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  • 特許-コーヒー挽き機の制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】コーヒー挽き機の制御方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/42 20060101AFI20240123BHJP
   A47J 31/36 20060101ALI20240123BHJP
   A47J 31/54 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
A47J31/42
A47J31/36 110
A47J31/54 115
【請求項の数】 25
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019196115
(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公開番号】P2020114375
(43)【公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】18210018.0
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519387302
【氏名又は名称】ヘムロ インターナショナル アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オリバー デゥンケルベルク
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/207281(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0094391(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0198413(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第02448891(GB,A)
【文献】欧州特許出願公開第03162256(EP,A1)
【文献】特表2014-530684(JP,A)
【文献】特開2001-167354(JP,A)
【文献】特開2018-108348(JP,A)
【文献】国際公開第2018/056436(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/42
A47J 31/36
A47J 31/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動コーヒー挽き機(2)を制御する方法であって、
前記自動コーヒー挽き機(2)は、前記自動コーヒー挽き機(2)によって作られた粉コーヒーを使用する自動コーヒー抽出機(1)とは別体であり、
流量計スニッファ素子(15)が、前記自動コーヒー抽出機(1)のハウジング(3)内又はハウジング(3)に設置され、前記自動コーヒー抽出機(1)の流量計(5)によって測定された水のフロースルー情報を取得し、前記水のフロースルー情報を前記自動コーヒー挽き機(2)に設置された粉砕制御部(26)に送信し、
前記粉砕制御部(26)は、前記流量計スニッファ素子(15)から送信された前記水のフロースルー情報の関数として粉砕モジュール(24)を制御することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記流量計スニッファ素子(15)は、無線通信によって、前記水のフロースルー情報を粉砕制御部(26)へ送信する
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流量計スニッファ素子(15)は、Bluetooth(登録商標)、BLE,ZigBee(登録商標)、Z-wave(登録商標)、6LoWPAN、Thread(登録商標)、LoRaWAN(登録商標)、2G、3G、4G、5G、LTE、NFCから選ばれた規格のうちの1つの無線通信によって、前記水のフロースルー情報を粉砕制御部(26)へ送信する
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記水のフロースルー情報は、時間の関数としての一連のインパルスであり、前記インパルスの発生及び/又は間隔が、全抽出時間、全抽出水量、時間の関数としての水流又はその組み合わせの関数である又は全抽出時間、全抽出水量、時間の関数としての水流又はその組み合わせを決定することが可能である又は直接的に全抽出時間及び/又は全抽出水量及び/又は時間の関数としての水流に関する情報である
ことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記流量計(5)から前記流量計スニッファ素子(15)によって得られた前記インパルスが、タイムスタンプを付与された後に、前記水のフロースルー情報として前記粉砕制御部(26)に前記タイムスタンプと共に送信される
ことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記流量計スニッファ素子(15)から粉砕制御部(26)によって受信された前記水のフロースルー情報が、前記粉砕制御部(26)によって使用され、粒度、1杯当たりの粉砕持続時間、1杯当たりの粉コーヒーの全重量又はその組み合わせに関して、前記粉砕モジュール(24)の動作を適応させる
ことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記自動コーヒー挽き機(2)は、1杯当たりの粉コーヒーの有効重量を測定するロードセル(25)を更に含み又は前記ロードセル(25)に接続され、
前記ロードセル(25)が前記粉砕制御部(26)とデータ通信をしている、及び前記方法が、前記粉砕モジュール(24)の制御の適応を含み前記ロードセル(25)から得られた、前記1杯当たりの粉コーヒーの有効重量の測定値と、前記流量計スニッファ素子(15)から得られた、前記水のフロースルー情報からなる入力の関数として所定の有効重量の粉コーヒーを生成する
ことを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記自動コーヒー抽出機(1)が、
少なくとも1つの水タンク(4)と、
前記水タンクからポルタフィルター(9)のインターフェース(8)に水を汲み上げる少なくとも1つの水ポンプ(6)と、
水を所定の温度に加熱する少なくとも1つのヒーター(7)と、
前記水タンクから汲み上げられた水の前記水のフロースルー情報を測定する少なくとも1つの流量計(5)と、
前記水のフロースルー情報の関数として前記水ポンプ(6)及び/又は前記ヒーター(7)を制御する抽出装置制御部(14)と
を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記自動コーヒー抽出機(1)が、
少なくとも1つの水タンク(4)と、
前記水タンクからポルタフィルター(9)のインターフェース(8)に水を汲み上げる少なくとも1つの水ポンプ(6)と、
前記水ポンプ(6)の下流に設置されて水を所定の温度に加熱する少なくとも1つのヒーター(7)と、
前記水ポンプ(6)の上流に設置されて前記水タンクから汲み上げられた水の前記水のフロースルー情報を測定する少なくとも1つの流量計(5)と、
前記水のフロースルー情報の関数として前記水ポンプ(6)及び/又は前記ヒーター(7)を制御する抽出装置制御部(14)と、
抽出曲線の選択を含むユーザー入力及び/又は状態及び操作情報表示を含むユーザー出力を可能にする少なくとも1つのユーザーインタ-フェース(13)と
を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記流量計スニッファ素子(15)が、
物理的に出力ラインに接続するか、前記流量計(5)と抽出装置制御部(14)との間のデータラインを傍受及び/又は探知するコネクター素子と、
電源素子と、
前記粉砕制御部に前記流量計(5)から読み出された水のフロースルー情報を無線で送信する無線送信部と、
を有する、前記自動コーヒー抽出機(1)と別体のユニットであることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記流量計スニッファ素子(15)が、
物理的に出力ラインに接続するか、前記流量計(5)と抽出装置制御部(14)との間のデータラインを傍受及び/又は探知するコネクター素子と、
バッテリーの形態における又は前記自動コーヒー抽出機(1)の電源に取り付けられる電源素子と、
前記粉砕制御部に前記流量計(5)から読み出された水のフロースルー情報を無線で送信する無線送信部と、
を有する、前記自動コーヒー抽出機(1)と別体のユニットであることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記流量計スニッファ素子(15)は、前記自動コーヒー挽き機(2)の調整及び制御のために前記自動コーヒー挽き機(2)を据え付ける際に初めて、前記自動コーヒー抽出機(1)の前記ハウジング(3)に挿入される
ことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記流量計スニッファ素子(15)は、前記自動コーヒー挽き機(2)製品パッケージの一部であり、前記自動コーヒー挽き機(2)の調整及び制御のために前記自動コーヒー挽き機(2)を据え付ける際に初めて、前記自動コーヒー抽出機(1)の前記ハウジング(3)に挿入される
ことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記自動コーヒー抽出機(1)は、流量計スニッファ素子(15)用のインターフェース(18)を備え、
前記インターフェース(18)は、前記自動コーヒー抽出機(1)の前記ハウジングの外部に設置され又は前記ハウジングに統合され、かつ前記流量計(5)から前記抽出装置制御部(14)によって水のフロースルー情報が提供され、
前記流量計スニッファ素子(15)は、前記自動コーヒー挽き機(2)の調整及び制御のために前記自動コーヒー挽き機(2)を据え付ける際に初めて、前記自動コーヒー抽出機(1)の前記インターフェース(18)に取り付けられる
ことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記自動コーヒー抽出機(1)は、流量計スニッファ素子(15)用のインターフェース(18)を備え、
前記インターフェース(18)は、前記自動コーヒー抽出機(1)の前記ハウジングの外部に設置され又は前記ハウジングに統合され、かつ前記流量計(5)から前記抽出装置制御部(14)によって水のフロースルー情報が提供され、
前記流量計スニッファ素子(15)は、前記自動コーヒー挽き機(2)製品パッケージの一部であり、前記自動コーヒー挽き機(2)の調整及び制御のために前記自動コーヒー挽き機(2)を据え付ける際に初めて、前記自動コーヒー抽出機(1)の前記インターフェース(18)に取り付けられる
ことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
無線通信の能力を有する粉砕制御部(26)を有する自動コーヒー挽き機(2)と、
前記自動コーヒー挽き機(2)とは別体である流量計スニッファ素子(15)とを備え、
前記流量計スニッファ素子(15)は、
物理的に出力ラインに接続する又は自動コーヒー抽出機(1)の流量計(5)と抽出装置制御部(14)との間のデータラインを傍受及び/又は探知するコネクター素子と、
電源素子と、
前記流量計(5)から読み出された水のフロースルー情報を前記粉砕制御部(26)に無線で送信する無線送信部と
を有することを特徴とする、パーツキット。
【請求項17】
前記電源素子が、バッテリーの形態における又は前記自動コーヒー抽出機(1)の電源に取り付けられる
ことを特徴とする、請求項16に記載のパーツキット。
【請求項18】
自動コーヒー抽出機(1)と、前記自動コーヒー抽出機(1)とは別体の自動コーヒー挽き機(2)とを含む既存構成の改良方法であって、
前記自動コーヒー抽出機(1)の流量計(5)の出力ラインに前記自動コーヒー挽き機(2)とは別体の流量計スニッファ素子(15)を直接的又は間接的に取り付ける工程と、
前記自動コーヒー抽出機(1)の前記流量計スニッファ素子(15)と粉砕制御部(26)との間の無線通信を確立する工程と
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項19】
自動コーヒー抽出機(1)と、前記自動コーヒー抽出機(1)とは別体の自動コーヒー挽き機(2)とを含む既存構成の改良方法であって、
前記自動コーヒー抽出機(1)のハウジング(3)を開けて流量計(5)の出力ラインに流量計スニッファ素子(15)を取り付けることによって、前記自動コーヒー抽出機(1)の前記流量計(5)の出力ラインに前記自動コーヒー挽き機(2)とは別体の前記流量計スニッファ素子(15)を直接的又は間接的に取り付ける工程と、
前記自動コーヒー抽出機(1)内に前記流量計スニッファ素子(15)を残して前記自動コーヒー抽出機(1)の前記ハウジング(3)を閉じる工程と、
前記自動コーヒー抽出機(1)の前記流量計スニッファ素子(15)と粉砕制御部(26)との間の無線通信を確立する工程と
を含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記流量計スニッファ素子(15)は、
物理的に前記出力ラインに接続する又は自動コーヒー抽出機(1)の流量計(5)と抽出装置制御部(14)との間のデータラインを傍受及び/又は探知するコネクター素子と、
電源素子と、
前記粉砕制御部(26)に前記流量計(5)から読み出された水のフロースルー情報を無線で送信する無線送信部と
を少なくとも含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記電源素子が、バッテリーの形態における又は前記自動コーヒー抽出機(1)の電源に取り付けられる
ことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項1~15、18~21のいずれかに記載の方法に用いる流量計スニッファ素子(15)であって、
前記流量計スニッファ素子(15)は、前記自動コーヒー挽き機(2)とは別体であり、
物理的に出力ラインに接続する又は自動コーヒー抽出機(1)の流量計(5)と抽出装置制御部(14)との間のデータラインを傍受及び/又は探知するコネクター素子と、
電源素子と、
前記粉砕制御部に前記流量計(5)から読み出された水のフロースルー情報を無線で送信する無線送信部と
を有することを特徴とする、流量計スニッファ素子(15)。
【請求項23】
請求項1~15、18~21のいずれかに記載の方法に用いる流量計スニッファ素子(15)であって、
前記流量計スニッファ素子(15)は、前記自動コーヒー挽き機(2)とは別体であり、
物理的に出力ラインに接続する又は自動コーヒー抽出機(1)の流量計(5)と抽出装置制御部(14)との間のデータラインを傍受及び/又は探知するコネクター素子と、
バッテリーの形態における又は前記自動コーヒー抽出機(1)の電源に取り付けられる電源素子と、
前記粉砕制御部に前記流量計(5)から読み出された水のフロースルー情報を無線で送信する無線送信部と
を有することを特徴とする、流量計スニッファ素子(15)。
【請求項24】
自動コーヒー挽き機(2)の制御用であり、かつ前記自動コーヒー挽き機(2)とは別体の流量計スニッファ素子(15)の使用であって、
前記流量計スニッファ素子(15)は、
物理的に出力ラインに接続する又は自動コーヒー抽出機(1)の流量計(5)と抽出装置制御部(14)との間のデータラインを傍受及び/又は探知するコネクター素子と、
電源素子と、
前記粉砕制御部に前記流量計(5)から読み出された水のフロースルー情報を無線で送信する無線送信部と
を有する、前記流量計スニッファ素子(15)の、請求項1~15、18~21のいずれかに記載の方法における、使用。
【請求項25】
前記電源素子が、バッテリーの形態における又は前記自動コーヒー抽出機(1)の電源に取り付けられる
ことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー挽き機(コーヒーミル)の制御方法、並びに、コーヒー挽き機と、別体のコーヒー抽出機との組合せの改良方法に関する。さらに、本発明は、かかる用途に関連する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒー豆から始めるコーヒー抽出プロセスは、コーヒー豆を挽く工程と、続いて、所定量の熱湯を対応する抽出チャンバーに注ぐことによって、挽いたコーヒー豆からコーヒーを抽出する工程とを含む。
【0003】
このプロセスを構成する様々な方法があり、複合型全自動マシンがあるが、これには、水とコーヒー豆とを供給する必要があり、コーヒー豆が挽かれ、抽出チャンバーに自動的に移され、その後、そのチャンバーに所定量の熱湯が自動的に導入され、コーヒーの流出物がカップに集められる。これらのマシンにおける制御は繊細である、というのは、その目的が、できるだけ確実に一定品質のコーヒーを提供することであり、コーヒーの上部に適正量の泡を設けることや、エスプレッソとその他の種類のコーヒーとを区別できるなどの付加的な特徴を含むからである。この完全一体型のマシン及び対応する制御は、例えば、特許文献1又は特許文献2から知られている。
【0004】
これらの複合型全自動マシンは、業務用の最高位のコーヒー抽出環境ではほとんど使用されない。これらの環境には、別体のコーヒー抽出機とコーヒー豆粉砕器とが常にある。その理由は種々あり、いわゆるバリスタは、挽き工程に関するパラメータと抽出工程に関するパラメータとを自由に変えることを欲し、良い粉砕マシンは、良いコーヒー抽出機とは異なる環境、異なる素材、異なる製造の重点及び異なる電子機器を必要とし、これらの2つの重要な要素を単一のマシンに有することによって、損傷などがあった場合には、交換に関する柔軟性が低下する。
【0005】
これらの最高位のマシンには、同様に、異なる2つの市場、すなわち、コーヒー抽出機向けの1つの市場と、コーヒー挽き機向けの1つ市場とがある。コーヒー抽出機は、極めて外観が良く、様々なセンサーと制御機構とを有する極めて制御されたマシンであり、適切な圧力と温度の水、必要があれば、対応する圧力及び温度曲線に従って適切な圧力と温度の水を抽出チャンバーに、典型的には、この分野においてポルタフィルターの形態の抽出チャンバーに確実に供給する。ポルタフィルター(porta filter)(porta-filter又はportafilterと綴ることもある)は、抽出工程前、及び抽出工程中に、挽いたエスプレッソ豆(コーヒー粉)を保持するエスプレッソメーカーの構成部品である。ポルタフィルターはハンドルを有し、ハンドルは、エスプレッソを抽出している人がポルタフィルターユニットを保持することを可能にし、一方では、コーヒー挽き機の対応する開口部に挿入して、ポルタフィルターユニットを挽いたコーヒー豆(粉コーヒー)で充填し、他方では、ポルタフィルターユニットをコーヒー抽出機に移し、典型的には差込機構を利用してマシンに取り付け、抽出工程後には、ポルタフィルターユニットを再び取り外してポルタフィルターユニットを傾けて空にすることを可能にする。ポルタフィルターの別の部分は、フィルターバスケットであり、ポルタフィルターの外装の内側に嵌まる。フィルターバスケットは、通常、金属製で小孔を有し、小孔は篩として働き、抽出されたエスプレッソを通過させ、底部へ向かって流下させ、かつ、孔から出し、又は置いてあるカップ内へ落下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第4、767、632号明細書
【文献】独国特許出願公開第3107549号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
コーヒー挽き機と、別体のコーヒー抽出機の動作との間の調整は、バリスタによって行われる。しかし、そのような経験を積んだ人が必ずしも居るとは限らず、したがって、これらの2つの別体の要素の動作を調整する必要がある。そのため、本発明は、できるだけ簡便ではあるが同時に有効かつ確実な方法で、かつ装置に過度に干渉することなく、コーヒー挽き機と、別体のコーヒー抽出機の動作の調整を可能にすることを目的とする。特に、コーヒー抽出機は、典型的には、マシン自体の制御及び動作の仕組みを備え、影響を受けないが、対応する制御を実施するように適応させる必要もないという点から、本発明の目的は、コーヒー抽出機の対応する動作に最適に適応するようにコーヒー挽き機を制御する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのため、本発明の第1の態様によれば、自動コーヒー抽出機とは別体の自動コーヒー挽き機を制御する方法が提案され、その自動コーヒー抽出機は、それ自体にはコーヒー挽き機を含まず、かつコーヒー挽き機のハウジングとは別体のハウジング内に設置され、前記コーヒー挽き機によって作られた粉コーヒーを使用する。
【0009】
本発明によれば、流量計スニッファ(探知機)素子が、前記コーヒー抽出機のハウジング内又はハウジングに設置され、前記コーヒー抽出機の流量計によって測定された水のフロースルー情報を取得する。その後、流量計は、自動コーヒー挽き機に設置された粉砕制御部に水のフロースルー情報(流量情報)を送信し、粉砕制御部が、前記流量計スニッファ素子から送信された水のフロースルー情報の関数として粉砕モジュールを制御する。
【0010】
本発明によれば、自動コーヒー抽出機の制御は、コーヒー挽き機における挽き工程を制御することではなく、及び/又は、自動コーヒー抽出機は、別体のハウジングにおいて、コーヒー挽き機とは別体のマシンであり、別体の制御を有し、好ましくは、2つのマシンの制御部間での直接的なデータ交換はない。
【0011】
いわば寄生的に流量計スニッファをコーヒー抽出機内に入れるだけで、挽き機を最も効率的に制御できる。実際のところ、水流特性は、最終的なコーヒーの確実性及び一定品質に必須である。そのため、コーヒー抽出機内で水の流れを測定することは、コーヒー挽き機の工程を制御するのにも最適な位置である。提案された流量計スニッファを使用することによって、コーヒー抽出マシンにおいて他は何も変更することなく、すなわち、抽出プロトコルなどを変更することなく、コーヒー抽出機において既に利用可能なセンサーを活用できる。実施されることは、流量計スニッファがコーヒー抽出機内の水流を検知し、コーヒー挽き機に結果を送信することだけである。次いで、粉砕制御部は、対応する情報を使用して挽き工程を適応させる。例えば、コーヒー抽出機において、水が、挽いたコーヒーを流れ抜けるのにかかる時間が長ければ、挽き工程を、例えば、より粗挽きのコーヒーになるように、又はポルタフィルターに入れるコーヒーの割合を更に少なくするように、適応させることができる。本願で想定される自動コーヒー挽き機は、コーヒーを挽くことができるだけでなく、1杯当たりのコーヒー量を自動的に調整してポルタフィルターに充填する。そのうえ、コーヒー挽き機は、コーヒー挽き機の速度及び/又は粉砕スロットにおける距離を変更することによって、挽き工程を適応させる手段、特に、粉砕の程度を変更する手段を有する。
【0012】
コーヒー抽出マシンの流量計から情報を入手することで、コーヒー挽き機は、抽出工程パラメータ、例えば、水の使用量、抽出時間、ショット毎の流量曲線も測定できる。
【0013】
提案された本発明の第1の好ましい実施形態によると、流量計スニッファ素子は、粉砕制御部への無線通信によって、好ましくは、Buletooth(登録商標)、BLE,ZigBee(登録商標)、Z-wave(登録商標)、6LoWPAN、Thread(登録商標)、LoRaWAN(登録商標)、2G、3G、4G、5G、LTE、NFCから選ばれた規格のうちの1つによって水のフロースルー情報を送信する。無線通信プロトコルを使用することによって、工程が更に大幅に簡略化される。対応する制御を確立するには、単に、コーヒー抽出機のハウジングの必要な部分を取り外し、コーヒー抽出機の流量計に流量計スニッファを取り付け、必要があれば、コーヒー抽出機の電源にも寄生的に流量計スニッファを取り付ける又はバッテリーによって電力を供給し、その後、コーヒー抽出機のハウジングを再び閉じるだけである。それ以外の変更は不要であり、コーヒー抽出機は通常通り動作できる。その後実施されることは、コーヒー挽き機がコーヒー抽出機の水流特性に関する情報を自動的に取得して、コーヒー生成工程を自動的に適応させて最適化するだけである。
【0014】
水のフロースルー情報は、通常、時間の関数としての一連のインパルスであり、そのインパルスの発生及び/又は間隔は、全抽出時間、時間の関数としての流速又はその組み合わせの関数である又は全抽出時間、時間の関数としての流速又はその組み合わせを決定できる又は直接的に全抽出時間及び/又は全抽出水量及び/又は時間の関数としての水流に関する情報である。従来のコーヒー抽出機における流量計は、典型的には、タービン流量計であり、スピニングホイールの回転が、スピニングホイールとともに回転する磁気素子によって検知され、ハウジング上のホールセンサーが、対応するマグネットの通過を検知し、マグネットがセンサーを通過するたびにインパルスを送出する。結果として得られた信号は、時間の関数としての一連のインパルスであり、測定装置のフロースルーに特徴的である。
【0015】
本文脈における流量計は、コーヒーマシン用容積式流量計であり、中空筒状構造体であり、前記中空筒状構造体に対してそれぞれ水を搬入及び搬送するパイプ接続用の2つの接線軸継手と、羽根車の回転軸を形成するピンに垂直な面上でそれが回転するのに適した回転支持システムと関連付けることができる羽根車と、前記羽根車の回転を検知するための電子手段とを備え、前記ピンが羽根車に関連付けられる、コーヒーマシン用容積式流量計である。前記羽根車の回転を検知するための前記電子手段は、少なくとも1つの固定ホール効果センサーを含んでもよく、それが前記羽根車と関連付けられる磁気手段の通過を検知して電気パルスを発する。前記磁気手段は、2つのスルーマグネット、すなわち、羽根車の回転軸に平行にそこを通過するように羽根車上に設置されたマグネットを含んでもよい。WO2009/127952Aに記載された流量計が可能である。
【0016】
好ましくは、流量計スニッファ素子によって流量計から得られたインパルスは、流量計においてタイムスタンプを付与され、流量計スニッファと粉砕制御部との間の送信遅延の影響を除去した後、水のフロースルー情報として粉砕制御部にタイムスタンプと共に送信される。
【0017】
流量計スニッファ素子から粉砕制御部によって受信された水のフロースルー情報は、粉砕制御部によって使用され、粒度、1杯当たりの粉砕持続時間、1杯当たりの粉コーヒーの全重量又はその組み合わせに関して、粉砕モジュールの動作を適応させることができる。
【0018】
別の好ましい実施形態によると、コーヒー挽き機は、1杯当たりの粉コーヒーの有効量を測定するロードセルを更に含んでもよく又はそれに接続されてもよく、前記ロードセルが粉砕制御部とデータ通信をしており、その方法は、粉砕モジュールの制御を適応させて前記ロードセル及び流量計スニッファ素子から得られた入力の関数として所定の有効重量の粉コーヒーの割合を生じさせることを含む。
【0019】
コーヒー抽出機は、典型的には、少なくとも1つの水タンクと、前記水タンクからポルタフィルターのインターフェースに水を汲み上げる少なくとも1つの水ポンプと、好ましくは、前記ポンプの下流に設置されて水を所定の温度に加熱し所望の圧力まで引き上げる少なくとも1つのヒーターと、好ましくは、前記ポンプの上流に設置されて水タンクから汲み上げられた水の水のフロースルー情報を測定する少なくとも1つの流量計と、前記水のフロースルー情報の関数としてポンプ及び/又はヒーターを制御する抽出装置制御部と、好ましくは、ユーザー入力、特に、抽出曲線の選択及び/又はユーザー出力、特に状態及び操作情報表示を可能にする少なくとも1つのユーザーインターフェースとを含んでもよい。
【0020】
流量計スニッファ素子は、通常、物理的に出力ラインに接続する又は流量計と抽出装置制御部との間のデータラインを傍受及び/又は探知するコネクター素子と、好ましくは、バッテリーの形態における又は前記コーヒー抽出機の電源に(例えば、寄生的に)取り付けられる電源素子と、粉砕制御部に流量計から読み出した水のフロースルー情報を無線で送信する無線送信部とを有する別体の小型ユニット(典型的には、1×1×1cm以下)である。
【0021】
前記流量計スニッファ素子は、好ましくは、コーヒー挽き機製品パッケージの一部であり、コーヒー挽き機の調整及び制御のためにコーヒー挽き機を据え付ける際に初めて、コーヒー抽出機のハウジングに挿入できる。
【0022】
コーヒー抽出機には、例えば、USBポートの形態で、流量計スニッファ素子用インターフェースも備えられ、前記インターフェースは、コーヒー抽出機のハウジングの外部に設置される又はハウジングに統合され、流量計から抽出装置制御部によって水のフロースルー情報が提供され、前記流量計スニッファ素子は、好ましくは、コーヒー挽き機製品パッケージの一部であり、コーヒー挽き機の調整及び制御のためにコーヒー挽き機を据え付ける際に初めて、コーヒー抽出機の前記インターフェースに小型ドングルのように取り付けることができる。
【0023】
同一の1つのコーヒー挽き機と調整する数個のコーヒー抽出機がある場合には、コーヒー抽出機の各々(又は1つの大型コーヒー抽出機の個々の出口ポート)に数個の流量計スニッファを有することが可能である。このとき、マシン又はポルタフィルターが意図する粉砕マシン上にユーザー入力を有することも可能であり、その後、コーヒー挽き機は、それぞれの流量計スニッファからのフロー情報に依存して適応できる。さらに、どのマシン/出口からどのポルタフィルターが現在充填されているかを粉砕マシン上で自動検知(例えば、光学RFID)することが可能であり、その後、粉砕マシンは、対応する流量計情報を自動的に関連付けし、粉砕の程度とポルタフィルターに充填されるコーヒー量(重量)とを適応させる。
【0024】
本発明の更なる態様によると、本発明は、無線通信の能力を有する粉砕制御部を有する自動コーヒー挽き機と、
前記自動コーヒー挽き機とは別体であり、かつ物理的に出力ラインに接続する又は標準コーヒー抽出機の流量計と抽出装置制御部との間のデータラインを傍受及び/又は探知するコネクター素子と、
好ましくは、バッテリーの形態における又は前記標準コーヒー抽出機の電源に(寄生的に)取り付けられる電源素子と、
粉砕制御部に流量計から読み出された水のフロースルー情報を無線で送信する無線送信部と、
を有する流量計スニッファ素子と、を含む、パーツキットに関する。
【0025】
さらにまた、本発明は、コーヒー抽出機と、コーヒー抽出機とは別体のコーヒー挽き機とを含む既存構成の改良方法であって、好ましくは、コーヒー抽出機のハウジングを開けて流量計の出力ラインに流量計スニッファを取り付けることによって、前記コーヒー抽出機の流量計の出力に前記自動コーヒー挽き機とは別体の流量計スニッファ素子を直接的又は間接的に取り付ける工程と、コーヒー抽出機内に流量計スニッファ素子を置いてコーヒー抽出機のハウジングを閉じる工程と、コーヒー抽出機の前記流量計スニッファと粉砕制御部との間の無線通信を確立する工程とを含む、方法に関する。
【0026】
前記流量計スニッファ素子は、少なくとも、
物理的に出力ラインに接続する又は標準コーヒー抽出機の流量計と抽出装置制御部との間のデータラインを傍受及び/又は探知するコネクター素子と、
好ましくは、バッテリーの形態における又は前記標準コーヒー抽出機の電源に(寄生的に)取り付けられる電源素子と、
粉砕制御部に流量計から読み出された水のフロースルー情報を無線で送信する無線送信部と、を含んでもよい。
【0027】
さらにまた、本発明は、上記の方法に用いる流量計スニッファ素子であって、前記流量計スニッファ素子は、前記自動コーヒー挽き機とは別体であり、かつ
物理的に出力ラインに接続する又は標準コーヒー抽出機の流量計と抽出装置制御部との間のデータラインを傍受及び/又は探知するコネクター素子と、
好ましくは、バッテリーの形態における又は前記標準コーヒー抽出機の電源に(寄生的に)取り付けられる電源素子と、
粉砕制御部に流量計から読み出された水のフロースルー情報を無線で送信する無線送信部と、を有する、流量計スニッファ素子に関する。
【0028】
さらに、本発明は、コーヒー挽き機の制御用であり、かつ前記自動コーヒー挽き機とは別体の流量計スニッファ素子の使用であって、
前記流量計スニッファ素子が、
物理的に出力ラインに接続する又は標準コーヒー抽出機の流量計と抽出装置制御部との間のデータラインを傍受及び/又は探知するコネクター素子と、
好ましくは、バッテリーの形態における又は前記標準コーヒー抽出機の電源に(寄生的に)取り付けられる電源素子と、
粉砕制御部に流量計から読み出された水のフロースルー情報を無線で送信する無線送信部と、を有する、流量計スニッファ素子の使用に関する。
【0029】
本発明の更なる実施形態は、従属請求項において明らかにされている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の好ましい実施形態は、図面を参照して下記に説明するが、これは、本発明の好ましい実施形態を例示するためのものであり、本発明を限定するものではない。図面では、以下を示す。
【0031】
図1図1は、コーヒー抽出機と、別体のコーヒー挽き機(コーヒー豆粉砕マシン)と、通信と制御の概略図を示し、本願で提案される通りである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、コーヒー抽出機1と、別体のコーヒー挽き機2とが、物理的に別体のマシン本体であることを示す。コーヒー抽出機1は、ハウジング3内に、水タンク4、流量計5、ポンプ6、水のフロースルーヒーター7及びポルタフィルターのインターフェースを備え、そのインターフェースは、典型的には、差込機構による取り付け部の形態にある。実線で図示されているように、水タンク4と、流量計5に向かって及び流れ抜けて、流量計5の下流との間に水流があり、水は、ポンプ6を通った後、ヒーター7を流れ抜ける。ヒーターは、対応する電源(図示せず)に取り付けられて水を所望の温度に加熱する。追加のバルブ(図示せず)が備わっており、所望の温度だけでなく所望の圧力にも確実に到達するようにする。水ヒーター7の下流で、ラインはインターフェース8に至る。
【0033】
コーヒー抽出機1は、抽出コーヒー供給領域19を含み、典型的には、ハウジング3内の切り出し部又は凹部のようなものである。そのハウジングは、ハンドル10でポルタフィルター9を保持して、対応するインターフェース8にそれをしっかりと取り付けることによって、ポルタフィルター9を挿入するのに使用できる。さらにまた、ユーザー入出力装置13が備わっている。一旦、ポルタフィルターが領域19に挿入されてインターフェース8に取り付けられると、ユーザーはユーザー入出力装置13と相互に作用することによって所望の抽出工程を開始できる。その後、コーヒーが抽出されて、マシン1の対応する台12上に設置されたコーヒーカップ11に流入する。
【0034】
コーヒー抽出機1における制御が、対応する抽出装置制御部14によって行われる。データ送信ラインが、破線で示されている。制御部14には、通常、水容器4内の水のレベルを感知するセンサーへのデータラインが備わっている。さらにまた、流量計5へのデータラインも含み、水流に関する情報を受信してこれによって抽出工程を制御する。さらに、ポンプへのデータラインも有し、水の速度及び/又は動作の持続時間を制御する。さらにまた、ヒーター7にはデータ及び制御ラインがあり、加熱工程に適応して制御する。上記に示されるように、典型的には、例示された素子に加えて、バルブと更なるセンサー素子とがあり、これらも制御部14によって制御される又は制御部14による制御に使用される。
【0035】
コーヒー挽き機2は、別体のハウジング22も有する。通常、そのハウジングの上部に、コーヒー豆容器20が備わっており、その上部で開けてコーヒー豆を補充できる。コーヒー豆容器20の下端部は、典型的には、底部に向けて収束しており、実際の粉砕マシン機構又は粉砕モジュール24、すなわち、実際の粉砕要素、典型的には、1つの環状静止粉砕要素と1つの円錐状回転粉砕要素とが備わっており、回転粉砕要素がモーターで駆動される。さらにまた、自動調整機構が備わっており、モーターの回転速度、必要があれば、モーターのトルク及び2つの粉砕要素間のスロットの幅を調整し、結果として得られる粒度を調整する。そのコーヒー挽き機2における制御は、粉砕制御部26によって調整されて実行される。対応するデータラインが、破線で示されている。さらに、コーヒー挽き機は、典型的には、粉砕制御部26と通信する又は粉砕制御部と一体化したユーザー用入出力装置(図示せず)を備える。さらにまた、コーヒー挽き機2は、別体の足部23において、粉コーヒー供給領域に挿入されたポルタフィルターに供給されて足部/ロードセルと協働する、対応するホルダー上に置かれたコーヒーの重量を測定するロードセル25を含んでもよい。さらに、このロードセル25は、粉砕制御部26とデータ接続されており、粉砕制御部26は、ポルタフィルターに充填された粉コーヒーの有効量に関する情報を受信する。
【0036】
本発明の第1の態様によると、コーヒー抽出機において、流量計スニッファ15がコーヒー抽出機のハウジング3に備わっており、データライン16を経由して流量計に直接取り付けられている。流量計スニッファ15は、小型バッテリーを含むかコーヒー抽出機1の電源に取り付けられるかのいずれかである。流量計スニッファには、小型CPU、記憶手段及びインターフェース手段が備わっており、ライン16を介して流量計から水のフロースルー情報を受信でき、必要があれば、対応する情報にタイムスタンプを付与し、その後、無線通信、例えば、Bluetooth(登録商標)によってコーヒー挽き機2、又はより具体的には、粉砕制御部26に送信され、それ自体に流量計スニッファとの無線通信用手段が備わっている。
【0037】
典型的には、流量計5によって発せられた信号は、一連の個別パルスであり、その間隔が時間に依存し、そのパルスは流量計の回転式ホイールによって生成される。可能な流量計は、例えば、ギカール社から入手可能なエスプレッソ流量計ギカール1/4”標準流量計である。この一連のインパルスは、その後、更なる処理なしに粉砕制御部に送信されるか、まず、タイムスタンプを付与された後、すなわち、各パルスがリアルタイムデータ素子の属性を有した後、そのデータが送信されかのいずれかである。タイムスタンプを使用する後者の手順は、流量計スニッファ15と粉砕制御部26との間の無線送信において衝突又はその他の遅延による結果の歪みを回避する。
【0038】
第1の実施形態において、流量計スニッファは、流量計からもたらされる各インパルスを検知しインパルス毎にコーヒー挽き機にデジタル信号を送る。その後、コーヒー挽き機は、あらゆる着信信号に対して更なる計算及び制御のために相対又は絶対タイムスタンプを追加する。
【0039】
好ましい実施形態によると、流量計スニッファは、流量計からもたらされる各インパルスを検知し、各インパルスに相対タイムスタンプを追加する。この相対タイムスタンプは、例えば、流量計スニッファを始動させた後のマイクロ秒であってもよい。流量計からの各インパルス(すなわち、いわゆる「ティック」)は、対応するタイムスタンプと共にコーヒー挽き機に送られる。このシナリオでは、流量計スニッファがタイムスタンプ無しでティック毎に信号のみを送る状況とは対照的に、無線送信の場合に不可避である待ち時間を無視でき、更なる計算及び制御の精度が向上する。
【0040】
絶対タイムスタンプ(例えば、UNIX(登録商標)タイムスタンプ)は、コーヒー挽き機が遠隔測定サービスに接続されている場合には、理想的なオプションである。この場合、これらの遠隔測定データへのアクセス権を有するいかなるオペレータでも、コーヒー挽き機のみから来てコーヒーマシンからは来ない統計について全体像を把握する。このオプションは、例えば、コーヒーハウスチェーンが、遠隔測定オプションを利用していない高価なエスプレッソマシンを使用している場合には、特別な利点である。本発明によるコーヒー挽き機を使用して初めて、オペレータは、エスプレッソマシンを取り替えることなくコーヒーハウスで起きている事象について完全な全体像を把握できる。
【0041】
このように、コーヒー挽き機は、コーヒーマシンの状態を連続的に監視して計算し、いくつかのプリセットと流量計スニッファから着信するティック/タイムスタンプとに基づいて初めて、一定抽出工程に必要なパラメータ(すなわち、粉コーヒーの粉末度及び/又は粉コーヒー量)を制御できる。プリセットは、主に、所望の抽出時間と、コーヒー挽き機によって制御された補正が開始されるべきその上限又は下限の許容偏差、コーヒーマシンによって選択されるレシピの所望の水量及びその調整用閾値及び/又は所望の流量曲線に関連する。それに加えて、これらのプリセットは、メモリ構造、例えば、レシピに割り付けられ、コーヒーマシンによって抽出される別の飲み物から結果として得られる異なる抽出工程間を非常に簡単な方法で切り替えることができる。異なるプリセット間の切り替えは、コーヒー挽き機自体においてユーザーによって手動で行うことができる又は現在のレシピの状態(又はレシピの変更)に関する追加情報をコーヒー挽き機に送ることによって、ユーザーの介在なしにコーヒーマシンによって自動的に行うことができる。
【0042】
流量計スニッファによって提供されたデータの真の情報内容は、コーヒー抽出機の流量計の種類に依存する。そのために、流量計スニッファの据え付けの際、オペレータが、流量計を調べてその種類を識別するのが有利であり、この情報が粉砕制御部にプログラムされ、コーヒー挽き機は、例えば、どの水量が流量計の各ティックに関連付けされるかを知るようにする。さらにまた、コーヒー挽き機のメモリにコーヒー抽出機の最も一般的な流量計のルックアップテーブルが備わっている場合には、それが有利であることができ、オペレータは、据え付けの際に、流量計の識別情報を入力できるだけで、その後、コーヒー挽き機がその入力を検索して、流量計スニッファによって受信されたデータに関して、これが何を意味するか(1ティックは、水xxmlを意味するなど)を知ることができる。さらに、流量計スニッファによって送信されたティックの種類などによって、コーヒー挽き機による流量計の自動検知及び識別も可能である。
【0043】
この情報が特定の種類の流量計に確実に関連付けられていれば、同じことが、コーヒー抽出機の型式の情報を使用することによって可能である。コーヒー抽出機の型式の情報がコーヒー挽き機に与えられると、これが、マシンの種類の抽出曲線などに関する予備知識を有するために更に利用されてもよい。抽出工程の開始点がコーヒー抽出機からコーヒー挽き機に必ずしも送られないので、コーヒー挽き機は、流量計スニッファによって送られる永久着信データからこの開始点を検知する必要がある。非常に簡単な方法では、所定の時間間隔において1ティック以上の発生であってもよい。
【0044】
同じことが、抽出工程の終了点に関する。抽出工程の開始点が検知された後、1ティック以上の所定のタイムアウトによって終了点を検知できる。
【0045】
別の実施形態において、流量計スニッファは、流量計スニッファ自体がティックのタイムアウトを検知した場合(水が流量計を流れ抜けていない場合)には、コーヒー挽き機が流量計スニッファと永久非タイムアウト接続を有するように、特別な事象を送ることができる。抽出工程の検知された開始点と終了点との間で、コーヒー挽き機は、抽出工程パラメータ、例えば、このショット用の水の使用量、抽出時間及び流量曲線なども容易に決定できる。水の使用量は、抽出工程中のティックの合計に流量計の各ティックの量を掛けたものである。抽出時間は、終了時刻から開始時刻を引いたものである。流量曲線は、集められたティックによる単純リニアカーブ(例えば、バランスライン)によって又は、例えば、内挿、外挿、平滑化、回帰分析又はディジタルフィルターによって実施される、更に高度なカーブフィッティングによって評価できる。
【0046】
これらの抽出工程パラメータの1つ以上を計算したことによって、コーヒー挽き機は、コーヒーマシンからもたらされる追加情報なしに自律的な方法で、例えば、対応する粉砕のタイミングによって、粉砕ディスク調整(すなわち、回転ブレードと固定ブレードとの間の距離)及び/又は粉コーヒー量の調整ができる。
【0047】
最も単純な場合には、コーヒー挽き機は、1つの抽出工程パラメータ、例えば、抽出時間に基づいて粉砕ブレード空間を調製するだけである。コーヒー挽き機に与えられる所定の「理想的な」抽出時間(例えば、25秒)が、最後のショットのティックの分析から得られた所定の値(例えば、24秒)又は閾値(この場合、1秒)を下回る場合には、コーヒー挽き機は、粉砕ブレード又は粉砕ディスク間の空間を狭くすることによって、粉コーヒーの粉砕粉末度を自動的に増すことになり、その逆もまた同様である。本実施形態において、コーヒー挽き機は、時間又は重量のいずれか又は時間と重量の組み合わせによって制御される同一量のコーヒーを常に挽くことが重要である。
【0048】
しかしながら、ショット毎に使用される水量のみを分析することも可能である。コーヒー挽き機に与えられる所定の「理想的な」水量(例えば、40ml)は、最後のショットのティックの積分の分析から得られた所定の値(例えば、42ml)がそれを超えると、コーヒー挽き機は、粉砕ブレード又は粉砕ディスク間の空間を広くすることによって、粉コーヒーの粗さを自動的に増すことになり、その逆もまた同様である。
【0049】
本発明の別の実施態様において、粉砕ブレード(又は粉砕ディスク)間の空間は一定に保たれる。抽出時間が超過すると、粉コーヒー量が減ることになり、その逆もまた同様である。
【0050】
更なる実施形態において、粉コーヒーの粗さ及びその用量(重量)がコーヒー挽き機によって制御される。この場合には、少なくとも2つの抽出工程パラメータが必要である。例えば、抽出時間及び必要があれば水量もショット毎の分析データである。水量と抽出時間が共に高過ぎると、粉コーヒー量を増やす必要がありかつ粉コーヒーの粗さも増やす必要がある。別の場合には、抽出時間が長過ぎ、水量が少な過ぎると、粉コーヒー量を減らす必要がありかつ粉コーヒーの粗さを増やす必要がある。
【0051】
流量曲線が抽出工程の分析用パラメータであり、コーヒー挽き機が粉砕ブレードの距離及び/又は粉コーヒーの用量を制御している場合には、非常に簡単な制御方法は、抽出工程の最初の数秒で流量を上昇させることである。この上昇が十分には急峻ではなく、水量及び/又は抽出時間が所定の値の間にある場合には、コーヒーの粗さを減少させかつ粉コーヒー量を増加させるとよい。
【0052】
本発明のすべての実施形態の大きな利点は、バリスタがコーヒー挽き機に集中しさえすればよくコーヒーマシンに集中する必要がないことである。日常業務において、バリスタの主なレシピは、ダブルエスプレッソである。バリスタは、コーヒー挽き機のアプリ又はGUIを使用して、自分のダブルエスプレッソカップにおける最高のセンスで、理想的な抽出時間、理想的な水の使用量及び/又は理想的な流量曲線及び制御するパラメータ(すなわち、粉砕ブレードの距離及び/又は粉コーヒー量)をコーヒー挽き機の永久メモリに一旦定義する。それ以外は、コーヒー挽き機によって自律的に行われる。
【0053】
別の場合には、特に、この複雑な抽出工程が、十分に訓練を受けていないユーザーによって実施されなければならない場合には、コーヒー抽出機は、コーヒー挽き機に追加情報を送り、レシピ(すなわち、プリセット及び粉砕パラメータ)を制御するが、コーヒー挽き機は制御しない。この場合、コーヒーマシンは、コーヒー挽き機によって抽出工程を制御するために必要なすべてのパラメータ、例えば、理想的な抽出時間、理想的な水の使用量及び/又は理想的な流量曲線及び制御するパラメータをコーヒー挽き機に送るが、粉砕ディスク調整は除く。コーヒー抽出機とコーヒー挽き機との間の無線送信が好ましい場合には、プロトコルが、例えば、Bluetoothであれば、流量計スニッファ及びコーヒー抽出機は、2つの別々の送信機を使用できるであろうし、コーヒー挽き機は受信機を1つだけ有することもできる。
【0054】
もう一つの具現化によると、コーヒー抽出機は、対応する流量計スニッファ15’に取り付けるために専用のインターフェースを備えることができる。インターフェースは、データライン17を経由してハウジング3のソケット18に備えることができ、ソケットは、例えば、USBインターフェースであってもよい。この場合には、流量計スニッファ15’は、抽出装置制御部14を介して流量計5からインターフェース18に間接的に送信された流量計情報を入手した後、粉砕制御部26にその情報を無線で送信する小型USBドングルであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 コーヒー抽出機
2 コーヒー挽き機
3 1のハウジング
4 水タンク
5 流量計
6 水ポンプ
7 水のフロースルーヒーター
8 ポルタフィルターのインターフェース
9 ポルタフィルター
10 9のハンドル
11 カップ
12 カップ用台
13 ユーザー入出力装置
14 抽出装置制御部
15 流量計スニッファ
15’ 代替用流量計スニッファ
16 5~15のデータライン
17 スニッファインターフェース用データライン
18 15’用ソケット
19 抽出コーヒー供給領域
20 コーヒー豆容器
21 粉コーヒー供給領域
22 2のハウジング
23 2の別体の足部
24 粉砕モジュール
25 ロードセル
26 粉砕制御部
実線 水配管
破線 データ/信号ライン

図1