(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】食品加工用調理器具
(51)【国際特許分類】
A47J 43/08 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
A47J43/08
(21)【出願番号】P 2021533679
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2019080541
(87)【国際公開番号】W WO2020120038
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】102018131927.4
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507047481
【氏名又は名称】ピーアイ デザイン アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ボダム、ヨルゲン
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-129588(JP,U)
【文献】西独国実用新案公開第01777456(DE,U)
【文献】実開昭54-129589(JP,U)
【文献】西独国特許出願公開第01945287(DE,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0211848(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品加工用の調理器具であって、
食品を加工するための加工用具(20)を駆動するための駆動ユニット(18)が配置されるハウジング(15)と、
前記駆動ユニット(18)を作動させるための作動機構(32)と、を備え、
前記作動機構(32)は、
前記ハウジング(15)の外側に配置される可動の切替要素(34)と、
前記ハウジング(15)の内側に配置されるスイッチ(36)と、
前記ハウジング(15)を貫通する開口部(40)と、を有し、
前記スイッチ(36)は、前記切替要素(34)を前記スイッチ(36)に対して動かすことにより、前記駆動ユニット(18)を作動させるべく前記切替要素(34)によって切り替え可能であり、
前記調理器具(10)は、前記開口部(40)を封止し、かつ前記切替要素(34)の動きを前記スイッチ(36)に伝達するシール要素(42)を有
し、
前記ハウジング(15)は、食品を加工するための加工用具(20)を駆動するための駆動ユニット(18)が配置される内側ハウジング(16)と、少なくとも部分的に前記内側ハウジング(16)を囲む外側ハウジング(28)と、を有し、
前記シール要素(42)は、前記内側ハウジング(16)と前記外側ハウジング(28)との間に挟まれ、
前記シール要素(42)は、前記外側ハウジング(28)に接触する第1接触面(50)と、前記第1接触面(50)の反対側に位置し、前記内側ハウジング(16)に接触する第2接触面(54)と、を含む、食品加工用の調理器具(10)。
【請求項2】
食品加工用の調理器具であって、
食品を加工するための加工用具(20)を駆動するための駆動ユニット(18)が配置されるハウジング(15)と、
前記駆動ユニット(18)を作動させるための作動機構(32)と、を備え、
前記作動機構(32)は、
前記ハウジング(15)の外側に配置される可動の切替要素(34)と、
前記ハウジング(15)の内側に配置されるスイッチ(36)と、
前記ハウジング(15)を貫通する開口部(40)と、を有し、
前記スイッチ(36)は、前記切替要素(34)を前記スイッチ(36)に対して動かすことにより、前記駆動ユニット(18)を作動させるべく前記切替要素(34)によって切り替え可能であり、
前記調理器具(10)は、前記開口部(40)を封止し、かつ前記切替要素(34)の動きを前記スイッチ(36)に伝達するシール要素(42)を有し、
前記シール要素(42)の径方向延在部(58)が係合する窪み(64)が、前記ハウジング(15)の外側面上の前記開口部(40)の領域に設けられ、それによって前記シール要素(42)が前記ハウジング(15)の前記外側面と面一に配置される、食品加工用の調理器具(10)。
【請求項3】
前記シール要素(42)が弾性のあるプラスチック、特にシリコーン製であることを特徴とする、請求項1
または2に記載の調理器具(10)。
【請求項4】
前記シール要素(42)が
、前記第1接触面(50)から延びて、前記開口部(40)内に突出するまたは前記開口部(40)を通過する第1隆起部(52
)を有することを特徴とする、請求項
1に記載の調理器具(10)。
【請求項5】
前記シール要素(42)が、
前記ハウジング(15)に接触する第1接触面(50)と、
前記第1接触面(50)から延びて、前記開口部(40)内に突出するまたは前記開口部(40)を通過する第1隆起部(52)と、を有し、
前記第1隆起部(52)が前記径方向延在部(58)を有することを特徴とする、請求項2に記載の調理器具(10)。
【請求項6】
前記ハウジング(15)は、食品を加工するための加工用具(20)を駆動するための駆動ユニット(18)が配置される内側ハウジング(16)と、少なくとも部分的に前記内側ハウジング(16)を囲む外側ハウジング(28)と、を有し、
前記第1接触面(50)は前記外側ハウジング(28)に接触し、
前記シール要素(42)は、前記第1接触面(50)の反対側に位置し、前記内側ハウジング(16)に接触する第2接触面(54)をさらに含む、請求項5に記載の調理器具(10)。
【請求項7】
前記第1隆起部(52)が完全にまたはほぼ完全に前記開口部(40)を塞ぐことを特徴とする、請求項
4から6のいずれか一項に記載の調理器具(10)。
【請求項8】
前記シール要素(42)が
、前記第2接触面(54)から延びる第2隆起部(56
)を有し、前記第2隆起部(56)を介して前記シール要素(42)が前記スイッチ(36)と相互作用することを特徴とする、請求項
4または
6に記載の調理器具(10)。
【請求項9】
前記調理器具(10)が、前記シール要素の位置を前記調理器具(10)内において規定可能な位置決め手段(44)を有することを特徴とする、請求項1から
8のいずれか一項に記載の調理器具(10)。
【請求項10】
前記位置決め手段(44)が、前記ハウジング(15)上に配置されて、前記シール要素(42)の対応する切り欠きまたは貫通孔(48)に係合する突起(46)を有することを特徴とする、請求項
9に記載の調理器具(10)。
【請求項11】
前記位置決め手段(44)が、前記ハウジング(15)上に配置されて、少なくとも部分的に前記シール要素(42)を囲む凸部(60)を有することを特徴とする、請求項
9に記載の調理器具(10)。
【請求項12】
前記切替要素(34)が、前記開口部(40)に挿入可能または前記開口部(40)を通って案内可能なピン(41)を有することを特徴とする、請求項1から
11のいずれか一項に記載の調理器具(10)。
【請求項13】
前記調理器具(10)が、前記切替要素(34)の移動を制限可能な止め具(59)を有することを特徴とする、請求項1から
12のいずれか一項に記載の調理器具(10)。
【請求項14】
前記外側ハウジング(28)が金属製であり、前記内側ハウジング(16)がプラスチック製であることを特徴とする、請求項
1または
6に記載の調理器具(10)。
【請求項15】
前記第1接触面(50)を有する前記シール要素(42)が前記外側ハウジング(28)の第1面に接触し、
前記第1隆起部(52)が、前記開口部(40)を通過するとともに、径方向延在部を有し、前記径方向延在部によって前記シール要素(42)が前記外側ハウジング(28)の第2面に接触することを特徴とする、請求項
4に記載の調理器具(10)。
【請求項16】
前記調理器具(10)が、グラインダ(12)、特にコーヒーグラインダ(14)として構成されることを特徴とする、請求項1から
15のいずれか一項に記載の調理器具(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食品加工用調理器具に関する。
【背景技術】
【0002】
食品を加工、特に刻むまたは細かく砕くことができるように、この目的で用いられる調理器具は、例えば回転刃またはグラインダといった加工用具を駆動することができる駆動ユニットを備える。駆動ユニットは通常、駆動軸のベアリングおよび調理器具の動作に必要なその他の機械要素も保持するハウジング内に配置される。費用および重量の理由により、ハウジングを含むますます多くの機械要素は、プラスチック製になっている。
【0003】
駆動ユニットのオンオフを切り替えられるように、調理器具は作動機構を備える。作動機構は、使用者によって動かされ、使用者が駆動ユニットのオンオフを切り替えることができる切替要素を有し得る。その動きによって、切替要素は、例えば、典型的にはハウジングの内側またはハウジング上に配置される圧力スイッチなどのスイッチと相互作用する。特に、ハウジングの内側は、ハウジングが取り囲む空洞として理解されるべきである。
【0004】
作動機構の設計によって、ハウジングの内側に配置されるスイッチを作動させるために、切替要素の動きがハウジングの内側に案内されなければならない状況が生じる。したがって、ハウジングは開口部を有し、その開口部を通して、切替要素の動きがハウジングの内側およびスイッチに伝達される。
【0005】
したがって、加工された食品、特に、刻まれたまたは細かく砕かれた食品は、開口部を通ってハウジングの内側に侵入し、ハウジングの内側にたまり得る。たまった食品は、ハウジングの内側で腐りまたはカビが生え、時間が経つにつれて、使用者にとってそのような調理器具の使用を不快にし得る。加えて、加工された食品は、スイッチ、駆動ユニット、または調理器具の動作に不可欠なその他の構成要素の動きを妨げ、それにより、調理器具の動作に悪影響を及ぼすまたは調理器具の動作を不可能にする恐れがある。
【0006】
そのような調理器具は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】西独国実用新案公開第1777456号明細書
【文献】西独国特許出願公開第1165218号明細書
【文献】西独国実用新案公開第1893644号明細書
【文献】西独国実用新案公開第1826747号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一実施形態に係る課題は、単純かつ経済的な方法で、加工された食品がハウジングの内側に入り込むことを防ぐことができる食品加工用調理器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1に記載される特徴によって解決される。有利な実施形態は、従属項の主題である。
食品加工用調理器具に関する発明の一実施形態は、
食品を加工するための加工用具を駆動するための駆動ユニットが配置されるハウジングと、
駆動ユニットを作動させるための作動機構と、を備え、
作動機構は、
ハウジングの外側に配置される可動の切替要素と、
ハウジングの内側に配置されるスイッチと、
ハウジングを貫通する開口部と、を有し、
スイッチは、切替要素をスイッチに対して動かすことにより、駆動ユニットを作動させるべく切替要素によって切り替え可能であり、
調理器具は、開口部を封止し、かつ切替要素の動きをスイッチに伝達するシール要素を有する。
【0010】
この提案によると、シール要素は2つの機能を有する。第1に、シール要素は切替要素の動きに追随し、ハウジングの内側への切替要素の動きの伝達を保証するので、切替要素がハウジングの内側に配置されるスイッチと相互作用できる。そのため、使用者は、切替要素を動かすことによって、駆動ユニットのオンオフを切り替えたり、駆動ユニットのその他の機能を起動したりできる。第2に、シール要素は、加工された食品、または調理器具の周囲に存在するその他の物体がハウジングの内側にたまることを防ぐ。それにより、調理器具は衛生的に操作されるため、調理器具は使用者にとって使用が快適であるまま維持される。加えて、調理器具の動作は、ハウジングの内側にたまった物体によって、例えば、スイッチおよび/または駆動ユニットの動きを妨げる物体によって、中断されないことが保証される。
【0011】
明細書中の別の実施形態によると、シール要素は弾性のあるプラスチック、特にシリコーン製である。上記のように、シール要素は切替要素の動きに追随する。この実施形態においては、シール要素は弾性変形できるため、シール要素が切替要素の動きに追随できることを保証するための追加の手段は必要でない。この場合、切替要素の可動性は、シール要素が塑性変形されない程度に限定され得る。
【0012】
別の実施形態において、シール要素は、ハウジングに接触する第1接触面と、第1接触面から延びて開口部内へ突出するまたは開口部を通過する第1隆起部とを有し得る。この実施形態においては、シール面が増加し、したがってシール効果が向上する。さらに、開口部内の加工された食品または液体の蓄積が削減されるまたは防止される。
【0013】
改良された実施形態は、第1隆起部が完全にまたはほぼ完全に開口部を塞ぐことによって特徴づけられる。このようにして、シール面も増加し、開口部内の加工された食品または液体の蓄積が大幅に削減される。
【0014】
別の実施形態の説明によると、シール要素は、第2接触面と、第2接触面から延びる第2隆起部と、を有し、第2隆起部を介してシール要素がスイッチと相互作用する。第2隆起部は、スイッチが特に効果的に作動するように設計され得る。例えば、第2隆起部は、ずれおよびずれによる故障が防止されるように、少なくとも部分的にスイッチを囲うように設計され得る。
【0015】
別の実施形態は、調理器具が、シール要素の位置を調理器具内において規定可能な位置決め手段を有することによって特徴づけられる。位置決め手段は特に、調理器具の組立中にシール要素の位置を規定および固定するのに役立つ。
【0016】
別の実施形態の説明によると、位置決め手段は、ハウジング上に配置され、シール要素の対応する切り欠きまたは貫通孔に係合する突起を含む。この実施形態においては、シール要素は、シール要素を突起上へ滑らせることによって非常に素早くかつ簡単に取り付けられ得る。
【0017】
別の実施形態によると、位置決め手段は、ハウジング上に配置され、少なくとも部分的にシール要素を囲う凸部を有する。この実施形態においては、シール要素は、シール要素を凸部で支えることによっても簡単に取り付けられ得る。この目的のために、シール要素は、シール要素を位置決めするだけでなく所定の位置に固定する摩擦接合が形成されるように、凸部に対してより大きいサイズを有する。
【0018】
改良された実施形態においては、切替要素は、開口部に挿入可能または開口部を通過可能なピンを有し得る。このようにして、スイッチが確実に作動することが保証される。例えば、スイッチが圧力スイッチとして構成される場合、ピンは、圧力スイッチが確実に動作できるほど圧力が十分大きくなるように形成され得る。
【0019】
改良された実施形態において、調理器具は、切替要素の動きを制限し得る止め具を有する。上記のように、切替要素をスイッチに対して動かすことにより、駆動ユニットの動作は切り替えられる。ここで、切替要素の動きは、シール要素からスイッチに伝達され、実施形態によってはシール要素が変形される。止め具によって、切替要素の動きが制限され得る。このようにして、作動中に切替要素が移動できる距離は、シール要素が損傷しない程度に制限される。
【0020】
調理器具の別の実施形態によると、ハウジングは、駆動ユニットが配置される内側ハウジングと、少なくとも部分的に内側ハウジングを囲う外側ハウジングとを有する。
特に、美的な理由によって、いくつかの調理器具は、内側ハウジングと外側ハウジングとを有し、外側ハウジングは、少なくとも部分的に内側ハウジングを覆う。内側ハウジングは機械要素を保持する一方で、外側ハウジングは主に、しかし必ずしもこれのみではないが、調理器具に高品質な外観を与えるために用いられる。外側ハウジングはそのため、しばしば金属製であり、費用および重量の理由により、外側ハウジングの壁の厚さを小さくする努力もなされている。理想的には、外側ハウジングは、内側ハウジングと外側ハウジングとの間に中間領域が存在しないように、内側ハウジングと直接接触する。しかしながら、製作公差のために、設計通りの場合よりも大きいまたは小さい中間領域が常に形成される。
【0021】
調理器具が内側ハウジングと外側ハウジングとを含む構造を有する場合、作動機構の構造によって、外側ハウジングの内部に配置されるスイッチを作動させるために、切替要素の外側ハウジングの内部への動きが案内されなければならない状況が理解される。したがって、外側ハウジングは開口部を有し、その開口部を通して、切替要素の動きが外側ハウジングの内部およびスイッチに伝達される。
【0022】
このようにして、シール要素は、開口部を通ってハウジングの内側または中間領域に侵入し得る食品、特に刻まれたまたは細かく砕かれた食品の蓄積を防ぐ。
改良された実施形態においては、シール要素は内側ハウジングと外側ハウジングとの間に配置され得る。この実施形態においては、シール要素は内側ハウジングと外側ハウジングとの間の中間領域に配置される。そのため、外側ハウジングの目に見える輪郭は、シール要素によってほとんどまたは全く崩されない。さらに、シール要素は、その耐用年数が延びるように、少なくとも部分的に外側ハウジングによって外部の影響から守られる。
【0023】
改良された実施形態においては、外側ハウジングは金属製であり得て、内側ハウジングはプラスチック製であり得る。外側ハウジングは、調理器具に特に高品質の外観を与える。さらに、外側ハウジングは、内側ハウジングをUV放射やプラスチックを劣化させ脆くする類似の影響から守る。
【0024】
別の実施形態において、シール要素は、第1接触面を介して、外側ハウジングの第1面に接触し、第1隆起部は、開口部を通過するとともに、径方向延在部を有し、径方向延在部によってシール要素が外側ハウジングの第2面に接触する。調理器具がハウジングを1つだけ有する場合、シール要素は、ハウジングの内面に第1接触面によって接触するとともに、ハウジングの外面に径方向延在部によって接触する。この実施形態においては、開口部は、特に高いシール効果が達成されるために、内側および外側からシールされる。さらに、この実施形態におけるシール要素の位置は、要素を位置決めおよび固定するために他の手段が採用されないように規定される。
【0025】
別の実施形態においては、調理器具は、グラインダ、特にコーヒーグラインダであり得る。この実施形態においては、調理器具は、食品としても理解されるべきである、穀物またはコーヒー豆を挽くために用いられ得る。穀物またはコーヒー豆を挽くと、非常に小さい粒子が生成され得るので、粒子がハウジングの内側またはハウジング内部の中間領域にたまるという上記の問題は、この場合に特に大きく生じる。この実施形態において、シール要素の上記の効果は特に明白である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1A】
図1Aは、提案に係る調理器具の第1実施形態を示す分解斜視図である。
【
図2A】
図2Aは、提案に係るシール要素の第1実施形態の斜視図である。
【
図2C】
図2Cは、
図2Dにおいて規定される切断面に対して垂直に走る切断面に沿った、
図2Aに示されるシール要素の断面図である。
【
図3A】
図3Aは、提案に係るシール要素の第2実施形態の斜視図である。
【
図4】
図4は、提案に係る調理器具の第2実施形態の内側ハウジングの第2実施形態の分離された斜視図である。
【
図5】
図5は、提案に係るシール要素の第3実施形態の斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、提案に係る調理器具の第4実施形態を示す分解斜視図である。
【
図6B】
図6Bは、提案に係る調理器具の
図6Aに示される第4実施形態を示す部分断面図である。
【
図6D】
図6Dは、その組立状態における調理器具の斜視図である。
【
図7】
図7Aから7Cは、提案に係るシール要素の第4実施形態の異なる図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1Aおよび1Bには、調理器具10
1の第1実施形態が、それぞれ分解斜視図および部分断面図を参照して示され、
図1Aには、調理器具10
1が、分解図を参照して示される。
図1Cは、組立状態の調理器具10
1を示している。
【0028】
図示されている実施形態において、調理器具10
1は、グラインダ12、ここではコーヒー豆を挽いてコーヒー粉にできるコーヒーグラインダ14として構成される。コーヒーグラインダ14は、
図1Dに個別に斜視図を参照して示される内側ハウジング16
1を備える。内側ハウジング16
1は、加工用具20(
図1D参照)を駆動できる駆動ユニット18を有する。駆動ユニット18は、
図1Aに象徴的にのみ示され、モータ22および駆動軸24を備え、加工用具20は、駆動軸24に接続され得る。特に
図1Dから分かるように、加工用具20は、内側ハウジング16
1によって形成されるグラインディング室26内に配置される。コーヒー豆は、グラインディング室26で加工用具20によって挽かれるように、グラインディング室26に入れられる。
【0029】
さらに、コーヒーグラインダ14は、内側ハウジング16
1を覆う(特に
図1A参照)外側ハウジング28を備え、外側ハウジング28は、ほぼ完全に内側ハウジング16
1を取り囲む。内側ハウジング16
1がプラスチック製である一方で、外側ハウジング28は金属製である。外側ハウジング28が内側ハウジング16
1を取り囲むという事実のために、コーヒーグラインダ14の外観は、大部分が外側ハウジング28によって規定される。
【0030】
さらに、コーヒーグラインダ14は、挽く過程で、コーヒー豆またはコーヒー粉がグラインディング室26から自由に飛び出さないように、グラインディング室26を閉じるカバー30を有する。
【0031】
さらに、コーヒーグラインダ14は、次のように構成される作動機構32を有する。作動機構32は、図示される実施形態においてコーヒーグラインダ14の長手方向軸Lに沿って移動できるように、コーヒーグラインダ14のカバー30上に取り付けられる切替要素34を含む。作動機構32は、図示される実施形態において圧力スイッチとして構成されるスイッチ36も含む。スイッチ36は、外側ハウジング28の内部に配置され、スイッチ36に圧力がかかると駆動ユニット18がオンまたはオフに切り替えられる、または、例えばモータ22の加減速のような駆動ユニット18の他の機能が作動する、というように、駆動ユニット18と相互作用する。作動機構32は、同様に外側ハウジング28の内部に配置されて長手方向軸Lに沿って移動できる、作動ピン38(
図1B参照)も含む。
【0032】
駆動ユニット18を作動させるために、コーヒーグラインダ14の使用者は、
図1Aの図を参照して、切替要素34を長手方向軸Lに沿って下向きに押す。切替要素34は、使用者が切替要素34を離すとすぐに切替要素34がその初期位置に戻るように、図示されないリセット要素と相互作用する。切替要素34は動かされると、スイッチ36、特に圧力スイッチを押す作動ピン38へ切替要素34の動きが伝達されるように、作動ピン38と相互作用する。したがって、駆動ユニット18は上記のように作動する。
【0033】
上述したように、外側ハウジング28は内側ハウジング161を取り囲む。切替要素34の動きを作動ピン38に伝達できるように、切替要素34の動きは外側ハウジング28の内部に案内される必要がある。この目的のために、外側ハウジング28は、切替要素34のピン41が係合できる開口部40を有する。したがって、切替要素34の動きは、作動ピン38に伝達され、そこからスイッチ36に伝達される。
【0034】
製作公差のために、外側ハウジング28は、内側ハウジング16
1と正確かつ途切れのない平らな接触部を形成することはないので、内側ハウジング16
1と外側ハウジング28との間に、中間領域が形成される。そのため、特にコーヒー粉が、もしくはコーヒーグラインダ14の周りに位置する他のものであっても、開口部40を通って中間領域にたまることは、防ぐことができない。これを防止するため、本発明に係るコーヒーグラインダ14は、特に
図1A,1C,1Dにおいて見られる、シール要素42
1を有する。シール要素42
1は、開口部40を閉じ、切替要素34の動きが作動ピン38に伝達されるように構成される。示されている実施形態において、シール要素42
1は、弾性のある材料、この場合シリコーン製であり、内側ハウジング16
1と外側ハウジング28との間に配置される。切替要素34が上記のように作動すると、シール要素42
1は変形でき、それによって切替要素34の動きに追従できる。切替要素34の動きは、これによって作動ピン38に伝達され得る。
【0035】
図2Aから2Dにおいて、本発明に係るシール要素42
1の第1実施形態は、別の図を参照して示される。シール要素42
1が、内側ハウジング16
1と外側ハウジング28との間の望ましい位置に位置決めされ固定されるように、コーヒーグラインダ14は、位置決め手段44を有する。コーヒーグラインダ14の第1実施形態において、位置決め手段44は、内側ハウジング16
1によって形成され、シール要素42
1の対応する貫通孔48(
図2A,2B,2D)に係合する2つの突起46(
図1D参照)を有する。
【0036】
さらに、シール要素421は第1接触面50を有する。コーヒーグラインダ14の組立状態において、シール要素421は第1接触面50によって外側ハウジング28と接触する。開口部40内に突出し、この開口部を少なくともほぼ完全に塞ぐ第1隆起部52は、第1接触面50から延びる。したがって、第1隆起部52の断面は、開口部40の断面と概ね対応する。第1隆起部52によって、シール要素421は、切替要素34のピン41と相互作用できる。
【0037】
さらに、シール要素42
1は第2接触面54を有する。組立状態において、シール要素42
1は、第2接触面54によって内側ハウジング16
1と接触する。第2隆起部56は、第2接触面54から延びる。第2隆起部56によってシール要素42
1が作動ピン38(
図1B)と相互作用でき、特に作動ピン38と接触できる。
【0038】
使用者がコーヒーグラインダ14を作動させたい際には、使用者は、切替要素34を、既に説明したように、
図1Aの図を参照して、長手方向軸Lに沿って下向きに押して、切替要素34のピン41がシール要素42
1の第1隆起部52と接触するようにする。シール要素42
1の弾性によって、シール要素は、切替要素34の動きが作動ピン38と接触する第2隆起部56によって作動ピン38に伝達されるように、切替要素34の動きによって変形する。したがって、駆動ユニット18はそれに応じて作動する。
【0039】
例えば、
図1Aから分かるように、開口部40は、外側ハウジング28によって形成される凹部57に配置される。凹部57の形状は、ピン41も配置される切替要素34の自由端の形状にほぼ対応する。切替要素34は、作動によるある一定距離の移動により、凹部57に接触するように配置される。したがって、凹部57は、切替要素34がカバーできる移動距離を制限する止め具59として働く。このようにして、特に、シール要素42
1が過度に変形し、それによって損傷を受けることが防止される。
【0040】
シール要素421は、特にコーヒー粉が、もしくはコーヒーグラインダ14の周りに位置する他のものであっても、開口部40を通って内側ハウジング161と外側ハウジング28との間の中間領域に侵入することを防ぐ。
【0041】
図3Aおよび3Bにおいて、提案に係るシール要素42
2の第2実施形態は、別の図を参照して示される。第1実施形態のように、シール要素42
2も第1隆起部52を有し、径方向延在部58が第1隆起部52から延びる。組立状態において、シール要素42
2が径方向延在部58を介して外側ハウジング28の外側面と接触する一方で、第1接触面50は、内側ハウジング16
1と向き合う外側ハウジング28の内側面と接触する。外側ハウジング28に対する、したがってコーヒーグラインダ14全体に対するシール要素42
2の位置は、このように、一意に規定されるため、追加の位置決め手段44は必要でない。
【0042】
図4には、斜視図を参照して、同様にコーヒーグラインダ14として構成される本発明に係る調理器具10
2の内側ハウジング16
2の第2実施形態が示されている。この場合、位置決め手段44は、内側ハウジング16
2によって形成される、2つのほぼU字状の凸部60を有する。
【0043】
図5には、斜視図を参照して、本発明に係るシール要素42
3の第3実施形態が示され、このシール要素は、2つの凸部60の間に配置され得る。第3実施形態に係るシール要素42
3は、シール要素42
3の位置が明確に内側ハウジング16
1と外側ハウジング28との間に規定されるように、凸部60と相互作用する。
【0044】
図6Aには、本発明に係る調理器具10
3の第3実施形態が、分解図を参照して示される。
図6Bは、組立状態における調理器具10
3の部分断面を示し、
図6Cは、
図6Bにおいて印をつけられた部分を拡大図で示す。
図6Dは、斜視図を参照して、組立状態における調理器具10
3の第3実施形態を示し、
図6Eは、拡大図を参照して、
図6Dにおいて印をつけられた部分を示す。
【0045】
ここで、第3実施形態に係る調理器具103の主要な構成は、第1および第2実施形態に係る調理器具101,102の主要な構成に対応するため、以下では、特に、相違点について説明する。主要な相違点は、第3実施形態103に係る調理器具103のハウジング15は、一体構成を有し、そのため、内側ハウジング16または外側ハウジング28を有さないことである。ハウジング15は、第1および第2実施形態に係る調理器具101,102の外側ハウジング28に対応する。
【0046】
ここではさらに詳細には示されていない駆動ユニット18は、ハウジング15が取り付けられる基部62内に、モータおよび駆動軸とともに配置される。ハウジング15は開口部40を有する。駆動ユニット18を作動させられるように、ピン41は、ハウジング15の内部に配置される作動機構32の作動ピン38と開口部40を通じて相互作用できる。したがって、細かく砕かれた食品および水分は、開口部40を通ってハウジング15の内部に入ることができる。これを防止するために、第4実施形態に係るシール要素42
4が開口部40に配置される。第4実施形態に係るシール要素42
4は、
図7Aから7Cの異なる図に個別に示される。
【0047】
シール要素42
2の第2実施形態と同様に、径方向延在部58を形成する第1隆起部52は、第1接触面50から延びる。第1接触面50によってシール要素42
4がハウジング15の内側面と接触する。径方向延在部58には第2接触面54が配置される。第2接触面54によってシール要素42
4がハウジング15の外側面と接触する。
図6Eから分かるように、径方向延在部58が係合する窪み64が、ハウジング15の外側面上の開口部40の領域に設けられるため、シール要素42
4はハウジング15の外側面と面一に配置される。さらに、シール要素42
4は、作動ピン38が係合できる切り欠き66を有するので、作動ピン38のある程度のガイドがシール要素42
4に関して実現される。
【符号の説明】
【0048】
10…調理器具、101~103…調理器具、12…グラインダ、14…コーヒーグラインダ、15…ハウジング、16…内側ハウジング、161~163…内側ハウジング、18…駆動ユニット、20…加工用具、22…モータ、24…駆動軸、26…グラインディング室、28…外側ハウジング、30…カバー、32…作動機構、34…切替要素、36…スイッチ、38…作動ピン、40…開口部、41…ピン、42…シール要素、421~424…シール要素、44…位置決め手段、46…突起、48…貫通孔、50…第1接触面、52…第1隆起部、54…第2接触面、56…第2隆起部、57…凹部、58…径方向延在部、59…止め具、60…凸部、62…基部、64…窪み、66…切り欠き、L…長手方向軸。