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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】フレームユニットおよびフレーム組立体
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20240123BHJP
   E04C 2/26 20060101ALI20240123BHJP
   E04C 2/42 20060101ALI20240123BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20240123BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20240123BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
E04C2/26 W
E04C2/42 C
E04B1/58 506Z
E04B1/58 504Z
E04B1/58 Z
H01M50/20
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020039266
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021138318
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 美速
(72)【発明者】
【氏名】今井 智恵子
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-331911(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0149791(KR,A)
【文献】特開2008-80044(JP,A)
【文献】独国特許発明第102014226566(DE,B3)
【文献】米国特許出願公開第2019/0337402(US,A1)
【文献】特開2016-97851(JP,A)
【文献】特開2015-106440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
E04C 2/26
E04C 2/42
E04B 1/58
E06B 3/98
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の部材と連結されて構造体を形成するフレームユニットであって、
長尺状の骨格部材と、
前記骨格部材の少なくとも一の端部に配置され、他の部材と連結される第1の連結部材と、を備え、
前記第1の連結部材は、前記骨格部材に対してダイキャストインサート成形された部材であり、
前記骨格部材の長手方向に延びる一の側面と、前記第1の連結部材の側面が、一つの仮想平坦面を画定する、
フレームユニット。
【請求項2】
他の部材と連結されて構造体を形成するフレームユニットであって、
長尺状の骨格部材と、
前記骨格部材の少なくとも一の端部に配置され、他の部材と連結される第1の連結部材と、
前記第1の連結部材及び前記他の部材の接合時において、前記骨格部材及び前記他の部材の間に画定されるコーナー部の、前記第1の連結部材及び前記他の部材の外側面に取り付けられる第2の連結部材と、を備え、
前記骨格部材の長手方向に延びる一の側面と、前記第1の連結部材の側面が、一つの仮想平坦面を画定する、
フレームユニット。
【請求項3】
少なくとも前記第1の連結部材の前記他の部材に接合する接合面は、前記骨格部材よりも寸法精度を向上させるための寸法精度調整が施されている、請求項に記載のフレームユニット。
【請求項4】
前記第1の連結部材はダイキャスト成形された部材である、請求項に記載のフレームユニット。
【請求項5】
前記第1の連結部材は、前記骨格部材に対してダイキャストインサート成形された部材である、請求項に記載のフレームユニット。
【請求項6】
前記第1の連結部材は、押出成形後に少なくとも前記接合面が切削加工を施された部材である、請求項に記載のフレームユニット。
【請求項7】
前記第1の連結部材及び前記他の部材の接合時において、前記骨格部材及び前記他の部材の間に画定されるコーナー部に配置される第2の連結部材を更に備える、請求項に記載のフレームユニット。
【請求項8】
二つの前記第1の連結部材が、前記骨格部材の両端部である第1端部及び第2端部に配置され、
前記骨格部材の長手方向に延びる一の側面と、前記第1端部に配置された第1の連結部材の側面が、第1の仮想平坦面を画定し、
前記骨格部材の長手方向に延びる一の側面と、前記第2端部に配置された第1の連結部材の側面が、第2の仮想平坦面を画定し、
前記第1の仮想平坦面及び前記第2の仮想平坦面が、前記骨格部材の長手方向に垂直な方向において、同一高さ位置に存在する、
請求項1からのいずれか1項に記載のフレームユニット。
【請求項9】
二つの前記第1の連結部材が、前記骨格部材の両端部である第1端部及び第2端部に配置され、
前記骨格部材の長手方向に延びる一の側面と、前記第1端部に配置された第1の連結部材の側面が、第1の仮想平坦面を画定し、
前記骨格部材の長手方向に延びる一の側面と、前記第2端部に配置された第1の連結部材の側面が、第2の仮想平坦面を画定し、
前記第1の仮想平坦面及び前記第2の仮想平坦面が、前記骨格部材の長手方向に垂直な方向において、異なる高さ位置に存在する、
請求項1からのいずれか1項に記載のフレームユニット。
【請求項10】
他の部材と連結されて構造体を形成するフレームユニットであって、
長尺状の骨格部材と、
他の部材と連結される第1の連結部材と、を備え、
二つの前記第1の連結部材が、前記骨格部材の両端部である第1端部及び第2端部に配置され、
前記骨格部材の長手方向に延びる一の側面と、前記第1端部に配置された第1の連結部材の側面が、第1の仮想平坦面を画定し、
前記骨格部材の長手方向に延びる一の側面と、前記第2端部に配置された第1の連結部材の側面が、第2の仮想平坦面を画定し、
前記第1の仮想平坦面及び前記第2の仮想平坦面が、前記骨格部材の長手方向に垂直な方向において、異なる高さ位置に存在する、
フレームユニット。
【請求項11】
二つの前記第1の連結部材が、前記骨格部材を構成する第1の骨格部材の両端部である第1端部及び第2端部に配置された、請求項1からのいずれか1項に記載のフレームユニットと、
前記第1の骨格部材の長手方向に対し直交するように配置され、一対の前記フレームユニットの両端部の前記第1の連結部材をそれぞれ連結する一対の第2の骨格部材と、
を備える平面視で矩形状のフレーム組立体であって、
前記第1端部に配置された二つの前記第1の連結部材の側面が第3の仮想平坦面を画定し、
前記第2端部に配置された二つの前記第1の連結部材の側面が第4の仮想平坦面を画定し、
前記第3の仮想平坦面及び前記第4の仮想平坦面が、前記第1の骨格部材の長手方向に垂直な方向において、同一高さ位置に存在する、
フレーム組立体。
【請求項12】
二つの前記第1の連結部材が、前記骨格部材を構成する第1の骨格部材の両端部である第1端部及び第2端部に配置された、請求項1からのいずれか1項に記載のフレームユニットと、
前記第1の骨格部材の長手方向に対し直交するように配置され、一対の前記フレームユニットの両端部の前記第1の連結部材をそれぞれ連結する一対の第2の骨格部材と、
を備える平面視で矩形状のフレーム組立体であって、
前記第1端部に配置された二つの前記第1の連結部材の側面が第3の仮想平坦面を画定し、
前記第2端部に配置された二つの前記第1の連結部材の側面が第4の仮想平坦面を画定し、
前記第3の仮想平坦面及び前記第4の仮想平坦面が、前記第1の骨格部材の長手方向に垂直な方向において、異なる高さ位置に存在する、
フレーム組立体。
【請求項13】
長尺状の骨格部材と、
他の部材と連結される第1の連結部材と、を備え、
二つの前記第1の連結部材が、骨格部材を構成する第1の骨格部材の両端部である第1端部及び第2端部に配置されたレームユニットと、
前記第1の骨格部材の長手方向に対し直交するように配置され、一対の前記フレームユニットの両端部の前記第1の連結部材をそれぞれ連結する一対の第2の骨格部材と、
を備える平面視で矩形状のフレーム組立体であって、
前記第1端部に配置された二つの前記第1の連結部材の側面が第3の仮想平坦面を画定し、
前記第2端部に配置された二つの前記第1の連結部材の側面が第4の仮想平坦面を画定し、
前記第3の仮想平坦面及び前記第4の仮想平坦面が、前記第1の骨格部材の長手方向に垂直な方向において、異なる高さ位置に存在する、
フレーム組立体。
【請求項14】
請求項1~7のいずれか1項に記載のフレームユニットを備え、
前記フレームユニットを溶接により他の部材と連結する、
フレーム組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームユニットおよびフレーム組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力による駆動する車両(電気自動車、ハイブリッド自動車等を含む)の開発が、進展している。このような車両に搭載する電池システムは、一般的に、多数のバッテリー(電池、電池セル)を所定のフレーム等により構成した部材に収納した構成を有している。
【0003】
特許文献1は、車両水平方向に並んで配置され、車体下部の骨格の一部を構成する複数の車体骨格部材と、各々が複数の電池セルを含んで構成されると共に、各々が複数の車体骨格部材間に直接又は別部材を介して挟まることで車体に拘束された複数の電池スタックと、を備えた電池搭載構造を開示している。
【0004】
特許文献2は、トレイベースプレートと、トレイベースプレートの周囲に配置された取付ビームとを含み、動力バッテリーを搭載可能な自動車トレイコンポーネントであって、トレイベースプレートは、上プレート部、中プレート部、及び下プレート部を含み、冷却空洞は、上プレート部と中プレート部との間に配置され、緩衝空洞は、中プレート部と下プレート部との間に配置される構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-202946号公報
【文献】特開2019-531955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図15は、バッテリーを収容する車載用バッテリートレイの組み立てにおいて、従来から使用されているフレーム組立体110を示す。フレーム組立体110は、溶接等によって互いに直接接続されたサイドメンバ111とクロスメンバ113とを備えている。サイドメンバ111、クロスメンバ113は、フレーム組立体10の骨格をなすいわば骨格部材であり、車体への取り付けにあたっては、二つのサイドメンバ111が車体の幅方向の両端に位置し、三つのクロスメンバ113が、車体の前後方向に並ぶように位置する。
【0007】
上述したフレーム組立体110の如き所定の骨格部材等により構成し、バッテリーを収納するバッテリートレイは、バッテリーを衝撃から保護するため強度が必要されるとともに、バッテリーで発生する熱を逃がすための放熱性、バッテリーの液漏れを防止するためのシール性も必要とされる。また、重量低減の観点から、骨格部材の軽量化も必要とされる。
【0008】
バッテリートレイに限らず、他の構造体においても、軽量化のためには骨格部材を溶接により接合することが望まれるが、この接合には高い精度が要求される。現状の技術においては、溶接における歪の発生等の理由により、このような高い精度の実現は困難である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、完成品としての構造体の軽量化を達成しつつ高い組立精度も達成し得るフレームユニットおよびフレーム組立体を提供する。
【0010】
本発明は、他の部材と連結されて構造体を形成するフレームユニットであって、長尺状の骨格部材と、前記骨格部材の少なくとも一の端部に配置され、他の部材と連結される第1の連結部材と、を備え、骨格部材の長手方向に延びる一の側面と、第1の連結部材の側面が、一つの仮想平坦面を画定する。
【0011】
本発明のフレームユニットにおいて、例えば少なくとも前記第1の連結部材の前記他の部材に接合する接合面は、前記骨格部材よりも寸法精度を向上させるための寸法精度調整が施されている。
【0012】
本発明のフレームユニットにおいて、例えば前記第1の連結部材はダイキャスト成形された部材である。
【0013】
本発明のフレームユニットにおいて、例えば前記第1の連結部材は、前記骨格部材に対してダイキャストインサート成形された部材である。
【0014】
本発明のフレームユニットにおいて、例えば前記第1の連結部材は、押出成形後に少なくとも前記接合面が切削加工を施された部材である。
【0015】
本発明のフレームユニットにおいて、例えば前記第1の連結部材及び前記他の部材の接合時において、前記骨格部材及び前記他の部材の間に画定されるコーナー部に配置される第2の連結部材を更に備える。
【0016】
本発明のフレームユニットにおいて、例えば二つの前記第1の連結部材が、前記骨格部材の両端部である第1端部及び第2端部に配置され、前記骨格部材の長手方向に延びる一の側面と、前記第1端部に配置された第1の連結部材の側面が、第1の仮想平坦面を画定し、前記骨格部材の長手方向に延びる一の側面と、前記第2端部に配置された第1の連結部材の側面が、第2の仮想平坦面を画定し、前記第1の仮想平坦面及び前記第2の仮想平坦面が、前記骨格部材の長手方向に垂直な方向において、同一高さ位置に存在する。
【0017】
本発明のフレームユニットにおいて、例えば二つの前記第1の連結部材が、前記骨格部材の両端部である第1端部及び第2端部に配置され、前記骨格部材の長手方向に延びる一の側面と、前記第1端部に配置された第1の連結部材の側面が、第1の仮想平坦面を画定し、前記骨格部材の長手方向に延びる一の側面と、前記第2端部に配置された第1の連結部材の側面が、第2の仮想平坦面を画定し、前記第1の仮想平坦面及び前記第2の仮想平坦面が、前記骨格部材の長手方向に垂直な方向において、異なる高さ位置に存在する。
【0018】
本発明のフレーム組立体は、例えば二つの前記第1の連結部材が、前記骨格部材を構成する第1の骨格部材の両端部である第1端部及び第2端部に配置された、上述のフレームユニットと、前記第1の骨格部材の長手方向に対し直交するように配置され、一対の前記フレームユニットの両端部の前記第1の連結部材をそれぞれ連結する一対の第2の骨格部材と、を備える平面視で矩形状のフレーム組立体であって、前記第1端部に配置された二つの前記第1の連結部材の側面が第3の仮想平坦面を画定し、前記第2端部に配置された二つの前記第1の連結部材の側面が第4の仮想平坦面を画定し、前記第3の仮想平坦面及び前記第4の仮想平坦面が、前記第1の骨格部材の長手方向に垂直な方向において、同一高さ位置に存在する。
【0019】
本発明のフレーム組立体は、例えば二つの前記第1の連結部材が、前記骨格部材を構成する第1の骨格部材の両端部である第1端部及び第2端部に配置された、上述のフレームユニットと、前記第1の骨格部材の長手方向に対し直交するように配置され、一対の前記フレームユニットの両端部の前記第1の連結部材をそれぞれ連結する一対の第2の骨格部材と、を備える平面視で矩形状のフレーム組立体であって、前記第1端部に配置された二つの前記第1の連結部材の側面が第3の仮想平坦面を画定し、前記第2端部に配置された二つの前記第1の連結部材の側面が第4の仮想平坦面を画定し、前記第3の仮想平坦面及び前記第4の仮想平坦面が、前記第1の骨格部材の長手方向に垂直な方向において、異なる高さ位置に存在する。
【発明の効果】
【0020】
本発明のフレームユニットによれば、第1の連結部材は他の部材に接合する接合面が、骨格部材よりも寸法精度を向上させるための寸法精度調整が施されている。このため、他の部材は、骨格部材の端部に設けられた第1の連結部材に対し、正しく位置決めされた状態で接合され、結果的に完成品としての構造体の寸法精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車載用バッテリートレイの斜視図である。
図2図2は、車載用バッテリートレイを構成する各種の部材の斜視図であり、(A)は組み立て前のフレーム組立体の斜視図、(B)はフレーム組立体を構成するフレームユニットの斜視図、(C)は(B)のC領域の拡大図である。
図3図3はフレーム組立体を治具に配置して接合組立を行う状態を示す斜視図であり、(A)は表側接合組立の斜視図、(B)は裏側接合組立の斜視図である。
図4図4は、図3のフレーム組立体の接合組立の後、フレーム組立体にフロアパネルを配置する工程を示す説明図である。
図5図5は、図4のフロアパネルの配置後にフレーム組立体にフロアパネルを接合する工程を示す説明図であり、(A)は当該工程における斜視図、(B)は(A)におけるV-V線に沿った断面図である。
図6図6は、別実施形態のフレーム組立体を示し、(A)は組み立て前のフレーム組立体の斜視図、(B)は組み立て後のフレーム組立体の斜視図である。
図7図7は、フレーム組立体を構成するフレームユニットの斜視図である。
図8図8は、組み立て前のインサート成形によるサイドメンバを有するフレームユニットを示し、(A)は一の方向からの斜視図、(B)は他の方向からの斜視図である。
図9図9は、インサート成形によるサイドメンバを有するフレームユニットを示し、(A)は側面図、(B)は(A)におけるIXB-IXB線に沿った断面図、(C)は(A)におけるIXC-IXC線に沿った断面図である。
図10図10は、別実施形態のフレームユニットを示す側面図である。
図11図11は、別実施形態のフレームユニットを示す側面図である。
図12図12は、別実施形態のフレーム組立体を示す斜視図である。
図13図13は、別実施形態のフレーム組立体を示す斜視図である。
図14図14は、別実施形態のフレーム組立体を示す斜視図である。
図15図15は、従来のフレーム組立体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して 適用することができる。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る車載用バッテリートレイの斜視図である。車載用バッテリートレイ1は、複数のバッテリーを収納可能であって、電力による駆動する車両(電気自動車、ハイブリッド自動車等を含む)の車体フロアの下側に配置され、車体に固定される。車載用バッテリートレイ1は、事故等による破損が生じバッテリー液がバッテリーケースから漏れ出した場合に、車外にバッテリー液が流出するのを防ぐ役割を果たす。このため、車載用バッテリートレイ1は、シール性の高い水密構造(防水構造)であることが必須である。
【0024】
図1の車載用バッテリートレイ1は、側壁である外枠を形成するフレーム組立体10と、底面を形成するフロアパネル20を備えている。フロアパネル20が下側に位置した状態で、車載用バッテリートレイ1は車体に取り付けられる。図1では図視されていないが、フロアパネル20の奥側であって、フレーム組立体10で取り囲まれた空間に、複数のバッテリーが収納される。
【0025】
図2は、車載用バッテリートレイ1を構成する各種の部材を示している。図2の(A)は組み立て前のフレーム組立体10の斜視図を示し、図2の(B)はフレーム組立体10を構成する一の部品であるフレームユニット19の斜視図を示し、図2の(C)は図2の(B)のC領域の拡大図を示している。
【0026】
実施形態のフレーム組立体10は、サイドメンバ11と、クロスメンバ13と、第1の連結部材15と、第2の連結部材17とを備えている。サイドメンバ11、クロスメンバ13は、フレーム組立体10の骨格をなすいわば骨格部材であり、長手方向を持つ長尺状である。車載用バッテリートレイ1の車体への取り付けにあたっては、二つのサイドメンバ11が車体の幅方向の両端に位置し、三つのクロスメンバ13が、車体の前後方向に並ぶように位置する。
【0027】
サイドメンバ11、クロスメンバ13は押出成形された部材であり、具体的には、矩形の中空断面を有するアルミニウム合金を素材とした中空押出形材から構成される。ただし、中空断面には補強のため、各種形状のリブを設けてもよい。断面の形状も口の字型、日型、目型、田の字型等の任意の形状を採用することができ特に限定はされない。
【0028】
また、サイドメンバ11と、クロスメンバ13は、厚みが2~5mm程度のアルミニウム合金の中空押出形材からなるが、使用アルミニウム合金の種類は、強度が優れて、より薄肉化が可能である点で、JIS乃至AAで言う5000系、6000系、7000系などのアルミ合金が適用される。これら素材アルミニウム合金の中空押出形材は、鋳造(DC鋳造法や連続鋳造法)、均質化熱処理、熱間押出、溶体化および焼入れ処理、必要により人工時効処理、などの調質処理を適宜組み合わせて行う、通常の形材製造工程によって製造される。サイドメンバ11、クロスメンバ13をアルミニウム合金による押出成形により製造することにより、軽量化を図ることができる。
【0029】
第1の連結部材15は、サイドメンバ11の少なくとも一の端部と、クロスメンバ13の少なくとも一の端部とを連結する部材である。本実施形態においては、二つのサイドメンバ11の両端部と、車体取り付け時にあたって前後に位置する二つのクロスメンバ13の両端部を連結している。より具体的には、サイドメンバ11の両端部に予め第1の連結部材15が設けられ、クロスメンバ13が、その長手方向において、サイドメンバ11の長手方向に対し直交するように、第1の連結部材15に接合される。
【0030】
従来のフレーム組立体においては、例えばサイドメンバとクロスメンバが、各種の溶接方法により、直接接合されている。溶接は、ボルト、ナット等の各種締結部材を用いる機械的締結方法に比べ、軽量化の観点からは優れた技術である。しかしながら、サイドメンバ、クロスメンバの如き中空押出形材は、本来の加工精度が高いとは言い難く、そのような部材同士の溶接は出来上がりの寸法精度についても高いレベルを期待することは難しい。したがって、できるだけ隙間を抑えつつ多数のバッテリーを並べて収納する観点からは、従来のフレーム組立体は、寸法精度が十分に満足できるものではなかった。
【0031】
一方、本実施形態のフレーム組立体10においては、少なくともサイドメンバ11の長手方向に延びる一の側面と、クロスメンバ13の長手方向に延びる一の側面と、第1の連結部材15の側面(本実施形態においては第2の連結部材17の側面も)が、一つの仮想平坦面を画定する。すなわち、フレーム組立体10の平面視における一の平面は、各部材に段差がなく、一つの平坦面を形成している。このような構成により、一の平面において、三つの部材(第2の連結部材17も含めると四つの部材)の組付けにおける位置精度、特に高さ方向の位置精度が向上しており、車載用バッテリートレイ1を製造するにあたって、適切なフレーム組立体10を提供することができる。この点については、後に図3を用いて詳述する。ただし、フレーム組立体10は、サイドメンバ11、クロスメンバ13の如き骨格部材からなる構造体であって、その用途は車載用バッテリートレイ1の製造には限定されない。
【0032】
さらに本実施形態のフレーム組立体10は、第1の連結部材15は、サイドメンバ11、クロスメンバ13よりも、予め寸法精度を向上させるための寸法精度調整が施されている部材である。このような部材が、サイドメンバ11とクロスメンバ13の連結に用いられることにより、サイドメンバ11とクロスメンバ13の組付けにおける寸法精度が向上する。
【0033】
寸法精度調整の方法は種々のものがある。例えば、第1の連結部材15に、金属溶湯を金型に注入するダイキャスト成形法により成形した部材を用いることである。第1の連結部材15の成形にダイキャスト成形法を用いることは、寸法精度調整を施すことであり、寸法精度を向上させることができる。サイドメンバ11と第1の連結部材15を所定の方法により溶接することにより、図2の(B)に示すフレームユニット19が形成される。
【0034】
また、第1の連結部材15に、例えば骨格部材であるサイドメンバ11に対してダイキャストインサート成形された部材を用いてもよい。すなわち、所定の金型に予めサイドメンバ11を配置し、その後金属溶湯を金型に注入するダイキャスト成形法により、第1の連結部材15を成形する。この方法によっても、第1の連結部材15の寸法精度を向上させることができる。この場合、図2の(B)に示すフレームユニット19が必然的に形成される。
【0035】
ダイキャスト成形、ダイキャストインサート成形においては、第1の連結部材15の材料にサイドメンバ11と、クロスメンバ13と同様なアルミニウム合金を用いてもよいし、マグネシウム合金等、他の金属を用いてもよい。
【0036】
また、第1の連結部材15は、サイドメンバ11、クロスメンバ13と同様に押出成形した後、少なくともクロスメンバ13に接合する接合面に切削加工を施すことにより製造することもできる。すなわち、第1の連結部材15の母材を押出成形する。この母材そのものの寸法精度は高くはないが、図2の(C)に示す接合面15aに所定の切削加工を施し、接合面15aを平滑にするとともにその位置を調整することにより、第1の連結部材15の寸法精度を向上させることができる。
【0037】
尚、第1の連結部材15の全面に切削加工を施してもよいが、少なくとも溶接の相手方であるクロスメンバ13に接合する接合面15aに切削加工を施せば、クロスメンバ13の位置を正確に決めることができる。したがって、第1の連結部材15をダイキャスト成形またはダイキャストインサート成形する場合であっても、接合面15aさえ寸法精度調整が施されていればよい。尚、接合面15aに溶接されるクロスメンバ13の面は切断により形成されており、正確な寸法が確保されている。
【0038】
更にフレーム組立体10は、直交するサイドメンバ11とクロスメンバ13の間に画定されるコーナー部に配置される第2の連結部材17を備えている。第2の連結部材17を配置して溶接することにより、フレーム組立体10の剛性を向上させるとともに、溶接後のフレーム組立体10の寸法精度の維持に寄与する。尚、実施形態では第2の連結部材17、第2の連結部材17は一の曲面を有しているが、この曲面は必須ではない。
【0039】
図2の(B)に示すフレームユニット19は、サイドメンバ11と第1の連結部材15を上述した方法により一体化した部材である。すなわち実施形態のフレームユニット19は、長尺状の骨格部材であるサイドメンバ11と、サイドメンバ11の少なくとも一の端部に配置され、クロスメンバ13の様な他の部材と連結される第1の連結部材15とを備えている。図3以降で説明する車載用バッテリートレイ1の製造にあたっては、フレームユニット19が単独で形成されることはないが、所定の用途に用いるため、フレームユニット19を独立した部材として製造し、出荷、流通させることができる。フレームユニット19はフレーム組立体10の如き面状の構造体又は立体の構造体を製造するために用いられ、その用途は車載用バッテリートレイ1の製造には限定されない。フレームユニット19は、他の部材との接合部分に寸法精度調整が施された第1の連結部材15を用いており、寸法精度に優れた構造体を形成するための部材として有用である。尚、図2の(A)に示すように、フレームユニット19は、第2の連結部材17がサイドメンバ11に取り付けられた状態で出荷、流通過程に持ち込むこともできる(図7参照)。
【0040】
本実施形態において、サイドメンバ11を長尺状の第1の骨格部材とみなし、クロスメンバ13を長尺状の第2の骨格部材とみなすと、第1の骨格部材が第1の連結部材15を予め有しており、この第1の連結部材15の接合面15aに第2の骨格部材が接合されることになる。しかしながら、クロスメンバ13の端部に第1の連結部材15を予め上述した方法により配置した後にサイドメンバ11を接合してもよく、この場合は、クロスメンバ13が第1の骨格部材となり、サイドメンバ11が第2の骨格部材となり、フレームユニット19は、クロスメンバ13と第1の連結部材15により構成されることになる。また、サイドメンバ11及びクロスメンバ13の双方の端部に第1の連結部材15を設け、二つの第1の連結部材15を接合してもよい。
【0041】
図3はフレーム組立体10を構成する各部材を治具5に配置して接合組立を行う状態を示す斜視図であり、図3の(A)は表側接合組立の斜視図、図3の(B)は裏側接合組立の斜視図である。図2の(A)で示した各部材をステンレス等によって構成された治具5に配置する。治具5は平板の両側部において起立した側壁を有しており、両側壁にサイドメンバ11が沿う様に配置される。その後、各部材を溶接することにより、フレーム組立体10を組み立てることができる。
【0042】
まず、図3の(A)で示す表側接合組立が実施されるが、この組立は車体への取り付け時にあたって上側に位置する面の側を溶接する溶接工程であり、一般的に各部材の表面から数mm程度の深さまで溶接される。各部材が治具5の面上に配置され、各部材の裏側の下面(治具5の面に接する面)が互いに一面上に正確に位置決めされるため、後の工程において、可能な限り隙間を抑制しつつ、フロアパネル20をフレーム組立体10に対して接合することが可能となる。その後、フレーム組立体10を裏返し、図3の(B)に示す裏側接合組立を行う。この組立は車体への取り付け時にあたって下側に位置する面の側を溶接する溶接工程であり、表側接合組立と同様に実施される。本工程により、図2の(C)に示す接合面15aのような数mm程度の幅(深さ)の領域の場合は、領域全体が溶接される。
【0043】
用いられる溶接の種類は特に限定されないが、例えばMIG溶接(Metal Inert Gas Welding)、TIG溶接(Tungsten Inert Gas Welding)、FSW(摩擦攪拌溶接;Friction Stir Welding)等の各種溶接を利用することができる。
【0044】
上述した様に、図3の(A)で示す表側接合組立においては、サイドメンバ11の側面、クロスメンバ13の側面と、第1の連結部材15の側面、第2の連結部材17の側面が互いに一面上に正確に位置決めされる。この結果、図3の(B)で示す様に、サイドメンバ11の長手方向に延びる一の側面11bと、クロスメンバ13の長手方向に延びる一の側面13bと、第1の連結部材15の側面15bと、第2の連結部材17の側面17bが、一つの仮想平坦面Pを画定する。すなわち、フレーム組立体10の平面視における一の平面は、各部材に段差がなく、一つの平坦面を形成することになる。このような構成により、次の工程でフロアパネル20を平坦度の高い仮想平坦面Pに配置することができ、隙間の発生を抑えた車載用バッテリートレイ1を製造することができる。仮想平坦面Pにおいて段差がないというのは、完全に段差がない場合のみならず、製造にあたって不可避な程度の段差がある場合をも含むが、治具5の面により位置決めされない場合に比べて、段差の程度は小さい。
【0045】
また、図2の(B)に示すフレームユニット19を、治具5を用いて形成する場合、サイドメンバ11の長手方向に延びる一の側面11bと、第1の連結部材15の側面15bが、一つの仮想平坦面Pを画定する。
【0046】
図4は、図3の接合組立の後、フレーム組立体10にフロアパネル20を配置する工程を示す説明図である。面状のフロアパネル20は車載用バッテリートレイ1の底面を構成する部材であり、アルミニウム合金等によって構成されたフロアベース材22とフロアエンボス材24を含む。フロアベース材22は直接フレーム組立体10に接合され、フロアエンボス材24はフロアベース材22に接合される。フロアエンボス材24には、エンボス加工によりエンボス部26が形成され、フロアベース材22とエンボス部26によって挟まれる内側の空間は、水等の冷媒を流すための冷媒流路28として利用される(図5の(B)参照)。
【0047】
図5は、図4のフロアパネル20の配置後にフレーム組立体10にフロアパネル20を接合する工程を示す説明図であり、図5の(A)は当該工程における斜視図、図5の(B)は図5の(A)におけるV-V線に沿った断面図である。フロアパネル20は、サイドメンバ11の長手方向に延びる一の側面11bと、クロスメンバ13の長手方向に延びる一の側面13bと、第1の連結部材15の側面15bに接合される。フロアパネル20は、第2の連結部材17の側面17bに接合されてもよい。この接合も種々の溶接によって実施可能であるが、本工程における溶接は破線Fに沿って行われるFSWが好ましい。このFSWは、フロアパネル20を構成するアルミニウム合金と、サイドメンバ11、クロスメンバ13、第1の連結部材15のそれぞれを構成するアルミニウム合金を突き合わせて実施される。図3の(B)に示す様に、フロアパネル20が突き合わされる三つの側面11b、13b、15bは、一つの仮想平坦面Pに配置され、段差が実質的に消失しており、FSWの長所が発揮され易い。図5の(A)に示すように、中央のクロスメンバ13とフロアパネル20のFSWは、予めタブ7を治具5の二つの側壁上に形成し、二つの側壁を結ぶように破線Fに沿って実施される。このような構成により、フレーム組立体10とフロアパネル20の間に発生し得る隙間を極力抑制し、シール性を向上させ、液漏れを極力防止し得る。
【0048】
図6は、別実施形態のフレーム組立体を示し、(A)は組み立て前のフレーム組立体の斜視図、(B)は組み立て後のフレーム組立体の斜視図である。本実施形態のフレーム組立体10においては、組み立て前において、サイドメンバ11のみならず、クロスメンバ13にも別の第1の連結部材16が設けられている。すなわち、クロスメンバ13の両端部にも予め別の第1の連結部材16が設けられ、この別の第1の連結部材16が、第1の連結部材15に接合される。
【0049】
図7は、別実施形態のフレームユニットの斜視図である。本実施形態のフレームユニット19は、既に説明した様に図2の(A)の一部をなしており、第1の連結部材15に加え、第2の連結部材17がサイドメンバ11に取り付けられた状態で出荷、流通過程に持ち込まれるものである。
【0050】
図8は、別実施形態のサイドメンバ11であって、組み立て前のインサート成形によるサイドメンバ11を有するフレームユニット19を示す。図9は、図9の状態から組み立てた後のフレームユニット19を示す。第1の骨格部材セグメント11Aを所定の金型に配置し、金属を金型の隙間に流し込んで、第1の骨格部材セグメント11Aに接合した第1の連結部材15をインサート成形する。その後、第2の骨格部材セグメント11Bを第1の骨格部材セグメント11Aに接合することにより、フレームユニット19を成形する。クロスメンバ13も、同様にして成形することができる。
【0051】
図10は、別実施形態のフレームユニットの側面図である。本実施形態のフレームユニット19は、上述した実施形態と同様に、二つの第1の連結部材15が、骨格部材であるサイドメンバ11の両端部である第1端部11c及び第2端部11dに配置されている。ここで、サイドメンバ11の長手方向に延びる一の側面11bと、サイドメンバ11の第1端部11cに配置された第1の連結部材15の側面15bが、第1の仮想平坦面P1を画定する。また、サイドメンバ11の長手方向に延びる一の側面11bと、サイドメンバ11の第2端部11dに配置された第1の連結部材15の側面15bが、第2の仮想平坦面P2を画定する。
【0052】
上述した実施形態においては、サイドメンバ11は、長手方向に長尺状かつ直線状に延びている。一方、本実施形態では、サイドメンバ11は直線状に延びず、若干湾曲している。しかしながら、第1の仮想平坦面P1及び第2の仮想平坦面P2が、サイドメンバ11の長手方向Lに垂直な方向において、同一高さ位置に存在する。このようなフレームユニット19も利用可能である。
【0053】
図11は、別実施形態のフレームユニットの側面図である。本実施形態においても、サイドメンバ11は直線状に延びず、若干湾曲している。しかしながら、第1の仮想平坦面P1及び第2の仮想平坦面P2が、サイドメンバ11の長手方向Lに垂直な方向において、異なる高さ位置に存在する。このようなフレームユニット19も利用可能である。尚、図10及び図11において、骨格部材がサイドメンバ11の代わりにクロスメンバ13であってもよい。
【0054】
図12は、別実施形態のフレーム組立体10の斜視図を示す。フレーム組立体10は、 二つの第1の連結部材15が、第1の骨格部材であるサイドメンバ11の両端部である第1端部11c及び第2端部11dに配置されたフレームユニット19を備えている。一対の第2の骨格部材であるクロスメンバ13は、一対のフレームユニット19の両端部の第1の連結部材15をそれぞれ連結する。これら一対のフレームユニット19と一対のクロスメンバ13により、平面視で矩形状のフレーム組立体10が構成される。矢印Aは車体に載せられた際の車幅方向を示し、矢印Bは車体に載せられた際の前後方向を示す。
【0055】
ここで、第1端部11cに配置された二つの第1の連結部材15の側面15bが第3の仮想平坦面P3を画定する。また、第2端部11dに配置された二つの第1の連結部材15の側面15bが第4の仮想平坦面P4を画定する。
【0056】
上述した実施形態においては、サイドメンバ11は、長手方向に長尺状かつ直線状に延びている。一方、本実施形態では、サイドメンバ11は直線状に延びず、若干湾曲している。しかしながら、第3の仮想平坦面P3及び第4の仮想平坦面P4が、サイドメンバ11の長手方向Lに垂直な方向において、同一高さ位置に存在する。このようなフレームユニット19も利用可能である。
【0057】
図13は、図12の実施形態と類似の実施形態であり、サイドメンバ11ではなくクロスメンバ13が直線状に延びず、若干湾曲している。第3の仮想平坦面P3及び第4の仮想平坦面P4が、サイドメンバ11の長手方向Lに垂直な方向において、同一高さ位置に存在する。このようなフレームユニット19も利用可能である。尚、図12及び図13において、サイドメンバ11、クロスメンバ13のいずれが、第1の骨格部材、第2の骨格部材であってもよい。
【0058】
図14は、別実施形態のフレーム組立体10の斜視図を示す。本実施形態においても、サイドメンバ11は直線状に延びず、若干湾曲している。しかしながら、第3の仮想平坦面P3及び第4の仮想平坦面P4が、サイドメンバ11の長手方向Lに垂直な方向において、異なる高さ位置に存在する。この様に第3の仮想平坦面P3及び第4の仮想平坦面P4が、基準面PSから見て異なる高さ位置に存在する場合、サイドメンバ11が湾曲しており、車体に載せられた際に、車体の前後方向において、第3の仮想平坦面P3及び第4の仮想平坦面P4の高さが異なることが望ましい。このようなフレームユニット19も利用可能である。
【0059】
本発明のフレーム組立体は、押出成形された第1の骨格部材と、押出成形された第2の骨格部材と、第1の骨格部材と第2の骨格部材を連結する第1の連結部材を有している。第1の骨格部材の長手方向に延びる一の側面と、第2の骨格部材の長手方向に延びる一の側面と、第1の連結部材の側面が、一つの仮想平坦面を画定する。このため、フロアパネルの如き面部材をフレーム組立体に配置する場合であっても、両者の間に発生し得る隙間を極力抑制し、シール性を向上させ、液漏れ等を極力防止することができる。
【0060】
また、本発明の車載用バッテリートレイフレーム組立体は、押出成形された第1の骨格部材と第2の骨格部材の接合のために、第1の連結部材を用いている。第1の連結部材は第2の骨格部材に接合する接合面が、第1の骨格部材及び第2の骨格部材よりも寸法精度を向上させるための寸法精度調整が施されている。このため、第2の骨格部材は、第1の骨格部材の端部に設けられた第1の連結部材に対し、正しく位置決めされた状態で接合され、結果的に完成品としての車載用バッテリートレイの寸法精度が更に向上する。よって、収納するバッテリーの数が増えても、バッテリー間の隙間を抑制しつつ、正しく配列した状態でバッテリーを収納することができる。
【0061】
本発明のフレームユニットは、他の部材と連結されて構造体を形成するフレームユニットであって、骨格部材の長手方向に延びる一の側面と、第1の連結部材の側面が、一つの仮想平坦面を画定する。このため、フロアパネルの如き面部材をフレームユニットに配置する場合であっても、両者の間に発生し得る隙間を極力抑制し、シール性を向上させ、液漏れ等を極力防止することができる。
【0062】
また、本発明のフレームユニットは、他の部材との連結用の第1の連結部材が、長尺状の骨格部材の少なくとも一の端部に配置されている。少なくとも第1の連結部材の他の部材に接合する接合面が、骨格部材よりも寸法精度を向上させるための寸法精度調整が施されている。このため、他の部材は、骨格部材の端部に設けられた第1の連結部材に対し、正しく位置決めされた状態で接合され、結果的に、フレームユニットから構成される構造体の寸法精度が向上する。
【0063】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0064】
1 車載用バッテリートレイ
5 治具
10 フレーム組立体
11 サイドメンバ(骨格部材)
13 クロスメンバ(骨格部材)
15 第1の連結部材
15a 接合面
17 第2の連結部材
19 フレームユニット
20 フロアパネル
22 フロアベース材
24 フロアエンボス材
26 エンボス部
28 冷媒流路
P 仮想平坦面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15