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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】温度センサ及び温度測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/02 20210101AFI20240123BHJP
   G01K 1/08 20210101ALI20240123BHJP
【FI】
G01K7/02 C
G01K1/08 P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019118909
(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公開番号】P2021004804
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】岡本 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】下山 亮太
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-180863(JP,A)
【文献】特開2014-109462(JP,A)
【文献】特開平03-234518(JP,A)
【文献】特開2003-035605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形装置において金型に充填される樹脂の温度を測定する温度センサであって、
前記温度センサは、
有底筒状の金属シースと、
前記金属シース内に収容された一対の熱電対素線と、
前記金属シース内において前記一対の熱電対素線の周囲に設けられた絶縁体と
を備え、先端を前記樹脂の測温接点とする接地型シース熱電対であり、
前記金属シースの先端部分の周囲を覆っている筐体を更に備え、
前記金属シースの先端が平面形状であり、
前記金属シースは、感温部として機能する円柱状の円柱部と、当該円柱部から立設された円筒状の円筒部と、を有し、前記円柱部および前記円筒部は同一材料により一体形成されてい
ことを特徴とする温度センサ。
【請求項2】
前記筐体の先端の直径は1mm以下であることを特徴とする請求項1記載の温度センサ。
【請求項3】
前記金属シースの前記円柱部の一端側面と前記筐体の先端部の先端側面とが面一となっており、前記一端側面と前記先端側面との間は溶接されていることを特徴とする請求項1又は2記載の温度センサ。
【請求項4】
前記金属シースの少なくとも一部が前記筐体にかしめられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の温度センサ。
【請求項5】
樹脂成形装置において、
請求項1乃至4のいずれか1項記載の温度センサと、
前記温度センサにより金型に充填される樹脂の温度を測定する温度測定部と
を備えることを特徴とする温度測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサ及び温度測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂成形装置の金型内に充填される樹脂の温度を測定する温度センサが広く知られている。このような温度センサとして、例えば、2つの熱電対素線が温度センサの先端に案内される2つの孔を有しており、2つの孔に熱電対素線が案内されて温度センサに溶接された後に、温度センサの先端が加工されることにより形成された温度センサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第7789559号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような従来の温度センサにおいては、2つの熱電対素線を案内するための2つの孔を加工しなければならない。ここで、温度センサの小型化に伴い熱電対素線も細線化されるため、孔の加工が難しくなるおそれがあり、また、2つの熱電対素線を2つの孔に組み付けるのも難しくなるおそれがある。このように、従来の温度センサに対しては、加工性及び組み付け性を向上することができる構造が求められていた。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、加工性及び組み付け性を向上することができる温度センサ及び温度測定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る温度センサは、樹脂成形装置において金型に充填される樹脂の温度を測定する温度センサであって、前記温度センサは、有底筒状の金属シースと、前記金属シース内に収容された一対の熱電対素線と、前記金属シース内において前記一対の熱電対素線の周囲に設けられた絶縁体とを備え、先端を前記樹脂の測温接点とする接地型シース熱電対であり、前記金属シースの先端部分の周囲を覆っている筐体を更に備え、前記金属シースの先端が平面形状であることを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様に係る温度センサにおいて、前記筐体の先端の直径は1mm以下である。
【0008】
本発明の一態様に係る温度センサにおいて、前記金属シースの先端と前記筐体の先端とが面一となっている。
【0009】
本発明の一態様に係る温度センサにおいて、前記金属シースの少なくとも一部が前記筐体にかしめられている。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る温度測定システムは、樹脂成形装置において、上述の温度センサと、前記温度センサにより金型に充填される樹脂の温度を測定する温度測定部とを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る温度センサ及び温度測定システムによれば、加工性及び組み付け性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る温度センサの構成を示す側面図である。
図2図1に示す温度センサの構成を示す断面図である。
図3図1に示す温度センサの先端部分の構成を示す断面図である。
図4図1に示す温度センサの先端部分の構成を示す端面図である。
図5図1に示す温度センサの先端部分の構成を示すA-A断面図である。
図6】本発明の実施の形態に係る温度センサが樹脂成形装置の金型に取り付けられた状態を示す断面図である。
図7】本発明の実施の形態に係る温度センサが樹脂成形装置の金型に取り付けられた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る温度センサ1の構成を示す側面図であり、図2は、温度センサ1の構成を示す断面図である。図3は、温度センサの先端部分の構成を示す断面図であり、図4は、温度センサ1の先端部分の構成を示す端面図である。図5は、温度センサ1の先端部分の構成を示すA-A断面図である。
【0015】
本発明の実施の形態に係る温度センサ1は、樹脂成形装置100(図6)において金型110(図6)に充填される樹脂120(図6)及び/又は固定側金型112(図6)の温度(すなわち、少なくとも樹脂120の表面温度と、温度センサ1の近傍における金型温度のいずれか一方又は両方)を測定する温度センサである。温度センサ1は、有底筒状の金属シース10と、金属シース10内に収容された一対の熱電対素線20と、金属シース10内において一対の熱電対素線20の周囲に設けられた絶縁体30とを備え、先端を樹脂120の測温接点とする接地型シース熱電対である。また、温度センサ1は、金属シース10の先端部分の周囲を覆っている筐体40を更に備え、金属シース10の先端が平面形状である。また、本発明の実施の形態に係る温度測定システムは、樹脂成形装置100において、温度センサ1と、温度センサ1により金型110に充填される樹脂120の温度を測定する温度測定部140とを備えている。以下、温度センサ1及び温度測定システムの構成について具体的に説明する。
【0016】
温度センサ1は、図1~5に示すように、外形が、軸線Y1を中心として軸線Y1方向と平行又は略平行に延びており、円柱棒状又は略円柱棒状に形成されている。温度センサ1では、図2に示すように、金属シース10と、一対の熱電対素線20と、絶縁体30とを有する接地型シース熱電対が筐体40の内部に収容されており、他端側の一部が筐体40から露出している。
【0017】
金属シース10は、図3~5に示すように、軸線Y1を中心として軸線Y1方向と平行又は略平行に延びており、有底円筒状又は略有底円筒状に形成されている。金属シース10は、円柱状又は略円柱状の円柱部11と、円柱部11の他端側面11bから立設された円筒状又は略円筒状の円筒部12とを有している。円柱部11は、温度センサ1の先端部分の周囲の金型110(図6)及び樹脂120(図6)の温度を検出する感温部として機能する。
【0018】
円柱部11の一端側面11aは、温度センサ1の先端であり、樹脂120(図6)の測温接点となっている。円柱部11の一端側面11aは、軸線Y1を中心とし、軸線Y1方向と直交又は略直交して延びる円形状又は略円形状の平面である。金属シース10は、例えばステンレス鋼により構成されるが、この他種々の金属を用いることができる。
【0019】
一対の熱電対素線20は、各々、金属シース10の内部において、所定の間隔を有して軸線Y1方向と平行又は略平行に延びており、細線状又は略細線状に形成されている。一対の熱電対素線20の一方の熱電対素線は、例えば白金ロジウム合金により構成された熱電対素線21であり、一対の熱電対素線20の他方の熱電対素線は、例えば白金又は白金ロジウム合金により構成された熱電対素線22である。
【0020】
熱電対素線21,22は、各々、一端側が金属シース10の円柱部11の他端側面11bに溶接されており、他端側が補償導線(図示せず)でなるケーブル130(図6)と接続されるようになっている。なお、熱電対素線21,22は、例えばそれぞれアルメルとクロメルとによって構成することもでき、この他種々の熱電対として使用される金属を用いることができる。
【0021】
絶縁体30は、金属シース10の内部において、熱電対素線21,22の各々の周囲を覆って充填されており、熱電対素線21,22を絶縁して保持している。絶縁体30は、例えばマグネシア粉末(MgO)により構成されるが、この他種々の絶縁体を用いることができる。
【0022】
筐体40は、軸線Y1を中心として軸線Y1方向と平行又は略平行に延びており、円筒状又は略円筒状に形成された筒状部41を有している。筒状部41は、一端側に先端部42を有しており、他端側にかしめ部43を有しており、軸線Y1方向における中央部分にフランジ部44を有している。筐体40は、例えば金属シース10よりも硬いステンレス鋼により構成されるが、この他種々の金属シース10と異なる金属を用いることができる。
【0023】
先端部42は、軸線Y1を中心として軸線Y1方向と平行又は略平行に延びており、円筒状又は略円筒状に形成されている。先端部42は、筒状部41と同軸であり、筒状部41と連通している。筒状部41の一端側は縮径されており、先端部42の直径は、筒状部41よりも小さくなっている。先端部42の先端の直径は、例えば1mm以下である。なお、先端部42の直径は1mmよりも大きくてもよい。
【0024】
先端部42の内径は、金属シース10の直径よりも僅かに小さくなっており、金属シース10の先端部分は、先端部42に締まり嵌め(圧入)されている。すなわち、先端部42は、金属シース10の円柱部11及び円筒部12の一部を覆っている。先端部42の先端側面42aは、軸線Y1を中心として軸線Y1方向と直交又は略直交して延びる円環形状又は略円環形状の平面である。
【0025】
先端部42の先端側面42aは、金属シース10の円柱部11の一端側面11aと面一となっている。先端部42の先端側面42aと金属シース10の円柱部11の一端側面11aとの間は溶接されており、これにより、先端部42と金属シース10とを隙間なく固定することができるようになっている。先端部42と先端部42に収容された接地型シース熱電対(金属シース10、一対の熱電対素線20、絶縁体30)により温度センサ1の先端部分が形成されており、先端部42の先端側面42aと金属シース10の円柱部11の一端側面11aとにより温度センサ1の先端が形成されている。
【0026】
かしめ部43は、軸線Y1を中心として軸線Y1方向と平行又は略平行に延びており、円筒状又は略円筒状に形成されている。かしめ部43は、筒状部41と同軸であり、筒状部41と連通している。かしめ部43の直径は、筒状部41よりも小さくなっており、かしめ部43は、金属シース10の一部をかしめて金属シース10を筐体40に固定している。フランジ部44は、筒状部41の軸線Y1方向における中央部分において、筒状部41の外周面から外周側に延びる円環状又は略円環状のフランジである。
【0027】
続いて、温度センサ1が樹脂成形装置100の金型110に取り付けられた状態について説明する。図6,7は、本発明の実施の形態に係る温度センサ1が樹脂成形装置100の金型110に取り付けられた状態を示す断面図である。樹脂成形装置100の金型110は、固定側取付板111と、固定側金型112と、可動側取付板113と、可動側金型114とを有している。金型110においては、固定側取付板111に対して固定側金型112が取り付けられており、可動側取付板113に対して可動側金型114が取り付けられている。
【0028】
可動側金型114には例えば断面視矩形状又は断面視略矩形状の凹部114aが形成されており、可動側金型114と固定側金型112によりキャビティ115が形成されている。また、可動側金型114の凹部114aには、樹脂120をキャビティ115に充填するためのゲート116が形成されている。
【0029】
固定側取付板111には取付板貫通孔111a(若しくは配線用の溝)が形成されており、固定側金型112には金型貫通孔117が形成されており、取付板貫通孔111aと金型貫通孔117とは連通している。固定側金型112の金型貫通孔117には、温度センサ1が挿入されて固定されている。金型貫通孔117は、先端部固定孔117aと、筒状部固定孔117bと、他端側貫通孔117cとを有している。
【0030】
先端部固定孔117aは、筐体40の先端部42に対応した形状に形成されており、筐体40の先端部42の直径よりも僅かに小さい孔であり、先端部42は、先端部固定孔117aに締まり嵌め(圧入)されている。筒状部固定孔117bは、先端部固定孔117aよりも大きい孔である。筒状部固定孔117bは、フランジ部44よりも先端部側の筒状部41に対応した形状に形成されている。筒状部固定孔117bは、フランジ部44よりも先端部側の筒状部41の直径よりも僅かに小さい孔であり、フランジ部44よりも先端部側の筒状部41は、筒状部固定孔117bに締まり嵌め(圧入)されている。
【0031】
他端側貫通孔117cは、筒状部固定孔117bよりも大きい孔であり、他端側貫通孔117cと筒状部固定孔117bとの間に段差面117dが形成されている。他端側貫通孔117cは、フランジ部44と同じ又は略同じ直径の孔であり、固定用スペーサ118を有している。固定用スペーサ118は、例えば円筒状又は略円筒状のパイプであり、外径が他端側貫通孔117cよりも僅かに大きく他端側貫通孔117cに圧入されている。また、固定用スペーサ118は、内径がフランジ部44よりも他端側の筒状部41の中央部分よりも僅かに小さく、フランジ部44よりも他端側の筒状部41を他端側貫通孔117c内に固定している。
【0032】
温度センサ1の先端は、固定側金型112のキャビティ側面112aと面一となっている。温度センサ1の筐体40の先端部42は、先端部固定孔117aにより固定されており、温度センサ1の筐体40のフランジ部44よりも先端部側の筒状部41は、筒状部固定孔117bにより固定されている。温度センサ1の筐体40のフランジ部44よりも他端側の筒状部41は、他端側貫通孔117c内の固定用スペーサ118により固定されている。
【0033】
温度センサ1の筐体40のフランジ部44は、他端側貫通孔117cと筒状部固定孔117bとの間の段差面117dに当接しており、温度センサ1は、段差面117dにより位置合わせされている。これにより、樹脂成形装置100では、温度センサ1の先端と固定側金型112のキャビティ側面112aとが同一平面上に位置されている。
【0034】
温度センサ1の熱電対素線21,22は、他端側において、補償導線(図示せず)でなるケーブル130と接続されており、温度センサ1は、ケーブル130を介して温度測定部140と接続されている。なお、金型110には、固定側金型112と可動側金型114との間にキャビティ115が複数形成されており、個々のキャビティ115に対応する温度センサ1が設けられており、複数の温度センサ1が温度測定部140と接続されていてもよい。また、1つのキャビティ115内に複数の温度センサ1が設けられていてもよい。
【0035】
樹脂成形時において、樹脂成形装置100は、可動側金型114を移動して可動側金型114を固定側金型112に当接し、ゲート116を介して溶融された樹脂120をキャビティ内に充填する。そして、樹脂成形装置100は、キャビティ内に充填された樹脂120が冷却されて固化されることにより樹脂成形品150を成形する。その後、樹脂成形装置100は、可動側金型114を移動して可動側金型114を固定側金型112から離間し、突き出しピン(図示せず)により樹脂成形品150を突き出して、樹脂成形品150を可動側金型114から取り出す。
【0036】
ここで、溶融された樹脂120がキャビティ内に充填されると、溶融された樹脂120が温度センサ1の先端の測温接点に当接して温度センサ1の測温接点の温度が上昇し、温度センサ1の測温接点と基準接点との間に温度差が与えられる。これにより、温度センサ1の熱電対素線21,22に電圧が発生して熱電対素線21,22に微少な電流が流れる。温度測定部140は、温度センサ1の熱電対素線21,22に流れる電流をケーブル130を介して測定し、測定された電流に基づいて樹脂120の温度を測定する。また、温度測定部140は、キャビティ内に充填された樹脂120が冷却されて固化され、樹脂成形品150が温度センサ1の測定接点から離れるまでの間においても、測定された電流に基づいて樹脂120の温度を測定する。
【0037】
このように、本発明の実施の形態に係る温度センサ1は、樹脂成形装置100において金型110に充填される樹脂120(及び/又は固定側金型112)の温度を測定する温度センサである。有底筒状の金属シース10と、金属シース10内に収容された一対の熱電対素線20と、金属シース10内において一対の熱電対素線20の周囲に設けられた絶縁体30とを備え、先端を樹脂120の測温接点とする接地型シース熱電対である。また、温度センサ1は、金属シース10の先端部分の周囲を覆っている筐体40を更に備え、金属シース10の先端が平面形状である。また、温度センサ1は、金属シース10の少なくとも一部が筐体40にかしめられている。温度センサ1が接地型シース熱電対であるため、樹脂成形装置100において従来用いられていた温度センサのように、熱電対素線を案内するための2つの孔を加工する必要がなく熱電対素線を2つの孔に組み付ける必要もない。従って、温度センサ1では、樹脂成形装置100に用いられる場合における温度センサ1の加工性及び組み付け性を向上することができる。
【0038】
また、金属シース10の先端部分の周囲が筐体40により覆われているため、温度センサ1を可動側金型114に固定する際に温度センサ1の金属シース10が破損するのを防止することができ、温度センサ1を可動側金型114に固定する際の組み付け性を向上することができる。また、金属シース10の先端が平面形状であるため、樹脂成形装置100において成形される樹脂成形品150と当接する部分を平面形状にすることができるため、樹脂成形品150の不良を低減することができる。また、金属シース10の少なくとも一部が筐体40にかしめられているため、金属シース10を筐体40に強固に固定することができる。
【0039】
また、温度センサ1は、熱電対素線を案内するための2つの孔を加工する必要がなく熱電対素線を2つの孔に組み付ける必要もなく、温度センサ1の加工性及び組み付け性を向上することができるため、先端部42の先端の直径が例えば1mm以下とすることができ、温度センサ1を小型化することができる。また、温度センサ1は、先端部42の先端側面42aが金属シース10の円柱部11の一端側面11aと面一となっているため、樹脂成形装置100において成形される樹脂成形品150と当接する部分を平面形状にすることができ、樹脂成形品150の不良を更に低減することができる。また、温度センサ1は、先端部42の先端側面42aと金属シース10の円柱部11の一端側面11aとの間が溶接されているため、先端部42と金属シース10とを隙間なく固定することができる。
【0040】
また、樹脂成形装置100は、金型110に取り付けられた温度センサ1と、温度センサ1により金型110に充填される樹脂120の温度を測定する温度測定部140とによりの温度測定システムを構成している。温度測定システムの温度測定部140は、温度センサ1の熱電対素線21,22に流れる電流をケーブル130を介して測定し、測定された電流に基づいて樹脂120の温度を測定する。なお、温度測定部140は、種々の方法により樹脂120の温度を測定することができる。
【0041】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【0042】
例えば、本発明の実施の形態に係る温度センサ1においては、金属シース10の先端部分の周囲を覆っている筐体40を更に備え、金属シース10の先端が平面形状であり、金属シース10の少なくとも一部が筐体40にかしめられている場合を一例に本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれに限らず、樹脂成形装置100に用いられる場合において、温度センサ1が接地型シース熱電対により構成されていればよい。
【0043】
すなわち、本発明の実施の形態に係る温度センサ1は、金属シース10の先端部分の周囲を筐体40により覆っていなくてもよく、金属シース10を可動側金型114の金型貫通孔117に固定すればよい。また、温度センサ1は、金属シース10の先端が平面形状でなくてもよく、温度センサ1の先端と固定側金型112のキャビティ側面112aとが同一平面上に位置するような形状であればよい。例えば、固定側金型112のキャビティ側面112aが曲面形状である場合には、金属シース10の先端を含む温度センサ1の先端が固定側金型112のキャビティ側面112aに沿った曲面形状であればよい。また、温度センサ1では、金属シース10の少なくとも一部が筐体40にかしめられていなくてもよく、金属シース10の少なくとも一部が筐体40に固定されていればよい。
【符号の説明】
【0044】
1…温度センサ、10…金属シース、20…一対の熱電対素線、30…絶縁体、40…筐体、100…樹脂成形装置、110…金型、120…樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7