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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】盗難抑止装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 13/22 20060101AFI20240123BHJP
   G07G 1/14 20060101ALI20240123BHJP
   G07G 1/12 20060101ALI20240123BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20240123BHJP
【FI】
G08B13/22
G07G1/14
G07G1/12 331Z
G06Q30/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019122038
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021009488
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100199277
【弁理士】
【氏名又は名称】西守 有人
(72)【発明者】
【氏名】廣戸 健一郎
【審査官】綿引 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-134644(JP,A)
【文献】特開2008-027427(JP,A)
【文献】特開平09-245251(JP,A)
【文献】特開2012-242912(JP,A)
【文献】特開昭63-024491(JP,A)
【文献】特開2011-141644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - G06Q 10/30
G06Q 30/00 - G06Q 30/08
G06Q 50/00 - G06Q 50/20
G06Q 50/26 - G06Q 99/00
G07G 1/00 - G07G 5/00
G08B 13/00 - G08B 15/02
G08B 23/00 - G08B 31/00
G16Z 99/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルフ式のレジスタを備える店舗における客の存否を判定する判定手段と、
前記判定手段によって客が一人も存在しないと判定されている不存在期間が到来するごとに、その不存在期間の直前の、前記判定手段によって客が存在すると判定されている存在期間における商品の減少数を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された前記減少数と、前記存在期間において前記レジスタで決済された商品の数と、が整合しない場合、所定の対策処理を実行する実行手段と、を備える盗難抑止装置。
【請求項2】
前記取得手段は、棚に置かれている商品を検知する棚センサを用いて商品の前記減少数を取得する、請求項1に記載の盗難抑止装置。
【請求項3】
前記店舗に設置された監視カメラから取得された映像データを保持する保持手段をさらに備え、
前記実行手段は、前記棚センサの出力から、数が整合しないと判定された商品が棚から取られた時刻を特定し、特定された前記時刻に基づいて前記保持手段から、当該商品が当該棚から取られたときの画像または映像あるいはその前後の画像または映像を取得する請求項2に記載の盗難抑止装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記店舗の店員が商品に対して作業を行っている間は、当該商品の前記減少数のカウントを中止する請求項1から3のいずれか一項に記載の盗難抑止装置。
【請求項5】
前記取得手段によって取得された前記減少数よりも前記存在期間において前記レジスタで決済された商品の数のほうが大きい場合、前記実行手段は、前記レジスタで決済が行われているときに前記レジスタに注意喚起を出力させる請求項1から4のいずれか一項に記載の盗難抑止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盗難抑止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗のPOSなどのレジスタにおける省力化、省人化に係る技術が多く提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。近年では、店舗におけるレジ精算を完全に廃止したシステムも登場している(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-162244号公報
【文献】特開2010-039545号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】https://www.amazon.com/b?ie=UTF8&node=16008589011、2019年6月25日検索
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に記載されるようなシステムでは、レジ精算を完全に廃止する代わりに、店舗内に莫大な数のセンサを設け、客の挙動をリアルタイムでトラックしている。したがって、初期費用が高くなることから導入へのハードルは高い。
【0006】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、店舗におけるレジスタの省人化を図りつつ、システム導入の費用を抑えることができる盗難抑止技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、盗難抑止装置に関する。この盗難抑止装置は、セルフ式のレジスタを備える店舗における客の存否を判定する判定手段と、判定手段によって客が一人も存在しないと判定されている不存在期間が到来するごとに、その不存在期間の直前の、判定手段によって客が存在すると判定されている存在期間における商品の減少数を取得する取得手段と、取得手段によって取得された減少数と、存在期間においてレジスタで決済された商品の数と、が整合しない場合、所定の対策処理を実行する実行手段と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を装置、方法、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、店舗におけるレジスタの省人化を図りつつ、システム導入の費用を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る方式が導入された店舗の模式図である。
図2】売り場の様子を示す模式図である。
図3】客がセルフレジで精算を行っているときの様子を示す図である。
図4】実施の形態に係る盗難抑止装置のハードウエア構成図である。
図5】実施の形態に係る盗難抑止装置の機能および構成を示すブロック図である。
図6図5の盗難抑止装置の各部が行う処理を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面において説明上重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
実施の形態では、決済業務を無人化または省人化するコンセプトとして、既存の無人店舗より低コストで実現可能な、盗難抑止機能付きセルフレジ店舗という方式を提案する。この方式は、既存の無人店舗のようにほぼリアルタイムで客をトラッキングするのではなく、客がピックアップした商品と支払い済み商品とに差異が発生した際に、事後的にオペレータの目視やAIなどにより確認するというコンセプトで実現される。この方式によると、人の位置を取得するための大量のセンサが不要になるため、より低コストで実現可能である。特に、この方式は、閉鎖商圏の店舗などの比較的来客が少なく店舗に客がいない時間帯が頻繁に生じる店舗に適用された場合、無人化または省人化によるコストダウンの恩恵を得ることができると同時に盗難を効果的に抑制できるので好適である。
【0013】
図1は、実施の形態に係る方式が導入された店舗2の模式図である。店舗2には、店舗の出入り口6と、セルフレジ4と、商品棚8、10と、が配置されており、店舗2内には客18がいる。加えて、店舗2には複数の監視カメラ12、14、16が設置されている。店舗2はセルフ式のレジスタであるセルフレジ4を備え、基本的にセルフレジ4には店員はいない。店舗2は無人の店舗であってもよいし、セルフレジ4以外の場所には商品の棚出しや廃棄を担当する管理用の店員がいてもよい。セルフレジ4および監視カメラ12、14、16は、図1では不図示の盗難抑止装置102とイントラネットやWiFiやインターネットなどのネットワークを介して接続される。盗難抑止装置102は店舗2に設けられてもよいし、店舗2の外のデータセンタや管理サイトに設けられてもよい。
【0014】
客18が出入り口6から入店すると、出入り口6に備えられた客識別センサにより客18の客IDが取得され、取得された客IDを含む入店信号が盗難抑止装置102に送信される。このような客識別センサは公知であり、例えば顔認証、指紋認証、客18のスマートフォンなどの携帯端末との通信などにより実現される。なお、このような入店時のID認証は行われなくてもよく、あるいは、ID認証の代わりに出入り口6付近に入退店を把握するセンサを設置し、客が店舗2内にいるかいないかを判定してもよい。客18が商品棚8、10から商品を取ると、備え付けの棚センサによりいつどの商品が何個取られたかを示す情報が取得され、盗難抑止装置102に送信される。このような棚センサ自体は公知であり、例えば重量センサ、ToFセンサ、スライダ、カメラなどにより実現される。
【0015】
客18が店舗2内で買い物をしている間、監視カメラ12、14、16は店舗2内の映像を記録し、盗難抑止装置102に送信する。客18は購入希望の商品を商品棚8、10から取り、セルフレジ4で精算などの決済処理を行う。決済が完了すると客18は出入り口6から出て行く。客18が出入り口6から退店すると、出入り口6に備えられた客識別センサにより客18の客IDが取得され、取得された客IDを含む退店信号が盗難抑止装置102に送信される。なお、このような退店時のID認証は行われなくてもよい。
【0016】
図2および図3は実施の形態に係る方式を説明するための図である。図2は、売り場の様子を示す模式図である。売り場には、3種類の商品A、B、Cがそれぞれ棚に陳列されている。例えば、商品Aは、監視カメラ22が監視している棚20に置かれている。客がこれらの棚から商品Aを一個、商品Bを一個、商品Cを一個、取ったとする。
【0017】
図3は、客18がセルフレジ4で精算を行っているときの様子を示す図である。客18は棚から取った商品A一個と商品B一個とをセルフレジ4に登録し、その代金を支払うが、商品C一個を万引き、すなわち支払いせずに持ち出そうとしている。盗難抑止装置102は、店舗2に客18が入店した後の商品の減少数を把握する。盗難抑止装置102は、売り場での商品の減少数と客18の商品の購入数とを突合し、それらが整合しない(例えば、一致しない)場合、セルフレジ4または遠隔の監視装置にアラートを出力し、客18自身または管理者が確認できるようにする。図3の例では、客18がセルフレジ4で精算する際に、盗難抑止装置102はセルフレジ4のディスプレイに客18への警告を表示させる。該警告は、警告内容を示すテキストと、監視カメラで撮像した客18の代表的な画像と、を含む。
【0018】
本実施の形態では、来客のリアルタイムのトラッキングは行わない。したがって、大量のToFセンサを設けることが不要となる。また、売り場では棚センサにより商品の増減数を把握し、また増減の前後を監視カメラで録画し、後で確認しやすいようにAI(Artificial Intelligence)などを用いて編集する。
【0019】
客18が店舗2に入店してからセルフレジ4で精算するまで店舗2に他の客の来店が無かった場合、被疑者は客18に絞られるので、客18がセルフレジ4で精算しているときに警告を出力することができる。他の客の来店があった場合は、客18など全ての客の精算が終了した後に商品数の突合を行い、違算がある場合に店舗2の管理者に警告を行う。管理者は監視カメラ22等の映像を確認して被疑者を特定し、所定の盗難対応処理を行う。
【0020】
図4は、実施の形態に係る盗難抑止装置102のハードウエア構成図である。盗難抑止装置102は、メモリ110と、プロセッサ112と、通信インタフェース114と、ディスプレイ116と、入力インタフェース1118と、を備える。これらの要素はそれぞれバス120に接続され、バス120を介して互いに通信する。
【0021】
メモリ110は、データやプログラムを記憶するための記憶領域である。データやプログラムは、メモリ110に恒久的に記憶されてもよいし、一時的に記憶されてもよい。プロセッサ112は、メモリ110に記憶されているプログラムを実行することにより、盗難抑止装置102の各種機能を実現する。通信インタフェース114は、盗難抑止装置102の外部との間でデータの送受信を行うためのインタフェースである。通信インタフェース114はネットワークと接続され、ネットワークを介して、セルフレジ4や監視カメラ12、14、16や出入り口6の客識別センサや商品棚8、10の棚センサとデータをやりとりする。ディスプレイ116は、各種情報を表示するためのデバイスである。入力インタフェース118は、本サービスの管理者からの入力を受け付けるためのデバイスである。
【0022】
図5は、実施の形態に係る盗難抑止装置102の機能および構成を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0023】
盗難抑止装置102は、存否判定部120と、減少数取得部122と、整合判定部124と、警告実行部126と、映像データ保持部128と、を備える。映像データ保持部128は、店舗2に設置された監視カメラ12、14、16、22、34から取得された映像データを保持する。
【0024】
図6は、図5の盗難抑止装置102の各部が行う処理を説明するための模式図である。以下、図5および図6を参照して盗難抑止装置102の各部の機能を説明する。
【0025】
店舗2では、店舗2内に客が存在すると判定されている存在期間と、店舗2内に客が存在しないと判定されている不存在期間と、が繰り返される。図6において「不存在期間」とされていない期間は全て存在期間である。図6には二つの不存在期間とそれらで区切られた三つの存在期間とが示されている。
【0026】
存否判定部120は、店舗2における客の存否を判定する。存否判定部120は、出入り口6の客識別センサから受信する入店信号および退店信号に基づいて、店舗2内の客の存否および存在するのであればその人数を判定してもよい。あるいはまた、存否判定部120は、監視カメラ12、14、16、22、34からリアルタイムで得られる映像を解析することで、店舗2内の客の存否および存在するのであればその人数を判定してもよい。
【0027】
減少数取得部122は、不存在期間が到来するごとに、その不存在期間の直前の存在期間における商品36の減少数を取得する。減少数取得部122は、不存在期間が到来すると、棚32に陳列されている商品36の個数を、棚センサ30により、または棚32を監視する監視カメラ34からの映像により、取得する。減少数取得部122は、今回の不存在期間において取得された商品36の個数を、前回の不存在期間において取得された商品36の個数から減算した結果を、商品36の減少数として算出する。
【0028】
なお、本実施の形態では商品の個数を不存在期間の間で比較することによって減少数を算出する場合を説明したが、これに限られない。他の実施の形態では、存在期間において棚32から商品36がとられる度に棚センサ30がどの商品が何個とられたかを示す情報を生成して盗難抑止装置102に送信してもよい。減少数取得部122は、そのように受信した情報を集計することによって減少数を算出してもよい。
【0029】
図6の例では、存在期間の始めに甲が、次に乙が来店し、商品36がとられたことを棚センサ30が検知する事象が二回発生した後、まず乙が精算して退店し、存在期間の終わりに甲が精算して退店する。
【0030】
整合判定部124は、減少数取得部122によって取得された減少数と、存在期間においてセルフレジ4で決済された商品の数と、が整合するか否かを判定する。仮に乙が商品36を3個購入し、甲が商品36を2個購入した場合、商品36の減少数=5個、決済された商品36の数=5個となるので、減少数取得部122は整合すると判定する。
【0031】
仮に図6に示されるように乙が商品36を2個購入すると共に1個を精算せずに持ち出し、甲が商品36を2個購入した場合、商品36の減少数=5個、決済された商品36の数=4個となるので、減少数取得部122は整合しないと判定する。
【0032】
警告実行部126は、整合判定部124において整合しないと判定された場合、所定の警告処理を実行する。警告実行部126は、例えば、棚センサ30の出力から、数が整合しないと判定された商品36が棚32から取られた時刻を特定し、特定された時刻に基づいて映像データ保持部128から、当該商品36が当該棚32から取られたときの画像または映像あるいはその前後の画像または映像を取得する。図6の例では、商品36の数が整合しないと判定された場合、警告実行部126はまず商品36の個数の変動を棚センサ30が検知した時刻t1およびt2を特定する。次に警告実行部126は、映像データ保持部128に保持される監視カメラ34の映像のなかから時刻t1およびt2にそれぞれ対応する映像部分40、38を選択して取得する。各映像部分の幅は任意に設定されてもよい。このように取得された映像部分38、40は、甲または乙が商品36を棚32から取るときの様子を映している蓋然性が高い。
【0033】
警告実行部126は、数が整合しない商品36の情報と、数が整合しない商品36が発生した存在期間に店舗2に入店した客「甲」、「乙」の客IDと、取得された映像部分38、40と、を盗難抑止装置102のディスプレイ116に表示させるか、またはネットワークを介して管理センタに送信する。以下、管理センタで管理担当者が確認する場合を説明するが、盗難抑止装置102のディスプレイ116で店員が確認する場合も同様の処理が行われる。管理担当者は、まず、セルフレジ4の映像を確認する。その後、送られてきた映像部分38、40を見ることで商品36の減少時点の映像を確認する。それでも誰のせいかわからない場合、管理担当者は、商品36の減少時点で写っていた客の映像を全部確認する。あるいはまた、この作業を行うために機械学習を用いてもよい。このような作業により、「甲」、「乙」のうちどちらが疑わしいかを判定する。図6の例では「乙」が疑わしいと判定され、「乙」の客IDがブラックリストに登録されるか、「乙」のアカウントが停止されるか、または「乙」に対する他の不正対応処理が行われる。
【0034】
なお、減少数取得部122によって取得された減少数よりも存在期間においてセルフレジ4で決済された商品の数のほうが大きい場合(客が不利な場合)もある。例えば、客が間違えて同じ商品36を二回セルフレジ4に読み込んだ場合、実際に購入する個数は1なのに2個分の決済が行われる。このような場合に、減少数よりも決済された商品の数のほうが大きくなる。この場合、警告実行部126は、セルフレジ4で決済が行われているときにセルフレジ4に客への注意喚起を出力させる。これにより、客が店舗2から去る前に、重複読み込みの可能性を客に知らせ、適切な是正処理をその場で行わせることができる。
【0035】
また、店舗2の管理上、定期的に棚32への品出しや期限切れ商品の廃棄を店員が行う必要がある。これらの作業においても棚センサ30は商品36の増減を検知する。しかしながら、この増減は客の行動によるものではないから、減少数の計算において補償する必要がある。例えば、不存在期間における減少数の算出において、品出しにより商品36の個数が増えたのであればその分減算し、あるいは廃棄により商品36の個数が減ったのであればその分加算する。
【0036】
あるいはまた、減少数取得部122は、店舗2の店員が商品36に対して作業を行っている間は、当該商品36の減少数のカウントを中止する。例えば、存在期間においてリアルタイムに商品36の個数の増減を検出する場合、棚32への品出しや期限切れ商品の廃棄が行われている間は、棚センサ30による検出を中止してもよい。なお、上記は商品の品出しや廃棄の作業中に客がその商品をとらないことが前提となる。
【0037】
上述の実施の形態において、保持部の例は、ハードディスクや半導体メモリである。また、本明細書の記載に基づき、各部を、図示しないCPUや、インストールされたアプリケーションプログラムのモジュールや、システムプログラムのモジュールや、ハードディスクから読み出したデータの内容を一時的に記憶する半導体メモリなどにより実現できることは本明細書に触れた当業者には理解される。
【0038】
本実施の形態に係る盗難抑止装置102によると、セルフレジ4を備える店舗2において、盗難の可能性を事後的に検出して対処することで、店舗2での盗難を抑制することができる。加えて、そのような抑制効果を、リアルタイムに客の行動を監視しなくても実現することができる。
【0039】
また、本実施の形態に係る盗難抑止装置102では、棚センサ30などの方法で売り場の商品残量を把握し、セルフレジ4で決済数量を把握し、不存在期間の到来などの適切なタイミングで締め処理を行い、違算なければ問題無いと判定し、違算があれば違算が生じた商品をピックアップした全ての客の映像を簡単に確認するシステムを提供することができる。これにより、管理担当者や店員は盗難かどうか判断することができ、また、証拠保全を図ることができる。
【0040】
以上、実施の形態に係る盗難抑止装置102の構成と動作について説明した。この実施の形態は例示であり、各構成要素や各処理の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解される。
【0041】
図6では存在期間に二人の客が来店する場合を説明したが、これに限られず、例えば三人以上の客が来店した場合も同様に、事後的に盗難の可能性を検出することができる。また、存在期間を通じて客が一人しかいなかった場合、警告実行部126は、商品の数が整合しない場合にその客がセルフレジ4で決済処理を行っている際にセルフレジ4からその場で警告を出力させてもよい。客が一人しかいなければ、不整合の原因はその一人の客以外にはないので、その場での警告が可能となる。
【0042】
実施の形態では、監視カメラ34の映像の一部を選択して確認する場合を説明したが、これに限られず、例えば商品の数が整合しない場合、AI等により監視カメラ12、14、16、22、34からの映像をつなぎ合わせて確認・証拠保全を行ってもよい。例えば、警告実行部126は、複数の監視カメラ12、14、16、22、34の映像のなかから、疑わしい客が映っているフレームのみを抽出してつなぎ合わせてもよい。
【0043】
実施の形態において、店舗2に商品36が納品されると、盗難抑止装置102は不図示の商品データベースにアクセスし、その商品36に対応付けて納品有りフラグを登録してもよい。納品有りフラグには有効期限が設定され、該期限を過ぎると納品有りフラグは消去される。減少数取得部122は、納品有りフラグが登録されている商品36の個数の増加を検出した場合、それを棚出しによるものであると認識する。この場合、棚出しの際に棚センサ30をリセットする必要がなくなる。
【符号の説明】
【0044】
2 店舗、 4 セルフレジ、 102 盗難抑止装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6