(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】液晶移相器およびその操作方法、液晶アンテナ、通信機器
(51)【国際特許分類】
H01P 1/18 20060101AFI20240123BHJP
H01Q 3/36 20060101ALI20240123BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
H01P1/18
H01Q3/36
G02F1/13 505
(21)【出願番号】P 2020528391
(86)(22)【出願日】2019-08-09
(86)【国際出願番号】 CN2019100041
(87)【国際公開番号】W WO2020030135
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】201810911837.X
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】507134301
【氏名又は名称】北京京東方光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BOE OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 8 Xihuanzhonglu, BDA, Beijing, 100176, P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲亮▼
(72)【発明者】
【氏名】丁 ▲天▼▲倫▼
(72)【発明者】
【氏名】武 杰
(72)【発明者】
【氏名】曹 雪
(72)【発明者】
【氏名】王 瑛
(72)【発明者】
【氏名】▲賈▼ 皓程
(72)【発明者】
【氏名】唐 粹▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】蔡 佩芝
(72)【発明者】
【氏名】▲車▼ 春城
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0164155(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0274419(US,A1)
【文献】Onur Hamza Karabey et al.,Tunable Loaded Line Phase Shifters for Microwave Applications,2011 IEEE MTT-S International Microwave Symposium,米国,IEEE,2011年06月05日,1-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/18
H01Q 3/36
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向設置された第1の基板と第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に位置する液晶層とを備える液晶移相器であって、
前記第1の基板は、第1のサブストレートと、前記第1のサブストレートの前記液晶層に近接する側面に位置する第1の電極層とを備え、
前記第2の基板は、第2のサブストレートと、前記第2のサブストレートの前記液晶層に近接する側面に位置する第2の電極層とを備え、
前記第1の電極層は本体構造を備え、前記本体構造はその長さ方向に互いに対向する第1側と第2側と、前記本体構造の前記第1側と前記第2側のうちの少なくとも一側に接続される複数の分岐構造とを備え
、
前記第2の電極層は前記第2のサブストレートの周辺領域に位置し、かつ前記第1のサブストレート上での正投影が、前記複数の分岐構造における少なくとも1つの、前記第1のサブストレート上での正投影と一部重なり、
前記本体構造の前記第1側と前記第2側における各側にはいずれも前記複数の分岐構造が接続され、
前記第1側に接続される前記複数の分岐構造と前記第2側に接続される前記複数の分岐構造は前記本体構造に関して対称であり、
前記第2の電極層は、互いに離間され、それぞれ前記本体構造の両側に位置する第1の導電構造と第2の導電構造とを備え、
前記第1の導電構造の前記第1のサブストレート上での正投影が、前記本体構造の前記第1側に接続される前記複数の分岐構造のうちの少なくとも1つの、前記第1のサブストレート上での正投影と一部重なり、
前記第2の導電構造の前記第1のサブストレート上での正投影が、前記本体構造の前記第2側に接続される前記複数の分岐構造のうちの少なくとも1つの、前記第1のサブストレート上での正投影と一部重なる、
液晶移相器。
【請求項2】
前記第1の電極層はマイクロストリップラインであり、前記第1のサブストレートの前記液晶層とは逆の一側に接地電極が設けられる
請求項
1に記載の液晶移相器。
【請求項3】
前記第1の導電構造と前記第2の導電構造はそれぞれ導線を介して前記接地電極の導電端子に接続され、かつ前記導線の抵抗率とインダクタンスのうちの少なくとも1つが、ITO材料の抵抗率とインダクタンスのうちの少なくとも対応する1つより小さい
請求項
2に記載の液晶移相器。
【請求項4】
前記第1の導電構造と第2の導電構造はいずれも板状電極である
請求項
1から
3のいずれか一項に記載の液晶移相器。
【請求項5】
前記本体構造の同一側に位置する前記複数の分岐構造の形状が同一である
請求項1から
4のいずれか一項に記載の液晶移相器。
【請求項6】
同一側に位置する前記複数の分岐構造のうちの任意の隣接する2つの分岐構造間の距離が同一である
請求項
5に記載の液晶移相器。
【請求項7】
前記本体構造は前記第1側と前記第2側のうちのいずれか一側上の前記複数の分岐構造と一体成形構造とされる
請求項
1から
6のいずれか一項に記載の液晶移相器。
【請求項8】
前記第1のサブストレートは、ガラス、セラミックス、高純度石英ガラスのうちの少なくとも一種を用いて製造される
請求項1から
7のいずれか一項に記載の液晶移相器。
【請求項9】
前記液晶層はポジティブ液晶分子を含み、かつ各前記ポジティブ液晶分子の長軸方向と前記第1のサブストレートのある平面との間の夾角が0度より大きく45度以下である
請求項1から
8のいずれか一項に記載の液晶移相器。
【請求項10】
前記液晶層はネガティブ液晶分子を含み、かつ各前記ネガティブ液晶分子の長軸方向と前記第1のサブストレートのある平面との間の夾角が45度より大きく90度未満である
請求項1から
8のいずれか一項に記載の液晶移相器。
【請求項11】
前記第1の電極層の本体構造はインピーダンス整合領域を有し、前記インピーダンス整合領域は平面図において三角形または台形であり、かつ前記第1の電極層の各部分間のインピーダンスを互いに整合させるように配置される
請求項1から
10のいずれか一項に記載の液晶移相器。
【請求項12】
前記液晶層は、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間の部分の厚みが5μmから20μmの範囲内である
請求項1から
11のいずれか一項に記載の液晶移相器。
【請求項13】
請求項1から
12のいずれか一項に記載の液晶移相器を備える
液晶アンテナ。
【請求項14】
請求項
13に記載の液晶アンテナを備える
通信機器。
【請求項15】
請求項1から
12のいずれか一項に記載の液晶移相器を操作する方法であって、
前記第1の電極層に第1の電圧を印加し、
前記第2の電極層に、前記第1の電圧とは異なる第2の電圧を印加して前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に電界を発生させて、前記液晶層の液晶分子の長軸を前記電界の方向と実質的に平行または実質的に垂直にすることを含む
液晶移相器を操作する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は2018年8月10日に提出された中国特許出願No.201810911837.Xの優先権を主張し、当該特許出願のすべての内容を引用によりここに援用する。
【0002】
本願は通信技術分野に属し、具体的に、液晶移相器、液晶アンテナ、通信機器、液晶移相器を操作する方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
移相器とはマイクロ波の位相を調整できる装置で、電子通信システムに広く応用されており、位相配列レーダー、合成開口レーダー、レーダー電子対抗、衛星通信、トランシーバーなどのシステムにおける中核的な構成要素である。よって、高性能の移相器はこれらのシステムにおいて非常に重要な役割を担う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の実施例は、液晶移相器、液晶アンテナ、通信機器、液晶移相器を操作する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の第一態様では、
対向設置された第1の基板と第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板の間に位置する液晶層とを備える液晶移相器であって、
前記第1の基板は、第1のサブストレートと、前記第1のサブストレートの前記液晶層に近接する側面に位置する第1の電極層とを備え、
前記第2の基板は、第2のサブストレートと、前記第2のサブストレートの前記液晶層に近接する側面に位置する第2の電極層とを備え、
前記第1の電極層は本体構造を備え、前記本体構造はその長さ方向に互いに対向する第1側と第2側と、前記本体構造の前記第1側と前記第2側のうちの少なくとも一側に接続される複数の分岐構造とを備える、液晶移相器を提供する。
【0006】
一実施例において、前記第2の電極層は前記第2のサブストレートの周辺領域に位置し、かつ前記第1のサブストレート上での正投影が、前記複数の分岐構造における少なくとも1つの、前記第1のサブストレート上での正投影と一部重なる。
【0007】
一実施例において、前記本体構造の前記第1側と前記第2側における各側にはいずれも前記複数の分岐構造が接続される。
【0008】
一実施例において、前記第1側に接続される前記複数の分岐構造と前記第2側に接続される前記複数の分岐構造は前記本体構造に関して対称である。
【0009】
一実施例において、前記第2の電極層は第1の導電構造と第2の導電構造とを備え、
前記第1の導電構造の前記第1のサブストレート上での正投影が、前記本体構造の前記第1側に接続される前記複数の分岐構造のうちの少なくとも1つの、前記第1のサブストレート上での正投影と一部重なり、
前記第2の導電構造の前記第1のサブストレート上での正投影が、前記本体構造の前記第2側に接続される前記複数の分岐構造のうちの少なくとも1つの、前記第1のサブストレート上での正投影と一部重なる。
【0010】
一実施例において、前記第1の電極層はマイクロストリップラインであり、前記第1のサブストレートの前記液晶層とは逆の一側に接地電極が設けられる。
【0011】
一実施例において、前記第1の導電構造と前記第2の導電構造はそれぞれ導線を介して前記接地電極の導電端子に接続され、かつ前記導線の抵抗率とインダクタンスのうちの少なくとも1つが、ITO材料の抵抗率とインダクタンスのうちの少なくとも対応する1つより小さい。
【0012】
一実施例において、前記第1の導電構造と第2の導電構造はいずれも板状電極である。
【0013】
一実施例において、前記複数の分岐構造は、前記本体構造の前記第1側と前記第2側のうちの一側にのみ接続され、前記第2の電極層は、前記第2のサブストレートの前記複数の分岐構造に対応する一側にのみ位置する。
【0014】
一実施例において、前記第2の電極は板状電極である。
【0015】
一実施例において、前記第1の電極層はマイクロストリップラインであり、前記第1のサブストレートの前記液晶層とは逆の一側に接地電極が設けられる。
【0016】
一実施例において、前記第2の電極層は導線を介して前記接地電極の導電端子に接続され、かつ前記導線の抵抗率とインダクタンスのうちの少なくとも1つが、ITO材料の抵抗率とインダクタンスのうちの少なくとも対応する1つより小さい。
【0017】
一実施例において、前記本体構造の同一側に位置する前記複数の分岐構造の形状は同一である。
【0018】
一実施例において、同一側に位置する前記複数の分岐構造のうちの任意の隣接する2つの分岐構造間の距離は同一である。
【0019】
一実施例において、前記本体構造は前記第1側と前記第2側のうちのいずれか一側上の前記複数の分岐構造と一体成形構造とされる。
【0020】
一実施例において、前記第1のサブストレートは、ガラス、セラミックス、高純度石英ガラスのうちの少なくとも一種を用いて製造される。
【0021】
一実施例において、前記液晶層はポジティブ液晶分子を含み、かつ各前記ポジティブ液晶分子の長軸方向と前記第1サブストレートのある平面との間の夾角が0度より大きく45度以下である。
【0022】
一実施例において、前記液晶層はネガティブ液晶分子を含み、かつ各前記ネガティブ液晶分子の長軸方向と前記第1サブストレートのある平面との間の夾角が45度より大きく90度未満である。
【0023】
一実施例において、前記第1の電極層の本体構造はインピーダンス整合領域を有し、前記インピーダンス整合領域は平面図において三角形または台形であり、かつ前記第1の電極層の各部分間のインピーダンスを互いに整合させるように配置される。
【0024】
一実施例において、前記液晶層は、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間の部分の厚みが5μmから20μmの範囲内である。
【0025】
本願の第二態様では、本願の上記実施例のいずれか1つの実施例に記載の液晶移相器を備える液晶アンテナを提供する。
【0026】
本願の第三態様では、本願の上記実施例に記載の液晶アンテナを備える通信機器を提供する。
【0027】
本願の第四態様では、本願の上記実施例のいずれか1つの実施例に記載の液晶移相器を操作する方法であって、
前記第1の電極層に第1の電圧を印加し、
前記第2の電極層に、前記第1の電圧とは異なる第2の電圧を印加して前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に電界を発生させて、前記液晶層の液晶分子の長軸を前記電界の方向と実質的に平行または実質的に垂直にすることを含む、液晶移相器を操作する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は本願の実施例による液晶移相器の上面図である。
【
図2】
図2は本願の実施例による液晶移相器の上面図である。
【
図3】
図3は本願の実施例による液晶移相器の側面図である。
【
図4A】
図4Aは本願の一部の実施例による液晶移相器の上面図である。
【
図4B】
図4Bは本願の一部の実施例による液晶移相器の上面図である。
【
図4C】
図4Cは本願の一部の実施例による液晶移相器の上面図である。
【
図5】
図5は本願の実施例による液晶移相器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
当業者が本願の技術案をより良く理解できるように、以下では図面と例示的な実施の形態を組み合わせて本願についてさらに詳細に説明する。
【0030】
別途定義がなければ、本願(実施例および請求項を含む)にて使用する技術用語または科学技術用語は、本願が属する技術分野において当業者に理解され得る一般的な意味を有するべきである。本願にて使用する「第1の」、「第2の」および類似の語句はいかなる順序、数量または重要性も表しておらず、異なる組成部分を区別するためだけに用いられる。「含む」、「含有する」など類似の語句は、当該語句の前に記載の部品または物品が、当該語句の後ろに挙げられている部品または物品およびその均等物を網羅するということを意味し、その他の部品または物品の存在を排除しない。「接続する」または「相連なる」など類似の語句は物理的または機械的な接続を限定するものではなく、直接または間接的な接続に関わらず、電気的な接続を含んでよい。「上」、「下」、「左」、「右」などは図面での相対的な位置関係を示しているだけにすぎず、説明された対象の絶対的な位置が変われば、それらの相対的な位置関係もそれに応じて変化する場合がある。
【0031】
層、膜、領域または基板などの部品が別の部品の「上」または「下」に位置するとされるとき、当該部品は別の部品の「上」または「下」に「直接」位置してよく、もしくは中間部品が存在してよい。
【0032】
図1に示すように、本願の実施例では液晶移相器を提供する。当該液晶移相器は、対向設置された第1の基板と第2の基板と、第1の基板と第2の基板の間に位置する液晶層(
図1では図示していない)とを備える。第1の基板の液晶層に近接する側面にはマイクロストリップライン1が設けられ、第2の基板の液晶層に近接する側面には周期的に配置された複数の金属シート2が設けられる。前記複数の金属シートはそれぞれ複数のITO(酸化インジウムスズ)リード3を介して接地電極に接続される(当該接地電極は
図1の右上角の矩形枠のように示され、第1の基板の液晶層とは逆の一側に位置してよい)。このような液晶移相器については、マイクロストリップライン1に第1の電圧を印加し、前記複数の金属シート2に前記第1の電圧とは異なる第2の電圧を印加することで、両者の間に電界を形成することができ、液晶層内の液晶分子を偏向させて液晶層の誘電率を変更し、さらに、前記複数の金属シート2とマイクロストリップライン1が前記第1の基板または前記第2の基板の方向に垂直であることから少なくとも一部が重なって形成される静電容量の大きさを変更する。これにより、マイクロ波信号の移相が実現される(すなわち、マイクロ波信号の位相が変更される)。
【0033】
しかし、
図1に示す液晶移相器において、各金属シート2は対応するITOリード3によって接地電極に接続されるため、各ITOリード3のインダクタンスと抵抗はいずれも大きいということを本発明思想の発明者は発見した。よって、各ITOリード3のインダクタンスと抵抗をある程度変更する場合、当該変更量に起因する、前記複数の金属シート2とマイクロストリップライン1が形成する静電容量の変化はやや小さく、金属シート2とマイクロストリップライン1が形成する静電容量の十分に大きな変化をマイクロ波信号は感知できず、マイクロ波信号に所望の移相を生じさせることができなくなる。
【0034】
したがって、本願の一部の実施例では、マイクロ波信号を効果的に移相できる液晶移相器を提供する。
【0035】
本願の実施例は、対向設置された第1の基板と第2の基板と、第1の基板と第2の基板の間に位置する液晶層とを備える液晶移相器であって、前記第1の基板は、第1のサブストレートと、第1のサブストレートの液晶層に近接する側面に位置する第1の電極層とを備え、第1の電極層は本体構造を備え、当該本体構造はその長さ方向に互いに対向する第1側と第2側と、本体構造の第1側と前記第2側のうちの少なくとも一側に接続される複数の分岐構造とを備え、第2の基板は、第2のサブストレートと、第2のサブストレートの液晶層に近接する側面に位置する第2の電極層とを備え、当該第2の電極層は第2のサブストレートの周辺領域に位置し、かつ前記第1のサブストレート上での正投影が、前記複数の分岐構造における少なくとも1つ(例えば、1つ1つであってよい)の、前記第1のサブストレート上での正投影と一部重なる、液晶移相器を提供する。
【0036】
本実施例の移相器における第1の電極層はマイクロ波信号の伝送に用いることができるだけでなく、それに印加される第1の電圧を受信することもでき、第2の電極層は、それに印加される、第1の電圧とは異なる第2の電圧を受信することができ、第1の電極層の分岐構造と第2の電極層との間に電界を形成し、液晶層における液晶分子を偏向させ、液晶層の誘電率を変更し、マイクロ波信号の移相を実現する。本実施例では、第2の電極層を第2のサブストレートの周辺領域に配置することから、第2の電極層に第2の電圧を印加するためのITOリードの長さを短くすることができ、これによりITOリードのインダクタンスと抵抗が低減されるため、マイクロ波信号を効果的に移相することができる。
【0037】
図2、
図3(
図3は
図2の右側面図であってよい)に示すように、本願の実施例は、対向設置された第1の基板と第2の基板と、第1の基板と第2の基板の間に位置する液晶層60とを備える液晶移相器であって、第1の基板は、第1のサブストレート40と、第1のサブストレート40の液晶層60に近接する側面に位置する第1の電極層10とを備え、第1の電極層10は本体構造11を備え、本体構造11はその長さ方向(例えば、
図2における水平方向)に互いに対向する第1側(例えば、
図2における上側)と第2側(例えば、
図2における下側)とを備え、第1の電極層10は、本体構造11の第1側に接続され、かつ周期的に配置された複数の分岐構造12をさらに備える、液晶移相器を提供する。第2の基板は、第2のサブストレート50と、第2のサブストレート50の前記液晶層60に近接する側面に位置する第2の電極層20とを備える。第2の基板上の第2の電極層20は、第2のサブストレート50の周辺領域に位置し、かつ第1のサブストレート40上の、前記複数の分岐構造12に対応する位置に位置する。例えば、第2の電極層20は第2のサブストレート50の周辺領域に位置し、かつ第2の電極層20の外側端部(例えば、
図3における右側端部)と第2のサブストレート50の対応する端部(例えば、
図3における右側端部)は揃っている。前記第2の電極層20は、前記第1のサブストレート40上での正投影が、前記複数の分岐構造12のうちの少なくとも1つ(例えば、1つ1つであってよい)の、第1のサブストレート40(または第2のサブストレート50)上での正投影と一部重なる。あるいは、本体構造11の第2側にも複数の分岐構造12が接続されてよい。本実施例では、前記複数の分岐構造12が本体構造11の第1側に接続されるということを例として説明する。
【0038】
例えば、第1の電極層10はマイクロストリップラインであってよく(マイクロストリップラインは本体構造11と分岐構造12とを含み、かつ両者は一体形成構造である)、第1のサブストレート40のマイクロストリップラインとは逆の一側に接地電極30を設けてもよく、かつ第1の電極層10と接地電極30は第1のサブストレート40での正投影が少なくとも一部重なる。例えば、接地電極30の各端部と第1のサブストレート40の対応する端部とは揃っていてよい。接地電極30とマイクロストリップライン(すなわち、第1の電極層10)はマイクロ波伝送構造を構成し、供給ポートがマイクロストリップラインに供給するほとんどのマイクロ波信号は接地電極30とマイクロストリップラインとの間の第1のサブストレート40において伝送される。マイクロ波信号の損失を低減するために、第1のサブストレート40はガラス、セラミックスなどの材料を用いて製造することができる。これらの材料は基本的にマイクロ波信号を吸収しないため、マイクロ波信号の損失は少ない。一部分のマイクロ波信号は液晶層60において伝送され、マイクロストリップラインと第2の電極層20に電圧が印加されると液晶分子61は偏向し、液晶層60の誘電率に変化が生じることから、液晶層60内のマイクロ波信号の移相が実現する。その後、第1のサブストレート40内のマイクロ波信号と液晶層60内のマイクロ波信号が交互に伝送されることで、マイクロ波信号全体の移相が実現する。言い換えれば、第1のサブストレート40において伝送されるほとんどのマイクロ波信号と液晶層60において伝送される一部分のマイクロ波信号は同一の移相を生じてよい。
【0039】
例えば、
図3に示すように、第2の電極層20は導線70を介して接地電極30の導電端子(例えば、接地電極30の両端)に接続されてよい。このとき、接地電極30と第2の電極層20に付与される信号は同じであり、このような接続は移相器の制御に便利であるとともに配線が簡単である。例えば、導線70の抵抗率とインダクタンスのうちの少なくとも1つが、ITO材料の抵抗率とインダクタンスのうちの少なくとも対応する1つより小さくてよい。例えば、導線70の材料は金属であってよく(すなわち、導線70は金属接続線であってよい)、金属は銅であってよいがこれに限らず、例えば銀などであってもよい。当然ながら、第2の基板の辺縁(例えば、
図3に示す第2のサブストレート50と第2の電極層20の右側辺縁)に導電端子を設け、接地電極30と第2の電極層20をそれぞれ単独で制御してもよい。導線70の長さは明らかに
図1に示す各ITOリードの長さ未満であり、かつ金属(例えば銅)の抵抗率とインダクタンスはいずれもITOの抵抗率とインダクタンスより小さい。よって、導線70の抵抗率とインダクタンスの一定変化量は、第2の電極層20と第1の電極層10が形成する静電容量の大きな変化を引き起こし得るため、マイクロ波信号の所望の移相量を容易に実現できる。
【0040】
例えば、第1の電極層10における各分岐構造12のサイズは同一であり、任意の隣接する2つの分岐構造間の距離も同一である。当然ながら、任意の隣接する2つの分岐構造12間の距離も一定の規則により分布してよい。また、
図4Cに示すように、各分岐構造12の第2の電極層20と重なり合う部分の幅は、当該分岐構造12のその他の部分の幅と同じであってよく、このことによりこれらの重複面積の大きさを調節することができるため、形成される静電容量の大きさを調節でき、これは実際の製品の要求に応じて設定することができる。
【0041】
例えば、本実施例では、マイクロストリップラインの本体構造11と分岐構造12を一体形成構造として設けてよく、つまり両者は同一層に設けてよく、かつ材料は同一である。したがって、これらは一回のパターニング工程において製造することができるため、生産効率を高めることができる。
【0042】
例えば、第1のサブストレート40と第2のサブストレート50は厚みが100~1000μmのガラス基板を用いてよく、サファイア基板を用いてもよく、厚みが10~500μmのポリエチレンテレフタレート基板、トリアリルシアヌレート基板、ポリイミド透明フレキシブル基板を使用してもよい。例えば、第1のサブストレート40と第2のサブストレート50は誘導損失が極めて低い高純度石英ガラスを用いてよい。通常のガラス基板と比べて、第1のサブストレート40と第2のサブストレート50に高純度石英ガラスを用いた場合、マイクロ波の損失を効果的に低減することができ、移相器は消費電力が低く、SN比が高くなる。例えば、高純度石英ガラスとは、SiO2の重量パーセント比が99.9%以上の石英ガラスのことをいう。
【0043】
例えば、マイクロストリップライン、接地電極30、第2の電極層20のそれぞれの材料はアルミニウム、銀、金、クロム、モリブデン、ニッケルまたは鉄などの金属を用いてよい。
【0044】
例えば、液晶層60内の液晶分子61はアクティブ液晶分子61またはネガティブ液晶分子61であってよい。なお、液晶分子61がアクティブ液晶分子61である場合、各液晶分子61の長軸方向と前記第1サブストレート40(または前記第2のサブストレート50)のある平面との間の夾角は0度より大きく45度以下である。液晶分子61がネガティブ液晶分子61である場合、各液晶分子61の長軸方向と前記第1サブストレート40(または前記第2のサブストレート50)のある平面との間の夾角は45度より大きく90度未満である。このようにすることで、液晶分子61に偏向が生じた後、液晶層60の誘電率を変更するよう確保しており、移相という目的を果たす。
【0045】
本実施例の移相器におけるマイクロストリップラインはマイクロ波信号の伝送に用いることができるだけでなく、それに印加される第1の電圧を受信することもでき、第2の電極層20は、それに印加される、第1の電圧とは異なる第2の電圧を受信することができ、マイクロストリップラインの前記複数の分岐構造12と第2の電極層20との間に電界を形成し、液晶層60における液晶分子61を偏向させ、液晶層60の誘電率を変更し、マイクロ波信号の移相を実現する。本実施例では、第2の電極層20を第2のサブストレート50の周辺領域に配置することから、第2の電極層20に第2の電圧を付与するための導線70の長さを短くすることができ、これにより導線70のインダクタンスと抵抗がさらに低減されるため、マイクロ波信号をより効果的に移相することができる。
【0046】
図4Aから
図5(例えば、
図5は
図4Aの右側面図であってよい)に示すように、本実施例では、対向設置された第1の基板と第2の基板と、第1の基板と第2の基板の間に位置する液晶層60とを備える液晶移相器であって、第1の基板は、第1のサブストレート40と、第1のサブストレート40の液晶層60に近接する側面に位置する第1の電極層10とを備え、第1の電極層10は本体構造11を備え、本体構造11はその長さ方向(例えば、
図4における水平方向)に互いに対向する第1側(例えば、
図4Aにおける上側)と第2側(例えば、
図4Aにおける下側)とを備え、第1の電極層10は、本体構造11の第1側と第2側における各側に接続される複数の分岐構造12とをさらに備え、第1側に接続される前記複数の分岐構造12と第2側に接続される前記複数の分岐構造12は本体構造11に関して対称であってよく(
図4Aに示す通り)、対称でなくともよい(
図4Bに示す通り)、別の液晶移相器を提供する。第2の電極層20は、前記第2のサブストレート50の周辺領域に位置する第1の導電構造21と第2の導電構造22とを備え(例えば、
図5に示すように、第1の導電構造21の左側端部と第2のサブストレート50の左側端部は揃っていてよく、第2の導電構造22の右側端部と第2のサブストレート50の右側端部は揃っていてよい)、第1の導電構造21の第1のサブストレート40上での正投影が、本体構造11の第1側(例えば、
図4Aの上側)に接続される前記複数の分岐構造12のうちの少なくとも1つ(例えば、1つ1つであってよい)の、第1のサブストレート40上での正投影と一部重なり、第2の導電構造22の前記第1のサブストレート40上での正投影が、本体構造11の第2側(例えば、
図4Aの下側)に接続される前記複数の分岐構造12のうちの少なくとも1つ(例えば、1つ1つであってよい)の、第1のサブストレート40上での正投影と一部重なる。
【0047】
例えば、第1の電極層10はマイクロストリップラインであってよく(マイクロストリップラインは本体構造11と、本体構造11の第1側と第2側における各側の前記分岐構造12とを含み、かつ本体構造11とすべての分岐構造12は一体形成構造である)、第1のサブストレート40のマイクロストリップラインとは逆の一側に接地電極30をさらに設けてもよく、かつマイクロストリップライン(すなわち、第1の電極層10)と接地電極30は第1のサブストレート40での正投影が少なくとも一部重なる。例えば、接地電極30の各端部と第1のサブストレート40の対応する端部は揃っていてよい。接地電極30とマイクロストリップラインはマイクロ波伝送構造を構成し、供給ポートがマイクロストリップラインに供給するほとんどのマイクロ波信号は接地電極30とマイクロストリップラインとの間の第1のサブストレート40において伝送される。上述の通り、マイクロ波信号の損失を低減するために、第1のサブストレート40はガラス、セラミックスなどの材料を用いて製造することができる。したがって、第1のサブストレート40は基本的にマイクロ波信号を吸収しないため、マイクロ波信号の損失は少ない。一部分のマイクロ波信号は液晶層60において伝送され、マイクロストリップラインに第1の電圧が印加され、第1の導電構造21と第2の導電構造22に第1の電圧とは異なる第2電圧が印加されると液晶層60の液晶分子61は偏向し、液晶層60の誘電率に変化が生じることから、液晶層60内のマイクロ波信号の移相が実現する。その後、第1のサブストレート40のマイクロ波信号が液晶層60内のマイクロ波信号と交互に伝送されることで、マイクロ波信号全体の移相が実現する。上述の通り、第1の導電構造21の左側端部と第2のサブストレート50の左側端部は揃っていてよく、第2の導電構造22の右側端部と第2のサブストレート50の右側端部は揃っていてよく、接地電極30の各端部と第1のサブストレート40の対応する端部は揃っていてよいことから、
図3と
図5に示すように、導線70は前記移相器の外側に位置するだけでよく、前記移相器の内部まで延伸する必要はないため、各導線70の長さ、抵抗、インダクタンスを効果的に低減できる。よって、所望の移相量を容易に実現できる。
【0048】
例えば、第1の導電構造21と第2の導電構造22はそれぞれ導線70を介して接地電極30の導電端子(例えば、接地電極30の両端)に接続されてよい。このとき、接地電極30、第1の導電構造21、第2の導電構造22に付与される信号は同じであり、移相器の制御に便利である。上述の通り、導線70の材料は金属であってよく、例えば銅であってよいがこれに限らず、銀などであってもよい。当然ながら、第2の基板の辺縁(例えば、
図5に示す第2のサブストレート50と第1の導電構造21の左側辺縁、および第2のサブストレート50と第2の導電構造22の右側辺縁)に導電端子を設け、接地電極30、第1の導電構造21、第2の導電構造22をそれぞれ単独で制御してもよい。
【0049】
例えば、第1の電極層10における各分岐構造12のサイズは同一であり、本体構造11の第1側と第2側の各側に位置する前記複数の分岐構造における任意の隣接する2つの間の距離も同一である。当然ながら、各側の任意の隣接する2つの分岐構造12間の距離も一定の規則により分布してよい。また、各分岐構造12の第2の電極層20の第1の導電構造21または第2の導電構造22と重なり合う部分の幅は、
図4Cに示すように、当該分岐構造12のその他の部分の幅と同じであってよく、これで各分岐構造12と第2電極層20との間に形成される静電容量の大きさを調節でき、これは実際の製品の要求に応じて設定することができる。
【0050】
例えば、本願の実施例では、第1の電極層10の本体構造11とすべての分岐構造12を一体形成構造として設けてよく、つまり両者は同一層に設けられ、かつ材料は同一である。したがって、これらは一回のパターニング工程において製造することができるため、生産効率を高めることができる。
【0051】
例えば、第1のサブストレート40と第2のサブストレート50は厚みが100~1000μmのガラス基板を用いてよく、サファイア基板を用いてもよく、厚みが10~500μmのポリエチレンテレフタレート基板、トリアリルシアヌレート基板、ポリイミド透明フレキシブル基板を使用してもよい。例えば、第1のサブストレート40と第2のサブストレート50は誘導損失が極めて低い高純度石英ガラスを用いてよい。通常のガラス基板と比べて、第1のサブストレート40と第2のサブストレート50に高純度石英ガラスを用いた場合、マイクロ波の損失を効果的に低減することができ、移相器は消費電力が低く、SN比が高くなる。例えば、高純度石英ガラスとは、SiO2の重量パーセント比が99.9%以上の石英ガラスのことをいう。
【0052】
例えば、マイクロストリップライン、接地電極30、第1の導電構造21、第2の導電構造22のそれぞれの材料はアルミニウム、銀、金、クロム、モリブデン、ニッケルまたは鉄などの金属を用いてよい。
【0053】
例えば、液晶層60内の液晶分子61はアクティブ液晶分子61またはネガティブ液晶分子61であってよい。なお、液晶分子61がアクティブ液晶分子61である場合、各液晶分子61の長軸方向と前記第1サブストレート40(または前記第2のサブストレート50)のある平面との間の夾角は0度より大きく45度以下である。液晶分子61がネガティブ液晶分子61である場合、各液晶分子61の長軸方向と前記第1サブストレート40(または前記第2のサブストレート50)のある平面との間の夾角は45度より大きく90度未満である。このようにすることで、液晶分子61に偏向が生じた後、液晶層60の誘電率を変更するよう確保しており、移相という目的を果たす。
【0054】
本実施例の移相器におけるマイクロストリップラインはマイクロ波信号の伝送に用いることができるだけでなく、それに印加される第1の電圧を受信することもでき、第1の導電構造21と第2の導電構造22は、それに印加される、第1の電圧とは異なる第2の電圧を受信することができ、マイクロストリップラインの本体構造11の第1側に接続された前記複数の分岐構造12と第1の導電構造21との間、およびマイクロストリップラインの本体構造11の第2側に接続された前記複数の分岐構造12と第2の導電構造22との間に電界を形成し、液晶層60の対応位置の液晶分子61を偏向させ、液晶層60の誘電率を変更し、マイクロ波信号の移相を実現する。本実施例では、第2の電極層20を第2のサブストレート50の周辺領域に配置することから、第2の電極層20に第2の電圧を印加するための導線70の長さを短くすることができ、これにより導線70のインダクタンスと抵抗がさらに効果的に低減されるため、マイクロ波信号をより効果的に移相することができる。
【0055】
図2から
図5に示す各実施例におけるいずれか1つにおいて、前記第1の電極層10の本体構造11はインピーダンス整合領域をさらに有してもよく(例えば、
図2または
図4Aにおける向かって左の矢印がある領域)、前記インピーダンス整合領域は平面図において三角形(あらゆる類型の三角形を含む)または台形であってよく、その他の形状であってもよく、前記第1の電極層10の各部分(例えば、矢印の左側部分と右側部分)間のインピーダンスを互いに整合させる(例えば同一である)ように配置され、マイクロ波信号のエネルギー損失を低減して、マイクロ波信号を高効率で伝送する。例えば、インピーダンス整合領域の平面図における形状は入力されるマイクロ波信号の周波率、第1の電極10の本体構造11と分岐構造12の形状およびサイズ、
図2と
図4Aのインピーダンス整合領域の左側部分の導体の形状およびサイズなどの要素と関連してよく、実際の応用を踏まえて設計できる。
【0056】
図2から
図5に示す各実施例におけるいずれか1つにおいて、液晶セルの厚み(
図5に示すように、液晶層60の第1の電極10と第2の電極20と間の部分の、鉛直方向でのサイズである)は約5μmから約20μmの間であってよく、例えば約5μmから約10μmの間、約5μmである。当該液晶セルの厚みは小さく、液晶層60の液晶分子61が電界に反応して高速回転できるようにする。よって、前記液晶セルの反応速度は速い。
【0057】
なお、
図2における第2の電極層20と、
図4Aにおける第1の導電構造21と第2の導電構造22は非矩形で示されているが、これは単なる表示例にすぎない。例えば、
図2における第2電極層20と、
図4Aにおける第1導電構造21と第2導電構造22のそれぞれは矩形または不規則な形状であってよく、各分岐構造12との重複面積の大きさを調整して、所望の大きさのインダクタンスを形成できるものであればよい。
【0058】
本実施例は、
図2から
図5に対応する実施例によるいずれか1つの液晶移相器を含む液晶アンテナを提供する。上述の通り、当該液晶移相器の移相効果はより優れている。よって、当該液晶アンテナはより高い効率またはより低いエネルギー消費を具備する。
【0059】
例えば、第2のサブストレート50の液晶層60とは逆の一側に、少なくとも2つのシートユニットを設けてもよく、各隣接する2つのシートユニット間の間隔は、隣接する2つの分岐構造12間の間隔に対応して設けられる(例えば、第1のサブストレート40または第2のサブストレート50での正投影が互いに重なる)。したがって、
図2から
図5に対応する実施例による移相器によって位相を調節した後のマイクロ波信号は、各隣接する2つのシートユニット間の隙間から放射される。当然ながら、液晶アンテナにおいては、ケーブル内のマイクロ波信号をマイクロ波信号伝送構造(例えば、前記マイクロストリップライン)に供給するための供給ポートをさらに備えてよい。
【0060】
本願の実施例では、本願の上記実施例による液晶アンテナを備える通信機器を提供する。
【0061】
本願の実施例では、
図2から
図5に対応する実施例によるいずれか1つの液晶移相器を操作する方法であって、前記第1の電極層10に第1の電圧を印加し、前記第2の電極層20に、前記第1の電圧とは異なる第2の電圧を印加して前記第1の電極層10と前記第2の電極層20との間に電界を発生させて、前記液晶層60の液晶分子61の長軸を前記電界の方向と実質的に平行(アクティブ液晶分子にとってのものである)または実質的に垂直(ネガティブ液晶分子にとってのものである)にするステップを含んでよい、液晶移相器を操作する方法を提供する。
【0062】
明らかな矛盾がない場合、上記の各実施例は互いに組み合わせることが可能である。
【0063】
以上の実施形態は本願の原理を説明するために用いた例示的な実施形態にすぎず、本願はこれに限定されないと理解されるべきである。当業者は本願の精神と実質を逸脱しなければ、各種変形と改善を加えてよく、これらの変形と改善も本願の請求範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1 マイクロストリップライン
2 金属シート
3 ITO(酸化インジウムスズ)リード
10 第1の電極層
11 本体構造
12 分岐構造
20 第2の電極層
21 第1の導電構造
22 第2の導電構造
30 接地電極
40 第1のサブストレート
50 第2のサブストレート
60 液晶層
61 液晶分子
70 導線