(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】弁当容器へのパスタ盛り付け装置
(51)【国際特許分類】
B25J 15/00 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
B25J15/00 Z
(21)【出願番号】P 2020073449
(22)【出願日】2020-04-16
【審査請求日】2023-04-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年1月27日から自社ホームページに掲載して公開した。 令和2年2月12日から令和2年2月14日まで開催されたデリカテッセン・トレードショー2020に展示して公開した。 令和2年2月18日から令和2年2月21日まで開催された国際ホテル・レストラン・ショー(HOTERESJAPAN2020)に展示して公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000236746
【氏名又は名称】不二精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】青木 稔
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-500056(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0211205(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
A47G 21/00-23/16
A47J 42/00-44/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状の線材を回転自在に構成したパスタ巻取り具と、コンベアベルト上を搬送されてきた弁当容器に向かってパスタ巻取り具を移動させる巻取り具移動機構と、パスタ巻取り具で巻き取ったパスタ重量の計測部と、パスタ巻取り具の下方に配設した回転自在のボウル載置部と、ボウル内に積層されるパスタの積層状態を検知するパスタ積層検知部と、ボウル内の残存パスタを均等に積層形成するパスタ均し機構とからなる弁当容器へのパスタ盛り付け装置。
【請求項2】
コンベアベルト上を搬送される弁当容器の搬送姿勢を検知するために、コンベアベルト上流側には流通傾き検知部を配設すると共に、流通傾き検知部は、コンベアベルトの上方に設けた検知カメラと、流通傾きの検知結果に基づいてパスタの正確な充填位置情報を算出する位置算出手段と、算出された充填位置情報から巻取り具移動機構に充填位置の指示を送る指示部とを構成したことを特徴とする請求項1に記載のパスタ盛り付け装置。
【請求項3】
計測部はパスタ巻取り具の重量をパスタ重量と共に計測して、その重量から前者パスタ巻取り具の重量を差し引きして、巻取りパスタの重量を計測するように構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパスタ盛り付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁当容器へ食物を充填する一連の作業工程においてパスタを弁当容器に盛り付けるに必要な弁当容器へのパスタ盛り付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弁当容器に各種の食物を盛り付ける作業においては、原始的に手作業で盛り付けを行う場合と、大量の弁当を製造する一連の流れ作業においてコンベアベルトで搬送される弁当容器に一部の盛り付け用機械によって必要な食物を盛り付ける場合とがある。
【0003】
特に、一部の盛り付け用機械によって弁当容器にご飯やおかず等の食品を盛り付ける作業において、先に弁当容器底部にパスタを敷設しその上に主要な弁当おかずを上に重ねて盛り付けるという特殊な盛り付け作業形態がある。
【0004】
しかし、かかるパスタ敷設の盛り付け作業においては一定の量のパスタを正確に盛り付けることは煩雑で機械による作業化が難しく、この作業形態だけは手作業で盛り付けを行うしかなかった。
【0005】
かかるパスタ盛り付けの作業形態を機械化するために、従来円形に配置された複数の棒状部材をロボットハンド機構を用いて円形中心に向かって弧を描くように回動させ線状のパスタを巻き取るように構成した食物把持機構が開示されている(特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、このロボットハンド機構は円形に配置された棒状部材の内接円を中心に向かって回動させ縮小しながらパスタ等の線状食物を把持するように構成しているため、乾燥防止用のオリーブオイルで表面コーティングされたパスタは把持機構部分で滑り易く、パスタを弁当容器位置まで運ぶ間に取りこぼしてしまう虞がある。
【0007】
また、他の機械装置では中央部を湾曲させ櫛状に形成した一対の把持機構を対峙させて互いに櫛刃が咬合可能となるように開閉作動し咬合櫛刃間でパスタ等の線状食物を挟持するように構成したロボットハンド装置が開示されている(特許文献2)。
【0008】
また、かかるロボットハンド装置による食物の把持量、すなわち盛り付ける量を正確に把握するためには把持量の検知をしなければならず、その検知方法としては把持部材同士の間に架設した検知板の上下動を介して検知板に接触した食物の容量を検知する、すなわち、把持部材が食物を把持すると把持した食物で押し上げられた検知板が上昇するとその上昇率で把持量の検知を可能としている。
【0009】
しかしながら、弁当容器に敷設されるパスタは少量である場合が多く、前記検知方法では、少量のパスタ把持量を正確に検知できない虞があり、また、櫛刃の対峙した湾曲内側で把持したパスタは湾曲櫛刃の対峙横側方が開放されているためにその横開放部分からパスタが漏洩して滑り落ちる虞もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2017-47481号公報
【文献】特開2019-25565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、コンベアベルトで搬送される弁当箱に次々に食物を盛り付けて大量に弁当を製造するという一連の弁当製造工程において、コンベアベルトで搬送される弁当容器の所定位置に予めパスタを敷設盛り付けする特殊な盛り付け形態が行える機械装置が望まれる。
換言すれば、予め主要なおかずを載置する前の下敷きとして線状形態の食物、例えばパスタを弁当容器の所定の場所に下敷き食物として少量、連続且つ正確に敷設盛り付けが行える機械装置が望まれていた。
【0012】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、螺旋状のパスタ巻取り具を用いてパスタを回転しながら巻取り、その後巻き取ったパスタ重量を正確に計測して常に少量で一定量のパスタを弁当容器に盛り付けることができるように構成したパスタ盛り付け装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、螺旋状の線材を回転自在に構成したパスタ巻取り具と、コンベアベルト上を搬送されてきた弁当容器に向かってパスタ巻取り具を移動させる巻取り具移動機構と、パスタ巻取り具で巻き取ったパスタ重量の計測部と、パスタ巻取り具の下方に配設した回転自在のボウル載置部と、ボウル内に積層されるパスタの積層状態を検知するパスタ積層検知部と、ボウル内収納のパスタを平面均等に均すためのパスタ均し機構とから構成したことに特徴を有する。
【0014】
また、コンベアベルト上を搬送される弁当容器の搬送姿勢を検知するために、コンベアベルト上流側には流通傾き検知部を配設すると共に、流通傾き検知部は、コンベアベルトの上方に設けた検知カメラと、流通傾きの検知結果に基づいてパスタの正確な充填位置情報を算出する位置算出手段と、算出された充填位置情報から巻取り具移動機構に充填位置の指示を送る指示部とを構成したことにも特徴を有する。
【0015】
また、計測部はパスタ巻取り具の重量をパスタ重量と共に計測して、その重量から前者パスタ巻取り具の重量を差し引きして、巻取りパスタの重量を計測するように構成したことにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、螺旋状の線材を回転自在に構成したパスタ巻取り具と、コンベアベルト上を搬送されてきた弁当容器に向かってパスタ巻取り具を移動させる巻取り具移動機構と、パスタ巻取り具で巻き取ったパスタ重量の計測部と、パスタ巻取り具の下方に配設した回転自在のボウル載置部と、ボウル内に積層されるパスタの積層状態を検知するパスタ積層検知部と、ボウル内収納のパスタを平面均等に均すためのパスタ均し機構とから構成したことにより、パスタを螺旋状の線材の回転動作で確実に巻き取ることができると共に、巻き取ったパスタは、巻取り具移動機構によって弁当容器の所定位置まで正確迅速に搬送して、弁当容器の所定位置、例えばハンバーグ等の主要具材を載置する場所に予め下敷にして盛り付けをすることができ、更には、次の盛り付けのためのパスタ巻取りの準備として、パスタ均し機構によってボウル内の残存パスタの均し動作を行ってパスタが乱雑にならず均一な積層状態となって常に螺旋状の線材により正確に且つ確実に所定量パスタの盛り付けが行える効果がある。
【0017】
また、コンベアベルト上を搬送される弁当容器の搬送姿勢を検知するために、コンベアベルト上流側には流通傾き検知部を配設すると共に、流通傾き検知部は、コンベアベルトの上方に設けた検知カメラと、流通傾きの検知結果に基づいてパスタの正確な充填位置情報を算出する位置算出手段と、算出された充填位置情報から巻取り具移動機構に充填位置の指示を送る指示部とを構成したことにより、コンベアベルト上を流通する弁当容器は流通傾き検知部によりその位置と傾きを勘案して巻取り具移動機構にその位置及び傾き情報をフィードバックして弁当容器の正確な所定位置にパスタの盛り付けを行うことができる効果がある。
【0018】
また、計測部はパスタ巻取り具の重量をパスタ重量と共に計測して、その重量から前者パスタ巻取り具の重量を差し引きして、巻取りパスタの重量を計測するように構成したことにより、パスタの巻取りに際しては、巻取りパスタ量を検知して常に設定した正確な量のパスタが巻き取られるように巻取りパスタ重量を計測しなければならないので、巻取りパスタ量を重量に換算して所定の正確な盛り付けパスタ量を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施例のパスタ盛り付け装置の全体を示す模式的斜視図である。
【
図2】本実施例のパスタ盛り付け装置の位置関係を示す模式的平面図である。
【
図3】本実施例に係る弁当容器の流通傾き検知の方法を表す模式的平面図である。
【
図4】本実施例のパスタ盛り付け装置に係るパスタ把持具を示した模式的正面図である。
【
図6】本実施例のパスタ盛り付け装置に係る螺旋状の線材の他の実施例を示す模式的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の要旨は、螺旋状の線材を回転自在に構成したパスタ巻取り具と、コンベアベルト上を搬送されてきた弁当容器に向かってパスタ巻取り具を移動させる巻取り具移動機構と、パスタ巻取り具で巻き取ったパスタ重量の計測部と、パスタ巻取り具の下方に配設した回転自在のボウル載置部と、ボウル内に積層されるパスタの積層状態を検知するパスタ積層検知部と、ボウル内収納のパスタを平面均等に均すためのパスタ均し機構とから構成したことを特徴とするパスタ盛り付け装置を提供することにある。
【0021】
また、コンベアベルト上を搬送される弁当容器の搬送姿勢を検知するために、コンベアベルト上流側には流通傾き検知部を配設すると共に、流通傾き検知部は、コンベアベルトの上方に設けた検知カメラと、流通傾きの検知結果に基づいてパスタの正確な充填位置情報を算出する位置算出手段と、算出された充填位置情報から巻取り具移動機構に充填位置の指示を送る指示部とを構成したことにも特徴を有する。
【0022】
また、計測部はパスタ巻取り具の重量をパスタ重量と共に計測して、その重量から前者パスタ巻取り具の重量を差し引きして、巻取りパスタの重量を計測するように構成したことにも特徴を有する。
【0023】
以下、この弁当容器へのパスタ盛り付けにおけるパスタ盛り付け装置の実施例を図面に基づき詳説する。
図1は本実施例のパスタ盛り付け装置の全体を示す模式的斜視図である。
図2は本実施例のパスタ盛り付け装置の位置関係を示す模式的平面図である。
図3は本実施例に係る弁当容器の流通傾き検知の方法を表す模式的平面図である。
図4は本実施例のパスタ盛り付け装置に係るパスタ把持具を示した模式的正面図である。
図5は
図4のI-I線の断面図である。
図6は本実施例のパスタ盛り付け装置に係る螺旋状の線材の他の実施例を示す模式的正面図である。
【0024】
図1及び
図2に示すように、本発明の弁当容器Tへのパスタ盛り付けにおけるパスタ盛り付け装置Mは、弁当容器Tを搬送するコンベアベルトCの側方に配置したパスタ巻取り具1と、巻き取ったパスタをコンベアベルト上の弁当容器Tに盛り付けるための巻取り具移動機構2と、巻き取った後のボウル5aの残存パスタを均して整備し、次の巻取り作業が正確に行われるようにするためのパスタ均し機構6とより主体的に構成した。
【0025】
前記コンベアベルトCは継続的に搬送可動しており、その上面に弁当容器Tが載置されてパスタ盛り付け作業に対応していく。
【0026】
弁当容器Tの内部には、各種惣菜が収納されるものであり、本件パスタ盛り付け装置Mでは特にメインの具材、例えばハーンバーグを収納する場合にその底部に具材のクッション機能を兼ねてパスタを下敷きとして敷設しておき、その上にハンバーグを載置するような弁当容器Tの惣菜構成とする場合を想定して説明する。
【0027】
コンベアベルトCの最上流部上方においては、弁当容器Tの流通上の姿勢を検知するために流通傾き検知部4を配備している。
【0028】
流通傾き検知部4は検知カメラ4aと算出手段4bと指示部4cから構成されており、検知カメラ4aは弁当容器Tを上方から撮影して弁当容器Tの存在と流通傾きを撮像検知し、算出手段4bにより傾き状態の弁当容器Tにおける盛り付け位置の算出を行い、指示部4cによって、かかる弁当容器Tの傾き情報と盛り付け位置算出情報とを巻取り具移動機構2に送信して、巻取り具移動機構2のパスタ盛り付け作業を指示する。
【0029】
流通傾き検知部4は、
図3に示すように、まずコンベアベルトCの流通方向に幅を等分する中心線(図中一点鎖線で表す)を基準とし、弁当容器Tの略長方形の頂点a、b、c、dの形成する四つの線分である辺ab、辺bc、辺cd、辺daのいずれか一辺とその対向する辺のそれぞれ二等分する位置を正位置としてかかる位置情報を検知記憶する(図―では辺abとその対向に位置する辺cd)。
【0030】
次に前記中心線に等分される辺と中心線に等分される辺に曲尺手の関係であるどちらか一方の辺との共通の点(図中では曲尺手関係の線分は辺da、共通の点はa)を始点にコンベアベルトCの流れ方向の距離xとコンベアベルトCの流れに直交する方向への距離yとでパスタP充填位置の情報を検知記憶する。
【0031】
前述した、弁当容器Tの正位置情報とパスタPの充填位置情報は、流通傾き検知部4に事前に記憶させておく。そして、前記二つの情報に基づいてコンベアベルトC上を搬送されてくる弁当容器Tの流通傾きと、弁当容器T内のパスタPの充填位置を算出する。
【0032】
つまりは、
図3(b)に示すように検知カメラ4aが正位置からずれた状態で弁当容器Tを画像検知すると、算出手段4bが正位置の4つの点a、b、c、dから、実際に搬送されてきた弁当容器Tの4つの点a′、b′、c′、d′までのそれぞれの距離を算出し、辺a′b′、辺b′c′、辺c′d′、辺d′a′の線分が形成する弁当容器Tの略長方形a′b′c′d′を導き出し、前記略長方形a′b′c′d′が正位置から位置及び姿勢のずれを算出する。
【0033】
次に、
図3(c)に示すように算出された略長方形a′b′c′d′に事前に記憶させておいた曲尺手からの距離x及び距離yを適合させ、算出手段4dは弁当容器TがたとえコンベアベルトC上でずれを生じたとしても正確に弁当容器Tの位置及び姿勢のずれとパスタPの充填位置とを算出する。
【0034】
前述のように算出された弁当容器Tの傾き情報と盛り付け位置算出情報とは、流通傾き検知部4の指示部4cによって巻取り具移動機構2に送信され、巻取り具移動機構2のパスタ盛り付け作業を指示する。
【0035】
流通傾き検知部4の次工程となる下手側には、コンベアベルトCの側方に配設したボウル載置部5と、その上方に配設したパスタ巻取り具1とが配設されている。
【0036】
パスタ巻取り具1は、
図1及び
図2に示すように巻き取ったパスタを弁当容器Tの所定場所に盛り付けるためにユニバーサルに変位可能に構成されている。すなわち、パスタ巻取り具1の昇降作動を行う第1移動機構2a、パスタ巻取り具1の前後進作動を行う第2移動機構2b、パスタ巻取り具1のコンベアベルトC幅員方向の移動を行う第3移動手段2cからなる巻取り具移動機構2により正確に弁当容器Tの所定場所に変位移動できるように構成している。
【0037】
上記のように巻取り具移動機構2は、昇降、前後進、横断等の各作動によってパスタ巻取り具1がパスタを巻き取る作業から弁当容器Tに盛り付け作業を行うまでの一連の動作を可能とするパスタ巻取り具1の変位移動を行うためのものであり、前述したように盛り付けに際しては、流通傾き検知部4の算出部4cからの指示を受け、自動的に弁当容器Tの姿勢の変位に対応して、少量のパスタを弁当容器Tの所定場所に具材の下敷き盛り付けが可能となるように動作するものである。
【0038】
パスタ巻取り具1は、第1移動手段2aに昇降自在に設けられており、巻取り機能部は
図4に示すように螺旋状の線材11と該螺旋状の線材11を回転する回転機構13とより構成されている。螺旋状の線材11の上端は回転機構13の出力軸と連結されている。螺旋状の線材11の螺旋径は約50mm~70mmとし、螺旋ピッチはパスタ断面径の約2~3倍としている。
【0039】
かかる螺旋状の線材11はボウル5a内の収納パスタに上方から潜り込ませて回転することにより、パスタを螺旋状の線材11先端部から螺旋ピッチ間を通り螺旋に沿って徐々に上方に巻き取り、最終的に螺旋内部に取り込むように構成している。
【0040】
また、螺旋状の線材11の下方先端部は、パスタ巻取り具1をボウル5a内の収納パスタに上方から潜り込ませて回転させパスタを巻き取っていく際の始点となるため、螺旋状の線材11の下方先端部は
図4に示すように後述するパスタ保持板12の下端部よりもパスタの径~パスタの径の2倍ほど下方に露出させる。
【0041】
また、螺旋状の線材11は
図6の他の実施例で示すように、下方先端部の露出部分に突起11aを形成してもよい。
【0042】
前記突起11aは、パスタを巻き取っていく際に始点となる下方先端部に設けることで、ボウル5a内の収納パスタに先端部が潜り込んでいくとき前記突起11aがパスタを引っ掛けるように保持し、螺旋状の線材11の形成する螺旋状に沿ってパスタが滑り落ちないようにすることができる。
【0043】
図4及び
図5に示すように、螺旋状の線材11の外周側方には一定間隔を保持して細板状の四枚のパスタ保持板12を配設しており、四枚のパスタ保持板12は螺旋状の線材11で巻き取ったパスタ塊が螺旋状の線材11のピッチ間から漏洩するのを受け止めて螺旋状の線材11内に保持する機能を果たす。
【0044】
上記のようにパスタ巻取り具1は、ボウル5a内の収納パスタに上方から潜り込ませて螺旋状の線材11先端部から螺旋ピッチ間を通り螺旋に沿って徐々に上方に巻き取り、巻き取ったパスタを螺旋状の線材11を囲繞するように設けた保持板12によって漏洩を防ぎパスタの保持を確実なものとする。
【0045】
また、パスタ巻取り具1のパスタ巻取り量は、後述する計測部3による重量計測による調整でより確実のものとなるが、基本的にはパスタ巻取り具1がボウル5a内の収納パスタにどれだけの深さ潜りこませるか、すなわちパスタ巻取り具1の収納パスタへの深度と、その後巻取りの際に行う回転動作の回転数によって決められ、毎回ほぼ一定量のパスタを得ることができる。
【0046】
なお、パスタを巻き取った回転方向と逆向きに回転させることによりこの螺旋状の線材11からパスタを放つことができる。
【0047】
また、本実施例でパスタ保持板12は
図5に示すように、四枚の板状部材で構成しているがこれに限ったものではなく、少なくとも螺旋状の線材11を囲繞する構造でスリットを設けたものであればよい。また、このスリット部分が複数であることでパスタを巻き取る効率が良くなることは云うまでもない。
【0048】
また、ボウル載置部5は回転自在に構成され、ボウル載置部5上に載置したボウル5a内にはパスタが収納されており、収納パスタからパスタ巻取り具1の螺旋状の線材11によって予定量のパスタが取り出される。
【0049】
ボウル載置部5は、
図1に示すようにボウル5aを載置するための本体ケース5bとその内部に設けた駆動部5cとから構成され、前記駆動部5c(モーター)によって載置されたボウル5aを回転させる。
【0050】
またボウル載置部5の本体ケース5b上部には、パスタ均し機構6とパスタ積層検知部7とを配設している。
【0051】
パスタ均し機構6は、前後2本の撹拌ロッド6aよりなり、ボウル5aを回転させることにより、山盛りパスタ中に差し込んだ2本の撹拌ロッド6aの昇降及び撹拌作動によりパスタを徐々に散らしながら均一に均して次のパスタ巻取り作業の準備をする。
【0052】
パスタ積層検知部7は、レーザーセンサーからなり、該センサーはボウル内収容のパスタの集合上面の凹凸を検知してその積層パスタの姿勢情報をパスタ均し機構6及びボウル回転のためのボウル載置部5の駆動部5cに送信して、ボウル内のパスタが均一の積層状態となるようにパスタ均し機構6の制御作動を行う。
【0053】
更に、パスタ巻取り具1の上部には巻き取ったパスタ量の計測を行うものとして計測部3が設けられている。
【0054】
すなわち、計測部3はパスタを巻き取って保持した状態のパスタ巻取り具1の重量を計測して検出するものであり、パスタ巻取り前のパスタ巻取り具1自体の重量は所定重量として計測部3に予め読み込まれており、パスタ巻取り後のパスタ巻取り具1の重量とパスタ巻取り具1そのものの重量とを比較演算して巻取りパスタ自体の重量を検知するように例えばロードセルのような計測器から構成した。
【0055】
前記計測部3は、パスタ巻取り具1で巻き取ったパスタ重量を計測するものであるが、パスタ巻取り量が多い際には、巻取り動作と反対の回転指示を送ることで、一定量になるまでパスタを放つような機構、又はパスタ巻取り量が少なかった際には、弁当容器Tへの充填完了後に不足分を巻き取るような構成であってよい。
【0056】
本発明は、弁当容器Tにパスタを充填するものとして、実施例を通して説明してきたが、巻取り充填するものはパスタに限らず、細長手状のものであればよく、
例えば、うどんやそばなどにも使用可能である。その際、パスタ巻取り具1の大きさなどの形態の変化は必要に応じて変えるのが好ましい。
【0057】
また、上述した各種効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0058】
M…パスタ盛り付け装置、T…弁当容器、C…コンベアベルト、1…パスタ巻取り具、2…巻取り具移動機構、3…計測部、4…流通傾き検知部、5…ボウル載置部、6…パスタ均し機構、7…パスタ積層検知部