(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】コーティング方法
(51)【国際特許分類】
A61K 9/16 20060101AFI20240123BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240123BHJP
A61K 47/30 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
A61K9/16
A61K47/02
A61K47/30
(21)【出願番号】P 2020553294
(86)(22)【出願日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 JP2019040923
(87)【国際公開番号】W WO2020080472
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2018196987
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002912
【氏名又は名称】住友ファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100118371
【氏名又は名称】▲駒▼谷 剛志
(72)【発明者】
【氏名】木挽 光昭
(72)【発明者】
【氏名】淺田 拓海
【審査官】辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-528135(JP,A)
【文献】国際公開第2014/030656(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/030204(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/181390(WO,A1)
【文献】国際公開第2000/009133(WO,A1)
【文献】特開平07-112932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K9/00-9/72
A61K47/00-47/69
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の高分子と滑沢剤とでコーティングされた粒子の製造方法であって、該粒子は、目的成分と第二の高分子とを含む、目的成分含有中空粒子であり、該方法は、
該目的成分と該第二の高分子とを含む核粒子に該第一の高分子および滑沢剤を添加し、生じた混合物を転動させながら、該第一の高分子を溶解し得る溶媒を噴霧することによりコーティングする工程を含み、
第一の高分子と滑沢剤のD90値が100μm以下である、
第一の高分子と滑沢剤の平均粒子径が25μm以下である、
第一の高分子と滑沢剤のD99値が150μm以下である、および
第一の高分子と滑沢剤が100メッシュの篩を全通することからなる群より選択される少なくとも1つが特徴である、
製造方法。
【請求項2】
前記コーティングされた粒子は、前記目的成分と前記第二の高分子とを含む内核層と、前記第一の高分子と前記滑沢剤を含むコーティング層を含む、請求項
1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記目的成分と前記第二の高分子とを混合して前記核粒子を生成する工程をさらに含む、請求項
1または
2に記載の製造方法。
【請求項4】
第一の高分子と滑沢剤のD90値が100μm以下である、請求項
1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
第一の高分子と滑沢剤の平均粒子径が25μm以下である、請求項
1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
第一の高分子と滑沢剤のD99値が150μm以下である、請求項
1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
第一の高分子と滑沢剤が100メッシュの篩を全通することが特徴である、請求項
1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記第一の高分子と前記滑沢剤の重量比が、1:5から5:1の間である、請求項
1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記核粒子に対して、前記第一の高分子および滑沢剤が10重量%~100重量%である、請求項
1~8のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、目的成分含有粒子の機能強化技術に関する。また、本開示はコーティング方法に関する。本開示は、短時間かつ効率的なコーティング方法に関する。好ましい実施形態では、本開示は、コーティングされた粒子が複数の機能を持つことに関する。
【背景技術】
【0002】
製剤技術においては、一般的に、目的成分のみ、又は目的成分と他の製剤化成分を混合して、造粒して目的成分含有粒子を製造し、その後、他の成分と混合、他の造粒物と混合、又は他の成分を加えてさらに造粒等を行い、打錠して錠剤にしたり、顆粒剤にしたり、カプセルにつめてカプセル剤にしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
放出制御高分子を溶媒に溶解して噴霧する方法ではコーティングされた粒子の放出制御能は高いものの、コーティング時間が長時間に及ぶことと、1回の製造あたりの生産量が少ないことが課題であった。この課題解決のためコーティング時間の短縮や生産量を向上させることは可能であるが、コーティングされた粒子の放出制御力の低下や、放出制御の程度の調節が難しいといった課題が代わりに生じる。上記のように、放出制御能と生産性を同時に達成させることは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、高分子を含んだ核粒子に粉末状の高分子と滑沢剤を混合し、粉末状の高分子を溶解させることができる溶媒を噴霧しながら撹拌造粒するという非常に簡便な手段により、粉末状の高分子の制御機能を付与したコーティング粒子を効率よく製造しうることを見出し、本開示を完成した。
【0005】
本発明者らはまた、高分子を含んだ核粒子に粉末状の高分子と滑沢剤を混合し、粉末状の高分子を溶解させることができる溶媒を噴霧しながら撹拌造粒するという非常に簡便な手段により、高分子粒子同士の凝集を防止し、核粒子に粉末状の高分子の制御機能を付与したコーティング粒子を効率よく製造しうることを見出し、本開示を完成した。
(項目1)
第一の高分子と滑沢剤とでコーティングされた粒子の製造方法であって、該粒子は、目的成分と第二の高分子とを含む、目的成分含有中空粒子であり、該方法は、
該目的成分と該第二の高分子とを含む核粒子に該第一の高分子および滑沢剤を添加し、生じた混合物を転動させながら、該第一の高分子を溶解し得る溶媒を噴霧することによりコーティングする工程を含む、製造方法。
(項目2)
前記コーティングされた粒子は、前記目的成分と前記第二の高分子とを含む内核層と、前記第一の高分子と前記滑沢剤を含むコーティング層を含む、項目1に記載の製造方法。
(項目3)
前記目的成分と前記第二の高分子とを混合して前記核粒子を生成する工程をさらに含む、項目1または2に記載の製造方法。
(項目4)
第一の高分子と滑沢剤の混合物のD90値が100μm以下である、項目1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目5)
第一の高分子と滑沢剤の平均粒子径が25μm以下である、項目1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目6)
第一の高分子と滑沢剤のD100値が150μm以下である、項目1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目7)
第一の高分子と滑沢剤が100メッシュの篩を全通することが特徴である、項目1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目8)
第一の高分子が腸溶性高分子から1つ以上選択される、項目1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目9)
滑沢剤がケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルク、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、酸化チタン、フマル酸ステアリルナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムからから1つ以上選択される、項目1~8のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目10)
滑沢剤がタルク、酸化チタン及びフマル酸ステアリルナトリウムから1つ以上選択される、項目1~9のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目11)
滑沢剤がタルクである、項目1~10のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目12)
前記第一の高分子と前記滑沢剤の重量比が、1:10から10:1の間である、項目1~11のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目13)
前記核粒子に対して、前記第一の高分子および滑沢剤が10重量%~50重量%である、項目1~12のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目14)
前記滑沢剤のかさ密度が、0.1g/mL以上である、項目1~13のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目15)
前記第一の高分子の平均分子量が、1000~10000000である、項目1~14のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目16)
前記第一の高分子が、水不溶性セルロースエーテル、水不溶性アクリル酸系コポリマー、酢酸ビニル樹脂、またはこれらの組み合わせである、項目1~15のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目17)
前記第二の高分子が、前記第一の高分子と同じである、項目1~16のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目18)
前記目的成分が、医薬、医薬部外品、化粧品、農薬、サプリメント、または食品である、項目1~17のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目19)
高分子と滑沢剤を含む、シェル及び中空部からなる目的成分含有中空粒子に該高分子が有する機能を付与するための組成物。
(項目20)
シェル及び中空部からなる目的成分含有中空粒子に第一の高分子が有する機能を付与するための、第一の高分子と滑沢剤とを含む組成物であって、該目的成分含有中空粒子は第二の高分子及び目的成分を含む、組成物。
(項目21)
シェル及び中空部からなる目的成分含有中空粒子に第一の高分子が有する機能を付与するための、滑沢剤を含む組成物であって、該目的成分含有中空粒子は第二の高分子及び目的成分を含み、該第一の高分子は該滑沢剤とともに提供される、組成物。
(項目22)
前記機能は、徐放性、腸溶性、胃溶性、苦みマスキング性または光安定性を含む、項目19~21のいずれか1項に記載の組成物。
(項目23)
前記機能が、腸溶性である、項目19~22のいずれか1項に記載の組成物。
(項目24)
シェル及び中空部からなる目的成分含有中空粒子に滑沢剤が有する機能を付与するための、第一の高分子と滑沢剤とを含む、組成物であって、該目的成分含有中空粒子は第二の高分子及び目的成分を含む、組成物。
(項目25)
シェル及び中空部からなる目的成分含有中空粒子に滑沢剤が有する機能を付与するための、第一の高分子を含む組成物であって、該目的成分含有中空粒子は第二の高分子及び目的成分を含む、組成物。
(項目26)
前記機能は、苦みマスキング性または光安定性を含む、項目23または24に記載の組成物。
(項目27)
高分子と滑沢剤の混合物のD90値が100μm以下である、項目19~26のいずれか1項に記載の組成物。
(項目28)
高分子と滑沢剤の混合物の平均粒子径が25μm以下である、項目19~27のいずれか1項に記載の組成物。
(項目29)
高分子と滑沢剤の混合物のD100値が150μm以下である、項目19~28のいずれか1項に記載の組成物。
(項目30)
高分子と滑沢剤の混合物が100メッシュの篩を全通することが特徴である、項目19~29のいずれか1項に記載の組成物。
(項目31)
高分子が腸溶性高分子から1つ以上選択される、項目19~30のいずれか1項に記載の組成物。
(項目32)
前記滑沢剤がケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルク、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、酸化チタン、フマル酸ステアリルナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムから1つ以上選択される、項目19~31のいずれか1項に記載の組成物。
(項目33)
前記滑沢剤がタルク、酸化チタン及びフマル酸ステアリルナトリウムから1つ以上選択される、項目19~32のいずれか1項に記載の組成物。
(項目34)
前記滑沢剤がタルクである、項目19~33のいずれか1項に記載の組成物。
(項目35)
前記目的成分が、医薬、医薬部外品、化粧品、農薬、サプリメント、または食品である、項目19~34のいずれか1項に記載の組成物。
(項目36)
第一の高分子と滑沢剤とでコーティングされた、シェル及び中空部からなる粒子であって、該粒子は第二の高分子を含み、該第一の高分子および/または該第二の高分子の性質が該滑沢剤の非存在下よりも増強されている、粒子。
(項目37)
前記第一の高分子は、前記第二の高分子と同じである、項目36に記載の粒子。
(項目38)
第一の高分子と滑沢剤の混合物のD90値が100μm以下である、項目36または37に記載の粒子。
(項目39)
第一の高分子と滑沢剤の混合物の平均粒子径が25μm以下である、項目36~38のいずれか1項に記載の粒子。
(項目40)
第一の高分子と滑沢剤の混合物のD100値が150μm以下である、項目36~39のいずれか1項に記載の粒子。
(項目41)
第一の高分子と滑沢剤の混合物が100メッシュの篩を全通することが特徴である、項目36~40のいずれか1項に記載の粒子。
(項目42)
第一の高分子が腸溶性高分子から1つ以上選択される、項目36~41のいずれか1項に記載の粒子。
(項目43)
前記滑沢剤がケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルク、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、酸化チタン、フマル酸ステアリルナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムから1つ以上選択される、項目36~42のいずれか1項に記載の粒子。
(項目44)
前記滑沢剤がタルク、酸化チタン及びフマル酸ステアリルナトリウムから1つ以上選択される、項目36~43のいずれか1項に記載の粒子。
(項目45)
前記滑沢剤がタルクである、項目36~44のいずれか1項に記載の粒子。
【0006】
(項目1a)
第一の高分子と滑沢剤とでコーティングされた粒子の製造方法であって、該粒子は、目的成分と第二の高分子とを含む、目的成分含有中空粒子であり、該方法は、
該目的成分と該第二の高分子とを含む核粒子に該第一の高分子および滑沢剤を添加し、生じた混合物を転動させながら、該第一の高分子を溶解し得る溶媒を噴霧することによりコーティングする工程を含む、製造方法。
(項目2a)
前記コーティングされた粒子は、前記目的成分と前記第二の高分子とを含む内核層と、前記第一の高分子と前記滑沢剤を含むコーティング層を含む、項目1aに記載の製造方法。
(項目3a)
前記目的成分と前記第二の高分子とを混合して前記核粒子を生成する工程をさらに含む、項目1aまたは2aに記載の製造方法。
(項目4a)
第一の高分子と滑沢剤のD90値が100μm以下である、項目1a~3aのいずれか1項に記載の製造方法。
(項目5a)
第一の高分子と滑沢剤の平均粒子径が25μm以下である、項目1a~4aのいずれか1項に記載の製造方法。
(項目6a)
第一の高分子と滑沢剤のD100値が150μm以下である、項目1a~5aのいずれか1項に記載の製造方法。
(項目6a-1)
第一の高分子と滑沢剤のD99値が150μm以下である、項目1a~5aのいずれか1項に記載の製造方法。
(項目7a)
第一の高分子と滑沢剤が100メッシュの篩を通過することが特徴である、項目1a~6a、6a-1のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目7a-1)
第一の高分子が水溶性高分子、水不溶性高分子、腸溶性高分子および胃溶性高分子から1つ以上選択される、項目1a~7aのいずれか1項に記載の製造方法。
(項目7a-2)
第一の高分子が水溶性高分子である、項目1a~7a-1のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目7a-3)
第一の高分子が水不溶性高分子である、項目1a~7a-1のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目8a)
第一の高分子が腸溶性高分子である、項目1a~7a-1のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目8a-1)
第一の高分子が胃溶性高分子である、項目1a~7a-1のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目9a)
滑沢剤がケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルク、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、酸化チタン、フマル酸ステアリルナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムからから1つ以上選択される、項目1a~8aおよび8a-1のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目10a)
滑沢剤がタルク、酸化チタン及びフマル酸ステアリルナトリウムから1つ以上選択される、項目1a~9aのいずれか1項に記載の製造方法。
(項目11a)
滑沢剤がタルクである、項目1a~10aのいずれか1項に記載の製造方法。
(項目12a)
前記第一の高分子と前記滑沢剤の重量比が、1:5から5:1の間である、項目1a~11aのいずれか1項に記載の製造方法。
(項目13a)
前記核粒子に対して、前記第一の高分子および滑沢剤が10重量%~100重量%である、項目1a~12aのいずれか1項に記載の製造方法。
(項目14a)
前記滑沢剤のかさ密度が、0.1g/mL以上である、項目1a~13aのいずれか1項に記載の製造方法。
(項目15a)
前記第一の高分子の平均分子量が、1000~10000000である、項目1a~14aのいずれか1項に記載の製造方法。
(項目16a)
前記第一の高分子が、水不溶性セルロースエーテル、水不溶性アクリル酸系コポリマー、酢酸ビニル樹脂、またはこれらの組み合わせである、項目1a~15aのいずれか1項に記載の製造方法。
(項目17a)
前記第二の高分子が、前記第一の高分子と同じである、項目1a~16aのいずれか1項に記載の製造方法。
(項目18a)
前記目的成分が、医薬、医薬部外品、化粧品、農薬、サプリメント、または食品である、項目1a~17aのいずれか1項に記載の製造方法。
(項目19a)
第一の高分子と滑沢剤を含む、シェル及び中空部からなる目的成分含有中空粒子に該高分子が有する機能を付与するための組成物。
(項目20a)
シェル及び中空部からなる目的成分含有中空粒子に第一の高分子が有する機能を付与するための、第一の高分子と滑沢剤とを含む組成物であって、該目的成分含有中空粒子は第二の高分子及び目的成分を含む、組成物。
(項目21a)
シェル及び中空部からなる目的成分含有中空粒子に第一の高分子が有する機能を付与するための、滑沢剤を含む組成物であって、該目的成分含有中空粒子は第二の高分子及び目的成分を含み、該第一の高分子は該滑沢剤とともに提供される、組成物。
(項目22a)
前記機能は、速放性、徐放性、腸溶性、胃溶性、苦みマスキング性または光安定性を含む、項目19a~21aのいずれか1項に記載の組成物。
(項目22a-1)
前記機能が、速放性である、項目19a~22aのいずれか1項に記載の組成物。
(項目22a-2)
前記機能が、徐放性である、項目19a~22aのいずれか1項に記載の組成物。
(項目23a)
前記機能が、腸溶性である、項目19a~22aのいずれか1項に記載の組成物。
(項目23a-1)
前記機能が、胃溶性である、項目19a~22aのいずれか1項に記載の組成物。
(項目24a)
シェル及び中空部からなる目的成分含有中空粒子に滑沢剤が有する機能を付与するための、第一の高分子と滑沢剤とを含む、組成物であって、該目的成分含有中空粒子は第二の高分子及び目的成分を含む、組成物。
(項目25a)
シェル及び中空部からなる目的成分含有中空粒子に滑沢剤が有する機能を付与するための、第一の高分子を含む組成物であって、該目的成分含有中空粒子は第二の高分子及び目的成分を含む、組成物。
(項目26a)
前記機能は、苦みマスキング性または光安定性を含む、項目19a~25aのいずれか1項に記載の組成物。
(項目27a)
第一の高分子と滑沢剤の混合物のD90値が100μm以下である、項目19a~26aのいずれか1項に記載の組成物。
(項目28a)
第一の高分子と滑沢剤の混合物の平均粒子径が25μm以下である、項目19a~27aのいずれか1項に記載の組成物。
(項目29a)
第一の高分子と滑沢剤の混合物のD100値が150μm以下である、項目19a~28aのいずれか1項に記載の組成物。
(項目29a-1)
第一の高分子と滑沢剤の混合物のD99値が150μm以下である、項目19a~28aのいずれか1項に記載の組成物。
(項目30a)
第一の高分子と滑沢剤の混合物が100メッシュの篩を全通することが特徴である、項目19a~29aのいずれか1項に記載の組成物。
(項目31a)
第一の高分子が水溶性高分子、水不溶性高分子、腸溶性高分子および胃溶性高分子から1つ以上選択される、項目19a~30aのいずれか1項に記載の組成物。
(項目31a-1)
第一の高分子が水溶性高分子である、項目19a~31aのいずれか1項に記載の組成物。
(項目31a-2)
第一の高分子が水不溶性高分子である、項目19a~31aのいずれか1項に記載の組成物。
(項目31a-3)
第一の高分子が腸溶性高分子である、項目19a~31aのいずれか1項に記載の組成物。
(項目31a-4)
第一の高分子が胃溶性高分子である、項目19a~31aのいずれか1項に記載の組成物。
(項目32a)
前記滑沢剤がケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルク、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、酸化チタン、フマル酸ステアリルナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムから1つ以上選択される、項目19a~31aおよび31a-1~31a-4のいずれか1項に記載の組成物。
(項目33a)
前記滑沢剤がタルク、酸化チタン及びフマル酸ステアリルナトリウムから1つ以上選択される、項目19a~32aのいずれか1項に記載の組成物。
(項目34a)
前記滑沢剤がタルクである、項目19a~33aのいずれか1項に記載の組成物。
(項目35a)
前記目的成分が、医薬、医薬部外品、化粧品、農薬、サプリメント、または食品である、項目19a~34aのいずれか1項に記載の組成物。
(項目36a)
第一の高分子と滑沢剤とでコーティングされた、シェル及び中空部からなる粒子であって、該粒子は第二の高分子を含み、該第一の高分子および/または該第二の高分子の性質が該滑沢剤の非存在下よりも増強されている、粒子。
(項目36a-1)
第一の高分子と滑沢剤とでコーティングされた、シェルおよび中空部からなる粒子であって、該粒子は第二の高分子を含み、該第一の高分子の性質および該第二の高分子の性質の異なる性質を合わせ持つ、粒子。
(項目36a-2)
前記異なる性質が、速放性、徐放性、腸溶性、胃溶性、苦みマスキング性および光安定性から二つ以上選択される、項目36a-1に記載の粒子。
(項目36a-3)
前記性質が、速放性を含む、項目36a-2に記載の粒子。
(項目36a-4)
前記性質が、徐放性を含む、項目36a-2に記載の粒子。
(項目36a-5)
前記性質が、腸溶性を含む、項目36a-2に記載の粒子。
(項目36a-6)
前記性質が、胃溶性を含む、項目36a-2に記載の粒子。
(項目36a-7)
前記性質が、苦味マスキング性を含む、項目36a-2に記載の粒子。
(項目36a-8)
前記性質が、光安定性を含む、項目36a-2に記載の粒子。
(項目37a)
前記第一の高分子は、前記第二の高分子と同じである、項目36a~36a-8のいずれか1項に記載の粒子。
(項目38a)
第一の高分子と滑沢剤の混合物のD90値が100μm以下である、項目36a~37aのいずれか1項に記載の粒子。
(項目39a)
第一の高分子と滑沢剤の混合物の平均粒子径が25μm以下である、項目36a~38aのいずれか1項に記載の粒子。
(項目40a)
第一の高分子と滑沢剤の混合物のD100値が150μm以下である、項目36a~39aのいずれか1項に記載の粒子。
(項目40a-1)
第一の高分子と滑沢剤の混合物のD99値が150μm以下である、項目36a~39aのいずれか1項に記載の粒子。
(項目41a)
第一の高分子と滑沢剤の混合物が100メッシュの篩を全通することが特徴である、項目36a~40aのいずれか1項に記載の粒子。
(項目42a)
第一の高分子が水溶性高分子、水不溶性高分子、腸溶性高分子および胃溶性高分子から1つ以上選択される、項目36a~41aのいずれか1項に記載の粒子。
(項目42a-1)
第一の高分子が水溶性高分子である、項目36a~42aのいずれか1項に記載の粒子。
(項目42a-2)
第一の高分子が水不溶性高分子である、項目36a~42aのいずれか1項に記載の粒子。
(項目42a-3)
第一の高分子が腸溶性高分子である、項目36a~42aのいずれか1項に記載の粒子。
(項目42a-4)
第一の高分子が胃溶性高分子である、項目36a~42aのいずれか1項に記載の粒子。
(項目43a)
前記滑沢剤がケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルク、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、酸化チタン、フマル酸ステアリルナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムから1つ以上選択される、項目36a~42aおよび42a-1~42a-4のいずれか1項に記載の粒子。
(項目44a)
前記滑沢剤がタルク、酸化チタン及びフマル酸ステアリルナトリウムから1つ以上選択される、項目36a~43aのいずれか1項に記載の粒子。
(項目45a)
前記滑沢剤がタルクである、項目36a~44aのいずれか1項に記載の粒子。
【0007】
本開示において、上記1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供されうることが意図される。本開示のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、短時間かつ効率的にコーティングする方法を提供する。コーティング性(コーティング時間及び被覆率)において改善された方法を提供する。さらに、本開示の方法により提供される核粒子に中空粒子を用いた目的成分含有中空粒子を提供する。
【0009】
本開示の目的成分含有中空粒子は、核粒子に含むポリマー放出制御能と別の制御能を持つ高分子をコーティングして、複雑な放出制御を行うことができる。具体的には、核粒子に徐放性機能をもつ粒子に、腸溶性機能を持つ高分子をコーティングすることで、胃では目的成分が放出せず、腸では、徐放性の放出をしめす複雑な放出制御能をもつ粒子が簡便に製造できる。コーティングする高分子、核粒子に含む高分子及び滑沢剤の種類を選択することによって所望の機能性(例えば、速放性、腸溶性、胃溶性、徐放性、苦味マスク、光安定性等)を複数付与することができ、所望の部位で所望の時間により目的成分を吸収させ、所望の薬効を得る製剤が提供可能となる。さらに、核粒子の粒子径、粒度分布を選択することで、目的成分含有中空粒子の粒子径と粒度分布幅を任意にコントロールできるので、目的に応じた粒子を容易に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2A】
図2Aは、実施例1-1のコーティングされた粒子の外観を示す。
【
図2B】
図2Bは、実施例1-1のコーティングされた粒子の外観を示す。
【
図3】
図3は、比較例1、実施例1-1、1-2の日本薬局方の1液の溶出試験結果を示す。
【
図4】
図4は、比較例1、実施例1-2の日本薬局方の2液の溶出試験結果を示す。
【
図5】
図5は、比較例1、実施例2-1、2-2の日本薬局方の1液の溶出試験結果を示す。
【
図6】
図6は、比較例1、実施例2-2の日本薬局方の2液の溶出試験結果を示す。
【
図7】
図7は、比較例1、実施例3-1~3-4の日本薬局方の1液の溶出試験結果を示す。
【
図8】
図8は、比較例1、実施例3-2、3-4の日本薬局方の2液の溶出試験結果を示す。
【
図9】
図9は、比較例1、実施例1-2、4-2、4-4の日本薬局方の1液の溶出試験結果を示す。
【
図10】
図10は、比較例1、実施例1-2、4-2、4-4の日本薬局方の2液の溶出試験結果を示す。
【
図11】
図11は、比較例5、実施例5-1、5-2の日本薬局方の溶出試験第一液の溶出試験結果を示す。
【
図12】
図12は、比較例5、実施例5-1、5-2の日本薬局方の溶出試験第二液の溶出試験結果を示す。
【
図13】
図13は、比較例6、実施例6-1、6-2の日本薬局方の溶出試験第一液の溶出試験結果を示す。
【
図14】
図14は、比較例6、実施例6-1、6-2の日本薬局方の溶出試験第二液の溶出試験結果を示す。
【
図15】
図15は、比較例7、実施例7-1、7-2の日本薬局方の溶出試験第一液の溶出試験結果を示す。
【
図16】
図16は、比較例7、実施例7-1、7-2の日本薬局方の溶出試験第二液の溶出試験結果を示す。
【
図17】
図17は、比較例8、実施例8-1、8-2の日本薬局方の溶出試験第一液の溶出試験結果を示す。
【
図18】
図18は、比較例8、実施例8-1、8-2の日本薬局方の溶出試験第二液の溶出試験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示につき、さらに詳しく説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語及び科学技術用語は、本開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0012】
本明細書において、各定義の好ましい態様は、他の定義の好ましい態様と組み合わせてもよく、上記項1~項45に記載される対応する定義に組み込んでもよい。
【0013】
本開示において『平均粒子径』とは、粉体粒子の体積基準測定における累積50%粒径(D50)を意味する。『D90』、『D99』及び『D100』はそれぞれ、粉体粒子の体積基準測定における累積90%粒径(D90)、累積99%粒径(D99)、累積100%粒径(D100)を意味する。かかる平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、パウレック社製、PARTICLE VIEWER又は島津製作所社製、SALD-3000J又はSYMPATEC社製HELOS&RODOS)で体積基準により測定する。D100は、計算により導き出され得る。
【0014】
本開示において『篩を全通する』とは、実際に篩にかけられる物質の98重量%以上が通過する場合、または各粒子をレーザー回折測定法で測定した場合のD99粒子径が当該篩の目開き径よりも小さく、理論上、篩を通過すると考えられる場合のいずれかに該当する場合を意味する。
【0015】
(I)目的成分
目的成分としては、特に限定されることなく、使用することができる。本開示の方法に用いられる『目的成分』としては、医薬品、医薬部外品、化粧品などで使用される薬物などの有効成分、農薬、サプリメント、または食品などの成分が挙げられる。また、目的成分は一種又は二種以上を混合して用いても良い。食品分野の具体的な実施形態では、本開示の目的成分を含む製品は、機能性製品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、一般食品などにおいて使用され得る。
【0016】
薬物としては、特に限定されることなく、使用することができる。本開示の方法に用いられる『薬物』とは、塩基性、酸性、両性、中性などの性質、溶解度、熱への耐久性を問わず、どのような薬物、化合物でも用いることができる。その中で、安定性や取り扱い易さの観点から、結晶性であることが好ましい。また、薬物は一種又は二種以上を混合して用いても良い。
【0017】
本開示において使用される目的成分は、いかなる目的成分も使用することができる。例えば、滋養強壮保健薬;解熱鎮痛消炎薬;抗精神病薬;催眠鎮静薬;鎮痙薬;中枢神経作用薬;脳代謝改善薬;脳循環改善薬;抗てんかん薬;交感神経興奮剤;健胃消化剤;抗潰瘍剤;消化管運動機能改善剤;制酸剤;鎮咳去痰剤;腸運動抑制薬;鎮吐剤;呼吸促進剤;気管支拡張剤;アレルギー用薬;抗ヒスタミン剤;強心剤;不整脈用剤;利尿剤;ACE阻害剤;Ca拮抗剤;AII拮抗薬;血管収縮剤;冠血管拡張剤;血管拡張薬;末梢血管拡張薬;高脂血症用剤;利胆剤;セフェム系抗生物質;経口抗菌薬;化学治療剤;スルフォニル尿素薬;αグルコシダーゼ阻害薬;インスリン抵抗性改善薬;速効性インスリン分泌促進剤;DPPIV阻害薬;糖尿病合併症治療薬;骨粗しょう症剤;抗リウマチ剤;骨格筋弛緩剤;アルカロイド系麻薬;サルファ剤;痛風治療剤;血液凝固阻止剤;抗悪性腫瘍剤などが挙げられる。
【0018】
具体的には、本開示における目的成分としては、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸、生薬、乳酸菌などの滋養強壮保健薬;アスピリン、アセトアミノフェン、エテンザミド、イブプロフェン、カフェイン、インドメタシンなどの解熱鎮痛消炎薬;ブロナンセリン、ルラシドン塩酸塩、クエン酸タンドスピロン、塩酸ペロスピロン、レセルピン、ジアゼパム、フルジアゼパム、ハロペリドール、アリピプラゾール、塩酸ノルトリプチリンなどの抗精神病薬;ニトラゼパム、ジアゼパム、トリアゾラム、ブロチゾラム、ゾルピデム、ニメタゼパムなどの催眠鎮静薬;臭化水素酸スコポラミンなどの鎮痙薬;ゾニサミド、ドロキシドパ、シチコリン、塩酸ビペリデン、塩酸ドネペジルなどの中枢神経作用薬;塩酸メクロフェニキレートなどの脳代謝改善薬;ビンポセチンなどの脳循環改善薬;ゾニサミド、フェニトイン、クロナゼパム、プリミドン、バルプロ酸ナトリウム、カルバマゼピン、ジアゼパム、エイトトイン、アセチルフェネトライドなどの抗てんかん薬;塩酸イソプロテレノールなどの交感神経興奮剤;ジアスターゼ、ロートエキス、パンクレアチンなどの健胃消化剤;シメチジン、ランソプラゾール、ファモチジン、スルピリド、ゲファルナートなどの抗潰瘍剤;クエン酸モサプリドなどの消化管運動機能改善剤;メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどの制酸剤;塩酸クロペラスチン、塩酸エフェドリン、クエン酸ペントキシベリンなどの鎮咳去痰剤;塩酸ロペラミドなどの腸運動抑制薬;塩酸ジフェニドールなどの鎮吐剤;酒石酸レバロルファンなどの呼吸促進剤;テオフィリンなどの気管支拡張剤;エバスチンなどのアレルギー用薬;塩酸ジフェンヒドラミンなどの抗ヒスタミン剤;カフェイン、ジゴキシンなどの強心剤;塩酸プロカインアミド、塩酸アロチノロールなどの不整脈用剤;イソソルビドなどの利尿剤;塩酸デラプリル、カプトプリル、アラセプリルなどのACE阻害剤;ニフェジピン、塩酸ジルチアゼム、塩酸マニジピン、ベシル酸アムロジピンなどのCa拮抗剤;カンデサルタン、オルメサルタン、バルサルタンなどのAII拮抗薬;塩酸フェニレフリンなどの血管収縮剤;塩酸カルボクロメンなどの冠血管拡張剤;リマプロストアルファデクスなどの血管拡張薬;シンナリジンなどの末梢血管拡張薬;シンバスタチン、プラバスタチンナトリウムなどの高脂血症用剤;デヒドロコール酸などの利胆剤;セフェレキシン、セファクロルなどのセフェム系抗生物質;ガチフロキサシン、スパルフロキサシンなどの経口抗菌薬;スルファメチゾール、ピペミド酸三水和物などの化学治療剤;グリクラジド、グリベンクラミド、グリメピリドなどのスルフォニル尿素薬;アカルボース、ボグリボース、ミグリトールなどのαグルコシダーゼ阻害薬;塩酸ピオグリタゾン、ロシグリタゾンなどのインスリン抵抗性改善薬;メトホルミン、ブホルミン、フェンホルミンなどのビグアナイド薬;ナテグリニド、ミチグリニドカルシウム水和物などの速効性インスリン分泌促進剤;シタグリプチンなどのDPPIV阻害薬;ラニレスタット、エパレルスタットなどの糖尿病合併症治療薬;エチドロン酸二ナトリウムなどの骨粗しょう症剤;メトトレキセートなどの抗リウマチ剤;メトカルバモールなどの骨格筋弛緩剤;塩酸メクリジンなどの鎮うん剤(鎮暈剤);塩酸モルヒネ、アヘンなどのアルカロイド系麻薬;スルフィソミジンなどのサルファ剤;アロプリノールなどの痛風治療剤;ジクマロールなどの血液凝固阻止剤;5-フルオロウラシル、マイトマイシンなどの抗悪性腫瘍剤などが挙げられる。
【0019】
本開示における目的成分として、インドメタシン、ブロナンセリン、ルラシドン塩酸塩、クエン酸タンドスピロン、塩酸ペロスピロン、フルジアゼパム、ハロペリドール、塩酸ノルトリプチリン、ニメタゼパム、ゾニサミド、ドロキシドパ、塩酸ビペリデン、フェニトイン、クロナゼパム、プリミドン、バルプロ酸ナトリウム、エイトトイン、アセチルフェネトライド、パンクレアチン、シメチジン、スルピリド、ゲファルナート、クエン酸モサプリド、塩酸エフェドリン、クエン酸ペントキシベリン、塩酸アロチノロール、アラセプリル、ベシル酸アムロジピン、ガチフロキサシン、スパルフロキサシン、ピペミド酸三水和物、グリクラジド、ミグリトール、ラニレスタット、エチドロン酸二ナトリウム、アロプリノールなどから選んでもよい。
【0020】
以上に挙げた目的成分は、本開示が医薬として使用される場合、薬学上許容される限り、上記に記載した以外の塩又はフリー体の形であってもよい。また、アルコール和物などの溶媒和物、又は水和物などの形であってもよい。本明細書における目的成分の配合割合には、上記目的成分に含まれる塩、溶媒和物の溶媒、及び/又は水和物の水分も含まれるものとする。さらに、以上に挙げた目的成分は、単独で用いても、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、目的成分の苦味などの不快な味をマスキング処理したものを用いてもよい。マスキングの例としては、薬効成分の被覆が挙げられる。
【0021】
目的成分の平均粒子径は、特に限定されることはなく、目的成分含有中空粒子の製造過程等で変化してもよい。
【0022】
目的成分を、低含有率で含む目的成分含有中空粒子のみならず、高含有率(例えば目的成分含有中空粒子100重量%あたり50~96重量%、55~70重量%、70~96重量%、90~96重量%)で含む目的成分含有中空粒子を製造することも可能である。
【0023】
目的成分は目的成分含有中空粒子中のいずれの箇所にも存在してもよい。つまり、核粒子中、コーティング層中、コーティング層間、最外層のいずれに存在してもよい。
【0024】
(II)核粒子に含まれる高分子(第二の高分子)
本明細書において、(II)核粒子に含まれる高分子(第二の高分子)において、第二の高分子を規定し、後述の(VI)コーティング可能な微粒子である高分子(第一の高分子)において、第一の高分子を規定しているが、これらの高分子は同じ高分子であってもよく、異なる高分子であってもよい。本明細書中において、単に「高分子」と記載されている場合、矛盾しない限り、第一の高分子および第二の高分子の両方に当てはまり得る。
【0025】
核粒子に含まれる『高分子』(第二の高分子)とは、相対分子質量の大きい分子で、相対分子質量の小さい分子の多数回の繰り返しで構成された構造を有するものをいい、特に機能性高分子を指す。前記「相対分子質量の大きい分子」とは、平均分子量(重量平均分子量:光散乱法で測定する)が通常1000以上のものを指し、好ましくは5000以上のものを指し、さらに好ましくは10000以上のものを指す。また、分子量の上限は特に規定はないが、好ましくは10000000以下、より好ましくは5000000以下、さらに好ましくは2000000以下、特に好ましくは1000000以下のものを指す。機能性高分子の例としては、水溶性高分子、水不溶性高分子、腸溶性高分子、胃溶性高分子が挙げられ、好ましくは水溶性高分子、水不溶性高分子、腸溶性高分子、胃溶性高分子が挙げられる。第二の高分子は、一種又は二種以上を混合して用いても良い。
【0026】
水不溶性高分子としては、例えば、エチルセルロース(例、商品名:エトセル(エトセル10FP))、酢酸セルロースなどの水不溶性セルロースエーテル、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS(例、商品名:オイドラギットRL100、オイドラギットRLPO、オイドラギットRL30D、オイドラギットRS100、オイドラギットRSPO、オイドラギットRS30D)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(例、商品名:オイドラギットNE30D)などの水不溶性アクリル酸系コポリマー、酢酸ビニル樹脂等が挙げられ、一種又は二種以上を混合して用いても良い。好ましくはエチルセルロース、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRSが挙げられる。本開示において、第二の高分子として水不溶性高分子を用いることで、徐放性や苦味を有する目的成分の苦味マスクの機能を付与することが可能である。
【0027】
水溶性高分子としては、例えば、メチルセルロース(例、商品名:SM-4、SM-15、SM-25、SM-100、SM-400、SM-1500、SM-4000、60SH-50、60SH-4000、60SH-10000、65SH-50、65SH-400、65SH-4000、90SH-100SR、90SH-4000SR、90SH-15000SR、90SH-100000SR)、ヒドロキシプロピルセルロース(例、商品名:HPC-SSL、HPC-SL、HPC-L、HPC-M、HPC-H)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例、商品名:TC5-E、TC5-M、TC5-R、TC5-S、SB-4)、ヒドロキシエチルセルロース(例、商品名:SP200,SP400,SP500,SP600,SP850、SP900、EP850、SE400,SE500,SE600,SE850、SE900、EE820)、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体およびその塩、ポリビニルピロリドン(例、商品名:プラスドンK12、プラスドンK17、プラスドンK25、プラスドンK29-32、プラスドンK90、プラスドンK90D)、ポリビニルアルコール(例、商品名:ゴーセノールEG-05、ゴーセノールEG-40、ゴーセノールEG-05P、ゴーセノールEG-05PW、ゴーセノールEG-30P、ゴーセノールEG-30PW、ゴーセノールEG-40P、ゴーセノールEG-40PW)、コポリビドン(例、商品名:コリドンVA64、プラスドンS-630)、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(例、商品名:POVACOAT)、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体(例、商品名:コリドンVA64)、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー(例、商品名:コリコートIR)などの水溶性ビニル誘導体、α化デンプン(例、商品名:アミコールC)、デキストリン、デキストラン、プルラン、アルギン酸、ゼラチン、ペクチン等が挙げられ、一種又は二種以上を混合して用いても良い。好ましくはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、α化デンプンが挙げられ、さらに好ましくはヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。本開示において、第二の高分子として水溶性高分子を用いると、核粒子に第一の高分子に水不溶性高分子を用いて徐放性コーティングした際に、薬物溶出率が100%となる、完全薬物溶出が達成されやすくなる。
【0028】
腸溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(例、商品名:AQOAT LF、AQOAT MF、AQOAT HF、AQOAT LG、AQOAT MG、AQOAT HG)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(例、商品名:HPMCP50、HPMCP55、HPMCP55S)、メタクリル酸コポリマーL(例、商品名:オイドラギットL100)、メタクリル酸コポリマーLD(例、商品名:オイドラギットL30D-55)、乾燥メタクリル酸コポリマーLD(例、商品名:オイドラギットL100-55)、メタクリル酸コポリマーS(例、商品名:オイドラギットS100)、メタクリル酸-アクリル酸N-ブチルコポリマーなどのメタクリル酸コポリマー等が挙げられ、一種又は二種以上を混合して用いても良い。好ましくはメタクリル酸コポリマーL、乾燥メタクリル酸コポリマーLDが挙げられる。本開示において、第二の高分子として腸溶性高分子を用いると、胃内での目的成分溶出を遅延させることが可能である。
【0029】
胃溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートなどの胃溶性ポリビニル誘導体、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(例、商品名:オイドラギットE100、オイドラギットEPO)などの胃溶性アクリル酸系コポリマー等が挙げられ、一種又は二種以上を混合して用いても良い。好ましくはアミノアルキルメタクリレートコポリマーEが挙げられる。本開示において、第二の高分子として胃溶性高分子を用いると、口腔内崩壊錠設計時の、口腔内での目的成分溶出による苦みを抑制することが可能である。
【0030】
核粒子の原料として用いる第二の高分子は目的に応じて選択することができる。目的成分の徐放性を達成するためには、第二の高分子として水不溶性高分子を用いることが好ましく、苦味マスクを達成するためには、水不溶性高分子、腸溶性高分子、胃溶性高分子等を用いることが好ましく、胃での目的成分の溶出を抑制し、小腸での溶出を速やかにするには、腸溶性高分子を用いることが好ましい。また、目的に応じて、上記以外の第二の高分子を追加で複合させて用いても良い、例えば、水溶性高分子、水不溶性高分子等のように、異なる機能を有する第二の高分子を二種以上混合して用いてもよい。
【0031】
核粒子に用いる第二の高分子は、粒子状態のものを使用することが好ましく、目的とする目的成分含有粒子の平均粒子径や粒度分布に応じて、適当な平均粒子径や粒度分布のものを選択することができる。また、上記に例示したものの中には、分散液の状態のものも含まれるが、例えば噴霧乾燥等により粒子にした後、粒子として用いることで、核粒子の製造に使用可能である。例えば、粒度分布の狭い目的成分含有粒子を得るには、粒度分布の狭い第二の高分子を使用することが好ましい。さらに、平均粒子径の大きい目的成分含有粒子を得るには、平均粒子径の大きい第二の高分子を使用することが好ましく、平均粒子径の小さい目的成分含有粒子を得るには、平均粒子径の小さい第二の高分子を使用することが好ましい。これはとりもなおさず、第二の高分子粉末の大きさ及び粒度分布を調整することで、目的に応じた粒度分布を有する目的成分含有粒子が作製できることを意味する。
【0032】
核粒子の原料として用いる第二の高分子の使用量は、目的成分、他の添加剤の量、粒子径、第二の高分子の結合力の強さなどにより異なるが、通常、製造される目的成分含有中空粒子100重量%あたり4~50重量%、好ましくは4~40重量%、より好ましくは6~40重量%や8~40重量%、さらに好ましくは10~40重量%、さらにより好ましくは10~30重量%、特に好ましくは10~20重量%の範囲で用いられる。
【0033】
(III)添加剤
核粒子に含まれる添加剤としては、一般的に用いられる添加剤であれば特に限定されることなく、例えば、賦形剤(例、コメデンプン等のデンプン、D-マンニトール、炭酸マグネシウム)、結合剤、甘味剤、矯味剤、矯臭剤、香料、流動化剤(例、アエロジル)、帯電防止剤、着色剤、崩壊剤、滑沢剤、可塑剤、凝集防止剤、コーティング剤等が挙げられる。該添加剤は、特に限定されないが、上記第二の高分子の該当する場合であっても、用いられる溶媒に溶解しない場合には、本開示の第二の高分子の機能を発揮することなく、添加剤として配合される。
(IV)目的成分含有中空粒子
目的成分含有中空粒子(代表的な例としては、WO2014/030656に記載の「薬物含有中空粒子」を参照のこと)とは、「シェル(又は壁)及び中空部からなる粒子であって、シェルに目的成分と高分子を含んでいる粒子」又は「目的成分と高分子を含む組成物からなる壁で中空部が包囲された構造を有する粒子」を意味する。目的成分が薬物である場合、薬物含有中空粒子といい、食品の成分、他の成分の場合も同様に言い換えてもよい。
【0034】
核粒子として用いる目的成分含有中空粒子は、目的成分と高分子を必須の構成要素とする。また、該粒子は粒子1個及び複数の粒子の集合物の両方を意味する。
【0035】
目的成分含有中空粒子の特徴として、粒子内部が中空構造を有している点である。この『中空』とは、通常の錠剤において存在するような存在位置が定まっていない多数の空隙が存在する状態とは異なり、目的成分含有組成物の壁(シェル(shell))で包囲され完全に独立した単一で、粒子中心に存在する空孔を指し、例えば、電子顕微鏡や光学顕微鏡でその存在を確認できる。
【0036】
目的成分含有中空粒子の粒子全体の体積に対する中空の体積比率は、好ましくは1%~50%、より好ましくは1%~30%、さらに好ましくは1.5%~30%、最も好ましくは2%~30%程度が挙げられる。中空の体積比率は中空の体積を粒子の体積で除して求める。本開示の粒子は一般に球形度が高いので、中空、粒子とも球体と仮定して体積を求める。中空及び粒子の体積は、X線CT(コンピュータ断層撮影装置)により粒子中心部分での中空及び粒子の長径と短径を求め、各々その平均を中空直径、粒子直径と仮定して、球体の体積を求めることで算出する。
【0037】
詳細には、『中空の体積比率』とは、以下の式により計算にて求められる。
【0038】
中空の体積比率[%]=(4/3×π×(中空部の直径/2)3)/(4/3×π×(目的成分含有中空粒子の粒子径/2)3)×100
かかる目的成分含有中空粒子の粒子径、中空部の直径は卓上型マイクロCTスキャナ(SKYSCAN社製、SKYSCAN1172)にて非破壊的に測定し、10回測定した平均値を用いる。
【0039】
目的成分含有中空粒子は、中空の外側に壁(シェル)が存在する。シェル厚みは任意に設定することは可能であるが、シェル厚みが小さいと該粒子の強度が弱くなる。本開示のシェル厚みは好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上、最も好ましくは30μm以上である。シェル厚みは例えばX線CT(コンピュータ断層撮影装置)により測定することができる。
【0040】
また、シェル厚み率は任意であり、以下の式により求められる。シェル厚み率として好ましくは20~80%が挙げられ、より好ましくは30~70%が挙げられる。
【0041】
シェル厚み率[%]=(シェル厚み/(目的成分含有中空粒子の粒子径/2))×100
目的成分含有中空粒子の特徴としては、粒子の大きさを自在に調整できる点にある。したがって、平均粒子径が1~7000μm程度、好ましくは5~1000μm程度、より好ましくは10~500μm程度、さらに好ましくは10~400μm程度、さらにより好ましくは20~300μm程度、最も好ましくは50~300μm程度の粒子を調整することができる。
【0042】
粒子の強度の観点から、粒子の大きさとして好ましくは、50~7000μm程度、より好ましくは50~1000μm程度、さらに好ましくは50~500μm程度が挙げられる。別の観点から、粒子の大きさとして好ましくは70~7000μm程度、より好ましくは70~1000μm程度、さらに好ましくは70~500μm程度、特に好ましくは70~300μm程度、最も好ましくは100~300μm程度の粒子を調整することができる。
【0043】
目的成分含有中空粒子の大きさは、第二の高分子の平均粒子径を調整することにより、調整することができる。
【0044】
目的成分含有中空粒子において、通常、中空部の直径は10μm以上である。また、中空部の直径は自在に調節することが可能であり、通常10~5000μm程度、好ましくは20~700μm程度、より好ましくは30~300μm程度、さらに好ましくは50~200μm程度に調整することができる。上記、粒子の大きさと合わせて、中空の割合を自在に変化させることが可能である。
【0045】
目的成分含有中空粒子は、『表面が滑らか』な形状を有することも一態様としてある。ここにおいて、表面が滑らかとは、角がなく、表面が凸凹していないことを意味する。打錠時、カプセル剤製造時等の目的成分含有中空粒子充填時には、充填する粒子の流動性が求められるため、目的成分含有中空粒子は表面が滑らかであることが好ましい。目的成分含有中空粒子にさらに機能性を付与するためにコーティングする際にも、効率が向上するため、目的成分含有中空粒子は表面が滑らかであることが好ましい。かかる表面の滑らかさは、例えば、目視で観察することができる。目視で観察する際、顕微鏡等で拡大して観察してもよい。その評価としては「非常に滑らか」(+++)、「滑らか」(++)、「やや滑らか」(+)、「滑らかでない」(-)で表す。「非常に滑らか」とは、粒子表面に明らかな角が認められなく、表面が凸凹していないことを表す。「滑らか」とは、粒子表面に明らかな角は認められないが、表面に緩やかな凹凸が認められることを表す。「やや滑らか」は、粒子表面に明らかな角が認められるか、明らかな凸凹が認められることを表す。「滑らかでない」は、粒子表面に明らかな角が認められ、明らかな凸凹が認められることを表す。本開示の目的成分含有中空粒子は、「滑らかでない」であってもよいが、「非常に滑らか」、「滑らか」又は「やや滑らか」が好ましく、「非常に滑らか」又は「滑らか」がより好ましく、「非常に滑らか」がさらに好ましい。また、形状測定レーザマイクロスコープVK-X200(KEYENCE)を用いて測定することができる。『表面が滑らか』とは、具体的には、上記機器により測定した表面粗さ(Raの値)が3.5以下、好ましくは2.5以下、より好ましくは1.5以下であることを意味する。
【0046】
表面の滑らかさは、第二の高分子と目的成分及び/又は他の添加剤の平均粒子径の比に影響される。
【0047】
また、目的成分含有中空粒子は、球形を有することを一態様とするものである。ここにおいて『球形』とは、アスペクト比が1.0~1.5であることを意味する。好ましくは1.0~1.4、より好ましくは1.0~1.3である。この形状を有することにより、打錠時、カプセル剤製造時等の目的成分含有中空粒子充填時の流動性がよく、さらにコーティング等の加工をする際にも、効率が向上する。
【0048】
目的成分含有中空粒子として好ましくは、目的成分含有中空粒子100重量%あたり、目的成分が1~70重量%、第一の高分子および第二の高分子が1~30重量%、添加剤(滑沢剤を含む)が1~90重量%で含有するものが挙げられる。
【0049】
本開示の目的成分含有中空粒子としてより好ましくは、目的成分含有中空粒子100重量%あたり、目的成分が5~50重量%、第一の高分子および第二の高分子が1~40重量%、添加剤(滑沢剤を含む)が5~80重量%で含有するものが挙げられる。
【0050】
本開示の目的成分含有中空粒子としてさらに好ましくは、目的成分含中空有粒子100重量%あたり、目的成分が10~40重量%、第一の高分子および第二の高分子が10~40重量%、添加剤(滑沢剤を含む)が10~70重量%で含有するものが挙げられる。
【0051】
本開示の目的成分含有中空粒子として最も好ましくは、目的成分含有中空粒子100重量%あたり、目的成分が15~30重量%、第一の高分子および第二の高分子が10~30重量%、添加剤(滑沢剤を含む)が20~60重量%で含有するものが挙げられる。
【0052】
原料として用いる第二の高分子の平均粒子径は、原料として用いる目的成分及び/又は添加剤(滑沢剤を含む)の平均粒子径に対して、通常5倍以上であり、好ましくは10倍以上、より好ましくは15倍以上、さらに好ましくは20倍以上、最も好ましくは25倍以上が挙げられる。また、通常1000倍以下であり、好ましくは500倍以下、より好ましくは100倍以下のものが挙げられる。目的成分含有中空粒子は、WO2014/030656「薬物含
有中空粒子」に記載の方法に従って製造され得、所定の粒子径にすることができる。
【0053】
さらには、原料として用いる第二の高分子の粒度分布と、原料として用いる目的成分及び/又は添加剤(滑沢剤を含む)の粒度分布が重ならない方が好ましい。具体的には、例えば第二の高分子の体積基準測定における累積10%粒子径D10が、目的成分及び/又は添加剤の累積90%粒子径D90よりも大きい方が好ましい。言い換えると、第二の高分子の累積10%粒子径D10が、目的成分及び/又は添加剤(滑沢剤を含む)の累積90%粒子径D90よりも1倍以上であることが好ましく、2倍以上であることがより好ましく、4倍以上であることがさらに好ましい。また、通常5000000倍以下である。
【0054】
目的成分含有中空粒子として好ましくは、目的成分含有中空粒子100重量%あたり、目的成分が1~70重量%、高分子が1~30重量%で含有するもの(より好ましくは、目的成分が5~50重量%、高分子が1~40重量%で含有するもの;さらに好ましくは、目的成分が10~40重量%、高分子が10~40重量%で含有するもの:最も好ましくは、目的成分が15~30重量%、高分子が10~30重量%で含有するもの)であって、「原料として用いる第二の高分子の好ましい平均粒子径」は、原料として用いる目的成分の平均粒子径に対して通常10倍以上(好ましくは15倍以上、より好ましくは25倍以上)であるものが挙げられる。
【0055】
目的成分含有中空粒子としては、目的成分含有中空粒子100重量%あたり、目的成分が1~70重量%、高分子が1~30重量%、目的成分含有中空粒子用添加剤が1~90重量%で含有するもの(より好ましくは、目的成分が5~50重量%、高分子が1~40重量%、添加剤(滑沢剤を含む)が5~80重量%で含有するもの;さらに好ましくは、目的成分が10~40重量%、高分子が10~40重量%、添加剤(滑沢剤を含む)が10~70重量%で含有するもの;最も好ましくは、目的成分が15~30重量%、高分子が10~30重量%、添加剤(滑沢剤を含む)が20~60重量%で含有するもの)であって、原料として用いる高分子の好ましい平均粒子径が原料として用いる目的成分と他の添加剤の混合末の平均粒子径に対して10倍以上(好ましくは15倍以上、より好ましくは25倍以上)であるものが挙げられる。
【0056】
(V)核粒子
本開示における核粒子は本技術のコーティング工程において高分子粉末がコーティングされる粒子全てを指す。例えば、本開示のコーティング工程で得られた目的成分含有中空粒子を、再度、本開示のコーティング工程で使用する際には、その目的成分含有中空粒子も新工程における核粒子として扱う。
【0057】
核粒子には目的成分を含んでもよいし、含まなくてもよい。目的成分としては、特に限定されないが、薬物、医薬、医薬部外品、化粧品、農薬、サプリメント、または食品が挙げられる。
【0058】
(VI)コーティング可能な微粒子である高分子(第一の高分子)
本明細書において、「微粒子」は、「粒子」以下のサイズを有する。「粒子」及び「微粒子」は、当該分野において通常の意味で用いられる。本開示の関係においては、特に、「粒子」は、目的成分を含有するものを示し、「微粒子」は、コーティングするためのものを示す。それゆえ、本明細書においては、「コーティング可能な微粒子でコーティングされた粒子」のように使用され、この場合、「粒子」は、「コーティング可能な微粒子」の他に、目的成分、高分子などを含んでいる。
【0059】
本開示における第一の高分子は、固体を使用することが好ましく、粒子径が大きい場合、粉砕して使用する。粉砕は高分子単独でも良く、少量の分散剤を用いて、共粉砕しても良い。分散剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、結晶セルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン/ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン/ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール/PEG、ポリビニルカプロラクタム/ポリビニルアセテート/ポリエチレングリコールなどのコポリマー、コロイド状二酸化ケイ素、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、微孔シリカゲル、ポリオルガノシロキサン、医薬クレイ、硫酸バリウム、タルクなど無機材料、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、β-シクロデキストリン、α-シクロデキストリンおよびヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどの複合化剤、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸、キトサン、キサンタン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアセテート、デンプングリコール酸ナトリウム、乳糖、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。また、後述の滑沢剤と共粉砕しても良い。また、後述に例示したものの中には、分散液の状態のものも含まれるが、例えば噴霧乾燥等により粉末にした後、粉末として用いることで、本開示に使用可能である。
【0060】
本開示における『第一の高分子』は、核粒子の外郭に付着し、滑沢剤と共に積層することができる高分子であればよい。
【0061】
第一の高分子の平均分子量(重量平均分子量:光散乱法で測定する)は、通常1000以上であり、好ましくは5000以上であり、さらに好ましくは10000以上である。また、分子量の上限は特に規定はないが、好ましくは10000000以下、より好ましくは5000000以下、さらに好ましくは2000000以下、特に好ましくは1000000以下のものを指す。
【0062】
目的成分含有中空粒子のコーティング工程においては、核粒子の平均粒子径は、粉末状の第一の高分子の平均粒子径に対して5倍以上、好ましくは10倍以上、より好ましくは15倍以上、さらに好ましくは20倍以上、特に好ましくは25倍以上のものが好ましい。また、通常10000000倍以下である。なお、高分子の粒子径に関し、高分子のみでは粉砕することができないため、高分子は分散剤を含んでいるが、分散剤の分量は、高分子の粒径に対して実質的に無視し得る量であるため、分散剤込みの高分子の粒子径をその高分子の粒子径としてもよい。
【0063】
本開示の粉末状の第一の高分子のD50値は、好ましくは、100μm未満、90μm未満、80μm未満、70μm未満、60μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、20μm未満、10μm未満である。本開示の粉末状の第一の高分子のD50値は、好ましくは、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下である。本開示の粉末状の第一の高分子のD50値は、好ましくは、0.5μm以上、0.8μm以上、1μm以上、1.5μm以上である。本開示の粉末状の第一の高分子のD50値は、好ましくは、0.5μm超過、0.8μm超過、1μm超過、1.5μm超過である。
【0064】
本開示の粉末状の第一の高分子のD90値は、好ましくは、200μm未満、190μm未満、180μm未満、170μm未満、160μm未満、150μm未満、140μm未満、130μm未満、120μm未満、110μm未満、100μm未満、90μm未満、80μm未満、70μm未満、60μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、20μm未満、10μm未満である。本開示の粉末状の第一の高分子のD90値は、好ましくは、200μm以下、190μm以下、180μm以下、170μm以下、160μm以下、150μm以下、140μm以下、130μm以下、120μm以下、110μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下である。本開示の粉末状の第一の高分子のD90値は、好ましくは、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上である。本開示の粉末状の第一の高分子のD90値は、好ましくは、1μm超過、2μm超過、3μm超過、4μm超過である。
【0065】
本開示の粉末状の第一の高分子のD99値は、好ましくは、200μm未満、190μm未満、180μm未満、170μm未満、160μm未満、150μm未満、140μm未満、130μm未満、120μm未満、110μm未満、100μm未満、90μm未満、80μm未満、70μm未満、60μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、20μm未満、10μm未満である。本開示の粉末状の第一の高分子のD99値は、好ましくは、200μm以下、190μm以下、180μm以下、170μm以下、160μm以下、150μm以下、140μm以下、130μm以下、120μm以下、110μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下である。本開示の粉末状の第一の高分子のD99値は、好ましくは、1μm以上、3μm以上、5μm以上、7μm以上である。本開示の粉末状の第一の高分子のD99値は、好ましくは、1μm超過、3μm超過、5μm超過、7μm超過である。
【0066】
本開示の粉末状の第一の高分子のD100値は、好ましくは、200μm未満、190μm未満、180μm未満、170μm未満、160μm未満、150μm未満、140μm未満、130μm未満、120μm未満、110μm未満、100μm未満、90μm未満、80μm未満、70μm未満、60μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、20μm未満、10μm未満である。本開示の粉末状の第一の高分子のD100値は、好ましくは、200μm以下、190μm以下、180μm以下、170μm以下、160μm以下、150μm以下、140μm以下、130μm以下、120μm以下、110μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下である。本開示の粉末状の第一の高分子のD100値は、好ましくは、2μm以上、5μm以上、7μm以上、10μm以上である。本開示の粉末状の第一の高分子のD100値は、好ましくは、2μm超過、5μm超過、7μm超過、10μm超過である。
【0067】
本開示の粉末状の第一の高分子の平均粒子径は、50μm未満、45μm未満、40μm未満、35μm未満、30μm未満、25μm未満、20μm未満、15μm未満、10μm未満である。本開示の粉末状の第一の高分子の平均粒子径は、50μm以下、45μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、15μm以下、10μm以下である。
【0068】
本開示の粉末状の第一の高分子は、100メッシュ、170メッシュ、200メッシュ、500メッシュ又は635メッシュの篩を全通することができる。
【0069】
粉末状の第一の高分子としては、機能性高分子が挙げられる。機能性高分子の例としては、水溶性高分子、水不溶性高分子、腸溶性高分子、胃溶性高分子が挙げられ、好ましくは水溶性高分子、水不溶性高分子、腸溶性高分子、胃溶性高分子が挙げられる。第一の高分子は、一種又は二種以上を混合して用いても良い。
【0070】
水溶性高分子としては、例えば、メチルセルロース(例、商品名:SM-4、SM-15、SM-25、SM-100、SM-400、SM-1500、SM-4000、60SH-50、60SH-4000、60SH-10000、65SH-50、65SH-400、65SH-4000、90SH-100SR、90SH-4000SR、90SH-15000SR、90SH-100000SR)、ヒドロキシプロピルセルロース(例、商品名:HPC-SSL、HPC-SL、HPC-L、HPC-M、HPC-H)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例、商品名:TC5-E、TC5-M、TC5-R、TC5-S、SB-4)、ヒドロキシエチルセルロース(例、商品名:SP200,SP400,SP500,SP600,SP850、SP900、EP850、SE400,SE500,SE600,SE850、SE900、EE820)、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体およびその塩、ポリビニルピロリドン(例、商品名:プラスドンK12、プラスドンK17、プラスドンK25、プラスドンK29-32、プラスドンK90、プラスドンK90D)、ポリビニルアルコール(例、商品名:ゴーセノールEG-05、ゴーセノールEG-40、ゴーセノールEG-05P、ゴーセノールEG-05PW、ゴーセノールEG-30P、ゴーセノールEG-30PW、ゴーセノールEG-40P、ゴーセノールEG-40PW)、コポリビドン(例、商品名:コリドンVA64、プラスドンS-630)、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(例、商品名:POVACOAT)、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体(例、商品名:コリドンVA64)、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー(例、商品名:コリコートIR)などの水溶性ビニル誘導体、α化デンプン(例、商品名:アミコールC)、デキストリン、デキストラン、プルラン、アルギン酸、ゼラチン、ペクチン等が挙げられ、一種又は二種以上を混合して用いても良い。好ましくはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、α化デンプンが挙げられ、さらに好ましくはヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。本開示において、第一の高分子として水溶性高分子を用いることで、本開示粒子を含有する錠剤を製造する際の打錠圧力による粒子破壊を防止する機能、錠剤硬度の上昇機能、口腔内崩壊錠の口当たりの改善機能または速放性の機能を付与することが可能である。
【0071】
水不溶性の第一の高分子としては、例えば、エチルセルロース(例、商品名:エトセル(エトセル10P))、酢酸セルロースなどの水不溶性セルロースエーテル、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS(例、商品名:オイドラギットRL100、オイドラギットRLPO、オイドラギットRL30D、オイドラギットRS100、オイドラギットRSPO、オイドラギットRS30D)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(例、商品名:オイドラギットNE30D)などの水不溶性アクリル酸系コポリマー、酢酸ビニル樹脂等が挙げられ、一種又は二種以上を混合して用いても良い。好ましくはエチルセルロース、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRSが挙げられる。本開示において、第一の高分子として水不溶性高分子を用いることで、徐放性や苦味を有する目的成分の苦味マスクの機能を付与することが可能である。
【0072】
腸溶性の第一の高分子としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(例、商品名:AQOAT LF、AQOAT MF、AQOAT HF、AQOAT LG、AQOAT MG、AQOAT HG)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(例、商品名:HPMCP50、HPMCP55、HPMCP55S)、メタクリル酸コポリマーL(例、商品名:オイドラギットL100)、メタクリル酸コポリマーLD(例、商品名:オイドラギットL30D-55)、乾燥メタクリル酸コポリマーLD(例、商品名:オイドラギットL100-55)、メタクリル酸コポリマーS(例、商品名:オイドラギットS100)、メタクリル酸-アクリル酸N-ブチルコポリマーなどのメタクリル酸コポリマー等が挙げられ、一種又は二種以上を混合して用いても良い。好ましくはメタクリル酸コポリマーL、乾燥メタクリル酸コポリマーLDが挙げられる。本開示において、第一の高分子として腸溶性高分子を用いると、胃内での目的成分溶出を遅延させることが可能である。
【0073】
胃溶性の第一の高分子としては、例えば、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートなどの胃溶性ポリビニル誘導体、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(例、商品名:オイドラギットE100、オイドラギットEPO)などの胃溶性アクリル酸系コポリマー等が挙げられ、一種又は二種以上を混合して用いても良い。好ましくはアミノアルキルメタクリレートコポリマーEが挙げられる。本開示において、第一の高分子として胃溶性高分子を用いると、口腔内崩壊錠設計時の、口腔内での目的成分溶出による苦みを抑制することが可能である。
【0074】
(VII)コーティング可能な滑沢剤
本開示においてコーティングに使用されるコーティング可能な滑沢剤は第一の高分子と共に核粒子の外郭に積層することができる粒子であればよい。より好ましい滑沢剤としては、かさ密度が高いことが挙げられる。具体的には0.1g/mL以上あることが好ましい。滑沢剤のかさ密度としては、0.2g/mL以上、0.3g/mL以上、0.4g/mL以上または0.5g/mL以上であり得る。コーティングの際に第一の高分子の粒子との混合均一性を保持する物性(粒子径が粗大でないこと)が好ましい。かさ密度は日本薬局方16局に記載のかさ密度及びタップ密度試験法に従って、メスシリンダーを用いて行う。
【0075】
目的成分含有中空粒子のコーティング工程においては、核粒子の平均粒子径は、滑沢剤の平均粒子径に対して5倍以上、好ましくは10倍以上、より好ましくは15倍以上、さらに好ましくは20倍以上、特に好ましくは25倍以上のものが好ましい。また、通常10000000倍以下である。
【0076】
本開示の滑沢剤のD50値は、好ましくは、100μm未満、90μm未満、80μm未満、70μm未満、60μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、20μm未満、10μm未満である。本開示の滑沢剤のD50値は、好ましくは、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下である。本開示のコーティング可能な微粒子のD50値は、好ましくは、0.5μm以上、0.8μm以上、1μm以上、1.5μm以上である。本開示のコーティング可能な微粒子のD50値は、好ましくは、0.5μm超過、0.8μm超過、1μm超過、1.5μm超過である。
【0077】
本開示の滑沢剤のD90値は、好ましくは、200μm未満、190μm未満、180μm未満、170μm未満、160μm未満、150μm未満、140μm未満、130μm未満、120μm未満、110μm未満、100μm未満、90μm未満、80μm未満、70μm未満、60μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、20μm未満、10μm未満である。本開示の滑沢剤のD90値は、好ましくは、200μm以下、190μm以下、180μm以下、170μm以下、160μm以下、150μm以下、140μm以下、130μm以下、120μm以下、110μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下である。本開示のコーティング可能な微粒子のD90値は、好ましくは、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上である。本開示のコーティング可能な微粒子のD90値は、好ましくは、1μm超過、2μm超過、3μm超過、4μm超過である。
【0078】
本開示の滑沢剤のD99値は、好ましくは、200μm未満、190μm未満、180μm未満、170μm未満、160μm未満、150μm未満、140μm未満、130μm未満、120μm未満、110μm未満、100μm未満、90μm未満、80μm未満、70μm未満、60μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、20μm未満、10μm未満である。本開示の滑沢剤のD99値は、好ましくは、200μm以下、190μm以下、180μm以下、170μm以下、160μm以下、150μm以下、140μm以下、130μm以下、120μm以下、110μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下である。本開示のコーティング可能な微粒子のD99値は、好ましくは、1μm以上、3μm以上、5μm以上、7μm以上である。本開示のコーティング可能な微粒子のD99値は、好ましくは、1μm超過、3μm超過、5μm超過、7μm超過である。
【0079】
本開示の滑沢剤のD100値は、好ましくは、200μm未満、190μm未満、180μm未満、170μm未満、160μm未満、150μm未満、140μm未満、130μm未満、120μm未満、110μm未満、100μm未満、90μm未満、80μm未満、70μm未満、60μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、20μm未満、10μm未満である。本開示の滑沢剤のD100値は、好ましくは、200μm以下、190μm以下、180μm以下、170μm以下、160μm以下、150μm以下、140μm以下、130μm以下、120μm以下、110μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下である。本開示のコーティング可能な微粒子のD100値は、好ましくは、2μm以上、5μm以上、7μm以上、10μm以上である。本開示のコーティング可能な微粒子のD100値は、好ましくは、2μm超過、5μm超過、7μm超過、10μm超過である。
【0080】
本開示の滑沢剤の平均粒子径は、50μm未満、45μm未満、40μm未満、35μm未満、30μm未満、25μm未満、20μm未満、15μm未満、10μm未満である。本開示の滑沢剤の平均粒子径は、50μm以下、45μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、15μm以下、10μm以下である。
【0081】
本開示の滑沢剤は、100メッシュ、170メッシュ、200メッシュ、500メッシュ又は635メッシュの篩を全通することができる。
【0082】
滑沢剤としては、セルロース類、乳頭、乳糖水和物、白糖、精製白糖、精製カンゾウエキス末、ブドウ糖、D-マンニトール、米デンプン、トウモロコシデンプン、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク、油脂、金属酸化物、フマル酸、フマル酸ステアリル塩、アルギン酸、アルギン酸塩、アスコルビン酸、アスパルテーム、L-アスパラギン酸、キシリトール、クエン酸、クエン酸水和物、クエン酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム水和物、グリシン、D-キシロース、L-グルタミン酸、コハク酸、酒石酸、酒石酸ナトリウム、スクラロース、D-ソルビトール、タンニン酸、トレハロース、ペパーミントパウダー、マルトース水和物、D-ボルネオール、無水クエン酸、l-メントール、DL-メントール、メントールパウダー、緑茶末、カラメル、DL-リンゴ酸、薬用炭、色素、香料、安息香酸、安息香酸ナトリウム、硫酸銅、リン酸カルシウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、含水二酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、重質無水ケイ酸、無水ケイ酸水加物、無水リン酸カルシウム、二酸化ケイ素、酒石酸ナトリウムカリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタケイ酸、硫酸アルミニウム、沈降炭酸カルシウム及び塩化亜鉛が挙げられる。セルロース類としては、具体的には、結晶セルロース、微結晶セルロース、結晶セルロースカルメロースナトリウム、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。ステアリン酸塩としては、具体的には、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ポリオキシル等が挙げられる。油脂としては、具体的には、硬化ヒマシ油、白色ワセリン、ポリオキシエチレン末、硬化油、カカオ油、硬ロウ、ラウリル硫酸ナトリウム、カンナウバロウ、オレイン酸、米デンプン、カラギーナン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ミツロウ、軽質流動化パラフィン、セタノール等が挙げられる。金属酸化物としては、具体的には、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、黒色酸化鉄、褐色酸化鉄、黄酸化鉄などの酸化鉄、酸化チタン等が挙げられる。フマル酸ステアリル塩としては、具体的には、フマル酸ステアリルナトリウムが挙げられる。アルギン酸塩としては、具体的には、アルギン酸ナトリウムが挙げられる。
【0083】
好ましくは、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、セルロース類、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク、金属酸化物、フマル酸ステアリル塩、タルク、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、酸化チタン、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、硬化油、ステアリン酸マグネシウム、及び結晶セルロースが挙げられる。さらに、好ましくは、ケイ酸アルミン酸マグネシウムタルク、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、酸化チタン、フマル酸ステアリルナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムが挙げられる。
【0084】
本開示における滑沢剤は、粒子径が大きい場合、粉砕して使用する。粉砕は滑沢剤単独でも良く、粉末状の第一の高分子と共粉砕しても良い。
【0085】
1つの実施形態において、第一の高分子と滑沢剤の重量比が、1:10から10:1の間であり、好ましくは1:5から5:1である。第一の高分子と滑沢剤の重量比は、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1または10:1であり得、これらの重量比のうちの任意の組み合わせの間の値であり得る。
【0086】
1つの実施形態において、第一の高分子と添加剤により生成される粒子(滑沢剤の添加前)のD50値は、好ましくは、100μm未満、90μm未満、80μm未満、70μm未満、60μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、20μm未満、10μm未満である。第一の高分子と添加剤により生成される粒子(滑沢剤の添加前)のD50値は、好ましくは、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下である。第一の高分子と添加剤により生成される粒子(滑沢剤の添加前)のD50値は、好ましくは、0.5μm以上、0.8μm以上、1μm以上、1.5μm以上である。第一の高分子と添加剤により生成される粒子(滑沢剤の添加前)のD50値は、好ましくは、0.5μm超過、0.8μm超過、1μm超過、1.5μm超過である。
【0087】
第一の高分子と添加剤により生成される粒子(滑沢剤の添加前)のD90値は、好ましくは、200μm未満、190μm未満、180μm未満、170μm未満、160μm未満、150μm未満、140μm未満、130μm未満、120μm未満、110μm未満、100μm未満、90μm未満、80μm未満、70μm未満、60μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、20μm未満、10μm未満である。第一の高分子と添加剤により生成される粒子(滑沢剤の添加前)のD90値は、好ましくは、200μm以下、190μm以下、180μm以下、170μm以下、160μm以下、150μm以下、140μm以下、130μm以下、120μm以下、110μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下である。第一の高分子と添加剤により生成される粒子(滑沢剤の添加前)のD90値は、好ましくは、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上である。第一の高分子と添加剤により生成される粒子(滑沢剤の添加前)のD90値は、好ましくは、1μm超過、2μm超過、3μm超過、4μm超過である。
【0088】
1つの実施形態において、第一の高分子と滑沢剤により生成される粒子のD50値は、好ましくは、100μm未満、90μm未満、80μm未満、70μm未満、60μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、20μm未満、10μm未満である。第一の高分子と滑沢剤により生成される粒子のD50値は、好ましくは、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下である。第一の高分子と滑沢剤により生成される粒子のD50値は、好ましくは、0.5μm以上、0.8μm以上、1μm以上、1.5μm以上である。第一の高分子と滑沢剤により生成される粒子のD50値は、好ましくは、0.5μm超過、0.8μm超過、1μm超過、1.5μm超過である。
【0089】
第一の高分子と滑沢剤により生成される粒子のD90値は、好ましくは、200μm未満、190μm未満、180μm未満、170μm未満、160μm未満、150μm未満、140μm未満、130μm未満、120μm未満、110μm未満、100μm未満、90μm未満、80μm未満、70μm未満、60μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、20μm未満、10μm未満である。第一の高分子と滑沢剤により生成される粒子のD90値は、好ましくは、200μm以下、190μm以下、180μm以下、170μm以下、160μm以下、150μm以下、140μm以下、130μm以下、120μm以下、110μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下である。第一の高分子と滑沢剤により生成される粒子のD90値は、好ましくは、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上である。第一の高分子と滑沢剤により生成される粒子のD90値は、好ましくは、1μm超過、2μm超過、3μm超過、4μm超過である。
【0090】
(VIII)本開示の目的成分含有中空粒子
本開示の目的成分含有中空粒子としては、目的成分含有中空粒子100重量%あたり、目的成分が0.1~95.9重量%、核粒子の原料として用いる第二の高分子が4~40重量%、粉末状の第一の高分子が0.1~95.9重量%、滑沢剤が0.1~95.9重量%で含有するもの;好ましくは、目的成分が1~94重量%、核粒子の原料として用いる第二の高分子が5~30重量%、添加剤が1~94重量%、粉末状の第一の高分子が1~94重量%、滑沢剤が1~94重量%で含有するもの;目的成分が10~80重量%、核粒子の原料として用いる第二の高分子が10~20重量%、添加剤が10~80重量%、粉末状の第一の高分子が10~80重量%、滑沢剤が10~80重量%で含有するものが挙げられる。
【0091】
本開示の目的成分含有中空粒子としては、目的成分含有中空粒子100重量%あたり、目的成分が60~96重量%、第二の高分子が4~40重量%で含有するもの(好ましくは、目的成分が70~95重量%、第二の高分子が5~30重量%で含有するもの;より好ましくは、目的成分が80~90重量%、第二の高分子が10~20重量%で含有するもの)であって、粉末状の第一の高分子及び滑沢剤の好ましい平均粒子径がコーティング可能な微粒子の平均粒子径に対して5倍以上(好ましくは15倍以上、より好ましくは25倍以上)であるものが挙げられる。
【0092】
本開示の目的成分含有中空粒子としては、目的成分含有中空粒子100重量%あたり、目的成分が55~95.9重量%、第二の高分子が4~40重量%、添加剤が0.1~5重量%で含有するもの(好ましくは、目的成分が65~94.9重量%、第二の高分子が5~30重量%、添加剤が0.1~5重量%で含有するもの;より好ましくは、目的成分が75~89.9重量%、第二の高分子が10~20重量%、核粒子の好ましい平均粒子径が粉末状の第一の高分子及び滑沢剤の平均粒子径に対して5倍以上(好ましくは15倍以上、より好ましくは25倍以上)であるものが挙げられる。
【0093】
別の態様として、目的成分が75~89.9重量%、第二の高分子が10~20重量%、核粒子の好ましい平均粒子径が粉末状の第一の高分子及び滑沢剤のD90値に対して2倍以上(好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上)であるものが挙げられる。
【0094】
さらに別の態様として、目的成分が75~89.9重量%、第二の高分子が10~20重量%、核粒子の好ましい平均粒子径が粉末状の第一の高分子及び滑沢剤のD100値に対して2倍以上(好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上)であるものが挙げられる。
【0095】
さらに別の態様として、目的成分が75~89.9重量%、第二の高分子が10~20重量%、核粒子の好ましい平均粒子径が粉末状の第一の高分子及び滑沢剤のD99値に対して2倍以上(好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上)であるものが挙げられる。
【0096】
本開示の目的成分含有中空粒子としては、目的成分含有中空粒子100重量%あたり、目的成分が0.1~95.9重量%、第二の高分子が4~40重量%、添加剤が0.1~95.9重量%で含有するもの(好ましくは、目的成分が1~94重量%、第二の高分子が5~30重量%、添加剤が1~94重量%で含有するもの;より好ましくは、目的成分が10~80重量%、第二の高分子が10~20重量%、添加剤が10~80重量%で含有するもの)であって、核粒子の好ましい平均粒子径が粉末状の第一の高分子及び滑沢剤の平均粒子径に対して5倍以上(好ましくは15倍以上、より好ましくは25倍以上)であるものが挙げられる。
【0097】
別の態様として、目的成分が10~80重量%、第二の高分子が10~20重量%、添加剤が10~80重量%で含有するもの)であって、核粒子の好ましい平均粒子径が粉末状の第一の高分子及び滑沢剤のD90値に対して2倍以上(好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上)であるものが挙げられる。
【0098】
さらに別の態様として、目的成分が10~80重量%、第二の高分子が10~20重量%、添加剤が10~80重量%で含有するもの)であって、核粒子の好ましい平均粒子径が粉末状の第一の高分子及び滑沢剤のD100値に対して2倍以上(好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上)であるものが挙げられる。
【0099】
さらに別の態様として、目的成分が10~80重量%、第二の高分子が10~20重量%、添加剤が10~80重量%で含有するもの)であって、核粒子の好ましい平均粒子径が粉末状の第一の高分子及び滑沢剤のD99値に対して2倍以上(好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上)であるものが挙げられる。
【0100】
本開示の目的成分含有中空粒子は、高性能な目的成分含有中空粒子であり得る。例えば、速放性、腸溶性、胃溶性、徐放性、苦みマスク等が改善されている。
【0101】
1つの実施形態において、本開示の目的成分含有中空粒子の核粒子に対して、第一の高分子および滑沢剤は、例えば、10重量%~50重量%、10重量%~60重量%、10重量%~70重量%、10重量%~80重量%、10重量%~90重量%、または10重量%~100重量%であり得、100重量%以上コーティングしてもよい。第一の高分子および滑沢剤の核粒子に対しる割合は、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、39重量%、40重量%、41重量%、42重量%、43重量%、44重量%、45重量%、46重量%、47重量%、48重量%、49重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、100重量%、105重量%、110重量%、115重量%、120重量%、125重量%、130重量%、135重量%、140重量%、145重量%、または150重量%であり得、これらの値の任意の組み合わせの間の値であり得る。
【0102】
本開示は、高分子と滑沢剤を含む、シェル及び中空部からなる目的成分含有中空粒子に該高分子が有する機能を付与するための組成物を与える。目的成分含有中空粒子は第二の高分子及び目的成分を含み得、組成物は、第一の高分子と滑沢剤とを含み得る。本開示はまた、シェル及び中空部からなる目的成分含有中空粒子に第一の高分子が有する機能を付与するための、滑沢剤を含む組成物であって、該目的成分含有中空粒子は第二の高分子及び目的成分を含み、該第一の高分子は該滑沢剤とともに提供される組成物を与える。前記機能は、速放性、徐放性、腸溶性、胃溶性、苦みマスキング性または光安定性を含む。
【0103】
本開示の第一の高分子と滑沢剤は、内核に含まれる第二の高分子の性質を増強させ得る。本開示の第一の高分子と滑沢剤でコーティングされた粒子は、例えば、速放性、腸溶性、胃溶性、徐放性、苦みマスク等が改善され得る。本開示の第一の高分子と滑沢剤を使用すると、高性能なコーティングされた目的成分含有中空粒子を、短時間かつ効率的に作製することができる。
【0104】
製造方法
本開示の粉末状の第一の高分子及び滑沢剤でコーティングされた粒子の製造方法は、(1)目的成分と第二の高分子を含む核粒子を調製する工程、及び(2)この核粒子に第一の高分子及び滑沢剤を添加し、第一の高分子を溶解し得る溶媒を噴霧しながらコーティングする工程を含む。本開示の第一の高分子及び滑沢剤でコーティングされた粒子の製造方法は、簡便でありながら、コーティング性(コーティング時間と被覆率(放出制御能))が良い方法である。
【0105】
本開示の(1)目的成分と第二の高分子を含む核粒子を製造する工程は、『第二の高分子』及び『目的成分』を粉末で造粒機に仕込み、特定の混合・造粒条件で所定量の溶媒を噴霧しながら造粒することにより、湿粉状態の核粒子が得られる。本開示では、この湿粉状態のまま次工程に用いても良いし、流動層乾燥などにより乾燥して用いても良い。
【0106】
本開示の(2)核粒子に第一の高分子と滑沢剤を添加し、上記混合物を転動させながら、第一の高分子を溶解し得る溶媒を噴霧しながらコーティングする工程は、上記の湿粉状態又は乾燥状態の核粒子に、第一の高分子及び滑沢剤を添加し、上記混合物を転動させるような、特定のコーティング条件で、所定量の第一の高分子を溶解し得る溶媒を噴霧しながらコーティングすることにより行われ得る。得られた湿粉状態の粒子は、流動層乾燥などにより乾燥され得る。
【0107】
コーティング方法としては、核粒子をコーティング中に転動させるための機能を有する造粒方法の中から適宜選択することができる。例えば、攪拌造粒法、混合攪拌造粒法、高速攪拌造粒法、高速混合攪拌造粒法、転動攪拌流動層造粒法、転動造粒法を用いて製造することができる。この中でも、攪拌造粒法、混合攪拌造粒法、高速攪拌造粒法、高速混合攪拌造粒法を用いることが好ましい。攪拌造粒、混合攪拌造粒などに用いる造粒機(容器回転式造粒機を含む)としては、例えば、インテンシブミキサー(日本アイリッヒ製)、万能混合機(品川工業所製)、スーパーミキサー(株式会社カワタ製)、FMミキサ(日本コークス工業株式会社製)SPGシリーズ(不二パウダル株式会社製)、バーチカルグラニュレーター(例えば、FM-VG-05型、FM-VG-100型、株式会社パウレック製)、高速攪拌混合造粒機ファーママトリックス(株式会社奈良機械製作所製)、ハイスピードミキサー(深江パウテック株式会社製)、グラニュマイスト(フロイント産業株式会社製)、ニューグラマシン(株式会社セイシン企業製)、トリプルマスター(株式会社品川工業所製)などが挙げられる。本開示において、単純な流動層造粒法は、乾燥効率が高すぎて造粒が進まないために好ましくない。
【0108】
乾燥方法としては、自体公知の方法を適宜選択することができる。例えば、棚式乾燥機や流動層による乾燥などが挙げられ、製造性の観点から流動層による乾燥が好ましい。
【0109】
粉末状の第一の高分子の粒子径が所望より大きい場合、粉砕して用いる。粉砕機としては、第一の高分子を粉砕可能であるものであれば、特に限定されないが、例えば、ローラーミル、エッジライナー等のロール式粉砕機、ボールミルや塔式粉砕機等の媒体式粉砕機、ピンミルやハンマーミル等の高速回転衝撃式粉砕機、ジェットミルのような気流式粉砕機が挙げられる。粉末状の第一高分子は単独で粉砕することが出来るが、少量の分散剤と混合して、共粉砕しても良い。また、滑沢剤と混合して、共粉砕しても良い。
【0110】
滑沢剤の粒子径が所望より大きい場合、粉砕して用いる。粉砕機としては、滑沢剤を粉砕可能であるものであれば、特に限定されないが、例えば、ローラーミル、エッジライナー等のロール式粉砕機、ボールミルや塔式粉砕機等の媒体式粉砕機、ピンミルやハンマーミル等の高速回転衝撃式粉砕機、ジェットミルのような気流式粉砕機が挙げられる。滑沢剤は単独で粉砕することが出来るが、粉末状の第一の高分子と混合して、共粉砕しても良い。
【0111】
混合方法としては、混合機能を有するものであれば適宜選択できる。例えば、タンブラー混合機、V型混合機、W型混合機などの拡散式混合機、リボンミキサー、ナウターミキサー、プラネタリーミキサーなどの対流式混合機を使用することができる。
【0112】
本開示の目的成分含有中空粒子の打錠方法としては、粉末を圧縮成形する機能を有するものであれば適宜選択できる。例えば、錠剤プレスに分類される打錠装置が挙げられる。なお、本開示の錠剤には外部滑沢法により滑沢剤を添加することもできる。
【0113】
本開示における『溶媒』とは、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品などの分野で許容される全ての溶媒を意味し、使用する第二の高分子又は第一の高分子を溶解しうるものであれば何でもよい。本開示の目的成分含有中空粒子を医薬として用いる点からは、医薬上許容される溶媒が好ましい。このような溶媒は、目的成分、高分子、添加剤の種類等に応じて適宜選択され、数種類の溶媒を混合して用いてもよい。
【0114】
本開示における『溶媒』としては、例えば、水、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、iso-プロピルアルコール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノールなどの置換されていてもよい低級アルカノール)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどの低級アルキルケトン)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチルエステルなどの酢酸の低級アルキルエステル)及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0115】
具体的には、本開示において、高分子として水溶性高分子を使用する場合は、溶媒として該高分子を溶解しうるもの(例えば、水、含水アルコール系溶媒等)を使用することができ、水又は含水エタノールを特に好適に使用することができる。また、高分子として水不溶性高分子を使用する場合は、溶媒として該高分子を溶解しうるもの(例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒等)を使用することができ、胃溶性高分子、腸溶性高分子、キトサン等の高分子も、すべて溶媒として該高分子を溶解しうるもの(例えば、アルコール系溶媒、より具体的にはエタノール)を使用することができる。
【0116】
本開示のコーティング時における溶媒の使用量は目的成分、高分子の種類、量などにより異なるが、通常、粒子を構成する各成分の総量100重量%あたり、5~60重量%、好ましくは10~53重量%、より好ましくは10~40重量%、さらに好ましくは15~40重量%である。核粒子、粉末状の第一の高分子及び滑沢剤を含む粉末状の混合物への添加は、噴霧により行うことが好ましい。
【0117】
本開示のコーティング時における溶媒の噴霧は、通常造粒時に使用されるスプレーガンを用いて行ってよい。具体的には、ニードルスプレーガン(トミタエンジニアリング株式会社製)などが挙げられる。造粒物の収率を高くするため、造粒容器内の粉末以外の部分、つまり造粒容器内壁等へのスプレーができるだけ少なく、かつ、造粒容器内の粉末のできるだけ広い範囲に溶媒をスプレーすることが好ましい。
【0118】
核粒子の製造における溶媒の使用量は目的成分、高分子の種類、量などにより異なるが、通常、粒子を構成する各成分の総量100重量%あたり、5~60重量%、好ましくは10~53重量%、より好ましくは10~40重量%、さらに好ましくは15~40重量%である。目的成分及び高分子を含む粉末状の混合物への添加は、噴霧により行うことが好ましい。
【0119】
核粒子の製造における溶媒の噴霧は、通常造粒時に使用されるスプレーガンを用いて行ってよい。具体的には、ニードルスプレーガン(トミタエンジニアリング株式会社製)などが挙げられる。造粒物の収率を高くするため、造粒容器内の粉末以外の部分、つまり造粒容器内壁等へのスプレーができるだけ少なく、かつ、造粒容器内の粉末のできるだけ広い範囲に溶媒をスプレーすることが好ましい。また、噴霧された溶媒のミスト径は小さいほうが均一に粉体に溶媒が分散するため、ミスト径は細かいほうが好ましい。一方で、ミスト径を小さくしようと噴霧圧を上げると粉末が飛散し、転動運動が阻害されるため、適切な噴霧圧を設定しつつ、溶媒のミスト径を小さくすることが好ましい。
【0120】
核粒子を製造する上で、添加剤を用いる場合、目的成分含有中空粒子を製造する上で、原料として用いる目的成分及び/又は添加剤との混合末の平均粒子径が重要である。この場合、原料として用いる第二の高分子の平均粒子径は、原料として用いる目的成分及び/又は添加剤の混合末の平均粒子径に対して5倍以上、好ましくは10倍以上、さらに好ましくは15倍以上、特に好ましくは25倍以上のものが好ましい。また、通常1000倍以下であり、好ましくは500倍以下、より好ましくは100倍以下のものが好ましい。
【0121】
さらには、原料として用いる第二の高分子の粒度分布と、原料として用いる目的成分及び/又は添加剤の混合末の粒度分布が重ならない方が好ましい。具体的には、例えば原料として用いる第二の高分子の体積基準測定における累積10%粒子径D10が、原料として用いる目的成分及び/又は添加剤の混合末の累積90%粒子径D90よりも大きい方が好ましい。言い換えると、原料として用いる第二の高分子の累積10%粒子径D10が、原料として用いる目的成分と添加剤の混合末の累積90%粒子径D90よりも1倍以上であること(すなわち、第二の高分子と目的成分及び/又は添加剤の粒度分布比(D10/D90)が1倍以上であること)が好ましく、2倍以上であることがより好ましく、4倍以上であることがさらに好ましい。また、通常500倍以下であり、好ましくは250倍以下、より好ましくは50倍以下のものが好ましい。
【0122】
例えば原料として用いる第二の高分子の体積基準測定における累積50%粒子径D50が、原料として用いる目的成分及び/又は添加剤の混合末の累積50%粒子径D50よりも大きい方が好ましい。言い換えると、原料として用いる第二の高分子の累積50%粒子径D50が、原料として用いる目的成分及び/又は添加剤の混合末の累積50%粒子径D50よりも1倍以上であること(すなわち、第二の高分子と目的成分の粒度分布比(D50/D50)が1倍以上であること)が好ましく、2倍以上であることがより好ましく、4倍以上であることがさらに好ましい。また、通常500倍以下であり、好ましくは250倍以下、より好ましくは50倍以下のものが好ましい。
【0123】
特性値
本開示における『アスペクト比』とは、粒子の短径と長径との比であり、真球度を示す目安となるものである。かかるアスペクト比は、例えば、以下の式により計算にて求められる。
【0124】
アスペクト比=粒子の長径/粒子の短径
かかる粒子の長径、短径は卓上型マイクロCTスキャナ(SKYSCAN社製、SKYSCAN1172)にて非破壊的に測定し、10回測定した平均値を用いる。
【0125】
また、ミリトラックJPA(日機装株式会社)を用いて測定することができる。
【0126】
本開示における『粒度分布幅』とは、粉体粒子の体積基準測定における累積90%粒子径D90と累積10%粒子径D10の比(D90/D10)で求められる。本開示の目的成分含有中空粒子は、第二の高分子の粒子径を調節することによって、簡便に粒度分布を調節することができ、例えば、粒度分布幅が狭い粒子群を製造することができる。かかる粒度分布幅は、レーザー回折式粒度分布測定装置(パウレック社製、Particle Viewer)で体積基準により測定する。
【0127】
本開示において『粒度分布幅が狭い』とは、具体的な粒度分布幅(D90/D10)が6.0以下、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、さらに好ましくは3.0以下であることを意味する。
【0128】
中空粒子の強度は、粒子シェル強度で評価することができる。本開示における『粒子シェル強度』は、以下の式により計算して求められる。
【0129】
粒子シェル強度[MPa]=2.8P/(π×d2-π×d’2)×1000
P:粒子の破壊試験力[mN]、d:目的成分含有中空粒子の直径[μm]、d’:中空部の直径[μm]
かかる粒子の破壊試験力、目的成分含有中空粒子の直径は島津微小圧縮試験機MCT-W500(島津製作所製)によって測定する。
【0130】
本開示における『中空部の直径』とは、以下の式により計算にて求められる。
【0131】
中空部の直径[μm]=(中空部の長径+中空部の短径)/2
かかる粒子の中空部の長径、短径は卓上型マイクロCTスキャナ(SKYSCAN社製、SKYSCAN1172)にて非破壊的に測定し、10回測定した平均値を用いる。
【0132】
本開示において、目的成分含有中空粒子は、追加の機能を付与するために流動層造粒機やさらに粒子の機械的強度が必要な種々の微粒子コーティング装置等を用いて機能性高分子等を被覆する際にも割れ欠けすることなく効率的に被覆され、錠剤化しても潰れることなく中空が維持されるような十分な粒子強度を有することが望まれる。
【0133】
本開示の目的成分含有中空粒子は、十分な粒子強度を有する。該目的成分含有中空粒子は中空部を有するため、通常の粒子強度の測定方法では中空部も固形物と計算してしまうことにより、正しく評価できないため、中空部分を除いた粒子シェル強度で測定が可能である。本開示における『十分な粒子強度』とは、具体的には、目的成分含有中空粒子の粒子シェル強度が2.0MPa以上、好ましくは3.0MPa以上、より好ましくは4.0MPa以上、さらに好ましくは5.0MPa以上であることを意味する。
【0134】
本開示における『目的成分含有中空粒子の粒子径』とは、以下の式により計算にて求められる。
【0135】
目的成分含有中空粒子の粒子径は、以下の式により計算にて求められる。
【0136】
目的成分含有中空粒子の粒子径[μm]=(粒子の長径+粒子の短径)/2
かかる粒子の長径、短径を卓上型マイクロCTスキャナ(SKYSCAN社製、SKYSCAN1172)にて非破壊的に測定し、10回測定した平均値を用いる。
【0137】
本開示における『シェル厚み』とは、以下の式により計算にて求められる。
【0138】
シェル厚み[μm]=(目的成分含有中空粒子の粒子径-中空部の直径)/2
かかる目的成分含有中空粒子の粒子径、中空部の直径は卓上型マイクロCTスキャナ(SKYSCAN社製、SKYSCAN1172)にて非破壊的に測定し、10回測定した平均値を用いる。
【0139】
本開示における『シェル厚み率』とは、以下の式により計算にて求められる。
【0140】
シェル厚み率[%]=(シェル厚み/(目的成分含有中空粒子の粒子径/2))×100
かかる目的成分含有中空粒子の粒子径は卓上型マイクロCTスキャナ(SKYSCAN社製、SKYSCAN1172)にて非破壊的に測定し、10回測定した平均値を用いる。
【0141】
本開示における『中空の体積比率』とは、以下の式により計算にて求められる。
【0142】
中空の体積比率[%]=(4/3×π×(中空部の直径/2)3)/(4/3×π×(目的成分含有中空粒子の粒子径/2)3)×100
かかる目的成分含有中空粒子の粒子径、中空部の直径は卓上型マイクロCTスキャナ(SKYSCAN社製、SKYSCAN1172)にて非破壊的に測定し、10回測定した平均値を用いる。
【0143】
本開示における『第二の高分子と目的成分の粒度分布比(D50/D50)』とは、以下の式により計算にて求められる。
【0144】
第二の高分子と目的成分の粒度分布比(D50/D50)=第二の高分子のD50/目的成分のD50
本開示における『第二の高分子と、目的成分と他の添加剤の混合末の粒度分布比(D50/D50)』とは、以下の式により計算にて求められる。
【0145】
第二の高分子と、目的成分と他の添加剤の混合末の粒度分布比(D50/D50)=第二の高分子のD50/目的成分と他の添加剤の混合末のD50
かかる第二の高分子、目的成分、目的成分と他の添加剤の混合末の粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置(パウレック社製、Particle Viewer)又はレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製 SALD-3000J、SYMPATEC社製 HELOS&RODOS)で体積基準により測定する。
【0146】
本開示における『第二の高分子と目的成分の粒度分布比(D10/D90)』とは、以下の式により計算にて求められる。
【0147】
第二の高分子と目的成分の粒度分布比(D10/D90)=第二の高分子のD10/目的成分のD90
本開示における『第二の高分子と、目的成分と他の添加剤の混合末の粒度分布比(D10/D90)』とは、以下の式により計算にて求められる。
【0148】
第二の高分子と、目的成分と他の添加剤の混合末の粒度分布比(D10/D90)=第二の高分子のD10/目的成分と他の添加剤の混合末のD90
かかる第二の高分子、目的成分、目的成分と他の添加剤の混合末の粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置(パウレック社製、Particle Viewer)又はレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製 SALD-3000J、SYMPATEC社製 HELOS&RODOS)で体積基準により測定する。
【0149】
従来法である流動層造粒機を用いた方法では、コーティング時間が数日以上必要とするのに対し、本開示の製造方法を用いると、コーティング時間が1時間以内である。短時間でコーティングできることから、生産効率が向上する。
【0150】
また、本開示の目的成分含有中空粒子では、核粒子が持つ機能に加えて、第一の高分子の機能を追加することが出来る。例えば腸溶性の粉末状の第一の高分子を用いてコーティング量を制御することで、核粒子に含まれる第二の高分子の機能にさらに胃不溶性の粒子を製造することができる。また、第一の高分子に徐放性を有する高分子を用いると、コーティング量を制御することで、任意の徐放プロファイル(任意の50%溶出時間)を有する目的成分含有中空粒子を製造することができる。同様に、核粒子に胃溶性、苦みマスキング性を有する高分子を用いることで、これらの機能を任意に制御できる。
【0151】
また、滑沢剤として、光安定化機能を持つ微粒子を選択することで、核粒子に含まれる目的成分の光による分解を抑制することができる。光安定化機能を持つ微粒子としては、例えば、酸化チタン、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、色素等が挙げられる。
【0152】
医薬組成物及びその用途
本開示は、本開示の目的成分含有中空粒子を含む、消化器系疾患又は消化器系症状を治療及び/又は予防するための医薬組成物、治療剤及び/又は予防剤に関する。例示的な実施形態として、前記消化器系疾患は、便秘型過敏性腸症候群(IBS)、又は慢性便秘症である。本開示において治療及び/又は予防され得る疾患としては、悪性リンパ腫、アトピー性皮膚炎、アルツハイマー病、アレルギー性鼻炎、胃がん、胃食道逆流症、依存症、遺伝性不整脈、咽頭がん、インフルエンザ、ウイルス性肝炎、うつ病、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、潰瘍性大腸炎、過活動膀胱、肩こり、過敏性腸症候群、過敏性肺炎、花粉症、加齢性黄斑変性、加齢性難聴、川崎病、肝がん、肝臓がん、間質性肺炎、関節リウマチ、外反母趾、眼瞼下垂、眼精疲労、機能性ディスペプシア、急性骨髄性白血病、急性腎障害、急性すい炎、胸郭出口症候群、狭心症、拒食症、近視、緊張型頭痛、くも膜下出血、群発頭痛、結核、血管性認知症、腱鞘炎、腱板断裂、月経困難症、月経前症候群、月経前不快気分障害(PMDD)、高血圧、好酸球性副鼻腔炎、口臭、高次脳機能障害、喉頭がん、口内炎、更年期障害、高齢者のうつ病、骨壊死、骨髄炎、骨粗しょう症、骨盤臓器脱、こどものうつ病、誤えん性肺炎、五十肩、サルコペニア、酸蝕歯、シェーグレン症候群、子宮筋腫、子宮体がん、子宮内膜症、脂質異常症、歯周病、脂肪肝、手根管症候群、小腸がん、食中毒、食道がん、食物アレルギー、心筋梗塞、心筋症、心不全、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、痔、若年性認知症、腎臓がん、腎不全、じんましん、正常圧水頭症、脊柱管狭窄症、脊柱側弯症、摂食嚥下障害、線維筋痛症、全身性エリテマトーデス、ぜんそく、前庭神経炎、前頭側頭型認知症、前立腺がん、前立腺肥大症、双極性障害、帯状疱疹、多発性骨髄腫、胆石症、胆のう、胆管がん、大腸がん、大動脈解離、大動脈瘤、中枢性睡眠時無呼吸、椎間板ヘルニア、痛風、てんかん、統合失調症、糖尿病、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、突発性難聴、動脈硬化、ドライマウス、NASH、ナルコレプシー、肉腫(サルコーマ)、乳がん、尿路結石、認知症、熱中症、脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、脳卒中、ノロウイルス、肺炎、肺がん、肺MAC症、白内障、発達障害、梅毒、ばね指、パーキンソン病、非歯原性歯痛、皮膚がん、貧血、風疹、副鼻腔炎、不整脈、不眠症、閉塞性睡眠時無呼吸、閉塞性動脈硬化症、ヘルペスウイルス、変形性足関節症、変形性肩関節症、変形性関節症、変形性股関節症、変形性膝関節症、片頭痛、扁桃炎、便失禁、便秘、膀胱炎、膀胱がん、マイコプラズマ肺炎、巻き爪、慢性化膿性副鼻腔炎、慢性骨髄性白血病、慢性腎臓病(CKD)、慢性すい炎、慢性腰痛、味覚障害、未破裂脳動脈瘤、虫歯、無症候性脳梗塞、むずむず脚症候群、メタボリックシンドローム、メニエール病、もやもや病、腰痛、流行性耳下腺炎、良性発作性頭位めまい症、緑内障、レビー小体型認知症、ロコモティブシンドロームが挙げられる。
【0153】
本開示において、「予防」とは、投与時点では疾患を発症していないもしくは健康状態が悪くない健常人に対して有効成分である本開示の目的成分を投与する行為であり、「予防剤」はこのような健常人に投与されるものであり、例えば、疾患の発症を防止することを目的とするものであり、特に以前に疾患の症状があった人や、疾患に罹患するリスクが増えていると考えられる人に対して適切であると期待されている。「治療」とは、医師により疾患を発症していると診断をされた人(患者)に対して有効成分である本開示の目的成分を投与する行為であり、「治療剤」はこのような患者に投与されるものであり、例えば、疾患又は症状を軽減すること、疾患又は症状を悪化させないこと、又は疾患発症前の状態に戻すことを目的とするものである。また、投与の目的が疾患又は症状の悪化防止であっても、投与されるのが患者であれば、治療行為である。
【0154】
本開示において、「消化器系疾患又は消化器系症状」としては、具体的には、以下の(i)~(iii)の疾患又は症状が挙げられる:
(i)例えば、過敏性腸症候群、弛緩性便秘、常習性便秘、慢性便秘、モルヒネや抗精神病薬等の薬剤誘発による便秘、パーキンソン氏病に伴う便秘、多発性硬化症に伴う便秘、糖尿病に伴う便秘、又は造影剤による便秘もしくは排便障害(内視鏡検査或いはバリウム腸注X線検査時の前処置として)等の消化器系の疾患;
(ii)機能性ディスペプシア、急性・慢性胃炎、逆流性食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃神経症、術後の麻痺性イレウス、老人性イレウス、非びまん性胃食道逆流症、NSAID潰瘍、糖尿病性胃不全麻痺、胃切除後症候群、又は偽性腸閉塞等の消化器系の疾患;並びに
(iii)上記(i)及び(ii)に記載の消化器系疾患、強皮症、糖尿病、食道・胆道系疾患における食欲不振、悪心、嘔吐、腹部膨満感、上腹部不快感、腹痛、胸やけ、又は曖気等の消化器系の症状。
【0155】
本開示の目的成分の投与形態としては、経口投与、又は非経口投与のいずれでもよい。投与量は、投与方法、患者の症状・年齢等により異なるが、通常0.01~30mg/kg/日、好ましくは0.05~10mg/kg/日、さらに好ましくは0.1~3mg/kg/日の範囲である。投与量の別の好ましい態様として、通常0.01mg~1000mg/日、好ましくは0.1mg~500mg/日、より好ましくは0.5mg~300mg/日、さらに好ましくは1mg~200mg/日、最も好ましくは5mg~100mg/日の範囲が挙げられる。1日の投与回数は、1回又は1日に数回、例えば各回1、2又は3用量を与える。
【0156】
経口投与用の製剤の剤型としては、例えば、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁剤(水性懸濁剤、油性懸濁剤)、又は乳剤等を挙げることができ、非経口投与用の製剤としては、例えば、注射剤、点滴剤、坐剤(直腸内投与剤)、経鼻剤、舌下剤、経皮吸収剤[ローション剤、乳液剤、軟膏剤、クリーム剤、ゼリー剤、ゲル剤、貼付剤(テープ剤、経皮パッチ製剤、湿布剤等)、外用散剤等]等を挙げることができる。
【0157】
好ましくは、本開示の目的成分は、本開示の目的成分含有中空粒子又は製剤として、経口投与される。より好ましくは、経口投与用の製剤の剤型として、本開示の目的成分含有中空粒子を含む製剤に記載されるとおり、錠剤が挙げられる。さらに錠剤として好ましくは、口腔内崩壊錠が挙げられる。
【0158】
本化合物若しくはその薬学上許容される塩、又はその水和物若しくは溶媒和物、又は本開示の目的成分含有中空粒子、製剤、又は医薬組成物を、本明細書に記載された疾患の治療のために、逐次もしくは同時に、1又は複数の以下の他の薬剤と組み合わせて投与する併用療法を包含する。
【0159】
具体的には、便秘を伴う消化器系疾患の場合には、例えば、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、クエン酸マグネシウム等の塩類下剤、例えば、ジオクチルソジウム、スルホサクシネート、カサンスラノール等の浸潤性下剤、例えば、カルメロース等の膨張性下剤、例えば、ビサコジル、ピコスルファー、センナ、センノサイド等の大腸刺激性下剤、例えば、ひまし油等の小腸刺激性下剤、例えば、マグコロール、ニフレック等の腸管洗浄剤等が挙げられる。
【0160】
機能性ディスペプシア、急性・慢性胃炎、逆流性食道炎、非びまん性胃食道逆流症、糖尿病性胃不全麻痺、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、NSAID潰瘍、胃神経症、術後の麻痺性イレウス、老人性イレウス、胃切除後症候群、又は偽性腸閉塞等の消化器系の疾患では、例えば、オメプラゾール、ラベプラゾール、ランソプロゾール等のプロトンポンプ阻害剤や、例えば、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン等のヒスタミンH2受容体阻害剤等の制酸剤、例えば、モサプリド、ドンペリドン等の消化管機能調整剤、胃粘膜保護剤、整腸剤等が挙げられる。
【実施例】
【0161】
以下、実施例、試験例及び比較例を挙げて、本開示をさらに具体的に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。また、本開示を、本開示の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。尚、以下の実施例、試験例及び比較例において示された化合物名は、必ずしもIUPAC命名法に従うものではない。
【0162】
本実施例、試験例及び比較例において、特に断りのない限り、溶媒における%は(W/W%)を示し、粒子における%は、重量%を示す。
【0163】
本実施例及び比較例において使用した成分は、特に断りがない限り、以下のものを使用した。
【0164】
アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS(オイドラギットRSPO):エボニックデグサジャパン株式会社
乾燥メタクリル酸コポリマーLD(オイドラギットL100-55):エボニックデグサジャパン株式会社
タルク(ミクロエース(登録商標)P-3):日本タルク株式会社
酸化チタン(酸化チタン(NA61):東邦チタニウム株式会社
フマル酸ステアリルナトリウム(PRUV(登録商標)):レッテンマイヤージャパン株式会社
ケイ酸アルミン酸マグネシウム(ノイシリンUFL2):富士化学工業株式会社
【0165】
アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(オイドラギットE100):エボニックデグサジャパン株式会社
エチルセルロース(エトセル10FP):ダウケミカル日本株式会社
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L):日本曹達株式会社
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(イノシリンUFL2):富士化学工業株式会社
【0166】
<試験法>
本実施例、試験例及び比較例における試験方法は以下の通りである。
【0167】
(粒度分布)
第一の高分子を含むコーティング用混合物、滑沢剤の粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC社製 HELOS &RODOS)で体積基準により測定した。測定データからD50値、D90値を抜粋した。
【0168】
目的成分、高分子(第一の高分子、第二の高分子を含む)、他の添加剤、目的成分と他の添加剤の混合末、得られた目的成分含有中空粒子の粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC社製 HELOS &RODOS)で体積基準により測定する。測定データからD50値、D90値、D99値およびD100値を抜粋または計算する。
【0169】
(目的成分含有中空粒子の外観)
粒子の外観は、走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S-3400N型)にて観察した。
【0170】
(50%溶出時間)
50%溶出時間は下記の式から算出した。
50%溶出時間 = (溶出率が50%を超えない最大の溶出試験サンプル時点)+((50-(溶出率が50%を超えない最大の溶出試験サンプル時点における溶出率))÷((溶出率が50%を超える最小の溶出試験サンプル時点における溶出率)-(溶出率が50%を超えない最大の溶出試験サンプル時点における溶出率))÷((溶出率が50%を超える最小の溶出試験サンプル時点)-(溶出率が50%を超えない最大の溶出試験サンプル時点))
【0171】
<原薬>
本実施例、試験例及び比較例において使用した原薬は、特に断りがない限り、以下のものを使用した。
【0172】
ゾニサミド(1,2-BENZISOXAZOLE-3-METHANESULFONAMIDE、以下、化合物A)
アセトアミノフェン(N-(4-Hydroxyphenyl)acetamide、以下、化合物B)
無水カフェイン(1,3,7-Trimethyl-1H-purine-2,6(3H,7H)-dione、以下、化合物C)
【0173】
実施例1 <コーティング量が異なる目的成分含有中空粒子の製造>
実施例1-1、1-2ではコーティング量が異なる本開示の目的成分含有中空粒子を製造した。コーティング量は表1に示したように、コーティング用核粒子に対して20重量%、40重量%を選択した。まず、第一の高分子の代表例である乾燥メタクリル酸コポリマーLDとケイ酸アルミン酸マグネシウムの混合物(質量比 乾燥メタクリル酸コポリマーLD:ケイ酸アルミン酸マグネシウム=1:0.05)をスパイラルジェットミル粉砕機(100AS、ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕し、コーティング用粒子混合物1を得た。この時の混合物の平均粒子径(D50)は、約14.7μmで、D90は約39.4μmであった。次に、このコーティング用粒子混合物1 133.4gとタルク66.6gを混合し、コーティング用混合物2を得た。第二の高分子であるアミノアルキルメタクリレートコポリマーRSPOを100号の篩で篩過し、篩の上に残ったものをアミノアルキルメタクリレートコポリマーRS(100号on)とした。
【0174】
コーティング用核粒子を表1に従って製造した。つまり、表1記載量のアミノアルキルメタクリレートコポリマーRS(表1では、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS(100号on)と表示される第二の高分子の代表例)及び化合物Aを粉末で、高速攪拌型造粒機バーチカルグラニュレーター(FM-VG-05型、容量:5L、株式会社パウレック製)に仕込んだ。その後、表2に示した混合・造粒条件で表1に記載の95%エタノール水溶液(核粒子用)をスプレー噴霧しながら造粒し、湿粉状態のコーティング用核粒子を得た。湿粉状態のコーティング用核粒子は流動層乾燥機(MP-01、株式会社パウレック製)仕込み、表2に示した乾燥条件で乾燥を行い、コーティング用核粒子を得た。このコーティング用核粒子を高速攪拌型造粒機バーチカルグラニュレーター(FM-VG-01型、株式会社パウレック製)に仕込み、コーティング用粒子混合物2を25gずつ8回に分けて添加しつつ、表2に示した混合・コーティング条件で表1に記載の95%エタノール水溶液(コーティング用)をスプレー噴霧しながらコーティングした。20%重量%分のコーティング用粒子混合物2を添加した時点(コーティング用粒子混合物を100g添加し、コーティングした時点)でサンプリングを行い、サンプリングした湿粉状態の目的成分含有中空粒子は棚乾燥機(パーフェクトオーブン、エスペック株式会社)に仕込み、50℃で一晩乾燥させ、実施例1-1の目的成分含有中空粒子を得た。上記サンプリングに続けて、コーティング用混合物3が200gコーティングされるまでコーティング工程を継続し、湿粉状態の目的成分含有中空粒子を得た。湿粉状態の目的成分含有中空粒子は棚乾燥機(パーフェクトオーブン、エスペック株式会社)に仕込み、50℃で一晩乾燥させ、実施例1-2の目的成分含有中空粒子を得た。
【0175】
得られた粒子のコーティング時間、製造にかかった時間は表6に示した。実施例1-1において得られた粒子の外観を
図2Aおよび
図2Bに示した。
【0176】
【0177】
【0178】
比較例1 コーティング用核粒子の製造
比較例1では実施例1と同様に表1に記載されている処方比及び仕込み量に従い、コーティングが行われていない粒子、つまり、コーティング用核粒子のみを製造した。実施例1と同様に湿粉状態のコーティング用核粒子を造粒したのちに、マルチプレックス(MP-01型、株式会社パウレック製)を用いて湿粉状態のコーティング用核粒子を流動層乾燥し、比較例1のコーティング用核粒子を得た。得られた粒子の外観を
図1Aおよび
図1Bに示した。
【0179】
試験例1 <コーティング量が異なる目的成分含有中空粒子を含む錠剤の溶出試験>
比較例1及び実施例1-1、1-2で製造した粒子を用いて溶出試験を行った。試験時のサンプル量は目的成分100相当量とした。第十六改正日本薬局方の溶出試験法パドル法に基づき、試験液として37℃/900MLの日本薬局方記載の溶出試験第一液及び第二液を用いて、回転数50RPMにて測定した。測定時間は10、15、30、45、60、90、120、360分とし、サンプリング液をフィルターろ過して、HPLCにて測定し、溶出率を算出した。
【0180】
<HPLC測定条件>
検出器:紫外可視分光検出器
測定波長:285NM
カラム:WATERS ACQUITY UPLC C18 [2.1MMΦ×30MM]
カラム温度:40℃
流量:0.5ML/MIN
注入量:5ΜL
サンプルクーラー:25℃
シリンジ洗浄液:水/アセトニトリル混液=1/1
移動相:水/アセトニトリル混液=4/1
【0181】
比較例1及び実施例1-1、1-2で得た粒子の溶出試験結果を
図3、4に、コーティング前後での50%溶出時間の比を表6に示した。
図3は溶出試験第一液を用いた試験結果、
図4は溶出試験第二液を用いた試験結果である。コーティング量の増大と共に粒子の放出制御能が増大した。
【0182】
実施例2 <粒子径が異なるコーティング可能な第一の高分子及び滑沢剤を用いた目的成分含有中空粒子の製造>
実施例2ではコーティング可能な微粒子の粒子径が異なる本開示の目的成分含有中空粒子を製造した。
【0183】
粒子径が異なるコーティング可能な第一の高分子及び凝集防止剤(滑沢剤)としては乾燥メタクリル酸コポリマーLD・タルク混合物を使用した。実施例1の乾燥メタクリル酸コポリマーLD・タルク混合物のD50は6.5μm、D90が24.1μmであったが、本実施例で用いた乾燥メタクリル酸コポリマーLD・タルク混合物のD50は3.5μm、D90は10.2μmである。コーティング量は表3に示したように、コーティング用核粒子に対して
25重量%、43重量%を選択した。
【0184】
まず、乾燥メタクリル酸コポリマーLDとタルクの混合物(質量比 乾燥メタクリル酸コポリマーLD:タルク=2:1)をスパイラルジェットミル粉砕機(100AS、ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕し、コーティング用粒子混合物3を得た。この時の混合物の平均粒子径(D50)は、約3.5μmで、D90は約10.2μmであった。表3に記載した処方比及び処方量に従って、実施例2-1、2-2を製造した。具体的には、化合物A及びアミノアルキルメタクリレートコポリマーRSの粒度コントロール品(100 号 ON 画分)を高速撹拌造粒機(FM-VG-05型、容量:5L、株式会社パウレック製)に仕込み、表2に示した混合造粒条件で95%エタノール水溶液を適量スプレー噴霧しながら、造粒し、湿粉状態のコーティング用核粒子を得た。湿粉状態のコーティング用核粒子は流動層乾燥機(MP-01、株式会社パウレック製)仕込み、表2に示した乾燥条件で乾燥を行い、コーティング用核粒子を得た。このコーティング用核粒子を高速攪拌型造粒機バーチカルグラニュレーター(FM-VG-01型、株式会社パウレック製)に仕込み、コーティング用粒子混合物28gを2回、23gを3回、30gを3回に分けて添加しつつ、表2に示した混合・コーティング条件で表3に記載の95%エタノール水溶液をスプレー噴霧しながらコーティングした。20%重量%分のコーティング用粒子混合物3を添加した時点(コーティング用粒子混合物を100g添加し、コーティングした時点)でサンプリングを行い、サンプリングした湿粉状態の目的成分含有中空粒子は棚乾燥機(パーフェクトオーブン、エスペック株式会社)に仕込み、50℃で一晩乾燥させ、実施例2-1の目的成分含有中空粒子を得た。上記サンプリングに続けて、コーティング用混合物3が200gコーティングされるまでコーティング工程を継続し、湿粉状態の目的成分含有中空粒子を得た。湿粉状態の目的成分含有中空粒子は棚乾燥機(パーフェクトオーブン、エスペック株式会社)に仕込み、50℃で一晩乾燥させ実施例2-2の目的成分含有中空粒子を得た。
【0185】
【0186】
試験例2<コーティング可能な微粒子の粒子径が異なる目的成分含有中空粒子の溶出試験>
実施例2で製造した粒子を用いて溶出試験を行った。試験条件は試験例1と同様に行った。結果を
図5、6に示した。
図5は溶出試験第一液を用いた試験結果、
図6は溶出試験第二液を用いた試験結果である。得られた粒子の、コーティング時間、製造にかかった時間は表6に示した。
【0187】
すべての粒子径のコーティング可能な微粒子を使用した目的成分含有中空粒子について、コーティング前後での50%溶出時間の比を表6に示した。放出速度抑制効果が得られた。
【0188】
実施例3 <凝集防止剤(滑沢剤)種類が異なるコーティング可能な微粒子を用いた目的成分含有中空粒子の製造>
実施例3ではコーティング可能な微粒子を構成する凝集防止剤(滑沢剤)が異なる本開示の目的成分含有中空粒子を製造した。
【0189】
凝集防止剤(滑沢剤)としてはフマル酸ステアリルナトリウム、酸化チタンを使用した。コーティング量は表4に示したように、コーティング用核粒子に対して20重量%、40重量%を選択した。
【0190】
まず、実施例1で製造した乾燥メタクリル酸コポリマーLDとケイ酸アルミン酸マグネシウムの混合物(質量比 乾燥メタクリル酸コポリマーLD:ケイ酸アルミン酸マグネシウム=1:0.05)の粉砕物であるコーティング用粒子混合物1 133.4gとフマル酸ステアリルナトリウム又は酸化チタン 66.6gを混合し、それぞれコーティング用粒子混合物4、コーティング用粒子混合物5とした。この時のフマル酸ステアリルナトリウム及び酸化チタンの平均粒子径(D50)は、それぞれ約9.6μm、約6.9μmで、D90は約22.8μm、約19.8μmであった。表4に記載した処方比及び処方量に従って、実施例3-1~3-4を製造した。具体的には、化合物A及びアミノアルキルメタクリレートコポリマーRSの粒度コントロール品(100 号 ON 画分)を高速撹拌造粒機(FM-VG-05型、容量:5L、株式会社パウレック製)に仕込み、表2に示した混合造粒条件で95%エタノール水溶液を適量スプレー噴霧しながら、造粒し、湿粉状態のコーティング用核粒子を得た。湿粉状態のコーティング用核粒子は流動層乾燥機(MP-01、株式会社パウレック製)仕込み、表2に示した乾燥条件で乾燥を行い、コーティング用核粒子を得た。このコーティング用核粒子を高速攪拌型造粒機バーチカルグラニュレーター(FM-VG-01型、株式会社パウレック製)に仕込み、コーティング用粒子混合物4又は5を25gずつ8回に分けて添加しつつ、表2に示した混合・コーティング条件で表4に記載の95%エタノール水溶液をスプレー噴霧しながらコーティングした。20%重量%分のコーティング用粒子混合物4または5を添加した時点(コーティング用粒子混合物を100g添加し、コーティングした時点)でサンプリングを行い、サンプリングした湿粉状態の目的成分含有中空粒子は棚乾燥機(パーフェクトオーブン、エスペック株式会社)に仕込み、50℃で一晩乾燥させ、実施例3-1または実施例3-3の目的成分含有中空粒子を得た。上記サンプリングに続けて、コーティング用混合物4または5が200gコーティングされるまでコーティング工程を継続し、湿粉状態の目的成分含有中空粒子を得た。湿粉状態の目的成分含有中空粒子は棚乾燥機(パーフェクトオーブン、エスペック株式会社)に仕込み、50℃で一晩乾燥させ実施例3-2または3-4の目的成分含有中空粒子を得た。
【0191】
【0192】
試験例3<コーティング可能な第一の高分子及び滑沢剤の粒子径が異なる目的成分含有中空粒子の溶出試験>
実施例3で製造した粒子を用いて溶出試験を行った。試験条件は試験例1と同様に行った。結果を
図7、8に示した。得られた粒子の、コーティング時間、製造にかかった時間は表6に示した。
図7は溶出試験第一液を用いた試験結果、
図8は溶出試験第二液を用いた試験結果である。
【0193】
すべての粒子径のコーティング可能な粉末状の第一の高分子及び滑沢剤を使用した目的成分含有中空粒子について、コーティング前後での50%溶出時間の比を表6に示した。放出速度抑制効果が得られた。
【0194】
実施例4 <第一の高分子と滑沢剤の比が異なるコーティング可能な微粒子を用いた目的成分含有中空粒子の製造>
実施例4ではコーティング可能な第一の高分子及び滑沢剤の割合が異なる本開示の目的成分含有中空粒子を製造した。
【0195】
凝集防止剤(滑沢剤)としてはタルクを使用し、第一の高分子と滑沢剤の比率は、1:0.25、1:2の比率になるようにした。コーティング量は表5に示したように、核粒子に対して20重量%、40重量%を選択した。
【0196】
まず、実施例1で製造した乾燥メタクリル酸コポリマーLDとケイ酸アルミン酸マグネシウムの混合物(質量比 乾燥メタクリル酸コポリマーLD:ケイ酸アルミン酸マグネシウム=1:0.05)の粉砕物であるコーティング用粒子混合物1 66.6gとタルク 133.4gを混合したものをコーティング用粒子混合物6とし、コーティング用粒子混合物1 160gとタルク 40gを混合したものをコーティング用粒子混合物7とした。表5に記載した処方比及び処方量に従って、実施例4-1~4-4を製造した。具体的には、化合物A及びアミノアルキルメタクリレートコポリマーRSの粒度コントロール品(100 号 ON 画分)を高速撹拌造粒機(FM-VG-05型、容量:5L、株式会社パウレック製)に仕込み、表2に示した混合造粒条件で95%エタノール水溶液を適量スプレー噴霧しながら、造粒し、湿粉状態のコーティング用核粒子を得た。湿粉状態の核粒子は流動層乾燥機(MP-01、株式会社パウレック製)仕込み、表2に示した乾燥条件で乾燥を行い、コーティング用核粒子を得た。このコーティング用核粒子を高速攪拌型造粒機バーチカルグラニュレーター(FM-VG-01型、株式会社パウレック製)に仕込み、コーティング用粒子混合物6又は7を25g8回に分けて添加しつつ、表2に示した混合・コーティング条件で表5に記載の95%エタノール水溶液をスプレー噴霧しながらコーティングした。20%重量%分のコーティング用粒子混合物6または7を添加した時点(コーティング用粒子混合物を100g添加し、コーティングした時点)でサンプリングを行い、サンプリングした湿粉状態の目的成分含有中空粒子は棚乾燥機(パーフェクトオーブン、エスペック株式会社)に仕込み、50℃で一晩乾燥させ、実施例4-1及び実施例4-3の目的成分含有中空粒子を得た。上記サンプリングに続けて、コーティング用混合物6または7が200gコーティングされるまでコーティング工程を継続し、湿粉状態の目的成分含有中空粒子を得た。湿粉状態の目的成分含有中空粒子は棚乾燥機(パーフェクトオーブン、エスペック株式会社)に仕込み、50℃で一晩乾燥させ実施例4-2または4-4の目的成分含有中空粒子を得た。
【0197】
【0198】
試験例4<コーティング可能な微粒子の粒子径が異なる目的成分含有中空粒子の溶出試験>
実施例4で製造した粒子を用いて溶出試験を行った。試験条件は試験例1と同様に行った。結果を
図9、10に示した。得られた粒子の、コーティング時間、製造にかかった時間は表6に示した。
図9は溶出試験第一液を用いた試験結果、
図10は溶出試験第二液を用いた試験結果である。
【0199】
すべての粒子径のコーティング可能な微粒子を使用した目的成分含有中空粒子について、コーティング前後での50%溶出時間の比を表6に示した。放出速度抑制効果が得られた。
【0200】
【0201】
実施例5 <第一の高分子に不溶性高分子粒子を用い、第二の高分子を胃溶性高分子粒子とする目的成分含有中空粒子の製造>
実施例5では第一の高分子に不溶性高分子粒子を用い、第二の高分子を胃溶性高分子粒子とする目的成分含有中空粒子を製造した。
【0202】
凝集防止剤(滑沢剤)としては、タルクを使用した。コーティング量は表7に示したように、コーティング用核粒子に対して20重量%及び40重量%を選択した。帯電防止剤としてノイシリンUFL2を使用した。
【0203】
まず、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE100をフィッツミル DKA―6(ホソカワミクロン株式会社)で粉砕した。粉砕したアミノアルキルメタクリレートコポリマーE100を目開き100号の篩で篩過し、篩上のものをアミノアルキルメタクリレートコポリマーE(100号on)とした。次に、水不溶性高分子エトセル10FP 40gとタルク 20gを混合したものを混合したものをコーティング用粒子混合物8とした。コーティング用粒子混合物8の平均粒子径(D50)は、約4.7μmで、D90は約9.1μmであった。またエトセル10FPの平均粒子径(D50)は、約5.0μmで、D90は約9.1μmであった。
【0204】
表7に記載した処方比及び処方量に従って、実施例5-1~5-2を製造した。具体的には、化合物A及びアミノアルキルメタクリレートコポリマーE100粉砕品の粒度コントロール品(100 号 ON 画分)を容器回転式造粒機インテンシブミキサー(EL-1、日本アイリッヒ株式会社製)に仕込み、表8に示した混合造粒条件で95%エタノール水溶液を適量スプレー噴霧しながら、造粒し、湿粉状態のコーティング用核粒子を得た。湿粉状態の核粒子は流動層乾燥機(MP-01、株式会社パウレック製)仕込み、表2に示した乾燥条件で乾燥を行い、コーティング用核粒子を得た。このコーティング用核粒子を容器回転式造粒機インテンシブミキサー(EL-1、日本アイリッヒ株式会社製)に仕込み、コーティング用粒子混合物8を7.5gずつ8回に分けて添加しつつ、表8に示した混合・コーティング条件で表7に記載の95%エタノール水溶液をスプレー噴霧しながらコーティングした。20%重量%分のコーティング用粒子混合物8を添加した時点(コーティング用粒子混合物を30g添加し、コーティングした時点)でサンプリングを行い、サンプリングした湿粉状態の目的成分含有中空粒子は棚乾燥機(パーフェクトオーブン、エスペック株式会社)に仕込み、60℃で2時間乾燥させ、実施例5-1の目的成分含有中空粒子を得た。上記サンプリングに続けて、コーティング用混合物8が60gコーティングされるまでコーティング工程を継続し、湿粉状態の目的成分含有中空粒子を得た。湿粉状態の目的成分含有中空粒子は流動層乾燥機(MP-01、株式会社パウレック製)仕込み、表2に示した乾燥条件で乾燥を行った。乾燥後、ノイシリンを添加し、流動層造粒機MP-01内で混合させ、実施例5-2の目的成分含有中空粒子を得た。
【表7】
【表8】
【0205】
比較例5 コーティング用核粒子の製造
比較例5では実施例5と同様に表7に記載されている処方比及び仕込み量に従い、コーティングが行われていない粒子、つまり、コーティング用核粒子のみを製造した。実施例5と同様に湿粉状態のコーティング用核粒子を造粒したのちに、流動層乾燥機(MP-01、株式会社パウレック製)を用いて湿粉状態のコーティング用核粒子を流動層乾燥し、比較例5のコーティング用核粒子を得た。
【0206】
試験例5<第一の高分子に水不溶性高分子粒子を用い、第二の高分子を胃溶性高分子粒子とする目的成分含有中空粒子の溶出試験>
実施例5で製造した粒子を用いて溶出試験を行った。試験条件は試験例1と同様に行った。結果を
図11、12に示した。
図11は溶出試験第一液を用いた試験結果、
図12は溶出試験第二液を用いた試験結果である。得られた粒子の、コーティング時間、製造にかかった時間は表12に示した。
【0207】
目的成分含有中空粒子について、コーティング前後での50%溶出時間の比を表12、13に示した。放出速度抑制効果が得られた。
【0208】
実施例6 <第一の高分子に水不溶性高分子粒子を用い、第二の高分子を水溶性高分子粒子とする目的成分含有中空粒子の製造>
実施例6では第一の高分子に水不溶性高分子粒子を用い、第二の高分子を水溶性高分子粒子とする目的成分含有中空粒子を製造した。
【0209】
凝集防止剤(滑沢剤)としては、タルクを使用した。コーティング量は表7に示したように、コーティング用核粒子に対して20重量%及び40重量%を選択した。帯電防止剤としてノイシリンUFL2を使用した。
【0210】
水不溶性高分子エトセル10FP 40gとタルク 20gを混合したものを混合し、コーティング用粒子混合物8を調製した。また、ヒドロキシプロピルセルロースを100号の篩で篩過し、篩上のものをヒドロキシプロピルセルロース(100号on)とした。
【0211】
表9に記載した処方比及び処方量に従って、実施例6-1~6-2を製造した。具体的には、化合物A及びヒドロキシプロピルセルロースの粒度コントロール品(100 号 ON 画分)を容器回転式造粒機インテンシブミキサー(EL-1、日本アイリッヒ株式会社製)に仕込み、表8に示した混合造粒条件で95%エタノール水溶液を適量スプレー噴霧しながら、造粒し、湿粉状態のコーティング用核粒子を得た。湿粉状態の核粒子は流動層乾燥機(MP-01、株式会社パウレック製)仕込み、表2に示した乾燥条件で乾燥を行い、コーティング用核粒子を得た。このコーティング用核粒子を容器回転式造粒機インテンシブミキサー(EL-1、日本アイリッヒ株式会社製)に仕込み、コーティング用粒子混合物8を7.5gずつ8回に分けて添加しつつ、表8に示したコーティング条件で表7に記載の95%エタノール水溶液をスプレー噴霧しながらコーティングした。20%重量%分のコーティング用粒子混合物8を添加した時点(コーティング用粒子混合物を30g添加し、コーティングした時点)でサンプリングを行い、サンプリングした湿粉状態の目的成分含有中空粒子は棚乾燥機(パーフェクトオーブン、エスペック株式会社)に仕込み、60℃で2時間乾燥させ、実施例6-1の目的成分含有中空粒子を得た。上記サンプリングに続けて、コーティング用混合物8が60gコーティングされるまでコーティング工程を継続し、湿粉状態の目的成分含有中空粒子を得た。湿粉状態の目的成分含有中空粒子は流動層乾燥機(MP-01、株式会社パウレック製)仕込み、表2に示した乾燥条件で乾燥を行った。乾燥後、ノイシリンを添加し、流動層造粒機MP-01内で混合させ、実施例6-2の目的成分含有中空粒子を得た。
【0212】
【0213】
比較例6 コーティング用核粒子の製造
比較例6では実施例6と同様に表9に記載されている処方比及び仕込み量に従い、コーティングが行われていない粒子、つまり、コーティング用核粒子のみを製造した。実施例6と同様に湿粉状態のコーティング用核粒子を造粒したのちに、流動層乾燥機(MP-01型、株式会社パウレック製)を用いて湿粉状態のコーティング用核粒子を流動層乾燥し、比較例6のコーティング用核粒子を得た。
【0214】
<試験例6><第一の高分子に水溶性高分子粒子を用い、第二の高分子を水不溶性高分子粒子とする目的成分含有中空粒子の溶出試験>
実施例6で製造した粒子を用いて溶出試験を行った。試験条件は試験例1と同様に行った。結果を
図13、14に示した。
図13は溶出試験第一液を用いた試験結果、
図14は溶出試験第二液を用いた試験結果である。得られた粒子の、コーティング時間、製造にかかった時間は表12に示した。
【0215】
目的成分含有中空粒子について、コーティング前後での50%溶出時間の比を表12,13に示した。放出速度抑制効果が得られた。
【0216】
実施例7 <第一の高分子に水不溶性高分子粒子を用い、第二の高分子を胃溶性高分子粒子とする化合物Bを目的成分として含有する中空粒子の製造>
実施例7では第一の高分子に水不溶性高分子粒子を用い、第二の高分子を胃性高分子粒子とする化合物Bを目的成分として含有する中空粒子を製造した。
【0217】
凝集防止剤(滑沢剤)としては、タルクを使用した。コーティング量は表7に示したように、コーティング用核粒子に対して20重量%及び40重量%を選択した。帯電防止剤としてノイシリンUFL2を使用した。
【0218】
水不溶性高分子エトセル10FP 40gとタルク 20gを混合したものを混合したコーティング用粒子混合物8を調製した。また、実施例5で調製したアミノアルキルメタクリレートコポリマーE100(100号on)を用いた。
【0219】
表10に記載した処方比及び処方量に従って、実施例7-1~7-2を製造した。具体的には、化合物B及びアミノアルキルメタクリレートコポリマーE100粉砕品の粒度コントロール品(100 号 ON 画分)を容器回転式造粒機インテンシブミキサー(EL-1、日本アイリッヒ株式会社製)に仕込み、表8に示した混合造粒条件で95%エタノール水溶液を適量スプレー噴霧しながら、造粒し、湿粉状態のコーティング用核粒子を得た。湿粉状態の核粒子は流動層乾燥機(MP-01、株式会社パウレック製)仕込み、表2に示した乾燥条件で乾燥を行い、コーティング用核粒子を得た。このコーティング用核粒子を容器回転式造粒機インテンシブミキサー(EL-1、日本アイリッヒ株式会社製)に仕込み、コーティング用粒子混合物8を7.5gずつ8回に分けて添加しつつ、表8に示したコーティング条件で表7に記載の95%エタノール水溶液をスプレー噴霧しながらコーティングした。20%重量%分のコーティング用粒子混合物8を添加した時点(コーティング用粒子混合物を30g添加し、コーティングした時点)でサンプリングを行い、サンプリングした湿粉状態の目的成分含有中空粒子は棚乾燥機(パーフェクトオーブン、エスペック株式会社)に仕込み、60℃で2時間乾燥させ、実施例7-1の目的成分含有中空粒子を得た。上記サンプリングに続けて、コーティング用混合物8が60gコーティングされるまでコーティング工程を継続し、湿粉状態の目的成分含有中空粒子を得た。湿粉状態の目的成分含有中空粒子は流動層乾燥機(MP-01、株式会社パウレック製)仕込み、表2に示した乾燥条件で乾燥を行った。乾燥後、ノイシリンを添加し、流動層造粒機MP-01内で混合させ、実施例7-2の目的成分含有中空粒子を得た。
【0220】
【0221】
比較例7 コーティング用核粒子の製造
比較例7では実施例7と同様に表10に記載されている処方比及び仕込み量に従い、コーティングが行われていない粒子、つまり、コーティング用核粒子のみを製造した。実施例7と同様に湿粉状態のコーティング用核粒子を造粒したのちに、流動層乾燥機(MP-01型、株式会社パウレック製)を用いて湿粉状態のコーティング用核粒子を流動層乾燥し、比較例7のコーティング用核粒子を得た。
【0222】
<試験例7><第一の高分子に水不溶性高分子粒子を用い、第二の高分子を胃溶性高分子粒子とする化合物Bを目的成分として含有する中空粒子の溶出試験>
【0223】
実施例7で製造した粒子を用いて溶出試験を行った。溶出試験条件は試験例1と同様に行った。HPLC測定条件は下記に示した。結果を
図15、16に示した。
図15は溶出試験第一液を用いた試験結果、
図16は溶出試験第二液を用いた試験結果である。得られた粒子の、コーティング時間、製造にかかった時間は表12に示した。
<HPLC測定条件>
HPLC: UFLC XR/島津製作所(LC-208)
検出器: UV検出器
測定波長: 244 nm
カラム: XBridge C18(4.6mm×100mm, 3.5μm)
カラム温度: 40°C
移動相: 0.01 mol/Lリン酸塩緩衝液(pH 6.8)/メタノール混液(8:2)
移動相Flow Rate: 1.0 mL/min
Injection volume: 5 μL
サンプルクーラー温度: 25°C
シリンジ洗浄液: 水/メタノール混液 (3:7)
【0224】
目的成分含有中空粒子について、コーティング前後での50%溶出時間の比を表12,13に示した。放出速度抑制効果が得られた。
【0225】
実施例8 <第一の高分子に水不溶性高分子粒子を用い、第二の高分子を胃溶性高分子粒子とする化合物Cを目的成分として含有する中空粒子の製造>
実施例8では第一の高分子に水不溶性高分子粒子を用い、第二の高分子を胃溶性高分子粒子とする化合物Cを目的成分として含有する中空粒子を製造した。
【0226】
凝集防止剤(滑沢剤)としては、タルクを使用した。コーティング量は表7に示したように、コーティング用核粒子に対して40重量%及び60重量%を選択した。帯電防止剤としてノイシリンUFL2を使用した。
【0227】
水不溶性高分子エトセル10FP 60gとタルク 30gを混合したものを混合したコーティング用粒子混合物8を調製した。また、実施例5で調製したアミノアルキルメタクリレートコポリマーE100(100号on)を用いた。
【0228】
表11に記載した処方比及び処方量に従って、実施例8-1~8-2を製造した。具体的には、化合物C及びアミノアルキルメタクリレートコポリマーE100粉砕品の粒度コントロール品(100 号 ON 画分)を容器回転式造粒機インテンシブミキサー(EL-1、日本アイリッヒ株式会社製)に仕込み、表8に示した混合造粒条件で95%エタノール水溶液を適量スプレー噴霧しながら、造粒し、湿粉状態のコーティング用核粒子を得た。湿粉状態の核粒子は流動層乾燥機(MP-01、株式会社パウレック製)仕込み、表2に示した乾燥条件で乾燥を行い、コーティング用核粒子を得た。このコーティング用核粒子を容器回転式造粒機インテンシブミキサー(EL-1、日本アイリッヒ株式会社製)に仕込み、コーティング用粒子混合物8を7.5gずつ12回に分けて添加しつつ、表8に示したコーティング条件で表7に記載の95%エタノール水溶液をスプレー噴霧しながらコーティングした。40%重量%分のコーティング用粒子混合物8を添加した時点(コーティング用粒子混合物を60g添加し、コーティングした時点)でサンプリングを行い、サンプリングした湿粉状態の目的成分含有中空粒子は棚乾燥機(パーフェクトオーブン、エスペック株式会社)に仕込み、60℃で2時間乾燥させ、実施例8-1の目的成分含有中空粒子を得た。上記サンプリングに続けて、コーティング用混合物8が90gコーティングされるまでコーティング工程を継続し、湿粉状態の目的成分含有中空粒子を得た。湿粉状態の目的成分含有中空粒子は流動層乾燥機(MP-01、株式会社パウレック製)仕込み、表2に示した乾燥条件で乾燥を行った。乾燥後、ノイシリンを添加し、流動層造粒機MP-01内で混合させ、実施例8-1~8-2の目的成分含有中空粒子を得た。
【表11】
【0229】
比較例8 コーティング用核粒子の製造
比較例8では実施例8と同様に表11に記載されている処方比及び仕込み量に従い、コーティングが行われていない粒子、つまり、コーティング用核粒子のみを製造した。実施例8と同様に湿粉状態のコーティング用核粒子を造粒したのちに、流動層乾燥機(MP-01型、株式会社パウレック製)を用いて湿粉状態のコーティング用核粒子を流動層乾燥し、比較例8のコーティング用核粒子を得た。
【0230】
<試験例8><第一の高分子に水不溶性高分子粒子を用い、第二の高分子を胃溶性高分子粒子とする化合物Cを目的成分として含有する中空粒子の溶出試験>
実施例8で製造した粒子を用いて溶出試験を行った。溶出試験条件は試験例1と同様に行った。HPLC測定条件は下記に示す。結果を
図17、18に示した。
図17は溶出試験第一液を用いた試験結果、
図18は溶出試験第二液を用いた試験結果である。得られた粒子の、コーティング時間、製造にかかった時間は表12に示した。
<HPLC測定条件>
HPLC: UFLC XR/島津製作所(LC-204)
検出器: UV検出器
測定波長: 272 nm
カラム: Shim-Pack XR ODS(3.0mm×75 mm, 2.2um)
カラム温度: 40°C
移動相: 水/メタノール混液 (7:3)
移動相Flow Rate: 1.0 mL/min
Injection: 5 μL
サンプルクーラー温度: 25°C
シリンジ洗浄液: 水/メタノール混液 (1:1)
【0231】
目的成分含有中空粒子について、コーティング前後での50%溶出時間の比を表12,13に示した。放出速度抑制効果が得られた。
【0232】
【0233】
【0234】
以上のように、本開示の好ましい実施形態を用いて本開示を例示してきたが、本開示は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本願は、日本国出願特願2018-196987(2018年10月18日出願)に対して優先権を主張するものであり、その内容はその全体が本明細書において参考として援用される。本明細書において引用した特許、特許出願および他の文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0235】
本開示の粒子は、固形医薬品製剤において利用され得る。