(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0484 20220101AFI20240123BHJP
G06F 3/04886 20220101ALI20240123BHJP
G06F 21/31 20130101ALI20240123BHJP
【FI】
G06F3/0484
G06F3/04886
G06F21/31
(21)【出願番号】P 2020070596
(22)【出願日】2020-04-09
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】317014747
【氏名又は名称】シュナイダーエレクトリックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】近藤 浩久
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼瀬 裕史
(72)【発明者】
【氏名】慶家 蔵
(72)【発明者】
【氏名】谷 慶司
【審査官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-215852(JP,A)
【文献】特開2011-081798(JP,A)
【文献】特開2017-090685(JP,A)
【文献】特開2018-082446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/01
G06F3/03
G06F3/048-3/04895
G09G5/00-5/42
H04M1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作入力を行う操作入力部と、
前記操作入力部による操作入力の対象となる操作対象を少なくとも有する操作画面を表示する表示面を有し、当該表示面の輝度が変更可能な表示部と、
前記表示面の輝度を変化させるための情報を記憶する記憶部と、
所定の条件が満たされたとき、前記操作対象への操作入力を無効にするとともに、前記操作対象への操作入力が無効な操作無効状態を解除する操作入力を受ける解除領域を有する無効解除画面を前記操作画面上に表示させる操作無効部と、
前記無効解除画面が前記操作画面上に表示された状態で、前記操作入力部による操作入力が前記操作無効状態を解除するための前記解除領域に対する所定の操作入力でない誤操作であるとき、
前記情報に基づいて前記表示面の輝度を許容範囲内
で変更する表示輝度変更部と、を備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示輝度変更部は、
前記表示部に対して設定された現状の輝度を取得しており、
前記情報に基づいて、前記現状の輝度からの変更の方向と変更量とを決定することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示輝度変更部は、前記無効解除画面の前記解除領域への操作入力が受け付けられることにより前記操作無効状態が解除された状態で、前記表示面の輝度が規定輝度より低い場合、前記表示面の輝度を当該規定輝度に変更することを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
操作入力を行う操作入力部と、
前記操作入力部による操作入力の対象となる操作対象を少なくとも有する操作画面を表示し、表示の状態についての変更可能な表示属性を有する表示部と、
所定の条件が満たされたとき、前記操作対象への操作入力を無効にするとともに、前記操作対象への操作入力が無効な操作無効状態を解除する操作入力を受ける解除領域を有する無効解除画面を前記操作画面上に表示させる操作無効部と、
前記無効解除画面が前記操作画面上に表示された状態で、前記操作入力部による操作入力が前記操作無効状態を解除するための前記解除領域に対する所定の操作入力でない誤操作であるとき、前記表示属性を許容範囲内で変更する表示属性変更部と、を備え、
前記表示属性変更部は、前記操作対象への操作が前記操作無効部によって無効にされたときの前記表示属性に対して、前記許容範囲において前記表示属性の変更可能な範囲が広い側を、前記表示属性を変更する変更方向と定め、前記誤操作が行われるごとに、前記変更方向に向けて前記表示属性を変更することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
前記表示属性変更部による前記表示属性の変更の態様は、前記許容範囲内で設定可能であることを特徴とする請求項
4に記載の表示装置。
【請求項6】
操作入力を行う操作入力部と、
前記操作入力部による操作入力の対象となる操作対象を少なくとも有する操作画面を表示し、表示の状態についての変更可能な表示属性を有する表示部と、
所定の条件が満たされたとき、前記操作対象への操作入力を無効にするとともに、前記操作対象への操作入力が無効な操作無効状態を解除する操作入力を受ける解除領域を有する無効解除画面を前記操作画面上に表示させる操作無効部と、
前記無効解除画面が前記操作画面上に表示された状態で、前記操作入力部による操作入力が前記操作無効状態を解除するための前記解除領域に対する所定の操作入力でない誤操作であるとき、前記表示属性を許容範囲内で変更する表示属性変更部と、を備え、
前記操作無効部は、前記操作無効状態において前記表示属性が変更された状態で、前記操作入力部による操作入力が前記操作無効状態を解除するための前記解除領域に対する所定の操作入力であるときに、前記表示属性を設定するための設定画面を前記表示部に表示させることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
前記操作無効部は、前記解除領域を強調表示させることを特徴とする請求項
4から
6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記操作画面は、前記操作対象が設けられた操作区域と、監視対象が設けられた監視区域とを有しており、
前記操作無効部は、前記無効解除画面を前記監視区域以外の上に表示させることを特徴とする請求項
4から
7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記操作無効部および前記表示属性変更部は、イベントハンドラによって実現され、
前記イベントハンドラは、操作入力をイベントとして補足し、当該イベントを補足したときに、前記操作無効部および前記表示属性変更部がそれぞれ行う処理を行うことを特徴とする請求項
4から
8のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誤操作時に表示属性を変更する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、設置環境(周囲の明るさ、温度など)の変化によって、視認性が変化することがある。例えば、夜間に屋外で表示装置を使用しており、画面が明るすぎないように画面を表示する表示面の輝度を低く設定している状態から朝になると、周囲が明るくなることにより、表示面が暗く見える。このような状況では、通常、操作者は表示面の表示属性(輝度、コントラストなど)を変更する。
【0003】
また、一般に、表示装置を有するコンピュータ機器は、操作が所定の時間されなかった場合、自動的に画面に対する操作をロックしたり、自動的にログアウトしたりする機能を備えている。例えば、特許文献1には、ディスプレイを消灯し、タッチスクリーンの検出動作を停止したスリープ状態において、ボタンに対する操作を検出するとディスプレイに所定の操作を除いて利用者の操作を受け付けないロック画面を表示することが開示されている。所定の操作は、ロック画面が表示されるロック状態を解除する操作である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-50888号公報(2017年3月9日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示装置の設置環境の変化によって、表示装置の画面の視認性が極めて悪くなった場合、誤った操作をすることがある。このような誤操作を防止するために、表示装置が所定時間操作されなかった場合、上述のように、自動的に画面操作をロックしたり、ログアウトしたりすることが考えられる。しかし、このような方法によっても、視認性の悪さのためにロック解除操作やログイン操作ができなくなるという問題が起こる。
【0006】
本発明は、表示装置の視認性が低下した状態から操作禁止状態を解除する操作を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る表示装置は、操作入力を行う操作入力部と、前記操作入力部による操作入力の対象となる操作対象を少なくとも有する操作画面を表示し、表示の状態についての変更可能な表示属性を有する表示部と、所定の条件が満たされたとき、前記操作対象への操作入力を無効にするとともに、前記操作対象への操作入力が無効な操作無効状態を解除する操作入力を受ける解除領域を有する無効解除画面を前記操作画面上に表示させる操作無効部と、前記無効解除画面が前記操作画面上に表示された状態で、前記操作無効状態を解除するための前記解除領域に対する所定の操作入力でない誤操作であるとき、前記表示属性を許容範囲内で変更する表示属性変更部と、を備えている。
【0008】
操作無効状態を解除するためには、解除領域に対して操作無効状態を解除するための所定の操作入力を行う必要がある。これに対し、操作入力が、上記の所定の操作入力でない誤操作であるとき、表示属性が変更される。具体的には、表示属性が変更されるのは、表示されている操作画面および無効解除画面の解除領域以外の領域に対して誤って行われたとき、または解除領域を単に指示するだけの操作入力が行われたときである。上記のように表示属性が変更されることにより、操作画面上に無効解除画面が表示された状態で、例えば、周囲が明るくなったり暗くなったりすることで、操作画面および無効解除画面が見えにくくなっても、操作画面および無効解除画面を見えやすくすることが可能になる。
【0009】
前記表示装置において、前記表示属性変更部は、前記操作対象への操作が前記操作無効部によって無効にされたときの前記表示属性に対して、前記許容範囲において前記表示属性の変更可能な範囲が広い側を、前記表示属性を変更する変更方向と定め、前記誤操作が行われるごとに、前記変更方向に向けて前記表示属性を変更してもよい。
【0010】
表示属性を変更させる変更方向が、変更可能な範囲が広い側に定められる。これにより、表示属性を周囲環境に合わせるように調整しやすくすることができる。
【0011】
前記表示装置において、前記表示属性変更部は、前記表示属性を予め定められた状態に変更してもよい。
【0012】
解除領域への操作が正しく行われなかったときに、表示属性を所望の状態に変更することができる。これにより、表示属性の変更に要する手間を削減することができる。
【0013】
前記表示装置において、前記表示属性変更部による前記表示属性の変更の態様は、前記許容範囲内で設定可能であってもよい。
【0014】
表示属性変更部による表示属性の変更の態様を設定可能にすることで、操作者の所望とする態様で表示属性を変更することができる。これにより、装置の使いやすさが向上する。
【0015】
前記表示装置において、前記操作無効部は、前記操作無効状態において前記表示属性が変更された状態で、前記操作入力部による操作入力が前記操作無効状態を解除するための所定の操作入力であるときに、前記表示属性を設定するための設定画面を前記表示部に表示させてもよい。
【0016】
表示属性が変更されることにより解除領域への操作入力が可能となった状態では、ようやく解除領域が視認できる程度となることがある。このような状態から、操作無効状態が解除されても、操作画面の視認性が十分確保されない。そこで、解除領域への操作入力が行われたときに表示される設定画面に対して適正な表示属性を設定することにより、操作画面を設定した表示属性で表示させることができる。
【0017】
前記表示装置において、前記操作無効部は、前記解除領域を強調表示させてもよい。
【0018】
解除領域への操作入力が正しく行われなかったことにより表示属性が変更されて無効解除画面が認識できるようになっても、解除領域が特定できないことを回避して、解除領域への操作入力を容易にすることができる。
【0019】
前記表示装置において、前記操作無効部は、前記無効解除画面を前記監視区域以外の上に表示させてもよい。
【0020】
監視区域は、無効解除画面によって隠されることがない。これにより、無効解除画面への操作入力が成功しないために表示属性が変更されていく間にも、監視区域における監視対象の状態を見ることができる。
【0021】
前記表示装置において、前記操作無効部および前記表示属性変更部は、イベントハンドラによって実現され、当該イベントハンドラは、操作入力をイベントとして補足し、当該イベントを補足したときに、前記操作無効部および前記表示属性変更部がそれぞれ行う処理を行うものであってもよい。
【0022】
上記の構成によれば、一般的なイベントハンドラを用いて、操作無効部および表示属性変更部を実現することができる。これにより、操作無効部および表示属性変更部を含めた表示装置の開発を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様によれば、表示装置の視認性が低下した状態から操作禁止状態を解除する操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態1に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】上記制御システムにおけるプログラマブル表示器のシステム構成を示すブロック図である。
【
図3】上記プログラマブル表示器の表示面に操作画面が表示された状態を示す図である。
【
図4】上記プログラマブル表示器の表示面に操作画面およびスライドバー300が表示された状態を示す図である。
【
図5】上記プログラマブル表示器の通常状態から画面ロック状態に移行する処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】上記プログラマブル表示器の画面ロック状態から通常状態に移行する処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】画面ロック状態で上記表示面の輝度が低いときに誤操作が行われた状態を示す図である。
【
図8】
図7に示す画面ロック状態で誤操作が行われることにより上記表示面の輝度が上げられたときにさらに誤操作が行われた状態を示す図である。
【
図9】
図8に示す画面ロック状態で誤操作が行われることにより上記表示面の輝度が上げられたときに正しい操作が行われた状態を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態2に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図11】上記制御システムにおけるコンピュータのシステム構成を示すブロック図である。
【
図12】上記コンピュータにおけるタッチ操作信号の処理系の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1について
図1~
図9に基づいて説明すると、以下の通りである。
【0026】
まず、本実施形態に係る制御システムについて説明する。
【0027】
図1は、本実施形態に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
図2は、プログラマブル表示器1のシステム構成を示すブロック図である。
【0028】
プログラマブル表示器1(表示装置)は、専用のOS(Operating System)を実装した組み込み機器であり、プログラマブル表示器1の各種の機能を実現するためのHMIプログラムを実行する機能を備えている。プログラマブル表示器1は、工場などの厳しい環境に適合するように、防塵性、防滴性、耐振動性などを高めたHMI機器である。HMIプログラムは、外部機器との通信、当該外部機器から取得したデータの表示、入力装置を用いた操作者による操作の受け付けなどの各種の機能を実現するプログラム(組み込みプログラム)である。
【0029】
まず、プログラマブル表示器1のハードウェア構成について説明する。
【0030】
図1に示すように、プログラマブル表示器1は、制御の主要部として、CPU(Central Processing Unit)11と、メインメモリ12と、ROM(Read Only Memory)13と、ユーザメモリ14とを備えている。また、プログラマブル表示器1は、タッチパネルを15(操作入力部)と、表示パネル16(表示部)と、インタフェース部17とを備えている。
【0031】
CPU11は、HMIプログラムを実行する処理装置である。具体的には、CPU11は、HMIプログラムの実行に際して、メインメモリ12、ユーザメモリ14、タッチパネル15などから受け取ったデータに対して演算または加工を施した結果を、メインメモリ12、ユーザメモリ14、表示パネル16などに出力する。
【0032】
メインメモリ12は、プログラマブル表示器1における主記憶装置を構成するメモリであり、DRAM(Dynamic Random Access Memory)によって構成される。
【0033】
ROM13は、プログラマブル表示器1の起動時やリセット時に実行されるBIOS(Basic Input Output System)などの、プログラマブル表示器1の動作に不可欠なプログラムを記憶している。
【0034】
ユーザメモリ14は、後述するHMI画面を作成する画面作成者が作成したデータ、例えばHMI画面を表示するためのメイン画面データを記憶する大容量の記憶装置である。ユーザメモリ14は、FEPROM(Flash Erasable and Programmable ROM)などで構成されている。
【0035】
タッチパネル15は、表示パネル16の表示面16a上に配置されている。タッチパネル15は、表示面16aに表示された画面上でのタッチ操作(操作入力)を受け付ける入力デバイスである。タッチパネル15は、タッチ操作を受け付けた結果としてタッチ操作信号を出力する。タッチ操作信号は、タッチ操作がされた位置の座標などの情報を含んでいる。なお、タッチパネル15は、表示パネル16の表示面16aに組み込まれていてもよい。
【0036】
表示パネル16は、ユーザメモリ14に記憶されているメイン画面データに基づいたHMI画面を操作画面として表示する。表示パネル16としては、液晶表示パネル、有機ELパネルなどの平板型表示パネルが用いられる。表示パネル16は、表示の状態についての変更可能な表示属性を有している。
【0037】
インタフェース部17は、制御機器2と通信可能に接続するための接続部と、PC(パーソナルコンピュータ)4と通信可能に接続するための接続部とを含んでいる。インタフェース部17は、シリアルインタフェース、LAN(Local Area Network)、USB(Universal Serial Bus)などの各種のインタフェースを装備している。
【0038】
制御機器2は、PLC(Programmable Logic Controller)、温度調節計、インバータなどの外部機器であり、プログラマブル表示器1と通信する機能を備えている。制御機器2は、デバイス20との間でデータの授受を行なう。デバイス20としては、センサ、スイッチのような入力機器や、アクチュエータ、リレー、電磁弁、表示器のような出力機器が用いられる。
【0039】
続いて、プログラマブル表示器1のシステム構成について説明する。
【0040】
図2に示すように、プログラマブル表示器1は、制御機能を有する部分としてHMI制御部3を含んでいる。
【0041】
HMI制御部3は、HMIプログラムがCPU11によって実行されることで実現される、HMI機能を有する部分である。
【0042】
ここで、HMI機能とは、操作者の入力操作に応じた制御機器2への指示の発生と、制御機器2からの各種データの取得と、取得した当該各種データの表示および上記入力操作の受け付けを行うためのHMI画面(操作画面)の表示とを含む機能である。HMI制御部3は、動作制御部31と、表示制御部32とを有している。動作制御部31は、HMI機能として、操作者の操作入力および制御機器2が保持するデータの変化に基づいて各部を制御する。表示制御部32は、HMI画面の表示を制御する。
【0043】
HMI画面は、制御機器2に接続されたデバイス20の状態を表示したり、タッチパネル15への操作を受け付けたりするための各種のオブジェクトを含む画面である。HMI画面に設けられるオブジェクトとしては、ランプ画像、数値表示器画像、スイッチ画像、ボタン画像などの各種の部品画像が用意されている。また、オブジェクトとしては、各種の図形(円形、矩形、多角形、直線など)、イメージなども利用することができる。
【0044】
ランプ画像、数値表示器画像などのような監視すべき事象を表すための部品画像は、HMI画面において監視対象となる。スイッチ画像、ボタン画像などのような操作を行うための部品画像は、HMI画面において操作対象(タッチパネル15による操作入力の対象)となる。ただし、数値表示器画像には、目標値、設定値などの入力を受け付けるとともに表示するという操作機能と表示機能とを兼ね備えた数値表示器画像もある。また、スイッチ画像には、操作対象を操作するとともにスイッチの状態を表示するという操作機能と表示機能とを兼ね備えたスイッチ画像もある。このように操作機能と表示機能とを兼ね備えた画像については、操作対象および監視対象として扱われる。
【0045】
このようなHMI画面を表示するための画面データは、PC4において作成されて、ユーザメモリ14に保存されている。PC4は、画面の作成および編集を行うアプリケーションプログラムによって実現される機能ブロックとして作画編集部41を備えている。
【0046】
動作制御部31は、タッチパネル15における操作者のタッチによる入力操作に応じた操作指示を発生する。この操作指示としては、制御機器2の起動・停止指示、制御機器2に与える制御データの変更、画面の切り替えなどがある。また、動作制御部31は、制御機器2のデータの変化に応じた制御指示を発生する。この制御指示としては、画面の切り替えなどがある。
【0047】
動作制御部31は、操作無効部311を有している。操作無効部311は、タッチパネル15によるタッチ操作が所定時間内にされなかったとき、操作対象へのタッチ操作を無効にする。また、操作無効部311は、無効解除画面をHMI画面上に表示させるように描画部321に指示を与える。無効解除画面は、操作対象へのタッチ操作が無効な操作無効状態を解除する操作入力を受ける解除領域を有している。また、操作無効部311は、無効解除画面がHMI画面上に表示された状態で、タッチパネル15によるタッチ操作が解除領域以外に行われたとき、後述する表示属性変更部322にそのことを、解除領域外操作通知として通知する。
【0048】
無効解除画面は、HMI画面を介したタッチパネル15へのタッチ操作を受け付けないことを表す画面である。無効解除画面は、画面がロック(固定)されている状態のロック画面、ログアウト状態に移行してログインを促すログイン画面などである。ロック画面の解除領域は、例えば、画面ロック状態を解除する操作をする部分である。ログイン画面の解除領域は、例えば、ログインするためのパスワードなどを入力するフィールドまたは入力するフィールドを表示するための操作指示領域である。
【0049】
表示制御部32は、画面データに基づいて表示パネル16にHMI画面を表示させる制御処理を行う。また、表示制御部32は、インタフェース部17を介して取得した制御機器2のデータを、HMI画面に反映させる処理を行う。例えば、表示制御部32は、HMI画面において、上述のランプ画像を点灯・消灯させたり、上述のデータ表示器画像にデータを表示させたりする処理を行う。また、表示制御部32は、上記操作指示に応じてHMI画面の状態を変化させる処理を行う。例えば、表示制御部32は、上述のスイッチ画像を操作する上記操作指示を受けて、当該スイッチ画像の表示状態(色、形状など)を変化させる処理を行う。さらに、表示制御部32は、操作者の操作に応じてHMI画面の切り替え処理を行なう。
【0050】
表示制御部32は、描画部321と、表示属性変更部322とを有している。
【0051】
描画部321は、ユーザメモリ14に記憶されているHMI画面データに基づいて、表示パネルにHMI画面を表示させる。具体的には、描画部321は、HMI画面データを、図示しないビデオメモリに一時的に展開し、表示パネル16に画素単位で転送する。
【0052】
また、描画部321は、操作無効部311からの上述した解除領域外操作通知を受けると、ユーザメモリ14に記憶されているHMI画面データおよび無効解除画面データに基づいて、表示パネル16にHMI画面上に重なった状態で無効解除画面を表示させる。具体的には、描画部321は、HMI画面を単独で表示させる上記の場合と同様、HMI画面データおよび無効解除画面データを、ビデオメモリに展開した後、表示パネル16に転送する。
【0053】
表示属性変更部322は、タッチパネル15へのタッチ操作が誤操作であるとき、表示属性を許容範囲内で変更するように表示パネル16に指示を与える。誤操作とは、無効解除画面がHMI画面上に表示された状態で、操作無効状態を解除するための解除領域に対する所定の操作入力でない操作である。表示属性変更部322は、表示パネル16に対して設定された現状の表示属性を取得しており、ユーザメモリ14に記憶されている表示属性情報に基づいて、現状の表示属性から変更の方向と変更量とを少なくとも指示として表示パネル16に与える。
【0054】
表示属性情報は、画面データと同様、作画編集部41によって作成される。また、表示属性情報は、作画編集部41によって作成された後、プログラマブル表示器1に保存されてからは、使用環境に合わせるように、操作者によってプログラマブル表示器1において変更される。
【0055】
表示属性は、表示の状態を変化させる属性であり、輝度およびコントラストが挙げられる。輝度は、液晶パネルの場合、バックライトの輝度に相当し、有機ELパネルの場合、画素の輝度に相当する。主にモノクロ表示に利用するSTN液晶パネルなどの表示パネル16の場合、輝度に関わらずコントラストによっても視認性が変わる。
【0056】
その他の表示属性としては、透過性のスクリーンに画像を表示させるOHD(Over Head Projector)の透過度合や、自動車のフロントガラスにメータを表示する表示システムにおけるフロントガラスの透過度合が挙げられる。当該表示システムの場合、完全な透過状態で前方がメータと同じ色であった場合、メータが見づらくなるので、透過度合を変更することでメータを見やすくすることができる。
【0057】
また、カーナビゲーションシステムでは、夜間モードになると、昼間に非常に明るいグレーでベースを表示している画面が、トンネルに入ったときにヘッドライトがONすると、濃いブルーベースに見えたり、黒ベースに見えたりということが瞬時に起こる。これに対し、夜間モードの画面設定と昼間モードの画面設定とを予め用意しておき、誤操作したときに、逆方向に画面設定を変えてもよい。具体的には、夜間画面の設定と昼間画面の設定とを用意したり、夜間画面と昼間画面とを用意して切り替えたりすることで表示属性を変更してもよい。
【0058】
また、プレゼンテーションソフトウェアのデザイン機能では、例えば、表を配置したときに、デザイン設定で色を選べるが、夜間のデザインと昼間のデザインとを用意しておき、それらを自動的切り替えるようにして表示属性を変更してもよい。
【0059】
上記のように構成されるプログラマブル表示器1による操作無効状態への移行処理について説明する。ここでは、通常の操作可能な状態から、上述したロック画面を表示する画面ロック状態に移行する場合について説明する。
【0060】
図3は、プログラマブル表示器1の表示面16aにHMI画面200が表示された状態を示す図である。
図4は、表示面16aにHMI画面200およびスライドバー300が表示された状態を示す図である。
図5は、プログラマブル表示器1の通常状態から画面ロック状態に移行する処理の手順を示すフローチャートである。
【0061】
図3に示すように、通常の操作可能な状態では、プログラマブル表示器1の表示面16aに、操作画面としてのHMI画面200が表示されている。HMI画面200は、トレンドグラフ201と、数値表示ブロック202と、スイッチブロック203と、キーパッド204とを含んでいる。
【0062】
トレンドグラフ201は、監視対象の数値変化を表示するグラフであり、監視区域に分類される。数値表示ブロック202は、上述した数値表示器画像を少なくとも1つ含んでいる。
【0063】
数値表示器画像が、監視対象の数値変化を表示するのみの数値表示器である場合、数値表示ブロック202は、監視対象が設けられた監視区域に分類される。また、数値表示器画像が、目標値、設定値などの入力を受け付けるとともに表示するという操作表示対象の数値設定表示器である場合、数値表示ブロック202は、監視区域および操作区域の両方に分類される。
【0064】
スイッチブロック203は、上述したスイッチ画像を少なくとも1つ含んでいる。スイッチ画像が、操作対象を操作するスイッチ機能のみを有する場合、スイッチブロック203は操作区域に分類される。また、スイッチ画像が、スイッチ機能だけでなくスイッチの状態を表示する表示機能(状態表示機能)も有する場合、スイッチブロック203は監視区域および操作区域の両方に分類される。キーパッド204は、テンキーなどを含んでおり、操作区域に分類される。
【0065】
図4に示すように、画面ロック状態では、表示面16aに、無効解除画面としてのスライドバー300が表示される。スライドバー300は、HMI画面200の下部に配置されている。スライドバー300は、帯状に長く形成されており、解除領域としてのスライダー300aを有している。スライダー300aは、スライドバー300上を右方向に移動可能に設けられており、画面ロック状態ではスライドバー300の左端に位置している。スライダー300aが操作者によってスライドバー300の右端へドラッグ操作されると、画面ロック状態が解除される。
【0066】
図5に示すように、操作無効部311は、まず、無操作期間が所定時間以上であるか否かを判定する(ステップS1)。操作無効部311は、ステップS1において、タッチパネル15から出力されるタッチ操作信号を受けてから計時し、次にタッチ操作信号を受けた時点で計時を終了し、その時間が所定時間に達していなければ(NO)、新たに計時を開始する。また、操作無効部311は、ステップS1において、上記の計時した時間が所定時間以上に達していると判定すると(YES)、描画部321にスライドバー300を表示させる(ステップS2)。
【0067】
ステップS2において、操作無効部311は、描画部321にロック画面の表示を指示する。描画部321は、操作無効部311の指示にしたがって、ユーザメモリ14に記憶されているHMI画面200および無効解除画面データに基づいて、HMI画面200上にスライドバー300が重畳された画像を構成する表示データを表示パネル16に送出する。表示パネル16は、描画部321からの表示データに基づいて、
図4に示すように、HMI画面200上にスライドバー300を重ねて表示する。
【0068】
このようにして、画面ロック状態への移行が完了する。
【0069】
続いて、プログラマブル表示器1による画面ロック状態から通常状態への移行処理について説明する。
【0070】
図6は、プログラマブル表示器1の画面ロック状態から通常状態に移行する処理の手順を示すフローチャートである。
図7は、画面ロック状態で表示面16aの輝度が低いときに誤操作が行われた状態を示す図である。
図8は、
図7に示す画面ロック状態で誤操作が行われることにより表示面16aの輝度が上げられたときにさらに誤操作が行われた状態を示す図である。
図9は、
図8に示す画面ロック状態で誤操作が行われることにより表示面16aの輝度が上げられたときに正しい操作が行われた状態を示す図である。
【0071】
ここでは、例えば、屋外でプログラマブル表示器1を使用しているような状況を想定している。そして、夜間で周囲が暗い環境において、表示面16aが見やすいように、表示面16aの輝度が低く設定された状態で、
図4に示す画面ロック状態に移行してから、周囲が明るくなったときの表示属性としての輝度の調整について説明する。表示面16aが低輝度の状態で周囲が明るくなると、表示面16aが暗く見える。
【0072】
図6に示すように、まず、操作無効部311は、タッチパネル15に対してタッチ操作がされたか否かを判定する(ステップS11)。操作無効部311は、ステップS11において、タッチ操作信号を受けなければ(NO)、タッチ操作信号を待ち受ける一方、タッチ操作信号を受けるとタッチ操作がされたと判定する(YES)。
【0073】
操作無効部311は、タッチ操作がされたと判定すると、タッチパネル15へのタッチ操作がスライドバー300に対して画面ロック状態を解除する操作であるか否かを判定する(ステップS12)。操作無効部311は、ステップS12において、タッチ操作信号が表す座標がスライドバー300上を右端へ移動したと認識すると、スライダー300aに対して画面ロックを解除する操作がされたと判定する(YES)。操作無効部311は、その判定により、タッチパネル15への操作が無効な状態を解除する。このようにして、画面ロック状態から通常状態への移行が完了する。
【0074】
また、操作無効部311は、ステップS12において、タッチ操作信号が表す座標がスライドバー300以外の位置であると認識すると、スライダー300a以外の位置に対してタッチ操作がされたと判定して(NO)、そのタッチ操作をブロック(無効)にする。なお、スライダー300a以外の箇所がタッチ操作されると、操作無効部311は、タッチ操作がされた位置に、操作が禁止されたことを表す操作禁止マーク(図示せず)を描画部321に表示させてもよい。
【0075】
操作無効部311は、ステップS13において、表示面16aの輝度を変更するように表示属性変更部322に指示を与える。これにより、表示属性変更部322は、ユーザメモリ14に記憶されている表示属性情報に基づいて、表示面16aの輝度を上げるように変更する(ステップS14)。輝度の変更後は、処理がステップS11に移行する。
【0076】
表示面16aの輝度が上げられた結果、
図8に示すように、表示面16aは、
図7に示す状態から少し明るく見える。しかしながら、この状態でも、スライダー300aの位置がわからないため、操作者は誤操作してしまう。このため、ステップS13の処理によって、タッチ操作がブロックされて、ステップS14の処理によって、輝度がさらに上げられる。この結果、
図9に示すように、表示面16aが明るく見えると、ようやくスライダー300aの位置が確認できる状態になる。したがって、操作者は、スライダー300aを操作して、画面ロック状態を解除することができる。
【0077】
ところで、昼間で周囲が明るい環境において、表示面16aが見やすいように、表示面16aの輝度が高く設定された状態で、
図4に示す画面ロック状態に移行してから、周囲が暗くなることがある。このような状況では、高輝度に設定された表示面16a、表示面16aが明るくなりすぎて見づらくなる。このような状況下で誤操作が行われると、上記の場合とは逆に、表示面16aの輝度を低下させていく。これにより、表示面16aが明るすぎる状態から見えやすい明るさとなるように、輝度が変更される。
【0078】
以上のように、本実施形態に係るプログラマブル表示器1は、操作無効部311と、表示属性変更部322とを備えている。操作無効部311は、所定の条件が満たされたときとして、例えば、タッチパネル15へのタッチ操作が所定時間内にされなかったとき、操作対象への操作入力を無効にする。また、操作無効部311は、操作対象へのタッチ操作が無効な操作無効状態を解除するタッチ操作を受ける解除領域(スライダー300aなど)を有する無効解除画面(スライドバー300)をHMI画面200上に表示させる。表示属性変更部322は、無効解除画面がHMI画面200上に表示された状態で、タッチパネル15へのタッチ操作が操作無効状態を解除するための解除領域に対する所定のタッチ操作でない誤操作であるとき、表示属性として例えば輝度を許容範囲内で変更する。
【0079】
上記の構成では、操作無効状態を解除するために、操作無効状態を解除するための所定のタッチ操作として、スライダー300aに対してドラッグするタッチ操作を行う必要がある。これに対し、タッチ操作が、表示されているHMI画面200およびスライダー300a以外の領域に対して誤って行われたとき、輝度が変更される。あるいは、スライダー300aを単にタッチ(指示)するだけの操作入力が行われたとき、輝度が変更される。
【0080】
HMI画面200上にスライドバー300が表示された状態で、例えば、周囲が明るくなったり暗くなったりすると、HMI画面200およびスライドバー300が見えにくくなる。このような状態になっても、上記のように輝度が変更されることにより、HMI画面200およびスライドバー300を見えやすくすることが可能になる。
【0081】
なお、操作対象への操作入力を無効にするための上記の所定の条件としては、タッチパネル15へのタッチ操作が所定時間内にされなかったことに限定されず、例えば、次のような事象が挙げられる。このような事象としては、ロック画面へ移行するためのボタンが操作されたこと、人感センサによって操作者が検知されなくなった後に所定の時間が過ぎたことなどが挙げられる。また、その他の事象としては、特定の操作者のみがプログラマブル表示器1の操作を許可される場合においてログアウトする操作が行われたことなどが挙げられる。
【0082】
表示属性変更部322は、輝度の変更において、画面ロック状態となったときの輝度に対して、輝度が変更される許容範囲において輝度の変更可能な範囲が広い側を、表示属性を変更する変更方向と定め、誤操作が行われるごとに、変更方向に向けて輝度を変更してもよい。例えば、輝度が許容範囲内で10段階に変更可能であり、許容範囲の最低輝度を第1段階とし、許容範囲の最高輝度を第10段階とする。この場合、画面ロック状態になったときの輝度が第3段階であれば、表示属性変更部322は、第4段階から第10段階の側に変更方向を定めて輝度を変更する。これにより、輝度を周囲環境に合わせるように調整しやすくすることができる。
【0083】
表示属性変更部322は、輝度を予め定められた状態に変更してもよい。これにより、スライダー300aへの操作が正しく行われなかったときに、1回の誤操作が行われることで、輝度を所望の状態に変更することができる。したがって、輝度の変更に要する手間を削減することができる。
【0084】
表示属性変更部322による輝度の変更の態様は、許容範囲内で設定可能であってもよい。例えば、上述したように、輝度が許容範囲内で10段階に変更可能である場合、1段階ずつ輝度を変更するようにしてもよいし、複数段階ずつ輝度を変更してもよい。
【0085】
これにより、操作者の所望とする態様で輝度を変更することができる。したがって、プログラマブル表示器1の使いやすさが向上する。
【0086】
操作無効部311は、輝度が変更された状態で、スライダー300aに対するロック解除操作が正しく行われたときに、輝度を設定するための設定画面を表示パネル16に表示させてもよい。
【0087】
輝度が変更されることによりスライダー300aへのタッチ操作が可能となった状態では、ようやくスライダー300aが視認できる程度となることがある。このような状態から、操作対象へのタッチ操作が無効な状態が解除されても、HMI画面200の視認性が十分確保されない。そこで、スライダー300aに対するロック解除操作が正しく行われたときに表示されるHMI画面200に対して適正な輝度を設定することにより、HMI画面200を設定した輝度で表示させることができる。
【0088】
操作無効部311は、スライダー300aを強調表示させてもよい。
【0089】
スライダー300aへのタッチ操作が正しく行われなかったことにより輝度が変更されてスライドバー300が認識できるようになっても、スライダー300aが特定できないことを回避して、スライダー300aへのタッチ操作を容易にすることができる。
【0090】
HMI画面200は、上述のように、操作対象が設けられた操作区域と、監視対象が設けられた監視区域とを有している。また、操作無効部311は、スライドバー300を監視区域以外、例えば
図4に示すように、トレンドグラフ201以外の、スイッチブロック203およびキーパッド204の上に表示させる。
【0091】
これにより、監視区域はスライドバー300によって隠されることがない。したがって、スライドバー300へのタッチ操作が成功しないために輝度が変更されていく間にも、監視区域における監視対象の状態を見ることができる。
【0092】
プログラマブル表示器1は、操作入力部としてタッチパネル15を備えている。
【0093】
プログラマブル表示器1を屋外で使用する場合、表示パネル16に表示されるHMI画面200の視認性が明るさや温度などの影響を受けやすい。屋外で使用されるプログラマブル表示器1には、表示パネル16と一体的に設けられることで操作性が良好なタッチパネル15が操作入力部として好適である。
【0094】
なお、上記の例では、表示属性として輝度を変更する例について説明したが、プログラマブル表示器1において変更することができる表示属性は、輝度に限定されず、上述したようなコントラストなどであってもよい。
【0095】
また、無効解除画面も、スライドバー300に限らず、ログイン画面であってもよい。
【0096】
また、プログラマブル表示器1の入力装置はタッチパネル15に限らない。マウスはもちろん、ジェスチャー、人感センサ等の非接触で入力する装置であっても適用可能である。
【0097】
また、本実施形態では、無効解除画面としてスライドバー300を表示し、スライドバー300が解除領域としてスライダー300aを有する構成について説明した。無効解除画面は、これに限らず、長押しのボタンであったり、二点押しで画面ロック状態が解除されるようにしたり、見えていることが認識できるのであれば、様々な形態が考えられる。ログイン画面の場合、パスワードやIDの入力欄を直接表示するようにしてもよいし、ログイン画面をポップアップ表示させるための操作ボタンを設けてもよいし、当該操作ボタンをスライドバーの操作でポップアップ表示させてもよい。
【0098】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について
図10~
図12に基づいて以下のとおり説明する。なお、本実施形態において、実施形態1における構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記して、その説明を省略する。
【0099】
図10は、本実施形態に係るコンピュータ10の構成を示すブロック図である。
図11は、コンピュータ10のシステム構成を示すブロック図である。
【0100】
コンピュータ10(表示装置)は、汎用のOS(Operating System)を実装しており、アプリケーションプログラムを実行する機能を備えている。また、コンピュータ10としては、上述したプログラマブル表示器1と同様にパネルに組み込まれるパネルコンピュータが用いられる。パネルコンピュータは、産業用コンピュータの一種であって、工場などの厳しい環境に適合するように、防塵性、防滴性、耐振動性などを高めた専用のコンピュータである。なお、コンピュータ10としては、パネルコンピュータに限らず、パーソナルコンピュータ、パネルコンピュータ以外の産業用コンピュータなどが用いられてもよい。
【0101】
本実施形態において、コンピュータ10は、アプリケーションプログラムを実行する。コンピュータ10としては、制御対象の監視および制御を行うプログラマブル表示器、SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)のような監視・制御システムなどが該当する。アプリケーションプログラムは、HMI機器で行われるような、外部機器との通信、当該外部機器から取得したデータの表示、入力装置を用いた操作者による操作の受け付けなどの各種の機能を実現するアプリケーションプログラムであってもよい。
【0102】
まず、コンピュータ10のハードウェア構成について説明する。
【0103】
図10に示すように、コンピュータ10は、CPU(Central Processing Unit)111と、メインメモリ112と、ROM(Read Only Memory)113と、補助記憶装置114と、タッチパネルコントローラ18とを備えている。また、コンピュータ10は、上述したプログラマブル表示器1と同様、タッチパネル15と、表示パネル16と、インタフェース部17とを備えている。
【0104】
CPU111は、アプリケーションプログラムを実行する処理装置である。具体的には、CPU111は、アプリケーションプログラムの実行に際して、メインメモリ112、補助記憶装置114、タッチパネル15などから受け取ったデータに対して演算または加工を施して、メインメモリ112、補助記憶装置114、表示パネル16等に出力する。
【0105】
メインメモリ112は、コンピュータ10における主記憶装置を構成するメモリであり、DRAM(Dynamic Random Access Memory)によって構成される。
【0106】
ROM113は、コンピュータ10の起動時やリセット時に実行されるBIOS(Basic Input Output System)などの、コンピュータ10の動作に不可欠なプログラムを記憶している。
【0107】
補助記憶装置114は、OS、アプリケーションプログラム、各種のデータなどを記憶する大容量の記憶装置であり、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)などで構成される。
【0108】
タッチパネルコントローラ18は、タッチパネル15へのタッチ操作の結果としてタッチパネル15から出力されるタッチ操作信号に基づいて、タッチされた位置のタッチ座標を検出する。タッチパネルコントローラ18は、検出したタッチ座標をデジタルのタッチ座標信号として出力する。
【0109】
続いて、コンピュータ10のシステム構成について説明する。
【0110】
図11に示すように、コンピュータ10には、オペレーティングシステム(以降「OS」と称する)7が実装される。また、コンピュータ10は、制御機能を有する部分としてHMI制御部8を含んでいる。
【0111】
OS7は、アプリケーションプログラムに共通して利用される基本的な機能を提供し、コンピュータ10のシステム全体を管理するプログラムである。OS7は、具体的には、上述したメインメモリ112、ROM113、補助記憶装置114、タッチパネル15、表示パネル16およびインタフェース部17を管理する。OS7は、操作指示受付部71と、アプリケーションプログラム実行部72とを備えている。
【0112】
操作指示受付部71は、動作制御部81からの操作信号を受け付ける。
【0113】
アプリケーションプログラム実行部72は、後述する表示属性変更部832からの出力に基づいて、補助記憶装置114のアプリケーションプログラムを参照し、アプリケーションプログラムを実行する。本実施形態では、アプリケーションプログラムとして、HMIプログラムが補助記憶装置114に記憶され、アプリケーションプログラム実行部72がHMIプログラムを実行する例について説明する。本実施形態でのHMIプログラムが実行されることによって実現される機能は、実施形態1の上述した組み込みのHMIプログラムが実行されることによって実現される機能とほぼ同等である。
【0114】
HMI制御部8は、上述したHMI機能を有する部分である。当該HMI機能は、補助記憶装置114に記憶されたHMIプログラムがアプリケーションプログラム実行部72によって実行されることで実現される。HMI制御部8は、動作制御部81と、表示制御部82と、表示属性制御部83とを有している。動作制御部81は、HMI機能として、操作者の操作入力および制御機器2が保持するデータの変化に基づいて各部を制御する。表示制御部82は、HMI画面の表示を制御する。表示属性制御部83は、操作無効状態においてタッチパネル15にタッチ操作が行われるときに、表示面16aの表示属性を制御する。
【0115】
動作制御部81は、実施形態1において上述した動作制御部31の操作無効部311を除いた部分と同等の機能を有している。ただし、動作制御部81は、タッチパネルコントローラ18からのタッチ座標信号により表される位置座標情報に基づいて、OS7が処理可能な座標データ信号を生成する点で、動作制御部31と異なる。
【0116】
なお、実施形態1のプログラマブル表示器1も、タッチパネルコントローラ18と同等の機能を有するタッチパネルコントローラを備えている。ただし、実施形態1では、便宜上、プログラマブル表示器1が当該タッチパネルコントローラを備えることについての説明を省略している。
【0117】
表示制御部82は、アプリケーションプログラム実行部72の指示に基づいて表示パネル16にアプリケーション画面を表示させる制御処理を行う。この制御処理には、実施形態1において上述した表示制御部32が行う制御処理も含まれる。また、表示制御部82は描画部821を有している。描画部821は、上述した表示制御部82の描画部321と同等の機能を有している。
【0118】
表示属性制御部83は、操作無効部831と、表示属性変更部832とを有している。操作無効部831は、上述した動作制御部31の操作無効部311と同等の機能を有している。表示属性変更部832は、上述した表示制御部32の表示属性変更部322と同等の機能を有している。
【0119】
上記のように構成されるコンピュータ10による、通常状態から操作無効状態への移行処理と、操作無効状態から通常状態への移行処理とについて説明する。
【0120】
図12は、コンピュータ10におけるタッチ操作信号の処理系の構成を示すブロック図である。
【0121】
コンピュータ10の表示面16aにHMI画面が表示されている状態で、操作者が表示面16aにタッチ操作する。
図10および12に示すように、タッチパネル15は、操作者のタッチ操作に伴ってタッチ操作信号を出力する。タッチパネルコントローラ18は、タッチ操作信号に基づいて、タッチパネル15上でタッチ操作が行われた座標であるタッチ座標を検出して、タッチ座標信号を動作制御部81に出力する。
【0122】
図12に示すように、本実施形態において、動作制御部81は、タッチパネルドライバ811によって実現される。タッチパネルドライバ811は、タッチ座標信号で表される位置座標情報に基づいて、OS7が処理可能な座標データ信号を生成する。具体的には、タッチパネルドライバ811は、絶対座標で表されるタッチ座標信号の位置座標情報をマウスなどで用いられる相対座標に変換する。
【0123】
OS7の操作指示受付部71は、タッチパネルドライバ811からの座標データ信号に基づいて、OS7のアプリケーションプログラム実行部72に渡すタッチ入力イベントを生成する。表示属性制御部83は、
図12に示すフックイベントハンドラ50(イベントハンドラ)によって実現されている。
【0124】
フックイベントハンドラ50は、タッチ入力イベントをアプリケーションプログラム実行部72に渡る前に補足すべきイベントとして捕捉する。また、フックイベントハンドラ50は、タッチ入力イベントを補足すると、所定の処理を実行するようにプログラムによって規定されている。本実施形態において、フックイベントハンドラ50は、表示属性制御部83の操作無効部831および表示属性変更部832の処理を行う。
【0125】
フックイベントハンドラ50は、HMI画面へタッチ操作が行われない無操作期間が所定時間以上であれば、通常状態から画面ロック状態に移行するように、無効解除画面を表示パネル16に表示させる。また、フックイベントハンドラ50は、タッチパネル15に対するタッチ操作が解除領域に対する所定の操作入力でない誤操作であれば、タッチ操作を無効にして、表示面16aの表示属性を変更する。また、フックイベントハンドラ50は、タッチパネル15に対するタッチ操作が上記の所定の操作入力であれば、タッチ操作を有効として、画面ロック状態から通常状態に移行するように、表示パネル16に無効解除画面の表示を停止させる。
【0126】
以上のように、本実施形態のコンピュータ10において、操作無効部831および表示属性変更部832は、フックイベントハンドラ50によって実現される。フックイベントハンドラ50は、タッチ操作(タッチ入力イベント)をイベントとして補足し、当該イベントを補足したときに、操作無効部831および表示属性変更部832がそれぞれ行う処理を行う。
【0127】
上記の構成によれば、一般的なフックイベントハンドラ50を用いて、操作無効部831および表示属性変更部832を実現することができる。これにより、操作無効部831および表示属性変更部832を含めたコンピュータ10の開発を効率的に行うことができる。
【0128】
なお、コンピュータ10の入力装置はタッチパネル15に限らない。マウスはもちろん、ジェスチャー、人感センサ等の非接触で入力する装置であっても適用可能である。
【0129】
〔ソフトウェアによる実現例〕
プログラマブル表示器1およびコンピュータ10の制御ブロック(特に、HMI制御部3,8)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0130】
後者の場合、プログラマブル表示器1およびコンピュータ10は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えているとともに、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。
【0131】
そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU11,111を用いることができる。
【0132】
上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM13等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、プログラマブル表示器1およびコンピュータ10は、それぞれ上記プログラムを展開するメインメモリ12,112などを備えていてもよい。
【0133】
また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0134】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0135】
1 プログラマブル表示器(表示装置)
10 コンピュータ(表示装置)
15 タッチパネル(操作入力部)
16 表示パネル(表示部)
50 フックイベントハンドラ(イベントハンドラ)
200 HMI画面(操作画面)
201 トレンドグラフ(監視区域)
202 数値表示ブロック(操作区域)
203 スイッチブロック(操作区域)
204 キーパッド(操作区域)
311,831 操作無効部
322,832 表示属性変更部