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特許7424657ユビキノンの共結晶及びそれらを含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】ユビキノンの共結晶及びそれらを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   C07C 50/28 20060101AFI20240123BHJP
   C07C 39/08 20060101ALI20240123BHJP
   C07C 65/05 20060101ALI20240123BHJP
   C07C 65/03 20060101ALI20240123BHJP
   C07C 39/10 20060101ALI20240123BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20240123BHJP
   A61K 31/122 20060101ALI20240123BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240123BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240123BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20240123BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240123BHJP
【FI】
C07C50/28
C07C39/08
C07C65/05
C07C65/03 D
C07C39/10
A23L33/10
A61K31/122
A61P9/00
A61P25/00
A61P3/02
A61K47/10
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021529524
(86)(22)【出願日】2019-08-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2019070856
(87)【国際公開番号】W WO2020025781
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】18382590.0
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519451832
【氏名又は名称】センター フォー インテリジェント リサーチ イン クリスタル エンジニアリング,エセ.エレ.
【氏名又は名称原語表記】CENTER FOR INTELLIGENT RESEARCH IN CRYSTAL ENGINEERING,S.L.
【住所又は居所原語表記】C.Isaac Newton s/n,Edificio Disset,local A5,ParcBIT,07121 PALMA DE MALLORCA(ES)
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボフィル エレーラ,リディア
(72)【発明者】
【氏名】ド サンデ ロペス,ダフネ
(72)【発明者】
【氏名】プロヘンス ロペス,ラフェル
(72)【発明者】
【氏名】バルバス カニェロ,ラファェル
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07030102(US,B1)
【文献】特表2012-522835(JP,A)
【文献】特開2006-183006(JP,A)
【文献】特表2012-501971(JP,A)
【文献】特表2010-537987(JP,A)
【文献】Hayashi, T. et al.,Molecular Recognition of Ubiquinone Analogs. Specific Interaction between Quinone and Functional Porphyrin via Multiple Hydrogen Bonds,Journal of the American Chemical Society,1997年,Vol.119, No.31,pp.7281-7290
【文献】高田則幸,Pharm Tech Japan,2009年,Vol. 25, No.12,p.155-166
【文献】CHO, M. et al.,Preparation and Characterization of Aripiprazole Cocrystals with Coformers of Multihydroxybenzene Compounds,Crystal Growth & Design,2017年,Vol. 17, No. 12,p.6641-6652
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 50/28
C07C 39/04
A23L 33/10
A61K 31/122
A61P 9/00
A61P 25/00
A61P 3/02
A61K 47/10
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユビキノンと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶であって、前記水素結合ドナーコフォーマが、4-ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノン、オルシノール、フロログルシノール、レゾルシノール、及び2,4-ジヒドロキシ安息香酸からなる群から選択されるフェノール化合物である、共結晶。
【請求項2】
前記フェノール化合物が4-ヒドロキシ安息香酸であり、Cu-Kα線、λ=1.5418Åで1.4及び2.8±0.3度2シータに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項1に記載の共結晶。
【請求項3】
前記フェノール化合物がヒドロキノンであり、Cu-Kα線、λ=1.5418Åで1.5及び3.0±0.3度2シータに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項1に記載の共結晶。
【請求項4】
前記フェノール化合物がヒドロキノンであり、ベンジルアルコール溶媒和物の形態であり、Cu-Kα線、λ=1.5418Åで1.4、2.9±0.3度2シータに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項1に記載の共結晶。
【請求項5】
前記フェノール化合物がオルシノールであり、Cu-Kα線、λ=1.5418Åで1.5及び3.1±0.3度2シータに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項1に記載の共結晶。
【請求項6】
前記フェノール化合物がオルシノールであり、ベンジルアルコール溶媒和物の形態であり、Cu-Kα線、λ=1.5418Åで12.9、13.6±0.3度2シータに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項1に記載の共結晶。
【請求項7】
前記フェノール化合物がフロログルシノールであり、Cu-Kα線、λ=1.5418Åで1.5、3.0±0.3度2シータに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項1に記載の共結晶。
【請求項8】
前記フェノール化合物がレゾルシノールであり、Cu-Kα線、λ=1.5418Åで1.5、3.0±0.3度2シータに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項1に記載の共結晶。
【請求項9】
前記フェノール化合物が2,4-ジヒドロキシ安息香酸であり、Cu-Kα線、λ=1.5418Åで1.4及び18.7±0.3度2シータに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする、請求項1に記載の共結晶。
【請求項10】
90が45μm以下である粒径分布を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の共結晶。
【請求項11】
50が30μm以下である粒径分布を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の共結晶。
【請求項12】
10が10μm以下である粒径分布を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の共結晶。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかで定義されたユビキノンとフェノール化合物との前記共結晶の有効量を、1又は複数の適切な許容される賦形剤又は担体と一緒に含む組成物。
【請求項14】
医薬組成物又は栄養補助食品である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項で定義されたユビキノンと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶と、1又は複数の許容される賦形剤又は担体と、を一緒に含む、CoQ10欠乏症、歯肉炎、心不全、狭心症、ミトコンドリア障害、線維筋痛症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、高血圧症、糖尿病、がん、不妊症、並びにパーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、及び神経変性疾患に罹患している、又は罹患しやすい哺乳動物の予防及び/又は治療のための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年8月3日に提出の欧州特許出願第18382590.0号明細書の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、ユビキノンの共結晶、その調製方法、及び医薬品又は栄養補助食品としてのそれらの使用に関する。また、それらを含む組成物にも関する。
【背景技術】
【0003】
CoQ-10(コエンザイムQ-10)は、ユビキノンとして一般に知られている脂溶性キノンである。ユビキノンは、ほとんどの生物に含まれており、細胞エネルギーの生産に不可欠である。さらに、それは心血管疾患及び神経変性疾患に効果的であることがわかっている。ユビキノンは体内で合成することができるが、ユビキノンの必要性がそれを合成する体の能力を超える状況が発生する場合がある。ユビキノンは食事源から得ることができ、錠剤中又は懸濁液として粉末状で投与されることが多い。ただし、ユビキノンのバイオアベイラビリティは限られている。
【0004】
ユビキノンの構造は式(I)に対応する:
【化1】
【0005】
ユビキノンは、融点が比較的低く、mp50~52℃であり、水への溶解度が非常に低いため、そのバイオアベイラビリティが低い結晶性粉末である。さらに、その低融点は、剤形の加工及び安定性を決定し、適切な剤形の選択を制限している。
【0006】
満足のいくバイオアベイラビリティの基本的な要件は、有効成分が消化管で適切に溶解できることである。ユビキノンは通常、錠剤又はカプセルの形で医薬品及び健康食品部門で提供される。それにもかかわらず、その低い溶解度は、そのバイオアベイラビリティに関して依然としていくつかの問題を提起している。溶解性の問題を最小限に抑えるために、ユビキノンは通常カプセルの形で微粉化された粉末として提供することができる。
【0007】
有効成分は固体形態が異なれば、異なる特性を有することができ、例えば、溶解性、又はバイオアベイラビリティに関して特定の利点を提供し得ることが知られている。したがって、ある形態が一つのタイプの製剤により適切であり、他の形態が他の異なる製剤により適切となるため、新しい固体形態の発見により、有効成分の薬物動態特性を改善し、その結果、該有効成分を含有する医薬製剤の特性を改善することができる。
【0008】
特に、近年、共結晶形成が、有効成分の薬物動態データを改善するための実行可能な戦略として浮上している。有効成分又は有効成分の塩をコフォーマ(共結晶の第2成分)と
共結晶化することにより、有効成分又はその塩の既存の固体形態と比較して独特な特性を有する、有効成分の新しい固体形態が作製される。そのような異なる特性は、例えば、より良い加工又は取り扱い特性を促進すること、溶解プロファイルを好ましい方向に変化させること、又は安定性及び貯蔵寿命を改善することによって、製剤を改善するための基礎を提供し得る。ただし、共結晶形成は予測不能であり、実際には常に可能であるとは限らない。さらに、化合物の特定の共結晶が形成されるまで、その特性を予測する方法は存在しない。特定の共結晶を取得するための適切なコフォーマ及び適切な条件を見つけるには、かなりの時間、労力、及び財源が必要である。
【0009】
特許文献1は、水分散性の凍結乾燥CoQ-10/ガンマ-シクロデキストリン複合体を開示している。この複合体はバイオアベイラビリティが高いため、栄養補助食品、オーラルケア、及び医薬品産業において有用である。特許文献2は、人体に容易に吸収され、安定性が改善された、アミノ酸又はタンパク質に結合するコエンザイムQ10ナノ粒子を開示している。
【0010】
当技術分野で公知のことから、ユビキノンの新しいより可溶性の高い固体形態を見つけて、それらを含有する医薬製剤の医薬特性、特にバイオアベイラビリティを改善する必要が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第7030102B1号明細書
【文献】欧州特許第2417970号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者らは、ユビキノンが、本明細書で以下に定義される水素結合ドナーコフォーマと共結晶を形成できることを見出した。ユビキノンの前述の共結晶の提供は、これらの共結晶がより高い水溶性及び水性媒体中でのより速い溶解速度を有し、そのバイオアベイラビリティをより高くすることが見出されたため、ユビキノンの水溶性に関連する問題を克服するための新しいツールとなる。この特性により、この共結晶は、ユビキノンを含有する医薬組成物又は食品組成物の調製により適したものとなる。
【0013】
特に水素結合ドナーコフォーマとの共結晶形成は予測不能である。ユビキノンの共結晶を得ようとする試みは文献には見出されていない。
【0014】
したがって、本明細書で以下に定義される水素結合ドナーコフォーマとの共結晶形態でユビキノンの改善された結晶形態を提供することは、当技術分野への貢献と考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明の第1の態様は、ユビキノンと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶の提供に言及する。
【0016】
本発明の第2の態様は、ユビキノンと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶の有効量を、1又は複数の適切な許容される賦形剤又は担体と一緒に含む組成物に言及する。
最後に、本発明の第3の態様は、医薬品として使用するためのユビキノンと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶に言及する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ユビキノンと4-ヒドロキシ安息香酸との共結晶(1:1)の粉末X線回折図(XRPD)を示している。
図2】ユビキノンとヒドロキノンとの共結晶(2:1)のXRPDを示している。
図3】ユビキノンとヒドロキノンとの共結晶の、共結晶ベンジルアルコール溶媒和物(2:1:1)のXRPDを示している。
図4】ユビキノンとオルシノールとの共結晶の(2:3)のXRPDを示している。
図5】ユビキノンとオルシノールとの、ベンジルアルコール溶媒和物の形態の共結晶(1:1:1)のXRPDを示している。
図6】ユビキノンとフロログルシノールとの、一水和物の形態の共結晶のXRPDを示している。
図7】ユビキノンとレゾルシノールとの共結晶のXRPDを示している。
図8】ユビキノンと4-ヒドロキシ安息香酸の共結晶(1:1)の熱重量分析(TGA)を示している。
図9】ユビキノンとヒドロキノンとの共結晶(2:1)のTGAを示している。
図10】ユビキノンとヒドロキノンとの共結晶の、共結晶ベンジルアルコール溶媒和物(2:1:1)のTGAを示している。
図11】ユビキノンとオルシノールとの共結晶(2:3)のTGAを示している。
図12】ユビキノンとオルシノールとの、ベンジルアルコール溶媒和物の形態の共結晶(1:1:1)のTGAを示している。
図13】ユビキノンとフロログルシノールとの、一水和物の形態の共結晶のTGAを示している。
図14】ユビキノンとレゾルシノールとの共結晶のTGAを示している。
図15】a)ユビキノン(P57)並びにb)ユビキノン(P57)、ユビキノン:4-ヒドロキシ安息香酸共結晶(1:1)(P57-III)、ユビキノン:レゾルシノール共結晶(2:1)(P57-V)、ユビキノン:オルシノール共結晶(2:3)(P57-VII)、及びユビキノン:フロログルシノール一水和共結晶(2:1:1)(P57-VIII)の溶解速度曲線間の比較を示している。
【0018】
XRPD図は、強度(I;カウント)対角度2シータ(°)を表している。TGAサーモグラムは、損失重量(w/w%)対温度(℃)を表している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
本出願において本明細書で使用されるすべての用語は、特に明記しない限り、当技術分野で公知の通常の意味で理解されるものとする。本出願で使用される特定の用語の他のより具体的な定義は以下に示すとおりであり、特に明示的に述べた定義がより広い定義を提供しない限り、本明細書及び特許請求の範囲全体を通して一律に適用されることを意図している。
【0020】
本発明の目的のために、具体的に述べられていない限り、温度、時間などの与えられた範囲は、概算と見なされるべきである。
【0021】
本発明の目的のために、用語「共結晶」は、本明細書では、室温(20~25℃)で単位格子を構成し、分子間相互作用により相互作用する少なくとも2つの異なる成分を有する結晶体を指す。したがって、共結晶では、1つの成分が1又は複数の中性成分と一緒に結晶化する。
【0022】
共結晶は、結晶格子内に1又は複数の溶媒分子を含んでもよい。したがって、「共結晶水和物」又は「水和共結晶」という用語は同じ意味を有し、交換可能に使用される。それらは、結晶格子中に溶媒として水を含む共結晶を指す。同様に、ベンジルアルコールなど
の他の溶媒を含む共結晶を形成することができる。
【0023】
「~によって得られる共結晶」という表現は、本発明の各特定の共結晶を、それを得る方法によって定義するために本明細書では使用され、本明細書に開示される対応する方法のいずれかによって得られる生成物を指す。本発明の目的のために、表現「得られる」、「得られた」及び同等の表現は交換可能に使用され、いずれの場合でも、表現「得られる」は表現「得られた」を包含する。
【0024】
「水素結合ドナーコフォーマ」という用語は、電気陰性原子(窒素、酸素、又は硫黄など)に結合した水素原子を有し、水素結合アクセプターとの強力な分子間水素結合を確立する能力を有する化合物を指す。水素結合ドナーコフォーマの例には、リン酸、カルボン酸、アルコール、イミダゾール、チオアミド、スルフィンアミド、ピロール、尿素、アミド、スルホンアミド、及びカルバメートが含まれる。
【0025】
「水素結合アクセプター(aceptor)」という用語は、水素結合を介して電気陽性水素原子と相互作用することができる少なくとも1つの電気陰性原子(酸素、窒素、又はハロゲンなど)を有する化合物を指す。
【0026】
本明細書で使用される「粒径」及び「粒径分布」という用語は、実際の粒子形状に関係なく、直径に関するものである。本明細書で使用される「直径」という用語は、等価の球の直径、すなわち、レーザー回折によって測定した場合に、粒子と同じ回折パターンを有する球の直径を意味する。
【0027】
本明細書で使用される場合、「平均」という用語は、ユビキノン粒子の共結晶のサイズに関して使用される場合、測定されたすべての測定可能な粒子のサイズ測定値の合計を、測定された粒子の総数で割ったものを指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「中央値」という用語は、ユビキノン粒子の共結晶のサイズに関して使用される場合、測定されたすべての測定可能な粒子の約50%が、定義された中央粒径値よりも小さい粒径を有し、測定されたすべての測定可能な粒子の約50%が、定義された中央粒径値よりも大きい粒径を有することを示す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「最頻値(mode)」という用語は、ユビキノン粒子の共結晶のサイズに関して使用される場合、最も頻繁に発生する粒径値を示す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「累積パーセント」という用語は、ユビキノン粒子の共結晶のサイズに関して使用される場合、測定されたすべての測定可能な粒子の特定の直径における個々のパーセント値の総計を指す。
【0031】
粒子径分布の場合、体積ベースの計算を使用すると、D50は中央値、つまり、分布をこの直径の上半分と下半分に分割する粒径の直径である。D90は、分布の90%がこれより小さい粒径を有し、10%がこれより大きい粒径を有する直径を表す。同様に、D10は、分布の10%がこれより小さい粒径を有し、90%がこれより大きい粒径を有する直径を表す。
【0032】
粒径は、例えば、MLM(Micro Liquid Module)を備えたBeckman Coulter LS13320でのレーザー分散によって決定できる(測定範囲:0.4~2000μm;光学モデル:Fraunhofer.rdf、PIDSを含む)。
【0033】
X線回折図の特徴的なピークの値が得られた場合、これらは「近似」値であると言える。値は、X線回折計でCu-Kα線、λ=1.5418Åにおいて測定された、対応するリスト又は表に示されている値±0.3度(2シータ)であることを理解すべきである。
【0034】
本発明の共結晶の成分の比が特定される場合、それは、共結晶を形成する成分のモル比を指す。「モル比」という用語は、共結晶の各成分のモルでの化学量論量を表すために使用される。モル比は、H NMR(プロトン核磁気共鳴)、熱重量分析(TGA)、又は単結晶X線回折(SCXRD)によって決定することができる。モル比の値がTGA又はH NMRに従って示されている場合、これらは測定誤差による「近似」値であると言える。モル比が言及される場合、それはモル比±0.2%に対応することを理解すべきである。結果のばらつきは、TGA装置又はH NMR装置の固有の感度によるものである。
【0035】
「室温」という用語は、加熱又は冷却を行わない環境の温度を指し、一般に20℃~25℃である。
【0036】
「一晩」という用語は、10時間~20時間までの時間間隔を指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、不定冠詞「a」及び「an」は、「少なくとも1つ」又は「1又は複数」と同義である。特に明記しない限り、本明細書で使用される「the」などの定冠詞には、名詞の複数形も含まれる。
【0038】
上記のように、本発明の第1の態様は、ユビキノンと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶を提供することである。また、上記のように、本発明の共結晶は、遊離溶媒和化合物又は溶媒和物(例えば、水和物又はベンジルアルコール溶媒和物)のいずれかとして結晶形態であり得、両方の形態が本発明の範囲内にあることが意図される。溶媒和の方法は、一般に当技術分野において公知である。
【0039】
一実施形態では、水素結合ドナーコフォーマは、フェノール化合物、特にヒドロキシ安息香酸である。
【0040】
別の実施形態では、フェノール化合物は4-ヒドロキシ安息香酸であり、ユビキノンと4-ヒドロキシ安息香酸との共結晶は、約1.4及び2.8±0.3度2シータ(Cu-Kα線、λ=1.5418Å)に特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。さらに別の実施形態では、本発明のユビキノンと4-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶は、13.0、13.7、及び22.9±0.3度2シータ(Cu-Kα線、λ=1.5418Å)に特徴的なピークをさらに含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。
【0041】
特定の実施形態において、ユビキノンと4-ヒドロキシ安息香酸とのモル比は1:1である。
【0042】
より具体的には、本開示のユビキノンと4-ヒドロキシ安息香酸との共結晶は、粉末X線回折図において、2シータ単位の度数、2θ(°)で表わされる、表1に示すピークパターンを示すことを特徴とする。
【0043】
【表1】
【0044】
発明のユビキノンと4-ヒドロキシ安息香酸との共結晶は、図1のようなX線回折図によってさらに特徴付けることができる。
【0045】
別の実施形態では、フェノール化合物はヒドロキノンであり、ユビキノンとヒドロキノンとの共結晶は、約1.5及び3.0±0.3度2シータ(Cu-Kα線、λ=1.5418Å)に特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。さらに別の実施形態では、ユビキノンとヒドロキノンとの共結晶は、12.9、14.4及び23.0±0.3度2シータ(Cu-Kα線、λ=1.5418Å)に特徴的なピークをさらに含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。
【0046】
特定の実施形態において、ユビキノンとヒドロキノンとのモル比は2:1である。
【0047】
より具体的には、本開示のユビキノンとヒドロキノンとの共結晶は、粉末X線回折図において、2シータ単位の度数、2θ(°)で表わされる、表2に示すピークパターンを示すことを特徴とする。
【0048】
【表2】
【0049】
本開示のユビキノンとヒドロキノンとの共結晶は、図3のようなX線回折図によってさらに特徴付けることができる。
【0050】
別の実施形態では、フェノール化合物はヒドロキノンであり、ユビキノンとヒドロキノ
ンとの共結晶は、ベンジルアルコール溶媒和物の形態であり、約1.4及び2.9±0.3度2シータ(Cu-Kα線、λ=1.5418Å)に特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。さらに別の実施形態において、本開示のユビキノンとヒドロキノンとの共結晶ベンジルアルコール溶媒和物は、12.8、14.3及び22.8±0.3度2シータ(Cu-Kα線、λ=1.5418Å)に特徴的なピークをさらに含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。
【0051】
特定の実施形態では、ユビキノン、ヒドロキノン、及びベンジルアルコールのモル比は2:1:1である。
【0052】
より具体的には、本開示のユビキノンとヒドロキノンとのベンジルアルコール溶媒和物の形態の共結晶は、粉末X線回折図において、2シータ単位の度数、2θ(°)で表わされる、表3に示すピークパターンを示すことを特徴とする。
【0053】
【表3】
【0054】
本開示のユビキノンとヒドロキノンとの共結晶ベンジルアルコール溶媒和物は、図5のようなX線回折図によってさらに特徴付けることができる。
【0055】
別の実施形態では、フェノール化合物はオルシノールであり、ユビキノンとオルシノールとの共結晶は、約1.5及び3.1±0.3度2シータ(Cu-Kα線、λ=1.5418Å)に特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。一実施形態では、ユビキノンとオルシノールとの共結晶は、7.8、15.6及び22.3±0.3度2シータ(Cu-Kα線、λ=1.5418Å)にさらに特徴的なピークを含む粉末X
線回折図を有することを特徴とする。
【0056】
特定の実施形態では、ユビキノンとオルシノールとのモル比は2:3である。
【0057】
より具体的には、本開示のユビキノンとオルシノールとの共結晶は、粉末X線回折図において、2シータ単位の度数、2θ(°)で表わされる、表4に示すピークパターンを示すことを特徴とする。
【0058】
【表4】
【0059】
本開示のユビキノンとオルシノールとの共結晶ベンジルアルコール溶媒和物は、図7のようなX線回折図によってさらに特徴付けることができる。
【0060】
別の実施形態では、フェノール化合物はオルシノールであり、ユビキノンとオルシノールとの共結晶は、ベンジルアルコール溶媒和物の形態であり、約12.9及び13.6±0.3度2シータ(Cu-Kα線、λ=1.5418Å)に特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。さらに別の実施形態では、ユビキノンとオルシノールとの共結晶ベンジルアルコール溶媒和物は、18.4、19.0及び23.0±0.3度2シータ(Cu-Kα線、λ=1.5418Å)にさらに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。
【0061】
特定の実施形態において、ユビキノン、オルシノール、及びベンジルアルコールのモル比は、1:1:1である。
【0062】
より具体的には、本開示のユビキノンとオルシノールとの共結晶ベンジルアルコール溶媒和物は、粉末X線回折図において、2シータ単位の度数、2θ(°)で表わされる、表5に示すピークパターンを示すことを特徴とする。
【0063】
【表5】
【0064】
本開示のユビキノンとオルシノールとの共結晶ベンジルアルコール溶媒和物は、図9のようなX線回折図によってさらに特徴付けることができる。
【0065】
別の実施形態では、フェノール化合物はフロログルシノールであり、ユビキノンとフロログルシノールとの共結晶は、約1.5及び3.0±0.3度2シータ(Cu-Kα線、λ=1.5418Å)に特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。さらに別の実施形態では、本発明のユビキノンとフロログルシノール(phoroglucinol)との共結晶は、12.9、13.6及び23.0±0.3度2シータ(C
u-Kα線、λ=1.5418Å)に特徴的なピークをさらに含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。
【0066】
特定の実施形態において、ユビキノンとフロログルシノールと共結晶は一水和物であり、ユビキノン、フロログルシノール及び水のモル比は2:1:1である。
【0067】
より具体的には、本開示のユビキノンとフロログルシノールとの共結晶は、粉末X線回折図において、2シータ単位の度数、2θ(°)で表わされる、表6に示すピークパターンを示すことを特徴とする。
【0068】
【表6】
【0069】
本開示のユビキノンとフロログルシノールとの共結晶は、図11のようなX線回折図によってさらに特徴付けることができる。
【0070】
別の実施形態では、フェノール化合物はレゾルシノールであり、ユビキノンとレゾルシノールとの共結晶は、約1.5及び3.0±0.3度2シータ(Cu-Kα線、λ=1.5418Å)に特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。さらに別の実施形態では、ユビキノンとレゾルシノールとの共結晶は、12.9、13.6及び
22.9±0.3度2シータ(Cu-Kα線、λ=1.5418Å)に特徴的なピークをさらに含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。
【0071】
特定の実施形態において、ユビキノンとレゾルシノールとのモル比は2:1である。
【0072】
より具体的には、本開示のユビキノンとレゾルシノールとの共結晶は、粉末X線回折図において、2シータ単位の度数、2θ(°)で表わされる、表7に示すピークパターンを示すことを特徴とする。
【0073】
【表7】
【0074】
本開示のユビキノンとレゾルシノールとの共結晶は、図13のようなX線回折図によってさらに特徴付けることができる。
【0075】
別の実施形態では、フェノール化合物は2,4-ジヒドロキシ安息香酸であり、本発明のユビキノンと2,4-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶は、約1.4及び18.7±0.3度2シータ(Cu-Kα線、λ=1.5418Å)に特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。一実施形態では、本発明のユビキノンと2,4-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶は、2.8、4.2、19.3及び22.8±0.3度2シータ(Cu-Kα線、λ=1.5418Å)にさらに特徴的なピークを含む粉末X線回折図を有することを特徴とする。
【0076】
より具体的には、本開示のユビキノンと2,4-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶は、粉末X線回折図において、2シータ単位の度数、2θ(°)で表わされる、表8に示すピークパターンを示すことを特徴とする。
【0077】
【表8】
【0078】
ユビキノンと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶を調製するための方法であって、以下の工程を含む方法を提供することもまた、本発明の一部である:
a)メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸、ベンジルアルコール、ギ酸、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、水、アンモニア水、ジエチルアミン及びそれらの混合物からなるリストから選択した有機溶媒中の水素結合ドナーコフォーマの濃縮溶液を調製して、懸濁液が観察されるまでユビキノンを加える工程、
又は、代替的に、ユビキノンと水素結合ドナーコフォーマとの有機溶媒中の懸濁液を調製する工程、
b)共結晶が形成されるまで、該懸濁液を室温で撹拌する工程、並びに
c)このようにして得られた共結晶を単離する工程。
【0079】
一実施形態では、工程(a)は室温で行われる。
【0080】
別の実施形態では、任意選択で、上記で定義した方法の特定の実施形態の1又は複数の特徴と組み合わせて、単離工程c)は、例えば、以下の操作の1又は複数によって有機溶媒を除去する工程を含むことができる:濾過、真空下における濾過、デカンテーション及び遠心分離、又は当業者に公知の他の適切な技術。特に、工程c)は、固体の濾過により行われる。別の実施形態では、工程c)は、単離された共結晶を乾燥させる工程をさらに含む。特に、共結晶は室温で、特に真空条件下で乾燥される。一般に、真空には0.5mbar~3mbarの圧力が含まれる。
【0081】
特に、水素結合ドナーコフォーマは、4-ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノン、オルシノール、フロログルシノール、レゾルシノール、及び2,4-ジヒドロキシ安息香酸などのフェノール化合物である。本発明において出発物質として使用されるユビキノン及びコフォーマ、特に上記のフェノール化合物は市販されている。
【0082】
一例として、ユビキノンとフェノール化合物との共結晶は、以下によって得ることができる:
a)ヒドロキノン、オルシノール、又は2,4-ジヒドロキシ安息香酸などのフェノール化合物の濃縮溶液を上記の有機溶媒中で調製して、懸濁液が観察されるまでユビキノンを添加する工程、
b)該懸濁液を室温で撹拌する工程、並びに
c)得られた固体を濾過及び乾燥する工程。
特定の実施形態では、フェノール化合物はヒドロキノンであり、有機溶媒はベンジルアルコールである。
【0083】
特定の実施形態では、フェノール化合物はオルシノールであり、有機溶媒はベンジルアルコールである。
【0084】
代替的には、ユビキノンとフェノール化合物との共結晶は、以下によって得ることができる:
a)ユビキノンと、4-ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノン、オルシノール、フロログルシノール又はレゾルシノールなどのフェノール化合物コフォーマとの有機溶媒中の懸濁液を調製する工程、
b)該懸濁液を室温で撹拌する工程、並びに
c)得られた固体を濾過及び乾燥する工程。
【0085】
特定の実施形態では、フェノール化合物は4-ヒドロキシ安息香酸であり、有機溶媒は酢酸エチルである。
【0086】
特定の実施形態では、フェノール化合物はヒドロキノンであり、有機溶媒は酢酸である。
【0087】
特定の実施形態では、フェノール化合物はオルシノールであり、有機溶媒はヘプタンである。
【0088】
特定の実施形態では、フェノール化合物はレゾルシノールであり、有機溶媒はヘプタンである。
【0089】
特定の実施形態では、フェノール化合物はフロログルシノールであり、有機溶媒はベンジルアルコールである。
【0090】
特定の実施形態では、フェノール化合物は2,4-ジヒドロキシ安息香酸であり、有機溶媒はアセトンである。
【0091】
特に、上記のいずれの方法においても、撹拌は10~72時間行われる。
【0092】
本開示の化合物は、市販のユビキノンと同じオーダーの粒径を有することを特徴とする。したがって、ユビキノンに関するそれらのより速い溶解速度は、本発明の化合物の固有の特徴であり、粒径の影響によるものではない。
【0093】
特定の実施形態において、任意選択で、上記で定義された方法の特定の実施形態の1又は複数の特徴と組み合わせて、本開示の化合物は、D90が45μm以下、特に30μm~40μmの粒径分布を有する。
【0094】
別の実施形態において、任意選択で、上記で定義された方法の特定の実施形態の1又は複数の特徴と組み合わせて、本開示の化合物は、D50が30μm以下、特に10μm~25μmの粒径分布を有する。
【0095】
さらに別の実施形態では、任意選択で、上記で定義された方法の特定の実施形態の1又は複数の特徴と組み合わせて、本開示の化合物は、D10が10μm以下の粒径分布を有する。
【0096】
本発明の上記で定義されたユビキノンと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶はまた、その調製方法によっても定義することができる。したがって、本発明のこの態様は、任意選択でこの方法の任意の好ましい、若しくは特定の実施形態を含む方法、及び上記で開示した方法の特徴のいくつかの可能な組み合せを含む方法によって得られる、上記で定義されたユビキノンと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶として製剤化することができる。
【0097】
本発明の第2の態様は、上記で定義されたユビキノンと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶の有効量を、1又は複数の適切な許容される賦形剤又は担体と一緒に含む組成物に関する。
【0098】
「有効量」という用語は、その適用後に治療効果を提供する共結晶の量を指す。
【0099】
一実施形態では、本発明の第2の態様の組成物は、上記で定義されたユビキノンと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶の薬学的有効量を、1又は複数の適切な薬学的に許容される賦形剤又は担体と一緒に含む医薬組成物である。「医薬組成物」という用語は、希釈剤又は担体などの他の化学成分を含む、本明細書で開示される共結晶の混合物を指す。医薬組成物は、生物への共結晶の投与を容易にする。特に、医薬組成物(pharmaceutical compositon)は、吸入、筋肉内、皮下、経口、又は局所投与用に製剤化することができる。
【0100】
一実施形態では、本発明の第2の態様の組成物は、上記で定義したユビキノンと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶の有効量を、1又は複数の適切な経口的に許容される賦形剤又は担体と一緒に含む栄養補助食品である。「栄養補助食品」という用語は、食事を補助することを目的とした成分を含む、経口摂取される製品を指す。栄養補助食品は、錠剤、カプセル、ソフトジェル、ジェルキャップ、液体、粉末、バー、ドリンク、シェイク、その他の食品の形態をとることができる。一例として、栄養補助食品は、運動能力を高めるためのものであってもよい。
【0101】
「許容される賦形剤又は担体」という用語は、液体又は固体の増量剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又はカプセル化材料などの許容される材料、組成物又はビヒクルを指す。各成分は、組成物の他の成分と適合性があるという意味で許容されなければならない。また、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性又は他の問題若しくは合併症なしに、合理的な利益/リスク比に見合った、ヒト及び動物の組織又は臓器と接触して使用するのに適している必要がある。医薬組成物(pharmaceutical compositon)において、許容される賦形剤又は担体は、薬学的に許容される賦形剤又は担体である。
【0102】
特定の実施形態では、上記で定義された医薬組成物は、心血管系薬剤、抗高脂血症剤、抗糖尿病剤、及び抗血小板剤からなる群から選択される1又は複数の有効成分をさらに含む。特定の実施形態では、上記で定義した栄養補助食品は、L-カルニチン、キシリトール、ビタミン、カロテノイド、フラボノイド、銅、亜鉛、及びマンガンからなる群から選択される1又は複数の有効成分をさらに含む。
【0103】
心血管系薬剤の例としては、限定するものではないが、アドラフィニル、アドレナロン、アミドフリン、アプラクロニジン、ブドララジン、クロニジン、シクロペンタミン、デクスメデトミジン、ジメトフリン、ジピベフリン、エカバピド、エフェドリン、エピネフリン、フェノキサゾリン、グアナベンズ、グアンファシン、ヒドロキシアンフェタミン、イボパミン、インダナゾリン、イソメテプテン、メフェンテルミン、メタラミノール、メトキサミン、メチルヘキサンアミン、ミドドリン、ミバゼロール、モダフィニル、モキソニジン、ナファゾリン、ノルエピネフルン、ノルフェネフリン、オクトドリン、オクトパミン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、ハイドロクロライド、フェニルプロパノールアミン、フェニルプロピルメチルアミン、フォレドリン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、リルメニジン、シネフリン、タリペキソール、テトラヒドロゾリン、チアメニジン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、チラミン、及びキシロメタゾリンなどのアルファアドレナリン作動薬(alpha andrenergic agonist);アルブテロール、バンブテロール、ビトルテロール、カルブテロール、クレンブテロール、クロルプレナリン、デノパミン、ジキソエテドリン、ドペキサミン、エフェドリン、エピネフリン、エタフェドリン、エチルノレピネフリン、フェノテロール、フォルモテロール、ヘキソプレナリン、イボパミン、イソエタリン、イソプロテレノール、メトキシフェナミン、マブテノール、メタプロテレノール、オキシフェドリン、ピルブテロール、プレナルテロール、プロカテロール、プロトキロール、レプロテロール、リミテロール、リトドリン、サルメテロール、ソテレノール、テルブタリン、トレトキノール、ツロブテロール、及びキサモテロールなどのベータアドレナリン作動薬(beta andrenergic agonist);アモスラロール、アロチノロール、ダピプラゾール、ドキサゾシン、エルゴロイドメシレート、フェンスピリド、イダゾキサン、インドラミン、ラベタロール、モナテピル、ナフトピジル、ニセルゴリン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、トラゾリン、トリメタゾシン、及びヨヒンビンなどのアルファアドレナリン遮断薬(alpha andrenergic blocker);アセブトロール、アルプレノロール、アモスラロール、アロチノロール、アテノロール、ベフノロール、ベタキソロール、ベバントロール、ビソプロロール、ボピンドロール、ブシンドロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、ブチドエイン塩酸塩、ブトフィロール(butofilol)、カラゾロール、カルテオロール、カルベジロール、セリプロロール、セタモロール、クロラノロール、ジレバロール、エスモロール、インデノロール、ラベタロール、ランジオロール、レボブノロール、メピンドロール、メチプラノロール、メトプロロール、モプロロール、ナドロール、ナドキソロール、ネビボロール、ニフェナロール、ニプラジロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プラクトロール、プロネタロール、プロパノロール、ソタロール、スルフィナロール、タリノロール、タータトロール、チリソロール、チモロール、トリプロロール、及びキシベノロールなどのベータアドレナリン遮断薬(beta
andrenergic blocker);アセブトロール、アセカイニド、アデノシン、アジマリン、アルプレノロール、アミオダロン、アプリンジン、アロチノロール、アテノロール、アジミリド、ベバントロール、ビジソミド、ブレチリウムトシレート、ブクモロール、ブフェトロール、ブナフチン、ブニトロロール、ブルラノロール、ブチドリン塩酸塩、ブトベンジン、カポベン酸、カラゾロール、カルテオロール、シフェンリン、クロラノロール、ジソピラミド、ドフェチリド、エンカイニド、エスモロール、フレカイニド、ヒドロキニジン、イブチリド、インデカイニド、インデノロール、臭化イプラトロピウム、ランジオロール、リドカイン、ロラジミン、ロルカイニド、メオベンチン、メキシレチン、モリシジン、ナドキソロール、ニフェナロール、オキシプレノロール、ペンブトロール、ペンチソミド、ピルシカイニド、ピンドロール、ピルメノール、プラクトロール、プラジマリン、プロカインアミド塩酸塩、プロネタロール、プロパフェノン、プロプラノロール、ピリノリン、キニジン、セマチリド、ソタロール、タリノロール、テディサミル、チリソロール、チモロール、トカイニド、ベラパミル、及びキシベノロールなどの抗不整脈薬;アリールアルキルアミン:ベプリジル、クレンチアゼム、ジルチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、プレニルアミン、セモチアジル、テロジリン、ベラパミル;ジヒドロピリジン誘導体、例えばアムロジピン、アラニジピン、バミジピン、ベニジピン、シルニジピン、エフォニジピン、エルゴジピン、フェロジピン、イスラジピン、ラシジピン、レルカニジピン、マニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン;ピペラジン誘導体、例えばシンナリジン、ドタリジン、フルナリジン、リドフラジン、ロメリジン、並びにベンシクラン、エタフェノン、ファントファロン、モナテピル、及びペルヘキシリンなどの他のもの、などのカルシウムチャネル遮断薬;アモトリフェン、ベンフロジルヘミサクシネート、ベンジオダロン、クロラシジン、クロモナール、クロベンフロロール、クロニトレート、クロリクロメン、ジラゼプ、ドロプレニラミン、エフロキサート、エリスリチルテトラニトレート、エタフェノン、フェンジリン、ヘキセストロールビス([β-ジエチルアミノエチル)エーテル、ヘキソベンジン、イトラミントシレート、ケリン、リドフラジン、マンニトールヘキサニトレート、ニトログリセリン、ペンタエリスリトールテトラニトレート、ペントリニトール、ペルヘキシリン、ピメフィリン、プレニルアミン、プロパチルニトレート、トラピジル、トリクロミル、トリメタジジン、トロルニトリルホスフェート及びビスナジンなどの血管拡張剤;抗低血圧薬:アメジニウムメチル硫酸塩、アンジオテンシンアミド、ドーパミン、ジメトフリン、エチフェルミン、エチレフリン、ゲペフリン、メタラミノール、メトキサミン、ミドドリン、ノルエピネフリン、フォレドリン、及びシネフリンなどの昇圧剤;並びにジゴキシン、ミルリノン、ドブタミン、及びドーパミンなどの変力剤が挙げられる。
【0104】
抗高脂血症剤の例としては、限定するものではないが、コレスチラミン樹脂、コレセベラム塩酸塩、コレスチポール、及びポリデキシドなどの胆汁酸封鎖剤;ベザフィブラート、ビニフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリン酸、エトフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、ピリフィブラート、ロニフィブラート、シンフィブラート、及びテオフィブラートなどのフィブリン酸誘導体;アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチンナトリウム、ピタバスタチン、ロスバスタチン、及びシンバスタチンなどのhmg coaレダクターゼ阻害剤;エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、及びドコサペンタエン酸などのオメガ-3-脂肪酸;及びアシピモックス、ニコチン酸アルミニウム、ニセリトロール、ニコクロナート、ニコモール、及びオキシニアシン酸などのニコチジン酸誘導体;並びにアシフラン、ベンフルオレックス、β-ベンザルブチルアミド、カルニチン、硫酸コノドロチン、クロメストロン、デタキストラン、デキストラン硫酸ナトリウム、エイコサペンタエン酸、エリタデニン、エゼチミブ、フラザボル、メグルトール、メリナミド、υ-オリザセタール、パンテチン、テトラ酢酸ペンタエリスリトール、α-フェニルブチルアミド、ピロザジル、プロブコール、レスベラトロール、β-シトス
テロール、スルトシル酸(sultosilic acid)、チアデノール、トリパラノール、及びキセンブシンなどの他の抗高脂血症剤が挙げられる。
【0105】
抗糖尿病薬の例としては、限定するものではないが、ビグアナイド(すなわち、メトホルミン、ブホルミン、フェンホルミン)、スルホニル尿素(すなわち、アセトヘキサミド、カルブタミド、クロルプロパミド、グリボムリド、グリクラジド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド、グリブリド、グリブチアゾール、グリブゾール、グリヘキサミド、グリミジン、グリピナミド、フェンブタミド、トラザミド、トルブタミド、トルサイクロマイド)、チアゾリジンジオン(すなわち、ピオグリアタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾン)、ベータアドレナリン遮断薬(andrenergic blocker)、及びアカルボース、メソシュウ酸カルシウム、ミグリトール、ナテグリニド、レパグリニド、ボグリボースなどの他の抗糖尿病薬が挙げられる。
【0106】
抗血小板剤の例としては、限定するものではないが、チロフィバン、ジピリダモール、アナグレリド、エポプロスタノール、エプチフィバチド、クロピドロゲル、シロスタゾール、及びトリクロピジンが挙げられる。
【0107】
ビタミンの例としては、限定するものではないが、ビタミンA(酢酸塩又はパルミチン酸塩、ベータカロテン)、ビタミンB1(チアミン(アノイリン))(塩酸塩又は一硝酸塩)、B2(リボフラビン)、ビタミンB6(塩酸ピリドキシン)、ビタミンB12(コバラミン)、ビタミンB12(シアノコバラミン)、ビタミンB12(メコバラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ニコチン酸、ビタミンD2(エルゴ-カルシフェロール)、ビタミンD3(コレカルシフェロール)、ビタミンE(アルファトコフェロール酢酸エステル(alpha tocopheryl acetate)、アルファトコフェロールコハク酸エステル(alpha tocopheryl succinate)、アルファトコフェロール、γ-トコフェロール)、ビタミンK(フィロキノン、メナジオンなど)、及びニコチンアミドリボシドが挙げられる。
【0108】
カロテノイドの例としては、限定するものではないが、ルテイン、リコピン、α-カロテン、β-カロテン、γ-カロテン、β-クリプトキサンチン、カプサンチン、ゼアキサンチン、アスタキサンチンが挙げられる。
【0109】
フラボノイドの例としては、限定するものではないが、ケンフェロール、ミリセチン、ケルセチン、ルチン、カテキン、エピカテキン、ECG、ガロカテキン、EGC、EGCG、シアニジン、カフェイン酸、テアフラビン、テアフラビンガレート、ルテオリン、ダイゼイン、ジェネステイン、及びグリシテインが挙げられる。
【0110】
本発明の組成物は、最新技術で周知の方法に従って調製することができる。適切な賦形剤及び/又は担体、並びにそれらの量は、調製される製剤のタイプに従って、当業者によって容易に決定することができる。
【0111】
上記で定義されたユビキノンの共結晶について上に開示されたすべての実施形態は、本発明の組成物にも適用される。
【0112】
本発明の第3の態様は、医薬品として使用するための、上記で定義されたユビキノンと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶に関する。
【0113】
特に、上記で定義されたユビキノンと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶は、CoQ10欠乏症、歯肉炎、心不全、狭心症、ミトコンドリア障害、線維筋痛症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、高血圧症、糖尿病、がん、不妊症、並びにパーキ
ンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、及びフリードライヒ運動失調症などの神経変性疾患の予防及び/又は治療に使用するためのものである。この態様はまた、CoQ10欠乏症、歯肉炎、心不全、狭心症、ミトコンドリア障害、線維筋痛症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、高血圧症、糖尿病、がん、不妊症、並びにパーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、及びフリードライヒ運動失調症などの神経変性疾患の予防及び/又は治療のための医薬品の調製のための、上記で定義されたユビキノンと安息香酸などの水素結合ドナーコフォーマとの共結晶の使用として製剤化することができる。この態様はまた、CoQ10欠乏症、歯肉炎、心不全、狭心症、ミトコンドリア障害、線維筋痛症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、脂質異常症、高血圧症、糖尿病、がん、不妊症、並びにパーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、及びフリードライヒ運動失調症などの神経変性疾患に罹患している、又は罹患しやすい哺乳動物の予防及び/又は治療のための方法であって、哺乳動物に上記で定義されたユビキノンと水素結合ドナーコフォーマとの共結晶の有効量を、1又は複数の許容される賦形剤又は担体と一緒に投与することを含む方法に関する。
【0114】
説明及び特許請求の範囲を通して、「含む」という単語及びその単語の変形は、他の技術的特徴、添加物、成分又は工程を除外することを意図するものではない。さらに、「含む」という言葉は、「からなる」という場合も包含する。本発明の追加の目的、利点及び特徴は、説明を検討することにより当業者に明らかになるか、又は本発明の実施により習得することができる。以下の実施例及び図面は例示のために提供されるものであり、本発明を限定することを意図するものではない。図面に関連し、特許請求の範囲の中で括弧内に配置された参照符号は、特許請求の範囲の明瞭度を高めるための試みであり、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。さらに、本発明は、本明細書に記載された特定の好ましい実施形態のすべての可能な組み合わせを網羅する。
【実施例
【0115】
一般事項
ユビキノン、4-ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノン、オルシノール、フロログルシノール、レゾルシノール、及び2,4-ジヒドロキシ安息香酸は市販されている。
【0116】
粉末X線回折(PXRD)分析を、厚さ3.6ミクロンのポリエステルフィルムの間に粉末サンプルを挟んで実行し、半径240mmのPANalytical X’Pert
PRO MPD θ/θ粉末回折計において、集束ビーム、及びフォーカシングミラーとフラットなサンプル透過ジオメトリの構成で、以下の実験条件において分析した:Cu
α線(λ=1.5418Å);作業出力:45kV及び40mA;ビーム高さ0.4ミリメートルに画定された入射ビームスリット;入射及び回折ビーム0.02ラジアンのSollerスリット;PIXcel検出器:有効長=3.347°;2θ/θを、2~40°2θまで、ステップサイズ0.026°2θ及び測定時間76秒/ステップでスキャンする。
【0117】
熱重量分析(TGA)は、Mettler-Toledo TGA-851e熱天秤で行った。実験条件:容量70μLのアルミナるつぼ、流量50mL/分の乾燥窒素雰囲気、加熱速度10℃/分。
【0118】
実施例1.-ユビキノン:4-ヒドロキシ安息香酸(1:1)の共結晶の調製
ユビキノン(474mg、0.549mol)と4-ヒドロキシ安息香酸(69mg、0.500mol)とをAcOEt(0.6mL)に室温で3日間懸濁した。コンパクトな固体が形成され、それを濾過し、真空下で乾燥させた。
【0119】
実施例2.-ユビキノン:ヒドロキノン(2:1)の共結晶の調製
ユビキノン(443.4mg、0.514mol)とヒドロキノン(67.9mg、0.617mol)とを酢酸(2.0mL)に室温で一晩懸濁させた。懸濁液をフラスコに移し、4.0mLの酢酸で洗浄した。新しい懸濁液を室温で3日間撹拌した。得られた固体を濾過し、真空下で乾燥させた
【0120】
実施例3.-ユビキノン:ヒドロキノンの共結晶の、共結晶ベンジルアルコール溶媒和物(2:1:1)の調製
ヒドロキノン/ベンジルアルコール懸濁液を完全に溶解するまで65℃まで加熱し、その後室温に冷却させることにより、ヒドロキノン(100mg)のベンジルアルコール(1mL)中飽和溶液を調製した。次に、懸濁液が形成されるまでユビキノン(45mg)を加えた。懸濁液を室温で一晩撹拌した。固体を濾過し、真空下で乾燥させた。
【0121】
実施例4.-ユビキノン:オルシノール(2:3)の共結晶の調製
ユビキノン(489.8mg、0.567mol)とオルシノール(33.5mg、0.270mol)とをヘプタン(2.0mL)に室温で懸濁し、一晩撹拌した。得られた固体を濾過し、真空下で乾燥させた
【0122】
実施例5.-ユビキノン:オルシノールの共結晶の、共結晶ベンジルアルコール溶媒和物(1:1:1)の調製
オルシノール(100mg)のベンジルアルコール(0.25mL)中飽和溶液を室温で調製した。次に、懸濁液が形成されるまでユビキノン(41mg)を加えた。懸濁液を室温で一晩撹拌した。固体を濾過し、真空下で乾燥させた。
【0123】
実施例6-ユビキノン:フロログルシノールの共結晶の、一水和共結晶(2:1:1)の調製
ユビキノン(512.6mg、0.594mol)とフロログルシノール(34mg、0.270mol)とをDIE(2.0mL)に室温で懸濁し、3日間撹拌した。固体を濾過し、真空下で乾燥させた。
【0124】
実施例7.-ユビキノン:レゾルシノール共結晶(2:1)の共結晶の調製
ユビキノン(493.5mg、0.572mol)とレゾルシノール(30.0mg、0.272mol)とをヘプタン(3.0mL)に室温で懸濁し、一晩撹拌した。懸濁液をフラスコに移し、2.0mLのヘプタンで洗浄した。新しい懸濁液を室温で3日間撹拌した。固体を濾過し、真空下で乾燥させた。
【0125】
実施例7.-ユビキノンと2,4-ジヒドロキシ安息香酸との共結晶の調製
2,4-ジヒドロキシ安息香酸(100mg)のアセトン(0.15mL)中飽和溶液を室温で調製した。次に、懸濁液が形成されるまでユビキノン(56mg)を加えた。懸濁液を室温で一晩撹拌した。固体を濾過し、真空下で乾燥させた。
【0126】
実施例9.-粒径分析
命名法:
球の等価体積の平均:平均、D(4,3)
ザウター平均粒径(Sauter medium diameter):D(3,2)
10%での累積体積:d10、D(v、0.1)
50%での累積体積:d50、D(v、0.5)
90%での累積体積:d90、D(v、0.9)
P57当初:ユビキノン
P57-III:ユビキノン:4-ヒドロキシ安息香酸共結晶(1:1)
P57-V:ユビキノン:レゾルシノール共結晶(2:1)
P57 VI:ユビキノン:ヒドロキノン(2:1)
P57-VII:ユビキノン:オルシノール共結晶(2:3)
P57-VIII:ユビキノン:フロログルシノール一水和共結晶(2:1:1)
【0127】
方法論:
粒径分析(粒度分析)は、MLM(Micro Liquid Module)を備えたBeckman Coulter LS13320でのレーザー分散によって実行した(測定範囲:0.4~2000μm;光学モデル:Fraunhofer.rdf、PIDSを含む)。
【0128】
ビーカーに約10mlのシリコーンオイルとマイクロスプーンのサンプルを入れた。低温殺菌したピペットで繰り返しピペッティングし、超音波処理(30KHz;200W)を行うことにより、サンプルを均質化した。モジュールを洗浄し、分散液としてシリコーンオイルを充填した。各分析の前に、レーザーの光学的位置合わせと機器のノイズの測定を行った。次に、8~12%のオブスキュレーションに達するまでサンプルを分析装置に加え、測定を実行した。
【0129】
分析条件:
-分散液:シリコーンオイル
-初回測定までの時間:0秒
-測定時間:5秒
-測定回数:3
-測定間の時間:0秒
-撹拌機の速度:51%
-オブスキュレーション:標準
-光学モデル:Fraunhofer.rfd
【0130】
結果:
表8に、分析したサンプルの粒径分布の得られた結果の要約を示す。
【0131】
【数1】
【0132】
サンプル母集団の大部分は直径9~60μmであり(表9)、直径最頻値は31.5~38μmであった。
【0133】
【表9】
【0134】
新たに報告されたすべての固体形態は、比較に使用したユビキノン(表9の「P57当初」)と本質的に同じオーダーの平均粒径を有し、粒子の大部分は9~60μmであることが観察されている。
【0135】
実施例9.-ユビキノン対共結晶の溶解速度
上記の実施例のように得られたユビキノン及びその4つの共結晶結晶の溶解速度を、マレイン酸をリン酸に置き換えたFaSSIF-v2媒体(106mM塩化ナトリウム、28.4mM一塩基性リン酸ナトリウム及び8.7mM水酸化ナトリウムを含み、水酸化ナトリウムでpH6.50に調整した水溶液)で評価した。
【0136】
以下の表10は、結晶形態のコード、コフォーマ、及び化学量論比を示す。
【0137】
【表10】
【0138】
1.溶解速度実験
-錠剤の製造:直径8mmの錠剤を、手動油圧式錠剤プレス(Applied Measurements Ltd、UK)を使用して、最大圧縮重量70Kgで製造した。40~50mgの化合物、ユビキノン又は共結晶を秤量した。総露出表面積は0.5cm2であった。
-媒体:106mM塩化ナトリウム、28.4mM一塩基性リン酸ナトリウム、及び8.7mM水酸化ナトリウムを含み、水酸化ナトリウムでpH6.50に調整した水溶液。
-溶解試験を、GlpKa(商標)滴定装置(Sirius Analytical Instruments、UK)にインストールされた小規模溶解アッセイを使用して実行
した。
-溶解時間及び温度:2時間及び25℃。
-手順:錠剤が入っているサンプルバイアルに15mLの水性媒体を加えた。スペクトルを、分岐した光ファイバーディッププローブ(Hellma Analytics)を使用して、Sirius D-PAS分光計を使用して30秒ごとに1時間記録した。媒体を一定速度で撹拌した。
【0139】
2.HPLC-MS/MSによる定量化
-HPLC条件:
-機器:2つのポンプ、オーブン、及び自動注入装置からなるAgilent HPLC。
-カラム:Teknokroma C8、150x4.6mm、5μm。
-移動相:メタノール:イソプロパノール(90:10)中5mMのギ酸アンモニウム。-溶出モード:均一濃度。
-カラム温度:35℃
-流量:1mL/分。
-注入量:10ml。
-ユビキノンの保持時間:8.5分。
-MS条件:
-機器:リニアイオントラップ四重極LC/MS/MS質量分析計6500Q TRAP(AB SCIEX Instruments)。
-カーテンガス(Curtain Gas):25p.s.i.
-ソース温度:400℃。
-イオン源ガス1:50p.s.i.
-イオン源ガス2:50p.s.i.
-イオンスプレー電圧:5500V。
-モード:陽イオン化。
-スキャンモード:MRM。
-ユビキノンの移行:
・定量化:880.8(Q1)-197.1(Q3);DP=100、CE=25;滞留時間=1000ミリ秒
・確認:880.8(Q1)-149.3(Q3);DP=90、CE=45;滞留時間=1000ミリ秒
【0140】
結果
共結晶の溶解速度を、異なるコフォーマの溶解プロファイルを監視することによって決定した。コフォーマのモル吸光係数(MEC)を、FaSSIF水溶液中ではほぼ同じであると仮定して、水中で測定した。
【0141】
ユビキノンの溶解速度を分光光度法で決定した。ただし、この媒体への化合物の溶解度が低いため、ユビキノンのMECを水中で測定できなかったので、溶解プロファイル中のユビキノンの濃度はHPLC-MS/MSで測定した。
【0142】
Noyes-Whitneyの一次指数方程式を実験点に適合させ、以下の表11に示す溶解速度値を提供した。
【0143】
【表11】
【0144】
a)ユビキノン(P57)の代表的な溶解速度曲線、及び次いでb)表11に列挙されている化合物の溶解速度曲線の比較を図15に示す。
【0145】
すべての共結晶はユビキノンよりも速く溶解し、オルシノール(P57-VII)、及び4-ヒドロキシ安息香酸(P57-III)との共結晶が最も速い溶解速度を示した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15