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特許7424886接続監視センサおよび接続監視センサシステム
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  • 特許-接続監視センサおよび接続監視センサシステム 図1
  • 特許-接続監視センサおよび接続監視センサシステム 図2
  • 特許-接続監視センサおよび接続監視センサシステム 図3
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  • 特許-接続監視センサおよび接続監視センサシステム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】接続監視センサおよび接続監視センサシステム
(51)【国際特許分類】
   E01D 22/00 20060101AFI20240123BHJP
   E01D 19/06 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
E01D22/00 A
E01D19/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020055759
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021155968
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】中野 主久
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 義英
(72)【発明者】
【氏名】林 嵯隼
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-120178(JP,A)
【文献】特開2017-082556(JP,A)
【文献】実開平02-140410(JP,U)
【文献】特開2016-145721(JP,A)
【文献】特開昭59-145906(JP,A)
【文献】特開昭56-030610(JP,A)
【文献】実開平01-173604(JP,U)
【文献】米国特許第06240783(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 22/00
E01D 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続部を有する橋梁において、互いに対向する一方の構造物と他方の構造物との前記接続部に設置され、前記一方の構造物と前記他方の構造物との離間距離が許容離間量を超えることで、接続状態不良情報を出力する検知部を備え
前記検知部は、
磁力のアンバランスにより接点が閉じる複数のスイッチ部と、
前記複数のスイッチ部のそれぞれに対向する平面に磁石面を有する磁石部と
で構成され、
前記接続部において、
前記複数のスイッチ部は、前記一方の構造物および前記他方の構造物のいずれか一方に設置され、
前記磁石部は、前記一方の構造物および前記他方の構造物のいずれか他方において、前記複数のスイッチ部のそれぞれから、あらかじめ設定された距離だけ離間して前記磁石面が位置するように配置され、
前記離間距離が前記許容離間量を超えることで開状態となる接点信号を前記接続状態不良情報として出力する出力部を有する
接続監視センサ。
【請求項2】
接続部を有する橋梁において、互いに対向する一方の構造物と他方の構造物との前記接続部に設置され、前記一方の構造物と前記他方の構造物との離間距離が許容離間量を超えることで、接続状態不良情報を出力する検知部を備え、
前記検知部は、
磁力のアンバランスにより閉じる接点が、コ字状の部材の互いに対向する面に配置されたスイッチ部と、
前記互いに対向する面に配置された前記スイッチ部のそれぞれに対向する両平面に磁石面を有し、前記コ字状の部材の間に配置される磁石部と
で構成され、
前記接続部において、
前記スイッチ部が配置された前記コ字状の部材は、前記一方の構造物および前記他方の構造物のいずれか一方に設置され、
前記磁石部は、前記一方の構造物および前記他方の構造物のいずれか他方において、前記コ字状の部材の前記互いに対向する面のそれぞれから、あらかじめ設定された距離だけ離間して前記両平面のそれぞれの磁石面が位置するように配置され、
前記離間距離が前記許容離間量を超えることで開状態となる接点信号を前記接続状態不良情報として出力する出力部を有する
接続監視センサ。
【請求項3】
接続部を有する橋梁において、互いに対向する一方の構造物と他方の構造物との前記接続部に設置され、前記一方の構造物と前記他方の構造物との離間距離が許容離間量を超えることで、接続状態不良情報を出力する検知部を備え、
前記検知部は、
一定の長さを持つ線状の導通部材で構成され、
前記接続部において、前記導通部材の一端が前記一方の構造物および前記他方の構造物のいずれか一方に接続配置され、前記導通部材の他端が前記一方の構造物および前記他方の構造物のいずれか他方に接続配置され、
前記離間距離が前記許容離間量を超えることで前記導通部材が断線状態となった状態を前記接続状態不良情報として出力する出力部を有する
接続監視センサ。
【請求項4】
複数箇所に個別の接続部を有する橋梁において、前記個別の接続部のそれぞれに請求項からのいずれか1項に記載された接続監視センサの少なくとも何れか1つが配置されており、前記個別の接続部のそれぞれに配置された接続監視センサについて、それぞれの前記出力部を直列接続してなる監視経路を形成し、前記監視経路の導通状況を監視し、前記監視経路が断線状態になったか否かを検出する断線監視部と、
前記断線監視部により前記監視経路が前記断線状態になったことが検出された場合には、前記個別の接続部のいずれかにおいて、前記離間距離が前記許容離間量を超えたと判断する判断部と、
を備える接続監視センサシステム。
【請求項5】
前記断線監視部は、前記橋梁の設置区域に設けられており、監視結果を通信により報知する通信機能を有し、
前記判断部は、監視センタに設けられており、前記断線監視部から報知された前記監視結果を受信する通信機能を有する
請求項に記載の接続監視センサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁の健全性を無人で監視することができる接続監視センサおよび接続監視センサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両が通過する橋梁に相当する構造物は、車両の通過に伴う経年変化によって次第に劣化する。橋梁のような構造物は、壊れてしまう前に劣化状態を検知することが重要となる。
【0003】
橋梁の劣化診断を行う従来技術として、上部構造と下部構造との間に設置される部材である支承の異常を検知する支承異常検査装置がある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に係る装置は、以下のような手順で支承異常検知を行っている。
(手順1)橋梁の揺れに関する特性値であり、基準となる特性値である基準値を、あらかじめ格納しておく。
(手順2)橋梁の揺れに関する特性値である取得値を、センサを用いて取得する。
(手順3)基準値と取得値との差異に基づいて、支承異常検知を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-31830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
特許文献1では、あらかじめ基準値を生成しておく必要がある。正確な基準値を生成するためには、例えば、既知の重量の車両を用意してデータ収集を行うことが必要となる。従って、基準値を生成するための手間がかかる。
【0006】
また、基準値を生成した際に、橋梁がすでに劣化し始めていたような場合には、基準値自体が信頼性に欠け、正確な劣化診断ができないおそれがある。
【0007】
さらに、地震あるいは火災による災害時などの緊急時には、市街地から遠い橋梁などでは、健全性を確認するために現地まで行くことが難しい。その一方で、道路網の通行可否の確認作業は、緊急の判断が必要である。
【0008】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、橋梁の健全性を無人で監視することができる接続監視センサおよび接続監視センサシステムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る接続監視センサは、接続部を有する橋梁において、互いに対向する一方の構造物と他方の構造物との接続部に設置され、一方の構造物と他方の構造物との離間距離が許容離間量を超えることで、接続状態不良情報を出力する検知部を備え、検知部は、磁力のアンバランスにより接点が閉じる複数のスイッチ部と、複数のスイッチ部のそれぞれに対向する平面に磁石面を有する磁石部とで構成され、接続部において、複数のスイッチ部は、一方の構造物および他方の構造物のいずれか一方に設置され、磁石部は、一方の構造物および他方の構造物のいずれか他方において、複数のスイッチ部のそれぞれから、あらかじめ設定された距離だけ離間して磁石面が位置するように配置され、離間距離が許容離間量を超えることで開状態となる接点信号を接続状態不良情報として出力する出力部を有するものである。
また、本発明に係る接続監視センサは、接続部を有する橋梁において、互いに対向する一方の構造物と他方の構造物との接続部に設置され、一方の構造物と他方の構造物との離間距離が許容離間量を超えることで、接続状態不良情報を出力する検知部を備え、検知部は、磁力のアンバランスにより閉じる接点が、コ字状の部材の互いに対向する面に配置されたスイッチ部と、互いに対向する面に配置されたスイッチ部のそれぞれに対向する両平面に磁石面を有し、コ字状の部材の間に配置される磁石部とで構成され、接続部において、スイッチ部が配置されたコ字状の部材は、一方の構造物および他方の構造物のいずれか一方に設置され、磁石部は、一方の構造物および他方の構造物のいずれか他方において、コ字状の部材の互いに対向する面のそれぞれから、あらかじめ設定された距離だけ離間して両平面のそれぞれの磁石面が位置するように配置され、離間距離が許容離間量を超えることで開状態となる接点信号を接続状態不良情報として出力する出力部を有するものである。
また、本発明に係る接続監視センサは、接続部を有する橋梁において、互いに対向する一方の構造物と他方の構造物との接続部に設置され、一方の構造物と他方の構造物との離間距離が許容離間量を超えることで、接続状態不良情報を出力する検知部を備え、検知部は、一定の長さを持つ線状の導通部材で構成され、接続部において、導通部材の一端が一方の構造物および他方の構造物のいずれか一方に接続配置され、導通部材の他端が一方の構造物および他方の構造物のいずれか他方に接続配置され、離間距離が許容離間量を超えることで導通部材が断線状態となった状態を接続状態不良情報として出力する出力部を有するものである。
【0010】
また、本発明に係る接続監視センサシステムは、複数箇所に個別の接続部を有する橋梁において、個別の接続部のそれぞれに、本発明に係る接続監視センサの少なくとも何れか1つが配置されており、個別の接続部のそれぞれに配置された接続監視センサについて、それぞれの出力部を直列接続してなる監視経路を形成し、監視経路の導通状況を監視し、監視経路が断線状態になったか否かを検出する断線監視部と、断線監視部により監視経路が断線状態になったことが検出された場合には、個別の接続部のいずれかにおいて、離間距離が許容離間量を超えたと判断する判断部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、橋梁の健全性を無人で監視することができる接続監視センサおよび接続監視センサシステムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1に係る接続監視センサが取り付けられる橋梁の全体構成図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る接続監視センサの第1の具体的な構成を示した説明図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る接続監視センサの第2の具体的な構成を示した説明図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る接続監視センサの内部構成を示した機能ブロック図である。
図5】本発明の実施の形態1に係る接続監視センサシステムの全体構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の接続監視センサおよび接続監視センサシステムの好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
本発明は、橋梁の接続部に設置され、接続部の隙間が許容量を超えたことを検出できる構造を備えた点を技術的特徴とするものである。特に、接続部において互いに対向する一方の構造物と他方の構造物とのずれにより、接続部において段差が生じてしまう状態を確実に検出することを技術的特徴とするものである。
【0014】
実施の形態1.
まず始めに、本願の監視対象となる構造物である橋梁の構造について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る接続監視センサが取り付けられる橋梁の全体構成図である。
【0015】
図1では、橋梁が第1橋梁1aおよび第2橋梁1bの2分割で構成され、3つの橋脚2a~2cによって支えられている場合を例示している。第1橋梁1aの両端部は、橋脚2aおよび橋脚2bにより支えられており、第2橋梁1bの両端部は、橋脚2bおよび橋脚2cにより支えられている。なお、以下の説明では、橋梁の総称を橋梁1と表記し、橋脚の総称を橋脚2と表記する。なお、第1橋梁1aと橋脚2aとの間、第1橋梁1aと橋脚2bとの間、第2橋梁1bと橋脚2bとの間、および第2橋梁1bと橋脚2cとの間には、それぞれ支承が設けられているが、図示を省略している。
【0016】
地震等の災害が発生した際に損傷しやすい部分としては、一方の構造物である橋梁1と、他方の構造物である橋脚2との接続部、あるいは一方および他方の構造物である橋梁1同士の接続部が挙げられる。図1では、このような損傷を受けやすい部分を、接続部A1~A3として示している。接続部A1~A3は、いずれも、設置時において、一方の構造物と他方の構造物との間に、適切な量の隙間が設けられている。なお、以下の説明では、接続部の総称を接続部Aと表記する。
【0017】
これらの接続部A1~A3において、接続部での隙間あるいは段差が許容量以上に大きくなると、オートバイなどの通行時には転倒のリスクが発生するため、緊急の判断が必要となる。ここで、「段差」とは、接続部において互いに対向する構造物間のずれにより、橋梁1の道路面の平坦さが損なわれる状態、あるいは橋梁1の側面の平坦さが損なわれる状態を意味している。
【0018】
そこで、本願発明では、緊急の判断を実現するために、接続部Aでの隙間あるいは段差が許容量を超えたことを検出することのできる接続監視センサを、接続部A1~A3に設置することを特徴としている。そこで、次に、本実施の形態1に係る接続監視センサの具体的な構成について、図2図4を用いて説明する。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態1に係る接続監視センサの第1の具体的な構成を示した説明図である。図2に示した接続監視センサ10は、検知部100と出力部110とを備えて構成されている。
【0020】
検知部100は、磁力のアンバランスにより接点が閉じる複数のスイッチ部101と、複数のスイッチ部のそれぞれに対向する平面に磁石面を有する磁石部102とが互いに対向配置されるように構成されている。
【0021】
複数のスイッチ部101は、接続部Aの隙間を構成する一方の構造物に設置される。また、磁石部102は、接続部Aの隙間を構成する他方の構造物に設置される。そして、磁石部102は、他方の構造物において、複数のスイッチ部101のそれぞれから、複数のスイッチ部101と対向する位置において、あらかじめ設定された離間距離を有して磁石面が位置するように配置される。
【0022】
出力部110は、離間距離が許容離間量を超えることで開状態となる接点信号を、接続状態不良情報として出力する機能を有している。図2では、出力部110が磁石部102内に埋め込まれており、配線111により接続状態不良情報としての接点信号が外部に出力される状態を示している。
【0023】
図2に示したような第1の具体的な構成を備えた接続監視センサを用いることで、接続部Aの離間距離が許容離間量を超えることを容易に検出することができる。
【0024】
次に、図3は、本発明の実施の形態1に係る接続監視センサの第2の具体的な構成を示した説明図である。図3に示した接続監視センサ10は、検知部100と出力部110とを備えて構成されている。
【0025】
検知部100は、磁力のアンバランスにより閉じる接点が、コ字状の部材の互いに対向する面に配置されたスイッチ部101と、互いに対向する面に配置されたスイッチ部101のそれぞれに対向する両平面に磁石面を有し、コ字状の部材の間に配置される磁石部102とで構成されている。
【0026】
スイッチ部101は、接続部Aの隙間を構成する一方の構造物に設置される。また、磁石部102は、接続部Aの隙間を構成する他方の構造物に設置される。そして、磁石部102は、他方の構造物において、コ字状の部材の互いに対向する面のそれぞれから、あらかじめ設定された距離だけ離間して前記両平面のそれぞれの磁石面が位置するように配置される。
【0027】
出力部110は、離間距離が許容離間量を超えることで開状態となる接点信号を、接続状態不良情報として出力する機能を有している。図3では、出力部110がスイッチ部101内に埋め込まれており、配線111により接続状態不良情報としての接点信号が外部に出力される状態を示している。
【0028】
図3に示したような第2の具体的な構成を備えた接続監視センサを用いることで、接続部Aの離間距離が許容離間量を超えることを容易に検出することができる。
【0029】
なお、図示は省略するが、第3の具体的な構成を備えた接続監視センサとして、一定の長さを持つ線状の導通部材で検知部100を構成することも考えられる。この場合、接続部Aにおいて、導通部材の一端が一方の構造物に接続配置され、導通部材の他端が他方の構造物に接続配置される。
【0030】
出力部110は、離間距離が許容離間量を超えることで導通部材が断線状態となった状態を、接続状態不良情報として出力する機能を有している。
【0031】
なお、本実施の形態1において接続状態不良が発生したか否かを判断するための指標である「離間距離」とは、互いに対向する一方の構造物と他方の構造物との隙間が広がる方向だけでなく、平行移動することで、初期状態で対向していた点間の距離が広がる場合も含む概念である。
【0032】
次に、本実施の形態1に係る接続監視センサ10の内部構成について説明する。図4は、本発明の実施の形態1に係る接続監視センサ10の内部構成を示した機能ブロック図である。図4に示した機能ブロック図は、図2に示した第1の具体的な構成を備えた接続監視センサ10、および図3に示した第2の具体的な構成を備えた接続監視センサ10に共通する内部構成を示している。
【0033】
図4に示すように、接続監視センサ10は、検知部100を備えて構成され、上述したように、離間距離が許容離間量を超えることで、接続状態不良情報を出力することができる。特に、図2および図3に示したような構成においては、検知部100は、スイッチ部101と磁石部102とを含んで構成されている。
【0034】
スイッチ部101と磁石部102は、図2または図3で示したように、互いに対向配置されており、検知部100は、一方の構造物と他方の構造物とが一定量の範囲内で移動する小距離の移動に対しては感度を持たず、一定量を超える大きな移動に対して感度を持つ特性を有する。すなわち、例えば、2cmを超える移動があった場合に、磁力により閉じていたスイッチが開放されるように構成されている。このような特性を有することで、微小な移動を誤検出してしまうことを抑制し、許容量以上のずれを高精度に検出することができる。
【0035】
また、このような特性を有する接続監視センサを、同一の接続部Aにおいて、90°異なる角度で配置した2個として構成することで、離間距離が許容離間量を超えることを検出する精度を向上させることができる。特に、接続部において、高さ方向に段差が生じるようなずれを、誤検出を抑制した上で高精度に検出することができる。
【0036】
さらに、接続監視センサ10は、出力部110を備えることで、離間距離が許容離間量を超えた状態を接続状態不良情報として、配線111を介して外部に出力することができる。
【0037】
次に、接続監視センサを複数備えた本実施の形態1に係る接続監視センサシステムについて説明する。図5は、本発明の実施の形態1に係る接続監視センサシステムの全体構成を示した図である。本実施の形態1に係る接続監視センサシステムは、複数の接続監視センサ10、断線監視部20、および判断部30を備えて構成されている。
【0038】
図5に示したように、複数の接続監視センサ10は、出力部110から出力される配線111が互いに直列接続されるように配列されている。より具体的には、離間距離が前記許容離間量を超えることで開状態となる接点信号としてそれぞれの接続監視センサ10から出力される接続状態不良情報が、直列信号となった形で監視経路が形成され、断線監視部20に入力されている。
【0039】
断線監視部20は、診断対象である橋梁1の近傍に、すなわち、複数の接続監視センサ10の近傍に設置される。そして、断線監視部20は、監視経路の導通状況を監視し、監視経路が断線状態になったか否かを検出する。この結果、断線監視部20は、複数の接続監視センサ10の少なくともいずれか1つの接点が開状態となった状態を監視結果として出力できる。
【0040】
一方、判断部30は、断線監視部20により監視経路が断線状態になったことが検出された場合には、個別の接続部Aのいずれかにおいて、離間距離が許容離間量を超えたと判断することができる。
【0041】
なお、判断部30は、橋梁の設置区域とは離れて、複数の橋梁を集中監視する監視センタ内に設けることができる。この場合には、判断部30および断線監視部20の両方に通信機能を持たせ、互いに通信を行うことで、判断部30は、断線監視部20から報知された受信結果に基づいて、離間距離が許容離間量を超えたことを、遠隔地において迅速に判断することができる。
【0042】
以上のように、実施の形態1によれば、一方の構造物と他方の構造物との接続部において、許容離間量を超えるずれが発生した状態を、高精度で検出することができる。従って、橋梁の健全性を無人で監視することができる接続監視センサおよび接続監視センサシステムを実現できる。
【符号の説明】
【0043】
1、1a、1b 橋梁、2、2a、2b、2c 橋脚、10 接続監視センサ、20 断線監視部、30 判断部、100 検知部、101 スイッチ部、102 磁石部、110 出力部、111 配線。
図1
図2
図3
図4
図5