型、治工具又は材料を残すことがなくなる。
【0024】
本発明に係る管理方法は、製品を構成する部品の製造に必要な金型、治工具又は材料の保管を管理する方法において、前記製品を特定する製品識別子と、前記部品を特定する部品識別子と、前記製品の量産期間及び量産期間終了後の補修期間と、前記金型、治工具又は材料を使って前記部品を製造する1又は2以上製造先とを含むデータを保存し、前記に保存されたデータに基づき、前記製品の補修期間が終了したかどうかを判別し、前記補修期間の終了時に、前記製造先に金型、治工具又は材料の廃棄を通達する。
【0025】
これにより、手間を要することなく正確に無駄なく金型等の廃棄管理を行うことができる。
【0026】
本発明に係る管理方法は、製品を構成する部品の製造に必要な金型、治工具又は材料の保管を管理する方法において、前記製品を特定する製品識別子と、前記部品を特定する部品識別子と、前記製品の量産期間及び量産期間終了後の補修期間と、前記金型、治工具又は材料を使って前記部品を製造する1又は2以上製造先とを含むデータを保存し、前記データベースに保存されたデータに基づき、前記製品の量産期間終了後に2以上の製造先があるかどうかを判別し、2以上の製造先があるときには、少なくとも1の製造先以外の製造先の金型、治工具又は材料の廃棄を決定し、該当する製造先に廃棄を通達する。
【0027】
これにより、量産期間終了後に必要以上の金型、治工具又は材料を残すことがなくなる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、手間を要することなく正確に無駄なく金型等の廃棄管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係るグループ金型管理システム1の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示した金型データベース20に保存される1つの部品に対するデータの一例を示す図。
【
図3】
図1に示した処理部10による処理の内容を示すフローチャート(その1)である。
【
図4】
図1に示した処理部10による処理の内容を示すフローチャート(その2)である。
【
図5】2社がそれぞれ共通の金型を保有し、量産期間が終了し、一方の会社が金型を廃棄し、他方の会社が金型を廃棄せずに保管することとした場合の金型データベース20の例を示す図である。
【
図6】補修期間を延長する場合の金型データベース20の例を示す図である。
【
図7】金型を保管する会社が当該金型を廃棄した場合の金型データベース20の例を示す図である。
【
図8】量産期間の終了時及び補修期間の終了時の金型廃棄の通達等のタイミングを説明するための図である。
【
図9】製品を製造する製品メーカに部品を供給する会社の系列の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0031】
[グループ金型管理システム1の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るグループ金型管理システム1の構成を示すブロック図である。
【0032】
グループ金型管理システム1は、製品を製造する製品メーカX、その製品を構成する部品を製造する部品メーカY1、Y2、Y3と、これらの部品メーカY1、Y2、Y3の下請け会社Z1、Z2、Z3とからなるグループの部品製造に必要な金型の保管を管理するために用いられる(
図9参照)。下請け会社の下請けが会社も存在し、また1つの部品メーカや下請け会社には2以上の下請け会社が存在する場合もある。
【0033】
グループ金型管理システム1は、処理部10と、金型データベース20とを有する。処理部10は、通信機能を有する或いは通信機能を有する機器を使ってネットワーク経由で他のPCとの間で通信が可能な例えばPCにより構成される。金型データベース20は、処理部10から直接データの書き込みや読み出し或いはネットワークを介して他のPCなどからデータの書き込みや読み出しが可能な記憶手段である。
【0034】
本実施形態では、グループを構成する製品メーカX、部品メーカY1、Y2、Y3、下請け会社Z1、Z2、Z3のいずれもが、このグループ金型管理システム1にアクセスしてデータのやりとりが可能である。例えば下請け会社Z1、Z2、Z3がそれぞれ金型を使って部品を製造する製造先であり、金型を保管する。下請け会社Z1、Z2、Z3は、量産期間を終了しても補修パーツを製造するための補修期間の間はこの金型を保管する必要がある。下請け会社Z1、Z2、Z3は、補修期間の間金型を保管すると、その保管料を部品メーカY1、Y2、Y3に請求でき、部品メーカY1、Y2、Y3はその保管料を下請け会社Z1、Z2、Z3に支払う義務がある。なお、部品メーカY1、Y2、Y3は支払う保管料を製品メーカXに請求でき、製品メーカXはその保管料を部品メーカY1、Y2、Y3に支払う義務がある場合もあり、そのような義務がない場合もある。
【0035】
[金型データベース20の構成]
図2は、金型データベース20に保存される1つの部品に対するデータの一例である。
【0036】
管理部品番号は、金型データベース20での当該部品に対するユニーク番号である。
【0037】
製品番号は、当該部品が使われる製品の製品番号であり、この部品が2つ以上の製品で共用される場合には2つ以上の製品番号が設定される。
【0038】
部品番号は、当該部品が使われる製品における部品の部品番号であり、この部品が2つ以上の製品で共用される場合には製品ごとに部品番号が設定される。
【0039】
量産期間は、当該部品が使われる製品の量産期間であり(
図8参照)、この部品が2つ以上の製品で共用される場合には製品ごとに量産期間が設定される。設定した量産期間は変更可能である。製品の寿命に応じて変更する必要があるからである(
図8参照)。
【0040】
補修期間は、当該部品が使われる製品の補修期間である(
図8参照)。補修期間は、量産期間終了後に製品メーカが当該製品を補修することを義務付けられた乃至は自主的に設定した期間である。補修期間は、この部品が2つ以上の製品で共用される場合には製品ごとに補修期間号が設定される。設定した補修期間は変更可能である。法律の改正等により変更する必要があるからである。
【0041】
金型管理番号は、当該部品を成型するのに必要な金型の管理番号である。この部品を製造する製造元が2つ以上の場合、例えば下請け会社Z1、Z2がそれぞれ金型を使って部品を製造する製造先である場合には、金型管理番号は、その製造元の金型ごとに設定される。例えば、下請け会社Z1が保管する金型の金型管理番号、下請け会社Z2が保管する金型の金型管理番号はそれぞれ別に設定される。
【0042】
資産管理番号は、金型の資産を管理するための番号である。資産管理番号は、金型ごとに設定される。例えば、下請け会社Z1が保管する金型、下請け会社Z2が保管する金型の資産管理番号はそれぞれ別に設定される。
【0043】
会社QRは、金型を保管する会社及びその会社に金型の保管料を支払う会社乃至支払いを管理する会社等の情報にアクセスするためのQRコード(登録商標)である。棚QRは、金型を保管する会社のどの棚に当該棚が保管いるかの情報にアクセスするためのQRコード(登録商標)である。これらのQRコード(登録商標)によって、当該金型の保管料を支払う会社や当該金型が保管されている会社、場所などを知ることができる。
【0044】
補修移行通達は、補修移行通達がされたときにチェックがされる欄である。当該部品の量産期間が終了し補修期間となったときにその金型を保管する会社(部品の製造先)及びその会社に金型の保管料を支払う会社乃至支払いを管理する会社等、例えば下請け会社Z1、Z2や部品メーカY1、Y2に補修期間になったことが通達される。補修移行通達は、その通達である。
【0045】
エビデンス(1)は、補修移行通達に対して金型を保管する会社(部品の製造先)から補修移行エビデンスが返送されると、チェックがされる欄である。補修移行エビデンスとは、製造先で金型を量産用から補修用に移行したことの証明である。補修移行エビデンスは別途保管される。この補修移行エビデンスに付された年月日を保管料発生の始期としてもよい。エビデンス(1)の欄或いはこの金型データベース20のどこかに、この年月日を入れてもよい。
【0046】
廃棄規制(1)は、量産期間終了時に製造先での金型の廃棄を規制するときにチェックがされる欄である。この欄にチェックがされると、量産期間終了時での金型廃棄の決定が規制される。
【0047】
廃棄通達(1)は、量産期間終了時に廃棄通達がされたときにチェックがされる欄である。当該部品の量産期間が終了し金型の廃棄が決定したときにその金型を保管する会社(部品の製造先)、典型的には2つ会社がある場合には一方の会社、例えば下請け会社Z1又は下請け会社Z2のうちいずれか一方に金型を廃棄することが通達される。廃棄通達(1)は、その通達である。なお、金型の保管料を支払う会社乃至支払いを管理する会社等にも通達するようにしてもよい。
【0048】
エビデンス(2)は、量産期間終了時の廃棄通達に対して金型を保管する会社(部品の製造先)から廃棄エビデンスが返送されると、チェックがされる欄である。廃棄エビデンスとは、製造先で金型を廃棄したことの証明である。廃棄エビデンスは別途保管される。この廃棄エビデンスに付された年月日を保管料発生の終期としてもよい。ビデンス(2)の欄或いはこのデータベース20のどこかに、この年月日を入れてもよい。
【0049】
廃棄規制(2)は、補修期間終了時に製造先での金型の廃棄を規制するときにチェックがされる欄である。この欄にチェックがされると、補修期間終了時の金型廃棄の決定が規制される。
【0050】
廃棄通達(2)は、補修期間終了時に廃棄通達がされたときにチェックがされる欄である。当該部品の補修期間が終了し金型の廃棄が決定したときにその金型を保管する会社(部品の製造先)及びその会社に金型の保管料を支払う会社乃至支払いを管理する会社等、例えば下請け会社Z1、Z2や部品メーカY1、Y2に補修期間になったことが通達される。廃棄通達(2)は、その通達である。
【0051】
エビデンス(3)は、補修期間終了時時の廃棄通達に対して金型を保管する会社(部品の製造先)から廃棄エビデンスが返送されると、チェックがされる欄である。廃棄エビデンスとは、製造先で金型を廃棄したことの証明である。廃棄エビデンスは別途保管される。この廃棄エビデンスに付された年月日を保管料発生の終期としてもよい。エビデンス(3)の欄或いはこの金型データベース20のどこかに、この年月日を入れてもよい。
【0052】
[処理部10による処理]
図3及び
図4は処理部10による処理の内容を示すフローチャートである。
【0053】
処理部10は、金型データベース20を参照し、当該部品の管理部品番号(例えばSG51)に対応する製品番号・部品番号の量産期間及び補修期間をチェックし、以下の処理を行う。
【0054】
処理部10は、現時点が量産期間を過ぎた場合には(ステップ301)、管理部品番号に対応する製品番号・部品番号が別に存在しないかを確認する(ステップ302)。つまり、共通の部品を使う複数の製品が存在しないかを確認する。
【0055】
処理部10は、ステップ302において、別に存在する場合には、1つの製品番場・部品番号以外の製品番場・部品番号の金型管理番号の金型については廃棄する決定をする(ステップ303)。つまり、共通の部品を使う複数の製品が存在し、複数の金型が存在する場合には、1つの金型は残し、他の金型は廃棄する決定をする。2つ以上の金型を残すようにしてもよい。廃棄決定のパラメータとしては、例えば不良品率や量産数などを用いてもよい。つまり、不良品率の低い金型や量産数の少ない金型を残すようにすればよい。
【0056】
処理部10は、スッテプ303において、廃棄が決定した金型が廃棄規制(1)の設定されていないかを確認する(ステップ304)。
【0057】
処理部10は、ステップ304において、廃棄規制(1)が設定されている場合には、その金型の廃棄の決定を規制する(ステップ305)。
【0058】
処理部10は、ステップ303で金型を残す決定した金型を保有する会社及びステップ305で金型の廃棄の決定が規制された金型を保有する会社、加えてその会社に金型の保管料を支払う会社乃至支払いを管理する会社等に対しては、その会社QRのQRコード(登録商標)を参照し、金型の補修期間移行を通達する(ステップ306、
図8参照)。処理部10は、その通達に対して、その会社よりエビデンスの返送があれば(ステップ307)、エビデンス(1)にチェックを入れる(ステップ308)。所定期間内にエビデンスの返送がない場合には、リマインドを送信する機能を持たせてもよい。
【0059】
処理部10は、ステップ303で廃棄が決定した金型を保有する会社、加えてその会社に金型の保管料を支払う会社乃至支払いを管理する会社等に対しては、その会社QRのQRコード(登録商標)を参照し、金型の廃棄を通達する(ステップ309、
図8参照)。処理部10は、その通達に対して、その会社よりエビデンスの返送があれば(ステップ310)、エビデンス(2)にチェックを入れる(ステップ311)。所定期間内にエビデンスの返送がない場合には、リマインドを送信する機能を持たせてもよい。
【0060】
図5に、2社がそれぞれ共通の金型を保有し、量産期間が終了し、一方の会社が金型を廃棄し、他方の会社が金型を廃棄せずに保管することとした場合の金型データベース20の例を示す。
【0061】
処理部10は、現時点が量産期間と補修期間とを加算した期間(補修期間終了時)を過ぎた場合には(スッテプ401)、管理部品番号に対応する製品番号・部品番号が別に存在しないかを確認する(ステップ402)。つまり、共通の部品を使う複数の製品が存在しないかを確認する。
【0062】
処理部10は、ステップ402において、別に存在する場合には、別に存在する製品の量産期間と補修期間とを加算した期間が当該製品の量産期間と補修期間とを加算した期間より長いかどうかを判別する(ステップ403)。
図2の例でいうと、上段を当該部品としたとき、上段の部品の量産期間と補修期間とを加算した期間は15年であり、下段の別に存在する部品の量産期間と補修期間とを加算した期間は20年であり、別に存在する部品の加算期間の方が長くなる。
【0063】
処理部10は、ステップ403において、別に存在する製品の量産期間と補修期間とを加算した期間が当該製品の量産期間と補修期間とを加算した期間より長いと判別した場合には、当該製品の部品の金型の廃棄の通達を他の製品の補修期間の終了時に延長する(ステップ404)。
図2の例でいうと、上段を当該製品としたとき、上段の製品の量産期間と補修期間とを加算した期間は15年であり、下段の別に存在する製品の量産期間と補修期間とを加算した期間は20年であり、別に存在する製品の加算期間の方が長くなる。この場合には、例えば
図6に示すように、上段の製品の補修期間を下段の製品の補修期間と一致させる。具体的には、上段の製品の補修期間を「10年」から「15年」に補正する。この期間の延長方法は一例であり、他の方法を用いてももちろん構わない。
【0064】
一方、処理部10は、ステップ403において、別に存在する製品の量産期間と補修期間とを加算した期間が当該製品の量産期間と補修期間とを加算した期間より短いと判別した場合には、当該製品の金型の廃棄を決定する(ステップ405)。
【0065】
処理部10は、スッテプ405において、廃棄が決定した金型が廃棄規制(3)の設定されていないかを確認する(ステップ406)。
【0066】
処理部10は、ステップ406において、廃棄規制(2)が設定されている場合には、その金型の廃棄の決定を規制する(ステップ407)。
【0067】
処理部10は、ステップ405で廃棄が決定した金型を保有する会社、加えてその会社に金型の保管料を支払う会社乃至支払いを管理する会社等に対しては、その会社QRのQRコード(登録商標)を参照し、金型の廃棄を通達する(ステップ408、
図8参照)。処理部10は、その通達に対して、その会社よりエビデンスの返送があれば(ステップ409)、エビデンス(3)にチェックを入れる(ステップ410)。所定期間内にエビデンスの返送がない場合には、リマインドを送信する機能を持たせてもよい。
【0068】
図7に、上段の金型を保管していた会社はすでに金型を廃棄しており、下段の金型を保管する会社が当該金型を廃棄した場合の金型データベース20の例を示す。
【0069】
[その他]
本発明は、上記の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内で変形や応用をしての実施が可能であり、その実施の範囲も本発明の技術的範囲に属する。
【0070】
例えば、上記の実施形態では、金型の保管を管理する金型管理システムに本発明を適用した例を示したが、治工具や材料の保管を管理する管理システムにも本発明を適用できる。
【0071】
上記の実施形態では、製品の量産期間終了後に2以上の製造先があるかどうかの判別を金型データベース20に保存されたデータに基づき行っていたが、例えば製品の量産期間終了後に、部品会社や製品会社が保有するデータベースに別の製造先があるかどうかを問い合わせるようにしてもよい。
【0072】
製品を特定する製品識別子や記部品を特定する部品識別子等は、上記の数字やアルファベットなどにとらわれず、別の形式であってももちろん構わない。また、金型の廃棄の通達は、廃棄が決定した金型を保有する会社だけであってもよく、その会社に金型の保管料を支払う会社だけであってもよく、支払いを管理する会社だけであってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 :グループ金型管理システム
10 :処理部
20 :金型データベース
X :製品メーカ
Y1 :部品メーカ
Y2 :部品メーカ
Y3 :部品メーカ
Z1 :下請け会社
Z2 :下請け会社
Z3 :下請け会社