(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】ローラ表面の乾燥抑制装置
(51)【国際特許分類】
B41F 13/00 20060101AFI20240123BHJP
B41M 1/04 20060101ALI20240123BHJP
B41M 1/10 20060101ALI20240123BHJP
B41F 5/24 20060101ALI20240123BHJP
B41F 9/00 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
B41F13/00 614
B41M1/04
B41M1/10
B41F5/24
B41F9/00
(21)【出願番号】P 2019194039
(22)【出願日】2019-10-25
【審査請求日】2022-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000230113
【氏名又は名称】日本ボールドウィン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100163533
【氏名又は名称】金山 義信
(72)【発明者】
【氏名】滑川 雅人
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-111224(JP,A)
【文献】特開平03-175038(JP,A)
【文献】特開2016-044909(JP,A)
【文献】特開2012-013377(JP,A)
【文献】特開2002-243220(JP,A)
【文献】米国特許第06739256(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 13/00
B41M 1/04
B41M 1/10
B41F 5/24
B41F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転するローラ(2)の表面の乾燥を抑制するためのローラ表面の乾燥抑制装置(1)において、
前記ローラ(2)の長手方向に沿って加湿用気体を吹き出すための前記ローラ(2)と略同じ長さの吹き出し開口手段(3)と、
前記吹き出し開口手段(3)に沿って配置され、加湿用気体を生成するための加湿気体生成手段(4)と、
前記加湿気体生成手段(4)に、加湿気体の生成材を供給するための気体生成材供給手段(5)と、
前記気体生成材供給手段(5)に対して、加湿気体の生成材を供給するタンク(6)と、
前記加湿気体生成手段(4)によって生成した加湿気体を前記吹き出し開口手段(3)を通じて前記ローラ(2)の表面に到達させる圧力気体供給手段(12)と、
前記加湿気体生成手段(4)に組み合わされて配置され、前記加湿気体生成手段(4)によって生成される加湿用気体の温度が、前記ローラ(2)の表面温度よりも高くなるように加熱する加熱手段(13)から構成
され、
前記タンク(6)は、前記気体生成材供給手段(5)とは、前記生成材を搬送するためのチューブ(14)で接続されることにより、前記タンク(6)と前記加湿気体生成手段(4)は、離れた場所に配置されていることを特徴とするローラ表面の乾燥抑制装置。
【請求項2】
前記加湿気体生成手段は、前記気体生成材供給手段から供給された生成材の余剰分を排出する排出手段
と、排出チューブとをさらに備え、前記余剰分を前記排出手段から前記排出チューブを経由して前記タンクに戻すことを特徴とする請求項1に記載のローラ表面の乾燥抑制装置。
【請求項3】
前記加湿気体生成手段に前記タンク中の前記生成材を送出するための送出ポンプをさらに備えた請求項1に記載のローラ表面の乾燥抑制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性インキを使用する印刷機などで、ローラ表面の乾燥を抑制するローラ表面の乾燥抑制装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷の方式には、いくつかの種類がある。水性インキの導入が進んでいるのは、グラビア印刷とフレキソ印刷である。水性インキは、油性インキに比べれば揮発する有機溶剤の成分が少ない。そのため、近年になって、利用が拡大している。
【0003】
印刷の方式には、いくつかの種類がある。水性インキは、油性インキに比べれば揮発する有機溶剤の成分がないか、または少ない。そのため、近年になって、利用が拡大している。
【0004】
一方で、水性インキは、油性インキと異なり、印刷機の上で、インキ濃度が安定しにくい。油性インキは、空気に接触すると、表面から硬化する。油性インキは、インキの内部まで硬化するには、時間が必要である。油性インキの硬化は、表面部分から進行するので、全体として濃度(希釈度)は、安定である。
【0005】
水性インキは、インキの希釈剤として、水または水を主成分とする溶剤を希釈剤として使用する。水性インキは、インキの表面だけではなく、インキ全体で硬化が始まる。水性インキは、ローラに付着しているインキの膜の厚み方向について、全体がほぼ同時に乾燥するため、濃度の維持が難しい。特にインキの膜厚が薄い版ローラやアニロックスローラの上では濃度が安定しない。
【0006】
水性インキの濃度を安定化するには、乾燥を抑制するのがよい。すなわち、グラビア印刷機やフレキソ印刷機で水性インキを使用する場合は、ローラの表面で水分の乾燥を抑制する手段を講じることが望ましい。画線数が多い印刷を行うときには、特に乾燥の抑制の必要性が高い。水性インキを使用するフレキソ印刷機の版胴の意図しない乾燥の問題は、従来から指摘されている。
特許文献1には、印刷ユニット全体をケースで覆い、ケース内部の湿度を高くして版胴の意図しない乾燥を抑制する技術が記載されている。ただし、印刷ユニット全体を覆うため、大きな取付空間が必要であり、既設の印刷機には実施するのが難しい。
【0007】
特許文献2には、印刷機のローラの部分を覆って、加湿する手段を備えた湿度調製装置が記載されている。この技術を実施すれば、印刷ユニットのローラの乾燥を選択的に抑制できる。しかし、やはり寸法が大きく、かつ構造が複雑であり、空間的に取り付け可能な印刷機は限定的である。
【0008】
特許文献3には、フレキソ印刷機の版胴など、特定のローラ単体の乾燥を抑制する乾燥抑制装置の技術が記載されている。ここに記載された技術は、印刷ユニットの外側で加湿用の気体を発生させ、その気体をローラに沿って案内するようになっている。乾燥抑制の効果は、ローラ表面を加湿用の気体で結露させることによって得られる。ここに記載された装置は、他の乾燥抑制装置の技術に比べると小型化が可能な利点がある。一方、印刷ユニットの外で作った加湿用の気体をローラに均等に当てる必要があるが、ローラの全長にわたって均等に加湿用の気体をローラにあてるには、装置が大型化するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開昭63-116851
【文献】特開平06-000947
【文献】特開2018-111224
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の乾燥抑制装置は、空間寸法が大きくなるという課題があった。この原因は、印刷ユニット全体を覆ったり、選択的にローラ全体を覆ってその部分を加湿する構造のためである。しかし、実際の印刷機の構造は、非常に複雑で、すでに設置された印刷機(既設機)に覆いを設けるような空間はほとんど考えられていないのが普通である。
【0011】
また、印刷ユニットの外で加湿用の気体を生成して、対象のローラを結露させることによって乾燥を抑制する装置もあるが、気体を扱うため、装置が大型化する。そのため、既存の稼働中の印刷機に追加で取り付けるのが難しいという課題があった。
【0012】
本発明は、係る状態にあって、新規の印刷機だけではなく、既設の印刷機であっても取り付け可能な程度に小型化したローラ表面の乾燥抑制装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記課題を解決するために、回転するローラの表面の乾燥を抑制するためのローラ表面の乾燥抑制装置において、前記ローラの長手方向に沿って加湿用気体を吹き出すための前記ローラと略同じ長さの吹き出し開口手段と、前記吹き出し開口手段に沿って配置され、加湿用気体を生成するための加湿気体生成手段と、前記加湿気体生成手段に、加湿気体の生成材を供給するための気体生成材供給手段と、前記加湿気体生成手段によって生成した加湿気体を前記吹き出し開口を通じて前記ローラの表面に到達させる圧力気体供給手段と、前記加湿気体生成手段に組み合わされて配置され、前記加湿気体生成手段によって生成される加湿用気体の温度が、前記ローラの表面温度よりも高くなるように加熱する加熱手段から構成したことを特徴とするローラ表面の乾燥抑制装置としたものである。
【0014】
また、前記加湿気体生成手段は、前記気体生成材供給手段から供給された生成材の余剰分を排出する排出手段を備えていることを特徴とするローラ表面の乾燥抑制装置としたものである。
【0015】
また、前記加湿気体生成手段は、前記気体生成材供給手段から供給される気体生成材で満たされた気体生成材のプールと、プールの上空であって加湿気体で満たされた気体空間を内包することを特徴とするローラ表面の乾燥抑制装置としたものである。
【0016】
さらに、前記圧力気体供給手段は、電動ファンであることを特徴とするローラ表面の乾燥抑制装置としたものである。
【0017】
また、前記圧力気体供給手段は、圧縮空気を供給する圧縮空気源と前記圧縮空気源から供給される圧縮空気を前記加湿気体生成手段に供給する圧縮空気供給口から構成されることを特徴とするローラ表面の乾燥抑制装置としたものである。
【0018】
また、前記圧力気体供給手段は、圧縮空気を供給する圧縮空気源と前記圧縮空気源から供給される圧縮空気を案内して前記加湿気体生成手段の前記気体生成材のプール内で泡状に放出する放出部から構成されることを特徴とするローラ表面の乾燥抑制装置としたものである。
【0019】
また、前記加湿気体生成手段は、前記気体生成材供給手段から供給される気体生成材を吸収し、毛細管現象によって常に湿った状態にある湿潤部と、前記湿潤部の上空であって加湿気体で満たされた気体空間を内包することを特徴とするローラ表面の乾燥抑制装置としたものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上のような手段を講じた結果、乾燥を抑制すべきローラの表面の乾燥を効果的に抑制することができる。
【0021】
さらに、本発明を実施したローラ表面の乾燥抑制装置は、追加増設空間のほとんどない印刷機や、既設の稼働中の印刷機であっても追加増設できる程度に小型化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下において図面を参照し、実施の態様(第1の実施の態様)について説明する。
図1は、本発明の構成を示した構成図である。1は、ローラ表面の乾燥抑制装置である。2は、乾燥を抑制すべきローラであって、例えば水性フレキソインキを使用したフレキソ印刷機の版胴である。ローラ表面の乾燥抑制装置1は、ローラ2の略全長にわたって、ローラ2に沿って、近接して配置される。
【0024】
3は、吹き出し開口手段である。吹き出し開口手段は、ローラ2の表面に向けて、ローラの表面に近接して開口があり、略ローラ2の長さと同じであり、ローラ2の長手方向に沿って加湿用気体を吹き出す。
【0025】
4は、加湿気体生成手段であり、吹き出し開口手段3に沿って配置されている。加湿気体生成手段4は、吹き出し開口手段3と連通した、閉じられた箱状になっている。
【0026】
5は、加湿気体生成材供給手段(気体生成材供給手段とも称する)であり、加湿気体生成手段4に加湿気体の生成材を供給する。
図1に示すローラ表面の乾燥抑制装置1は、4つの加湿気体生成材供給手段5を備えている。6は、供給タンク(単にタンクとも称する)であり、7は、送出ポンプである。タンク6は、加湿気体の原料たる気体生成材8を保持し、送出ポンプに7に供給する。
【0027】
気体生成材8は、ローラ2で使用するインキによって選択される材料であり、インキが水性フレキソインキであれば、気体生成材8は、精製水が良く、または例えば数%のアルコール類を含有していてもよい。すなわち、気体生成材8は、ローラ2で使用するインキの希釈剤か、またはインキの乾燥を抑制する溶剤であれば良い。
【0028】
9は、供給タンク6の空気の部分である。10は、加熱器である。加熱器10は、気体生成材8の温度を上げるためのものである。タンク6内の気体生成材8の温度は、気体生成材8が精製水の場合は、ポンプ7などの許容温度に注意して、40℃から80℃程度がよい。気体生成材供給手段5、ポンプ7、気体生成材8は、チューブ14で接続されるが、可能であれば部分または全長について、簡易な断熱特性を持った樹脂のチューブ14を使用することが望ましい。
【0029】
11は、排出手段である。加湿気体生成手段4の構成にもよるが、加湿気体生成手段4が、余剰気体生成材を排出する場合は、排出手段11から、排出チューブ15を経由してタンク6に戻すようにすることが可能である。
【0030】
13は、加熱手段である。加熱手段13は、加湿気体生成手段4と一体になっており、気体生成材供給手段5から供給された気体生成材を改めて加熱し、加湿気体生成手段4の内部で加湿用気体を生成するものである。
12は、圧力気体供給手段である。圧力気体供給手段12は、加湿気体生成手段4の内部に気体(空気が好ましい)を押し込んで、加湿気体生成手段4の内部で生成されている加湿用気体を、吹き出し開口手段3に向けて押し出すことによって、ローラ2の表面に到達させるものである。
【0031】
図2は、
図1に示した加湿気体生成手段4の排出手段11付近の部分拡大図である。加湿気体生成手段4は、閉じた空間を形成しているが、破断線16によって、内部を説明している。17は、気体生成材のプールである。気体生成材は、気体生成材供給手段5から、矢印18に示すように、プール17に向けて供給される。19は、排出路である。20は、レベル板である。レベル板20は、プール17の深さを決定する。プール17の気体生成材は、レベル板20から溢れたものは排出路19を通って排出手段11から排出されることにより、その所定の深さを維持する。排出路19に至った気体生成材は、排出手段11によって、矢印21に示すように加湿気体生成手段4の外に排出される。
【0032】
圧力気体供給手段12は、気体22に示すように、穴23を通して加湿気体生成手段4に向けて、気体を押し込むもので、典型的には電動ファンが使用できる。圧力気体供給手段12を電動ファンとする利点は、電動ファンは、チューブ類に比べて、軽量で柔軟な配線ケーブルを経由して外部の制御駆動回路などと電動ファンをつなぐことが可能な点にある。そのため、ケーブルやチューブ類の取り回しが容易になる。
【0033】
圧力空気供給手段12によって押し込まれた気体は、プール17の表面を通過して、吹き出し開口手段3から外に向けて吹き出す。この時、圧力空気供給手段12によって押し込まれた気体は、加湿気体生成手段4のプール17の上空にある加湿気体と混じりあって、吹き出し開口手段3から出ていくことになる。即ち、プール17の上空には、加湿気体で満たされた気体空間が存在することになり、加湿気体生成手段4は、プール17及びその上空にある加湿気体で満たされた気体空間を内包している。
【0034】
図2において、24は、仕切り板である。仕切り板24は、一対の圧力気体供給手段(圧力空気供給手段とも称する)12と気体生成材供給手段5の対を一組として加湿気体生成手段4を区切る。この区切りは、厳密な機密性は必要なく、圧力気体供給手段12を制御することによって、各区切りを通過する気体の量に反映されればよい。
【0035】
図3は、
図2に示したV1、V2から見た断面図である。26は、プール17における気体生成材供給手段5から供給された気体生成材29の表面である。仕切り板24には、気体生成材29の表面26の下で、他の区切りと連通する連通穴25が設けられていてよい。プール17の気体生成材29は、レベル板20を乗り越えて、排出路19に至る。すなわち、レベル板20によって、プール17の気体生成材29の表面26の高さは、ほぼ一定である。また、連通穴25によって、複数の区切りが連通しているため、各区切りの表面の高さもほぼ同じになる。
【0036】
気体生成材29は、加熱手段13によって、所定の温度に加熱される。27は、気体生成材29から蒸発した蒸気である。蒸気27は、圧力気体供給手段12から押し込まれる気体22と合体して、加湿気体となり、矢印28に示すように、吹き出し開口手段3を通ってローラ2の表面に当たる。このとき、加熱手段13は、ローラ2の表面温度よりも加湿気体の温度が高くなるように加熱することが好ましく、重要である。
【0037】
図4は、湿り空気線図である。湿り空気線図は、横軸に温度、縦軸に相対湿度の目盛りをもち、ある物体表面が結露する条件をグラフで示したものである。例示すれば、今ローラ2の表面の温度が20℃と仮定する。そして、
図3に示した吹き出し開口手段3から吐出する加湿気体が、どのような条件であれば、結露が始まるかを図式的に求めることができる。
【0038】
図4のグラフにおいて、相対湿度100%のグラフとローラ2の表面温度20℃が交わる点をRとする。そのRの線を水平に伸ばすと、結露の条件が示される。すなわち、M点のように、加湿気体の温度が25℃であれば、相対湿度が75%以上であれば結露が始まり、N点のように、加湿気体の温度が28.5℃であれば、60%の相対湿度で結露が始まる。
【0039】
図4に示す吹き出し開口手段3から噴き出す加湿気体の温度と湿度は、気体生成材29の温度と気体22の温度及び風量によって変化する。ローラ2の温度やローラ2の表面をとりまく相対湿度は、その条件によって変化する。ローラ2の結露の状態の制御は、室温が25℃程度であれば、加熱手段13によって、気体生成材29の温度を35℃から100℃程度に高くして、気体22の風量を制御することによって行うと容易である。
【0040】
ローラ2の結露の状態は、結露量が多すぎるとローラ2の表面のインキが希釈されすぎ、結露量が少なすぎると、ローラ2の表面は意図しない乾燥が始まる。従って、どの程度結露させるのが望ましいかは、実験で求めるのがよい。
【0041】
図5は、本発明の他の実施の態様(第2の実施の態様)の説明図である。第2の実施の態様については、下記において特に説明していない部分は、第1の実施の態様と同様である。圧力気体供給手段の構成を、圧力気体供給手段33とした。すなわち、圧力気体供給手段33は、圧縮空気を供給する圧縮空気供給源31(単に圧縮空気源とも称する)と、圧縮空気供給源31から供給される圧縮空気を、加湿気体生成手段4に供給する圧縮空気供給口30とから構成するようにした。
【0042】
圧縮空気供給口30から供給される圧縮空気は、矢印32に示すように、蒸気27と混合され、吹き出し開口手段3を経由して押し出されて、ローラ2の表面に至る。圧力気体供給手段33で圧縮空気を使用する利点は、圧縮空気供給口30と、圧縮空気供給源31を、物理的に距離を離すことができる点にある。すなわち、圧縮空気供給口30を小型化でき、加湿気体生成手段4の寸法の小型化が可能である。
【0043】
図6は、さらに他の実施の態様(第3の実施の態様)の説明図である。第3の実施の態様については、下記において特に説明していない部分は、第1の実施の態様と同様である。圧力気体供給手段を、圧力気体供給手段34とした。圧力気体供給手段34は、圧縮空気を供給する圧縮空気供給源31と、圧縮空気供給源31から供給される圧縮空気を、気体生成材29のプール17内で泡状に放出する放出部35から構成される。放出部35は、多孔質の金属、多数の穴を設けたパイプなどで構成するとよい。圧力気体供給手段34の利点は、気体生成材29内での泡36のサイズや泡36の密度を自由に設計することができ、表面26からは、十分に湿った大量の空気37を発生させることができる。
【0044】
図7は、さらに別の実施の態様(第4の実施の態様)の説明図である。第4の実施の態様については、下記において特に説明していない部分は、第1の実施の態様と同様である。38は、湿潤部である。39は、加湿気体生成材供給手段5から供給される気体生成材の表面である。湿潤部38は、不織布、海綿体、テキスタイル、樹脂スポンジなど、親水性や毛細管現象によって、気体生成材で常に湿っている材料である。第4の実施の態様においては、加湿気体生成手段4は、湿潤部38と、湿潤部38の上空であって加湿気体で満たされた気体空間を内包している。湿潤部38に親水性の適当な材料を選べば、気体生成材の表面積を拡大したのと同じ効果が得られる。そのため、気体22の風量が多い場合でも、吹き出し開口手段3から押し出される気体は、十分に湿潤である。また、湿潤部38の毛細管現象や親水性の作用があるため、加湿気体表面39の位置が厳密でなくてもよい。そのため、
図3に示したレベル板20や排出手段11を省略することも可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 ローラ表面の乾燥抑制装置
2 ローラ
3 吹き出し開口手段
4 加湿気体生成手段
5 加湿気体生成材供給手段(気体生成材供給手段)
6 タンク(供給タンク)
7 送出ポンプ
8 気体生成材
9 供給タンク6の空気の部分
10 加熱器
11 排出手段
12 圧力気体供給手段
13 加熱手段
14 チューブ
15 排出チューブ
16 破断線
17 プール
18 矢印
19 排出路
20 レベル板
21 矢印
22 気体
23 穴
24 仕切り板
25 連通穴
26 気体生成材29の表面
27 蒸気
28 矢印
29 気体生成材
30 圧縮空気供給口
31 圧縮空気供給源
32 矢印
33 圧力気体供給手段
34 圧力気体供給手段
35 放出部
36 泡
37 空気
38 湿潤部
39 気体生成材の表面