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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】車両用ワイパ
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/46 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
B60S1/46 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021028469
(22)【出願日】2021-02-25
(65)【公開番号】P2022129692
(43)【公開日】2022-09-06
【審査請求日】2023-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】591012200
【氏名又は名称】株式会社東海理機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】久田 起也
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-020628(JP,A)
【文献】特開2007-030565(JP,A)
【文献】特開2019-151222(JP,A)
【文献】特開2002-308064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00-1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパアームと、前記ワイパアームと並んで配置されるホースの先端に接続されるとともに前記ホースから供給されるウォッシャ液を車両の払拭面に噴射するウォッシャノズルと、を備える車両用ワイパであって、
前記ワイパアームは、前記ウォッシャノズルが嵌合される嵌合部を有しており、
前記ウォッシャノズルは、
前記ワイパアームのうち前記嵌合部が設けられた部分における延在方向である第1方向に沿って延びるとともに前記ホースに接続される接続部と、
前記第1方向に直交する第2方向において前記接続部に接合される接合面を有するとともに前記嵌合部が嵌合される溝部を有する本体部と、を有しており、
前記接続部は、前記第1方向に沿って延びる第1流路を有しており、
前記本体部は、前記払拭面に向けて開口する第2流路を有しており、
前記接続部及び前記本体部は、前記第2方向に沿って延びるとともに前記第1流路と前記第2流路とを接続する接続流路を有しており、
前記接合面は、前記第1方向及び前記第2方向の双方に直交する第3方向と、前記第1方向との双方に沿う仮想平面上に位置するとともに、前記本体部に対して前記接続部の先端の向きを180度回転させた状態で前記本体部に前記接続部を接合可能な外縁形状を有している、
車両用ワイパ。
【請求項2】
前記嵌合部及び前記溝部は、凹凸の関係により前記ワイパアームからの前記ウォッシャノズルの抜け止めをする抜け止め機構を有している、
請求項1に記載の車両用ワイパ。
【請求項3】
前記嵌合部は、前記ワイパアームの側面に凹部を有しており、
前記溝部は、前記凹部に嵌合する凸部を有しており、
前記凹部と前記凸部とによって、前記抜け止め機構が構成されている、
請求項2に記載の車両用ワイパ。
【請求項4】
前記本体部は、前記第3方向において互いに対向する第1部分及び第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを連結する連結壁と、を有しており、
前記第1部分、前記第2部分、及び前記連結壁により前記溝部が構成されており、
前記凹部は、前記ワイパアームの側面のうち前記連結壁に対向する側面とは反対側の側面に設けられており、
前記第1部分は、前記凸部を有している、
請求項3に記載の車両用ワイパ。
【請求項5】
前記凹部及び前記凸部をそれぞれ第1凹部及び第1凸部とするとき、
前記ワイパアームの側面のうち前記連結壁に対向する側面は、第2凹部を有しており、
前記溝部は、前記第2凹部に嵌合する第2凸部を有している、
請求項4に記載の車両用ワイパ。
【請求項6】
前記第2部分は、前記接合面及び前記接続流路を有している、
請求項4または請求項5に記載の車両用ワイパ。
【請求項7】
前記本体部は、複数の前記第2流路を有しており、
前記仮想平面を第1仮想平面とするとき、
前記本体部は、前記第2方向及び前記第3方向の双方に沿うとともに、前記本体部における前記第1方向の中央に位置する第2仮想平面に対して対称な形状である、
請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の車両用ワイパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ワイパに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用ワイパが開示されている。この車両用ワイパは、アームピースを有するワイパアームと、アームピースの先端部に連結されるとともに払拭面を払拭するワイパブレードとを備えている。また、車両用ワイパは、ワイパアームの延在方向に沿って延びるホースと、ホースの先端に接続されるウォッシャノズルとを備えている。ウォッシャノズルは、アームピースのうち、ワイパブレードが連結される先端部と近い位置に連結されている。
【0003】
ウォッシャノズルには、第1流路、第2流路、第3流路、及び嵌合溝が設けられている。
第1流路は、アームピースの延在方向である第1方向に延びるとともに、上記ホースに接続される。
【0004】
第2流路は、第1流路に接続される。第2流路は、第1方向と交差するとともに、ワイパブレードが払拭面を払拭する際に可動する方向である第2方向に延びている。第2流路の開口部には、閉塞キャップが装着されている。
【0005】
第3流路は、第2流路に接続される。第3流路は、第1方向及び第2方向の双方と交差するとともに、払拭面の法線方向に沿う第3方向に延びている。第3流路の開口部には、噴射ノズルが装着されている。
【0006】
嵌合溝には、アームピースが嵌合される。
ウォッシャノズルは、樹脂材料により一体に成形されている。
こうした車両用ワイパによれば、ホースからウォッシャノズルに供給されたウォッシャ液が、噴射ノズルからワイパブレードの払拭面に対して噴射される。
【0007】
こうした構成を備えるウォッシャノズルにおいては、第1流路を含む部分(以下、接続部)が、第2流路及び第3流路を含む部分(以下、本体部)からアームピースの基端側に向かって突出している。また、右ハンドル車と左ハンドル車とでは、ワイパブレードに対するワイパアームの延びる向きが互いに反対である。このため、従来のウォッシャノズルは、右ハンドル車専用品または左ハンドル車専用品として形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2019-151222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、こうした車両用ワイパにおいては、右ハンドル車と左ハンドル車とでウォッシャノズルを共通化することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための車両用ワイパは、ワイパアームと、前記ワイパアームと並んで配置されるホースの先端に接続されるとともに前記ホースから供給されるウォッシャ液を車両の払拭面に噴射するウォッシャノズルと、を備える車両用ワイパであって、前記ワイパアームは、前記ウォッシャノズルが嵌合される嵌合部を有しており、前記ウォッシャノズルは、前記ワイパアームのうち前記嵌合部が設けられた部分における延在方向である第1方向に沿って延びるとともに前記ホースに接続される接続部と、前記第1方向に直交する第2方向において前記接続部に接合される接合面を有するとともに前記嵌合部が嵌合される溝部を有する本体部と、を有しており、前記接続部は、前記第1方向に沿って延びる第1流路を有しており、前記本体部は、前記払拭面に向けて開口する第2流路を有しており、前記接続部及び前記本体部は、前記第2方向に沿って延びるとともに前記第1流路と前記第2流路とを接続する接続流路を有しており、前記接合面は、前記第1方向及び前記第2方向の双方に直交する第3方向と、前記第1方向との双方に沿う仮想平面上に位置している。
【0011】
同構成によれば、本体部の接合面が、第1方向及び第2方向の双方に直交する第3方向と、第1方向との双方に沿う仮想平面上に位置している。このため、ウォッシャノズルの製造工程において、本体部に対して接続部の先端の向きを180度回転させた状態で本体部に接続部を接合することができる。この場合であっても、接続部は、ワイパアームのうち嵌合部が設けられた部分における延在方向である第1方向に沿って延びる。このため、ワイパアームと並んで配置されるホースに接続部を接続することができる。したがって、右ハンドル車と左ハンドル車とでウォッシャノズルを共通化することができる。
【0012】
上記車両用ワイパにおいて、前記嵌合部及び前記溝部は、凹凸の関係により前記ワイパアームからの前記ウォッシャノズルの抜け止めをする抜け止め機構を有していることが好ましい。
【0013】
同構成によれば、抜け止め機構により、ワイパアームからのウォッシャノズルの抜け止めがされる。したがって、ワイパアームに対してウォッシャノズルをより安定して取り付けることができる。
【0014】
上記車両用ワイパにおいて、前記嵌合部は、前記ワイパアームの側面に凹部を有しており、前記溝部は、前記凹部に嵌合する凸部を有しており、前記凹部と前記凸部とによって、前記抜け止め機構が構成されていることが好ましい。
【0015】
抜け止め機構を構成する凸部をワイパアームの側面に設ける場合、ワイパアームの加工を行う際に、上記凸部を逃がす必要が生じるため加工性が悪くなる。
この点、上記構成によれば、ワイパアームの側面に凹部が設けられるため、ワイパアームの加工性の悪化を抑制できる。
【0016】
上記車両用ワイパにおいて、前記本体部は、前記第3方向において互いに対向する第1部分及び第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを連結する連結壁と、を有しており、前記第1部分、前記第2部分、及び前記連結壁により前記溝部が構成されており、前記凹部は、前記ワイパアームの側面のうち前記連結壁に対向する側面とは反対側の側面に設けられており、前記第1部分は、前記凸部を有していることが好ましい。
【0017】
同構成によれば、本体部の第1部分、第2部分、及び連結壁により構成される溝部にワイパアームの嵌合部を嵌合させると、第1部分に設けられた凸部がワイパアームの側面に設けられた凹部に嵌合する。このため、第2方向においてワイパアームからウォッシャノズルが抜け出す方向に向けた外力が作用すると、凸部が凹部の壁面に干渉するようになる。これにより、ワイパアームからのウォッシャノズルの抜け出しが阻止される。したがって、抜け止め機構を簡単な構成により具体化することができる。
【0018】
上記車両用ワイパにおいて、前記凹部及び前記凸部をそれぞれ第1凹部及び第1凸部とするとき、前記ワイパアームの側面のうち前記連結壁に対向する側面は、第2凹部を有しており、前記溝部は、前記第2凹部に嵌合する第2凸部を有していることが好ましい。
【0019】
同構成によれば、第1凸部と第2凸部とによってワイパアームが第2方向において挟持される。このため、ワイパアームの側面のうち連結壁に対向する側面全体と連結壁との距離を短くしなくても、ワイパアームに対してウォッシャノズルをより一層安定して取り付けることができる。
【0020】
上記車両用ワイパにおいて、前記第2部分は、前記接合面及び前記接続流路を有していることが好ましい。
同構成によれば、接合面及び接続流路を有する部分とは別に第2部分を設ける場合に比べて、本体部の構成を簡単にすることができる。
【0021】
上記車両用ワイパにおいて、前記本体部は、複数の前記第2流路を有しており、前記仮想平面を第1仮想平面とするとき、前記本体部は、前記第2方向及び前記第3方向の双方に沿うとともに、前記本体部における前記第1方向の中央に位置する第2仮想平面に対して対称な形状であることが好ましい。
【0022】
同構成によれば、左右いずれのハンドル車用のワイパアームに対してウォッシャノズルを取り付けたとしても、払拭面へのウォッシャ液の噴射態様を同一にすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、右ハンドル車と左ハンドル車とでウォッシャノズルを共通化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】車両用ワイパの一実施形態について、アームピースにウォッシャノズルが取り付けられている状態を示す斜視図。
図2】ウォッシャノズルの本体部及び接続部、並びにアームピースを分解して示す斜視図。
図3図1の3-3線に沿った断面図。
図4図3の4-4線に沿った断面図。
図5】ウォッシャノズルの平面図。
図6図5の6-6線に沿った断面図。
図7図5の7-7線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図1図7を参照して、車両用ワイパの一実施形態について説明する。なお、本実施形態では、右ハンドル車の前部に取り付けられてフロントガラスの払拭面に付着した雨水等を払拭する車両用ワイパとして本発明を具体化している。
【0026】
<車両用ワイパの基本構成>
図1及び図2に示すように、車両用ワイパは、ワイパアーム10、ホース20、及びウォッシャノズル30を備えている。また、車両用ワイパは、ワイパブレード(図示略)を備えている。
【0027】
ワイパアーム10は、アームヘッドと、アームヘッドの先端に連結されるリテーナ(いずれも図示略)と、リテーナの先端に固定されるアームピース11とを備えている。アームヘッドの基端は、モータにより回動されるピボット軸に固定されている(いずれも図示略)。ピボット軸の回動に伴ってワイパアーム10に連結されたワイパブレードが一体に回動することにより、車両の払拭面が払拭される。
【0028】
<アームピース11>
アームピース11は、上記リテーナの先端に固定されるとともにリテーナに沿って延びている。
【0029】
図1及び図2に示すように、アームピース11は、基端部(図示略)、先端部11b、及び基端部と先端部11bとの間に位置する中間部11aを有している。
アームピース11の断面形状は、扁平状をなしている。すなわち、アームピース11は、平面状をなすとともに互いに平行な一対の第1側面12と、第1側面12同士の間に位置するとともに外側に向かって膨らむ湾曲面状の一対の第2側面13a,13bとを有している。
【0030】
一対の第1側面12は、アームピース11の厚さ方向の両側に位置している。
一対の第2側面13a,13bは、アームピース11の幅方向の両側に位置している。
先端部11bは、中間部11aから屈曲してワイパブレード(図示略)に沿って延びている。
【0031】
先端部11bは、中間部11aに対してアームピース11を幅方向において曲げ加工することにより形成されている。
先端部11bには、先端が折り返されて形成された取付部14が設けられている。取付部14は、アームピース11を厚さ方向において曲げ加工することにより形成されている。取付部14には、連結部材によってワイパブレードが連結される(いずれも図示略)。
【0032】
先端部11bにおいて取付部14よりも基端側には、ウォッシャノズル30が嵌合される嵌合部15が設けられている。
なお、以降において、アームピース11における嵌合部15が設けられた部分である先端部11bの延在方向を第1方向Xとして説明する。
【0033】
また、第1方向Xに直交する方向であり、アームピース11の幅方向を第2方向Yとして説明する。
また、第1方向X及び第2方向Yの双方に直交する方向であり、アームピース11の厚さ方向を第3方向Zとして説明する。
【0034】
<嵌合部15>
図2及び図4に示すように、嵌合部15は、一対の第1凹部16と、一対の第2凹部17とを有している。なお、図4では、便宜上アームピース11における先端部11bの全体を二点鎖線にて示している。
【0035】
一対の第1凹部16は、第2側面13aに設けられている。第1凹部16同士は、第1方向Xにおいて互いに間隔をおいて設けられている。
一対の第2凹部17は、第2側面13bに設けられている。第2凹部17同士は、第1方向Xにおいて互いに間隔をおいて設けられている。
【0036】
一対の第1凹部16と一対の第2凹部17とは、第2方向Yに沿う一対の軸線上に設けられている。
図4に示すように、第1凹部16と第2凹部17とは、同一の形状を有している。
【0037】
<ホース20>
ホース20の基端には、車両に搭載されたウォッシャタンク(図示略)が接続されている。ホース20は、ワイパアーム10と並んで配置されている。ホース20の先端には、ホース20から供給されるウォッシャ液を上記払拭面に噴射するウォッシャノズル30が取り付けられている。
【0038】
<ウォッシャノズル30>
図1図3に示すように、ウォッシャノズル30は、接続部40と、本体部31とを有している。
【0039】
<接続部40>
図1図2、及び図5に示すように、接続部40は、第1方向Xに沿って延びるとともにホース20に接続される。
【0040】
第1方向Xにおける接続部40の先端には、ホース20の先端が取り付けられる取付口41が設けられている。取付口41の外径は、接続部40の基端側ほど大きい。取付口41の最大外径は、ホース20の内径よりもわずかに大きい。
【0041】
接続部40の基端側には、接合面42を有している。接合面42の外縁形状は、第1方向Xに長い長円である。
<本体部31>
図2に示すように、本体部31は、ノズル部32、第1部分33、第2部分34、及び第1部分33と第2部分34とを連結する連結壁35を有している。
【0042】
図5に示すように、本体部31は、第2方向Y及び第3方向Zの双方に沿うとともに、本体部31における第1方向Xの中央に位置する第2仮想平面V2に対して対称な形状である。
【0043】
図2及び図3に示すように、ノズル部32は、第1方向Xに直交する断面形状がL字状であり、第1方向Xに沿って延在している。すなわち、ノズル部32は、第2方向Yに沿って延びるとともに屈曲して第3方向Zに沿って上記払拭面に向けて延びている。
【0044】
ノズル部32は、第2方向Yにおいてアームピース11に対向する基端面32aと、第3方向Zにおいて上記払拭面に対向する先端面32bとを有している。
第1部分33は、第3方向Zにおける基端面32aの一側(図3の上側)の端部から第2方向Yに沿ってアームピース11に向かって突出している。
【0045】
第2部分34は、ノズル部32のうち基端面32aを含む部分から第2方向Yに沿ってアームピース11に向かって突出している。
第1部分33及び第2部分34は、第3方向Zにおいて互いに対向している。第1部分33及び第2部分34は、第1方向Xに沿って延在している。第1部分33及び第2部分34は、第1方向Xにおいてノズル部32の中央部に位置している。
【0046】
ノズル部32のうち基端面32aを含む部分が、第1部分33と第2部分34とを連結する連結壁35を構成する。
図2及び図3に示すように、本体部31は、第2方向Yにおいて接続部40の接合面42に接合される接合面37を有している。
【0047】
接合面37は、第2方向Yにおける第2部分34の端面に設けられている。接合面37は、第1方向Xと第3方向Zの双方に沿う第1仮想平面V1上に位置している(図3参照)。接合面37の外縁形状は、第1方向Xに長い長円である(図2参照)。
【0048】
第1部分33、第2部分34、及び連結壁35によって、嵌合部15が嵌合される溝部36が構成されている。
溝部36は、一対の第1凸部38と、一対の第2凸部39とを有している。
【0049】
一対の第1凸部38は、第1部分33の内面から第2部分34に向かって突出している。一対の第1凸部38は、先端側ほど第2方向Yにおける長さが小さい。詳しくは、第2方向Yにおける第1凸部38の一側(図3の右側)の面には、第2部分34に近づくほど連結壁35に近づくように傾斜した傾斜面38aが設けられている。
【0050】
図4に示すように、一対の第1凸部38は、第2方向Yにおける第1部分33の先端に設けられている。一対の第1凸部38は、第1方向Xにおいて互いに間隔をおいて設けられている。詳しくは、第1凸部38は、第1方向Xにおける第1部分33の両端に1つずつ設けられている。
【0051】
一対の第2凸部39は、連結壁35から突出している。第2凸部39は、第1方向Xにおいて互いに間隔をおいて設けられている。詳しくは、第2凸部39は、第1方向Xにおける連結壁35の両端に設けられている。
【0052】
一対の第1凸部38は、一対の第1凹部16にそれぞれ嵌合する。
一対の第2凸部39は、一対の第2凹部17にそれぞれ嵌合する。
嵌合部15の第2側面13bは、連結壁35に対向している。
【0053】
図3に示すように、嵌合部15は、第1部分33及び第2部分34によって第3方向Zにおいて挟持されるとともに、一対の第1凸部38及び一対の第2凸部39によって第2方向Yにおいて挟持されている。
【0054】
一対の第1凸部38と一対の第1凹部16とによって本発明に係る抜け止め機構が構成されている。
<流路50>
図5図7に示すように、ウォッシャノズル30は、ホース20から供給されるウォッシャ液が流れる流路50を有している。
【0055】
流路50は、第1流路51、第2流路52、及び接続流路55を有している。
<第1流路51>
第1流路51は、接続部40の内部において第1方向Xに沿って延びている。なお、第1流路51の断面形状は、例えば円である。
【0056】
<第2流路>
第2流路52は、本体部31のノズル部32の内部に設けられるとともに上記払拭面に向けて開口する。
【0057】
第2流路52は、一対の内側流路53と、一対の外側流路54とにより構成されている。なお、内側流路53及び外側流路54の断面形状は、例えば円である。
一対の内側流路53は、ノズル部32の先端面32bに開口する開口部53aを有している。内側流路53は、第3方向Zにおいて先端面32bに近づくほど、第1方向Xにおいて第2仮想平面V2から離れるように延びている。
【0058】
一対の外側流路54は、ノズル部32の第1方向Xの一対の側面32cにそれぞれ開口する開口部54aを有している。外側流路54は、第1方向Xにおいて側面32cに近づくほど第3方向Zにおいて先端面32bに近づくように延びている。開口部54aは、上記払拭面を指向している。
【0059】
なお、開口部53a,54aには、噴射ノズル(図示略)が装着される。
<接続流路55>
接続流路55は、接続部40と本体部31の第2部分34とに跨って設けられている。接続流路55は、第2方向Yに沿って延びるとともに、第1流路51の下流側端部と、第2流路52(一対の内側流路53、一対の外側流路54)の上流側端部とを接続している。
【0060】
接続流路55の流路断面は、矩形状である。
前述したように、本体部31は、第2仮想平面V2に対して対称な形状である。したがって、図7に示すように、接続流路55は、第2仮想平面V2に対して対称な形状である。また、内側流路53同士は、第2仮想平面V2に対して対称な形状である。また、外側流路54同士は、第2仮想平面V2に対して対称な形状である。
【0061】
本実施形態の作用について説明する。
本体部31の接合面37が、第1方向X及び第2方向Yの双方に直交する第3方向Zと、第1方向Xとの双方に沿う第1仮想平面V1上に位置している。このため、ウォッシャノズル30の製造工程において、本体部31に対して接続部40の先端の向きを180度回転させた状態で本体部31に接続部40を接合することができる。この場合であっても、接続部40は、ワイパアーム10のうち嵌合部15が設けられた部分における第1方向Xに沿って延びる。このため、ワイパアーム10と並んで配置されるホース20に接続部40を接続することができる。
【0062】
本実施形態の効果について説明する。
(1)ウォッシャノズル30は、第1方向Xに沿って延びるとともにホース20に接続される接続部40と、第2方向Yにおいて接続部40に接合される接合面37を有するとともに嵌合部15が嵌合される溝部36を有する本体部31とを有している。接続部40は、第1方向Xに沿って延びる第1流路51を有している。本体部31は、払拭面に向けて開口する第2流路52を有している。接続部40及び本体部31は、第2方向Yに沿って延びるとともに第1流路51と第2流路52とを接続する接続流路55を有している。接合面37は、第1方向X及び第2方向Yの双方に直交する第3方向Zと、第1方向Xとの双方に沿う第1仮想平面V1上に位置している。
【0063】
こうした構成によれば、上述した作用を奏する。したがって、右ハンドル車と左ハンドル車とでウォッシャノズル30を共通化することができる。
(2)嵌合部15及び溝部36は、凹凸の関係によりワイパアーム10からのウォッシャノズル30の抜け止めをする抜け止め機構を有している。
【0064】
こうした構成によれば、抜け止め機構により、ワイパアーム10からのウォッシャノズル30の抜け止めがされる。したがって、ワイパアーム10に対してウォッシャノズル30をより安定して取り付けることができる。
【0065】
(3)嵌合部15は、ワイパアーム10の第2側面13aに第1凹部16を有しており、溝部36は、第1凹部16に嵌合する第1凸部38を有しており、第1凹部16と第1凸部38とによって、抜け止め機構が構成されている。
【0066】
抜け止め機構を構成する第1凸部38をワイパアーム10の第1側面12に設ける場合、ワイパアーム10の加工を行う際に、上記第1凸部38を逃がす必要が生じるため加工性が悪くなる。
【0067】
この点、上記構成によれば、ワイパアーム10の第2側面13aに第1凹部16が設けられるため、ワイパアーム10の加工性の悪化を抑制できる。
(4)本体部31は、第3方向Zにおいて互いに対向する第1部分33及び第2部分34と、第1部分33と第2部分34とを連結する連結壁35とを有している。第1部分33、第2部分34、及び連結壁35により溝部36が構成されている。第1凹部16は、ワイパアーム10の側面のうち連結壁35に対向する第2側面13bとは反対側の第2側面13aに設けられており、第1部分33は、第1凸部38を有している。
【0068】
こうした構成によれば、本体部31の第1部分33、第2部分34、及び連結壁35により構成される溝部36にワイパアーム10の嵌合部15を嵌合させると、第1部分33に設けられた第1凸部38がワイパアーム10の第2側面13aに設けられた第1凹部16に嵌合する。このため、第2方向Yにおいてワイパアーム10からウォッシャノズル30が抜け出す方向に向けた外力が作用すると、第1凸部38が第1凹部16の壁面に干渉するようになる。これにより、ワイパアーム10からのウォッシャノズル30の抜け出しが阻止される。したがって、抜け止め機構を簡単な構成により具体化することができる。
【0069】
(5)ワイパアーム10の側面のうち連結壁35に対向する第2側面13bは、第2凹部17を有している。溝部36は、第2凹部17に嵌合する第2凸部39を有している。
こうした構成によれば、第1凸部38と第2凸部39とによってワイパアーム10が第2方向Yにおいて挟持される。このため、ワイパアーム10の側面のうち連結壁35に対向する第2側面13b全体と連結壁35との距離を短くしなくても、ワイパアーム10に対してウォッシャノズル30をより一層安定して取り付けることができる。
【0070】
また、上記構成によれば、ワイパアーム10に対してウォッシャノズル30を取り付ける際に、第1凸部38を第2凹部17に対して一旦嵌合させることによりワイパアーム10に対するウォッシャノズル30の位置決めがされる。したがって、ワイパアーム10に対するウォッシャノズル30の取り付けが容易になる。
【0071】
(6)第2部分34は、接合面37及び接続流路55を有している。
こうした構成によれば、接合面37及び接続流路55を有する部分とは別に第2部分34を設ける場合に比べて、本体部31の構成を簡単にすることができる。
【0072】
(7)本体部31は、複数の第2流路52を有している。本体部31は、第2方向Y及び第3方向Zの双方に沿うとともに、本体部31における第1方向Xの中央に位置する第2仮想平面V2に対して対称な形状である。
【0073】
こうした構成によれば、左右いずれのハンドル車用のワイパアームに対してウォッシャノズル30を取り付けたとしても、払拭面へのウォッシャ液の噴射態様を同一にすることができる。
【0074】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・流路50は、本実施形態で例示したような形状に限定されず、本体部31及び接続部40の形状に合わせて適宜変更することができる。例えば、流路断面の形状を矩形状や、楕円状、または多角形状にしてもよい。
【0075】
・一対の外側流路54は、本実施形態で例示したように、第2仮想平面V2に対して厳密に対称な形状でなくてもよい。
・外側流路54の開口部54aを一方または両方の側面32cに複数設けるようにしてもよい。
【0076】
・外側流路54は、省略することができる。
・一対の内側流路53は、本実施形態で例示したように、第2仮想平面V2に対して厳密に対称な形状でなくてもよい。
【0077】
・本実施形態では、第1部分33と共に溝部36を構成する第2部分34に接合面37及び接続流路55を設けたが、接合面37及び接続流路55を有する部分を、第2部分34とは別に設けるようにしてもよい。
【0078】
・一対の第2凸部39及び第2凹部17の形状及び数は、本実施形態で例示したものに限定されず、適宜変更してもよい。
・一対の第2凸部39は、省略してもよい。この場合、ワイパアーム10から第2凹部17を省略することができる。
【0079】
・一対の第1凸部38は、本実施形態で例示したように第1部分33に設けられるものに限定されず、例えば、一対の第1凸部38のうちいずれか一方または両方を第2部分34の内面に設けるようにしてもよい。
【0080】
・一対の第1凸部38の形状は、本実施形態で例示した形状に限定されず、例えば、傾斜面38aを省略することもできる。
・第1凸部38の数は、本実施形態で例示したように2つに限定されず、1つまたは3つ以上に適宜変更してもよい。
【0081】
・第1凸部38及び第1凹部16を省略してもよい。この場合、溝部36とワイパアーム10の嵌合部15との隙間を狭くすることにより、第1部分33と第2部分34とによって嵌合部15が挟持されるようにすればよい。また、この場合、ウォッシャノズルとは別部材によって、アームピース11からのウォッシャノズル30の抜け止めをするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0082】
X…第1方向
Y…第2方向
Z…第3方向
V1…第1仮想平面
V2…第2仮想平面
10…ワイパアーム
11…アームピース
11a…中間部
11b…先端部
12…第1側面
13a…第2側面
13b…第2側面
14…取付部
15…嵌合部
16…第1凹部
17…第2凹部
20…ホース
30…ウォッシャノズル
31…本体部
32…ノズル部
32a…基端面
32b…先端面
32c…側面
33…第1部分
34…第2部分
35…連結壁
36…溝部
37…接合面
38…第1凸部
38a…傾斜面
39…第2凸部
40…接続部
41…取付口
42…接合面
50…流路
51…第1流路
52…第2流路
53…内側流路
53a…開口部
54…外側流路
54a…開口部
55…接続流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7