(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】液体材料吐出装置および液体材料塗布装置
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20240123BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
(21)【出願番号】P 2020107695
(22)【出願日】2020-06-23
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390026387
【氏名又は名称】武蔵エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(72)【発明者】
【氏名】生島 和正
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/122683(WO,A1)
【文献】特開2018-167432(JP,A)
【文献】特開2019-30865(JP,A)
【文献】特開2010-227866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00-21/00
B05D 1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
ベース部材に設けられ、弁体と弁座とを備える弁装置と、
弁体を弁座に対して進退動させる弁駆動装置と、
を備える液体材料吐出装置において、
前記弁体の前記弁座に対する相対位置を調整する調整装置をさらに備え、
前記調整装置が、前記弁駆動装置が配置される可動部材と、可動部材の傾きを調整
して機械的に固定する傾き調整部と、を備えることを特徴とする液体材料吐出装置。
【請求項2】
前記調整装置が、前記可動部材と前記ベース部材とを連結する弾性部を備
えることを特徴とする請求項1の液体材料吐出装置。
【請求項3】
前記傾き調整部が、前記可動部材に形成された凸状部と、前記凸状部と当接する当接部材と、当接部材を前記凸状部に固定する固定角度調整機構と、を備えて構成され、
前記固定角度調整機構により、前記当接部材の前記凸状部に当接する角度を調整できることを特徴とする請求項2の液体材料吐出装置。
【請求項4】
前記固定角度調整機構が、前記凸状部に配設される受け部材と、前記当接部材を貫通して前記受け部材と螺着する引き部材と、を備えて構成されることを特徴とする請求項3の液体材料吐出装置。
【請求項5】
前記受け部材は、前記凸状部内に回動可能に配置されており、前記引き部材が螺着されるねじ溝を備えることを特徴とする請求項4の液体材料吐出装置。
【請求項6】
前記当接部材は、段部を有する嵌入孔が設けられており、
前記引き部材は、前記段部と当接する大径部を備えることを特徴とする請求項4または5の液体材料吐出装置。
【請求項7】
前記凸状部の前記当接部材と当接する面は丸みをおびた面であり、
前記凸状部と前記当接部材とは線接触することを特徴とする請求項4ないし6のいずれかの液体材料吐出装置。
【請求項8】
前記当接部材の前記凸状部と当接する面が、斜めに配置されていることを特徴とする請求項7の液体材料吐出装置。
【請求項9】
前記弁駆動装置が、前記弾性部と前記調整部との間に配置されることを特徴とする請求項2ないし8のいずれかの液体材料吐出装置。
【請求項10】
前記弁駆動装置が、前記弾性部を挟んで前記傾き調整部と反対側に配置されることを特徴とする請求項2ないし8のいずれかの液体材料吐出装置。
【請求項11】
前記弁駆動装置が、前記傾き調整部を挟んで前記弾性部と反対側に配置されることを特徴とする請求項2ないし8のいずれかの液体材料吐出装置。
【請求項12】
前記傾き調整部および前記弾性部が、前記可動部材の底面側に設けられていることを特徴とする請求項9ないし11のいずれかの液体材料吐出装置。
【請求項13】
前記傾き調整部および前記弾性部が、前記可動部材の天面側に設けられていることを特徴とする請求項9ないし11のいずれかの液体材料吐出装置。
【請求項14】
前記傾き調整部および前記弾性部が、前記可動部材の前記弁駆動装置から最も遠い面側に設けられており、
前記弁駆動装置が、前記可動部材の天面側または底面側に設けられていることを特徴とする請求項9ないし11のいずれかの液体材料吐出装置。
【請求項15】
前記ベース部材、前記可動部材および前記弾性部が一体的に形成されていることを特徴とする請求項2ないし14のいずれかの液体材料吐出装置。
【請求項16】
前記弁駆動装置が、弁体を進退動させるアクチュエータであることを特徴とする請求項1ないし15のいずれかの液体材料吐出装置。
【請求項17】
前記弁装置は、
前記弁体が設けられた弁棒と、
前記弁体が進退動する液室と、
液室と連通し、液体材料が供給される液入口と、
液室と連通し、液体材料が排出される吐出口を有するノズルと、
ノズルの吐出口と連通する貫通孔を有する前記弁座と、
前記弁棒を付勢する付勢部材と、を備え、
前記弁駆動装置は、
前記アクチュエータに連結され、前記弁棒と離間可能に当接するアームとを備えることを特徴とする請求項16の液体材料吐出装置。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれかの液体材料吐出装置と、
塗布対象物を載置するワークテーブルと、
液体材料吐出装置とワークテーブルとを相対的に移動させる相対駆動装置と、
前記各装置の動作を制御する制御装置と、
を備える液体材料塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
弁棒に設けられた弁体を弁座に対して進退動させることでノズルから液体材料を吐出する吐出装置における弁体の弁座に対する相対位置を調整する装置を備える液体材料吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
弁棒に設けられた弁体を弁座に対して進退動させることで、弁座に設けられた孔と連通するノズルから液体材料を液滴の状態で吐出する吐出装置が知られている。この種の吐出装置において、弁棒に設けられた弁体は、空気圧や圧電素子などのアクチュエータにより進退動することで、微量の液滴を飛翔吐出する。
【0003】
上記吐出装置では、吐出量を調整するための手段の一つとして、弁体の弁座に対する相対位置を調整することで、弁体の移動量(以下、「ストローク」ということがある。)を調整することが行われる。
例えば、特許文献1では、弁座及びノズルを保持するリテーナカップが第2の部分のねじ部にねじ込まれており、リテーナカップのねじ込み量を変えることで弁要素に対する弁座の位置を調整している([0054]段落、
図3A)。
また、特許文献2では、バルブ閉鎖構造が移動されるときに圧電アクチュエータに適用される電圧データと位置データとを生成し、電圧データと位置データに基づいて参照点を決定し、参照点を利用して圧電アクチュエータに適用される電圧を調整することで、ストロークの調整を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-46906号公報
【文献】特表2018-526210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
弁体を弁座に対して進退動させることで液体材料を吐出する吐出装置においては、連続稼働により弁体の弁座に対する相対位置がズレることがあるため、定期的に相対位置を調整することが必要である。特に、特許文献1のように、弁棒に設けられた弁体を進退動させるアクチュエータとして圧電素子を用いた場合、圧電素子が高周波数で駆動するので、吐出装置の筐体を通じて伝わる細かな振動によりねじの固定が緩み、弁座の位置が狂うという問題がある。
特許文献2のように、機械的な手段によらず、電気的な手段により弁体の弁座に対する相対位置を調整することも考えられるが、調整によりストローク端点から調整した距離分移動した位置から弁体が動作を開始するので、動作に用いることができる距離が短くなってしまい、ストロークに利用できる範囲が狭まってしまうという課題がある。
【0006】
そこで、本発明では、機械的な手段により弁体の弁座に対する相対位置を調整可能な液体材料吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液体材料吐出装置は、ベース部材と、ベース部材に設けられ、弁体と弁座とを備える弁装置と、弁体を弁座に対して進退動させる弁駆動装置と、を備える液体材料吐出装置において、前記弁体の前記弁座に対する相対位置を調整する調整装置をさらに備え、前記調整装置が、前記弁駆動装置が配置される可動部材と、可動部材の傾きを調整する傾き調整部と、を備えることを特徴とする。
上記液体材料吐出装置において、前記調整装置が、前記可動部材と前記ベース部材とを連結する弾性部を備え、前記傾き調整部が、所望の傾きとされた前記可動部材を機械的に固定することを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記傾き調整部が、前記可動部材に形成された凸状部と、前記凸状部と当接する当接部材と、当接部材を前記凸状部に固定する固定角度調整機構と、を備えて構成され、前記固定角度調整機構により、前記当接部材の前記凸状部に当接する角度を調整できることを特徴としてもよい。
【0008】
上記液体材料吐出装置において、前記固定角度調整機構が、前記凸状部に配設される受け部材と、前記当接部材に設けられ、前記受け部材と連結される引き部材と、を備えて構成されることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記受け部材は、前記凸状部内に回動可能に配置されており、前記引き部材が螺着されるねじ溝を備えることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記当接部材は、段部を有する嵌入孔が設けられており、前記引き部材は、前記段部と当接する大径部を備えることを特徴としてもよい。
【0009】
上記液体材料吐出装置において、前記凸状部の前記当接部材と当接する面は丸みをおびた面であり、前記凸状部と前記当接部材とは線接触することを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記当接部材の前記凸状部と当接する面が、斜めに配置されていることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記弁駆動装置が、前記弾性部と前記調整部との間に配置されることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記弁駆動装置が、前記弾性部を挟んで前記傾き調整部と反対側に配置されることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記弁駆動装置が、前記傾き調整部を挟んで前記弾性部と反対側に配置されることを特徴としてもよい。
【0010】
上記液体材料吐出装置において、前記傾き調整部および前記弾性部が、前記可動部材の底面側に設けられていることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記傾き調整部および前記弾性部が、前記可動部材の天面側に設けられていることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記傾き調整部および前記弾性部が、前記可動部材の前記弁駆動装置から最も遠い面側に設けられており、前記弁駆動装置が、前記可動部材の天面側または底面側に設けられていることを特徴としてもよい。
【0011】
上記液体材料吐出装置において、前記ベース部材、前記可動部材および前記弾性部が一体的に形成されていることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記弁装置は、前記弁体が設けられた弁棒と、前記弁体が進退動する液室と、液室と連通し、液体材料が供給される液入口と、液室と連通し、液体材料が排出される吐出口を有するノズルと、ノズルの吐出口と連通する貫通孔を有する前記弁座と、前記弁棒を付勢する付勢部材と、を備え、前記弁駆動装置は、前記アクチュエータに連結され、前記弁棒と離間可能に当接するアームとを備えることを特徴としてもよい。
上記液体材料吐出装置において、前記弁駆動装置が、弁体を進退動させるアクチュエータであることを特徴としてもよい。
【0012】
本発明の液体材料塗布装置は、上記液体材料吐出装置と、塗布対象物を載置するワークテーブルと、液体材料吐出装置とワークテーブルとを相対的に移動させる相対駆動装置と、前記各装置の動作を制御する制御装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、機械的な手段により弁体の弁座に対する相対位置を調整可能な液体材料吐出装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る吐出装置の部分断面図である。
【
図2】実施形態の吐出装置が備える調整装置の詳細を説明する拡大部分断面図である。
【
図3】実施形態の吐出装置が備える調整装置の動作を説明する拡大部分断面図である。(A)は
図2の状態から弁体を弁座に近付けた状態、(B)は
図2の状態から弁体を弁座から遠ざけた状態を示す。
【
図4】(A)は可動部材を弾性部を挟んで傾き調整部とは反対側へと延長する第1変形例を説明する部分断面図、(B)は可動部材を傾き調整部を挟んで弾性部とは反対側へと延長する第2変形例を説明する部分断面図である。
【
図5】調整装置の配置に関する第3変形例を説明する部分断面図である。
【
図6】調整装置の配置に関する第4変形例を説明する部分断面図である。
【
図7】(A)は傾き調整部が後方側から可動部材の凸状部に接する第5変形例を説明する部分断面図、(B)は傾き調整部が前方側から可動部材の凸状部に接する第6変形例を説明する部分断面図である。
【
図8】(A)は弁駆動装置が可動部材の側面上面に設置される第7変形例を説明する部分断面図、(B)は弁駆動装置が可動部材の側面下面に設置される第8変形例を説明する部分断面図である。
【
図9】弾性部が可動部材と平行に設置される第9変形例を説明する部分断面図である。
【
図10】(A)は弾性部をベース部材と一体的に形成した第10変形例を説明する部分断面図、(B)は弾性部をベース部材と一体的に形成した第11変形例を説明する部分断面図である。
【
図11】実施形態に係る吐出装置を備える塗布装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。
なお、以下では、説明の都合上、ノズル側を「下」、アーム側を「上」、弁装置側を「前方」、弁駆動装置側を「後方」と呼ぶ場合がある。
【0016】
(吐出装置)
実施形態に係る吐出装置101は、
図1に示すように、弁装置102、弁駆動装置120、調整装置140およびそれらが設けられるベース部材130を主な構成要素とし、液体材料116を液滴として飛翔吐出するジェット式吐出装置に関する。
弁装置102は、ベース部材130の前方側に設けられ、弁体103と弁座104から主に構成される。弁体103は、弁棒105の下端部分であり、ベース部材130の前方下方に設けられる液室111内に位置する。弁体103は、先端が平面の円柱状を例示しているが、この形状に限定されず、例えば、球状としたり、凹状としたり、先細り形状としたり、吐出口114と対向する位置に突起を設けたりしてもよい。弁棒105は、液室111の上方に設けられる挿通孔108に配置されるブッシュ109およびシール部材110、ならびに付勢部材107に挿通される。
【0017】
一方、弁棒105の上端には弁棒105よりも大径の当接部106が設けられ、弁駆動装置120のアーム123と離間可能に当接する。当接部106は、弁棒105が連結される底面を付勢部材107の上端部によって上方に付勢されることでアーム123に当接位置を変更可能に当接する。付勢部材107の下端部は、ベース部材130の上面に当接している。当接部106のアーム123と当接する上面は、曲面をなしており、後述するアーム123の回動による接触位置や角度の変化を許容できるようになっている。
図1では、付勢部材107を圧縮コイルばねとしているが、皿ばねなど他の付勢部材107を用いてもよい。
【0018】
液室111の下端には、液室111と連通する吐出口114を有するノズル113が装着される。液室111の底面は、ノズル113の内底面に装着された弁座104により構成される。弁座104には、ノズル113の吐出口114と連通する貫通孔115が設けられている。
図1では、弁座104とノズル113を別部材により構成しているが、ノズル113の内底面を弁座104として一体的に設けてもよい。液室111の側方には、液体材料116が供給される液入口112が設けられる。液入口112は、図示しない貯留容器などの液体材料供給源と接続される。
【0019】
弁駆動装置120は、アクチュエータ(121、122)、アーム123、固定具124から構成される。アクチュエータ(121、122)は、調整装置140の可動部材141上に前後方向に二つ配置され、下端は図示しない揺動機構とそれぞれ連結し、上端はアーム123にそれぞれ固定される。アクチュエータ(121、122)は、電圧をかけることによって積層方向(
図1では上下方向)に伸縮する同一仕様の圧電素子によりそれぞれ構成される。アーム123は、アクチュエータ(121、122)から弁装置102に向かって延びる棒状の部材で、調整装置140の可動部材141との間にアクチュエータ(121、122)を挟むようにして、二つのアクチュエータ(121、122)の間に配置される固定具124により固定される。アーム123の前方下面は、弁棒105上端の当接部106に当接しており、アクチュエータ(121、122)の変位を弁棒105に伝え、弁体103を弁座104に対して進退動させる。調整装置140の構成および調整動作については、後述する。
本実施形態の吐出装置101は、操作者の保護、および装置の保護の観点から点線で示すカバー131で覆われる。
【0020】
(吐出動作)
図1に示す実施形態の吐出装置101は、次のように吐出動作する。
前側の第1アクチュエータ121および後側の第2アクチュエータ122を変位させない状態とするときの弁体103の位置を中立位置とする。
前側の第1アクチュエータ121を延伸変位させ、後側の第2アクチュエータ122を収縮変位または変位させない状態とすると、アーム123は、固定具124を中心として上方向(
図1の方向から見た場合、反時計回り)に回動し、アーム123の前方が上昇する。アーム123の前方が上昇すると、付勢部材107の作用により、弁棒105が上昇し、弁体103は弁座104から遠ざかる方向(本実施形態では、この方向を後退方向と呼ぶ)へ移動する。弁体103が弁座104から最も遠ざかったときの位置を最上昇位置とする。
【0021】
前側の第1アクチュエータ121を収縮変位または変位させない状態とし、後側の第2アクチュエータ122を延伸変位させると、アーム123は、固定具124を中心として下方向(
図1の方向から見た場合、時計回り)に回動し、アーム123の前方が下降する。アーム123の前方が下降すると、アーム123に押されて弁棒105が下降し、弁体103は弁座104に近づく方向(本実施形態では、この方向を前進方向と呼ぶ)へ移動する。弁体103が弁座104に最も近づいたときの位置を最下降位置とする。なお、最下降位置は、弁体103が弁座104に当接しない位置である場合もある。
上記した最上昇位置から中立位置まで、中立位置から最下降位置まで、または、最上昇位置から最下降位置までの移動距離がストロークとなる。
【0022】
上記各動作を組み合わせることにより、液室111内で弁体103を進退動させることができる。そして、下降動作(前進動作)により、弁体103の下方に存在する液体材料116に慣性力を印加して、ノズル113の吐出口114から液体材料116を液滴の形で吐出することができる。また、液室111内で弁体103を繰り返し進退動させることで、液体材料116を液滴の形で連続的に吐出することができる。
二つのアクチュエータ(121、122)の変位量を調整することで、弁体103のストローク量を調整できる。そして、弁体103のストローク量を調整することで、ノズル113の吐出口114から吐出される液体材料116の量を調整することができる。これは、前述したアクチュエータの電気的手段によるストロークの調整に相当する。
【0023】
(調整装置)
実施形態の吐出装置101が備える調整装置140の構成について説明する。
調整装置140は、
図2に示すように、可動部材141、弾性部145、傾き調整部146から構成される。
可動部材141は、ベース部材130と間を空けて配置されるブロック状または板状の部材からなり、ベース部材130と対向する側(底面)に凸状部142を設けている。また、可動部材141の上方には弁駆動装置120が設置されている。
図2では、前後方向において、弾性部145と凸状部142(あるいは下記の傾き調整部146)との間の位置に弁駆動装置120を設置している。凸状部142は、後述する調整動作における動きに対応できるよう、頂部が端面159に当接する曲面形状(丸みをおびた面)とすることが好ましく、後述の当接部材147の端面159と線で当接する面がなめらかな周面であることがより好ましい。例えば、凸状部142を半円柱状または半楕円柱状とし、その外周面が端面159と線接触するように構成するとよい。
弾性部145は、ベース部材130と可動部材141とを固設するもので、
図2では、前後方向に曲がることができる板状の部材(例えば、板ばね)から構成している。実施形態の弾性部145は、着脱可能としているが、後述する第10変形例のように一体的に形成してもよい。なお、
図2では、弾性部145を可動部材141の弁体103に近い方の端部に設けているが、端部付近に設けてもよいことは当然である。
【0024】
傾き調整部146は、当接部材147、引き部材148、および受け部材149から構成され、可動部材141の前後方向の傾きを調整する。当接部材147は、外面にねじ157が切られている円柱状のボルトである。当接部材147は、ベース部材130の可動部材凸状部142と対向する位置に設けられた貫通孔に螺設される。当接部材147は、ベース部材130の上面から突出して凸状部142と当接するようにベース部材130の貫通孔に螺設される。当接部材147が、ベース部材130の上面から突出する量は、ねじ157とベース部材130の貫通孔に形成されたねじ溝により調整可能である。凸状部142と当接する当接部材147の端面159は、平面となっており、曲面形状の凸状部142とは実質的に線接触となる。当接部材147には、中心に貫通して延在する嵌入孔150が設けられており、嵌入孔150に引き部材148を嵌設することができる。
図2に示すように、実施形態では、引き部材148の直進や回転の動きを滑らかにするために、フランジが付いたブッシュ153を間に介している。嵌入孔150内面には、中ほどに段部151が設けてあり、ブッシュ153のフランジが当接するようになっている。なお、ブッシュ153を介在させない構成においては、段部151に引き部材148の大径部155の小径部154と連続する面が当接する。
【0025】
また、嵌入孔150の凸状部142と当接しない側(下側)の端部開口には、当接部材147を回す工具のための受け孔152を設けている。受け孔152は、例えば、六角形や四角形に形成して多角レンチなどの一般的な工具を使用できるようにする。引き部材148は、外周面の一部または全部にねじが切られた小径部154と、小径部154に接続される大径部155とからなるボルトである。大径部155の小径部154に接続しない側の端面には、引き部材148を回す工具を受けるための受け凹部156が設けられる。受け凹部156は、例えば、六角形の孔や、プラスやマイナス型の溝としてドライバーなどの工具を使用できるようにする。引き部材148の小径部154は、受け部材149の雌ねじ158に螺着される。
当接部材147と当接する凸状部142の曲面部分(すなわち、頂部)には、引き部材148が挿通される貫通孔144が設けられている。この貫通孔144は、後述する調整動作における引き部材148と可動部材141との相対的な動きに対応できるような大きさの孔となっている。受け部材149は、円柱状のナットであり、外周面から中心を通って反対面に向かう雌ねじ158が設けられる。雌ねじ158は、
図2では、貫通していないが、貫通してもよい。受け部材149は、凸状部142に設けられた円柱状空間143に摺動可能に収納され、円周方向に回動できるようになっている。
【0026】
(調整動作)
図2に示す実施形態の調整装置140は、次のように動作して、弁体105と弁座104との相対位置を調整する。
(A)弁体下降調整動作
弁体103の下降調整動作について説明する。最初に、中立状態において、引き部材148を工具等で回転して下降させると、引き部材148が当接部材147の段部151から離れる。ついで、当接部材147を工具等で回転して上昇させると、当接部材の端面159が可動部材141の凸状部142を押し上げる(符号170)。可動部材141の凸状部142と反対側の端部は、弾性部145に固定されているので、可動部材141は、弾性部145の中央付近を中心として上向き(
図3において時計回り)に回動する(符号172)。受け部材149は、円柱状空間143内に回動可能に収納されているので、可動部材141が回動しても、当接部材147および引き部材148の上昇および下降の動作を妨げることはない。可動部材141が回動して前傾すると、その上に設置されている弁駆動装置120も前に傾くように動く。すると、弁駆動装置120が備えるアーム123が、弁装置102が備える弁棒105を押し下げるように動き、弁棒105の下端に設けられる弁体103は弁座104に近づくように移動する。所望の距離だけ移動を終えたら、引き部材148を当接部材147の段部に接するまで工具等で回転して上昇させる。これにより、凸状部142と当接部材147とが固定され、当接部材147の移動が制限されるので、可動部材141およびそれに連なる弁体103の位置が固定される(
図3(A)参照)。すなわち、引き部材148は、可動部材141を固定し、ひいては弁体103の位置を固定する役割を果たす。
このように、可動部材141の傾きを調整し、当接部材147が凸状部142と当接する角度を調整することにより、弁体103と弁座104との相対位置を調整することができる。なお、上述の弁体下降調整動作において、最初に引き部材148を下降させることなく、当接部材147を工具等で回転して上昇させる操作から開始してもよい。
【0027】
(B)弁体上昇調整動作
弁体103の上昇調整動作について説明する。最初に、中立状態から、引き部材148を工具等で回転して下降させ、ついで、当接部材147の段部151が引き部材148の大径部155に接するまで当接部材147を工具等で回転して下降させると(符号171)、当接部材の端面159と凸状部142とが離れる。そして、引き部材148を工具等で上昇方向に回転させると、引き部材148が上昇する代わりに、受け部材149が下降しようとする。この受け部材149が下降しようとする作用により、可動部材141の凸状部142が当接部材の端面159に向かって引き下げられる。可動部材141の凸状部142と反対側の端部は、弾性部145に固定されているので、可動部材141は、弾性部145の中央付近を中心として下向き(
図3において反時計回り)に回動する(符号173)。受け部材149は、円柱状空間143内に回動可能に収納されているので、可動部材141が回動しても、当接部材147および引き部材148の上昇および下降の動作を妨げることはない。可動部材141が回動して後傾すると、その上に設置されている弁駆動装置120も、後に傾くように動く。すると、弁駆動装置120が備えるアーム123の先端が上昇し、それに伴い弁装置102が備える弁棒105が、付勢部材107の作用で持ち上がる。その結果、弁棒105の下端に設けられる弁体103は弁座104から遠ざかるように移動する。引き部材148をさらに回転させ、凸状部142が当接部材の端面159に接すると、可動部材141の傾動が止まり、弁体103の位置は固定される(
図3(B)参照)。
このように、可動部材141の傾きを調整し、当接部材147が凸状部142と当接する角度を調整することにより、弁体103と弁座104との相対位置を調整することができる。なお、上述の弁体上昇調整動作において、最初に引き部材148を下降させることなく、当接部材147を工具等で回転して下降させる操作から開始してもよい。
【0028】
上述の二つの操作(上昇調整および下降調整)を適宜選択して繰り返すことで、弁体103の弁座104に対する相対的な位置を調整することができる。すなわち、アクチュエータの電気的手段によらず、ストローク量を調整することができる。このような、二つの部材(147、148)による直線的な動きを可動部材141の曲線的な動きへ変換する作用は、凸状部142を曲面形状としたこと、および受け部材149を円柱状で、回動自在としたことにより実現されている。
【0029】
以上に説明した実施形態の調整装置および方法によれば、アクチュエータ(121、122)の電気的手段による調整を要することなく、弁体103と弁座104の位置を機械的に設定することができる。また、弁駆動装置120が設置される可動部材141が、弾性部145と調整部146の二点でベース部材130に固設されることにより、構造的に剛性が高くなるので、アクチュエータ(121、122)が動作することによる振動によって弁体103と弁座104の設定位置が変わるという問題を削減することができる。
【0030】
(弁駆動装置配置の変形例)
上述の実施形態では、前後方向において(吐出装置101を側面視した場合に)、可動部材141の弾性部145と傾き調整部146(あるいは凸状部142)との間の位置に弁駆動装置120を設置しているが、これに限らず、別の位置に設置してもよい。
例えば、
図4(A)に示す第1変形例では、前後方向において(吐出装置101を側面視した場合に)、可動部材141を、弾性部145を挟んで傾き調整部146とは反対側へと延長し、その上に弁駆動装置120を設置している。換言すれば、前後方向において(吐出装置101を側面視した場合に)、弾性部145を弁駆動装置120と凸状部142との間に設けている。
また、
図4(B)に示す第2変形例では、前後方向において(吐出装置101を側面視した場合に)、可動部材141を、傾き調整部146を挟んで弾性部145とは反対側へと延長し、その上に弁駆動装置120を設置している。換言すれば、前後方向において(吐出装置101を側面視した場合に)、弾性部145を可動部材141の弁駆動装置120から遠い方の端部(ここで、端部付近でもよい)に設けている。
何れの場合も、
図2の場合と比べ、傾き調整部146から弁駆動装置120までの距離を長くすることで、可動部材141が回動する動き(すなわち、傾度)を大きくすることができ、弁体103の弁座104に対する位置調整範囲を大きくすることができる。
なお、
図4の各変形例では、弁駆動装置120を凸状部142とは反対側の面(上面)に設置しているが、凸状部142と同じ面(下面)に設置してもよい。このとき、アーム123は後述する
図6の第4変形例のように向きを変えてよい。
【0031】
(調整装置配置の変形例)
上述の実施形態では、調整装置140を吐出装置101の下方に設けているが、これに限らず別の位置に設けてもよい。
例えば、
図5に示す第3変形例では、ベース部材130を後方側で上下方向に延長した形状(すなわち、実質的にL字状)とし、吐出装置101の後方に調整装置140を設けている。すなわち、可動部材141をL字状に形成して、その先に凸状部142を設け、弾性部145も後方から可動部材141を固定している。
また、
図6に示す第4変形例では、ベース部材130を側面視枠状に形成し、吐出装置101の上方に調整装置140を設けている。調整装置140と弁装置102との位置関係に合わせて、弁駆動装置120の上下の向きを変えている。
吐出装置101の設置条件などにより、調整装置140への下方からのアクセスが難しい場合には、
図5のように後部に調整装置140を設けたり、
図6のように上部に調整装置140を設けることで、メンテナンス時などの調整装置140へのアクセスをしやすくすることができる。
なお、
図5および
図6の変形例においても、
図4(A)のように弁駆動装置120を弾性部145を挟んで傾き調整部146と反対側に設けたり、
図4(B)のように弁駆動装置120を傾き調整部146を挟んで弾性部145と反対側に設けたりする配置を採用することができる。
【0032】
(傾き調整部の変形例)
上述までの例では、中立位置において、傾き調整部146が可動部材141の延伸方向に対して実質的に直角に接しているが、これに限らず、別の角度で接してもよい。
図7(A)に示す第5変形例は、傾き調整部146が後方側から可動部材141の凸状部142に接する構成、
図7(B)に示す第6変形例は、傾き調整部146が前方側から可動部材141の凸状部142に接する構成を示す。第5変形例および第6変形例では、凸状部142と対向する当接部材の端面159が垂直軸に対して斜面を形成するようベース部材130の形状を変形して、当接部材147が螺設される斜面132を設けている。凸状部142が曲面形状(円柱状)をしていることにより、傾き調整部146を構成する当接部材147の端面159と凸状部142が図のように斜めに接していても調整動作を行うことが可能である。
図7のように、傾き調整部146を可動部材141の延伸方向に対して斜めに配置する(すなわち、前方に向かう上り坂や下り坂に配置する)ことで、傾き調整部146の移動量に対する可動部材141の回動量が上記までの例よりも小さくなり、より細かい調整が可能となる。
なお、
図7の各例においても、
図4(A)のように弁駆動装置120を弾性部145を挟んで傾き調整部146と反対側に設けたり、
図4(B)のように弁駆動装置120を傾き調整部146を挟んで弾性部145と反対側に設けたりする配置を採用することができる。また、
図7の各例においても、
図5のように吐出装置101の後方に調整装置140を設けたり、
図6のように吐出装置101の上方に調整装置140を設けたりする配置を採用することができる。
【0033】
(弁駆動装置配置の変形例2)
上述までの例では、弁駆動装置120は、可動部材141の凸状部142が設けられる面とは反対側の面に設置されているが、これに限らず、可動部材141の凸状部142が設けられる面と直交する面に設置してもよい。
図8(A)に示す第7変形例は、
図5に示す第3変形例と同様に、ベース部材130を後方側で上下方向に延長したL字形状とし、吐出装置101の後方に調整装置140を設けている。可動部材141は前後に長いブロック状の部材であり、凸状部142が設けられる面(後面)と直交する面(上面)に弁駆動装置120を設置している。
図8(B)に示す第8変形例は、
図6に示す第4変形例と同様、ベース部材130を側面視枠状に形成し、吐出装置101の後方上部に調整装置140を設けている。可動部材141は前後に長いブロック状の部材であり、凸状部142が設けられる面(後面)と直交する面(底面)に弁駆動装置120を設置している。
図8(A)および
図8(B)に示す変形例のように、弁駆動装置120はアーム123の上方に設けることもできれば、アーム123の下方に設けることもできる。
なお、
図8の各例においても、
図7(A)、
図7(B)のように傾き調整部146を斜面に配置する構成を採用することができる。
【0034】
(弾性部の変形例)
上述までの例では、弾性部145が可動部材141の延伸方向に対して直角(すなわち、上下方向)に延びるように設けられ、前後方向に曲がるようになっているが、これに限定されない。例えば、
図9に示す第9変形例のように、可動部材141の延伸方向に対して平行(すなわち、前後方向または水平)に延びるように設け、上下方向に曲がるように構成してもよい。上下方向に曲がるようになっていても、可動部材141が回動する作用に変わりはなく、上述の実施形態例と同様の効果を得られる。
また、弾性部145は、上述の実施形態例のように着脱可能な別部材として設けてもよいが、ベース部材130と一体的に構成してもよい。例えば、
図10(A)のように、可動部材141の前方部分を側面視L字形に構成し、前方部分の下端部に設けられた弾性部145とベース部材130とを一体的に構成してもよい。また、例えば、
図10(B)のように、可動部材141の前方部分に前方向に延びるように配置された弾性部145とベース部材130とを一体的に構成してもよい。これらの場合、可動部材141の弾性部145を構成する部分とベース部材130との接続部分に切り欠き160を設けると曲がり易くなり、可動部材141の軽快な回動を実現できる。他方で、可動部材141およびベース部材130の各部材を一体的に形成することで、構造的な剛性が増し、アクチュエータの振動による位置の変動を抑えることができる。
【0035】
なお、
図9、
図10(A)、
図10(B)の各例においても、
図4(A)のように弁駆動装置120を弾性部145を挟んで傾き調整部146と反対側に設けたり、
図4(B)のように弁駆動装置120を傾き調整部146を挟んで弾性部145と反対側に設けたりする配置を採用することができる。また、
図5のように吐出装置101の後方に調整装置140を設けたり、
図6のように吐出装置101の上方に調整装置140を設けたりする配置を採用することができる。また、
図7(A)、
図7(B)のように傾き調整部146を斜面に配置する構成を採用することができる。また、
図8(A)、
図8(B)のような弁駆動装置120と凸状部142とを可動部材141の隣接面に配置する構成を採用することができる。
【0036】
(塗布装置)
上述の吐出装置101は、塗布対象物に対して液体材料を吐出する塗布装置に搭載して用いることができる。
本実施形態の塗布装置201は、
図11に示すように、液体材料116を吐出する吐出装置101と、該吐出装置101と塗布対象物211が載置されるワークテーブル209とを相対的に移動させる相対駆動装置であるXYZ駆動装置202とから主に構成される。
【0037】
XYZ駆動装置202は、吐出装置101とワークテーブル209とをX方向206へ相対的に移動させるX駆動装置203、吐出装置101とワークテーブル209とをY方向207に相対的に移動させるY駆動装置204、吐出装置101とワークテーブル209とをZ方向209へ相対的に移動させるZ駆動装置205から構成される。本実施形態では、Y駆動装置204が筐体213の上面にY方向207へ延びるよう設けられ、X駆動装置203がY駆動装置204と直角方向にY駆動装置204を跨ぐよう配置されたアーチ状のフレーム210の上に設けられる。X駆動装置203上には、Z駆動装置205が設けられ、Z駆動装置205上に吐出装置101が設けられる。くわえて、ワークテーブル209がY駆動装置204上に設置され、Y方向207に移動可能となっている。吐出装置101はZ駆動装置205上に設置され、Z方向208およびX方向206に移動可能となっている。これらにより、吐出装置101とワークテーブル209上の塗布対象物211とは、X方向206、Y方向207、Z方向208に相対的に移動可能となる。XYZ駆動装置202は、駆動制御装置212により制御されて吐出装置101のノズル113先端を塗布対象物211上の任意の位置へ、任意の速度で移動させることができる。XYZ駆動装置202としては、たとえば、サーボモータやステッピングモータなどの電動モータと、ボールネジとを組合せた装置や、リニアモータを用いた装置、ベルトやチェーンで動力を伝える装置などを用いることができる。
【0038】
ワークテーブル209は、板状の部材からなり、塗布対象物211を固定するための機構(不図示)を設ける。固定するための機構としては、たとえば、ワークテーブル209内部から上面へ通じる複数の孔を開け、その孔から空気を吸い込むことで塗布対象物211を吸着する機構、塗布対象物211を固定用部材で挟み込み、その部材をネジ等の固定手段でワークテーブル209に固定することで塗布対象物211を固定する機構などを用いることができる。
吐出装置101は、液体材料を吐出するためのノズル113を備え、吐出制御装置215により動作を制御される。吐出制御装置215は、ケーブル216によりXYZ駆動装置202に接続され、XYZ駆動装置202の動作と連係して吐出装置101の制御を行うことができる。吐出制御装置215には、吐出装置101の動作を補助するためや、液体材料を圧送するための圧縮気体を供給する圧縮気体源217が接続される。なお、吐出制御装置215と駆動制御装置212とを物理的に一つの制御装置で実現する構成を採用してもよい。
【0039】
本実施形態の塗布装置201は、図示しない教示用端末機を接続することができる。教示用端末機から、XYZ駆動装置202の位置や吐出装置101の動作などを教示することができる。教示された内容は、駆動制御装置212に記憶される。塗布装置201は、関連する複数の教示内容を順番に並べて、一つのまとまりとして再生することができる。言い換えると、塗布装置201は、教示内容に従って、吐出装置101やXYZ駆動装置202を動作させることができる。このまとまりは塗布プログラムと呼ばれる。教示用端末機として、たとえば、簡易な表示装置と複数のスイッチを備えた専用の端末機や、専用のソフトウエアがインストールされたパーソナルコンピュータを用いることができる。教示用端末機からは、駆動制御装置212に記憶された塗布プログラムに基づく塗布装置201の動作の開始や停止を行うことができる。また、これと同じ操作は、筐体213上面に設置されたスイッチ214により行うこともできる。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で様々な変更、改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、上記では、傾き調整部146としてねじ要素であるボルト、ナットを用いたが、歯車要素であるラックおよびピニオンあるいはウォームおよびホイール等を用いてもよい。また、これらねじ要素や歯車要素にモータ等の電動機を接続して、自動で制御できるようにしてもよい。さらに、アーム123の形状を変更して、アクチュエータ(121、122)の伸縮方向と弁体103の移動方向とを平行になるよう配置してもよいし、直交するよう配置してもよいし、あるいは平行および直交以外の角度になるよう配置してもよい。それに合わせて、調整装置140も上記した配置以外の配置を採用できる。すなわち、吐出装置101の大きさ、吐出装置101を設置する環境、操作のしやすさなどを考慮して様々な配置を採用し得る。
【符号の説明】
【0041】
101:吐出装置、102:弁装置、103:弁体、104:弁座、105:弁棒、106:当接部、107:付勢部材、108:挿通孔、109:ブッシュ(弁装置)、110:シール部材、111:液室、112:液入口、113:ノズル、114:吐出口、115:貫通孔(弁座)、116:液体材料、120:弁駆動装置、121:第1アクチュエータ(前)、122:第2アクチュエータ(後)、123:アーム、124:固定具、130:ベース部材、131:カバー、132:斜面、140:調整装置、141:可動部材、142:凸状部、143:円柱状空間、144:貫通孔(傾き調整部)、145:弾性部、146:傾き調整部、147:当接部材、148:引き部材、149:受け部材、150:嵌入孔、151:段部、152:受け孔、153:ブッシュ(傾き調整部)、154:小径部、155:大径部、156:受け凹部、157:(雄)ねじ、158:雌ねじ、159:当接部材端面、160:切り欠き、170:当接部材上昇、171:当接部材下降、172:可動部材上向き(時計回り)回動、173:可動部材下向き(反時計回り)回動、201:塗布装置、202:XYZ駆動装置、203:X駆動装置、204:Y駆動装置、205:Z駆動装置、206:X移動方向、207:Y移動方向、208:Z移動方向、209:ワークテーブル、210:フレーム、211:塗布対象物、212:駆動制御装置、213:筐体、214:スイッチ、215:吐出制御装置、216:ケーブル、217:圧縮気体源