(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】プロテクタ
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20240123BHJP
F16B 5/10 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
H02G3/04 018
H02G3/04 087
F16B5/10 H
(21)【出願番号】P 2020139832
(22)【出願日】2020-08-21
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】飯田 翔
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-124656(JP,A)
【文献】実開平7-20022(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
F16B 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を収容するプロテクタ本体と、前記プロテクタ本体に被着される別体のカバーと、を備えたプロテクタであって、
前記プロテクタ本体は、前記カバーと係合するロック部を有し、
前記カバーは、前記ロック部に対する受部と、前記受部の高さよりも高く、前記プロテクタ本体と係合する方向に向けて延びる複数の壁部と、を有し、
前記複数の壁部は、互いに対向する位置に形成されているプロテクタ。
【請求項2】
前記複数の壁部の各内面は、前記プロテクタ本体の壁部の外面より外側に位置するように設けられ、
前記カバーを前記プロテクタ本体の壁部に被着する際に、前記複数の壁部の各内面が前記プロテクタ本体の壁部の外面に当接しながら前記カバーが前記係合する方向に移動することで、前記受部に前記ロック部が誘い込まれて係合される、請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記カバーは、上壁部と、前記上壁部の周端縁に互いに対向するように突設される前記複数の壁部と、前記上壁部の前記複数の壁部の内側に該複数の壁部と相対向するように突設される複数の補強用リブと、を有し、
前記複数の壁部と前記複数の補強用リブとの間に、前記プロテクタ本体の壁部が嵌め込まれる、請求項1又は2に記載のプロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線を収容するプロテクタ本体の上側に別体のカバーが被着されるプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のプロテクタとして、特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示されたプロテクタは、電線を収容するプロテクタ本体と、このプロテクタ本体の上側に被着される別体のカバーと、を備えている。
【0003】
また、プロテクタ本体は、底板部と、この底板部の両側端縁より起立される一対の側壁と、この一対の側壁の各外面で突設される複数の係止爪と、を有していて、樋形状に形成されている。さらに、カバーは、上記一対の側壁に跨る蓋部と、この蓋部の両側端縁より係止爪に対設配置され、かつ、係止爪に係止される複数の係止片と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のプロテクタでは、プロテクタ本体の一対の側壁の上側にカバーを被着する際に、複数の係止爪と複数の係止片をそれぞれ合わせる作業が必要不可欠なため、前後左右方向でずれが発生し易く、カバーの位置合わせが難しかった。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、プロテクタ本体の上側にカバーを被着する際のカバーの位置合わせを容易にすることができ、かつ、プロテクタ本体のロック部とカバーの受部の係合作業を容易にすることができるプロテクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係るプロテクタは、電線を収容するプロテクタ本体と、前記プロテクタ本体に被着される別体のカバーと、を備えたプロテクタであって、前記プロテクタ本体は、前記カバーと係合するロック部を有し、前記カバーは、前記ロック部に対する受部と、前記受部の高さよりも高く、前記プロテクタ本体と係合する方向に向けて延びる複数の壁部と、を有し、前記複数の壁部は、互いに対向する位置に形成されているものである。
【0008】
前記複数の壁部の各内面は、前記プロテクタ本体の壁部の外面より外側に位置するように設けられ、前記カバーを前記プロテクタ本体の壁部に被着する際に、前記複数の壁部の各内面が前記プロテクタ本体の壁部の外面に当接しながら前記カバーが前記係合する方向に移動することで、前記受部に前記ロック部が誘い込まれて係合されることが好ましい。
【0009】
前記カバーは、上壁部と、前記上壁部の周端縁に互いに対向するように突設される前記複数の壁部と、前記上壁部の前記複数の壁部の内側に該複数の壁部と相対向するように突設される複数の補強用リブと、を有し、前記複数の壁部と前記複数の補強用リブとの間に、前記プロテクタ本体の壁部が嵌め込まれることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プロテクタ本体の上側にカバーを被着する際のカバーの位置合わせを容易にすることができ、かつ、プロテクタ本体のロック部とカバーの受部の係合作業を容易にすることができるプロテクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るプロテクタのカバーが被着される途中の状態の一例を示す部分斜視図である。
【
図4】上記カバーが被着されたプロテクタの部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係るプロテクタについて詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の実施形態に係るプロテクタのカバーが被着される途中の状態の一例を示す部分斜視図である。
図2はカバーの斜視図である。
図3はカバーの底面図である。
図4はカバーが被着されたプロテクタの部分斜視図である。
【0014】
図1、
図4に示すように、プロテクタ10は、内部に図示しない電線を束ねてなるワイヤハーネスを収容して保護するものであり、合成樹脂製のプロテクタ本体11と、このプロテクタ本体11の上側に被着される別体で合成樹脂製のカバー20と、を備えている。
【0015】
図1に示すように、プロテクタ本体11は、図示しない底壁部と、この底壁部の周端縁より起立した側壁等となる壁部12と、を備えていて、上面側はカバー20で閉塞される開口部になっている。この壁部12の上側の後述するカバー20の複数の受部22に対応する位置には、複数の凹部13が形成されている。この複数の凹部13には、カバー20の受部22と係合するロック部14が相対向するようにそれぞれ突設されている。なお、壁部12が対向する位置に少なくとも2以上設けられていればよく、すべての壁部が対向する位置に設けられていなくともよい。
【0016】
図1、
図4に示すように、各ロック部14は、凹部13と平行になるように上方に突設され、上部の両端角側がテーパ状に切り欠かれた突出片14aと、この突出片14aに突設され、カバー20の受部22に係止・離脱される係止突起14bと、を有している。
【0017】
図2、
図3に示すように、カバー20は、上壁部21と、この上壁部21の周端縁の角部にそれぞれ突設され、ロック部14が係合する複数の受部22と、この各受部22と連結され、上壁部21の周端縁に突設される複数の壁部23A~23Eと、を有している。さらに、カバー20は、上壁部21の複数の壁部23A~23Eの内側に該複数の壁部23A~23Eと相対向するように突設される複数の補強用リブ24A~24Eを有している。そして、カバー20をプロテクタ本体11の壁部12の上側に被着する際に、複数の壁部23A~23Eと複数の補強用リブ24A~24Eとの間に、プロテクタ本体11の壁部12が位置決めされながら嵌め込まれるようになっている。
【0018】
図1~
図4に示すように、各受部22は、偏平で四角筒状の枠部22aと、この枠部22aの上部中央に切り欠き形成され、各ロック部14の係止突起14bが係止・離脱される係合凹部22bと、を有している。
【0019】
図1~
図4に示すように、複数の壁部23A~23Eは、カバー20がプロテクタ本体11と係合(被着)する方向Yに向けて延びていて、それらの各高さHaは、各受部22の高さHbよりも高く(長く)なるように設定されている。また、
図2、
図3に示すように、複数の壁部23A~23Eのうち、壁部23Aと壁部23B、壁部23C及び壁部23Dと壁部23Eとは、互いに対向する位置にそれぞれ突設されている。
【0020】
さらに、複数の壁部23A~23Eの各内面23aは、プロテクタ本体11の壁部12の外面12aより外側に位置するように設けられている。そして、カバー20をプロテクタ本体11の壁部12の上側に被着する際に、複数の壁部23A~23Eの各内面23aがプロテクタ本体11の壁部12の外面12aに当接しながらカバー20が係合する方向Yに移動するようになっている。これにより、受部22にロック部14が誘い込まれて係合されるようになっている。
【0021】
以上実施形態のプロテクタ10によれば、カバー20の複数の壁部23A~23Eを受部22より長く形成したことで、プロテクタ本体11の壁部12に対するカバー20の位置決めが容易になり、全てのロック部14と受部22の位置が合った状態にできる。これにより、プロテクタ本体11の壁部12の上側にカバー20を被着する際に、カバー20の位置合わせを容易に行うことができると共に、プロテクタ本体11のロック部14とカバー20の受部22の係合(ロック)作業を容易に行うことができる。また、ロック部14の突出片14aが受部22の枠部22a内に挿入される構造であるため、ロック部14の係止突起14bを受部22の係合凹部22bに確実に係合することができ、ロック部14に外力(負荷)がかかっても不用意に外れることが無い。
【0022】
このように、ロック部14と受部22の位置ズレの発生が無く、カバー20の取外作業等が不要となるため、プロテクタ本体11に対するカバー20の位置合わせが容易となり、プロテクタ本体11のロック部14とカバー20の受部22の係合作業が容易となる。
【0023】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0024】
すなわち、前記実施形態によれば、プロテクタ本体にロック部を設け、カバーにロック部が係合する受部を設けたが、プロテクタ本体に受部を設け、カバーに受部に係合されるロック部を設けても良い。
【符号の説明】
【0025】
10 プロテクタ
11 プロテクタ本体
12 壁部
12a 外面
14 ロック部
20 カバー
21 上壁部
22 受部
23A~23E 複数の壁部
23a 内面
24A~24E 複数の補強用リブ
Y 係合する方向
Ha 壁部の高さ
Hb 受部の高さ