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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】懸架装置
(51)【国際特許分類】
   B60G 11/08 20060101AFI20240123BHJP
   B60G 7/00 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
B60G11/08
B60G7/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019117818
(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公開番号】P2021003956
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯野 信次
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑介
(72)【発明者】
【氏名】川井 洋介
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-257131(JP,A)
【文献】特開平09-099721(JP,A)
【文献】特開平10-329520(JP,A)
【文献】米国特許第06189904(US,B1)
【文献】西独国特許出願公開第01924175(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 11/08
F16F 1/18
F16F 1/368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の板ばねと、
第1アームと、
第2アームと、
第1アームと第2アームの間に介在し、前記第1及び第2アームを揺動自在に連結する連結部材と、
を備える懸架装置であって、
前記第1アームまたは該第1アームに対して揺動自在に接続される部材に設けられ、前記板ばねの一端を保持する第1保持部と、
前記第2アームまたは該第2アームに対して揺動自在に接続される部材に設けられ、前記板ばねの他端を保持する第2保持部と、
を有し、
前記第1ームは、
該第1アームと前記連結部材との第1の連結位置よりも車体中心側において前記板ばねを支持し、
前記第2アームは、
当該第2アームと前記連結部材との第2の連結位置よりも車体中心側において前記板ばねを支持する、
ことを特徴とする懸架装置。
【請求項2】
前記第1保持部は、前記第1アームに設けられ、
前記第2保持部は、前記第2アームに設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の懸架装置。
【請求項3】
前記板ばねは、繊維強化プラスチックからなる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の懸架装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、懸架装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等に設けられ、路面の凹凸による振動が車輪を経て車体に伝わらないようにする緩衝機能を有し、車両の乗り心地や操縦の安定性などを向上させる懸架装置が知られている。懸架装置のうち、リーフスプリング式の懸架装置は、板ばねを用いて構成される(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
板ばねは、車輪を支持するアームと、車体を支持するメンバーとに取り付けられる。具体的に、板ばねは、右側の車輪を支持する右アーム、左側の車輪を支持する左アーム、車体を支持するメンバーに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-263109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の懸架装置は、板ばねがメンバーに取り付けられているため、この板ばねを伝達経路として車輪からの振動がメンバーを経由して車体に伝達される。振動が車体に伝達されると、乗り心地の品質や操縦の安定性が低下するおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車輪からの振動が車体に伝わるのを抑制することができる懸架装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る懸架装置は、帯状に延びる板ばねと、第1アームと、第2アームと、前記第1及び第2アームを回転自在に連結する連結部材と、を備える懸架装置であって、前記板ばねの一端を保持する第1保持部と、前記板ばねの他端を保持する第2保持部と、を有し、前記第1及び第2アームは、前記板ばねの一端及び他端とは異なる少なくとも一箇所で前記板ばねを支持することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る懸架装置は、上記の発明において、前記第1及び第2アームによる前記板ばねの支持位置は、前記第1アームと前記連結部材との第1の連結位置、及び、前記第2アームと前記連結部材との第2の連結位置の間に位置することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る懸架装置は、上記の発明において、前記第1保持部は、前記第1アームに設けられ、前記第2保持部は、前記第2アームに設けられる、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る懸架装置は、上記の発明において、前記板ばねは、繊維強化プラスチックからなる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車輪からの振動が車体に伝わるのを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係る懸架装置の構成を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すA-A線断面図である。
図3図3は、本発明の一実施の形態に係る懸架装置の板ばねの湾曲態様の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の一実施の形態に係る懸架装置の板ばねの湾曲態様の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施の形態の変形例1に係る懸架装置の要部の構成を模式的に示す斜視図である。
図6図6は、本発明の実施の形態の変形例2に係る懸架装置の構成を模式的に示す斜視図である。
図7図7は、本発明の実施の形態の変形例3に係る懸架装置の構成を模式的に示す斜視図である。
図8図8は、本発明の実施の形態の変形例4に係る懸架装置の構成を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解し得る程度に形状、大きさ、及び位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、及び位置関係のみに限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態に係る懸架装置の構成を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示すA-A線断面図である。懸架装置1は、例えば車両に設けられ、右側の車輪、左側の車輪、及び車体(ボディ)の間に介在して、車輪から伝わる振動が車体に伝達されることを抑制する。
【0015】
懸架装置1は、右側の車輪を支持する右アーム11と、左側の車輪を支持する左アーム12と、車体を支持するメンバー13と、車輪からの振動に応じて弾性変形する板ばね14と、を備える。懸架装置1は、メンバー13を経て車体に取り付けられ、路面の凹凸に応じて車輪から伝達される振動を吸収する。車輪は、ナックルやディスクロータ等を経てアームに支持される。なお、図1において、X方向は車体に取り付けられた際の車両の左右方向に相当し、Y方向は車両の前後方向に相当し、Z方向は車両の上下方向に相当する。
【0016】
右アーム11は、右側の車輪を支持する支持部11aと、支持部11aの車輪支持側と反対側に設けられ、メンバー13に支持される被支持部11bと、被支持部11bの支持部11a側と反対側に延び、板ばね14の一部を把持する把持部11cと、板ばね14の一端を保持する保持部11dとを有する。保持部11dは、第1保持部に相当する。
【0017】
左アーム12は、左側の車輪を支持する支持部12aと、支持部12aの車輪支持側と反対側に設けられ、メンバー13に支持される被支持部12bと、被支持部12bの支持部12a側と反対側に延び、板ばね14の一部を把持する把持部12cと、板ばね14の他端を保持する保持部12dとを有する。保持部12dは、第2保持部に相当する。
【0018】
メンバー13は、車体を支持し、車体と、右側車輪、右アーム11、左側車輪及び左アーム12との間に介在する。メンバー13は、右アーム11を支持するアーム支持部13aと、左アーム12を支持するアーム支持部13bと、X方向(車体の左右方向)に延び、右アーム11及び左アーム12に接続する本体部13cとを有する。アーム支持部13a、13bは、本体部13cが延びる方向(X方向)に対して垂直な方向(Y方向)に延びる。アーム支持部13aは、右アーム11を、Y方向に延びる回転軸Y1の周りに回転可能に支持する。アーム支持部13bは、左アーム12を、Y方向に延びる回転軸Y2の周りに回転可能に支持する。メンバー13は、右アーム11及び左アーム12を回転自在に連結する連結部材に相当する。なお、メンバー13は、車体と一体化されたものであってもよい。メンバー13が車体と一体化されている場合は、車体が右アーム11及び左アーム12と連結する連結部材の機能を担う。
【0019】
板ばね14は、帯状をなしてX方向に延びる。板ばね14は、例えば、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics:FRP)や、金属、樹脂を用いて形成される。板ばねは、一枚の板材からなるものであってもよいし、複数枚の板材を積層してなるものであってもよい。なお、板ばね14の形状や弾性力等を設計するうえで、FRPは、金属や樹脂と比して、その設計の自由度が高い。
【0020】
ここで、保持部11d、12dは、それぞれ板ばね14の端部を収容して保持する。本明細書では、部材の一部を収容して、部材面を取り囲み、この部材の垂直方向(ここではZ方向)への動作、水平方向(ここではY方向)への動作、回転動作を拘束して保持することを面支持という。保持部11d、12dは、面支持によって、板ばね14の端部を保持する。なお、板ばね14は、保持部11d、12dに対し挿脱する方向に移動可能である。
【0021】
また、把持部11cには、板ばね14を把持する面であって、互いに対向する二つの把持面に、それぞれ突起11eが形成される。把持部11cは、突起11eによって板ばね14を挟み込んで支持する。本明細書において、部材の一部を突起等によって点や線で支持することを点支持という。この点支持では、板ばね14が、突起12eを支点として回転しうる程度の面積で支持される。把持部11cは、点支持によって板ばね14を支持する。一方、上述した面支持では、板ばね14は、アームから荷重が加わっても保持部11d、12dによって回転できない状態となっている。
【0022】
また、把持部12cには、板ばね14を把持する面であって、互いに対向する二つの把持面に、それぞれ突起12eが形成される。把持部12cは、突起12eによって板ばね14を点支持する。
【0023】
把持部11c(突起11e)による板ばね14の支持位置は、右アーム11とメンバー13との連結位置(回転軸Y1)よりも内側(右側車輪側と反対側)である。また、把持部12c(突起12e)による板ばね14の支持位置は、左アーム12とメンバー13との連結位置(回転軸Y2)よりも内側(左側車輪側と反対側)である。把持部11cによる板ばね14の支持位置、及び把持部12cによる板ばね14の支持位置は、いずれも、回転軸Y1と回転軸Y2との間に位置している。
【0024】
図3及び図4は、本発明の一実施の形態に係る懸架装置の板ばねの湾曲態様の一例を示す図である。図3は、アームの変位によって板ばね14が変形した状態を示す図である。また、図4は、図3とは逆の態様で湾曲した状態を示す図である。図3および図4に示すように、アームの変位によって板ばね14が変形した場合であっても、メンバー13はその変形の影響を受けていない。懸架装置1では、板ばね14が変形しても、メンバー13は変形しない。すなわち、懸架装置1において、アームから板ばね14に振動が伝わった場合、板ばね14がその振動を吸収するとともに、メンバー13にはその振動が伝達されない。この際、右アーム11及び左アーム12は、メンバー13によって回転可能に支持されており、変動による荷重が回転力に変換されるため、アームの振動がメンバー13に伝達されることが抑制される。
【0025】
以上説明した実施の形態では、右アーム11及び左アーム12によって板ばね14を支持し、アームの変位によって伝わる振動を板ばね14が吸収するとともに、板ばね14の変形(変位)による振動がメンバー13に直接伝わらないようにしたので、車輪からの振動が車体に伝わるのを抑制することができる。また、懸架装置1は、例えば車体が傾斜(ロール)して、一方の車輪が上方側(車体側)に、他方の車輪がその反対側(ここではZ方向の反対側)に変位したときに、板ばね14が変形したり、元の形状に戻ろうとしたりすることによって、車体の傾き(ロール角)を抑制する。
【0026】
また、実施の形態では、板ばね14をアームの配設領域内に配置しているため、板ばね14の配設スペースを効率化することができる。
【0027】
(実施の形態の変形例1)
図5は、本発明の実施の形態の変形例1に係る懸架装置の要部の構成を模式的に示す斜視図である。上述した実施の形態では、保持部11dが面支持によって板ばね14を保持する例を説明したが、本変形例1では、保持部が点支持によって板ばね14を保持する。本変形例1では、右アームの保持部の構成以外は、上述した実施の形態の構成と同じである。以下、右アームの保持部11fの構成について説明する。
【0028】
保持部11fは、板ばね14の一端を保持する。保持部11dは、板ばね14の端部を収容して保持する。保持部11fには、板ばね14を収容する面であって、互いに対向する二つの面に、それぞれ突起11gが形成される。保持部11fは、点支持によって板ばね14を支持する。
【0029】
以上説明した変形例1のように、右アームの保持部11fが板ばね14を点支持する場合であっても、板ばね14の変形(変位)によって振動がメンバー13に伝わることはないため、車輪からの振動が車体に伝わるのを抑制することができる。
【0030】
なお、左アームに設けられる保持部においても、板ばね14を点支持する構成としてもよい。また、把持部11c、12cにおいて、板ばね14を面支持する構成としてもよい。点支持と面支持とでは、支持位置が同じでも板ばね14のばね定数が変わる。板ばね14のばね定数の調整として、支持態様を変えてもよい。また、面支持及び点支持のほか、板ばね14の動きに沿って回転を許容するヒンジ支持する構成としてもよい。
【0031】
(実施の形態の変形例2)
図6は、本発明の実施の形態の変形例2に係る懸架装置の構成を模式的に示す斜視図である。変形例2に係る懸架装置1Aは、右側の車輪を支持する右アーム11Aと、左側の車輪を支持する左アーム12Aと、車体を支持するメンバー13と、車輪からの振動に応じて弾性変形する板ばね14と、板ばね14を把持する把持部15とを備える。メンバー13及び板ばね14は、実施の形態と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0032】
右アーム11Aは、右側の車輪を支持する支持部11aと、支持部11aの車輪支持側と反対側に設けられ、メンバー13に支持される被支持部11bと、板ばね14の一端を保持する保持部11d(図2参照)と、被支持部11bの支持部11a側と反対側に延び、把持部15に連なる連結部11hとを有する。
【0033】
左アーム12Aは、左側の車輪を支持する支持部12aと、支持部12aの車輪支持側と反対側に設けられ、メンバー13に支持される被支持部12bと、板ばね14の他端を保持する保持部12d(図2参照)と、被支持部12bの支持部12a側と反対側に延び、把持部15に連なる連結部12fとを有する。
【0034】
把持部15は、円環状をなし、板ばね14の長手方向の中央部を把持する。把持部15による板ばね14の支持位置は、右アーム11Aとメンバー13との連結位置(回転軸Y1)と、左アーム12Aとメンバー13との連結位置(回転軸Y2)との間に位置する。
【0035】
連結部11h、12fは、把持部15の互い異なる位置に連結する。右アーム11Aは、連結部11hを経て把持部15によって板ばね14を把持する。左アーム12Aは、連結部12fを経て把持部15によって板ばね14を把持する。右アーム11A及び左アーム12Aは、共通の把持部15によって板ばねを支持している。変形例2において、把持部15と右アーム11及び左アーム12との少なくとも一方の間にベアリング等を設けて、把持部15に対して右アーム11及び左アーム12が独立して回動するようにしてもよい。
【0036】
懸架装置1Aにおいても、アームから板ばね14に振動が伝わった場合、板ばね14がその振動を吸収するとともに、メンバー13にはその振動が伝達されない。
【0037】
以上説明した変形例2では、右アーム11A及び左アーム12Aによって板ばね14を支持し、アームの変位によって伝わる振動を板ばね14が吸収するとともに、板ばね14の変形(変位)による振動をメンバー13に伝わらないようにしたので、車輪からの振動が車体に伝わるのを抑制することができる。
【0038】
(実施の形態の変形例3)
図7は、本発明の実施の形態の変形例3に係る懸架装置の構成を模式的に示す斜視図である。上述した実施の形態及び変形例1、2では、アームが板ばねを保持する例を説明したが、本変形例3は、アーム11、12に接続するリンク16、17が板ばねを保持する。変形例3に係る懸架装置1Bは、右側の車輪を支持する右アーム11と、左側の車輪を支持する左アーム12と、車体を支持するメンバー13と、車輪からの振動に応じて弾性変形する板ばね14と、板ばね14の一端を把持し、右アーム11に接続される第1リンク16と、板ばね14の他端を把持し、左アーム12に接続される第2リンク17とを備える。本変形例3では、リンクの構成以外は、上述した実施の形態の構成と同じである。以下、第1リンク16、第2リンク17の構成について説明する。
【0039】
第1リンク16は、板ばね14の一端を保持する保持部16aと、右アーム11に接続する接続部16bとを有する。保持部16aは、接続部16bに、Y方向と平行な軸のまわりに回転可能に支持される。保持部16aは、例えば、ピンやボールジョイントによって接続部16bに支持される。接続部16bは、右アーム11に、Y方向と平行な軸のまわりに回転可能に支持される。接続部16bは、例えば、ピンやボールジョイントによって右アーム11に支持される。保持部16aは、第1保持部に相当する。
【0040】
第2リンク17は、板ばね14の他端を保持する保持部17aと、左アーム12に接続する接続部17bとを有する。保持部17aは、接続部17bに、Y方向と平行な軸のまわりに回転可能に支持される。保持部17aは、例えば、ピンやボールジョイントによって接続部17bに支持される。接続部17bは、左アーム12に、Y方向と平行な軸のまわりに回転可能に支持される。接続部17bは、例えば、ピンやボールジョイントによって左アーム12に支持される。保持部17aは、第2保持部に相当する。
図7では、第1リンク16および第2リンク17が面支持によってそれぞれ板ばね14を支持しているが、点支持によって板ばね14を支持してもよい。
【0041】
以上説明した変形例3のように、各アームに接続するリンクが板ばね14を保持する場合であっても、板ばね14の変形(変位)によって振動がメンバー13に伝わることはないため、車輪からの振動が車体に伝わるのを抑制することができる。
【0042】
(実施の形態の変形例4)
図8は、本発明の実施の形態の変形例4に係る懸架装置の構成を模式的に示す斜視図である。本変形例4では、車輪とアームとの間に介在し、軸受を支持するナックルが、板ばねを保持する。変形例3に係る懸架装置1Bは、右側の車輪を支持する右アーム11と、左側の車輪を支持する左アーム12と、車体を支持するメンバー13と、車輪からの振動に応じて弾性変形する板ばね14と、板ばね14の一端を把持し、右アーム11に接続される第1ナックル18と、板ばね14の他端を把持し、左アーム12に接続される第2ナックル19とを備える。本変形例4では、ナックルの構成以外は、上述した実施の形態の構成と同じである。以下、第1ナックル18、第2ナックル19の構成について説明する。
【0043】
第1ナックル18は、板ばね14の一端を保持する保持部18aと、軸受を支持し、右アーム11に接続する接続部18bとを有する。保持部18aは、接続部18bに、Y方向と平行な軸のまわりに回転可能に支持される。保持部18aは、例えば、ピンやボールジョイントによって接続部18bに支持される。接続部18bは、右アーム11に、Y方向と平行な軸のまわりに回転可能に支持される。接続部18bは、例えば、ピンやボールジョイントによって右アーム11に支持される。保持部18aは、第1保持部に相当する。
【0044】
第2ナックル19は、板ばね14の他端を保持する保持部19aと、軸受を支持し、左アーム12に接続する接続部19bとを有する。保持部19aは、接続部19bに、Y方向と平行な軸のまわりに回転可能に支持される。保持部19aは、例えば、ピンやボールジョイントによって接続部19bに支持される。接続部19bは、左アーム12に、Y方向と平行な軸のまわりに回転可能に支持される。接続部19bは、例えば、ピンやボールジョイントによって左アーム12に支持される。保持部19aは、第2保持部に相当する。
図8では、第1ナックル18および第2ナックル19が面支持によってそれぞれ板ばね14を支持しているが、点支持によって板ばね14を支持してもよい。
【0045】
以上説明した変形例4のように、各アームに接続するナックルが板ばね14を保持する場合であっても、板ばね14の変形(変位)によって振動がメンバー13に伝わることはないため、車輪からの振動が車体に伝わるのを抑制することができる。
【0046】
変形例3、4のように、アームとは別体であり、車体と車輪との間に設けられて両者の接続に関連する部材が、板ばねを保持する構成としてもよい。また、変形例3、4において、右アーム及び左アームによる板ばね14の支持位置は、変形例2の位置としてもよい。
【0047】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【0048】
なお、上述した実施の形態及び変形例において、アームにおける板ばねと接触する部分にゴム等の緩衝部材を配設し、該緩衝部材を介して板ばねを支持するようにしてもよい。
【0049】
また、上述した実施の形態及び変形例では、右アームとメンバーとの連結位置と、左アームとメンバーとの連結位置との間において板ばねを把持する例を説明したが、Z方向からみて連結位置と重複する位置で板ばねを支持してもよいし、連結位置よりも車輪側(外側)で板ばねを支持する構成としてもよい。
【0050】
また、上述した実施の形態及び変形例において、アクチュエータ等によって把持部による板ばね14の把持位置を移動可能な構成としてもよい。
【0051】
また、上述した実施の形態及び変形例において、5箇所以上の複数の箇所において板ばねを支持する構成としてもよい。
【0052】
また、上述した実施の形態及び変形例に係る懸架装置は、コイルばねを用いた懸架装置等の他の懸架装置と組み合わせて車両に設けてもよい。
【0053】
以上説明したように、本発明に係る懸架装置は、車輪からの振動が車体に伝わるのを抑制するのに好適である。
【符号の説明】
【0054】
1、1A~1C 懸架装置
11、11A 右アーム
11a、12a 支持部
11b、12b 被支持部
11c、12c、15 把持部
11d、11f、12d 保持部
11e、11g、12e 突起
12、12A 左アーム
13 メンバー
13a、13b アーム支持部
13c 本体部
14 板ばね
15 把持部
16 第1リンク
17 第2リンク
18 第1ナックル
19 第2ナックル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8