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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】環状体用冶具
(51)【国際特許分類】
   C23C 22/73 20060101AFI20240123BHJP
   F16C 33/64 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
C23C22/73 A
F16C33/64
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020183545
(22)【出願日】2020-11-02
(62)【分割の表示】P 2020075830の分割
【原出願日】2020-04-22
(65)【公開番号】P2021172883
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】518460369
【氏名又は名称】河合 陽一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100196313
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】河合 陽一朗
【審査官】菅原 愛
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-133568(JP,U)
【文献】実開昭50-108918(JP,U)
【文献】特開2001-181893(JP,A)
【文献】特開2008-229552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 22/73
F16C 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状体の表面処理をする際に用いる冶具であって、
前記環状体を支持するための冶具本体を備え、
前記冶具本体は、前記環状体の環状面を3点支持する3以上の支持部材を有し、
前記の3以上の支持部材は、放射状に配置され、かつ、各々の前記支持部材は中心側の一端から他端側に向かって下り勾配に傾斜している、環状体用冶具。
【請求項2】
前記の3以上の支持部材は、中央側の一部で結合され、
前記支持部材の中心側の端部からみたときの俯角が5°以上45°以下である、請求項1に記載の環状体用冶具。
【請求項3】
前記の3以上の支持部材は、中心側の一部で結合され、
前記の放射状に配置された支持部材における、支持部材中心側と反対側の端部の形成する円周が前記環状体の前記環状面よりも大きく形成されている、請求項1又は2に記載の環状体用冶具。
【請求項4】
支持部材中心側と反対側の端部近傍に、前記支持部材に沿うよう補強部が設けられており、
該補強部の表面の、前記環状面と接触する箇所に、溝部が形成されている、請求項1~3の何れか一項に記載の環状体用冶具。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項の環状体用冶具を2以上備える、
網材、板材、格子材、柵材から選ばれる、保持部材。
【請求項6】
請求項1~4の何れか一項に記載の環状体用冶具又は、請求項5に記載の保持部材に環状体を配置し、表面処理用の液剤に浸漬させることを含む、表面処理された環状体の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の環状体の製造方法により製造された環状体を用いることを特徴とする、転がり軸受の製造方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は環状体用冶具に関する。
【背景技術】
【0002】
環状体は、転がり軸受の一部品として用いられている(特許文献1、2)。
ここで、転がり軸受の寿命、滑りの軽減などを抑えるために、環状体の黒染め処理(酸化被膜を形成する化成処理)をすることが、従来知られている(特許文献1)。
【0003】
従来、環状体の黒染め処理には、網冶具を用いていた。
しかし、従来の方法によると、環状体と網冶具が接触することによる網目、環状体を重ね合わせることによる染め残し、環状体同士の接触による傷、及び、染め残しによる膜厚の低下、等が環状体にできてしまうことが問題であった(図1 参照)。
【0004】
また、本出願人により、染め残しや傷なく転動体に表面処理をする新規冶具が開発されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-96448号公報
【文献】特開2018-80793号公報
【文献】特許第6531232号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の先行技術のあるところ、本発明は、環状体の染色に用いるための、新規冶具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明は、環状体の表面処理をする際に用いる冶具であって、
前記環状体を支持するための冶具本体を備え、
前記冶具本体は、前記環状体の環状面を少なくとも3点支持する支持部材を有している、環状体用冶具である。
【0008】
本発明の好ましい実施形態では、
前記冶具本体は前記環状体の環状面を支持する支持部材を3以上有し、
前記の3以上の支持部材は放射状に配置され、かつ、
各々の前記支持部材は中心側の一端から他端側に向かって下り勾配に傾斜している。
【0009】
支持部材が中心側の一端から他端側に向かって下り勾配に傾斜していることで、環状体の面取り部(非機能面)のみが冶具本体と接触する。そして、環状体の面取り部(非機能面)のみが冶具本体と接触することで、環状体の端面や転動面(機能面)を傷つけることなく、環状体の表面被膜をすることができる。
【0010】
支持部材が中心側の一端から他端側に向かって下り勾配に傾斜していることで、環状体と冶具本体の間に隙間が生じ、環状体と冶具本体の間に表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)が滞留しにくい。そして、環状体と冶具本体の間に表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)が滞留しにくくなることで、表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)に浸漬させる作業をした場合に、環状体の染め残し、色むらが生じにくい。
【0011】
また、本発明の好ましい実施形態では、
前記冶具本体は、前記環状面を3点支持する。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態では、前記支持部材の表面の、前記環状面と接触する箇所に、凹凸が形成されている。
支持部材の表面の環状面と接触する箇所に凹凸が形成されていることで、支持部材と環状面との隙間に表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)が通る。そのため、上記形態とすることで、表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)に浸漬させる作業をした場合に、環状体の染め残しや傷を少なく、環状体の表面被膜をすることができる。
【0013】
また、本発明は、前述の環状体用冶具に環状体を配置し、表面処理用の液剤に浸漬させることを含む、表面処理された環状体の製造方法でもある。
【0014】
また、本発明は、前述の製造方法により製造された環状体を用いることを特徴とする、転がり軸受の製造方法でもある。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、新規冶具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来の網冶具による環状体の表面処理の方法、及び該方法により製造された環状体を示す図である。
図2】本実施例の環状体用冶具の正面図である。
図3】本実施例の環状体用冶具の平面図である。
図4】本実施例の環状体用冶具の斜視図である。
図5】(a)本実施例の環状体用冶具のA-A断面図である。(b)本実施例の環状体用冶具の隙間部を示す参考拡大図である。
図6】(a)本実施例の環状体用冶具に環状体を配置した図である。(b)本実施例の環状体用冶具に環状体を配置した態様(図6(a))において、環状体を透過した参考模式図である。
図7】本実施例の環状体用冶具に環状体を配置した態様における、参考断面模式図である。
図8】本実施例の冶具本体を備える網材を重ね合わせた形態を示す参考模式図である。
図9】環状体を液槽に浸漬させた様子を示す参考模式図である。
図10】本実施例の環状体用冶具に環状体を配置し、液剤に浸漬させた場合の、染色の度合いを示す模式図である。
図11】本実施例の環状体用冶具を用いた、表面被膜形成作業のフローを示す図である。
図12】本実施例の環状体用冶具を用いて製造された環状体を用いた、転がり軸受を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、環状体用冶具1について説明するが、本発明の技術的範囲は実施例に限定されないことは言うまでもない。
【0018】
本実施例の環状体用冶具1は、環状体Xの表面処理をする際に用いる冶具である。
ここで、本実施例の環状体用冶具1は、環状体Xを支持するための冶具本体2を備える。
そして、本実施例では、冶具本体2が有する3つの支持部材21により、環状体Xの環状面X1を3点支持している(図6図7 参照)。
【0019】
そして、3つの支持部材21は放射状に配置され、かつ、各々の支持部材21は中心側の一端から他端側に向かって下り勾配に傾斜している(図2図5 参照)。
【0020】
具体的には、本発明の環状体用冶具1は、冶具本体2は環状体Xの環状面X1を支持する支持部材21を3以上有し、
前記の3以上の支持部材21は放射状に配置され、かつ、
各々の支持部材21は中心側の一端から他端側に向かって下り勾配に傾斜している。
【0021】
上記構成とすることで、環状体用冶具1と環状体Xとの接触面積を小さくすることができる。そして、上記構成とすることで、表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)に浸漬させる作業をした場合にも、染め残しや傷を少なく、環状体Xの表面被膜をすることができる。
【0022】
支持部材21が中心側の一端から他端側に向かって下り勾配に傾斜していることで、環状体Xの面取り部(非機能面)のみが冶具本体2と接触する。そして、環状体Xの面取り部(非機能面)のみが冶具本体2と接触することで、環状体Xの端面や転動面(機能面)を傷つけることなく、環状体Xの表面被膜をすることができる。
【0023】
支持部材21が中心側の一端から他端側に向かって下り勾配に傾斜していることで、環状体Xと冶具本体2の間に隙間が生じ、環状体Xと冶具本体2の間に表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)が滞留しにくい。そして、環状体Xと冶具本体2の間に表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)が滞留しにくくなることで、表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)に浸漬させる作業をした場合に、環状体Xの染め残し、色むらが生じにくい。
【0024】
また、上記構成とすることで、環状体用冶具1に配置された環状体Xが脱落しにくい。
【0025】
上記構成とすることで、環状体Xを一つ配置した内側に、さらに口径の小さい環状体Xを配置することができる。そして、本発明の環状体用冶具1によれば、口径の異なる複数の環状体Xを配置し表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)に浸漬させる作業をした場合にも、染め残しや傷を少なく、環状体Xの表面被膜をすることができる。
そのため、本発明の環状体用冶具1によれば、染め残しや傷を少なく、効率よく、環状体Xを表面被膜することができる。
【0026】
また、冶具本体2は、支持部材21中央側の一部に結合部211を有する。
支持部材21中央側の一部で3以上の支持部材21が結合されていることで、他端部を棒状に設計することができる。
【0027】
そして、支持部材21が結合部211から放射状に広がり、かつ、下り勾配に傾斜していることで、環状体用冶具1を網材33に配置したときに、その配置位置がズレにくい(図8 参照)。そのため、本発明の環状体用冶具1を用いることで、既存の染色設備のまま、染め残しや傷を少なく、環状体Xの表面被膜をすることができる。
【0028】
また、支持部材21が結合部211から放射状に広がり、かつ、下り勾配に傾斜していることで、環状体Xの面取り部(非機能面)のみが冶具本体2と接触する。そして、環状体Xの面取り部(非機能面)のみが冶具本体2と接触することで、環状体Xの端面や転動面(機能面)を傷つけることなく、環状体Xの表面被膜をすることができる。
【0029】
また、支持部材21が結合部211から放射状に広がり、かつ、下り勾配に傾斜していることで、環状体Xと冶具本体2の間に隙間が生じ、環状体Xと冶具本体2の間に表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)が滞留しにくい。そして、環状体Xと冶具本体2の間に表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)が滞留しにくくなることで、表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)に浸漬させる作業をした場合に、環状体Xの染め残し、色むらが生じにくい。
【0030】
なお、本発明においては、各々の支持部材21の一端側が結合されていれば、その結合部211の位置、結合箇所の個数、結合手段に制限はない。
【0031】
ここで、支持部材21の勾配は、支持部材21の中心側の端部(本実施例における結合部211)からみたときの俯角は、好ましくは5°以上、より好ましくは15°以上、さらに好ましくは20°以上である。
また、支持部材21の勾配は、支持部材21の中心側の端部(本実施例における結合部211)からみたときの俯角は、好ましくは45°以下、より好ましくは40°以下、さらに好ましくは35°以下である。
【0032】
上記構成とすることで、環状体Xを一つ配置した内側に、さらに口径の小さい環状体Xを配置することができる。そして、本発明の環状体用冶具1によれば、口径の異なる複数の環状体Xを配置し表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)に浸漬させる作業をした場合にも、染め残しや傷を少なく、環状体Xの表面被膜をすることができる。
そのため、本発明の環状体用冶具1によれば、染め残しや傷を少なく、効率よく、環状体Xを表面被膜することができる。
【0033】
ここで、各々の支持部材21における、支持部材21の中心側の端部(本実施例における結合部211)からみたときの俯角は、同程度であることが好ましい。
【0034】
また、支持部材21の配置は、支持部材21全体で放射状を形成していれば、支持部材21同士の間隔に特に制限はない。
ここで、各々の支持部材21における、支持部材21同士の間隔は同程度であることが好ましい。
例えば、支持部材が3本である場合、冶具本体2を平面視したときの、支持部材21同士の間隔は100°~140°、好ましくは110°~130°、特に好ましくは115°~125°の範囲内とすることが好ましい(図3 参照)
【0035】
ここで、冶具本体2が有する支持部材21は、環状体Xの環状面X1を少なくとも3点で支持可能であれば、その本数に特に制限はない。そのため、冶具本体2が有する支持部材21の本数は、3以上であってもよい。
【0036】
また、冶具本体2が有する支持部材21の個数は、好ましくは6つ以下、より好ましくは5つ以下、さらに好ましくは4つ以下、特に好ましくは3つを目安とすることができる。
【0037】
冶具本体2が有する支持部材21の個数が上限以下であることで、環状体用冶具1と環状体Xとの接触面積を小さくすることができる。また、上限以下の支持部材21により環状面X1を支持することで、表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)に浸漬させる作業をした場合にも、染め残しや傷を少なく、環状体Xの表面被膜をすることができる。
【0038】
また、冶具本体2は、冶具本体2に環状体Xを配置した状態で、該環状体用冶具1に隣接するよう置かれた他の環状体用冶具1に配置された環状体Xと、接触しない大きさである。
具体的には、放射状に配置された支持部材21の端部の形成する円周が、環状体Xの環状面X1よりも大きく形成されていることが好ましい。
【0039】
ここで、冶具本体2は金属材質により構成されていることが好ましい。
冶具本体2が金属材質により構成されていることで、環状体X冶具を丈夫なものとすることができる。
冶具本体2の材質としては、例えば、鉄材を好ましく挙げることができる。
ただし、冶具本体2の材質に特に制限はない。
【0040】
以下、図2図9を参照しつつ、本発明の冶具本体2が備える支持部材21の好ましい形態を説明する。
【0041】
本実施例において、支持部材21の全体形状は円柱形状である。
支持部材21の全体形状が円柱形状であることで、環状体用冶具1と環状体Xとの接触面積をより小さくすることができる。そして、支持部材21の全体形状が円柱形状であることで、環状体用冶具1と環状体Xとの接触によっても、環状体Xが傷つきにくい。
【0042】
ここで、本発明においては、支持部材21の全体形状に特に制限はない。支持部材21の形状は、例えば、三角柱形状、四角柱形状であってもよい。
【0043】
本実施例において、支持部材21の表面の、環状面X1と接触する箇所に凹凸が形成されている。
環状面X1と接触する箇所に凹凸が形成されていることで、載置される環状体Xの位置ずれ防止をすることができる。環状面X1と接触する箇所に凹凸が形成されていることで、環状体用冶具1と環状体Xとの接触面積をより小さくすることができる。
また、支持部材21表面の環状面X1と接触する箇所に凹凸が形成されていることで、支持部材21と環状面X1との隙間に表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)が通る。そのため、上記形態とすることで、表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)に浸漬させる作業をした場合に、環状体Xの染め残しや傷を少なく、環状体Xの表面被膜をすることができる。
【0044】
また、環状面X1と接触する箇所に凹凸が形成されていることで、環状体Xの面取り部(非機能面)のみが冶具本体2と接触する。そして、環状体Xの面取り部(非機能面)のみが冶具本体2と接触することで、環状体Xの端面や転動面(機能面)を傷つけることなく、環状体Xの表面被膜をすることができる。
【0045】
また、支持部材21表面の環状面X1と接触する箇所に凹凸が形成されていることで、環状体Xと冶具本体2の間に隙間が生じ、環状体Xと冶具本体2の間に表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)が滞留しにくい。そして、環状体Xと冶具本体2の間に表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)が滞留しにくくなることで、表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)に浸漬させる作業をした場合に、環状体Xの染め残し、色むらが生じにくい。
【0046】
凹凸は、少なくとも支持部材21の表面上側の、好ましくは4割以上、より好ましくは6割以上、さらに好ましくは8割以上、特に好ましくは全面に設けられていることが好ましい。
ただし、凹凸は、環状面X1と接触する箇所に形成されていれば、足りる。
【0047】
ここで、凹凸は、支持部材21に隆起部212を設けることにより、形成されている(図2 参照)。
支持部材21に隆起部212が形成されていることで、載置される環状体Xの位置ずれ防止をすることができる。支持部材21に隆起部212が形成されていることで、環状体用冶具1と環状体Xとの接触面積をより小さくすることができる。
また、支持部材21に隆起部212が形成されていることで、隆起部212の間に表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)が通るため、表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)に浸漬させる作業をした場合に、環状体Xの染め残しや傷を少なく、環状体Xの表面被膜をすることができる。
【0048】
本実施例の冶具本体2は、支持部材21に沿うよう補強部22を有する(図2図5 参照)。
以下、補強部22の好ましい実施の形態について、説明する。
【0049】
本実施例において、支持部材21の全体形状は円柱形状である。
支持部材21の全体形状が円柱形状であることで、環状体用冶具1と環状体Xとの接触面積をより小さくすることができる。そして、支持部材21の全体形状が円柱形状であることで、環状体用冶具1と環状体Xとの接触によっても、環状体Xが傷つきにくい。
【0050】
ここで、本発明においては、支持部材21の全体形状に特に制限はない。支持部材の形状は、例えば、三角柱形状、四角柱形状であってもよい。
【0051】
本実施例において、補強部22は、支持部材21における、中心側と反対側の端部近傍に設けられている。
補強部22が支持部材21に沿うよう設けられていることで、口径が大きく重量のある環状体Xを配置した場合であっても、冶具本体2が変形しにくい。そのため、転がり軸受の一部品の製造に特に好適である。
【0052】
ここで、補強部22は、支持部材21の長さの好ましくは1/6以上、より好ましくは1/4以上、さらに好ましくは1/3以上、特に好ましくは1/2以上の長さの棒体であることが好ましい。
また、補強部22は、支持部材21の長さの好ましくは3/4以下、より好ましくは2/3以下、の長さの棒体であることが好ましい。
【0053】
本実施例において、補強部22の表面の、環状面X1と接触する箇所に凹凸が形成されている。
環状面X1と接触する箇所に凹凸が形成されていることで、載置される環状体Xの位置ずれ防止をすることができる。環状面X1と接触する箇所に凹凸が形成されていることで、環状体用冶具1と環状体Xとの接触面積をより小さくすることができる。
また、環状面X1と接触する箇所に凹凸が形成されていることで、隙間に表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)が通るため、表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)に浸漬させる作業をした場合に、環状体Xの染め残しや傷を少なく、環状体Xの表面被膜をすることができる。
【0054】
また、環状面X1と接触する箇所に凹凸が形成されていることで、環状体Xの面取り部(非機能面)のみが冶具本体2と接触する。そして、環状体Xの面取り部(非機能面)のみが冶具本体2と接触することで、環状体Xの端面や転動面(機能面)を傷つけることなく、環状体Xの表面被膜をすることができる。
【0055】
また、支持部材21表面の環状面X1と接触する箇所に凹凸が形成されていることで、環状体Xと冶具本体2の間に隙間が生じ、環状体Xと冶具本体2の間に表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)が滞留しにくい。そして、環状体Xと冶具本体2の間に表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)が滞留しにくくなることで、表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)に浸漬させる作業をした場合に、環状体Xの染め残し、色むらが生じにくい。
【0056】
凹凸は、少なくとも補強部22の表面上側の、好ましくは4割以上、より好ましくは6割以上、さらに好ましくは8割以上、特に好ましくは全面に設けられていることが好ましい。
ただし、凹凸は、環状面X1と接触する箇所に形成されていれば、足りる。
【0057】
ここで、凹凸は、補強部22に溝部221を設けることにより、形成されている(図2 参照)。
支持部材21に溝部221が形成されていることで、載置される環状体Xの位置ずれ防止をすることができる。支持部材21に隆起部212が形成されていることで、環状体用冶具1と環状体Xとの接触面積をより小さくすることができる。
また、支持部材21に溝部221が形成されていることで、溝部221の間に表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)が通るため、表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)に浸漬させる作業をした場合に、環状体Xの染め残しや傷を少なく、環状体Xの表面被膜をすることができる。
【0058】
また、本実施例では、支持部材21と補強部22との間に隙間部222が設けられている。上記形態とすることで、隙間部222の間を表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)が通る。そして、隙間部222を表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)が通ることで、必要以上に表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)を滞留させることがない。よって、上記構成とすることで、より傷なく、環状体Xを表面被膜することができる。
【0059】
本実施例において、隙間部222は、支持部材21と補強部22との間を溶着処理しないことで、形成されている。より具体的には、隆起部212と溝部221との間を溶着しないことにより、形成されている。
【0060】
そのため、冶具本体2は、支持部材21に沿うよう補強部22を配置し、補強部の両端部が溶着されている形態であることが好ましい。ただし、本発明においては、補強部22と支持部材21が沿うよう結合されていれば、その形態、手法に特に制限はない。
【0061】
本実施例では、2以上の冶具本体2が網材33に設けられている(図6図10 参照)。
2以上の冶具本体2が配置された網材33を用いることで、より効率よく表面処理を行うことができる。
【0062】
ここで、網材33は、金網であることが好ましい。
【0063】
ただし、本発明において、冶具本体2を配置可能なものであれば、必ずしも網材33(網目の形成された部材)を用いる必要はなく、2以上の冶具本体2を保持する保持部材であればよい。ここで、保持部材としては、例えば、板材、格子材、柵材等を挙げることができる。
【0064】
なお、本実施例において、冶具本体2と網材33とは異なる部品を組み合わせることにより形成されている。ただし、冶具本体2と網材33とは一体成型されていてもよい。
【0065】
また、本実施例において、冶具本体2と網材33とは溶着されている。ただし、冶具本体2は着脱可能に構成されていてもよい。
【0066】
また、本実施例では、冶具本体2の設けられた網材33を備える籠3により、環状体Xの表面処理を行っている(図6図10 参照)。
前述の形態とすることで、環状体Xの表面処理を、より簡便に行うことができる。
【0067】
また籠3は、紐材により形成された取手31を備える形態であることが好ましい。
上記の構成とすることで、環状体Xの表面処理を、より簡便に行うことができる。
【0068】
ただし、籠3は、網材33を配置可能なものであれば、その材質、形状、大きさに特に制限はない。
【0069】
なお、本実施例において、籠3と網材33とは異なる部品を組み合わせることにより形成されている。ただし、籠3と網材33とは一体成型されていてもよい。
【0070】
また、本発明は、環状体用冶具に環状体Xを配置し、表面処理用の液剤に浸漬させることを含む、表面処理された環状体Xの製造方法でもある。
前述の環状体用冶具に環状体Xを配置し、表面処理用の液剤に浸漬させることで、染め残しや傷を少なく表面処理された環状体Xを製造することができる。
そのため、本発明によれば、均一な表面処理のされた環状体Xを製造することができる。(図6図10 参照)。
【0071】
以下、上述の環状体用冶具1を用いた、表面処理された環状体Xの製造方法について説明する。
【0072】
本明細書において、「環状体X」は、環状面X1する物体をいう。
また、本明細書のおける「環状体X」は、本発明の環状体用冶具1に配置し、染色可能なものであればその形状に特に制限はない。
【0073】
また、環状体Xの材質にも特に制限はなく、例えば、金属製、木製、ゴム製の環状体Xを挙げることができる。
ここで、金属としては、鋼、鉄を好ましく挙げることができる。
【0074】
また、環状体Xは、その用途にも特に制限はなく、例えば転がり軸受用の環状体X(転がり軸受の内輪や外輪)を好ましく挙げることができる。
【0075】
また、環状体Xの大きさも、環状体用冶具1に配置できるものであれば、特に制限はない。
【0076】
本明細書において「表面処理」には、化成処理、液剤のコーティングによる膜形成、表面加工・改質による表面処理の何れをも含む。
【0077】
ここで、化成処理としては、黒染め処理、不働態形成処理(パシベート処理)、浸硫処理、クロメート処理、リン酸塩皮膜処理などを挙げることができる。
【0078】
また、液剤のコーティングによる膜形成としては、液状とした金属による塗膜形成、染色、シリコーン被膜の形成、油膜の形成などを挙げることができる。
【0079】
また、表面加工・改質による表面処理としては、脱脂、研磨などを挙げることができる。
【0080】
ここで、従来、環状体Xの黒染め処理は、網冶具を用いていた。
しかし、従来の方法によると、環状体Xと網冶具が接触することによる網目、環状体Xを重ね合わせることによる染め残し、環状体X同士の接触による傷等が環状体Xにできてしまうことが問題であった(図1 参照)。
また、従来の方法によると、染め残し等の要因により、環状体Xの膜厚が不均一となってしまうことも問題であった。
そのため、本発明の環状体用冶具1は、黒染め処理に適用することが好ましい。
【0081】
本明細書において、黒染め処理は金属表面に黒色の酸化被膜を形成させる処理を指し、黒染めとしては、例えば、フェルマイト処理、SOB処理、四酸化三鉄処理、アルカリ処理、マグネタイト処理等を挙げることができる。
【0082】
黒染め処理により、防錆効果、摩耗性、潤滑性に優れた環状体Xを製造することができる。
ここで、環状体用冶具1を用いることで、染め残しや傷を少なく、環状体Xの黒染めをすることができる。そのため、表面処理が黒染めであることで、防錆効果、摩耗性、潤滑性により優れた環状体Xを提供することができる。
また、環状体用冶具1を用いることで、染め残しや傷を少なく、環状体Xの黒染めをすることができるため、より、美観に優れた環状体Xを提供することができる。
【0083】
以下、図11を参照しつつ、本発明の環状体Xの製造方法を、転がり軸受用の環状体の黒染めに適用した場合について、詳細に説明する。
【0084】
本実施形態にかかる黒染めされた環状体Xの製造方法は、脱脂作業S11と、水洗作業S12と、黒染め作業S13と、冷却作業S14と、洗浄作業S15と、乾燥作業S16と、油漬け作業S17を有する(図11 参照)。
以下各作業について、詳細に説明する。
【0085】
(脱脂作業S11)
脱脂作業は、脱脂剤を用い、環状体Xの脱脂をする作業である。
ここで、脱脂剤としては、アルコール系脱脂剤、石油溶剤系脱脂剤の何れも用いることができる。
【0086】
ここで、脱脂作業は、脱脂剤の溜められた脱脂槽に、環状体Xを配置した環状体用冶具1を浸漬させることにより、環状体Xの脱脂を行うことができる。
脱脂剤の溜められた脱脂槽に環状体Xを配置した環状体用冶具1を浸漬させることで、脱脂槽の振動、液剤の流れによっても環状体Xが大きく移動することないため、より効率よく環状体Xの脱脂をすることができる。
【0087】
脱脂剤の溜められた脱脂槽に浸漬する場合の、浸漬時間は、好ましくは5分以上である。
下限以上の時間脱脂槽に浸漬させることで、より確実に環状体Xの脱脂を行うことができる。
【0088】
また、脱脂剤の溜められた脱脂槽に浸漬する場合の、浸漬時間は、好ましくは15分以下である。
【0089】
(水洗作業S12)
水洗作業S12は、脱脂作業S11後の環状体Xを、水洗いする作業である。脱脂作業S11後の環状体Xを水洗いすることで、脱脂剤及び、環状体Xの残存した油剤の除去をすることができる。
ここで、水洗作業には、シャワーを用いることができる。
【0090】
(黒染め作業S13)
黒染め作業は、環状体Xと環状体用冶具1とを黒染め液(表面処理用の液剤A)に浸漬させることにより、環状体Xを黒染めする作業である。
【0091】
本発明の好ましい実施の形態では、黒染め液(表面処理用の液剤A)の溜められた液槽に、環状体Xを配置した環状体用冶具1を浸漬させることにより、環状体Xを黒染めすることができる。
黒染め液(表面処理用の液剤A)の溜められた液槽に環状体Xを配置した環状体用冶具1を浸漬させることで、液槽の振動、液剤の流れによっても、環状体用冶具1に配置された環状体Xが動きにくいため、染め残しや傷を少なく、環状体Xに黒染めをすることができる。
また、染め残しや傷を少なく、環状体Xの表面処理をすることができるため、染め残しによる膜厚の部分的な欠損や環状体Xへの傷なく、均一な膜厚で環状体Xに黒染めをすることができる。(図6図10 参照)。
【0092】
黒染め液(表面処理用の液剤A)の溜められた液槽に浸漬する場合の、浸漬時間は、好ましくは5分以上である。
下限以上の時間に浸漬させることで、より確実に環状体Xを黒染めすることができる。
【0093】
また、黒染め液(表面処理用の液剤A)の溜められた液槽Bに浸漬する場合の、浸漬時間は、好ましくは60分以下である。
上限以下の時間浸漬させることで、環状体Xを黒染めすることができる。
【0094】
また、黒染め作業は、液剤が蒸発する温度以上の温度で加熱する形態とすることができる。
下限以上の温度で加熱することで、液剤の対流が生じる。ここで、黒染め液の対流が生じた場合であっても、環状体用冶具1に配置された環状体Xの位置がずれにくい。そのため、染め残しや傷を少なく、環状体Xを黒染めすることができる。
また、染め残しや傷を少なく、環状体Xの表面処理をすることができるため、染め残しによる膜厚の部分的な欠損や環状体Xへの傷なく、均一な膜厚で環状体Xに黒染めをすることができる。(図6図10 参照)。
【0095】
ここで、黒染め液(表面処理用の液剤A)の溜められた液槽の加熱温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは130℃以上である。
下限以上の温度で加熱をすることで、黒染め液に含まれる水分が蒸発する。水分が蒸発することで、液剤の対流が生じる。ここで、黒染め液の対流が生じた場合であっても、環状体用冶具1に配置された環状体Xの位置が大きくずれにくい。そのため、染め残しや傷を少なく、環状体Xを黒染めすることができる。
【0096】
また、黒染め液(表面処理用の液剤A)の溜められた液槽の加熱温度は、好ましくは145℃以下である。
【0097】
(冷却作業S14)
冷却作業は、黒染め作業S13後の環状体Xを冷却する作業である。
ここで、冷却作業は、水槽に、環状体Xを配置した環状体用冶具1を浸漬させることにより、環状体Xを冷却する形態とすることができる。
【0098】
(洗浄作業S15)
洗浄作業は、冷却作業S14後の環状体Xを洗浄する作業である。
洗浄作業は水洗いする作業を含む形態とすることができる。
【0099】
また、洗浄作業はお湯で洗浄する作業を含むことがより好ましい。
ここで、冷却作業は、湯槽に、環状体Xを配置した環状体用冶具1を浸漬させることにより、環状体Xを洗浄する形態とすることができる。
【0100】
(乾燥作業S16)
乾燥作業は、洗浄後の環状体Xを乾燥する作業である。
乾燥作業は、エアーガンを用いて乾燥する形態とすることができる。
【0101】
(油漬け作業S17)
油漬け作業は、乾燥後の環状体Xを防錆油でコーティングする作業である。
ここで、油漬け作業は、防錆油の溜められた油槽に、環状体Xを配置した環状体用冶具1を浸漬させることにより、環状体Xを防錆油でコーティングする形態とすることができる。
【0102】
ただし、本発明の環状体Xの製造方法においては、必ずしも上記全ての工程を実施する必要はなく、環状体Xの材質、表面の状態に合わせ、適宜工程を取捨選択することができる。
【0103】
以下、上述の環状体Xを用いた、転がり軸受4の製造方法について説明する。
【0104】
上述の環状体Xを用いた転がり軸受4の製造方法としては、特許第5895493号に記載されている方法を挙げることができる。より具体的には、軌道面を有する内輪と、該内輪の軌道面に対向する軌道面を有する外輪(環状体X)と、内輪の軌道面と外輪(環状体X)の軌道面との間に転動自在に配置された複数のころと、を組み合わせることにより製造する方法とすることができる。
【0105】
ただし、本発明において、上述の環状体Xを用いた転がり軸受4の製造方法の具体的な態様は特に限定されず、公知の何れの製造方法も採用することができる。
【実施例
【0106】
脱脂作業S11~油漬け作業S17(図11 参照)の工程を含み、前述の条件を種々変更した製造方法により、黒染め(表面処理)された環状体Xを製造した。
【0107】
製造した環状体Xを目視により確認したところ、黒染め前の金属の露出は確認できなかった。すなわち、本実施例の環状体用冶具1を用いることで、染め残しや傷を少なく、環状体Xの黒染め(表面処理)をすることができることがわかった。
これは、支持部材21が結合部211から放射状に広がり、かつ、下り勾配に傾斜していることで、環状体用冶具1に配置された環状体Xの位置が大きくずれにくいことによるものと考えられる。
【0108】
また、支持部材21が結合部211から放射状に広がり、かつ、下り勾配に傾斜していることで、環状体Xの面取り部(非機能面)のみが冶具本体2と接触することがわかった。そして、環状体Xの面取り部(非機能面)のみが冶具本体2と接触することで、環状体Xの端面や転動面(機能面)を傷つけることなく、環状体Xの表面被膜をできることがわかった。
【0109】
また、支持部材21が結合部211から放射状に広がり、かつ、下り勾配に傾斜していることで、環状体Xと冶具本体2の間に隙間が生じ、環状体Xと冶具本体2の間に表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)が滞留しにくくなることがわかった。そして、環状体Xと冶具本体2の間に表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)が滞留しにくくなることで、表面被膜用の液剤(染色液、黒染め液等)に浸漬させる作業をした場合に、環状体Xの染め残し、色むらが生じにくくなることがわかった。
【0110】
そして、染め残しや傷を少なく、環状体Xの表面処理をすることができるため、染め残しによる膜厚の部分的な欠損や環状体Xへの傷なく、均一な膜厚で環状体Xに黒染めをすることができることがわかった(図6図10 参照)。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、環状体Xの表面処理に用いることができる。
【符号の説明】
【0112】
1 環状体用冶具
2 冶具本体
21 支持部材
211 結合部
212 隆起部
22 補強部
221 溝部
222 隙間部
3 籠
31 取手
32 橋渡材
33 網材
4 転がり軸受
A 表面処理用の液剤
B 液槽
C クレーン
X 環状体
X1 環状面

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12