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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】測定機器および工具ホルダ
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/16 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
G01B7/16 R
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023199431
(22)【出願日】2023-11-24
【審査請求日】2023-11-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504155293
【氏名又は名称】国立大学法人島根大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】吉田 佳典
(72)【発明者】
【氏名】沓掛 あすか
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第116659369(CN,A)
【文献】米国特許第5392027(US,A)
【文献】特開2005-140653(JP,A)
【文献】特開平11-072305(JP,A)
【文献】特開2005-091250(JP,A)
【文献】国際公開第2018/047834(WO,A1)
【文献】特開2012-091277(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0045994(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第116728160(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひずみゲージと、
平面形状の側面を1つ以上有し、前記平面形状の側面のいずれか1つ以上に前記ひずみゲージが取り付けられた本体部と、を備え、
前記本体部は、前記ひずみゲージの測定対象に形成された円柱形状の孔に収容された状態において、前記平面形状の側面の長手側の辺を含む2つ以上の側端部が前記孔を形成する前記測定対象の内壁面と接触する、測定機器。
【請求項2】
前記本体部の外形が略四角柱形状である、請求項1に記載の測定機器。
【請求項3】
前記本体部の外形が略三角柱形状である、請求項1に記載の測定機器。
【請求項4】
前記ひずみゲージは、前記本体部が前記孔に収容された状態において、前記内壁面と離間している、請求項1に記載の測定機器。
【請求項5】
前記本体部は、前記孔に収容された状態において前記内壁面に固定されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の測定機器。
【請求項6】
前記本体部が前記孔に収容された状態において、
前記ひずみゲージが取り付けられた前記平面形状の側面と前記内壁面との間の空間に接着剤が充填されており、
前記ひずみゲージが前記接着剤に埋まっている、請求項1から4のいずれか1項に記載の測定機器。
【請求項7】
測定機器を備えた、工具を保持する工具ホルダであって、
前記測定機器は、
前記工具ホルダのひずみを測定するひずみゲージと、
平面形状の側面を1つ以上有し、前記平面形状の側面のいずれか1つ以上に前記ひずみゲージが取り付けられた本体部と、を備え、
前記本体部は、前記工具ホルダに形成された円柱形状の孔に収容された状態において、前記平面形状の側面の長手側の辺を含む2つ以上の側端部が前記孔を形成する前記工具ホルダの内壁面と接触する、工具ホルダ。
【請求項8】
前記本体部が前記孔に収容された状態において、
前記ひずみゲージが取り付けられた前記平面形状の側面と前記内壁面との間の空間に接着剤が充填されており、
前記ひずみゲージが前記接着剤に埋まっている、請求項7に記載の工具ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象のひずみを測定する測定機器、および前述の測定機器を備えた工具ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、測定対象のひずみを精度高く測定するための技術が研究開発されている。例えば、特許文献1には、スクリュー状の本体と、本体の一端に設けられた長方形柱体と、長方形柱体の側面に取り付けられたひずみゲージと、を備えた切削力検出器が開示されている。この切削力検出器は、切削加工機の刃物取付け台に形成されたねじ穴に長方形柱体が挿入された後、本体が締め付けられることにより、刃物取付け台に対して固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】登録実用新案第3039407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された切削力検出器は、長方形柱体が刃物取付け台のねじ穴と離間しており、切削力の発生に起因するねじ穴の変形に追従しない。そのため、ねじ穴の変形の影響が長方形柱体を介してひずみゲージに伝わることが無く、結果、ひずみゲージから精度の高い測定結果を得ることが困難であった。
【0005】
本発明の一態様は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、測定対象のひずみを精度高く測定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る測定機器は、ひずみゲージと、平面形状の側面を1つ以上有し、前記平面形状の側面のいずれか1つ以上に前記ひずみゲージが取り付けられた本体部と、を備え、前記本体部は、前記ひずみゲージの測定対象に形成された円柱形状の孔に収容された状態において、前記平面形状の側面の長手側の辺を含む2つ以上の側端部が前記孔を形成する前記測定対象の内壁面と接触する。
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る工具ホルダは、測定機器を備えた、工具を保持する工具ホルダであって、前記測定機器は、前記工具ホルダのひずみを測定するひずみゲージと、平面形状の側面を1つ以上有し、前記平面形状の側面のいずれか1つ以上に前記ひずみゲージが取り付けられた本体部と、を備え、前記本体部は、前記工具ホルダに形成された円柱形状の孔に収容された状態において、前記平面形状の側面の長手側の辺を含む2つ以上の側端部が前記孔を形成する前記工具ホルダの内壁面と接触する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、ひずみゲージが本体部を介して測定対象のひずみを精度高く測定できるだけでなく、ひずみゲージの測定対象に対する向きを容易に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る測定システムの機能的構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る測定機器の主要構成を示す図である。
図3】符号301および302は、図2に示す測定機器が工具ホルダの孔に収容された状態を示す図である。
図4】符号401から404は、図2に示す測定機器の変形例を示す上面図である。
図5】符号501は、本発明の一実施例に係る試験方法を示す図面代用写真である。符号502は、符号501に示すアクリル板のV-V線矢視断面図である。
図6】符号601および602は、本発明の実施例に係る測定機器の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔1.測定システムの構成〕
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る測定システムSTの構成について説明する。測定システムSTは、測定対象のひずみを測定するためのシステムである。図1に示すように、測定システムSTは、工具ホルダ100と、無線通信ユニット200と、情報処理装置300と、で構成されている。
【0011】
工具ホルダ100は、工具を保持するホルダである。切削チップを保持するチップホルダが工具ホルダ100の例として挙げられるが、工具ホルダ100は、何らかの工具を保持するものであればどのようなホルダであってもよい。工具ホルダ100は、測定機器1を備えている。測定機器1は、工具ホルダ100のひずみを測定するひずみゲージ2を備えた機器である。つまり、本実施形態では、工具ホルダ100が測定システムSTの測定対象となる。
【0012】
なお、測定システムSTの測定対象(具体的には測定機器1の測定対象)は工具ホルダ100に限定されない。言い換えれば、測定機器1が、工具ホルダ100以外の測定対象に備わっていてもよい。例えば、塑性加工、鋳造、射出成形、炭素繊維プラスチック成形等に用いられる金型を測定対象としてもよい。また例えば、保圧ピン、ガイドピン等の金型部品を測定対象としてもよいし、スパナ、トルクレンチ、ニッパー等の工具を測定対象としてもよい。
【0013】
無線通信ユニット200は、無線チップ、アンテナおよび周辺回路等を実装した小型の基板を内蔵し、かつ、無線通信のためのソフトウェアがインストールされたモジュールである。無線通信の例としては、無線LAN(Local Area Network)が挙げられる。また、無線通信ユニット200は、ホイートストーンブリッジ回路201を内蔵している。ホイートストーンブリッジ回路201は、ひずみゲージ2とゲージリード202で有線接続されており、工具ホルダ100のひずみに起因するひずみゲージ2の抵抗変化を電圧値に変換する。なお、無線通信ユニット200は測定システムSTに必須の構成要素ではなく、例えば工具ホルダ100と情報処理装置300とを有線接続してもよい。
【0014】
情報処理装置300は、各種情報を処理する装置であり、例えば据え置き型/ノート型のパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンである。また、情報処理装置300は、無線通信ユニット200との間で無線通信を行い、ホイートストーンブリッジ回路201から出力された電圧値を無線通信ユニット200を介して受信する。さらに、情報処理装置300は、ホイートストーンブリッジ回路201から取得した電圧値を用いて工具ホルダ100のひずみを算出し、算出結果を不図示の出力部(表示部、プリンタ等)に出力する。
【0015】
〔2.測定機器の構成〕
図2を参照して、本発明の一実施形態に係る測定機器1の構成について説明する。図2に示すように、測定機器1は、ひずみゲージ2と、本体部3と、を備えている。本実施形態では、ひずみゲージ2は、第1のひずみゲージ21と第2のひずみゲージ22とで構成される二軸ひずみゲージである。具体的には、ひずみゲージ2は、第1のひずみゲージ21と第2のひずみゲージ22とが同一構成であり、且つ、両者が直交する2ゲージ2アクティブ法(直交配置)のひずみゲージである。第1のひずみゲージ21および第2のひずみゲージ22は、ともに公知のひずみゲージであり、一般的なひずみゲージの構造となっている。
【0016】
ひずみゲージ2を前述のような構成とすることで、ひずみゲージ2および工具ホルダ100のそれぞれが熱膨張/熱収縮することによるひずみゲージ2の測定精度の低下を回避できる。ここで、熱膨張/熱収縮は、工具ホルダ100に保持された工具を用いて加工する一連の過程で、ひずみゲージ2および工具ホルダ100のそれぞれが温度上昇/温度低下することに起因して生じる。
【0017】
なお、ひずみゲージ2の構成等に特段の限定は無く、例えば、第1のひずみゲージ21と第2のひずみゲージ22とが並列に配置されていてもよい。また例えば、ひずみゲージ2は、単一のひずみゲージで構成される一軸ひずみゲージであってもよい。また例えば、ひずみゲージ2は、4つのひずみゲージで構成される四軸ひずみゲージであってもよい。あるいは、第1の側面31に複数のひずみゲージ2が取り付けられていてもよいし、第2の側面32および第3の側面33の少なくとも一方にもひずみゲージ2が取り付けられていてもよい。
【0018】
本体部3は、平面形状の側面を1つ以上有し、平面形状の側面のいずれか1つ以上にひずみゲージ2が取り付けられている。この構成によれば、測定機器1が孔101に収容され、かつ、本体部3が接着剤5によって内壁面102に接着固定される前の状態において、ユーザが孔101を上面視すればひずみゲージ2の工具ホルダ100に対する向きを確認できる。これにより、ひずみゲージ2の工具ホルダ100に対する向きの調整を行うか否かの判断が容易になる。接着剤5、孔101および内壁面102の各詳細については後述する。また、本体部3は、平面形状の側面の長手側の辺を含む側端部を2つ以上有している。
【0019】
本実施形態では、本体部3は、外形が略三角柱形状であり、平面形状の側面として第1の側面31、第2の側面32および第3の側面33を有している。また、本体部3は、側端部として第1の側端部34、第2の側端部35および第3の側端部36を有している。さらに、本体部3は、第1の側面31にひずみゲージ2が取り付けられている。
【0020】
ここで、「平面形状」の「平面」は、完全な平面を指す概念ではない。例えば、平面の一部に微細な凹凸・曲面領域が含まれていたとしても、なお「平面」の概念の範疇となる。また、本体部3は中実形状または中空形状のいずれでもよいが、本実施形態では本体部3が中実形状であるものとする。さらに、本体部3の形成材料に特段の限定は無い。
【0021】
以下、本体部3の外形である「略三角柱形状」について具体的に説明する。第1の側面31、第2の側面32および第3の側面33は、それぞれ矩形状である。また、これら3つの側面において、本体部3の高さ方向の辺が長辺(長手側の辺)となっており、本体部3の底面側の辺が短辺(短手側の辺)となっている。さらに、第1の側面31の短辺が最も長く、第2の側面32の短辺が第3の側面33の短辺と長さが同一になっている。ここで、本明細書における「同一」は、完全な同一を指す概念ではない。若干の誤差があったとしても、なお「同一」の概念の範疇となる。
【0022】
第1の側面31と第2の側面32とは、第1の側端部34を介して接続している。つまり、第1の側端部34は、第1の側面31における長辺と、第2の側面32における長辺と、を含んでいる。また、第2の側面32と第3の側面33とは、第2の側端部35を介して接続している。つまり、第2の側端部35は、第2の側面32における長辺と、第3の側面33における長辺と、を含んでいる。さらに、第3の側面33と第1の側面31とは、第3の側端部36を介して接続している。つまり、第3の側端部36は、第3の側面33における長辺と、第1の側面31における長辺と、を含んでいる。
【0023】
第1の側端部34、第2の側端部35および第3の側端部36は、それぞれの表面が、本体部3の高さ方向の全域に亘って当該本体部3の外側に凸となる曲面となっている。また、これら3つの側端部のすべてについて、表面の曲率が本体部3の高さ方向の全域に亘って同一になっている。つまり、これら3つの側端部の各表面がすべてR面となっている。これら3つの側端部の各R面の曲率については、すべて同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。本実施形態では、これら3つの側端部の各R面の曲率がすべて同一であるものとする。また、これら3つの側端部のそれぞれについて、表面の曲率が本体部3の高さ方向の全域に亘って同一になっている必要はない。例えば、側端部における高さ方向の途中の部分において、曲率が変わったり、形状が平面形状に変わったりしてもよい。
【0024】
以上の各特徴を別の表現で表せば、本体部3は、中心軸CAと直交する仮想的な平面で本体部3を切断したときの断面(以下、「基準断面」)の外形が、略二等辺三角形となっている。中心軸CAは、基準断面の重心Gを通り、本体部3の高さ方向に沿って延伸する軸である。「略二等辺三角形」とは、具体的には、この図形に含まれる3辺のうちで最も長い辺が第1の側面31の短辺となり、長さが同一となる残り2つの辺が、第2の側面32および第3の側面33の各短辺となる。また、2つの辺を接続する曲線が、第1の側端部34、第2の側端部35および第3の側端部36のそれぞれを平面視したときの外形を成す曲線となる。本実施形態では、中心軸CAと直交する仮想的な平面で本体部3をどの高さから切断したとしても、基準断面は一様に略二等辺三角形となる。ただし、基準断面が一様に略二等辺三角形となる必要は無く、例えば、本体部3における高さ方向の切断箇所によっては基準断面の形状が異なってもよい。
【0025】
次に、ひずみゲージ2の第1の側面31への取り付け態様について、具体的に説明する。ひずみゲージ2は、第1の側面31における短辺側の端部領域311に取り付けられている。端部領域311は、測定機器1が後述の孔101に収容された状態において、孔101の底部側に配置される(図3の符号301参照)。
【0026】
より詳細には、ゲージベースにおける短手側の端部が本体部3の底面側に位置するように、第1のひずみゲージ21が端部領域311に取り付けられている。「ゲージベースにおける短手側の端部」とは、厳密には、ゲージベースにおける短手側の両端部のうち、ゲージリード202が存在しない方の端部を指す。また、第1のひずみゲージ21を本体部3の外側から覆うように、かつ、第1のひずみゲージ21と直交するように(完全に直交しなくてもよい)、第2のひずみゲージ22が端部領域311に取り付けられている。「第1のひずみゲージ21と直交」とは、具体的には、第2のひずみゲージ22のゲージベースにおける長手方向に延伸する中心線が、第1のひずみゲージ21のゲージベースにおける長手方向に延伸する中心線と直交することである。
【0027】
第1のひずみゲージ21および第2のひずみゲージ22のそれぞれの取り付けには、例えば専用の接着剤が用いられる。具体的には、各ひずみゲージのゲージベースの裏面に専用の接着剤を塗布し、端部領域311に接着することで、第1のひずみゲージ21および第2のひずみゲージ22のそれぞれが端部領域311に接着固定される。ゲージベースの裏面は、ゲージベースにおけるグリッド部(ゲージパターン)が積層されている面と反対側の面である。
【0028】
なお、ひずみゲージ2の第1の側面31への取り付け態様は本実施形態の例に限定されない。例えば、ひずみゲージ2の取り付け位置に特段の限定は無く、ひずみゲージ2および工具ホルダ100の各種類、孔101の形成箇所、工具ホルダ100を用いた加工の方法等に応じて取り付け位置を適宜変更することができる。また、ひずみゲージ2の取り付け方法についても、専用の接着剤で接着固定する方法以外の方法を採用することができる。
【0029】
〔3.測定機器の孔への収容態様〕
図3を参照して、測定機器1の孔101への収容態様について説明する。なお、図の簡略化の観点から、図3の符号301では工具ホルダ100の外形を四角柱形状で図示している。また、図3の符号301では後述の接着剤5を図示していない。さらに、図3の符号302ではゲージリード202を図示していない。
【0030】
図3に示すように、工具ホルダ100には、円柱形状の孔101が形成されている。孔101は、工具ホルダ100の内壁面102によって形成されている。そして、測定機器1が孔101に収容されることにより、測定機器1が工具ホルダに備わることとなる。ここで、「円柱形状」の「円柱」は、完全な円柱を指す概念ではない。例えば、円柱の側面の外形を成す内壁面102において、その一部に微細な凹凸・平面領域が含まれていたとしても、なお「円柱」の概念の範疇となる。
【0031】
孔101は、貫通孔であってもよいし、底部が塞がっていてもよい。本実施形態では、孔101の底部が塞がっているものとする。また、孔101の形成箇所に特段の限定は無く、基本的には、工具ホルダ100のどの箇所に形成されていてもよい。ただし、ひずみゲージ2および工具ホルダ100の各種類、工具ホルダ100を用いた加工の方法等に応じて、ひずみゲージ2の測定精度が高まる箇所に孔101が形成されているのが好ましい。
【0032】
本体部3は、測定機器1が孔101に収容された状態において、2つ以上の側端部が内壁面102と接触する。本実施形態では、測定機器1が孔101に収容された状態において、第1の側端部34、第2の側端部35および第3の側端部36のすべてが、本体部3の高さ方向の全域に亘って内壁面102と接触する。ここで、これら3つの側端部の各表面における曲率は、内壁面102の曲率と同一であってもよいし、異なっていてもよい。本実施形態では、図3の符号302に示すように、これら3つの側端部の各表面における曲率が、内壁面102の曲率よりも大きくなっているものとする。なお、これら3つの側端部のすべてが、本体部3の高さ方向の全域に亘って内壁面102と接触する必要は無く、ひずみに起因する内壁面102の変形に追従する程度に、これら3つの側端部が内壁面102と接触していればよい。
【0033】
また、本体部3は、接着剤5によって内壁面102に接着固定される前の状態において(詳細は後述)、回転軸ARを中心に孔101の内部で回転可能となっている。具体的には、回転軸ARを中心に本体部3、つまり測定機器1を回転させた場合、第1の側端部34、第2の側端部35および第3の側端部36のそれぞれが内壁面102上を摺動する。ここで、回転軸ARは、孔101の中心軸と一致している。孔101の中心軸は、孔101の深さ方向に延伸する軸である。
【0034】
本実施形態では、回転軸ARが第1の側面31上に位置している。このことを別の表現で表せば、基準断面の外形を成す略二等辺三角形において、最も長い辺(第1の側面31の短辺)が孔101の孔径を示す仮想的な直線上に位置している。つまり、本実施形態では、基準断面の外形が略直角二等辺三角形になっている。ただし、基準断面の外形は略二等辺三角形でなくてもよく、例えば略正三角形でもよい。
【0035】
なお、本体部3は、当該本体部3の2つの側面が回転軸ARを挟み込むような外形になっているのが好ましい。本実施形態では、本体部3は、回転軸ARが第1の側面31上に位置するものの、第2の側面32と第3の側面33とで回転軸ARを挟み込むような外形になっていると言える。本体部3をこのような外形とすることにより、3つの側端部が内壁面102上を確実に摺動することから、本体部3が孔101の内部で安定的に回転する。
【0036】
また、本実施形態では、測定機器1が孔101に収容された状態において、本体部3における端部領域311側の底面が孔101の底部に当接し、かつ、本体部3の他方の底面が工具ホルダ100の表面と略面一になっている。つまり、孔101の深さと本体部3の高さとが略同一になっている。
【0037】
また、本実施形態では、測定機器1が孔101に収容された状態において、第1の側面31と内壁面102との間の空間4に接着剤5が充填されており、ひずみゲージ2が接着剤5に埋まっている。具体的には、空間4の全領域に亘って接着剤5が充填されており、ひずみゲージ2の全部が接着剤5に埋まった状態になっている。これにより、測定機器1が内壁面102に接着固定される。
【0038】
このような接着剤5の充填は、工具ホルダ100に対するひずみゲージ2の向きが、測定精度の面において好ましい向きに定まった後に行われる。測定精度の面において好ましいひずみゲージ2の向きは、測定機器1を孔101に収容した時点で定まる場合も有れば、測定機器1を孔101に収容した後、回転軸ARを中心に測定機器1を回転させることで定まる場合も有る。
【0039】
なお、測定機器1の内壁面102に対する固定態様は、本実施形態の例に限定されない。例えば、空間4の一部の領域にだけ接着剤5を充填してもよい。この例の場合、ひずみゲージ2の第1の側面31に対する取り付け位置によってはひずみゲージ2の一部または全部が接着剤5から露出するが、露出しても問題は無い。また例えば、接着剤5を空間4に充填するのではなく、第1の側端部34、第2の側端部35および第3の側端部36の少なくとも1つの表面に接着剤5を塗布して、内壁面102に接着固定させてもよい。あるいは、本体部3に対して、空間4に配置可能であり、かつ、本体部3を内壁面102に固定可能な治具を取り付け、測定機器1およびこの治具を孔101に収容することで、測定機器1を内壁面102に固定してもよい。つまり、測定機器1は、孔101に収容された状態において、何らかの方法で内壁面102に固定されていればよい。
【0040】
さらに、本実施形態では、測定機器1が孔101に収容された状態において、ひずみゲージ2が内壁面102と離間している。ひずみゲージ2の一部が内壁面102と接触してもよいが、測定精度の観点からは、ひずみゲージ2の全部が内壁面102と離間しているのが好ましい。
【0041】
〔4.変形例〕
図4を参照して、本発明の一実施形態に係る測定機器1の変形例について説明する。なお、図の簡略化の観点から、図4では、ひずみゲージ2の平面視における外形を矩形状で図示している。
【0042】
まず、本発明の第1の変形例としては、図4の符号401に示すような外形の本体部3-1を備えた測定機器1-1が挙げられる。本体部3-1は、外形が略四角柱形状となっており、4つの側端部すべての表面がR面となっている。また、本体部3-1は、基準断面が略正方形状になっているが、例えば略長方形状になっていてもよいし、略台形状になっていてもよい。
【0043】
次に、本発明の第2の変形例としては、図4の符号402に示すような外形の本体部3-2を備えた測定機器1-2が挙げられる。本体部3-2は、外形が三角柱形状となっており、3つの側端部すべてが側稜となっている。具体的には、本体部3-2において、平面形状の側面における長手側の辺と、他の平面形状の側面における長手側の辺と、が重なり合って1つの側稜を構成している。そして、測定機器1-2が孔101に収容された状態において、これら3つの側稜が内壁面102と接触する。
【0044】
ここで、本明細書における「側稜」は、完全な側稜を指す概念ではない。本体部3-2の側端部が実際には微小な幅のある細長い長方形状の平面であったとしても、当業者が本体部3-2を把持して視認した場合に側端部が側稜に見えるレベルの細長さであれば、本明細書における「側稜」に該当する。
【0045】
次に、本発明の第3の変形例としては、図4の符号403に示すような外形の本体部3-3を備えた測定機器1-3が挙げられる。本体部3-3は、外形が細長い矩形の薄板形状になっており、2つの側端部の各端面が平面となっている。また、本体部3は、基準断面における本体部3-3の幅方向に延伸する中心線(不図示)が、孔101の孔径を示す仮想的な直線上に位置している。そして、測定機器1-3が孔101に収容された状態において、平面形状の側面における長手側の両辺と、他の平面形状の側面における長手側の両辺と、が内壁面102と接触する。これらの両辺は、2つの側端部の各端面の外形を構成する。
【0046】
次に、本発明の第4の変形例としては、図4の符号404に示すような外形の本体部3-4を備えた測定機器1-4が挙げられる。本体部3-4は、外形が細長い矩形の薄板形状である第1の本体部分3-4-1と、同じく外形が細長い矩形の薄板形状である第2の本体部分3-4-2と、が直交するように、これら2つの本体部分が接続されて構成されている。第1の本体部分3-4-1の幅は、孔101の孔径の略1/2の長さになっており、第2の本体部分3-4-2の幅は、孔101の孔径と略同一の長さになっている。第1の本体部分3-4-1の高さは、第2の本体部分3-4-2の高さと同一になっている。
【0047】
本体部3-4は、基準断面がT字形状になっており、3つの側端部の各端面が平面となっている。また、本体部3-4は、基準断面中の第1の本体部分3-4-1に対応する断面領域について、第1の本体部分3-4-1の幅方向に延伸する中心線(不図示)が、孔101の孔径を示す仮想的な直線上に位置している。さらに、本体部3-4は、基準断面中の第2の本体部分3-4-2に対応する断面領域について、第2の本体部分3-4-2の幅方向に延伸する中心線(不図示)が、孔101の孔径を示す仮想的な直線上に位置している。3つの側端部の内壁面102への接触態様については、測定機器1-3と同様である。
【0048】
〔5.まとめ〕
本発明の態様1に係る測定機器は、ひずみゲージと、平面形状の側面を1つ以上有し、前記平面形状の側面のいずれか1つ以上に前記ひずみゲージが取り付けられた本体部と、を備え、前記本体部は、前記ひずみゲージの測定対象に形成された円柱形状の孔に収容された状態において、前記平面形状の側面の長手側の辺を含む2つ以上の側端部が前記孔を形成する前記測定対象の内壁面と接触する。
【0049】
前記構成によれば、本体部が円柱形状の孔に収容された状態において、2つ以上の側端部が測定対象の内壁面と接触する。これにより、孔の中心軸を中心に本体部を回転させた場合、2つ以上の側端部が内壁面上を摺動する。よって、ひずみゲージの測定対象に対する向きを容易に調整でき、あるいは、測定方向が予め決まっている場合にひずみゲージの向きを測定方向に容易に合わせることができる。また、測定対象のひずみに起因して内壁面に反り等が生じた場合、本体部もこの反り等に追従して変形する。これにより、ひずみゲージが、本体部を介して測定対象のひずみを精度高く測定できる。
【0050】
本発明の態様2に係る測定機器は、前記態様1において、前記本体部の外形が略四角柱形状であってもよい。本体部は様々な外形形状を採用することが可能であるが、前記構成のような略四角形状を採用することにより、ひずみゲージの向き調整の容易さと、ひずみゲージの測定精度とのバランスが良好な測定機器を実現できる。
【0051】
本発明の態様3に係る測定機器は、前記態様1において、前記本体部の外形が略三角柱形状であってもよい。本体部は様々な外形形状を採用することが可能であるが、前記構成のような略三角形状を採用することにより、ひずみゲージの向き調整が容易な測定機器を実現できる。
【0052】
本発明の態様4に係る測定機器は、前記態様1から3のいずれかにおいて、前記ひずみゲージは、前記本体部が前記孔に収容された状態において、前記内壁面と離間していてもよい。ひずみゲージが内壁面と接触する場合、測定対象のひずみに起因する内壁面の反り等によってひずみゲージに圧力が加わり、この圧力負荷が測定誤差を招く。その点、前記構成によれば、ひずみゲージが内壁面と離間しているため圧力負荷による測定誤差が生じない。これにより、ひずみゲージが内壁面と接触する場合に比べて、ひずみゲージの測定精度が向上する。
【0053】
本発明の態様5に係る測定機器は、前記態様1から4のいずれかにおいて、前記本体部は、前記孔に収容された状態において前記内壁面に固定されていてもよい。前記構成によれば、本体部は、内壁面に固定されていない場合に比べて内壁面に生じた反り等に追従し易くなる。これにより、本体部が内壁面に固定されていない場合に比べて、ひずみゲージの測定精度が向上する。
【0054】
本発明の態様6に係る測定機器は、前記態様1から4において、前記本体部が前記孔に収容された状態において、前記ひずみゲージが取り付けられた前記平面形状の側面と前記内壁面との間の空間に接着剤が充填されており、前記ひずみゲージが前記接着剤に埋まっていてもよい。
【0055】
前記構成によれば、本体部が円柱形状の孔に収容された状態において、測定機器が測定対象に接着固定される。これにより、測定対象のひずみに起因して内壁面に反り等が生じた場合、本体部および接着剤もこの反り等に追従して変形する。これにより、ひずみゲージが、本体部および接着剤を介して測定対象のひずみを精度高く測定できる。
【0056】
本発明の態様7に係る工具ホルダは、測定機器を備えた、工具を保持する工具ホルダであって、前記測定機器は、前記工具ホルダのひずみを測定するひずみゲージと、平面形状の側面を1つ以上有し、前記平面形状の側面のいずれか1つ以上に前記ひずみゲージが取り付けられた本体部と、を備え、前記本体部は、前記工具ホルダに形成された円柱形状の孔に収容された状態において、前記平面形状の側面の長手側の辺を含む2つ以上の側端部が前記孔を形成する前記工具ホルダの内壁面と接触する。前記構成によれば、ひずみゲージの工具ホルダに対する向きを容易に調整できるとともに、ひずみゲージが本体部を介して工具ホルダのひずみを精度高く測定できる。
【0057】
本発明の態様8に係る工具ホルダは、前記態様7において、前記本体部が前記孔に収容された状態において、前記ひずみゲージが取り付けられた前記平面形状の側面と前記内壁面との間の空間に接着剤が充填されており、前記ひずみゲージが前記接着剤に埋まっていてもよい。前記構成によれば、工具ホルダに備えられた測定機器のひずみゲージが、本体部および接着剤を介して測定対象のひずみを精度高く測定できる。
【0058】
〔6.付記事項〕
本発明は前述の実施形態および変形例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、前述の実施形態および変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0059】
〔7.実施例〕
図5および図6を参照して、本発明の一実施例について説明する。本発明者らは、図5に示す本発明の第1の実施例に係る測定機器1-5、本発明の第2の実施例に係る測定機器1-6および本発明の比較例に係る測定機器CEのそれぞれを試験対象として以下のような試験を行い、試験結果を分析・評価した。
【0060】
<試験対象の構成>
第1の実施例として、本体部に第1のひずみゲージ21が1つのみ接着固定された構成の測定機器1-5を用いた。具体的には、測定機器1-5の本体部としてアクリル製かつ中実の三角柱形状のものを用いた。また、測定機器1-5の本体部に対する第1のひずみゲージ21の配置位置を、本体部3に対する第1のひずみゲージ21の配置位置と同一にした。次に、第2の実施例として、本体部にひずみゲージ2が1つのみ接着固定された構成の測定機器1-6を用いた。具体的には、測定機器1-6の本体部として、測定機器1-5の本体部と同様にアクリル製かつ中実の三角柱形状のものを用いた。また、測定機器1-6の本体部に対するひずみゲージ2の配置位置を、本体部3に対するひずみゲージ2の配置位置と同一にした。次に、比較例として、市販の一軸ひずみゲージ(株式会社共和電業製の汎用箔ひずみゲージ、型番:KFGS-1-120-C1-11 L15C3R)を測定機器CEとした。
【0061】
測定機器1-5の第1のひずみゲージ21として、前述の市販の一軸ひずみゲージを用いた。また、測定機器1-6のひずみゲージ2として、株式会社共和電業製の汎用箔ひずみゲージ(2軸重ね配置、型番:KFGS-1-120-D16-11 L30C3S)を用いた。また、測定機器1-5および1-6の各本体部は、高さが60mm、基準断面の外形が二等辺三角形(底辺が4mm、高さが2mm)であった。
【0062】
<試験方法>
まず、アクリル製の板材を加工して、図5に示すような平面視で矩形のアクリル板40を作製した。アクリル板40を作製する際、アクリル板40の短手側の長さを100mmとした。
【0063】
次に、アクリル板40に、図5の符号502に示すような3つの孔41を長手方向に略等間隔で形成した。具体的には、アクリル板40における長手側の側面から当該アクリル板40の内部に向けて、深さが50mmの孔41を形成した。また、3つの孔41の各中心軸が、アクリル板40を短手側の側方から見た場合に、アクリル板40における短手方向に延伸する中心軸と略一致するようにした。さらに、アクリル板40の長手側の両端部のうちの、3つの孔41が形成されていない側の端部に、アクリル板40の厚さ方向に貫通する貫通孔42を形成した。なお、説明の便宜上、図5の符号502では測定機器1-5および1-6の各本体部が孔41の内壁面から離間しているが、実際には内壁面と接触していた。
【0064】
次に、3つの孔41に測定機器1-5、1-6およびCE(以下、「3種類の測定機器」と表記)を収容した。具体的には、3つの孔41に接着剤5を充填した上で、測定機器1-5の第1のひずみゲージ21、測定機器1-6のひずみゲージ2、および測定機器CEのひずみゲージのそれぞれが上方を向くように、3種類の測定機器を3つの孔41に収容した。そして、測定機器1-5の本体部における第1のひずみゲージ21が接着固定されている側面と、孔41の内壁面と、を接着剤5で固定した。同様に、測定機器1-6の本体部におけるひずみゲージ2が接着固定されている側面と、孔41の内壁面と、を接着剤5で固定した。測定機器CEについては、ひずみゲージと孔41の内壁面とを接着剤5で固定した。
【0065】
このようにして3種類の測定機器を3つの孔41のそれぞれに接着固定すると、測定機器1-5および1-6の各本体部、ならびに測定機器CEが、アクリル板40における長手側の側面から10mm突出した状態となった。ここで、「アクリル板40における長手側の側面」とは、具体的には、アクリル板40における長手側の両側面のうちの、3つの孔41の開口部が形成されている側の側面を指す。
【0066】
次に、図5の符号401に示す実験台50に各種の装置・工具等を設置した。具体的には、アクリル板40における3種類の測定機器が収容されている側の端部を、2つのシャコ万力60で実験台50に固定した。また、3種類の測定機器の各ゲージリードをブリッジボックス70に接続した上で、3つのブリッジボックス70を実験台50に載置した。また、3つのブリッジボックス70のそれぞれを動ひずみアンプ80に接続した上で、3つの動ひずみアンプ80を実験台50に載置した。ブリッジボックス70として株式会社共和電業製の市販品(型番:DBT-A-1)を用い、動ひずみアンプ80として株式会社エー・アンド・デイ製の市販品(型番:AS2403、DCブリッジ方式 広帯域タイプ)を用いた。
【0067】
次に、3つの動ひずみアンプ80を不図示のアナログ信号入力ターミナル(contec社製、型番:AIO-160802GY-USB)に接続した後、(i)室温下でアクリル板40の貫通孔42に不図示の重り(約49N)を所定の期間吊るしてアクリル板40にひずみを発生させた。また、(ii)市販の金型洗浄剤スプレーを用いてアクリル板40を冷却した後、所定の期間放置した。そして、(i)および(ii)の両方の場合において電圧値の変化を測定し、(i)の場合では、アナログ信号入力ターミナルの表示部に3種類の測定機器の各測定結果を表示させて、本実施例の試験結果を分析・評価した。一方、(ii)の場合では、前述の表示部に測定機器1-6およびCEの各測定結果を表示させて、本実施例の試験結果を分析・評価した。アナログ信号入力ターミナル用のソフトウェアとしては、横河計測株式会社製のデータ収録ソフトウェア(製品名:X-VIEWER(DITECT))を用いた。
【0068】
<試験結果>
図6の符号601に示すように、(i)の場合、時間が0msから約3000msまでの期間では、3種類の測定機器のいずれも電圧値が約0Vとなった。同様に、時間が約13000msから約18000msまでの期間においても、3種類の測定機器のいずれも電圧値が約0Vとなった。つまり、これらの期間では重りを吊り下げていないため、3種類の測定機器のいずれもひずみを略測定できなかった。
【0069】
時間が約3000msから約13000msまでの期間では、重りを吊り下げた。その結果、測定機器1-5の電圧値が平均で約0.12V、測定機器1-6の電圧値が平均で約0.175Vとなり、これら2種類の測定機器ともにひずみを精度高く測定できた。中でも、測定機器1-6の測定精度が良好であった。測定機器CEについては、電圧値が平均で約-0.01Vとなり、他の期間と比べても測定精度の向上が略見られなかった。
【0070】
図6の符号602に示すように、(ii)の場合、時間が0msから約4000msまでの期間では測定機器1-6およびCEのいずれも電圧値が約0Vとなり、ひずみを略測定できなかった。時間が約4000msから約5000msまでの期間では、測定機器1-6の電圧値は約0Vとなり、0msから約4000msまでの期間の電圧値から略変化しなかった。一方、測定機器CEの電圧値は約-0.03Vまで変化した。
【0071】
時間が約5000msから約18000msまでの期間では、測定機器1-6の電圧値は非常に緩やかに変化し、時間が約18000msの時点でも電圧値が約-0.02Vに留まった。一方、測定機器CEの電圧値については、約5000ms以降は測定機器1-6と同程度の緩やかさで変化し続け、時間が約18000msの時点で電圧値が約-0.05Vとなった。以上の測定結果から、測定機器1-6の方が、測定機器CEに比べて冷却による熱収縮の影響を受け難く、低温下でも良好な測定精度を維持できることが判明した。
【符号の説明】
【0072】
1、1-1、1-2、1-3、1-4、1-5、1-6 測定機器
2 ひずみゲージ
3、3-1、3-3、3-3、3-4 本体部
4 空間
5 接着剤
31 第1の側面(側面)
32 第2の側面(側面)
33 第3の側面(側面)
34 第1の側端部(側端部)
35 第2の側端部(側端部)
36 第3の側端部(側端部)
100 工具ホルダ(測定対象)
101 孔
102 内壁面
【要約】
【課題】測定対象のひずみを精度高く測定する。
【解決手段】測定機器(1)は、ひずみゲージ(2)と、第1の側面(31)にひずみゲージ(2)が取り付けられた本体部(3)と、を備え、工具ホルダ(100)の孔(101)に収容された状態において、第1の側端部(34)、第2の側端部(35)および第3の側端部(36)のそれぞれが内壁面(102)と接触する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6