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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】在来軸組構法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/10 20060101AFI20240123BHJP
   E04B 1/19 20060101ALI20240123BHJP
   E04B 1/343 20060101ALI20240123BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
E04B1/10 C
E04B1/19 F
E04B1/343 M
E04B1/58 504L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023184538
(22)【出願日】2023-10-27
【審査請求日】2023-10-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591000757
【氏名又は名称】株式会社アクト
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 出
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-100896(JP,A)
【文献】特開2003-049484(JP,A)
【文献】特許第7385326(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00 - 1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
在来軸組構法を構成する構造材または羽柄材である線材のうち、主たる横架材に相当する少なくとも一部の線材以外の線材が継手・仕口接合されるとともに、面材の板面に接合一体化され、
前記面材が、前記線材による他の軸構成パネルまたは他の構造材に対する接合により在来軸組の骨組みを構成可能な形状に形成され、
前記線材における他の軸構成パネルまたは他の構造材に対する接合部に、継手・仕口の一方が形成された軸構成パネルを備え、
前記軸構成パネルとして、床に用いられる床パネル、外壁に用いられる外壁パネル、間仕切りに用いられる間仕切りパネル、天井に用いられる天井パネル、小屋に用いられる小屋パネル、屋根に用いられる屋根パネルが用いられ、
在来軸組建築物が住宅である場合には、基礎上に、主たる横架材としての構造材である大引部材が架設されるとともに前記床パネルが設置され、
設置された前記床パネル上に前記外壁パネルおよび前記間仕切りパネルが設置され、
設置された前記外壁パネル間に主たる横架材としての構造材である大梁部材が架設されて前記天井パネルが設置され、
設置された前記天井パネル上に、前記外壁パネルと前記間仕切りパネルと前記天井パネルで上階が設置されたのち、また前記上階の設置なしに、設置された前記天井パネル上に前記小屋パネルと、主たる横架材としての構造材である棟木部材および母屋部材と、前記屋根パネルが設置され、
在来軸組建築物が非住宅のうち床が必要な建築物である場合には、基礎上に、主たる横架材としての構造材である大引部材が架設されるとともに前記床パネルが設置され、
設置された前記床パネル上に前記外壁パネルが設置され、
設置された前記外壁パネル間に主たる横架材としての構造材である大梁部材が架設されて、前記小屋パネルと、主たる横架材としての構造材である棟木部材および母屋部材と、前記屋根パネルが設置され、
在来軸組建築物が非住宅のうち床が不要な建築物である場合には、前記外壁パネルが設置され、
設置された前記外壁パネル間に主たる横架材としての構造材である大梁部材が架設されて、前記小屋パネルと、主たる横架材としての構造材である棟木部材および母屋部材と、前記屋根パネルが設置される
在来軸組構法。
【請求項2】
在来軸組構法を構成する構造材または羽柄材である線材のうち、主たる横架材に相当する少なくとも一部の線材以外の線材が継手・仕口接合されるとともに、面材の板面に接合一体化され、
前記面材が、前記線材による他の軸構成パネルまたは他の構造材に対する接合により在来軸組の骨組みを構成可能な形状に形成され、
前記線材における他の軸構成パネルまたは他の構造材に対する接合部に、継手・仕口の一方が形成された軸構成パネルを備え、
前記軸構成パネルのうち水平に設置される前記軸構成パネルが、主たる横架材としての構造材を介して設置され、
前記軸構成パネルのうち垂直に設置される前記軸構成パネルが、水平に設置された前記軸構成パネルの上に設置される
在来軸組構法。
【請求項3】
前記軸構成パネルとして少なくとも、床に用いられる床パネルと、外壁に用いられる外壁パネルと、天井に用いられる天井パネルが用いられ、
主たる横架材としての構造材に、基礎上に設置される大引部材と、外壁パネル間に架設される大梁部材が用いられる
請求項2に記載の在来軸組構法。
【請求項4】
前記軸構成パネルにおける直角をなす部位に、前記線材の接合角度を直角に規制するための直角三角形を形成する直角矯正部材が設けられた
請求項1または請求項2に記載の在来軸組構法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、新規な軸構成パネルによって構成される在来軸組構法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
在来軸組構法は、土台や大引、柱、管柱、梁、桁、棟木などの構造材と、根太や間柱、垂木などの羽柄材である線材を接合して骨組み(軸組み)が構成される。羽柄材は、構造材を補うものであり、比較的断面が小さい部材である。
【0003】
線材の接合には、継手・仕口が利用される。継手・仕口は、突付けとは異なり、互いの接合部を差し込んだり組み合わせたりして接合するものであって、多種多様なものがあった。これらは、適材適所を見極めて、所望の強度が得られるように古来、活用されてきた。このような在来軸組構法には、間取り設計やリフォーム時の自由度が高い、大開口が得られるなどといった利点がある。
【0004】
しかし、継手・仕口には、正確な加工の難しさや、熟練性の違いによる接合強度のばらつき、欠損率の高さ等のデメリットが指摘されている。
【0005】
このため、継手・仕口の強度を補い、安定した強度を得るために、補強金物が用いられるようになり、さらには、接合金物が用いられて、継手・仕口の単純化がはかられるようになった。接合金物は、たとえば下記特許文献1の図8図10や、下記特許文献2の図4図8等に見られるように、線材の接合部どうしの間に介在して、両者をつなぎとめる構成である。線材の接合部は、接合金物の保持に必要なごく単純な加工がなされただけであり、接合金物がなければ線材の接合部は、いわゆる「突付け」と同じような状態である。すなわち、接合金物は、線材に形成された継手・仕口に代わり、たとえば穴あけなどごく単純な加工がなされた接合部を有した線材間において、両者をつなぎとめている。
【0006】
接合金物を用いると、工期の短縮や施工のばらつき低減がはかれ、施工性が向上し、比較的安定した強度が得られ、大工の減少や高齢化にも対応できる。
【0007】
補強金物や接合金物を用いることに加えて、構造用合板を張り付けることで、安定した強度を得ることが行われている(たとえば特許文献2)。特許文献2の壁パネルは、面材と、面材の一方の板面に固定されて水平方向にのび、間隔をあけて立設された一対の木質柱間に嵌まる接合材で構成されている。この壁パネルでは、施工性を考慮して、一対の木質柱間に壁パネルを配置してから、一対の木質柱の上に木質梁を架設するという構成を採用しているものの、一般に、壁パネルは、あらかじめ建てた柱間に嵌めるものであった(特許文献3参照)。
【0008】
こうしたなか部材のパネル化は変化して、柱や梁などの構造材を一体化した壁パネルが提案されるようになった(特許文献4、5、6)。このような壁パネルの接合には、前述と同様に線材間に介在する接合金物が用いられている。
【0009】
このような接合金物の使用や壁のパネル化によって、建築の施工性が向上されるものの、他方で、継手・仕口が忘れられ、接合金物に頼る度合いが高まってきている。言い換えれば、木造建築が仕口で強度を得て骨組みを構成する在来軸組構法とは異なるものとなってきている。接合金物に接合を頼りすぎると、あらかじめ決まった態様での接合しかできずに、部材の交換や間取りの変更など、在来軸組構法のメリットが得られない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特許第2967468号公報
【文献】特許第7163796号公報
【文献】特許第5404007号公報
【文献】特開2003-90080号公報
【文献】特開2016-125200号公報
【文献】特許第5061253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この発明は、在来軸組構法の利点を残しつつ、施工性がよく、安定した強度が得られるように、仕口を利用した在来軸組構法をパネル化することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのため、この発明は下記の在来軸組構法を提供する。
【0013】
すなわち、在来軸組構法は軸構成パネルで構成される。軸構成パネルは、在来軸組構法を構成する構造材または羽柄材である線材のうち、主たる横架材に相当する少なくとも一部の線材以外の線材が継手・仕口接合されるとともに、面材の板面に接合一体化されている。面材は、線材による他の当該軸構成パネルまたは他の構造材に対する接合により在来軸組の骨組みを構成可能な形状である。そして、線材における他の当該軸構成パネルまたは他の構造材に対する接合部に、継手・仕口の一方が形成されている。
【0014】
そして、軸構成パネルのうち水平に設置される軸構成パネルが、主たる横架材としての構造材を介して設置され、軸構成パネルのうち垂直に設置される軸構成パネルが、水平に設置された軸構成パネルの上に設置される。
【0015】
上記のような軸構成パネルとして、床に用いられる床パネル、外壁に用いられる外壁パネル、間仕切りに用いられる間仕切りパネル、天井に用いられる天井パネル、小屋に用いられる小屋パネル、屋根に用いられる屋根パネルが構成される。構築に際しては、基礎上に、主たる横架材としての構造材である大引部材が架設されるとともに床パネルが設置され、設置された床パネル上に外壁パネルおよび間仕切りパネルが設置される。設置された外壁パネル間に主たる横架材としての構造材である大梁部材が架設されて、天井パネルが設置される。設置された天井パネル上に、外壁パネルと間仕切りパネルと天井パネルで上階が設置されたのち、また上階の設置なしに、設置された天井パネル上屋根が形成される。つまり、小屋パネルと、主たる横架材としての構造材である棟木部材および母屋部材と、屋根パネルが設置される。
【0016】
このような構成の在来軸組構法では、6種類の軸構成パネルと主たる横架材としての構造材のうち必要なものが下のものから順に互いに組み合わされて接合され、住宅や非住宅の在来軸組建築物が構成される。その軸構成パネルは、面材が接合一体化された線材の少なくとも一部に継手・仕口を有しており、線材どうしが直接組み合わさった継手・仕口による強固な接合を、面材が補強する。軸構成パネルどうし、また他の構造材との接合部においては、線材の接合部に形成した継手・仕口の一方が、相手方に対して継手・仕口接合する。
【0017】
なお、「住宅」とは、住宅の品質確保の促進等に関する法律の第2条第1項に規定されているとおり、「人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分(人の居住の用以外の用に供する家屋の部分との共用に供する部分を含む。)」であり、「非住宅」とは、上記以外の建築物である。非住宅には、たとえば、工場や倉庫などがある。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、軸構成パネルは、継手・仕口接合された線材を有し、他の部材との接合においてもその線材が継手・仕口接合する。いわば、継手・仕口を利用した在来軸組構法をパネルにしたものである。
【0019】
このため、面材と一体化しているために継手・仕口の態様は、突き合わせたり嵌めたりして接合できるものに限定されるものの、線材の継手・仕口接合による直接的な高強度の接合と、面材によるその接合状態を補強とがはかれる。この結果、建築全体における接合金物に頼る度合いを低減できる。そして、接合金物の使用を必要な部分のみに限定することで、部材交換やリフォームの自由度を有し、安定した必要な強度を有する木造建築を施工性よく得ることができる。
【0020】
しかも、前述のように軸構成パネルを6種類備えて建築物を構成しようすることはこれまでになく、その6種類の軸構成パネルは、あえて主たる横架材としての構造材を除いて構成し、その横架材としての構造材と互いに組み合わされる。このため、軸構成パネルの軽量化等もはかれ、組みやすく、施工が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】建築途中の建築物の斜視図。
図2】床部分の建築途中の斜視図。
図3】床パネルの一部破断斜視図。
図4】直角矯正部材の一部破断斜視図。
図5】床パネルどうしの接合部分を示す一部破断平面図。
図6】大引部材の斜視図。
図7】大引部材と床パネルの平面図。
図8】設置した床パネルとこれに設置される外壁パネルの斜視図。
図9】外壁パネルの一部破断斜視図。
図10】外壁パネルの下部の正面図。
図11】外壁パネルの上端部の接合部分を示す平面図。
図12】天井パネルの斜視図。
図13】設置した天井パネルと小屋パネル等の斜視図。
図14】小屋パネルと屋根パネルの接合部分を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0023】
図1に軸構成パネル11を用いた在来軸組構法による建築物12の構築途中の斜視図を示す。この図に示すように建築物12は、複数種類の軸構成パネル11と、一部の構造材13aを基礎14の上に組んで構成される。なお、図1において、窓等の開口は、図示の簡略化のため省略している。
【0024】
軸構成パネル11は、在来軸組構法を構成する構造材13aまたは羽柄材13bである線材13のうち、主たる横架材に相当する少なくとも一部の線材以外の線材が継手・仕口接合されるとともに、面材15の板面に接合一体化されて構成されている。構造用合板等からなる面材15は、線材13による他の軸構成パネル11または他の構造材13aに対する接合により、在来軸組を構成可能な形状であり、互いの組み付けを可能にし、組み付け時に相互間で干渉がない形状である。そして、線材13における、他の軸構成パネル11または他の構造材13aに対応する接合部16に、継手・仕口の一方17が形成されている。「主たる横架材に相当する少なくとも一部の線材」とは、補助材としての羽柄材13bではない構造材13aで構成されるものであって、荷重を受けることになる構造材13aである。具体的には、外壁パネルや間仕切りパネルとなるような垂直に建て込まれる軸構成パネル11では、その上に位置する梁のような横架材である。水平に設置される軸構成パネル11では、たとえば在来軸組の内部にかけ渡される横架材であって、床部分で言えば大引、天井または2階床で言えば大梁、屋根で言えば棟木と母屋である。
【0025】
このため、建築物12は、基本的に、軸構成パネル11と、互いに組まれる一部の構造材13aで構成される。つまり、軸構成パネル11を構成する線材13は、在来軸組構法を構成する線材13であって、軸構成パネル11は、別途に組み合わせる構造材13aを除いて、必要な線材13を面材15に一体化させた構成である。
【0026】
軸構成パネル11としては、住宅や、非住宅のうちの事務所や集会場等を想定した場合、少なくとも床パネル11aと外壁パネル11bと天井パネル11cが構成され、前述した一部の構造材13aとしては、大引部材13eと大梁部材13gが用いられる。工場や倉庫などのような非住宅を想定した場合には、床パネル11aは不要である。このほか、軸構成パネル11として間仕切りパネル11dを用いることができる。軸構成パネル11として小屋パネル11eや屋根パネル11f、構造材としての棟木部材13hや母屋部材13iを用いることで屋根が構成できる(図13参照)。図示を省略するが、上階のための外壁パネルや間仕切りパネル等を軸構成パネルとして、大梁部材を構造材として用いれば、2階、3階を構成できる。上階のための軸構成パネル11には、1階を構成する外壁パネル11bと同様の構成のものが用いられる。
【0027】
すなわち、この在来軸組構法では、住宅やこれに類似する建築物の構築において、軸構成パネル11として、床に用いられる床パネル11a、外壁に用いられる外壁パネル11b、および天井に用いられる天井パネル11cが形成される。これら床パネル11aと外壁パネル11bと天井パネル11cは、主たる横架材としての構造材13aを除いて構成される。外壁パネル11bは、在来軸組の柱に相当する構造材13aを左右いずれか一方に有する外壁パネル11bと、柱に相当する構造材13aを除いた外壁パネル11bである。そして、基礎14上に、主たる横架材としての構造材13a(大引部材13e)が架設されるとともに床パネル11aが設置され、接合部16で継手・仕口接続される。続いて、設置された床パネル11a上に外壁パネル11bが設置される。このあと、設置された外壁パネル11b間に主たる横架材としての構造材13a(大梁部材13g)が架設される。そして、天井パネル11cが設置されて、接合部16で継手・仕口接続される。設置された天井パネル11c上には、上階が設置されたのち、また上階の設置なしに、屋根が設置される。
【0028】
より好ましくは、軸構成パネル11として6種類のパネル、すなわち、床パネル11a、外壁パネル11b、天井パネル11cのほかに、間仕切りに用いられる間仕切りパネル11d、小屋に用いられる小屋パネル11e、および屋根に用いられる屋根パネル11fが形成されるとよい。小屋パネル11eまたは屋根パネル11fは、主たる横架材としての構造材13aを除いて構成される。外壁パネル11bは前述と同様である。そして、基礎14上に、主たる横架材としての構造材13a(大引部材13e)が架設されるとともに床パネル11aが設置され、接合部16で継手・仕口接続される。続いて、設置された床パネル11a上に外壁パネル11bと間仕切りパネル11dが設置される。このあと、設置された外壁パネル11b間に、主たる横架材としての構造材13a(大梁部材13g)が架設される。この部分に天井パネル11cが設置され、接合部16で継手・仕口接続される。設置された天井パネル11c上に、上階が設置されたのち、また上階の設置なしに、屋根が設置される。すなわち、上階は、前述の同様の外壁パネル11b、間仕切りパネル11d、大梁部材13gと、天井パネル11cで構成される。屋根は、小屋パネル11eと、主たる横架材としての構造材13aとしての棟木部材13hおよび母屋部材13iと、屋根パネル11fで構成される。このように6種の軸構成パネル11を用いることで、建築物12が構築できるようになる。
【0029】
建築物の種類に応じて分けて述べると、在来軸組建築物が住宅である場合には、前述のように6種類のパネルを用意して、上述のように構築される。在来軸組建築物が非住宅のうち、たとえば事務所や集会所などのように床が必要な建築物である場合には、基礎上に、主たる横架材としての構造材13a(大引部材13e)が架設されるとともに床パネル11aが設置され、接合部16で継手・仕口接続される。続いて、設置された床パネル11a上に外壁パネル11bが設置され、設置された外壁パネル11b間に主たる横架材としての構造材13a(大梁部材13g)が架設される。このあと、小屋パネル11eと、主たる構造材13aとしての棟木部材13hおよび母屋部材13iと、屋根パネル11fが設置される。在来軸組建築物が非住宅のうち、例えば工場や倉庫のように床が不要な建築物である場合には、外壁パネル11bが設置され、設置された外壁パネル11b間に主たる横架材としての構造材13a(大梁部材13g)が架設される。このあとは、上記の場合と同じであり、小屋パネル11eと、主たる構造材13aとしての棟木部材13hおよび母屋部材13iと、屋根パネル11fが設置される。
【0030】
ここで、継手・仕口について簡単に述べると、継手は部材を長手方向に接合するものであり、仕口は角度を持たせて接合するものである。これらの基本形には、腰掛け、目違い、ホゾ、竿、蟻、鎌、略鎌、相欠き、殺ぎ、留め、箱があり、これらや、これらを組み合わせた形のものが適宜利用される。図面上、詳しい形状は省略して、単に突き合わせたようなものを含む極単純な図示とする。
【0031】
前述のような構築順序に従って、各種の軸構成パネルと構造材の構成について説明する。
【0032】
図2は、基礎14と、床パネル11aと、床パネル11aとは別体の、一部の構造材13aとしての長尺の大引部材13eを示す斜視図である。この図に示すように基礎14は、一例として平面視長方形に形成されており、必要箇所にアンカーボルト14aが立設され、基礎パッキン14bが備えられている。
【0033】
床パネル11aは、基礎14の平面視形状である長方形を複数に分割した形状に形成され、その面材15の縁部は、在来軸組の構造材の位置に沿って形成されている。つまり、床パネル11aは基礎14の外周部分に位置する構造材である土台と、土台間にかけ渡される態様の一部の大引に対応する部位で分割された形状であって、基本的に平面視長方形である。言い換えれば、構造材で挟まれた部分を単位として構成される。そして、その面材15の端面は、設置時に同一面上に並び互いに隣接する軸構成パネル11である床パネル11a間において互いに当接するように形成されている。
【0034】
具体的に図示例の床パネル11aは、在来軸組の内部において平行に並ぶ2本の大引部材13eに対応する部位で3分割されるとともに、大引部材13eと直交する方向にのびる大引のうち2本の大引に対応する部位でさらに3分割されるように形成されている。このため、床パネル11aには、直角をなす2辺に土台31を有し他の辺に大引32を有するものと、1辺に土台31を有し他の辺に大引32を有するものと、1辺に土台31を有し大引32を有しないものと、土台31と大引32のいずれも有しないものがある。なお、図2に示した床パネル11aは、すべてのものではなく一部である。
【0035】
床パネル11aは、土台31や大引32のような構造材13aの他に、羽柄材13bからなる線材13である連結材33を土台31や大引32の間に配設している。連結材33は平面視十字状に組まれており、線材13どうしの接合部分には、たとえば相欠き等の適宜の継手・仕口が形成されている。前述のように継手・仕口の図示は簡略化してある。
【0036】
図3に床パネル11aの一例を一部破断斜視図で示している。すなわち、直角をなす2辺に土台31を有する床パネル11aは、一方の土台31の長手方向の中間部と端部に大引32を直角に有している。土台31と土台31との間と、土台31の端と大引32との間の直角をなす部分には、アンカーボルト14aに固定可能な接合金物81が保持されている。この接合金物81は、略立方体形状であり、土台31と大引32に差し込まれる差し込み片82を必要な側面に有し、下面の中央にはアンカーボルト14aを挿通する貫通穴83を有している。そのほか、上面の中央には雌ねじ84が形成され、その他の側面にも必要に応じて雌ねじ85が形成されている。四隅の空間は操作用の窓部86である。この接合金物81をはじめ、軸構成パネル11に備えられる接合金物は、軸構成パネル11を嵌めたりするときに引っかかりとならないように、結合前には軸構成パネル11輪郭から突出しないように構成される。
【0037】
床パネル11aをはじめ、軸構成パネル11における直角をなす部位、たとえば四隅などには、線材13の接合角度を直角に規制するための直角三角形を形成する直角矯正部材91が設けられている。直角をなす部位とは、線材13における隣接する、または設置されて隣接することになる他の部材との間で直角をなすべき部位である。つまり、一の軸構成パネル11を構成する線材13間を直角に規制する場合があれば、設置されたときに隣接する別の軸構成パネル11や構造材13aとの間を直角に規制する場合もある。
【0038】
直角矯正部材91は、図4に示したように、角材92と板材93を結合して構成されている。板材93は直角二等辺三角形状であり、この板材93の表裏両面における全周に角材92固定され、板材93が角材92で挟まれた構造である。板材93の外周の端面と角材92の外側面は、主要な部分において面一である。主要な部分とは、直角をなす2辺x,yを有する面であり、たとえば45度をなす角において板材93の端が突出するのはかまわない。
【0039】
直角矯正部材91の直角をなす2辺x,yの長さは等しく、高さzは、構造材13aの対向面の幅に等しい。
【0040】
図3に例示した床パネル11aにおける直角矯正部材91のうち、接合金物81から離れた位置のものは、構築時に大引部材13eに接触して規制を行うことになる。
【0041】
床パネル11aの土台31と大引32における大引部材13e側の端部には、接合金物81を介しての固定のための貫通穴等を有し、羽柄材13bからなる線材13である連結材33の端部の接合部16に、前述した継手・仕口の一方17が形成されている。この継手・仕口には、たとえば大入れ蟻掛け等の適宜の継手・仕口が利用できる。
【0042】
このような継手・仕口の一方17と同様の継手・仕口の一方17が、大引32の長手方向における中間位置の接合部16に形成されている。この接合部16は、隣接する別の床パネル11aにおける連結材33の接合部16形成された継手・仕口の一方17が継手・仕口接合する部分である。つまり、大引32の長手方向の中間位置に形成された継手・仕口の一方17は、隣接する別の床パネル11aにとっては、継手仕口の他方18ということになる。逆に、隣接する別の床パネル11aの連結材33における端部の継手・仕口の一方17は、大引32の長手方向の中間位置に接合部16を有する床パネル11aにとっては、継手・仕口の他方18ということになる。
【0043】
この床パネル11aにおける面材15は、土台31に対してはその外側面と面一に形成され、接合部16を有する大引32に対応する部分においては、大引32の幅方向の中間に対応する大きさに形成されている。これは、隣接する床パネル11aの面材15の被さり代を形成するためである。他の辺、すなわち連結材33の接合部16を有する部分は、接合部16を覆う大きさに形成されている。これは逆に、大引部材13eの上面に被さる部分を形成するためである。
【0044】
すなわち、面材15は、線材13における接合部16に対応する部位に存在する形状に形成され、または線材13における接合部16に対応する部位に設置時に隣接する別の軸構成パネル11である床パネル11aの面材15を存在させる形状に形成されている。面材15の端における接合部16を露出する、または覆う大きさが、構造材13aの幅の半分であるので、設置時に同一面上に並び互いに隣接する軸構成パネル11である床パネル11aにおける面材15の端面は、互い当接することになる。
【0045】
図3に例示の他方の床パネル11aは、線材13として土台31を1本有し、土台31の長手方向の中間に、平面視十字状に組まれる連結材33を継手・仕口接合で備えている。土台31の長手方向の両端には、図5に示したように、隣接する他の床パネル11aの接合金物81に接続するための締結具87が備えられる。そして、連結材33の3方の端部が接合部16であり、この接合部16に、当該床パネル11aにとっての継手・仕口の一方17が形成されている。この床パネル11aの連結材33のうち土台31に平行な連結材33の接合部16は、隣接する他の床パネル11aの大引32における継手・仕口の一方17に接合する。土台31に直交する方向の連結材33の接合部16は大引部材13eに接合する。
【0046】
この床パネル11aの面材15の大きさは、接合部16を覆う大きさであり、設置時に同一面上に並び互いに隣接する軸構成パネル11である床パネル11aにおける面材15の端面を互いに当接させる大きさである。
【0047】
大引部材13eは、図6に示したように、長手方向の両端にアンカーボルト14aに固定される接合金物81を有し、接合金物81には、図7に示したように床パネル11aの土台31を受けるL字型の受け金具88が設けられている。大引部材13eにおける大引32に対応する部位にも受け金具88が受けられ、床パネル11aの連結材33における接合部16に対応する部位には、継手・仕口の他方18が形成されている。
【0048】
床パネル11aにおける土台31と大引32は、大引部材13eと同様に主たる横架材に相当する一部の線材13として、面材15に接合一体化する線材13から外すこともできるが、端に位置するものであるので、面材15と一体であるほうが、施工性がよい。
【0049】
図8に、設置された床パネル11aと、その上に設置される外壁パネル11bを斜視図で示す。図示された外壁パネル11bは、複数あるうちの一部である。
【0050】
基礎14上に設置された床パネル11aの上面は基本的に平らであり、接合金物81等接合に必要な箇所には接合金物81等が存在する。
【0051】
外壁パネル11bは、在来軸組の構造材である柱と胴差に対応する部分で複数に分割した基本的に正面視長方形状である。その面材15の縁部は、柱と胴差の位置に沿って形成されている。そして、その面材15の左右方向の端面は、設置時に同一面上に並び互いに隣接する軸構成パネル11である外壁パネル11b間において互いに当接するように形成されている。外壁パネル11bは、主たる横架材としての構造材13aである下端の土台を除いて形成される。
【0052】
この外壁パネル11bには、在来軸組の柱に相当する構造材13aを少なくとも左右いずれか一方に有するものと、柱に相当する構造材を除いたものがある。図8中、右側に示した外壁パネル11bは、左右両側に柱34を有するものであり、中央に示した外壁パネル11bは、左右のうち一方に柱34を有し、左側に示した外壁パネル11bは、柱34を有しないものである。
【0053】
羽柄材13bとしては、下端の下枠材36と、左右方向の端の側枠材37と、上下にのびる連結材38を有している。柱34間や、柱34と側枠材37、側枠材37間の上端部には、横架材としての胴差35が備えられる。
【0054】
そして、これら外壁パネル11bの面材15は、前述の床パネル11aとは異なり、表裏に設けられている。これによって、柱34や胴差35、下枠材36、側枠材37、連結材38といった線材13を挟み込む構造となっている。その面材15の端は、外周に位置する線材13の外側の端と面一か、それよりも内側に収まっている。つまり、面材15は、縁部が外周側に張り出さないように形成されている。もちろん、表裏の面材15間には、断熱材や配線、配管等の必要な部材が備えられる。
【0055】
図9に柱34を一方に有する外壁パネル11bの一部破断斜視図を示す。外壁パネル11bの外周部における接合部16には、継手・仕口の一方17が形成されている。これは、天井パネル11cやなどの接合部16に形成された継手・仕口の一方17が継手・仕口接合する部分である。
【0056】
このほか、外壁パネル11bのうち線材13どうしが直角をなす部位に、線材13間の接合角度を直角に規制するための直角矯正部材91,95が設けられている。図中、外壁パネル11bの角部に設けられた直角矯正部材91は、前述の直角矯正部材91と同一の構成である。図中、中央に設けられた直角矯正部材95は、斜材からなるものである。斜材の端部も継手・仕口が形成されるとよい。
【0057】
面材15における直角矯正部材91,95に対応する部位には、直角矯正部材91,95の内側の直角三角形部分を露出する窓部51が形成される。この例の窓部51は、直角三角形部分から端の部分すべてを露出するように、三角形の切欠きで構成されている。面材15における切欠きに相当する部分は、図9に示したように、切欠きに対応する形状の蓋板52が備えられる。
【0058】
このような窓部51は、図10に示したように、隣接する構造材13a等への接続のための釘やねじなどの留め具98を打つのに使用される。外壁パネル11bが床パネル11a上に固定され、留め具98で留めたあとに、窓部51は蓋板52で塞がれる。
【0059】
図11は、外壁パネル11bにおける胴差35の直角に接合される部分の接合構造の一例を平面図で示している。すなわち、一方の胴差35における長手方向の一端に接合金物81が設けられ、これに直角に接合される他方の胴差35における長手方向の一端に、突出して接合金物81に螺合する締結具87が設けられている。
【0060】
このような外壁パネル11bの設置に際しては、柱34どうしの接合を回避する。すなわち、外壁パネル11bの柱34を有する側の隣には、外壁パネル11bの柱34ではなく、側枠材37が接するように、外壁パネル11bか設置される。
【0061】
図12に天井パネル11cの斜視図を示す。この図に示すように、天井パネル11cは、基本的に床パネル11aと同様に、構造材13aと羽柄材13bと面材15で構成されている。ただし、天井パネル11cは外壁パネル11bの内側に嵌めるように固定されるものであるので、外周部分に構造材13aは不要である。詳しい説明は、吊り天井45を除いて重複になるので、床パネル11aと同様の構成にはそれと同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0062】
吊り天井45は、羽柄材13bに相当する線材13としての垂木が格子状に組まれて構成されており、吊り部材46を介して固定されている。吊り部材46は、羽柄材13bとしての一般的な吊り木で構成してもよいが、この例では高さ調節可能に、つまり、梁成(梁の高さ)に対応し、天井レベル(高さ)を調節可能な吊り部材46で構成している。吊り部材46はボルトを用いて構成できる。
【0063】
天井パネル11cにおける、在来軸組の内部にかけ渡される横架材としての一部の構造材13aは大梁部材13gであり、図1に示すように大梁部材13gは、前述した大引部材13eと同様の構成である。すなわち、長手方向の両端に接合金物81を有し、天井パネル11cの構造材13aに対応する部位にL字型の受け金具88が設けられている。さらには、天井パネル11cの連結材33における接合部16に対応する部位に、継手・仕口の他方18が形成されている。
【0064】
大梁部材13gは、外壁パネル11bの胴差35間にかけ渡される。大梁部材13gが胴差35の間をつないだあと、天井パネル11cを嵌め込む。これによって、天井パネル11cどうし、また天井パネル11cと大梁部材13g、天井パネル11cと胴差35との間で継手・仕口接合をして、各パネル(軸構成パネル11)に備えられた接合金物81等による相互間の接合がなされる。
【0065】
このあと、設置された天井パネル11cの上に、必要に応じて上階が構成されたのち、図13に示したように小屋パネル11eと棟木部材13h、母屋部材13iを配設して、屋根パネル11fが固定される。上階は、前述した外壁パネル11b、間仕切りパネル11d、大梁部材13g、天井パネル11cで構成される。このため、天井パネル11cは、天井床パネルとも言い得る。
【0066】
小屋パネル11eや屋根パネル11fは、前述した床パネル11aや天井パネル11cと同様に構成される。床パネル11aと天井パネル11cが、在来軸組の内部にかけ渡される横架材としての一部の構造材13aを除いて構成したのと同様に、小屋パネル11eまたは屋根パネル11fは、構造材13aである棟木、母屋を除いて構成する。
【0067】
図14は、小屋パネル11eと屋根パネル11fと棟木部材13hと、母屋部材13iを組み上げた状態の概略構成図である。この図に示すように、配置された小屋パネル11eを構成する構造材13aである棟束41、母屋束42の上にそれぞれ棟木部材13h、母屋部材13iが固定される。13jはつなぎ梁であり、主たる横架材に相当する一部の線材としての構造材13aである。91は蜘蛛筋交いとして機能する直角矯正部材である。
【0068】
以上のようにして構成される建築物12は、継手・仕口を利用した在来軸組構法をパネルにした、床パネル11a等の軸構成パネル11からなる。このため、軸構成パネル11を所定位置に配設することで、所望の在来軸組の建築物12を構築できる。各軸構成パネル11における面材15は、接合一体化された線材13の少なくとも一部に継手・仕口を有し、線材13どうしが直接組み合わさった継手・仕口による強固な接合を補強している。そして、軸構成パネル11どうし、また大引部材13eや大梁部材13gとの接合部においても継手・仕口接合する。この接合状態を、軸構成パネル11に備えられた接合金物が維持する。
【0069】
このため、線材13の継手・仕口接合による直接的な高強度の接合と、面材15によるその接合状態を補強とがはかれ、建築全体における接合金物に頼る度合いを低減できる。しかも、軸構成パネル11どうしを接合することで構築できるので、施工性が良好である。そのうえ、接合金物の使用を必要な部分のみに限定することで、部材交換やリフォームの自由度を確保できる。
【0070】
特に、面材15は、線材13における接合部16に対応する部位に存在する形状に形成され、また、線材13における接合部16に対応する部位に設置時に隣接する別の軸構成パネル11の面材15を存在させる形状に形成されている。このため、継手・仕口接合され部分が、確実に面材15で補強されることになり、安定した強を得られる。
【0071】
軸構成パネル11の面材15は、その縁部を在来軸組の構造材の位置に沿って形成しているので、軸構成パネル11同士の接合は、構造材13aを介して行え、強固な接合が簡素な構成で容易に行える。しかも、面材15の端面どうしが互い当接するので、面材15による強度も発揮させることができる。
【0072】
強度については、直角矯正部材91,95を備えたので、容易に高めることができるうえに、直角矯正部材91,95は軸構成パネル11の形状を確保し、設置時の上下方向と水平方向の直線性も出せる。このため、強度はもちろんのこと、施工性が格段に向上する。
【0073】
直角矯正部材91,95に相当する部分に窓部51を設けて、留め具98による固定ができるように構成したので、この点でも、高い強度が得られる。
【0074】
床パネル11aや天井パネル11c、小屋パネル11eのパネル化に際して、在来軸組の内部にかけ渡される横架材としての一部の構造材を除いて構成しているので、長尺の構造材13aを除くことによって、軸構成パネル11の軽量化ができる。この点からも施工性をよくできる。
【0075】
外壁パネル11bについては、面材15を表裏に備えているので、面材15の張り付け工程を削減でき、この点でも施工性を向上できる。しかも、面材15の端が線材13の外側に飛び出さない構造であるので、外壁パネル11bは内側からも外側からも嵌められ、また、いずれの方向にも外すことかできる。この点からも施工性が良好である上に、部材の交換やリフォーム等に際して作業性もよい。
【0076】
さらには、外壁パネル11bどうしの接合が、柱に相当する構造材13aどうしの接合を回避してなされるので、木材の容積を抑えることもできる。
【0077】
以上の構成は、この発明を実施するための一形態であって、この発明は前述の構成のみに限定されるものでなく、その他の構成を採用することもできる。
【0078】
たとえば、外壁パネル11bは、面材15を線材13の外側面よりも外側に張り出してもよい。
【0079】
外壁パネル11bは、面材15を片面のみに備えてもよい。
【0080】
軸構成パネル11から除かれる、主たる横架材に相当する線材としての構造材13aは、長尺のものでなくともよい。
【0081】
図示例の軸構成パネル11間における継手・仕口は、実質的に仕口のみをあらわしたが、継手であってもよい。
【0082】
面材15における窓部51の形成と留め具98による固定は、外壁パネル11b以外の軸構成パネル11においても行える。
【0083】
直角矯正部材は、前述以外の構成、たとえば前述した2種類の直角矯正部材91,95を融合したような構造であってもよい。
【符号の説明】
【0084】
11…軸構成パネル
11a…床パネル
11b…外壁パネル
11c…天井パネル
11d…間仕切りパネル
11e…小屋パネル
11f…屋根パネル
13…線材
13a…構造材
13b…羽柄材
13e…大引部材
13g…大梁部材
13h…棟木部材
13i…母屋部材
13j…つなぎ梁
15…面材
16…接合部
17…継手・仕口の一方
45…吊り天井
46…吊り部材
51…窓部
91,95…直角矯正部材
【要約】
【課題】在来軸組構法の利点を残しつつ、施工性がよく、安定した強度が得られるように、仕口を利用した在来軸組構法をパネル化する。
【解決手段】在来軸組構法を構成する構造材13aまたは羽柄材13bである線材の13うち、主たる横架材に相当する少なくとも一部の線材以外の線材が継手・仕口接合されるとともに、面材15の板面に接合一体化して軸構成パネル11を構成する。軸構成パネル11の線材13における他の当該軸構成パネル11または他の構造材13aに対する接合部16には、継手・仕口の一方17が形成される。このような軸構成パネル11として、床パネル11a、外壁パネル11b、間仕切りパネル11d、天井パネル11c、小屋パネル、屋根パネルを設ける。これらのパネルを、基礎14上に、主たる横架材としての構造材である大引部材13e、大梁部材13gなどとともに、下から上に順に組み上げて建築物を構築する。
【選択図】図1
図1
図2
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図14