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  • 特許-ベーンポンプ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】ベーンポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/344 20060101AFI20240123BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
F04C2/344 341C
F04C15/00 K
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019156765
(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公開番号】P2021032218
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000241267
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクトフルードパワーシステム
(72)【発明者】
【氏名】大野 明浩
(72)【発明者】
【氏名】三浦 恵史
(72)【発明者】
【氏名】高木 賢一
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-134790(JP,U)
【文献】特開2002-301943(JP,A)
【文献】特開2017-061904(JP,A)
【文献】特開2011-179485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/344
F04C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ本体内へ回転自在に設けたロータと、ロータに形成しベーンを半径方向へ摺動自在に挿入して、ロータ外周面に開口した複数のベーン収納用スリット溝と、ロータの外周を囲みベーンの先端が摺接するカム面と、ロータの側面が摺接する側板と、ロータとベーンとカム面と側板により区画形成され、ロータの回転により容積変化して流体を吸入吐出するポンプ室と、ロータの回転に応じて前記ポンプ室の容積が拡大する吸入領域に開口する吸入ポートと、ロータの回転に応じて前記ポンプ室の容積が縮小する吐出領域に開口する吐出ポートと、吐出領域に位置するベーン収納用スリット溝の基端部に連通して側板の表面に窪み形成し、吐出流体の一部を導入する吐出側円弧状溝部とを備え、側板は金属粉末を成型して焼結した焼結金属材料で形成し、側板には表面と対向する裏面に一端を開口して側板を幅方向に貫通する連通孔を形成し、連通孔は軸線と平行に直線状で吐出流体の一部を流通し他端を吐出側円弧状溝部の底面および表面に開口すると共に、吐出側円弧状溝部の底面および表面に開口する小径孔と裏面に開口して小径孔より大径の大径孔とを接続して構成し、小径孔と大径孔との接続部に壁面を一つ形成する形状にしたことを特徴とするベーンポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータの回転駆動により、ロータの半径方向へ摺動自在に設けた複数のベーンをカム面に摺接し、流体を吸入ポートから吸入して吐出ポートから吐出するベーンポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のベーンポンプは、ロータに形成した複数のベーン収納用スリット溝にベーンを半径方向へ摺動自在に挿入し、ロータの回転駆動により、ベーンの先端をカム面に摺接し、ロータとベーンとカム面により区画形成するポンプ室に、吸入領域に開口する吸入ポートより流体を吸入し、ポンプ室に吸入した流体を吐出領域に開口する吐出ポートより吐出している。そして、ロータの側面が表面に摺接する側板を設け、側板の表面には吸入領域に位置して吸入側に連通する吸入側の円弧状溝部と、吐出領域に位置して、吐出側に連通する吐出側の円弧状溝部とを窪み形成し、ロータの回転駆動により、ベーン収納用スリット溝の基端部が吸入領域に位置すると、吸入側の円弧状溝部より吸入圧を導入すると共に、ベーン収納用スリット溝の基端部が吐出領域に位置すると、吐出側の円弧状溝部より吐出圧を導入し、ベーンをカム面に押し付け、ポンプ室のシール性の低下を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-197077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、かかる従来のベーンポンプでは、側板の表面に窪み形成する吐出側の円弧状溝部は、側板を貫通する連通孔で吐出流路と連通し、この連通孔は円弧状溝部の底面に開口する第1連通孔部と側板の裏面に開口する第2連通孔部とを側板の幅方向の中間で接続する段付き形状に切削加工で形成しているため、連通孔の形成が煩雑で安価に制作できない問題点があった。
【0005】
本発明の課題は、ロータが摺接する側板に貫通形成する連通孔を簡易に制作し、安価に制作し得るベーンポンプを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成すべく、本発明は次の手段をとった。即ち、
ポンプ本体内へ回転自在に設けたロータと、ロータに形成しベーンを半径方向へ摺動自在に挿入して、ロータ外周面に開口した複数のベーン収納用スリット溝と、ロータの外周を囲みベーンの先端が摺接するカム面と、ロータの側面が摺接する側板と、ロータとベーンとカム面と側板により区画形成され、ロータの回転により容積変化して流体を吸入吐出するポンプ室と、ロータの回転に応じて前記ポンプ室の容積が拡大する吸入領域に開口する吸入ポートと、ロータの回転に応じて前記ポンプ室の容積が縮小する吐出領域に開口する吐出ポートと、吐出領域に位置するベーン収納用スリット溝の基端部に連通して側板の表面に窪み形成し、吐出流体の一部を導入する吐出側円弧状溝部とを備え、側板は金属粉末を成型して焼結した焼結金属材料で形成し、側板には表面と対向する裏面に一端を開口して側板を幅方向に貫通する連通孔を形成し、連通孔は軸線と平行に直線状で吐出流体の一部を流通し他端を吐出側円弧状溝部の底面および表面に開口すると共に、吐出側円弧状溝部の底面および表面に開口する小径孔と裏面に開口して小径孔より大径の大径孔とを接続して構成し、小径孔と大径孔との接続部に壁面を一つ形成する形状にしたことを特徴とするベーンポンプがそれである。
【発明の効果】
【0008】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明は、側板は金属粉末を成型して焼結した焼結金属材料で形成し、側板には表面と対向する裏面に一端を開口して側板を幅方向に貫通する連通孔を形成し、連通孔は軸線と平行に直線状で吐出流体の一部を流通し他端を吐出側円弧状溝部の底面および表面に開口すると共に、吐出側円弧状溝部の底面および表面に開口する小径孔と裏面に開口して小径孔より大径の大径孔とを接続して構成し、小径孔と大径孔との接続部に壁面を一つ形成する形状にした。このため、側板を成型する際に、連通孔を型でともに形成できるから、連通孔を別途追加工することを不要にでき、ロータが摺接する側板に貫通形成する連通孔を簡易に制作でき、安価に制作できる。
【0009】
また、請求項1に記載の発明は、連通孔は、吐出側円弧状溝部の底面および表面に開口する小径孔と裏面に開口して小径孔より大径の大径孔とを接続して構成し、小径孔と大径孔との接続部に壁面を形成した。このため、大径孔を流通する流体は絞られにくくできるから、吐出側円弧状溝部に吐出流体の一部をスムースに導入することができ、また、小径孔で側板の強度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態を示した可変容量形ベーンポンプの縦断面図である。
図2図1の線A-Aに沿った断面図である。
図3】ロータ、ベーン、可動リングを想像線で示した図2の線B-Bに沿った拡大断面図である。
図4図2の線C-Cに沿った拡大断面図である。
図5図3の線D-Dに沿った断面図である。
図6】他の実施形態を示した図5に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、可変容量ベーンポンプとした本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
図1および図2において、1はポンプ本体で、円筒孔2を穿設すると共に、円筒孔2に連接して円筒孔2の穿設方向と直交方向に収装孔3を穿設したハウジング4と、円筒孔2を閉塞するカバー5から構成している。6は円筒孔2に収装した円板状の第2側板で、円筒孔2の底面に当接して回転不能に配置している。7は円板状の第1側板で、第2側板6と軸方向に離間して円筒孔2へ回転不能に配置している。各側板6、7は金属粉末を成型して焼結した焼結金属材料で形成し、日本産業規格JIS Z2550:2016に規定された機械構造部品用焼結材料に相当する。8は円筒孔2へ回転自在に収装したロータで、第1側板7と第2側板6との間に配置し、軸方向の一方の側面を第2側板6に、軸方向の他方の側面を第1側板7にそれぞれ摺接している。ロータ8には一方の側面に第1軸部8Aを突設すると共に、他方の側面に第2軸部8Bを突設している。第1軸部8Aはハウジング4に軸支し、先端を外部に突出して図示しない電動機と連結する。第2軸部8Bはカバー5に軸支する。9はロータ8へ半径方向に穿設したベーン収納用スリット溝で、ロータ8の外周面に開口し、ロータ8の周方向へ11個を等間隔に設けている。ベーン収納用スリット溝9は半径方向の内方に基端部10を有し、基端部10は円形状に形成している。11はベーンで、ベーン収納用スリット溝9に半径方向へ摺動自在に挿入している。12はロータ8の外周を囲んで配置した可動リングで、円筒孔2の第1側板7と第2側板6との間に配置し、図1の左右方向へロータ8に対して偏心移動自在に設けている。可動リング12はその内周面をカム面13とし、ベーン11の先端を摺接している。14はポンプ室で、両側板6、7とロータ8とベーン11と可動リング12のカム面13により区画形成し、ロータ8の矢印B方向への回転により容積変化する。
【0013】
15は流体を吸入する吸入流路、16は流体を吐出する吐出流路で、それぞれカバー5に穿設している。17はポンプ室14の容積が拡大する吸入領域に開口する吸入ポートで、第1吸入ポート部17Aと第2吸入ポート部17Bから構成している。図3および図4に示す如き、第1吸入ポート部17Aはロータ8の他方の側面が摺接する第1側板7の表面へ半円弧状に窪み形成し、底面に開口して第1側板7を貫通して第1側板7の裏面に開口する連通孔17C、17Dを介して吸入流路15と連通している。第2吸入ポート部17Bは第1吸入ポート部17Aと略同一形状で、第1吸入ポート部17Aとロータ8を介した軸方向の対向位置に、ロータ8の一方の側面が摺接する第2側板6の表面へ半円弧状に窪み形成している。図3ないし図5に示す如き、18はポンプ室14の容積が縮小する吐出領域に開口する吐出ポートで、第1吐出ポート部18Aと第2吐出ポート部18Bから構成している。第1吐出ポート部18Aは第1吸入ポート部17Aと中心を介した半径方向の対向位置で、ロータ8の他方の側面が摺接する第1側板7の表面へ半円弧状に窪み形成し、底面に開口して第1側板7を貫通して第1側板7の裏面に開口する連通孔18C、18D、18Eを介して吐出流路16と連通している。第2吐出ポート部18Bは第1吐出ポート部18Aと略同一形状で、第1吐出ポート部18Aとロータ8を介した軸方向の対向位置に、ロータ8の一方の側面が摺接する第2側板6の表面へ半円弧状に窪み形成している。
【0014】
ポンプ室14は、ロータ8の矢印B方向への回転により容積変化し、吸入ポート17から吸入した流体を搬送して吐出ポート18から吐出する。ポンプ室14は内部に発生する吐出圧力による作用力を可動リング12のカム面13に、可動リング12をロータ8との偏心量減少方向(図1の左方向)へ移動するよう作用させる。19は収装孔3の開口を閉塞する蓋部材で、ハウジング4に固定している。20は収装孔3に収装したばねで、一端部にホルダ21を装着すると共に、一端部と軸方向に対向する他端部にばね受け部材22を装着している。ばね20はホルダ21を介して可動リング12の外周面に当接し、可動リング12を偏心量増加方向(図1の右方向)へ付勢している。23は蓋部材19に回動自在に螺合した調圧部材で、ばね受け部材22を介してばね20の他端部に当接し、回動操作で進退自在に設けている。調圧部材23は回動操作で進退し、ばね20を伸縮してばね力を変更し、フルカットオフ圧力を変更操作自在に設けている。24は調圧部材23に螺合したロックナット部材で、蓋部材19へ接離自在に設け、蓋部材19への当接で調圧部材23の回動操作を規制する。
【0015】
25はハウジング4に螺合した案内ねじ部材で、可動リング12におけるホルダ21の当接個所と略直角方向の外周面に当接し、吐出ポート18の位置に対応して可動リング12のカム面13に作用する吐出圧力による作用力の図1上方向分力を受け、可動リング12の図1左右方向への移動を案内するよう設けている。そして、案内ねじ部材25は回動操作により進退自在に設けて可動リング12の図1上下方向位置を調整自在に設けている。26は案内ねじ部材25に螺合したロックナット部材で、ハウジング4へ接離自在に設け、ハウジング4への当接で案内ねじ部材25の回動操作を規制する。27はハウジング4に螺合した吐出量調整部材で、ホルダ21との対向位置で可動リング12の外周面に当接し、可動リング12の最大偏心量を規制して最大吐出量を設定する。28は吐出量調整部材27に螺合したロックナット部材で、ハウジング4へ接離自在に設け、ハウジング4への当接で吐出量調整部材27の回動操作を規制する。
【0016】
図2ないし図4に示す如く、29は吸入領域に位置するベーン収納用スリット溝9の基端部10に連通して吸入圧を導入する吸入側円弧状溝部、30は吐出領域に位置するベーン収納用スリット溝9の基端部10に連通して吐出圧を導入する吐出側円弧状溝部である。吸入側円弧状溝部29は、第1側板7に設けた第1吸入側円弧状溝部29Aと第2側板6に設けた第2吸入側円弧状溝部29Bとから構成している。第1吸入側円弧状溝部29Aは、第1吸入ポート部17Aより半径方向の内方位置でベーン収納用スリット溝9の基端部10と半径方向で略同一位置に設け、半円弧状に窪み形成し、周方向長さ寸法をポンプ室14の2個分と略等しく設けている。そして、第1吸入側円弧状溝部29Aは、底面に開口して第1側板7を貫通して第1側板7の裏面に開口する連通孔29C、29Dを介して吸入流路15と連通している。第2吸入側円弧状溝部29Bは、第1吸入側円弧状溝部29Aと略同一形状で、第1吸入側円弧状溝部29Aとロータ8を介した軸方向の対向位置で、第2側板6に窪み形成している。
【0017】
吐出側円弧状溝部30は、第1側板7に設けた第1吐出側円弧状溝部30Aと第2側板6に設けた第2吐出側円弧状溝部30Bとから構成している。第1吐出側円弧状溝部30Aは、第1吸入側円弧状溝部29Aと同心状でベーン収納用スリット溝9の基端部10と半径方向で略同一位置に設け、半円弧状に窪み形成し、周方向長さ寸法をポンプ室14の6個分と略等しく設けている。そして、第1吐出側円弧状溝部30Aは、底面に開口して第1側板7を貫通して第1側板7の裏面に開口する3個の連通孔30C、30D、30Eを介して吐出流路16と連通し吐出流体の一部を流通している。図5に示す如く、連通孔30Eは軸線と平行に直線状で、第1吐出側円弧状溝部30Aの底面に開口する小径孔30Fと裏面に開口して小径孔30Fより大径の大径孔30Gとを接続して構成し、小径孔30Fと大径孔30Gとの接続部に壁面7Aを形成した。これにより、連通孔30Eは第1側板7の表面と裏面との間に壁面7Aを一つ形成する形状としている。連通孔30C、30Dも連通孔30Eと略同一形状としている。第2吐出側円弧状溝部30Bは、第1吐出側円弧状溝部30Aと略同一形状で、第1吐出側円弧状溝部30Aとロータ8を介した軸方向の対向位置で、第2側板6に窪み形成している。31はシール部材で、第1側板7の裏面に装着し、連通孔18C、18D、18Eの裏面への開口および連通孔30C、30D、30Eの裏面への開口を囲い、連通孔18C、18D、18Eおよび連通孔30C、30D、30Eと吐出流路16との接続箇所を密封している。
【0018】
次にかかる構成の作動を説明する。
図1の状態は、可動リング12が最大偏心位置にあり、ロータ8を矢印B方向に回転すると、吸入ポート17よりポンプ室14に吸入した流体を吐出ポート18より吐出して最大吐出量が得られる。そして、可動リング12のカム面13に図1の左方向へ作用する吐出圧力による作用力がばね20のばね力による設定圧力を上回ると、可動リング12は図1の左方向へ偏心量を減少するよう案内ねじ部材25で案内されて移動して吐出量を減少し、可動リング12がロータ8と略同心位置になることで吐出量が零になる。そして、吐出量の減少により吐出圧力が設定圧力より低下すると、可動リング12はばね20のばね力により図1の右方向へ案内ねじ部材25で案内されて移動して吐出量を増加する。
【0019】
ロータ8の矢印B方向への回転で、吸入領域では、ベーン収納用スリット溝9の基端部10に、吸入側円弧状溝部29より吸入圧を導入し、ベーン11をカム面13に押し付けている。また、吐出領域では、吐出流路16の吐出流体の一部が連通孔30C、30D、30Eを流通し、吐出側円弧状溝部30よりベーン収納用スリット溝9の基端部10に導入され、ベーン11をカム面13に押し付けている。
【0020】
かかる作動において、第1側板7は金属粉末を成型して焼結した焼結金属材料で形成し、第1側板7には第1吐出側円弧状溝部30Aの底面および表面と対向する裏面に開口して第1側板7を幅方向に貫通する連通孔30C、30D、30Eを形成し、連通孔30C、30D、30Eは軸線と平行に直線状で吐出流体の一部を流通し、第1側板7の表面と裏面との間に壁面7Aを一つ形成する形状とした。このため、第1側板7を成型する際に、連通孔30C、30D、30Eを型でともに形成できるから、連通孔30C、30D、30Eを別途追加工することを不要にでき、ロータ8が摺接する第1側板7に貫通形成する連通孔30C、30D、30Eを簡易に制作でき、安価に制作できる。
【0021】
また、連通孔30C、30D、30Eは、第1吐出側円弧状溝部30Aの底面に開口する小径孔30Fと裏面に開口して小径孔30Fより大径の大径孔30Gとを接続して構成し、小径孔30Fと大径孔30Gとの接続部に壁面7Aを形成した。このため、大径孔30Gを流通する流体は絞られにくくできるから、第1吐出側円弧状溝部30Aに吐出流体の一部をスムースに導入することができ、また、小径孔30Fで第1側板7の強度を維持することができる。
【0022】
図6は、本発明の他の実施形態を示し、一実施形態と同一箇所には同符号を付して説明を省略し、異なる箇所についてのみ説明する。
第1吐出側円弧状溝部30Aの底面および表面と対向する裏面に開口して第1側板7を幅方向に貫通する連通孔30Eは、第1側板7の表面と裏面との間を同一径の孔30Hとし、壁面がない形状とした。
【0023】
作動は、一実施形態と同様に、ロータ8を回転して流体を吸入吐出する。
この作動で、連通孔30Eは軸線と平行に直線状で吐出流体の一部を流通し、第1側板7の表面と裏面との間に壁面がない形状とした。このため、第1側板7を成型する際に、連通孔30Eを型でともに形成できるから、一実施形態と同様に、連通孔30Eを別途追加工することを不要にでき、連通孔30Eを簡易に制作でき、安価に制作できる。
【0024】
また、連通孔30Eは、壁面がなく第1側板7の表面と裏面との間を同一径の孔30Hとした。このため、連通孔30Eは簡易な形状で、第1側板7を成型する際に、より容易に形成できるから、より一層安価に制作できる。
【0025】
なお、前述の実施形態では、第1吐出側円弧状溝部30Aの底面および表面と対向する裏面に開口して第1側板7を幅方向に貫通する連通孔30C、30D、30Eは、3個設けたが、1個または2個もしくは4個以上であってもよい。また、吸入ポート17、吐出ポート18、吸入側円弧状溝部29、吐出側円弧状溝部30を、それぞれ第1側板7と第2側板6との両方に設けたが、第1側板7のみに設けても良い。また、吐出圧がフルカットオフ圧力に達すると、吐出量を略零とする可変容量形としたが、吐出量を略一定とする定容量形としても良いことは勿論である。
【符号の説明】
【0026】
1:ポンプ本体
7:第1側板(側板)
7A:壁面
8:ロータ
9:ベーン収納用スリット溝
11:ベーン
13:カム面
14:ポンプ室
17:吸入ポート
18:吐出ポート
30:吐出側円弧状溝部
30A:第1吐出側円弧状溝部
30C、30D、30E:連通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6