(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】自動車のシール構造
(51)【国際特許分類】
B60J 10/84 20160101AFI20240123BHJP
B60J 10/86 20160101ALI20240123BHJP
B60J 10/24 20160101ALI20240123BHJP
【FI】
B60J10/84
B60J10/86
B60J10/24
(21)【出願番号】P 2020076791
(22)【出願日】2020-04-23
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105175
【氏名又は名称】山広 宗則
(74)【代理人】
【識別番号】100105197
【氏名又は名称】岩本 牧子
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 直也
(72)【発明者】
【氏名】大尾 真之
(72)【発明者】
【氏名】小柳出 康雄
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-018929(JP,U)
【文献】特開2011-046249(JP,A)
【文献】実開平06-075918(JP,U)
【文献】特開2005-297934(JP,A)
【文献】特開平06-297956(JP,A)
【文献】特開平08-113038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/00-10/90
B60R 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の
フロントドアのドア外周縁部及びリヤドアのドア外周縁部に沿って
それぞれ取付けられた、押出成形されてなるドア側ウェザーストリップが有するシール部をボディに弾接させてドアとボディ間を塞ぐシール構造であって、
前記ボディに押出成形されてなり
、ボディシール部を有するボディ側ウェザーストリップを取付け、
前記ボディ側ウェザーストリップは、前記自動車のセンターピラーの車外側に取付けられる取付基部を有し、前記ボディシール部は、車両前側に設けられた第1中空部と車両後側に設けられた第2中空部からなり、
前記第1中空部は、前記取付基部の車両前側端部の車内側から車両前側に延びた後、前記センターピラーの車両前側のコーナー部に沿って車内側に湾曲する第1壁と、前記第1壁の端部から車両前側でかつ車外側に延びる第2壁と、前記取付基部の車両前側端部の車外側から車両前側でかつ車外側に延びる第3壁と、前記第2壁の端部と前記第3壁の端部を接続する第4壁からなり、
前記第2中空部は、取付基部の車両後側端部の車内側から車両後側に延びた後、前記センターピラーの車両後側のコーナー部に沿って車内側に湾曲する第1壁と、前記第1壁の端部から車両後側でかつ車外側に延びる第2壁と、前記取付基部の車両後側端部の車外側から車両後側でかつ車外側に延びる第3壁と、前記第2壁の端部と前記第3壁の端部を接続する第4壁からなるもので、
前記ドア側ウェザーストリップのシール部は、中空状で、
前記フロントドアの閉時には、前記フロントドアに取付けられた前記ドア側ウェザーストリップのシール部が、前記ボディ側ウェザーストリップの前記ボディシール部の前記第1中空部を構成する前記第4壁に車外側から弾接して撓み、
前記リヤドアの閉時には、前記リヤドアに取付けられた前記ドア側ウェザーストリップのシール部が、前記ボディ側ウェザーストリップの前記ボディシール部の前記第2中空部を構成する前記第4壁に車外側から弾接して撓むようにしたことを特徴とする自動車のシール構造。
【請求項2】
自動車の
フロントドアのドア外周縁部及びリヤドアのドア外周縁部に沿って
それぞれ取付けられた、押出成形されてなるドア側ウェザーストリップが有するシール部をボディに弾接させてドアとボディ間を塞ぐシール構造であって、
前記ボディに押出成形されてなり
、ボディシール部を有するボディ側ウェザーストリップを取付け、
前記ボディ側ウェザーストリップは、前記自動車のセンターピラーの車外側に取付けられる取付基部を有し、前記ボディシール部は、車両前側に設けられた第1中空部と車両後側に設けられた第2中空部からなり、
前記第1中空部は、前記取付基部の車両前側端部の車内側から車両前側に延びた後、前記センターピラーの車両前側のコーナー部に沿って車内側に湾曲する第1壁と、前記第1壁の端部から車両前側でかつ車外側に延びる第2壁と、前記取付基部の車両前側端部の車外側から車両前側でかつ車外側に延びる第3壁と、前記第2壁の端部と前記第3壁の端部を接続する第4壁からなり、
前記第2中空部は、取付基部の車両後側端部の車内側から車両後側に延びた後、前記センターピラーの車両後側のコーナー部に沿って車内側に湾曲する第1壁と、前記第1壁の端部から車両後側でかつ車外側に延びる第2壁と、前記取付基部の車両後側端部の車外側から車両後側でかつ車外側に延びる第3壁と、前記第2壁の端部と前記第3壁の端部を接続する第4壁からなるもので、
前記ドア側ウェザーストリップのシール部は、中空状で、
前記フロントドアの閉時には、前記フロントドアに取付けられた前記ドア側ウェザーストリップのシール部が、前記ボディ側ウェザーストリップの前記ボディシール部の前記第1中空部を構成する前記第4壁に車外側から弾接して撓み、
前記リヤドアの閉時には、前記リヤドアに取付けられた前記ドア側ウェザーストリップのシール部が、前記ボディ側ウェザーストリップの前記ボディシール部の前記第2中空部を構成する前記第4壁に車両後側から弾接して撓むようにしたことを特徴とする自動車のシール構造。
【請求項3】
前記ボディ側ウェザーストリップは、センターピラーの車外側に取付けられ、前記ボディシール部は、車両前側に設けられた第1中空部と車両後側に設けられた第2中空部からなり、前記第1中空部は、前方にヒンジが位置するスイング式のフロントドアに設けられた前記ドア側ウェザーストリップが有するシール部に弾接し、前記第2中空部は、車両前後方向に移動するスライド式のリヤドア
又は後方にヒンジが位置するスイング式のリヤドアに設けられた前記ドア側ウェザーストリップが有するシール部に弾接することを特徴とする請求項1に記載の自動車のシール構造。
【請求項4】
前記ボディ側ウェザーストリップは、センターピラーの車外側に取付けられ、前記ボディシール部は、車両前側に設けられた第1中空部と車両後側に設けられた第2中空部からなり、前記第1中空部は、前方にヒンジが位置するスイング式のフロントドアに設けられた前記ドア側ウェザーストリップが有するシール部に弾接し、前記第2中空部は、
前方にヒンジが位置するスイング式のリヤドアに設けられた前記ドア側ウェザーストリップが有するシール部に弾接することを特徴とする
請求項2に記載の自動車のシール構造。
【請求項5】
前記ボディ側ウェザーストリップの車両前後方向の幅は、前記センターピラーの最も車外側に位置する面の車両前後方向の幅よりも大きいことを特徴とする
請求項3又は4に記載の自動車のシール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドア周りに沿って取付けられ、ドア閉時にドア開口縁部に弾接してドアとボディとの隙間をシールする自動車のシール構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なセダン車(図示しない)や、特に
図5に示すような、前方にヒンジが位置するスイング式のフロントドア1と後方にヒンジが位置するスイング式のリヤドア2からなる観音開き構造の車両や、
図6に示すような、前方にヒンジが位置するスイング式のフロントドア3と車両前後方向に移動するスライドドア4からなる構造の車両においては、乗員の乗降性向上のためセンターピラー80,90の細型化が望まれる。
【0003】
しかし、
図7に示すように、フロントドア3とスライドドア4にそれぞれ設けられたドア側ウェザーストリップ81,82のシール部83、84をセンターピラー80のシール面80b、80cに弾接させるシール構造(例えば、特許文献1の
図4参照)である場合、様々な制約によりドア側ウェザーストリップ81、82の位置は動かすことができないため、シール面80b、80cも動かすことはできず、シール面80b、80cの位置を維持したまま、センターピラー80の車両前後方向の幅80Lを縮めれば、センターピラー80の車外側コーナー部が鋭角になりパネル成形性が著しく悪化するので、このようなシール構造の場合、センターピラー80の車両前後方向の幅80Lを細くすることは困難であった。
【0004】
あるいは、
図8に示すように、フロントドア1の後端とリヤドア2の前端を近接配置してリヤドア2に設けられたシール部材91をフロントドア1に弾接してシールするとともに、シール部材91に設けたリップ部92をセンターピラー90にも弾接させたシール構造が開示されている(例えば、特許文献2の
図8参照)。
これによれば、センターピラー90の車両前後方向の幅を細くすることで開口幅を広くして乗降性の向上を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-297934号公報
【文献】特開2002-103970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、
図8に示したシール構造では、リヤドア2を先に閉じてからフロントドア1を閉じるという制約が生じ、また、フロントドア1及びリヤドア2の構造が複雑になるとともに、センターピラー90に対しては、リヤドア2に取付けられたシール部材91から延設されたリップ部92が弾接するだけであるためシール不足になるといった問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的とするところは、シール機能に優れるとともに簡易な構成の自動車のシール構造を提供することにある。
また、シール機能に優れるとともにドアの開閉順に囚われることなく簡易な構成でセンターピラーの細型化を図ることができる自動車のシール構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、自動車のフロントドア(1,3)のドア外周縁部及びリヤドア(2,4)のドア外周縁部に沿ってそれぞれ取付けられた、押出成形されてなるドア側ウェザーストリップ(10,20,30,40)が有するシール部(12,22,32,42)をボディ(50)に弾接させてドア(1~2,3~4)とボディ(50)間を塞ぐシール構造であって、
前記ボディ(50)に押出成形されてなり、ボディシール部(63,64)を有するボディ側ウェザーストリップ(60)を取付け、
前記ボディ側ウェザーストリップ(60)は、前記自動車のセンターピラー(50)の車外側に取付けられる取付基部(61)を有し、前記ボディシール部(63,64)は、車両前側に設けられた第1中空部(63)と車両後側に設けられた第2中空部(64)からなり、
前記第1中空部(63)は、前記取付基部(61)の車両前側端部の車内側から車両前側に延びた後、前記センターピラー(50)の車両前側のコーナー部(50a)に沿って車内側に湾曲する第1壁(63a)と、前記第1壁(63a)の端部から車両前側でかつ車外側に延びる第2壁(63b)と、前記取付基部(61)の車両前側端部の車外側から車両前側でかつ車外側に延びる第3壁(63c)と、前記第2壁(63b)の端部と前記第3壁(63c)の端部を接続する第4壁(63d)からなり、
前記第2中空部(64)は、取付基部(61)の車両後側端部の車内側から車両後側に延びた後、前記センターピラー(50)の車両後側のコーナー部(50b)に沿って車内側に湾曲する第1壁(64a)と、前記第1壁(64a)の端部から車両後側でかつ車外側に延びる第2壁(64b)と、前記取付基部(61)の車両後側端部の車外側から車両後側でかつ車外側に延びる第3壁(64c)と、前記第2壁(64b)の端部と前記第3壁(64c)の端部を接続する第4壁(64d)からなるもので、
前記ドア側ウェザーストリップ(10,20,30,40)のシール部(12,22,32,42)は、中空状で、
前記フロントドア(1,3)の閉時には、前記フロントドア(1,3)に取付けられた前記ドア側ウェザーストリップ(10,30)のシール部(12,32)が、前記ボディ側ウェザーストリップ(60)の前記ボディシール部の前記第1中空部(63)を構成する前記第4壁(63d)に車外側から弾接して撓み、
前記リヤドア(2,4)の閉時には、前記リヤドア(2,4)に取付けられた前記ドア側ウェザーストリップ(20,40)のシール部(22,42)が、前記ボディ側ウェザーストリップ(60)の前記ボディシール部の前記第2中空部(64)を構成する前記第4壁(64d)に車外側から弾接して撓むようにしたことを特徴とする。
また本発明は、自動車のフロントドア(1)のドア外周縁部及びリヤドア(2A)のドア外周縁部に沿ってそれぞれ取付けられた、押出成形されてなるドア側ウェザーストリップ(10,20)が有するシール部(12,22)をボディ(50)に弾接させてドア(1,2A)とボディ(50)間を塞ぐシール構造であって、
前記ボディ(50)に押出成形されてなり、ボディシール部(63,64)を有するボディ側ウェザーストリップ(60)を取付け、
前記ボディ側ウェザーストリップ(60)は、前記自動車のセンターピラー(50)の車外側に取付けられる取付基部(61)を有し、前記ボディシール部(63,64)は、車両前側に設けられた第1中空部(63)と車両後側に設けられた第2中空部(64)からなり、
前記第1中空部(63)は、前記取付基部(61)の車両前側端部の車内側から車両前側に延びた後、前記センターピラー(50)の車両前側のコーナー部(50a)に沿って車内側に湾曲する第1壁(63a)と、前記第1壁(63a)の端部から車両前側でかつ車外側に延びる第2壁(63b)と、前記取付基部(61)の車両前側端部の車外側から車両前側でかつ車外側に延びる第3壁(63c)と、前記第2壁(63b)の端部と前記第3壁(63c)の端部を接続する第4壁(63d)からなり、
前記第2中空部(64)は、取付基部(61)の車両後側端部の車内側から車両後側に延びた後、前記センターピラー(50)の車両後側のコーナー部(50b)に沿って車内側に湾曲する第1壁(64a)と、前記第1壁(64a)の端部から車両後側でかつ車外側に延びる第2壁(64b)と、前記取付基部(61)の車両後側端部の車外側から車両後側でかつ車外側に延びる第3壁(64c)と、前記第2壁(64b)の端部と前記第3壁(64c)の端部を接続する第4壁(64d)からなるもので、
前記ドア側ウェザーストリップ(10,20)のシール部(12,22)は、中空状で、
前記フロントドア(1)の閉時には、前記フロントドア(1)に取付けられた前記ドア側ウェザーストリップ(10)のシール部(12)が、前記ボディ側ウェザーストリップ(60)の前記ボディシール部の前記第1中空部(63)を構成する前記第4壁(63d)に車外側から弾接して撓み、
前記リヤドア(2A)の閉時には、前記リヤドア(2A)に取付けられた前記ドア側ウェザーストリップ(20)のシール部(22)が、前記ボディ側ウェザーストリップ(60)の前記ボディシール部の前記第2中空部(64)を構成する前記第4壁(64d)に車両後側から弾接して撓むようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記ボディ側ウェザーストリップ(60)は、センターピラー(50)の車外側に取付けられ、前記ボディシール部(63,64)は、車両前側に設けられた第1中空部(63)と車両後側に設けられた第2中空部(64)からなり、前記第1中空部(63)は、前方にヒンジが位置するスイング式のフロントドア(3)に設けられた前記ドア側ウェザーストリップ(30)が有するシール部(32)に弾接し、前記第2中空部(64)は、車両前後方向に移動するスライド式のリヤドア(4)又は後方にヒンジが位置するスイング式のリヤドア(2)に設けられた前記ドア側ウェザーストリップ(40)が有するシール部(42)に弾接することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記ボディ側ウェザーストリップ(60)は、センターピラー(50)の車外側に取付けられ、前記ボディシール部(63,64)は、車両前側に設けられた第1中空部(63)と車両後側に設けられた第2中空部(64)からなり、前記第1中空部(63)は、前方にヒンジが位置するスイング式のフロントドア(1)に設けられた前記ドア側ウェザーストリップ(10)が有するシール部(12)に弾接し、前記第2中空部(64)は、前方にヒンジが位置するスイング式のリヤドア(2A)に設けられた前記ドア側ウェザーストリップ(20)が有するシール部(22)に弾接することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記ボディ側ウェザーストリップ(60)の車両前後方向の幅(60L)は、前記センターピラー(50)の最も車外側に位置する面の車両前後方向の幅(50L)よりも大きいことを特徴とする。
【0013】
なお、括弧内の記号は、図面及び後述する発明を実施するための形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0014】
本発明の自動車のシール構造によれば、ドアに取付けられたドア側ウェザーストリップのシール部を、従来例で示したようにボディパネルに直接弾接させるものではなく、ボディに取付けられたボディ側ウェザーストリップのボディシール部に弾接させるものであるので、シール性の設計において自由度が上がりその結果、よりシール機能が優れた構造を提供することができる。
これを特にセンターピラーに適用した場合には、ドア側ウェザーストリップのシール相手面を確保しつつパネルの成形性を良好に保ったままセンターピラーの車両前後方向の幅を細くすることができる。
しかもボディ側ウェザーストリップのボディシール部はドア側ウェザーストリップのシール部よりも剛性が高く、ドア側ウェザーストリップのシール部はボディ側ウェザーストリップのボディシール部より大きく撓むのでドアとボディ間を塞ぐ上で安定したシール機能が得られる。
さらに、ドア側ウェザーストリップ及びボディ側ウェザーストリップはともに押出成形品であるのでドアのコーナー部を除く部分に簡単に使用することができるとともに製造も容易である。
【0015】
また本発明によれば、ボディ側ウェザーストリップは、センターピラーの車外側に取付けられるので、どのようなボディ色でもセンターピラーの車外側がボディ側ウェザーストリップの黒色で覆われる。センターピラーが黒色だと、いわゆる保護色となることで、背景の車室内空間の暗がりに紛れ込みやすくなり、フロントドアとリヤドアを両方開けた際にあたかもセンターピラーレスかの如く見えるので外観上見栄えがよい。
また、ボディ側ウェザーストリップの第1中空部が、前方にヒンジが位置するスイング式のフロントドアに設けられたドア側ウェザーストリップのシール部に弾接し、ボディ側ウェザーストリップの第2中空部が、車両前後方向に移動するスライド式のリヤドアに設けられたドア側ウェザーストリップのシール部に弾接するものであるので、いわゆるスライドドア車においてセンターピラーの車両前後方向の幅を細くすることができる。
これにより乗員の乗降時の開口幅をフロントドア側においてもリヤドア側においても広くすることができる。
【0016】
また本発明によれば、ボディ側ウェザーストリップの第1中空部が、前方にヒンジが位置するスイング式のフロントドアに設けられたドア側ウェザーストリップのシール部に弾接し、ボディ側ウェザーストリップの第2中空部が、後方にヒンジが位置するスイング式のリヤドアに設けられたドア側ウェザーストリップのシール部に弾接するものであるので、いわゆる観音開きドア車においてセンターピラーの車両前後方向の幅を細くすることができる。
また、ボディ側ウェザーストリップの第2中空部が、前方にヒンジが位置するスイング式のリヤドアに設けられたドア側ウェザーストリップのシール部に弾接するものであるので、一般的なセダン車においてもセンターピラーの車両前後方向の幅を細くすることができる。
【0017】
また本発明によれば、前記ボディ側ウェザーストリップの車両前後方向の幅が、前記センターピラーの最も車外側に位置する面の車両前後方向の幅よりも大きいため、センターピラーのボディ色が見えにくくなる。
【0018】
また本発明によれば、ドア側ウェザーストリップのシール部が中空状であるため、ボディ側ウェザーストリップのボディシール部よりも剛性を低くしつつシール性を良好に設計することが容易である。
【0019】
本発明のように、ドアとボディ間の自動車のシール構造において、押出成形したドア側ウェザーストリップのシール部を、同じく押出成形したボディ側ウェザーストリップのボディシール部に弾接させたものは従来、極めて特徴的な構造である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る自動車のシール構造でドア開時の状態を示す、
図6のB-B線拡大断面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る自動車のシール構造でドア閉時の状態を示す、
図6のB-B線拡大断面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る自動車のシール構造でドア開時の状態を示す、
図5のA-A線拡大断面図である。
【
図4】本発明の第3実施形態に係る自動車のシール構造でドア開時の状態を示す拡大断面図である。
【
図7】従来例に係る自動車のシール構造でドア閉時の状態を示す、
図6のB-B線拡大断面図である。
【
図8】従来例に係る別の自動車のシール構造でドア閉時の状態を示す、
図5のA-A線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
図1,2及び
図6を参照して、本発明の第1実施形態に係る自動車のシール構造について説明する。従来例と同じ部分には同一の符号を付した。
この自動車のシール構造は、
図6に示すように、前方にヒンジ(図示しない)が位置するスイング式のフロントドア3と、車両前後方向に移動するスライド式のリヤドア(スライドドア)4を有するハイルーフ車において、ドア3,4と、ボディここではセンターピラー50との間を塞いで車内外をシールするものに適応した例を示している。
図2は、ドア3,4が閉じた状態を示し、
図1はドア3,4が開いた状態(ドア3,4及びドア側ウェザーストリップ30、40については仮想線とした)を示している。
【0022】
フロンドドア3にはその外周縁部に沿ってドア側ウェザーストリップ30が取付けられている。
ドア側ウェザーストリップ30は、ドア外周縁部に沿って取付けられる取付基部31と、その取付基部31の車内側に一体成形され、フロントドア3の閉時にセンターピラー50側に弾接する中空状のシール部32と、取付基部31の車外側に一体成形され、フロントドア3の車内側面に弾接するリップ部33を備えている。
取付基部31は、フロントドア3に形成された車内側から車外側に延びる第1鉛直面30Xに取付けられている。
ドア側ウェザーストリップ30は押出成形されたものであり、フロントドア3を取り囲むように回されコーナー部において型成形接続されている。
なお、フロントドア3の閉時にはフロントドア3のドア側ウェザーストリップ30が取付けられた後部は符号3Kに示す進入軌跡に沿って閉じられる。進入軌跡3Kは自動車の車内外方向で、車両前後方向に略垂直である。
【0023】
スライドドア4にはその前端の外周縁部に沿って上下に延びるドア側ウェザーストリップ40が取付けられている。
ドア側ウェザーストリップ40は、ドア外周縁部に沿って取付けられる取付基部41と、その取付基部41の車内側に一体成形され、スライドドア4の閉時にセンターピラー50側に弾接する中空状のシール部42と、取付基部41の車外側に一体成形され、スライドドア4の車内側面に弾接するリップ部43を備えている。
取付基部41は、スライドドア4に形成された車内側から車外側に延びる第2鉛直面40Xに取付けられている。
ドア側ウェザーストリップ40は押出成形されたものであり、上端及び下端は型成形されている。
なお、スライドドア4の閉時にはスライドドア4のドア側ウェザーストリップ40が取付けられた前部は符号4Kに示す進入軌跡に沿って閉じられる。進入軌跡4Kは自動車の車内外方向で、車両前後方向に略垂直である。
【0024】
また、センターピラー50の車外側にはその車外側を覆うようにボディ側ウェザーストリップ60が両面テープ(図示しない)又は一定間隔毎にクリップ(図示しない)によって取付けられている。
ボディ側ウェザーストリップ60は、センターピラー50の車外側に取付けられる取付基部61と、その取付基部61の車両前側に設けられた、ボディシール部を構成する第1中空部63と、取付基部61の車両後側に設けられた、同じくボディシール部を構成する第2中空部64を備えている。
ボディ側ウェザーストリップ60の車両前後方向の幅60Lは、センターピラー50の最も車外側に位置する面の車両前後方向の幅50Lよりも大きい。
【0025】
取付基部61の車内外方向の厚み61Sは、センターピラー50を構成するピラーパネルの厚み50Sよりも大きくしている。取付基部61の厚み61Sは、ピラーパネルの厚み50Sの2倍以上であることが好ましい(本実施形態では2倍としている)。
取付基部61がボディシール部(第1中空部63、第2中空部64)を連結することによりボディに荷重が入力された場合にボディシール部(63、64)が撓むことによる車両前後の位置変化を抑制できる。また取付基部61の厚み61Sが厚くなるほど位置変化が発生し難くなる。
【0026】
第1中空部63は、
図1に示すように、その断面形状において、取付基部61の車両前側端部の車内側から車両前側に延びた後、センターピラー50の車両前側のコーナー部50aに沿って車内側に湾曲する第1壁63aと、第1壁63aの端部から車両前側でかつ車外側に延びる第2壁63bと、取付基部61の車両前側端部の車外側から車両前側でかつ車外側に延びる第3壁63cと、第2壁63bの端部と第3壁63cの端部を接続する第4壁63dからなっている。
第1壁63aと第3壁63cの厚さ63aS,63cSは同一であるが、第2壁63bの厚さ63bSは第1壁63a,第3壁63cの厚さ63aS,63cSの2倍としている。
そして、第4壁63dは第2壁63bの厚さ63bSと同じ厚さからその厚さを徐々に薄く変化させて第3壁63cの厚さ63cSと同一となっている。
【0027】
また、第2中空部64は、
図1に示すように、その断面形状において、取付基部61の車両後側端部の車内側から車両後側に延びた後、センターピラー50の車両後側のコーナー部50bに沿って車内側に湾曲する第1壁64aと、第1壁64aの端部から車両後側でかつ車外側に延びる第2壁64bと、取付基部61の車両後側端部の車外側から車両後側でかつ車外側に延びる第3壁64cと、第2壁64bの端部と第3壁64cの端部を接続する第4壁64dからなっている。
第1壁64aと第3壁64cの厚さ64aS,64cSは同一であるが、第2壁64bの厚さ64bSは第1壁64a,第3壁64cの厚さ64aS,64cSの2倍としている。そして、第4壁64dは第2壁64bの厚さ64bSと同じ厚さからその厚さを徐々に薄く変化させて第3壁64cの厚さ64cSと同一となっている。
【0028】
つまり、ドア側ウェザーストリップ30,40のシール部32,42よりも、ボディ側ウェザーストリップ60の第1中空部63及び第2中空部64の方が剛性が高くなるように形成されている。
ここでは、ドア側ウェザーストリップとボディ側ウェザーストリップの材質は同じとしているが、ドア側ウェザーストリップの材質よりボディ側ウェザーストリップの材質の方が硬い方が好ましい。
【0029】
なお、第2中空部64の第2壁64bの方が、第1中空部63の第2壁63bよりも断面形状における長さが少し長く、第2壁63bが車両前側に突出する量よりも第2壁64bが車両後側に突出する量の方が少し大きくなっている。
【0030】
ボディ側ウェザーストリップ60は、押出成形されたものであり、取付基部61,第1中空部63,第2中空部64は同じ材質のもので形成している。
なお、取付基部61に対して第1中空部63,第2中空部64を異なる材質で形成することもできるが、その場合にも第1中空部63,第2中空部64の材質の硬度は、ドア側ウェザーストリップ30,40のシール部32,42の硬度よりも高くなる材質で形成される方が好ましい。
【0031】
フロントドア3の閉時には、
図2に示すように、ドア側ウェザーストリップ30のシール部32が、ボディ側ウェザーストリップ60の第1中空部63を構成する第4壁63dに車外側から弾接するようにされている。
また、リヤドア(スライドドア)4の閉時には、同じく、
図2に示すように、ドア側ウェザーストリップ40のシール部42が、ボディ側ウェザーストリップ60の第2中空部64を構成する第4壁64dに車外側から弾接するようにされている。
シール部32,42が弾接する第1中空部63の第4壁63d及び第2中空部64の第4壁64dの表面には摩耗防止のための処理が施されている。
また、ここでは、その表面色としてマンセル表色系の明度N3以下のものが使用されている。
【0032】
このとき、第1中空部63,第2中空部64がシール部32,42から受ける荷重は、第4壁63d,第4壁64dを介して肉厚の厚い第2壁63b,第2壁64bに伝わり、さらに第2壁63b,第2壁64bは車内側から車外側に傾斜してセンターピラー50の側面(第2壁63bはセンターピラー50の前側面,第2壁64bはセンターピラー50の後側面)に弾接しているので、荷重は安定した状態で受け止められ優れたシール機能が得られる。
ここで第3壁64cおよび第4壁64dは、ドア締まりを成立させながら、取付基部61から車幅方向外側に対して飛び出るような突出形状を有するため、第4壁64dはシール性能向上に寄与する。
さらに、第3壁64cまたは第4壁64dの一部を薄くまたは厚く変化させてもよい。これはボディシール部63についても同様のことがいえる。また、ボディシール部(63、64)の一部が、取付基部61から車両外側に突出していればよく、第1中空部63および第2中空部64が中実であっても良い。
【0033】
このようなシール構造によれば、ドア側ウェザーストリップ30,40のシール部32,42を、ボディパネルに直接弾接させるものではなく、センターピラー50に取付けられたボディ側ウェザーストリップ60の第1中空部63,第2中空部64に弾接させるものであるので、シール性の設計において自由度が上がりその結果、よりシール機能を優れた構造を提供することができる。
本実施形態例のように、特にセンターピラー50にシール構造を適用したものでは、ドア側ウェザーストリップ30、40のシール相手面を確保しつつパネルの成形性を良好に維持したままセンターピラー50の車両前後方向の最大幅70Lを細くすることができる。
【0034】
フロントドア3が有する屈曲部R3からスライドドア4が有する屈曲部R4までの車両前後方向の幅100Lがセンターピラー50の最も車外側に位置する面の幅50Lより広い場合にセンターピラー50を車両前後方向に細くすることができるが、ドア(3、4)とセンターピラー50の所定の隙間に本実施形態を配置することにより、シール性を向上させることができる。
また、センターピラー50の最も外側に位置する面が、フロントドア3が有する屈曲部R3とスライドドア4が有する屈曲部R4を結ぶ線(100Lの仮想線)より、少しでも車両内側に位置させることでセンターピラー50を車幅方向に細くすることができるが、本実施形態によりシール性を向上させることができる。
特に第1中空部63の第3壁63cおよび第4壁63d,第2中空部64の第3壁64cおよび第4壁64dは、車幅方向外側に対して飛び出るような突出形状であるためその突出分、センターピラー50の最も外側に位置する面を車両内側に位置させることができる。
【0035】
また、ドア側ウェザーストリップ30,40及びボディ側ウェザーストリップ60はともに押出成形品であるのでフロントドア3,リヤドア4のコーナー部を除く部分に簡単に使用することができるとともに製造も容易である。
また、ボディ側ウェザーストリップ60は、センターピラー50の車外側に取付けられるので、これによりセンターピラー50の車外側が覆われることであたかもピラーレスかの如く見え外観上見栄えがよい。
【0036】
(第2実施形態)
次に
図3及び
図5を参照して、本発明の第2実施形態に係る自動車のシール構造について説明する。
この自動車のシール構造は、
図5に示すように、前方にヒンジ(図示しない)が位置するスイング式のフロントドア1と、後方にヒンジ(図示しない)が位置するスイング式のリヤドア2を有する観音開きドア車において、ドア1,2と、センターピラー50との間を塞いで車内外をシールするものに適応した例を示している。
図3は、ドア1,2が開いた状態(ドア1,2及びドア側ウェザーストリップ10、20については仮想線とした)を示している。
【0037】
フロンドドア1にはその外周縁部に沿ってドア側ウェザーストリップ10が取付けられている。ドア側ウェザーストリップ10は、ドア側ウェザーストリップ30と同様に、フロントドア1に形成された車内側から車外側に延びる第1鉛直面10Xに取付けられた取付基部11と、その取付基部11の車内側に一体成形され、フロントドア1の閉時にセンターピラー50側に弾接する中空状のシール部12と、取付基部11の車外側に一体成形され、フロントドア1の車内側面に弾接するリップ部13を備えている。
リヤドア2にはその外周縁部に沿ってドア側ウェザーストリップ20が取付けられている。ドア側ウェザーストリップ20は、ドア側ウェザーストリップ40と同様に、リヤドア2に形成された車内側から車外側に延びる第2鉛直面20Xに取付けられた取付基部21と、その取付基部21の車内側に一体成形され、リヤドア2の閉時にセンターピラー50側に弾接する中空状のシール部22と、取付基部21の車外側に一体成形され、リヤドア2の車内側面に弾接するリップ部23を備えている。
【0038】
ドア側ウェザーストリップ10,20は、押出成形されたものであり、フロントドア1,リヤドア2を取り囲むように回されコーナー部において型成形接続されている。フロントドア1の閉時にはフロントドア1のドア側ウェザーストリップ10が取付けられた後部は符号1Kに示す進入軌跡に沿って閉じられ、リヤドア2の閉時にはリヤドア2のドア側ウェザーストリップ20が取付けられた前部は符号2Kに示す進入軌跡に沿って閉じられる。
【0039】
センターピラー50の車外側にはその車外側を覆うように、取付基部61,第1中空部63,第2中空部64からなるボディ側ウェザーストリップ60が取付けられている。
第1中空部63は、第1実施形態(
図1)と同様に、第1壁63a,第2壁63b,第3壁63c,第4壁63dからなっていて形状も同一である。
第2中空部64は、第1壁64a,第2壁64b,第3壁64c,第4壁64dからなっていて形状は、取付基部61を車両前後方向で均等に2分割する線を中心に、
図3の第1中空部63と線対称となっている。よって、前述した第1実施形態では、第2中空部64の第2壁64bの方が、第1中空部63の第2壁63bよりも断面形状における長さが少し長いものであったが、第2実施形態では、第2中空部64の第2壁64bと、第1中空部63の第2壁63bの長さは同一である。
【0040】
そして、ドア側ウェザーストリップ10,20のシール部12,22よりも、ボディ側ウェザーストリップ60の第1中空部63及び第2中空部64の方が剛性が高くなるように形成されていて、フロントドア1の閉時には、ドア側ウェザーストリップ10のシール部12が、ボディ側ウェザーストリップ60の第1中空部63を構成する第4壁63dに車外側から弾接し、また、リヤドア2の閉時には、ドア側ウェザーストリップ20のシール部22が、ボディ側ウェザーストリップ60の第2中空部64を構成する第4壁64dに車外側から弾接するようにされている
【0041】
このようなシール構造によれば、ドア側ウェザーストリップ10,20のシール部12,22を、ボディパネルに直接弾接させるものではなく、センターピラー50に取付けられたボディ側ウェザーストリップ60の第1中空部63,第2中空部64に弾接させるものであるので、ドア側ウェザーストリップ10、20のシール相手面を確保しつつパネルの成形性を良好に維持したままセンターピラー50の車両前後方向の最大幅70Lを細くすることができる。
【0042】
フロントドア1が有する屈曲部R1からリヤドア2が有する屈曲部R2までの車両前後方向の幅100Lがセンターピラー50の最も車外側に位置する面の幅50Lより広い場合にセンターピラー50を車両前後方向に細くすることができるが、ドア(1、2)とセンターピラー50の所定の隙間に本実施形態を配置することにより、シール性を向上させることができる。
また、センターピラー50の最も外側に位置する面が、フロントドア1が有する屈曲部R1とリヤドア2が有する屈曲部R2を結ぶ線(100Lの仮想線)より、少しでも車両内側に位置させることでセンターピラー50を車幅方向に細くすることができるが、本実施形態によりシール性を向上させることができる。
特に第1中空部63の第3壁63cおよび第4壁63d,第2中空部64の第3壁64cおよび第4壁64dは、車幅方向外側に対して飛び出るような突出形状であるためその突出分、センターピラー50の最も外側に位置する面を車両内側に位置させることができる。
【0043】
これにより観音開きドア車において乗員の乗降時の開口幅を最大限確保することができる。
【0044】
(第3実施形態)
次に
図4を参照して、本発明の第3実施形態に係る自動車のシール構造について説明する。
この自動車のシール構造は、前方にヒンジ(図示しない)が位置するスイング式のフロントドア1と、同じく前方にヒンジ(図示しない)が位置するスイング式のリヤドア2A(2)を有する一般的なセダン車において、ドア1,2Aと、センターピラー50との間を塞いで車内外をシールするものに適応した例を示している。
図4は、ドア1,2Aが開いた状態(ドア1,2A及びドア側ウェザーストリップ10、20については仮想線とした)を示している。
【0045】
フロンドドア1にはその外周縁部に沿ってドア側ウェザーストリップ10が取付けられ、リヤドア2Aにはその外周縁部に沿ってドア側ウェザーストリップ20が取付けられている。ドア側ウェザーストリップ10,20の構成は、前述した第2実施形態と同じであるので説明を省略する。
フロントドア1の閉時にはフロントドア1のドア側ウェザーストリップ10が取付けられた後部は符号1Kに示す進入軌跡に沿って閉じられ、リヤドア2Aの閉時にはリヤドア2Aのドア側ウェザーストリップ20が取付けられた前部は符号5Kに示す進入軌跡に沿って閉じられる。進入軌跡5Kは、車外側から車内側でセンターピラー50に接近するようにカーブしている。そして、センターピラー50直前では車両後方から前方に向かっている。
【0046】
センターピラー50の車外側にはその車外側を覆うように、取付基部61,第1中空部63,第2中空部64からなるボディ側ウェザーストリップ60が取付けられている。
第1中空部63は、第1実施形態(
図1)と同様に、第1壁63a,第2壁63b,第3壁63c,第4壁63dからなっていて形状も同一である。
第2中空部64は、第1壁64a,第2壁64b,第3壁64c,第4壁64dからなるものであるが、第1実施形態(
図1)とはリヤドア2Aの進入軌跡が相違するので第1実施形態の第2中空部64の形状とは相違している。
【0047】
つまり、第3実施形態における第2中空部64は、
図4に示すように、その断面形状において、取付基部61の車両後側端部の車内側から車両後側に延びた後、センターピラー50の車両後側のコーナー部50bに沿って車内側に湾曲する第1壁64aと、第1壁64aの端部から車両後側でかつ車外側に延びる第2壁64bと、取付基部61の車両後側端部の車外側から車両後側でかつ車外側に延びる第3壁64cと、第2壁64bの端部と第3壁64cの端部を接続する第4壁64dからなり、第4壁64dは自動車の車内外方向(車両前後方向に略垂直方向)に延びている。第4壁64dの車両後側は平坦になっている。
第1壁64aと第3壁64cの厚さ64aS,64cSは同一であるが、第4壁64dの厚さ64dSは第1壁64a,第3壁64cの厚さ64aS,64cSよりも厚く、第2壁64bの厚さ64bSは第4壁64dの厚さ64dSよりもさらに厚い。第2壁64bの厚さ64bSは第1壁64a,第3壁64cの厚さ64aS,64cSの2倍としている。
そして、第2壁64bの断面形状における長さは、第1壁64a,第3壁64c,第4壁64dの長さよりも短く、第1中空部63の第2壁63bの断面形状における長さの半分である。
【0048】
つまり、ドア側ウェザーストリップ10,20のシール部12,22よりも、ボディ側ウェザーストリップ60の第1中空部63及び第2中空部64の方が剛性の高くなるように形成されていて、フロントドア1の閉時には、ドア側ウェザーストリップ10のシール部12が、ボディ側ウェザーストリップ60の第1中空部63を構成する第4壁63dに車外側から弾接し、また、リヤドア2の閉時には、ドア側ウェザーストリップ20のシール部22が、ボディ側ウェザーストリップ60の第2中空部64を構成する第4壁64dに車両後側から弾接するようにされている
【0049】
このようなシール構造によれば、ドア側ウェザーストリップ10,20のシール部12,22を、ボディパネルに直接弾接させるものではなく、センターピラー50に取付けられたボディ側ウェザーストリップ60の第1中空部63,第2中空部64に弾接させるものであるので、ドア側ウェザーストリップ10,20のシール相手面を確保しつつパネルの成形性を良好に維持したままセンターピラー50の車両前後方向の最大幅70Lを細くすることができる。
【0050】
フロントドア1が有する屈曲部R1からリヤドア2が有する屈曲部R2までの車両前後方向の幅100Lがセンターピラー50の最も車外側に位置する面の幅50Lより広い場合にセンターピラー50を車両前後方向に細くすることができるが、ドア(1、2)とセンターピラー50の所定の隙間に本実施形態を配置することにより、シール性を向上させることができる。
また、センターピラー50の最も外側に位置する面が、フロントドア1が有する屈曲部R1とリヤドア2が有する屈曲部R2を結ぶ線(100Lの仮想線)より、少しでも車両内側に位置させることでセンターピラー50を車幅方向に細くすることができるが、本実施形態によりシール性を向上させることができる。
特に第1中空部63の第3壁63cおよび第4壁63d,第2中空部64の第3壁64cおよび第4壁64dは、車幅方向外側に対して飛び出るような突出形状であるためその突出分、センターピラー50の最も外側に位置する面を車両内側に位置させることができる。
【0051】
これにより一般的なセダン車においても乗員の乗降時の開口幅を広くすることができる。
【0052】
なお、本発明の第1~第3実施形態では、スイング式やスライド式のドアなど自動車のサイド側のドア構造について適用した例を示したが、ドアとボディ間をシールする構造であれば適用可能であるので、例えばバックドアなどにも適用可能である。
【0053】
また、ボディ側ウェザーストリップ60の第1中空部63及び第2中空部64の構造について具体的に示したが、これに限定されることなく、第1中空部63及び第2中空部64は、ドア側ウェザーストリップのシール部よりも剛性の高いもので、そのシール部に弾接したときに安定性を有するものであればよい。
ドア側ウェザーストリップのシール部は、中空状のものに限らずリップ状のものであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 フロントドア
2,2A リヤドア
3 フロントドア
4 スライドドア
1K,2K,3K,4K,5K 進入軌跡
10,20,30,40 ドア側ウェザーストリップ
11,21,31,41 取付基部
12,22,32,42 シール部
13,23,33,43 リップ部
10X,30X 第1鉛直面
20X,40X 第2鉛直面
50 センターピラー(ボディ)
50a,50b コーナー部
50L センターピラーの最も車外側に位置する面の車両前後方向の幅
50S センターピラーの厚さ
60 ボディ側ウェザーストリップ
60L ボディ側ウェザーストリップの幅
61 取付基部
61S ボディ側ウェザーストリップの厚さ
63 ボディシール部(第1中空部)
63a 第1壁
63b 第2壁
63c 第3壁
63d 第4壁
63aS,63bS,63cS 厚さ
64 ボディシール部(第2中空部)
64a 第1壁
64b 第2壁
64c 第3壁
64d 第4壁
64aS,64bS,64cS,64dS 厚さ
70L センターピラーの車両前後方向の最大幅
80 センターピラー
80b,80c シール面
80L センターピラーの幅
81,82 ドア側ウェザーストリップ
83,84 シール部
90 センターピラー
91 シール部材
92 リップ部
100L ドア屈曲部の車両前後方向の幅
R1,R2,R3,R4 ドア屈曲部