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特許7425039血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法、装置、およびデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法、装置、およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20240123BHJP
   A61B 34/20 20160101ALN20240123BHJP
【FI】
A61B34/10
A61B34/20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021503142
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 CN2019111497
(87)【国際公開番号】W WO2020078392
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】201811204867.3
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521023241
【氏名又は名称】強聯智創(北京)科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】宋 凌
(72)【発明者】
【氏名】馮 雪
(72)【発明者】
【氏名】楊 光明
(72)【発明者】
【氏名】秦 嵐
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-531108(JP,A)
【文献】特開2009-226087(JP,A)
【文献】特開2003-030624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/10
A61B 34/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法であって:
動脈の伸長方向に基づいて、カテーテルが標的動脈セグメント内を移動するための事前設定経路を決定する工程であって、標的動脈セグメントは、後でカテーテル経路シミュレーションの対象となり動脈瘤を含む動脈セグメントを表す、工程と;
標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートする工程と;
修正された移動経路を得るために、事前設定経路に基づいて移動経路を修正する工程とを含み、
標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートする工程は:
事前設定されたセグメントに基づいて、標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をセグメントごとに順次シミュレートすること;を含み、
事前設定経路に基づいて移動経路を修正する工程は:
事前設定経路に基づいて各事前設定セグメントを修正すること、を含み、
事前設定経路に基づいて各事前設定セグメントを修正することは:
事前設定セグメントの移動方向に基づいて事前設定セグメントの終了位置を決定すること;および
終了位置と事前設定経路との偏差に基づいて、終了位置と、終了位置の移動方向との少なくとも一方を修正することを含み、
終了位置と事前設定経路との偏差に基づいて、終了位置と、終了位置の移動方向との少なくとも一方を修正することは、
終了位置が、カテーテル移動経路をシミュレートするための標的動脈セグメントの管腔の範囲内にあり、事前設定経路からの前記偏差が閾値を超えている場合、終了位置の移動方向を修正することを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
動脈の伸長方向に基づいて、カテーテルが標的動脈セグメント内を移動するための事前設定経路を決定する工程は:
動脈の伸長方向に基づいて、3次元形状の標的動脈セグメントを決定すること;および
3次元形状の標的動脈セグメントの管腔内での事前設定経路を決定すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
事前設定セグメントに基づいて、標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をセグメントごとに順次シミュレートすることは:
修正された終了位置に基づいて、シミュレート予定の事前設定セグメントの開始位置を決定すること;
終了位置の修正された移動方向に基づいて、シミュレート予定の事前設定セグメントの移動方向を決定すること;および
シミュレート予定の事前設定セグメントの決定された開始位置および決定された移動方向に基づいて、シミュレート予定の事前設定セグメントでのカテーテルの移動経路をシミュレートすること
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための装置であって:
動脈の伸長方向に基づいて、カテーテルが標的動脈セグメント内を移動するための事前設定経路を決定するように構成された事前設定経路決定モジュールであって、標的動脈セグメントは、後でカテーテル経路シミュレーションの対象となり動脈瘤を含む動脈セグメントを表す、事前設定経路決定モジュールと;
標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするように構成されたシミュレーションモジュールと;
修正された移動経路を得るために、事前設定経路に基づいて移動経路を修正するように構成された修正モジュールと
を含み、
前記シミュレーションモジュールは、
事前設定されたセグメントに基づいて、標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をセグメントごとに順次シミュレートし、
前記修正モジュールは、
事前設定経路に基づいて各事前設定セグメントを修正し、
事前設定経路に基づいて各事前設定セグメントを修正することは:
事前設定セグメントの移動方向に基づいて事前設定セグメントの終了位置を決定すること;および
終了位置と事前設定経路との偏差に基づいて、終了位置と、終了位置の移動方向との少なくとも一方を修正することを含み、
終了位置と事前設定経路との偏差に基づいて、終了位置と、終了位置の移
動方向との少なくとも一方を修正することは、
終了位置が、カテーテル移動経路をシミュレートするための標的動脈セグメントの管腔の範囲内にあり、事前設定経路からの前記偏差が閾値を超えている場合、終了位置の移動方向を修正することを含む
ことを特徴とする装置。
【請求項5】
動脈の伸長方向に基づいて、カテーテルが標的動脈セグメント内を移動するための事前設定経路を決定する工程は:
動脈の伸長方向に基づいて、3次元形状の標的動脈セグメントを決定すること;および
3次元形状の標的動脈セグメントの管腔内での事前設定経路を決定すること
を含む請求項に記載の装置。
【請求項6】
事前設定セグメントに基づいて、標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をセグメントごとに順次シミュレートすることは:
修正された終了位置に基づいて、シミュレート予定の事前設定セグメントの開始位置を決定すること;
終了位置の修正された移動方向に基づいて、シミュレート予定の事前設定セグメントの移動方向を決定すること;および
シミュレート予定の事前設定セグメントの決定された開始位置および決定された移動方向に基づいて、シミュレート予定の事前設定セグメントでのカテーテルの移動経路をシミュレートすること
を含む請求項に記載の装置。
【請求項7】
電子デバイスであって:少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを含み、該メモリはプログラムを記憶し、プログラムは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたとき、
動脈の伸長方向に基づいて、カテーテルが標的動脈セグメント内を移動するための事前設定経路を決定する工程であって、標的動脈セグメントは、後でカテーテル経路シミュレーションの対象となり動脈瘤を含む動脈セグメントを表す、工程と;
標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートする工程と;
修正された移動経路を得るために、事前設定経路に基づいて移動経路を修正する工程とを行い、
標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートする工程は:
事前設定されたセグメントに基づいて、標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をセグメントごとに順次シミュレートすること;を含み、
事前設定経路に基づいて移動経路を修正する工程は:
事前設定経路に基づいて各事前設定セグメントを修正すること、を含み、
事前設定経路に基づいて各事前設定セグメントを修正することは:
事前設定セグメントの移動方向に基づいて事前設定セグメントの終了位置を決定すること;および
終了位置と事前設定経路との偏差に基づいて、終了位置と、終了位置の移動方向との少なくとも一方を修正することを含み、
終了位置と事前設定経路との偏差に基づいて、終了位置と、終了位置の移
動方向との少なくとも一方を修正することは、
終了位置が、カテーテル移動経路をシミュレートするための標的動脈セグメントの管腔の範囲内にあり、事前設定経路からの前記偏差が閾値を超えている場合、終了位置の移動方向を修正することを含む
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項8】
コンピュータ可読記憶媒体であって、電子デバイスと組み合わせて使用されるプログラムを含み、該プログラムは、プロセッサによって実行されて:
動脈の伸長方向に基づいて、カテーテルが標的動脈セグメント内を移動するための事前設定経路を決定する工程であって、標的動脈セグメントは、後でカテーテル経路シミュレーションの対象となり動脈瘤を含む動脈セグメントを表す、工程と;
的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートする工程と;
修正された移動経路を得るために、事前設定経路に基づいて移動経路を修正する工程と
を行い、
標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートする工程は:
事前設定されたセグメントに基づいて、標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をセグメントごとに順次シミュレートすること;を含み、
事前設定経路に基づいて移動経路を修正する工程は:
事前設定経路に基づいて各事前設定セグメントを修正すること、を含み、
事前設定経路に基づいて各事前設定セグメントを修正することは:
事前設定セグメントの移動方向に基づいて事前設定セグメントの終了位置を決定すること;および
終了位置と事前設定経路との偏差に基づいて、終了位置と、終了位置の移動方向との少なくとも一方を修正することを含み、
終了位置と事前設定経路との偏差に基づいて、終了位置と、終了位置の移
動方向との少なくとも一方を修正することは、
終了位置が、カテーテル移動経路をシミュレートするための標的動脈セグメントの管腔の範囲内にあり、事前設定経路からの前記偏差が閾値を超えている場合、終了位置の移動方向を修正することを含む
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンピュータシミュレーションに関し、より詳細には、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法、装置、およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、カテーテル介入は、動脈瘤手術で採用される一般的な技術である。この技術によれば、スタイレットが動脈に挿入される;次いで、カテーテルが、スタイレットの外側に被さるように操向される;スタイレットによって案内されて、カテーテルは動脈を貫通するように制御され、カテーテルの先端が動脈瘤に到達する。スタイレットが抜き取られた後、カテーテルは動脈内に留置する。カテーテル先端は、例えば薬剤注射やばねコイルなどの物質を輸送するために動脈瘤に達するように曲げられる;したがって、カテーテル先端の位置および向きは、薬剤注射などの効果に大きな影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、カテーテル介入の前に、カテーテルを血管にスムーズに挿入させるために、カテーテルの移動経路を決定し、カテーテルの移動経路を血管の形状と実質的に一致させ、血管への進入を容易にする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施形態は、血管内でのカテーテルの移動経路の従来の決定における精度不良の問題を解決するために、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法、装置、およびデバイスを提供する。
【0005】
本開示は、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法であって:
動脈の伸長方向に基づいて、カテーテルが標的動脈セグメント内を移動するための事前設定経路を決定する工程であって、標的動脈セグメントは、後でカテーテル経路シミュレーションの対象となり動脈瘤を含む動脈セグメントを表す、工程と;
標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートする工程と;
修正された移動経路を得るために、事前設定経路に基づいて移動経路を修正する工程と
を含む方法を提供する。
【0006】
本開示は、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための装置であって:
動脈の伸長方向に基づいて、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔内での事前設定経路を決定するように構成された事前設定経路決定モジュールであって、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントは、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤を含む動脈セグメントを表す、事前設定経路決定モジュールと;
標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするように構成されたシミュレーションモジュールと;
修正された移動経路を得るために、事前設定経路に基づいて移動経路を修正するように構成された修正モジュールと
を含む装置をさらに提供する。
【0007】
本開示は、電子デバイスであって:少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを含み、メモリはプログラムを記憶し、プログラムは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたとき:
動脈の伸長方向に基づいて、カテーテルが標的動脈セグメント内を移動するための事前設定経路を決定する工程であって、標的動脈セグメントは、後でカテーテル経路シミュレーションの対象となり動脈瘤を含む動脈セグメントを表す、工程と;
標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートする工程と;
修正された移動経路を得るために、事前設定経路に基づいて移動経路を修正する工程と
を行う、電子デバイスを提供する。
【0008】
本開示は、コンピュータ可読記憶媒体であって、電子デバイスと組み合わせて使用されるプログラムを含み、プログラムは、プロセッサによって実行されて:
動脈の伸長方向に基づいて、カテーテルが標的動脈セグメント内を移動するための事前設定経路を決定する工程であって、標的動脈セグメントは、後でカテーテル経路シミュレーションの対象となり動脈瘤を含む動脈セグメントを表す、工程と;
標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートする工程と;
修正された移動経路を得るために、事前設定経路に基づいて移動経路を修正する工程と
を行う、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0009】
本開示の実施形態で採用される上記の技術的解決策の少なくとも1つは、以下の有益な効果を実現することがある。
【0010】
本開示の実施形態では、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法であって:動脈の伸長方向に基づいて、カテーテルが標的動脈セグメント内を移動するための事前設定経路を決定する工程であって、標的動脈セグメントは、後でカテーテル経路シミュレーションの対象となり動脈瘤を含む動脈セグメントを表す、工程と;標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートする工程と;修正された移動経路を得るために、事前設定経路に基づいて移動経路を修正する工程とを含み;このようにして、結果として得られたシミュレートおよび修正されたカテーテル経路は、動脈内でのカテーテルの実際の移動経路を特徴付けることができ、動脈の管腔内に留置するカテーテルの実質的な形状を反映することもでき、ここで、修正された移動経路は、動脈の形状とかなり一致し、移動経路は、3次元空間における動脈の形態との整合性を維持し、例えば動脈が螺旋形状を有するとき、カテーテルは、動脈壁に付着して螺旋状にかつ上方に移動することができる。修正された移動経路に基づいて、血管内でのカテーテルの移動経路、ならびに血管内に留置するカテーテルの形状および位置をより正確に決定することができ、それにより、操作者は、血管内の指定された位置にカテーテルを挿入することができるかどうかをより直感的に判断することができ、利便性が高まる。
【0011】
本明細書で例示される図面は、本開示のさらなる理解を提供するために使用され、本開示の一部を成す。本開示の例示的実施形態およびその記載は、本開示を説明するために使用され、本開示に対する不適切な制限とはならない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一実施形態による、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法の流れ図である。
図2】本開示の一実施形態による、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法の原理概略図である。
図3】本開示の一実施形態による、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法の原理概略図である。
図4】本開示の一実施形態による、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法の原理概略図である。
図5】本開示の一実施形態による、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法の原理概略図である。
図6】本開示の一実施形態による、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法の効果図である。
図7】本開示の一実施形態による、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法の原理概略図である。
図8】本開示の一実施形態による、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法の原理概略図である。
図9】本開示の一実施形態による、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
従来技術の分析により見出されるように、カテーテルの成形を決定するときに、医師が、動脈の2次元形状に基づいて動脈の3次元形状を熟考し、主観的な測定に基づいて成形予定のカテーテルの湾曲部、湾曲方向、および湾曲角度を決定し、次いで、測定された湾曲部、湾曲方向、および湾曲角度に基づいてカテーテルを成形する。しかし、この解決策は、ランダムな因子によって大きな影響を及ぼされる医師の主観的な測定に依拠しており、カテーテルの成形を正確に決定することはできない。
【0014】
本開示の一実施形態は、カテーテルの形状をシミュレートするための方法であって、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートし、次いで、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔内での事前設定経路に基づいて移動経路を修正することによって、修正された移動経路を得ることができる方法を提供する。本開示の実施形態では、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法は:動脈の伸長方向に基づいて、カテーテルが標的動脈セグメント内を移動するための事前設定経路を決定する工程であって、標的動脈セグメントは、後でカテーテル経路シミュレーションの対象となり動脈瘤を含む動脈セグメントを表す、工程と;標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートする工程と;修正された移動経路を得るために、事前設定経路に基づいて移動経路を修正する工程とを含み;このようにして、結果として得られたシミュレートおよび修正されたカテーテル経路は、動脈内でのカテーテルの実際の移動経路を特徴付けることができ、動脈の管腔内に留置するカテーテルの実質的な形状を反映することもでき、ここで、修正された移動経路は、動脈の形状とかなり一致し、移動経路は、3次元空間における動脈の形態との整合性を維持し、例えば動脈が螺旋形状を有するとき、カテーテルは、動脈壁に付着して螺旋状にかつ上方に移動することができる。修正された移動経路に基づいて、血管内でのカテーテルの移動経路、ならびに血管内に留置するカテーテルの形状および位置をより正確に決定することができ、それにより、操作者は、血管内の指定された位置にカテーテルを挿入することができるかどうかをより直感的に判断することができ、利便性が高まる。
【0015】
本開示の目的、技術的解決策、および利点をより明瞭にするために、本開示の実施形態および対応する図面を参照して本開示の技術的解決策を明確にかつ包括的に述べる。明らかに、本明細書で述べる実施形態は、本開示の実施形態の一部にすぎず、すべてではない。本発明の作業を実践することなく本開示の実施形態に基づいて当業者によって得られる他のすべての実施形態が、本開示の保護範囲に含まれるものとする。
【0016】
図1は、本開示の一実施形態による、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法の概略流れ図を示し、以下の工程を含む:
【0017】
工程101:動脈の伸長方向に基づいて、カテーテルが標的動脈セグメント内を移動するための事前設定経路を決定する工程であって、標的動脈セグメントは、後でカテーテル経路シミュレーションの対象となり動脈瘤を含む動脈セグメントを表す、工程。
【0018】
標的動脈セグメントは、シミュレート予定の動脈瘤セグメントと呼ぶこともあることに留意されたい。
【0019】
本開示の実施形態では、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントは、実際の血管形状に基づいて構築されたモデルであり得る。具体的には、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントは、3次元形態のカテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントであり得る。なぜなら、3次元形態のカテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントは、血管形態をより忠実に反映することができるからである。
【0020】
特に、動脈瘤の動脈セグメントは、動脈のカテーテル入口から動脈瘤までの部分セグメント、および部分セグメントに接続された動脈瘤を含むことがある。
【0021】
このようにして、動脈の伸長方向に基づいて、カテーテルが標的動脈セグメント内を移動するための事前設定経路を決定する工程は:
動脈の伸長方向に基づいて、3次元形状の標的動脈セグメントを決定すること;および
3次元形状の標的動脈セグメントの管腔内での事前設定経路を決定すること
を含む。
【0022】
本実施形態では、3次元形状の標的動脈セグメントを決定するために、動脈は、3次元セグメンテーションを施されることがあり、動脈の3次元モデルが再構築される。動脈の3次元セグメンテーションのためのアルゴリズムおよび技術として、以下のものを挙げることができる:パターン認識技術、モデルベースの方法、追跡ベースの方法、人工知能法、およびニューラルネットワーク法など。ここでは特に限定されない。
【0023】
本開示の実施形態では、事前設定経路は、カテーテルのシミュレートされた移動経路を後で修正するためのベースラインとして機能することがある。移動経路を動脈形状とかなり一致させるために、事前設定経路は、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの中心線に沿った経路;または、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの中心線から特定の距離だけ逸脱した経路であり得て、したがって、事前設定経路は、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの中心線に平行であっても突き当たってもよい。
【0024】
本開示の実施形態では、動脈の伸長方向に基づいて、カテーテルが標的動脈セグメント内を移動するための事前設定経路を決定する工程は:
動脈へのカテーテル入口と動脈瘤との間の介在セグメント(intervention segment)を決定すること;
動脈の伸長方向に基づいて、介在セグメントに関する標的動脈セグメントの管腔内での事前設定経路を決定すること
をさらに含むことがある。
【0025】
実際の操作では、カテーテルは、動脈に形成された入口を通して動脈に挿入され、ここで、介在セグメントは、カテーテル先端部分と接続され、カテーテル先端部分が動脈瘤に挿入された後に動脈に挿入されるカテーテル部分を表すことがある。ここで、介在セグメントに関する標的動脈セグメントの管腔内での事前設定経路を決定する目的は、介在セグメントに対応するカテーテルの部分の形状を最後にシミュレートすることであり、これは、動脈内でのカテーテルの安定性をさらに高めることができる。
【0026】
S102:標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートする工程。
【0027】
本開示の実施形態では、カテーテルの移動経路をシミュレートすることによって、実際の状況で動脈に挿入されるカテーテルの移動経路がシミュレートされ、動脈内でのカテーテルの実質的な形状が得られる。ここで、カテーテルの移動経路は、カテーテルの移動経路をシミュレートするための事前に構築された動脈瘤セグメントの管腔を使用してシミュレートされる。
【0028】
本開示の実施形態では、標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートする工程は:
事前設定されたセグメントに基づいて、標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をセグメントごとにシミュレートすること
を含むことがある。
【0029】
実際の状況では、カテーテルが動脈内を移動しているとき、カテーテル先端は事前設定経路に沿って移動する;カテーテル先端は、動脈壁に突き当たったとき、向きを変えて移動を続ける;したがって、移動経路全体が実際にセグメント化される。この実際の状況に照らして、本開示の実施形態は、事前設定されたセグメントに基づいて、標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をセグメントごとに順次にシミュレートすることを行う。
【0030】
本開示の実施形態では、各事前設定セグメントの長さは、ランダムに設定されることも、実際の動脈の状況に基づいて設定されることもあるが、ここでは特に限定されない。シミュレーションプロセス中、事前設定セグメントは固定して設定されることも、時として移動経路と共に変化することもあるが、ここでは特に限定されない。
【0031】
図2は、本開示の一実施形態による、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法の原理概略図を示し、ここで、Q1は、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔を示す;L1は、事前設定経路を示す;c-nは、シミュレートされた任意の事前設定セグメントを表すことがあり、ここで、cは、事前設定セグメントの開始位置を示し、nは、事前設定セグメントの終了位置を示し、
【数1】
は、事前設定セグメントの移動方向を示す。
【0032】
本開示の実施形態では、移動経路の開始点は、事前設定経路の開始点に基づいて決定されることも、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔内の別の位置の点に基づいて決定されることもあり、ここでは特に制限されていない。
【0033】
事前設定セグメントは、シミュレートされた移動経路のセクションとして機能することがあり、この事前設定セグメントに基づいて、次の事前設定セグメントに対応する移動経路がシミュレートされる。具体的には、この事前設定セグメントの終了位置nから次の事前設定セグメントの開始位置が決定され、この事前設定セグメントの移動経路から次の事前設定セグメントの移動方向が決定される;このようにして、次の事前設定セグメントがシミュレートされる。この原理に従って、事前設定セグメントに基づいて、標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をセグメントごとに順次にシミュレートすることが行われる。
【0034】
S103:決定された事前設定経路に基づいて移動経路を修正する工程。
【0035】
本開示の実施形態では、実際の状況において、カテーテルは、事前設定経路に沿って正確には動脈内を移動しない;逆に、事前設定経路から常に逸脱し、カテーテルの移動軌道は絶えず変化する。このようにして、標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするとき、シミュレートされた移動経路は、場合によっては事前設定経路から逸脱する;したがって、移動経路と事前設定経路との偏差ができるだけ小さくなるように、シミュレートされた移動経路を修正する必要がある。
【0036】
工程S102を参照して、事前設定セグメントに基づいて、シミュレートされる動脈瘤セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路がセグメントごとに順次にシミュレートされる場合、事前設定経路に基づいて移動経路を修正する工程は:
事前設定経路に基づいて各事前設定セグメントを修正すること
を含むことがある。
【0037】
シミュレーションプロセス中、1つの事前設定セグメントがシミュレートされた後、事前設定セグメントの移動経路が直ちに修正され、次いで、次の事前設定セグメントがシミュレートされて修正される。代替として、まず移動経路全体がシミュレートされ、次いで、それぞれの事前設定セグメントに対して修正が行われる。本開示は、それに特に限定されない。
【0038】
この場合、修正された事前設定セグメントは、最終的にシミュレートされた移動経路の一部として作用する。
【0039】
本開示の実施形態では、事前設定経路に基づいて各事前設定セグメントを修正することは:
事前設定セグメントの移動方向に基づいて事前設定セグメントの終了位置を決定すること;および
終了位置と事前設定経路との偏差に基づいて、終了位置と、終了位置の移動方向との少なくとも一方を修正すること
を含むことがある。
【0040】
修正プロセス中、終了位置と事前設定経路との偏差に基づいて、終了位置と、終了位置の移動方向との少なくとも一方を修正することは:
事前設定セグメントの終了位置と事前設定経路との偏差を決定すること;
事前設定経路からの偏差が閾値を超えているかどうかを判断すること;
「いいえ」の場合、次の事前設定セグメントに対応する移動経路をシミュレートすることを決定すること;
「はい」の場合、終了位置に対応する事前設定セグメントを修正し、修正された事前設定セグメントに基づいて次の事前設定セグメントに対応する移動経路をシミュレートすることを決定すること
を含むことがある。
【0041】
具体的には、終了位置と事前設定経路との偏差に基づいて、終了位置と、終了位置の移動方向との少なくとも一方を修正することは、以下のことを含むことがある:
終了位置が、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔の範囲内にあり、事前設定経路からのその偏差が閾値を超えている場合、終了位置の移動方向を修正すること;
現在の終了位置が、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔の範囲内に依然としてあり、事前設定経路からのその偏差が閾値を超えない場合、これは、事前設定セグメントの終了位置が、次の事前設定セグメントの開始位置として機能することがあることを示す。しかし、事前設定経路からの現在の事前設定セグメントの終了位置の偏差が閾値を超える場合、これは、現在の事前設定セグメントと事前設定経路との間に比較的大きな偏差があることを示す;この場合、次の事前設定セグメントが現在の事前設定セグメントの移動方向に基づいて依然としてシミュレートされる場合には、次の事前設定セグメントが、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔壁に突き当たる、またはカテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔の範囲を超えて移動する可能性が高くなる。この場合、現在の事前設定セグメントのシミュレートされた移動方向を修正し、修正された移動方向に基づいて次の事前設定セグメントをシミュレートすることによって、次の事前設定セグメントは事前設定経路に近く、または事前設定経路からの偏差が閾値を超えず、または事前設定セグメントが管腔の範囲を超えて移動しない。
【0042】
本開示の実施形態では、閾値は、必要に応じて設定されるが、ここでは特に限定されない。終了位置が、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔の範囲内にあることは:
終了位置が管腔の管腔壁と事前設定経路との間に位置する;
ことを表すことがあり、または:
終了位置が管腔の管腔壁に位置する
ことを表すことがある。
【0043】
本開示の実施形態において、事前設定経路からの終了位置の偏差が閾値を超えることは、事前設定セグメントの終了位置から事前設定経路上の指定された点までの距離が閾値を超えることを表すことがあり、ここで、事前設定セグメントの終了位置から事前設定経路上の指定された点までの距離は、事前設定セグメントの終了位置と事前設定経路との偏差度を特徴付けるために使用される。特に、終了位置から指定された点までの距離は、終了位置から事前設定経路上の他の点までの距離よりも短いので、指定された点は、事前設定経路上の終了位置に最も近い点を表す。移動経路全体をシミュレートするプロセス中、指定された点は常に変化する。
【0044】
本開示の実施形態では、事前設定経路からの終了位置の偏差は、終了位置から事前設定経路上の指定された点までの距離と動脈の半径との比によって特徴付けられることもある;この比が大きいほど、終了位置と事前設定経路との偏差が大きくなる。
【0045】
この場合、事前設定セグメントを修正する原理について図2を参照することができ、ここで、eは、事前設定経路L1上の指定された点を示し、ここで、事前設定セグメントc-nの終了位置nと点eとの距離dは、事前設定経路L1上の他の点までの距離よりも短く、eは、L1上のnに最も近い点を示す;Rは、動脈の半径を示し、
【数2】
は、点eでの事前設定経路L1の接線方向を示す;βは、事前設定セグメントc-nの移動方向
【数3】

【数4】
とが成す夾角を示し、ここで、
【数5】
は、
【数6】
の修正から得られた移動方向を示し、αは、終了位置nでの移動方向
【数7】
と修正された移動方向
【数8】
とが成す夾角を示す。このようにして、
【数9】
は、αを計算することによって決定される。
【0046】
図2では、dが閾値を超えている;このとき、Q1の範囲内のL1からのnの偏差が閾値を超える;この場合、nの移動方向は、以下の中心線拘束原理(centerline constraint principle)に従って修正される。
【0047】
したがって、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔の範囲内に終了位置があり、事前設定経路からの偏差が閾値を超える場合、終了位置の移動方向を修正することは:以下の式に基づいて、終了位置の移動方向
【数10】
と修正された移動方向
【数11】
とが成す夾角を決定することを含むことがある:
α=φ sigmoid(β/π,α1,β1)+sigmoid(d/R,α2,β2));
ここで、φは、角度の実験定数値を示す;
dは、終了位置から事前設定経路上の指定された点までの距離を示す;
Rは、動脈の半径を示す;
βは、終了位置の移動方向と事前設定経路上の指定された点での接線方向とが成す夾角を示す;
【数12】
ここで、α1はαに対応する実験定数値であり、β1はβに対応する実験定数値であり;
【数13】
ここで、α2はαに対応する実験定数値であり、β2はβに対応する実験定数値であり、
ここで、φは、終了位置の移動方向と修正された移動方向とが成す夾角の底角を示す;φがより大きい値を取るとき、修正された移動経路は事前設定経路に近づく。φがより小さい値を取るとき、修正された移動経路は、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔壁に近づく。
【0048】
現在の移動方向
【数14】
と修正された移動方向
【数15】
とが成す夾角αが決定された後、終了位置nの移動方向
【数16】
は、αに基づいて直ちに修正されて、図2の移動方向
【数17】
によって示されているように、修正された移動方向
【数18】
が得られる。
【0049】
特に、
【数19】
については、図2図3を合わせて参照されたい。ここで、図3は、本開示の一実施形態による、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法の原理概略図を示す。図3に示される座標系は、横座標としてβ/π、縦座標としてsigmoid(β/π,α1,β1)を有する関数イメージであり、ここで、α1=0.5、β1=0.1である;このようにすると、図3に示される座標系は、αがβと共に変化する曲線を表し、現在の移動方向
【数20】
と修正された移動方向
【数21】
とが成す夾角αがβの増加と共に増加することを示す。関数イメージの傾きは、βに伴う
【数22】

【数23】
とが成す夾角αの変化の敏感度を表す。
【0050】
図3に示すイメージでは、β/πがα1よりも小さいとき、βが増加するにつれて傾きが増加する;β/πがα1よりも大きいとき、βが増加するにつれて傾きが減少する。ここで、α1=0.5、β1=0.1であり、β=π/2を示す。
【0051】
特に、
【数24】
については、図2図4を合わせて参照されたい。ここで、図4は、本開示の一実施形態による、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法の原理概略図を示す。図4に示される座標系は、横座標としてd/R、縦座標としてsigmoid(d/R,α2,β2)を有する関数イメージを示す。ここで、α2=0.8、β2=0.05である;このようにすると、図4に示される座標系は、dに伴うαの変化の曲線を示し、曲線は、αがdの増加と共に増加することを示す。関数イメージの傾きは、dに伴うαの変化の感度を示す。
【0052】
φ、α1、β1、α2、およびβ2の値を調節することによって、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの特定のシナリオに基づいて所望の移動経路が得られる。
【0053】
本開示の実施形態で述べる技術的解決策により、各事前設定セグメントの終了位置と事前設定経路との偏差に基づいて、終了位置の移動方向が修正される。したがって、上記の式の特定の表現は、本開示の実施形態にすぎず、本開示を限定するためのものではない。
【0054】
本開示の実施形態では、終了位置と事前設定経路との偏差に基づいて、終了位置と、終了位置の移動方向との少なくとも一方が修正されることは、以下のことを含むことがある:
終了位置が、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔外に位置する場合、終了位置が、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔の範囲内に位置するまで終了位置および終了位置の移動方向を修正する;
カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔外に終了位置がある場合、これは実際の状況から乖離している;したがって、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔の範囲内に終了位置が修正される。
【0055】
本開示の実施形態では、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔の範囲内に終了位置が位置するまで終了位置および終了位置の移動方向を修正することは:
管腔の管腔壁に対して終了位置を修正すること
を含むことがある。
【0056】
この時点で、管腔の管腔壁は、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔の境界であり、これは、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔の範囲を限定するためのものであり、したがって、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔の範囲の一部分とみなされる。
【0057】
事前設定セグメントの終了位置が、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔外に位置する場合、これは、現在の事前設定セグメントが、対応する動脈が比較的大きい湾曲度を有する位置に到達しており、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントと事前設定セグメントとの交差位置での曲率は比較的大きいことを示す。管腔の管腔壁に対して終了位置を修正することによって、修正された移動経路は、終了位置にニーポイント(knee point)を形成することがあり、したがって比較的大きな曲率を有する。ニーポイントの成形により、修正された移動経路に基づいて成形されたカテーテルは、ニーポイント位置で良好な支持の役割を果たす。
【0058】
この場合、次の事前設定セグメントの移動経路(管腔壁での修正された終了位置を次の事前設定セグメントの開始位置とし、修正された終了位置の移動方向を次の事前設定セグメントの移動方向としてシミュレートされる)は、実際の動脈環境でのカテーテルの移動経路と一致する。
【0059】
実際の用途では、管腔の管腔壁に対して終了位置を修正することは:
事前設定セグメントの開始位置を回転中心として、事前設定経路に徐々に近づく方向に沿って終了位置が管腔の管腔壁に位置するまで事前設定セグメントを回転させること
を含むことがある。
【0060】
事前設定経路に近づく方向に沿って事前設定セグメントを回転させる目的は、修正された終了位置の移動方向が180°偏向(すなわち反転)しないことを保証することである。
【0061】
本開示の実施形態では、終了位置が管腔の管腔壁に位置するまで事前設定セグメントを回転させることは:
管腔の管腔壁と事前設定セグメントとの交差位置の法線ベクトルを決定するとき、法線ベクトルと事前設定セグメントの移動方向とに基づいて回転面を決定すること;
回転面において、事前設定セグメントの開始位置を回転中心として、事前設定経路に徐々に近づく方向に沿って終了位置が管腔の管腔壁に位置するまで事前設定セグメントを回転させること
を含むことがある。
【0062】
実際の動脈の形状に対応して、本開示の実施形態で述べるカテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントは、螺旋形状を有する;管腔の管腔壁と事前設定セグメントとの交差位置は、管腔壁が比較的大きな曲率を有する位置に対応することがある;したがって、法線ベクトルに基づいて回転面を決定することによって、事前設定経路に徐々に近づく方向に沿って事前設定セグメントが回転するときに回転軌道が最短になる。一方、修正された移動経路は、3次元空間でのカテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの形態との整合性を維持することができる;例えば、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントが螺旋形状を有するとき、修正された移動経路も螺旋形状を有することができる;したがって、この修正された移動経路に基づいて決定されたカテーテルは、動脈内を移動しているとき、動脈の形状に合うように湾曲されて、より容易に動脈に入る。
【0063】
ここで図5を参照すると、図5は、本開示の一実施形態による、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法の原理概略図を示し、具体的には、事前設定セグメントの終了位置が管腔外に位置するときの修正原理概略図を示す。
【0064】
図5に示されるように、Q2は、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔を示す;L2は、事前設定経路を示す;g-hは、現在のシミュレートされている事前設定セグメントを示し、gは、事前設定セグメントの開始位置を示す;hは、事前設定セグメントの終了位置を示す;g-hの移動方向は
【数25】
である;qは、事前設定セグメントg-hとQ2の管腔壁との交点を示す;Pqは、qでのQ2の接平面を示す;
【数26】
は、接平面の法線ベクトルを示す。
【0065】
具体的な修正原理は以下のように述べることができる:
【数27】
および
【数28】
に基づいて回転面を決定する;回転面において、事前設定セグメントg-hは、gを回転中心として回転され、終了位置の運動軌道Lが得られ、終了位置がhからh’に回転され、ここで、h’は管腔壁に位置し、
【数29】
は、修正された終了位置h’の移動方向である。
【0066】
このようにして、修正された事前設定セグメントg-h’は、最終的な移動経路の一部として働く。
【0067】
次に、修正された終了位置h’および修正された終了位置の移動方向
【数30】
に基づいて、次の事前設定セグメントの移動経路がシミュレートされる。
【0068】
次の事前設定セグメントの終了位置が、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔の範囲外に依然として位置する場合、次の事前設定セグメントの終了位置および終了位置の移動方向は、図5に示されるように(ここでは詳述しない)、事前設定セグメントの終了位置が管腔外に位置するシナリオに適用可能な修正原理を使用して修正される。次の事前設定セグメントの終了位置が、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔の範囲内に位置する場合、終了位置の移動方向は、上記の中心線拘束原理(ここでは詳述しない)に基づいて修正される。
【0069】
本開示の実施形態では、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔の範囲内に終了位置が位置するまで終了位置および終了位置の移動方向を修正することは:
事前設定経路からの偏差が閾値よりも小さくなるように、管腔の範囲内に位置するまで終了位置を修正すること
を含むことがある。
【0070】
このプロセス中、具体的には、事前設定経路からの偏差が閾値よりも小さくなるように、管腔の範囲内に入るまで終了位置を修正することは:
事前設定経路からの偏差が閾値未満になるように終了位置が管腔の範囲内になるまで、事前設定経路に徐々に近づく方向に沿って、事前設定セグメントの開始位置を中心として事前設定セグメントを回転させること
を含むことがある。
【0071】
具体的な修正原理は、以下のように述べることができる:終了位置から事前設定経路までの最小距離が閾値未満になるまで、事前設定経路に徐々に近づく方向に沿って事前設定セグメントを回転させる。このプロセス中、終了位置から事前設定経路までの最小距離は、最小距離が閾値未満になることを得られるまでリアルタイムで計算される。
【0072】
本開示の実施形態において、現在の事前設定セグメントの終了位置が、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔外に位置するとき、管腔の範囲内に位置する事前設定セグメントの部分が依然として存在する場合には、終了位置および終了位置の移動方向を修正することは:
事前設定セグメントの移動方向とは逆方向に沿って管腔の範囲内に位置するまで事前設定セグメントを狭めること
を含むことがある。
【0073】
本開示の実施形態では、終了位置および終了位置の移動方向の少なくとも一方が、終了位置と事前設定経路との偏差に基づいて修正された後、事前設定されたセグメントに基づいて標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をセグメントごとに順次にシミュレートすることは:
修正された終了位置に基づいて、シミュレート予定の事前設定セグメントの開始位置を決定すること;
終了位置の修正された移動方向に基づいて、シミュレート予定の事前設定セグメントの移動方向を決定すること;および
シミュレート予定の事前設定セグメントの決定された開始位置および決定された移動方向に基づいて、シミュレート予定の事前設定セグメントでのカテーテルの移動経路をシミュレートすること
を含むことがある。
【0074】
本開示の実施形態では、動脈瘤での事前設定経路の長さが限られていることを考慮して、標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートする工程は:
修正された移動経路の長さが事前設定経路の長さを超えるまで、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメント内でのカテーテルの移動経路をシミュレートすること
を含むことがある。
【0075】
工程S101~S103によって、図6に具体的に示されるように、カテーテルのシミュレートされた移動経路が得られ、図6は、本開示の実施形態による血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法の効果図を示し、具体的には、本開示の実施形態で述べられるようにカテーテルの形状をシミュレートする方法に基づいて得られたカテーテル移動経路を具体的に示し、ここで、Q3は、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔を示し、L3は、事前設定経路を示し、L4は、修正された移動経路を示す;図6に示されるように、許容範囲内で、修正された移動経路は、事前設定経路と実質的に一致する;このようにして、修正された移動経路に基づいて決定されたカテーテルが動脈内に留置するとき、良好な安定性が提供される。
【0076】
カテーテルが動脈に入るプロセスは、修正された移動経路に基づいてシミュレートされ、それにより、動脈内でのカテーテルの移動経路、および動脈内に留置するカテーテルの形状および位置がより正確に決定され、それにより、操作者は、動脈内の指定された位置にカテーテルを挿入することができるかどうかをより直感的に判断することができ、利便性が高まる。
【0077】
修正された移動経路が得られたとき、修正された移動経路に基づいてカテーテル介入をシミュレートすることができ、修正された移動経路に基づいてカテーテルの形状を決定することもできる。
【0078】
本開示の実施形態では、カテーテルの移動経路の修正に基づいて、修正された移動経路に基づいてカテーテルの形状が決定される。このようにして、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔内の事前設定経路は、動脈の伸長方向に基づいて決定される;
標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路がシミュレートされる;および
移動経路は、事前設定経路に基づいて修正されて、修正された移動経路が得られる。
【0079】
血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法は:修正された移動経路に基づいてカテーテルの形状を決定する工程をさらに含むことがある。本開示の実施形態では、修正された移動経路に基づいてカテーテルの形状を決定することによって、湾曲部、ならびに湾曲部の湾曲角度および湾曲方向が正確に決定され、それにより、シミュレートされる動脈瘤セグメントの形態により良く適合する。
【0080】
本開示の実施形態では、修正された移動経路に基づいてカテーテルの形状を決定することは:
移動経路を処理し、カテーテルの伸長方向に沿ったカテーテルの少なくとも1つの湾曲部分の湾曲角度を決定すること
を含むことがある。
【0081】
湾曲部分とは、カテーテルを成形するときのカテーテルの湾曲部を表す;修正された移動経路は、動脈の管腔に留置するカテーテルの実質的な形状を反映することがある;したがって、動脈の伸長方向に沿った少なくとも1つの湾曲部の湾曲角度は、修正された移動経路に基づいて決定される。
【0082】
したがって、カテーテルの伸長方向に沿ったカテーテルの少なくとも1つの湾曲部の湾曲角度を決定することは:
カテーテルの伸長方向に沿ったカテーテルの少なくとも1つの湾曲部の湾曲角度および湾曲方向を決定すること
を含むことがある。
【0083】
したがって、本開示の実施形態では、カテーテルの伸長方向に沿ったカテーテルの少なくとも1つの湾曲部の湾曲角度を決定することは:
修正された移動経路に沿って分布されるターゲットポイントを決定すること;および
修正された移動経路によってターゲットポイントで形成される湾曲角度に基づいて湾曲部の湾曲角度を決定すること
を含むことがある。
【0084】
本開示の実施形態において、修正された移動経路によってターゲットポイントで形成される湾曲角度は、移動経路がターゲットポイントに進むときの移動方向と修正された移動方向とが成す夾角を表す。このようにして、修正された移動経路によってターゲットポイントで形成される湾曲角度に基づいて湾曲部の湾曲角度を決定することは:
修正された移動経路がターゲットポイントに近づくときの移動方向の、修正された移動方向からの偏向方向に基づいて、湾曲部の湾曲方向を決定すること;および
修正された移動経路がターゲットポイントに移動するときの移動方向と修正された移動方向とが成す夾角に基づいて湾曲部の湾曲角度を決定すること
を含むことがある。
【0085】
特に、修正された移動経路がターゲットポイントに移動するときの移動方向の、修正された移動方向からの偏向方向は、右手の法則に従う。これは、修正された移動経路がターゲットポイントに移動するときの移動方向のベクトルと、修正された移動方向のベクトルとの外積に基づいて特に決定される。
【0086】
特に、修正された移動経路がターゲットポイントに移動するときの移動方向と修正された移動方向とが成す夾角に基づいて湾曲部の湾曲角度を決定することは:
修正された移動経路によってターゲットポイントで形成される湾曲角度を、湾曲部の湾曲角度として直接決定すること
を含むことがある。
【0087】
本開示の実施形態では、カテーテルが本来的に弾性を有し、成形された後に反発することがあることを考慮して、湾曲部の決定された湾曲角度を、ターゲットポイントでの修正された移動経路によって形成される湾曲角度よりも大きくすることがある。この時点で、修正された移動経路によってターゲットポイントで形成される湾曲角度に基づいて湾曲部の湾曲角度を決定することは:
修正された移動経路によってターゲットポイントで形成される湾曲角度、および成形プロセス中のカテーテルの反発率に基づいて湾曲部の湾曲角度を決定すること
を含むことがある。
【0088】
具体的には、図7を参照すると、図7は、本開示の一実施形態による、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法の原理概略図を示し、具体的には、工程S101~S103から得られた修正された移動経路の概略図を示し、ここで、移動経路上のpとpとの間の複数のターゲットポイントが選択され、次いで、複数のターゲットポイントで形成される複数の湾曲角度が決定される。
【0089】
図8を参照すると、図8は、本開示の一実施形態による、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための方法の原理概略図を示し、具体的には、修正された移動経路によってターゲットポイントpで形成される湾曲角度αが、移動経路がターゲットポイントpに進むときの移動方向
【数31】
と修正された移動方向
【数32】
とが成す夾角を表し、移動経路がターゲットポイントpに進むときの移動方向の偏向度(または偏向角度)を表し、ここで、β+αは、湾曲部の決定された湾曲角度を表し、βは、材料とカテーテルの反発率とに基づいて決定された湾曲角度を表すが、ここでは特に限定されない。
【0090】
本開示の実施形態では、修正された移動経路上のターゲットポイントを決定することは:
修正された移動経路上のニーポイントをターゲットポイントとして使用すること
を含むことがある。
【0091】
修正された移動経路上のニーポイントは、移動経路の移動方向が比較的大きい偏向度を有する点を表す;したがって、ニーポイントをターゲットポイントとして選択することによって、カテーテルが動脈内の対応する位置に移動するときに、カテーテルがより容易に動脈内で移動することができるように、ニーポイント位置での動脈の形状の変形に適用させることができる。一方、ニーポイントは、移動経路上で比較的大きな曲率を有する点でもあり、したがって、カテーテルが動脈内に留置するときに、ニーポイントはカテーテルに対する良好な支持の役割を果たすことができる。
【0092】
本開示の実施形態では、修正された移動経路上のニーポイントをターゲットポイントとして決定することは:
ニーポイントでの修正された移動経路の移動方向の偏向角度を決定することであって、ここで、偏向角度は、移動経路がターゲットポイントに進むときの移動方向と修正された移動方向とが成す夾角を表すこと;
偏向角度が偏向閾値を超える場合、ニーポイントをターゲットポイントとして使用すること
を含むことがある。
【0093】
図8に示されるように、pは、移動経路上のニーポイントである。
【0094】
本開示の実施形態では、修正された移動経路が、シミュレートされてセグメントごとに順次に接続された事前設定セグメントを含む場合、修正された移動経路上のニーポイントをターゲットポイントとして決定することは:
修正された移動経路上の2つの隣接する事前設定セグメントを接続する接続点をニーポイントとして使用すること
を含むことがある。
【0095】
図8に示されるように、修正された移動経路は、連続して接続された事前設定セグメントpn-1とpn+1を含む;このとき、ターゲットポイントpは、pn-1とpn+1を接続する接続点、つまり移動経路のニーポイントである。事前設定セグメントpn-1の移動方向は
【数33】
であり、事前設定セグメントpn+1の移動方向は
【数34】
である。図中の平面は、
【数35】
および
【数36】
に基づいて決定された平面である。
【0096】
本開示の実施形態では、カテーテルは、湾曲部の湾曲角度が決定された後に成形され、具体的には:
燻蒸(fumigate)するために蒸気内に湾曲部を配設すること;
成形のために、燻蒸された湾曲部を冷水内に配設すること
を含むことがある。
【0097】
本開示の実施形態に記載されるようにカテーテル形状をシミュレートするための方法により、結果として得られたシミュレートおよび修正されたカテーテル移動経路は、動脈内でのカテーテルの実際の移動経路を特徴付けることができ、動脈の管腔内に留置するカテーテルの実質的な形状を反映することもでき、ここで、修正された移動経路は、動脈の形状とかなり一致する。したがって、実施形態で述べる技術的解決策は、カテーテル形状をより正確に決定することができ、そのような成形されたカテーテルは、動脈内に留置するときにより良い安定性を有する。さらに、カテーテルは、3次元空間で動脈との形態学的整合性を維持する。例えば、動脈が螺旋形状を有するとき、カテーテルは、動脈壁に付着して螺旋状にかつ上方に移動することができる;したがって、この修正された移動経路に基づいて決定されたカテーテルは、動脈内を移動しているとき、動脈の形状に合うように湾曲されて、より容易に動脈に入る。
【0098】
図9は、本開示の一実施形態による、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための装置の構造概略図を示す。
【0099】
本開示の一実施形態による、血管内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするための装置は:
動脈の伸長方向に基づいて、カテーテルが標的動脈セグメント内を移動するための事前設定経路を決定するように構成された事前設定経路決定モジュール901であって、標的動脈セグメントは、後でカテーテル経路シミュレーションの対象となり動脈瘤を含む動脈セグメントを表す、事前設定経路決定モジュール901と;
標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートするように構成されたシミュレーションモジュール902と;
修正された移動経路を得るために、事前設定経路に基づいて移動経路を修正するように構成された修正モジュール903と
を含むことがある。
【0100】
場合により、動脈の伸長方向に基づいて、カテーテルが標的動脈セグメント内を移動するための事前設定経路を決定する工程は:
動脈の伸長方向に基づいて、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントの管腔内での事前設定経路を決定することであって、カテーテル移動経路をシミュレートするための動脈瘤セグメントが、動脈瘤を含む動脈セグメントのシミュレートされたセグメントを表すこと;
標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートすること;および
修正された移動経路を得るために、事前設定経路に基づいて移動経路を修正すること
をさらに含む。
【0101】
場合により、動脈の伸長方向に基づいて、カテーテルが標的動脈セグメント内を移動するための事前設定経路を決定する工程は:
動脈の伸長方向に基づいて、3次元形状の標的動脈セグメントを決定すること;および
3次元形状の標的動脈セグメントの管腔内での事前設定経路を決定すること
を含む。
【0102】
場合により、標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートする工程は:
事前設定されたセグメントに基づいて、標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をセグメントごとに順次にシミュレートすること、を含み;
事前設定経路に基づいて移動経路を修正する工程は:
事前設定経路に基づいて各事前設定セグメントを修正すること、を含む。
【0103】
場合により、事前設定経路に基づいて各事前設定セグメントを修正することは:
事前設定セグメントの移動方向に基づいて事前設定セグメントの終了位置を決定すること;および
終了位置と事前設定経路との偏差に基づいて、終了位置と、終了位置の移動方向との少なくとも一方を修正すること
を含む。
【0104】
場合により、事前設定されたセグメントに基づいて、標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をセグメントごとに順次にシミュレートすることは:
修正された終了位置に基づいて、シミュレート予定の事前設定セグメントの開始位置を決定すること;
終了位置の修正された移動方向に基づいて、シミュレート予定の事前設定セグメントの移動方向を決定すること;および
シミュレート予定の事前設定セグメントの決定された開始位置および決定された移動方向に基づいて、シミュレート予定の事前設定セグメントでのカテーテルの移動経路をシミュレートすること
をさらに含む。
【0105】
本開示の実施形態に記載される技術的解決策により、結果として得られたシミュレートおよび修正されたカテーテル移動経路は、動脈内でのカテーテルの実際の移動経路を特徴付けることができ、動脈の管腔内に留置するカテーテルの実質的な形状を反映することもでき、ここで、修正された移動経路は、動脈の形状とかなり一致する。カテーテルが動脈に入るプロセスは、修正された移動経路に基づいてシミュレートされ、それにより、動脈内でのカテーテルの移動経路、および動脈内に留置するカテーテルの形状および位置がより正確に決定され、それにより、操作者は、動脈内の指定された位置にカテーテルを挿入することができるかどうかをより直感的に判断することができ、利便性が高まる。
【0106】
同じ発明概念に基づいて、本開示の実施形態は、少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを含む電子デバイスであって、メモリはプログラムを記憶し、プログラムは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたとき:
動脈の伸長方向に基づいて、カテーテルが標的動脈セグメント内を移動するための事前設定経路を決定する工程であって、標的動脈セグメントは、後でカテーテル経路シミュレーションの対象となり動脈瘤を含む動脈セグメントを表す、工程と;
標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートする工程と;
修正された移動経路を得るために、事前設定経路に基づいて移動経路を修正する工程と
を行う、電子デバイスを提供する。
【0107】
特に、プロセッサの他の機能についても、上記の実施形態における開示を参照することができ、ここでは1つずつ詳述しない。
【0108】
同じ発明概念に基づいて、本開示の一実施形態は、電子デバイスと組み合わせて使用されるプログラムを含むコンピュータ可読記憶媒体を提供し、プログラムは、プロセッサによって実行されて:
動脈の伸長方向に基づいて、カテーテルが標的動脈セグメント内を移動するための事前設定経路を決定する工程であって、標的動脈セグメントは、後でカテーテル経路シミュレーションの対象となり動脈瘤を含む動脈セグメントを表す、工程と;
標的動脈セグメントの管腔内でのカテーテルの移動経路をシミュレートする工程と;
修正された移動経路を得るために、事前設定経路に基づいて移動経路を修正する工程と
を行う。
【0109】
本明細書での様々な実施形態は漸進的に述べられており、様々な実施形態間の同一または同様の部分が互いに参照され、各実施形態は他の実施形態との違いに焦点を当てている。特に、システム実施形態に関しては、方法実施形態と実質的に同様であるので、比較的簡単に述べる。関連する部分は、方法実施形態を参照することができる。
【0110】
上述したのは、本開示の好ましい実施形態にすぎず、本開示を限定するためのものではない;当業者にとって、本開示は様々な変更および変化を有することがある。本開示の精神および原理の範囲内でのいかなる修正、同等の代替、および改良も、本開示の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9