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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】車両フラップ用の動作機構
(51)【国際特許分類】
   F16H 37/12 20060101AFI20240123BHJP
   F16H 21/10 20060101ALI20240123BHJP
   F16H 25/20 20060101ALI20240123BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
F16H37/12 Z
F16H21/10 Z
F16H25/20 A
B60J5/04 C
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019209530
(22)【出願日】2019-11-20
(65)【公開番号】P2020085245
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】10 2018 220 080.7
(32)【優先日】2018-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591020803
【氏名又は名称】シュタビルス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】STABILUS Gmbh
【住所又は居所原語表記】Wallersheimer Weg 100,D-56070 Koblenz,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ライフ
(72)【発明者】
【氏名】イェアク ヒレン
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-018886(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0258682(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第1770237(EP,A2)
【文献】仏国特許出願公開第2828231(FR,A1)
【文献】中国実用新案第204525478(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 37/12
F16H 21/10
F16H 25/20
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動部材(10,10A)であって、
スピンドル(28)と、該スピンドル(28)にねじ山でもって係合しているスピンドルナット(26)とを有するスピンドル駆動装置(12,12A,12B)、
前記スピンドル(28)または前記スピンドルナット(26)と回転結合された第1の歯車(36)
を有しており、
該第1の歯車(36)と回転結合されていない方の前記スピンドルナット(26)または前記スピンドル(28)は、当該作動部材(10,10A)を第1の上位構成群(102,202,302,402;106,206,306,406)に結合するために、第1の結合ユニット(16)と結合されており、
前記スピンドル駆動装置(12,12A,12B)は、前記第1の歯車(36)の回転が、前記第1の結合ユニット(16)の並進移動を生ぜしめるように構成されており、
当該作動部材(10,10A)は、前記第1の歯車(36)と係合しておりかつ当該作動部材(10,10A)を第2の上位構成群(106,206,306,406;102,202,302,402)に結合するために、第2の結合ユニット(24)と回転結合された第2の歯車(38)を有しており、
前記スピンドル駆動装置(12,12A,12B)の長手方向軸線(A)は、前記第2の歯車(38)の中心軸線(X)、特に回転軸線(X)に対して傾けられており、
当該作動部材(10,10A)は、2つの前記歯車(36,38)同士の相対的な回転が、前記スピンドル駆動装置(12,12A,12B)の作動ならびに前記スピンドル駆動装置(12,12A,12B)の、前記第2の歯車(38)の前記中心軸線(X)に対して相対的な移動を生ぜしめるか、または、前記スピンドル駆動装置(12,12A,12B)の作動が、2つの前記歯車(36,38)同士の相対的な回転ならびに前記スピンドル駆動装置(12,12A,12B)の、前記第2の歯車(38)の前記中心軸線(X)に対して相対的な移動を生ぜしめるように構成されている、
作動部材(10,10A)。
【請求項2】
当該作動部材(10,10A)は、前記スピンドル駆動装置(12,12A,12B)の予め規定された作動位置に、前記第2の歯車(38)の前記中心軸線(X)に対して相対的な、前記スピンドル駆動装置(12,12A,12B)の移動の角度位置が正確に対応するように、かつその逆に、前記第2の歯車(38)の前記中心軸線(X)に対して相対的な、前記スピンドル駆動装置(12,12A,12B)の移動の角度位置に、前記スピンドル駆動装置(12,12A,12B)の予め規定された作動位置が正確に対応するように形成されている、請求項1記載の作動部材(10,10A)。
【請求項3】
前記第2の歯車(38)は、該第2の歯車(38)を包囲するケーシング(20)と回転結合されており、当該作動部材(10,10A)は、2つの前記歯車(36,38)同士の相対的な移動が、前記第2の結合ユニット(24)に対して相対的な、前記ケーシング(20)の回動を生ぜしめるように形成されている、請求項1または2記載の作動部材(10,10A)。
【請求項4】
前記第2の歯車(38)と前記ケーシング(20)との間には伝動装置が配置されており、該伝動装置は、前記第2の歯車(38)の回転と前記ケーシング(20)の回動との間に所定の伝達比をもたらす、請求項3記載の作動部材(10,10A)。
【請求項5】
前記伝動装置は、第1のねじ山ピッチを有する第1のねじ山(40)を介して前記第2の歯車(38)に係合すると共に、第2のねじ山ピッチを有する第2のねじ山(44)を介して前記ケーシング(20)に係合しており、前記第1のねじ山ピッチは、前記第2のねじ山ピッチとは異なっている、請求項4記載の作動部材(10,10A)。
【請求項6】
前記伝動装置はさらに、中間部材(42)を有しており、該中間部材(42)は、前記ケーシング(20)と前記第2の歯車(38)とにそれぞれねじ山でもって係合しておりかつ前記第2の結合ユニット(24)と相対回動不能に、しかし軸方向に移動可能に連結されている、請求項4または5記載の作動部材(10,10A)。
【請求項7】
当該作動部材(10,10A)は、駆動ユニット(30)、特に電動モータを有しており、前記駆動ユニット(30)は、前記第1の歯車(36)、前記第2の歯車(38)、前記スピンドル(28)、前記スピンドルナット(26)および前記ケーシング(20)のうちの少なくとも1つを駆動するように構成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の作動部材(10,10A)。
【請求項8】
フラップ、特に旋回ドア(102,202)用の支承装置(100,200)であって、
それぞれ一方の端部において上位構成群(106,206)、特に車体(106,206)と旋回可能に結合された、互いに平行にかつ横方向において互いに間隔をあけて配置された2つの連結棒を有する4節リンク機構(104,204)、
前記4節リンク機構(104,204)の前記連結棒が、特に縁部に隣接して、それぞれ他方の端部において旋回可能に結合された旋回部材(102,202)、および
一方の端部において前記上位構成群(106,206)と旋回可能に結合されておりかつ他方の端部において前記旋回部材(102,202)と旋回可能に結合された作動部材、特に請求項1から7までのいずれか1項記載の作動部材(10,10A)
を有しており、
該作動部材(10,10A)は、該作動部材(10,10A)の作動に基づき、前記旋回部材(102,202)を前記上位構成群(106,206)に対して相対的に移動させるように構成されている、支承装置(100,200)。
【請求項9】
前記作動部材(10,10A)は、前記4節リンク機構(104,204)の前記連結棒に対して平行に配置されかつ横方向において前記4節リンク機構(104,204)の前記連結棒に対して間隔をあけて、特に等間隔をあけて配置された連結棒を有している、請求項8記載の支承装置(100,200)。
【請求項10】
前記4節リンク機構(104,204)の前記2つの連結棒または前記4節リンク機構(104,204)の前記2つの連結棒と前記作動部材(10,10A)の前記連結棒とは、等しい長さを有している、請求項8または9記載の支承装置(100,200)。
【請求項11】
前記作動部材(10,10A)は、当該支承装置(100,200)の作動可能状態では、鉛直方向において前記4節リンク機構(104,204)の上側、特に前記旋回部材(102,202)の鉛直方向延在長さの1/2の領域に配置されている、請求項8から10までのいずれか1項記載の支承装置(100,200)。
【請求項12】
フラップ、特に旋回ドア用の支承装置(300,400)であって、
一方の端部において上位構成群(306,406)、特に車体(306,406)と旋回可能に結合された作動部材(10,10A)、特に請求項1から7までのいずれか1項記載の作動部材(10,10A)、および
該作動部材(10,10A)の他方の端部が、特に縁部に隣接して旋回可能に結合された旋回部材(302,402)
を有しており、
前記作動部材(10,10A)は、作動に基づき、第1の部分(12,12A,12B)の長さ変更と、該長さ変更可能な部分(12,12A,12B)の一方の端部に対応配置された、前記作動部材(10,10A)の第2の部分(24)に対して相対的な、前記長さ変更可能な部分(12,12A,12B)の回動とを組み合わせて実施し、これにより、前記旋回部材(302,402)を前記上位構成群(306,406)に対して相対的に移動させることができるように構成されており、
前記作動部材(10,10A)は、前記長さ変更可能な部分(12,12A,12B)の予め規定された作動位置に、前記長さ変更可能な部分(12,12A,12B)の旋回軸線(X)に対して相対的な、前記長さ変更可能な部分(12,12A,12B)の移動の角度位置が正確に対応するように、かつその逆に、前記長さ変更可能な部分(12,12A,12B)の前記旋回軸線(X)に対して相対的な、前記長さ変更可能な部分(12,12A,12B)の移動の角度位置に、前記長さ変更可能な部分(12,12A,12B)の予め規定された作動位置が正確に対応するように形成されている、支承装置(300,400)。
【請求項13】
前記作動部材(10,10A)は、前記長さ変更可能な部分(12,12A,12B)に対応配置された端部において前記上位構成群(306,406)と結合されており、前記作動部材(10,10A)の前記長さ変更可能な部分(12,12A,12B)と前記旋回部材(302,402)との間に配置されたスペーサ(310)を有している、請求項12記載の支承装置(300,400)。
【請求項14】
当該支承装置(300,400)は、別の作動部材(10’)、特に一方の端部において前記上位構成群(306,406)と旋回可能に結合されかつ他方の端部において前記旋回部材(302,402)と旋回可能に結合された、請求項1から7までのいずれか1項記載の作動部材(10,10A)を有しており、
前記別の作動部材(10’)は、作動に基づき、第1の部分(12,12A,12B)の長さ変更と、該長さ変更可能な部分(12,12A,12B)の一方の端部に対応配置された、前記別の作動部材(10’)の第2の部分(24)に対して相対的な、前記長さ変更可能な部分(12,12A,12B)の回動とを組み合わせて実施し、これにより、前記旋回部材(302,402)を前記上位構成群(306,406)に対して相対的に移動させることができるように構成されており、
前記別の作動部材(10’)は、前記長さ変更可能な部分(12,12A,12B)の予め規定された作動位置に、前記長さ変更可能な部分(12,12A,12B)の旋回軸線(X)に対して相対的な、前記長さ変更可能な部分(12,12A,12B)の移動の角度位置が正確に対応するように、かつその逆に、前記長さ変更可能な部分(12,12A,12B)の前記旋回軸線(X)に対して相対的な、前記長さ変更可能な部分(12,12A,12B)の移動の角度位置に、前記長さ変更可能な部分(12,12A,12B)の予め規定された作動位置が正確に対応するように形成されている、請求項12または13記載の支承装置(300,400)。
【請求項15】
第1のスピンドル駆動装置(12,12A,12B)のスピンドル(28)のねじ山ピッチの向きは、第2のスピンドル駆動装置のスピンドルのねじ山ピッチの向きとは逆である、請求項14記載の支承装置(300,400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間に作動部材が配置された2つの上位構成群を互いに相対的に移動させるように構成された、作動部材に関する。
【0002】
このような作動部材は、例えばバスに設けられた旋回ドア等の、車両ドアの分野において周知である。よって以下では本発明をこの用途に関して説明するが、本発明は当然これに限定されるものではないということを明確に指摘しておく。旋回ドアの分野ではさらに、一方では車体に結合されかつ他方ではドアに結合された、固定的な連結棒を使用することが周知である。ドアが車体に対して相対的に移動させられると、ドアは、連結棒により規定される軌道に追従する。車体に対して相対的に生じ得るドアの移動の軌道は大抵円弧状であるため、これに基づき、車体における連結棒の取付け点が予め規定されている。さらに、固定的な連結棒に基づき、ドアは大抵まず、ドアがその開放状態において車体に当接するまで、車体から大きく離れて旋回する。
【0003】
したがって本発明の課題は、一方ではドア等の構成群を、湾曲した、ただし必ずしも円弧状ではない軌道に沿って移動させることを可能にし、かつ他方では車体における作動部材の結合点を、固定的な連結棒の場合よりも大きな範囲に配置することができるということを可能にする作動部材を提供することにある。
【0004】
この課題を解決する作動部材は、
スピンドルと、該スピンドルにねじ山でもって係合しているスピンドルナットとを有するスピンドル駆動装置、
スピンドルまたはスピンドルナットと回転結合された第1の歯車
を有しており、
第1の歯車と回転結合されていない方のスピンドルナットまたはスピンドルは、当該作動部材を第1の上位構成群に結合するために、第1の結合ユニットと結合されており、
スピンドル駆動装置は、第1の歯車の回転が、第1の結合ユニットの並進移動を生ぜしめるように構成されており、
当該作動部材は、第1の歯車と係合しておりかつ当該作動部材を第2の上位構成群に結合するために、第2の結合ユニットと回転結合された第2の歯車を有しており、
スピンドル駆動装置の長手方向軸線は、第2の歯車の中心軸線、特に回転軸線に対して傾けられており、
当該作動部材は、2つの歯車同士の相対的な回転が、スピンドル駆動装置の作動ならびにスピンドル駆動装置の、第2の歯車の中心軸線に対して相対的な移動、または、スピンドル駆動装置の作動が、2つの歯車同士の相対的な回転ならびにスピンドル駆動装置の、第2の歯車の中心軸線に対して相対的な移動を生ぜしめるように構成されている。
【0005】
このような作動部材は、互いに組み合わせられた2つの運動、つまり一方では、スピンドル駆動装置ひいてはスピンドル駆動装置に結合された第1の上位構成群の、第2の上位構成群に対して相対的な回転、かつ他方では、第1の上位構成群の、スピンドル駆動装置の回転軸線に対して相対的なひいては第2の上位構成群に対して相対的な並進移動を可能にする。
【0006】
特に「スピンドル駆動装置の回転」とは、スピンドル駆動装置全体もしくは少なくともスピンドルおよびスピンドルナットが共に移動させられることを意味していてもよい。さらに「スピンドル駆動装置の回転」とは、スピンドルおよび/またはスピンドルナットの中心軸線が、第2の上位構成群に結合された要素、例えば第2の結合ユニットの中心軸線または第2の歯車の中心軸線を中心として回転させられることを意味していてもよい。さらに指摘しておくと、スピンドル駆動装置の長手方向軸線の、第2の歯車の中心軸線に対する「傾き」には、同軸とは異なる、例えば30°、45°または90°のあらゆる傾きが含まれていてもよい。
【0007】
これにより、例えば旋回させようとするドアにより形成された第1の上位構成群を、中心点が作動部材以外に位置する例えば楕円軌道または円軌道に沿って移動させることができるようになっている。つまり、第1の上位構成群の全移動範囲の2つの終端位置、例えばドアが通行領域を閉じている第1の終端位置と、ドアが通行領域から移動させられて車体に当接している第2の終端位置とが、互いに大きな間隔をあけて配置されていてもよい。これにより、より大きな通行領域も、やはり実現され得る。
【0008】
例えば、第1の歯車および第2の歯車のうちの少なくとも一方は、かさ歯車またはクラウン歯車であってもよく、これらの歯車は、上述した「傾き」に基づき互いに傾けられていてもよい。
【0009】
有利には、作動部材は、スピンドル駆動装置の予め規定された作動位置に、第2の歯車の中心軸線に対して相対的な、スピンドル駆動装置の移動の角度位置が正確に対応するように、かつその逆に、第2の歯車の中心軸線に対して相対的な、スピンドル駆動装置の移動の角度位置に、スピンドル駆動装置の予め規定された作動位置が正確に対応するように形成されていてもよい。このようにして、スピンドルまたはスピンドルナットの移動には、第2の歯車の中心軸線を中心とした、スピンドル駆動装置の強制連結された移動が伴うことになる。すなわち、前記中心軸線を中心としたスピンドル駆動装置のあらゆる角度には、スピンドル駆動装置の延長長さが正確に対応させられている。よって、中心軸線を中心とした、すなわち第2の上位構成群に対して相対的なスピンドル駆動装置の角度が一定の場合に、第1の結合ユニットが三次元空間において予め規定された唯一の位置よりも多くの位置を占めることを防止することができる。
【0010】
本発明の1つの改良では、第2の歯車は、第2の歯車を包囲するケーシングと回転結合されていてもよく、作動部材は、2つの歯車同士の相対的な移動が、第2の結合ユニットに対して相対的なケーシングの回動を生ぜしめるように形成されていてもよい。つまり、第2の歯車の回転は、ケーシングの回動を生ぜしめることができる。例えば同様にケーシング内に配置されていてもよいスピンドル駆動装置が、第2の歯車を包囲するケーシングと、例えばスピンドル駆動装置のケーシングを介して結合されている場合には、第2の歯車を包囲するケーシングの回動が、スピンドル駆動装置の回転を生ぜしめてもよい。よって第2の歯車の回転は、一方ではスピンドル駆動装置の作動を駆動しかつ他方では第2の歯車を包囲するケーシングの回動を駆動することができる。
【0011】
この場合、第2の歯車とケーシングとの間には伝動装置が配置されていてもよく、伝動装置は、第2の歯車の回転とケーシングの回動との間に所定の伝達比をもたらす。伝動装置により、伝動装置の歯車側における第2の歯車の第1の回転速度および/または第1の回転トルクは、伝動装置のケーシング側における第2の回転速度および/または第2のトルクに変速され得る。
【0012】
有利には、伝動装置は、第1のねじ山ピッチを有する第1のねじ山を介して第2の歯車に係合すると共に、第2のねじ山ピッチを有する第2のねじ山を介してケーシングに係合しており、この場合、第1のねじ山ピッチは、第2のねじ山ピッチとは異なっていてもよい。これにより、スピンドル駆動装置と、ケーシングの回動とを、2つの互いに異なる回転速度で駆動することが可能である。特に各ねじ山ピッチは、第2の上位構成群に対して相対的な、ケーシングひいては場合によりスピンドル駆動装置の回転速度が、スピンドル駆動装置のスピンドルまたはスピンドルナットの回転速度よりも小さくなるように選択されている。第1のねじ山ピッチの、第2のねじ山ピッチに対する比を確定することにより、スピンドル駆動装置が、例えば完全に縮められた第1の終端位置から、例えば完全に伸長させられた第2の終端位置へ移動する間に旋回させられる角度範囲を規定することができる。もちろん、両ねじ山はそれぞれ一定の、ただし場合により互いに異なるねじ山ピッチを有していることと、各ねじ山は変化するねじ山ピッチを備えたねじ山区分を有していることの両方が考えられる。これにより、例えばスピンドル駆動装置の延長は、スピンドル駆動装置もしくはケーシングの、第2の上位構成群に対して相対的に予め規定された第1の旋回角度範囲において、このような、予め規定された第2の角度範囲におけるよりも少なくなっていてもよい。
【0013】
伝動装置はさらに、中間部材を有していてもよく、中間部材は、ケーシングと第2の歯車とにねじ山でもって係合しておりかつ第2の結合ユニットと相対回動不能に、しかし軸方向に移動可能に連結されている。互いに異なるねじ山ピッチを有する互いに別個の2つのねじ山区分を有する中間部材の配置により、例えば遊星歯車伝動装置等の複雑な伝動装置ユニットを設けることが回避され得る。これにより、所要構成空間および装置の故障し易さの両方が、大幅に減少され得る。
【0014】
有利には、作動部材は、駆動ユニット、特に電動モータを有していてもよく、駆動ユニットは、第1の歯車、第2の歯車、スピンドル、スピンドルナットおよびケーシングのうちの少なくとも1つを駆動するように構成されている。この場合、駆動ユニットは、駆動ユニットが駆動すべき回転方向および回転速度のうちの少なくとも1つを知らせる作動信号を受信するように構成されていてもよい。
【0015】
さらに補足しておくと、本発明の範囲に関して、旋回させようとする上位構成群の部材が、第1の結合ユニットまたは第2の結合ユニットに結合されているか否かは重要ではない。旋回させようとする部材が、作動部材の長さ変更可能な部分に結合されている実施形態については、引き続き以下で説明する。
【0016】
第2の態様において本発明は、フラップ、特に旋回ドア用の支承装置であって、
それぞれ一方の端部において上位構成群、特に車体と旋回可能に結合された、互いに平行にかつ横方向において互いに間隔をあけて配置された2つの連結棒を有する4節リンク機構、
4節リンク機構の連結棒が、特に縁部に隣接して、それぞれ他方の端部において旋回可能に結合された旋回部材、および
一方の端部において上位構成群と旋回可能に結合されておりかつ他方の端部において旋回部材と旋回可能に結合された作動部材、特に上述した特徴のうちの1つを備えた本発明による作動部材
を有しており、
作動部材は、作動部材の作動に基づき、旋回部材を上位構成群に対して相対的に移動させるように構成されている、支承装置に関する。
【0017】
従来技術から周知の旋回部材、特に車両ドアは、その鉛直方向における各長手方向端部において、それぞれ4節リンク機構を介して車体と結合されている。この4節リンク機構は、トリムし難い、すなわち車両デザインに適合し難く、閉鎖状態において時々、車両の内部空間内で多くのスペースを占めることがある。このような4節リンク機構の大きな構成空間に基づき、特にドアが閉鎖されていて、開放位置における乗車範囲全体の開放が所望された場合には、小さなドア幅しか実現することができない。広幅の乗車範囲は、それぞれ4節リンク機構を備えた、逆方向に移動する2つのドアによって実現されることが多い。生憎、旋回するように形成されたルーフ構造の領域に、このような4節リンク機構を取り付けることはできないことが多い。
【0018】
本発明の第2の態様は、上側の4節リンク機構を省くこと、すなわち旋回部材と上位構成群との間に唯一の4節リンク機構だけを設けることを可能にすることができる。この場合、作動部材は、例えばジョイント内に配置された、例えば回転駆動装置であってもよい。この場合、旋回部材はボールジョイントを用いて、4節リンク機構の連結棒と結合されていてもよいため、旋回部材と連結棒との間の旋回だけでなく、傾倒も可能になっている。このようにして、4節リンク機構および作動部材の軌道曲線における誤差やずれを相殺することができるようになっている。
【0019】
ここで再度明確に指摘しておくと、説明した本発明による作動部材の特徴および利点は、支承装置にも同じく適用され、逆に支承装置の特徴および利点は、本発明による作動部材にも同じく適用される。
【0020】
さらに、作動部材は、4節リンク機構の連結棒に対して平行に配置されかつ横方向において4節リンク機構の連結棒に対して間隔をあけて、特に等間隔をあけて配置された連結棒を有していてもよい。この連結棒を、鉛直方向に見てもしくは水平方向に沿って、4節リンク機構の連結棒の間に配置すると、上位構成群における旋回部材の支承に必要とされる構成空間を削減することが可能である。
【0021】
特に、4節リンク機構の2つの連結棒または4節リンク機構の2つの連結棒と作動部材の連結棒とは、等しい長さを有していてもよい。上位構成群および/または旋回部材における全ての連結棒の結合点が1つの共通の、好適には鉛直方向の平面上に配置されると、旋回部材が旋回中に、前記平面に対して平行に向けられたままになる、ということが可能になる。換言すると、前記のようにして、旋回部材が例えば鉛直な向きから傾くことが回避され得る。
【0022】
作動部材は、支承装置の作動可能状態では、鉛直方向において4節リンク機構の上側、特に旋回部材の鉛直方向延在長さの1/2の領域に配置されていてもよい。例えば、4節リンク機構は車両の床の領域に配置されていてもよく、これにより、乗客スペースまたは/および車両の外装デザインを損なうこと無しに、4節リンク機構は十分な構成空間を利用することができる。よって、4節リンク機構を極めて安定的に形成することができ、これにより4節リンク機構は、旋回させようとする部材の重さを、例えば完全に支持することができる。この場合、作動部材には単に、旋回させようとする部材を駆動し、その際に予め規定された向きからの傾倒を阻止するという役割だけが割り当てられていてもよい。これに相応して、作動部材は省スペース式に形成されていてもよい。
【0023】
本発明による支承装置は、旋回ドア用に代えて、例えば窓用または類似品用に設計されていてもよい。
【0024】
本発明の第3の態様において、本発明は、フラップ、特に旋回ドア用の支承装置であって、
一方の端部において上位構成群、特に車体と旋回可能に結合された作動部材、特に前記特徴のうちの1つを備えた本発明による作動部材、および
作動部材の他方の端部が、特に縁部に隣接して旋回可能に結合された旋回部材
を有しており、
作動部材は、作動に基づき、第1の部分の長さ変更と、長さ変更可能な部分の一方の端部に対応配置された、作動部材の第2の部分に対して相対的な、長さ変更可能な部分の回動とを組み合わせて実施し、これにより、旋回部材を上位構成群に対して相対的に移動させることができるように構成されており、
作動部材は、長さ変更可能な部分の予め規定された作動位置に、長さ変更可能な部分の旋回軸線に対して相対的な、長さ変更可能な部分の移動の角度位置が正確に対応するように、かつその逆に、長さ変更可能な部分の旋回軸線に対して相対的な、長さ変更可能な部分の移動の角度位置に、長さ変更可能な部分の予め規定された作動位置が正確に対応するように形成されている。
【0025】
本発明の第3の態様の範囲については、作動部材が第1の部分の長さ変更と、旋回軸線を中心とした第1の部分の旋回との間の強制連結を有していることだけが必要とされているにもかかわらず、以下で作動部材を、本発明の第1の態様に基づいた本発明による作動部材の例につき説明する。
【0026】
もちろん、スピンドル駆動装置に代えて、例えば液圧式、空圧式または磁気式に作動する駆動装置が設けられており、この駆動装置の作動は機械的にではなく、例えば適当な測定装置を用いて連結されている、ということも同様に考えられる。
【0027】
さらに述べておくと、「長さ変更可能な部分の旋回軸線に対して相対的な、長さ変更可能な部分の移動」は必ずしも、目に見えて旋回させられる、作動部材の長さ変更可能な部分を意味しなくてもよい。例えば、作動部材の長さ変更可能な部分は車体に結合されていてもよく、長さ変更不能な部分が旋回させられる。重要なのは、長さ変更可能な部分が作動させられる間、すなわちその長さを変化させられる間に、作動部材の長さ変更可能な部分と、作動部材の別の部分との間で相対回動が実施される、という点である。
【0028】
長さ変更と回動とが強制連結された作動部材を使用することにより、上位構成群に対する作動部材の結合点を、ほぼ任意に変えることが可能である。それにもかかわらず、例えば上位構成群の外面に対して平行な、旋回部材の移動が実施され得る。
【0029】
本発明の1つの改良において、作動部材は、長さ変更可能な部分に対応配置された端部において上位構成群と結合されていてもよく、作動部材の長さ変更可能な部分と旋回部材との間に配置されたスペーサを有していてもよい。例えば、作動部材のスピンドル駆動装置は車体に結合されていてもよく、これにより、スピンドル駆動装置の作動に基づき、スピンドル駆動装置の、スペーサに結合された端部が、車体に対して相対的に移動させられるようになっている。この場合、例えば固定的な棒により形成されたスペーサは、スピンドル駆動装置に対して相対的に回動させられる。このような配置の結果として、スペーサの回動中心点は、スピンドル駆動装置の長さ変更に基づき、直線的に移動させられることになる。このようにして、例えばドア等の旋回部材を、スペーサの回動により規定される旋回範囲に基づいて移動させるだけでなく、スピンドル駆動装置の行程に基づいて移動させることもできる。ヒンジの回動中心点が移動するため、ドアを開くことにより解放可能な乗車領域の拡大が生じ得る。
【0030】
もちろん、旋回部材と車体との間には、引き続く支承および支持のために、別の連結棒が、例えば4節リンク機構の形態で設けられていてもよい。
【0031】
本発明の1つの特別な実施形態において、支承装置は、別の作動部材、特に一方の端部において上位構成群と旋回可能に結合されかつ他方の端部において旋回部材と旋回可能に結合された、前記特徴のうちの1つを備えた本発明による作動部材を有していてもよく、
別の作動部材は、作動に基づき、第1の部分の長さ変更と、長さ変更可能な部分の一方の端部に対応配置された、別の作動部材の第2の部分に対して相対的な、長さ変更可能な部分の回動とを組み合わせて実施し、これにより、旋回部材を上位構成群に対して相対的に移動させることができるように構成されていてもよく、
別の作動部材は、長さ変更可能な部分の予め規定された作動位置に、長さ変更可能な部分の旋回軸線に対して相対的な、長さ変更可能な部分の移動の角度位置が正確に対応するように、かつその逆に、長さ変更可能な部分の旋回軸線に対して相対的な、長さ変更可能な部分の移動の角度位置に、長さ変更可能な部分の予め規定された作動位置が正確に対応するように形成されていてもよい。
【0032】
前記2つの強制連結された作動部材を配置することにより、別の連結棒および/または4節リンク機構の配置を完全に省くことができる。さらにこれにより、ドアを乗車領域から最大限に移動させることを可能にすることができる。各作動部材の回動と長さ変更との比を適切に選択すると、上位構成群に対する各作動部材の結合部をほぼ自由に選択することができる。
【0033】
有利には、一方の作動部材の第1のスピンドル駆動装置のスピンドルのねじ山ピッチの向きは、別の作動部材の第2のスピンドル駆動装置のスピンドルのねじ山ピッチの向きとは逆であってもよい。特にこれにより、両作動部材の結合点が、1つの共通の、特に旋回部材の主延在方向に対して平行な、例えば鉛直方向の軸線上に位置するということを、可能にすることができる。このようにして、上位構成群に対する旋回部材の平行移動が達成され得る。つまり、旋回部材、例えばドアの旋回範囲にわたり、一方の作動部材の長さ変更可能な部分が短縮され得る一方で、同時に別の作動部材の長さ変更可能な部分は延長されるようになっている。
【0034】
この場合も、本発明による支承装置は、旋回ドア用に代えて、例えば窓用または類似品用に設計されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
以下に、添付の図面を参照して本発明を各実施例につき、より詳細に説明する。
図1】本発明による作動部材の1つの実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示した本発明による作動部材を示す側方横断面図である。
図3】第1の実施形態における旋回ドアの一部を示す概略図である。
図4a】第2の実施形態での第1の位置決めにおける旋回ドアの一部を示す概略図である。
図4b図4aに示した第2の実施形態での第2の位置決めにおける旋回ドアの一部を示す概略図である。
図5図5a~図5cは、本発明による支承装置を異なる位置決めにおいて示す概略図である。
図6図6a~図6cは、本発明による別の支承装置を異なる位置決めにおいて示す概略図である。
図7】本発明による作動部材の第2の実施形態を示す平面図である。
図8図7に示した本発明による作動部材を示す側方横断面図である。
【0036】
図1では、本発明による作動部材全体に符号10が付されている。作動部材10は、長さ変更可能な第1の部分12を有しており、第1の部分12は、ここではスピンドル駆動装置12により形成されている。スピンドル駆動装置12は被覆管14を有しており、被覆管14は、作動部材10を第1の上位構成群(図示せず)に結合するために、第1の結合ユニット16と結合されている。
【0037】
スピンドル駆動装置12は、第1の結合ユニット16とは反対側の端部において、作動部材10のケーシング20と固く結合された管18により包囲されている。ケーシング20は、2つの軸受22により、第2の上位構成群(図示せず)に対して相対的に回動可能に支承されている。さらに、作動部材は第2の結合ユニット24でもって、第2の上位構成群に取り付けられている。ケーシング20は、第2の結合ユニット24に対して相対的に回動可能に、しかし軸方向には不動に支承されている。
【0038】
図2に示す作動部材10の断面では、被覆管14がスピンドルナット26と結合されていることが認められ、スピンドルナット26もやはり、スピンドル駆動装置12のスピンドル28と、ねじ山でもって係合している。つまり、スピンドル28の回転が、スピンドルナット26の軸方向移動を生ぜしめ、これにより、被覆管14ひいては第1の結合ユニット16が、ケーシング20から離反する方向もしくはケーシング20に向かう方向に移動させられるようになっている。
【0039】
図2にはさらに、例えば電動モータにより形成された駆動ユニット30が示されている。駆動ユニット30は伝動ユニット32に結合されており、伝動ユニット32は、駆動ユニット30とは反対側において、被動軸34と結合されている。
【0040】
スピンドル28と相対回動不能に結合された第1の歯車36が、被動軸34と相対回動不能に結合された第2の歯車38と係合している。駆動ユニット30が被動軸34ひいては第2の歯車38を駆動すると、第1の歯車36がスピンドル28と共に回転させられる。これにより、上述したようにスピンドルナット26が、ここではスピンドル28の中心軸線も形成する軸線Aに沿って移動させられる。
【0041】
被動軸34は、伝動ユニット32とは反対側に第1のねじ山40を有しており、第1のねじ山40は、中間部材42の対応する対応ねじ山と係合している。中間部材42は、図2に示す実施形態において中間部材42の一方の上端部に配置された部分において、第2の結合ユニット24に対して相対的に回動不能に、しかし軸方向には摺動可能に支承されている。中間部材42の他方の下端部には第2のねじ山44が配置されており、第2のねじ山44は、ケーシング20と固く結合されたもしくはケーシング20の内側に形成された、対応する対応ねじ山と係合している。
【0042】
第1のねじ山40は、ここでは第2のねじ山44よりも大幅に小さなピッチを有している。被動軸34の回転に基づき、中間部材42は第1のねじ山40を介してかつ上述した第2の結合ユニット24に対する軸方向歯列に基づき、被動軸34もしくは第2の結合ユニット24に対して軸方向に移動させられる。中間部材42とケーシング20との間の第2のねじ山44に基づき、中間部材42が並進移動させられるように、ケーシング20が回動させられる。この場合、ケーシング20は、ここでは同時に被動軸34および/または中間部材42および/または第2の歯車38の中心軸線を形成している旋回軸線Xを中心として回動する。
【0043】
これは結果的に、駆動ユニット30の作動により被動軸34および被動軸34に結合された歯車38の回転が生ぜしめられ、これにより一方では第1の歯車36を介してスピンドル駆動装置12が作動、すなわち延長または短縮させられ、かつ他方では管18がスピンドル駆動装置12およびケーシング20と共に、旋回軸線Xを中心として第2の結合ユニット24に対して相対的に旋回させられることを意味する。
【0044】
再度指摘しておくと、これにより強制連結が生じるため、スピンドル駆動装置12の長さ変更はケーシング20の回動無しで実施され得、逆にケーシング20の回動はスピンドル駆動装置12の長さ変更無しで実施され得る。さらにこのことは、第1のねじ山40、第2のねじ山44、両歯車36,38および/またはスピンドル駆動装置12の選択に応じて、スピンドル駆動装置12の長さ位置が、第2の結合ユニット24に対して相対的なケーシング20のあらゆる角度に正確に対応していることを意味する。
【0045】
もちろん本発明による作動部材10は、例えば手動操作に基づき、第2の結合ユニット24に対して相対的なケーシング20の回動がスピンドル駆動装置12の長さ変更を生ぜしめるか、またはスピンドル駆動装置12の長さ変更がケーシング20の回動を生ぜしめるパッシブユニットとして、すなわち少なくとも駆動ユニット30無しで形成されていてもよい。
【0046】
軸線Aと旋回軸線Xとの間の角度αは、図2に示す実施例では約90°である。
【0047】
図3に示す支承装置100には、旋回部材102としてドアが示されている。図3において説明すべき本発明の思想に関して、ドア102が全体的に図示されているのか否か、または例えばドア102の下半分だけが図3に示されているのか否かということは、ここでは重要ではない。
【0048】
ドア102は、4節リンク機構104でもって、車体106と結合されている。4節リンク機構104は、ここでは互いに平行に配置された2つの同一の連結棒から形成されている。4節リンク機構104は、4節リンク機構104の連結棒が車体106に対して相対的に、単一の例えば水平な面のみに沿って旋回することができるように、車体106に枢着されている。
【0049】
ドア102の鉛直方向において比較的高い位置において、ドア102と車体106の一部(図示せず)との間に、作動部材、特に上で説明した作動部材10が配置されている。この場合、図3では、作動部材10は4節リンク機構104の連結棒に対して平行に向けられているため、図3に示す作動部材10は、回転駆動装置とドア102との間に剛性の連結棒を備えた回転駆動装置であってもよい。
【0050】
図3には、ドア102が、車体106を含む車両の乗車口108から旋回させられ、乗車口108が開放された状態が示されている。
【0051】
図4aおよび図4bに示す支承装置200では、剛性の連結棒を備えた「2節リンク」が、長さ変更可能な作動部材10により代替されている。その他の点では、図4aおよび図4bに示した装置200は、この点について明示的に参照する、図3に示した装置100を上から見たところに相当する。よって以下では単に、図3に示した装置100に対する、図4aおよび図4bに示した装置200の相違点のみを説明する。
【0052】
支承装置100とは異なり、支承装置200の作動部材10は、ほぼ任意の箇所において車体206に結合され得る。図4aおよび図4bに示す実施例では、作動部材10は、これらの図面を上から鉛直方向に見て、4節リンク機構204の2つの連結棒の間に配置されている。ただし、作動部材と車体206との間の結合点が、4節リンク機構204の2つの連結棒の間の中間に配置されているのではなく、4節リンク機構204の、乗車口208から離れて配置された連結棒の隣に配置されていることが認められる。支承装置100におけるのと同様に、支承装置200の作動部材も、例えばドア202の1/2の高さに配置されていてもよく、いずれにしろ鉛直方向において4節リンク機構204の上側に配置されていてもよい。
【0053】
図4aには、ドア202が乗車口208を閉じている状態が示されている。この場合、作動部材10は伸長させられた終端位置に位置している。
【0054】
相応して図4bには、ドア202が乗車口208を開放している状態が示されている。この場合、作動部材10は引っ込められた終端位置に位置している。
【0055】
図5a~図5cには、支承装置300の1つの別の配置の可能性が示されている。以下の説明に関して明示的に参照する図3図4aおよび図4bと同様に、図5a~図5cにも、車体306を含む車両の乗車口308を開閉可能なドア302が示されている。
【0056】
車体306には、上述したように、本発明による作動部材10が結合されている。この場合、作動部材10はその長さ変更可能な部分の自由端部でもって、車体306に結合されている。図1および図2において説明した作動部材10の実施形態に関して、第1の結合ユニット16は車体306と結合されている。ここでは剛性の棒として形成されたスペーサ310が、その一方の端部においてケーシング20と結合されておりかつその他方の端部においてドア302と結合されており、この場合、スペーサ310はドア302に旋回可能に支承されている。
【0057】
強制連結された、長さ変更可能な部分の長さ変更とケーシング20ひいてはスペーサ310の回動とを生ぜしめる、作動部材10の作動に基づき、図5a~図5cの順に見て、作動部材10の長さ変更可能な部分、例えばスピンドル駆動装置12は縮められ、作動部材10に対して相対的に、ケーシング20はスペーサ310と共に回動する。その結果、ドアが一方ではケーシング20の回動により乗車口308から旋回させられ、同時にケーシング20ひいてはドア302の旋回軸線が、作動部材10の長さ変更可能な部分の短縮により、直線的に移動させられることになる。乗車口308からのドア302の回動式の移動と並進式の移動との結合に基づき、より大きな乗車領域308が開閉可能になる。
【0058】
ドア302を安定させるためには、例えば2つの作動部材10を配置することが考えられる。
【0059】
図6a~図6cには、別の支承装置400が示されている。この支承装置400は、ここで明示的に参照する上述した実施形態100~300と、特にここでは本発明による2つの作動部材10および10’により実現されている2つの強制連結された作動部材が、その一方の端部において車体406と結合されておりかつその他方の端部においてドア402と結合されている、という点において相違している。上述した実施形態と同様に、ドア402は、乗車口408を閉じるまたは開放するように構成されている。よって以下では単に、上述した実施例に対する相違点についてのみ検討する。
【0060】
2つの作動部材10および10’は、ここに示した実施例ではスピンドル駆動装置12により形成された長さ変更可能な部分でもって、車体406とドア402との間に配置されている。この場合、作動部材10のスピンドル駆動装置12がドア402の縁部に枢着されているのに対し、別の作動部材10’のスピンドル駆動装置12は、ドア402の中央領域に枢着されている。
【0061】
図6a~図6cに示す特別な実施例では、作動部材10および10’の結合点は、車体406において一致している。
【0062】
作動部材10および別の作動部材10’のスピンドル駆動装置12のねじ山ピッチの方向、すなわちねじ山の回転方向は逆になっているため、作動部材10および10’の長さ変更可能な両方の部分が同じ回転方向に回転すると、一方の部分は延長されるのに対して、他方の部分は短縮される。作動部材10および10’の両方のねじ山のねじ山ピッチ高さが同じ場合には、ドア402は平行に移動させられる、すなわち、車体406に対するドア402の向きは、ドア402の移動中、一定に保たれる。
【0063】
図6aでは、ドア402が乗車口408を閉じている。この場合、作動部材10は完全に縮められており、別の作動部材10’は完全に伸長させられている。
【0064】
図6bでは、ドア402は乗車口408から移動させられており、図6aおよび図6cに示す最大位置の間の、移動範囲の約1/2のところに位置している。作動部材10および10’の長さ変更可能な部分は両方共、その長さ変更可能な範囲のほぼ1/2のところに位置している。特に作動部材10および10’の長さ変更可能な部分は、その長さ変更に関して同じ位置に位置している。
【0065】
図6cでは、ドア402が乗車口408を完全に開放している。この場合、作動部材10は完全に伸長させられており、別の作動部材10’は完全に縮められている。
【0066】
両作動部材10および10’は、ここでは例えばドア402の下縁部および車体406の床に配置されている。
【0067】
図7に示すように、両作動部材10および10’は、本発明による作動部材10Aの第2の実施形態により実現されてもよく、作動部材10Aは、本発明による作動部材10と実質的に同一に形成されているが、ただし1つのスピンドル駆動装置の代わりに2つのスピンドル駆動装置、つまり第1のスピンドル駆動装置12Aと第2のスピンドル駆動装置12Bとを有している。
【0068】
この理由から、ここでは作動部材10Aに関して明示的に、作動部材10もしくは10’の構成を参照する。よって以下では単に、作動部材10もしくは10’に対する作動部材10Aの相違点のみを説明する。
【0069】
図8の側方横断面図において認められるように、第1のスピンドル駆動装置12Aと第2のスピンドル駆動装置12Bとは、作動部材10Aのケーシング20Aから実質的に直角に延在している。作動部材10に関して説明したように、ここでも第2のスピンドル駆動装置12Bは、ケーシング20A内に配置された歯車38Aにより駆動される。ただし、ここでもかさ歯車として形成された歯車38Aは、第2のスピンドル駆動装置12Bの歯車36Bに対する歯列だけでなく、第1のスピンドル駆動装置12Aの歯車36Aに対する歯列をも有している。つまり歯車38Aは、二重に形成されたかさ歯車と見なされてもよい。
【0070】
つまり歯車38Aが駆動されると、歯車36Aおよび36Bも同様に、歯車38Aの回転に対して相対的に同期して駆動され、これにより第1のスピンドル駆動装置12Aと第2のスピンドル駆動装置12Bとが作動させられる。
【0071】
両スピンドル駆動装置12Aおよび12Bは、例えば互いに同じねじ山ピッチを有していてもよいが、ただしこれらのねじ山ピッチの勾配は互いに逆向きになっている。つまり歯車38Aの回転に基づき、例えば第1のスピンドル駆動装置12Aが所定の距離だけ延長されると共に、第2のスピンドル駆動装置12Bは同じ距離だけ短縮される。
【0072】
もちろん同様に、両スピンドル駆動装置12Aおよび12Bが互いに異なるねじ山ピッチもしくは互いに異なるねじ山ピッチの部分を有していることも考えられる。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8