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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】薬剤仕分装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020155716
(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公開番号】P2022049488
(43)【公開日】2022-03-29
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100204456
【弁理士】
【氏名又は名称】調 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】大村 義人
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/244729(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65B 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の薬剤を混在した状態で投入する投入口と当該薬剤が排出される排出口とを備えた貯留部と、
画像を取得する撮像装置と、前記薬剤が載置される透明部材と、前記透明部材を挟んで前記撮像装置と反対側に配置された照明装置と、を有し、前記薬剤の形状を撮影した画像から判断するための第1撮影部と、
前記貯留部の排出口より下方に配置されて前記薬剤を振動により前記第1撮影部へと搬送するガイド部と、
円環状の第1照明部と、棒状の第2照明部と、上下に取り付けられた2つの撮像装置と、を有し、撮影した画像から前記薬剤の種類を判別するための第2撮影部と、
前記第1撮影部において撮影された画像から画像認識によって前記薬剤の形状を判定する形状判定部と、前記第2撮影部において撮影された画像から前記薬剤の種類の判別を行う画像認識部と、を備え、仕分容器と回収容器とのそれぞれの位置を設定するための制御部と、
前記制御部から前記仕分容器及び前記回収容器の位置を指示されて当該位置に自在に移動可能であって、前記薬剤を1つずつ吸着して保持して搬送する移送部と、
を有し、
前記第2撮影部において撮影された画像に基づいて前記薬剤の種類を特定するとともに、前記移送部が前記第2撮影部から当該薬剤を配置されるべき所定の容器へと移送する薬剤仕分装置であって、
複数の前記所定の容器が配置される容器載置部を有し、
前記容器載置部における各容器について、前記第2撮影部において特定された薬剤を移送される仕分容器と、前記第2撮影部においては特定ができなかった薬剤を移送される回収容器との位置を区別して前記移送部が搬送を行い、
前記容器の収容率を表示する表示部を備え、
前記制御部は、前記仕分容器における前記収容率を前記移送部が搬送した前記薬剤の数量と、特定された前記薬剤の体積とに基づいて算出し、前記回収容器における前記収容率を、前記移送部が搬送した前記薬剤の数量と、予め登録された薬剤のうち最も体積の大きい薬剤の体積とに基づいて算出することを特徴とする薬剤仕分装置。
【請求項2】
請求項1に記載の薬剤仕分装置において、
前記制御部は、前記仕分容器と前記回収容器とを所定の個数から変更しない通常モードと、前記収容率に基づいて前記仕分容器と前記回収容器とのうち何れか一方に空の容器がなくなったと判断したときには、何れか他方の空の容器を前記仕分容器または前記回収容器となるように設定を変更可能な自動モードとを有することを特徴とする薬剤仕分装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の薬剤仕分装置において、
前記容器載置部において前記容器は前記容器を保持する容器保持部によって保持されており、
前記容器保持部には特定された薬剤の薬品名やバーコードを含む識別情報を表示可能な表示手段が設けられていることを特徴とする薬剤仕分装置。
【請求項4】
請求項3に記載の薬剤仕分装置において、
前記表示手段に表示された薬剤の識別情報を読みとるための読取手段と、
前記読取手段によって読み取られた前記薬剤の識別情報を印字する印字手段とを有することを特徴とする薬剤仕分装置。
【請求項5】
請求項に記載の薬剤仕分装置において、
前記容器保持部は前記容器載置部から着脱可能であって、
取り外された前記容器保持部は、前記読取手段によって当該容器保持部の前記表示手段が読み取られたことを条件として、前記制御部が前記容器保持部が再度前記容器載置部へと戻された時の前記容器保持部の位置を確認可能となることを特徴とする薬剤仕分装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1つに記載の薬剤仕分装置において、
前記容器載置部は、前記容器に載置された前記薬剤が前記容器の上端部を超えたことを検知するために前記容器載置部の少なくとも1つの辺に沿って設けられた満載検知部を有することを特徴とする薬剤仕分装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤仕分装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
主に病院の調剤室等では、大量に分包機等で払い出された薬剤が、欠品、分包ミスその他の理由によって結果的に使用されずに戻ってくるような場合が有り得る。
薬剤の判別のためには、薬の外装に記された薬の識別コードを用いて判別することが一般的に行われているが、特に分包された薬剤については、外装と突き合わせての確認は難しく、また薬剤師が、薬剤の大きさ、形状、色等を手掛かりに、処方された未知の薬剤を手作業で特定する鑑別作業を行うことは非常に大きな負担を伴う。
このような薬剤を回収し、再利用することを目的として、例えば薬剤を画像を元に判別して所定の保管場所へ戻すような、薬剤仕分装置が用いられている(例えば特許文献1~3等参照)。
しかしながら、薬剤同士の重なりや接近によって、大量の薬剤が混在した状態の画像からは薬剤の種類を特定することが難しい。他方、少量ずつ薬剤を投入して判別作業を行っていくのは、結果的に薬剤師等の人手作業を低減し難く、判別速度についても向上が難しいという問題が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-103885号公報
【文献】WO2018/190394号公報
【文献】WO2019/244729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、大量の薬剤が混在した状態からも自動的に薬剤の判別が可能な新規な薬剤仕分装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数の薬剤を混在した状態で投入する投入口と当該薬剤が排出される排出口とを備えた貯留部と、画像を取得する撮像装置と、前記薬剤が載置される透明部材と、前記透明部材を挟んで前記撮像装置と反対側に配置された照明装置と、を有し、前記薬剤の形状を撮影した画像から判断するための第1撮影部と、前記貯留部の排出口より下方に配置されて前記薬剤を振動により前記第1撮影部へと搬送するガイド部と、円環状の第1照明部と、棒状の第2照明部と、上下に取り付けられた2つの撮像装置と、を有し、撮影した画像から前記薬剤の種類を判別するための第2撮影部と、前記第1撮影部において撮影された画像から画像認識によって前記薬剤の形状を判定する形状判定部と、前記第2撮影部において撮影された画像から前記薬剤の種類の判別を行う画像認識部と、を備え、仕分容器と回収容器とのそれぞれの位置を設定するための制御部と、前記制御部から前記仕分容器及び前記回収容器の位置を指示されて当該位置に自在に移動可能であって、前記薬剤を1つずつ吸着して保持して搬送する移送部と、を有し、前記第2撮影部において撮影された画像に基づいて前記薬剤の種類を特定するとともに、前記移送部が前記第2撮影部から当該薬剤を配置されるべき所定の容器へと移送する薬剤仕分装置であって、複数の前記所定の容器が配置される容器載置部を有し、前記容器載置部における各容器について、前記第2撮影部において特定された薬剤を移送される仕分容器と、前記第2撮影部においては特定ができなかった薬剤を移送される回収容器との位置を区別して前記移送部が搬送を行い、前記容器の収容率を表示する表示部を備え、前記制御部は、前記仕分容器における前記収容率を前記移送部が搬送した前記薬剤の数量と、特定された前記薬剤の体積とに基づいて算出し、前記回収容器における前記収容率を、前記移送部が搬送した前記薬剤の数量と、予め登録された薬剤のうち最も体積の大きい薬剤の体積とに基づいて算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、大量の薬剤が混在した状態からも自動的に薬剤の判別が可能な薬剤仕分装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】薬剤仕分装置の構成の一例を示す図である。
図2図1に示した整列構造の一例を示す図である。
図3図2に示したガイド部の形状の一例を示す図である。
図4図2に示したガイド部の形状の一例を示す図である。
図5】薬剤仕分装置による画像認識処理の一例を示す図である。
図6】薬剤仕分装置の移送部の構成の一例を示す図である。
図7】移送部の構成の一例を示す図である。
図8】移送部の動作の一例を示す図である。
図9】薬剤仕分装置による第2撮影部における画像処理の一例を示す図である。
図10】第2撮影部の構成の一例を示す図である。
図11】収納部の構成例を示す図である。
図12】収納部の動作の一例を示す図である。
図13】収納部の保管容器とホルダーの構成の一例を示す図である。
図14】薬剤仕分装置の制御部の機能構成の一例を示す図である。
図15】薬剤仕分装置の仕分動作の一例を示す図である。
図16】薬剤仕分装置のユーザーインターフェースの画面構成例を示す図である。
図17】薬剤仕分装置の仕分動作の一例を示す図である。
図18】自動モードにおけるユーザーインターフェースの画面構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に用いられる薬剤仕分装置100の基本的な構成を示している。
【0009】
薬剤仕分装置100は、複数の薬剤Mを混在した状態で投入可能な貯留部たるホッパー10と、薬剤Mの形状を撮影した画像から判断するための第1撮影部20と、ホッパー10よりも下方に配置されたガイド部30と、を有している。
薬剤仕分装置100はまた、撮影した画像から薬剤Mの種類を判別するための第2撮影部40と、薬剤Mを1つずつ保持して搬送する移送部50と、搬送された薬剤Mを収納するための収納部60と、各動作部分の制御を行う制御部90と、を有している。
薬剤仕分装置100はまた、後述するように収納部60に取り付けられた容器の識別情報を読み取るための読取手段70と、読取手段70から読み取られた薬剤Mの識別情報を印字する印字手段80と、引き出し可能な作業台110と、操作手段たるタッチパネル95と、を有している。
【0010】
薬剤Mは、本実施形態においては、特に錠剤について説明するが、かかる構成に限定されるものではなく、撮影された画像によって判別可能な薬剤であれば良い。例えば薬剤Mは円盤状、円柱状、楕円球状、カプセル状等様々な形状であっても良い。
【0011】
ホッパー10は、図2に示すように薬剤Mを混在した状態で投入するための投入口11と、投入口11より下方すなわち-Z方向に位置する排出口12と、を有している。
ホッパー10は、排出口12がガイド部30上に位置するように配置されており、混在状態で投入された薬剤Mが排出口12とガイド部30との間を通って徐々に運ばれることで貯留部として機能する。
すなわち、ホッパー10の下部、排出口12とガイド部30との間に薬剤Mが溜まってしまっているときには、ホッパー10上部から下部に落ちることはないが、ガイド部30が当接した薬剤Mを横方向、すなわち図2中の-X方向へと移動させると、自重に従って上方の異なる薬剤Mが次々に排出口12とガイド部30との間に移動していくこととなる。
このようにして、ホッパー10内部に貯留された薬剤Mは、ガイド部30による搬送とともに下方へと移動していくこととなる。
【0012】
ホッパー10の排出口12とガイド部30のガイド本体部31表面との間の距離は、ピン13によって薬剤Mの大きさに応じて微調整が可能である。
ホッパー10は、上方から見たとき、排出口12を形成する壁面のうち少なくとも-X方向側の壁面が、投入口11が排出口12に対して広がったテーパー形状を有している。本実施形態においては、-X方向の壁面および±Y方向の壁面の3方向がテーパー形状となっている。
テーパー形状とすることによって、ホッパー10の貯留可能な薬剤の個数を増大することができて、かつガイド部30の搬送方向上流側に排出口12が位置することとなるから、搬送距離の増大によって振動による整列がより満遍なく行われる。
【0013】
ガイド部30は、本実施形態では、振動フィーダーとしての機能を有する搬送経路である。
ガイド部30は、薬剤Mが搬送される搬送面が+Z方向側に形成されるガイド本体部31と、ガイド本体部31の下方に配置された振動駆動部32と、ガイド本体部31の両脇に配置されて排出口12の少なくとも±Y方向両側を覆うように取り付けられてガイド壁面を構成するシュートガイド33と、を有している。
シュートガイド33は、マグネット式でガイド本体部31に対して着脱自在に設けられており、ホッパー10から排出口12を介して薬剤Mが落下する際に、意図しない跳ね等によってガイド部30から外れてしまうことを防止するとともに、搬送中の薬剤Mの脱落を防止することができる。
振動駆動部32は、電磁式の振動部であって、例えば7200回/分の振動によってガイド本体部31を振動させることで、ガイド本体部31の上面に位置する薬剤Mを、-X方向に向けて搬送する振動フィーダーである。
【0014】
ガイド本体部31には、薬剤Mと当接する面に、図3にそのYZ断面を示すように、薬剤Mの搬送方向たる-X方向に沿った方向へと延びる楔状あるいはV字状の溝部34が形成されている。溝部34は、Y方向に平行に複数条形成されていて良い。
ガイド本体部31はまた、図4にそのXZ断面を示すように、搬送方向上流側すなわち+X方向側が高い位置に、搬送方向下流側すなわち-X方向側が低い位置になっており、途中部分に波状の段差部35が形成されている。ここで波状とは、直線的な傾斜ではなく、最も高い面である排出口12直下の面と最も低い面である第1撮影部20へと接続される面との間に中間となる高さの平坦面あるいは傾斜面が形成されていることを示すものであるが、係る形状について限定されるものではなく、薬剤Mの搬送面が段差になっていればよい。
このようにガイド本体部31は、搬送方向に向けて下る段差部35を含んでいる。
さて、このような楔状の溝部34と、段差部35とが搬送面に形成されることで、薬剤Mは搬送されていく最中に図4に示すように溝部34によって傾斜した態様で移送されていくとともに、段差部35を経ることで上下に傾斜方向を変えながら移動していくこととなる。
このように、薬剤Mが振動駆動部32によって振動しながら搬送されるときに、薬剤Mの姿勢が安定しない状態で運ばれるために、複数の薬剤Mが重なった状態が解除されやすい。薬剤Mは、かかるガイド部30を通過することで重なり合うことなく第1撮影部20へと移動していく。すなわち、ガイド部30は第1撮影部20へと移動する際に薬剤Mを整列する整列構造としての機能を有している。
【0015】
さらに本実施形態では、ガイド部30は、ガイド本体部31の表面に薬剤Mの搬送方向に沿って形成された楔状の溝部34を有している。なお、本実施形態では、楔状としたが、断面がU字状であったり、あるいは半円状であったりする溝でも良い。
かかる構成により、薬剤Mが搬送中に傾斜した状態で振動することとなるから、薬剤M同士の重なり合いを防いで、もしくは抑制して、ガイド部30は第1撮影部20へと薬剤Mを搬送することとなる。
【0016】
本実施形態では、ガイド部30は、薬剤Mの搬送方向に向けて下る段差部35が搬送面に形成される。
かかる構成により、薬剤Mが搬送中に傾斜した状態で振動することとなるから、薬剤M同士の重なり合いを防いで、もしくは抑制して、ガイド部30は第1撮影部20へと薬剤Mを搬送することとなる。
【0017】
また本実施形態では、ガイド部30は、ガイド本体部31を振動させる振動フィーダーとしての振動駆動部32を有している。
かかる構成により、ガイド本体部31が振動することで薬剤Mがガイド本体部31とシュートガイド33とによって囲まれた搬送路を移動していく。
【0018】
また本実施形態では、ガイド部30は、着脱可能であってガイド部30の側壁を構成するシュートガイド33を有している。
シュートガイド33を取り外し可能な構成とすることで排出口12を介して薬剤Mが落下する際に、意図しない跳ね等によってガイド部30から外れてしまうことを防止するとともに、搬送中の薬剤Mの脱落を防止することができる。
さらに、ガイド本体部31との取り付けは磁石で行われ、着脱容易であるので、搬送路となるガイド本体部31及びシュートガイド33の清掃が容易に行える。
【0019】
第1撮影部20とガイド部30との間すなわちガイド部30の搬送方向たる-X方向下流側の端部には、図2図4に示すように、検知部として通過センサー36が設けられている。
通過センサー36は、薬剤Mがガイド部30を経て第1撮影部20へと移動したことを検知するための検知部であり、所定の数量、例えば1つ以上の薬剤Mが通過すると、制御部90を介して振動駆動部32の振動を停止させる。
かかる通過センサー36によって、ガイド部30から第1撮影部20へと搬送されるときに薬剤Mが移動しているかどうかの確認を行うとともに、あまりにも大量の薬剤Mが同時に第1撮影部20へと搬送されてしまうような問題を防ぐことができる。
【0020】
この点について少し詳しく説明する。既に述べたように、ガイド部30は振動フィーダーであるから、ホッパー10から落ちてきた薬剤Mは、振動駆動部32の振動数等で決まる所定の速度で凡そ第1撮影部20へと到達する。
しかしながら、後述するように、移送部50は薬剤Mを1つずつ吸着して移送する移送部であって、その動作にはある程度の動作時間が必要となってしまう。
すなわち、ガイド部30が大量の薬剤Mを一度に運んでしまうような場合には、第1撮影部20には薬剤Mが大量に載置されてしまう事となり、薬剤同士の重なり合いや密着により画像撮影の精度に影響を及ぼすことが懸念される。
そこで、通過センサー36によって所定の数量以上に薬剤Mが搬送されてきたことを検知した場合には、一時的に振動駆動部32の振動を制限して、ガイド部30から第1撮影部20へと移動する薬剤Mの動きを一時的に抑制する。
具体的には、例えば通過センサー36が薬剤Mを1つ以上通過したことを検出したときに、振動駆動部32を一時停止させて、第1撮影部20の撮影を待って再開する。
このように通過センサー36によって薬剤Mがガイド部30から第1撮影部20へと流れる数量を制限することによって、第1撮影部20における撮影精度を向上することができる。
【0021】
第1撮影部20は、図5に示すように、透明部材である撮影ステージ21と、撮影ステージ21の下方に配置されて薬剤Mを照らすための第1照明装置22と、撮影ステージ21の上方に配置される第1カメラ23と、を有している。
撮影ステージ21は、底面24と、底面24のうちガイド部30が接続された+X方向側を除く3方向を囲むように形成された側壁部25と、を有している。
側壁部25は、図5(b)に示すように、底面24に当接して底面24に垂直に起立する第1側壁部25aと、第1側壁部25aよりも外側にあって第1側壁部25aから立ち上がるように形成された第2側壁部25bとによって構成されている。
撮影ステージ21を構成する底面24、第1側壁部25a、第2側壁部25bは何れも透明なプラスチック材料によって成型された透明部材である。
また、底面24に対して側壁部25は第1側壁部25a、第2側壁部25bの何れも着脱可能に取り付けられており、清掃を容易にしておくことがより望ましい。
【0022】
第1照明装置22は、底面24よりも下方から、底面24に載置された薬剤Mに向かって光を照射する照明装置である。
第1照明装置22から発せられる照射光によって薬剤Mが照射されると、撮影ステージ21に載置された薬剤Mの位置は照射光を透過しないことから、第1カメラ23によって撮影された画像には、図5に示すように底面24上に配置された薬剤Mの位置が影として表示されることとなる。
既に述べたように、通過センサー36によって一度に通過する薬剤Mの個数は制限され、ガイド部30を通過する際に薬剤Mの重なりがなくなるように振動によって搬送されている。従って、撮影ステージ21の底面24上に移動する薬剤Mは、ばらけた状態で配置されやすくなっている。
薬剤Mが底面24に載置される際に、重なり合った状態で載置されると、第1カメラ23が上方から撮影したときに、薬剤Mの形状を正確には判定できないことが懸念されるので、薬剤Mは底面24上に互いにばらけた状態で載置されることが望ましい。
【0023】
また、薬剤Mが側壁に近付き過ぎてしまった場合にも、画像認識が上手くいかずに薬剤Mと側壁とが一体の形状として認識されてしまう場合があることが知られている。これは、例えば撮影ステージ21に透明部材を用いたとしても、透明部材の屈折率や厚みによって、側壁部25の部分は光を通しにくく、薬剤Mと側壁部25とが何れも「光を透過しない部分」として誤認しやすいことも一因である。
そこで、本実施形態では、側壁部25は、第1側壁部25aと第2側壁部25bとを有している。
かかる構成により、上方から第1カメラ23が撮影したときに、第1側壁部25aと第2側壁部25bとの間に段差が生じ、単一の側壁を設ける場合に比べて第1側壁部25aを光がより透過しやすくなるため、制御部90は側壁部25と薬剤Mとを混同し難い。
さらに、第1側壁部25aの立ち上がる高さは、第2側壁部25bの高さよりも低いことがより好ましい。透明部材において、下方からの第1照明装置22からの光が透過した場合には、透過しない部分である薬剤Mとの境界部分がより明確に見えやすいためである。
【0024】
移送部50は、図6に示すように、XYZの3軸に移動可能なピックアップユニットである。
移送部50は、図7に示すように移送部50に支持されて上下動可能なノズル51と、移送部50の上下方向の動作に従動して開閉するシャッター52と、シャッター52を開閉させるための回動バー53と、付勢部材たるバネ54と、を有している。
移送部50は、Z軸ベース板55と、ノズル51をZ軸中心に回動させるロータリーアクチュエータ56とを有している。
【0025】
ノズル51は、空気圧によって薬剤Mを吸着するためのノズルであって、ポンプによる空気の吸引及びソレノイドバルブによって薬剤Mを吸着する。
ノズル51の先端部分には、吸引パッド51aが備えられており、移送部50の下降によって吸引パッド51aが薬剤Mと当接した状態で薬剤Mが吸着される。
【0026】
移送部50は、Z軸ベース板55とノズル51とを一体に下降させることで、図7図8に示すように、Z軸ベース板55が下方へと移動するとともに、Z軸ベース板55に対して斜めに当接するように配置された回動バー53が押下される。
回動バー53がZ軸ベース板55によって押されることで、落下防止部として機能するシャッター52が中心で半割されて開状態へと移行する。
また、バネ54は図7に矢印で示すように回動バー53同士を互いに引き合う方向に付勢しているから、移送部50が上昇することでZ軸ベース板55が上昇するにつれてシャッター52は図8のような閉状態へと移行する。
このように、移送部50が上昇するときには、シャッター52が閉状態を維持し、移送部50が下降してノズル51が撮影ステージ21に載置された薬剤Mに当接するときにはシャッター52が開状態となるような機構となっている。
また、バネ54によって付勢されているから、非通電時にもシャッター52は閉状態を維持する。
このように、シャッター52と回動バー53とバネ54とは、移送部50の上下方向の動作に従動して開閉する薬剤落下防止部としての機能を有している。
【0027】
ノズル51は、移送部50に±Z方向に対して自由に移動可能なように、ノズル51の下降における遊びとして摺動部51bが設けられており、移送部50が下降して吸引パッド51aが薬剤Mと当接したときに、薬剤Mの厚みによって20mm程度の上下方向の摺動が可能である。
かかる摺動部51bを設けることで、ノズル51は移送部50及びZ軸ベース板55に対してZ方向に移動可能に支持されている。
また、摺動部51b、吸引パッド51aによって、移送部50が下降して薬剤Mに当接した時にも薬剤Mに対して過度な荷重をかけてしまうことを防いでいる。
【0028】
バネ54は、回動バー53の先端に取り付けられてシャッター52を閉じるように回動バー53を互いに引き合う方向に付勢する付勢部材である。
【0029】
以上述べたように、本実施形態では、薬剤Mを保持する保持部としてノズル51及びZ軸ベース板55の下降に従動してシャッター52が開閉することでシャッター52が薬剤落下防止部として機能する。
しかしながら、かかる構成に限定されるものではなく、例えばノズル51の上下動に連動して開閉する機構であれば良い。
【0030】
また、本実施形態では、摺動部51bを設けることで、ノズル51の位置を薬剤Mの大きさに合わせて上下方向に調整可能に支持されている。
かかる構成により、移送部50が下降した時にも薬剤Mに対して過度な荷重をかけてしまうことを防いでいる。同様に、薬剤Mと当接するノズル51の下端には、可撓性を有し、衝撃を吸収するために柔らかな部材で形成された吸引パッド51aを設けている。
【0031】
また本実施形態では、シャッター52は、ノズル51が上昇しているときにはノズル51のZ方向下方において閉状態を維持し、ノズル51が下降するときには開状態となるように動作する。
かかる構成により、薬剤Mのピックアップ中に故障や電源喪失により意図せずノズル51の吸引が解除されてしまった場合にもシャッター52が閉状態なので運搬中の薬剤Mが落下することを防止する。
【0032】
第2撮影部40は、図9図10に示すように、判別ステージ41上に形成されて透明なレンズ形の錠剤判別部たる窪み部42と、2本のローラ43a、43bで形成されたカプセル判別部43と、を有している。
第2撮影部40は、判別ステージ41の+Z方向側に配置されたリング状照明装置44と、判別ステージ41の-Z方向側に、窪み部42の3方向を取り囲むように形成されたバー状照明装置45と、を有している。
第2撮影部40は、2つの撮像装置として、+Z方向側に取り付けられた第2カメラ46と、-Z方向側に取り付けられた第3カメラ47とを有している。
第2撮影部40はまた、第2カメラ46の近傍に取り付けられ判別ステージ41を照射する文字判別用の照明装置である光源48と、第3カメラ47の近傍に取り付けられた照明装置である光源49と、を有している。
光源48、49は何れも中心部分に開口の開いたリング状照明装置である。
【0033】
窪み部42は、薬剤Mを配置して上下から撮影を行うために下に凸の窪みが形成された光を透過する透明部分であって、第1撮影部20においてピックアップされた薬剤Mは、まず移送部50によって吸着されて窪み部42へと搬送される。
窪み部42は、主に載置された薬剤Mが錠剤である場合に、上下両側から第2カメラ46と第3カメラ47とを用いて薬剤Mの表面に記された情報や形状の情報から錠剤を判別する錠剤判別部として機能する。
このように、上下方向から薬剤Mを撮影することにより、薬剤Mの載置されるときの方向によらず、表面、裏面の両面の2枚の撮影画像Qを確保することができる。
本実施形態では、特に窪み部42に載置された薬剤Mの上下両面の画像から、記された記号や刻印を画像解析することで、錠剤の種別を判別する。
【0034】
また、カプセル判別部43は、2本のローラ43a、43bによって薬剤Mを支持するとともに回転させ、+Z方向側から薬剤Mを撮影するための回転撮影部である。
本実施形態では、ローラ43aはアルミ製の円柱形状の回転体であって、ローラ43bはゴム製の円柱形状の回転体である。
カプセル判別部43は、かかるローラ43aとローラ43bとが互いに当接された境界部分に置かれた薬剤Mを、上側に配置された第2カメラ46で撮影する。
【0035】
収納部60は、図11に示すように、6×8列に整列して配置されたホルダー61と、ホルダー61に保持された保管容器62と、引き出し可能な載置台63と、載置台に備えられてホルダー61が正しく載置されているかどうかを検知する載置センサー64と、を有する容器載置部である。
収納部60の両側には、保管容器62の上端部分よりも上に取り付けられたラインセンサーとして満載センサー65を有している。
ホルダー61は、表示装置として電子棚札であるESL(Electronic Shelf Label)として識別情報表示部66を有している。
【0036】
保管容器62は、本実施形態では、プラスチック製の蓋つき容器であって、蓋を取り外された状態でホルダー61に対して着脱自在に取り付けられている。
識別情報表示部66は、制御部90からの指示によって表示される文字及びバーコードその他の表示情報を変更可能な表示装置であり、本実施形態では、ESLを用いた。なお、識別情報表示部66はかかる構成に限定されるものではなく、第2撮影部40において判別された薬剤Mの識別情報等を記憶・表示可能な表示装置であれば良い。
【0037】
載置台63は、載置センサー64と、LED67とが取り付けられている引き出し可能な台座である。
載置台63は、図12に示すように、薬剤仕分装置100から最大に引き出されたときに載置されたホルダー61が全て薬剤仕分装置100の筐体部分から出る程度に引き出し可能である。本実施形態では特に載置台63の引出方向であるY方向の長さが505mmのとき、ストローク量を555mm程度とする。
かかるストローク量は、載置台63よりも下方に位置し、引き出し可能な作業台110のストローク量よりも小さく設定されることがより好ましい。
このように、載置台63よりも大きく作業台110を引き出し可能とすることで、図12のように載置台63を引き出してホルダー61を取り出したときにも、取り出したホルダー61の一時載置場所として作業台110を使うことができる。
【0038】
載置センサー64は、読取手段70によって読み取られた識別情報に基づいて、ホルダー61が載置されるべき位置と、実際にホルダー61が載置されている位置とが一致しているかどうかを検知する検知手段である。
載置センサー64は例えば、6×8列の全ての位置に取り付けられている取り付けセンサーであり、ホルダー61が載置されているかどうかを遮光の有無によって検知する遮光センサである。
あるバーコードAが識別情報表示部66に表示されているホルダー61Aについて、制御部90がかかるホルダー61Aを特定の位置1Aに配置するように設定すると、正しい位置1Aに取り付けられたときにはLED67を緑に点灯させ、それ以外の位置に取り付けられたときにはLED67を赤に点灯させる。
ホルダー61のLED67と対向する位置には、LED67の光を透過するようにZ方向に伸びた円筒状の透明部分68が設けられており、光を透過または拡散してLED67の光が操作者に見えやすいように点灯させる。
【0039】
満載センサー65は、保管容器62に載置された薬剤Mが保管容器62の上端部を超えたことを検知するために、収納部60の少なくとも1つの辺に沿って、本実施形態では特にY方向に伸びた辺に沿って設けられた満載検知部として機能する。
満載センサー65は、保管容器62内に保持された薬剤Mが容積を超えてあるいは形状によって保管容器62から突出するようにして保持されてしまった場合にはこれを検知して、満載である旨を制御部90を介して使用者へと通知する。
かかる満載センサー65によって、後述する収容率が基準以内の場合であっても、保管容器62内に移送された薬剤Mが当該保管容器62の上部から突出したときには警告を発することができるため、薬剤Mの過積載による容器外への落下等を防ぐことができる。
【0040】
制御部90は、CPU(Central Processing Unit)、メインメモリ(MEM-P)、HD(Hard Disk)、HDD(Hard Disk Drive)、PCIバス、ネットワークI/F等を有する計算機である。なお、かかる構成に限定されるものではなく、所謂制御基板上に実装され、プログラムされた動作を制御可能な計算機であれば良い。
制御部90は、本実施形態では薬剤仕分装置100内部に設けられた情報処理部として説明するが、薬剤仕分ソフトウェアを動作させ得るのであれば、別体として設けた情報処理端末であっても良い。
このように制御部90を別体として設けた場合には、情報処理端末である制御部90と、薬剤仕分装置100との間をネットワークで接続することが好ましい。
また、例えば院内採用薬や在庫の情報を管理する上位装置の一部機能としてかかる制御部90を実装しても良い。
制御部90は、主に第1撮影部20において撮影された画像から薬剤Mの形状を判定する形状判定部91と、第2撮影部40において撮影された画像から薬剤Mの判別を行う画像認識部92と、を有している。
制御部90はまた、読取手段70によって読み取られたホルダー61の載置位置を決定するための位置決定部93と、個々のホルダー61及び保管容器62について、薬剤Mの体積と保管容器62の容積から収容率を算出する収容率算出部94と、を有している。
制御部90はまた、制御部90の各部を操作するためのユーザーインターフェースを備えた操作手段及び操作者に各部からの情報を表示するための表示手段として機能するタッチパネル95を有している。
なお、薬剤仕分装置100ではタッチパネル95を本体に備え付ける形態で示したが、かかる構成に限定されるものではない。また、タッチパネルではなく通常の液晶モニタや有機ELモニタ等の表示手段に、マウスやキーボード等の操作手段を組み合わせても良い。
【0041】
形状判定部91は、第1撮影部20または第2撮影部40において撮影された画像に基づいて、薬剤Mの大きさ、形状を判定するための判定部である。
形状判定部91は、薬剤Mの形状を判定することで、窪み部42を用いて撮影するか、カプセル判別部43を用いて撮影するかを判定する判定部としての機能を有している。
画像認識部92は、第2撮影部40において撮影された画像に基づいて、薬剤Mの種類を判別する。具体的には窪み部42あるいはカプセル判別部43において撮影された画像から、薬剤Mの表面に記載された刻印や文字情報、薬剤Mの大きさ等を用いてパターンマッチングを行い、薬剤Mの種別を特定する。
位置決定部93は、読取手段70において読み取られたホルダー61の位置や、画像認識部92において判別された薬剤Mの種類から、薬剤Mの搬送されるべきホルダー61の位置を決定する。
収容率算出部94は、予め判明している保管容器62の容積と、データベースに登録された薬剤Mの体積と、移送部50によって当該保管容器62へと移送された薬剤Mの個数とを用いて個々の保管容器62について収容率を算出する。
【0042】
薬剤仕分装置100のホッパー10に薬剤Mを投入して、薬剤Mを判別するまでの動作について、図15を用いて説明する。図15は本実施形態における薬剤仕分装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、ホッパー10に投入口11から薬剤Mが投入される(ステップS101)と、排出口12から薬剤Mが順次ガイド部30へと排出される。
ガイド部30において、既に述べたように振動駆動部32とガイド本体部31の形状とによって薬剤Mは互いに重なり合いを解除されながら整列して搬送される(ステップS102)。
薬剤Mは、重なり合いを極力減らした状態で第1撮影部20の底面24上に移送され、第1カメラ23によって第1の画像が撮影される(ステップS103)。
このように、第1カメラ23は、第1撮影部20において画像を撮影するための撮像装置として機能する。
形状判定部91は、ステップS103において撮影された第1の画像に基づいて、薬剤Mの大きさや形状の情報から、薬剤Mがカプセルであるか錠剤であるかを判定する(ステップS104)。
【0043】
ステップS104において、薬剤Mがカプセルであると判定した場合には、移送部50は、第1の画像から割り出した薬剤Mの中心位置に移動し、ノズル51を下降させて吸引パッド51aと薬剤Mとを当接させる。
移送部50は、ノズル51から空気を吸引することで薬剤Mを吸いつけ保持し、ロータリーアクチュエータ56を用いて、薬剤Mの長手方向をカプセル判別部43のローラ43a、43bの軸方向と平行になるように回転させ(ステップS105)、窪み部42まで移送する(ステップS106)。
このとき、形状判定部91は、薬剤Mの形状から、薬剤Mがカプセルであると判定しているため、移送部50が直接カプセル判別部43へと移送しても良いが、誤検知の防止の観点から一度窪み部42へと移送することが最も好ましい。
【0044】
他方、ステップS104において、薬剤Mが錠剤であると判定した場合には、移送部50は、吸引パッド51aと薬剤Mとを当接させて吸着し、窪み部42まで移送する(ステップS106)。
窪み部42に載置された薬剤Mは、上下両面から第2カメラ46と第3カメラ47とによって撮影される(ステップS107)。
かかる撮影時には、まず第2カメラ46、第3カメラ47に対する正反射領域に配置された文字情報判別用のリング状照明装置である光源48、光源49を用いて撮影された正反射光による第2の画像を撮影する。
かかる第2の画像は、所謂ハイアングル照明で撮影されるために薬剤Mの色、形状、表面に印字された文字情報が比較的簡易に検知できる。
次に、第2カメラ46、第3カメラ47に対する拡散反射領域に配置された刻印情報判別用のリング状照明装置44及びバー状照明装置45を用いて撮影された拡散反射光による第3の画像を撮影する。
かかる第3の画像は、所謂ローアングル照明で撮影されるために、刻印情報をはじめとする薬剤M表面に形成されたエッジ部分を比較的簡易に検知できる。
このように、ステップS107においては照明状態の異なる2つの画像を上下両面のそれぞれについて撮影することで、より正確な薬剤Mの判別を可能とする。
【0045】
ステップS107で撮影された画像に基づいて、画像認識部92が予め取得された院内採用薬のマスターデータの中から、薬剤Mに一致するであろう薬品M’の種別をパターンマッチングによって判別する(ステップS108)。
ステップS108において、薬剤Mと一致する薬品M’が見つかった場合には、画像認識部92は薬剤Mを薬品M’であると判定する。
画像認識部92は同時に、薬剤Mがカプセルではないかどうかを確認する(ステップS120)。
画像認識部92において薬剤Mが錠剤であって、薬品M’と一致することが判明すると、位置決定部93が、薬剤Mの搬送先である保管容器62及びホルダー61の位置を決定する(ステップS109)。薬剤Mは移送部50によって再度吸着され、ステップS109において決定された位置まで移送部50によって移送され、保管容器62に納められる(ステップS110)。
なお、ステップS108、ステップS120において、判別された薬剤Mがカプセルであった場合には、移送部50によって薬剤Mはカプセル判別部43へと移送される(ステップS121)。
カプセル判別部43において、ローラ43a、43bが回転し、薬剤Mを従動回転させる。回転しながらの画像を第2カメラ46によって撮影(ステップS122)し、画像認識部92がかかる画像に基づいてカプセル表面に記載された文字を判別する(ステップS123)。
【0046】
ここで、カプセル判別部43において用いられる撮影手段は、上方に配置された第2カメラ46を用いた。同様に照明手段についてもハイアングル照明である光源48、光源49を用いるとしても良いし、ローアングル照明であるリング状照明装置44を用いても良い。
また、画像認識部92は、例えばカプセル判別部43に載置されたカプセルの印字情報が、カプセルの長手方向に沿って印字されていたときには、複数枚の写真を撮影して印字情報が写った画像を優先的に使用して印字情報を読み取る。
また他方、カプセル判別部43に載置されたカプセルの印字情報が、カプセルの周方向に沿って印字されていたときには、回転中の薬剤Mの複数枚の写真をパノラマ状に連結することで印字情報を読み取るとしても良い。
また、薬剤Mの印字情報の一部のみをもってマスターデータとの照合が可能である場合には、1枚の画像を撮影して、画像のパターンマッチングを行って薬剤Mの種類を確認しても良い。
以上のように、画像認識部92は、カプセル判別部43に載置されたカプセルの印字情報の方向に応じて、撮影方法を変更することができる。
なお、本実施形態における薬剤Mの印字情報は、例えば薬剤Mに印字された文字情報の他にも、バーコードやQRコード(登録商標)のような二次元コードを含んでも良い。
【0047】
ステップS123において印字情報を読み取られ、薬剤Mが薬品M’であると判定されると、位置決定部93により薬剤Mの移送先が決定され、移送部50によって移送される(ステップS110)。
なお、このときの移送については、薬剤Mが錠剤であった場合も同様であるため、同一の番号を付して説明を省略する。
【0048】
ところで、薬剤Mが院内採用薬ではなかった場合や、画像認識部92において薬剤Mと一致する薬品が見つからなかったときにも、位置決定部93は薬剤Mを移送する先を決定する必要がある。
このとき、薬剤仕分装置100は、収納部60に載置された複数のホルダー61及び保管容器62のうち、特定の位置の保管容器62を仕分容器として、その他の保管容器62を回収容器として、図16に示すように、斜線で示した赤系色と、点で示した青系色とに分類して区別して管理している。
なお、かかる仕分容器と回収容器の使い分けは、所定の個数から変更しない通常モードと、仕分容器と回収容器とのうち何れか一方に空の容器がなくなったときには、何れか他方の空の保管容器62を仕分容器または回収容器となるように設定を変更可能な自動モードとを選択的に変更可能である。
以下の例では特に通常モードの場合について説明する。
【0049】
通常モードにおいては、図16に示したように、回収容器と仕分容器とは、所定の個数で定められている。
図16では特に、回収容器を9個、残り39個を仕分容器とする色分けを示しているが、かかる個数に限定されるものではなく、初期設定に合わせて適宜定めれば良い。
ステップS110において、移送部50が移送先を認識出来たとき、すなわち薬剤Mが薬品M1であると確認できた場合には、既に述べたように位置決定部93はかかる薬剤Mを薬品M1に対応するホルダー61A及びホルダー61Aに保持された保管容器62Aへと移送させる。
つまり移送部50が薬剤Mを配置されるべき所定の保管容器62Aへと移送する。
移送された後、制御部90はかかる保管容器62Aに対応するホルダー61Aの識別情報表示部66に、薬品M1であること及び/またはバーコードAを表示させることで、薬剤仕分装置100によって仕分けられた後の薬剤Mの保管を容易にすることができる。
また、タッチパネル95で操作可能なユーザーインターフェース上に、薬品M1が保管容器62Aに載置されたことを表示する。
【0050】
他方、薬剤Mが院内採用薬ではなかった場合や、画像認識部92において薬剤Mと一致する薬品が見つからなかったとき、または廃棄すべきと判定されたとき等には、位置決定部93はかかる薬剤Mを回収容器として分類されたホルダー61X及びホルダー61Xに保持された保管容器62Xへと移送させる。
また、このとき例えば移送させるべき回収容器が、保管容器62Zとして図16に示すように収容率が所定値を超えている場合には、次の回収容器として保管容器62Xに移送する。
この場合には、不明な薬剤Mは保管容器62Xが「配置されるべき所定の容器」に当たり、移送部50が薬剤Mを配置されるべき所定の保管容器62Xへと移送することとなる。
このように何れの場合にも、移送部50は位置決定部93が判断した薬剤Mの配置されるべき所定の容器へと移送する。
収容率算出部94は、保管容器62の容積と、移送された薬剤Mの体積及び個数とに基づいて、保管容器62の収容率を算出し、各保管容器62についてタッチパネル95に図16のように表示されている。
また、タッチパネル95には保管容器62に対応する位置に各薬剤Mに対応する薬品名M1、M2・・・等を表示しても良い。
さらに、移送部50によって移送中の薬剤Mの判定結果について、画像認識部92で使用した画像Qとともに、判定結果Rを表示しても良い。
【0051】
収容率算出部94が算出する収容率は、保管容器62をどれだけ薬剤Mが占めているかの指標である。ここで保管容器62に入れられた薬剤Mの種別が明確である場合には、制御部90は予め記憶された薬剤のデータベースから薬剤Mの体積を読み出すことは容易である。
しかしながら、特に斜線で示された回収容器として扱われる保管容器62については、中に入れられる薬剤Mの種別が明確には読み取れなかったものである。
すなわち、薬剤Mの個数はわかるが体積がわからない。
このような場合には、予め登録された薬剤のデータベースのうち、最も大きなサイズの薬剤が入れられていると仮定して、収容率算出部94は薬剤Mの個数と、登録された複数の薬剤のうち最大値となる体積に基づいて収容率の算出を行うことが最も好ましい。
【0052】
以上の操作をホッパー10に投入された全ての薬剤Mについて繰り返し行い、投入された薬剤Mについて仕分を行うと、仕分容器と回収容器とを問わず、それぞれの保管容器62には薬剤Mが仕分けられた状態となる。このとき、仕分容器側に分別されたホルダー61の識別情報表示部66には、中の保管容器62に入れられた薬剤Mの識別情報が個々にバーコードとして表示されている。
ステップS110の移送部50の移送では、通常モードであれば、例えば39種類の薬品について仕分を行い、40種類目の薬品が薬剤Mとして検知されたときには、タッチパネル95に表示を出して、操作者による指示を待つ。
【0053】
操作者は、タッチパネル95の表示を見て仕分容器の数を超える種類の薬剤Mを取り扱う場合には、図12に示したように載置台63を引き出して、図17にフロー図として示すように仕分けられた後のホルダー61及び保管容器62を取り出す(ステップS201)。
なお、本実施形態では、薬剤Mの種類が仕分容器の個数を超えてしまった場合の補充操作についてのみ述べるが、例えば満載センサー65によって保管容器62が満載であることを検知した場合や、保管容器62の収容率を算出した結果が所定の割合(例えば90%以上など)の条件を満たした場合には、同様にホルダー61を取り出して空の保管容器62の補充を行うものとする。
ステップS201においてホルダー61を取り出すと、載置センサー64がホルダー61が取り出されたことを検知して、LED67の光を赤く表示させる。
操作者は、かかるホルダー61に取り付けられた保管容器62を中の薬剤Mごと取り出す。またこのとき例えば読取手段70に取り出したホルダー61の識別情報表示部66を読み取らせる(ステップS202)とともに、保管容器62に印字手段80によって印刷された薬剤Mの識別情報や薬品名等を貼付する(ステップS203)。
このように、ホルダー61から取り出された薬剤Mを内包する保管容器62は、薬剤Mの識別情報と薬品名とを貼り付けられて、蓋を取り付け調剤棚等のその他の保管場所に保管される(ステップS204)。
【0054】
取り出したホルダー61には、新たな保管容器62を取り付けて、読取手段70に取り出したホルダー61の識別情報表示部66を読み取らせることで登録を行う(ステップS205)。
制御部90は、ステップS205で登録行為が行われると、載置センサー64の信号に基づき、最後に取り外された位置にホルダー61を載置するようにタッチパネル95上に表示を出す(ステップS206)。
このように、ステップS201~ステップS206を順次1つのホルダー61について必要な数だけ繰り返すことで、新たに空の保管容器62を備えたホルダー61が薬剤仕分装置100に規定数セットされる。
なお、ステップS205に示すような読取手段70による登録行為を行わずに薬剤仕分装置100にホルダー61がセットされた場合には、薬剤仕分装置100は当該ホルダー61を充填可能な容器としては識別しない。
操作者の手によって1つずつ薬剤Mの仕分を確認しながら行うためには、このように登録行為と、空の容器の補充とがセットで行われることが好ましいためである。
【0055】
さて、通常モードと異なり、自動モードにおいては、薬剤仕分装置100の稼働時間を伸長するために、制御部90が仕分容器と回収容器とを前記仕分容器と前記回収容器とのうち何れか一方に空の容器がなくなったときには、何れか他方の空の容器を仕分容器または回収容器となるように設定を変更可能である。
具体的には、当初の設定で図16に示すように回収容器を9個、残り39個を仕分容器とされていたときに、40種類目の薬剤Mが発見され、かつまだ薬剤Mの入れられていない回収容器があったときには、図18に示すように、かかる空の回収容器を40個目の仕分容器として、自動的に登録が可能である。
なお、図18においては、最も右下に配置されていた回収容器を仕分容器に変更したが、かかる構成に限定されるものではない。すなわち、位置決定部93は移送部50が薬剤Mを移送していない保管容器62であれば自由にかかる回収容器と仕分容器との変更を行って良い。
また、かかる回収容器と仕分容器との区別の変更については、例えば位置決定部93が仕分容器へ薬剤Mを移送するときには左下から右上の順に使用し、回収容器は右上から左下に向かって順に使用していくとすれば、より効率よく回収容器と仕分容器との区別が可能となる。
このように、仕分容器と回収容器との区別を、制御部90が主体的に変更可能であるので、薬剤仕分装置100は例えば薬剤Mに判別不可能な薬品が多かった場合には回収容器を増加させ、判別可能な薬剤Mが多かった場合には、仕分容器を増加させる。
かかる構成により、薬剤仕分装置100の稼働時間を可能な限り伸長することができる。
【0056】
また本実施形態では、保管容器62の収容率を表示するタッチパネル95を備えている。かかる構成により、操作者がどの保管容器62が一杯になったかを視覚的に把握することができるから、空の保管容器62への交換が容易となる。
【0057】
また本実施形態では、収容率算出部94は、仕分容器における収容率を、薬剤Mの数量と、特定された薬剤Mの体積とに基づいて算出し、回収容器における収容率を、薬剤Mの数量と、予め登録された薬剤のうち最も体積の大きい薬剤の体積とに基づいて算出する。
このように、回収容器においては体積の最大値を薬剤Mの体積であると仮定して計算することにより、薬剤Mが過剰に回収容器に入れられてしまうことを防いで、薬剤Mの薬剤仕分装置100内への落下事故等を防ぐことができる。
【0058】
さらに、本実施形態では、載置台63は、保管容器62に載置された薬剤Mが保管容器62の上端部を超えたことを検知するために、載置台63の少なくとも1つの辺に沿って設けられた満載センサー65を有する。
かかる構成によれば、保管容器62が一杯になってしまったときに満載センサー65からの知らせで一杯になっていることが分かるので、より手早く操作者に空の保管容器62との交換を促すことができる。
【0059】
また本実施形態では、載置台63において保管容器62は保管容器62を保持するホルダー61によって保持されており、ホルダー61には特定された薬剤の識別情報を表示可能な表示手段としてタッチパネル95が設けられている。
かかる構成により、薬剤Mの入ったホルダー61及び保管容器62を回収する際にも識別情報表示部66により確認を容易に行うことができる。
また本実施形態では、識別情報表示部66に表示された薬剤の識別情報を読みとるための読取手段70と、読取手段70によって読み取られた薬剤Mの情報を印字する印字手段80と、を有する。ここで識別情報とは、具体的には薬剤Mの薬品名や、かかる薬品であることを示すバーコードA等の薬品情報を含む。
取り出した保管容器62に印字手段80から出力される識別情報を貼り付けることで、ホルダー61から取り出された保管容器62についても管理を簡単に行うことができる。
【0060】
また本実施形態では、読取手段70によって識別情報表示部66が読み取られたことを条件として、制御部90はホルダー61が再度載置台63へと戻された時にホルダー61の位置を確認可能である。
具体的には、ステップS205に示すような読取手段70による登録行為を行わずに薬剤仕分装置100にホルダー61がセットされた場合には、薬剤仕分装置100は当該ホルダー61を充填可能な容器としては識別しないということを示している。
操作者の手によって1つずつ薬剤Mの仕分を確認しながら行うためには、このように登録行為と、空の容器の補充とがセットで行われることが好ましい。
また、載置台63は、載置センサー64が光を遮られているかどうかを検知することで、かかるホルダー61の位置を検知する。
【0061】
以上、本発明を上述した実施形態により説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された内容において適宜変更等が可能である。
例えば、識別情報表示部66の表示の更新タイミングは、移送部50によって薬剤が移送されたタイミングで行っても良いし、全薬剤の仕分が終了したタイミングで行っても良い。
【符号の説明】
【0062】
10 貯留部(ホッパー)
11 投入口
12 排出口
20 第1撮影部
21 透明部材
23 第1カメラ(撮像装置)
25 側壁部
25a 第1側壁部
25b 第2側壁部
30、31、32 整列構造(ガイド部)
33 ガイド壁面(シュートガイド)
34 溝部
35 段差部
36 通過センサー 検知部
40 第2撮影部
43 回転撮影部
43a、43b ローラ
50 移送部
51 保持部(ノズル)
52 薬剤落下防止部(シャッター)
53 薬剤落下防止部(回動バー)
54 薬剤落下防止部(バネ)
60 容器載置部(収納部)
92 判定部(形状判定部)
100 薬剤仕分装置
110 作業台
-X 搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18