(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240123BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20240123BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240123BHJP
G02F 1/1345 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
G09F9/00 338
G01R31/00
G02F1/13 101
G02F1/1345
G09F9/00 348
(21)【出願番号】P 2020043115
(22)【出願日】2020-03-12
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 賢俊
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昇悟
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-203718(JP,A)
【文献】特開2007-201167(JP,A)
【文献】特開2018-029172(JP,A)
【文献】特開平10-186394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R31/00-31/01
31/24-31/25
31/28-31/3193
G02F1/13
1/1343-1/1345
1/135
1/137-1/141
G09F9/00
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、一端が前記基板に接続され、他端の一方面側に被給電部が設けられたフレキシブル配線基板と、を有する検査対象物を検査する検査装置において、
前記フレキシブル配線基板が垂れ下がった際に水平方向の一方側に前記一方面が向くように前記基板が載置される載置部と、
垂れ下がった前記フレキシブル配線基板を前記基板に下方から重なるように回動させて前記フレキシブル配線基板を吸着した後、逆方向に回転して前記フレキシブル配線
基板を鉛直方向に垂れ下がった状態とする姿勢矯用吸着ヘッドと、
鉛直方向に垂れ下がった前記フレキシブル配線基板の他方面のうち、前記被給電部の裏面部分を吸着する吸着ヘッドと、
前記吸着ヘッドに前記フレキシブル配線基板が吸着された状態の前記被給電部に水平方向の一方側で対向する検査用給電部と、
前記姿勢矯用吸着ヘッドによる前記フレキシブル配線基板の吸着を停止した状態で、前記吸着ヘッドおよび前記載置部を前記水平方向の一方側に移動させて前記被給電部と前記検査用給電部とを電気的に接続させる搬送機構と、
を有することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査装置において、
前記被給電部の位置を検出する監視装置を有し、
前記被給電部と前記検査用給電部とを電気的に接続させる際、前記監視装置の監視結果に基づいて、前記被給電部と前記検査用給電部との相対位置が調整されることを特徴とする検査装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の検査装置において、
前記被給電部はコネクタを備えることを特徴とする検査装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の検査装置において、
前記姿勢矯用吸着ヘッドとして、第1姿勢矯用吸着ヘッドと第2姿勢矯用吸着ヘッドとが前記水平方向で離間する位置に配置されており、
前記検査対象物は、前記フレキシブル配線基板を前記基板に鉛直方向の下方側から重ねた際、
前記一方面が前記基板の側を向く第1タイプの検査対象物と、
前記一方面が前記基
板とは反対の側を向く第2タイプの検査対象物とがあり、
前記第1タイプの検査対象物である場合には、前記第1姿勢矯用吸着ヘッドによって前記フレキシブル配線基板を鉛直方向に垂れ下がった状態とし、
前記第2タイプの検査対象物である場合には、前記第2姿勢矯用吸着ヘッドによって前記フレキシブル配線基板を鉛直方向に垂れ下がった状態とすることを特徴とする検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の検査装置において、
前記載置部は、前記フレキシブル配線基板を下方に引き出すための開口部を備え、
前記検査対象物が前記第1タイプの検査対象物である場合、
前記開口部は、前記載置部における水平方向の他方側寄りに位置し、かつ、前記フレキシブル配線基板が前記載置部における水平方向の
前記他方側寄りの位置から垂れ下がり、
前記検査対象物が前記第2タイプの検査対象物である場合、
前記開口部は、前記載置部における水平方向の一方側寄りに位置し、かつ、前記フレキシブル配線基板が前記載置部における水平方向の
前記一方側寄りの位置から垂れ下がることを特徴とする検査装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の検査装置において、
前記基板は、表示パネルを構成しており、
前記搬送機構が前記吸着ヘッドおよび前記載置部を前記水平方向の一方側に搬送した際に前記表示パネルの点灯状態を撮像装置で撮像することを特徴とする検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物を検査する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象物を自動的に検査するための検査装置は、特許文献1に記載されている。同文献の検査装置は、検査対象物が載置される載置部と、載置部の上方に配置されるカメラと、検査対象物に通電する検査用給電部を備えている。載置部に検査対象物が載置されると、検査用給電部は、移動機構により移動し、検査対象物の端子と電気的に接続する。次に、検査用給電部が検査対象物に通電すると、検査対象物に通電した様子がカメラを用いて検査される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検査対象物はフレキシブル配線基板を有した状態で検査されることがある。しかしながら、特許文献1の検査装置は、フレキシブル配線基板を有しない検査対象物を自動的に検査するものであり、フレキシブル配線基板を有した検査対象物を検査することができなかった。このため、従来では、フレキシブル配線基板を有する検査対象物を検査する場合は、検査対象物を載置部に載置した後、作業者の手作業によって、フレキシブル配線基板の被給電部と検査用給電部とを電気的に接続していた。この結果、検査装置は、検査対象物を自動的に検査することができないので、検査対象物の検査時間が長くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、フレキシブル配線基板を有する検査対象物であっても、自動的に検査することができる検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る検査装置は、基板と、一端が前記基板に接続され、他端の一方面側に被給電部が設けられたフレキシブル配線基板と、を有する検査対象物を検査する検査装置において、前記フレキシブル配線基板が垂れ下がった際に水平方向の一方側に前記一方面が向くように前記基板が載置される載置部と、垂れ下がった前記フレキシブル配線基板を前記基板に下方から重なるように回動させて前記フレキシブル配線基板を吸着した後、逆方向に回転して前記フレキシブル配線基板を鉛直方向に垂れ下がった状態とする姿勢矯用吸着ヘッドと、鉛直方向に垂れ下がった前記フレキシブル配線基板の他方面のうち、前記被給電部の裏面部分を吸着する吸着ヘッドと、前記吸着ヘッドに前記フレキシブル配線基板が吸着された状態の前記被給電部に水平方向の一方側で対向する検査用給電部と、前記姿勢矯用吸着ヘッドによる前記フレキシブル配線基板の吸着を停止した状態で、前記吸着ヘッドおよび前記載置部を前記水平方向の一方側に移動させて前記被給電部と前記検査用給電部とを電気的に接続させる搬送機構と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、姿勢矯用吸着ヘッドは、自由姿勢のフレキシブル配線基板であっても、鉛直方向に垂れ下がった状態とすることができる。吸着ヘッドは、鉛直方向に垂れ下が
ったフレキシブル配線基板の他方面のうち、被給電部の裏面部分を吸着することができる。搬送機構は、吸着ヘッドおよび載置部を水平方向の一方側に移動させて被給電部と検査用給電部とを電気的に接続させることができる。この結果、本発明の検査装置は、フレキシブル配線基板を備えた検査対象物であっても、検査の自動化を行うことができる。
【0008】
本発明において、前記被給電部の位置を検出する監視装置を有し、前記被給電部と前記検査用給電部とを電気的に接続させる際、前記監視装置の監視結果に基づいて、前記被給電部と前記検査用給電部との相対位置が調整されることが好ましい。また、本発明において、前記被給電部はコネクタを備えることが好ましい。したがって、被給電部に対し検査用給電部の位置を調整することができるので、被給電部と検査用給電部とを確実に接続することができる。
【0009】
本発明において、前記姿勢矯用吸着ヘッドとして、第1姿勢矯用吸着ヘッドと第2姿勢矯用吸着ヘッドとが前記水平方向で離間する位置に配置されており、前記検査対象物は、前記フレキシブル配線基板を前記基板に鉛直方向の下方側から重ねた際、前記一方面が前
記基板の側を向く第1タイプの検査対象物と、前記一方面が前記基板とは反対の側を向く第2タイプの検査対象物とがあり、前記第1タイプの検査対象物である場合には、前記第1姿勢矯用吸着ヘッドによって前記フレキシブル配線基板を鉛直方向に垂れ下がった状態とし、前記第2タイプの検査対象物である場合には、前記第2姿勢矯用吸着ヘッドによって前記フレキシブル配線基板を鉛直方向に垂れ下がった状態とすることが好ましい。したがって、フレキシブル配線基板の一方面がいずれの方向を向くタイプの検査対象物、すなわち、第1タイプの検査対象物および第2タイプの検査対象物の何れかであっても、第1姿勢矯用吸着ヘッドおよび第2姿勢矯用吸着ヘッドによって、フレキシブル配線基板を鉛直方向に垂れ下がった状態にすることができる。
【0010】
本発明において、前記載置部は、前記フレキシブル配線基板を下方に引き出すための開口部を備え、前記検査対象物が前記第1タイプの検査対象物である場合、前記開口部は、前記載置部における水平方向の他方側寄りに位置し、かつ、前記フレキシブル配線基板が前記載置部における水平方向の前記他方側寄りの位置から垂れ下がり、前記検査対象物が前記第2タイプの検査対象物である場合、前記開口部は、前記載置部における水平方向の一方側寄りに位置し、かつ、前記フレキシブル配線基板が前記載置部における水平方向の前記一方側寄りの位置から垂れ下がることが好ましい。したがって、検査対象物が異なるタイプであっても、検査対象物のフレキシブル配線基板の被給電部の向きを適正な方向とすることができる。
【0011】
本発明において、前記基板は、表示パネルを構成しており、前記搬送機構が前記吸着ヘッドおよび前記載置部を前記水平方向の一方側に搬送した際に前記表示パネルの点灯状態を撮像装置で撮像する態様とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フレキシブル配線基板を有する検査対象物であっても、自動的に検査することができる検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】第1タイプの表示パネルおよび第2タイプの表示パネルを説明する図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る検査装置の概略の正面図である。
【
図4】第1タイプの表示パネルを検査する検査装置を示す概略の斜視図である。
【
図5】検査装置が第1タイプの表示パネルを検査する工程を説明する図である。
【
図6】第2タイプの表示パネルを検査する検査装置を示す概略の斜視図である。
【
図7】検査装置が第2タイプの表示パネルを検査する工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0015】
図1は、表示パネルを説明する図であり、
図1(A)は、表示パネルの斜視図であり、
図1(B)は、表示パネルの基板の背面を沿って延在するフレキシブル配線基板を示す図である。
図2は、第1の表示パネルおよび第2の表示パネルを説明する図である。
【0016】
(表示パネル)
本形態の検査装置1の検査対象物は、液晶パネルや有機ELパネル等の表示パネル100である。この表示パネル100は、たとえば、携帯端末等に使用される比較的小型の表示パネルである。
図1(A)に示すように、表示パネル100は、基板101と、基板101の一端と接続したフレキシブル配線基板111とを備える。基板101は、長方形の平板形状である。基板101は、画像を表示する表示部102を備える。表示パネル100では、基板101に対して別の基板(図示せず)が貼り合わされることがあるが、各図面では、フレキシブル配線基板111が接続された基板101のみを示してある。フレキシブル配線基板111は、他端の一方面に被給電部115が設けられた先端部113と、基板101から先端部113まで延びる本体部114とを備える。被給電部115はコネクタ118を備える。フレキシブル配線基板111は、
図1(B)に示すように、基板101の背面103に沿って延在する状態で電子機器に搭載される。フレキシブル配線基板111は、
図1(B)に示すように、基板101の背面103に沿った状態とした場合に、背面103を向く第1側面116と、第1側面116とは反対側を向く第2側面117とを備える。
【0017】
表示パネル100には、フレキシブル配線基板111を基板101の背面103に鉛直方向の下方側から重ねた際に、基板101の側の第1側面116に、被給電部115が設けられた一方面112が向く第1タイプの表示パネル100Aと、基板101の背面103とは反対側の第2側面117に一方面112が向く第2タイプの表示パネル100Bとがある。具体的には、
図2(A)に示すように、第1タイプの表示パネル100Aにおいて、一方面112は第1側面116であり、他方面119は第2側面117である。被給電部115Aは先端部113の第1側面116に設けられる。また、
図2(B)に示すように、第2タイプの表示パネル100Bにおいて、一方面112は第2側面117であり、他方面119は第1側面116である。被給電部115Bは先端部113の第2側面117に設けられる。
【0018】
(検査装置)
図3は、本発明の実施形態に係る検査装置1を示す概略の正面図である。
図4は、第1タイプの表示パネル100Aを検査する検査装置1を示す概略の斜視図である。
図5は、検査装置1が第1タイプの表示パネル100Aを検査する工程を説明する図である。
図6は、第2タイプの表示パネル100Bを検査する検査装置1を示す概略の斜視図である。
図7は、検査装置1が第2タイプの表示パネル100Bを検査する工程を説明する図である。
【0019】
本形態の検査装置1は、検査対象物として表示パネル100を点灯検査するための装置である。検査装置1は、第1タイプの表示パネル100Aおよび第2タイプの表示パネル100Bの何れのタイプの表示パネル100であっても検査することができるように、以下に説明するように構成されている。したがって、
図3には、検査すべき表示パネル100が第1タイプの表示パネル100Aである場合のフレキシブル配線基板111を実線で示し、検査すべき表示パネル100が第2タイプの表示パネル100Bである場合のフレキシブル配線基板111を破線で示してある。
図3に示すように、検査装置1は、フレキシブル配線基板111が垂れ下がった際に水平方向の一方側に一方面112が向くように
基板が載置される載置部2と、垂れ下がったフレキシブル配線基板111を基板101に下方から重なるように回動させてフレキシブル配線基板111を吸着した後、逆方向に回転してフレキシブル配線基板111を鉛直方向に垂れ下がった状態とする姿勢矯用吸着ヘッド3とを有する。また、検査装置1は、鉛直方向に垂れ下がったフレキシブル配線基板111の他方面119のうち、被給電部115の裏面部分を吸着する吸着ヘッド4と、吸着ヘッド4にフレキシブル配線基板111が吸着された状態の被給電部115に水平方向の一方側で対向する検査用給電部5と、姿勢矯用吸着ヘッド3によるフレキシブル配線基板111の吸着を停止した状態で、吸着ヘッド4および載置部2を水平方向の一方側に移動させて被給電部115と検査用給電部5とを電気的に接続させる搬送機構6と、撮像装置7とを備える。本形態において、姿勢矯用吸着ヘッド3は、第1姿勢矯用吸着ヘッド31と第2姿勢矯用吸着ヘッド36とを備える。第1姿勢矯用吸着ヘッド31と第2姿勢矯用吸着ヘッド36とが水平方向で離間する位置に配置されている。ここで、本明細書において、鉛直方向に沿った軸をZ軸、Z軸と直交し搬送機構6が吸着ヘッド4を搬送する方向に沿った軸をX軸、X軸およびZ軸と直交する軸をY軸とする。X軸方向およびY軸方向は水平方向である。
図1に示すように、X軸において、検査用給電部5がある方向を一方側X1、その反対を他方側X2とする。Z軸において、上方をZ1、下方をZ2とする。
【0020】
(第1タイプの表示パネル100Aの検査)
まず、検査装置1が第1タイプの表示パネル100Aを検査する場合について説明する。
図4に示すように、載置部2Aは、基板101の背面103が載置される載置面部21と、フレキシブル配線基板111を引き出すための開口部22とを備える。開口部22は載置部2Aにおける他方側X2寄りに位置し、載置部2Aの他方側X2の端部26から切りかかれている。開口部22は、Z軸方向から見たときに、長方形状となっている。
【0021】
図4に示すように、載置面部21には、基板101の背面103を吸着するための複数の吸着孔24が設けられている。載置面部21に載置された基板101の背面103は、吸着孔24に吸引されることで固定される。吸着孔24による吸引は、不図示のポンプにより行われる。本形態では、載置部2Aは、ベース部8を介して搬送機構6と連結している。したがって、載置部2Aは、搬送機構6によって、一方側X1に搬送される。
【0022】
第1タイプの表示パネル100Aを検査する場合、第1姿勢矯用吸着ヘッド31のみが使用される。この時、第2姿勢矯用吸着ヘッド36は、アクチュエータ39によって、載置部2Aより上方Z1に位置する。
図3、
図4に示すように、第1姿勢矯用吸着ヘッド31は、載置部2Aに対して他方側X2に位置する。第1姿勢矯用吸着ヘッド31は、回動部32によって、Y軸に沿って延在する軸線回りに回転可能である。したがって、後述するように、第1姿勢矯用吸着ヘッド31は、垂れ下がったフレキシブル配線基板111を基板101に下方から重なるように回動し、フレキシブル配線基板111を吸着した後、逆方向に回転してフレキシブル配線基板111を鉛直方向に垂れ下がった状態とするように回動する。
【0023】
第1姿勢矯用吸着ヘッド31は、長方形状である。第1姿勢矯用吸着ヘッド31は、回動部32によって、垂れ下がったフレキシブル配線基板111を基板101に下方から重なるように回動したときに、開口部22に収容される大きさである。第1姿勢矯用吸着ヘッド31の吸着面311には、フレキシブル配線基板111の本体部114を吸着するための複数の吸着孔312が設けられている。
【0024】
図3、
図4に示すように、吸着ヘッド4は、第1姿勢矯用吸着ヘッド31に対して、下方Z2に位置する。吸着ヘッド4は、フレキシブル配線基板111の先端部113の他方面119(第2側面117)を吸着する吸着部41と、吸着部41をX軸方向に移動させ
るアクチュエータ42とを備える。吸着部41の吸着面43には、フレキシブル配線基板111の先端部113の他方面119を吸着するための複数の吸着孔44が設けられている。アクチュエータ42は、例えば、電動シリンダやエアシリンダである。アクチュエータ42は、吸着部41がフレキシブル配線基板111の先端部113を吸着する際に、X軸方向の位置を調整する。
【0025】
搬送機構6は、例えば、電動シリンダやエアシリンダである。搬送機構6は、吸着ヘッド4のアクチュエータ42と連結しており、吸着ヘッド4をX軸方向に往復移動させることが可能である。したがって、後述するように、搬送機構6は、吸着ヘッド4を検査用給電部5が位置する一方側X1に搬送する。搬送機構6は、吸着ヘッド4を一方側X1に移動させて被給電部115と検査用給電部5とを電気的に接続させる。
【0026】
検査用給電部5は、フレキシブル配線基板111の被給電部115に電気的に接触する複数のプローブ部51を備える。表示パネル100の検査時には、プローブ部51から表示パネル100に通電される。また、検査用給電部5は、プローブ部51を保持するプローブ保持部52と、プローブ保持部52に位置を調整する位置調整部53と、被給電部115Aの位置を検出する監視装置54とを備える。監視装置54は、ラインセンサやエリアセンサなどによって構成されている。位置調整部53は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向およびX軸に沿って延在する軸線を中心とした回転方向に、監視装置54で検出した被給電部115Aの位置に基づいて、プローブ保持部52の位置を調整する。より具体的には、位置調整部53は、被給電部115Aのコネクタ118とプローブ部51が適正に接触するように、監視装置54で検出した被給電部115Aの位置に基づいて、被給電部115Aのコネクタ118とプローブ部51との相対位置を調整する。
【0027】
撮像装置7は、後述するように、表示パネル100に通電された際に、表示パネル100の点灯状態を撮像する。撮像装置7は、ラインセンサやエリアセンサなどによって構成されている。
【0028】
次に、
図5を用いて、第1タイプの表示パネル100Aの検査工程について説明する。
図5に示すように、工程ST1において、載置部2Aに第1タイプの表示パネル100Aが載置されると、基板101の背面103は、吸着孔24に吸引されることで固定される。この時、フレキシブル配線基板111は、X軸方向の他方側X2寄りの位置から垂れ下がる。
【0029】
工程ST2において、第1姿勢矯用吸着ヘッド31は、回動部32によって、垂れ下がったフレキシブル配線基板111を基板101の背面103に下方Z2から重なるように回動する。垂れ下がったフレキシブル配線基板111が基板101の背面103と重なると、第1姿勢矯用吸着ヘッド31は、フレキシブル配線基板111の本体部114を吸着する。
【0030】
工程ST3において、第1姿勢矯用吸着ヘッド31は、回動部32によって、逆方向に回転してフレキシブル配線基板111をZ方向に垂れ下がった状態とする。そして、吸着ヘッド4は、アクチュエータ42により、吸着部41を一方側X1に移動させ、吸着面43をフレキシブル配線基板111の先端部113の他方面119に当接させる。吸着孔44は、フレキシブル配線基板111の先端部113の他方面119(第2側面117)のうち、コネクタ118の裏面部分を吸着する。吸着ヘッド4がフレキシブル配線基板111の先端部113を吸着した後に、第1姿勢矯用吸着ヘッド31は、フレキシブル配線基板111の本体部114の吸着を停止する。
【0031】
工程ST4において、搬送機構6は、フレキシブル配線基板111の先端部113を保
持した状態の吸着ヘッド4と、載置部2Aとを、一方側X1に搬送する。より具体的には、搬送機構6は、吸着ヘッド4を検査用給電部5まで搬送し、載置部2Aを撮像装置7の下方Z2に位置する位置まで搬送する。この時、位置調整部53は、被給電部115Aのコネクタ118とプローブ部51が適切に接続するように、監視装置54で検出した被給電部115Aのコネクタ118の位置に基づいて、被給電部115Aのコネクタ118とプローブ部51との相対位置を調整する。搬送機構6は、被給電部115Aのコネクタ118とプローブ部51とを電気的に接続させる。プローブ部51と被給電部115Aのコネクタ118とが接続すると、検査用給電部5から電力が供給され、第1タイプの表示パネル100Aの表示部102に検査画像が表示される。なお、この際、載置部2Aの下方Z2に配置された光源(不図示)により、第1タイプの表示パネル100Aが点灯する。検査装置1は、撮像装置7が第1タイプの表示パネル100Aの表示部102の点灯状態を撮像することで、第1タイプの表示パネル100Aの表示部102に欠陥がないか検査する。検査が終わると、搬送機構6は、載置部2Aおよび吸着ヘッド4を検査前の位置(他方側X2)に搬送する。その後、基板101の背面103およびフレキシブル配線基板111の先端部113の吸着が停止される。
【0032】
(第2タイプの表示パネル100Bの検査)
次に、検査装置1が第2タイプの表示パネル100Bを検査する場合について説明する。なお、第1タイプの表示パネル100Aを検査する場合と構成が同じ部分については、説明を省略する。
【0033】
図6に示すように、載置部2Bは、基板101の背面103が載置される載置面部21と、フレキシブル配線基板111を引き出すための開口部22とを備える。開口部22は載置部2Bにおける一方側Z1寄りに位置し、載置部2Bの一方側X1の端部27から切りかかれている。すなわち、検査装置1が、第1タイプの表示パネル100Aを検査する場合と第2タイプの表示パネル100Bを検査する場合とでは、開口部22が位置する方向が相違する。本形態の検査装置1は、検査する表示パネル100のタイプに応じて、載置部2Aおよび載置部2Bが選択的にベース部8に配置される。
【0034】
第2タイプの表示パネル100Bを検査する場合、第2姿勢矯用吸着ヘッド36のみが使用される。
図6、
図7に示すように、第2姿勢矯用吸着ヘッド36は、載置部2Bに対して一方側X1に位置する。第2姿勢矯用吸着ヘッド36は、回動部37によって、垂れ下がったフレキシブル配線基板111を基板101に下方から重なるように回動し、フレキシブル配線基板111を吸着した後、逆方向に回転してフレキシブル配線基板111を鉛直方向に垂れ下がった状態とするように回動する。
【0035】
第2姿勢矯用吸着ヘッド36は、長方形状である。第2姿勢矯用吸着ヘッド36は、回動部37によって、垂れ下がったフレキシブル配線基板111を基板101に下方から重なるように回動したときに、開口部22に収容される大きさである。第2姿勢矯用吸着ヘッド36の吸着面361には、フレキシブル配線基板111の本体部114を吸着するための複数の吸着孔362が設けられている。
【0036】
また、第2姿勢矯用吸着ヘッド36は、回動部37を介してアクチュエータ39によりZ軸方向に移動する。第1タイプの表示パネル100Aを検査する場合には、アクチュエータ39は、回動部37を介して第2姿勢矯用吸着ヘッド36を上方Z1に移動させる。第2タイプの表示パネル100Bを検査する場合には、アクチュエータ39は、回動部37を介して第2姿勢矯用吸着ヘッド36を下方Z2に移動させる。また、載置部2が搬送機構6によって一方側X1に搬送される際に、アクチュエータ39は、回動部37を介して第2姿勢矯用吸着ヘッド36を上方Z1に移動させる。
【0037】
次に、
図7を用いて、第2タイプの表示パネル100Bの検査工程について説明する。
図7に示すように、工程ST1において、載置部2Bに第2タイプの表示パネル100Bが載置されると、基板101の背面103は、吸着孔24に吸引されることで固定される。この時、フレキシブル配線基板111は、X軸方向の一方側X1寄りの位置から垂れ下がる。開口部22から下方に垂れ下がる。また、アクチュエータ39は、第2姿勢矯用吸着ヘッド36を下方Z2に移動させる。
【0038】
工程ST2において、第2姿勢矯用吸着ヘッド36は、回動部37によって、垂れ下がったフレキシブル配線基板111を基板101の背面103に下方Z2から重なるように回動する。垂れ下がったフレキシブル配線基板111が基板101の背面103と重なると、第2姿勢矯用吸着ヘッド36は、フレキシブル配線基板111の本体部114を吸着する。
【0039】
工程ST3において、第2姿勢矯用吸着ヘッド36は、回動部37によって、逆方向に回転してフレキシブル配線基板111をZ方向に垂れ下がった状態とする。そして、吸着ヘッド4は、アクチュエータ42により、吸着部41を一方側X1に移動させ、吸着面43をフレキシブル配線基板111の先端部113の他方面119(第1側面116)のうち、コネクタ118の裏面部分に当接させる。吸着孔44は、フレキシブル配線基板111の先端部113の他方面119を吸着する。吸着ヘッド4がフレキシブル配線基板111の先端部113を吸着した後に、第2姿勢矯用吸着ヘッド36は、フレキシブル配線基板111の本体部114の吸着を停止する。
【0040】
工程ST4において、第2姿勢矯用吸着ヘッド36は、アクチュエータ39によって上方Z1に移動する。その後、搬送機構6は、フレキシブル配線基板111の先端部113を保持した状態の吸着ヘッド4と、載置部2Bとを、一方側X1に搬送する。より具体的には、搬送機構6は、吸着ヘッド4を検査用給電部5の近傍まで搬送し、載置部2Bを撮像装置7の下方Z2に位置する位置まで搬送する。この時、位置調整部53は、被給電部115Bのコネクタ118とプローブ部51が適切に接続するように、監視装置54で検出した被給電部115Bのコネクタ118の位置に基づいて、被給電部115Bのコネクタ118とプローブ部51との相対位置を調整する。搬送機構6は、被給電部115Bのコネクタ118とプローブ部51とを電気的に接続させる。プローブ部51と被給電部115Bのコネクタ118とが接続すると、検査用給電部5から電力が供給され、第2タイプの表示パネル100Bの表示部102に検査画像が表示される。なお、この際、載置部2Bの下方Z2に配置された光源(不図示)により、第2タイプの表示パネル100Bが点灯する。検査装置1は、撮像装置7が第2タイプの表示パネル100Bの表示部102の点灯状態を撮像することで、第2タイプの表示パネル100Bの表示部102に欠陥がないか検査する。検査が終わると、搬送機構6は、載置部2Bおよび吸着ヘッド4を検査前の位置(他方側X2)に搬送する。その後、基板101の背面103およびフレキシブル配線基板111の先端部113の吸着が停止される。
【0041】
(本形態の主な作用効果)
本形態の検査装置1において、フレキシブル配線基板111が垂れ下がった際に水平方向の一方側(X軸方向の一方側X1)に、被給電部115が設けられた一方面112が向くように基板101が載置される載置部2と、垂れ下がったフレキシブル配線基板111を基板101に下方Z2から重なるように回動させてフレキシブル配線基板111を吸着した後、逆方向に回転してフレキシブル配線を鉛直方向に垂れ下がった状態とする姿勢矯用吸着ヘッド3と、鉛直方向に垂れ下がったフレキシブル配線基板111の他方面119のうち、被給電部115の裏面部分を吸着する吸着ヘッド4とを有する。したがって、姿勢矯用吸着ヘッド3は、自由姿勢のフレキシブル配線基板111であっても、鉛直方向に垂れ下がった状態とすることができ、吸着ヘッド4は、鉛直方向に垂れ下がったフレキシ
ブル配線基板111の他方面119のうち、被給電部115の裏面部分を吸着することができる。また、検査装置1は、吸着ヘッド4にフレキシブル配線基板111が吸着された状態の被給電部115に水平方向の一方側X1で対向する検査用給電部5と、姿勢矯用吸着ヘッド3によるフレキシブル配線基板111の吸着を停止した状態で、吸着ヘッド4および載置部2を水平方向の一方側X1に移動させて被給電部115と検査用給電部5とを電気的に接続させる搬送機構6とを有する。したがって、搬送機構6は、吸着ヘッド4および載置部2を水平方向の一方側X1に移動させて被給電部115と検査用給電部5とを電気的に接続させることができる。この結果、本形態の検査装置1は、フレキシブル配線基板111を備えた表示パネル100であっても、検査の自動化を行うことができる。
【0042】
本形態において、被給電部115の位置を検出する監視装置54を有し、被給電部115と検査用給電部5とを電気的に接続させる際、監視装置54の監視結果に基づいて、被給電部115と検査用給電部5のプローブ部51との相対位置が調整される。また、被給電部115はコネクタ118を備える。したがって、被給電部115のコネクタ118に対し検査用給電部5のプローブ部51の位置を調整することができるので、被給電部115のコネクタ118と検査用給電部5のプローブ部51とを確実に接続することができる。
【0043】
本形態において、姿勢矯用吸着ヘッド3として、第1姿勢矯用吸着ヘッド31と第2姿勢矯用吸着ヘッド36とが水平方向で離間する位置に配置されており、表示パネル100は、フレキシブル配線基板111を基板101に鉛直方向の下方Z2から重ねた際、基板101の第1側面116に一方面112が向く第1タイプの表示パネル100Aと、基板101とは反対の側の第2側面117に一方面112が向く第2タイプの表示パネル100Bと備え、第1タイプの表示パネル100Aである場合には、第1姿勢矯用吸着ヘッド31によってフレキシブル配線基板111を鉛直方向に垂れ下がった状態とし、第2タイプの表示パネル100Bである場合には、第2姿勢矯用吸着ヘッド36によってフレキシブル配線基板111を鉛直方向に垂れ下がった状態とする。したがって、フレキシブル配線基板111の被給電部115がいずれの方向を向くタイプの表示パネル100、すなわち、第1タイプの表示パネル100Aおよび第2タイプの表示パネル100Bの何れかであっても、第1姿勢矯用吸着ヘッド31および第2姿勢矯用吸着ヘッド36によって、フレキシブル配線基板111を鉛直方向に垂れ下がった状態にすることができる。
【0044】
本形態において、載置部2は、フレキシブル配線基板111を引き出すための開口部22を備え、載置部2は、表示パネル100が第1タイプの表示パネル100Aである場合、開口部22が載置部2における水平方向の他方側X2寄りの位置とされる。したがって、フレキシブル配線基板111がX軸方向の他方側X2寄りの位置から垂れ下がった状態とすることができる。これに対して、表示パネル100が第2タイプの表示パネル100Bである場合、載置部2は、開口部22が載置部2における水平方向の一方側X1寄りの位置とされる。したがって、フレキシブル配線基板111がX軸方向の一方側X1寄りの位置から垂れ下がった状態とすることができる。それ故、表示パネル100が異なるタイプであっても、フレキシブル配線基板111の被給電部115の向きを適正な方向とすることができる。
【0045】
(変形例)
上記の形態では、姿勢矯用吸着ヘッド3は、垂れ下がったフレキシブル配線基板111を基板101に下方から、基板101と直接重なるように回動させる構成であったが、姿勢矯用吸着ヘッド3は、垂れ下がったフレキシブル配線基板111を基板101に下方から、載置部2を介して基板101と重なるように回動させる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…検査装置、2,2A,2B…載置部、3…姿勢矯用吸着ヘッド、4…吸着ヘッド、5…検査用給電部、5…被給電部、6…搬送機構、7…撮像装置、8…ベース部、21…載置面部、22…開口部、24…吸着孔、26…端部、27…端部、31…第1姿勢矯用吸着ヘッド、32…回動部、36…第2姿勢矯用吸着ヘッド、37…回動部、39…アクチュエータ、41…吸着部、42…アクチュエータ、43…吸着面、44…吸着孔、51…プローブ部、52…プローブ保持部、53…位置調整部、54…監視装置、100…表示パネル、100A…第1タイプの表示パネル、100B…第2タイプの表示パネル、101…基板、102…表示部、103…背面、111…フレキシブル配線基板、112…一方面、113…先端部、114…本体部、115,115A,115B…被給電部、116…第1側面、117…第2側面、118…コネクタ、119…他方面、311…吸着面、312…吸着孔、361…吸着面、362…吸着孔