(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】センサ・デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240123BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240123BHJP
G06F 3/045 20060101ALI20240123BHJP
G06F 3/0354 20130101ALI20240123BHJP
G06F 3/0338 20130101ALI20240123BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
G06F3/041 640
G06F3/041 422
G06F3/041 510
G06F3/041 600
G06F3/041 660
G06F3/044 Z
G06F3/045 D
G06F3/041 495
G06F3/041 650
G06F3/0354 453
G06F3/0338 411
H01H36/00 J
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019089446
(22)【出願日】2019-05-10
【審査請求日】2022-05-06
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519168491
【氏名又は名称】タンギ0 リミッテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チア - ハン リン
(72)【発明者】
【氏名】イラン ジョアン エドアルド オリバレス コレア
(72)【発明者】
【氏名】リウチェン グオ
(72)【発明者】
【氏名】ミン コン
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/041268(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/206819(WO,A1)
【文献】特開2001-027570(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0081480(US,A1)
【文献】特開2017-162173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
G06F 3/045
G06F 3/0354
G06F 3/0338
H01H 36/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱成形可能な導電材料から形成される若しくはそれを含む複数の電極部であって、1つ又は複数の電気信号を提供するように構成される複数の電極部と、
前記複数の電極部の上に又はそれを覆って設けられる非導電性で熱成形可能な非導電材料とを備え、
前記1つ又は複数の電気信号が、前記複数の電極部の少なくとも1つと前記複数の電極部の少なくとも他の1つとの間の静電容量の変化に応答して提供され、
前記複数の電極部の1つ又は複数が、前記非導電材料に加えられる力に応答して少なくとも1つの他の電極部に対して移動するように構成され、
前記複数の電極部間の相対移動がそれらの間の静電容量の変化を引き起こす、センサ・デバイス。
【請求項2】
前記複数の電極部が1つ又は複数の電極の少なくとも一部を形成する、請求項1に記載のセンサ・デバイス。
【請求項3】
前記複数の電極部の少なくとも1つ及び/又は前記非導電材料が、少なくとも部分的に、3次元形態を有する、請求項1から2までのいずれか一項に記載のセンサ・デバイス。
【請求項4】
前記複数の電極部の前記少なくとも1つが、少なくとも部分的に、平面形態を有する、請求項3に記載のセンサ・デバイス。
【請求項5】
前記非導電材料が前記複数の電極部の上に又はそれを覆ってオーバー・モールドされる、請求項1から
4までのいずれか一項に記載のセンサ・デバイス。
【請求項6】
それぞれの電極部間に間隙がある、請求項1から5までのいずれか一項に記載のセンサ・デバイス。
【請求項7】
前記非導電材料が前記間隙に更に設けられる、請求項6に記載のセンサ・デバイス。
【請求項8】
力が加えられると、前記電極部の1つ又は複数の移動が前記間隙を変化させる、請求項7に記載のセンサ・デバイス。
【請求項9】
前記非導電材料に形成される突出部を更に備え、前記突出部が、ユーザが握る及び/又は動かすように配置される、請求項7または8に記載のセンサ・デバイス。
【請求項10】
前記複数の電極部の1つ又は複数が前記突出部内へ延びる、請求項9に記載のセンサ・デバイス。
【請求項11】
前記突出部の移動が前記1つ又は複数の電極部と前記複数の電極部の少なくとも他の1つとの間の相対移動を引き起こす、請求項10に記載のセンサ・デバイス。
【請求項12】
前記デバイスが、前記突出部の押し、引き及び/又はねじり移動を検出するように構成される、請求項11に記載のセンサ・デバイス。
【請求項13】
前記センサ・デバイスが、前記非導電材料に沿った導電性物体の移動に応答して前記1つ又は複数の電気信号の変化をもたらすように構成される、請求項1から12までのいずれか一項に記載のセンサ・デバイス。
【請求項14】
前記複数の電極部の少なくとも1つが、前記非導電材料に沿った導電性物体の線形及び/又は円形移動に応答して前記1つ又は複数の電気信号を提供するように成形及び配置される、請求項13に記載のセンサ・デバイス。
【請求項15】
前記複数の電極部及び/又は前記非導電材料が、少なくとも部分的に、3次元プロファイル表面を有し、前記電気信号が、前記非導電材料の前記3次元プロファイル表面にわたる前記導電性物体の移動に応答して変化する、請求項1から14までのいずれか一項に記載のセンサ・デバイス。
【請求項16】
前記非導電材料が剛性材料、又は可撓性、変形可能若しくは柔軟材料から形成される又はそれを含む、請求項1から15までのいずれか一項に記載のセンサ・デバイス。
【請求項17】
前記複数の電極部が剛性材料、又は可撓性、変形可能若しくは柔軟材料から形成される又はそれを含む、請求項1から16までのいずれか一項に記載のセンサ・デバイス。
【請求項18】
前記熱成形可能な導電材料が、導電材料を含むシリコーン・ゴム、導電性天然ゴム、及び導電性プラスチック材料の1つ又は複数である又はそれを含む、請求項1から17までのいずれか一項に記載のセンサ・デバイス。
【請求項19】
前記非導電材料が、シリコーン・ゴム、天然ゴム、プラスチック材料、及び熱成形織物若しくは合成皮革の1つ又は複数である又はそれを含む、請求項1から18までのいずれか一項に記載のセンサ・デバイス。
【請求項20】
請求項1から19までのいずれか一項に記載の前記センサ・デバイスを製造する方法であって、
前記複数の電極部又は前記非導電材料を形成し、
前記複数の電極部又は前記非導電材料を覆って前記複数の電極部又は前記非導電材料の他方を形成するオーバー・モールド工程を含む、方法。
【請求項21】
請求項1から19までのいずれか一項に記載の前記センサ・デバイスを使用して電気信号を感知する方法であって、導電性物体を前記非導電材料に近づける、それと接触させる及び/若しくはそれに沿わせること、並びに/又は前記非導電材料に力を加えて、前記複数の電極部の前記少なくとも1つと前記複数の電極部の前記少なくとも他の1つとの間の相対移動を引き起こすことを含む、方法。
【請求項22】
請求項1から19までのいずれか一項に記載のセンサ・デバイス、及び測定装置を備え、前記測定装置が、使用時に、前記センサ・デバイスから1つ又は複数の電気信号を受信するように構成され、前記測定装置が、或る期間にわたる前記センサ・デバイスからの前記1つ又は複数の電気信号を処理し、そして前記1つ又は複数の電気信号の変動又は特性から、導電性物体での前記センサ・デバイス上のタッチの位置、前記デバイスに沿った前記導電性物体の移動速度、前記導電性物体の移動方向、前記デバイスに及ぼされる前記力、及び/又は前記複数の電極部の少なくとも1つの、前記複数の電極部の別の1つに対する移動方向を決定する命令を含む、システム。
【請求項23】
請求項1から19までのいずれか一項に記載のセンサ・デバイスを備える自動車制御システム。
【請求項24】
請求項1から19までのいずれか一項に記載のセンサ・デバイスを備える仮想現実制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してセンサ・デバイスに関し、特に、排他的でなく、タッチ位置感知も圧力/力感知も行うことができるセンサに関する。本発明は、同デバイスを製造する方法、同センサ・デバイスを使用して電気信号を感知する方法及び同デバイスを備えるシステムにも関する。
【背景技術】
【0002】
触覚センサは、センサとの物理的相互作用を介して情報を得る手段を提供し、そしてモバイル及びコンピューティング・デバイス、ロボティクス並びに制御システムなどの用途に一般に使用される。これらは、圧抵抗、圧電、容量及び弾性抵抗感知に基づいて動作してもよい。例えば、容量性タッチ・スイッチでは、人は単にセンサをタッチする必要があるだけであり、これがセンサ内の静電容量を変化させて、スイッチを作動させる。圧力切替及び感知に使用するために、量子トンネル複合材を含め、各種の感圧材料が現在入手可能である。これらは、ソフト・ロボティクス、重機械及びウェアラブルに活用される。材料自体に感度を組み込み、そして「ソフト・エレクトロニクス」を創出するために、導電性インクを含む実例が開発されてきた。3次元(3D:Three-Dimensional)(仮想現実)インタフェースも公知である。
【0003】
本出願人の先願PCT/EP2016/025067では、材料表面に沿った導電性物体(例えば人の指)の移動及び/又は材料自体の変形に応答して電気信号の変化を生じさせるように構成される3Dテクスチャ表面を有する導電材料の平面シートを備える又はそれから成るタッチ・センサ・デバイスを開示している。材料の他の範囲は3D形態であることができ、そして圧力感知のために使用されることができる。そのようなデバイスからの感知された電気信号は制御用途に使用されることができる。
【0004】
多くの異なる電子デバイスがタッチ・インタフェースによる電子制御を必要とする。一部のものは、例えば電気かみそりで、集中制御を有する。他のものは遠隔接続される、例えば無線タッチ・コントローラ。キーボード、容量性トラックパッド、ディスプレイ・トラックパッド、ジョイスティック等を含め、タッチ感知のための多数の異なる制御方法及びシステムが公知である。これらのインタフェースの大部分が1つ又は複数の外側の射出成形硬質プラスチック部品、例えばハウジング、ボタン、キー等を備え、それらの部品が、ばね又は軟質フォーム作動層など、下にある付勢部材に作用し、次いでその部材が下方のプリント回路板(PCB:Printed Circuit Board)に作用して、電子回路のタッチ作動及び完了に応じて、読み取り可能な電圧信号を生成する。
【0005】
そのようなコントローラは、それらの比較的単純な構造及び操作性のため好都合であり、そして広く使用される。しかしながら、それらは多数の欠点を被る。特に、現存のタッチ感知技術は、大量のトレース、電極及びセンサの使用にかなり依存する。加えて、使用される材料及び製造方法がタッチ・インタフェース製品の形式を主に平坦且つ剛性であることに大幅に制限することがあり、これが或る用途でのその使用を制限する。例えば、それらは成形硬質封止材料を典型的に利用しており、それらは変形可能でなく、したがってユーザへのソフト圧力触覚フィードバックを提供しない。更には、コントローラ・ハウジング上/内に少しでもボタン、ジョイスティック、キー等が設けられる場合、制御特徴とハウジングとの間の間隙は、水、塵埃及び他の汚染物質による侵入を受けやすい。特に或る用途、例えば自動車内装は良好な寿命及び信頼性を必要としており、少しの間隙でもそのような汚染物質が侵入するのを許してしまい、内部に収容される電子回路の故障に至り得る。
【0006】
この課題に対処するために対策がとられてきたが、これは必然的に費用及び複雑さの増加に至った。これは、特に大量生産される安価な電子品では及び既に活気があり且つ競争的である商業市場では、しばしば望ましくない。例えば、米国特許第8994648号では、設定されると、タッチ圧力及び位置を表す電気信号を生成することができる力センサ・アレイの上に軟質の弾性基板層が重ねられるが、埋込センサ及び配線の量並びにそれらの校正の必要が、生産費用が高いことを意味する。そのような配置は、力センサが確実に動作するために、堅固な平面ベースに適用される或る3Dプロファイルに制限されることもある。例えば、急激な曲率を有する張出し3D構造、ハンドヘルド3Dデバイス又は表面を実装することが困難であることがある。
【0007】
機能的に言えば、大部分のタッチ・インタフェース製品がモジュラ圧力感知かXYタッチ位置感知かを許容するだけであり、そしてロード・セル電子センサを利用する。ソフトウェア制御/ナビゲーション、仮想現実(VR:Virtual Reality)制御及び自動車内装制御のような場合、3Dタッチ対話(すなわちX、Y及びZ感知)並びに他のジェスチャ対話の検出並びに使用は、制御の別の次元を追加して、ユーザ効率及び体験を著しく向上させることができる。より少ない電極/トレース及びセンサ素子で、自然な感触のソフト・タッチ・フィードバックも2D又は3Dアナログ・タッチ圧力信号も同時に生じさせる際に課題がある。
【0008】
上記を念頭に本発明の態様及び実施例が考案された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】PCT/EP2016/025067
【文献】米国特許第8994648号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、センサ・デバイスが提供される。センサは、1つ又は複数の電気信号を提供するように構成される複数の電極部を備えてもよい。それは、複数の電極部の上に又はそれを覆って設けられる非導電材料も備えてもよい。センサ・デバイスは、複数の電極部の少なくとも1つと非導電材料に近い又はそれと接触している導電性物体との間の静電容量の変化に応答して1つ又は複数の電気信号を提供するように構成されてもよい。代替的又は追加的に、センサ・デバイスは、複数の電極部の少なくとも1つと複数の電極部の少なくとも他の1つとの間の静電容量の変化に応答して1つ又は複数の電気信号を提供するように構成されてもよい。
【0011】
デバイスは、1つ又は複数の電極を備えてもよい。複数の電極部は、1つ又は複数の電極の少なくとも一部を形成してもよい。異なる電極部が同じ又は異なる電極にあってもよい。複数の電極部の1つ又は複数が物理的及び/又は電気的に接続されてもよい。複数の電極部の1つ又は複数が1つ又は複数の他の電極部から物理的及び/又は電気的に切断されてもよい。複数の電極部の各々が同じ電極の少なくとも一部を形成してもよい。代替的に、複数の電極部の各々が別々の電極であっても又はその少なくとも一部を形成してもよい。代替的に、デバイスは、複数の電極を備えてもよく、ここでは各電極が複数の電極部の1つ又は複数を含む。
【0012】
複数の電極部の1つ又は複数が、熱成形可能な導電材料から形成されても又はそれを含んでもよい。非導電材料は、熱成形可能材料から形成されても又はそれを含んでもよい。
【0013】
例えば、複数の電極部の1つ若しくは複数及び/又は非導電材料は、堆積、メッキ、蒸着又は成長されない材料から形成されても又はそれを含んでもよい。
【0014】
有利には、導電性電極は、非金属であっても且ついかなる既定の3D形状にも完全に成形可能であってもよい。形状は、具体的には異なるユーザ対話機能(例えばタッチ感知、トラックパッド、圧力感知及びプッシュ/プル/ツイスト・スイッチ)を提供するように選ばれても又は設計されてもよい。更には、十分に大きな非金属電極の使用は、センサ・デバイスを生産するために必要とされる金属トラック/線の数を低減させ、そして従前の感知技術と比較してセンサ・デバイスの製造を著しく単純化する。電極は、可撓性で、柔軟で且つ変形可能でありソフト・タッチ・フィードバックを提供する熱成形可能な非導電材料がオーバー・モールドされてもよい。可撓性は、追加機械部品を使用することなく付加機械的機能性(例えばユーザが電極を押す又は引くことに応答して間隙の大きさを変化させること)を提供することができる導電性電極間の或る程度の相対移動を更に許容する。電極の3D設計は、デバイスが導電性及び/又は非導電性物体との相互作用に応答して動作することを更に許容する。有利には、デバイスの動作は、別々の電極部間の容量性相互作用及び/又は導電性物体(例えばユーザの指)と電極部の1つ若しくは複数との間の容量性相互作用に依存する。
【0015】
電極部との相互作用は、したがって、非導電材料に近い及び/若しくはそれに沿った導電性物体の移動、並びに/又は非導電材料に力若しくは圧力を加えることを伴う。力感知(例えばZ方向)は、導電性又は非導電性物体が1つの電極部を別の1つに向けて付勢して、それらの間の静電容量を変化させることによって達成されることができる。タッチ感知(例えばXY方向)は、導電性物体(例えば指)が電極部の近くである/移動することに依存している。これらの2つの機能性は、例えばデバイスの同じ又は異なる領域で、組み合わされる又は別々に使用されることができる。したがって、本発明の態様及び実施例は、有利にはアナログ(又はデジタル)位置タッチ(XY)感知も圧力/力(Z)感知も同時に提供する。電極部は、全ての感知測定のためであるが、異なる仕方で使用される。タッチ感知は、特にトラックパッドなどの用途に、そして圧力/力感知は、例えばプッシュ/プル/ツイスト・スイッチのために有用であってもよい。
【0016】
複数の電極部の1つ若しくは複数及び/又は非導電材料は、成形工程によって形成されてもよい。非導電材料は、複数の電極部の上に又はそれを覆ってオーバー・モールドされてもよい。
【0017】
複数の電極部の少なくとも1つ及び/又は非導電材料は、少なくとも部分的に、3次元形態を有してもよい。追加的に、複数の電極部の少なくとも1つが、少なくとも部分的に、平面形態を有してもよい。例えば、電極部の1つ若しくは複数及び/又は非導電材料は、例えば(印刷インクなどの)膜又は被覆のそれより大きい、例えば0.5mm又は1mmより大きい厚さを有してもよい。電極部の1つ若しくは複数及び/又は非導電材料は、層として形成されてもよい。層の厚さは、実質的に均一又は不均一であってもよい。非導電材料は、複数の電極部の1つ又は複数のプロファイルに実質的に合致するように複数の電極部の上に又はそれを覆って形成されてもよい。非導電材料は、更に電極部間に形成されてもよい。
【0018】
複数の電極部及び非導電材料は、1つ又は複数のユーザ対話領域を備えるように、任意選択で又は好ましくは成形によって、形成されてもよい。1つ又は複数のユーザ対話領域は、トラックパッドなどのタッチ対話領域、又はプッシュ、プル、ツイスト及び/若しくはトグル・スイッチなどの力対話領域であっても又はそれを含んでもよい。
【0019】
それぞれの、例えば隣接する電極部間に間隙が存在してもよい。例えば、1つの電極部が、間隙によって別の電極部から分離されてもよい。非導電材料は、間隙に更に設けられてもよい。代替的に、間隙は、空洞又は空隙であっても又はそれを含んでもよい。一実施例において、電極部は実質的に同じ平面にあり、それらの間の間隙が同じ平面にある。他の実施例において、電極部及び間隙は、同じ平面に配置される必要はない。
【0020】
複数の電極部の1つ又は複数が、非導電材料に加えられる力又は圧力に応答して少なくとも1つの他の電極部に対して移動するように構成されてもよい。非導電材料は、上記電極部に隣接していてもよい。上記電極部間の相対移動が、それらの間の静電容量の変化を引き起こしてもよい。静電容量の変化は、1つ又は複数の電気信号の変化をもたらす。
【0021】
力又は圧力が(例えば非導電材料に)加えられると、電極部の1つ又は複数の移動が間隙を変化させてもよい。間隙の変化は、1つ又は複数の電気信号で検出可能な、上記電極部それらの間の静電容量の変化を引き起こしてもよい。
【0022】
デバイスは、突出部を更に備えてもよい。突出部は、非導電材料に形成されてもよい。突出部は、ユーザが握る、動かす及び/又は力若しくは圧力を加える(例えば、押す、引く、押しつぶす/圧縮する、ねじる)ように構成又は配置されてもよい。例えば、突出部は、ユーザが握る/動かすことができる特定の3D形状を有してもよい。デバイスは、突出部の移動が1つ又は複数の電極部と複数の電極部の少なくとも他の1つとの間の相対移動を引き起こすように構成されてもよい。例えば、複数の電極部の1つ又は複数が突出部内へ延びてもよい。
【0023】
デバイスは、突出部の押し、引き及び/又はねじり移動を検出するように構成されてもよい。例えば、突出部に加えられる各種類の移動又は力は、結果として1つ又は複数の電気信号の一意の且つ/又は識別可能な変化になってもよい。
【0024】
デバイスは、非導電材料に沿った導電性物体の移動に応答して1つ又は複数の電気信号の変化をもたらすように更に構成されてもよい。導電性物体は、非導電材料の表面と接触していても又は非導電材料の表面に近くてもよい。例えば、導電性物体は、複数の電極部の少なくとも1つと容量的に相互作用するために、その或る範囲上方又は内にあってもよい。
【0025】
複数の電極部の少なくとも1つが、非導電材料に沿った導電性物体の線形及び/又は円形移動に応答して1つ又は複数の電気信号を提供するように整形及び配置されてもよい。
【0026】
複数の電極部の少なくとも1つが、1つ又は複数の中空及び/又は凹部を含んで、電極部上の任意の2つの所与の点間の所定の抵抗をもたらしてもよい。例えば、規則的配列を形成する複数の中空及び/又は凹部があってもよい。1つ又は複数の中空及び/又は凹部は、2点間の非線形導電路を画定してもよい。代替的又は追加的に、1つ又は複数の中空及び/又は凹部は、2点間の複数の線形及び/又は非線形導電路を画定してもよい。
【0027】
複数の電極部の少なくとも1つが、複雑形状及び/又は繰り返し幾何学パターンであって又はそれを含んで、任意の2つの所与の点間の所定の抵抗をもたらしてもよい。
【0028】
有利には、電極部の1つ又は複数を複雑形状に並びに/又は1つ若しくは複数の中空及び/若しくは凹部を付けて形成することは、導電材料の抵抗率を変化させることなく、電極部又は上記電極部を含む電極上の任意の2つの所与の点間の抵抗を増加させることができる。2点間の抵抗を増加させることは、導電性物体が2点間の距離にわたって進行するにつれて電気信号の変化を増加させ、したがってデバイスの感度及び/又は位置感知分解能を上昇させる。
【0029】
各電極/電極部は、単純又は複雑形状に形成されてもよい。少なくとも2つの隣接する電極部が、互いと接触してか接触しないでか、1つ又は複数の方向に重なり合うように構成されてもよい。例えば、1つ又は複数の方向は、X、Y若しくはZ方向、又はいかなる他の方向であってもよい。少なくとも2つの隣接する電極部は、互いとかみ合うように構成されてもよい。かみ合い部は、導電性物体との同じ重なり範囲を占有しないように構成されてもよい。電極部は、互いの間に介在されることができる1つ又は複数の指又は突出部を有してもよい。
【0030】
代替的又は追加的に、複数の電極部及び/又は非導電材料は、少なくとも部分的に、3次元プロファイル表面を有してもよい。1つ又は複数の電気信号は、非導電材料の表面にわたる導電性物体の移動に応答して変化してもよい。
【0031】
非導電材料は、実質的に可撓性、変形可能又は柔軟材料から形成されても又はそれを含んでもよい。例えば、非導電材料は、少なくとも厚さ方向に変形可能であってもよい。代替的に、非導電材料は、実質的に剛性材料から形成されても又はそれを含んでもよい。
【0032】
複数の電極部は、実質的に剛性の導電材料から形成されても又はそれを含んでもよい。代替的に、複数の電極部は、実質的に可撓性の、変形可能な又は柔軟な導電材料から形成されても又はそれを含んでもよい。例えば、導電材料は、少なくとも厚さ方向に変形可能であってもよい。
【0033】
熱成形可能な導電材料は:導電材料を含むシリコーン・ゴム、導電性天然ゴム、及び導電性プラスチック材料の1つ又は複数であっても又はそれを含んでもよい。例えば、導電性プラスチック材料は、導電性ポリウレタン、導電性熱可塑性エラストマ及び導電性アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの1つ又は複数であっても又はそれを含んでもよい。
【0034】
非導電材料は、シリコーン・ゴム、天然ゴム、プラスチック材料、及び熱成形織物若しくは合成皮革の1つ又は複数であっても又はそれを含んでもよい。例えば、プラスチック材料は、ポリウレタン、熱可塑性エラストマ及び熱可塑性ポリウレタンの1つ又は複数であっても又はそれを含んでもよい。
【0035】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様に係る感知デバイスを製造する方法が提供される。方法は、オーバー・モールド工程を含んでもよい。オーバー・モールド工程は、複数の電極部を覆って非導電材料を形成すること、又はその逆を含んでもよい。方法は、最初に複数の電極部又は非導電材料を形成することと、次いで最初に形成された複数の電極部又は非導電材料を覆って複数の電極部又は非導電材料の他方を形成することとを含んでもよい。
【0036】
本発明の第3の態様によれば、第1の態様に係るセンサ・デバイスを使用して電気信号を感知する方法が提供される。方法は、選択的に導電性物体を非導電材料に近づける、それと接触させる及び/又はそれに沿わせることを含んでもよい。代替的又は追加的に、方法は、選択的に非導電材料に力又は圧力を加えて、複数の電極部の少なくとも1つと複数の電極部の少なくとも他の1つとの間の相対移動を引き起こすことを更に含んでもよい。
【0037】
本発明の第4の態様によれば、第1の態様に係るセンサ・デバイス及び測定装置を備えるシステムが提供される。測定装置は、使用時に、センサ・デバイスから1つ又は複数の電気信号を受信するように構成されてもよい。測定装置は、或る期間にわたるセンサ・デバイスからの1つ又は複数の電気信号を処理し、そして1つ又は複数の電気信号の変動又は特性から、導電性物体でのセンサ・デバイス上のタッチの位置、デバイスに沿った導電性物体の移動速度、導電性物体の移動方向、非導電材料に及ぼされる圧力、及び/又は複数の電極部の少なくとも1つの、複数の電極部の別の1つに対する移動方向を決定する命令を含んでもよい。
【0038】
本発明の第5の態様によれば、第1の態様に係るセンサ・デバイスを備える自動車制御システムが提供される。
【0039】
本発明の第6の態様によれば、第1の態様に係るセンサ・デバイスを備える仮想現実制御システムが提供される。
【0040】
本発明の別々の態様及び実施例の文脈で記載される特徴が一緒に使用されても及び/又は交換可能であってもよい。同様に、特徴が、簡潔のために、単一の実施例の文脈で記載される場合、これらは別々に又は任意の適切な下位組合せで設けられてもよい。デバイスに関連して記載される特徴が、方法に関して定義可能な対応する特徴を有してもよく、そしてこれらの実施例は具体的に想定される。
【0041】
本発明が十分に理解されることができるために、ここで実施例が添付図面を参照しつつ単に例として述べられることになる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】導電材料の層を備える先行技術のセンサ・デバイスを例示する。
【
図2】非導電材料の層によって覆われる導電材料の層を備える本発明の一実施例に係るセンサ・デバイスの横断面図を示す。
【
図3a】テクスチャ表面を持つ
図2のセンサ・デバイスを図示する。
【
図3b】テクスチャ表面を持つ
図2のセンサ・デバイスを図示する。
【
図3c】
図3a及び3bのセンサ・デバイスから発生される実例出力信号を図示する。
【
図4a】非導電材料の層下に複数の別々の導電性電極を備えるセンサ・デバイスの横断面図を示す。
【
図4b】非導電材料の層下に複数の接続された導電性電極を備える別のセンサ・デバイスの横断面図を示す。
【
図5】非導電材料の層下に複数の導電性電極を備える別のセンサ・デバイスの横断面図を示す。
【
図7a】
図6のセンサ・デバイスの一部の半透視図を示す。
【
図7b】
図6aのセンサ・デバイスからの導電性電極の上面図を示す。
【
図7c】
図7aのセンサ・デバイスからの対応する例証的な出力信号を図示する。
【
図8a】
図6のセンサ・デバイスの別の一部の半透視図を示す。
【
図8b】
図8aのセンサ・デバイスからの導電性電極を図示する。
【
図8c】
図8aのセンサ・デバイスからの対応する例証的な出力信号を図示する。
【
図9】
図7a及び8aのセンサ・デバイスからの例証的な出力信号を図示する。
【
図10c】
図10aのセンサ・デバイスによって検出可能な例証的なユーザ対話を例示する。
【
図11a】ハンドヘルド・センサ・デバイスの半透視図を示す。
【
図12a】ハンドヘルド・センサ・デバイスの更なる実例を図示する。
【
図12b】ハンドヘルド・センサ・デバイスの更なる実例を図示する。
【
図13a】ハンドヘルド・センサ・デバイスの更なる実例を図示する。
【
図13b】ハンドヘルド・センサ・デバイスの更なる実例を図示する。
【
図15a】導電性電極のための実例多点測定構成を図示する。
【
図15b】導電性電極の多点測定からの対応する例証的な出力信号を図示する。
【
図19a】テクスチャ表面の更なる実例を図示する。
【
図19b】テクスチャ表面の更なる実例を図示する。
【
図19c】テクスチャ表面の更なる実例を図示する。
【
図19d】テクスチャ表面の更なる実例を図示する。
【
図19e】テクスチャ表面の更なる実例を図示する。
【
図19f】テクスチャ表面の更なる実例を図示する。
【
図19g】テクスチャ表面の更なる実例を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の態様及び実施例は、ユーザが対話する非導電「インタフェース」層によって覆われる導電「感知」材料の層を備える。導電感知材料は、非導電インタフェース材料によって結合、支持及び電気的に絶縁されて完全なシームレスの集合体を形成する離散電極のネットワークを形成することができる。層は、広範囲のタッチ感知及び触覚ユーザ対話機能性を持つユーザ・インタフェース・デバイスを提供するように配置される。
【0044】
本発明を理解する上での鍵は、特定の3D形状(例えば横断面、プロファイル及び/又は表面輪郭)並びに任意の2つの所与の点間の抵抗が別の仕方では達成可能でないであろう仕方で区別されるようにする抵抗率を有するように設計並びに形成されるスマート導電感知材料の使用である。以下でより詳細に説明されるように、3D形状は、側面から見て実質的に平面であっても、且つ/或いは繰り返し表面プロファイル・パターン、中空、及び/又はネット若しくはメッシュ配列型構造を含んでもよい。加えて、導電感知材料の3D形状は、変形されると、デバイスが、展性及び/又は可撓性などの或る意図された機械的性質を呈するようにして、感知技術の機能性を拡張してもよい。導電感知材料から形成される電極の3D設計は、デバイスが導電性及び/又は非導電性物体との相互作用に応答して動作することを許容する。
【0045】
導電感知材料は、用途に応じて、剛性で、軟質で、柔軟で及び/又は変形可能であってもよい。インタフェース材料は剛性であってもよいが、ユーザへのソフト触覚フィードバック及び更なるデバイス機能性を提供するために、好ましくは軟質で、柔軟で且つ/又は変形可能である。
【0046】
図1は、配線又は感知点30で測定装置50に接続される一片の導電感知材料10を図示する。本出願人の先願PCT/EP2016/025067に開示されているように、導電感知材料10の表面に沿って(図示されるように、人間の指などの)導電性物体40を接触させる、押しつける及び/又は動かすことが、配線点30で測定される出力信号の検出可能な変化を引き起こす。出力信号55は、
図1に描かれるように、好ましくは、静電容量又は電圧示度などの時変電気信号である。この場合、導電性物体40で導電感知材料10にタッチすることは、それを接地させて、出力信号55の変化として測定装置50によって検出されることができる、表面上の接触範囲での静電容量及び/又は電圧の変化を引き起こす。示度は接触面積に比例している。この実例では、導電感知材料10は軟質且つ感圧性である。導電感知材料により強く押しつけることが、結果として出力信号55のより大きな変化になってもよい。
【0047】
導電材料10は、PCT/EP2016/025067に記載されているように、いかなる既定の3D形状にも形成されてもよく、且つそれに沿った導電性物体40の移動に応答して上記出力信号55の一意の個別的(tailored)変化を生じさせるように構成される3Dプロファイル又はテクスチャ表面を有してもよい。出力信号55の一意の変化は、検出され、そして電子デバイス/システムを制御する(例えば音量、移動又は照明制御)信号に変換されることができる。テクスチャ表面から生成される一意の出力信号55は、導電性物体40の移動の位置、速度及び方向の決定を補助するためにも使用されてもよい。テクスチャ表面は、人によって操作又はタッチされるときに触覚フィードバックも提供してもよい。
【0048】
容量性タッチ感知は、導電材料10に接触している又は近い導電性物体40に依存している。上記した感知概念は、したがって、導電材料10が非導電材料20によって覆われる場合にも当てはまる。
【0049】
多層デバイス100を図示する本発明の実施例が
図2に図示される。この場合、非導電材料20の表面に沿って導電性物体40を接触させる、押しつける及び/又は動かすことが、出力信号55の検出可能な変化を引き起こす。ここで、導電性物体40は、導電材料40と容量的に相互作用して、接触範囲での電圧及び/又は静電容量を変えて、出力信号55の検出可能な変化を引き起こす。発生される出力信号55は、導電性物体40及び導電材料10の重なり面積に比例している。発生される出力信号55は、導電性物体40と導電材料10との間の分離に反比例もしている。
【0050】
デバイス100は、非導電材料20の表面21との導電性物体40の単なる接触又はタッチに応答することになる。デバイス100は、非導電材料20の表面21への導電性物体40の近接にも応答してもよい。例えば、デバイス100は、非導電材料20の表面21から既定の範囲内の導電性物体40の存在を検出してもよい。非導電材料20が実質的に軟質又は変形可能である場合、デバイス100は更に感圧/力性であってもよい。すなわち、非導電材料20の表面21により強く押しつけることが、例えば導電性物体40と導電材料10との間の分離の減少のため及び/又は下にある導電材料10の少しの変形のためでも、より大きな出力信号55を発生してもよい。
【0051】
図1及び2が導電材料10上に単一の配線点30を持つ配置、すなわち単点測定を図示するが、導電材料10上に2つ以上の配線点30が存在して多点測定に使用されてもよい。各配線点30は、測定装置50が検出及び処理してタッチ位置、移動の速度及び/又は方向を決定することができる別々の異なる出力信号55を提供してもよい。
【0052】
測定装置50は、コンピューティング又は処理デバイス(例えば1つ又は複数のマイクロコントローラ)を備えてもよく、そしてデバイス100から受信される出力信号の処理を可能にするための命令をホストするように構成されてもよい。例えば、コンピューティング又は処理デバイスは、準リアル・タイムで、導電材料10の1つ又は複数の区間上の1つ又は複数の配線点から受信される出力信号からタッチ位置、速度及び方向を導出するように構成されてもよい。
【0053】
測定装置50は、プロセッサ、記憶デバイス及び非一時的な機械可読記憶媒体(図示せず)を含んでもよい。機械可読記憶媒体は、プロセッサがどのように入力データを受信して、その入力データ(デバイス100からの出力信号)を、例えばディスプレイ、接続された印刷デバイス上の若しくは音声出力を介する出力データに、又は補助デバイス若しくはシステムのための制御信号に変換するかを制御する命令を含んでもよい。
【0054】
デバイス100は、1つ又は複数の電線又は電子コネクタ(図示せず)を介して、デバイス100からの出力信号を変換するために設けられる信号処理手段を備える中間処理デバイスに更に接続されてもよい。次いで、中間デバイスは、適切な接続手段、例えばUSBポート又は無線技術を介して測定装置50に(有線又は無線で)接続されてもよい。無線技術は、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(登録商標)、IR等であってもよい。測定装置50は、測定信号及び/若しくはその信号を表す情報を表示し、且つ/又は信号によって引き起こされるソフトウェア・アプリケーションとの対話を提供するように構成されてもよい。
【0055】
導電材料10は、用途に応じて、実質的に剛性で、軟質で、変形可能で及び/又は可撓性であってもよい。導電材料10は、熱成形可能材料であっても又はそれを含んでもよい。実施例において、導電材料10は:導電性粒子及び任意選択で炭素充填材などの導電材料を含むシリコーン・ゴム;グラファイト若しくはカーボン・ナノチューブ(CNT:Carbon Nanotube)と混合されるシリコーン・ゴム;導電性ゴム;並びに/又は導電性ポリウレタン、導電性熱可塑性エラストマ(TPE:Thermoplastic Elastomer)及び/若しくは導電性アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS:Acrylonitrile Butadiene Styrene)を含む導電性プラスチックであっても又はそれを含んでもよい。材料は、制御可能な導電率(例えば導電材料含有量に依存する)を伴う或る範囲の硬度特性(例えばシリコーン・ベースに依存する)を有することができる。導電材料10は、例えばその側面の1つの上に伸縮織物層及び/又は導電性塗料も有してもよい。
【0056】
導電層10は、単一の材料であっても若しくはそれから形成されても、且つ/又はいかなる部品の組立ても必要とすることなく単一の成形品から形成されてもよい。導電材料10の導電率は、導電材料10を横切って及び通して変動することができる。言い換えれば、単位片の導電材料10の導電率は調整されることができる。これは、導電材料10内の導電成分の濃度を、異なる導電率の領域を提供するように変動させることによって達成されることができる。これは、導電成分を調整する又は導電性領域を分離する(例えば一片の導電材料上の別々の領域に導電材料を加える)ことによっても達成されてもよい。異なる導電率の領域は、異なる電気出力信号55を生成することになる。そのため、たとえ導電材料10の2つの領域が同じようなプロファイルにされても、これらの領域が異なる導電率を有していれば、それらの表面に沿って導電性物体40を動かすことで、自身が区別されることを可能にする異なる電気信号を発生するであろう。この代替/追加手段では、移動している指/物体の位置が検出されることができる。
【0057】
導電材料10は、部分的に、非導電性領域を含んでもよい。本発明の実施例は、したがって、材料の残部と比較して比較的高い又は低い導電率、ゼロ又はゼロに近い導電率の導電材料10の1つ又は複数の領域を提供することができる。
【0058】
非導電材料20は、用途に応じて、実質的に剛性で、軟質で、変形可能で及び/又は可撓性であってもよい。導電材料10は、熱成形可能材料であっても又はそれを含んでもよい。実施例において、非導電材料20は:シリコーン・ゴム;天然ゴム;並びに/或いはポリウレタン、TPE、Hytrel(商標)(Du Pontからの一種のTPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU:Thermoplastic Polyurethane)及び/又は熱成形織物若しくは合成皮革を含むプラスチック材料であっても或いはそれを含んでもよい。非導電材料20は、或る範囲の硬度特性(例えばシリコーン・ベースに依存する)を有することができる。
【0059】
導電材料10及び/又は非導電材料20は、成形工程によって形成されてもよい。例えば、射出成形、熱成形、押出し、圧縮成形、ブロー成形及び/又は熱プレス。有利には、そのような熱成形工程は、導電材料10及び/又は非導電材料20が、高度な繰り返し性で大量に広範囲にわたって、且つ比較的低費用で、ほとんどいかなる3D形状にも形成されるようにする。
【0060】
代替的又は追加的に、導電材料10及び/又は非導電材料20の層の少なくとも一部を形成するために、3Dプリンティング工程が使用されてもよい。複雑な形状及び詳細が必要とされる場合に3Dプリンティングが適切であることができる。
【0061】
代替的に、形成工程は、1つ又は複数の切断ステップを含んでもよい。例えば、導電材料10は、最初に成形されて、次いで既定の3D形状及び/又はパターンに切断されてもよい。いかなる公知の減算切断工程、例えば、レーザ切断、ミリング又はエッチングが使用されてもよい。
【0062】
一実施例において、導電材料10が最初に形成され、次いで非導電材料20が導電材料10を覆って形成される。そのような工程は「オーバー・モールド」と称されてもよい。そのような場合、要件は、導電層10をリフローさせること及び2つの層10、20の混合を回避するために、非導電材料層10(すなわちオーバー・モールド層)の成形温度が導電材料層10の成形温度より低いということである。代替的に、導電材料10が非導電材料20を覆って形成される用途があってもよい。いずれの場合も、成形温度が高い方の材料が最初に成形されなければならない。
【0063】
代替的又は追加的に、導電材料10及び/又は非導電材料20は、別々に形成され、次いで共に組み立てられても又は結合されてもよい。これは、例えば、2つの材料の成形温度が同程度である場合に、又は非導電材料層20の上に導電材料10の追加層が必要とされる、若しくはその逆の場合に必要であろう。
【0064】
上記したように、デバイス100の導電材料10及び/又は非導電材料20は、いかなる既定の3D形状にも形成されてもよく、且つそれに沿った導電性物体40の移動に応答して出力信号55の一意の変化を生じさせるように、及び/又は人によって操作若しくはタッチされるときに触覚フィードバックを提供するように構成される3Dプロファイル又はテクスチャ表面を有してもよい。非導電層20のプロファイル表面21及び導電層10のプロファイル表面11を有するデバイス100の実例が、それぞれ、
図3a及び3bに図示される。プロファイル表面11、21は、例えば規則的又は不規則な幾何学パターンのテクスチャにされてもよい。幾何学パターンは、導電材料10の表面11にわたる上昇及び/又は下降の変動によって形成されてもよい。幾何学パターンは、複数の不連続部及び/又は起伏を含んでもよい。幾何学パターンは、
図3a及び3bに図示されるように、表面11にわたって複数の頂部12及び谷部14をパターンで含んでもよい。頂部12及び谷部14の高さ、深さ及び/又は幅は等しい必要はない。3Dプロファイル表面の更なる実例が
図19a~19gに図示される(導電材料10だけが図示されるが、実例パターンが非導電層20に等しく当てはまることが認識されるであろう)。
【0065】
導電材料10の表面11又は非導電材料20の表面21がプロファイル/テクスチャにされるかを問わず、導電性物体40と導電材料10との間の相互作用の容量性の本質のため出力信号55の一意の且つ識別可能な変化が発生されてもよい。
図3cは、テクスチャ表面11又は表面21(例えば
図3a、3b及び
図19a~19gのいずれかに図示される)を持つデバイス100に沿って導電性物体40を動かすことによって観察されることができる種類の出力信号55の変動の簡単な例示を図示する。測定装置50は、出力信号55を解釈して導電性物体40の移動の位置、速度及び方向を決定するように構成されてもよい。例えば、測定装置50は、出力信号55の振動若しくは頂部/谷部の数及び/又はそれらの周波数を計数し、そして観察された時変信号及び/又は信号特性を予め記憶されたプロファイル・データと照合するように構成されてもよい。
【0066】
図4aは、非導電材料20で覆われる(又はオーバー・モールドされる)複数の別々の導電部又は素子10a、10b、10cを形成するように成形(又は切断)された導電材料10を備える実例デバイス200を図示する。3つの導電素子が図示されるが、デバイス200は任意の数の導電素子を備えてもよい。各導電素子10a、10b、10cは、非導電材料20によって隣接素子10a、10b、10cから物理的に分離及び電気的に絶縁されてもよい。そのため、各導電部又は素子10a、10b、10cは、別々の(単位)電極の一部を形成してもよい。代替的又は追加的に、各導電素子10a、10b、10cは、
図4bに概略的に図示されるように、物理的及び/又は電気的に接続されてもよい。この場合、各導電部又は素子10a、10b、10cは、同じ電極の一部を形成してもよい。
【0067】
複数の導電素子10a、10b、10cの各々は、それぞれの配線/測定点30a、30b、30cで測定装置50に接続されてもよい。このように、複数の導電素子10a、10b、10cは、拡大範囲にわたってタッチ感知測定を行うために測定装置50に接続可能な感知電極のネットワークを形成する。
【0068】
有利には、電極10のネットワークは、上記した熱成形工程で、既定の3D電極形状、間隔及び配置を有する単一の型を使用して同時に形成されてもよい。代替的に、各電極10は、別々に形成/成形され、そして非導電材料20による後続のオーバー・モールド工程前に適所に組み立てられてもよい。
【0069】
使用に際して、導電性物体40が非導電材料20の表面21に近づき、それにタッチし、又はそれに沿って動くと、測定装置50によって準リアル・タイムで検出されることができる1つ又は複数の配線/測定点30a、30b、30cから出力信号が発生される。測定装置50は、デバイス200上の各配線/測定点30a、30b、30cを順次(すなわち1つずつ)走査して各出力信号を別々に測定するように構成されてもよい。例えば、測定装置50は、マルチプレクサ機能を備えてもよい。走査周波数は、導電性物体40の典型的な移動速度と比較して十分に高くて、いかなる測定遅れも最小化することができ、その結果ユーザは測定/検出がリアル・タイムであると認める。例えば、走査速度は、100~200Hzの範囲であってもよい。走査速度は、用途に応じてより遅くても又はより速くてもよい。
【0070】
有利には、配線点30a、30b、30cを1つずつ走査することは、信号が一度に1つの配線点30a、30b、30cに/から送信及び/又は受信されることを保証し、したがっていかなる所与の一対の配線点間でも短絡が形成されない。その走査法は、導電素子10a、10b、10cが、例えば
図4bに図示されるように、物理的に接続され、したがって1つの型を使用して成形されるようにもする。その走査法は、
図14~18を参照しつつ以下で更に詳細に述べられることになる。
【0071】
図4a及び4bにおける各導電素子10a、10b、10cが単一の配線/測定点30a、30b、30cを有するとして図示されるが、他の実例では、各導電素子10a、10b、10cは、任意の数の配線/測定点を有し、各配線/測定点が、導電素子10a、10b、10cにおける枢要点から測定装置50に別々の出力信号55を提供してもよい。加えて、
図4a及び4bが、各導電素子10a、10b、10cが単一の測定装置50に接続されるのを図示するが、他の実例では、該当又は各導電素子10a、10b、10c上の該当又は各配線点30a、30b、30cからの出力信号55を測定するために2つ以上の測定装置50が使用されてもよい。
【0072】
図5は、非導電材料20に覆われる3つの導電素子又は部分10a、10b、10cを備える別の実例デバイス300を図示する。各導電素子10a、10b、10cは、測定装置50への接続のためのそれぞれの配線点30a、30b、30cを有する。3つの導電素子10a、10b、10cは、実質的に並んで配置されて、隣接する導電素子間に間隙g1及びg2を形成する。間隙g1及びg2は、所与の一対の隣接する導電素子10a、10b、10c間で既定の静電容量が測定されることができるように設計されてもよい。
【0073】
デバイス300において、非導電材料20は、実質的に軟質且つ/又は変形可能であり、導電素子10a、10b、10cの1つ又は複数の相対位置がユーザによって変化/操作されるようにしてもよい。間隙g1及び/又は間隙g2を変化させる、一対の隣接する導電素子10a、10b、10c間のいかなる相対移動も、該又は各対間の静電容量の変化を引き起こすことになり、これは測定装置50によって検出されることができる。そのため、デバイス300の動作は、導電性物体40(例えばユーザの指)と導電素子10a、10b、10cとの間の容量性相互作用よりむしろ、隣接する導電素子10a、10b、10c間の容量性相互作用に依存する。そのため、デバイス300は、導電性物体40又は非導電性物体(例えばユーザが手袋を着用している場合)を介するユーザ対話に応答して変動する出力信号55を提供することができる。3つの導電素子10a、10b、10cが
図5に図示されるが、デバイス300が、間に単一の間隙を持つ2つの導電素子を、又は4つ以上の導電素子を代わりに備えてもよいことが認識されるであろう。更に、導電素子10a、10b、10cが別々の素子として
図5に図示されるが、代替実施例において、導電部の1つ又は複数が物理的及び/又は電気的に接続されてもよい(例えば
図11bを参照されたい)。
【0074】
好ましくは、デバイス300は、ユーザが導電素子10a、10b、10cの1つ又は複数を動かすための力又は握り点310を提供するために、少なくとも1つの突出部310を備える。
図5の実例では、デバイスは単一の突出部310を備え、そして中央導電素子10bが突出部310内へ延びる。ユーザは、したがって、突出部310を握り、そして例えば傾ける、引く、押す又はねじる動作でそれを動かして、非導電材料20を変形させて出力信号の変化を引き起こしてもよい。この実例では、導電材料10は、非導電材料20と比較して実質的に剛性であってもよく、その結果非導電材料20は、導電素子10a、10b、10cの周囲で変形することができる。例えば、導電材料10はABS又はTPUを含んでもよい。
【0075】
一実施例において、突起310内へ延びる導電素子10bは、測定を行うときに接地されてもよい。ユーザによって扱われる/動かされる導電素子10bを接地することは、ユーザの指がその他の導電素子10a、10cからの出力信号に及ぼすことがあるいかなる容量性影響も、例えばそれを遮蔽することによって、最小化することができる。
【0076】
以下で
図8を参照しつつより詳細に記載されるように、導電材料10が実質的に剛性である場合、導電素子10a、10b、10cの少なくとも1つが、導電素子10a、10b、10cのその少なくとも1つに1つ又は複数の枢要な中空及び/又は張出し構造を一体化することによって、ユーザが力を加えてそれを動かした上でたわむ、曲がる又は変形するように設計されることができる。
【0077】
追加の機械及び/又は電気部品がデバイス100、200、300に含まれて、以下でより詳細に述べられることになるように、LED、印刷アイコン、押し/引き/ねじり対話のための可動部品及び/又は力覚フィードバックなど、ユーザへの視覚及び/又は触覚フィードバックを強化してもよい。例えば、そのような追加部品は、オーバー・モールド工程において非導電材料20に一体化されることができる。
【0078】
形成工程により、非導電材料20及び導電材料10から形成される電極は、いかなる任意の3D形状もとることが且ついかなるフットプリント又は表面にも合致することができる。これは、デバイス100、200、300が特定の3D形状を有するように設計及び形成され、且つ別の3D形状の部品、例えば自動車内装と完全に一体化可能であることを可能にする。それは、任意の2つの所与の点間の導電材料10の抵抗が別の仕方では達成可能でないであろう仕方で区別されるようにもする。
【0079】
図6は、自動車内装における制御システムの一部を形成してもよい組立体1000を図示する。組立体1000は、3つのタッチ・スイッチ210(例えばどのミラーを制御するかを選択するため)及びホイール形状のトラックパッド220(例えば選択したミラーを制御するため)を備えるデバイス2000を含む。組立体1000は、例えば、ウインドウ制御のために使用されてもよい一対のプッシュ/プル・ボタン310を備えるデバイス3000を更に含む。
図6に図示される図では、組立体1000全体が非導電材料20の外面層を有し、そしてユーザに触覚タッチ・インタフェースを提供する。非導電材料20は、テクスチャ表面を持つ1つ又は複数の領域を有して(
図6に図示される)、ユーザにトラックパッド220を表し若しくは示し、ユーザの指の位置を決定するのを補助し且つ/又はユーザへの触覚フィードバックを提供してもよい。
【0080】
図7aは、非導電材料20内の導電素子10を明らかにする、デバイス2000の半透視図を示す。タッチ・スイッチ210及びトラックパッド220の位置が見える。タッチ・スイッチ210はデバイス100と同様に動作してもよい。すなわち、ユーザが導電性物体で非導電材料20の表面にタッチすると、下の各導電素子10からの出力信号の変化が検出され、そして制御信号を発生するために使用されることができる。
【0081】
図7bは、トラックパッド220の一部を形成する導電素子又は部分10を図示する(上の導電材料20は明確にするために省略される)。図示されるように、トラックパッド220は、4つのセンサ電極S1、S2、S3、S4を形成する4つの離散導電素子を備える。各電極S1、S2、S3、S4は、測定装置50(図示せず)に接続するための少なくとも1つのそれぞれの配線/測定点30a、30b、30c、30dを備える。
【0082】
デバイス2000は、デバイス200と同様に動作する。使用に際して、ユーザが導電性物体40(例えば指)でトラックパッド220にタッチして、トラックパッド220の周囲でそれを動かすと、各配線点30a、30b、30c、30dに対する導電性物体40の位置が変化する。センサ電極S1、S2、S3、S4の設計のため、導電性物体40が、例えば太い矢印によって示される方向に、トラックパッド220の周囲で動くにつれて、導電性物体40と各センサ電極S1、S2、S3、S4の導電材料10との間の重なり範囲が変化して、各センサ電極S1、S2、S3、S4からの出力信号の対応する変化を引き起こす。この変化は、実質的に滑らかであることができる。測定装置50は、出力信号を解釈して導電性物体40の移動の陽電子、速度及び方向を決定するように構成されてもよい。別々の導電素子/電極が
図7bに図示されるが、他の実施例において、複数の導電素子又は部分を持つ単位電極が使用されて、同様に動作してもよく、例えば
図11bのトラックパッド520を参照されたい。
【0083】
図7cは、導電性物体40がトラックパッド220の非導電材料の表面に沿って時計回りの円方向に(
図7bに太い矢印によって示される)且つ一定速度で動かされるときに
図7bのセンサ電極S1、S2、S3、S4の配置から観察されることができる出力信号挙動対時間の実例を図示する。各別々の電極S1、S2、S3、S4からの出力信号が示され、連続アナログ方式で滑らかに変化する。導電性物体40が各センサ電極S1、S2、S3、S4のそれぞれの配線点30a、30b、30c、30dの直接上に又は近くに位置決めされるときに、出力信号55の最大振幅又は変化が観察される。導電性物体40が各センサ電極S1、S2、S3、S4のそれぞれの配線点30a、30b、30c、30dから離れるにつれて、出力信号振幅は減少する。
【0084】
各センサ電極S1、S2、S3、S4からの時変出力信号55の正確な形態が、導電性物体40が移動される速度に依存することになることが理解されるであろう。しかしながら、一定速度の移動の場合、各センサ電極S1、S2、S3、S4からの出力信号は、センサ電極S1、S2、S3、S4の設計に応じて、実質的に時間対称又は時間非対称であってもよい。
図7bにおいて、センサ電極S1、S2、S3、S4は、経時的に非対称出力信号に至る非対称設計を有する。この場合、各センサ電極S1、S2、S3、S4は、配線点30a、30b、30c、30dから離れて延びる複数の指状突出部を有する。各対の隣接するセンサ電極S1、S2、S3、S4の指状突出部は、導電性物体40が両方の隣接するセンサ電極S1、S2、S3、S4からの導電材料10と同時に相互作用することができる重なり領域(
図7bに点線ボックスAによって示される)があるように、かみ合わされる。これにより、測定装置50がトラックパッド220の周囲のいかなる点でも導電性物体40の移動の陽電子、速度及び方向を決定するようにする。
図7bに図示されるように、指状突出部の配置は、配線点30a、30b、30c、30dのいずれの側も非対称であり、経時的に非対称出力信号に至る。これは、導電性物体40の移動の速度及び方向の決定を更に補助することができる。
【0085】
指状突出部が
図7bの実例に図示されるが、上記した検出原理がセンサ電極S1、S2、S3、S4の多数の異なる設計を使用して達成されてもよいことが認識されるであろう。更に、4つのセンサ電極S1、S2、S3、S4が
図7bに図示されるが、一般に、2つ以上のセンサ電極が使用されてもよいことが認識されるであろう。
【0086】
図8aは、プッシュ/プル・ボタンの1つのための非導電材料20内の導電素子10a、10b、10cを明らかにする、デバイス3000の拡大半透視図を示す。導電素子10a、10b、10cは、
図8bにおいてより明らかに図示されるように、隣接する導電素子間に間隙g1及びg2を設けて配置される3つのセンサ電極S1、S2、S3を形成する。各センサ電極S1、S2、S3は、1つ又は複数の配線点30を有する。デバイス3000は、非導電材料20によって形成される隆起部310(この場合、プッシュ/プル・ボタンの形態)を備え、中央導電素子10b(センサ電極S2)が隆起部310内へ延びている。この実例では、非導電材料20は可撓性で且つ変形可能であり(例えばTPEから形成される又はそれを含む)、そして導電材料10は比較的剛性である(例えばABS又はTPEから形成される又はそれを含む)。特に、この実例では、隆起部310内へ延びる導電素子10bの3D形状は、異なる厚さの部分、中空320及び張出し構造330を一体化することによって、たわみ且つ変形するように設計される。
【0087】
デバイス3000は、デバイス300と同様に動作する。使用に際して、ユーザがプル/プッシュ・ボタンと対話して、隆起部310及び内部導電素子10bを(例えば
図8bに図示されるいずれかの方向に)移動させると、間隙g1、g2間の非導電材料20が変形する。これは、隣接するセンサ電極S1、S2、S3間の間隙g1及び/又はg2を変化させて、出力信号の測定可能な変化を引き起こす。隆起部310内へ延びる導電素子10bが使用中に接地されて、ユーザの指が2つの間隙g1、g2間の静電容量に及ぼすことがあるいかなる影響も最小にしてもよい。
【0088】
図8cは、ユーザがボタンを押す又は引くときに
図8bのセンサ電極S1、S2、S3の配置から観察されることができる出力信号挙動対時間の実例を図示する。電極S1及びS2からの出力信号が示され、デバイス2000と同様に、連続アナログ方式で滑らかに変化する。
【0089】
使用に際して、ユーザがデバイス2000及び/又は3000と対話するとき、測定装置50は、信号処理アルゴリズムを行ってタッチ位置、移動速度及び/又はタッチ・ジェスチャを決定するように構成されてもよい。
【0090】
有利には、上記したデバイス100、200、2000、3000は、追加のユーザ・フィードバック要素を更に含んでもよい。ユーザ・フィードバックは、触覚/力覚、視覚及び/又は音声であって、デバイス100、200、2000、3000とのユーザ・タッチ又は対話が検出されることに応答してユーザに物理的、視覚及び/又は音声刺激を提供してもよい。追加のユーザ・フィードバック要素は、例えば成形工程中に、非導電材料10内に一体化されてもよい。
【0091】
一実例では、デバイス100、200、2000、3000は、ユーザがデバイスにタッチする又はそれと対話することに応答して起動される1つ又は複数の発光デバイス(例えばLED)を更に備えてもよい。
図6を参照しつつ、例えば、ユーザがタッチ・スイッチ210の1つにタッチして、例えば調節するミラーを選択すると、LEDが起動して、どのボタン/スイッチ/ミラーが選択されたかの視覚インジケータを提供してもよい。
【0092】
触覚フィードバック要素は、力覚フィードバック部品であっても又はそれを含んでもよい。力覚フィードバック部品は、いかなる力覚技術でもあってもよい。例えば、力覚フィードバック部品は、発振器、振動子、モータ、コイン・モータ、圧電モジュール、偏心回転質量(ERM:Eccentric Rotating Mass)モータ及び/又はリニア共振アクチュエータ(LRA:Linear Resonant Actuator)であっても又はそれを含んでもよい。力覚フィードバック要素は、既定の対話が検出されること、例えばボタン210にタッチする又はプッシュ/プル・ボタン3000を動かすことに応答して、ユーザに物理的刺激を提供してもよい。
【0093】
代替的又は追加的に、ユーザ・フィードバック(力覚、視覚、音声及び/又はその他)の強度は、検出される関連出力信号の大きさに従って段階的であっても又は調整されてもよい。段階的/調整型フィードバックがどのようにデバイス3000に対して実装されることができるかの実例が
図9に例示され、これはセンサ電極S1からの出力信号対時間を図示する。ユーザがボタン310を押し下げて(又は起こして)間隙g1、g2における非導電材料20の変形を生じさせると、連続出力信号(圧力信号)が異なる振幅で生成される。例えばユーザによって加えられる力又は電極S1、S2、S3によって進行される距離に比例している出力信号に対して様々な閾値を定めることによって、各閾値は、異なる種類及び/又は強度のユーザ・フィードバック効果を起動するために使用されてもよい。力覚フィードバックの場合、この手法は、デバイス3000が通常は機械式押しボタンで感じられることがある調整型タッチ・フィードバックを模倣するようにしてもよい。例えば、デバイス3000の力覚フィードバックは、ユーザ指行程距離に従って「クリック」を提供してもよい。したがって、デバイス3000は、機械部品組立の必要なく、機械的にふるまうと認められてもよく、それによって生産費を削減する。ユーザ・フィードバック(力覚、視覚、音声及び/又はその他)は、記載したデバイス100、200、2000、3000のいずれに対しても同様に実装されてもよい。
【0094】
図10aは、ねじり又は突出ハンドル410を備えるデバイス4000の実例を図示する。ねじりハンドル410は、例えば、自動車室内の座席及び/又は照明を制御するために使用されてもよい。図示されるように、デバイス4000は非導電材料20で覆われる。デバイス4000は、1つ又は複数のタッチ・ボタン及び/又はトラックパッド420を更に備えてもよい。タッチ・ボタン及び/又はトラックパッド420は、例えば、制御するシート又はライトを選択するために使用されてもよい。非導電材料20は、トラックパッド420上方にテクスチャ表面を有して、ユーザにトラックパッド420を表し若しくは示し、ユーザの指の位置を決定するのを補助し且つ/又はユーザへの触覚フィードバックを提供してもよい。先の実例を参照しつつ記載したように、追加のユーザ・フィードバック要素がデバイス4000に(例えば非導電材料20に)一体化されてもよい。
【0095】
デバイス4000によってサポートされるユーザ対話は
図10cに示される。図示されるように、ねじりハンドル410は、ねじりハンドル410の回転の他にハンドル410の線形傾き(押し/引き)を検出するように動作可能であってもよい。
図10bは、非導電材料20内の導電素子10を明らかにする、デバイス4000の半透視図を示す。ねじりハンドルの機能性を提供するために、ねじりハンドル410は一対のデバイス300Aを備え、それは
図5及び8のデバイス300及び3000と同様に動作する。各デバイス300Aは、隣接する導電素子間に間隙g1及びg2を設けて配置される3つの導電素子10a、10b、10cを備える。デバイス300及び3000と同様に、デバイス300Aは、ユーザがねじりハンドル410を動かすことによって間隙g1及び/又はg2内の非導電材料20が変形されると導電素子10a、10b、10cからの出力信号の変化を生成するように構成される。デバイス300Aに関する移動を検出するために使用される間隙g1及びg2は、
図10bに図示される位置A及び/又はB(並びに他方のデバイス300A上の対応する位置A’及び/又はB’)に設けられてもよい。この構成は、ユーザが突出ハンドル410をいずれかの側に曲げる、及び突出ハンドル410を時計回り又は反時計回りにねじるのを効果的に検出することができる。詳細には、ユーザがハンドル410を片側に向けて押す/引くと、両方の位置A及びA’(並びに/又はB及びB’)の間隙g1が同時に(同じ向きに)減少/増大する。ユーザが突出ハンドル410を一方向に(時計回り/反時計回りに)ねじると、一方のデバイス300A上の位置A(及び/又はB)の間隙g1が減少/増大する一方で、他方のデバイス300A上の位置A’(及び/又はB’)の間隙g1が同時に(すなわち反対の向きに)増大/減少する。
【0096】
デバイス300及び3000を参照しつつ記載したように、各デバイス300Aは、力/傾き方向が決定されることを可能にする出力信号を生成する。2つのデバイス300Aの設置は、ユーザがハンドル410をねじる又は押す/引くと、各デバイス300Aがそれぞれ反対又は同じ方向に偏向されることになり、2種類の移動が区別されるようにすることを意味する。
【0097】
図10の実例では、非導電材料20は、実質的に軟質で、可撓性で且つ変形可能である(例えばTPE又はシリコーン・ゴムから形成される又はそれを含む)。導電材料10は、比較すると実質的に剛性であってもよい(例えばABS、TPEから形成される又はそれを含む)。代替的に、導電材料10は、可撓性で且つ変形可能であってもよい(例えばシリコーン・ゴム、TPU又はTPEから形成される又はそれを含む)。
【0098】
図11aは、非導電材料20内に形成された導電素子10を示す、別の実例デバイス5000の半透視図を示す。各導電素子10は、図示されるように、1つ又は複数の配線点30を有する。各配線点30は、測定装置50(図示せず)に接続可能であってもよい。デバイス5000は、複数のユーザの手及び/又は指ジェスチャに応答して制御信号を提供するために適する1つ又は複数のデバイス510、520、530を備えるハンドヘルド・コントローラであってもよい。デバイス5000は、例えば、仮想現実(VR)制御用途のために適していてもよい。
【0099】
デバイス5000は、線形トラックパッド510を備えてもよい。トラックパッド510は、デバイス100と同様に動作し、そしてユーザが、非導電材料20の表面に又はそれに沿って自分の指(又は導電性物体)を、例えば太い矢印によって示される方向に、タッチさせる、動かす又は押しつけることに応答して出力信号を提供してもよい。出力信号は、ユーザの指の移動の位置、速度及び/又は方向を決定するために使用されてもよい。図示される実例では、トラックパッド510は単一の導電素子10を備える。導電素子10の形状は、例えば導電素子10の特定のタッチ行程距離間の特定の抵抗及び/又はトラックパッド有効感知領域の大きさを定めるように、用途に従って設計されてもよい。導電素子10は単一の電極を形成する。しかしながら、電極は、例えば各部が電極上の異なる位置に対応する、複数の電極部を含んでもよい。トラックパッド510の導電素子10は、図示されるように、実質的に湾曲、S字形又は蛇行形状のトラックであっても又はそれを含んでもよい。この実例では、S字形トラックの各区間が電極部であっても又はそれを含んでもよい。代替的に、トラックパッド510の導電素子10は、実質的に線形/矩形トラック(図示せず)であっても又はそれを含んでもよい。
【0100】
有利には、S字形トラック510を有することによって、2つの所与のタッチ位置(例えば
図11aに図示される方向に動く指に対する)の間の抵抗が制御されることができ、且つ実質的に線形トラックとした場合より大きい。詳細には、導電トラックの抵抗はR=ρ*L/Aによって与えられ、式中ρは材料抵抗率(固定される)であり、Lは長さであり、そしてAは横断面積である。S字形トラックを有することによって、全体の(すなわち伸ばした)長さLは増加され、そして横断面積Aは減少され、それによって任意の2つの固定点間の抵抗を増加させる。ユーザがトラック510にタッチする又は押しつけると、2つの所与のタッチ点間の、又は特定のタッチ行程距離に対する出力信号の変化は、したがって、拡大される。これは、タッチ位置感知のより高い空間分解能を達成する。
【0101】
デバイス5000は、トラックパッド・ホイール520を更に備えてもよい。トラックパッド・ホイール520は、トラックパッド・ホイール220と同様に動作し、そしてユーザが、非導電材料20の表面に又はそれに沿って自分の指(又は導電性物体)を、例えば太い矢印によって示される方向のいずれかに、タッチさせる、動かす又は押しつけることに応答して出力信号を提供してもよい。導電素子10の設計は、タッチ位置、線形及び円形移動がトラックパッド・ホイール520の全範囲にわたって決定されるようにする。各配線点30によって提供される出力信号は、それぞれの配線点30に対するユーザの指の位置を示してもよい。測定装置(図示せず)は、各配線点30からの出力信号を解釈し、組み合わせて、トラックパッド・ホイール520上のユーザの指の位置、方向及び/又は移動を決定するように構成されてもよい。トラックパッド・ホイール520は、複数の配線点30を持つ単一の単位導電素子10である。導電素子10は、複数の電極部を含む電極である(例えば、トラックパッド・ホイールの各アームが電極部であってもよい)。4つの配線点30が
図11aに図示されるが、トラックパッド・ホイール520は、2つ以上の配線点30を含んでもよい。更に、複数の配線点30を持つ単一の単位導電素子10を備えるとして
図11aに図示されるが、他の実例(図示せず)では、トラックパッド・ホイール520は、例えば
図7bに図示されるものと同様に配置される複数の別々の導電素子又は部分10を備えてもよい。
【0102】
デバイス5000は、1つ又は複数の押しボタン530を更に備えてもよい。該又は各押しボタン530は、デバイス300及び3000と同様に動作して、導電素子10の部分間の間隙g1(
図11bも参照されたい)内の非導電材料20の変形に応答して出力信号を提供してもよい。デバイス300、3000と対照的に、押しボタン530の間隙g1は、
図11bにおいてより明らかに例示されるように、同じ導電素子10の部分間に形成される。使用に際して、ユーザが、例えば
図11bにおける太い矢印によって示される方向に、非導電材料20に対して力又は圧力を加えることが、非導電材料20を変形させて間隙g1を変化させる。これは、測定装置50によって出力信号に検出されることができる静電容量の変化を引き起こす。デバイス300及び3000と同様に、押しボタン530は、圧力/力を加えている物体が導電性であるか非導電性であるかにかかわらず出力信号の変化を提供してもよい。
【0103】
図12a及び12bは、非導電材料20に覆われる感知電極として1つ又は複数の導電素子10を組み込んだハンドヘルド制御デバイス6000の更なる実例を図示する。デバイス6000は、ユーザの手によって握られるように整形されても、且つユーザの指及び/又は親指から別々のタッチ対話を検出するように構成及び配置される1つ又は複数のデバイス610、620を備えてもよい。例えば、デバイス6000は、1つ又は複数の指タッチ・デバイス610を備えてもよい。指タッチ・デバイス610は、
図12bに図示されるように、デバイス6000のハンドル部に配置されてもよい。該又は各指タッチ・デバイス610は、非導電材料外装20下に導電素子10aを備えてもよく、そしてデバイス100又は200と同様に動作してもよい。デバイス6000は、1つ又は複数の親指タッチ・デバイス620を更に備えてもよい。該又は各親指タッチ・デバイス620は、非導電材料外装20下に1つ又は複数の導電素子10bを備え、そしてデバイス100又は200と同様に動作してもよい。デバイス610及び620の該又は各導電素子10a及び10bは、1つ又は複数の配線点(図示せず)を含んで1つ又は複数の出力信号を提供してもよい。非導電材料20は、例えば
図12a及び12bに図示されるように、テクスチャ又は3Dプロファイル表面であっても又はそれを有してもよい。
【0104】
図13a及び13bは、非導電材料20に覆われる感知電極として1つ又は複数の導電素子10を組み込んだハンドヘルド制御デバイス7000の更なる実例を図示する。デバイス7000は、ユーザの手によって着用されるように整形されても、且つユーザの指及び/又は親指から別々のタッチ及び/又は移動対話を検出するように構成及び配置される1つ又は複数のデバイス710、720を備えてもよい。デバイス6000と同様に、デバイス7000は1つ又は複数の親指タッチ・デバイス720を備えてもよく、各親指タッチ・デバイス720が、1つ又は複数の配線点を持つ1つ又は複数の導電素子10bを有する。
【0105】
両ハンドヘルド制御デバイス6000及び7000において、感知デバイス610及び710は、それぞれ、ユーザの手の内側又は外側に配置される。デバイス610及び710内の各導電素子は、意図的に個々の指に近接して配置され、その結果指が曲がる又は伸びると、1つ又は2つの導電素子が指から感知デバイス610、710への接触及び/又は近接を測定することができる。近接感知機能は、感知アルゴリズムがより感応性であり且つ導電性物体40が非導電材料20の表面を直接収縮させることなく感知デバイス610、710の近くを移動することによって引き起こされるより小さな変化を検出することを必要とする。
【0106】
デバイス6000及び7000は、複数のユーザの手及び/又は指ジェスチャに応答して制御信号を提供するために適していてもよい。デバイス6000及び7000は、例えば、VR制御用途のために適していてもよい。
【0107】
前述したように、各導電素子10は、1つ又は複数の配線点を有して、測定装置50によって受信され、解釈され、そして組み合わされてタッチ位置、速度及び/又は方向を決定することができる別々の出力信号を提供してもよい。
図14a及び14bは、複数の配線点を持ち、各配線点が感知点E1、E2、E3、E4として作用する、導電素子10の実例を図示する。導電材料10は、特定の抵抗を提供する特定の形状に形成されてもよい。
【0108】
デバイス5000におけるS字形導電トラック510と同様に、孔、中空、凹部及び/又は繰り返し幾何学パターン/トラックを設けることによって、導電素子10上の任意の2つの所与の点間の抵抗は、導電材料10の抵抗率を変化させることなく増加されることができる。任意の2つの所与のタッチ位置間の抵抗を増加させることによって、導電性物体40がその距離を横切ると、出力信号の変化は増加される。このように、センサ・デバイスの感度及び空間/位置感知分解能が改善される。
【0109】
図14a及び14bに図示される実例では、導電素子10は、メッシュ又はアレイ型幾何形状に形成される。実質的に正方形及び六角形のメッシュ幾何形状が
図14a及び14bに図示されるが、いかなる規則的な繰り返しパターンも実装されてもよいことが認識されるであろう。更なる実例幾何形状が
図16a及び16bに図示される。更に、4つの配線点が
図14a、14b、16a及び16bに図示されるが、2つ以上の配線点が使用されてもよい。
図17は、1つの絞り/感知点E1を有する導電素子10のための実例幾何形状を図示する。規則的なパターンの使用のため、出力信号変化は、指行程距離と比例していることができる。
【0110】
図18は、繰り返しパターンを使用する代わりに異なる大きさの孔を有する導電素子10のための実例幾何形状を図示する。不規則な孔パターンは、出力信号パターンの不均一な変化を引き起こすことができ、出力信号変化がもはや指行程距離と比例していないことを意味する。これは、トラックパッドが、それがタッチされる場所に応じて異なる感度を必要とする場合に有利であることができる。
【0111】
図14~18は、導電素子10の実例を開示する。それらは、大量の複雑な繰り返し又は非繰り返し幾何学的形状/孔を有する。この構成は、固定抵抗率を持つ均一な感知材料10上の2つの所与の点間の抵抗を制御することができ、したがって所望のタッチ感知分解能を達成する。導電素子10の実施例はその後、タッチ感応トラックパッドとして使用される主に平面を形成する非導電材料20でオーバー・モールドされる。これらの実施例の利点は、より多くの導電性トレース/電極/センサ、したがってより多くの組立体を必要とする従来のトラックパッドと同程度の分解能を達成するために、それが導電材料10の単一片を必要とするだけであるということである。
【0112】
図14~18に図示される幾何形状は、いずれのトラックパッド実施例の導電素子又は部分10にも適用されることができる。
【0113】
各感知点E1、E2、E3、E4は、
図15aに図示されるように、測定装置50に接続されてもよい。測定装置50は、各感知点E1、E2、E3、E4からの出力信号を順次走査及び測定するように構成されてもよい。このように、一度に1つの感知点E1、E2、E3、E4だけが測定装置50に有効に接続されてもよい。例えば、1つの感知点E1、E2、E3、E4から出力信号が測定されている間、その他の(非有効な)感知点E1、E2、E3、E4の1つ又は複数は測定装置50から切断されてもよい。これは、測定装置50又はソフトウェアによって制御される1つ又は複数のスイッチング回路を介して達成されてもよい。スイッチング回路は、測定装置50の内部であっても、又は測定装置50に接続され且つソフトウェアによって制御される外部の中間ユニットにあってもよい。
図15aに図示される実例では、測定装置50は、マイクロコントローラ51及び1つ又は複数のスイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4を備える。各感知点E1、E2、E3、E4は、それぞれのスイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4を介してマイクロコントローラ52のそれぞれの入力に接続される。該又は各スイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4は、それぞれの感知点E1、E2、E3、E4がマイクロコントローラ51に接続される第1の状態と、それぞれの感知点E1、E2、E3、E4がマイクロコントローラ51から切断され、そしてそれぞれのマイクロコントローラ入力が接地に接続される第2の状態との間で切り替わるように制御されてもよい。例えば、該又は各スイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4は、それぞれのマイクロコントローラ入力に接続される1つの入力、及び2つの出力を有してもよく、第1の出力がそれぞれの感知点E1、E2、E3、E4で導電材料10に接続され、そして第2の出力が接地に接続される。第1の状態では、スイッチ入力は第1の出力に接続され、そして第2の状態では、スイッチ入力は第2の出力に接続される。該又は各スイッチング素子SW1、SW2、SW3、SW4は、汎用トランジスタ又は他の受動電子部品であっても又はそれを含んでもよい。具体的な実例スイッチ構成が図示されるが、上記スイッチング操作が他の仕方で及び/又は他の能動若しくは受動部品を使用して達成されてもよいことが認識されるであろう。
【0114】
図15bは、記載したスイッチング工程を使用した、マイクロコントローラ51で受信される実例出力信号対時間を図示する。マイクロコントローラ51は、各感知点E1、E2、E3、E4から出力信号を1つずつ読み込む。この走査工程は、図示されるように、ループで連続的に反復されてもよい。各感知点E1、E2、E3、E4からの出力信号は、次の感知点E1、E2、E3、E4に切り替わる前に、或る既定の時間の間読み込まれてもよい。スイッチング周波数は、人間が出力信号読込みを連続的と認めるように十分に高くてもよい。例えば、スイッチング周波数は、用途次第で100Hzと200Hzとの間であってもよい。これは、リアル・タイム結果を提供するのに十分に高いであろう。ソフトウェア・プログラムが、走査信号を時限グループとして読み込むように構成されることができ、
図15bを参照すると、各「グループ」が或る数(n)の信号示度(E1、E2、E3、E4、…EN)から成る。信号示度の数(n)は、システム(又は特定のセンサ・デバイス)に存在する電極の総数に等しい。上記ソフトウェア・プログラムは、アルゴリズム又は機械学習方法を通じて各グループの信号示度(E1、E2、E3、E4、…En)を使用して明白な位置座標(X,Y)を算出するように構成される。
【0115】
本開示を読むことから、他の変形及び変更が当業者に明らかであろう。そのような変形及び変更は、当該技術で既に公知である等価な且つ他の特徴を含んでもよく、それらは本明細書に既に記載した特徴の代わりに又はそれに加えて使用されてもよい。
【0116】
添付の請求項が特徴の特定の組合せを対象とするが、本発明の開示の範囲がいかなる新規な特徴も又は明示的にか非明示的にか本明細書に開示した特徴のいかなる新規な組合せも又はそのいかなる一般化も含み、それがいずれかの請求項に本特許請求されるのと同じ発明に関するか否かを問わず且つそれが本発明が行うのと同じ技術的問題のいずれか又は全てを緩和するか否かを問わないことが理解されるべきである。
【0117】
別々の実施例の文脈で記載される特徴が単一の実施例で組み合わされて備えられてもよい。逆に、簡潔のために単一の実施例の文脈で記載される様々な特徴が別々に又は任意の適切な下位組合せで備えられてもよい。本出願人は、本出願の又はそれから派生するいかなる更なる出願の処理の間にもそのような特徴及び/又はそのような特徴の組合せに対して新たな請求項が作成されることがあることをここに通知する。
【0118】
完全を期して、用語「comprising(備える)」が他の要素又はステップを除外せず、用語「a(或る1つ)」又は「an(或る1つ)」が複数を除外せず、そして請求項におけるいかなる参照符号も請求項の範囲を限定するとして解釈されないものとすることも言及される。