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特許7424715霧化ノズル、霧化装置、噴霧装置および噴霧方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】霧化ノズル、霧化装置、噴霧装置および噴霧方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/34 20060101AFI20240123BHJP
   B05B 1/28 20060101ALI20240123BHJP
   B05B 7/06 20060101ALI20240123BHJP
   B05B 7/10 20060101ALI20240123BHJP
   B05D 1/02 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
B05B1/34 101
B05B1/28 101
B05B7/06
B05B7/10
B05D1/02 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023570072
(86)(22)【出願日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2023012096
【審査請求日】2023-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2022057932
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390026387
【氏名又は名称】武蔵エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(72)【発明者】
【氏名】生島 和正
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-239964(JP,A)
【文献】特開2017-213517(JP,A)
【文献】特開2014-200737(JP,A)
【文献】特開2006-35081(JP,A)
【文献】特開2007-319771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-17/08
B05D 1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体供給流路から供給された液体を気体供給流路から供給された気体により噴霧する霧化ノズルであって、
前記気体供給流路から供給された気体を噴出するための気体噴出路および気体噴出口を有するノズル本体部材と、
前記液体供給流路から供給された液体を噴出するための液体噴出路および液体噴出口を有し、先端部が前記気体噴出路に挿通される液体ノズル部材と、
前記気体噴出路から外方に延出され、前記気体噴出路に旋回流を生じさせるパターン調整溝と、
前記パターン調整溝と前記気体供給流路とを連通する連通流路、および、前記パターン調整溝を覆う閉塞部を有する噴霧パターン調整部材と、を備え、
前記連通流路を介して前記パターン調整溝と前記気体供給流路とを連通する第1の位置と、前記パターン調整溝を前記閉塞部で覆う第2の位置とを切り換えることにより噴霧パターンを変更することができる霧化ノズル。
【請求項2】
前記パターン調整溝および前記連通流路が複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の霧化ノズル。
【請求項3】
前記パターン調整溝が、相互に均等に配置された3つ以上のパターン調整溝からなることを特徴とする請求項2に記載の霧化ノズル。
【請求項4】
前記ノズル本体部材が、前記気体供給流路と前記気体噴出路を連通する気体流路となる内部空間を備える胴部と、前記気体噴出路および前記パターン調整溝が形成された底部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の霧化ノズル。
【請求項5】
前記噴霧パターン調整部材が、前記第1の位置と前記第2の位置を切り換えるための切換操作部材を備えることを特徴とする請求項4に記載の霧化ノズル。
【請求項6】
前記ノズル本体部材は、内底面に前記パターン調整溝が形成された底部を有し、
前記噴霧パターン調整部材が、前記ノズル本体部材の底部の内底面に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の霧化ノズル。
【請求項7】
前記ノズル本体部材は、前記気体供給流路と前記気体噴出路を連通する気体流路となる内部空間を備え、下端部に開口を有する上部ノズル本体部材と、前記パターン調整溝が形成された下部ノズル本体部材と、を備えて構成され、
さらに、前記噴霧パターン調整部材を、前記上部ノズル本体部材の下端部と前記下部ノズル本体部材とで挟んで支持する支持部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の霧化ノズル。
【請求項8】
前記噴霧パターン調整部材を回転することにより前記第1の位置と前記第2の位置を切り換えることを特徴とする請求項7に記載の霧化ノズル。
【請求項9】
前記下部ノズル本体部材が、第1の開口形状のパターン調整溝が形成された第1の下部ノズル本体部材と、第2の開口形状のパターン調整溝が形成された第2の下部ノズル本体部材と、からなり、第1および第2の下部ノズル本体部材から一方を選択して前記支持部材により前記噴霧パターン調整部材を支持することができることを特徴とする請求項7に記載の霧化ノズル。
【請求項10】
前記気体噴出路が、前記下部ノズル本体部材に設けられ、前記パターン調整溝と連通する第1気体噴出路と、前記噴霧パターン調整部材に設けられ、前記液体ノズル部材が挿通される第2気体噴出路と、から構成され、
前記下部ノズル本体部材を回転することにより前記第1の位置と前記第2の位置を切り換えることを特徴とする請求項7に記載の霧化ノズル。
【請求項11】
前記パターン調整溝の開口形状と前記連通流路の開口形状が同一であることを特徴とする請求項1に記載の霧化ノズル。
【請求項12】
前記パターン調整溝が、前記気体噴出路の中心を通り水平方向に延びる直線からオフセットされた位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の霧化ノズル。
【請求項13】
前記第1の位置から前記第2の位置までの間の位置で段階的に位置設定することで前記連通流路と前記パターン調整溝との重なりを段階的に調整できることを特徴とする請求項1に記載の霧化ノズル。
【請求項14】
前記第1の位置および前記第2の位置の切り換えを、自動で行う位置調整用駆動装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の霧化ノズル。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかに記載の霧化ノズルと、
前記液体供給流路および前記気体供給流路が設けられ、前記霧化ノズルと連結される受入部材と、
を備える霧化装置。
【請求項16】
前記液体供給流路と前記液体噴出路とを連通および遮断する開閉弁を備えることを特徴とする請求項15に記載の霧化装置。
【請求項17】
前記開閉弁が、前記液体ノズル部材内の流路の入口を開閉するロッドと、前記ロッドを進退動させるロッド駆動装置により構成されることを特徴とする請求項16に記載の霧化装置。
【請求項18】
請求項15に記載の霧化装置と、
前記霧化装置に気体を供給する気体供給源と、
前記霧化装置に噴霧する液体を供給する液体供給源と、
前記気体供給源が供給する気体を調圧して前記霧化装置に送る調圧装置と、
前記液体供給源が供給する液体に圧力を印可して前記霧化装置に送る液送装置と、
前記調圧装置および前記液送装置の動作を制御する制御装置と、を備える噴霧装置。
【請求項19】
前記液送装置が、
(A)前記気体供給源と前記液体供給源とを連通する管に設けられた調圧器および開閉弁、または、
(B)前記霧化装置と前記液体供給源とを連通する管に設けられたポンプ
により構成されることを特徴とする請求項18に記載の噴霧装置。
【請求項20】
請求項18に記載の噴霧装置を用いた噴霧方法であって、
前記パターン調整溝と前記気体供給流路とを連通して塗布を行う工程と、
前記パターン調整溝を前記閉塞部で覆った状態で塗布を行う工程と、を備える噴霧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化ノズル、霧化装置、噴霧装置および噴霧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
霧化装置の一種に、液体と気体を混合して液体を微粒化して霧状にし、対象物に吹き付けるエアスプレーが知られている。対象物に吹き付けられた液体の形状や大きさ(以下では噴霧パターンと呼ぶことがある)は、液体や気体の噴出口の形状に依存する。噴霧パターンを変えるには、液体や気体の噴出口を構成する部品を交換するのが一般的である。
一方、これとは別の手段として、特許文献1のような技術もある。特許文献1は、塗料を円環状に吐出する塗料吐出口の外側に、塗料の吐出方向に沿って空気を直線状に噴出する第1エア噴出部と、塗料の吐出方向に空気を旋回流として噴出する第2エア噴出部とを備えるエアスプレーノズルにおいて、第1エア噴出部からの空気噴出量と第2エア噴出部からの空気噴出量を制御することで、塗装パターンの大きさを可変させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-149048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的な霧化装置では、噴霧パターンを変更するには噴出口の部品交換が必要である。特許文献1では、第1エア噴出部および第2エア噴出部という2系統の気体流路を設けることにより、部品交換を行わずに噴霧パターンを変更することを可能としている。しかしながら、2系統の気体流路のそれぞれに供給管が接続しているため、ノズル自体の構造が複雑となり、接続する機器等も多くなってしまうという課題がある。
【0005】
そこで、本発明では、簡易な機器構成で噴霧パターンを変更できる霧化ノズル、霧化装置、噴霧装置および噴霧方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の霧化ノズルは、液体供給流路から供給された液体を気体供給流路から供給された気体により噴霧する霧化ノズルであって、前記気体供給流路から供給された気体を噴出するための気体噴出路および気体噴出口を有するノズル本体部材と、前記液体供給流路から供給された液体を噴出するための液体噴出路および液体噴出口を有し、先端部が前記気体噴出路に挿通される液体ノズル部材と、前記気体噴出路から外方に延出され、前記気体噴出路に旋回流を生じさせるパターン調整溝と、前記パターン調整溝と前記気体供給流路とを連通する連通流路、および、前記パターン調整溝を覆う閉塞部を有する噴霧パターン調整部材と、を備え、前記連通流路を介して前記パターン調整溝と前記気体供給流路とを連通する第1の位置と、前記パターン調整溝を前記閉塞部で覆う第2の位置とを切り換えることにより、噴霧パターンを変更することができる。
上記霧化ノズルにおいて、前記パターン調整溝および前記連通流路が複数設けられていることを特徴としてもよい。
上記霧化ノズルにおいて、前記パターン調整溝が、相互に均等に配置された3つ以上のパターン調整溝からなることを特徴としてもよい。
上記霧化ノズルにおいて、前記ノズル本体部材が、前記気体供給流路と前記気体噴出路を連通する気体流路となる内部空間を備える胴部と、前記気体噴出路および前記パターン調整溝が形成された底部と、を備えることを特徴としてもよい。
上記霧化ノズルにおいて、前記噴霧パターン調整部材が、前記第1の位置と前記第2の位置を切り換えるための切換操作部材を備えることを特徴としてもよい。
上記霧化ノズルにおいて、前記ノズル本体部材は、内底面に前記パターン調整溝が形成された底部を有し、前記噴霧パターン調整部材が、前記ノズル本体部材の底部の内底面に配置されていることを特徴としてもよい。
上記霧化ノズルにおいて、前記ノズル本体部材は、前記気体供給流路と前記気体噴出路を連通する気体流路となる内部空間を備え、下端部に開口を有する上部ノズル本体部材と、前記パターン調整溝が形成された下部ノズル本体部材と、を備えて構成され、さらに、前記噴霧パターン調整部材を、前記上部ノズル本体部材の下端部と前記下部ノズル本体部材とで挟んで支持する支持部材を備えることを特徴としてもよい。
上記霧化ノズルにおいて、前記噴霧パターン調整部材を回転することにより前記第1の位置と前記第2の位置を切り換えることを特徴としてもよい。
上記霧化ノズルにおいて、前記下部ノズル本体部材が、第1の開口形状のパターン調整溝が形成された第1の下部ノズル本体部材と、第2の開口形状のパターン調整溝が形成された第2の下部ノズル本体部材と、からなり、第1および第2の下部ノズル本体部材から一方を選択して前記支持部材により前記噴霧パターン調整部材を支持することができることを特徴としてもよい。
上記霧化ノズルにおいて、前記気体噴出路が、前記下部ノズル本体部材に設けられ、前記パターン調整溝と連通する第1気体噴出路と、前記噴霧パターン調整部材に設けられ、前記液体ノズル部材が挿通される第2気体噴出路と、から構成され、前記下部ノズル本体部材を回転することにより前記第1の位置と前記第2の位置を切り換えることを特徴としてもよい。
上記霧化ノズルにおいて、前記パターン調整溝の開口形状と前記連通流路の開口形状が同一であることを特徴としてもよい。
上記霧化ノズルにおいて、前記パターン調整溝が、前記気体噴出路の中心を通り水平方向に延びる直線からオフセットされた位置に設けられていることを特徴としてもよい。
上記霧化ノズルにおいて、前記第1の位置から前記第2の位置までの間の位置で段階的に位置設定することで前記連通流路と前記パターン調整溝との重なりを段階的に調整できることを特徴としてもよい。
上記霧化ノズルにおいて、前記第1の位置および前記第2の位置の切り換えを、自動で行う位置調整用駆動装置を備えることを特徴としてもよい。
【0007】
本発明の霧化装置は、上記霧化ノズルと、前記液体供給流路および前記気体供給流路が設けられ、前記霧化ノズルと連結される受入部材と、を備える。
上記霧化装置において、前記液体供給流路と前記液体噴出路とを連通および遮断する開閉弁を備えることを特徴としてもよい。
上記霧化装置において、前記開閉弁が、前記液体ノズル部材内の流路の入口を開閉するロッドと、前記ロッドを進退動させるロッド駆動装置により構成されることを特徴としてもよい。
【0008】
本発明の噴霧装置は、前記霧化装置と、前記霧化装置に気体を供給する気体供給源と、前記霧化装置に噴霧する液体を供給する液体供給源と、前記気体供給源が供給する気体を調圧して前記霧化装置に送る調圧装置と、前記液体供給源が供給する液体に圧力を印可して前記霧化装置に送る液送装置と、前記調圧装置および前記液送装置の動作を制御する制御装置と、を備える。
上記噴霧装置において、前記液送装置が、(A)前記気体供給源と前記液体供給源とを連通する管に設けられた調圧器および開閉弁、または、(B)前記霧化装置と前記液体供給源とを連通する管に設けられたポンプにより構成されることを特徴としてもよい。
【0009】
本発明の噴霧方法は、前記噴霧装置を用いた噴霧方法であって、前記パターン調整溝と前記気体供給流路とを連通して塗布を行う工程と、前記パターン調整溝を前記閉塞部で覆った状態で塗布を行う工程と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な機器構成で噴霧パターンを変更できる霧化ノズル、霧化装置、噴霧装置および噴霧方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る霧化装置の断面図である。
図2】第1実施形態に係る霧化装置のノズル下端部分の要部断面図である。
図3】(a)第1実施形態に係る噴霧パターン調整部材の要部平面図(A矢視図)、(b)ノズル本体部材の底部の内底面を示す要部平面図(A矢視図)である。
図4】第1実施形態に係る噴霧パターン調整部材による噴霧パターンの調整操作の説明図である。ここで、(a)は連通溝とパターン調整溝とが重なった状態、(b)は閉塞部とパターン調整溝とが重なった状態である。
図5図4に矢印を付した、連通溝の作用の説明図である。ここで、(a)は連通溝とパターン調整溝とが重なった状態、(b)は閉塞部とパターン調整溝とが重なった状態である。
図6】(a)は噴霧パターン調整部材が第1の位置にある場合の噴霧パターン、(b)は噴霧パターン調整部材が第2の位置にある場合の噴霧パターンである。
図7】第1実施形態に係る噴霧装置のブロック図である。
図8】第2実施形態に係る霧化装置の断面図である。
図9】(a)第2実施形態に係る噴霧パターン調整部材の底部の平面図(B矢視図)、(b)下部ノズル本体部材の平面図(B矢視図)である。
図10】第2実施形態に係る噴霧装置のブロック図である。
図11】液体ノズル部材の液体噴出部の下端の位置を調整可能に構成した霧化装置のノズル下端部分の要部断面図である。ここで、(a)は液体ノズル部材の液体噴出部を第1後退位置とした場合、(b)は液体ノズル部材の液体噴出部を第2後退位置とした場合である。
図12】気体噴出路の変形例を説明する霧化装置のノズル下端部分の要部断面図である。ここで、(a)は気体噴出路の全長にわたって絞りを設けた場合、(b)は気体噴出路の上側に絞りを設けた場合、(c)は気体噴出路の下側に絞りを設けた場合である。
図13】パターン調整溝の変形例を説明する霧化装置のノズル下端部分の要部断面図である。ここで、(a)は気体噴出路に向かって下がる斜面からなる底面を有するパターン調整溝を設けた場合、(b)は気体噴出路に向かって上がる斜面からなる底面を有するパターン調整溝を設けた場合である。
図14】パターン調整溝の他の変形例を説明する平面図である。ここで、(a)は端部に屈曲部を設けた場合、(b)は全体を曲線状にした場合、(c)は接続位置を中心寄りとした場合、(d)は接続位置を外周寄りとした場合である。
図15】第3実施形態に係る霧化装置の断面図である。
図16】(a)第3実施形態に係る噴霧パターン調整部材の平面図(C矢視図)、(b)下部ノズル本体部材の平面図(C矢視図)である。
図17】第3実施形態に係る噴霧パターン調整部材による噴霧パターン調整操作の説明図(C矢視図)である。ここで、(a)は貫通孔とパターン調整溝とが重なった状態、(b)は閉塞部とパターン調整溝とが重なった状態である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態例を説明する。
<第1実施形態>
(霧化装置10)
図1に示すように、第1実施形態の霧化装置10は、受入部材11と、霧化ノズル12と、から主に構成される。霧化装置10は、液体供給流路(110~112)と、気体供給流路(130~132)とを各1系統備えている。
【0013】
受入部材11は、液体供給流路を構成する液体供給口110と、液体供給口110と連通する第1液体流路111と、第1液体流路111と連通する第2液体流路112と、を備えている。
第2液体流路112は、液体流路部材113の内部に形成される、鉛直方向に延びる柱状の空間である。液体流路部材113は、受入部材11の中心軸14に沿って形成される中空の柱状の部材である。第2液体流路112が設けられた液体流路部材113の下端部は、液体ノズル部材の接続部121aに嵌合されている。第2液体流路112を通過した液体は、液体流路部材113の下端に設けられた開口113aから液体ノズル部材の凹部121bに放出される。
【0014】
受入部材11は、気体供給流路を構成する気体供給口130と、気体供給口130と連通する第1気体流路131と、第1気体流路131と連通する第2気体流路132と、を備えている。第2気体流路132は、霧化ノズル12に形成される第3気体流路133と連通している。受入部材の下方に設けられた取付部11aは、液体流路部材113を囲むように同心円状に形成された筒状の部位であり、液体流路部材113との間の空間が第2気体流路132となる。
気体供給口130に供給された気体は、第1ないし第3気体流路(131~133)および気体噴出路142を通過して気体噴出口143から噴出される。
【0015】
霧化ノズル12は、液体ノズル部材121と、液体ノズル部材121を囲むように形成されるノズル本体部材122とから構成される。
液体ノズル部材121は、上方に開口する凹部121bが形成された接続部121aと、下端に液体噴出口124を有するニードル状の液体噴出部121cとを備えている。接続部121aは下部に先細り部を有する円柱状であり、先細り部において接続部121aよりも小径の円柱状の液体噴出部121cと連結されている。液体ノズル部材121の内部には、中心軸14と同心の液体噴出路123が形成されている。液体噴出路123は、液体ノズル部材121に設けられた貫通孔により構成され、入口は凹部121bの内底面に設けられており、出口は液体ノズル部材121に設けられた液体噴出口124である。
【0016】
ノズル本体部材122は有底円筒状の部材であり、上端付近には、半径方向外側へ突出する環状の凸部である受入部材接続部122aが形成されている。本実施形態のノズル本体部材122は、受入部材接続部122aを受入部材の取付部11aの下端部に当接させた状態で、連結部材13により受入部材11と連結される。連結部材13を設けずに、ノズル本体部材122と受入部材11を螺合、嵌合などすることにより直接連結する構成を採用してもよい。ノズル本体部材122の胴部122b内は空洞となっており、ノズル本体部材122内に配置された液体ノズル部材121との間の空間が第3気体流路133を構成する。第3気体流路133は、ノズル本体部材の底部122cに設けられた気体噴出口143と連通孔(中央連通孔)141および気体噴出路142を介して外部と連通している。
【0017】
図2に示すように、ノズル本体部材の底部122cの内底面には、連通孔141と連通溝(連通流路)151を有する噴霧パターン調整部材150が配置されている。ノズル本体部材の底部122cの内底面には、連通孔141と連通する気体噴出路142が形成されており、液体流路部材の液体噴出部121cが挿通されている。気体噴出路142は、第3気体流路133の最小断面積よりも縮径された流路であり、気体噴出口143を介して外部と連通している。
気体噴出路142は、ノズル本体部材の底部122cを貫通する円柱状の孔である。本実施形態では、気体噴出路142の形状を平面視で円形としているが楕円形であってもよい。気体噴出路142の内径は、液体流路部材の液体噴出部121cの外径よりも大きく形成されており、液体噴出部121cの周囲を気体が流通するようになっている。気体噴出路142の下端部は、液体噴出部121cの外周との間に円環状の気体噴出口143を構成する。気体噴出路142を通過した気体が気体噴出口143から噴出されることにより、通常のエアスプレーと同様に、液体噴出路123を通って液体噴出口124から排出された液体が霧化される。
【0018】
図3(a)は、噴霧パターン調整部材150の要部平面図(A矢視図)である。同図に示すように、噴霧パターン調整部材150は、連通孔141と、4つの連通溝151とが形成された円盤状の部材である。連通孔141は、気体噴出路142と同一の直径を有する円形の貫通孔である。4つの連通溝151は、ノズル本体部材の底部122cの内底面に形成された4つのパターン調整溝152と同一の開口形状となっている。各連通溝151は、連通孔141から放射状に延びるように配置された細長い貫通孔である。より詳細には、連通溝151は、中心に設けられた連通孔141から外に向かって、12時方向、3時方向、6時方向、9時方向へ延びる4つの貫通孔である溝により構成される。連通溝151は、パターン調整溝152と第3気体流路133とを連通する連通流路の役割を果たすことができれば任意の形状とすることができ、また連通孔141と連通していなくてもよい。
【0019】
噴霧パターン調整部材150は、連通溝151の位置を装置外から調整するための切換操作部材154(図1参照。図3(a)では図示省略)を備えている。本実施形態では、ノズル本体部材122の側面に長円状の貫通孔を設け、貫通孔に挿通した切換操作部材154を噴霧パターン調整部材150に連結する形態としているが、連通溝151の位置を調整可能であれば、例示の形態に限定されるものではない。切換操作部材154により噴霧パターン調整部材150を回転し、連通溝151の位置をパターン調整溝152の位置とずらすことにより、噴霧パターンを変化させることができる。連通溝151の位置をパターン調整溝152の位置とずらすことにより、噴霧パターン調整部材150の底面の連通溝151が形成されていない部分(各連通溝151の間の平面部分)がパターン調整溝152を塞ぐ閉塞部153を構成する。本実施形態では、切換操作部材154を手動操作する態様を開示しているが、アクチュエータ等の位置調整用駆動装置に接続することより自動で噴霧パターン調整部材150の位置を切り換え可能に構成してもよい。この位置調整用駆動装置としては、電動モータ、エアシリンダ、圧電素子、電磁石等を用いることができる。噴霧パターン調整部材150の位置を自動で切り換えを可能とすることで、噴霧作業の途中で噴霧パターンを容易に変えることが可能となる。
【0020】
図3(b)は、ノズル本体部材の底部122cの内底面を示す要部平面図(A矢視図)である。同図に示すように、ノズル本体部材の底部122cの内底面には、気体噴出路142と、4つのパターン調整溝152とが形成されている。
各パターン調整溝152は、ノズル本体部材の底部122cの内底面において、気体噴出路142から放射状に延びるように配置される。より詳細には、パターン調整溝152は、中心に設けられた気体噴出路142から外に向かって、12時方向、3時方向、6時方向、9時方向へ延びる4つの溝により構成される。各パターン調整溝152の長手方向の中心線155は、気体噴出路142が形成する円の中心から半径方向外側へオフセットした位置となっている。換言すれば、各パターン調整溝152は、気体噴出路142が形成する円の中心に対して点対称に配置されているが、気体噴出路142が形成する円の中心を通る直線に対して線対称とはならない位置関係にある。本実施形態では、各パターン調整溝152は、気体噴出路142が形成する円の接線に近接して沿う方向に延びている。各パターン調整溝152を、気体噴出路142(または連通孔141)の中心を通り、直交する2本の直線からそれぞれオフセットして配置させることにより、旋回流を生じさせることが可能となる。パターン調整溝152を、パターン調整溝152と実質的に平行で連通孔141の中心を通る直線からオフセットして配置することの技術的意義の詳細は、図14(c)および(d)を参酌しながら後述する。
パターン調整溝152の一端は、気体噴出路142に連通している。図3(a)および(b)を参照すると分かるように、噴霧パターン調整部材150が備える連通孔141および4つの連通溝151が構成する開口の形状は、ノズル本体部材の底部122cの内底面に形成された気体噴出路142および4つのパターン調整溝152が構成する開口の形状と同一となっている。
【0021】
本実施形態では、パターン調整溝152の数を4つとしたが、これに限定されず、例えば2つでもよいし、3つ以下でもよいし、5つ以上でもよい。また、複数のパターン調整溝152は、気体噴出路142を中心として、相互に等間隔となるように配置されることが好ましい。連通溝151は、パターン調整溝152と同じ開口形状のものを同数設ける。
パターン調整溝152の形状は、液体の物性や所望とする噴霧パターンなどに応じて適宜変えることができるが、例えば、本実施形態では、パターン調整溝152の幅は気体噴出路142の半径より小さく、その長さは溝の幅と同程度としており、その深さは溝の幅の半分程度としている。
【0022】
(噴霧パターンの調整)
前述の噴霧パターン調整部材150とノズル本体部材のパターン調整溝152との位置関係により、霧化装置10は、連通溝151とパターン調整溝152が重なる第1の位置(図4(a))と、閉塞部153とパターン調整溝152が重なる第2の位置(図4(b))を切り換えることができる。第1の位置および第2の位置の切り換えは、噴霧パターン調整部材150を霧化装置10の中心軸14回りに回転させることにより行う。本実施形態では、4つのパターン調整溝152を備えるので、噴霧パターン調整部材150を45度回転させて第1および第2の位置を切り換えることで、噴霧パターンの切り換えができる。本実施形態とは異なる数のパターン調整溝152を設けた場合には、噴霧パターンを切り換えるために必要な噴霧パターン調整部材150の回転角度は変わる。後述のように、第1および第2の位置を切り換えることで、気体噴出路142における気体の流れや気体噴出口143から噴出する気体の流れの状態を変化させることができ、それにより、噴霧状態を変化させることができる。
【0023】
噴霧パターン調整部材150の位置を切り換えることによる作用の違いについて説明する。なお、図5においては、切換操作部材154を図示省略している。また、図5における矢印の太さの違いは、流体の相対的な流速の大小を表している。
(1)第1の位置(パターン調整溝152と連通溝151とが重なる状態)
流体の流れは狭いところで加速する。気体噴出路142へと流れ込もうとする気体のうち、連通溝151に流れ込んだ気体は、連通溝151が第3気体流路133と比べ狭くなっているため加速する。
図5(a)に示すように、連通溝151とパターン調整溝152が重なる第1の位置に噴霧パターン調整部材150が位置する場合、連通溝151に流れ込んだ気体は加速され、さらにパターン調整溝152があることで加速が促進される。これにより、連通溝151が設けられていない位置(閉塞部153の位置)から気体噴出路142へ流れ込む流れ(気体噴出路142の中心方向への流れ)161よりも、連通溝151およびパターン調整溝152から気体噴出路142へ流れ込む流れ(気体噴出路142の外縁の接線方向への流れ)162の方が流れは速くなる。つまり、気体噴出路142へ流れ込む気体の流れを中心軸14まわりに旋回させるような速度成分が強くなり、気体噴出路142および気体噴出口143を通過する気体の流れは、旋回流となる。気体噴出路142で旋回流が生じると、図6(a)に示すように、微粒化して霧状となった液体163は、噴出方向に向かって広がるように噴出され、噴霧パターン164の塗布面積は大きくなる。
【0024】
(2)第2の位置(パターン調整溝152と閉塞部153とが重なる状態)
第2の位置においても、連通溝151に流れ込んだ気体は、連通溝151が第3気体流路133と比べ狭くなっているため加速する。しかし、図5(b)に示すように、第2の位置ではパターン調整溝152が閉塞部153により塞がれているので、連通溝151に流れ込んだ気体は、第1の位置の場合のようにパターン調整溝152により加速が促進されることはない。このため、噴霧パターン調整部材150が第2の位置に位置する場合、閉塞部153から気体噴出路142へ流れ込む流れ(気体噴出路142の中心方向への流れ)165と、連通溝151から気体噴出路142へ流れ込む流れ(気体噴出路142の外縁の接線方向への流れ)166との速度の差は大きくならない。つまり、気体噴出路142へ流れ込む気体の流れを中心軸14に沿って直進させるような速度成分が強くなり、気体噴出路142および気体噴出口143を通過する気体の流れは、直進流となる。気体噴出路142内の流れが直進流になると、図6(b)に示すように、微粒化して霧状となった液体167は、噴出方向に向かってほぼ真っ直ぐに噴出され、噴霧パターン168の塗布面積は小さくなる。
一例を挙げると、出願人による実験によれば、第2の位置による噴霧パターンの幅が10mmであるとき、第1の位置に切り換えた場合、噴霧パターンの幅が30mmまで広がることが確認できた。
【0025】
(3)第1の位置から第2の位置までの間で段階的に位置設定
噴霧パターン調整部材150の設定位置を上述の第1の位置および第2の位置だけではなく、第1の位置から第2の位置までの間の位置を段階的に設定できるように構成してもよい。例えば、噴霧パターン調整部材150の設定位置を3度単位、5度単位または10度単位で回転させるように構成してもよい。このように構成することで、噴霧パターンの幅を離散的ではなく連続的に変化させることができる。この操作を容易にするため、切換操作部材154の回転角度を視認可能とするための目盛りを設けてもよい。また、アクチュエータ等の駆動装置により切換操作部材154の回転角度を自動設定可能に構成してもよい。
【0026】
(噴霧装置101)
前述の霧化装置10を用いて、液体を微粒化して霧状にし、対象物に吹き付ける噴霧装置101について説明する。
図7に示すように、第1実施形態の噴霧装置101は、上述の霧化装置10、噴霧する液体を霧化装置10に供給する液体供給源102、液体を微粒化するための気体を霧化装置10に供給し、液体を圧送するための気体を液体供給源102に供給する気体供給源103を備えている。
霧化装置10は、液体供給源102と液体管104により接続され、気体供給源103と第1の気体管105により接続されている。第1の気体管105には、気体の圧力を調整する第1の調圧器107aと、第1の調圧器107aの下流側に設けられ、第1の気体管105の連通と遮断を行う第1の開閉弁108aとが設けられている。
【0027】
液体供給源102は、気体供給源103と第2の気体管106により接続されている。第2の気体管106には、気体の圧力を調整する第2の調圧器107bと、第2の調圧器107bの下流側に位置し、第2の気体管106の連通と遮断を行う第2の開閉弁108bとが設けられている。
第1および第2の調圧器(107a,107b)と第1および第2の開閉弁(108a,108b)の動作は、制御装置109により制御される。
図7の例では、霧化装置10への液体供給を圧縮気体による圧送で行っているが、圧縮気体に代え、液体管104の途中にポンプを設けて霧化装置10へ供給するようにしてもよい。この場合、ポンプの動作は、制御装置109により制御する。霧化装置10は、対象物に対して相対移動を可能とする相対移動装置に搭載してもよいし、グリップを付けて手持ちにしてもよい。また、噴霧パターン調整部材150の位置を自動調整する上述の位置調整用駆動装置を設ける場合には、自動位置調整のための操作手段を設け、操作手段からの入力信号に応じて制御装置109により位置調整用駆動装置を制御する。
【0028】
前述のように構成される第1実施形態の噴霧装置101は、次のように動作する。噴霧パターン調整部材150は、第1の位置にあるものとする。
噴霧を始めるには、制御装置109により、気体供給源103と霧化装置10とを連通する第1の気体管105に設けられた第1の開閉弁108aを「開」にするとともに、気体供給源103と液体供給源102とを連通する第2の気体管106に設けられた第2の開閉弁108bを「開」とする。すると、液体が霧化装置10に供給されるとともに、液体を微粒化するための気体が霧化装置10に供給される。そして、液体噴出口124から排出された液体は、その周囲に流れる気体と混合されて微粒化して霧状になり(符号163)、対象物へと吹き付けられる。噴霧を終えるには、制御装置109により、気体供給源103から霧化装置10へと接続する第1の気体管105の開閉弁108aを「閉」にするとともに、気体供給源103から液体供給源102へと接続する第2の気体管106の開閉弁108bを「閉」とする。すると、液体と気体の供給が止まり、噴霧も止まる。噴霧パターンを変更したい時には、噴霧パターン調整部材150の位置を、第2の位置に変更する。
【0029】
以上のように、第1実施形態の噴霧装置101は、部品交換なしで噴霧パターンを変更することができる。また、気体の噴出パターンの調整は、噴霧パターン調整部材150を回動するだけで行うことができるので、機器構造がシンプルである。また、噴霧パターンを切り換えるために、複数系統の気体供給路を設ける必要がないため、気体供給路の構造をシンプルにすることが可能である。
さらに、噴霧パターンを切り換えた場合も、気体の噴出は、同じ噴出口で行われ、流量は変わらず噴出方向だけが変わるので、液体を微粒化して霧状にする際の気流の速度変化の影響を小さくして噴霧パターンを変更できる。
【0030】
<第2実施形態>
(霧化装置20)
第2実施形態の霧化装置20は、液体噴出路123の連通と遮断を行うロッド21およびロッド駆動装置22を備える点、ノズル本体部材が上部ノズル本体部材222および下部ノズル本体部材223から構成されている点で第1実施形態の霧化装置10と異なる。以下では、第1実施形態と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略し、異なる箇所を中心に説明する。
【0031】
図8に示すように、第2実施形態の霧化装置20も、第1実施形態と同様、液体供給流路と、気体供給流路とを各1系統備えている。第2実施形態では、第2液体流路112内に、第2液体流路112よりも細径のロッド21が配置されている。ロッド21は、中心軸14に沿って設けられており、受入部材11の上側に配置されたロッド駆動装置22と連結されている。ロッド21は、ロッド駆動装置22により第2液体流路112内を鉛直方向に進退動する。ロッド駆動装置22としては、例えば、圧縮空気により駆動する装置、電動モータにより駆動する装置、電磁石により駆動する装置を用いることができる。
【0032】
ロッド下端部21aは、液体ノズル部材の凹部121b内に位置している。ロッド21が鉛直方向に進退動し、ロッド下端部21aが液体ノズル部材の内底面121dと当接または離間することで、第2液体流路112と液体噴出路123の連通と遮断を行う。すなわち、ロッド21およびロッド駆動装置22は、液体噴出路123または第2液体流路112の開閉弁として作用する。図8では、平面からなるロッド下端部21aを図示しているが、液体噴出路123の入口を閉鎖できる形状であればよく、曲面や傾斜面により構成してもよい。また、液体ノズル部材の内底面121dも平面としているが、ロッド下端部21aにより液体噴出路123の入口を塞ぐことができるのであれば、ロッド下端部21aの形状に応じた曲面や傾斜面により構成してもよい。
【0033】
第2実施形態の霧化装置20は、上部ノズル本体部材222の下端部が開口されており、当該開口を塞ぐように噴霧パターン調整部材250および下部ノズル本体部材223が着脱自在に取り付けられている。換言すれば、第2実施形態の霧化装置20では、ノズル本体部材が上部ノズル本体部材222および下部ノズル本体部材223から構成されており、下部ノズル本体部材223に気体噴出路242およびパターン調整溝252が形成されている。
【0034】
図9(a)に示すように、噴霧パターン調整部材250には、連通孔241、連通溝251および閉塞部253が設けられる。連通孔241、連通溝(連通流路)251および閉塞部253の作用は、第1実施形態と同様である。加えて、噴霧パターン調整部材250には、凸縁部250a(図8参照。図9(a)では図示省略)と一対の円弧状の切換孔250bが設けられる。
凸縁部250aは、噴霧パターン調整部材250の外縁において上下方向に延びるように形成された環状の部位である。第2実施形態の噴霧パターン調整部材250は、凸縁部250aを備えるので、断面視は図8に示すように「H」型である。
凸縁部250aの上側の内径は、その内側に上部ノズル本体部材222の下端部が嵌合するような大きさである。また、凸縁部250aの下側の内径は、下部ノズル部材223の外径と同じである。すなわち、下部ノズル本体部材223は、凸縁部250aの下側の内側に嵌合する大きさである。凸縁部250aは、切換操作時の切換操作部材としても機能する。すなわち、凸縁部250aを回転操作することにより、噴霧パターン調整部材250を第1の位置および第2の位置のいずれかに位置設定し、或いは、第1の位置から第2の位置間で段階的に位置設定することで、噴霧パターンを切り換えることが可能である。凸縁部250aの回転角度を目視可能とするための目盛りを設けてもよいし、外側面に滑り止め加工を施してもよい。
【0035】
一対の切換孔250bは円弧状の孔であり、一対の支持部材261が挿通される(図8参照)。切換孔250bは、噴霧パターン調整部材250の必要な回転角度を確保するための形状(すなわち、一定の長さを有する円弧)に構成されている。例えば、第1実施形態と同じ4つの連通溝251およびパターン調整溝252を設けた場合は、切換孔250bの形状を45度回転できるような長さの円弧とする。4つの連通溝251およびパターン調整溝252を備える第2実施形態においても、噴霧パターン調整部材250を45度回転させて第1および第2の位置を切り換えることで、噴霧パターンの切り換えができる。
【0036】
図9(b)に示すように、下部ノズル本体部材223は円盤状の部材からなり、中心に気体噴出路242が貫通して設けられ、上面に4つのパターン調整溝252が設けられている。図9(a)および(b)を参照すると分かるように、噴霧パターン調整部材250が備える連通孔241および4つの連通溝251が構成する開口の形状は、下部ノズル本体部材223の上面に形成された気体噴出路242および4つのパターン調整溝252が構成する開口の形状と同一となっている。
本実施形態では、気体噴出路242の形状を平面視で円形としているが楕円形であってもよい。
第2実施形態においても、パターン調整溝252の数は4つに限定されず、2つでもよいし、3つ以下でもよいし、5つ以上でもよい。また、第1実施形態と同様に、パターン調整溝252の幅、長さ、深さは、液体の物性や所望とする噴霧パターンなどに応じて適宜変えることができる。
【0037】
異なる形状のパターン調整溝252を備える下部ノズル本体部材223および対応する形状の連通溝251を備える噴霧パターン調整部材250の組み合わせを複数種類用意しておき、所望の噴霧条件に応じて選択した下部ノズル本体部材223および噴霧パターン調整部材250を交換して用いてもよい。例えば、2つのパターン調整溝を備える第1の下部ノズル本体部材と対応する形状の連通溝を備える第1の噴霧パターン調整部材と、3つのパターン調整溝を備える第2の下部ノズル本体部材と対応する形状の連通溝を備える第2の噴霧パターン調整部材と、4つのパターン調整溝を備える第3の下部ノズル本体部材と対応する形状の連通溝を備える第3の噴霧パターン調整部材を用意し、所望の噴霧条件に応じて一の組み合わせを選択して利用することが開示される。
下部ノズル本体部材223には、一対の支持部材261が挿通される一対の支持孔223aが設けられている。下部ノズル本体部材223は、間に噴霧パターン調整部材250を挟んで、支持部材261により上部ノズル本体部材222の下端部に固定される。支持部材261は、例えばボルトにより構成できるが、これに限定されず、クランプのようなもので挟んで固定する構成を採用してもよい。なお、下部ノズル本体部材223の支持孔223aの形状を切換孔250bのように円弧状とし、逆に切換孔250bの形状を支持孔223aのように円形として、下部ノズル本体部材223を回転させることで、噴霧パターンを切り換える構成を採用してもよい。この構成においては、下部ノズル本体部材223が切換操作部材として機能することになる。
【0038】
(噴霧装置201)
第2実施形態の噴霧装置201は、ロッド駆動装置22を制御装置209により制御を行う点で第1実施形態の噴霧装置101と異なる。以下では、第1実施形態と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略し、異なる箇所を中心に説明する。
【0039】
図10に示すように、第2実施形態の噴霧装置201は、霧化装置20が備えるロッド駆動装置22と制御装置209とを接続する。その他の構成は第1実施形態の噴霧装置101と同じである。
第2実施形態の霧化装置20は、次のように噴霧動作をする。噴霧パターン調整部材250は、第1の位置にあるものとする。
まず、制御装置209により、ロッド駆動装置22を制御して、ロッド下端部21aが液体ノズル部材の内底面121dに当接した状態とし、気体供給源103から霧化装置20へと接続する第1の気体管105の開閉弁108aを「開」にするとともに、気体供給源103から液体供給源102へと接続する第2の気体管106の開閉弁108bを「開」とする。すると、霧化装置20には、液体が供給されるとともに、液体を微粒化するための気体が供給される。
ついで、ロッド駆動装置22を制御して、ロッド下端部21aを液体ノズル部材の内底面121dから離間させて液体噴出路123を第2液体流路112と連通させると、液体噴出口124から液体が排出され、その周囲に流れる気体と混合されて微粒化して霧状になり(符号163)、対象物へと吹き付けられる。
【0040】
噴霧を終えるには、まず、制御装置209により、ロッド駆動装置22を制御して、ロッド下端部21aを液体ノズル部材の内底面121dに当接させて液体噴出路123を閉鎖し、気体供給源103から霧化装置20へと接続する第1の気体管105の開閉弁108aを「閉」にするとともに、気体供給源103から液体供給源102へと接続する第2の気体管106の開閉弁108bを「閉」とする。すると、霧化装置20への液体および気体の供給が止まり、噴霧も止まる。噴霧パターンを変更したい時には、噴霧パターン調整部材250の位置を、第2の位置に変更する。なお、第2実施形態の噴霧装置201においても、第1実施形態と同様に、噴霧パターン調整部材250を位置調整用駆動装置に接続して自動で切り換え可能に構成してもよい。位置調整用駆動装置を設ける場合には、制御装置209により位置調整用駆動装置を制御する。
【0041】
以上のように、第2実施形態の噴霧装置201においても、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
また、第2実施形態では、液体噴出路123の入口をロッド21により開閉するので、噴霧停止時の液体の切れをよくし、余分な液体の垂れを防ぐことができる。このような構成は、液体の粘度が低い場合に、特に効果を奏する。
さらに、パターン調整溝252が設けられる噴霧パターン調整部材250が着脱自在に取り付けられるため、異なる形状のパターン調整溝252が設けられた噴霧パターン調整部材250を複数用意しておくことで、更に多様な噴霧パターンを実行することが可能である。
【0042】
<第3実施形態>
(霧化装置30)
第3実施形態の霧化装置30は、ノズル本体部材が上部ノズル本体部材922と回動可能な下部ノズル本体部材923から構成されている点、2系統の気体噴出路(942a,942b)を備える点で、第1実施形態の霧化装置10や第2実施形態の霧化装置20と主に異なる。
以下では、第1実施形態または第2実施形態と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略し、異なる箇所を中心に説明する。
【0043】
図15に示すように、第3実施形態の霧化装置30は、液体供給流路と気体供給流路とを各1系統と2系統の気体噴出路(942a,942b)とを備えている。第3実施形態の霧化装置30は、第2実施形態の霧化装置20と同様に、上部ノズル本体部材922の下端が開口されており、この開口を塞ぐように噴霧パターン調整部材950が着脱自在に取り付けられて固定されている。さらに、噴霧パターン調整部材950と上部ノズル本体部材922の下端を覆うように下部ノズル本体部材923が、中心軸14回りに回動可能に取り付けられている。
【0044】
噴霧パターン調整部材950は、図15に示すように、断面形状が凸形である円盤状の部材で、胴部950a、鍔部950b、気体噴出部950cからなる。胴部950aは、その外径が上部ノズル本体部材922の内径にぴったり嵌まる大きさに形成されており、上部ノズル本体部材922の下端の開口部に嵌入して固定される。胴部950aの下端には、外方に延出される鍔部950bが設けられている。環状の鍔部950bの外径は、上部ノズル本体部材922の下端部の外径とほぼ同じ大きさに形成されており、鍔部950bの上面が上部ノズル本体部材922の下端部に当接し、噴霧パターン調整部材950の位置を規定する。噴霧パターン調整部材950は、鍔部950bにおいて、図示しない固定部材により上部ノズル本体部材922に固定されるようになっている。噴霧パターン調整部材950の下面950dの中心からは、筒状の気体噴出部950cが下方に延出している。
【0045】
噴霧パターン調整部材950には、中心に、胴部950aの上面から気体噴出部950cの下面までにわたって設けられた貫通孔である第2気体噴出路942bが設けられている。第2気体噴出路942bは、第3気体流路133と常時連通しており、液体ノズル部材121の液体噴出部121cが挿通されている。第2気体噴出路942bの内径は、液体噴出部121cの外径よりも大きく形成されているので、ニードル状の液体噴出部121cの外周面と円柱状の第2気体噴出路942bの内周面との隙間から気体を噴出することができる。第2気体噴出路942bは、閉塞部953により閉じられることが無いので、霧化装置30の動作中、第3気体流路133内を満たす気体は、第2気体噴出路942bから第2気体噴出口943bを通じて外部へと噴出される。第2気体噴出路942bは、旋回流を生じさせない霧化用の気体噴出路である。
【0046】
図16(a)に示すように、噴霧パターン調整部材950には、胴部950aの外縁を切り欠き、鍔部950bの上面から下面までを貫通する4つの貫通孔(連通流路)951が設けられている。各貫通孔951は、その中心が胴部950aの外縁を構成する円周上に等間隔に配置された円柱状の貫通孔であり、第3気体流路133と下部ノズル本体部材923のパターン調整溝952とを連通する連通流路として機能する。第3実施形態では、貫通孔951が4つの例を示しているが、3つ以下でもよいし5つ以上でもよい。貫通孔951が設けられていない下部ノズル本体部材の胴部950aの下面は、閉塞部953を構成する(図17(b)参照)。換言すれば、胴部950a外縁の円周上の貫通孔951と貫通孔951の間は、閉塞部953を構成する。なお、本実施形態では、貫通孔951の形状を平面視で円形としているが楕円形であってもよい。
【0047】
下部ノズル本体部材923は、図15に示すように、断面が凹形の部材で、噴霧パターン調整部材950が取り付けられた上部ノズル本体部材922の下端の開口を覆って塞ぐキャップ部材として機能する。下部ノズル本体部材923の内径は、上部ノズル本体部材922の外側面と摺動する大きさに形成されており、上部ノズル本体部材922の下端に取り付けた状態で側面に設けられた貫通孔である一対の取付孔923bに一対の支持部材961を挿通して支持される。図示の例では、下部ノズル本体部材923の上端面923aを水平な平面により構成しているが、斜面や曲面により構成してもよい。上部ノズル本体部材922の側面の取付孔923bと対向する位置には、支持部材961が嵌合される一対の回動用溝922bが形成されている。回動用溝922bは、下部ノズル本体部材923が中心軸14回りに必要な角度だけ回動可能な長さに、上部ノズル本体部材922の側面に沿って水平方向に形成されている。第3実施形態では、回動用溝922bを2箇所に設けているが、3箇所以上に設けてもよい。
【0048】
下部ノズル本体部材923には、中心に、上面から下面にわたって設けられた貫通孔である第1気体噴出路942aが設けられる。第1気体噴出路942aには、第2気体噴出路942bを有する気体噴出部950cが挿通されている。第1気体噴出路942aは、筒状の気体噴出部950cに挿通された液体噴出部121cおよび気体噴出部950cと同心である。第1気体噴出路942aの内径は、気体噴出部950cの外径よりも大きく形成されているので、第3気体流路133との連通が確保される第1の位置において、気体噴出部950cの外周面と第1気体噴出路942aの内周面との隙間から気体を噴出することができる。第1気体噴出路942aは、旋回流を生じさせる噴霧パターン切換用の気体噴出路である。すなわち、第3気体流路133内を満たす気体を、第1気体噴出路942aから第1気体噴出口943aを通じて外部へと噴出する第1の位置と、第1気体噴出路942aを閉塞部953で閉じて第1気体噴出口943aから外部へ気体を噴出しない第2の位置とを切り換えることにより、噴霧パターンを切り換えることができる。なお、図15の例では、気体噴出部950cの先端が下部ノズル本体部材923の底面よりも下方に突出しているが、気体噴出部950cの先端が下部ノズル本体部材923の底面と面一になるように構成してもよい。
【0049】
図16(b)に示すように、下部ノズル本体部材923は、内底面上に、第1気体噴出路942aに連通する4つのパターン調整溝952が設けられている。各パターン調整溝952は、第1気体噴出路942aから放射状に延びるように配置された細長い貫通孔であり、その長手方向の各中心線955が第1気体噴出路942aの中心を通り、直交する2本の直線からそれぞれオフセットした位置となるように配置されている点は、第1および第2実施形態と同様である。第3実施形態ではパターン調整溝952の数が4つの例を示しているが、3つ以下でもよいし5つ以上でもよい。また、複数のパターン調整溝952が互いに等間隔に配置されることが好ましいのも第1および第2実施形態と同様である。第1気体噴出路942aは、第2気体噴出路942bを有する噴霧パターン調整部材950の気体噴出部950cが挿通されるため、第1および第2実施形態の気体噴出路142,242と比べ大径である。
【0050】
(噴霧パターンの調整)
図17(a)に示す第1の位置において、噴霧パターン調整部材950の各貫通孔951と、下部ノズル本体部材950の各パターン調整溝952とが重なる位置関係にある。より詳細には、第1の位置において、噴霧パターン調整部材950の各貫通孔951は、中心に近い側において下部ノズル本体部材950の各パターン調整溝952の閉じた端部と重なる位置に設けられている。したがって、第1の位置においては、第3気体流路133と第1気体噴出路942aが貫通孔951およびパターン調整溝952を介して連通する。
図17(b)に示す第2の位置において、下部ノズル本体部材950の各パターン調整溝952は、噴霧パターン調整部材950の閉塞部953により覆われている。したがって、第2の位置においては、第3気体流路133と第1気体噴出路942aとの連通は、閉塞部953により遮断されている。
第1の位置と第2の位置との切り換えは、下部ノズル本体部材923を霧化装置30の中心軸14回りに回転させることで行う。すなわち、第3実施形態では、下部ノズル本体部材923が切換操作部材として機能する。第3実施形態でも、等間隔に配置された4つのパターン調整溝952を備えるので、下部ノズル本体部材923を45度回転させて位置を切り換えることで、噴霧パターンを切り換えることができる。
【0051】
下部ノズル本体部材923を回動させることにより第1および第2の位置を切り換えることによる作用の違いについて説明する。
(1)第1の位置(貫通孔951とパターン調整溝952とが重なる状態)
第3気体流路133と常時連通する第2気体噴出路942bに流れ込んだ気体は、液体噴出部121cの外壁と第2気体噴出路942bの内壁との間を真っ直ぐ流れ、液体噴出口124から噴出する液体を霧化する。一方で、図17(a)に示すように、下部ノズル本体部材923が、貫通孔951とパターン調整溝952とが重なる第1の位置にある場合、貫通孔951に流れ込んだ気体は、パターン調整溝952の閉じた端部側からパターン調整溝952へ流れ込む。パターン調整溝952へ流れ込んだ気体は、第1気体噴出路942aを通って第1気体噴出口943aから旋回流として噴出する。そのため、液体噴出口124付近で霧化された液体は、この旋回流により、噴出方向に沿って広がるように噴出される。結果として、塗布面積は第2の位置と比べ大きくなる。
【0052】
(2)第2の位置(閉塞部953とパターン調整溝952とが重なる状態)
第3気体流路133と常時連通する第2気体噴出路942bに流れ込んだ気体は、液体噴出部121cの外壁と第2気体噴出路942bの内壁との間を真っ直ぐ流れ、液体噴出口124から噴出する液体を霧化する。一方で、図17(b)に示すように、下部ノズル本体部材923が、閉塞部953とパターン調整溝952とが重なる第2の位置にある場合、第3気体流路133からパターン調整溝952に流れ込む気体はないので、第1気体噴出路942aを通って第1気体噴出口943aから噴出する気体はない。そのため、液体噴出口124付近で霧化された液体は、第1気体噴出口943aからの旋回流による作用を受けないので、噴出方向に向かって真っ直ぐに噴出される。結果として、塗布面積は第1の位置と比べ小さくなる。
【0053】
第3実施形態においても、下部ノズル本体部材923の回転角度により第1位置から第2位置までの間で貫通孔951とパターン調整溝952との重なり具合を段階的に調整できる。
また、第3実施形態においても、第2実施形態と同様に、液体噴出路123の連通と遮断を行うロッド21およびロッド駆動装置22を備えることができる。
【0054】
(噴霧装置)
第3実施形態の噴霧装置は、霧化装置10が霧化装置30に置き換えられた点を除いては、図7に示す第1実施形態の噴霧装置101と同様の構成である。また、液体噴出路123の連通と遮断を行うロッド21およびロッド駆動装置22を備える場合は、霧化装置20が霧化装置30に置き換えられた点を除いては、図10に示す第2実施形態の噴霧装置201と同様の構成となる。
【0055】
以上のように、第3実施形態の噴霧装置においても、第1および第2実施形態の噴霧装置と同様の効果が奏される。
加えて、第3実施形態では、旋回流を生じさせるための第1気体噴出路942aと直進流のための第2気体噴出路942bを分けたので、広がる噴霧パターンと狭まる噴霧パターンとの間でより明確に差を付けることができる。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態例の記載に限定されるものではない。本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で様々な変更、改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。以下に例示する変形例も本発明の技術的思想の範囲内のものである。
【0057】
例えば、第1実施形態において、液体ノズル部材の液体噴出部121cの下端の位置を調整可能に構成してもよい。図11(a)は、液体ノズル部材の液体噴出部121cを第1後退位置とした場合の霧化装置10のノズル下端部分の要部断面図である。第1後退位置においては、液体噴出口124と気体噴出口143とが同一面に位置している。
図11(b)は、液体ノズル部材の液体噴出部121cを第2後退位置とした場合の霧化装置10のノズル下端部分の要部断面図である。第2後退位置においては、液体噴出部121cの下端が気体噴出路142内に位置している。
【0058】
第1実施形態の霧化装置10において、液体流路部材113と液体ノズル部材121との接続部分にノズル位置調整機構(図示せず)を設け、液体ノズル部材の液体噴出部121cの下端の位置を、図2の位置(突出位置)から図11(a)の位置(第1後退位置)または図11(b)の位置(第2後退位置)に動的に変更可能に構成してもよい。例えば、液体の粘度が比較的低い第1の液体を噴霧する場合は、液体ノズル部材の液体噴出部121cの下端が気体噴出路142の外部に位置する図2の位置(突出位置)とし、第1の液体よりも粘度が高い第2の液体を噴霧する場合は液体ノズル部材の液体噴出部121cの下端を図11(a)の位置(第1後退位置)とし、第2の液体よりも粘度が高い第3の液体を噴霧する場合は液体ノズル部材の液体噴出部121cの下端を図11(b)の位置(第2後退位置)とすることが開示される。なお、第2および第3実施形態においても、図11に示すように、液体ノズル部材の液体噴出部121cの下端の位置を調整可能に構成できる。
【0059】
図12に示す霧化装置は、気体噴出路(342,442,542)の内周面の一部または全部が先細りするテーパー面により構成されている。
図12(a)においては、気体噴出路342に、気体噴出口343に向かって狭まるような傾斜が設けられている。すなわち、図12(a)に示す気体噴出路342は、円錐台状の空間により構成されている。
図12(b)においては、気体噴出路(442a,442b)が、気体噴出口443に向かって狭まる円錐台状の第1気体噴出路442aと円柱状の第2気体噴出路442bとから構成されている。
図12(c)においては、気体噴出路(542a,542b)が、円柱状の第1気体噴出路542aと気体噴出口543に向かって狭まる円錐台状の第2気体噴出路542bとから構成されている。
図12に示す変形例のように、気体噴出路に絞りとなる傾斜面を設けることで、第1実施形態や第2実施形態と比べ、気体噴出口から噴出される気体の流速を速くすることができる。なお、図12に示す変形例の気体噴出路は、第1ないし第3実施形態のいずれにも適用可能である。
【0060】
図13(a)においては、パターン調整溝352が気体噴出路(142,242)に向かって下がるような傾斜面を備えている。図13(a)の構成においては、第1実施形態や第2実施形態と比べ旋回流の速度を速めることが可能である。
図13(b)においては、パターン調整溝452が気体噴出路(142,242)に向かって上がるような傾斜面を備えている。図13(b)の構成においては、第1実施形態や第2実施形態と比べ旋回流の速度を遅くすることが可能である。
なお、図13に示す変形例のパターン調整溝は、第1および第2実施形態のみならず、第3実施形態の第1気体噴出路942aおよび下部ノズル本体部材923にも適用可能である。
【0061】
図14(a)においては、パターン調整溝(552a,552b)が、気体噴出路(142,242)から外方に直線状に延びる第1パターン調整溝552aと第1パターン調整溝552aと交わる方向に延びる第2パターン調整溝552bとから構成されている。図14(a)の構成は、第1パターン調整溝552aと屈曲して連続する第2パターン調整溝552bを備えているので、第1実施形態や第2実施形態よりも強い旋回流を生じさせることが可能である。
図14(b)においては、パターン調整溝652が、直線状ではなく全体にわたり曲線状(換言すれば、円弧状)の形状をしている。図14(b)の構成は、曲線状のパターン調整溝652を備えているので、第1実施形態や第2実施形態よりも強い旋回流を生じさせることが可能である。
【0062】
図14(c)においては、第1実施形態や第2実施形態と比べ、パターン調整溝752が、気体噴出路(142,242)の中心を通り水平方向に延びる直線に近い位置で気体噴出路(142,242)と接続している。すなわち、気体噴出路(142,242)の中心を通り水平方向に延びる直線とパターン調整溝752の長手方向の中心線との距離L1が、第1実施形態や第2実施形態と比べ短くなるように構成されている。
図14(d)においては、第1実施形態や第2実施形態と比べ、パターン調整溝852が、気体噴出路(142,242)の中心を通り水平方向に延びる直線から遠い位置で気体噴出路(142,242)と接続している。すなわち、気体噴出路(142,242)の中心を通り水平方向に延びる直線とパターン調整溝852の長手方向の中心線との距離L2が、第1実施形態や第2実施形態と比べ長くなるように構成されている。
図14(c)および図14(d)に示す変形例のように、パターン調整溝と気体噴出路の接続位置を変えることによっても、旋回流の強さを調整することが可能である。
図14に示す変形例のパターン調整溝は、第1および第2実施形態のみならず、第3実施形態の第1気体噴出路942aおよび下部ノズル本体部材923にも適用可能である。
なお、第1~3実施形態および図12~14の変形例のいずれにおいても、パターン調整溝の深さ、幅、長さは適宜調節可能である。また、図12~14に示す変形例は、適宜組み合わせて適用することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
10:霧化装置
11:受入部材
12:霧化ノズル
13:連結部材
14:中心軸
20:霧化装置
21:ロッド
22:ロッド駆動装置
30:霧化装置
101,201:噴霧装置
102:液体供給源
103:気体供給源
104:液体管
105:第1の気体管
106:第2の気体管
107:調圧器
108:開閉弁
109,209:制御装置
110:液体供給口
111:第1液体流路
112:第2液体流路
113:液体流路部材
121:液体ノズル部材
122:ノズル本体部材
123:液体噴出路
124:液体噴出口
130:気体供給口
131:第1気体流路
132:第2気体流路
133:第3気体流路
141,241:連通孔(中央連通孔)
142,242,342,442,542:気体噴出路
143,343,443,543:気体噴出口
150,250,950:噴霧パターン調整部材
151,251:連通溝(連通流路)
152,252,352,452,552,652,752,852,952:パターン調整溝
153,253,953:閉塞部
154:切換操作部材
155,955:パターン調整溝の中心線
161:閉塞部の位置から気体噴出路へ流れ込む流れ(第1の位置)
162:パターン調整溝から気体噴出路へ流れ込む流れ(第1の位置)
163:微粒化して霧状となった液体(第1の位置)
164:噴霧パターン(第1の位置)
165:閉塞部から気体噴出路へ流れ込む流れ(第2の位置)
166:連通溝から気体噴出路へ流れ込む流れ(第2の位置)
167:微粒化して霧状となった液体(第2の位置)
168:噴霧パターン(第2の位置)
222,922:上部ノズル本体部材
223,923:下部ノズル本体部材
942a:第1気体噴出路
942b:第2気体噴出路
943a:第1気体噴出口
943b:第2気体噴出口
951:貫通孔(連通流路)
961:支持部材

【要約】
課題:簡易な構成で噴霧パターンを変更できる霧化ノズル、霧化装置、噴霧装置および噴霧方法を提供すること。
解決手段:気体噴出路142および気体噴出口143を有するノズル本体部材122と、液体噴出路123および液体噴出口124を有し、先端部が気体噴出路142に挿通される液体ノズル部材121と、気体噴出路142に旋回流を生じさせるパターン調整溝152と、連通流路151、および、閉塞部153を有する噴霧パターン調整部材150を備え、連通流路151を介してパターン調整溝152と気体供給流路130~132とを連通する第1の位置と、パターン調整溝152を閉塞部153で覆う第2の位置とを切り換えることにより噴霧パターンを変更することができる霧化ノズル、霧化装置、噴霧装置および噴霧方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17