(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】磁気ヘッド及び磁気記録装置
(51)【国際特許分類】
G11B 5/31 20060101AFI20240123BHJP
G11B 5/02 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
G11B5/31 A
G11B5/31 E
G11B5/02 R
(21)【出願番号】P 2020148037
(22)【出願日】2020-09-03
【審査請求日】2022-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2019202653
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 仁志
(72)【発明者】
【氏名】高岸 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】成田 直幸
(72)【発明者】
【氏名】永澤 鶴美
(72)【発明者】
【氏名】首藤 浩文
【審査官】中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-080878(JP,A)
【文献】特開2013-222485(JP,A)
【文献】特開2014-130672(JP,A)
【文献】特開2013-246852(JP,A)
【文献】特開2010-003354(JP,A)
【文献】特開2018-133119(JP,A)
【文献】特開2019-057337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/31
G11B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ヘッドと、
電気回路と、
を備え、
前記磁気ヘッドは、
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた積層体と、
を含み、
前記積層体は、
第1非磁性層と、
前記第1非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1層と、
前記第1層と前記第2磁極との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3非磁性層と、
を含み、
前記第1磁性層は、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つの第1元素を含み、前記第1磁性層における前記第1元素の濃度は、50原子%以上であり、
前記第2磁性層は、Fe、Ni及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つの第2元素と、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つの第3元素と、を含み、
前記第1層は、Ta、Zr、Hf、Mo、W、Tc、Re、Ru、Rh、Os、Ir、Pd、Pt、Mn、Cr、V、Ti、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記電気回路は、前記第2磁極から前記第1磁極への第1向きを有する第1電流を前記積層体に供給
し、
前記積層体に流れる電流密度の変化に対する前記積層体の電気抵抗の変化率は、前記電流密度が第1範囲のときに正であり、前記電流密度が第2範囲のときに負であり、前記電流密度が第3範囲のときに正であり、
前記第1電流の電流密度は、前記第3範囲内である、磁気記録装置。
【請求項2】
磁気ヘッドと、
電気回路と、
を備え、
前記磁気ヘッドは、
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた積層体と、
を含み、
前記積層体は、
第1非磁性層と、
前記第1非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3非磁性層と、
を含み、
前記第1磁性層は、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つの第1元素を含み、前記第1磁性層における前記第1元素の濃度は、50原子%以上であり、
前記第2磁性層は、Fe、Ni及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つの第2元素と、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つの第3元素と、を含み、
前記第1磁性層は、前記第3元素を含まない、または、前記第1磁性層における前記第3元素の濃度は、前記第2磁性層における前記第3元素の濃度よりも低く、
前記電気回路は、前記第2磁極から前記第1磁極への第1向きを有する第1電流を前記積層体に供給
し、
前記積層体に流れる電流密度の変化に対する前記積層体の電気抵抗の変化率は、前記電流密度が第1範囲のときに正であり、前記電流密度が第2範囲のときに負であり、前記電流密度が第3範囲のときに正であり、
前記第1電流の電流密度は、前記第3範囲内である、磁気記録装置。
【請求項3】
磁気ヘッドと、
電気回路と、
を備え、
前記磁気ヘッドは、
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた積層体と、
を含み、
前記積層体は、
第1非磁性層と、
前記第1非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3非磁性層と、
を含み、
前記第2磁性層は、Fe、Ni及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つの第2元素と、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つの第3元素と、を含み、
前記第1磁性層は、第1膜及び第2膜を含み、前記第2膜は、前記第1非磁性層と前記第1膜との間の第1位置、及び、前記第1膜と前記第2非磁性層との間の第2位置のいずれかにあり、
前記第1膜は、前記第2元素及び前記第3元素を含み、
前記第2膜は、前記第3元素を含まない、または、前記第2膜における前記第3元素の濃度は、前記第1膜における前記第3元素の濃度よりも低く、
前記電気回路は、前記第2磁極から前記第1磁極への第1向きを有する第1電流を前記積層体に供給
し、
前記積層体に流れる電流密度の変化に対する前記積層体の電気抵抗の変化率は、前記電流密度が第1範囲のときに正であり、前記電流密度が第2範囲のときに負であり、前記電流密度が第3範囲のときに正であり、
前記第1電流の電流密度は、前記第3範囲内である、磁気記録装置。
【請求項4】
前記第1膜の組成は、前記第2磁性層の組成と実質的に同じである、請求項3記載の磁気記録装置。
【請求項5】
前記第1非磁性層は、Ta、Ru、Cr及びCuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項1~4のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【請求項6】
前記第2非磁性層は、Cu、Ag、Au及びCrよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項1~5のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【請求項7】
前記第3非磁性層は、Cu、Ag及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項1~6のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【請求項8】
前記積層体は、前記第3非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層をさらに含み、
前記第3磁性層は、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つの第4元素を含み、前記第3磁性層における前記第4元素の濃度は、50原子%以上である、請求項1~7のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【請求項9】
磁気ヘッドと、
電気回路と、
を備え、
前記磁気ヘッドは、
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた積層体と、
を含み、
前記積層体は、
第1非磁性層と、
前記第1非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1層と、
前記第1層と前記第2磁極との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3非磁性層と、
を含み、
前記第1磁性層は、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つの第1元素を含み、前記第1磁性層における前記第1元素の濃度は、50原子%以上であり、
前記第2磁性層は、Fe、Ni及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つの第2元素と、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つの第3元素と、を含み、
前記電気回路は、前記第2磁極から前記第1磁極への第1向きを有する第1電流を前記積層体に供給
し、
前記積層体に流れる電流密度の変化に対する前記積層体の電気抵抗の変化率は、前記電流密度が第1範囲のときに正であり、前記電流密度が第2範囲のときに負であり、前記電流密度が第3範囲のときに正であり、
前記第1電流の電流密度は、前記第3範囲内である、磁気記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気ヘッド及び磁気記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ヘッドを用いて、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記憶媒体に情報が記録される。磁気ヘッド及び磁気記録装置において、記録密度の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、記録密度の向上が可能な磁気ヘッド及び磁気記録装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、磁気記録装置は、磁気ヘッド及び電気回路を含む。前記磁気ヘッドは、第1磁極と、第2磁極と、前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた積層体と、を含む。前記積層体は、第1非磁性層と、前記第1非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1層と、前記第1層と前記第2磁極との間に設けられた第2非磁性層と、前記第2非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3非磁性層と、を含む。前記第1磁性層は、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つの第1元素を含み、前記第1磁性層における前記第1元素の濃度は、50原子%以上である。前記第2磁性層は、Fe、Ni及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つの第2元素と、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つの第3元素と、を含む。前記第1層は、Ta、Zr、Hf、Mo、W、Tc、Re、Ru、Rh、Os、Ir、Pd、Pt、Mn、Cr、V、Ti、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。前記電気回路は、前記第2磁極から前記第1磁極への第1向きを有する第1電流を前記積層体に供給する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1(a)~
図1(c)は、第1実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
【
図2】
図2(a)及び
図2(b)は、参考例に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
【
図3】
図3(a)~
図3(c)は、第1実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る磁気ヘッドの特性を例示するグラフ図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る磁気ヘッドの特性を例示するグラフ図である。
【
図6】
図6は、磁気ヘッドの特性を例示するグラフ図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
【
図8】
図8(a)~
図8(c)は、第2実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
【
図14】
図14は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
【
図15】
図15(a)及び
図15(b)は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)~
図1(c)は、第1実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
図1(a)に示すように、実施形態に係る磁気記録装置210は、磁気ヘッド110及び磁気記録媒体80を含む。磁気ヘッド110により、磁気記録媒体80に情報が記録される。磁気記録媒体80は、例えば、垂直記録媒体である。磁気記録媒体80の例については、後述する。
【0009】
図1(a)に示すように、磁気ヘッド110は、第1磁極30、第2磁極31及び積層体20を含む。積層体20は、第1磁極30と第2磁極31との間に設けられる。
【0010】
この例では、積層体20は、第1非磁性層41、第1磁性層21、第1層25、第2非磁性層42、第2磁性層22及び第3非磁性層43を含む。後述するように、別の磁性層(第3磁性層)がさらに設けられても良い。
【0011】
第1磁性層21は、第1非磁性層41と第2磁極31との間に設けられる。第1層25は、第1磁性層21と第2磁極31との間に設けられる。第2非磁性層42は、第1層25と第2磁極31との間に設けられる。第2磁性層22は、第2非磁性層42と第2磁極31との間に設けられる。第3非磁性層43は、第2磁性層22と第2磁極31との間に設けられる。
【0012】
第1磁性層21は、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つの第1元素を含む。第1磁性層21における第1元素の濃度は、50原子%以上である。第1磁性層21は、例えば、FeCo合金またはNiFe合金を含む。
【0013】
第2磁性層22は、Fe、Ni及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つの第2元素と、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つの第3元素と、を含む。
【0014】
例えば、第2磁性層22の材料は、第1磁性層21の材料とは異なる。例えば、第2磁性層22の特性は、第1磁性層21の特性とは異なる。例えば、第2磁性層22の性質は、第1磁性層21の性質とは異なる。例えば、第2磁性層22の分極に関する特性は、第1磁性層21の分極に関する特性とは異なる。例えば、第1磁性層21は、正の分極を有する。第2磁性層22は、負の分極を有する。
【0015】
第1層25は、Ta、Zr、Hf、Mo、W、Tc、Re、Ru、Rh、Os、Ir、Pd、Pt、Mn、Cr、V、Ti、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuよりなる群(以下、「第1層材料群」と言う)から選択された少なくとも1つを含む。
【0016】
例えば、第1非磁性層41は、Ta、Ru、Cr及びCuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第2非磁性層42は、Cu、Ag、Au及びCrよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3非磁性層43は、Cu、Ag及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0017】
第1磁極30は、例えば、主磁極である。第2磁極31は、例えば、シールド(例えば、トレーリングシールド)である。第1磁極30及び第2磁極31は、例えば、磁気回路を形成する。後述するように、第1磁極30(または/及び第2磁極31)にコイルが設けられる。第1磁極30から、コイルに流れる記録電流に応じた記録磁界が発生する。発生した記録磁界の少なくとも一部は、磁気記録媒体80に向かう。記録磁界の少なくとも一部が、磁気記録媒体80に印加される。磁気記録媒体80のうちの、記録磁界が印加された部分の磁化の向きが、記録磁界により制御される。これにより、磁気記録媒体80に、記録磁界の向きに応じた情報が記録される。例えば、記録磁界の少なくとも一部は、磁気記録媒体80に向かった後に、第2磁極31に向かう。
【0018】
第1磁極30から第2磁極31への方向をX軸方向とする。X軸方向は、例えば、ダウントラック方向である。
【0019】
積層体20に電流が供給されることが可能である。例えば、後述するように、第1磁極30及び第2磁極31を介して、積層体20に電流が供給される。電流は、後述する電気回路20D(
図12参照)から供給される。
【0020】
図1(a)は、積層体20に電流が供給されていない状態(第3状態ST3)に対応する。
図1(c)は、第1状態ST1に対応する。第1状態ST1において、積層体20に第1電流i1が供給される。
図1(b)は、第2状態ST2に対応する。第2状態ST2において、積層体20に第2電流i2が供給される。第2電流i2は、第1電流i1よりも小さい。第1電流i1は、例えば、後述する電気回路20D(
図12参照)から供給される。
図1(a)~
図1(c)の例では、コイルに流れる電流により、第1磁極30の磁化及び第2磁極31の磁化が、X軸方向に固定されている。この状態で、積層体20に第2電流i2が供給される。
【0021】
第1電流i1は、例えば、第1磁性層21の第1磁化21M及び第2磁性層22の第2磁化22Mを反転するのに十分な電流である。
【0022】
この例では、第1電流i1は、第2磁極31から第1磁極30への第1向きD1を有する。第2電流i2も、第2磁極31から第1磁極30への第1向きD1を有する。大きな第1電流i1が積層体20に供給されることで、第1磁性層21の第1磁化21M及び第2磁性層22の第2磁化22Mが反転する。
【0023】
積層体20に第1電流i1が流れるときに、積層体20に第1電子流je1が流れる。第1電子流je1の向きは、第1電流i1の向きとは反対である。積層体20に第2電流i2が流れるときに、積層体20に第2電子流je2が流れる。第2電子流je2の向きは、第2電流i2の向きとは反対である。
【0024】
第1状態ST1において、第1磁化21M及び第2磁化22Mは、第1磁極30の磁化30Mの向き、及び、第2磁極31の磁化31Mの向きとは反対の成分を有する。これにより、第1磁極30から発生した記録磁界は、第1磁性層21及び第2磁性層22(すなわち積層体20)中を通り難くなる。これにより、第1磁極30から発生した記録磁界の多くの部分が、磁気記録媒体80に向い易くなる。記録磁界が効率良く磁気記録媒体80に印加される。
【0025】
例えば、記録密度を高めるために第1磁極30と第2磁極31との間の距離を短くすると、第1磁極30から発生した記録磁界は、磁気記録媒体80に向かわずに第2磁極31に入り易くなる。このとき、実施形態においては、第1磁化21M及び第2磁化22Mが反転することで、第1磁極30と第2磁極31との間の距離が短い場合でも、記録磁界は、効果的に磁気記録媒体80に向かう。第1磁極30と第2磁極31との間の距離が短い場合でも、記録磁界を効果的に磁気記録媒体80に印加できる。これにより、記録密度の向上が可能な磁気ヘッド及び磁気記録装置が提供できる。
【0026】
実施形態において、例えば、積層体20は、交流磁界を発生しない。または、積層体20から発生する交流磁界の周波数は、磁気記録媒体の磁気共鳴周波数よりも高い。
【0027】
一方、MAMR(Microwave Assisted Magnetic Recording)の参考例がある。この参考例においては、磁性層を含む積層体から高周波磁界が発生する。この高周波磁界が磁気記録媒体80の一部に印加され、磁気記録媒体80の一部において磁気共鳴が生じ磁気記録媒体80の磁化の向きが変化し易くなる。この参考例においては、積層体から発生する高周波磁界の周波数は、磁気記録媒体80の磁気共鳴周波数以下である。これにより、磁気共鳴が生じることで磁気記録媒体80の磁化の向きが変化し易くなる。
【0028】
これに対して、実施形態においては、積層体20は、交流磁界を発生しない。または、積層体20から発生する交流磁界の周波数は、磁気記録媒体の磁気共鳴周波数よりも高い。実施形態においては、MAMRとは異なり、第1磁性層21の第1磁化21M及び第2磁性層22の第2磁化22Mが反転する。
【0029】
以下、実施形態における磁化の変化の例について説明する。
図1(a)に示すように、電流が供給されない第3状態ST3(初期状態)においては、磁化30M、第1磁化21M、第2磁化22M及び磁化31Mは、同じ向き(例えば、第2向きD2)を有している。
【0030】
図1(b)に示すように、小さい第2電流i2(第2電子流je2)が積層体20に供給される第2状態ST2において、第2磁性層22の第2磁化22Mは、第2磁極31から第2磁性層22へのスピントランスファトルクSTT3の影響を受ける。一方、例えば、第1層25が設けられているため、第1磁性層21からのスピントランスファトルクSTT1は、第1層25で減衰し、スピントランスファトルクSTT1が第2磁性層22へ与える影響が抑制される。これにより、第2磁化22Mは、初期状態から変化し始める。一方、第1磁性層21の第1磁化21Mは初期状態のままである。
【0031】
図1(c)に示すように、十分に大きい第1電流i1(第1電子流je1)が積層体20に供給される第1状態ST1においては、第2磁極31からのスピントランスファトルクSTT3の影響を受けて、第2磁性層22の第2磁化22Mは、例えば、第1状態ST1において、第2磁化22Mは、第1磁極30の磁化30M、及び、第2磁極31の磁化31Mとは反対方向に向けて回転し、第2磁化22Mの第1向きD1の成分が増大する。1つの例において、第2磁化22Mは、初期状態から反転する。第2磁化22Mの回転角が90度を超えると、第2磁性層22からのスピントランスファトルクSTT2の影響を受け、第1磁性層21の第1磁化21Mが反転する。このように、大きな第1電流i1が流れることで、第1磁性層21の第1磁化21M及び第2磁性層22の第2磁化22Mが初期状態から反転する。
【0032】
スピントランスファトルクによる第1磁化21M及び第2磁化22Mの反転は、第1磁極の反転に追随してナノセカンド以下の短時間で生じる。このため、第1磁極30と第2磁極31との間の距離が短く微細な記録パターンを記録する場合でも、記録磁界を安定して効果的に磁気記録媒体80に向かわせることができる。記録密度の向上が可能な磁気ヘッド及び磁気記録装置が提供できる。
【0033】
以下、参考例における磁化の変化の例について説明する。
図2(a)及び
図2(b)は、参考例に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
図2(a)及び
図2(b)に示すように、参考例に係る磁気ヘッド119においては、第1層25が設けられていない。
図2(a)は、磁気ヘッド119に含まれる第1磁性層21が正の分極を有する場合を例示している。
図2(b)は、磁気ヘッド119に含まれる第1磁性層21が負の分極を有する場合を例示している。
【0034】
図2(a)に示すように、小さい第2電流i2(第2電子流je2)が積層体20に流れる第2状態ST2において、第2磁極31からのスピントランスファトルクSTT3と、第1磁性層21からのスピントランスファトルクSTT1と、の両方が、第2磁性層22に作用する。スピントルクを与える第1磁性層21の分極の極性と、第2磁極31の分極の極性と、が、正なので、スピントランスファトルクSTT3の向きと、第1磁性層21からのスピントランスファトルクSTT1の向きとは、互いに逆であるので、互いに相殺する。このため、第2磁性層22の第2磁化22Mは、反転し難い。
【0035】
第1磁性層21の極性が負である場合には、第1磁性層21の分極の極性が、第2磁極31の分極の極性とは反対なので、第2磁性層22へのスピントランスファトルクは加算となり、第2磁性層22の反転は加速される。しかしながら、
図2(b)に示すように、大きい第1電流i1(第1電子流je1)が積層体20に供給される第1状態ST1において、第2磁性層22の磁化22Mの回転角が90度を超えるため、第2磁性層22からのスピントランスファトルクSTT2の方向が反転し、第1磁性層21の磁化21Mは反転する。その結果、第2磁極31からのスピントランスファトルクSTT3と、第1磁性層21からのスピントランスファトルクSTT1と、が互いに逆になる。このように、この参考例においては、第1磁性層21の分極の極性によらず、第1磁性層21の第1磁化21M及び第2磁性層22の第2磁化22Mの反転が困難になる。参考例においては、信頼性確保が困難となるような高い電流密度が必要になる。
【0036】
これに対して、実施形態に係る磁気ヘッド110においては、第2磁性層22からのスピントランスファトルクSTT2の妨害が抑制される。第1磁化21M及び第2磁化22Mの反転は、低い電流密度で生じる。これにより、記録密度の向上が可能な磁気ヘッド及び磁気記録装置が提供できる。
【0037】
図1(c)に示すように、実施形態において、第1電流i1が積層体20に供給されたときに、例えば、第1磁性層21の第1磁化21Mは、第1向きD1の成分を有する。第1電流i1が積層体20に供給されたときに、第2磁性層22の第2磁化22Mは、第1向きD1の成分を有する。
【0038】
図1(b)に示すように、第1向きD1の第2電流i2が積層体20に供給されたときに、第1磁化21Mは、第1磁極30から第2磁極31への第2向きD2の成分を有する。この第2電流i2は第1電流i1よりも小さい。第2電流i2が積層体20に供給されたときに、第2磁化22Mは、第2向きD2の成分を有する。第2磁化22Mの第2向きD2の成分は、第1磁化21Mの第2向きD2の成分よりも小さい。
【0039】
図3(a)~
図3(c)は、第1実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
図3(a)~
図3(c)に示すように、1つの期間において第1磁極30の磁化30Mの向き、及び、第2磁極31の磁化31Mの向きが、
図1(a)~
図1(c)に例示した状態とは逆である。
【0040】
図3(c)に示すように、第1磁極30の磁化30Mは、第1向きD1の成分を有する。第1電流i1が積層体20に供給されたときに、第1磁性層21の第1磁化21Mは、第2向きD2の成分を有する。第1電流i1が積層体20に供給されたときに、第2磁性層22の第2磁化22Mは、第2向きD2の成分を有する。
【0041】
図3(a)及び
図3(b)に示すように、電流が積層体20に供給されないとき、または、第2電流i2が積層体20に供給されたときに、第1磁化21Mは、第1向きD1の成分を有する。電流が積層体20に供給されないとき、または、第2電流i2が積層体20に供給されたときに、第2磁化22Mは、第1向きD1の成分を有する。このように、第1磁極30の磁化30Mの向きが、
図1(a)~
図1(c)に例示した状態とは逆のときにおいても、大きな第1電流i1が供給される第1状態ST1において、第1磁化21M及び第2磁化22Mは、初期状態(第3状態ST3)から反転する。
【0042】
以下、実施形態に係る磁気ヘッドの特性の例について説明する。
図4は、実施形態に係る磁気ヘッドの特性を例示するグラフ図である。
図4は、磁気ヘッド110の特性のシミュレーション結果を例示している。
図4の横軸は、積層体20に流れる電流密度J20である。
図4の縦軸は、パラメータM1である。パラメータM1は、第1磁性層21の磁気厚及び第2磁性層22の磁気厚の和の第1向きD1の成分である。第1磁性層21の磁気厚は、第1磁性層21の厚さ(X軸方向に沿う長さ)と第1磁性層21の飽和磁化との積である。第2磁性層22の磁気厚は、第2磁性層22の厚さ(X軸方向に沿う長さ)と第2磁性層22の飽和磁化との積である。
【0043】
このシミュレーションのモデルにおいて、第1磁性層21の磁気厚は、4nmTである。第2磁性層22の磁気厚は、4nmTである。第1磁極30と第2磁極31との間における磁界(ギャップ磁界)は、15kOeである。第1層25により、第1磁性層21から第2磁性層22へのスピントランスファトルクSTT1は小さくなり、この例では、0である。積層体20に供給される電流の時間は、1ナノ秒以上の、十分に長い時間である。
【0044】
図4に示すように、電流密度J20が低いとき(例えば、1×10
8A/cm
2以下のとき)に、パラメータM1は、負である。電流密度J20が上昇すると、パラメータM1は、正になる。電流密度J20が高いとき(例えば、2×10
8A/cm
2以上のとき)に、パラメータM1は、正である。電流密度J20が1×10
8A/cm
2~2×10
8A/cm
2の範囲で、パラメータM1の極性が反転する。パラメータM1の極性の反転は、積層体20の磁化が、第1磁極30の磁化30Mと同じ向きから、第1磁極30の磁化30Mと反対のむきに変化することに対応する。
【0045】
電流密度J20が0では、第1磁性層21の第1磁化21M及び第2磁性層22の第2磁化22Mが、第1磁極30の磁化30Mと同じ向きであり、パラメータM1は、約-8nmTである。電流密度J20が2x108A/cm2以上のときに、パラメータM1は約7nmTとなり、飽和する。
【0046】
積層体20の磁化は、実質的に、第1磁極30の磁化30Mと逆向きに反転できる。この変化に応じて、積層体20による磁気記録媒体80への記録磁界への作用が、マイナスからプラスに変化して、記録能力が増大する。
【0047】
図5は、実施形態に係る磁気ヘッドの特性を例示するグラフ図である。
図5は、
図4に例示した、電流密度J20と、パラメータM1(積層体20の磁化方向)と、の間の関係を、電流密度J20と電気抵抗R1の関係に変換した特性に対応する。
図5の横軸は、電流密度J20である。
図5の縦軸は、電気抵抗R1である。
【0048】
図5に示すように、電流密度J20について、第1範囲JR1、第2範囲JR2及び第3範囲JR3がある。第2範囲JR2の電流密度J20は、第1範囲JR1の電流密度J20よりも高い。第3範囲JR3の電流密度J20は、第2範囲JR2の電流密度J20よりも高い。第1範囲JR1及び第3範囲JR3のそれぞれにおいて、電流密度J20が上昇すると、電気抵抗R1は、放物線的に上昇する。これは、発熱の影響である。第2範囲JR2においては、電流密度J20が上昇すると、電気抵抗R1は低下する。電気抵抗R1の低下は、負分極の第2磁性層22と、正分極の第2磁極31と、の間で発生する負の磁気抵抗効果に起因する。電気抵抗R1の低下は、第2磁性層22の第2磁化22Mの反転に対応する。
【0049】
図5から分かるように、電流密度J20の変化に対する電気抵抗R1の変化率(傾斜)は、電流密度J20が第1範囲JR1のときに正である。変化率は、電流密度J20が第2範囲JR2のときに負である。変化率は、電流密度J20が第3範囲JR3のときに正である。第2範囲JR2は、第1範囲JR1と第3範囲JR3との間にある。
【0050】
第1範囲JR1は、
図1(b)に例示する第2状態ST2に対応する。第3範囲JR3は、例えば、
図1(c)に例示する第1状態ST1に対応する。第1磁性層21の第1磁化21M及び、第2磁性層22の磁化22Mは、第2範囲JR2の電流密度J20のときに、反転する。
【0051】
例えば、電流密度J20が、第1範囲JR1のときは、第1磁性層21の第1磁化21M及び第2磁性層22の磁化22Mは、第1磁極30の磁化30Mの向きの成分を有する。例えば、電流密度J20が第3範囲JR3のときに、第1磁性層21の第1磁化21M及び第2磁性層22の磁化22Mは、反転し、第1磁極30の磁化30Mの向きとは逆の成分を有する。
【0052】
電気回路20D(
図12参照)は、第3範囲JR3内の電流密度J20の第1電流i1を積層体20に供給する。これにより、第1磁性層21の第1磁化21M及び第2磁性層22の第2磁化22Mは、第1磁極30の磁化30Mの向きとは逆の成分を有する。これにより、第1磁極30からの記録磁界が磁気記録媒体80に向かい易くなる。これにより、記録磁界が効率的に磁気記録媒体80に印加される。記録密度の向上が可能な磁気ヘッド及び磁気記録装置が提供できる。
【0053】
上記の第1電流i1に対応する電流密度は、第3範囲JR3内の電流密度J20に対応する。上記の第2電流i2に対応する電流密度は、第1範囲JR1内の電流密度J20に対応する。
【0054】
磁気ヘッド110において、例えば、第1層25は、第1磁性層21及び第2非磁性層42と接する。例えば、第2非磁性層42は、第1層25及び第2磁性層22と接する。
【0055】
図6は、磁気ヘッドの特性を例示するグラフ図である。
図6は、磁気ヘッドの動的特性のシミュレーション結果を例示している。
【0056】
図6の横軸は、時間tmである。第1磁極30の磁化30M及び第2磁極31の磁化31Mが反転した直後に、時間tmはゼロである。
図6の縦軸は、上記のパラメータM1である。
図6において、電流密度J20は、2x10
8A/cm
2である。
【0057】
図6には、実施形態に係る磁気ヘッド110の特性と、磁気ヘッド119aの特性、及び、磁気ヘッド119bの特性が例示されている。
【0058】
磁気ヘッド110において、第1磁性層21の磁気厚は、4nmTである。第2磁性層22の磁気厚は、6nmTである。第1磁極30と第2磁極31との間における磁界(ギャップ磁界)は、15kOeである。スピントランスファトルクSTT3の値は、第2磁極31として、正分極のFeCoが用いられたときの値に対応する。
【0059】
磁気ヘッド119aにおいては、第1層25が設けられない。磁気ヘッド119aにおいては、第1磁性層21から第2磁性層22へのスピントランスファトルクSTT1は、第2磁極31から第2磁性層22へのスピントランスファトルクSTT3と、同じ値である。磁気ヘッド119aにおける第1磁性層21の磁気厚及び第2磁性層22の磁気厚は、磁気ヘッド110における第1磁性層21の磁気厚及び第2磁性層22の磁気厚と、それぞれ同じである。これを除いて、磁気ヘッド119aにおける条件は、磁気ヘッド110における条件と同じである。
【0060】
磁気ヘッド119bにおける積層体20においては、第1磁性層21、第1層25及び第2非磁性層42が設けられていない。磁気ヘッド119bにおいては、第1非磁性層41及び第2磁性層22が設けられる。磁気ヘッド119bにおける第2磁性層22の磁気厚は10nmTである。磁気ヘッド119bにおける第2磁性層22の磁気厚は、磁気ヘッド110及び119aにおける第1磁性層21及び第2磁性層22の合計の磁気厚と同じである。これを除いて、磁気ヘッド119bにおける条件は、磁気ヘッド110における条件と同じである。磁気ヘッド119bにおいては、第2磁性層22の磁化22Mが第2磁極31からのスピントランスファトルクSTT3により反転する。
【0061】
図6に示すように、磁気ヘッド110においてパラメータM1が負から正になる時間tmは、磁気ヘッド119aにおいてパラメータM1が負から正になる時間tmよりも短い。磁気ヘッド110においてパラメータM1が負から正になる時間tmは、磁気ヘッド119bにおいてパラメータM1が負から正になる時間tmよりも短い。磁気ヘッド110においては、短時間で大きな磁気厚の磁化反転が得られる。実施形態においては、大きな磁気厚を高速に反転できるため、BER(bit error rate)が向上できる。
【0062】
図7は、第1実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
実施形態に係る磁気記録装置210は、
図7に示す磁気ヘッド111と、磁気記録媒体80(
図1(a)参照)を含む。磁気ヘッド111において、積層体20は、第1非磁性層41、第1磁性層21、第1層25、第2非磁性層42、第2磁性層22及び第3非磁性層43に加えて、第3磁性層23を含んでも良い。
【0063】
第3磁性層23は、第3非磁性層43と第2磁極31との間に設けられる。第3磁性層23は、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つの第4元素を含む。第3磁性層23における第4元素の濃度は、50原子%以上である。第3磁性層23は、例えば、正の分極を有する。
【0064】
第3磁性層23が設けられる場合、
図1(b)、
図1(c)、
図3(b)、及び、
図3(c)に関して説明したスピントランスファトルクSTT3は、第3磁性層23から第2磁性層22に供給される。例えば、第3磁性層23は、第2磁極31のスピントランスファトルクの供給の機能を有する。
【0065】
第3磁性層23が設けられる場合も、第1磁性層21の第1磁化21M及び第2磁性層22の第2磁化22Mが安定して効率的に反転できる。
【0066】
図7に示すように、第1非磁性層41、第1磁性層21、第1層25、第2非磁性層42、第2磁性層22、第3非磁性層43及び第3磁性層23は、厚さt41、厚さt21、厚さt25、厚さt42、厚さt22、厚さt43及び厚さt23をそれぞれ有する。これらの厚さは、積層体20の積層方向(例えばX軸方向)に沿う長さである。
【0067】
磁気ヘッド110及び111において、第1非磁性層41の厚さt41は、例えば、1nm以上6nm以下であることが好ましい。厚さt41が、1nm以上であることにより、第1磁極30と第1磁性層21とが交換結合することが抑制できる。これにより、第1磁性層21の第1磁化21Mが反転し易い。厚さt41が6nm以下であることで、第1磁極30と第2磁極31との間の距離Lg(記録ギャップ)が過度に長くなることが抑制できる。
【0068】
磁気ヘッド110及び111において、第2非磁性層42の厚さt42は、例えば、1nm以上4nm以下であることが好ましい。厚さt42が1nm以上であることにより、第1磁性層21及び第2磁性層22が交換結合することが抑制できる。これにより、第1磁性層21の第1磁化21M及び第2磁性層22の第2磁化22Mが反転し易くなる。厚さt42が4nm以下であることで、距離Lg(記録ギャップ)が過度に長くなることが抑制できる。
【0069】
磁気ヘッド110及び111において、第3非磁性層43の厚さt43は、例えば、1nm以上4nm以下であることが好ましい。厚さt43が1nm以上であることにより、第2磁性層22及び第3磁性層23(または、第2磁性層22及び第2磁極31)が交換結合することが抑制できる。これにより、第2磁性層22の第2磁化22Mが反転し易くなる。厚さt43が4nm以下であることで、距離Lg(記録ギャップ)が過度に長くなることが抑制できる。
【0070】
磁気ヘッド110及び111において、第1磁性層21の飽和磁化Msと第1磁性層21の厚さt21との積(磁気厚)は、1nmT以上6nmT以下であることが好ましい。磁気厚が1nmT以上であることにより、ビットエラーレート(BER)が効果的に向上する。磁気厚が6nmT以下であることにより、例えば、信頼性が確保できる実用的な電流密度J20により、高速の磁化反転が得られる。BERが向上できる。
【0071】
磁気ヘッド110及び111において、第2磁性層22の飽和磁化Msと第2磁性層22の厚さt22との積(磁気厚)は、1nmT以上9nmT以下であることが好ましい。磁気厚が1nmT以上であることにより、ビットエラーレート(BER)が効果的に向上する。磁気厚が9nmT以下であることにより、例えば、磁区の形成が抑制できる。第2磁化22Mの反転が容易になる。磁気厚が9nmT以下であることにより、磁区の形成が抑制できる。信頼性が確保できる実用的な電流密度J20により、高速の磁化反転が得られる。BERが向上できる。
【0072】
例えば、第2磁性層22の磁気厚は、第1磁性層21の磁気厚と実質的に同じ、または、第1磁性層21の磁気厚よりも大きいことが好ましい。例えば、第2磁性層22の磁気厚は、第1磁性層21の磁気厚の0.8倍以上3倍以下である。例えば、第1磁性層21の磁気厚の、第2磁性層22の磁気厚に対する比は、2nmT/6nmT、4nmT/4nmT、または、4nmT/6nmTなどである。これにより、例えば、第1磁性層21の第1磁化21M及び第2磁性層22の第2磁化22Mにおいて、高速の磁化反転が得られる。
【0073】
磁気ヘッド110及び111において、第1層25の厚さt25は、例えば、0nmを越え3nm以下であることが好ましい。厚さt25が3nm以下であることにより、第2磁性層22からのスピントランスファトルクSTT2が第1磁性層21に効果的に作用する。これにより、第1磁性層21の第1磁化21Mの反転が容易になる。
【0074】
磁気ヘッド111において、第3磁性層23の厚さt23が、例えば、0nmを越え2nm以下であることが好ましい。厚さt23が2nm以下であることにより、距離Lg(記録ギャップ)が過度に長くなることが抑制できる。第3磁性層23は、省略されても良い。第3磁性層23の少なくとも一部は、第2磁極31に含まれると見なされても良い。
【0075】
(第2実施形態)
図8(a)~
図8(c)は、第2実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
図8(a)に示すように、実施形態に係る磁気記録装置210は、磁気ヘッド120及び磁気記録媒体80を含む。磁気ヘッド120は、第1磁極30、第2磁極31及び積層体20を含む。第2実施形態においては、積層体20は、第1非磁性層41、第1磁性層21、第2非磁性層42、第2磁性層22及び第3非磁性層43を含む。第1磁性層21は、第1非磁性層41と第2磁極31との間に設けられる。第2非磁性層42は、第1磁性層21と第2磁極31との間に設けられる。第2磁性層22は、第2非磁性層42と第2磁極31との間に設けられる。第3非磁性層43は、第2磁性層22と第2磁極31との間に設けられる。磁気ヘッド120においては、第1層25が設けられない。例えば、第2非磁性層42は、第1磁性層21及び第2磁性層22と接する。
【0076】
磁気ヘッド120において、第1磁性層21は、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つの第1元素を含む。第1磁性層21における第1元素の濃度は、50原子%以上である。第2磁性層22は、Fe、Ni及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つの第2元素と、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つの第3元素と、を含む。第1磁性層21は、第3元素を含まない。または、第1磁性層21における第3元素の濃度は、第2磁性層22における第3元素の濃度よりも低い。
【0077】
例えば、第2磁性層22は、負の分極を有する。第1磁性層21は、分極を有さない。または、第1磁性層21の分極の大きさ(絶対値)は、第2磁性層22の分極の大きさ(絶対値)よりも小さい。このように、第1磁性層21及び第2磁性層22は、非対称の特性を有する。
【0078】
例えば、第1磁性層21において、FeCr合金のCr濃度を約10%とすると、第1磁性層21の分極は、ゼロの近傍になる。例えば、第2磁性層22において、FeCr合金におけるCrの濃度(組成比)を30原子%以上40原子%以下である。これにより、第2磁性層22の分極は、絶対値が大きく、負になる。例えば、第2非磁性層42のうちの、第2磁性層22と接する部分がCrを含むことで、第2磁性層22において、大きな絶対値の負の分極が得られる。
【0079】
例えば、第1磁性層21に含まれるFeCr合金における組成は、第2磁性層22に含まれるFeCr合金の組成と実質的に同じでも良い。例えば、第1磁性層21に含まれるFeCr合金の組成が、負分極の第2磁性層22に含まれるFeCr合金の組成とは異なる場合、スパッタリングターゲットの数が増大する。例えば、第1磁性層21が、正分極のFeCo合金膜と、第2磁性層22と同じ組成の負分極のFeCr合金膜と、を含む積層膜を含むことで、第1磁性層21の分極は、ゼロの近傍にできる。
【0080】
磁気ヘッド120においても、電気回路は、第2磁極31から第1磁極30への第1向きD1を有する第1電流i1を積層体20に供給する。これにより、
図1(a)~
図1(c)、及び、
図3(a)~
図3(c)に関する上記の説明と同様に、第1磁性層21の第1磁化21M及び第2磁性層22の第2磁化22Mが反転する。第1磁化21M及び第2磁化22Mは、第1磁極30の磁化30Mの向きとは逆の成分を有する。第1磁極30からの記録磁界が磁気記録媒体80に向かい易くなる。記録磁界が効率的に磁気記録媒体80に印加される。記録密度の向上が可能な磁気ヘッド及び磁気記録装置が提供できる。
【0081】
磁気ヘッド120において、磁気ヘッド110及び磁気ヘッド111に関して説明した、第1非磁性層41、第1磁性層21、第2非磁性層42、第2磁性層22及び第3非磁性層43の材料及び厚さなどの構成を適用できる。
【0082】
第2非磁性層42は、Cu膜とCr膜とを含む積層膜を含んでも良い。例えば、第2非磁性層42の第2磁性層22の界面側に、Cr膜が設けられ、第2磁性層22とCr膜とが接する。これにより、第2磁性層22の負の分極が向上して、第1磁性層21の磁化反転が容易になる。
【0083】
図9は、第2実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
図9は、積層体20の一部を抜き出して例示している。
図9に示すように、第1磁性層21は、第1膜21a及び第2膜21bを含む。第2膜21bは、第1非磁性層41と第1膜21aとの間の第1位置、及び、第1膜21aと第2非磁性層42との間の第2位置のいずれかにある。
図9の例では、第2膜21bは、第1膜21aと第2非磁性層42との間にある。この例においても、前記第2磁性層は、Fe、Ni及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つの第2元素と、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つの第3元素と、を含む。
【0084】
第1膜21aは、上記の第2元素及び上記の第3元素を含む。第1の例において、第2膜21bは、第3元素を含まない。第2の例において、第2膜21bにおける第3元素の濃度は、第1膜21aにおける第3元素の濃度よりも低い。正の分極の磁性膜と、負の分極の磁性膜と、が積層された構成により、第1磁性層21の分極を低減して、第1磁性層21へのスピントランスファトルクSTT1を低減することができる。例えば、第1膜の組成は、前記第2磁性層の組成と実質的に同じである。
【0085】
以下、実施形態に係る磁気ヘッド及び磁気記録媒体の例について説明する。
図10は、実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図10に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド112において、第2磁極31から第1磁極30への第1向きD1は、X軸方向に対して傾斜しても良い。第1向きD1(または第2向きD2)は、積層体20の積層方向に対応する。X軸方向は、第1磁極30の媒体対向面30Fに沿う。第1向きD1と媒体対向面30Fとの間の角度を角度θ1とする。角度θ1は、例えば、15度以上30度以下である。角度θ1は、0度でも良い。
【0086】
第1向きD1が、X軸方向に対して傾斜する場合、層の厚さ(例えば厚さt21など)は、第1向きD1に沿う長さに対応する。第1向きD1がX軸方向に対して傾斜する構成は、第1実施形態または第2実施形態に係る任意の磁気ヘッドに適用されて良い。
【0087】
以下、実施形態に係る磁気ヘッド及び磁気記録媒体の例について説明する。以下では、磁気ヘッド110の例について説明する。
【0088】
図11は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図12は、実施形態に係る磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図11に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド110は、磁気記録媒体80と共に用いられる。実施形態に係る磁気記録装置210は、磁気ヘッド110及び磁気記録媒体80を含む。この例では、磁気ヘッド110は、記録部60及び再生部70を含む。磁気ヘッド110の記録部60により、磁気記録媒体80に情報が記録される。再生部70により、磁気記録媒体80に記録された情報が再生される。
【0089】
磁気記録媒体80は、例えば、媒体基板82と、媒体基板82の上に設けられた磁気記録層81と、を含む。磁気記録層81の磁化83が記録部60により制御される。
【0090】
再生部70は、例えば、第1再生磁気シールド72a、第2再生磁気シールド72b、及び磁気再生素子71を含む。磁気再生素子71は、第1再生磁気シールド72aと第2再生磁気シールド72bとの間に設けられる。磁気再生素子71は、磁気記録層81の磁化83に応じた信号を出力可能である。
【0091】
図11に示すように、磁気記録媒体80は、媒体移動方向85の方向に、磁気ヘッド110に対して相対的に移動する。磁気ヘッド110により、任意の位置において、磁気記録層81の磁化83に対応する情報が制御される。磁気ヘッド110により、任意の位置において、磁気記録層81の磁化83に対応する情報が再生される。
【0092】
図12に示すように、磁気ヘッド110において、コイル30cが設けられる。記録回路30Dから、コイル30cに記録電流Iwが供給される。第1磁極30から、記録電流Iwに応じた記録磁界が磁気記録媒体80に印加される。
【0093】
図12に示すように、第1磁極30は、媒体対向面30Fを含む。媒体対向面30Fは、例えば、ABS(Air Bearing Surface)である。媒体対向面30Fは、例えば、磁気記録媒体80に対向する。
【0094】
媒体対向面30Fに対して垂直な方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0095】
Z軸方向は、例えば、ハイト方向である。X軸方向は、例えば、ダウントラック方向である。Y軸方向は、例えば、クロストラック方向である。
【0096】
図12に示すように、電気回路20Dが、積層体20に電気的に接続される。この例では、積層体20は、第1磁極30及び第2磁極31と電気的に接続される。磁気ヘッド110に、第1端子T1及び第2端子T2が設けられる。第1端子T1は、配線W1及び第1磁極30を介して積層体20と電気的に接続される。第2端子T2は、配線W2及び第2磁極31を介して積層体20と電気的に接続される。電気回路20Dから、例えば、電流(例えば、直流電流)が積層体20に供給される。
【0097】
図12に示すように、記録部60において、シールド32が設けられても良い。シールド32と第2磁極31との間に第1磁極30が設けられる。第2磁極31、第2磁極31及び第1磁極30の周りに、絶縁部30iが設けられる。
【0098】
実施形態に係る磁気記録装置210は、磁気ヘッド110と、磁気ヘッド110により情報が記録される磁気記録媒体80と、を含む。以下、実施形態に係る磁気記録装置の例について説明する。磁気記録装置は、磁気記録再生装置でも良い。磁気ヘッドは、記録部と再生部とを含んでも良い。
【0099】
図13は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図13は、ヘッドスライダを例示している。
磁気ヘッド110は、ヘッドスライダ159に設けられる。ヘッドスライダ159は、例えばAl
2O
3/TiCなどを含む。ヘッドスライダ159は、磁気記録媒体の上を、浮上または接触しながら、磁気記録媒体に対して相対的に運動する。
【0100】
ヘッドスライダ159は、例えば、空気流入側159A及び空気流出側159Bを有する。磁気ヘッド110は、ヘッドスライダ159の空気流出側159Bの側面などに配置される。これにより、磁気ヘッド110は、磁気記録媒体の上を浮上または接触しながら磁気記録媒体に対して相対的に運動する。
【0101】
図14は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図15(a)及び
図15(b)は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図14に示すように、実施形態に係る磁気記録装置150においては、ロータリーアクチュエータが用いられる。記録用媒体ディスク180は、スピンドルモータ180Mに装着される。記録用媒体ディスク180は、スピンドルモータ180Mにより矢印ARの方向に回転する。スピンドルモータ180Mは、駆動装置制御部からの制御信号に応答する。本実施形態に係る磁気記録装置150は、複数の記録用媒体ディスク180を備えても良い。磁気記録装置150は、記録媒体181を含んでもよい。記録媒体181は、例えば、SSD(Solid State Drive)である。記録媒体181には、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリが用いられる。例えば、磁気記録装置150は、ハイブリッドHDD(Hard Disk Drive)でも良い。
【0102】
ヘッドスライダ159は、記録用媒体ディスク180に記録する情報の、記録及び再生を行う。ヘッドスライダ159は、薄膜状のサスペンション154の先端に設けられる。ヘッドスライダ159の先端付近に、実施形態に係る磁気ヘッドが設けられる。
【0103】
記録用媒体ディスク180が回転すると、サスペンション154による押し付け圧力と、ヘッドスライダ159の媒体対向面(ABS)で発生する圧力と、がバランスする。ヘッドスライダ159の媒体対向面と、記録用媒体ディスク180の表面と、の間の距離が、所定の浮上量となる。実施形態において、ヘッドスライダ159は、記録用媒体ディスク180と接触しても良い。例えば、接触走行型が適用されても良い。
【0104】
サスペンション154は、アーム155(例えばアクチュエータアーム)の一端に接続されている。アーム155は、例えば、ボビン部などを有する。ボビン部は、駆動コイルを保持する。アーム155の他端には、ボイスコイルモータ156が設けられる。ボイスコイルモータ156は、リニアモータの一種である。ボイスコイルモータ156は、例えば、駆動コイル及び磁気回路を含む。駆動コイルは、アーム155のボビン部に巻かれる。磁気回路は、永久磁石及び対向ヨークを含む。永久磁石と対向ヨークとの間に、駆動コイルが設けられる。サスペンション154は、一端と他端とを有する。磁気ヘッドは、サスペンション154の一端に設けられる。アーム155は、サスペンション154の他端に接続される。
【0105】
アーム155は、ボールベアリングによって保持される。ボールベアリングは、軸受部157の上下の2箇所に設けられる。アーム155は、ボイスコイルモータ156により回転及びスライドが可能である。磁気ヘッドは、記録用媒体ディスク180の任意の位置に移動可能である。
【0106】
図15(a)は、磁気記録装置の一部の構成を例示しており、ヘッドスタックアセンブリ160の拡大斜視図である。
図15(b)は、ヘッドスタックアセンブリ160の一部となる磁気ヘッドアセンブリ(ヘッドジンバルアセンブリ:HGA)158を例示する斜視図である。
【0107】
図15(a)に示すように、ヘッドスタックアセンブリ160は、軸受部157と、ヘッドジンバルアセンブリ158と、支持フレーム161と、を含む。ヘッドジンバルアセンブリ158は、軸受部157から延びる。支持フレーム161は、軸受部157から延びる。支持フレーム161の延びる方向は、ヘッドジンバルアセンブリ158の延びる方向とは逆である。支持フレーム161は、ボイスコイルモータ156のコイル162を支持する。
【0108】
図15(b)に示すように、ヘッドジンバルアセンブリ158は、軸受部157から延びたアーム155と、アーム155から延びたサスペンション154と、を有している。
【0109】
サスペンション154の先端には、ヘッドスライダ159が設けられる。ヘッドスライダ159に、実施形態に係る磁気ヘッドが設けられる。
【0110】
実施形態に係る磁気ヘッドアセンブリ(ヘッドジンバルアセンブリ)158は、実施形態に係る磁気ヘッドと、磁気ヘッドが設けられたヘッドスライダ159と、サスペンション154と、アーム155と、を含む。ヘッドスライダ159は、サスペンション154の一端に設けられる。アーム155は、サスペンション154の他端と接続される。
【0111】
サスペンション154は、例えば、信号の記録及び再生用のリード線(図示しない)を有する。サスペンション154は、例えば、浮上量調整のためのヒーター用のリード線(図示しない)を有しても良い。サスペンション154は、例えばスピントランスファトルク発振子用などのためのリード線(図示しない)を有しても良い。これらのリード線と、磁気ヘッドに設けられた複数の電極と、が電気的に接続される。
【0112】
磁気記録装置150において、信号処理部190が設けられる。信号処理部190は、磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体への信号の記録及び再生を行う。信号処理部190は、信号処理部190の入出力線は、例えば、ヘッドジンバルアセンブリ158の電極パッドに接続され、磁気ヘッドと電気的に接続される。
【0113】
実施形態に係る磁気記録装置150は、磁気記録媒体と、実施形態に係る磁気ヘッドと、可動部と、位置制御部と、信号処理部と、を含む。可動部は、磁気記録媒体と磁気ヘッドとを離間させ、または、接触させた状態で相対的に移動可能とする。位置制御部は、磁気ヘッドを磁気記録媒体の所定記録位置に位置合わせする。信号処理部は、磁気ヘッドを用いた磁気記録媒体への信号の記録及び再生を行う。
【0114】
例えば、上記の磁気記録媒体として、記録用媒体ディスク180が用いられる。上記の可動部は、例えば、ヘッドスライダ159を含む。上記の位置制御部は、例えば、ヘッドジンバルアセンブリ158を含む。
【0115】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んでも良い。
(構成1)
磁気ヘッドと、
電気回路と、
を備え、
前記磁気ヘッドは、
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた積層体と、
を含み、
前記積層体は、
第1非磁性層と、
前記第1非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1層と、
前記第1層と前記第2磁極との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3非磁性層と、
を含み、
前記第1磁性層は、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つの第1元素を含み、前記第1磁性層における前記第1元素の濃度は、50原子%以上であり、
前記第2磁性層は、Fe、Ni及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つの第2元素と、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つの第3元素と、を含み、
前記第1層は、Ta、Zr、Hf、Mo、W、Tc、Re、Ru、Rh、Os、Ir、Pd、Pt、Mn、Cr、V、Ti、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記電気回路は、前記第2磁極から前記第1磁極への第1向きを有する第1電流を前記積層体に供給する、磁気記録装置。
【0116】
(構成2)
前記第1層は、前記第1磁性層及び前記第2非磁性層と接する、構成1記載の磁気記録装置。
【0117】
(構成3)
前記第2非磁性層は、前記第1層及び前記第2磁性層と接する、構成2記載の磁気記録装置。
【0118】
(構成4)
前記第1層の厚さは、0nmを越え3nm以下である、構成1~3のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0119】
(構成5)
磁気ヘッドと、
電気回路と、
を備え、
前記磁気ヘッドは、
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた積層体と、
を含み、
前記積層体は、
第1非磁性層と、
前記第1非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3非磁性層と、
を含み、
前記第1磁性層は、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つの第1元素を含み、前記第1磁性層における前記第1元素の濃度は、50原子%以上であり、
前記第2磁性層は、Fe、Ni及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つの第2元素と、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つの第3元素と、を含み、
前記第1磁性層は、前記第3元素を含まない、または、前記第1磁性層における前記第3元素の濃度は、前記第2磁性層における前記第3元素の濃度よりも低く、
前記電気回路は、前記第2磁極から前記第1磁極への第1向きを有する第1電流を前記積層体に供給する、磁気記録装置。
【0120】
(構成6)
磁気ヘッドと、
電気回路と、
を備え、
前記磁気ヘッドは、
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた積層体と、
を含み、
前記積層体は、
第1非磁性層と、
前記第1非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3非磁性層と、
を含み、
前記第2磁性層は、Fe、Ni及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つの第2元素と、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つの第3元素と、を含み、
前記第1磁性層は、第1膜及び第2膜を含み、前記第2膜は、前記第1非磁性層と前記第1膜との間の第1位置、及び、前記第1膜と前記第2非磁性層との間の第2位置のいずれかにあり、
前記第1膜は、前記第2元素及び前記第3元素を含み、
前記第2膜は、前記第3元素を含まない、または、前記第2膜における前記第3元素の濃度は、前記第1膜における前記第3元素の濃度よりも低く、
前記電気回路は、前記第2磁極から前記第1磁極への第1向きを有する第1電流を前記積層体に供給する、磁気記録装置。
【0121】
(構成7)
前記第1膜の組成は、前記第2磁性層の組成と実質的に同じである、構成6記載の磁気記録装置。
【0122】
(構成8)
前記第2非磁性層は、前記第1磁性層及び前記第2磁性層と接する、構成5~7のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0123】
(構成9)
前記第1非磁性層は、Ta、Ru、Cr及びCuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成1~8のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0124】
(構成10)
前記第2非磁性層は、Cu、Ag、Au及びCrよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成1~9のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0125】
(構成11)
前記第3非磁性層は、Cu、Ag及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成1~10のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0126】
(構成12)
前記第1非磁性層の厚さは、1nm以上6nm以下である、構成1~11のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0127】
(構成13)
前記第2非磁性層の厚さは、1nm以上4nm以下である、構成1~12のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0128】
(構成14)
前記第3非磁性層の厚さは、1nm以上4nm以下である、構成1~13のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0129】
(構成15)
前記第1磁性層の飽和磁化と前記第1磁性層の厚さとの積は、1nmT以上6nmT以下である、構成1~14のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0130】
(構成16)
前記第2磁性層の飽和磁化と前記第2磁性層の厚さとの積は、1nmT以上9nmT以下である、構成1~15のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0131】
(構成17)
前記第2磁性層の厚さは、前記第1磁性層の厚さの0.8倍以上3倍以下である、構成1~16のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0132】
(構成18)
前記積層体は、前記第3非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層をさらに含み、
前記第3磁性層は、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つの第4元素を含み、前記第3磁性層における前記第4元素の濃度は、50原子%以上である、構成1~17のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0133】
(構成19)
磁気ヘッドと、
電気回路と、
を備え、
前記磁気ヘッドは、
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた積層体と、
を含み、
前記積層体は、
第1非磁性層と、
前記第1非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1層と、
前記第1層と前記第2磁極との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3非磁性層と、
を含み、
前記第1磁性層は、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つの第1元素を含み、前記第1磁性層における前記第1元素の濃度は、50原子%以上であり、
前記第2磁性層は、Fe、Ni及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つの第2元素と、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つの第3元素と、を含み、
前記電気回路は、前記第2磁極から前記第1磁極への第1向きを有する第1電流を前記積層体に供給する、磁気記録装置。
【0134】
(構成20)
前記積層体に流れる電流密度の変化に対する前記積層体の電気抵抗の変化率は、前記電流密度が第1範囲のときに正であり、前記電流密度が第2範囲のときに負であり、前記電流密度が第3範囲のときに正であり、
前記第1電流の電流密度は、前記第3範囲内である、構成1~19のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0135】
(構成21)
前記第1電流が前記積層体に供給されたときに、前記第1磁性層の第1磁化は、前記第1向きの成分を有し、
前記第1電流が前記積層体に供給されたときに、前記第2磁性層の第2磁化は、前記第1向きの成分を有し、
前記第1向きの第2電流が前記積層体に供給されたときに、前記第1磁化は、前記第1磁極から前記第2磁極への第2向きの成分を有し、前記第2電流は前記第1電流よりも小さく、
前記第2電流が前記積層体に供給されたときに、前記第2磁化は、前記第2向きの成分を有し、
前記第2電流の電流密度は、前記第1範囲内である、構成20記載の磁気記録装置。
【0136】
(構成22)
磁気記録媒体をさらに備え、
前記第1電流が前記積層体に供給されたときに、前記積層体は、交流磁界を発生しない、または、前記積層体から発生する交流磁界の周波数は、前記磁気記録媒体の磁気共鳴周波数よりも高い、構成1~21のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0137】
(構成23)
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた積層体と、
を備え、
前記積層体は、
第1非磁性層と、
前記第1非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1層と、
前記第1層と前記第2磁極との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3非磁性層と、
を含み、
前記第1磁性層は、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つの第1元素を含み、前記第1磁性層における前記第1元素の濃度は、50原子%以上であり、
前記第2磁性層は、Fe、Ni及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つの第2元素と、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つの第3元素と、を含み、
前記第1層は、Ta、Zr、Hf、Mo、W、Tc、Re、Ru、Rh、Os、Ir、Pd、Pt、Mn、Cr、V、Ti、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2磁極から前記第1磁極への第1向きを有する第1電流が前記積層体に供給される、磁気ヘッド。
【0138】
(構成24)
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた積層体と、
を備え、
前記積層体は、
第1非磁性層と、
前記第1非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1層と、
前記第1層と前記第2磁極との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3非磁性層と、
を含み、
前記第1磁性層は、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つの第1元素を含み、前記第1磁性層における前記第1元素の濃度は、50原子%以上であり、
前記第2磁性層は、Fe、Ni及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つの第2元素と、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つの第3元素と、を含み、
前記第1磁性層は、前記第3元素を含まない、または、前記第1磁性層における前記第3元素の濃度は、前記第2磁性層における前記第3元素の濃度よりも低く、
前記第2磁極から前記第1磁極への第1向きを有する第1電流が前記積層体に供給される、磁気ヘッド。
【0139】
(構成25)
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた積層体と、
を備え、
前記積層体は、
第1非磁性層と、
前記第1非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1層と、
前記第1層と前記第2磁極との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3非磁性層と、
を含み、
前記第2磁性層は、Fe、Ni及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つの第2元素と、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つの第3元素と、を含み、
前記第1磁性層は、第1膜及び第2膜を含み、前記第2膜は、前記第1非磁性層と前記第1膜との間の第1位置、及び、前記第1膜と前記第2非磁性層との間の第2位置のいずれかにあり、
前記第1膜は、前記第2元素及び前記第3元素を含み、
前記第2膜は、前記第3元素を含まない、または、前記第2膜における前記第3元素の濃度は、前記第1膜における前記第3元素の濃度よりも低く、
前記第2磁極から前記第1磁極への第1向きを有する第1電流が前記積層体に供給される、磁気ヘッド。
【0140】
(構成26)
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた積層体と、
を備え、
前記積層体は、
第1非磁性層と、
前記第1非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第1層と、
前記第1層と前記第2磁極との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2非磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3非磁性層と、
を含み、
前記第1磁性層は、Co、Fe及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つの第1元素を含み、前記第1磁性層における前記第1元素の濃度は、50原子%以上であり、
前記第2磁性層は、Fe、Ni及びCoよりなる群から選択された少なくとも1つの第2元素と、Cr、V、Mn、Ti及びScよりなる群から選択された少なくとも1つの第3元素と、を含み、
前記第2磁極から前記第1磁極への第1向きを有する第1電流が前記積層体に供給される、磁気ヘッド。
【0141】
実施形態によれば、記録密度の向上が可能な磁気ヘッド及び磁気記録装置が提供できる。実施形態において、第1磁極30がトレーリングシールドで、第2磁極31が主磁極でも良い。
【0142】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0143】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気ヘッドに含まれる第1磁極、第2磁極、シールド、積層体、磁性層、非磁性層、層及び配線などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0144】
各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0145】
その他、本発明の実施の形態として上述した磁気ヘッド及び磁気記録装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての磁気ヘッド及び磁気記録装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0146】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0147】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0148】
20…積層体、 20D…電気回路、 21~23…第1~第3磁性層、 21M、22M…磁化、 21a、21b…第1、第2膜、 22Ma…パラメータ、 22Mx…成分、 25…第1層、 26…第2層、 30…第1磁極、 30D…記録回路、 30F…媒体対向面、 30M…磁化、 30c…コイル、 30i…絶縁部、 31…第2磁極、 31M…磁化、 32…シールド、 41~43…第1~第3非磁性層、 60…記録部、 70…再生部、 71…磁気再生素子、 72a、72b…第1、第2再生磁気シールド、 80…磁気記録媒体、 81…磁気記録層、 82…媒体基板、 83…磁化、 85…媒体移動方向、 θ1…角度、 110~112、119、119a、119b、120…磁気ヘッド、 150…磁気記録装置、 154…サスペンション、 155…アーム、 156…ボイスコイルモータ、 157…軸受部、 158…ヘッドジンバルアセンブリ、 159…ヘッドスライダ、 159A…空気流入側、 159B…空気流出側、 160…ヘッドスタックアセンブリ、 161…支持フレーム、 162…コイル、 180…記録用媒体ディスク、 180M…スピンドルモータ、 181…記録媒体、 190…信号処理部、 210…磁気記録装置、 AR…矢印、 D1、D2…第1、第2向き、 G…ゲイン、 Iw…記録電流、 J20…電流密度、 JR1~JR3…第1~第3範囲、 Lg…距離、 M1…パラメータ、 R1…電気抵抗、 ST1、ST2…第1、第2状態、 STT1~STT3…スピントランスファトルク、 T1、T2…第1、第2端子、 V1…印加電圧、 W1、W2…配線、 i1、i2…第1、第2電流、 je1、je2…第1、第2電子流、 t21、t22、t23、t25、t41、t42、t43…厚さ、 tm…時間