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特許7424758薬学、医学または化粧用に使用される物質のための複数の容器を同時に保持するための保持構造ならびに保持構造を備えた搬送構造体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】薬学、医学または化粧用に使用される物質のための複数の容器を同時に保持するための保持構造ならびに保持構造を備えた搬送構造体
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/14 20230101AFI20240123BHJP
   A45D 33/00 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
A61J1/14 520
A45D33/00 625A
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019090696
(22)【出願日】2019-05-13
(65)【公開番号】P2019198650
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-03-28
(31)【優先権主張番号】10 2018 111 491.5
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】323001797
【氏名又は名称】ショット ファーマ シュヴァイツ アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT Pharma Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】St. Josefen-Strasse 20, 9000 St. Gallen, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン コマン
(72)【発明者】
【氏名】ダーフィト ヒルバー
(72)【発明者】
【氏名】マークス レンツ
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0166212(US,A1)
【文献】登録実用新案第3100849(JP,U)
【文献】独国実用新案第202016107209(DE,U1)
【文献】国際公開第2017/132554(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0192756(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0027333(US,A1)
【文献】米国特許第09555911(US,B1)
【文献】米国特許第04549656(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/14
A45D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学、医学または化粧用に使用される物質のための複数の容器(50,51)を同時に保持するための保持構造であって、前記容器を収容するための複数の収容部(5)を備えており、
前記収容部(5)は、規則的な配置形態で配置されており、
前記収容部(5)は、それぞれ環状に形成された側壁(10)によって形成されており、
前記保持構造(1)の上面は、プレート形状の支持体(2)として形成されており、
前記側壁(10)および前記収容部(5)は、前記プレート形状の支持体(2)から垂直に突出している、
保持構造において、
前記収容部(5)は、平面図で見て多角形に形成されており、
複数の前記収容部(5)の、それぞれ2つの直接隣接した前記収容部(5)の間において、1つの側壁(10)が共通の仕切り壁として形成されており、
共通の仕切り壁として形成されている前記側壁(10)の、前記保持構造(1)の前記上面(2)に向けられた上端部が、円弧形状に凹面状に湾曲された形状を有しており、
前記収容部(5)の下端部は、それぞれ、中央の開口(15)を備えた円形の閉鎖リング(14)内に移行しており、
前記閉鎖リング(14)の外径は、前記保持構造(1)の前記上面(2)における前記収容部(5)の最小の開口幅よりも小さく、これによって同一に形成された複数の保持構造(1a,1b)が、互いに上下に積み重ねられた配置形態で配置可能であり、前記配置形態において、上側の保持構造(1a)の前記閉鎖リング(14)が、その下に配置された下側の保持構造(1b)の前記収容部(5)の上端部内に進入しており、
前記閉鎖リング(14)は、結合ウェブ(16)を介して前記側壁(10)の下端部に結合されており、
前記結合ウェブ(16)は、前記支持体(2)と平行に延びている平面を成しており、前記保持構造が積み重ねられた配置形態において、側壁(10)の前記上端部と前記結合ウェブ(16)との間に遊びが残されている
ことを特徴とする保持構造。
【請求項2】
それぞれの前記共通の仕切り壁の高さ(H)は、直接隣接した2つの前記収容部(5)の軸方向長さにほぼ相当し、それぞれの前記共通の仕切り壁は、前記高さ(H)の少なくとも80%にわたって中実材料から形成されている、
請求項1記載の保持構造。
【請求項3】
前記仕切り壁は、横断面で見て、それぞれ一体にかつ貫通孔なしに形成されている、
請求項2記載の保持構造。
【請求項4】
前記収容部(5)の前記側壁(10)は、それぞれ平らな仕切り壁として形成されていて、直接隣接した前記収容部(5)の前記側壁(10)は、結合領域(11)において集まっており、前記結合領域(11)は、それぞれ前記収容部(5)の長手方向に延びていて、かつそれぞれの前記収容部(5)の角隅領域に配置されている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の保持構造。
【請求項5】
前記収容部(5)は、平面図で見てそれぞれ六角形に形成されていて、前記収容部(5)は、六角形の対称性を備えた規則的な配置形態で、直接互いに隣接して配置されている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の保持構造。
【請求項6】
前記収容部(5)は、平面図で見てそれぞれ八角形に形成されており、それぞれ4つの隣接した、菱形の配置形態で配置された前記収容部(5)は、中央の結合部分(40)を取り囲んでおり、前記結合部分(40)の厚さは、共通の前記仕切り壁の厚さよりも大きい、
請求項1から4までのいずれか1項記載の保持構造。
【請求項7】
前記中央の結合部分(40)は、それぞれ1つの中空室(43)を取り囲んでおり、前記中空室(43)は、隣接した前記収容部(5)の長手方向に延びている、
請求項6記載の保持構造。
【請求項8】
前記保持構造(1)を、対応して形成された位置決め突出部を用いて位置決めするために、前記プレート形状の支持体(2)の上面に、複数の貫通孔(25)が形成されている、
請求項1から7までのいずれか1項記載の保持構造。
【請求項9】
前記貫通孔(25)は、円形の開口(25)として形成されており、前記プレート形状の支持体(2)の下面に、円錐台形状に形成された突出部(26)が形成されていて、前記突出部(26)は、前記開口(25)を取り囲んでいる、
請求項8記載の保持構造。
【請求項10】
前記側壁(10)にガイドリブ(18)が形成されており、前記ガイドリブ(18)は、前記収容部(5)の長手方向に延びている、
請求項1から9までのいずれか1項記載の保持構造。
【請求項11】
前記ガイドリブ(18)の上端部に、導入傾斜部(19)が形成されていて、前記導入傾斜部(19)は、前記ガイドリブ(18)に対して相対的に傾けられている、
請求項10記載の保持構造。
【請求項12】
前記ガイドリブ(18)は、前記収容部(5)の角隅領域(12)に配置されており、少なくとも前記ガイドリブ(18)の下端部に、それぞれ1つの平らに面取りされた部分(18a)が設けられていて、前記部分(18a)の角隅領域(18b)は、丸く面取りされて形成されている、
請求項11記載の保持構造。
【請求項13】
前記ガイドリブ(18)は、内側に向かって前記収容部(5)内に、一方向(x)でそれぞれの前記収容部(5)の幾何学的な中心(M)に向かって進入している、
請求項11または12記載の保持構造。
【請求項14】
前記収容部(5)の下端部に、前記収容部(5)内に前記容器を保持するために少なくとも1つの保持部分(22)が設けられている、
請求項1から13までのいずれか1項記載の保持構造。
【請求項15】
少なくとも1つの前記保持部分(22)は、少なくとも1つの保持突出部(22)として形成されていて、前記保持突出部(22)の各々は、それぞれ半径方向内側に向かって、対応配置された前記収容部(5)内に進入している、
請求項14記載の保持構造。
【請求項16】
前記上側の保持構造(1a)の前記閉鎖リング(14)の、その下に配置された前記下側の保持構造(1b)の前記収容部(5)の前記上端部内への進入深さを、機械的に制限するために、前記保持構造(1)の下面に、スペーサエレメント(31)が設けられている、
請求項1から15までのいずれか1項記載の保持構造。
【請求項17】
前記保持構造(1)は、射出成形によってプラスチック材料から一体に形成されている、
請求項1から16までのいずれか1項記載の保持構造。
【請求項18】
請求項1から17までのいずれか1項記載の保持構造(1)と、前記保持構造(1)に保持された、薬学、医学または化粧用に使用される物質のための複数の容器(50,51)と、の組合せから成る搬送構造体であって、
前記保持構造は、前記容器を収容するための複数の収容部(5)を有しており、
前記収容部(5)は、規則的な配置形態で配置されており、
前記収容部(5)は、それぞれ環状に形成された側壁(10)によって形成されており、
前記保持構造(1)の上面は、プレート形状の支持体(2)として形成されており、
前記側壁(10)および前記収容部(5)は、前記プレート形状の支持体(2)から垂直に突出しており、
前記保持構造(1)の前記収容部(5)は、平面図で見て多角形に形成されており、
複数の前記収容部(5)の、それぞれ2つの直接隣接した前記収容部(5)の間において、1つの側壁(10)が共通の仕切り壁として形成されており、
前記容器は、前記保持構造(1)の前記収容部(5)内に少なくとも部分的に収容されている、
搬送構造体。
【請求項19】
それぞれの前記共通の仕切り壁の高さ(H)が、直接隣接した2つの前記収容部(5)の軸方向長さにほぼ相当していて、それぞれの前記共通の仕切り壁は、前記高さ(H)の少なくとも80%にわたって中実材料から形成されている、
請求項18記載の搬送構造体。
【請求項20】
前記仕切り壁は、横断面で見て、それぞれ一体にかつ貫通孔なしに形成されている、
請求項19記載の搬送構造体。
【請求項21】
前記収容部(5)の前記側壁(10)は、それぞれ平らな仕切り壁として形成されていて、直接隣接した前記収容部(5)の前記側壁(10)は、結合領域(11)において集まっており、前記結合領域(11)は、それぞれ前記収容部(5)の長手方向に延びていて、かつそれぞれの前記収容部(5)の角隅領域に配置されている、
請求項18から20までのいずれか1項記載の搬送構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年5月14日に出願された独国特許出願第102018111491.5号明細書「薬学、医学または化粧用に使用される物質のための複数の容器を同時に保持するための保持構造ならびに保持構造を備えた搬送構造体および搬送または包装容器」の優先権を主張しており、したがってこの出願明細書の全内容は、参照によって本出願に一緒に含まれる。
【0002】
本発明は、薬学、医学または化粧用に使用される物質のための容器の取り扱いに関し、かつ特に、例えば瓶、アンプル、またはカープルのような、薬学、医学または化粧用に使用される物質のための複数の容器を同時に保持するための保持構造に関する。
【背景技術】
【0003】
液体の形で投与される、特に予め調量された量の、医学、薬学または化粧用の調製品を保管および貯蔵するための容器(コンテナ)として、広範囲に、例えば瓶、アンプル、またはカープルのような医療用容器が使用される。これらの医療用容器は、一般的に円筒形の形状を有していて、プラスチックまたはガラスから製造することができ、かつ安価に大量に入手することができる。このとき容器は、益々、保持構造において予め規定された幾何学的な配置形態で、製薬業者に、またはさらなる処理を行う工場に出荷され、かつさらに処理され、このとき容器は、保持構造内に保持または収容されたままである。そのためには、内部に容器を可能な限りスペースを節減した配置形態で保持または収容する、安価でかつ長持ちする保持構造が必要になる。
【0004】
中国特許出願公開第10335948号明細書(CN 103359348-A)には、槽形状の保持タブレット(トレイ)として形成された保持構造が開示されており、この保持構造は、底部を備えていて、この底部には、鉛直に延びる複数の位置決めピンが設けられており、これらの位置決めピンの間において容器は、互いに接触することなしに収容されることができる。保持構造は、射出成形によってプラスチックから形成されている。鉛直に延びる位置決めピンは、同時に、位置決めピンによって形成された収容部内への容器の導入のためのガイド部分として機能する。しかしながら容器は、比較的大きな遊びをもって保持されている。容器の、得ることができる包装密度は、比較的低い。
【0005】
国際公開第2012/126582号(WO 2012/126582 A1)には、注射器ボディ用の別の保持構造が開示されており、この保持構造は、プレート形状の支持体を備えていて、この支持体には、環状に形成された側壁を備えた複数の円筒形の収容部が形成されている。注射器ボディは、その保持フランジで、円筒形の収容部の上端部に載置されている。支持体を補強するために、円筒形の収容部は、保持体の下面における結合ウェブを介して互いに結合されている。円筒形の収容部の間における間隔は、比較的大きいので、保持構造によって得ることができる包装密度は、最適ではない。
【0006】
国際公開第2014/130349号(WO 2014/130349 A1)には、同等の保持構造が開示されている。収容部は、多角形の基本形状ではなく、円形の基本形状を有している。さらに互いに隣接した収容部は、互いに直接接触して隣接していない。
【0007】
国際公開第2017/038878号(WO 2017/038878 A1)には、別の保持構造が開示されており、この保持構造は、プレート形状の支持体を備えていて、この支持体には、環状に形成された側壁を備えた複数の円筒形の収容部が形成されている。円筒形の収容部は、互いの間に比較的小さな間隔をおいて配置されており、このことはしかしながら、互いの間に比較的小さな間隔をおいて位置する2つの側壁の製造を必要とする。このことは、プラスチック射出成形による製造時に、極めて壁薄で破損しやすく、かつ冷却が困難なリブ状の輪郭を必要とする。これによってさらに、金型構成時に、金型が極めて複雑で、ひいては、高価にもなってしまう。さらにこのような構成は、射出成形のために使用される金型の耐用寿命に対しても不都合な影響を及ぼす。射出成形時における繊細な構造は、まったく、または極めて大きな手間を掛けてしか、冷却することができないので、このような構成は、製造プロセスのサイクルタイムにも不都合な影響を及ぼし、これによって個品コストが高騰してしまう。
【0008】
本出願人の独国実用新案第202016107209号明細書(DE 202016107209 U1)には、上に述べた形式の別の保持構造が開示されており、この保持構造では、保持構造の内部の収容部は、軸方向に延びる位置決め円筒体と、位置決め円筒体を互いに結合する分割ウェブと、から形成されている。この配置形態は、確かに容器の比較的高い包装密度を可能にする。しかしながらプラスチック射出成形による保持構造の製造は、比較的手間が掛かる。独国実用新案第202016107209号明細書(DE 202016107209 U1)には、薬剤容器用の別の保持構造が開示されており、この保持構造は、射出成形によってプラスチックから製造されている。しかしながら収容部は、多角形の横断面を有しておらず、かつまた環状に形成された側壁によって形成されていない。薬剤容器を位置決めするためには、分割ウェブを介して互いに結合された位置決め円筒体が働く。薬剤容器の、本来の側部における支持は、位置決め円筒体の上面に形成されたガイドリブを介して行われる。
【0009】
本出願人の米国特許出願公開第2015/0166217号明細書(US 2015/0166217 A1)には、図5および図6に、薬剤容器用の搬送兼包装容器が開示されており、このとき搬送兼包装容器の底部には、内部に薬剤容器を収容するためのハニカム形状の複数の収容部を備えた保持構造が配置されている。収容部は、薬剤容器の導入を可能にし、かつその後で薬剤容器をその中でクランプして保持することを可能にするために、フレキシブルに、かつ拡開可能に形成されていなくてはならない。さらに開示されている別の保持構造では、収容部を薬剤容器の導入のために一時的に拡開できるようにするために、収容部の側壁が互いに相対的に移動できるようになっている。
【0010】
同等の保持構造は、本出願人の独国特許出願公開第102012103896号明細書(DE 102012103896 A1)に開示されている。
【0011】
国際公開第2010/086128号(WO 2010/086128 A1)には、プラスチック射出成形によって製造された、請求項1の上位概念部に記載された保持構造が開示されている。この保持構造は、容器を収容するための複数の収容部を有しており、収容部は、規則的な配置形態で配置されており、かつ平面図で見てそれぞれ多角形に形成されている。より正確に言えば、収容部は、星形に形成された位置決め突出部によって形成されており、これらの位置決め突出部は、槽形状の支持体の底部と一体に形成されている。星形に形成された位置決め突出部は、互いに間隔をおいて配置されていて、かつ互いに直接結合されていない。この保持構造は、確かに射出成形によってプラスチックから安価に製造することができる。しかしながらこの保持構造は、支持体の十分な剛性のために、比較的安定的に設計されねばならず、これによって重量が増大し、かつ材料コストが高騰してしまう。
【0012】
したがって上に述べた形式の保持構造の製造時には、さらなる改善の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、簡単かつ安価に製造することができ、かつ容器の好適に高い剛性と高い包装密度とを可能にする、薬学、医学または化粧用に使用される物質のための複数の容器を同時に保持するための改良された保持構造を提供することである。このとき、容器を簡単かつ確実に保持構造の収容部内に導入できること、および収容部から再び取り出すことができることも望まれている。本発明の別の観点は、搬送構造体、または搬送または包装容器、ならびにこのような保持構造を備えた無菌包装構造に関する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、薬学、医学または化粧用に使用される物質のための複数の容器を同時に保持するための保持構造であって、容器を収容するための複数の収容部を備えており、このとき収容部は、規則的な配置形態で配置されており、収容部は、それぞれ環状に形成された側壁によって形成されており、保持構造の上面は、プレート形状の支持体として形成されており、かつ側壁および収容部は、プレート形状の支持体から垂直に突出している、保持構造が提供される。
【0015】
本発明によれば、収容部は、平面図で見て多角形に形成されており、つまり多角形の基本形状を備えており、このとき複数の収容部の、それぞれ2つの直接隣接した収容部の間において、1つの側壁が共通の仕切り壁として形成されている。
【0016】
したがって収容部は、互いに直接隣接することができ、このことは、最適な包装密度を可能にする。共通に使用される仕切り壁に基づいて、ダブル壁の繊細な構造を効果的に回避することができ、このことは、射出成形によるプラスチックからの製造を大幅に簡単化する。これによって金型構成時における、容易に破損可能でかつ冷却しにくいリブ状の壁薄の輪郭を本発明により回避することができ、この結果、金型の耐用寿命がより長くなる。さらに製造プロセスのサイクルタイムを、有意に短縮し、かつ個品コストを低減することができる。
【0017】
仕切り壁は、特に比較的薄壁に形成することができ、それでもなお保持構造の高い固有剛性を実現することができる。このことは、低減された材料使用および僅かな製造コストと同時に、保持構造の比較的僅かな重量を可能にする。
【0018】
同時に、保持構造の極めて高い固有剛性を得ることができる。なぜならば、全側壁は、収容部の角隅領域を介して、互いに直接結合されており、かつ一緒に高対称的な中空ハニカム構造体を形成するからであり、この中空ハニカム構造体は、保持構造のプレート形状の上面から垂直に突出する側壁によって形成されている。
【0019】
共通の仕切り壁というのは、本発明の意味では、特に、仕切り壁が、横断面で見て、それぞれ一体にかつ大きな貫通孔なしに形成されていることを意味する。このときそれぞれの共通の仕切り壁の高さは、直接隣接した2つの収容部の軸方向長さにほぼ相当しており、これによってそれぞれの共通の仕切り壁は、好ましくはこの高さの少なくとも80%にわたって中実材料から形成されている。
【0020】
保持構造の上面は、プレート形状の支持体として形成されていて、この支持体から側壁および収容部が垂直に突出しているので、保持構造の固有剛性をさらに高めることができる。
【0021】
別の実施形態によれば、収容部の側壁は、それぞれ平らな、フラットな仕切り壁として形成されていて、このとき直接隣接した収容部の側壁は、結合領域において集まっており、該結合領域は、それぞれ収容部の長手方向に延びていて、かつそれぞれの収容部の角隅領域に配置されている。
【0022】
このようにして形成される、高対称に形成された結合領域は、例えば収容部の六角形の配置形態の場合には、平面図で見て星形に形成されている。このことは、力の高対称の導出を可能にし、これによって保持構造の高い固有剛性が好適に高くなる。
【0023】
別の実施形態によれば、収容部は、平面図で見てそれぞれ六角形に形成されていて、かつ六角形の対称性を備えた規則的な配置形態で、直接互いに隣接して配置されている。
【0024】
択一的な実施形態によれば、収容部は、平面図で見てそれぞれ八角形に形成されており、このときそれぞれ4つの隣接した、菱形の配置形態で配置された収容部は、中央の結合部分を取り囲んでおり、該結合部分の厚さは、共通の仕切り壁の厚さよりも大きい。
【0025】
別の実施形態によれば、中央の結合部分は、それぞれ1つの中空室を取り囲んでおり、該中空室は、隣接した収容部の長手方向に延びている。この中空室は、好ましくは円形または方形の横断面を有している。射出成形によってプラスチックから保持構造を製造する場合には、この中空室は、好ましくは成形金型の半部における直方体形状の突出部によって設定され、この突出部はそれぞれ、成形金型の第2の半部における、収容部の形状を設定する成形マンドレルに対して逆向きに延びている。成形金型のこの円筒形または直方体形状の突出部の上端部における突出部は、成形金型の、向かい合って位置している半部との剛性の結合のために働くことができるので、保持構造をさらにより正確に製造することができる。
【0026】
別の実施形態によれば、プレート形状の支持体の上面に、複数の貫通孔が、特に円形の開口が形成されており、これによってガスをプレート形状の支持体の上面から下面に向かって流すことができる。このことは、保持構造および該保持構造に保持された容器の蒸気滅菌を好適に促進することができる。
【0027】
別の実施形態によれば、貫通孔は、円形の開口として形成されており、かつプレート形状の支持体の下面に、円錐台形状に形成された突出部が形成されていて、該突出部は、開口を取り囲んでいる。突出部は、例えばスペーサエレメントとして働くことができ、これによって、鉛直方向で互いに上下に積み重ねられた配置形態における2つの保持構造の間の間隔を決定することができる。
【0028】
別の実施形態によれば、側壁の、保持構造の上面に向けられた上端部が、円弧形状に凹面状に湾曲された形状を有している。特に、側壁の上端部は、どこにおいても保持構造の上面からは突出していない。このことは、保持構造を鉛直方向で互いに上下に積み重ねることを容易にする。それというのは、側壁の上端部の不所望の傾倒が回避されているからである。
【0029】
別の実施形態によれば、側壁にガイドリブが形成されており、該ガイドリブは、収容部の長手方向に延びていて、かつ収容部の上端部における容器の挿通もしくは導入を促進する。このときガイドリブの上端部には、導入傾斜部が形成されていてよく、該導入傾斜部は、ガイドリブに対して相対的に傾けられており、これによって保持構造の上面から収容部内への容器の導入をさらに容易にすることができる。
【0030】
別の実施形態によれば、ガイドリブは、収容部の角隅領域に配置されており、このとき少なくともガイドリブの下端部に、それぞれ1つの平らに面取りされた部分が設けられていて、該部分の角隅領域は、丸く面取りされて形成されている。ガイドリブのこの最適化されたデザインは、後でさらに詳しく記載するように、容器がセンタリングされずに、収容部の中心軸線に対して相対的に傾けられて収容部内に導入される場合においても、容器の摩耗の少ない導入を容易にする。
【0031】
別の実施形態によれば、ガイドリブは、内側に向かって収容部内に、一方向でそれぞれの収容部の幾何学的な中心に向かって進入している。
【0032】
別の実施形態によれば、収容部の下端部に、収容部内において容器を保持するため、および収容部の下端部に向かっての収容部内への容器の軸方向可動性を制限するために、保持部分が設けられている。基本的には、そのために、それぞれの収容部の下端部における適宜な位置に配置された1つの保持部分で十分である。好ましくは、収容部の下端部に、それぞれ2つの保持部分が、互いに直径方向で向かい合って位置している。しかしながらまた基本的には、保持部分は、環状に形成されていても、またはほぼ環状に形成されていてもよく、それぞれの収容部の下端部において周囲に沿って、1つまたは複数の貫通孔を備えていてよい。
【0033】
別の実施形態によれば、収容部の下端部は、それぞれ、中央の開口を備えた円形の閉鎖リング内に移行している。この閉鎖リングは、一方では、側壁の下端部の間における間隔を一定に保ち、このことは、保持構造の固有剛性をさらに高める。他方においてこの閉鎖リングは、好適に対称的な力伝達を可能にし、このこともまた同様に、保持構造の固有剛性をさらに高める。
【0034】
別の実施形態によれば、収容部の側壁の下端部は、一緒に1つの平面を成していて、該平面は、当該保持構造の上面に対して平行に延びている。側壁の下端部は、収容部の配置形態のそれぞれの対称性に相応して、点対称の結合領域を形成し、このことは、保持構造における力伝達をさらに改善し、かつ保持構造の固有剛性をさらに高める。
【0035】
好ましくは、閉鎖リングは、側壁の下端部によって一緒に形成された平面を越えて突出しており、つまり別の平面を形成しており、この平面において、収容部の側壁の下端部が互いに結合されている。
【0036】
別の実施形態によれば、閉鎖リングの外径は、保持構造の上面における収容部の最小の開口幅よりも小さく、これによって同一に形成された複数の保持構造が、互いに上下に積み重ねられた配置形態で配置可能であり、該配置形態において、上側の保持構造の閉鎖リングが、その下に配置された下側の保持構造の収容部の上端部内に進入している。このことは、同一のデザインの複数の保持構造の、鉛直方向において互いに上下に積み重ねられた配置形態を促進する。
【0037】
別の実施形態によれば、上側の保持構造の閉鎖リングの、その下に配置された下側の保持構造の収容部の上端部内への進入深さを、機械的に制限するために、保持構造の下面に、スペーサエレメントが設けられている。
【0038】
本発明によれば、収容部内における容器の極めて正確な位置決めおよび案内が、特に、長くて細い、もしくはスマートな容器において、極めて高い包装密度で可能である。なぜならば、容器のガラスとガラスとの接触が、運動自由度を一段と制限することによって不可能になるからである。
【0039】
収容部内における容器の強く低減された運動自由度によって、また必要な案内長さを短くすることができる。このことは、特に小型の、例えばカープルまたは注射器円筒体のような、例えば長くて細い、もしくはスマートな容器において、重要である。なぜならば、このような容器は、しばしば、収容部内に下側半部までしか導入することができないからである。しかしながら本発明によれば、容器が極めて正確に位置決めされ、かつ案内されることに基づいて、ガラスとガラスとの接触が発生しないことを確実に保証することができる。これによって本発明によれば、材料を節約することもできる。
【0040】
別の実施形態によれば、ガイドリブは、収容部の周方向においてある程度の延在長さを十分に有することができ、つまり単に線形状の、極めて細いリブとして形成されていなくてよい。なぜならば、このことは、容器の収容時における比較的小さな面圧を生ぜしめ、これによって、ガイドリブにおける材料摩耗による局部的な粒子量が僅かになり、このような粒子量は、視覚的な検査システムのためにほとんど問題にならないからである。なぜならば、面圧低減は、面(つまり保持構造の比較的軟質のプラスチック面)に対して、比較的小さな機械的な荷重を生ぜしめるからである。
【0041】
別の実施形態によれば、収容部の長さは、容器の長さに合わせられていて、容器の上端部または下端部が、収容部から突出していて、ひいては保持構造の上から自由に接近可能であるようになっている。このことは、容器が収容部内に収容され、かつ保持構造において保持されている状態での、容器のさらなる処理または取り扱いのために利用することができる。例えば、保持構造(いわゆるネスト)は、物質が充填開口を介して、保持構造に保持された容器内に充填される間に、プロセスステーションの保持フレームにおいて、例えば薬剤充填機において、一時的に保持されてよい。または、容器が保持構造に保持されている間に、容器の端部に、栓体が容器を閉鎖するために押し込まれる。または、収容部から突出している端部を、容器を把持するために、かつ収容部から容器を取り出すために使用することができる。
【0042】
本発明の別の観点によれば、上において開示したような保持構造と、該保持構造に保持された、薬学、医学または化粧用に使用される物質のための複数の容器と、の組合せから成る、容器用の搬送構造体が提供され、このとき容器は、上において述べたように、保持構造の収容部内に少なくとも部分的に収容されていて、かつ軸方向において固定されて保持構造に保持されている。そのために保持構造は、バイアル、カープル、または同等の薬剤容器を保持するために、特にいわゆるネストとして形成されていてよい。
【0043】
別の実施形態によれば、容器は円筒形に形成されており、かつ狭められた頸部分と、狭められた頸部分に接続していて容器の円筒形の側壁に移行している肩部分と、を備えた上端部を有しており、このとき開口の開口幅は、収容部の下端部において、容器の上端部の外径に合わせられていて、容器の上端部が、開口を貫いて延びていて、かつ容器の肩部分が保持突出部上に直接支持されているようになっており、このように構成されていると、容器が頭を下にして収容部内に収容されている場合に、収容部内における容器の軸方向可動性を制限することができる。
【0044】
本発明の別の観点によれば、上において開示したような保持構造と、該保持構造に保持された、薬学、医学または化粧用に使用される物質のための複数の容器と、の組合せから成る、容器用の搬送構造体が提供され、このとき容器は、収容部内に収容されていて、かつ軸方向において固定されて保持構造に保持されている。このとき容器は、特に、保持構造の収容部内に起立状態で収容されているバイアルとして形成されていてよい。
【0045】
本発明の別の観点によれば、薬学、医学または化粧用に使用される物質のための複数の容器のための搬送または包装容器が提供され、このとき搬送または包装容器は、ボックス形状に形成されており、このとき上において述べたように、いわゆるネストとして形成された保持構造が、ボックス形状の搬送または包装容器内において、該搬送または包装容器において保持された容器と一緒に収容されており、このように構成されていると、複数の容器を、搬送または包装容器内において保持することができる。
【0046】
このとき搬送または包装容器は、特にガス透過性のプラスチックシートを用いて、特に、プラスチック繊維のガス透過性の編成物から形成された、特にタイベック(登録商標)‐シートであるプラスチックシートを用いて、閉鎖されているか、またはシールされていることができ、このように構成されていると、ガス透過性のプラスチックシートを通してガスを流入させることによって、容器の滅菌を可能にすることができる。
【0047】
無菌の搬送および貯蔵のためには、さらに無菌の包装構造を提供することができ、この包装構造は、上において記載した少なくとも1つの搬送構造物、または上において記載した少なくとも1つの搬送または包装容器と、該搬送構造物または包装容器内に収容された容器と、を備えており、このとき少なくとも1つの搬送構造物、または少なくとも1つの搬送または包装容器は、少なくとも1つの無菌の二重包装袋内に収容されていて、かつ無菌状態で周囲に対して包装されている。このとき少なくとも1つの無菌の二重包装袋は、ガス透過性の部分を有することができ、この部分は、特に、例えばポリプロピレン繊維(PP)のようなプラスチック繊維製の編成物によって形成されている。
【0048】
次に添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について記載する。下記の記載から、別の特徴、利点および解決すべき課題が理解される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1a】本発明の第1実施形態に係る保持構造を示す平面図である。
図1b図1aに示された保持構造を下から見た図である。
図1c図1aに示された保持構造を第1の側から見て示す斜視図である。
図1d図1aに示された保持構造を第2の側から見て示す斜視図である。
図1e図1aに示された保持構造の一部を断面して示す斜視図である。
図1f図1aに示された保持構造を下から見て強く拡大して示す斜視図である。
図2a】第2実施形態に係る2つの保持構造の積み重ねられた配置形態を横から見て示す斜視図である。
図2b図2aに示された2つの保持構造の積み重ねられた配置形態を下から見て示す斜視図である。
図2c図2aに示された2つの保持構造の積み重ねられた配置形態の一部を断面して上から見て示す斜視図である。
図2d図2aに示された2つの保持構造の積み重ねられた配置形態の一部を断面して下から見て示す斜視図である。
図3a】本発明の第3実施形態に係る保持構造を示す平面図である。
図3b図3aに示された保持構造を下から見た斜視図である。
図3c図3aに示された保持構造を上から見て示す斜視図である。
図3d図3aに示された保持構造を下から見て示す別の斜視図である。
図3e図3aに示された保持構造を別の視線方向で上から見て示す別の斜視図である。
図3f図3aに示された保持構造の一部を断面して示す斜視図である。
図3g図3aに示された保持構造を下から見て強く拡大して示す斜視図である。
図4a】本発明に係る保持構造における2つのガイドリブにバイアルの縁部が支持されている状態を概略的に示す平面図である。
図4b】本発明に係る保持構造の収容部におけるカープルの収容状態を示す図である。
図4c】本発明に係る保持構造の収容部におけるバイアルの収容状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図面において、同一またはほぼ等しい機能を有するエレメントまたはエレメントグループには、同一符号が使用されている。
【0051】
図1a~図1dには、本発明の第1実施形態に係る保持構造1が、異なった方向から見た図で示されている。保持構造1は、複数の収容部5を有しており、これらの収容部5は、規則的な配置形態(アレイ)で配置されていて、かつその中に薬剤容器、特にバイアルまたはカープルを収容するために用いられる。収容部5は、本発明によれば多角形の横断面を有している。このとき好ましくは、図1a~図1fに示された実施形態におけるように六角形の基本形状が示されるか、または図3a~図3gに示された実施形態におけるように八角形の基本形状が示される。しかしながらまた基本的には、三角形の基本形状、または正方形、方形、または菱形の基本形状も考えられる。
【0052】
収容部5の基本形状に相応して、収容部5は、互いに直接隣接して、規則的な配置形態で配置されている。例えば図1aにおいて収容部5の、六角形の、ハニカム形状の配置形態が認識可能であり、図3aにおいては八角形の配置形態が認識可能である。しかしながら基本的に収容部5は、例えば列を成して、かつこれらの列に対して垂直に延びる間隙をおいて配置されていてよい。
【0053】
同一に形成された収容部5の開口幅は、その中に収容すべき容器の最大外径もしくは最大外寸に合わせられていて、容器が比較的小さな遊びだけをもってその中に収容されるようになっている。このとき好ましくは、容器はいずれにせよ、容器の軸方向長さの最大部分にわたって収容部5内に収容されており、このように構成されていると、収容部内における容器の不所望の傾倒または揺動を阻止することができる。このとき収容部5内における容器の遊びは、後で詳しく記載するように、好ましくはガイドリブによって調節される。
【0054】
収容部5は、環状に形成された側壁10によって形成されており、このことは、例えば重量低減または材料節減のために部分的に貫通孔または切欠きが側壁10に形成されていることを排除するものではない。側壁10は、好ましくは保持構造1の、プレート形状に形成された上面2から直角に突出している。射出成形のために使用された金型からの保持構造1の離型を容易にするために、側壁は、基本的には、上面2に対する垂線に対して、例えば最大1°または最大2°の比較的小さな角度を成して、半径方向内側に向かって傾けられていてもよい。
【0055】
図1aに示されているように、収容部5の多角形の基本形状に基づいて、それぞれ2つの互いに直接隣接した収容部5の間には、1つの共通の仕切り壁が形成されており、この仕切り壁は、同時に互いに隣接した両収容部5の側壁10としても働く。すなわち、側壁10は一体に、かつ中実材料から形成されており、つまり横断面が方形である。このことは明確に、側壁10の下端部または上端部にスリットまたは切欠きが設けられていることを、排除するものではない。いずれにせよ、それぞれ共通の仕切り壁として使用される側壁は、その高さの少なくとも80%にわたって(H;図1eまたは図3d参照)、中実材料から形成されている。
【0056】
保持構造1の取り扱いを容易にするために、保持構造1の上面は、プレート形状の支持体2として形成されており、この支持体2は、好ましくは丸く面取りされた角隅を有している。保持構造1を把持するためには、上面2におけるアクセス開口9が働き、これらのアクセス開口9は、保持構造1の互いに反対側に位置している2つの側において互いにずらされて設けられている。さらにプレート形状の支持体2における複数の位置には、開口25が貫通孔として形成されており、これらの開口25は、特に位置決め孔として働くことができ、これによって、保持構造1を、相応の位置決めピンまたは位置決め突出部を備えた保持構造収容部上に、位置正確に方向付けることを可能にすることができ、このことは例えば、保持構造内に収容される容器の挿入(ネスティング)、充填、閉鎖または取り出し(デネスティング)時に特に有効である。支持体2の下面においてこれらの開口25は、図1bに示されているように、円錐台形状の突出部26によって閉鎖されていてよく、これらの突出部26は、スペーサエレメントとしても働くことができ、これによって、保持構造を互いに上下に積み重ねて配置する場合に、保持構造の間における間隔を調節することができる。これについては、後で図2a~図2dを参照しながら詳しく記載する。
【0057】
図1c~図1eに示されているように、側壁10の、保持構造1の上面2に向けられた上端部は、円弧形状に凹面状に湾曲された形状を有することができ、収容部5のそれぞれの角隅領域12の間の中心における反転点と、複数の側壁10の結合領域11における頂点と、を備えている。いずれにせよ好ましくは、側壁10の上端部は、保持構造1の上面2を越えて突出しておらず、このことは、保持構造の積み重ね可能性を可能にすることができ、これについては、後で図2a~図2dを参照しながら詳しく記載する。
【0058】
図1bに示されているように、収容部5の、図示された六角形の配置形態では、それぞれ3つの側壁10が星形の結合領域11において集まっている。すべての結合領域11は、対応配置された側壁10を介して互いに直接結合されている。保持構造1の下面には、二重壁の構造がまったく存在していないので、保持構造1は、側壁10および上面2の僅かな壁厚でも、好適に高い固有剛性を有している。この固有剛性は、図1bによれば、収容部5の、保持構造1の縁部3に向けられた外側の側壁10が、互いに直接結合されていて、保持構造1の下面においてジグザグ形状に延びる環状の縁ウェブを形成していることによって高められる。保持構造1の剛性をさらに高めるために、縁部3は、上面2から直角に曲げられている(図1c参照)。保持構造1の剛性をさらに高めるために、保持構造1の下面における、上に述べたジグザグ形状に延びる環状の縁ウェブは、複数の位置において結合ウェブ28を介して、折り曲げられた縁部3に結合されている。
【0059】
収容部5の下端部には、保持部分として作用する保持突出部22が設けられており、これらの保持突出部22は、半径方向内側に向かって収容部5内に延びている。好ましくは、それぞれの収容部5は、2つの保持突出部22を有しており、両保持突出部22は、直径方向で互いに向かい合って位置している。保持突出部22は、収容部5内に収容された容器の軸方向における可動性を、収容部5内において容器に形状結合しかつ該容器を保持することによって制限しており、これについては後で図4bおよび図4cを参照しながら詳しく記載する。基本的にこの目的のためには、環状に、またはほぼ環状に形成されていてもよいただ1つの保持突出部22でも十分である。
【0060】
収容部5はその下端部において、環状の閉鎖リング14によって軸方向で画定されており、これらの閉鎖リング14は、側壁10の下端部に結合されている。好ましくは、上に述べた保持突出部22は、これらの閉鎖リング14に形成されている。図1fから看取できるように、側壁10の下端部は一緒に、貫通孔(開口15)を備えた六角形のパターンを形成している。好ましくは、側壁10の下端部は一緒に、保持構造1のプレート形状の上面に対して平行に延びる平面を成している。この平面から、閉鎖リング14が下方に向かって突出している。このとき閉鎖リング14は、収容部5の多角形(ここでは六角形)の基本形状と、収容部5の下端部において開口15を取り囲む円形のリングと、の間における連続した移行部を形成している。このことは、保持構造1を射出成形するための金型半部の構成時における利点を提供する。
【0061】
図1fから看取できるように、側壁10は、角隅領域12において収容部5の全軸方向長さにわたって互いに結合されている。点対称(ここでは星形)の結合領域11は、均一な力伝達のために役立つ。全体としてこのような構成は、保持構造1の固有剛性を高める。
【0062】
収容部5のすべての側壁10には、ガイドリブ18が設けられており、これらのガイドリブ18は、半径方向内側に向かって収容部5内に進入しているので、容器の側壁はガイドリブ18に直接接触し、かつこれらのガイドリブ18によって、収容部5内への導入時に案内される。ガイドリブ18は、収容部の長手方向において、該収容部5のほぼ全長にわたって延びている。ガイドリブ18は、保持構造1の上面2に対して僅かな間隔をおいて始まっていてよく、かつそれぞれ収容部5の下端部に至るまで延びており、より正確に言うと、閉鎖リング14への移行領域に至るまで延びている。ガイドリブ18の上端部には、導入傾斜部19が形成されていてよく、これらの導入傾斜部19は、ガイドリブ18に対して相対的に、鋭角を成して傾けられている。図1fに示された実施形態では、ガイドリブ18は、平らな導入傾斜部として形成されている。導入傾斜部19の上端部は、側壁10に移行している。このとき収容部5の長手方向において、ガイドリブ18は、上端部から下端部に向かって対称的に広幅になっていてよい。
【0063】
第1実施形態に対して、ガイドリブ18が側壁10の中央領域に配置されていることが示されているが、本発明によれば好ましくは、ガイドリブ18は収容部5の角隅領域12に配置されており、この配置形態は、図3a~図3gに示された第3実施形態に対して示されている。対応配置された側壁10もしくは対応配置された角隅領域12からのガイドリブの突出によって、収容部5内における容器の遊びを正確に調節することができる。
【0064】
図1fから看取できるように、閉鎖リング14の外径は、収容部5の上端部における該収容部5の最小の開口幅よりも小さい。このように構成されていると、同一に形成された保持構造を、スペースを節約して互いに上下に積み重ねて配置することが可能になる。同一に形成された2つの保持構造1a,1bを、このように積み重ねて配置することについては、以下において図2a~図2dを参照しながら詳しく記載する。
【0065】
この積み重ねられた配置形態において、上側の保持構造1aの収容部5の下端部における閉鎖リング14は、その下に配置された下側の保持構造1bの収容部5の上端部内に、僅かに進入しており、これによって上側の保持構造1aは、このように形成された形状結合部に基づいて、下側の保持構造1bに対して相対的に側方に滑ることができなくなる。図示の実施形態では、進入深さ、もしくは両保持構造1a,1bの間における間隔は、スペーサエレメント31を用いて調節され、これらのスペーサエレメント31は、下側の保持構造1bの上面における対応配置された構造上に載置されているか、または該構造内に係合している。図2aから看取できるように、保持構造1a,1bの上面2には、複数の方形のスリットもしくは切欠き30が形成されており、かつ保持構造1a,1bの下面には、それに対応して形成された複数の(方形の)スペーサエレメント31が設けられており、これらのスペーサエレメント31は、積み重ねられた配置形態において互いに形状結合式に係合する。
【0066】
図2cおよび図2dに示された断面図から看取できるように、側壁10の下端部は、結合ウェブ16に向かって拡大されており、これらの結合ウェブ16は、閉鎖リング14の間における全空間を満たしていて、かつ一緒に、保持構造1のプレート形状の上面2に対して平行に延びている平面を成している。これらの結合ウェブ16からは、閉鎖リング14が突出している。図2cおよび図2dから看取できるように、積み重ねられた配置形態において側壁10の上縁部13と結合ウェブ16との間には、十分に大きな遊びを残すことができ、このことは、積み重ね可能性を容易にする。それというのは、1つの上側の保持構造1aの閉鎖リング14の間の中間室内での下側の保持構造1bの側壁10の上端部13の不所望の傾倒が常に阻止されているからである。上側の保持構造1aは、これによって好適に、常にスペーサエレメント31または円錐台形状の突出部26(図1c参照)の領域においてしか、下側の保持構造1bの上面2bに載置しないからである。
【0067】
図3a~図3gには、本発明の第3実施形態に係る保持構造が、異なった方向から見た図で示されている。第1実施形態とは異なり、収容部5はこの実施形態では八角形に形成されている。これによって直接隣接した2つの収容部5は、常に単にただ1つの側壁10を互いに分け合っている。これによって菱形形状の配置形態において配置された、互いに隣接した4つの収容部5の間の真ん中には、ほぼ方形の基本形状を有する中央の結合部分40が形成されている。基本的にこの中央の結合部分40は、確かに同様に中実材料から一体に形成されていてよい。しかしながら好ましくは、この中央の結合部分40は、直方体形状の中空室43として形成されており、この中空室43は、保持構造1の上面2を起点として収容部5の全長にわたって延びていて、かつ中空室43の下端部は開放している。このように構成されていると、それにもかかわらず保持構造1の十分な固有剛性を得ることができる。図3aおよび図3bから看取できるように、中空室43の上端部には、開口が形成されている。プラスチックから射出成形によってこのような保持構造を製造する場合、この中空室43は、成形金型の半部における直方体形状の突出部によって設定される。この直方体形状の突出部の上端部における突出部は、成形金型の、向かい合って位置している半部との不動の結合のために働き、これによって保持構造1をさらに正確に製造することができる。この突出部によって形成された開口42は、後で空気抜き開口として働くことができ、これによって保持構造1の下面と上面との間においてガスを、例えば保持構造1および/または保持構造1に保持された容器を滅菌するために使用される、例えば酸化エチレン(ETO)のようなガスを、流すことができるようになる。図3gから看取できるように、ガイドリブ18は第3実施形態では、常に収容部5の角隅領域12に配置されている。このときガイドリブ18は、内側に向かって収容部5内に、方向(x)で、それぞれの収容部5の幾何学的な中心Mに向かって進入することができ、これによってガイドリブ18は、それぞれ直径方向で互いに向かい合って位置している。しかしながらまた考えられる別の構成では、ガイドリブは、この方向(x)から僅かな角度(例えば1°~10°の間の範囲における)を成して異なっている方向で、内側に向かって収容部5内に進入している。
【0068】
収容部5の六角形の基本形状を有する、第1実施形態および第2実施形態に係る保持構造は、特に、比較的僅かな基準容積(例えば最大15mlまで)を有する容器、比較的小さな直径を有する容器、または高さがあって比較的スマートな容器のために使用することができる。収容部5の八角形の基本形状を有する第3実施形態に係る保持構造は、特に、比較的大きな基準容積(例えば15mlよりも大きな)を有する容器、比較的大きな直径を有する容器、または低くて比較的広幅の容器のために使用することができる。
【0069】
保持構造1の固有剛性は、特に、容器が収容部5内に収容されている間における、容器のさらなる処理をも可能にする。例えば、保持構造1をその下面の縁部に沿って保持フレームに載置し、次いで閉鎖エレメント、例えば閉鎖栓体を、容器の端部に載置し、かつ閉鎖エレメントを、好ましくは同時に、保持構造の収容部内に収容された全容器に対して、または一列または複数列の容器に対して、軸方向に移動させることが考えられる。このときに優勢である力は、保持構造によって十分に補償されるので、保持構造の僅かな屈曲(例えば保持構造の全長にわたって最大2.0mm)しか発生せず、これによって閉鎖エレメントの傾倒を回避することができる。
【0070】
従来のようにガイドリブ18の軸方向形状は、収容部内への容器のより良好な挿通および導入のために最適化される。そのための例は、独国実用新案第202016107209号明細書(20 2016 107 209)、および本出願人の未公開の独国特許出願第102017101398.9号明細書(10 2017 101 398.9)、または国際公開第2017/038878号(WO 2017/038878 A1)においても見られる。しかしながらガイドリブ18は、汎用の場合にはその横断面に関して最適化されない。しかしながら特に容器の位置が軽く偏心的である場合における、ガイドリブの不都合な横断面によって、顧客によって受け入れられない、例えば引っ掻き痕(いわゆるバイアルマーク)のような不所望の摩耗または視覚的に見える損傷を生ぜしめることがある。
【0071】
基本的には、ガイドリブ18の、(容器に向けられた)前面のためには、以下の幾何学形状が考えられる。
【0072】
事例a)ガイドリブ18の前面は、平らに面取りされて、平らに形成されており、ガイドリブ18の角隅領域は、丸く面取りされて形成されている;
事例b)ガイドリブ18の前面は、平らに面取りされて、平らに形成されており、ガイドリブ18の角隅領域は、角張っていて直角に形成されている;
事例c)ガイドリブ18の前面は、凹面状に湾曲されて形成されており(収容すべき容器の外輪郭に合わせられた曲率半径を有し)、ガイドリブ18の角隅領域は、丸く面取りされて形成されている。
【0073】
発明者の苦労した研究によって判明したことによれば、収容部5内における容器の完璧なセンタリングの場合、事例a)に記載の幾何学形状は、容器のための良好な接触兼案内面を可能にし、事例b)に記載の幾何学形状によっても、良好な結果を得ることができ、しかしながら事例c)に記載の幾何学形状によっては、容器のための最適な接触兼案内面が可能である。
【0074】
しかしながら収容部内への容器の導入時における、容器の方向付けが完璧ではない場合には、驚くほどまったく別の結果が生じる。すなわち容器の方向付けが完璧でない場合における、収容部内への容器の導入に対しては、事例a)に記載された幾何学形状は、容器のための最適な接触兼案内面を可能にし、事例bに記載された幾何学形状によっても、良好な結果を得ることができ、しかしながら事例c)に記載された幾何学形状によっては、容器のための単に不十分な接触兼案内面しか得られず、このような接触兼案内面は、特に、例えば引っ掻き痕(いわゆるバイアルマーク)のような不所望の摩耗または視覚的に見える損傷を生ぜしめる。
【0075】
収容部内への容器の導入時における容器の方向付けが、完璧でないことは、比較的しばしば生じる事例であるので、本発明によれば好ましくは、ガイドリブ18の幾何学形状に対する妥協策が、つまりガイドリブ18の少なくとも下端部において(またはガイドリブ18の全長にわたって)、それぞれ1つの平らに面取りされた部分18aが設けられており、この面取りされた部分18aの角隅領域18bは、図4aに示されているように、丸く面取りされて形成されている。
【0076】
図4bには、上から保持構造の収容部5内に導入することができるカープル50の収容状態が示されている。カープル50は、中空円筒形に形成されていて、円筒形の側壁52を備えており、この側壁52は、該側壁52に対して傾けられて延びる肩部分54を介して、円筒形の側壁52よりも小さな外径を有する狭められた頸部分55に移行しており、頸部分55の前端部には、放出開口58を備えた拡大された縁部56が形成されている。放出開口58は、栓体(図示せず)によって閉鎖されてよい。栓体は、圧着固定(aufgecrimpt)された金属カバーを用いて、カープル50の前端部に固定されてよい(いわゆる仮締め(pre-crimped)されたカートリッジ)。カープル50は、その後端部に開放されて形成されていて、充填開口57を備えており、この充填開口57を介して液状の物質を充填することができる。
【0077】
カープル50が鉛直方向で上から収容部5内に導入されると、最終的に肩部分54は、保持突出部22上に直接支持される。この状態においていずれにせよ、円筒形の側壁52の前端部は、側壁10の下端部に直接接触しており、かつこれによって収容部5内においてセンタリングされ、かつ支持される。この状態においてカープルの前端部は、狭められた頸部分55および拡大された縁部56を含めて、保持突出部22の間における開口を、場合によってはそこに圧着固定された金属カバー(図示せず)を含めて、貫いて延びている。このとき金属カバーは、保持突出部22と接触しないので、力が保持突出部22に加えられることはなく、かつ栓体は、例えばカープルが図4bに示された位置において頭を下にして(kopfueber)収容部5内に収容されかつ支持されている間において、例えば充填開口57内への栓体の導入時に、大きな軸方向力がカープル50に作用する場合でも、カープル50の充填開口57を確実に閉鎖することができる。この位置においてカープル50の後端部は、収容部5から突出している。
【0078】
相応の形式で図4cには、鉛直方向において上から保持構造の収容部5内に導入されるバイアルマーク51の収容状態が示されている。このときバイアルマーク51が、頭を上にして(aufrecht)導入されている状態が示されている。しかしながらまた基本的に、バイアル51は、図4bに示されているようにカープルの形式で、頭を下にして導入されてもよい。完全に導入された状態において、バイアル51の底部53は、保持突出部22上に支持されていて、これによってバイアル51は、軸方向において固定されて収容部5内に保持されている。
【0079】
上において記載したように保持構造1は、例えばバイアルまたはカープルのような薬剤容器を保管するためおよび搬送するために用いることができる。取り扱いのために保持構造1は、アクセス開口9を用いて、グリッパまたはこれに類したものによって把持し、かつ案内することができる。薬剤容器は、上において記載したように薬剤容器が保持構造1によって保持されている間に、さらに処理され、または取り扱われることができる。無菌搬送のために、このような保持構造は、いわゆるネストとして、槽形状の搬送または包装容器(いわゆるタブ)内において保管することができ、このことは、例えば本出願人の欧州特許出願公開第2868593号明細書(EP 2868593 A1)に開示されている形式で行われ、この明細書の内容は、これにより開示を目的とした参照の手段において本明細書に一緒に含まれるものである。搬送または包装容器は、ガス透過性のプラスチックシートを用いて、特にプラスチック繊維製のガス透過性の編成物(Geflecht)から形成されたプラスチックシートを用いて、閉鎖されるか、またはシールされることができ、このプラスチックシートは、特にタイベック(登録商標)‐シートである。
【0080】
無菌搬送のために、このような搬送または包装容器は、場合によっては、別の同様な搬送または包装容器と一緒に、少なくとも1つの無菌の二重包装袋内に収容され、かつ周囲に対して無菌状態で包装されることができる。少なくとも1つの無菌の二重包装袋は、ガス透過性の部分を有しているか、または完全にガス透過性の部分から形成されていることができ、このような二重包装袋は、特に、例えばポリプロピレン繊維(PP)のようなプラスチック繊維製の編成物によって形成されている。
【0081】
上において記載したように、保持構造のデザインは、特に、得ることができる包装密度に関して最適化されている。収容部のそれぞれ隣接した壁は、本発明に係る解決策では、隣接した2つの収容部によって共通に使用される1つ壁にまとめられている。これによって金型構造における、容易に破損可能でかつ冷却しにくいリブ状の壁薄の輪郭を本発明により回避することができ、この結果、金型の耐用寿命がより長くなる。さらに製造プロセスのサイクルタイムを、有意に短縮し、かつ個品コストを低減することができる。
【0082】
収容部の汎用の丸い幾何学形状は、本発明によれば、容器の比較的小さな容積(例えば15mlまで)では六角形の構造に移行し、かつ容器の比較的大きな容積(例えば15mlよりも大きい)では八角形の構造に移行し、この構造では、収容部の45°配置形態および90°配置形態が可能である。したがって極めて高い包装密度を得ることができる。同時に、プラスチックから射出成形によって製造するための金型のデザインは、有意に簡単化されている。金型および材料の冷却は、極めて簡単に実現することでき、かつ金型の中子は、簡単にかつまた標準化して製造することができる。
【0083】
さらに保持構造のデザインは、剛性および軽量構造に関しても最適化されている。特にハニカム形状のデザインは、大きな利点を提供し、このことは、屈曲に対する要求に該当する(保持面の全面積に関してかつ空の状態で測定して、最大2mmの屈曲を問題なく実現することができた)。
【0084】
ガイドリブとの組合せにおける、収容部の角張ったデザインは、同時に、蒸気滅菌(例えばオートクレーブにおけるETOを用いた)のための良好な接近可能性を可能にする。
【0085】
水平な(フラットな)金型分割は、さらに極めて好適に、保持構造の離型時における分割力に作用し、ひいては不都合なばり形成のリスク、ひいては金型閉鎖に基づいて発生し得る粒子のリスクに作用する。さらに金型分割は、もはや保持構造自体の直接的な領域においては行われない。
【0086】
金型分割平面の最適化された位置によって、本発明に係る保持構造は、特にかなり広範にクリーンルームに有用であることが証明されている。なぜならば、保持構造の離型時における粒子発生のリスクは、しかしながらまた後の使用時(特にガイドリブ18の最適化された幾何学形状に基づく)にも有意に減じることができるからである。
【0087】
本発明の意味における保持構造は、特に、プラスチックからの射出成形によって一体に形成することができる。また基本的に、プラスチックからの3Dプリントによる製造も考えられる。これによって、明示的にまた独立請求項を用いて独立した発明として請求することができる、本発明の別の観点は、コンピュータまたはプロセッサにおいて読取り可能なデータに関し、このデータはまた、例えば企業内コンピュータネットワークのようなネットワークを介した、またはインターネットを介した伝達のために、指示もしくは制御命令を含んでいて、これらの指示もしくは制御命令は、それがコンピュータまたはプロセッサによってチャージされた場合に、3Dプリンタが、コンピュータまたはプロセッサによる制御下で本出願において開示されたような保持構造を、適宜な材料、特にプラスチック材料から三次元形状においてプリントアウトすることを生ぜしめる。
【符号の説明】
【0088】
1 保持構造
1a 上側の保持構造
1b 下側の保持構造
2 上面/プレート形状の支持体
2a 上側の保持構造1aの上面
2b 上側の保持構造1bの上面
3 折り曲げられた縁部
4 丸く面取りされた角隅領域
5 収容部(多角形に形成された)
7 丸く面取りされた縁部領域
10 側壁
11 複数の側壁10の結合領域
12 収容部5の角隅領域
13 側壁10の上縁部
14 閉鎖リング
15 開口
16 結合ウェブ
18 ガイドリブ
18a ガイドリブ18の平らに面取りされた前端部
18b ガイドリブ18の丸く面取りされた角隅領域
19 ガイドリブ18の導入傾斜部
22 保持突出部
25 開口
26 円錐台形状の突出部
28 結合ウェブ
30 スリット
31 スペーサエレメント
40 中央の結合部分
41 中央の結合部分の上縁部
42 開口
43 中空室
50 カープル/容器
51 バイアル/容器
52 側壁
53 底部
54 肩部分
55 狭められた頸部分
56 上縁部
57 充填開口
58 放出開口
H 側壁10の高さ
M 収容部5の幾何学的な中心
x ガイドリブ18の延在方向
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図3g
図4a
図4b
図4c