(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】芳香族アルコール、グリセリルエーテル及びビスピリジニウムアルカンを含む、微生物低減のための相乗作用組成物並びにそのような組成物の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/33 20060101AFI20240123BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240123BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240123BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240123BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
A61K8/33
A61K8/34
A61K8/49
A61Q19/00
A61Q5/00
(21)【出願番号】P 2021507812
(86)(22)【出願日】2019-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2019068154
(87)【国際公開番号】W WO2020043372
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】102018121321.2
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518054928
【氏名又は名称】シュルケウント マイヤー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】グラドダケ、ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルヴェク、ザビーネ
(72)【発明者】
【氏名】スコウルスキ、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイヴァー、クラウス
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/042001(WO,A1)
【文献】特開2005-171247(JP,A)
【文献】Marion Leschke,et al.,PERSONAL CARE(2008 Sep),p.1-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A01N1/00-65/48
A01P1/00-23/00
CAplus/KOSMET/MEDLINE/BIOSIS(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)芳香族アルコール、
b)グリセリルエーテル、及び
c)ビスピリジニウムアルカン
を含む組成物
(ただし、有機酸又はその塩を含まない)であって、
前記芳香族アルコールは、フェノキシエタノール、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルプロパノール及びそれらの組合せからなる群から選択され、
前記グリセリルエーテルは、シクロヘキシルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル及びそれらの組合せからなる群から選択され、
前記ビスピリジニウムアルカンは、オクテニジン二塩酸塩であり、
成分c)と成分a)及びb)との重量比は、
0.0005から0.002であ
り、
成分b)と成分a)との重量比は、0.05から0.15である、組成物。
【請求項2】
a)50から98.99重量
%の量の前記芳香族アルコール、
b)1から30重量
%の量の前記グリセリルエーテル、及び
c)0.01から1重量
%の量の前記ビスピリジニウムアルカン
を含む、請求項
1に記載の組成物。
【請求項3】
a
)0.5から1.5重量%の量の前記芳香族アルコール、
b
)0.01から0.2重量%の量の前記グリセリルエーテル、及び
c
)0.0005から0.002重量%の量の前記ビスピリジニウムアルカン
を含む、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項4】
リンスオフ配合物若しくはリーブオン配合
物の保存のための、請求項1~
3のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族アルコール、グリセリルエーテル及びビスピリジニウムアルカンを含む、微生物低減のための相乗作用組成物に関する。本発明はまた、例えば、微生物低減及び/又は化粧品組成物の保存のための、相乗作用組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
安定性を提供するため、典型的には保存剤が化粧品組成物に添加される。これらの主目的は、化粧品組成物の長期安定性を保証すること、すなわち、化粧品組成物が適切に長期間、微生物汚染を有さないままであることを確保することである。しかしながら、保存剤が即効性の抗菌効力を有することも重要である。化粧品組成物の容器、例えば、クリーム、軟膏、ゲル、パウダーなどを含有するポット又はチューブの開封時、数ヶ月から数年のいずれでもあり得る使用期間にわたり、化粧品組成物の性質に応じて、全てのタイプの微生物を必然的に含有する周囲空気との接触を介して完全に不可避的に、及び特に化粧品組成物が取り出される場合、典型的には指又は使用者の皮膚と接触する他の補助具、例えば、ブラシ、ワイプ、コットンパッドなどにより取り出される場合、容器中への新たな微生物の侵入が繰り返される。このような微生物が侵入後に殺傷されるのが急速であればあるほど、このように導入される微生物による化粧品組成物の永久的なコロニー化を防止するのがより容易になる。
【0003】
したがって、化粧品組成物の安定性を保証するため、それらは通常、添加された保存剤を有する。このために当業者に利用可能な潜在的な保存特性を有する物質、例えば、有機酸、ホルムアルデヒド放出剤、フェノール、アルコール、パラベン、アルデヒド、イソチアゾリノン、有機ハロゲン化合物、及び第四級アンモニウム化合物の比較的豊富な選択肢が存在するが、化粧品組成物中の保存剤の使用は、保存剤が常に許容されるかどうか及びそれらの使用が許容される最大量の両方に関してEU規制1223/2009を介して厳密に規制されている。したがって、例えば、完全に好適であることが見出されており、化粧品分野において一般に使用される芳香族アルコールのフェノキシエタノール及びベンジルアルコールの使用も、この規制の添付文書(V)により化粧品組成物の1.0重量%の最大濃度に限定されている。
【0004】
しかしながら、多くの化粧品配合物において、それらの使用が許容されるこの低濃度は、特に所望の長期効力及び即効効果を同時に達成すべき場合に適切な保存に不十分である。さらに、特に芳香族アルコールの非殺真菌特性が不適切であることが多いため、芳香族アルコールは、一般に、他の活性物質との組合せで使用される。特に、本明細書では、芳香族アルコールの特性をブーストする、すなわち、強化し、さらに、理想的には、EU規制1223/2009の制限を受けない活性物質及び化合物が興味深い。芳香族アルコールをブーストするために一般に使用される1つの組合せ相手は、例えば、エチルヘキシルグリセリンである。したがって、フェノキシエタノール及びエチルヘキシルグリセリンの混合物は、例えば、Schuelke & Mayr GmbH,Norderstedt(Germany)からeuxyl PE9010の商品名で化粧品組成物中の保存剤としての使用のために市販されている。
【0005】
しかしながら、配合物と関連する理由で、芳香族アルコール及びブースターのブースター組合せも十分に即効性でないことがある。したがって、EU規制1223/2009の添付文書Vにより使用が許容される最大含有率、例えば、フェノキシエタノール及びベンジルアルコールの両方の場合に1重量%において芳香族アルコールの微生物学的効力をブーストし、長期効力だけでなく、特に即効効果も達成する、芳香族アルコールのための改善されたブースター系が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、これらの及び他の目的は、芳香族アルコールとグリセリルエーテル及びビスピリジニウムアルカンとの組合せを使用することにより達成されることが見出された。3つの成分の組合せは、かなりの即効性及び、3つの成分単独のそれぞれ又はそれらの2成分組合せの効果から予測されるものよりも傑出した抗菌効果を達成する。特に、3つの成分の組合せの微生物学的効力は、所望の期間にわたりそれぞれの成分単独が適切な抗菌効果を示さない量で化粧品組成物中で使用される場合にも実証される。ここで完全に予測されないことは、ビスピリジニウムアルカンについての微生物学的/抗菌効果が観察されない量のビスピリジニウムアルカンの添加が、芳香族アルコール及びグリセリルエーテルの組合せの抗菌効果を有意にブーストすることである。芳香族アルコールは、同様に、不活性量で、すなわち、芳香族アルコール単独が適切な微生物学的/抗菌効果を有さない量でここに存在し得る。したがって、本発明はとりわけ、芳香族アルコール、グリセリルエーテル及びビスピリジニウムアルカンの規定の3成分組合せを使用する場合の、その微生物学的活性に関する、特にその抗菌効果に関する予測されない相乗効果の発見に基づく。
【0007】
したがって、本発明は、
a)芳香族アルコール、
b)グリセリルエーテル、及び
c)ビスピリジニウムアルカン
を含む組成物であって、
成分(c)と成分(a)及び(b)との重量比は、0.01以下である組成物に関する。
【0008】
本発明はまた、化粧品配合物、例えば、リンスオフ配合物又はリーブオン配合物の保存のための、本明細書に記載の本発明による組成物の使用に関する。
【0009】
本発明及び好ましい実施形態による組成物は、以下の詳細な説明及び実施例並びにさらには添付の特許請求の範囲に記載される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明及び実施例において、全ての割合は、本発明による組成物の総重量に関する。割合は、一般に、特に明示されない限り、重量割合である。
【0011】
本発明による組成物は、a)1つ以上の芳香族アルコールを含む。芳香族アルコールは、アリールオキシアルコール、オリゴアルカノールアリールエーテル及びアリールアルコールからなる群から選択することができ、好ましくは、アリールオキシアルコール又はアリールアルコールである。
【0012】
本発明により使用することができるアリールオキシアルコールは、一般式Ar-O-(CHR)n-OH(式中、Rは、独立してH(n≧2の場合)又はC1~C6アルキルであり、nは、整数、好ましくは、2から10の整数、より好ましくは、2から6の整数、特に好ましくは、2又は3である)を有する。Ar基は、非置換アリール基により芳香環中で置換されている又は非置換のアリール基であり得、例えば、フェニル又はナフチルが好ましい。本発明により使用することができるアリールオキシアルカノールの例は、フェノキシエタノール及びフェノキシプロパノールであり、フェノキシプロパノールの1-フェノキシプロパン-2-オール、2-フェノキシプロパン-1-オール又はそれらの混合物及び3-フェノキシプロパン-1-オールが好ましい。
【0013】
オリゴアルカノールアリールエーテルとしては、例えば、フェノキシジエタノール、フェノキシトリエタノール及びフェノキシオリゴエタノール並びにさらにはフェノキシジプロパノール、フェノキシトリプロパノール及びフェノキシオリゴプロパノールが挙げられる。
【0014】
本発明により使用することができるアリールアルカノールは、一般式Ar-(CHR)n-OH(式中、Rは、独立してH又はC1~C6アルキルであり、nは、整数、好ましくは、1から10、より好ましくは、1から6の整数、特に好ましくは、1、2、3又は4である)を有する。Ar基は、非置換アリール基により芳香環中で置換されている又は非置換のアリール基であり得、例えば、フェニル又はナフチルが好ましい。アリールアルカノールの例は、3-フェニルプロパン-1-オール、フェネチルアルコール、ベラトリルアルコール(3,4-ジメトキシフェニルメチルアルコール)、ベンジルアルコール及び2-メチル-1-フェニル-2-プロパノールである。
【0015】
芳香族アルコールは、好ましくは、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェニルプロパノール、フェネチルアルコール、ベラトリルアルコール、ベンジルアルコール、2-メチル-1-フェニル-2-プロパノール及びそれらの組合せからなる群から選択される。本発明の特に好ましい実施形態において、a)芳香族アルコールは、フェノキシエタノール、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール及びそれらの組合せからなる群から選択される。芳香族アルコールについては、フェノキシエタノールが最も好ましい。
【0016】
本発明による組成物は、b)1つ以上のグリセリルエーテルをさらに含む。
【0017】
グリセリルエーテルは、グリセリルモノアルキルエーテル、グリセリルジアルキルエーテル、グリセリルトリアルキルエーテル又はそれらの混合物であり得、グリセリルエーテルは、好ましくは、グリセリルモノアルキルエーテルである。グリセリルモノアルキルエーテルの例は、例えば、飽和又は不飽和の分枝又は非分枝アルキル残基により1又は2位で(すなわち、非対称的又は対称的に;以下、1-アルキルグリセリルエーテル又は2-アルキルグリセリルエーテルとしても記載)置換されているグリセリルモノアルキルエーテルである。
【0018】
本発明の好ましい実施形態において、b)グリセリルエーテルは、1-又は2-(C1~C24アルキル)グリセリルエーテル、例えば、ドデシルグリセリルエーテル、オクチルグリセリルエーテル、プロピルグリセリルエーテル、オクタデシルグリセリルエーテル(バチルアルコール)、ヘキサデシルグリセリルエーテル(キミルアルコール)及びオクタデセニルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)である。飽和分枝又は非分枝C3~C18アルキル基を有する1-モノアルキルグリセリルエーテルが好ましく、飽和分枝又は非分枝C6~C12アルキル基を有する1-モノアルキルグリセリルエーテルがより好ましい。
【0019】
本発明の特に好ましい実施形態において、b)グリセリルエーテルは、エチルヘキシルグリセリルエーテル、シクロヘキシルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル及びそれらの組合せからなる群から選択され、エチルヘキシルグリセリルエーテル、例えば、1-(2-エチルヘキシル)グリセリルエーテル(Schuelke & Mayr GmbH,Norderstedt(Germany)からsensiva(登録商標)SC50として入手可能)が最も好ましい。
【0020】
本発明による組成物は、c)1つ以上のビスピリジニウムアルカンをさらに含む。
【0021】
本発明による組成物において、原則として全ての好適なビスピリジニウムアルカンを使用することができる。本発明の好ましい実施形態において、c)ビスピリジニウムアルカンは、一般式I又はII
【化1】
(式中、Yは、4から18個の炭素原子を有するアルキレン基であり、Rは、6から18個の炭素原子を有するアルキル基又は5から7個の炭素原子を有するシクロアルキル基又はフェニル残基であり、それらはハロゲン原子により置換されていてよく、Aは、1つのアニオン又は2つ以上のアニオンである)のビス[4-(置換アミノ)-1-ピリジニウム]アルカンである。特に好ましい実施形態において、本発明により使用されるビスピリジニウムアルカンは、N,N’-(1,10-デカンジイルジ-1[4H]-ピリジニル-4-イリデン)ビス(1-オクタンアミン)二塩酸塩(オクテニジン二塩酸塩(CAS番号:70775-75-6)、以下、オクテニジンとも記載)である。これに加え、他のオクテニジン塩も好適である。
【0022】
本発明による組成物において、成分c)ビスピリジニウムアルカンと成分a)芳香族アルコール及びb)グリセリルエーテルとの重量比は、0.01以下である。本明細書で使用される表現「成分c)ビスピリジニウムアルカンと成分a)芳香族アルコール及びb)グリセリルエーテルとの重量比」は、成分c)の重量比率と、成分a)及びb)の重量比率をまとめた和との比を意味する。換言すると、成分c)ビスピリジニウムアルカンと、成分a)芳香族アルコール及びb)グリセリルエーテルの和との重量比は、0.01以下である。本発明による組成物が2つ以上の成分a)及び/又は2つ以上の成分b)及び/又は2つ以上の成分c)を含む場合、成分a)、b)及び/又はc)の重量比率は、それぞれ、成分a)、b)及び/又はc)のそれぞれの場合の複数の重量比率の総和に関する。成分c)の重量比率と、成分a)及びb)の重量比率の和との比は、0.01:1以下と表現することもできる。成分c)と成分a)及びb)との重量比は、好ましくは、0.0001から0.01、より好ましくは、0.0001から0.005、いっそうより好ましくは、0.0005から0.002である。成分c)と成分a)及びb)とのこれらの重量比は、0.0001:1から0.01:1、より好ましくは、0.0001:1から0.005:1、いっそうより好ましくは、0.0005:1から0.002:1と表現することもできる。
【0023】
したがって、好ましい実施形態において、本発明による組成物は、
a)アリールオキシアルカノール又はアリールアルカノールである芳香族アルコール、
b)エチルヘキシルグリセリルエーテル、シクロヘキシルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル及びそれらの組合せからなる群から選択されるグリセリルエーテル、並びに
c)ビスピリジニウムアルカン、好ましくは、オクテニジン
を含み、
成分c)と成分a)及びb)との重量比は、0.0001から0.01、好ましくは、0.0001から0.005、より好ましくは、0.0005から0.002である。
【0024】
さらなる好ましい実施形態において、本発明による組成物は、
a)フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェニルプロパノール、フェネチルアルコール、ベラトリルアルコール、ベンジルアルコール、2-メチル-1-フェニル-2-プロパノール及びそれらの組合せからなる群から選択される芳香族アルコール、
b)エチルヘキシルグリセリルエーテル、シクロヘキシルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル及びそれらの組合せからなる群から選択されるグリセリルエーテル、並びに
c)ビスピリジニウムアルカン、好ましくは、オクテニジン
を含み、
成分c)と成分a)及びb)との重量比は、0.0001から0.01である。
【0025】
さらなる好ましい実施形態において、本発明による組成物は、
a)フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェニルプロパノール、フェネチルアルコール、ベラトリルアルコール、ベンジルアルコール、2-メチル-1-フェニル-2-プロパノール及びそれらの組合せからなる群から選択される芳香族アルコール、
b)エチルヘキシルグリセリルエーテル、シクロヘキシルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル及びそれらの組合せからなる群から選択されるグリセリルエーテル、並びに
c)ビスピリジニウムアルカン、好ましくは、オクテニジン
を含み、
成分c)と成分a)及びb)との重量比は、0.0001から0.005、好ましくは、0.0005から0.002である。
【0026】
さらなる好ましい実施形態において、本発明による組成物は、
a)フェノキシエタノール、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール及びそれらの組合せからなる群から選択される芳香族アルコール、
b)エチルヘキシルグリセリルエーテル、シクロヘキシルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル及びそれらの組合せからなる群から選択されるグリセリルエーテル、並びに
c)ビスピリジニウムアルカン、好ましくは、オクテニジン
を含み、
成分c)と成分a)及びb)との重量比は、0.0001から0.005、好ましくは、0.0005から0.002である。
【0027】
特に好ましい実施形態において、本発明による組成物は、
a)フェノキシエタノール、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール及びそれらの組合せからなる群から選択される芳香族アルコール、
b)エチルヘキシルグリセリルエーテルであるグリセリルエーテル、並びに
c)オクテニジンであるビスピリジニウムアルカン
を含み、
成分c)と成分a)及びb)との重量比は、0.0005から0.002である。
【0028】
別の実施形態において、本発明による組成物は、
a)フェノキシエタノール、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール及びそれらの組合せからなる群から選択される芳香族アルコール、
b)エチルヘキシルグリセリルエーテルであるグリセリルエーテル、並びに
c)オクテニジンであるビスピリジニウムアルカン
も含み得、
成分c)と成分a)及びb)との重量比は、0.0001から0.01、好ましくは、0.0001から0.005、より好ましくは、0.0005から0.002である。
【0029】
成分b)グリセリルエーテルと成分a)芳香族アルコールとの比は、原則として制限されない。しかしながら、本発明による組成物のさらなる好ましい実施形態において、成分b)グリセリルエーテルと成分a)芳香族アルコールとの重量比は、さらに、0.3以下、例えば、0.01から0.3又は0.01から0.2、特に好ましくは、0.05から0.15である。ここでも、成分b)グリセリルエーテルと成分a)芳香族アルコールとの重量比は、0.3:1以下、例えば、0.01:1から0.3:1又は0.01:1から0.2:1、特に好ましくは、0.05:1から0.15:1と表現することができる。本発明による組成物が、2つ以上の成分a)及び/又は2つ以上の成分b)を含む場合、成分a)及び/又はb)の重量比率は、それぞれ、成分a)及び/又はb)のそれぞれの場合の複数の重量比率の総和に関する。
【0030】
本発明による組成物は、追加の成分、例えば、さらなる活性物質、溶媒、及び/又はさらに添加される物質/賦形剤/添加剤、例えば、酸化防止剤を含有し得る。
【0031】
本発明による組成物は、例えば、化粧品組成物の製造の間、安定性を提供するために十分な量で化粧品組成物に添加されるコンセントレートの形態を取り得る。
【0032】
本発明による組成物は、コンセントレートの形態である場合、組成物は、
a)典型的には、50から98.99重量%、好ましくは、80から98.99重量%の量の芳香族アルコール、
b)典型的には、1から30重量%、好ましくは、1から20重量%の量のグリセリルエーテル、及び
c)典型的には、0.01から1重量%、好ましくは、0.05から0.5重量%の量のビスピリジニウムアルカン
を含む。
【0033】
本発明による組成物は、それがコンセントレートの形態である場合、好ましい実施形態において、
a)50から98.99重量%、好ましくは、80から98.99重量%の量のアリールオキシアルカノール又はアリールアルカノールである芳香族アルコール、
b)1から30重量%、好ましくは、1から20重量%の量のエチルヘキシルグリセリルエーテル、シクロヘキシルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル及びそれらの組合せからなる群から選択されるグリセリルエーテル、及び
c)0.01から1重量%、好ましくは、0.05から0.5重量%の量のビスピリジニウムアルカン、好ましくは、オクテニジン
を含み、
成分c)と成分a)及びb)との重量比は、0.0001から0.01、好ましくは、0.0001から0.005、より好ましくは、0.0005から0.002である。
【0034】
さらなる好ましい実施形態において、本発明による組成物は、それがコンセントレートの形態である場合、
a)50から98.99重量%の量のフェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェニルプロパノール、フェネチルアルコール、ベラトリルアルコール、ベンジルアルコール、2-メチル-1-フェニル-2-プロパノール及びそれらの組合せからなる群から選択される芳香族アルコール、
b)1から30重量%の量のエチルヘキシルグリセリルエーテル、シクロヘキシルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル及び組合せからなる群から選択されるグリセリルエーテル、並びに
c)0.01から1重量%の量のビスピリジニウムアルカン、好ましくは、オクテニジン
を含み、
成分c)と成分a)及びb)との重量比は、0.0001から0.01である。
【0035】
さらなる好ましい実施形態において、本発明による組成物は、それがコンセントレートの形態である場合、
a)80から98.99重量%の量のフェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェニルプロパノール、フェネチルアルコール、ベラトリルアルコール、ベンジルアルコール、2-メチル-1-フェニル-2-プロパノール及びそれらの組合せからなる群から選択される芳香族アルコール、
b)1から20重量%の量のエチルヘキシルグリセリルエーテル、シクロヘキシルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル及びそれらの組合せからなる群から選択されるグリセリルエーテル、並びに
c)0.05から0.5重量%の量のビスピリジニウムアルカン、好ましくは、オクテニジン
を含み、
成分c)と成分a)及びb)との重量比は、0.0001から0.005である。
【0036】
さらなる好ましい実施形態において、本発明による組成物は、それがコンセントレートの形態である場合、
a)80から98.99重量%の量のフェノキシエタノール、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール及びそれらの組合せからなる群から選択される芳香族アルコール、
b)1から20重量%の量のエチルヘキシルグリセリルエーテル、シクロヘキシルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル及びそれらの組合せからなる群から選択されるグリセリルエーテル、並びに
c)0.05から0.5重量%の量のビスピリジニウムアルカン、好ましくは、オクテニジン
を含み、
成分c)と成分a)及びb)との重量比は、0.0001から0.005である。
【0037】
特に好ましい実施形態において、本発明による組成物は、それがコンセントレートの形態である場合、
a)80から98.99重量%の量のフェノキシエタノール、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール及びそれらの組合せからなる群から選択される芳香族アルコール、
b)1から20重量%の量のエチルヘキシルグリセリルエーテルであるグリセリルエーテル、並びに
c)0.05から0.5重量%の量のオクテニジンであるビスピリジニウムアルカン、
を含み、
成分c)と成分a)及びb)との重量比は、0.0005から0.002である。
【0038】
別の実施形態において、本発明による組成物は、それがコンセントレートの形態である場合、
a)80から98.95重量%の量のフェノキシエタノール、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール及びそれらの組合せからなる群から選択される芳香族アルコール、
b)1から20重量%の量のエチルヘキシルグリセリルエーテルであるグリセリルエーテル、並びに
c)0.05から0.5重量%の量のオクテニジンであるビスピリジニウムアルカン
も含み得、
成分c)と成分a)及びb)との重量比は、0.0001から0.01、好ましくは、0.0001から0.005、より好ましくは、0.0005から0.002であり、成分a)、b)及びc)の和は、100重量%である。
【0039】
本発明による組成物がコンセントレートの形態である場合、原則として、コンセントレート中に存在するさらなる成分、例えば、安定剤及び酸化防止剤も存在し得る。しかしながら、コンセントレートは通常、コンセントレートの総重量に対して合計85重量%以上、好ましくは、90重量%以上、より好ましくは、95重量%以上、特に好ましくは、98重量%以上の成分a)、b)及びc)を含むべきである。
【0040】
本発明による組成物は、そのような組成物の通常の成分に加え、成分a)芳香族アルコール、b)グリセリルエーテル、及びc)ビスピリジニウムアルカンを含む化粧品組成物の形態も取り得る。このような化粧品組成物は、原則として、任意の化粧品組成物又は配合物、例えば、クリーム、軟膏、パウダー、メイクアップ、ボディローション、ヘアスプレー、シャンプー、モイストワイプであり得る。それぞれの化粧品組成物は、当業者が精通する化粧品組成物の全ての一般的な成分から選択される成分を含有し得る。本明細書に記載の芳香族アルコール、グリセリルエーテル及びビスピリジニウムアルカンの3成分組合せは、原則として、多数の化粧品組成物における微生物低減に好適である。
【0041】
本発明による組成物が化粧品組成物の形態である場合、組成物は、
a)典型的には、0.01から3重量%、好ましくは、0.1から2.0重量%、より好ましくは、0.5から1.5重量%の量の芳香族アルコール、
b)典型的には、0.001から0.5重量%、好ましくは、0.01から0.2重量%の量のグリセリルエーテル、
c)典型的には、0.00001から0.01重量%(化粧品組成物の総重量に対して0.1ppmから100ppmに対応)、好ましくは、0.0001から0.002重量%(化粧品組成物の総重量に対して1ppmから20ppmに対応)、より好ましくは、0.0005から0.002重量%(化粧品組成物の総重量に対して5ppmから20ppmに対応)の量のビスピリジニウムアルカン
を含む。
【0042】
本発明による組成物は、それが化粧品組成物の形態である場合、好ましい実施形態において、
a)0.01から3重量%の量のアリールオキシアルカノール又はアリールアルカノールである芳香族アルコール、
b)0.001から0.5重量%の量のエチルヘキシルグリセリルエーテル、シクロヘキシルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル及びそれらの組合せからなる群から選択されるグリセリルエーテル、並びに
c)0.00001から0.01重量%の量のビスピリジニウムアルカン、好ましくは、オクテニジン
を含み、
成分c)と成分a)及びb)との重量比は、0.0001から0.01、好ましくは、0.0001から0.005、より好ましくは、0.0005から0.002である。
【0043】
さらなる好ましい実施形態において、本発明による組成物は、それが化粧品組成物の形態である場合、
a)0.01から3重量%の量のフェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェニルプロパノール、フェネチルアルコール、ベラトリルアルコール、ベンジルアルコール、2-メチル-1-フェニル-2-プロパノール及びそれらの組合せからなる群から選択される芳香族アルコール、
b)0.001から0.5重量%の量のエチルヘキシルグリセリルエーテル、シクロヘキシルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル及びそれらの組合せからなる群から選択されるグリセリルエーテル、並びに
c)0.00001から0.01重量%の量のビスピリジニウムアルカン、好ましくは、オクテニジン
を含み、
成分c)と成分a)及びb)との重量比は、0.0001から0.01である。
【0044】
さらなる好ましい実施形態において、本発明による組成物は、それが化粧品組成物の形態である場合、
a)0.1から2.0重量%の量、好ましくは、0.5から1.5重量%の量のフェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェニルプロパノール、フェネチルアルコール、ベラトリルアルコール、ベンジルアルコール、2-メチル-1-フェニル-2-プロパノール及びそれらの組合せからなる群から選択される芳香族アルコール、
b)0.01から0.2重量%の量のエチルヘキシルグリセリルエーテル、シクロヘキシルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル及びそれらの組合せからなる群から選択されるグリセリルエーテル、並びに
c)0.0001から0.002重量%の量、好ましくは、0.0005から0.002重量%の量のビスピリジニウムアルカン、好ましくは、オクテニジン
を含み、
成分c)と成分a)及びb)との重量比は、0.0001から0.005である。
【0045】
さらなる好ましい実施形態において、本発明による組成物は、それが化粧品組成物の形態である場合、
a)0.1から2.0重量%の量、好ましくは、0.5から1.5重量%の量のフェノキシエタノール、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール及びそれらの組合せからなる群から選択される芳香族アルコール、
b)0.01から0.2重量%の量のエチルヘキシルグリセリルエーテル、シクロヘキシルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル及びそれらの組合せからなる群から選択されるグリセリルエーテル、並びに
c)0.0001から0.002重量%の量、好ましくは、0.0005から0.002重量%の量のビスピリジニウムアルカン、好ましくは、オクテニジン
を含み、
成分c)と成分a)及びb)との重量比は、0.0001から0.005である。
【0046】
特に好ましい実施形態において、本発明による組成物は、それが化粧品組成物の形態である場合、
a)0.1から2.0重量%の量、好ましくは、0.5から1.5重量%の量のフェノキシエタノール、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール及びそれらの組合せからなる群から選択される芳香族アルコール、
b)0.01から0.2重量%の量のエチルヘキシルグリセリルエーテルであるグリセリルエーテル、並びに
c)0.0001から0.002重量%の量、好ましくは、0.0005から0.002重量%の量のオクテニジンであるビスピリジニウムアルカン
を含み、
成分c)と成分a)及びb)との重量比は、0.0005から0.002である。
【0047】
本発明はまた、微生物低減及び/又は化粧品配合物、例えば、リンスオフ配合物若しくはリーブオン配合物の保存のための、本明細書に記載の本発明による組成物の、特にそれがコンセントレートの形態である場合の使用に関する。リンスオフ配合物は、短い接触時間後に洗い流される化粧製品であり、例えば、シャワージェル、シャンプー、液体ソープ、ヘアコンディショナーなどが挙げられる。リーブオン配合物は、皮膚又は毛髪上に留まる化粧製品であり、例えば、クリーム、軟膏、パウダー、メイクアップ、ボディローション、ヘアスプレー、スタイリングジェル、モイストワイプ塗布物などが挙げられる。本発明による組成物の使用は、特にそれがコンセントレートの形態である場合、特定の化粧品組成物に制限されず、すなわち、本発明による組成物は、原則として、あらゆる化粧品組成物中で使用することができる。
【0048】
本発明の利点は、以下の実施例からも特に明らかである。
【実施例】
【0049】
本発明による組成物の改善された微生物学的/抗菌効力は、微生物低減検査により実証された。
【0050】
下記の微生物低減検査を、市販のフェニルプロパノール、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、2-メチル-1-フェニル-2-プロパノール、シクロヘキシルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル、エチルヘキシルグリセリン及びオクテニジン二塩酸塩並びにフェノキシエタノール及びエチルヘキシルグリセリン(90:10、Schuelke & Mayr GmbH,Norderstedt(Germany)からのeuxyl PE9010として入手)の、ベンジルアルコール及びエチルヘキシルグリセリン(90:10、Schuelke & Mayr GmbH,Norderstedt(Germany))からのeuxyl K900として入手)の、及びフェネチルアルコール及びエチルヘキシルグリセリン(90:10、Schuelke & Mayr GmbH,Norderstedtからのsensiva PA20として入手)の市販混合物を使用して実施した。全ての成分は入手した状態で使用し、但し、オクテニジン二塩酸塩は初回ステップで調製された脱イオン水中0.25重量%の溶液として使用した。
【0051】
微生物低減検査は、株アスペルギルス・ブラシリエンシス(Aspergillus brasiliensis)ATCC16404を使用して実施した。検査微生物をサブロー寒天プレート上で25℃において7日間培養した。次いで、培養物を生理食塩水(0.85%w/v)及びTriton X-100(3~5滴)により洗い流し、グラスウールフィルターに通して濾過した。胞子懸濁液を生理食塩水によりおよそ107CFU/ml(CFU=コロニー形成単位)に調整した。それぞれの検査において、25gの検査物質に0.1mlの胞子懸濁液(検査マトリックス中の微生物数およそ105CFU/g)を接種し、十分に撹拌した。選択時間後、試料を抜き取り、脱抑制剤(3%のTween 80、0.3%のレシチン、3%のサポニン、0.1%のヒスチジンの添加)を含有するサブロー寒天中にストリークした。ストリークを25℃において72時間インキュベートした。次いで、ストリークの増殖を半定量的に評価した。観察された増殖を以下のとおり評価する:-:微生物増殖なし;+:わずかな増殖;++:中程度の増殖;+++:高程度の増殖;++++:極めて高程度の増殖;R:完全に覆われている。
【0052】
検査を以下の表1及び2にまとめる。示される全ての%値は、それぞれの場合に検査された組成物の総重量に対する重量割合である。同様に、示されるppm値は、それぞれの場合に検査された組成物の総重量に対する重量比率である。オクテニジンは、オクテニジン二塩酸塩を意味する。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
抗菌効果に関するa)芳香族アルコール、b)グリセリルエーテル及びc)ビスピリジニウムアルカン間の3成分相乗作用は、上記表1及び2から明らかに確認することができる。検査番号2~13及び64は、種々の個々の成分について、一部の場合においては変動量についても実施した。フェネチルアルコール(検査番号12)及びフェニルプロパノール(検査番号64)を除き、個々の成分のいずれについても、72時間後でも微生物低減は観察されなかった。換言すると、それぞれの成分それら自体は無効量で使用されたとみなすことができる。3つの考えられる成分の多くの2成分組合せは、同様に、微生物低減を示さない(検査番号14~19、23、31、39、50、51、53、56及び60参照)。他方、全ての場合において、本発明による組成物中の成分の3成分組合せは、個々の成分又は2成分組合せの効果から予測されたものよりもかなり強力な抗菌効果を有する。これは、種々の2成分組合せについてある抗菌効果が既に実証された場合にも当てはまる(検査番号20~22、29、30、43、46、48、54、58及び62参照)。本発明による組成物の第3の成分の添加時、抗菌効果のさらなる有意な改善が全ての場合において観察された。改善は、主として、ほんの短期間(通常18時間後であるが、ほんの6又は12時間後のこともある)内で、且つ全ての場合においてそれぞれの2成分組合せよりもかなり早期の時間内で実施例として使用された組成物中の微生物数を低減させる本発明による組成物の能力の結果である。ここで、検査23及び31において使用された2成分組合せは、化粧品組成物中で安定性を提供するために現在使用される組成物であることも留意すべきである。