(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】フィルタ、マルチプレクサおよび通信用モジュール
(51)【国際特許分類】
H03H 7/09 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
H03H7/09 Z
(21)【出願番号】P 2020015673
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】北爪 秀紀
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/022098(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/138405(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0214037(US,A1)
【文献】特開2011-091862(JP,A)
【文献】国際公開第2019/102830(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/097774(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F17/00-38/42
H03H1/00-7/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンドパスフィルタであって、
入力端子と、
出力端子と、
一端が前記入力端子
と前記出力端子
との間の経路内の異なる位置の複数の第1ノードにそれぞれ接続され、他端が第2ノードに共通に接続された複数の第1キャパシタと、
一端が前記複数の第1ノードにそれぞれ接続され、他端が第3ノードに共通に接続された複数の第1インダクタと、
一端が前記第2ノードに接続され、他端が接地された第2インダクタと、
一端が前記第3ノードに接続され、他端が接地された第3インダクタと、
を備え
、
前記バンドパスフィルタの通過特性は、
通過帯域より低い周波数に少なくとも前記複数の第1インダクタ、前記複数の第1キャパシタおよび前記第3インダクタにより形成される第1減衰極と、
前記通過帯域より高い周波数に少なくとも前記複数の第1インダクタ、前記複数の第1キャパシタおよび前記第2インダクタにより形成される第2減衰極と、を有するフィルタ。
【請求項2】
入力端子と、
出力端子と、
一端が前記入力端子と前記出力端子との間の経路内の異なる位置の複数の第1ノードにそれぞれ接続され、他端が第2ノードに共通に接続された複数の第1キャパシタと、
一端が前記複数の第1ノードにそれぞれ接続され、他端が第3ノードに共通に接続された複数の第1インダクタと、
一端が前記第2ノードに接続され、他端が接地された第2インダクタと、
一端が前記第3ノードに接続され、他端が接地された第3インダクタと、
複数の誘電体層が積層され、積層方向の表面に1または複数の接地端子を有する積層体と、
前記複数の誘電体層
は第1誘電体層と第2誘電体層を含み、前記第1誘電体層と前記第2誘電体層は前記積層方向において互いに隣接していて、前記第1誘電体層
と前記第2誘電体層の間
に設けられ
た、前記第2ノードの少なくとも一部を形成する第1金属パターンと、
前記第1誘電体層と前記第2誘電体層の間
に設けられ、
前記第1誘電体層と前記第2誘電体層の間において前記第1金属パターンから離れており、前記第3ノードの少なくとも一部を形成する第2金属パターンと、
前記第1金属パターンと前記1または複数の接地端子の少なくとも1つとを接続し前記複数の誘電体層の少なくとも1つの誘電体層を貫通する1または複数の第1ビア配線と、
前記第2金属パターンと前記1または複数の接地端子の少なくとも1つとを接続し前記複数の誘電体層の少なくとも1つの誘電体層を貫通する1または複数の第2ビア配線と、
を備えるフィルタ。
【請求項3】
入力端子と、
出力端子と、
一端が前記入力端子と前記出力端子との間の経路内の異なる位置の複数の第1ノードにそれぞれ接続され、他端が第2ノードに共通に接続された複数の第1キャパシタと、
一端が前記複数の第1ノードにそれぞれ接続され、他端が第3ノードに共通に接続された複数の第1インダクタと、
一端が前記第2ノードに接続され、他端が接地された第2インダクタと、
一端が前記第3ノードに接続され、他端が接地された第3インダクタと、
複数の誘電体層が積層され、積層方向の表面に1または複数の接地端子を有する積層体と、
前記複数の誘電体層
は第1誘電体層と第2誘電体層を含み、前記第1誘電体層と前記第2誘電体層は前記積層方向において互いに隣接していて、前記第1誘電体層
と前記第2誘電体層の間
に設けられ
た、前記第2ノードの少なくとも一部を形成する第1金属パターンと、
前記複数の誘電体層
は第3誘電体層と第4誘電体層を含み、前記第3誘電体層と前記第4誘電体層は前記積層方向において互いに隣接していて、前記第1誘電体層と前記第2誘電体層の間より前記表面に近い
前記第3誘電体層と前記第4誘電体層の間に設けられ
た、前記第3ノードの少なくとも一部を形成する第2金属パターンと、
前記第1金属パターンと前記1または複数の接地端子の少なくとも1つとを接続し前記複数の誘電体層の少なくとも2つの誘電体層を貫通する1または複数の第1ビア配線と、
前記第2金属パターンと前記1または複数の接地端子の少なくとも1つとを接続し前記複数の誘電体層の少なくとも1つの誘電体層を貫通する1または複数の第2ビア配線と、
を備えるフィルタ。
【請求項4】
前記経路の少なくとも一部は、前記複数の第1インダクタのうち少なくとも2つの第1インダクタ間の磁気結合によって構成される請求項1
から3のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記経路の少なくとも一部は、前記複数の第1ノードのうち少なくとも2つの間に接続された第4インダクタを含む請求項1
から3のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項6】
前記第2インダクタのインダクタンスは前記第3インダクタのインダクタンスより大きい請求項1から
5のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記1または複数の第1ビア配線の断面積の和は、前記1または複数の第2ビア配線の断面積の和より小さい請求項
2に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記経路の少なくとも一部と並列に接続された第2キャパシタを備える請求項1から7のいずれか一項に記載のフィルタ。
【請求項9】
前記フィルタはバンドパスフィルタである請求項
2または3に記載のフィルタ。
【請求項10】
前記バンドパスフィルタの通過特性は、
通過帯域より低い周波数に少なくとも前記複数の第1インダクタ、前記複数の第1キャパシタおよび前記
第3インダクタにより形成される第1減衰極と、
前記通過帯域より高い周波数に少なくとも前記複数の第1インダクタ、前記複数の第1キャパシタおよび前記
第2インダクタにより形成される第2減衰極と、を有する請求項9に記載のフィルタ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のフィルタを含むマルチプレクサ。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載のフィルタを含む通信用モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ、マルチプレクサおよび通信用モジュールに関し、例えば並列共振回路を有するフィルタ、マルチプレクサおよび通信用モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートホンや携帯電話等の無線通信端末には、不要な妨害波を除去するフィルタが用いられている。フィルタとして、高周波信号を伝送する経路と接地端子との間に複数の並列共振回路を有するフィルタが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の並列共振回路が複数の減衰極を形成する場合、複数の減衰極のうち一部の減衰極の周波数を変化させる設計を行う場合がある。このような場合に、一部の減衰極の周波数を変化させると他の減衰極の周波数が変化してしまうと、フィルタの設計が複雑になる。これにより、フィルタの周波数特性を所望の特性に近づけることが難しくなる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、所望の周波数特性を有するフィルタ、マルチプレクサおよび通信用モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、バンドパスフィルタであって、入力端子と、出力端子と、一端が前記入力端子と前記出力端子との間の経路内の異なる位置の複数の第1ノードにそれぞれ接続され、他端が第2ノードに共通に接続された複数の第1キャパシタと、一端が前記複数の第1ノードにそれぞれ接続され、他端が第3ノードに共通に接続された複数の第1インダクタと、一端が前記第2ノードに接続され、他端が接地された第2インダクタと、一端が前記第3ノードに接続され、他端が接地された第3インダクタと、を備え、前記バンドパスフィルタの通過特性は、通過帯域より低い周波数に少なくとも前記複数の第1インダクタ、前記複数の第1キャパシタおよび前記第3インダクタにより形成される第1減衰極と、前記通過帯域より高い周波数に少なくとも前記複数の第1インダクタ、前記複数の第1キャパシタおよび前記第2インダクタにより形成される第2減衰極と、を有するフィルタである。
【0007】
本発明は、入力端子と、出力端子と、一端が前記入力端子と前記出力端子との間の経路内の異なる位置の複数の第1ノードにそれぞれ接続され、他端が第2ノードに共通に接続された複数の第1キャパシタと、一端が前記複数の第1ノードにそれぞれ接続され、他端が第3ノードに共通に接続された複数の第1インダクタと、一端が前記第2ノードに接続され、他端が接地された第2インダクタと、一端が前記第3ノードに接続され、他端が接地された第3インダクタと、複数の誘電体層が積層され、積層方向の表面に1または複数の接地端子を有する積層体と、前記複数の誘電体層は第1誘電体層と第2誘電体層を含み、前記第1誘電体層と前記第2誘電体層は前記積層方向において互いに隣接していて、前記第1誘電体層と前記第2誘電体層の間に設けられた、前記第2ノードの少なくとも一部を形成する第1金属パターンと、前記第1誘電体層と前記第2誘電体層の間に設けられ、前記第1誘電体層と前記第2誘電体層の間において前記第1金属パターンから離れており、前記第3ノードの少なくとも一部を形成する第2金属パターンと、前記第1金属パターンと前記1または複数の接地端子の少なくとも1つとを接続し前記複数の誘電体層の少なくとも1つの誘電体層を貫通する1または複数の第1ビア配線と、前記第2金属パターンと前記1または複数の接地端子の少なくとも1つとを接続し前記複数の誘電体層の少なくとも1つの誘電体層を貫通する1または複数の第2ビア配線と、を備えるフィルタである。
【0008】
本発明は、入力端子と、出力端子と、一端が前記入力端子と前記出力端子との間の経路内の異なる位置の複数の第1ノードにそれぞれ接続され、他端が第2ノードに共通に接続された複数の第1キャパシタと、一端が前記複数の第1ノードにそれぞれ接続され、他端が第3ノードに共通に接続された複数の第1インダクタと、一端が前記第2ノードに接続され、他端が接地された第2インダクタと、一端が前記第3ノードに接続され、他端が接地された第3インダクタと、複数の誘電体層が積層され、積層方向の表面に1または複数の接地端子を有する積層体と、前記複数の誘電体層は第1誘電体層と第2誘電体層を含み、前記第1誘電体層と前記第2誘電体層は前記積層方向において互いに隣接していて、前記第1誘電体層と前記第2誘電体層の間に設けられた、前記第2ノードの少なくとも一部を形成する第1金属パターンと、前記複数の誘電体層は第3誘電体層と第4誘電体層を含み、前記第3誘電体層と前記第4誘電体層は前記積層方向において互いに隣接していて、前記第1誘電体層と前記第2誘電体層の間より前記表面に近い前記第3誘電体層と前記第4誘電体層の間に設けられた、前記第3ノードの少なくとも一部を形成する第2金属パターンと、前記第1金属パターンと前記1または複数の接地端子の少なくとも1つとを接続し前記複数の誘電体層の少なくとも2つの誘電体層を貫通する1または複数の第1ビア配線と、前記第2金属パターンと前記1または複数の接地端子の少なくとも1つとを接続し前記複数の誘電体層の少なくとも1つの誘電体層を貫通する1または複数の第2ビア配線と、を備えるフィルタである。
【0009】
上記構成において、前記経路の少なくとも一部は、前記複数の第1インダクタのうち少なくとも2つの第1インダクタ間の磁気結合によって構成される構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記経路の少なくとも一部は、前記複数の第1ノードのうち少なくとも2つの間に接続された第4インダクタを含む構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記第2インダクタのインダクタンスは前記第3インダクタのインダクタンスより大きい構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記1または複数の第1ビア配線の断面積の和は、前記1または複数の第2ビア配線の断面積の和より小さい構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、前記経路の少なくとも一部と並列に接続された第2キャパシタを備える構成とすることができる。
【0014】
上記構成において、前記フィルタはバンドパスフィルタである構成とすることができる。
【0015】
上記構成において、前記バンドパスフィルタの通過特性は、通過帯域より低い周波数に少なくとも前記複数の第1インダクタ、前記複数の第1キャパシタおよび前記第3インダクタにより形成される第1減衰極と、前記通過帯域より高い周波数に少なくとも前記複数の第1インダクタ、前記複数の第1キャパシタおよび前記第2インダクタにより形成される第2減衰極と、を有する構成とすることができる。
【0016】
本発明は、上記フィルタを含むマルチプレクサである。
【0017】
本発明は、上記フィルタを含む通信用モジュールである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、所望の周波数特性を有するフィルタ、マルチプレクサおよび通信用モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施例1に係るフィルタの回路図である。
【
図2】
図2(a)および
図2(b)は、実施例1に係るフィルタの斜視図および断面図である。
【
図3】
図3(a)から
図3(d)は、実施例1における誘電体層の平面図である。
【
図4】
図4(a)から
図4(d)は、実施例1における誘電体層の平面図である。
【
図5】
図5は、比較例1に係るフィルタの回路図である。
【
図6】
図6は、比較例1に係るフィルタの通過特性を示す概念図である。
【
図7】
図7は、比較例2に係るフィルタの回路図である。
【
図8】
図8(a)から
図8(c)は、比較例2における誘電体層の平面図である。
【
図9】
図9は、比較例2におけるサンプルAおよびBの通過特性を示す図である。
【
図10】
図10は、実施例1におけるサンプルCおよびDの通過特性を示す図である。
【
図11】
図11は、実施例1におけるサンプルEおよびFの通過特性を示す図である。
【
図12】
図12(a)から
図12(c)は、実施例1の変形例1における誘電体層の平面図である。
【
図13】
図13は、実施例1の変形例2に係るフィルタの回路図である。
【
図14】
図14(a)から
図14(d)は、実施例1の変形例2における誘電体層の平面図である。
【
図15】
図15は、実施例1の変形例3における誘電体層の平面図である。
【
図16】
図16は、実施例2に係るトリプレクサの回路図である。
【
図17】
図17は、実施例2の変形例1に係る通信用モジュールの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0021】
実施例1として、バンドパスフィルタ(BPF)を例に説明する。
図1は、実施例1に係るフィルタの回路図である。
図1に示すように、フィルタ100は、入力端子Tin、出力端子Tout、接地端子Tg、キャパシタC1~C3、およびインダクタL1~L5を有する。インダクタL1はインダクタL2とL3との間の磁気結合M2によって形成されるインダクタである。インダクタL3の間に磁気結合M1が存在する。磁気結合M1およびM2は、インダクタ間の距離を例えば数10μm~数100μmとすることで形成される。
【0022】
インダクタL1(インダクタL2とL3の磁気結合M2)および磁気結合M1を介し入力端子Tinと出力端子Toutとの間に経路SLが形成される。入力端子Tinから出力端子Toutに経路SLを介し高周波信号が伝送可能である。入力端子Tinと出力端子Toutとの間に経路SLに並列にキャパシタC4が接続されている。経路SLには両側のノードN1および中央側のノードN2が設けられている。
【0023】
ノードN1とN2との間にインダクタL1に並列にキャパシタC1が接続されている。ノードN1と接地端子Tgとの間に並列共振回路PR1が接続されている。並列共振回路PR1は一端がノードN1に接続されたキャパシタC2と一端がノードN1に接続されたインダクタL2とを有する。ノードN2と接地端子Tgとの間に並列共振回路PR2が接続されている。並列共振回路PR2は一端がノードN2に接続されたキャパシタC3と一端がノードN2に接続されたインダクタL3とを有する。
【0024】
インダクタL2の他端とインダクタL3の他端とが接続されたノードG1と接地端子Tgとの間にインダクタL4が接続され、キャパシタC2の他端とキャパシタC3の他端とが接続されたノードG2と接地端子Tgとの間にインダクタL5が接続されている。
【0025】
図2(a)および
図2(b)は、実施例1に係るフィルタの斜視図および断面図である。
図2(a)および
図2(b)に示すように、フィルタ100は、積層体10を有している。積層体10は、複数の積層された誘電体層11a~11hを備えている。積層体10の下面(積層方向における積層体10の表面)に端子14が設けられている。端子14は、例えば入力端子Tin、出力端子Toutおよび接地端子Tgである。積層体10の上面には、導電体パターン12aにより方向識別マークが設けられている。
【0026】
図3(a)から
図4(d)は、実施例1における誘電体層の平面図である。
図3(a)から
図4(c)は、各誘電体層の上面に設けられた導電体パターンと一層上の誘電体層を貫通するビア配線を示す。
図4(d)は誘電体層11hの下面に設けられた端子14と誘電体層11hを貫通するビア配線13hを示す。
【0027】
図3(a)に示すように、誘電体層11bの上面には、インダクタL2およびL3の一部を形成する導電体パターン12bが設けられている。インダクタL2の一端はビア配線13b~13fを介しノードN1に接続される。インダクタL2の他端はビア配線13b~13gを介しノードG1に接続される。インダクタL3の一端はビア配線13b~13fを介しノードN2に接続される。インダクタL3の他端はビア配線13b~13gを介しノードG1に接続される。
【0028】
図3(b)および
図3(c)に示すように、誘電体層11bおよび11cを貫通するビア配線13bおよび13cが設けられている。ビア配線13bはインダクタL2およびL3に接続される。
図3(d)に示すように、誘電体層11eの上面にはキャパシタC4の一方の電極を形成する導電体パターン12eが設けられている。誘電体層11dを貫通するビア配線13dが設けられている。
【0029】
図4(a)に示すように、誘電体層11fの上面にはキャパシタC1の一方の電極およびキャパシタC4の他方の電極を形成する導電体パターン12fが設けられている。導電体パターン12fはビア配線13f(
図4(b)参照)を介しノードN1に接続される。誘電体層11eを貫通するビア配線13eが設けられている。
【0030】
図4(b)に示すように、誘電体層11gの上面にはキャパシタC2の一方の電極を形成しノードN1に相当する導電体パターン12gと、キャパシタC3の一方の電極およびキャパシタC1の他方の電極を形成するノードN2に相当する導電体パターン12gが設けられている。キャパシタC2の一方の電極を形成する導電体パターン12gはビア配線13gおよび13h(
図4(c)および
図4(d)参照)を介し入力端子Tinまたは出力端子Toutに接続される。誘電体層11fを貫通するビア配線13fが設けられている。
【0031】
図4(c)に示すように、誘電体層11hの上面には導電体パターン12hとしてノードG1を形成する導電体パターン12haと、キャパシタC2の他方の電極およびキャパシタC3の他方の電極を形成しノードG2に相当する導電体パターン12hbとが設けられている。導電体パターン12haと12hbは誘電体層11hの上面において分離して形成されている。誘電体層11gを貫通するビア配線13gが設けられている。
【0032】
図4(d)に示すように、誘電体層11hの下面には入力端子Tin、接地端子Tgおよび出力端子Toutが設けられている。ノードG1を形成する導電体パターン12haは誘電体層11hを貫通するビア配線13haを介し接地端子Tgに接続され、ノードG2を形成する導電体パターン12hbは誘電体層11hを貫通するビア配線13hbを介し接地端子Tgに接続される。ビア配線13haはインダクタL4を形成し、ビア配線13hbはインダクタL5を形成する。誘電体層11hを貫通するビア配線13hが設けられている。
【0033】
誘電体層11a~11hは、セラミック材料からなり、主成分として例えばSi、CaおよびMgの酸化物(例えばディオプサイド結晶であるCaMgSi2O6)を含む。誘電体層11aから11hの主成分は、Si、Caおよび/またはMg以外の酸化物でもよい。さらに、誘電体層11a~11hは、絶縁体材料としてTi、ZrおよびAlの少なくとも1つの酸化物を含んでもよい。
【0034】
導電体パターン12a~12h、ビア配線13b~13fおよび端子14の上部は、例えばAg、Pd、Pt、Cu、Ni、Au、Au-Pd合金またはAg-Pt合金を主成分とする金属層である。端子14の上部は、上記金属材料に加えTiO2、ZrO2またはAl2O3等の不伝導性材料を含んでもよい。端子14の下部は、Ni膜およびSn膜である。
【0035】
[比較例1]
図5は、比較例1に係るフィルタの回路図である。
図5に示すように、インダクタL2の他端およびキャパシタC2の他端はノードGに接続されている。ノードGはインダクタを介さずに接地端子Tgに接続されている。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0036】
図6は、比較例1に係るフィルタの通過特性を示す概念図である。
図6に示すように、周波数が約3GHzから約5GHzの間が通過帯域50である。通過帯域50の低周波数端付近に減衰極53が形成され、高周波数端付近に減衰極54が形成されている。通過帯域50から低周波数側に離れて減衰極51が形成され、通過帯域50から高周波数側に離れて減衰極52が形成されている。減衰極51および52は主に並列共振回路PR1およびPR2により形成され、減衰極53は主にキャパシタC1およびインダクタL1により形成され、減衰極54は主に磁気結合M1により形成される。
【0037】
所望の周波数帯域に減衰極51および52を設けることが求められる。キャパシタC4のキャパシタンスを変えることで、減衰極51および52の周波数を変えることができる。例えばキャパシタC4のキャパシタンスを小さくすると、減衰極51の周波数が高くなり、減衰極52の周波数が低くなる。例えばキャパシタC4のキャパシタンスを大きくすると、減衰極51の周波数が低くなり、減衰極52の周波数が高くなる。このように、減衰極52の周波数を高くしようとすると、減衰極51の周波数が低くなり、減衰極51と52の周波数を所望とすることが難しい。
【0038】
特許文献1のように、キャパシタC4の経路にキャパシタをシャント接続することが考えられる。しかし、キャパシタを追加するとフィルタが大型化してしまう。
【0039】
[比較例2]
図7は、比較例2に係るフィルタの回路図である。
図7に示すように、インダクタL2の他端およびキャパシタC2の他端はノードGに接続されている。ノードGと接地端子Tgとの間にインダクタL4が接続されている。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0040】
図8(a)から
図8(c)は、比較例2における誘電体層の平面図である。
図8(a)に示すように、誘電体層11gの上面に設けられた導電体パターン12gは実施例1の
図4(b)と同じである。
【0041】
図8(b)に示すように、誘電体層11hの上面にはノードGを形成する導電体パターン12hが設けられている。実施例1の
図4(c)と異なり、導電体パターン12hは分離されず一体に形成されている。
【0042】
図8(c)に示すように、ノードGを形成する導電体パターン12h(
図8(b)参照)は誘電体層11hを貫通するビア配線13haおよび13hbを介し接地端子Tgに接続される。ビア配線13haおよび13hbはインダクタL4を形成する。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0043】
[シミュレーション]
実施例1および比較例2について、有限要素法を用い3次元電磁界シミュレーションを行い通過特性を算出した。
【0044】
シミュレーションでは、誘電体層11b~11dの各厚さを各々100μm、誘電体層11e~11gの厚さを各々8μm、誘電体層11hの厚さを25μmとした。各誘電体層11b~11hの平面の大きさを2000μm×1250μmとした。各誘電体層11a~11hは、CaMgSi2O6を主成分とする。
【0045】
フィルタ100の扱う周波数が1GHz~20GHzと高いため、フィルタ100は、分布定数回路的に機能する。このため、キャパシタC1~C4のキャパシタンスおよびインダクタL1~L5のインダクタンスは定まらないが、実施例1の概略値を表1に示す。なお、インダクタL4およびL5の概略値は実施例1のサンプルDに対応する。
【表1】
【0046】
以下のサンプルA~Fについてシミュレーションを行った。
サンプルA:比較例2
ビア配線13haの個数:3個
ビア配線13hbの個数:0個
サンプルB:比較例2
ビア配線13haの個数:1個
ビア配線13hbの個数:0個
サンプルAはサンプルBよりインダクタL4のインダクタンスが小さい。
【0047】
サンプルC:実施例1
ビア配線13haの個数:3個
ビア配線13hbの個数:3個
サンプルD:実施例1
ビア配線13haの個数:3個
ビア配線13hbの個数:1個
サンプルCとDのインダクタL4のインダクタンスはほぼ同じであり、サンプルCはサンプルDよりインダクタL5のインダクタンスが小さい。
サンプルE:実施例1
ビア配線13haの個数:3個
ビア配線13hbの個数:3個
サンプルF:実施例1
ビア配線13haの個数:1個
ビア配線13hbの個数:3個
サンプルEとFのインダクタL5のインダクタンスはほぼ同じであり、サンプルEはサンプルFよりインダクタL4のインダクタンスが小さい。
【0048】
図9は、比較例2におけるサンプルAおよびBの通過特性を示す図である。
図9に示すように、サンプルAとBとでは通過帯域50、減衰極53および54はほとんど変わらない。サンプルBの減衰極52の周波数はサンプルAより低い。このように、比較例2ではインダクタL4のインダクタンスを変化させることにより減衰極52の周波数を設定できる。これにより、所望の周波数に減衰極52を設定できる。しかし、サンプルBの減衰極51の周波数はサンプルAより高い。このように、インダクタL4のインダクタンスを変えると減衰極51の周波数が変化してしまう。このように、比較例2では、減衰極51と52の両方の周波数を所望とすることが難しい。さらに、サンプルBでは減衰極51より低い周波数帯における減衰量が小さくなる。
【0049】
図10は、実施例1におけるサンプルCおよびDの通過特性を示す図である。
図10に示すように、サンプルCとDとでは通過帯域50、減衰極51、53および54はほとんど変わらない。サンプルDの減衰極52の周波数はサンプルCより低い。このように、実施例1ではインダクタL5のインダクタンスを変化させることにより、通過帯域50より低い周波数における減衰特性をほとんど変化させず、減衰極52の周波数を設定できる。これにより、所望の周波数に減衰極52を設定できる。
【0050】
図11は、実施例1におけるサンプルEおよびFの通過特性を示す図である。
図11に示すように、サンプルEとFとでは通過帯域50、減衰極52、53および54はほとんど変わらない。サンプルFの減衰極51の周波数はサンプルEより高い。このように、実施例1ではインダクタL4のインダクタンスを変化させることにより、通過帯域50より高い周波数における減衰特性をほとんど変化させず、減衰極51の周波数を設定できる。これにより、所望の周波数に減衰極51を設定できる。サンプルEの減衰極51より低い周波数帯の減衰量はサンプルFより小さい。このように、インダクタL4のインダクタンスは小さい方が好ましい。すなわち、インダクタL4のインダクタンスはインダクタL5のインダクタンス以下が好ましい。よって、ビア配線13haの個数はビア配線13hbの個数以上が好ましい。
【0051】
[実施例1の変形例1]
図12(a)から
図12(c)は、実施例1の変形例1における誘電体層の平面図である。実施例1の
図4(b)の誘電体層11gと
図12(c)の誘電体層11h2との間に
図12(a)の誘電体層11h1が設けられている。
【0052】
図12(a)に示すように、誘電体層11h1の上面に、ノードG2を形成する導電体パターン12hbが設けられている。
図12(b)に示すように、誘電体層11h2の上面にノードG1を形成する導電体パターン12haが設けられている。誘電体層11h1を貫通するビア配線13h1が設けられている。
図12(c)に示すように、誘電体層11h2の下面に端子14が設けられている。誘電体層11h2を貫通するビア配線13h2が設けられている。
【0053】
導電体パターン12hbはビア配線13h1および13h2を含むビア配線13hbを介し接地端子Tgに電気的に接続される。ビア配線13hbはインダクタL5を形成する。導電体パターン12haはビア配線13h2を含むビア配線13haを介し接地端子Tgに電気的に接続される。ビア配線13haはインダクタL4を形成する。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0054】
実施例1の変形例1では、ノードG2を形成する導電体パターン12hbをノードG1を形成する導電体パターン12haより接地端子Tgから離す。これにより、インダクタL5のインダクタンスを大きくできる。よって、通過帯域50より低い周波数帯における減衰特性を改善できる。
【0055】
[実施例1の変形例2]
図13は、実施例1の変形例2に係るフィルタの回路図である。
図13に示すように、ノードN1とN2との間にキャパシタC1と並列にインダクタL1が接続されている。ノードN2の間にインダクタ結合でなくL6が接続されている。
【0056】
図14(a)から
図14(d)は、実施例1の変形例2における誘電体層の平面図である。
図14(a)の誘電体層11cと
図14(d)の誘電体層11dとの間に
図14(b)および
図14(c)の誘電体層11iおよび11jが設けられている。
図14(a)の誘電体層11cと
図14(d)の誘電体層11dの構成は実施例1の
図3(b)および
図3(c)とそれぞれ同じである。なお、
図14(d)において誘電体層11jを貫通するビア配線13jが設けられている。
【0057】
図14(b)に示すように、誘電体層11iの上面にインダクタL6を形成する導電体パターン12iが設けられている。インダクタL6の両端はビア配線13bおよび13cを介しインダクタL3の一端に各々接続されている。
【0058】
図14(c)に示すように、誘電体層11jの上面にインダクタL1を形成する導電体パターン12jが設けられている。インダクタL1の一端はビア配線13b、13cおよび13iを介しインダクタL2の一端に各々接続され、かつビア配線13j、13d~13gを介しノードG1に接続されている。インダクタL1の他端はビア配線13iを介しインダクタL6の両端に各々接続され、かつビア配線13j、13d~13gを介しノードG1に接続されている。誘電体層12iを貫通するビア配線13iが設けられている。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0059】
実施例1の変形例2のように、経路SLは磁気結合でなくインダクタL1およびL6により主に形成されていてもよい。
【0060】
[実施例1の変形例3]
図15は、実施例1の変形例3における誘電体層の平面図である。
図15位示すように、誘電体層11hの下面に複数の接地端子Tg1およびTg2が設けられている。インダクタL4は接地端子Tg2に接続され、インダクタL5は接地端子Tg1に接続されている。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0061】
実施例1の変形例3のように、接地端子Tg1およびTg2は複数設けられていてもよい。インダクタL4は1または複数の接地端子の少なくとも1つに接続され、インダクタL5は1または複数の接地端子の少なくとも1つに接続されていればよい。
【0062】
実施例1およびその変形例によれば、キャパシタC2およびC3(複数の第1キャパシタ)は、一端がノードN1およびN2(経路SL内の異なる位置の複数の第1ノード)にそれぞれ接続され、他端がノードG2(第2ノード)に共通に接続されている。インダクタL2およびL3(複数の第1インダクタ)は、一端がノードN1およびN2にそれぞれ接続され、他端がノードG1(第3ノード)に共通に接続されている。インダクタL5(第2インダクタ)は、一端がノードG2に接続され、他端が接地(すなわち接地端子Tgに接続)されている。インダクタL4(第3インダクタ)は、一端がノードG1に接続され、他端が接地(すなわち接地端子Tgに接続)されている。これにより、インダクタL4とL5とのインダクタンスを独立に設定できるため、減衰極51と53との周波数を独立に設定できる。よって、フィルタを所望の周波数特性に設計することができる。
【0063】
実施例1のように、経路SLの少なくとも一部は、インダクタL2およびL3のうち少なくとも2つのインダクタ間の磁気結合M1およびM2により構成されている。これにより、インダクタを用いずに経路SLを設けることができる。
【0064】
実施例1の変形例2のように、経路SLの少なくとも一部は、ノードN1およびN2のうち少なくとも2つの間に接続されたインダクタL1およびL6(第4インダクタ)を含んでもよい。
【0065】
シミュレーションのサンプルEとFの比較のように、通過帯域50より低い周波数帯域における減衰特性の向上の観点から、インダクタL5のインダクタンスは、インダクタL4のインダクタンスより大きいことが好ましく、インダクタL4のインダクタンスの1.5倍以上がより好ましく、2倍以上がさらに好ましい。
【0066】
実施例1のように、ノードG2の少なくとも一部を形成する導電体パターン12hb(第1金属パターン)とノードG1の少なくとも一部を形成する導電体パターン12haと(第2金属パターン)とは隣接する誘電体層11gと11hとの間の面(第1面)に設けられており、互いに離れた個別のパターンとして構成されている。ビア配線13hb(第1ビア配線)は、導電体パターン12hbと接地端子Tgとを接続し複数の誘電体層11a~11hの少なくとも1つの誘電体層11hを貫通する。ビア配線13ha(第2ビア配線)は、導電体パターン12haと接地端子Tgとを接続し誘電体層11hを貫通する。これにより、1または複数のビア配線13hbおよび1または複数のビア配線13haによりインダクタL5およびL4を形成できる。
【0067】
1または複数のビア配線13hbの断面積の和を1または複数のビア配線13haの断面積の和より小さくすることで、インダクタL5のインダクタンスをインダクタL4のインダクタンスより大きくできる。
【0068】
実施例1の変形例1のように、導電体パターン12hbは誘電体層11gと11h1との間の面(第1面)に設けられ、導電体パターン12haは誘電体層11h1と11h2との間の面(第1面より積層体10の下面に近い第2面)に設けられている。これにより、インダクタL5のインダクタンスをインダクタL4のインダクタンスより大きくできる。
【0069】
キャパシタC1およびC4(第2キャパシタ)は経路SLの少なくとも一部と並列に接続されている。これにより、減衰極53を形成することができる。キャパシタC1およびC4の少なくとも1つは設けられていなくてもよい。
【0070】
フィルタは、ローパスフィルタまたはハイパスフィルタでもよい。フィルタがバンドパスフィルタであり、バンドパスフィルタの通過特性は、通過帯域50より低い周波数に主にインダクタL2およびL3、キャパシタC2およびC3並びにインダクタL4により形成される減衰極53(第1減衰極)と、通過帯域50により高い周波数に主にインダクタL2およびL3、キャパシタC2およびC3並びにインダクタL5により形成される減衰極52(第2減衰極)と、有する。これにより、減衰極51と52との周波数を独立に設計できる。
【0071】
実施例1およびその変形例1では、並列共振回路PR1およびPR2が4個の例を説明したが、並列共振回路PR1およびPR2は複数設けられていればよい。
【実施例2】
【0072】
図16は、実施例2に係るトリプレクサの回路図である。
図16に示すように、トリプレクサ20はフィルタ22、24および26を備えている。共通端子Antと端子LB、MBおよびHBとの間にそれぞれフィルタ22、24および26が接続されている。共通端子Antにはアンテナ28が接続されている。フィルタ22は例えばローパスフィルタLPFであり、ローバンドの高周波信号を通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。フィルタ24は例えばバンドパスフィルタBPFであり、ローバンドより高い周波数のミドルバンドの高周波信号を通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。フィルタ26は例えばハイパスフィルタHPFであり、ミドルバンドより高い周波数のハイバンドの高周波信号を通過させ、他の周波数の信号を抑圧する。
【0073】
フィルタ22、24および26の少なくとも1つのフィルタを実施例1およびその変形例のフィルタとすることができる。マルチプレクサの例としてトリプレクサの例を説明したが、マルチプレクサはダイプレクサ、デュプレクサまたはクワッドプレクサでもよい。
【0074】
[実施例2の変形例1]
図17は、実施例2の変形例1に係る通信用モジュールの回路図である。
図17に示すように、モジュール30は、フィルタ31、スイッチ32、ローノイズアンプLNA33およびパワーアンプPA34を備えている。
【0075】
アンテナ端子TAにアンテナ28が接続される。アンテナ端子TAには、フィルタ31の一端が接続されている。フィルタ31の他端にはスイッチ32が接続されている。スイッチ32にはLNA33の入力端子およびPA34の出力端子が接続されている。LNA33の出力端子は受信端子TRに接続されている。PA34の入力端子は送信端子TTに接続されている。受信端子TRおよび送信端子TTにはRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)が接続されている。
【0076】
モジュール30は、例えばTDD(Time Division Duplex)通信方式の通信用モジュールである。TDD通信方式では送信帯域と受信帯域とは同じ帯域である。フィルタ31は例えばバンドパスフィルタであり、送信帯域と受信帯域を含む通過帯域の高周波信号を通過させ他の周波数の信号を抑圧する。
【0077】
受信信号を受信するとき、スイッチ32はフィルタ31とLNA33とを接続する。これにより、アンテナ28に受信された高周波信号はフィルタ31により受信帯域の信号に濾波され、LNA33により増幅されRFIC35に出力される。送信信号を送信するとき、スイッチ32はフィルタ31とPA34とを接続する。これにより、RFIC35から出力された高周波信号は、PAにより増幅され、フィルタ31により送信帯域の信号に濾波され、アンテナ28から出力される。
【0078】
実施例1の変形例2の通信用モジュール内のフィルタ31を実施例1およびその変形例のフィルタとすることができる。モジュールとしては、他の回路形式の通信用モジュールでもよい。
【0079】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
10 積層体
11a-11h 誘電体層
12a-12h 導電体パターン
13b-13h ビア配線
14 端子
50 通過帯域
51-54 減衰極