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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】ノウハウ整理支援システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/063 20230101AFI20240123BHJP
   G06Q 10/10 20230101ALI20240123BHJP
【FI】
G06Q10/063
G06Q10/10 310
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020004719
(22)【出願日】2020-01-15
(65)【公開番号】P2021111284
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】509328928
【氏名又は名称】株式会社日立プラントコンストラクション
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】屋代 裕一
(72)【発明者】
【氏名】上田 力男
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 文雄
【審査官】福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-227193(JP,A)
【文献】特開平08-323446(JP,A)
【文献】特開平10-275168(JP,A)
【文献】特開2000-278635(JP,A)
【文献】特開2002-352238(JP,A)
【文献】特開2005-215314(JP,A)
【文献】特開2017-033047(JP,A)
【文献】特開2016-012239(JP,A)
【文献】特開2005-107867(JP,A)
【文献】特開2009-087242(JP,A)
【文献】特開2006-268807(JP,A)
【文献】成子 由則,モノづくりにおける知識・ノウハウの伝承,情報管理,2006年11月01日,Vol.49, No.8,pp.439-448
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業工程を上位及び下位の複数の階層構造に区分けし、作業ステップ毎に関連する画像及び図書及び図面及び動画のうち少なくとも1以上のデータを分類して紐付けするデータ分類部と、
未分類の画像を蓄積したデータベースに接続して物体検出アルゴリズムを定期的に実施して前記作業ステップ毎に関連する画像を抽出する画像抽出部と、
前記作業工程の階層構造及び前記作業ステップ毎に抽出された関連する画像を表示する表示部と、
熟練者にヒアリングを行ってノウハウを登録する際に前記表示部で表示された前記作業工程の階層構造及び前記画像を見ながら抽出された前記作業ステップ毎に関連する前記熟練者の保有するノウハウを前記作業ステップに紐付けするノウハウ登録部と、
を有することを特徴とするノウハウ整理支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載されたノウハウ整理支援システムであって、
前記表示部は、
前記階層構造の作業ステップ毎にノウハウ数を表示したことを特徴とするノウハウ整理支援システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたノウハウ整理支援システムであって、
前記ノウハウ登録部は、前記画像又は図書又は図面又は動画の中に前記ノウハウを文字又は図形と色彩で示すことを特徴とするノウハウ整理支援システム。
【請求項4】
コンピュータを用いてノウハウ整理支援システムのデータ分類部で作業工程を上位及び下位の複数の階層構造に区分けし、作業ステップ毎に関連する画像及び図書及び図面及び動画のうち少なくとも1以上のデータを分類して紐付けするデータ分類工程と、
画像抽出部で未分類の画像を蓄積したデータベースに接続して物体検出アルゴリズムを定期的に実施して前記作業ステップ毎に関連する画像を抽出する工程と、
表示部で前記作業工程の階層構造及び前記作業ステップ毎に抽出された関連する画像を表示する工程と、
ノウハウ登録部で熟練者にヒアリングを行ってノウハウを登録する際に前記表示部で表示された前記作業工程の階層構造及び前記画像を見ながら抽出された前記作業ステップ毎に関連する前記熟練者の保有するノウハウを前記作業ステップに紐付けする工程と、
を有することを特徴とするノウハウ整理支援方法。
【請求項5】
請求項4に記載のノウハウ整理支援方法において、
前記表示部は、前記階層構造の作業ステップ毎にノウハウ数を表示したことを特徴とするノウハウ整理支援方法。
【請求項6】
請求項4又は5のノウハウ整理支援方法において、
前記ノウハウ登録部は、前記画像又は図書又は図面又は動画の中に前記ノウハウを文字又は図形と色彩で示すことを特徴とするノウハウ整理支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熟練者のノウハウを若年層へ伝承するノウハウ整理支援システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熟練者が高齢化して徐々に減っていく中で、熟練者の長年培った技術的な知識や経験となるノウハウをどのように若年層へ効率的に伝承していくかは、技術レベルの維持及び向上のために重要な課題である。
このようなノウハウは、熟練者の頭の中に存在し何らかの形で記録していない知識の場合、効果的に抽出することは困難である。また熟練者が保有する過去の莫大な紙媒体、電子データの中に詰まっているものがあり、本人が管理しているデータを積極的に整理しなければ埋もれたままとなってしまう。
【0003】
特許文献1の開示のノウハウ情報記録装置は、任意の保守作業のシミュレーションを行いながら、熟練者が適切なタイミングでノウハウ情報を入力している。入力されたノウハウ情報は作業状況に関連付けて格納される。そしてノウハウを身に着けようとする訓練者は、シミュレーションを行うときに、シミュレート画像に対応した作業状況に応じたノウハウ情報が出力されノウハウに基づくガイダンスを受ける。
【0004】
しかしながら、この装置は作業状況や作業対象物の状態等を示す仮想画像となる訓練者用シミュレート画像を全ての作業工程毎に新たに準備することが必要であり、莫大な時間及びコストがかかってしまう。登録するノウハウ情報はビデオカメラ、音声記録デバイス等を用いて記録されたものと開示されているが、登録するために熟練者が別途検索しなければならず、登録作業が一端中止となり、拘束時間が長くなって効率的でない。
また訓練者は、シミュレーションを行わなければノウハウを取得することができず、作業毎にノウハウ情報がどの程度存在するのか把握することができない。さらに熟練者又は若年層が作業全体のノウハウ情報を体系的に可視化することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-215314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、作業のノウハウ箇所を体系的に抽出して登録することによりノウハウを体系的に可視化することができるノウハウ整理支援システム及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、作業工程を上位及び下位の複数の階層構造に区分けし、作業ステップ毎に関連する画像及び図書及び図面及び動画のうち少なくとも1以上のデータを分類して紐付けするデータ分類部と、
未分類の画像を蓄積したデータベースに接続して物体検出アルゴリズムを定期的に実施して前記作業ステップ毎に関連する画像を抽出する画像抽出部と、
前記作業工程の階層構造及び前記作業ステップ毎に抽出された関連する画像を表示する表示部と、
熟練者にヒアリングを行ってノウハウを登録する際に前記表示部で表示された前記作業工程の階層構造及び前記画像を見ながら抽出された前記作業ステップ毎に関連する前記熟練者の保有するノウハウを前記作業ステップに紐付けするノウハウ登録部と、
を有することを特徴とするノウハウ整理支援システムを提供することにある。
上記第1の手段によれば、作業工程に関するすべてのノウハウ及び関連するデータ情報が体系的に整理されて熟練者及び若年層が閲覧できる。熟練者のヒアリングの際、関連するデータを検索したり、ファイルを切り替えたり、画面を切り替えたりする手間がなくなりヒアリング時間を大幅に短縮でき、効率的にノウハウを抽出することができる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、第1の手段において、前記表示部は、
前記階層構造の作業ステップ毎にノウハウ数を表示したことを特徴とするノウハウ整理支援システムを提供することにある。
上記第2の手段によれば、作業工程の各作業ステップに関連するノウハウ数及び関連するデータを体系的に一望でき、若年層にノウハウを漏れなく効率的に伝承できる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するための第3の手段として、第1又は2の手段において、前記ノウハウ登録部は、前記画像又は図書又は図面又は動画の中に前記ノウハウを文字又は図形と色彩で示すことを特徴とするノウハウ整理支援システムを提供することにある。
上記第3の手段によれば、画像又は図書又は図面又は動画の中のどこにノウハウ箇所が存在するのかを特定でき、かつ補足説明や強調して表示することができる。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するための第の手段として、コンピュータを用いてノウハウ整理支援システムのデータ分類部で作業工程を上位及び下位の複数の階層構造に区分けし、作業ステップ毎に関連する画像及び図書及び図面及び動画のうち少なくとも1以上のデータを分類して紐付けするデータ分類工程と、
画像抽出部で未分類の画像を蓄積したデータベースに接続して物体検出アルゴリズムを定期的に実施して前記作業ステップ毎に関連する画像を抽出する工程と、
表示部で前記作業工程の階層構造及び前記作業ステップ毎に抽出された関連する画像を表示する工程と、
ノウハウ登録部で熟練者にヒアリングを行ってノウハウを登録する際に前記表示部で表示された前記作業工程の階層構造及び前記画像を見ながら抽出された前記作業ステップ毎に関連する前記熟練者の保有するノウハウを前記作業ステップに紐付けする工程と、
を有することを特徴とするノウハウ整理支援方法を提供することにある。
上記第の手段によれば、作業工程に関するすべてのノウハウ及び関連するデータ情報が体系的に整理されて熟練者及び若年層が閲覧できる。熟練者のヒアリングの際、関連するデータを検索したり、ファイルを切り替えたり、画面を切り替えたりする手間がなくなりヒアリング時間を大幅に短縮でき、効率的にノウハウを抽出することができる。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するための第の手段として、第の手段において、前記階層構造の作業ステップ毎にノウハウ数を表示したことを特徴とするノウハウ整理支援方法を提供することにある。
上記第の手段によれば、作業工程の各作業ステップに関連するノウハウ数及び関連するデータを体系的に一望でき、若年層にノウハウを漏れなく効率的に伝承できる。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するための第の手段として、第又はの手段において、前記ノウハウは、前記画像又は図書又は図面又は動画の中に文字又は図形と色彩で示すことを特徴とするノウハウ整理支援方法を提供することにある。
上記第の手段によれば、画像又は図書又は図面又は動画の中のどこにノウハウ箇所が存在するのかを特定でき、かつ補足説明や強調して表示することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、一作業工程を作業ステップ毎に体系的に整理して登録されたノウハウに関連するデータを閲覧することができ、熟練者のヒアリングの際に漏れがなく効率的なノウハウ抽出が実現でき、かつ若年層に漏れなくノウハウを伝承できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のノウハウ整理支援システムの構成概略図である。
図2】作業工程の説明図である。
図3】作業ステップの説明図である。
図4】ノウハウリストの説明図である。
図5】ノウハウ登録の説明図1である。
図6】ノウハウ登録の説明図2である。
図7】ノウハウを図面上に紐づける説明図である。
図8】ノウハウを図書上に紐づける説明図である。
図9】ノウハウを画像上に紐づける説明図である。
図10】ノウハウを動画上に紐づける説明図である。
図11】画像抽出部の説明図である。
図12】画像抽出部のフロー図1である。
図13】画像抽出部のフロー図2である。
図14】本発明のノウハウ整理支援システムを用いたヒアリングの説明図である。
図15】ノウハウ整理支援方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のノウハウ整理支援システム及びその方法の実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0018】
[ノウハウ整理支援システム10]
図1はノウハウ整理支援システムの構成概略図である。
本発明のノウハウ整理支援システム10は、作業工程を上位及び下位の複数の階層構造に区分けし、作業ステップ毎に関連する画像及び図書及び図面及び動画のうち少なくとも1以上のデータを分類して紐付けするデータ分類部20と、熟練者にヒアリングを行って抽出された前記作業ステップ毎に関連する前記熟練者の保有するノウハウを前記作業ステップに紐付けするノウハウ登録部30と、前記作業工程の階層構造及び紐付けした前記ノウハウを表示する表示部40と、を有している。ノウハウ整理支援システム10は、CPU、ROM、RAM等を備えCPUにアプリケーションプログラムを実行させるパーソナルコンピュータ(以下単にPCということあり)である。またノウハウ整理支援システム10はデータ分類部20で紐付けされた各種データを記憶するデータベース50を有している。
【0019】
データ分類部20は、システム操作者、設計者、熟練者の操作により作業工程を上位及び下位の複数の階層構造に区分けする。図2は作業工程の説明図である。本実施形態の作業工程は各作業ステップを一例としてフォルダのツリー形式に形成されている。図示のように作業工程は、例えば3階層(上位から下位、大分類>中分類>小分類)で構成されていて、大分類には作業工程の名称、中分類には作業手順、小分類には作業ステップの順に区分けされている。小分類のフォルダには各作業ステップに関連する画像、図書(文書(マニュアルなど)画像)、図面、動画などのデータファイルを所定の形式で登録できる。なお、データファイルの登録はこれに限らず、大分類又は中分類のフォルダに登録するように構成できる。
【0020】
本発明では画像(写真)について画像抽出部22を用いて自動抽出している。図11は画像抽出部の説明図である。画像抽出部22は熟練者など個人のデータベース50Aに接続し、内部に記憶された大量の画像群の中から物体検出アルゴリズムを実施して自動的に各作業ステップに関連する画像を抽出する。
図12は画像抽出部のフロー図1である。図13は画像抽出部のフロー図2である。
まず、各作業工程には予め関連する分類したい全てのラベルを定義する(ステップ10)。例えば,モジュール搬入という作業手順においては、「モジュール」「搬入」「吊搬」「クレーン」などの関連する単語をラベルとして定義し対応付けておく。ここで、対応できるラベルは、物体検出アルゴリズムで事前に学習する際に使用したラベルのみを選択できる。物体検出アルゴリズムは、上記したラベル以外にも多くの様々なラベルを定義した教師画像で事前に学習済みである(ステップ11)。この時、学習には機械学習や深層学習といったAI(Artificial Intelligence)を用いた画像認識手法を利用することも出来る(ステップ12)。
【0021】
ステップ10~12まで事前準備をした段階(事前学習)で、次に物体検出アルゴリズムで定期的に画像の自動抽出を実行する(定期実行)。例えば、1日に1回実行し、複数の共有サーバ、個人のデータベースなどへ接続し(ステップ13)、事前の学習結果を使用して、そのサーバ内に含まれる全ての画像から、事前に学習した全てのラベルに関連する画像を自動で認識し、画像をラベル毎に分類する(ステップ14)。分類した画像を抽出してラベル毎にデータべース50に保存する(ステップ15)。そうすることで、関連する画像を社内のサーバ、個人のデータベースから自動で集めることができる。更に、日々デジタルカメラ等で現場で撮影されてサーバに保存されるだけの画像が、毎日自動で分類・抽出できる。ここで使用する物体検出アルゴリズムとしては特に制約はないが、例えば代表的なSSD(Single Shot Multi-box Detector)もその一つである。
【0022】
ノウハウ整理支援システム10でノウハウを登録する際には,ノウハウを登録したい作業手順を選択する(ステップ16)。次に画像抽出部22の物体検出アルゴリズムで自動抽出したデータベース50へ接続する(ステップ17)。そうするとその作業手順に関連付けられたラベルの画像のみを表示する(ステップ18)。例えば、モジュール搬入という作業手順を選択した際には,その作業工程に関連付けられたラベル「モジュール」「搬入」「吊搬」「クレーン」に関連する画像のみを自動で表示できる。
ノウハウ登録部30は、熟練者に質問者(システム設計者、設計者など熟練者以外)がヒアリング、インタビューして作業工程毎に抽出されたノウハウを登録する。前記ヒアリング等は、質問者と熟練者が表示部40となるPCのモニタ又はPCに接続したプロジェクターから投影された画面を閲覧しながら行う。
【0023】
図3はステップ(作業手順)の説明図である。具体的にノウハウ登録部30では、大分類の作業項目、ポンプ点検作業から中分類の作業手順、モジュール搬入を選択すると、あらかじめデータ分類部20で登録された関連ファイルの登録フィールドの画面が表示される。図3中の関連ファイルは一例として建屋の配置図(図面)、動画、図書(文書画像を含む)、画像が表示されている。
質問者及び熟練者は、システムの表示画面を参照しながら質問者が熟練者に作業工程の質問を投げかけ、又は熟練者が自発的に話す内容の中からノウハウを抽出する。図4はノウハウリストの説明図である。図示のようにノウハウリスト画面を開くと、画面上部からメニュー(新規登録、削除、選択解除)と、既に登録したノウハウ件名が表示される。新たにノウハウを登録する場合、新規登録を選択する。ノウハウリストの下方に件名(例えば作業手順:モジュール搬入の場合、1:地切り方法、2:搬入時の注意事項、3:据付時の安全行動など)、音声録音(インタビュー時の音声など)、ノウハウの詳細(文字入力)、根拠(経験値(過去の熟練者が経験した事例を記載する。例えば、該当した作業の失敗事例、成功事例などである。)、理論値(普遍的な理論・学問に基づく知識を記載する。例えば、該当する作業の材質の特性、重量、力学的観点などである。)、意思(該当の作業手順に対して、どのような思いで対処したのかを記載する。経験や理論だけでなく、直面した問題に対して何を見て,何を判断して最適なノウハウを活用したのかである))、レベル(重要度、重み付けなど例えば5段階表示)、後述する関連ファイル紐づけ(ファイル中の具体的なノウハウ箇所を指定してマーキングする)、登録者、登録日、更新者、更新日が表示されそれぞれ入力できる。関連ファイルが紐づけされるとノウハウリストの各件名欄に動画、画像などのアイコンが表示されて、関連するファイルの種類を閲覧できる。
【0024】
図5、6はノウハウ登録の説明図1,2である。画像及び図書及び図面及び動画中にノウハウを登録する際、文字、図形、色彩を用いて示すことができる。ノウハウ箇所を特定するために四角形、円形、矢印などの図形を選択して表示できる。この図形は任意の色を選択して表示できる(図5参照)。さらに表示した図形には任意の文字を表示できる。一例として文字は表示・非表示(文字列表示又は矩形表示)、文字列表示タイプ(ノウハウ件名表示又はノウハウ詳細表示)、文字列縁取り(なし、白で縁取り、黒で縁取り)、文字列大きさ(倍率)を任意に選択できる。
図7はノウハウを図面上に紐づける説明図である。図示のようにノウハウリスト中のノウハウ番号1:地切り方法、2:搬入時の注意事項、3:据付時の安全行動が図面上のどこに関連付けられたものかを紐づけて図形の円形及び文字1~3(数字は紐付けしたノウハウ番号と同じ)で表示する。
【0025】
図8はノウハウを図書上に紐づける説明図である。図示のようにノウハウリスト中のノウハウ件名2:搬入時の注意事項に関連する図書に、部品A及びDの締めトルク設定範囲を紐づけて矢印と四角形で囲って異なる色で記録(マーキング)する。そうするとノウハウリストのノウハウ件名欄に図書にノウハウを記録したというアイコンが表示される。
図9はノウハウを画像上に紐づける説明図である。図示のようにノウハウリストのノウハウ件名2:搬入時の注意事項に関連する画像に、注意する箇所を紐づけて四角形で囲って、ノウハウ件名(搬入時の注意事項)を文字で表示して記録(マーキング)する。そうするとノウハウリストのノウハウ件名欄に画像にノウハウを記録したというアイコンが表示される。
【0026】
図10はノウハウを動画上に関連付けた説明図である。図示のようにノウハウ件名2:搬入時の注意事項に関連する動画に、ノウハウ箇所が表示される時間、換言すると動画中のどの時間にノウハウ箇所が映っているかを紐づけて矢印(図形)とノウハウ件名(文字)で記録(マーキング)する。そうするとノウハウリストのノウハウ件名欄に動画にノウハウを記録したというアイコンが表示される。
表示部40は、作業工程の階層構造及び紐付けしたノウハウを表示可能なPCのモニタ、プロジェクターである。画面中には、作業工程の階層構造(フォルダのツリー構造)が表示され、下位の小分類の欄には、登録したノウハウ件数も合わせて表示される。これにより、作業工程中の全作業手順のノウハウ件数を一望できる。またノウハウ登録画面には、小分類で選択されたノウハウリストが表示される。さらにノウハウリスト中のノウハウ件名で選択された図面、動画、図書、画像が関連ファイルの登録フィールドに表示される。
【0027】
[ノウハウ整理支援方法]
上記構成によるノウハウ整理支援方法について以下説明する。
図14は本発明のノウハウ整理支援システムを用いたヒアリングの説明図である。図15はノウハウ整理支援方法のフロー図である。
作業工程を上位及び下位の複数の階層構造に区分けし(大分類は作業工程の名称、中分類は作業手順、小分類は作業ステップなど)、作業対象を選定する(ステップ1)。
選定した作業に関連する過去データ(画像、図書、図面、動画)を供給サーバ、熟練者のデータベースなどから準備し整理する(ステップ2)。
準備した過去データを調整して、作業ステップ毎に関連する画像及び図書及び図面及び動画のうち少なくとも1以上のデータを分類して紐付けし登録する(ステップ3)。ステップ1~3がデータ分類工程となる。なお、画像に関しては、物体検出アルゴリズムで定期的に画像を自動分類・抽出して登録するステップも含まれる。
ノウハウ整理支援システム10の表示部22で表示する画面をプロジェクターで投影して参照しながら質問者(システム設計者、設計者など熟練者以外)が熟練者にヒアリング、インタビューしてステップ毎に関連する熟練者の保有するノウハウを抽出して登録する(ノウハウ抽出工程:ステップ4)。
ノウハウを活用したコンテンツ(ノウハウ動画など)を作成し(ステップ5)、作業工程の階層構造及び紐付けしたノウハウを表示する(表示工程:ステップ6)。作成したコンテンツを活用する(ステップ7)。
【0028】
(実施例)
本発明のノウハウ整理支援システムを用いた実施例について以下説明する。
熟練者A(入社40年目で過去の作業経験多数あり、現在は指導員)と熟練者B(入社20年目で現在現場で作業中の現役)に対して、熟練者Aは本システムの利用なしで通常のヒアリングを行い、熟練者Bは本システムを利用してヒアリングを行った。ヒアリングの総日数は41日間で総時間は96時間である。
【0029】
【表1】
表1に示すように、ノウハウ1件に対する平均の所要時間は熟練者Aが14.8分、熟練者Bが9.6分となり、本システムを利用することで約35.1%の高率向上結果を得た。また単位時間当たりのノウハウ抽出数は、熟練者Aが4.05件、熟練者Bが6.24件となり、54.1%の抽出率向上結果を得た。
【0030】
本発明によれば、一作業工程を作業ステップ毎に体系的に整理して登録されたノウハウに関連するデータを閲覧することができ、熟練者のヒアリングの際に漏れがなく効率的なノウハウ抽出が実現でき、かつ若年層に漏れなくノウハウを伝承できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【符号の説明】
【0031】
10 ノウハウ整理支援システム
20 データ分類部
22 画像抽出部
30 ノウハウ登録部
40 表示部
50、50A データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15