(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】コネクタ付き基板の製造方法、及び、電子ユニット
(51)【国際特許分類】
H01R 43/00 20060101AFI20240123BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20240123BHJP
H01R 12/51 20110101ALI20240123BHJP
H01R 12/57 20110101ALI20240123BHJP
【FI】
H01R43/00 B
H05K1/18 S
H01R12/51
H01R12/57
(21)【出願番号】P 2021116575
(22)【出願日】2021-07-14
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】平松 瞭
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-182983(JP,A)
【文献】特開2016-163530(JP,A)
【文献】特開2012-146541(JP,A)
【文献】特開2009-230893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/00
H01R 12/50-12/81
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子及び電子部品が実装される回路基板と、前記端子に組み付けられるコネクタハウジングと、を有するコネクタ付き基板を製造する、コネクタ付き基板の製造方法であって、
前記回路基板に前記端子及び前記電子部品を実装する実装工程と、
前記端子に前記コネクタハウジングを組み付ける組付工程と、をこの順に備え、
前記端子は、
前記回路基板の実装面に沿って延びる基板接続部と、前記回路基板の周縁よりも外側に延びる接点部と、を有し、前記実装工程において前記基板接続部の前記実装面に向かい合う表面と前記回路基板の回路パターンとがハンダ付けされることにより、前記回路基板に実装され
、
前記前記基板接続部及び前記接点部は、前記回路基板の前記実装面に沿って一直線状に延びるように配置されている、
コネクタ付き基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ付き基板の製造方法において、
前記端子は、
前記回路基板に挿し込まれてハンダ付けされる基板接続用の足部を有さない、
コネクタ付き基板の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタ付き基板の製造方法において、
前記端子は、
前記回路基板との位置決めのための係合部を有し、前記実装工程において前記係合部を前記回路基板に係合させた状態にて前記回路基板に実装される、
コネクタ付き基板の製造方法。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか一項に記載のコネクタ付き基板の製造方法において、
前記実装工程は、
加熱炉内において前記回路基板に前記端子及び前記電子部品を一括してハンダ付けして実装するリフロー処理を含み、
前記コネクタハウジングは、
前記リフロー処理での処理温度よりも耐熱温度が低い非耐熱樹脂から構成される、
コネクタ付き基板の製造方法。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか一項に記載のコネクタ付き基板の製造方法において、
前記組付工程において、
前記回路基板と前記コネクタハウジングとが前記回路基板の厚さ方向において重複しない位置関係にて、前記端子に前記コネクタハウジングが組み付けられる、
コネクタ付き基板の製造方法。
【請求項6】
端子及び電子部品が実装される回路基板と、前記端子に組み付けられるコネクタハウジングと、前記回路基板を覆うように配置されるケースと、を備える、電子ユニットであって、
前記端子は、
前記回路基板との位置決めのための係合部と、前記回路基板の実装面に沿って延びるとともに前記回路基板の回路パターンとの電気的接続のための基板接続部と、を互いに異なる箇所に有し、且つ、前記回路基板の周縁よりも外側に延びる接点部を有し、前記係合部を前記回路基板に係合させた状態にて前記基板接続部の前記実装面に向かい合う表面が前記回路パターンにハンダ付けされて前記回路基板に実装されて
おり、
前記前記基板接続部及び前記接点部は、前記回路基板の前記実装面に沿って一直線状に延びるように配置されている、
電子ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載の電子ユニットにおいて、
前記端子は、
前記回路基板に挿し込まれてハンダ付けされる基板接続用の足部を有さ
ない、
電子ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子及び電子部品が実装された回路基板とコネクタハウジングとを有するコネクタ付き基板の製造方法と、回路基板を覆うケースがコネクタ付き基板に組み付けられた電子ユニットと、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コネクタハウジングに端子が圧入されて保持されたコネクタを事前に準備した上で、そのコネクタを回路基板に実装する(例えば、リフロー処理によるハンダ付けを行う)ことでコネクタ付き基板を製造する、コネクタ付き基板の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1~3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021―005634号公報
【文献】特開2021―005635号公報
【文献】特開2021―040436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した種類のコネクタ付き基板の製造方法では、典型的には、回路基板の実装面上に載せ置くようにコネクタハウジングが配置され、回路基板のスルーホールに端子の足部を挿し込むように位置決めがなされた上で、端子の足部とスルーホール(即ち、回路パターン)とがハンダ付けされるようになっている。このような製造方法で製造される従来のコネクタ付き基板は、回路基板の厚さ方向において、コネクタハウジングの高さと回路基板の厚さとが加算された寸法を有することになる。コネクタ付き基板の薄型化や低背化の観点から、この寸法を出来る限り小さくすることが求められる場合がある。しかし、不用意にコネクタハウジングの壁厚さや回路基板の厚さを薄くすると、コネクタ付き基板として本来的に求められる構造上の強度や耐久性が損なわれること等が懸念される。このように、コネクタ付き基板の本来の機能を維持しながら、コネクタ付き基板の薄型化や低背化を図ることは、一般に困難である。
【0005】
本発明の目的の一つは、コネクタ付き基板としての本来の機能を損なうことなく低背化が可能なコネクタ付き基板の製造方法、及び、そのように製造されたコネクタ付き基板を用いた電子ユニット、の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタ付き基板の製造方法は、下記を特徴としている。
【0007】
端子及び電子部品が実装される回路基板と、前記端子に組み付けられるコネクタハウジングと、を有するコネクタ付き基板を製造する、コネクタ付き基板の製造方法であって、
前記回路基板に前記端子及び前記電子部品を実装する実装工程と、
前記端子に前記コネクタハウジングを組み付ける組付工程と、をこの順に備え、
前記端子は、
前記回路基板の実装面に沿って延びる基板接続部と、前記回路基板の周縁よりも外側に延びる接点部と、を有し、前記実装工程において前記基板接続部の前記実装面に向かい合う表面と前記回路基板の回路パターンとがハンダ付けされることにより、前記回路基板に実装され、
前記前記基板接続部及び前記接点部は、前記回路基板の前記実装面に沿って一直線状に延びるように配置されている、
コネクタ付き基板の製造方法であること。
【0008】
更に、上述した目的を達成するために、本発明に係る電子ユニットは、下記を特徴としている。
【0009】
端子及び電子部品が実装される回路基板と、前記端子に組み付けられるコネクタハウジングと、前記回路基板を覆うように配置されるケースと、を備える、電子ユニットであって、
前記端子は、
前記回路基板との位置決めのための係合部と、前記回路基板の実装面に沿って延びるとともに前記回路基板の回路パターンとの電気的接続のための基板接続部と、を互いに異なる箇所に有し、且つ、前記回路基板の周縁よりも外側に延びる接点部を有し、前記係合部を前記回路基板に係合させた状態にて前記基板接続部の前記実装面に向かい合う表面が前記回路パターンにハンダ付けされて前記回路基板に実装されており、
前記前記基板接続部及び前記接点部は、前記回路基板の前記実装面に沿って一直線状に延びるように配置されている、
電子ユニットであること。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコネクタ付き基板の製造方法によれば、回路基板に端子及び電子部品を実装した後、その端子にコネクタハウジングが組み付けられる。よって、上述した従来のコネクタ付き基板の製造方法のように、端子の足部を回路基板のスルーホールに挿し込むために回路基板の実装面上にコネクタを載せ置くといった製法上の制限や、そのような製法に適するようにコネクタハウジングに位置決め構造を設けるといった形状上の制限がない。換言すると、本発明の製造方法は、製法上でもコネクタハウジングの構造上でも、従来の製造方法に比べて設計自由度に優れる。そこで、例えば、コネクタハウジングを実装面上には置かず、回路基板の周縁の外側にコネクタハウジングを配置することで、コネクタハウジングの高さと回路基板の厚さとの重複を回避でき、コネクタ付き基板の良好な薄型化や低背化が可能となる。したがって、従来のコネクタ付き基板に比べ、コネクタ付き基板としての本来の機能を損なうことなく低背化されたコネクタ付き基板を製造可能である。
【0011】
更に、本発明の電子ユニットによれば、上述したように従来のコネクタ付き基板に比べて低背化されたコネクタ付き基板に、回路基板を覆うケースが組み付けられる。コネクタ付き基板が薄型化・低背化されているため、同様に薄型化・低背化されたケースを用いることが可能である。したがって、従来の製造方法で製造したコネクタ付き基板を用いる場合に比べ、電子ユニットの薄型化や低背化が可能である。
【0012】
このように、本発明によれば、コネクタ付き基板としての本来の機能を損なうことなく低背化が可能なコネクタ付き基板の製造方法、及び、そのように製造されたコネクタ付き基板を用いた電子ユニット、を提供できる。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るコネクタ付き基板を用いた電子ユニットの斜視図である。
【
図3】
図3は、コネクタ付き基板に用いられる端子の斜視図である。
【
図4】
図4は、回路基板に端子及び電子部品を実装する実装工程を説明するための図である。
【
図5】
図5は、端子にコネクタハウジングを組み付ける組付工程を説明するための図である。
【
図6】
図6は、コネクタ付き基板のコネクタハウジングにケースを組み付けて電子ユニットを製造する工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るコネクタ付き基板1、及び、コネクタ付き基板1を用いた電子ユニット2について説明する。
図2に示すように、コネクタ付き基板1は、複数の端子10及び複数の電子部品20が実装される回路基板30と、端子10が組み付けられるコネクタハウジング40と、を備える。コネクタ付き基板1のコネクタハウジング40にケース50を組み付けることで、電子ユニット2が製造される。
【0016】
以下、説明の便宜上、
図1~
図6に示すように、「前後方向」、「幅方向」及び「上下方向」を定義する。「前後方向」、「幅方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。前後方向は、コネクタハウジング40と相手側コネクタ(図示省略)との嵌合方向と一致しており、相手側コネクタとの嵌合の進行側を前側とし嵌合の退行側を後側とする。以下、コネクタ付き基板1を構成する各部材、及び、ケース50について順に説明する。
【0017】
まず、端子10について説明する。回路基板30に実装されることになる複数の端子10の各々は、1枚の金属板に対して打ち抜き加工及び曲げ加工等を施すことで製造される。本例では、複数の端子10は同形である。端子10は、
図3に示すように、全体として前後方向に延びる棒状の形状を有し、前端部近傍位置にある接点部11と、後端部近傍位置にある基板接続部12と、基板接続部12の幅方向両側面から幅方向外側に突出し且つ下方に向けて湾曲して回路基板30に向けて延びる一対の係合部13と、を一体に備える。端子10の接点部11及び基板接続部12は、回路基板30の上面(実装面)に沿って延びるように配置されることになる。
【0018】
端子10の回路基板30への実装時、一対の係合部13は、回路基板30の前端縁31(
図4等参照)の近傍に形成された一対の位置決め孔(図示省略)に挿入されることになり、基板接続部12の下面は、回路基板30の前端縁31の近傍における一対の位置決め孔の間に位置する回路パターン(図示省略)に直接ハンダ付けされることになる(
図2、
図4及び
図5参照)。基板接続部12の下面は、接点部11の下面と面一であっても、接点部11の下面より上方又は下方に位置していてもよい。このように、端子10は、上述した従来のコネクタ付き基板に用いられるような回路基板30に挿し込まれてハンダ付けされることで回路基板30の回路パターンと電気的に接続される足部を、有さない。
【0019】
次いで、電子部品20について説明する。回路基板30に実装されることになる複数の電子部品20の各々は、典型的には、大規模集積回路(LSI)であり、本例では、前後方向に延びる本体部21と、本体部21の幅方向両側縁の複数箇所から下方に延び且つ前後方向に並ぶ複数のリード部(足部)22と、で構成されている。複数の電子部品20は、同形であっても、異なる形状を有していてもよい。電子部品20の回路基板30への実装時、電子部品20の複数のリード部22は、回路基板30の前後方向中央部に形成された複数のスルーホール(図示省略)に挿入されハンダ付けされることになる(
図2、
図4及び
図5参照)。
【0020】
次いで、回路基板30について説明する。回路基板30は、本例では、前後方向及び幅方向に延びる矩形平板状の樹脂製の基板と、当該基板の上面に形成された所定のパターンを有する金属製の回路パターンと、で構成されている。回路基板30の前端縁31の近傍には、端子10の一対の係合部13を挿入するための一対の位置決め孔(図示省略)が、複数の端子10に対応して、幅方向(前端縁31に沿う方向)の複数箇所に、それぞれ形成されている。回路基板30前後方向中央部には、複数の電子部品20のリード部22を挿入するための複数のスルーホール(図示省略)が形成されている。
【0021】
次いで、コネクタハウジング40について説明する。コネクタハウジング40は、樹脂成形品であり、
図2、
図5及び
図6に示すように、前後方向に延び且つ幅方向に長い矩形筒状の本体部41を備える。本体部41の後端は、矩形平板状の後端壁42によって塞がれている一方で、本体部41の前端は開口している。コネクタハウジング40と相手側コネクタとの嵌合時、相手側コネクタは、本体部41の前端開口を介して本体部41の内部空間43に挿入・嵌合されることになる。
【0022】
後端壁42には、
図2、
図5及び
図6に示すように、複数の端子10に対応して、前後方向に延びる複数の挿通孔(貫通孔)44が、幅方向に並ぶように設けられている。各挿通孔44には、端子10の接点部11が後側から挿入されることになる。
【0023】
本体部41の上壁の幅方向中央部の上面(外周面)には、上側係止突起45が形成され、本体部41の下壁の幅方向中央部の下面(外周面)には、下側係止突起46が形成されている。コネクタ付き基板1のコネクタハウジング40へのケース50の組み付け時、上側係止突起45及び下側係止突起46はそれぞれ、ケース50の後述する上側係止孔55及び下側係止孔56と係合することで、ケース50のコネクタハウジング40からの分離(後方への抜け)を防止する機能を果たす。
【0024】
コネクタハウジング40は、端子10及び電子部品20を回路基板30に実装(ハンダ付け)する際にて加熱炉内にて行われるリフロー処理時の処理温度より耐熱温度が低い非耐熱樹脂から構成されている。このことによる作用については後述する。
【0025】
次いで、ケース50について説明する。ケース50は、樹脂成形品であり、
図2、
図5及び
図6に示すように、前後方向及び幅方向に延びる矩形筒状の本体部51を備える。本体部51の後端は、矩形平板状の後端壁52によって塞がれている一方で、本体部51の前端は開口している。コネクタ付き基板1のコネクタハウジング40へのケース50の組み付け時、コネクタハウジング40が、本体部51の前端開口を介して本体部51の内部空間53に挿入・嵌合されることになる。
【0026】
後端壁52の前面(内部空間53に面する内面)には、回路基板30の幅方向に延びる後端縁32(
図2等参照)を保持するための上下一対の保持片54が形成されている。コネクタ付き基板1のコネクタハウジング40へのケース50の組み付け時、回路基板30の後端縁32は、上下一対の保持片54の間に挿入されて、上下一対の保持片54によって上下方向に挟持されるように保持されることになる。
【0027】
本体部51の上壁の幅方向中央部には、コネクタハウジング40の上側係止突起45に対応して、上側係止孔(貫通孔)55が形成され、本体部41の下壁の幅方向中央部には、コネクタハウジング40の下側係止突起46に対応して、下側係止孔(貫通孔)56が形成されている。以上、コネクタ付き基板1を構成する各部材、及び、ケース50について説明した。
【0028】
次いで、コネクタ付き基板1の製造方法について説明する。コネクタ付き基板1を製造するためには、まず、複数の端子10及び複数の電子部品20を回路基板30に実装する(実装工程)。このため、まず、回路基板30の上面に、複数の端子10(基板接続部12)の配置箇所に対応する複数箇所の回路パターン、及び、複数の電子部品20の複数のリード部22を挿入するための複数のスルーホールを覆うように、ハンダペーストを塗布する。
【0029】
次いで、
図4に示すように、回路基板30の上方に複数の端子10及び複数の電子部品20を配置する。次いで、各端子10の一対の係合部13が回路基板30の対応する一対の位置決め孔に挿通され、且つ、各電子部品20の複数のリード部22が回路基板30の対応する複数のスルーホールにそれぞれ挿通されるように、複数の端子10及び複数の電子部品20が回路基板30の上面に載置されるまで、複数の端子10及び複数の電子部品20と回路基板30とを上下方向に互いに近づける。
【0030】
このように、各端子10の一対の係合部13が回路基板30の対応する一対の位置決め孔に挿通されることで、各端子10が回路基板30上に適正に位置決めされる。この結果、各端子10の接点部11の先端部が回路基板30の前端縁31から前方に突出するように配置され、且つ、各端子10の基板接続部12の下面が回路基板30の回路パターンとハンダペーストを介して対向配置される。
【0031】
次いで、ハンダに対してリフロー処理を行う。具体的には、複数の端子10及び複数の電子部品20が載置された回路基板30を、高温の処理温度に設定された加熱炉内に配置することで、回路基板30上のハンダペーストを加熱して溶融させる。リフロー処理後、溶融したハンダが固化することで、各端子10の基板接続部12と回路基板30の回路パターンとが直接ハンダ付けされ(ハンダを介して固定され且つ電気的に接続され)、各電子部品20の複数のリード部22が複数のスルーホールとそれぞれハンダ付けされる(ハンダを介して固定され且つ電気的に接続される)。なお、リフロー処理の処理温度は、使用するハンダの融点に応じて定められ、一般に約180~230℃である。
【0032】
以上により、複数の端子10及び複数の電子部品20の回路基板30への実装が完了する(実装工程が完了する)。このように、回路基板30の上面に沿って延びる端子10基板接続部12が、回路基板30の回路パターンに直接的にハンダ付けされる。よって、従来のコネクタ付き基板のように回路基板30に挿し込まれる端子の足部が不要であるため、端子10そのものを低背化することができる。
【0033】
複数の端子10及び複数の電子部品20の回路基板30への実装が完了すると、次いで、複数の端子10にコネクタハウジング40を組み付ける(組付工程)。このため、まず、回路基板30の前方にコネクタハウジング40を配置する。次いで、
図5に示すように、複数の端子10の接点部11がコネクタハウジング40の複数の挿通孔44にそれぞれ挿通されるように、回路基板30の前端縁31がコネクタハウジング40(後端壁42)の後端面に当接するまで、回路基板30とコネクタハウジング40とを前後方向に互いに近づける。
【0034】
回路基板30の前端縁31がコネクタハウジング40(後端壁42)の後端面に当接すると、複数の端子10へのコネクタハウジング40の組み付けが完了する(組付工程が完了する)。この結果、
図2に示すコネクタ付き基板1が製造される(完成する)。コネクタ付き基板1の完成状態にては、複数の端子10の接点部11の先端部が、コネクタハウジング40の内部空間43内にて幅方向に並ぶように配置されている。
【0035】
コネクタ付き基板1では、回路基板30とコネクタハウジング40とが、上下方向(回路基板30の厚さ方向)において重ならないように配置される(
図2参照)。よって、従来のコネクタ付き基板に比べ、低背化されたコネクタ付き基板1を製造可能である。
【0036】
更に、コネクタ付き基板1では、リフロー処理を経て回路基板30に複数の端子10及び複数の電子部品20が実装された後に、コネクタハウジング40が複数の端子10に組み付けられる。これに伴い、コネクタハウジング40は、リフロー処理での高温に晒されることがないため、上述したように、耐熱温度が低い非耐熱樹脂から構成されている。よって、コネクタハウジング40の製造コスト(ひいては、コネクタ付き基板1の製造コスト)を低減することができる。
【0037】
製造された(完成した)コネクタ付き基板1のコネクタハウジング40には、ケース50が組み付けられる。コネクタハウジング40にケース50を組み付けるためには、まず、コネクタ付き基板1の回路基板30の後方に、ケース50を配置する。次いで、
図6に示すように、ケース50の前端開口を介して、回路基板30及びコネクタハウジング40がこの順にケース50の内部空間53に挿入されるように、ケース50の上側係止孔55及び下側係止孔56がコネクタハウジング40の上側係止突起45及び下側係止突起46にそれぞれ係止されるまで、ケース50とコネクタ付き基板1とを前後方向に互いに近づける。
【0038】
上側係止孔55及び下側係止孔56が上側係止突起45及び下側係止突起46にそれぞれ係止されると、コネクタハウジング40へのケース50の組み付けが完了する。この結果、
図1及び
図2に示す電子ユニット2が製造される(完成する)。
【0039】
電子ユニット2の完成状態にては、
図2に示すように、ケース50は、回路基板30を覆うように内部空間53に収容している。回路基板30の後端縁32は、ケース50の上下一対の保持片54の間に位置して、上下一対の保持片54によって上下方向に挟持されている。コネクタハウジング40(本体部41)の前端開口は、ケース50(本体部51)の前端開口と、前後方向の同じ位置に配置されている。
【0040】
電子ユニット2のコネクタハウジング40には、相手側コネクタが嵌合される。嵌合時、相手側コネクタは、コネクタハウジング40(本体部41)の前端開口を介して、本体部41の内部空間43に挿入・嵌合される。これにより、コネクタハウジング40の内部空間43に位置している複数の端子10(雄端子)が、相手側コネクタに収容されている複数の雌端子(図示省略)と電気的に接続される。
【0041】
以上のように、電子ユニット2は、従来のコネクタ付き基板に比べて低背化されたコネクタ付き基板1にケース50を組み付けることで構成される。このため、従来のコネクタ付き基板を用いる場合に比べて低背化が可能な電子ユニット2が得られる。よって、電子ユニット2は、例えば、車両のルーフ内部やドア内部などの比較的狭い部位(電子ユニットの低背化が求められる部位)に配置可能となっている。
【0042】
以上、本実施形態に係るコネクタ付き基板1の製造方法によれば、回路基板30に端子10及び電子部品20を実装した後、その端子10にコネクタハウジング40が組み付けられる。よって、上述した従来のコネクタ付き基板のように、端子の位置決めのためにコネクタハウジングの形状や配置が制限されることがない。したがって、本実施形態に係るコネクタ付き基板1の製造方法によれば、従来のコネクタ付き基板に比べ、低背化されたコネクタ付き基板1を製造可能である。
【0043】
更に、端子10が有する一対の係合部13が回路基板30の一対の位置決め孔に係合されることで、回路基板30への端子10の位置決めがなされる。よって、従来のコネクタ付き基板のようにコネクタハウジングを用いることなく、端子10を回路基板30上に適正に位置決めすることができる。
【0044】
更に、回路基板30の実装面(上面)に沿って延びる基板接続部12が、回路基板30の回路パターンに直接的にハンダ付けされる。よって、従来のコネクタ付き基板のように回路基板に挿し込まれる足部が不要であるため、端子10そのものを低背化することができる。
【0045】
更に、従来のコネクタ付き基板のように回路基板30に挿し込まれる足部が不要であるため、端子10そのものを低背化することができる。
【0046】
更に、リフロー処理を経て回路基板30に端子10及び電子部品20が実装され、その後にコネクタハウジング40が端子10に組み付けられる。これに伴い、コネクタハウジング40は、リフロー処理での高温に晒されることがないため、耐熱温度が低い非耐熱樹脂から構成される。一般に、高温に耐えうる耐熱樹脂に比べて非耐熱樹脂は安価である。よって、コネクタハウジング40の製造コスト(ひいては、コネクタ付き基板1の製造コスト)を低減することができる。
【0047】
更に、回路基板30とコネクタハウジング40とが、回路基板30の厚さ方向において重複しない(重ならない)ように配置される。よって、従来のコネクタ付き基板に比べ、低背化されたコネクタ付き基板1を製造可能である。
【0048】
更に、電子ユニット2によれば、上述したように従来のコネクタ付き基板に比べて低背化されたコネクタ付き基板1に、回路基板30を覆うケース50が組み付けられる。これにより、従来のコネクタ付き基板を用いる場合に比べて低背化が可能な電子ユニット2が得られる。
【0049】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0050】
ここで、上述した本発明に係るコネクタ付き基板1の製造方法及び電子ユニット2の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[11]に簡潔に纏めて列記する。
【0051】
[1]
端子(10)及び電子部品(20)が実装される回路基板(30)と、前記端子(10)に組み付けられるコネクタハウジング(40)と、を有するコネクタ付き基板(1)を製造する、コネクタ付き基板(1)の製造方法であって、
前記回路基板(30)に前記端子(10)及び前記電子部品(20)を実装する実装工程と、
前記端子(10)に前記コネクタハウジング(40)を組み付ける組付工程と、をこの順に備える、
コネクタ付き基板(1)の製造方法。
【0052】
上記[1]の構成のコネクタ付き基板の製造方法によれば、回路基板に端子及び電子部品を実装した後、その端子にコネクタハウジングが組み付けられる。よって、上述した従来のコネクタ付き基板の製造方法のように、端子の足部を回路基板のスルーホールに挿し込むために回路基板の実装面上にコネクタを載せ置くといった製法上の制限や、そのような製法に適するようにコネクタハウジングに位置決め構造を設けるといった形状上の制限がない。換言すると、本発明の製造方法は、製法上でもコネクタハウジングの構造上でも、従来の製造方法に比べて設計自由度に優れる。そこで、例えば、コネクタハウジングを実装面上には置かず、回路基板の周縁の外側にコネクタハウジングを配置することで、コネクタハウジングの高さと回路基板の厚さとの重複を回避でき、コネクタ付き基板の良好な薄型化や低背化が可能となる。したがって、従来のコネクタ付き基板に比べ、コネクタ付き基板としての本来の機能を損なうことなく低背化されたコネクタ付き基板を製造可能である。
【0053】
[2]
上記[1]に記載のコネクタ付き基板(1)の製造方法において、
前記端子(10)は、
前記回路基板(30)との位置決めのための係合部(13)を有し、前記実装工程において前記係合部(13)が前記回路基板(30)に係合させた状態にて前記回路基板(30)に実装される、
コネクタ付き基板(1)の製造方法。
【0054】
上記[2]の構成のコネクタ付き基板の製造方法によれば、端子が有する係合部が回路基板に係合されることで、回路基板への端子の位置決めがなされる。よって、従来のコネクタ付き基板のようにコネクタハウジングを端子の位置決めに用いることなく、端子単独で回路基板上に端子を適正に位置決めすることができる。
【0055】
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載のコネクタ付き基板(1)の製造方法において、
前記端子(10)は、
前記回路基板(30)の実装面に沿って延びる基板接続部(12)と、前記回路基板(30)の周縁よりも外側に延びる接点部(11)と、を有し、前記実装工程において前記基板接続部(12)の前記実装面に向かい合う表面と前記回路基板(30)の回路パターンとがハンダ付けされることにより、前記回路基板(30)に実装される、
コネクタ付き基板(1)の製造方法。
【0056】
上記[3]の構成のコネクタ付き基板の製造方法によれば、回路基板の実装面に沿って延びる基板接続部が、回路基板の回路パターンに直接的にハンダ付けされる。よって、従来のコネクタ付き基板のように回路基板のスルーホールに挿し込むための足部が不要であるため、端子そのものを低背化することができる。なお、端子と電子部品とを一括して回路基板に実装してもよいし、端子と電子部品とを個別に回路基板に実装してもよい。
【0057】
[4]
上記[1]~上記[3]の何れか一つに記載のコネクタ付き基板(1)の製造方法において、
前記端子(10)は、
前記回路基板(30)に挿し込まれてハンダ付けされる基板接続用の足部を有さない、
コネクタ付き基板(1)の製造方法。
【0058】
上記[4]の構成のコネクタ付き基板の製造方法によれば、従来のコネクタ付き基板のように回路基板のスルーホールに挿し込むため足部が不要であるため、端子そのものを低背化することができる。
【0059】
[5]
上記[1]~上記[4]の何れか一つに記載のコネクタ付き基板(1)の製造方法において、
前記実装工程は、
加熱炉内において前記回路基板(30)に前記端子(10)及び前記電子部品(20)を一括してハンダ付けして実装するリフロー処理を含み、
前記コネクタハウジング(40)は、
前記リフロー処理での処理温度よりも耐熱温度が低い非耐熱樹脂から構成される、
コネクタ付き基板(1)の製造方法。
【0060】
上記[5]の構成のコネクタ付き基板の製造方法によれば、リフロー処理を経て回路基板に端子および電子部品が実装され、その後に、コネクタハウジングが端子に組み付けられる。これに伴い、コネクタハウジングは、リフロー処理での高温に晒されることがないため、耐熱温度が低い非耐熱樹脂から構成される。一般に、高温に耐えうる耐熱樹脂に比べて非耐熱樹脂は安価である。よって、コネクタハウジングの製造コスト(ひいては、コネクタ付き基板の製造コスト)を低減することができる。
【0061】
[6]
上記[1]~上記[5]の何れか一つに記載のコネクタ付き基板(1)の製造方法において、
前記組付工程において、
前記回路基板(30)と前記コネクタハウジング(40)とが前記回路基板(30)の厚さ方向において重複しない位置関係にて、前記端子(10)に前記コネクタハウジング(40)が組み付けられる、
コネクタ付き基板(1)の製造方法。
【0062】
上記[6]の構成のコネクタ付き基板の製造方法によれば、回路基板とコネクタハウジングとが、回路基板の厚さ方向において重複しないように配置される。この配置により、コネクタハウジングの高さと回路基板の厚さとの重複を回避でき、従来のコネクタ付き基板に比べ、コネクタ付き基板の良好な薄型化や低背化が可能となる。
【0063】
[7]
端子(10)及び電子部品(20)が実装される回路基板(30)と、前記端子(10)に組み付けられるコネクタハウジングと、前記回路基板(30)を覆うように配置されるケース(50)と、を備える、電子ユニット(2)であって、
前記端子(10)は、
前記回路基板(30)との位置決めのための係合部(13)と、前記回路基板(30)の回路パターンとの電気的接続のための基板接続部(12)と、を互いに異なる箇所に有し、前記係合部(13)を前記回路基板(30)に係合させた状態にて前記基板接続部(12)が前記回路パターンにハンダ付けされて前記回路基板(30)に実装されている、
電子ユニット(2)。
【0064】
上記[7]の構成の電子ユニットによれば、上述したように従来のコネクタ付き基板に比べて低背化されたコネクタ付き基板に、回路基板を覆うケースが組み付けられる。コネクタ付き基板が薄型化・低背化されているため、同様に薄型化・低背化されたケースを用いることが可能である。したがって、従来の製造方法で製造したコネクタ付き基板を用いる場合に比べ、電子ユニットの薄型化や低背化が可能である。
【0065】
更に、下記[8]~[11]の構成の電子ユニットも、上記同様、従来の製造方法で製造したコネクタ付き基板を用いる場合に比べて薄型化や低背化が可能である。
【0066】
[8]
上記[7]に記載の電子ユニット(2)において、
前記端子(10)は、
前記回路基板(30)の実装面に沿って延びる前記基板接続部(12)と、前記回路基板(30)の周縁よりも外側に延びる接点部(11)と、を有し、前記基板接続部(12)の前記実装面に向かい合う表面と前記回路基板(30)の回路パターンとがハンダ付けされることにより、前記回路基板(30)に実装されている、
電子ユニット(2)。
[9]
上記[7]又は上記[8]に記載の電子ユニット(2)において、
前記端子(10)は、
前記回路基板(30)に挿し込まれてハンダ付けされる基板接続用の足部を有さない、
電子ユニット(2)。
[10]
上記[7]~上記[9]の何れか一つに記載の電子ユニット(2)において、
前記コネクタハウジングは、
前記端子(10)を加熱炉内において前記回路基板(30)にハンダ付けするリフロー処理での処理温度よりも耐熱温度が低い非耐熱樹脂から構成されている、
電子ユニット(2)であること。
[11]
上記[7]~上記[10]の何れか一つに記載の電子ユニット(2)において、
前記回路基板(30)と前記コネクタハウジングとが前記回路基板(30)の厚さ方向において重複しない位置関係にて、前記端子(10)に前記コネクタハウジングが組み付けられている、
電子ユニット(2)。
【符号の説明】
【0067】
1 コネクタ付き基板
2 電子ユニット
10 端子
11 接点部
12 基板接続部
13 係合部
20 電子部品
30 回路基板
40 コネクタハウジング
50 ケース
53 内部空間(収容部)