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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】軸方向磁束モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/10 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
H02K5/10 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020569764
(86)(22)【出願日】2019-06-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 US2019037438
(87)【国際公開番号】W WO2019241765
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】62/685,445
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514315012
【氏名又は名称】インディゴ テクノロジーズ, インク.
【氏名又は名称原語表記】INDIGO TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 昭裕
(74)【代理人】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(72)【発明者】
【氏名】パーチェス スコット ティー.
(72)【発明者】
【氏名】マッデン ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ディアス カールソン レイチェル エー.
【審査官】柏崎 翔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0182879(US,A1)
【文献】特開2012-184818(JP,A)
【文献】特開2012-249469(JP,A)
【文献】特開2006-240430(JP,A)
【文献】特開2012-34481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向磁束モータであって、
スピンドルと、
前記スピンドルと同軸で前記スピンドルの周りを回転可能な第一のハウジングと、
前記スピンドルと同軸で前記スピンドルの周りを回転可能な第二のハウジングであって、前記第一のハウジング、および前記第二のハウジングが空洞を形成する、第二のハウジングと、
破片および/または液体が前記空洞に入るのを防止するための、前記第一のハウジングと前記第二のハウジングとの間のシールと
前記空洞内で、前記スピンドルに強固に接続される磁気ロータと、
前記空洞内で、前記スピンドルと同軸で前記磁気ロータに第一のトルクを印加する第一のステータアセンブリと、
前記空洞内で、前記スピンドルと同軸で前記磁気ロータに第二のトルクを印加する第二のステータアセンブリと
前記第一のハウジングの外部の少なくとも一部分に沿って延在し、前記第一のステータアセンブリに接続された電気ワイヤを保護する電線管と、
前記第一のハウジングから延在し、前記電気ワイヤに接続された電気端子と、
前記電気端子の約1.5ミリメートル以内で前記第一のハウジングに取り付けられ、前記軸方向磁束モータを車両シャーシに接続するトルクリンクと
を含む、前記軸方向磁束モータ。
【請求項2】
前記第一のステータアセンブリが、前記第一のハウジングに強固に接続され、前記第二のステータアセンブリが、前記第二のハウジングに強固に接続される、請求項1に記載の軸方向磁束モータ。
【請求項3】
前記シールが、前記第一のハウジングと前記第二のハウジングの対向する表面の間にある、請求項1に記載の軸方向磁束モータ。
【請求項4】
前記シールが、可撓性および防水性を有する、請求項1に記載の軸方向磁束モータ。
【請求項5】
前記シールが、前記第一のハウジングと前記第二のハウジングとの間の最大1ミリメートルの動きを可能にするように構成される、請求項1に記載の軸方向磁束モータ。
【請求項6】
ホイールを受けるための前記スピンドルの外方端のホイールハブをさらに含む、請求項1に記載の軸方向磁束モータ。
【請求項7】
前記空洞の外側のブレーキアセンブリであって、前記スピンドルに強固に固定されるブレーキディスクと、ブレーキパッドを前記ブレーキディスクに締め付けるキャリパとを含む、ブレーキアセンブリをさらに含む、請求項1に記載の軸方向磁束モータ。
【請求項8】
前記空洞の外側のブレーキアセンブリであって、前記スピンドルに連結されたホイールの一部分を押すドラムブレーキを含む、ブレーキアセンブリをさらに含む、請求項1に記載の軸方向磁束モータ。
【請求項9】
前記第一のハウジングが前記スピンドルの周りを回転するとき、前記電気ワイヤがねじれないように配線される、請求項に記載の軸方向磁束モータ。
【請求項10】
前記トルクリンクが、前記スピンドルが、前記電気ワイヤに過度に張力を加えることなく、前記車両シャーシに対して移動することを可能にする、請求項に記載の軸方向磁束モータ。
【請求項11】
前記第一のハウジングおよび/または前記第二のハウジングから延在し、前記第一のステータアセンブリおよび/または前記第二のステータアセンブリによって生成される熱を放散させるフィンをさらに含む、請求項1に記載の軸方向磁束モータ。
【請求項12】
前記第一のステータアセンブリが前記スピンドルの周りを回転することを可能にする、前記スピンドルと前記第一のステータアセンブリとの間の第一のベアリングセットと、前記第二のステータアセンブリが前記スピンドルの周りを回転することを可能にする、前記スピンドルと前記第二のステータアセンブリとの間の第二のベアリングセットとをさらに含む、請求項1に記載の軸方向磁束モータ。
【請求項13】
第一のハウジングと、前記第一のハウジングの後壁上および内部に強固に取り付けられた第一の複数のコイルアセンブリとを含む第一のコイルステータアセンブリと、
前記第一のコイルステータアセンブリから分離され、第二のハウジングと、前記第二のハウジングの後壁上および内部に強固に取り付けられた第二の複数のコイルアセンブリとを含む第二のコイルステータアセンブリと、
前記第一および第二のコイルステータアセンブリの間に挟まれた磁気ロータアセンブリと、
回転軸の周りを回転するための前記第一のコイルステータアセンブリを支持する第一のベアリングアセンブリと、
前記回転軸の周りを回転するための前記第二のコイルステータアセンブリを支持する第二のベアリングアセンブリと、
前記回転軸を囲み、前記第一のハウジングおよび前記第二のハウジングと接触するシールとを含
前記第一のハウジングが、前記第一のハウジングの前面にシールリングプレートを含み、前記第二のハウジングが、前記シールリングプレートと、前記第一のハウジングの前記後壁に取り付けられた前記第一の複数のコイルアセンブリとの間で、前記第一のハウジング内に位置し、
前記第二のハウジングが、外径を有し、前記第二のハウジングの前記後壁上およびそこから離れて延在する円筒形壁を含み、前記円筒形壁が前記回転軸を囲み、前記第二のハウジングの前記外径よりも小さい外径を有し、前記シールが前記シールリングプレートと前記第二のハウジングの前記円筒形壁との間に位置する、軸方向磁束モータ。
【請求項14】
前記第二のハウジングが、前記第一のハウジング内にネストされる、請求項13に記載の軸方向磁束モータ。
【請求項15】
前記シールがリングシールである、請求項13に記載の軸方向磁束モータ。
【請求項16】
前記第一のコイルステータアセンブリが、前記第一のハウジングの前記前面から前記第一のハウジングの前記後壁上の少なくとも一つの冷却剤流路に延在する冷却剤流れ通路入口をさらに含む、請求項13に記載の軸方向磁束モータ。
【請求項17】
前記第一のハウジングの前面上の第一の取り付け点で、前記第一のハウジングに接続された一端部を有する第一のトルクリンクと、
前記第二のハウジングの前記後壁上の第二の取り付け点で、前記第二のハウジングに接続された一端部を有する第二のトルクリンクと、をさらに含み、
前記第一および第二の取り付け点が、前記回転軸に対して互いに対向する、請求項13に記載の軸方向磁束モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2018年6月15日に出願された「Axial Flux Motor with Cooling System」と題された米国出願第62/685,445号の35USC119(e)に基づく優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
電気車両およびハイブリッド車両は、従来、推進のためにラジアル磁束モーターを使用している。ラジアル磁束モーターは、典型的には、(1)磁石によって生成される磁束線がロータの回転軸に対して放射状に配向されるように、ロータの周辺に沿って位置付けられた複数の磁石を有するロータと、(2)複数のコイル巻線を有する、ロータの円周方向に配設されたステータとを含む。電流がコイル巻線に供給されると、結果として生じるコイル巻線の磁場と磁石の永久磁場の相互作用により、ロータがステータに対して回転する。ラジアル磁束モーターの設計と製造はよく確立され、現代の電気車両やハイブリッド車両で使われる主な理由の一つである。しかし、ラジアル磁束モーターは、効率、サイズ、トルク出力の点で、特に他の電気モータートポロジーと比較して制限されている。
【0003】
例えば、軸方向磁束モーターは、より高い効率、より小さなサイズ、より小さな重量、およびより高いトルク出力を含む、従来のラジアル磁束モーターよりも多くの利点を提供し得る。ラジアル磁束モーターとは対照的に、軸方向磁束モーターは、(1)磁石によって生成される磁束線がロータの回転軸と平行になるように、ロータの面上に配置された複数の磁石を有するロータと、(2)複数のコイル巻線を有するロータの回転軸に沿ってオフセットされるステータとを含む。換言すれば、軸方向磁束モーター内のロータおよびステータは、複数のロータおよび/またはステータが共通の回転軸に沿って互い上に積み重ねられ得る「パンケーキ」アセンブリーを形成する。軸方向磁束モーターの電気車両およびハイブリッド車両への統合は、製造性の問題のために、歴史的に制限されてきた。しかし、近年の軸方向磁束モーターの設計・製造の進歩により、電気車両やハイブリッド車両での使用に対する関心が高まってきた。
【発明の概要】
【0004】
軸方向磁束モーター(本明細書では「モーター」とも称される)は、車両のホイール(例えば、電気車両、ハイブリッド車両)を駆動することができる。軸方向磁束モーターは、モーターの全体的サイズおよび重量を減少させるための単一のロータおよび二つのステータを含む。モーターは、組み立ておよび保守を容易にするためにモジュール式であってもよく、別個のブレーキアセンブリーを支持するスピンドルを有する。モーターは、内方ハウジングと、それぞれがロータにトルクを与えるように構成されたコイルアセンブリーを支持する外方ハウジングとを含み得る。内方および外方ハウジングは、ステータおよびロータを含む内部空洞を共に画定してもよく、ステータおよびロータを外部環境から保護し得る。内方および外方ハウジングは、内部空洞を封止するために使用されるリングシールによって接合されてもよく、従って、内部空洞の中への汚れまたは水などの汚染物質の望ましくない浸潤を防止する。ステータは、ロータを回転させたり、サスペンション内で支柱を並進移動させたり、またはその両方を実施することができる。
【0005】
一例では、軸方向磁束モーターが、スピンドルと、スピンドルと同軸であり、スピンドルの周りに回転可能な第一のハウジングであって、スピンドルと同軸であり、スピンドルの周りに回転可能な第二のハウジングであって、第一のハウジングおよび第二のハウジングが空洞を形成する第一のハウジングおよび第二のハウジングと、第一のハウジングと第二のハウジングとの間に配置され、破片および/または液体が空洞に入るのを防止するシールと、空洞内であって、スピンドルに強固に接続される磁気ロータと、空洞内に配置され、スピンドルと同軸で、第一のトルクを磁気ロータに印加する第一のステータアセンブリーと、空洞内に配置され、スピンドルと同軸で、第二のトルクを磁気ロータに印加する第二のステータアセンブリーとを含む。
【0006】
第一のステータアセンブリーは、第一のハウジングに強固に接続されてもよく、第二のステータアセンブリーは、第二のハウジングに強固に接続され得る。シールは、第一のハウジングと第二のハウジングとの対向する表面の間とし得る。シールは、可撓性および防水であり得る。シールは、第一のハウジングと第二のハウジングとの間の最大1ミリメートルの移動を可能にし得る。軸方向磁束モーターは、ホイールを受けるスピンドルの外方端にホイールハブを含んでもよい。軸方向磁束モーターは、空洞の外側のブレーキアセンブリーを含み得、ブレーキアセンブリーは、スピンドルに強固に固定されるブレーキディスクと、ブレーキパッドをブレーキディスクに締め付けるキャリパーをさらに含む。あるいは、ブレーキアセンブリーは、ブレーキシューがホイールに連結されたブレーキドラムの一部分を押すドラムブレーキを含んでもよい。ブレーキディスクおよびブレーキドラムは、ブレーキロータおよびブレーキキャリパーを構成し得、ブレーキシューはブレーキアクチュエータを構成し得る。軸方向磁束モーターは、第一のステータアセンブリーに接続された電気ワイヤを保護するために、第一のハウジングの外部の外側の少なくとも一部分に沿って延在する電線管を含んでもよい。電気ワイヤは、第一のハウジングがスピンドルの周りに回転するとき、不要なねじれを避けるように配線され得る。軸方向磁束モーターは、第一のコイルステータアセンブリーおよび/または第二のコイルステータアセンブリーを冷却するために、冷却剤を空洞内に搬送するために、電線管と並置される少なくとも一つの冷却剤ラインを含んでもよい。
【0007】
軸方向磁束モーターは、第一のハウジングから延在し、電気ワイヤに接続される電気端子と、軸方向磁束モーターを車両シャーシに接続する電気端子の約1.5ミリメートル以内で第一のハウジングに取り付けられたトルクリンクとを含み得る。トルクリンクにより、スピンドルは、電気ワイヤに過度に張力をかけずに、車両シャーシに対して動くことができる。軸方向磁束モーターは、第一のハウジングおよび/または第二のハウジングから延在して、第一のコイルステータアセンブリーおよび/または第二のコイルステータアセンブリーによって生成される熱を放散させるフィンを含んでもよい。軸方向磁束モーターは、第一のステータアセンブリーがスピンドルの周りに回転することを可能にする、スピンドルと第一のステータアセンブリーとの間の第一のベアリングセットと、第二のステータアセンブリーがスピンドルの周りに回転することを可能にする、スピンドルと第二のステータアセンブリーとの間の第二のベアリングセットとを含み得る。
【0008】
別の例では、軸方向磁束モーターが、第一のコイルステータアセンブリーと、第一のコイルステータアセンブリーから分離された第二のコイルステータアセンブリーと、第一および第二のコイルステータアセンブリーの間に挟まれた磁気ロータアセンブリーと、回転軸の周りを回転するための第一のコイルステータアセンブリーを支持する第一のベアリングアセンブリーと、回転軸の周りを回転するための第二のコイルステータアセンブリーを支持する第二のベアリングアセンブリーと、回転軸を囲み、第一のハウジングおよび第二のハウジングと接触するシールとを含む。第一のコイルステータアセンブリーは、第一のハウジングおよび第一のハウジングの後壁および内側上に強固に取り付けられた第一の複数のコイルアセンブリーを含む。第二のコイルステータアセンブリーは、第二のハウジングおよび第二のハウジングの後壁および内側上に強固に取り付けられた第二の複数のコイルアセンブリーを含む。
【0009】
第一のコイルステータアセンブリーは、第一のハウジングの前面から第一のハウジングの後壁上の少なくとも一つの冷却剤流路に延びる入口冷却剤流れ通路をさらに含み得る。また、第一のコイルステータアセンブリーは、第一のハウジングの前面から第一のハウジングの後壁上の冷却剤流路まで延在する出口冷却剤流れ通路を含み得る。第一のハウジングの前面に入口冷却剤流れ通路に連結された第一の入口ポートと、第一のハウジングの前面に出口冷却剤流れ通路に連結された第一の出口ポートとがあり得る。同様に、第二のコイルステータアセンブリーは、第二のハウジングの少なくとも一つの冷却剤流路のための第二の入口ポートおよび第二の出口ポートを含み得る。
【0010】
軸方向磁束モーターのこのバージョンは、第一のハウジングの前面の第一の取り付け点で第一のハウジングに一端が接続された第一のトルクリンクと、第二のハウジングの裏面の第二の取り付け点で第二のハウジングに一端が接続された第二のトルクリンクとを有し得る。第一および第二の取り付け点は、回転軸に対して互いに対向する。第一の入口ポートおよび第一の出口ポートは、第一の取り付け点に隣接してもよく、第二の入口ポートおよび第二の出口ポートは、第二の取り付け点に隣接し得る。例えば、第一の入口ポート、第一の出口ポート、および第一の取り付け点は、約40°未満(例えば、約30°未満)の最大角度を有するセクター内に入ることができる。同様に、第二の入口ポート、第二の出口ポート、および第二の取り付け点は、約40°未満(例えば、約30°未満)の最大角度を有するセクター内に入ることができる。
【0011】
前述の概念および以下でより詳細に論じる追加的概念の全ての組み合わせは(このような概念は相互に矛盾していないという前提で)、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると考えられる。特に、本開示の最後に現れる、特許請求の範囲に記載する主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示する発明主題の一部であると考えられる。参照により本明細書に組み込まれる、あらゆる開示においても明示的に用いられる用語は、本明細書に開示される特定の概念と最も一致する意味を与える必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
当業者であれば、図面が主として例示的な目的であること、そして本明細書に記載する本発明の主題の範囲を制限することを意図していないことを理解するだろう。図面は必ずしも一定の比率ではなく、いくつかの実例では、本明細書に開示する本発明の主題のさまざまな態様は、異なる特徴の理解を容易にするために、図面内で誇張または拡大されて示され得る。図面では、同様の参照文字は一般に、同様の特徴(例えば、機能的に類似したおよび/または構造的に類似した要素)を意味する。
【0013】
図1図1は、例示的な軸方向磁束モーターの外方ハウジングの正面斜視図を示す。
図2図2Aは、外方ハウジングおよびスピンドルを示す、図1の軸方向磁束モーターの側面図を示す。図2Bは、図1の軸方向磁束モーターの正面図を示す。
図3A図3Aは、図1の軸方向磁束モーターの分解後部斜視図を示す。
図3B図3Bは、図1の軸方向磁束モーターの分解正面斜視図を示す。
図4図4は、図1の軸方向磁束モーターの分解断面側面図を示し、外方ハウジング、二つのコイルアセンブリーの間に挟まれた磁気ロータアセンブリー、および内方ハウジングを示す。
図5図5は、図1の軸方向磁束モーターの断面側面図を示す。
図6図6は、図1の軸方向磁束モーターの断面正面斜視図を示す。
図7図7Aは、図1の軸方向磁束モーターにおける外方コイルステータアセンブリーの正面斜視図を示す。図7Bは、図1の内方コイルステータアセンブリーの軸方向磁束モーターの背面斜視図を示す。
図8A図8Aは、図1の軸方向磁束モーターの背面図を示す。
図8B図8Bは、図1の軸方向磁束モーターの背面斜視図を示す。
図9図9は、図1の軸方向磁束モーターの部分的な断面図を示す。
図10図10は、車両のサスペンションおよびホイールアセンブリーに統合された、図1の軸方向磁束モーターの正面斜視図を示す。
図11図11は、図10のホイールアセンブリーの断面正面斜視図を示す。
図12図12Aは、コイルステータアセンブリーがそれぞれの第一の回転位置にある図10のホイールアセンブリーを示す。図12Bは、コイルステータアセンブリーが互いに対してそれぞれの第二の回転位置に回転し、結果としてホイールアセンブリーの並進移動をもたらす、図12Aのホイールアセンブリーを示す。図12Cは、コイルステータアセンブリーが互いに対してそれぞれの第三の回転位置に回転し、結果としてホイールアセンブリーの追加的な並進移動をもたらす、図12Bのホイールアセンブリーを示す。
図13図13は、図1の軸方向磁束モーターの部分断面側面図を示し、外方の冷却剤流れ通路をモーターの内方側に接続している冷却剤チャネルのうちの一つを示す。
図14図14は、冷却剤供給チューブ、電気ケーブル、および歪み緩和部を有する図10のホイールアセンブリーの正面斜視図を示す。
図15図15Aは、内方ハウジングが外方ハウジングに部分的にネストされる別の例示的軸方向磁束モーターの断面側面図を示す。図15Bは、別の例示的な軸方向磁束モーターの断面側面図を示し、内方ハウジングと外方ハウジングは、形状および寸法が類似しており、単一のリングシールを介して共に結合される。図15Cは、別の例示的な軸方向磁束モーターの断面側面図を示し、内方ハウジングは、単一のリングシールを介して外方ハウジングに内方ハウジングを接合する側壁ハウジングを含む。図15Dは、別の例示的な軸方向磁束モーターの断面側面図を示し、内方ハウジングおよび外方ハウジングは、側壁ハウジングおよび複数のリングシールによって共に結合される。
図16-1】図16Aは、ホイールアセンブリーに対して内方構成に配置された冷却フィンを有する別の例示的な軸方向磁束モーターおよびホイールアセンブリーの断面側面図を示す。図16Bは、ホイールアセンブリーに対して外方構成に配置された冷却フィンを有する別の例示的な軸方向磁束モーターおよびホイールアセンブリーの断面側面図を示す。
図16-2】図16Cは、ハブの周辺部に沿って配置されたディスクフィンを有する例示的な冷却ハブの正面斜視図を示す。図16Dは、ハブの面上に配置されたピンフィンを有する別の例示的な冷却ハブの正面斜視図を示す。
図17-1】図17Aは、遠心ブロワーとして機能するようにハブの面上に配置されたブレードを有する別の例示的な冷却ハブの正面斜視図を示す。図17Bは、ハブの周辺部に沿って配置されたスパイラルブレードを有する別の例示的な冷却ハブの正面斜視図を示す。
図17-2】図17Cは、ホイールアセンブリーを通る空気流を生成するための、ステータガイドベーンおよび動翼を有する別の例示的な軸方向磁束モーターおよびホイールアセンブリーの断面側面図を示す。
図18図18Aは、MacPherson支柱およびロッカーおよび電気的接続がMacPherson支柱に沿って軸方向磁束モーターに走る、外方構成の例示的なホイールアセンブリーおよび軸方向磁束モーターを示す。図18Bは、図18Aと同様の電気的接続を備えたMacPherson支柱およびPanhardバーを備えた外方構成の例示的なホイールアセンブリーおよび軸方向磁束モーターを示している。図18Cは、Aアームサスペンション、およびドライブシャフトならびに図18Aのものと同様の電気的接続を備えた外方構成の例示的なホイールアセンブリーおよび軸方向磁束モーターを示す。
図19図19Aは、内方構成で電気的接続を有する例示的な軸方向磁束モーターを示す。図19Bは、外方構成の電気的接続を有する例示的な軸方向磁束モーターを示す。
図20図20は、例示的なホイールアセンブリーおよびスイングアームサスペンションに取り付けられた軸方向磁束モーターの正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
従来的な軸方向磁束モーターは、いくつかの理由から、その製造可能性および実用的な使用の点で制限されてきた。例えば、従来の軸方向磁束モーターは、交互に配置される複数のロータおよびステータを互いに積み重ねて使用することが多い。複数のロータとステータを含めると、モーター全体のサイズと重量が増加する。大型で重いモーターは、車両範囲を縮小し、車両の速度を低下させ、モーターがホイールとともに外向きに取り付けられている場合、車両のバネ下質量を増加させることにより、車両性能を低下させる可能性がある。バネ下質量が高いと、ホイールとタイヤにかかる動的負荷が増大し、車両に伝わる振動が増え、乗り心地が悪くなる原因となる。さらに、ステータのコイル巻線は、動作中に熱を生成するが、冷却は、ステータが複数のロータの間にある場合、ステータを通した熱伝導に依存するため、放散が困難な場合がある。従って、モーターの性能は、モーターのさまざまな構成要素の過剰な加熱によって制限され得る。
【0015】
車両を前進させるために実用的なものとして、軸方向磁束モーターは、車両ホイールに収まるほど軽くて小型であるべきである。また、ロータおよびステータを、道路上の汚れ、岩、砂利などの破片から保護するケーシングまたはハウジングも含む。このケーシングまたはハウジングは、ロータおよびステータを汚染物質(汚れ、埃、ブレーキの埃など)から保護するために十分に密封する必要がある。環境から汚染物質が時間の経過とともに侵入すると、ロータおよび/またはステータが故障する可能性がある。また、ハウジングまたはケーシングは、簡単に組み立てて分解し、保守を行う必要がある。
【0016】
発明の軸方向磁束モーターは、軽量で、コンパクトであり、組み立ておよび分解が容易なケーシング内に封止され得る。これは、二つのコイルステータアセンブリーの間に単一のロータを有し得、それぞれがロータにトルクを印加し得る。単一のロータを使用すると、軸方向磁束モーターの全体的なサイズと重量が低減され、モーターをホイールのハブ内に外方に取り付けることができる。軸方向磁束モーターの小さなサイズは、よりモジュール式のホイールアセンブリーを可能にし得る。例えば、軸方向磁束モーターに組み込まれるのではなく、別個のブレーキアセンブリーをスピンドルに取り付けることができる。ブレーキアセンブリーは、ホイールの回転および/またはホイールの延伸を減少させるために、モーターから別個に取り付けられた、ディスクブレーキ(例えば、ブレーキキャリパーおよびスピンドルに取り付けられたブレーキディスク)、またはドラムブレーキ(例えば、ブレーキシューおよびホイールに取り付けられたブレーキドラム)とし得る。このモジュール式アセンブリーは、軸方向磁束モーターまたはブレーキアセンブリーが、他の構成要素の分解なしに容易にアクセスおよび交換され得る、メンテナンスの容易さを改善し得る。
【0017】
軸方向磁束モーターは、ロータおよびコイルステータアセンブリーを含む内部空洞を一緒に画定する、内方ハウジングおよび外方ハウジングを含み得る。内方および外方ハウジングは、少なくとも一つのリングシールを使用して一緒に接合され、外部環境から内部空洞を封止することができる。さらに、内方および外方ハウジングは、空気冷却(例えば、内方ハウジングおよび/または外方ハウジングの外部上のフィンを介して)および/または液体冷却(例えば、内方ハウジングおよび/または外方ハウジングに統合されたチャネルを通って流れる冷却剤を介して)を使用して、二つのコイルステータアセンブリーから熱を放散し得る。
【0018】
各コイルステータアセンブリーは、コイルステータアセンブリーから独立してトルクを生成でき、両方のコイルステータアセンブリー間の差動動作に基づいて、2自由度(DOF)に沿って作動することができる。一実施例では、各コイルステータアセンブリーは、対応するベアリングのセットを介してスピンドルの周りに回転するように構成され得る。コイルステータアセンブリーが同じ方向にロータにトルクを与えると、ロータが回転する。両方のコイルステータアセンブリーは、二つのコイルステータアセンブリーがロータ上に反対方向に向けられたトルクを与えるとき、ロータが並進移動(直線的に移動)するように、サスペンションリンケージに連結され得る。このようにして、二つのコイルステータアセンブリーは、車輪の回転運動および/またはサスペンションの並進運動を提供し得、これは単一のステータを有する軸方向磁束モーターでは不可能である。モーターは、ホイールが動くにつれてケーブルが故障し得るケーブル(例えば、電気ケーブル、冷却剤チューブ)の動きを低減するためのさまざまな特徴(例えば、歪み緩和特徴)を含んでもよい。
【0019】
下記に説明される図および実施例は、本願の実施の範囲を単一の実施形態に限定することを意味していない。記述または図示された要素の一部または全てを交換することによって、他の実施が可能である。さらに、開示された例示的な実施のある特定の要素が公知の構成要素を使用して部分的または完全に実施され得る場合、いくつかの実例では、本実施の理解に必要なそのような公知の構成要素の一部のみが記載され、そのような公知の構成要素の他の部分の詳細な説明は、本実施を不明瞭にしないように省略される。
【0020】
例示的軸方向磁束モーター
図1、2A、および2Bは、中央スピンドル108にそれぞれ取り付けられ、中央スピンドル108(によって画定される回転軸)の周りを回転できる、外方ハウジング102と、内方ハウジング106(例えば、ベルハウジング)とを含む例示的な軸方向磁束モーター100を示す。示されるように、外方ハウジング102および内方ハウジング106は、内方ハウジング106が外方ハウジング102内にネストされる場所で、互いに面し得る。共に、外方ハウジング102および内方ハウジング106は、軸方向磁束モーター100の他の構成要素が収容され、汚れおよび水などの外部環境汚染物質から保護され得る内部空洞を形成する。内方ハウジング106および外方ハウジング102はそれぞれ、鋳造アルミニウムおよびその他の適切な材料を含むがこれに限定されないさまざまな材料から形成され得る。
【0021】
図3Aおよび3Bは、それぞれ、モーター100の分解後斜視図および分解前斜視図を示す。示されるように、モーター100は、外方ハウジング102に固定されたコイルステータアセンブリー126、内方ハウジング106に固定されたコイルステータアセンブリー128、および二つのコイルステータアセンブリー102と106の間に挟まれた磁気ロータアセンブリー146の三つの主要な構成要素に細分化され得る。外方ハウジング102の内部後部壁に強固に固定されるコイルアセンブリー130のアレイが存在し得る(図7Aを参照)。コイルアセンブリーのアレイ130は、回転軸114の周りに均等に間隔を置いてもよい。同様に、内方ハウジング106の内部後壁に強固に固定される、コイルアセンブリー130の別のアレイが存在し得る(図7Bを参照)。また、これらのコイルアセンブリー130は、回転軸114の周りに均等に間隔を置いてもよい。コイルアセンブリー130の二つのアレイは同一であり得る(すなわち、コイルアセンブリーは同一であり、コイルアセンブリーの数は同一であり、それぞれのハウジング上のそれらの放射状位置は同一である)。外方コイルステータアセンブリー126では、コイルアセンブリー130は、コイルアセンブリー130のアレイの外周の周りに配置され(図7Aを参照)、外方ハウジング102にねじ止めされたクランプ138のセットによって所定位置に保持され得る。内方コイルステータアセンブリー128では、コイルアセンブリー130は、コイルアセンブリー130のアレイの外周の周りに位置され(図7Bを参照)、内方ハウジング102にねじ止めされた別のクランプ139の組によって所定位置に保持され得る。コイルアセンブリーの内周の周りに位置する類似のクランプを使用して、コイルアセンブリーをハウジングに固定する(図では非表示)。
【0022】
各コイルアセンブリーは、コア134と、そのコア134の周りに巻線された銅巻線132とを含み得る。回転軸114に垂直な平面におけるコア134の断面は、ほぼ切断されたパイ形状であり得る。巻線132は、モーター100の回転軸に平行な軸の周りに巻線されてもよく、従って、大部分が軸方向に配向された磁場を生成する。コア134は、焼結鋼を含むがこれに限定されない、比較的高い磁気透過性を持つさまざまな材料から形成され得る。
【0023】
磁気ロータアセンブリー146は、永久磁石150のアレイを保持する円形ディスク構造体148であり得る。永久磁石150は、磁石150が回転軸114の周りに等しく間隔を置いているという点で、コイルアセンブリー130と類似し得る。磁石150の磁化は、回転軸114に対して平行に配向されてもよく、磁石150のアレイの周りで一つの磁石から次の磁石へと方向を変えてもよい(例えば、磁化は、内方ハウジング106または外方ハウジング102に向かって配向される)。磁石150を保持する円形ディスク構造体148は、磁石150を保持するポケットを有するリブ構造であり得る。磁石150およびそれらが嵌合するポケットは、長方形形状であってもよく、磁石150の間にくさび形状の領域を残し得る。図3Aおよび3Bに示すように、材料をこれらの領域から除去して、磁気ロータアセンブリー146の重量を低減し得る。例示的なモーター100では、コイルアセンブリーの各アレイ内に、永久磁石150および18コイルアセンブリー130のアレイ内に24個の磁石がある。
【0024】
図4は、各コア134が、ハウジングに接触するコア134の側面を囲むフランジ136を有し得ることを示す。フランジ136は、コア巻線の厚さとほぼ等しい深さを有し得る。コア134およびフランジ136は、比較的高い磁気透過性を有する焼結鋼で作製され得る。フランジ136は、コイルによって生成される磁場を含み得る。各コア134の側面(フランジ136とともに)は、より良い熱放散のために、それが強固に取り付けられるハウジングと良好な熱接触で配置され得る。
【0025】
外方ハウジング102は、三つの電気端子140を有してもよく、ハウジングを通してコイルステータアセンブリー126内のコイルアセンブリー130のアレイに電気的に接続され得る。端子140は、三相駆動信号をコイル130に供給して、磁気ロータアセンブリー146とコイルステータアセンブリー126との間の相対トルクを生成し得る。同様に、内方ハウジング106は、三つの電気端子110を有してもよく、ハウジングを通してコイルステータアセンブリー128内のコイルアセンブリー130のアレイに電気的に接続され得る。これらの端子110は、三相駆動信号をコイル130に供給して、磁気ロータアセンブリー146とコイルステータアセンブリー128との間の相対トルクを生成し得る。
【0026】
図4は、磁気ロータアセンブリー146がスピンドル108に強固に取り付けられてもよいことを示す。磁気ロータアセンブリー146およびスピンドル108は、単一の部品として、または製造後に組み立てられる複数の部品として製造され得る。従って、コイルアセンブリー130への駆動信号は、磁気ロータアセンブリー146およびスピンドル108を共に回転させ得る。外方ハウジング102は、1組のベアリング168によってスピンドル108上で支持されてもよく、外方ハウジング102が、スピンドル108に対して回転する(または、スピンドル108が外方ハウジング102に対して回転する)ことが可能になる。同様に、内方ハウジング106は、ベアリング170によってスピンドル108上で支持されてもよく、内方ハウジング106がスピンドル108に対して回転する(またはスピンドル108が内方ハウジング106に対して回転する)ことが可能になる。
【0027】
図5および図6は、スピンドル108に対するコイルステータアセンブリー126および128の追加的な断面図を示す。コイルステータアセンブリー126および128は、互いに外部機械的または磁気的結合(例えば、二つのコイルステータアセンブリー126および128を接続する機械的リンク)を欠き、回転軸114の周りを互いに独立して回転し得る。コイルステータアセンブリー126および128の独立した動きは、部分的に、リングシールからの摩擦力またはコイルステータアセンブリー126および128の間の空気力学的結合などの寄生力の排除または無視に基づく。実用的な軸方向磁束モーターでは、寄生力は、コイルステータアセンブリー126と128との間に無視できないほどであるが、小さなカップリングを引き起こす可能性がある。
【0028】
コイルステータアセンブリー126および128は独立して移動することができ、いかなる外部リンクも存在しないため、動作中に互いに整列しない場合がある。例えば、図5および図6は、互いに回転したコイルステータアセンブリー126および128を示す。図4および図6では、二つのコイルステータアセンブリー126および128は、互いに整列しているように示されており、従って、それぞれのコイルアセンブリー130の断面図は類似しているように見える(例えば、各コイルアセンブリー130の二つのコア134が示される)。対照的に、図5は、内方コイルアセンブリー130の巻線132のみが示され、外方コイルアセンブリー130のコア134および巻線132が示される、整列されていない位置にある二つのステータアセンブリー126および128を示す。
【0029】
内方ハウジング106および磁気ロータアセンブリー146は、リング(またはカバー)104(例えば、シールリングプレート)によって外方ハウジング106内に取り囲まれ得る。リング104は、外方ハウジング102内の対応するねじ山付き孔125と整列する、周辺部の周りに配置されるいくつかのボルト孔124を有するフランジ103を有し得る。ボルトは、穴124を通して挿入されて、リング104を外方ハウジング102に固定することができる。次いで、リングシール166は、コイルステータアセンブリー126および128が互いに対して回転できるように、内方ハウジング106と外方ハウジング102のアセンブリーとリング104との間に配置され得る。他の構成では、リング104は、下記に説明されるように、内方ハウジング106または外方ハウジング102の一部として省略または統合され得る。
【0030】
内方および外方軸方向磁束モーターハウジング
図1~8は、内方ハウジング106および外方ハウジング102を示し、それぞれベルハウジングであり得る。内方ハウジング106は、コア134を支持する内方ハウジング106の側面から延在する円筒形壁107を含み得る。リング104は、リング104が外方ハウジング102上に組み立てられるとき、内方ハウジング106の円筒形壁107が嵌合する、隆起した円筒状カラー105を有し得る。円筒状カラー105は、内向きに延在するリップ109を有し得る。隆起した円筒状カラー105の内径は、リップ109および円筒形壁107を有する円筒状カラー105が、二つの構成要素の間に空洞164(図5を参照)を形成して、二重リップリングシール166を収容するように、(図6を参照)円筒形壁107によって画定される領域の外径よりも大きい。リングシール166は、リングシール166の外表面がカラー105の内表面に当接し、リングシール166の側部がカラーリップ109に当接するように、カラー105内に取り付けられ得る。リングシール166の内表面は、内方ハウジング106が外方ハウジング102内で回転するとき、内方ハウジング106の円筒形壁107の外表面に対してライドする、可撓性の二重リップを有し得る。
【0031】
リングシール166は、内方ハウジング106が外方ハウジング102に対して回転する場合でも、内部空洞と周囲環境との間にシールを形成し得る。シールは、汚れまたは水などの望ましくない破片が軸方向磁束モーター100の内部空洞に侵入するのを防止し得る。さらに、内方ハウジング106および外方ハウジング102が互いに独立して回転する程度は、リングシール166と円筒形壁107との間の摩擦力の量にも依存し得る。いくつかの事例では、リングシール166は、内方ハウジング106および外方ハウジング102が互いに最大約1mm合計で移動することを可能にし得る(例えば、各ステータは、ロータに対して合計1mmの可動域で約0.5mm移動し得る)。
【0032】
リングシール166は、可撓性および/または防水性または耐水性であり得る。さらに、リングシール166は、所望の動作温度範囲および/または所望の動作寿命の持続時間全体にわたって適合したままであるべきである。また、リングシール166は、モーター100の製造に使用される材料および動作中に遭遇する液体異物(例えば、水、油、汚れ)と互換性があるべきである。リングシール166は、モーター100が液体中に浸漬されるとき、液体(例えば、冷却剤、水)の浸潤に耐えるように構成されるべきである。例えば、リングシール166は、所望の圧力での液体浸潤に耐えるように定格され得る。
【0033】
内方ハウジング106および外方ハウジング102は、組み立てられたときに密封された空洞を形成する他の形状および/または寸法を有し得る。内方ハウジング106および外方ハウジング102の形状および/または寸法は、モーター100の全体サイズの制約、コイルステータアセンブリー126および128および磁気ロータアセンブリー146を含む内部空洞の望ましい体積、および内部空洞が外部環境から封止される容易さを含むがこれに限定されない、いくつかの要因に依存し得る。
【0034】
図15A~15Dは、内方ハウジング1506および外方ハウジング1502の異なる設計およびアセンブリーを有するいくつかの他の例示的なモーター1500a~1500dを示す。例えば、図15Aは、内方ハウジング1506aおよび外方ハウジング1502aが再びそれぞれベルハウジングであるモーター1500aを示す。前述のように、内方ハウジング1506aおよび外方ハウジング1502aは、組み立てられたときに内部空洞1564を画定する。内方ハウジング1506aは、内方コイルアセンブリー1528を支持し、外方ハウジング1502aは、外方コイルアセンブリー1526を支持する。コイルアセンブリー1526および1528は、上述のように、スピンドル1508に強固に固定された磁気ロータアセンブリー1546を回転させ得る。内方ハウジング1506aおよび外方ハウジング1502aは、ベアリング1570および1568のそれぞれのセットを介してスピンドル1508の周りを回転するように構成される。しかしながら、図1~8に示す内方ハウジング106および外方ハウジング102とは異なり、内方ハウジング1506aおよび外方ハウジング1502aは、別個のリングなしでリングシール1504aを介して互いに直接連結されてもよく、それによってモーター100の設計およびアセンブリーが簡略化される。示されるように、内方ハウジング1506aは、外方ハウジング1502aに部分的にネストされ得る。
【0035】
図15Bは、内方ハウジング1506bおよび外方ハウジング1502bが再びベルハウジングである、別のモーター1500bを示す。この場合、内方ハウジング1506bおよび外方ハウジング1502bは、リングシール1504bを介して互いに直接連結された実質的に同一の部品であり得る。内方ハウジング1506bおよび外方ハウジング1502bを同様であるように設計することによって、同じ部品を内方ハウジング1506bまたは外方ハウジング1502bのいずれかとして使用し得るため、製造コストを低減することができる。
【0036】
図15Cは、内方ハウジング1506cおよび外方ハウジング1502cが平板(例えば、円形、長方形、または別の形状)である別のモーター1500cを示す。示されるように、内方ハウジング1506c(または外方ハウジング1502c)は、側壁ハウジング1510に連結され得る(例えば、ボルトまたは他の好適な締結具を介して)。側壁ハウジング1510は、内方ハウジング1506cおよび外方ハウジング1502cの形状に応じてさまざまな形状を有し得る。例えば、側壁ハウジング1510は、内方ハウジング1506cおよび外方ハウジング1502cが円形プレートである場合、円筒形であってもよく、側壁ハウジング1510および内方ハウジング1506cのアセンブリーは、ベル形状ハウジングを画定し得る。内方ハウジング1506cおよび側壁ハウジング1510は、リングシール1504cを介して外方ハウジング1502cと接合されて、囲まれた空洞1564を形成し得る。この設計は、内方ハウジング1506cおよび外方ハウジング1502cが、より単純な形状を有し、従って、製造が容易であるという点で好ましい場合がある。
【0037】
図15Dは、内方ハウジング1506dおよび外方ハウジング1502dが再び平板プレートである別のモーター1500dを示す。しかしながら、この事例では、内方ハウジング1506dおよび外方ハウジング1502dは、リングシール1504eおよび1504dを介してそれぞれ側壁ハウジング1510に結合され得る。このように、内方ハウジング1506d、外方ハウジング1502d、および側壁ハウジング1510はそれぞれ互いに独立して回転し得る。側壁ハウジング1510は、少なくとも内方ハウジング1506d、外方ハウジング1502d、および磁気ロータアセンブリー1546に対して、固定された機械的基準を提供するために、車両の別の部分(例えば、シャーシ、フレーム、サスペンションアップライト)に機械的に結合され得る。
【0038】
軸方向磁束モーターの液体冷却
図1~8は、ハウジング102および106のそれぞれに統合された液体冷却剤システムを示す。空気流が不十分なため、および/または空気が熱を放散するには小さすぎる露出表面のために、空気冷却が不可能な場合には、液体冷却が好ましい場合がある。さらに、液体冷却は、モーター100から、空気冷却がより実用的である(例えば、より高い空気流および/またはより大きな表面積)、車両の別の領域に熱を輸送することを可能にし得る。液体冷却剤システムは、車両内のオンボード配管サブシステムを利用して冷却剤の流れを生成し、それによってより高い出力密度のモーター100を可能にし得る。
【0039】
示されるように、外方ハウジング102の後部壁は、冷却剤流れ通路156を通って流れる冷却剤が、良好な熱接触のために外方ハウジング102の後部壁の内部側に取り付けられたコイルアセンブリー130に近接するように、後部壁の周辺の周りに延在する冷却剤流れ通路156を含み得る。同様に、内方ハウジング106の後壁は、内方ハウジング106の周辺の周りに延在する冷却剤流れ通路158を含んでもよい。再び、冷却剤流れ通路158を通って流れる液体冷却剤は、良好な熱接触のために、内方ハウジング106の後壁の内部側に配置されたコイルアセンブリー130に近接し得る。示されるように、冷却剤流れ通路156および158は、それぞれの外方ハウジング102の後部壁および内方ハウジング106の後壁上に陥凹チャネルとして形成され得る。外方ハウジング102および内方ハウジング106の陥凹チャネルは、それぞれプレート160および162によってそれぞれ覆われて、それぞれの冷却剤流れ通路を取り囲んでもよい。冷却剤流れ通路156および158は、経時的な損傷または摩耗を引き起こし得るキャビテーションおよび/または望ましくない流体流れを低減するように成形され得る。冷却剤流れ通路156および158は、液体冷却剤システム内の不要な気泡の除去を容易にする吹出し弁を含んでもよい。
【0040】
他の構成では、カバープレート160および162は、冷却剤流れ通路156および158の少なくとも一部分を画定し得る。次に、カバープレート160および162は、外方ハウジング102および内方ハウジング106の実質的に平坦な表面にそれぞれ結合され得る。この構成は、カバープレート160および162が、他の冷却装置(例えば、空気冷却用の熱フィン)と容易に分離および/または置換され得るモジュール式液体冷却システムとして機能することを可能にし得る。さらに、カバープレート160および162ならびにハウジング102および106は、異なる材料から形成され得る。例えば、カバープレート160および162は、アルミニウムから形成されてもよく、ハウジング102および106は、マグネシウムまたは他のより軽量な材料から形成され得る。冷却剤は、水およびグリコール系冷却剤を含むがこれに限定されないさまざまなタイプの流体であり得る。
【0041】
内方ハウジング106に関して、カバープレート162は、冷却剤流れ通路158の中へ、および外へ流れる冷却剤用の冷却剤入口チャネル112aおよび冷却剤出口チャネル112bをそれぞれ含み得る。図2Bは、冷却剤チャネル112aおよび112bが、カバープレート162の両端に位置し得ることを示す。冷却システム(例えば、ポンプ、ラジエータ)への接続を容易にするために、図10はさらに、冷却剤入口チャネル112aおよび冷却剤出口チャネル112bが、冷却システムに可撓性チューブ(図示せず)を取り付けるために、冷却剤入口ポートコネクター113aおよび冷却剤出口ポートコネクター113bにそれぞれ連結され得ることを示す。冷却剤ポートコネクター113aおよび113bは両方とも、モーター100の内方側に配置され得る。
【0042】
外方ハウジング102に関して、冷却剤流れ通路156は、冷却剤流れ通路156の中へ、および外へ流れる冷却剤用の冷却剤入口チャネル118aおよび冷却剤出口チャネル118bをそれぞれ含み得る。図6および図9は、冷却剤チャネル118aおよび118bが、冷却剤流れ通路156の対向する端部で外方ハウジング102内に形成され得ることを示す。示されるように、冷却剤チャネル118aおよび118bは、ハウジング102の背側からハウジング102の側面に沿って延在してもよく、冷却剤流れ通路156は、リング104が取り付けられているハウジング102の前面に位置する。このように、冷却剤チャネル118aおよび118bは、冷却剤チャネル112aおよび112b(すなわち、モーター100の内方側)と同じ側に配置されてもよく、従って、冷却剤通路156および158の両方を通して冷却剤を流すために使用される管との連結の容易さを改善する。図13はさらに、外方ハウジング102の側面に沿って延在する冷却剤出口チャネル118bを示す。図7Aは、冷却剤チャネル118aおよび118bが、それぞれ、冷却システムに可撓性チューブ(図示せず)を取り付けるために、冷却剤入口ポートコネクター119aおよび冷却剤出口ポートコネクター119bにそれぞれ連結され得ることを示す。また、入口および出口ポートコネクター119aおよび119bが、モーター100の内方側に位置することに留意されたい。
【0043】
軸方向磁束モーターの空気冷却
別の実施例では、モーター100は、車両が移動および/またはホイールが回転するにつれて、モーター100を横切る空気の流れを介して対流的に冷却され得る。対流冷却は、自然対流(例えば、車両が低速である場合)および強制対流(例えば、車両が高速である場合)の両方を含み得る。内方ハウジング106および外方ハウジング102などのモーター100のさまざまな構成要素は、車両が静的位置から移動しているときにモーター100が過熱しないように、コイルステータアセンブリー126および128によって生成される熱の一部を一時的に貯蔵するのに十分な熱容量を有し得る。また、モーター100は、対流冷却が熱を放散するのに十分でなく、かつ熱がモーター100の構成要素によって十分に吸収できない場合、モーター100が過熱する(すなわち、動作温度閾値を超える)のを防止するオンボード温度監視システムを含んでもよい。
【0044】
対流性熱伝達は、モーター100の外表面(例えば、外方ハウジング102、内方ハウジング106、および/またはリング104)上に一つまたは複数の冷却フィンを統合して、対流性熱伝達に利用可能な表面積を増加させることによって強化され得る。冷却フィンは、シート金属プレス、鋳造、成形、溶接、ろう付け、または機械加工を含むがこれに限定されないさまざまな製造プロセスを使用して、外方ハウジング102、内方ハウジング106、および/またはリング104上に直接形成され得る。
【0045】
あるいは、冷却フィンを有する冷却ハブは、コイルステータアセンブリー126および128によって生成される熱を放散させるために、モーター100に取り付けられ得る。図16Aは、内方ハウジング106に連結された冷却ハブ1600aを示す。そして図16Bは、外方ハウジング102に連結された冷却ハブ1600bを示す。いくつかの設計では、内方ハウジング106および外方ハウジング102上に冷却ハブ1600aおよび1600bが存在し得る。
【0046】
図16A(16B)に示すように、冷却ハブ1600a(1600b)は、ハブ1610a(1610b)と冷却フィン1620a(1620b)とを含み得る。ハブ1610a(1610b)は、ボルトまたは他の締結具を使用してモーター100に連結され得る。いくつかの事例では、熱ペースト、エポキシ、または接着剤が、ハブ1610a(1610b)と、冷却ハブ1600a(1600b)が取り付けられるモーター100の表面(例えば、内方ハウジング106または外方ハウジング102)との間に配置されて、熱伝導率を増加させることができる。冷却ハブ1600a(1600b)は、アルミニウムを含むがこれに限定されない熱伝導性材料から形成され得る。さらに、冷却ハブ1600a(1600b)は、シート金属折り畳み、鋳造、成形、溶接、ろう付け、または機械加工を含むがこれに限定されない、さまざまな製造プロセスを使用して形成され得る。
【0047】
図16Cは、ハブ1610cの周辺部の周りに配置されるディスクフィンである冷却フィン1620cを有する一つの例示的な冷却ハブ1600cを示す。図16Dは、別の例示的な冷却ハブ1600dを示し、冷却フィン1620dは、ハブ1610dの面上に配置されたピンフィンである。示されるように、ハブ1610dは、スピンドル108が通過し得る中央開口部を含み得る。ハブ1610dは、それ自体のベアリングのセットによって支持されてもよく、または、ベアリング168および/または170に依存してスピンドル108の周りを回転し得る。
【0048】
一部の事例では、冷却フィンは、モーター100を横切る空気の流れを操作して冷却をさらに強化するように、形状および/または寸法設定され得る。例えば、図17Aは、ハブ1710aの面上に配置された湾曲したフィン1720aを有する例示的な冷却ハブ1700aを示す。フィン1720aは、ホイールが回転するにつれてモーター100の周りの空気の高速流を生成する遠心ブロワーとして機能し、それによって対流性熱伝達を増加させ得る。図17Bは、同様の空気の流れを生成するために、ハブ1710bの周辺に配置されたスパイラルフィン1720bを有する別の例示的な冷却ハブ1700bを示す。
【0049】
図17Cは、モーター100、ホイールアセンブリー、および他の構成要素に対する冷却フィン1730および1740の異なる配置を示す。例えば、冷却フィンは、車両上のサイドベント(または他の空気力学的要素)によって生成される流路内にあり得る。別の実施例では、ホイールハブ192は、ホイールアセンブリーを通して、かつモーター100を横切って空気を吸い込む動翼1730を含み得る。冷却ハブは、動翼1730から空気を受けるように設計および配置され得る。別の実施例では、ステータガイドベーン1740は、同じ目的のために、外方ハウジング102(または内方ハウジング106)の外部上に統合され得る。
【0050】
軸方向磁束モーターによる多重自由度(DOF)の作動
軸方向磁束モーター100内のコイルステータアセンブリー126および128はそれぞれ、磁気ロータアセンブリー146を回転させるトルクを生成し得る。さらに、コイルステータアセンブリー126および128によって生成される反作用トルクは、車両内の別の機構(例えば、サスペンション)を作動させるために使用され得る。例えば、図9は、それぞれのコイルステータアセンブリーによって生成されたトルクをモーター100を支持する車両の本体に伝達するために、トルクリンク172および174にそれぞれ連結されたコイルステータアセンブリー126および128を示す。示されるように、トルクリンク172は、トルクリンク172が点176の周りを旋回できるように、旋回ジョイントを介してリング104上の取り付け点176に接続され得る。取り付け点176は、モーター100の一方の側面に沿って位置し得る。トルクリンク174は、トルクリンク172から対向する側に位置付けられ得る。示されるように、トルクリンク174は、ピンジョイントを介してトルクリンク取付ブラケット177上の取り付け点178に接続され得る。トルクリンク取付ブラケット177は、内方ハウジング106に連結され得る。トルクリンク取付ブラケット177は、取り付け点178を、取り付け点176の半径方向距離と実質的に類似した半径方向距離(すなわち、回転軸114からの距離)に位置付けるように形状付けられ得る。図9は、取り付け点176および178が、モーター100の内方側に沿って、それぞれ90°および270°の角度にほぼ位置しており、0°はモーター100の上部に対応することを示す。トルクリンク172および174の他端は、車両に直接取り付けられてもよく、または図14に示されるように、剛性接続ブラケット173および175を介して車両に間接的に取り付けられてもよい。
【0051】
図10、11、および14は、スピンドル108を保持するホイールベアリング194を有する垂直に配向された支持構造体188を示す。タイヤリム192は、スピンドル108の外方端にボルトで固定されてもよく、ブレーキディスク186は、スピンドル108の内方端にボルトで固定され得る。ホイールベアリング194は、タイヤリム192、スピンドル108に強固に結合され得る磁気ロータアセンブリー146、およびブレーキディスク186がスピンドル108の回転軸114の周りを回転することを可能にする。ブレーキパッドアセンブリー190は、ブレーキディスク186をまたがる支持構造体188上に取り付けられ得る。
【0052】
支持構造体188は、支持構造体188の上端に取り付けられた上部Aアーム180および支持構造体188の下端に取り付けられた下部Aアーム182を含むAフレームサスペンションアセンブリーを介して、車両フレームまたは本体(図示せず)に接続され得る。上部および下部Aアーム180および182は、車体がホイールおよびモーター100に対して上下に移動することを可能にする。ばねおよびダンパーアセンブリー184は、下部Aアーム182と、車両フレームまたは本体に強固に接続されて、地面に対して固定位置で車両を支持する点との間に接続され得る。また、ばねおよびダンパーアセンブリー184は、(1)車両が動いているときに道路の表面に沿って遭遇する隆起、および(2)(以下でより詳細に説明するように)内方および外方コイルステータアセンブリー126および128によって生成されるトルクに応答して、車両が上下に移動することを可能にし得る。
【0053】
軸方向磁束モーター100を介した異なるDOFの作動は、二つの動作モードを別個に検討することによって最も良く理解され得る。第一のモードでは、コイルステータアセンブリー126および128は、ホイールの回転運動のみを生成し得る。このモードでは、コイルステータアセンブリー126および128は、それぞれ磁気ロータアセンブリー146にトルクを印加し得る。トルクは、同じ回転方向に沿って方向付けられ得、従って、磁気ロータアセンブリー146は、同じ方向(例えば、図9の矢印によって示されるような時計回りの方向)に沿って回転軸114を中心に回転する。対応する反作用トルクが、各ステータアセンブリーで生成され、ステータアセンブリー126および128が、ロータアセンブリー146に対して反対方向に(例えば、反時計回り方向に)回転する。図9では、トルクリンク172は上向き方向に移動し、トルクリンク174は下向き方向に移動する。コイルステータアセンブリー126および128を制御するために使用される駆動信号が、ステータアセンブリーからの結果として生じる反作用トルクが、実質的に等しい大きさで上方および下方の力を生成するように構成される場合、スピンドル108およびモーター100は、タイヤリム192を有する磁気ロータアセンブリー146が時計回り方向に回転する間、車両に対して固定位置に留まる。
【0054】
第二のモードでは、コイルステータアセンブリー126および128は、車両に対するホイールの並進運動のみを生成し得る。このモードでは、コイルステータアセンブリー126および128への駆動信号は、実質的に大きさが等しい磁気ステータアセンブリー146上の反作用トルクを生成するように選択される。例えば、内方コイルステータアセンブリー128は、磁気ロータアセンブリー146を時計回り方向に回転させるためにトルクを印加してもよく、一方、外方コイルステータアセンブリー126は、磁気ロータアセンブリー146を反時計回り方向に回転させるためにトルクを印加し得る。従って、印加されたトルクはキャンセルされ、磁気ロータアセンブリー146は回転しない。しかしながら、内方コイルステータアセンブリー128および外方コイルステータアセンブリー126によって生成される反作用トルクは、トルクリンク174および172をそれぞれ反時計回りおよび時計回りに回転させ、(モーター100に対して)正味の下向きの力を生成する。取り付け点176および178の位置は、車両フレームまたは本体に対して固定されるため、スピンドル108および取り付けられたタイヤリム192は、車両に対して上方に移動する。図12A~12Cは、コイルステータアセンブリー126および128が、モーター100が取り付けられる車両のレベルを表す基準線196に対して回転するにつれて、モーターが上昇する様子を示す一連の図を示す。
【0055】
実際には、モーター100は、第一のモードと第二の両方の組み合わせを生成し得る。言い換えれば、モーター100は、車輪を回転させて車両を前進させ、また車輪を車両に対して並進させて能動的なサスペンションを提供するために使用され得る。上述の説明によって証明されるように、用語「ステータ」(例えば、コイルステータアセンブリーにおけるものなど)および特許請求の範囲における用語は、要素が固定された非回転部品であることを暗示することを意味するものではないことも理解されるべきである。むしろ、上述のコイルステータアセンブリーは、スピンドル108および車両に対して回転および/または別の方法で移動し得る。
【0056】
車両サスペンション
図10、11、および14は、モーター100に連結され得る一つの例示的なサスペンションを示す。他のタイプのサスペンションも、モーター100からの力出力を介して作動され得る。例えば、図18Aは、MacPherson支柱1802およびロッカーアーム1820を有する例示的サスペンション1800aを示す。示されるように、サスペンション1800aは、支持構造体188(例えば、サスペンション直立)を車両シャーシ(図示せず)に連結するための下部Aアームサポート182を含み得る。MacPherson支柱1802は、支柱チューブ1812および支持構造体188が単一のユニットとして一緒に移動するように、支持構造体188に強固に結合された支柱チューブ1812を含み得る。支柱チューブ1812は、車両シャーシに固定され、支柱チューブ1812に対してスライド可能に調節できる支柱マウント1810を支持し、並進DOFを提供する。
【0057】
ロッカーアーム1820は、作動のためにモーター100をMacPherson支柱1802に連結し得る。具体的には、ロッカーアーム1820は、ロッカーアーム1820の一端が支柱マウント1810に連結され、他端がそれぞれのトルクリンク1822および対応するピンジョイントを介して外方ハウジング102および内方ハウジング106に連結される、支柱チューブ1812によって画定される枢動点1824の周りに回転可能であり得る。外方ハウジング102および内方ハウジング106が互いに対して反対方向に回転する場合、トルクリンク1822の結果生じる動きは、ロッカーアーム1820を回転させ、それによって支柱マウント1810を支柱チューブ1812に対して並進させる。
【0058】
図18Bは、Panhardバー1830と組み合わせたMacPherson支柱1802を使用する別のサスペンション1800bを示す。Panhardバー1830は、回転軸114に平行に整列し、Panhardバー1830の一端に位置する枢動点1834の周りに回転可能であり得る。枢動点1834は、別の支持部材(図示せず)を介して支柱チューブ1812および/または支持構造体188に貼り付けられ得る。Panhardバー1830の対向する端部は、支柱マウント1810に連結され得る。Panhardバー1830の中心は、それぞれのトルクリンク1832を介して、モーター100の外方ハウジング102および内方ハウジング106に連結され得る。サスペンション1800aと同様に、外方ハウジング102および内方ハウジング106が互いに対して反対方向に回転する場合、トルクリンク1832の結果的に生じる動きは、Panhardバー1830を枢動点1834の周りで回転させ、それによって支柱マウント1810を支柱チューブ1812に対して並進させる。
【0059】
図18Cは、下部Aアーム182および上部Aアーム180を介して車両シャーシに連結されたモーター100を保持するための支持構造体188を含む別のサスペンション1800cを示す。この場合、サスペンション1800cは、コイルステータアセンブリー126と128との間の差動トルクを出力するドライブシャフト1844を含む。ドライブシャフト1844は、別の機構(図示せず)を介して車両シャーシに連結されて、Aアーム180および182によって課される制約によって画定されるDOFに沿ってサスペンションの作動を提供し得る。支持構造体188は、コイルステータアセンブリー126および128の回転範囲を制限し得る。示されるように、リンク機構1840は、支持構造体188を、外方ハウジング102およびモーター100の内方ハウジング106に連結し得る。リンク機構1840は、外方ハウジング102および内方ハウジング106に回転可能に連結されるそれぞれのトルクリンク1842を含む。さらに、リンク機構1840は、支持構造体188に回転可能に結合される。外方ハウジング102および内方ハウジング106が互いに対して反対方向に動くにつれて、トルクリンク1842は、外方ハウジング102および内方ハウジング106が互いに対してどの程度動くかを制限し得る。
【0060】
モーター100によって作動するサスペンションのタイプ、またはより一般的には機構のタイプは、モーター100がホイールハブ192およびホイール500に対して内方または外方のどちらに取り付けられるかに依存し得る。図19Aおよび19Bは、それぞれ内方および外方に取り付けられたモーター100を示す。図19Aの内方に取り付けられたモーター100の場合、モーター100およびアクティブサスペンション機構1852は、これらの構成要素が車両のばね上質量の一部であるように、サスペンションのシャーシ側に取り付けられる。一対のユニバーサルジョイント1950aおよび1950bは、牽引のためにトルク出力をモーター100からホイール500に伝達するために使用され得る。示されるように、図19Aのサスペンションは、支持構造体188と、下部Aアーム182と、上部Aアーム180とを含む。アクティブサスペンション機構1852は、別個の機構(図示せず)を使用して支持構造体188に連結され得る。一方、図19Bは、ホイール500とともに外方に取り付けられたモーター100を示す。この構成は、上述のサスペンション1800a~1800cと類似している。両方の構成では、ホイールハブ192は、スピンドル108の外方端に取り付けられる。図19Aに対して、スピンドル108は、ユニバーサルジョイント1950Aおよび1950Bを含む。
【0061】
図20は、オートバイ、自転車、またはスクーターのためのスイングアームサスペンション2000を示す。示されるように、モーター100は、ホイール500の両側を機械的に支持するフォーク構造であり得る支持構造体188に取り付けられてもよい。支持構造体188は、次に、支持構造体188および車両のシャーシに回転可能に連結されるアーム2062(例えば、先行アーム、後アーム)を介して車両のシャーシに取り付けられ得る。アーム2062は、ホイール500の動きを湾曲した経路(例えば、円弧)に制約するために使用され得る。支持構造体188は、MacPherson支柱2002を介して車両に連結され得る。特に、支柱チューブ2012は、支持構造体188に回転可能に連結され得る。モーター100は、車両およびモーター100の両方に回転可能に連結されるロッド2060を介して支柱マウント2010に連結され得る。従って、ロッド2060は、ロッド2060が支柱マウント2010を支柱チューブ2012に沿って並進移動させるように、モーター100によって作動され得る。いくつかの事例では、モーター100は、内方ハウジング106に及ぼされた反作用トルクを外方ハウジング102に伝達する(またはその逆)カウンター回転機構を含み得る。従って、ロッド2060は、外方ハウジング102または内方ハウジング106のうちの一つに接続されるだけでよい。
【0062】
軸方向磁束モーターに接続されたケーブルの配線
コイルステータアセンブリー126および128の相対運動は、モーター100に接続されたケーブルおよび/またはチューブ(例えば、電気ケーブル、冷却剤チューブ)の移動を引き起こし得る。この動きは、ケーブルおよび/またはチューブを最終的に故障させるような方法で、ケーブルおよび/またはチューブをねじったり、曲げたり、曲げたりする可能性がある。従って、モーター100がホイールを回転させ、並進移動させるとき、ケーブルの動きを減少させることが望ましい。これは、モーター100とサスペンションとの間の取り付け点の近くに、モーター100の同じ側上に全ての電気的接続および流体接続を配置することによって、部分的に促進され得る。例えば、液体冷却を使用するモーター100は、上述のように、チューブがモーター100の内方側に配置されるように配置される各コイルステータアセンブリー上に冷却剤流れ通路を有し得る。
【0063】
コイルステータアセンブリー126および128用の電気ケーブルは、同様に、モーター100の内方側に配置され得る。例えば、図8A、8B、および9は、外方ハウジング102が、冷却剤チャネル118aと118bとの間に位置付けられた陥凹領域(チャネル、トラフ、または導管)120を含むことを示す。陥凹領域120は、外方ハウジング102の背面の周りに巻き付き、外方ハウジング102の側面上の電気端子140まで延在する。陥凹領域120は、電気端子140に接続され、陥凹領域120内で、導体122がモーターの電気駆動制御システム(図示せず)に接続されるモーター100の内方側に前方に延びる三つの導体122(バスバー)を保持する。導体122は、さらなる保護のためにチューブまたはシース(図示せず)内にあり得る。三つの導体122は、三相電力(例えば、ABC、RYB、UVW)をモーター100に供給し得る。
【0064】
図10および11は、車両の駆動信号システムへの電気的接続のための導体122の端部の三つ叉電気コネクター123を示す。冷却システムと同様に、コイルステータアセンブリー126および128の両方に対するコイルアセンブリー130への電気的なアクセスは、接続およびケーブル配線を容易にするために、モーター100の同じ側(例えば、内方側)で行われ得る。
【0065】
ケーブルの望ましくない動きを低減するための別のアプローチは、トルクリンク172および174についてそれぞれ、取り付け点176および178の近くにケーブルを配置することである。取り付け点176および178はトルクリンクによって車両に接続されるため、コイルステータアセンブリー126および128が回転してモーター100の横方向移動を生成するとき、点176および178の移動はモーター100上の他の位置と比較して小さくなる。これにより、ケーブルが、モーター100に接続されるとき、少量の屈曲および応力を受けることを確実にする。
【0066】
電気配線(および冷却剤配管)は、トルクリンクに沿って走り、電気配線(および冷却剤配管)の不要な曲げおよびねじれを低減することができる。さらに、トルクリンク取り付け点176、178と電気端子との間の距離は、不要な曲げおよびねじれを低減するように選択され得る。技術的には、距離は、該当する安全基準(ISO、IECなど)で指定される導体間の沿面距離および隙間距離を満たす必要がある。低電圧(すなわち、48V)の場合、この距離は0.1mm~1.5mmであり得る。この距離は、ワイヤの曲げ半径以上であってもよく、ワイヤ直径、組成物、およびコーティングに依存する。
【0067】
図9に示すモーター100については、冷却システム用のポートコネクター113aおよび113bは、冷却剤を流すために使用されるチューブが、取り付け点178の近くで連結されるように角度(例えば、45°)付けられてもよい(例えば、チューブの半径方向位置は、取り付け点178の半径方向距離と類似するように調節される)。より一般的には、電動機100の両側の冷却剤用の電気コネクター、トルクリンクの取り付け点、および入口および出口は、約40°未満の角度を帯びた円形のセクター内に存在することが好ましい。繰り返すと、ケーブルのさまざまな接続点がそれぞれの取り付け点に近接するように、モーター100の並進移動中にケーブルが経験する垂直移動を減少させるように、この角度を小さく維持することが望ましいた。
【0068】
また別のアプローチでは、モーター100を車両に連結する構造構成要素は、コイルステータアセンブリー126および128の可動範囲も制限し得る。上述のように、コイルステータアセンブリー126および128の両方は、各ステータアセンブリーが、互いに独立し、磁気ロータアセンブリー146から独立して回転軸114の周りを自由に回転できるように、モーター100上に取り付けられてもよい。トルクリンク172および174、Aフレームサスペンション、および支持構造体188は、コイルステータアセンブリー126および128の移動範囲を制限するように構成され得る。例えば、コイルステータアセンブリー126および128は、回転軸114に対して反対方向に動くように制約され得る。換言すれば、内方コイルステータアセンブリー128が回転軸114の周りで10°時計回り方向に回転する場合、外方コイルステータアセンブリー126は、回転軸114の周りで10°反時計回り方向に回転するべきである。
【0069】
図10および14は、コイルステータアセンブリー126および128を制御するために、冷却剤および電気配線用のチューブを有するサスペンションに連結された軸方向磁束モーター100の一つの模範的な構成を示す。示されるように、冷却剤供給チューブ200は、冷却剤入口ポートコネクター113aに接続されてもよく、冷却剤リターンチューブ(図示せず)は、外方コイルステータアセンブリー126のために冷却剤出口ポートコネクター113bに接続され得る。電気ケーブル210は、電気端子123に接続して、駆動信号を外方コイルステータアセンブリー126の外方コイルアセンブリー130に供給し得る。同様の配置を使用して、ケーブルを内方コイルステータアセンブリー128に接続し得る。冷却剤供給チューブ202は、冷却剤入口ポートコネクター119aに接続されてもよく、冷却剤リターンチューブ(図示せず)は、冷却剤出口ポートコネクター119bに接続されてもよく、電気ケーブル204は、三つの端子110(図9を参照)に接続して、内方コイルステータアセンブリー128内の内方コイルアセンブリー130に駆動信号を供給し得る。
【0070】
上述のように、内方および外方ハウジング106および102の回転運動は、取り付け点176および178に並進運動を受けさせ得る。この回転運動は、端子123(図10)および110(図9)にそれぞれ連結された電気ケーブル210および204(図14を参照)にねじれ運動を与え得る。電気ケーブルは、一般に、ねじれ運動に抵抗するねじれたワイヤの束であるので、特に、電気ケーブルがそのような歪みを受けるのは望ましくない。ケーブルのねじれが多すぎたり、頻繁すぎると、ケーブルの摩耗が大きくなるため、ケーブルが故障する可能性がある。望ましくないねじれ運動を低減するために、電気ケーブルは、内方および外方ハウジング106および102が回転するにつれてねじれ運動を防止する方法で配線され得る。
【0071】
例えば、各ケーブル204および210は、ケーブルが電気端子110および123に対して約90°の曲げで配向されるように、モーター100によって機械的に支持され得る(例えば、端子110および123は、回転軸114に対して平行に配向されてもよく、ケーブル204および210は、回転軸114に直交する半径方向軸に沿って整列され得る)。このケーブル配向を支持するために、歪み緩和ブラケット206は、ケーブル204を保持するために車両フレームに取り付けられ、ケーブル204が、電気ケーブル204が端子110またはその近くにその接続点を残す方向に対して約90°の経路をたどることを確実にする。図14では、端子110は、冷却剤チューブ200および202と類似した約+45°の角度(モーター100の内方側に対して)で配向され、従って、歪み緩和ブラケット206は、90°の曲げに対応する約-45°の角度で電気ケーブル204を保持する。同様に、別の歪み緩和ブラケット208を使用して、電気ケーブル210を支持し得る。図14では、端子123は、モーター100の内方側に対して約90°の角度で配向される。従って、歪み緩和ブラケット208は、90°の曲げに対応する約0°の角度(すなわち、モーター100の内方側にほぼ平行)で電気ケーブル210を保持する。このようにして、ハウジング102および106の回転運動は、ケーブル204および210を、歪み緩和ブラケット206および208でそれぞれ曲げ、むしろねじる。
【0072】
さらに、ケーブルが他の車両サブシステムに配線される方法は、モーター100がホイール500に対して内方または外方のどちらに取り付けられるかにも依存し得る。例えば、モーター100がホイール500とともに外方に取り付けられる場合(そのため、車両のバネ下質量に寄与する)、モーター100に対して車両シャーシの動きのケーブルの動きに対する影響も考慮すべきである。例えば、図18Aは、ケーブル1804(電気ケーブル、冷却剤チューブ)が、MacPherson支柱1802に沿って並進移動するためにほぼ90°(例えば、歪み緩和特徴によって)曲げられる前に、車両の接地面と初期に水平である経路に沿ってモーター100から配線され得ることを示す。この経路は、上述のケーブルの不要なねじれ運動を低減し得る。
【0073】
図19Bは、支柱マウント1810に接続されたリンク機構に沿って再び配線される、ケーブル1804の別の例示的なセットを示す。対照的に、モーター100が車両のシャーシとともに内方に取り付けられる場合、ケーブルが配線される方法は、モーター100が、シャーシ上に取り付けられた他の車両サブシステムとともに移動するため、より柔軟であり得る。例えば、図19Aは、ケーブル1904が、シャーシ上の支持構造体によって画定される経路に沿ってモーター100から配線され得ることを示す。
【0074】
結論
本明細書に記載する全てのパラメーター、寸法、材料、および構成が例示であり、実際のパラメーター、寸法、材料、および/または構成は、発明の教示が使用される一つのまたは複数の特定の用途に依存する。前述の実施形態は、主に例として提示されており、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内では、発明に関する実施形態は、具体的に記載および請求される以外の形で実践され得ることを理解されたい。本開示の発明に関する実施形態は、本明細書に記載する個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。
【0075】
加えて、二つ以上のこのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせは、このような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明の範囲内に含まれる。本開示の範囲を逸脱することなく、実装のそれぞれの要素の設計、動作条件、および配置において、他の置換、変更、変更、および省略を行うこともできる。数値範囲の使用は、同じ関数を同じ方法で満たす範囲から外れる等価物が、同じ結果を生成することを排除しない。
【0076】
また、さまざまな発明の概念が、一つまたは複数の方法として具現化されてもよく、そのうちの少なくとも一例を提供してきた。方法の一部として行われる行為は、一部の例では異なる方法で順序付けられてもよい。従って、一部の発明に関する実施では、所与の方法のそれぞれの行為が、具体的に例示するものとは異なる順序で行われてもよく、一部の行為を同時に行うことを含み得る(こうした行為が、例示的実施形態に連続する行為として示される場合であっても)。
【0077】
本明細書で言及する全ての出版物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0078】
本明細書で定義および使用する全ての定義は、辞書定義、参照により組み込まれる文書の定義、および/または定義された用語の通常の意味を統制するものと理解されるべきである。
【0079】
本明細書および特許請求の範囲で使用する場合、不定冠詞「a」および「an」は、明確にそうでないと示されない限り、「少なくとも一つ」を意味すると理解されるべきである。
【0080】
本明細書および特許請求の範囲で使用する場合、「および/または」という語句は、結合された要素の「いずれかまたは両方」を意味し、すなわち、一部の場合には接続的に存在し、他の場合には離接的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「および/または」で挙げられる複数の要素は、同じ形式、すなわち、等位接続される要素のうちの「一つまたは複数」と解釈されるべきである。具体的に識別される要素に関連するかまたは関連しないかにかかわらず、「および/または」節によって具体的に識別される要素以外に、他の要素が随意に存在し得る。従って、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む」などの制限のない語法と連動して使われるときに、一実施形態においては、Aのみ(任意選択的にB以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみ(任意選択的にA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、AとBと両方(任意選択的に他の要素を含む)などを指すことができる。
【0081】
本明細書および特許請求の範囲において使用する場合、「または」は、上で定義した「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を分離するとき、「または」または「および/または」は包括的なもの、すなわち、多数の要素または要素のリスト、および随意にリストに無い追加の項目のうちの少なくとも一つを含むが、二つ以上も含むと解釈されるものとする。それとは反対であると明確に指示される用語のみ、例えば、「のうちの一つのみ」もしくは「のうちのまさに一つ」、または特許請求の範囲において使用するときの「から成る」は、多数のまたは列挙された要素のうちのまさに一つの要素を包含することを指す。一般に、本明細書で使用する場合、「または」という用語は、「いずれか」、「のうちの一つ」、「のうちの一つのみ」、または「のうちのまさに一つ」など、排他的な用語が先行するときには、排他的な選択肢(すなわち「両方ではなく一方または他方」)を示すとのみ解釈されるものとする。「から基本的に成る」は、特許請求の範囲で使用する場合、特許法の分野において使用される通常の意味を有するものとする。
【0082】
本明細書および特許請求の範囲で使用する場合、一つまたは複数の要素のリストに関連する「少なくとも一つ」という語句は、要素のリストの中の要素のいずれか一つまたは複数から選択される、少なくとも一つの要素を意味するが、要素のリスト内で具体的に列挙したありとあらゆる要素のうちの、少なくとも一つを必ずしも含むわけではなく、要素のリストのいかなる要素の組み合せも除外するものではない、と理解されるべきである。この定義は、「少なくとも一つ」という語句が指す、要素のリスト内で具体的に識別される以外の要素が、具体的に識別される要素に関連するかまたは関連しないかにかかわらず、任意に存在し得ることを許容する。従って、非限定的な例として、「AおよびBのうち少なくとも一つ」(または、等価的に、「AまたはBのうちの少なくとも一つ」、もしくは、等価的に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも一つ」)は、一実施形態においては、Bは存在せず、任意選択的に二つ以上のAを含む、少なくとも一つのA(任意選択的にB以外の要素を含む)、別の実施形態においては、Aは存在せず、任意選択的に二つ以上のBを含む、少なくとも一つのB(任意選択的にA以外の要素を含む)、また別の実施形態においては、任意選択的に二つ以上のAを含む、少なくとも一つのA、および任意選択的に二つ以上のBを含む、少なくとも一つのB(任意選択的に他の要素を含む)などを指すことができる。
【0083】
特許請求の範囲、ならびに上記の明細書で、全ての移行句、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「持つ(carrying)」、「有する(having)」、「包含する(containing)」、「伴う(involving)」、「保つ(holding)」、「から構成される(composed of)」、および類似のものは制限がないと理解され、すなわち、含むがそれに限定はされないということを意味する。「から成る(consisting of)」および「から基本的に成る(consisting essentially of)」という移行句のみが、米国特許局の特許審査手続便覧、セクション2111.03に記載される、それぞれ閉鎖的または半閉鎖的な移行句であるものとする。
図1
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図3B
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