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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 9/16 20060101AFI20240123BHJP
   G01S 19/35 20100101ALI20240123BHJP
   H01Q 19/22 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
H01Q9/16
G01S19/35
H01Q19/22
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020013473
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021121046
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】平野 駿
(72)【発明者】
【氏名】土屋 正登
(72)【発明者】
【氏名】山本 真也
(72)【発明者】
【氏名】中西 雷太
(72)【発明者】
【氏名】久下 智之
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-500395(JP,A)
【文献】特表2014-522595(JP,A)
【文献】特開2004-242277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 9/16
G01S 19/35
H01Q 19/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位信号に基づいて位置を測位する回路を有するプリント基板と,
前記プリント基板に配設され,前記測位信号を受信するダイポールアンテナ素子と,
無給電のL字型アンテナ素子を備え,
前記ダイポールアンテナ素子と,無給電のL字型アンテナ素子の長辺の素子が,平行且つ並列ではない位置に配設され,
前記L字型アンテナ素子の短辺の素子の端部が前記ダイポールアンテナ素子の端部の近傍に位置するように配設されているアンテナ装置。
【請求項2】
前記プリント基板,前記ダイポールアンテナ素子及び前記L字型アンテナ素子を収納する筐体を備え,
前記L字型アンテナ素子は,前記筐体の側面に形成される請求項に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンテナ装置に関し,例えば車載用測位衛星アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)の電波を自動車等の車両で受信する場合,車両に搭載されるアンテナには,小型化が求められる。例えば特許文献1には,給電アンテナの素子と平行な方向で並列な位置に配置される無給電アンテナ素子を備えるアンテナ装置が記載されている。
【0003】
一方,車載装置に衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)から送信される電波を受信するアンテナを内蔵するために,セラミックパッチアンテナを車載装置の部品実装基板の基板面と平行に実装する場合がある。
【0004】
しかしながら,セラミックパッチアンテナは,アンテナの一面のみでしか電波を受信することができない。したがって,基板に実装された場合,基板の一面のみしか電波を受信できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-10042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように,部品実装基板を内蔵した車載装置を車両に設置する場合,セラミックパッチアンテナによるGPS信号の受信面を考慮したうえで設置をせざるを得ず,車両への設置位置,設置方向が限定されるという課題がある。
【0007】
本開示の目的は上述した課題を鑑み,車両への設置位置,設置方向が限定されるという課題を解決するアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態のアンテナ装置は,測位信号に基づいて位置を測位する回路を有するプリント基板と,前記プリント基板に配設され,前記測位信号を受信するダイポールアンテナ素子と,を備えるようにした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば,車両への設置位置,設置方向が限定されず,車載装置において安価に高利得で受信できる方向を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態にかかるアンテナ装置の概略構成を示す斜視図である。
図2】本実施の形態にかかるアンテナ装置の指向性を示す図である。
図3】本実施の形態にかかるアンテナ装置搭載車両の一例を示す概略図である。
図4】本実施の形態にかかるアンテナ装置搭載車両の一例を示す概略図である。
図5】本実施の形態にかかるアンテナ装置搭載車両におけるアンテナ装置の設置範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下,図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態
図1は,本実施の形態にかかるアンテナ装置の概略構成を示す斜視図である。図1において,アンテナ装置10は,ダイポールアンテナ素子11と,L字型アンテナ素子12と,プリント基板13と,筐体14と,プリント基板GND16を備える。
【0012】
ダイポールアンテナ素子11は,給電点15に2本の直線状の導線を左右対称につけたアンテナ素子である。ダイポールアンテナ素子11の2本の直線状の導線は,プリント基板13から離間した位置で,プリント基板GND16の一辺に平行に配置されている。ダイポールアンテナ素子11の2本の直線状の導線は,給電点15からプリント基板13の回路に接続されている。
【0013】
長辺の素子および短辺の素子を含むL字型アンテナ素子12は,長辺の素子と短辺の素子との2本の直線状の導線が,互いの端部で略90度の角度で接続しているアンテナ素子である。また,L字型アンテナ素子12はプリント基板13の回路に接続していない無給電アンテナ素子である。そして,L字型アンテナ素子12は,2本の直線状の導線のうち,一方の導線121がプリント基板13から離間した位置で,プリント基板13の一辺に平行に配置されている。そして,導線121は,ダイポールアンテナ素子11と平行且つ並列でない位置に配置されている。すなわち,図1のL軸方向から見て,導線121は,ダイポールアンテナ素子11と重ならないように配置されている。2本の直線状の導線のうち,他方の導線122は,端部がダイポールアンテナ素子11の近傍に配置されている。
【0014】
すなわち,導線122の一端は導線121の一端と接続し,導線122の他端は,ダイポールアンテナ素子11に離間且つダイポールアンテナ素子11と電磁結合してダイポールアンテナ素子11との指向性に影響を与える程度に近い位置となるように,L字型アンテナ素子12が配設されている。また例えば,2本の直線状の導線のうち,他方の導線122がプリント基板13の主面に垂直な向きに配置されている。
【0015】
プリント基板13は,ダイポールアンテナ素子11と接続し,ダイポールアンテナ素子11が受信した測位信号(例えばGNSS信号)から自装置の位置を測定する回路を有する基板である。プリント基板13は,L字型アンテナ素子12と接続していないので,L字型アンテナ素子12は無給電アンテナ素子として作用する。プリント基板GND16は,例えばプリント基板13の一面に形成された方形の金属層であり,基準電位の層である。また,プリント基板GND16は,積層基板のいずれかの層に形成されてもよい。
【0016】
筐体14は,ダイポールアンテナ素子11,L字型アンテナ素子12及びプリント基板13を収容する中空の筐体である。また,筐体14の側面にはL字型アンテナ素子12が形成される。
【0017】
図2は,本実施の形態にかかるアンテナ装置の指向性を示す図である。図2では,アンテナ装置10と比較のパッチアンテナの垂直面(図1のHL面)における指向性を示す。図2において,指向性パターン21は,アンテナ装置10の垂直面における指向性を示し,指向性パターン22はパッチアンテナの垂直面における指向性を示す。
【0018】
図2に示すように,アンテナ装置10は,パッチアンテナに比べ受信範囲が広くなっていることが示されている。
【0019】
次にアンテナ装置10を車両に搭載する例について説明する。アンテナ装置10は,プリント基板13に形成されるダイポールアンテナ素子11が車両の鉛直方向上面にくるよう車両のインストルパネル内面に縦置きに設置されることが好適である。
【0020】
図3は,本実施の形態にかかるアンテナ装置搭載車両の一例を示す概略図である。図3において,アンテナ装置搭載車両30は,アンテナ装置10のプリント基板13に形成されるダイポールアンテナ素子11を鉛直方向上面になるように縦置きし,かつ車両の進行方向とプリント基板13の主面が垂直になるように設置した例である。
【0021】
図3に示すように,アンテナ装置搭載車両30に搭載されたアンテナ装置10は,進行方向及び進行方向の反対方向に指向性を有するので,進行方向及び進行方向の反対方向の上空にある測位衛星31の測位信号を受信することができる。
【0022】
図4は,本実施の形態にかかるアンテナ装置搭載車両の一例を示す概略図である。図4において,アンテナ装置搭載車両40は,アンテナ装置10のプリント基板13に形成されるダイポールアンテナ素子11を鉛直方向上面になるように縦置きし,かつ車両の進行方向とプリント基板13の主面が平行になるように設置した例である。
【0023】
図4に示すように,アンテナ装置搭載車両40に搭載されたアンテナ装置10は,進行方向に直交する方向(すなわち進行方向からみて左右方向)を主とする指向性を有するので,進行方向からみて左右方向の上空にある測位衛星41の測位信号を受信することができる。
【0024】
図5は,本実施の形態にかかるアンテナ装置搭載車両におけるアンテナ装置の設置範囲を示す図である。図5に示すように,アンテナ装置10は,アンテナ装置搭載車両50のインストルメントパネル内面で,かつフロントガラス設置面内に設置することが望ましい。
【0025】
図5に示す設置範囲では,正面がフロントガラスであるので,ピラー等の金属により進行方向の指向性パターンを乱されることが少ない。
【0026】
このように本実施の形態のアンテナ装置によれば,ダイポールアンテナは,アンテナ素子に対して垂直の方向に指向性をもつので,プリント基板の部品パターン形成面に対して垂直の方向に指向性ももつため,垂直方向にあるGNSS信号を受信感度が向上し,車両に車載装置を縦置きした際に,一方向だけ受信感度が悪化することを避けることができる。また,本実施の形態及びアンテナ装置搭載車両のアンテナ装置によれば,L字型の非接触の無給電アンテナを配設することにより,L字型アンテナの短辺側の先端部とダイポールアンテナの一方の端部が電磁結合し,L字型の無給電アンテナと協働することで受信感度を向上させることができる。
【0027】
この結果,本実施の形態のアンテナ装置によれば,車載装置のプリント基板一端面にダイポールアンテナを形成することで,パッチアンテナに比べて指向性が改善され,上空にある多数の測位衛星41からのGNSS信号を車両前後左右から受信できることで,車両位置をより正確に認識することができるようになる。
【0028】
なお,本発明は上記実施の形態に限られたものではなく,趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば,図3に示された配置のアンテナ装置10と,図4に示された配置のアンテナ装置10とを両方備えるようにしてもよく、アンテナ装置10を地面に対して平行に水平方向に倒した状態での設置としてもよい。また、無給電のアンテナ素子は、L字型に限られず、例えばF字型など長辺の素子および短辺の素子を含む形態であればよい。
【符号の説明】
【0029】
10 アンテナ装置
11 ダイポールアンテナ素子
12 L字型アンテナ素子
13 プリント基板
14 筐体
15 給電点
16 プリント基板GND
21 アンテナ装置10の垂直面における指向性
22 パッチアンテナの垂直面における指向性
30,40,50 アンテナ装置搭載車両
31,41 測位衛星
121 導線
122 導線
図1
図2
図3
図4
図5