(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】テープ貼付装置及びテープ貼付方法
(51)【国際特許分類】
B65H 35/07 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
B65H35/07 Q
(21)【出願番号】P 2021043188
(22)【出願日】2021-03-17
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】592026901
【氏名又は名称】マルゴ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100055
【氏名又は名称】三枝 弘明
(72)【発明者】
【氏名】丸山 剛
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-074538(JP,A)
【文献】特開平11-292385(JP,A)
【文献】特開2017-197309(JP,A)
【文献】特開平06-211410(JP,A)
【文献】実開平06-078354(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 35/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給経路に沿って供給されたテープを被貼付物に貼り付けるテープ貼付ローラと、
前記テープを前記
テープ貼付ローラによる前記被貼付物に対する貼付位置に対して前記
供給経路に沿った供給方向の上流側にある把持位置で把持するクランプ機構と、
前記テープ貼付ローラによる前記テープの貼付位置と前記クランプ機構による前記把持位置との間にある切断位置で前記テープを
切断動作により切断する切断部材を有するカッタ機構と、
前記クランプ機構及び前記カッタ機構を制御する制御部と、
を具備し、
前記クランプ機構は、前記テープの把持状態と解放状態を切替可能に構成され、前記把持位置が前記供給方向の前後に移動可能となるように構成され、
前記制御部は、前記カッタ機構による前記切断部材の前記テープに対する
前記切断動作
の後、
前記切断動作
が行われた位置に前記切断部材が配置されたまま、しかも、前記切断部材が、前記切断動作とは逆向きの復帰動作前の、前記切断動作後の状態のままで、前記クランプ機構において前記把持位置を前記供給方向の上流側に後退させることにより前記テープの先端を前記切断位置から離間させる、
テープ貼付装置。
【請求項2】
前記カッタ機構は、前記切断位置において前記供給方向に対して交差する方向に動作する刃先を備え、
相互に開閉可能に構成された一対の前記切断部材を有し、
前記一対の切断部材は、前記供給方向に見て相互に刃先が重なる態様で前記テープを切断する、
請求項1に記載のテープ貼付装置。
【請求項3】
前記カッタ機構は、前記切断位置に対して、前記供給方向、並びに、前記切断部材の前記切断動作の方向と交差する向きに出没可能に構成され、
前記カッタ機構は、前記切断位置に繰り出した後に前記切断部材を切断動作させて前記テープを切断し、前記クランプ機構により前記把持位置が前記供給方向の上流側に後退することにより前記テープの先端が前記切断部材より離反した後に、
前記切断位置から繰り出しの向きとは逆向きの移動動作により退避位置に復帰する、
請求項2に記載のテープ貼付装置。
【請求項4】
前記カッタ機構は、前記切断位置に繰り出した後に開状態の前記一対の切断部材を閉状態として前記テープを切断し、前記クランプ機構により前記把持位置が前記供給方向の上流側に後退することにより前記テープの先端が閉状態の前記一対の切断部材より離反した後に、
前記移動動作により退避位置に復帰する、
請求項3に記載のテープ貼付装置。
【請求項5】
前記切断動作
とは逆向きの復帰
動作及び前記移動動作は、前記テープの末端が前記テープ貼付ローラによって貼り付けられることにより前記カッタ機構より離反した後に行われる、
請求項
3又は4に記載のテープ貼付装置。
【請求項6】
前記クランプ機構は、前記把持位置が、前記供給方向に沿って前記貼付位置に接近した前進位置と、前記貼付位置との間に前記切断位置を介在させるように前記前進位置よりも前記貼付位置から前記供給方向の上流側に離間した中間位置と、前記中間位置よりも前記切断位置から前記供給方向の上流側に離間した後退位置と、のいずれかに選択的に配置されるように構成される、
請求項1-5のいずれか一項に記載のテープ貼付装置。
【請求項7】
前記クランプ機構は、前記前進位置に対応する第1の規制領域と、前記中間位置に対応する第2の規制領域と、前記後退位置に対応し、前記第1の規制
領域と前記第2の規制
領域との間に配置された第3の規制領域とを有する案内規制構造により、前記把持位置が選択される、
請求項6に記載のテープ貼付装置。
【請求項8】
前記供給経路のうちの前記把持位置に対して前記供給方向の上流側に設定された引出領域において、前記テープを余分に引き出すように前記供給経路を変更するテープ引出部材と、
前記テープ引出部材による前記供給経路の変更から前記供給経路が復帰した後に前記引出領域において前記テープを引き取りながらを既定の張力を与える張力付与機構と、
をさらに有する、
請求項1-7のいずれか一項に記載のテープ貼付装置。
【請求項9】
前記張力付与機構により前記引出領域において前記テープを引き取りながら既定の張力が与えられた後に、前記クランプ機構は、前記把持位置を前記貼付位置に向けて前進させる、
請求項8に記載のテープ貼付装置。
【請求項10】
上記張力付与機構は、前記供給方向に隣接配置され、弾性力により前記テープを巻き取る向きに相互に旋回するように付勢された2つのテンションローラを有する、
請求項8又は9に記載のテープ貼付装置。
【請求項11】
テープ貼付ローラにより、供給経路に沿って供給されたテープを被貼付物に貼り付け、クランプ機構により、前記テープを前記
テープ貼付ローラによる前記被貼付物に対する貼付位置に対して前記
供給経路に沿った供給方向の上流側にある把持位置で把持し、カッタ機構により、前記テープ貼付ローラによる前記テープの貼付位置と、前記クランプ機構による前記把持位置との間にある切断位置で前記テープを
切断動作により切断し、
前記クランプ機構は、前記テープの把持状態と解放状態を切替可能に構成され、前記把持位置が前記供給方向の前後に移動可能となるように構成され、
前記カッタ機構
の切断構造による前記テープの
前記切断動作後、
前記切断動作
が行われた位置に前記切断構造が配置されたまま、しかも、前記切断構造が、前記切断動作とは逆向きの復帰動作前の、前記切断動作後の状態のままで、前記クランプ機構において前記把持位置を後退させることにより前記テープの先端を前記切断位置から前記供給方向の上流側に向けて離間させる、テープ貼付方法。
【請求項12】
前記カッタ機構
の前記切断構造は、前記切断位置において前記供給方向に対して交差する方向に動作する刃先を備えた切断部材を備え、
前記切断部材は、前記切断動作後において、
前記切断動作が行われた位置に配置されたまま、しかも、前記切断動作後の状態のままで、前記クランプ機構により前記把持位置が後退し、前記テープの先端が前記切断位置から離間した後に、前記切断動作とは逆向きの復帰動作を行う、
請求項11に記載のテープ貼付方法。
【請求項13】
前記クランプ機構による前記把持位置は、前記供給方向に沿って前記貼付位置に接近した前進位置と、前記貼付位置との間に前記切断位置を介在させるように前記前進位置よりも前記貼付位置から前記供給方向の上流側に離間した中間位置と、前記中間位置よりも前記切断位置から前記供給方向の上流側に離間した後退位置と、のいずれかに選択的に配置されるように構成される、
請求項11又は12に記載のテープ貼付方法。
【請求項14】
テープ引出部材により、前記供給経路のうちの前記把持位置に対して前記供給方向の上流側に設定された引出領域において、前記テープを余分に引き出すように前記供給経路を変更し、
張力付与機構により、前記テープ引出部材による前記供給経路の変更から前記供給経路が復帰した後に前記引出領域において前記テープを引き取りながら既定の張力を与える、
請求項11-13のいずれか一項に記載のテープ貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテープ貼付装置及びテープ貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、テープを貼り付けるためのテープ貼付ユニットを備えるテープ貼付装置が各種分野において用いられている。一般的には、各種処理のためのマスキングテープを貼着する場合や、接着固定を行うための両面粘着テープの貼着などが挙げられる。テープ貼付装置において、作業台の上に貼付対象物を配置し、作業台に対して可動に構成されたテープ貼付ユニットを貼着対象物に対して相対移動させることによってテープを貼り付ける。このとき、以下の特許文献1及び2に示すように、テープ貼付ユニットは、テープ先端を貼付対象物に貼り付けた後に、貼付対象物に対して平面的に移動しながらテープの貼り付けを継続し、やがて、テープ終端をカッタにより切断した後に、テープ端末部を貼着させることによって、テープ貼付作業が終了するように構成される場合がある。カッタ機構としては、特許文献1や2に示されるような片刃状のものだけでなく、特許文献3に記載された鋏状の構造を備えるものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-074538号公報
【文献】特開2017-197309号公報
【文献】特開平6-211410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のテープ貼付装置では、各種のテープをカッタ機構により切断する必要があるが、従来のカッタ機構では、テープの材質、幅、厚み、粘着剤の有無や量などによっては切断が難しいため、切断時にカッタ機構の切断部材の刃先にテープが貼り付いたり、当該刃先によりテープが折れ曲がったりすることで、切断により形成されたテープ端を変形させてしまう場合があった。また、上記従来のテープ貼付装置では、切断を容易化するためにテープに強い張力を加えるとテープに伸びが生じる場合があり、テープの伸びによって貼付範囲が変化したり、粘着性能の低下を招くこともある。
【0005】
上記のように、カッタ機構による切断時におけるテープの伸び、或いは、テープ先端の変形が生ずると、そのままテープの貼付範囲に影響し、テープの貼付幅や貼付長が変化したり、貼付範囲の終端や始端の位置や形状が変化してしまうといった問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記問題を解決するものであり、その課題は、テープ貼付に際して、カッタ機構によるテープ切断時のテープの特性変化やテープ端の変形に起因する障害を回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るテープ貼付装置は、供給経路に沿って供給されたテープを被貼付物に貼り付けるテープ貼付ローラと、前記テープを前記テープ貼付ローラによる前記被貼付物に対する貼付位置に対して前記供給経路に沿った供給方向の上流側にある把持位置で把持するクランプ機構と、前記テープ貼付ローラによる前記テープの貼付位置と前記クランプ機構による前記把持位置との間にある切断位置で前記テープを切断動作により切断する切断部材を有するカッタ機構と、前記クランプ機構及び前記カッタ機構を制御する制御部と、を具備する。ここで、前記クランプ機構は、前記テープの把持状態と解放状態を切替可能に構成され、前記把持位置が前記供給方向の前後に移動可能となるように構成される。そして、テープ貼付装置の第1の発明としては、前記制御部は、前記カッタ機構による前記切断部材の前記テープに対する切断動作後、当該切断動作が行われた位置に前記切断部材が配置されたまま、しかも、前記切断部材が、前記切断動作とは逆向きの復帰動作前の、前記切断動作後の状態のままで、前記クランプ機構において前記把持位置を前記供給方向の上流側に後退させることにより前記テープの先端を前記切断位置から離間させる。ここで、上記の「切断動作」とは、カッタ機構の切断構造(切断部材)において刃先が動作して前記テープを前記切断位置で切断する動作を言い、例えば、実施例では、前記切断部材が開状態から閉状態へ移行する動作である。また、「前記切断動作とは逆向きの復帰動作」とは、前記切断構造(前記切断部材)において前記刃先が上記切断動作とは逆向きに動作することを言い、例えば、実施例では、前記切断部材が閉状態から開状態へ移行する動作である。なお、後述するように、前記カッタ機構が、前記切断位置に対して、前記供給方向、並びに、前記切断部材の前記切断動作の方向と交差する向きに出没可能に構成される場合には、前記カッタ機構の前記切断構造(前記切断部材)が前記切断位置と退避位置との間を出没する動作を、前記切断動作及び前記切断動作とは逆向きの復帰動作(実施例では、開状態と閉状態の間の移行動作)とは区別して、「移動」、若しくは、「移動動作」と言う。
【0008】
本発明において、前記カッタ機構の前記切断部材は、前記切断位置において前記供給方向に対して交差する方向に動作する刃先を備える。この場合に、相互に開閉可能に構成された一対の前記切断部材を備え、前記一対の切断部材は、前記供給方向に見て相互に刃先が重なる態様で前記テープを切断することが望ましい。この場合にはさらに、前記一対の切断部材は、相互に回動可能に接続された鋏状に構成されることがさらに望ましい。
【0009】
本発明において、前記カッタ機構は、前記切断位置に対して、前記供給方向、並びに、前記切断部材の前記切断動作の方向と交差する向きに出没可能に構成されることが好ましい。ここで、前記カッタ機構は、前記切断位置に繰り出した後に前記切断部材を切断動作させて前記テープを切断し、前記クランプ機構により前記把持位置が前記供給方向の上流側に後退することにより前記テープの先端が前記切断部材より離反した後に、退避位置に復帰することが望ましい。特に、前記一対の切断部材が開閉可能に構成される場合には、前記カッタ機構は、前記切断位置に繰り出した後に開状態の前記一対の切断部材を閉状態として前記テープを切断し、前記クランプ機構により前記把持位置が前記供給方向の上流側に後退することにより前記テープの先端が閉状態の前記一対の切断部材より離反した後に、退避位置に復帰することが望ましい。これらの場合において、前記カッタ機構の退避位置への復帰は、前記テープの末端が前記テープ貼付ローラによって貼り付けられることにより前記切断部材より離反した後に行われることがさらに望ましい。
【0010】
本発明において、前記クランプ機構は、前記把持位置が、前記供給方向に沿って前記貼付位置に接近した前進位置と、前記貼付位置との間に前記切断位置を介在させるように前記前進位置よりも前記貼付位置から前記供給方向の上流側に離間した中間位置と、前記中間位置よりも前記切断位置から前記供給方向の上流側に離間した後退位置と、のいずれかに選択的に配置されるように構成されることが好ましい。この場合において、前記クランプ機構は、前記前進位置に対応する第1の規制領域と、前記中間位置に対応する第2の規制領域と、前記後退位置に対応し、前記第1の規制部と前記第2の規制部との間に配置された第3の規制領域とを有する案内規制構造により、前記把持位置が選択されることが望ましい。前記案内規制構造は、前記クランプ機構に設けられた従動節と、前記従動節を案内し、前記第1の規制領域から前記第3の規制領域を経て前記第2の規制領域に向かう規制経路を備える原動節と、を備えるカム構造を有することがさらに望ましい。
【0011】
本発明において、テープ貼付装置の第2の発明としては、前記供給経路のうちの前記把持位置に対して前記供給方向の上流側に設定された引出領域において、前記テープを余分に引き出すように前記供給経路を変更するテープ引出部材と、前記テープ引出部材による前記供給経路の変更から前記供給経路が復帰した後に前記引出領域において前記テープを引き取りながら既定の張力を与える張力付与機構と、をさらに有することが好ましい。この場合において、前記張力付与機構により前記引出領域において前記テープを引き取りながら既定の張力が与えられた後に、前記クランプ機構は、前記把持位置を前記貼付位置に向けて前進させることが望ましい。この場合において、上記張力付与機構は、前記供給方向に隣接配置され、弾性力により前記テープを巻き取る向きに相互に旋回するように付勢された2つのテンションローラを有することが好ましい。
【0012】
本発明に係るテープ貼付方法は、テープ貼付ローラにより、供給経路に沿って供給されたテープを被貼付物に貼り付け、クランプ機構により、前記テープを前記テープ貼付ローラによる前記被貼付物に対する貼付位置に対して前記供給経路に沿った供給方向の上流側にある把持位置で把持し、カッタ機構により、前記テープ貼付ローラによる前記テープの貼付位置と、前記クランプ機構による前記把持位置との間にある切断位置で前記テープを切断動作により切断する。ここで、前記クランプ機構は、前記テープの把持状態と解放状態を切替可能に構成され、前記把持位置が前記供給方向の前後に移動可能となるように構成される。そして、テープ貼付方法の第1の発明としては、前記カッタ機構の切断構造による前記テープの前記切断動作後、前記切断動作が行われた位置に前記切断構造が配置されたまま、しかも、前記切断構造が、前記切断動作とは逆向きの復帰動作前の、前記切断動作後の状態のままで、前記クラン構において前記把持位置を後退させることにより前記テープの先端を前記切断位置から前記供給方向の上流側に向けて離間させる。
【0013】
本発明において、前記カッタ機構は、前記切断位置において前記供給方向に対して交差する方向に動作する刃先を備えた切断部材を備える。ここで、前記切断部材は、前記切断動作後において、前記クランプ機構により前記把持位置が後退し、前記テープの先端が前記切断位置から離間した後に、前記切断動作とは逆向きの復帰動作を行うことが好ましい。この場合に、相互に開閉可能に構成された一対の前記切断部材を備え、前記一対の切断部材は、前記供給方向に見て相互に刃先が重なる態様で前記テープを切断することが望ましい。この場合にはさらに、相互に回動可能に接続された鋏状に構成されることがさらに望ましい。これらの場合には、第1の発明として、前記切断部材は、前記切断動作として開状態から閉状態へ移行した後において、前記クランプ機構により前記把持位置が後退し、前記テープの先端が前記切断位置から離間した後に、前記復帰動作として閉状態から開状態へ移行することが好ましい。
【0014】
本発明において、前記クランプ機構による前記把持位置は、前記供給方向に沿って前記貼付位置に接近した前進位置と、前記貼付位置との間に前記切断位置を介在させるように前記前進位置よりも前記貼付位置から前記供給方向の上流側に離間した中間位置と、前記中間位置よりも前記切断位置から前記供給方向の上流側に離間した後退位置と、のいずれかに選択的に配置されるように構成されることが好ましい。この場合において、前記クランプ機構は、前記前進位置に対応する第1の規制領域と、前記中間位置に対応する第2の規制領域と、前記後退位置に対応し、前記第1の規制領域と前記第2の規制領域との間に配置された第3の規制領域とを有する案内規制構造により、前記把持位置が選択されることが望ましい。前記案内規制構造は、前記クランプ機構に設けられた従動節と、前記従動節を案内し、前記第1の規制領域から前記第3の規制領域を経て前記第2の規制領域に向かう規制経路を備える原動節と、を備えるカム構造を有することがさらに望ましい。
【0015】
本発明において、テープ貼付方法の第2の発明としては、テープ引出部材により、前記供給経路のうちの前記把持位置に対して前記供給方向の上流側に設定された引出領域において、前記テープを余分に引き出すように前記供給経路を変更し、張力付与機構により、前記テープ引出部材による前記供給経路の変更から前記供給経路が復帰した後に前記引出領域において前記テープを引き取りながら既定の張力を与えることが好ましい。この場合において、前記張力付与機構により前記引出領域において前記テープを引き取りながら既定の張力が与えられた後に、前記クランプ機構は、前記把持位置を前記貼付位置に向けて前進させることが望ましい。この場合において、上記張力付与機構は、前記供給方向に隣接配置され、弾性力により前記テープを巻き取る向きに相互に旋回するように付勢された2つのテンションローラを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、テープ貼付に際して、カッタ機構によるテープ切断時のテープの特性変化やテープ端の変形に起因する障害を回避することができる。
【0017】
特に、カッタ機構による切断部材のテープに対する切断動作後、当該切断動作の復帰前に、クランプ機構において把持位置を供給方向の上流側に後退させることによりテープの先端を切断位置から離間させることにより、カッタ機構の切断動作時や復帰動作時におけるテープ先端の変形を防止できるため、テープの貼付範囲の位置ずれや変形の発生を抑制することができる。また、テープ引出部材による供給経路の引出領域におけるテープ引出動作が行われ、その後に張力付与機構によりるテープを引き取りながら張力の付与が行われることにより、供給経路へ供給されるテープの引出抵抗の変動、すなわち、テープの種類による引出抵抗の変動や、粘着力の剥離状態の変化による引出抵抗の変動によるテープに付与される張力の変化を抑制でき、供給経路の引出領域において与えられる張力付与機構による安定した張力を享受することができるため、テープ切断後のクランプ機構による把持位置の前進時におけるテープへの過剰な張力の付与を回避することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係るテープ貼付装置の実施形態の全体構成を示す正面図である。
【
図2】同実施形態のテープ貼付ユニットの左側面図(a)、右側面図(b)及び平面図(c)である。
【
図3】同実施形態のテープ貼付ユニットの動作状態を順番に示す概略説明図(a)-(c)である。
【
図4】同実施形態のテープ貼付ユニットのさらなる動作状態を順番に示す概略説明図(a)-(c)である。
【
図5】同実施形態のテープ貼付ユニットの各部構成を示す拡大正面図(a)及びカット機構の構成を示す拡大側面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。最初に、
図1及び
図2を参照して、本発明に係るテープ貼付装置の実施形態の全体構成について説明する。本実施形態のテープ貼付装置100は、支持構造体101に対して直接若しくは間接的に取り付けられたテープ貼付ユニット110と、作業台120と、ユニット駆動機構130を有し、各部を制御する制御部140を備える。
【0020】
テープ貼付ユニット110は、図示例の場合、ユニット駆動機構130によって、作業台120に対する相対的な平面方向であるX軸とY軸、上下方向であるZ軸に沿って移動可能に構成され、また、Z軸周りに回転可能に構成される。ただし、ユニット駆動機構130によるテープ貼付ユニット120の駆動態様は図示例に限らず、作業台120上に設置された被貼付物121の被貼付面121aに対して適宜の態様でテープを貼付可能に構成されていればよい。例えば、テープ貼付ユニット110のZ軸周りの回転やZ軸に沿った駆動の代わりに、作業台120をZ軸周りに回転可能に構成したり、Z軸方向に昇降可能に構成したりしてもよい。
【0021】
制御部140は、MPU(マイクロプロセッサユニット)などで構成することもできるが、特に限定されない。制御部140は、テープ貼付ユニット120の各部及びユニット駆動機構130を制御し、各部が適宜のタイミングで駆動されるように構成する。構成によっては作業台120を制御するように構成されていてもよい。
【0022】
テープ貼付ユニット120は、支持体111にそれぞれ取り付けられた、テープ貼付機構112、クランプ機構113、カッタ機構114、テープ引出機構115、供給リール116、供給ローラ117、張力付与機構118、ガイドローラ119を備える。供給リール116にはテープロール102が装着され、このテープロール102から引き出されたテープ103は、供給ローラ117、張力付与機構118、ガイドローラ119を順次通過して上記テープ貼付ローラ112aへと導かれる。テープ103は、図示例では片面粘着テープや、両面粘着テープの片面に離形紙を貼り付けたものとしている。ただし、テープ103の具体的な構成は限定されない。
【0023】
図5(a)に示すように、テープ貼付機構112は、エアシリンダ等の駆動機構を有し、この駆動機構により、テープ貼付ローラ112aを作業台120上に設置された被貼付物(図示せず)の表面に切離可能に構成される。テープ貼付ローラ112aの移動方向は、被貼付物121の表面である被貼付面121a若しくは作業台120の表面を基準とする水平面に対して、テープ103の供給経路の上流側に斜めに向かうように傾斜した方向Aに設定される。すなわち、テープ貼付ローラ112aが被貼付物121へ向けて繰り出されるとき、テープ貼付ローラ112aは、テープ103の供給経路の上流側(図示右側)に徐々に平面位置をずらしながら降下する。
【0024】
クランプ機構113は、テープ103の供給方向に沿った仮想平面内で上記方向Aに直交する方向Bに沿って移動可能に構成される本体部113aと、この本体部113aに取り付けられた軸支部材113bと、この軸支部材113bに対して回転可能に軸支されたクランプローラ113cと、軸支部材113bに対して回動軸113dを中心に回動可能に取り付けられた回動アーム113eと、が設けられる。この回動アーム113eの先端には、上記クランプローラ113cに対してテープ103を介して当接可能に構成された把持部113fが形成される。また、回動アーム113eを、上記把持部113fがクランプローラ113cに押し付けられる方向に付勢するコイルばね等の弾性部材113gを有する。さらに、上記回動アーム113eの上記把持部113fとは回動軸113dの反対側にある端部は、本体113aに対して回動可能に取り付けられたエアシリンダ等からなる駆動部113hの駆動軸113iに対して回動可能に連結されている。本体部113aは、上記仮想平面内において上記方向Bと直交する方向Cに移動可能に構成された移動駆動体(図示例では板状のカム部材)113jに形成された案内溝113kに嵌合し、この案内溝113kに嵌合した状態で溝の延在方向に案内される従動部113mを備える。これによって、図示しないエアシリンダ等の駆動源により移動駆動体113jが方向Cに沿って移動するとき、従動部113mを介して本体部113aが方向Bに沿って移動する。なお、センサ113p,113qは、移動駆動体113jの位置を検出する光センサ等の検出器である。上記本体部113aの方向Bに沿った移動は、把持位置、すなわち、クランプローラ113cと把持部113fによってテープ103が挟持されることにより把持される位置も同様に移動させる。
【0025】
案内溝113kには、移動駆動体113jが図示の第1位置(上部位置)に配置されるときに従動部113mが嵌合する第1の規制領域113m1と、移動駆動体113jが上記第1位置とは反対側の第2位置(下部位置)に配置されるときに従動部113mが嵌合する第2の規制領域113m2と、移動駆動体113jが第1位置と第2位置の間にあるときに嵌合し、第1の規制領域113m1と第2の規制領域113m2との間に配置される第3の規制領域113m3とが設けられる。移動駆動体113jが第1位置にあり、従動部113mが上記第1の規制領域113m1に配置されるとき、クランプ機構113の把持位置は、図示のように供給方向の最も下流側、すなわち、最もテープ貼付ローラ112aによるテープ103の貼付位置に近づいた前進位置にある(
図3(a)も参照)。また、移動駆動体113jが第2位置にあり、従動部113mが上記第2の規制領域113m2に配置されるとき、クランプ機構113の把持位置は、供給方向の中間にある位置、すなわち、テープ103がカット機構114により切断されるときの切断位置よりも供給方向の上流側に配置される中間位置にある(
図3(b)も参照)。さらに、移動駆動体113jが第1位置と第2位置の間の第3位置にあり、従動部113mが上記第3の規制領域113m3に配置されるとき、クランプ機構113の把持位置は、図示のように供給方向の最も上流側、すなわち、上記中間位置よりもさらに供給方向の上流側にある後退位置にある(
図4(c)も参照)。
【0026】
カッタ機構114は、
図5(b)に示すように、第1の切断部材(図示例では固定側の切断部材)114aと、第2の切断部材(図示例では可動側の切断部材)114bとを有し、第1の切断部材114aと第2の切断部材114bからなる切断構造は、エアシリンダ等からなる駆動部114dにより、上記供給方向と交差し、上記仮想平面と直交する方向Dに出没可能に構成されるとともに、駆動部114eにより(図示例では、第2の切断部材114bを動作させることにより)相互に開閉可能に構成される。図示例の場合、第1の切断部材114aと第2の切断部材114bは回動軸114cを中心に回動可能に連結され、鋏状の切断構造を構成している。なお、図示実線はカッタ機構114の上記切断構造が待機位置に配置されている様子を示し、図示二点鎖線は、カッタ機構114の切断構造が上記供給経路上の切断位置に配置されている様子を示す。
【0027】
テープ引出機構115は、テープ引出部材115aをエアシリンダ等からなる駆動部115bにより出没駆動することにより、テープ103の供給経路を図示実線の状態から図示二点鎖線の状態に変更する。図示例の場合、テープ引出部材115aの方向Eへの突出動作により、図示二点鎖線のように供給経路を長くするように変化させることで、テープ103をテープロール102から余分に引き出し、その後、テープ引出部材115aを復帰動作させて図示実線の状態に戻すことにより、張力付与機構118によってテープ103が引き取られ(図示例では巻き取られ)、テープ103に所定のテンションが与えられるようになっている。
【0028】
張力付与機構118は、上記供給経路上で隣接する二つのテンションローラ118a,118bを備える。二つのテンションローラ118aと118bは、いずれも共通の回動体108cに回転可能に軸支されている。回動体108cは、図示しないコイルばね等の弾性部材により図示反時計回りの巻取方向Fに付勢されており、テープ103の張力が低下すると、巻取方向Fに回転し、テンションローラ118aと118bに架設されているテープ103を巻き取る態様で、上記弾性部材の付勢力に起因する張力をテープ103に付与する。これによって、テープ103には安定した張力が与えられる。なお、図示例のように二つのテンションローラ118a,118bにより巻き取る態様で張力を与える張力付与機構118を用いることにより、コンパクトな構成で、引き取り量を確保しつつ、安定した張力を与えることができる。
【0029】
上記供給ローラ117、上記テンションローラ118b、ガイドローラ119は、幅の異なるテープ103をガイドできるように、ガイド幅を可変となるように構成される。図示例では、ねじ軸Saに螺合するスリーブSbを軸方向に移動可能に構成することにより、ガイドローラScの外周面上によって構成され、スリーブSbによって規制するテープ103の幅方向の幅である上記ガイド幅を調整可能とされる(
図2(c)等参照)。ここで、幅の異なるテープを用いたり、粘着力の異なる粘着層を備えるテープを用いたり、伸びや変形度合の異なる基材を備えるテープを用いたりする場合には、供給リール116に装着されたテープロール102からの引出抵抗が大きく変化する。このため、テープ103の貼付を行う過程で、テープ103に与えられる張力も大きく増減する。これに対して、上記テープ引出機構115によるテープ103の引出動作と、その復帰動作後の張力付与機構118による引き取り動作及び張力付与動作によって、テープ103の張力が安定し、その引き取り量に対応して、張力安定状態の一定量の引出余裕が形成される。このため、後述するようにクランプ機構113の把持位置が中間位置や後退位置から前進位置に移動するとき、テープ103の張力の不安定化や過剰な張力が加わることを防止できる。すなわち、後述するように、テープ103の先端103aの位置を前進させ、テープ貼付ローラ112aに近づけて、テープ貼付開始時のテープ貼付ローラ112aによる貼付開始動作を確実に行う際に、張力付与機構118による安定した張力が生ずるようにすることにより、クランプ機構113により把持されたテープ103に対して供給リール116の側から生ずる過剰な張力が加わらないようにすることができる。
【0030】
次に、上記のように構成されたテープ貼付装置100を用いたテープ103の貼付方法の一例について
図3及び
図4を参照して説明する。最初に、
図3(a)に示すように、テープ貼付ユニット110は、上記制御部140の制御により、被貼付物121の被貼付面121aに対するテープ貼付動作時の位置よりも上方の準備位置に配置される。これは、テープ103の先端103aが誤って被貼付面121aに接触しないようにするためである。このとき、テープ貼付機構120のテープ貼付ローラ112aは、被貼付面121aより離反するように待機位置(上部位置)に配置される。また、クランプ機構113はテープ103を把持位置で把持した状態にあり、テープ103の先端103aは把持位置から供給方向の下流側に突出し、その先端縁は自由端となっている。供給方向の下流側の前進位置に配置され、移動駆動体113jは第1位置(上部位置)にあり、したがって、把持位置も前進位置にある。
【0031】
次に、制御部140に被貼付面121a上の貼付範囲のデータが入力されるか、制御部140が予め与えられた同データを読み込むことにより、制御部140は、ユニット駆動機構130を制御し、テープ貼付ユニット110を上記貼付範囲の貼付開始位置に対応する場所に配置し、テープ貼付動作を開始する。このとき、
図3(b)に示すように、まず、テープ貼付ユニット110は、テープ貼付動作が可能な高さに降下する。その後、テープ貼付ローラ112aを繰り出し、テープ103の先端103aを被貼付面121aのテープ貼付開始位置に貼着する。先端103aが被貼付面121aに貼り付けられると、制御部140は、クランプ機構113の回動アーム113eを回動させて把持部113fを上方へ移動させてクランプローラ113cから離反させ、テープ103の把持状態を解除する。その後、ユニット駆動機構130により、テープ貼付ユニット110は貼付方向に移動され、被貼付面121a上にテープ103を貼り付けていく。このとき、クランプ機構113は、移動駆動体113jを第1位置から第2位置へ移動させることにより、本体部113aを後退させ、クランプローラ113cを供給方向の上流側の上記中間位置へ移動させる。このとき、テープ103はテープ貼付ユニット110の移動とともに供給リール116に装着されたテープロール102から引き出され、テープ貼付ローラ112aにより被貼付面121a上に貼り付けられていく。
【0032】
次に、テープ103の貼付長がほぼ達成されると、制御部140はテープ貼付ユニット110の貼付方向への移動動作を停止させ、
図3(c)に示すように、テープ引出部材115aを突出動作させて、供給ローラ117とガイドローラ119の間の引出領域において、テープ103の供給経路長を一時的に増大させることによって、テープ103をテープロール102から余分に引き出す。その後、テープ引出部材115aを復帰動作させ、上記供給経路長を元に戻すと、張力付与機構118が作動して、上記引出領域のテープ103を引き取りながら、所定の張力(上記弾性部材により与えられる既定の張力)を付与する。図示例の場合、引き出されたテープ103の引き取り動作は、回動体118cが回動してテンションローラ118aと118bに巻き取られることによって行われる。
【0033】
その後、
図4(a)に示すように、クランプ機構113の駆動部113h及び駆動軸113iにより回動アーム113eを駆動し、クランプローラ113c上のテープ103を把持部113fにより把持し、テープ103が、上記の把持位置と、テープ貼付ローラ112aによる貼付位置との間で固定された状態とする。この状態で、カッタ機構114を上記方向Dに繰り出した位置において、第1の切断部材114aと第2の切断部材114bが閉状態となることによりテープ103を上記貼付位置と把持位置の間の切断位置で切断する。このとき、テープ103の貼付位置の側の切断縁が、現在の被貼付面121a上に貼り付けている貼付範囲に対応するテープ103の末端103bとなる。また、テープ103の把持位置の側の切断縁が、次に貼り付けられる予定のテープ103の先端103aとなる。
【0034】
ここで、現在貼付中のテープ103の末端103bは、
図4(b)に示すように、制御部140によりテープ貼付ユニット110を貼付方向に僅かに移動させることによって、カッタ機構114の切断構造(第1の切断部材114aと第2の切断部材114b)から供給方向の下流側へ引き離され、被貼付面121a上に貼り付けられる。このとき、カッタ機構114の切断構造が閉状態のままで、テープ103の末端103bが離反し、被貼付面121aに貼り付けられることにより、末端103bが切断構造によって変形されることが抑制されるため、テープ103の終端部分における貼付位置のずれや貼付形状の変形が回避される。
【0035】
その後、
図4(c)に示すように、移動駆動体113jが第3位置に移動し、上記把持位置が一時的に供給方向の上流側(後退位置)へ後退する。例えば、移動駆動体113jは、第2位置から第1位置へ連続的に移動する過程で一時的に第3位置を通過するように構成される。これによって、把持位置で把持されたテープ103の先端103aは、把持位置の後退により、カッタ機構114の切断構造(第1の切断部材114a及び第2の切断部材114b)から供給方向の上流側へ離間する。しかる後に、カッタ機構の切断構造は、上記方向Dに沿って待機位置へ戻り、この待機位置で開状態に復帰する。このとき、カッタ機構114の切断構造が閉状態のままで、テープ103の先端103aが離反し、被貼付面121aに貼り付けられることにより、先端103aが切断構造によって変形されることが抑制されるため、テープ103の始端部分における貼付位置のずれや貼付形状の変形が回避される。
【0036】
最後に、
図3(a)の初期状態に戻るように、まず、テープ貼付ローラ112aが待機位置に戻り、また、移動駆動体113jが第1位置に復帰し、上記把持位置が前進することにより、把持位置は前進位置に配置され、次のテープ貼付動作の準備を行う。このとき、上記引出領域においては張力付与機構118によってテープ103が巻き取られ(引き取られ)、テープ103の張力が安定した状態となっている。また、このときのテープ103の巻き取り量(引き取り量)は、把持位置の後退位置から前進位置までの距離よりも十分に大きいため、新たなテープロール102からのテープ103の引出による剥離力などに起因する張力の変動や過剰な張力の発生が回避された状態で、上記把持位置とともにテープ103の先端103aがテープ貼付ローラ112aの貼付位置に対応した位置に配置される。この把持位置が前進位置に配置されるときの先端103aの位置は、テープ貼付ローラ112aを繰り出したときに被貼付面121aに支障なく貼り付け可能な位置となっている。
【0037】
以上説明した本実施形態のテープ貼付装置100、或いは、そのテープ貼付方法によれば、テープ103のカット機構114による切断時において、カット機構114の切断構造の切断動作後であって復帰動作前にクランプ機構113による把持位置を後退させることにより、テープ103の先端103aを復帰動作前に切断構造から離反させることができるため、先端103aの変形を抑制することができるため、テープ103の貼付範囲の始端部分の位置ずれや変形を回避できる。また、上記切断構造の復帰動作を、テープ103の末端103bが離間した後に行うことにより、テープ103の貼付範囲の終端部分の位置ずれや変形をも回避することもできる。特に、本実施形態では、上記切断構造として、一対の切断部材を供給方向と交差する方向に動作させ、相互に供給方向に見て重ねるようにしてテープ103を切断するものとしているため、単一の切断部材を用いる場合よりも、テープ103の切断時における張力を低減できるとともに、切断時におけるテープ103の供給方向と交差する方向の変形を低減することができ、しかも、切断後に開状態に復帰させる前にテープ103の先端103aや末端103bを離間させるので、テープ103の切断端の変形や損傷をさらに軽減できる。この場合、上記切断構造を鋏状に構成することによりテープ切断時の抵抗をさらに低減できることから、さらなる効果が期待できる。
【0038】
また、本実施形態では、テープ引出部材115aの突出動作により引出領域における供給経路長を増大させてテープ103を引き出し、その後、供給経路長を戻した後に、張力付与機構118によりテープ103を引き取り所定の張力を付与することにより、次のテープ貼付けに備えて、テープ103の把持位置を前進位置に移動させる際のテープ103の張力を安定させることができるので、テープ103の把持箇所の損傷や、テープロール102からの引出時の剥離による張力変動や過剰な張力によるテープ基材の伸び等の損傷などを防止することができる。
【0039】
さらに、上記のテープ貼付準備段階における張力の安定化に限らず、上記テープ引出機構115及び張力付与機構118による引出領域における動作を任意のタイミングで実行することにより、テープ103の先端貼付後の貼付動作時や末端貼付時においても張力を安定化することが可能であり、テープ103の損傷を抑制できるという効果を奏することができる。
【0040】
なお、本発明のテープ貼付装置及び貼付方法は、上述の図示例に基づいて説明されたもののみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態はカット機構114の切断構造として鋏状に構成された一対の切断部材を用いているが、相互に平行な刃先を備えた一対の切断部材を開閉可能に構成したものや、単一のカミソリ状の切断部材からなるものなど、カット機構114の切断構造は特に限定されない。
【0041】
また、上記実施形態では、クランプローラ113cと把持部113fによりテープ103を挟持することで把持し、把持しないときにはクランプローラ113cのみを用いるように構成されたクランプ構造を採用しているが、本発明では、このような構成に限定されず、例えば、把持しないときにはテープ103に全く接触しないように構成したクランプ構造を用いることも可能である。
【0042】
さらに、張力付与機構118はテープ103を巻き取りながら張力を与えるように構成されるが、何等かの方法でテープ103を引き取ることができ、その結果、所定の張力をテープ103に与えれられるようになっているものであれば、特に限定されない。
【0043】
なお、上記実施形態では、
図4(b)の末端103bの切断構造からの離反動作(末端貼付動作)を先に行い、その後に、
図4(c)の先端103aの切断構造からの離反動作(把持位置の後退動作)を行い、さらに、カッタ機構114の切断構造の待機位置への復帰動作と、把持位置の前進動作を順次に行うようにしている。しかし、上記実施形態の具体的な構造に限定されなければ、上記末端103bの離反動作と上記先端103aの離反動作の時間的前後は特に限定されず、両動作が上記とは逆の順番で実施されてもよく、また、両動作が並行して実施されても構わない。ただし、いずれの離反動作も、カッタ機構114の切断構造の切断動作の後であって、切断部材の切断動作とは逆の元の位置への復帰動作、切断構造の閉状態から開状態への移行、或いは、切断構造の待機位置への移動などといった、各種の復帰動作の前に行われることによって、先端103aや末端103bの変形を防止するといった効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0044】
100…テープ貼付装置、101…支持構造体、110…テープ貼付ユニット、111…支持体、112…テープ貼付機構、112a…テープ貼付ローラ、113…クランプ機構、113a…本体部、113b…軸支部材、113c…クランプローラ、113d…回動軸、113e…回動アーム、113f…把持部、113g…弾性部材、113h…駆動部、113i…駆動軸、113j…移動駆動体、113k…案内溝、113m…従動部、113m1…第1の規制領域、113m2…第2の規制領域、113m3…第3の規制領域、114…カット機構、114a…第1の切断部材、114b…第2の切断部材、114c…回動軸、114d,114e…駆動部、115…テープ引出機構、115a…テープ引出部材、115b…駆動部、116…供給リール、117…供給ローラ、118…張力付与機構、118a,118b…テンションローラ、118c…回動体、119…ガイドローラ、120…作業台、121…被貼付物、121a…被貼付面、130…ユニット駆動機構、140…制御部