(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】ソール要素
(51)【国際特許分類】
A43B 5/02 20060101AFI20240123BHJP
A43B 13/14 20060101ALI20240123BHJP
B29D 35/04 20100101ALI20240123BHJP
A43B 13/12 20060101ALN20240123BHJP
【FI】
A43B5/02
A43B13/14 A
B29D35/04
A43B13/12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020132773
(22)【出願日】2020-08-05
【審査請求日】2020-09-29
(31)【優先権主張番号】10 2019 213 330.4
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】201910826126.7
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510204998
【氏名又は名称】アディダス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【氏名又は名称】藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン アレクサンダー トムプセット
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ スラック
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド アートナ-
(72)【発明者】
【氏名】トムソン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ジュヌス アリ カーン
(72)【発明者】
【氏名】アルジュン シャンカー
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-148880(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0164691(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0055143(US,A1)
【文献】特開2005-261750(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0067765(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0079378(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 5/00
A43B 13/00
B29D 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑り止め付き履物製品用、特にフットボールシューズ用のソール要素であって、
(a)前記ソール要素の前足部領域にのみ配置される複合材要素と、
(b)前記複合材要素を少なくとも部分的に覆うポリマー要素であり、スタッド先端を支持するための少なくとも1つのスタッドドームを備えたポリマー要素で、複数の前記スタッドドームおよび/または複数の前記スタッド先端が、前記ソール要素の地面を向く面を直角に見て前記複合材要素と重ならない、ポリマー要素と
を備え、
複数の前記スタッドドームおよび/または複数の前記スタッド先端が、前記ソール要素の前足部領域に配置され、
前記複合材要素が、前記ソール要素の長手方向に沿って配置されるスリットを備え、前記スリットは、前記ソール要素の幅方向において、複数の前記スタッドドームおよび/または複数の前記スタッド先端の間に設けられ、
前記複合材要素が、前記ソール要素のつま先領域での上向きの曲げに対する第1の曲げ剛性と、前記ソール要素の前記つま先領域での下向きの曲げに対する第2の曲げ剛性とを有しており、前記第2の曲げ剛性が前記第1の曲げ剛性よりも小さい、
ソール要素。
【請求項2】
前記ポリマー要素が、少なくとも1つの開口を備えて、前記複合材要素の少なくとも一部を露出させる、請求項1に記載のソール要素。
【請求項3】
前記複合材要素が異方性曲げ特性を有する、請求項1または2に記載のソール要素。
【請求項4】
前記ポリマー要素が前記複合材要素の上にオーバーインジェクションされる、請求項1~3のいずれか1つに記載のソール要素。
【請求項5】
前記ポリマー要素がポリアミドを含む、請求項1~4のいずれか1つに記載のソール要素。
【請求項6】
前記複合材要素の地面を向く面が、前記ポリマー要素によって少なくとも部分的に覆われる、請求項1~5のいずれか1つに記載のソール要素。
【請求項7】
前記ソール要素の上面が平坦である、請求項1~6のいずれか1つに記載のソール要素。
【請求項8】
前記複合材要素の外形は滑らかである、請求項1~7のいずれか1つに記載のソール要素。
【請求項9】
前記ポリマー要素に取り付けられたインソールボードをさらに備える、請求項1~8のいずれか1つに記載のソール要素。
【請求項10】
前記インソールボードが前足部インソールボードである、請求項
9に記載のソール要素。
【請求項11】
前記ソール要素および/または前記複合材要素が非線形曲げ剛性を備える、請求項1~10のいずれか1つに記載のソール要素。
【請求項12】
前記ソール要素および/または前記複合材要素の前記曲げ剛性が、第2の曲げ範囲よりも第1の曲げ範囲の方で小さく、前記第1の曲げ範囲及び第2の曲げ範囲は曲げ角度の範囲である、請求項1~11のいずれか1つに記載のソール要素。
【請求項13】
前記複合材要素の後部が、前記複合材要素の前部よりも広い、請求項1~12のいずれか1つに記載のソール要素。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1つに記載のソール要素を備えるシューズ。
【請求項15】
アッパーをさらに備え、前記アッパーのかかと領域が、縫製によって前記ソール要素に取り付けられている、請求項14に記載のシューズ。
【請求項16】
履物製品用のソール要素を生産する方法であって、
(a)前記ソール要素の前足部領域にのみ配置される複合材要素を提供するステップと、
(b)前記複合材要素にポリマー要素をオーバーインジェクションして、前記複合材要素を少なくとも部分的に覆うステップと、
(c)スタッド先端を支持するために前記ポリマー要素に少なくとも1つのスタッドドームを形成するステップであり、前記スタッドドームおよび/または前記スタッド先端が、前記ソール要素の地面を向く面を直角に見て前記複合材要素と重ならない、ステップと
を含み、
複数の前記スタッドドームおよび/または複数の前記スタッド先端が、前記ソール要素の前足部領域に配置され、
前記複合材要素が、前記ソール要素の長手方向に沿って配置されるスリットを備え、前記スリットは、前記ソール要素の幅方向において、複数の前記スタッドドームおよび/または複数の前記スタッド先端の間に設けられ、
前記複合材要素が、前記ソール要素のつま先領域での上向きの曲げに対する第1の曲げ剛性と、前記ソール要素の前記つま先領域での下向きの曲げに対する第2の曲げ剛性とを有しており、前記第2の曲げ剛性が前記第1の曲げ剛性よりも小さい、
方法。
【請求項17】
前記ポリマー要素に少なくとも1つの開口を形成して、前記複合材要素の一部を露出させるステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
スタッド先端を支持するために前記ポリマー要素に少なくとも1つのスタッドドームを形成するステップであり、前記スタッドドームおよび/または前記スタッド先端が前記複合材要素と重ならない、ステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記複合材要素が異方性曲げ特性を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記複合材要素を前記ソール要素の前足部領域にのみ配置するステップをさらに含む、請求項16~19のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
前記ポリマー要素がポリアミドを含む、請求項16~20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
オーバーインジェクションするステップが、前記ポリマー要素によって前記複合材要素の地面を向く面を少なくとも部分的に覆うステップを含む、請求項16~21のいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
オーバーインジェクションするステップが、前記ソール要素の平坦な上面を形成するステップを含む、請求項16~22のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
前記複合材
要素の滑らかな外形を形成するステップをさらに含む、請求項16~23のいずれか1つに記載の方法。
【請求項25】
インソールボードを前記ポリマー要素に取り付けるステップをさらに含む、請求項16~24のいずれか1つに記載の方法。
【請求項26】
前記複合材要素の後部が、前記複合材要素の前部よりも広い、請求項16~25のいずれか1つに記載の方法。
【請求項27】
前記複合材要素にスリットを形成するステップをさらに含む、請求項16~26のいずれか1つに記載の方法。
【請求項28】
前記スリットが、前記ソール要素の長手方向に沿って配置されている、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
請求項16~28のいずれか1つに記載の方法によってソール要素を生産するステップを含む、シューズを生産する方法。
【請求項30】
アッパーを提供するステップ、および前記アッパーのかかと領域を縫製によって前記ソール要素に取り付けるステップをさらに含む、請求項29に記載のシューズを生産する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物製品用のソール要素、履物製品、およびその生産のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シューズなどの履物製品のソールは、運動選手が感じる履き心地にとっても、ならびに最大限の性能を可能にするためにも非常に重要なものである。履き心地および性能の両方のために重要な態様はソールの剛性である。例えば、ウォーキングまたは穏やかなランニング速度では、運動選手は可撓性のあるソールがより快適であると感じることができる。しかし、速いランニング速度では、けがを防ぎ、選手の成績を改善するために、より硬いソールが有利な場合がある。したがって、開発者はしばしば、快適であり、着用者の足を保護し、最大限の性能を可能にするソールを提供するためにトレードオフに直面する。
【0003】
米国特許出願公開第2017/0157893号では、圧縮弾性率とは異なる引張弾性率を有し、可変弾性率挙動を示す第1の層を備える異方性複合材アセンブリが開示されている。第1の層は、圧縮下で弾力的に座屈する。第2の層は、その圧縮弾性率と実質的に同じ引張弾性率を有する。第1の層と第2の層は互いに接合され、アセンブリは、第1の層の外面が圧縮状態にある場合に第1の方向に曲げ可能であり、アセンブリは、第1の方向に曲がっている間は第1の曲げ剛性を有する。アセンブリは、第1の層の外面が引張状態にある場合に第1の方向と反対の第2の方向に曲げ可能であり、アセンブリは、第2の方向に曲がっている間は第1の曲げ剛性よりも大きい第2の曲げ剛性を有する。
【0004】
しかし、このような異方性複合材は、その重量と厚さにより、完璧なソールを提供するのに適していない。残念ながら、このような異方性複合材は、他の材料への接合がうまくいかない傾向がある。
【0005】
国際公開第2018/118430号では、第1の側、第2の側、外周、第1の側から第2の側までプレート本体を貫通して延在する少なくとも1つの開口、および少なくとも1つの開口と境を接する内周を有するプレート本体を備える履物製品用のソールプレートが開示されている。プレート本体は、内周が外周に対して第1の配向になるように付勢されている。このようなソールプレートは異方性曲げ特性がない。従来技術の前記不利な点を克服し、履物製品用の改善されたソールを提供することが本発明の基礎をなす目的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2017/0157893号明細書
【文献】国際公開第2018/118430号パンフレット
【発明の概要】
【0007】
この目的は、独立請求項の教示によって、特に、滑り止め付き履物製品用、特にフットボールシューズ用のソール要素によって達成される。このソール要素は、(a)異方性曲げ特性を有する複合材要素と、(b)複合材要素を少なくとも部分的に覆うポリマー要素とを備える。したがって、複合材要素の異方性曲げ特性は、最大限の履き心地と性能のためにソール要素に異方性曲げ特性を与える。ポリマー要素は、その地面を向く側に少なくとも1つの開口を備えて、複合材要素の少なくとも一部を露出させることができる。
【0008】
ポリマー要素は、スタッド先端を支持するための少なくとも1つのスタッドドーム(stud dome)を備えることができ、スタッドドームおよび/またはスタッド先端は実質的に複合材要素と重ならない。
【0009】
本発明の実施形態は、滑り止め付き履物製品用、特にフットボールシューズ用のソール要素に関する。このソール要素は、(a)複合材要素と、(b)複合材要素を少なくとも部分的に覆うポリマー要素であって、少なくとも1つの開口を備えて、複合材要素の少なくとも一部を露出させるポリマー要素とを備える。ソール要素は、開口から離れたところよりも開口での方がより容易に曲がるので、曲げ特性を開口によって操作することができる。必要に応じて、開口の形状、例えば楕円または円によって、曲がりやすい方向を操作することができる。したがって、それ自体異方性曲げ特性を備えていない複合材要素であっても、ソール要素が異方性曲げ特性を備えるようにソール要素内で異方性曲げ特性を操作することができる。
【0010】
ポリマー要素は、スタッド先端を支持するための少なくとも1つのスタッドドームを備えることができ、スタッドドームは実質的に複合材要素と重なることがない。
【0011】
複合材要素は異方性曲げ特性を備えることができる。
【0012】
別の実施形態は、滑り止め付き履物製品用、特にフットボールシューズ用のソール要素に関する。このソール要素は、(a)複合材要素と、(b)複合材要素を少なくとも部分的に覆うポリマー要素であって、スタッド先端を支持するための少なくとも1つのスタッドドームを備えたポリマー要素であり、スタッドドームは実質的に複合材要素と重なることがない、ポリマー要素とを備える。本発明者らは、このような構造は、履物製品の全体重量を減らし、その構造を簡単にすることができることを見出した。ポリマー要素は、少なくとも1つの開口を備えて、複合材要素の少なくとも一部を露出させることができる。
【0013】
実質的に重なりがないということは、ソールプレートの長手方向に対して垂直方向にソール要素を見て、例えば、ソール要素の地面を向く面を直角に見て、実質的に重なりがないことを意味することができる。特に、「実質的に」は、重なりが、ソール要素の地面を向く面を直角に見て、断面積の20%より少ない、好ましくは10%より少なくてもよいことを意味する。
【0014】
いずれの実施形態でも、ポリマー要素の少なくとも1つの開口は、ソール要素の長手方向に沿って延在することができる。少なくとも1つの開口の長手方向に沿う長さは、長手方向に対して実質的に直角の方向に沿うソール要素の幅よりも長くてもよい。このようにして、ソール要素は、ソール要素の左側に対する右側の、ソール要素の長手方向周りの横方向屈曲を可能にして競技者の可動性を改善することができる。少なくとも1つの開口は、ソール要素の中足部領域に配置されてもよい。
【0015】
記載する実施形態のすべては、最適の曲げ特性、例えばソール要素の曲げ剛性を与える改善された方法に関する。滑り止め付き履物製品は、フットボールシューズまたはフットボールブーツであることが好ましい。あるいは、この発明によるソール要素は、任意の他の種類のシューズまたはブーツ、特に運動活動用、例えば、ランニングシューズ、テニスシューズ、ハイキングシューズ、ハイキングブーツなどのために使用することができる。
【0016】
異方性曲げ特性は曲げ剛性とすることができる。したがって、ソール要素は、1つの方向の曲げ剛性を別の方向よりも低くすることができる。複合材要素は、1つの方向の曲げ剛性を別の方向よりも低くすることができる。したがって、この複合材要素によって、ある特別の要件に関する特定の要求に合うようにソール要素の曲げ剛性を最適になるように調整することができる。ポリマー要素は複合材要素に十分接合して、好適な厚さで軽量な完全なソール要素を形成することができる。
【0017】
ソールの曲げ方向は、シューズの履き心地と性能に対して重要な役割を果たす。複合材要素、ソール要素、または複合材要素とソール要素の両方は、ソール要素のつま先領域での上向きの曲げに対する第1の曲げ剛性と、ソール要素のつま先領域での下向きの曲げに対する第2の曲げ剛性とを有することができ、第2の曲げ剛性は第1の曲げ剛性よりも小さい。
【0018】
したがって、複合材要素、ソール要素、または複合材要素とソール要素の両方は、ソール要素のつま先領域において上方向に曲がるよりも容易に下方向に曲がることができ、その結果、ソールはランニング時に最適に役目を果たしながら、つま先の過大な上向きの曲げによる足のけがを防ぐことができる。下向きとは、履物製品を通常の構成で履いているときに地面に向かう方向である。上向きとは、履物製品を通常の構成で履いているときに空に向かう方向である。言い換えれば、ソール要素は、足の背屈よりも足の底屈の方が容易にできる。
【0019】
本発明者らは、背屈を制限すると足のけがを減らすのに役立ち、底屈を容易にすると、例えばランニング時の性能を最適にすることができることを見出した。
【0020】
ソール要素は、ソール要素のつま先領域において上方向に曲がるよりも容易に下方向に曲がることができるが、それは特定の角度までだけである。ソール要素の地面を向く面の形状は、ソール要素の下向きの曲げを制限することができる。ある時点で、ソール要素のスタッドは互いに相互作用して、ソール要素のさらなる曲げに影響を与えることができる。また、上方向では、ソール要素は、特定の曲げ範囲、例えば上向きの曲げ40~45°になると硬くすることができる。特定の曲げ範囲に対して、上向きの曲げと下向きの曲げに対する曲げ剛性を同じにすることも可能である。このような曲げ範囲は、上向きの曲げ20°から下向きの曲げ20°の間とすることができる。
【0021】
複合材要素は、ソール要素の前足部領域にのみ配置されてもよい。本発明者らは、ソール要素の前足部領域において複合材要素によって与えられる剛性が最も重要であることを見出した。したがって、この構造は、好ましい剛性度を与えながらも、ソール要素の全体重量を軽くすることを可能にする。
【0022】
複合材要素の長さは特定の目的に適合させることができる。例えば、複合材要素は、芝などの軟らかい地面で使用するように意図された滑り止め付き履物製品よりも、硬い地面、例えばタールマック、あるいはタータン(登録商標)などのポリマー被覆されたコンクリートまたはタールマックで使用するように意図された滑り止め付き履物製品に対しての方が長いことが有利な場合がある。複合材要素の長さを変えることによって、ソール要素の全体剛性を変えることができ、それは性能に影響を与えることができる。
【0023】
上記のように、いくつかの実施形態では、ポリマー要素は、スタッド先端を支持するための少なくとも1つのスタッドドームを備えることができる。スタッドは、例えばフットボールブーツ用の、地面と係合する任意の要素であってもよい。スタッドドームは、ポリマー要素と一体的に製造および提供されることが好ましい。さらに、スタッド先端はスタッドドームの上部に注入されてもよい。あるいは、スタッド先端は、最初のステップで型の凹部に挿入され、次いで、スタッドドームおよびポリマー要素がスタッド先端の上に注入される。あるいは、スタッド先端は、スタッドドームに設けられたねじにねじ込まれてもよい。スタッド先端はスタッドドームとは異なる材料を含んでもよく、スタッド先端は、高い耐摩耗性を有するTPU材料を含むことが好ましい。
【0024】
スタッドドームは複合材と重ならなくてよい、すなわち、スタッドドームは、使用時の履物製品の通常の配向では複合材要素の下方に配置されなくてよい。あるいは、スタッド先端は複合材要素と重ならなくてよい、すなわち、スタッド先端は、使用時の履物製品の通常の配向では複合材要素の下方に配置されなくてよいが、スタッドドームの少なくとも1つは、少なくとも1つの領域、特にスタッドドームの外周で、複合材要素と少なくともわずかに重なっている。
【0025】
軽量ではあるが強いソール要素を提供するために、くり抜かれたスタッド領域を提供するために「コアリング(coring)」と呼ばれる技法をスタッドの後ろに適用する必要がある。これによってソールの一貫した材料厚さを提供することができる。スタッドドームが実質的に複合材要素と重なる場合、特にスタッドドームの外周よりも多くが重なる場合、このようなコアリング技法を複合材要素に適用する必要があり、これは、困難で高価であり、複合材要素によって与えられる剛性を減じるであろう。
【0026】
ポリマー要素はポリアミドを含んでもよい。ポリアミド12などのポリアミドは優れた接合特性を有する。
【0027】
複合材要素は炭素繊維を含んでもよい。炭素繊維複合材料は軽量であるが非常に強い。
【0028】
複合材要素は、その地面を向く面がポリマー要素によって少なくとも部分的に、例えば表面積の50~65%だけ覆われてもよい。逆に、複合材要素の上面は基本的にはポリマー要素12によって覆われなくてよい。
【0029】
あるいは、複合材要素は、基本的にポリマー要素に完全に包まれてもよい。この構成は、複合材要素をよごれや摩滅から最適に保護することができる。完全に包まれることは、複合材要素の表面の100%がポリマー要素によって覆われることを必ずしも意味しない。例えば、複合材要素の表面の最大10%、好ましくは最大20%がポリマー要素によって覆われずに、例えば、下で記載されるように開口を提供してもよい。
【0030】
ポリマー要素は、少なくとも1つの開口を備えて、例えば、複合材要素の底側(例えば地面を向く側)の複合材要素の一部を露出させることができる。この開口は、下向きに曲がる方向に十分な可撓性、すなわち十分小さい曲げ剛性を与える助けとなる。さらに、開口によって、さらに下で記載されるように、ポリマー要素が複合材要素の上に注入される間、複合材要素を型の中に固定することができるので、このような開口は生産の観点から有利である。
【0031】
ソール要素の上面は基本的に平坦とすることができる。例えば、上面は、基本的に滑らかとすることができ、すなわち基本的に凹凸がないようにすることができる。このような上面は、さらなる構成部品、例えばアッパーまたは他のソール要素の構成部品へのより容易な接合を可能にする。
【0032】
複合材要素の外形は基本的には滑らかとすることができる。基本的に滑らかであることは、複合材要素が基本的にいかなる鋭い形状部も有さないことができることを意味する。鋭い形状部とは、1mmよりも狭い、好ましくは2mmより狭い、より好ましくは5mmより狭い幅を有する任意の形状部とすることができる。複合材要素は、大きな応力およびひずみを受けやすい。鋭い外形は、複合材要素にとって破断点となりやすい。したがって、この構造はより弾力的な複合材要素を可能にする。
【0033】
ソール要素は、ポリマー要素に取り付けられたインソールボードをさらに備えてもよい。インソールボードはソール要素にさらなる剛性を与えることができる。ポリアミドなどのポリマーの優れた接合特性により、インソールボードはポリマー要素に非常によく接合する。
【0034】
インソールボードは前足部インソールボードとして配置されてもよい。前足部インソールボードと第1の前足部領域とは、部分的または完全に重なってもよい。したがって、ソール要素の曲げ剛性をさらに調整することが可能である。
【0035】
インソールボードは、ポリエーテルブロックアミドまたは熱可塑性ポリウレタンを含んでもよい。これらの材料は、接合特性および耐久性が良好である。
ソール要素および/または複合材要素は、非線形曲げ剛性を備えることができる。したがって、ソール要素および/または複合材要素を曲げるのに必要なトルクは、曲げ角度の関数として非線形に増大することができる。
【0036】
ソール要素および/または複合材要素の曲げ剛性は、第2の曲げ範囲よりも第1の曲げ範囲の方を小さくすることができる。例えば、曲げ剛性は、45度を超える曲げ角度(第2の曲げ範囲)に対するよりも45度より小さい曲げ角度(第1の曲げ範囲)に対する方を小さくすることができる。
【0037】
複合材要素の後部は複合材要素の前部よりも広くてもよい。複合材要素の前部はつま先領域寄りとすることができ、一方、複合材要素の後部はかかと領域寄りとすることができる。
【0038】
複合材要素は、少なくとも1つのスリット(slit、以下、溝ともいう)をさらに備えてもよい。少なくとも1つの溝は、より良く、より調整されたソール要素の曲げ特性を生成する助けとなることができる。溝は、注入ゲートとして働くことができるので、生産の観点からも有利である。溝は別の領域に配置されてもよいが、生産を簡素化するため、および着用者の足を十分支え、また快適にすることを保証するために、スタッドの第2の前部列と第3の前部列の間の領域には配置されないことが好ましい。言い換えれば、溝は、ソール要素の中足部領域に配置することができない。
【0039】
溝は、実質的にソール要素の長手方向に沿って配置されてもよい。複合材要素の溝は、複合材要素の前端から複合材要素の後端へ長手方向に沿って延在してもよい。このようにして、例えば、親指は、他の指とは異なる屈曲性を有することができる。したがって、ソール要素の曲げ剛性をさらに調整して、特定の運動活動の必要性によりよく合わせることが可能である。
【0040】
本発明はさらに、本明細書で説明するようなソール要素を備えるシューズに関する。したがって、本シューズは、最適な支持と快適な履き心地を提供する軽量で耐久性のあるソール要素を備える。
【0041】
本シューズは、アッパーをさらに備えてもよく、アッパーのかかと領域は、縫製によってソール要素に取り付けることができる。シューズアッパーはさらに、ソール要素の前足部領域のインソールボードの周りにつり込むことができる。この構造は、シューズアッパーとソール要素との接続の安定性を良好なレベルに維持しながら、全体重量を軽くすることができる。
【0042】
本発明はさらに、履物製品用のソール要素を生産する方法に関し、本方法は、(a)異方性曲げ特性を有する複合材要素を提供するステップと、(b)複合材要素にポリマー要素をオーバーインジェクション(over-injecting、以下、「過注入」ともいう)して、複合材要素を少なくとも部分的に覆うステップとを
含む。
【0043】
本方法は、ポリマー要素の地面を向く側に少なくとも1つの開口を形成して、複合材要素の一部を露出させるステップをさらに含むことができる。
【0044】
本方法は、スタッド先端を支持するためにポリマー要素に少なくとも1つのスタッドドームを形成するステップであって、スタッドドームは複合材要素と重ならなくてよい、ステップをさらに含むことができる。
【0045】
本発明はまた、履物製品用のソール要素を生産する方法に関し、本方法は、(a)複合材要素を提供するステップと、(b)複合材要素にポリマー要素を過注入して、複合材要素を少なくとも部分的に覆うステップと、(c)ポリマー要素の地面を向く側に少なくとも1つの開口を形成して、複合材要素の一部を露出させるステップとを含む。
【0046】
本方法は、スタッド先端を支持するためにポリマー要素に少なくとも1つのスタッドドームを形成するステップであって、スタッドドームは実質的に複合材要素と重ならない、ステップをさらに含むことができる。
【0047】
複合材要素は異方性曲げ特性を備えることができる。
【0048】
本発明はまた、履物製品用のソール要素を生産する方法に関し、本方法は、(a)複合材要素を提供するステップと、(b)複合材要素にポリマー要素を過注入して、複合材要素を少なくとも部分的に覆うステップと、(c)スタッド先端を支持するためにポリマー要素に少なくとも1つのスタッドドームを形成するステップであって、スタッドドームおよび/またはスタッド先端は実質的に複合材要素と重ならない、ステップとを含む。
【0049】
本方法は、ポリマー要素の地面を向く側に少なくとも1つの開口を形成して、複合材要素の一部を露出させるステップをさらに含むことができる。
【0050】
複合材要素は異方性曲げ特性を備えることができる。
【0051】
いずれの実施形態でも、ポリマー要素の少なくとも1つの開口は、ソール要素の長手方向に沿って延在することができる。少なくとも1つの開口の長手方向に沿う長さは、長手方向に対して実質的に直角の方向に沿うソール要素の幅よりも長くてもよい。このようにして、ソール要素の左側に対する右側の、ソール要素の長手方向周りの横方向屈曲を可能にして競技者の可動性を改善することができる。少なくとも1つの開口は、ソール要素の中足部領域に配置されてもよい。
【0052】
記載する実施形態のすべては、最適のソール要素の曲げ剛性を与える改善された方法に関する。さらなる詳細ならびに技術的効果および利点は、ソール要素に関して上で詳細に説明されている。
【0053】
複合材要素にポリマー要素を過注入するステップは、当該技術で知られている任意の好適な技法、例えば射出成形を含んでもよい。複合材要素は、液体ポリマー要素が型に注入される間、型の中に固定することができる。
【0054】
このようにして、複合材要素とポリマー要素との間の良好なレベルの接合を達成することができる。特に、複合材要素の小さな裂け目および割れ目は、ポリマー要素によって満たすことができる。
【0055】
複合材要素は、上の生産の文脈で記載したように、ソール要素のつま先領域での上向きの曲げに対する第1の曲げ剛性と、つま先領域での下向きの曲げに対する第2の曲げ剛性とを有することができ、第2の曲げ剛性は第1の曲げ剛性よりも低くすることができる。
【0056】
本方法は、上で記載したように、ポリマー要素に少なくとも1つの開口を形成して、複合材要素の一部を露出させるステップをさらに含むことができる。
【0057】
本方法は、開口が過注入(over-injection)時に形成されるように、複合材要素を型の中に配置するステップをさらに含むことができる。例えば、複合材要素は、過注入時、クランプ機構を用いてクランプ点でクランプすることができる。これは、成形プロセス時に複合材要素の意図しない動きを防ぎ、過注入時に開口を形成する簡単な方法を提供するという両方の働きをすることができる。特に、本明細書で説明するような1つまたは複数の開口は、型の表面の載置位置に複合材要素を載置することによって形成することができる。過注入時、オーバーインジェクされた材料は、載置位置またはクランプ位置の周りを流れ、その結果、開口が載置位置またはクランプ位置に形成される。好ましい実施形態では、第1の型部分の内面の隆起した要素が、複合材要素を第2の型部分の内面に押し当てる。それによって、第1の型要素の隆起した要素はクランプ要素として働く。
【0058】
本方法は、すでに本明細書で記載したように、複合材要素をソール要素の前足部領域にのみ配置するステップをさらに含んでもよい。さらなる詳細ならびに技術的効果および利点は、ソール要素に関して上で詳細に説明されている。
【0059】
本方法は、本明細書で記載したように、スタッド先端を支持するためにポリマー要素に少なくとも1つのスタッドドームを形成するステップをさらに含むことができる。
【0060】
スタッドドームは、本明細書で記載したように、複合材要素と重ならないように配置することができる。
【0061】
ポリマー要素は、本明細書で記載したように、ポリアミド、例えばポリアミド12を含んでもよい。
【0062】
過注入するステップは、本明細書で記載したように、基本的に複合材要素をポリマー要素内に完全に包むステップを含んでもよい。
【0063】
過注入するステップは、本明細書で記載したように、ソール要素の基本的に平坦な上面を形成するステップを含んでもよい。
【0064】
本方法は、本明細書で記載したように、複合材要素の基本的に滑らかな外形を形成するステップをさらに含んでもよい。
【0065】
本方法は、本明細書で記載したように、インソールボードをポリマー要素に取り付けるステップをさらに含んでもよい。
【0066】
本方法は、本明細書で記載したように、インソールボードを前足部領域に配置するステップをさらに含んでもよい。
【0067】
インソールボードは、本明細書で記載したように、ポリエーテルブロックアミドまたは熱可塑性ポリウレタンを含んでもよい。
【0068】
ソール要素および/または複合材要素は、非線形曲げ剛性を備えることができる。ソール要素および/または複合材要素の曲げ剛性は、第2の曲げ範囲よりも第1の曲げ範囲の方を小さくすることができる。例えば、曲げ剛性は、45度を超える曲げ角度(第2の曲げ範囲)に対するよりも45度より小さい曲げ角度(第1の曲げ範囲)に対する方を小さくすることができる。
【0069】
複合材要素の後部は、本明細書で記載したように、複合材要素の前部よりも広くてもよい。
【0070】
本方法は、本明細書で記載したように、複合材要素に少なくとも1つの溝を形成するステップをさらに含んでもよい。
【0071】
溝は、本明細書で記載したように、実質的にソール要素の長手方向に沿って配置されてもよい。
【0072】
本発明はさらに、本明細書で説明した方法によってソール要素を生産するステップを含むシューズを生産する方法に関する。
【0073】
シューズを生産する方法は、アッパーを提供するステップ、およびアッパーのかかと領域を縫製によってソール要素に取り付けるステップをさらに含んでもよい。アッパーのつま先領域は、本明細書で説明したように、ソール要素の周りにアッパーをつり込むステップによってソール要素に取り付けてもよい。
【0074】
本発明は以下の実施形態を含む。
[1]
滑り止め付き履物製品用、特にフットボールシューズ用のソール要素(10)であって、
(a)異方性曲げ特性を有する複合材要素(11)と、
(b)前記複合材要素(11)を少なくとも部分的に覆うポリマー要素(12)と
を有するソール要素(10)。
[2]
滑り止め付き履物製品用、特にフットボールシューズ用のソール要素(10)であって、
(a)複合材要素(11)と、
(b)前記複合材要素(11)を少なくとも部分的に覆うポリマー要素(12)であり、その地面を向く側に少なくとも1つの開口(14)を備えて、前記複合材要素(11)の少なくとも一部を露出させるポリマー要素(12)と
を備えるソール要素(10)。
[3]
滑り止め付き履物製品用、特にフットボールシューズ用のソール要素(10)であって、
(a)複合材要素(11)と、
(b)前記複合材要素(11)を少なくとも部分的に覆うポリマー要素(12)であり、スタッド先端(51a、52a)を支持するための少なくとも1つのスタッドドーム(53a、53b、54a、54b、15a)を備えたポリマー要素(12)で、前記スタッドドーム(53a、53b、54a、54b、15a)および/または前記スタッド先端(51a、52a)が実質的に前記複合材要素(11)と重ならない、ポリマー要素(12)と
を備えるソール要素(10)。
[4]
前記ポリマー要素(12)が、少なくとも1つの開口(14)を備えて、前記複合材要素(11)の少なくとも一部を露出させる、[1]または[3]のいずれかに記載のソール要素(10)。
[5]
前記ポリマー要素(12)が、スタッド先端(51a、52a)を支持するための少なくとも1つのスタッドドーム(53a、53b、54a、54b、15a)を備え、前記スタッドドーム(53a、53b、54a、54b、15a)および/または前記スタッド先端(51a、52a)が前記複合材要素(11)と重ならない、[1]または[2]のいずれかに記載のソール要素(10)。
[6]
前記複合材要素(11)が異方性曲げ特性を有する、[2]または[3]に記載のソール要素(10)。
[7]
前記ポリマー要素が前記複合材要素の上にオーバーインジェクションされる、[1]~[6]のいずれか1つに記載のソール要素。
[8]
前記複合材要素(11)が、前記ソール要素(10)のつま先領域での上向きの曲げに対する第1の曲げ剛性と、前記ソール要素(10)の前記つま先領域での下向きの曲げに対する第2の曲げ剛性とを有しており、前記第2の曲げ剛性が前記第1の曲げ剛性よりも小さい、[1]、[6]、または[7]のいずれか1つに記載のソール要素(10)。
[9]
前記複合材要素(11)が、前記ソール要素(10)の前足部領域にのみ配置される、[1]~[8]のいずれか1つに記載のソール要素(10)。
[10]
前記ポリマー要素(12)がポリアミドを含む、[1]~[9]のいずれか1つに記載のソール要素(10)。
[11]
前記複合材要素(11)の地面を向く面が、前記ポリマー要素によって少なくとも部分的に覆われる、[1]~[10]のいずれか1つに記載のソール要素(10)。
[12]
前記ソール要素(10)の上面が基本的に平坦である、[1]~[11]のいずれか1つに記載のソール要素(10)。
[13]
前記複合材要素(11)の外形は基本的には滑らかである、[1]~[12]のいずれか1つに記載のソール要素(10)。
[14]
前記ポリマー要素(12)に取り付けられたインソールボードをさらに備える、[1]~[13]のいずれか1つに記載のソール要素(10)。
[15]
前記インソールボードが前足部インソールボードである、[1]~[14]のいずれか1つに記載のソール要素(10)。
[16]
前記ソール要素(10)および/または前記複合材要素(11)が非線形曲げ剛性を備える、[1]~[15]のいずれか1つに記載のソール要素(10)。
[17]
前記ソール要素(10)および/または前記複合材要素(11)の前記曲げ剛性が、第2の曲げ範囲よりも第1の曲げ範囲の方で小さい、[1]~[16]のいずれか1つに記載のソール要素(10)。
[18]
前記複合材要素(11)の後部が、前記複合材要素(11)の前部よりも広い、[1]~[17]のいずれか1つに記載のソール要素(10)。
[19]
前記複合材要素(11)がスリット(13)をさらに備える、[1]~[18]のいずれか1つに記載のソール要素(10)。
[20]
前記スリット(13)が、実質的に前記ソール要素(10)の長手方向に沿って配置されている、[1]~[19]のいずれか1つに記載のソール要素(10)。
[21]
[1]~[20]のいずれか1つに記載のソール要素(10)を備えるシューズ(30)。
[22]
アッパーをさらに備え、前記アッパーのかかと領域が、縫製によって前記ソール要素(10)に取り付けられている、[21]に記載のシューズ(30)。
[23]
履物製品用のソール要素(10)を生産する方法であって、
(a)異方性曲げ特性を有する複合材要素(11)を提供するステップと、
(b)前記複合材要素(11)にポリマー要素をオーバーインジェクションして、前記複合材要素(11)を少なくとも部分的に覆うステップと
を含む方法。
[24]
履物製品用のソール要素(10)を生産する方法であって、
(a)複合材要素(11)を提供するステップと、
(b)前記複合材要素(11)にポリマー要素をオーバーインジェクションして、前記複合材要素(11)を少なくとも部分的に覆うステップと、
(c)前記ポリマー要素(12)の地面を向く側に少なくとも1つの開口(14)を形成して、前記複合材要素(11)の一部を露出させるステップと
を含む方法。
[25]
履物製品用のソール要素(10)を生産する方法であって、
(a)複合材要素(11)を提供するステップと、
(b)前記複合材要素(11)にポリマー要素をオーバーインジェクションして、前記複合材要素(11)を少なくとも部分的に覆うステップと、
(c)スタッド先端(51a、52a)を支持するために前記ポリマー要素(12)に少なくとも1つのスタッドドーム(53a、53b、54a、54b、15a)を形成するステップであり、前記スタッドドーム(53a、53b、54a、54b、15a)および/または前記スタッド先端(51a、52a)が前記複合材要素(11)と重ならない、ステップと
を含む方法。
[26]
前記ポリマー要素に少なくとも1つの開口(14)を形成して、前記複合材要素(11)の一部を露出させるステップをさらに含む、[23]または[25]に記載の方法。
[27]
スタッド先端(51a、52a)を支持するために前記ポリマー要素(12)に少なくとも1つのスタッドドーム(53a、53b、54a、54b、15a)を形成するステップであり、前記スタッドドーム(53a、53b、54a、54b、15a)および/または前記スタッド先端(51a、52a)が前記複合材要素(11)と重ならない、ステップをさらに含む、[23]または[24]に記載の方法。
[28]
前記複合材要素(11)が異方性曲げ特性を有する、[24]または[25]に記載の方法。
[29]
前記複合材要素(11)が、前記ソール要素(10)のつま先領域での上向きの曲げに対する第1の曲げ剛性と、前記つま先領域での下向きの曲げに対する第2の曲げ剛性とを有しており、前記第2の曲げ剛性が前記第1の曲げ剛性よりも小さい、[23]または[28]に記載の方法。
[30]
前記複合材要素(11)を前記ソール要素(10)の前足部領域にのみ配置するステップをさらに含む、[23]~[29]のいずれか1つに記載の方法。
[31]
前記ポリマー要素がポリアミドを含む、[23]~[30]のいずれか1つに記載の方法。
[32]
オーバーインジェクションするステップが、前記ポリマー要素(12)によって前記複合材要素(11)の地面を向く面を少なくとも部分的に覆うステップを含む、[23]~[31]のいずれか1つに記載の方法。
[33]
オーバーインジェクションするステップが、前記ソール要素(10)の基本的に平坦な上面を形成するステップを含む、[23]~[32]のいずれか1つに記載の方法。
[34]
前記複合材(11)の基本的に滑らかな外形を形成するステップをさらに含む、[23]~[33]のいずれか1つに記載の方法。
[35]
インソールボードを前記ポリマー要素に取り付けるステップをさらに含む、[23]~[34]のいずれか1つに記載の方法。
[36]
前記複合材要素(11)の後部が、前記複合材要素(11)の前部よりも広い、[23]~[35]のいずれか1つに記載の方法。
[37]
前記複合材要素(11)にスリット(13)を形成するステップをさらに含む、[23]~[36]のいずれか1つに記載の方法。
[38]
前記スリット(13)が、実質的に前記ソール要素(10)の長手方向に沿って配置されている、[23]~[37]のいずれか1つに記載の方法。
[39]
[23]~[38]のいずれか1つに記載の方法によってソール要素(10)を生産するステップを含む、シューズ(30)を生産する方法。
[40]
アッパーを提供するステップ、および前記アッパーのかかと領域を縫製によって前記ソール要素(10)に取り付けるステップをさらに含む、[39]に記載のシューズ(30)を生産する方法。
【0075】
以下では、本発明の例示的な実施形態が図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図1】本発明による例示的なソール要素の底面図である。
【
図2】本発明による例示的なソール要素の上面図である。
【
図3】本発明による例示的なソール要素の例示的な側面図である。
【
図4】本発明による例示的なソール要素の2つの例示的底面図である。
【
図5】複合材要素有り無しのソール要素に対する例示的なトルク測定結果の図である。
【
図6】ソール要素または複合材要素の非線形曲げ剛性を可視化するために、
図5に示したものと類似の例示的なトルク測定結果を概略的に示した図である。
【
図7】ソール要素の異方性曲げ特性を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下に、本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明する。これらの例示的な実施形態は、いくつかの方法で修正することができ、矛盾しない場合には互いに組み合わせることができ、また、特定の特徴は、それらがなくても済むのであれば省略することができることは理解されよう。
【0078】
図1は、本発明による例示的なソール要素10の底面図である。
図2は、例示的なソール要素10の上面図である。
図3は、例示的なソール要素10の側面図である。
【0079】
本明細書では、ソール要素10の地面を向く面は、底面として考えることができ、シューズアッパーに接続されるように使用されるソール要素10の反対側の面は、上面として考えることができ、これは
図2に示されている。
【0080】
ソール要素10は履物製品用のものであり、(a)異方性曲げ特性を有する複合材要素11と、(b)複合材要素11を少なくとも部分的に覆うポリマー要素12とを備える。
【0081】
異方性曲げ特性を有する複合材要素11は、1つの方向の曲げ剛性が別の方向の曲げ剛性よりも小さい。この例では、複合材要素11は、ソール要素のつま先領域での上向きの曲げに対する第1の曲げ剛性と、ソール要素10のつま先領域での下向きの曲げに対する第2の曲げ剛性とを有しており、第2の曲げ剛性は第1の曲げ剛性よりも小さい。したがって、複合材要素11は、ソール要素10のつま先領域において上向きに曲がるよりも容易に下向きに曲がる。したがって、ソール要素10は、足の背屈よりも足の底屈の方が容易にできる。
【0082】
複合材要素11は炭素繊維を含み、厚さは約1.3mmである。
【0083】
ポリマー要素12は、過注入製造に好適な任意の熱可塑性材料、例えばポリアミド12を含んでもよい。ポリマー要素12は、
図1に示すように、ソール要素10の底面、すなわち地面を向く面の複合材要素11を少なくとも部分的に覆うように過注入される。
【0084】
例示的なポリマー要素12は、側部の過注入されるスタッド用の2つのスタッドドーム53a、側部のねじ込み可能なスタッド用の3つのスタッドドーム53b、中間の過注入されるスタッド用の2つのスタッドドーム54a、中間のねじ込み可能なスタッド用の3つのスタッドドーム54b、および中央のスタッド先端を支持するための中央のスタッドドームを備える。
【0085】
スタッドドームとスタッド先端とを組み合わせたものはスタッドと称せられる。2つのスタッド先端51aは、側部の過注入されるスタッド用の2つのスタッドドーム53aと一体接続され、したがって側部の過注入されるスタッド55aを形成する。側部のねじ込み可能なスタッド先端は示されていないが、それらは、側部のねじ込み可能なスタッド用の3つのスタッドドーム53bにねじ込まれて、側部のねじ込み可能なスタッド53bを形成する。2つの中間の過注入されるスタッド先端52aは、中間の過注入されるスタッド用の3つのスタッドドーム54aと一体接続され、したがって中間の過注入されるスタッド56aを形成する。中間のねじ込み可能なスタッド先端は示されていないが、それらは、中間のねじ込み可能なスタッド56b用の3つのスタッドドーム54bにねじ込まれる。中央のスタッド先端15bは、中央のスタッドドーム15aと一体接続されて中央のスタッド16を形成する。ある実施形態では、スタッド先端51a、52a、15bは、最初のステップで型の凹部に挿入されてもよく、次いで、スタッドドーム53a、53b、54b、15a、およびポリマー要素12がスタッド先端51a、52a、15b上に注入される。
【0086】
この配置は
図3に最もよく示されている。スタッドドームは、ポリマー要素12の他の部分と一体的に製造され、したがって、ポリマー要素12と同じポリマー材料、例えばポリアミド12を含む。スタッド先端は、例えば熱可塑性ポリウレタン(TPU:thermoplastic polyurethane)製とすることができる。
【0087】
複合材要素11は、ソール要素10の前足部領域19にのみ配置される。前足部領域19より大きく、前足部領域19と同一ではないソール要素10の前部に前足部領域19は位置する。ソール要素10の前部はつま先領域寄りとすることができ、それは、かかと領域寄りとすることができるソール要素10の後部の反対側にある。
【0088】
複合材要素11は、複合材要素11がポリマー要素12のスタッドドーム53a、53b、54a、54b、または15aのいずれにも実質的に重ならないように、ソール要素10の前部に配置される。したがって、前部のスタッドドーム53a、53b、54a、54b、または15aのそれぞれのスタッド55a、55b、56a、56b、および16も複合材要素11と重ならない。言い換えれば、
図1に示すように、地面を向く面からソール要素10を見たとき、スタッド55a、55b、56a、56b、および16は、複合材要素11の上には配置されない。
【0089】
あるいは、複合材要素11は、複合材要素11がスタッド先端51a、52a、15bのいずれもと実質的に重ならないが、ポリマー要素12のスタッドドーム53a、53b、54a、54b、または15aのうちの少なくとも1つが、その外周で複合材要素11とわずかに重なるように、ソール要素10の前部に配置されることも可能である。
【0090】
溝13は、実質的にソール要素10の長手方向に沿って配置され、複合材要素11の前端から複合材要素11の後端へ長手方向に延在する。このようにして、例えば、親指は、他の指とは異なる屈曲性を有することができる。
【0091】
図1に示すように、溝13は、第1の2つの側部のスタッドドーム53bと第1の2つの中間のスタッドドーム54bとの間のソール要素10のつま先領域に配置される。上記のように、溝13は中央のスタッド16の位置まで延在し、その結果、中央のスタッド16は複合材要素11と実質的に重ならないことに留意すべきである。
【0092】
溝13は、複合材要素11の別の領域に配置されてもよい。しかし、溝は、着用者の足を十分支え、また快適にすることを保証するために、ソール要素の中足部領域には配置されないことが好ましい。あるいは、複合材要素11は2つ以上の溝13を備えてもよい。例えば、実質的に平行な2つの溝が使用されてもよい。確実に、2つ以上の溝の任意の他の配置も可能である。
【0093】
さらに、溝13は、製造時の注入ゲートとして働くことができる。この例では、複合材要素11の底面(すなわち、
図1に示すような地面を向く面)は、表面の面積のおおよそ50~65%がポリマー要素12によって覆われる。逆に、複合材要素11の上面(
図2に示す)は、基本的にはポリマー要素12によって覆われない。複合材要素11の上面は基本的には滑らかである。他の実施形態では、複合材要素11は、表面の面積の任意の好ましい比率だけポリマー要素12によって完全に包まれてもよい。
【0094】
図1に示すように、ポリマー要素12は、2つの開口14を備えて、ポリマー要素12の底側の複合材要素11の一部を露出させる。底側とは、ポリマー要素12の地面を向く側である。生産時、ポリマー要素12が複合材要素11上に注入されている間、複合材要素11は、載置位置で型の中に固定され、したがって開口14が形成される。あるいは、ポリマー要素は、2つより多い、または少ない開口14を備えることができる。
【0095】
図2に示すように、ソール要素10の上側には、複合材要素11が、実質的にソール要素11の前部の真ん中に配置され、ポリマー要素11によって取り囲まれている。ポリマー要素11は、シューズアッパーをソール要素10に取り付けるために、その周囲に第1の接合代を備える。第1の接合代は、ソール要素10をシューズアッパーに強く接合するために周囲に8~10mmの幅で設けられることが好ましい。
【0096】
複合材11の外形は基本的には滑らかである。複合材要素11は、基本的には、幅が2mmより狭いいかなる鋭い形状部も有さない。ここで、幅は、複合材要素11の2つの平行で対向する部分間で測定されている。溝13は幅wを有するが、いかなる鋭い形状部も有さないことに留意されたい。複合材要素11は、幅wより広い幅で溝13の両側に滑らかな外形を有する。
【0097】
他の実施形態では、ソール要素10は、ポリマー要素12に取り付けられたインソールボードをさらに備えてもよい。インソールボードはソール要素10にさらなる剛性を与えることができる。ポリアミドなどのポリマーの優れた接合特性により、インソールボードはポリマー要素12に非常によく接合する。
【0098】
インソールボードは前足部インソールボードとして配置されてもよい。前足部インソールボードと第1の前足部領域19とは、部分的または完全に重なってもよい。したがって、ソール要素の曲げ剛性をさらに調整することが可能である。
【0099】
インソールボードは、ポリエーテルブロックアミドまたは熱可塑性ポリウレタンを含んでもよい。これらの材料は、接合特性および耐久性が良好である。
【0100】
ソール要素10の重量を増やさずに中足部領域27の剛性を有利に上げるために、ソール要素10は、底面の中足部領域27に複数のリブ17を備えてもよい。
【0101】
ソール要素10は、中足部領域27に格子構造18を備え、これによって、ソール要素10の前部と後部とが互いに対してある程度捩じる動きが可能になりながら剛性がさらに改善される。さらに、ソール要素10の重量は、より密な構造に比べて軽くなる。
【0102】
リブ17および格子構造18は、ポリマー材料12のポリアミド材料の使用と組み合わさって、ソール要素10を非常に軽くし、それは、他方では、適切な剛性を有する。リブ17および格子構造18を調整することによって、ソール要素10の剛性および重量は、任意の望まれる設定に調節することができる。
【0103】
ソール要素10の上面は、
図2に示すように、基本的に平坦で、基本的に滑らかである、すなわち基本的に凹凸がない。
【0104】
第2の接合代41は、良好な接合強度を確実にするために、開口14の周りに、少なくとも5mmで、ポリマー要素12と複合材要素11とが重なっている部分から形成されている。
【0105】
図4は、
図1~3に示したものと類似の例示的なソール要素10a、10bの2つの例示的な底面図である。ソール要素10aの複合材要素11aは、ソール要素11bの複合材要素11bより長い。ソール要素10aは、いかなるねじ込み可能なスタッドも備えていない。ソール要素10bは、ねじ込み可能なスタッド用のスタッドドーム53bおよび54bを備えるが、それらに対応するソール要素10aのスタッドドーム53aおよび54aは過注入されるスタッド用である。ソール要素10aは、硬い地面で使用するために構成されているが、ソール要素10bは軟らかい地面で使用するためのものである。
【0106】
図5は、複合材要素有り無しのソール要素に対する例示的なトルク測定結果を示す。縦軸63は、
図3に示した曲げ軸線59の周りに、横軸64に示された特定の角度だけソール要素を曲げるのに必要なトルクを示す。2つの曲線が示されている。曲線61は、複合材要素がない場合の、曲げ軸線59の周りにソール要素を曲げるために必要なトルクを示す。曲線62は、複合材要素がある場合の、曲げ軸線59の周りにソール要素を曲げるために必要なトルクを示す。所与の角度に対して必要なトルクが高いほど曲げ剛性は高いことを示す。したがって、曲げ剛性は複合材要素があることによって増大する。
【0107】
図6は、ソール要素または複合材要素の非線形曲げ剛性を可視化するために、
図5に示したものと類似の例示的なトルク測定結果を概略的に示している。縦軸63は、曲げ軸線、例えば
図3に示した曲げ軸線59の周りに、横軸64に示された特定の角度だけソール要素を曲げるのに必要なトルクを示す。
図6に概略的に示した例に対して、試験前にソールのかかと部分の下にくさび要素が配置された。くさびは15°の角度を有する。
図6の横軸64が0°ではなく15°から始まっているのはこのためであり、この場合、15°は水平に対する角度で、0°は、ソールの後部が水平であることと同じことである。くさびは、標準化された出発点を生成するためにかかと部分の下に配置され、それは、ソール要素10が、荷重のかかっていない状態でつま先からかかとまで完全には水平でないために必要である。言い換えれば、異なるソール要素は、荷重のかかっていない状態で、つま先の持ち上がりが異なるので、くさび要素を用いてプレートを標準化する必要がある。さらに、15°は、アウトソールが最終的に使用される場合を考えると、より現実的な出発位置である。
図6で分かるように、曲線62は、非線形曲げ剛性を有している。領域Iにおいて、曲げ剛性は、領域IIの45°以後の曲げ剛性よりも小さい。これは、領域I(0~45度)で、ソール要素または複合材要素は第1の剛性を備え、領域II(45度以上)で、第2の剛性を備えていることを意味する。
【0108】
図7は、ソール要素または複合材要素の異方性曲げ特性を概略的に示している。縦軸63は、曲げ軸線、例えば
図3に示した曲げ軸線59の周りに、横軸64に示された特定の角度だけソール要素を曲げるのに必要なトルクを示す。2つの曲線が示されている。曲線71は、負の角度64bに対して、曲げ軸線59の周りにソール要素を曲げるために必要なトルクを示す。曲線72は、正の角度64aに対して、曲げ軸線59の周りにソール要素を曲げるために必要なトルクを示す。見れば分かるように、所与の大きさの角度に対して、正の角度64aに対するよりも負の角度64bに対する方が必要なトルクはずっと高い。したがって、ソール要素の曲げ特性、この場合は曲げ剛性は異方性がある。正の角度は、足の下向きの曲げ、または底屈に対応することができ、負の角度は足の上向きの曲げまたは背屈に対応することができる。
【符号の説明】
【0109】
10 ソール要素
11 複合材要素
12 ポリマー要素
13 溝
14 開口
15a 中央のスタッドドーム
15b 中央のスタッド先端
16 中央のスタッド
17 リブ
18 格子構造
19 前足部領域
26 中央のスタッド用のスタッドドーム
27 中足部領域
30 シューズ
31 シューズアッパー
41 第2の接合代
42 側壁からの距離
51a 側部の過注入されたスタッド先端
52a 中間の過注入されたスタッド先端
53a 側部の過注入されるスタッド用のスタッドドーム
53b 側部のねじ込み可能なスタッド用のスタッドドーム
54a 中間の過注入されるスタッド用のスタッドドーム
54b 中間のねじ込み可能なスタッド用のスタッドドーム
55a 側部の過注入されたスタッド
55b 側部のねじ込み可能なスタッド
56a 中間の過注入されたスタッド
56b 中間のねじ込み可能なスタッド
59 曲げ軸線
61 複合材要素がない場合のトルク
62 合材要素がある場合のトルク
63 縦軸
64 横軸
64a 正の角度
64b 負の角度
71 負の角度に対するトルク
72 正の角度に対するトルク