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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】吸収体の製造装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
A61F13/15 321
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021545191
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(86)【国際出願番号】 JP2020031617
(87)【国際公開番号】W WO2021049275
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】P 2019165226
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019228225
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(74)【代理人】
【識別番号】100102060
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 喜信
(74)【代理人】
【識別番号】110001265
【氏名又は名称】弁理士法人山村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅林 豊志
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/111989(WO,A1)
【文献】特表2017-518861(JP,A)
【文献】特開2014-090749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプが解繊された繊維Fであるフラッフパルプを空気流により搬送するダクト1と、
前記ダクト1により搬送された前記繊維Fを内部からの吸引力で外周面10F上に集積し、集積した繊維Fの積繊体Rを搬送する第1ドラム10と、
吸収性の粉粒体SAを散布する散布装置3と、
前記第1ドラム10に隣接して配置され前記散布された粉粒体SAを内部からの吸引力で外周面20F上に集めた集合体Sを搬送する第2ドラム20と、
前記積繊体Rと前記集合体Sとを互いに積層する積層部と、
を備える吸収体の製造装置であって、
前記第1ドラム10は前記第1ドラム10の外周面10F上に前記繊維Fを積繊する第1吸引室15を有し、かつ、前記積繊体R の形状を規定する第1パターンドラムであり、
前記第2ドラム20は前記粉粒体SAを負圧により吸引する第2吸引室25を有し、かつ、前記集合体Sの分布を制御する第2パターンドラムであり、
前記第2ドラム20は前記第1ドラム10の前記ダクト1の下流に設けられ、
前記散布装置3の先端開口30は前記第2ドラム20の第2吸引室25に臨む位置に設けられ、
少なくとも、前記第1ドラム10に導入された第1キャリアウェブW1および前記積繊体Rおよび第2ドラム20に導入された第2キャリアウェブW2を介して前記第2ドラム20と前記第1ドラム10とが互いに接するように配置され、
前記第2ドラム20と第1ドラム10とが互いに接する部位の上方で、かつ、前記第2ドラム20と第1ドラム10との間のΔ形の領域内に前記先端開口30が配置され、
前記第2ドラム20に吸着されていた前記第2キャリアウェブW2および前記集合体Sが前記第1キャリアウェブW1および前記積繊体Rを介して前記第1ドラム10に吸着されて、前記第1キャリアウェブW1、前記積繊体R、前記集合体Sおよび前記第2キャリアウェブW2を含む吸収体Cが第1ドラム10により搬送されて、前記積層部において前記積繊体Rと前記集合体Sとが互いに積層されるように構成されている、
吸収体の製造装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ダクト1よりも上流において前記第1ドラム10の前記外周面10Fに沿って前記第1キャリアウェブW1を導入する第1導入装置11と、
前記散布装置3よりも上流において前記第2ドラム20の前記外周面20Fに沿って前記第2キャリアウェブW2を導入する第2導入装置21と、
を更に備える吸収体の製造装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1ドラム10に導入される前記第1キャリアウェブW1の表面に接着剤を塗布する第1塗布器41と、
前記第2ドラム20に導入される前記第2キャリアウェブW2の表面に接着剤を塗布する第2塗布器42と、
を更に備える吸収体の製造装置。
【請求項4】
パルプが解繊された繊維Fであるフラッフパルプをダクト1内を流れる空気流により搬送する繊維搬送工程と、
前記ダクト1により搬送された前記繊維Fを第1ドラム10の内部の第1吸引室15からの吸引力で前記第1ドラム10の外周面10F上に集積し、集積した繊維Fの積繊体Rを搬送する積繊工程と、
散布装置3の先端開口30から吸収性の粉粒体SAを散布する散布工程と、
少なくとも、前記第1ドラム10に導入された第1キャリアウェブW1および前記積繊体Rおよび第2ドラム20に導入された第2キャリアウェブW2を介して前記第1ドラム10に接する第2ドラム20の内部の第2吸引室25からの吸引力で前記第2ドラムの外周面20F上に、前記粉粒体SAを集めた集合体Sを搬送する搬送する集合工程と、
前記第2ドラム20と前記第1ドラム10とが互いに接することで、前記第2ドラム20と第1ドラム10とが互いに接する部位の上方で、かつ、前記第2ドラム20と第1ドラム10との間のΔ形の領域内の前記積繊体Rと前記集合体Sとを互いに積層する積層工程と、
を備える吸収体の製造方法であって、
前記散布工程において、前記第2ドラム20の前記第2吸引室25に臨む位置に設けられ、かつ、前記Δ形の領域内に配置された前記先端開口30から前記粉粒体SAを散布し、
前記第2ドラム20に吸着されていた前記第2キャリアウェブW2および前記集合体Sが前記第1キャリアウェブW1および前記積繊体Rを介して前記第1ドラム10に吸着されて、前記第1キャリアウェブW1、前記積繊体R、前記集合体Sおよび前記第2キャリアウェブW2を含む吸収体Cが第1ドラム10により搬送されて、前記積層工程が実行される、
吸収体の製造方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1キャリアウェブW1に前記積繊体Rが積繊されるように、前記ダクト1よりも上流において前記第1ドラム10の前記外周面10Fに沿って前記第1キャリアウェブW1を導入する第1導入工程と、
前記第2キャリアウェブW2上に前記粉粒体SAが集められるように、前記散布装置3よりも上流において前記第2ドラム20の前記外周面20Fに沿って前記第2キャリアウェブW2を導入する第2導入工程と、
を更に備える吸収体の製造方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1ドラム10に導入される前記第1キャリアウェブW1の表面に第1塗布器41から接着剤を塗布する第1塗布工程と、
前記第2ドラム20に導入される前記第2キャリアウェブW2の表面に第2塗布器42から接着剤を塗布する第2塗布工程と、
を更に備える吸収体の製造方法。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか1項において、
前記繊維搬送工程において、前記ダクト1内の繊維Fに吸収性の別の粉粒体SBを加えて前記ダクト内を流れる空気流により前記繊維Fおよび前記別の粉粒体SBを搬送し、
これらの粉粒体SBおよび繊維Fを前記繊維搬送工程において、前記第1ドラム10の前記外周面10F上に集積することを特徴とする、吸収体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使い捨て着用物品の吸収体の製造装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の吸収体はパルプを解繊した繊維の集合体(積繊体)にSAPとよばれる超吸水性ポリマーを添加したものが採用されている。前記積繊体にSAPを添加する方法としては以下の2つの方法が知られている。
【0003】
1つの方法は、解繊されたパルプの繊維にSAPを混入し、これらをダクト内の空気流により搬送し、これらを積繊ドラムの外周面上に集積する。
別の方法は、積繊ドラムの外周面上にパルプの繊維を積繊した後、繊維の積層体の上から前記SAPを散布する(下記文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】JP3,462,232 B(図4
【文献】US4,995,141 B(フロントページ)
【発明の概要】
【0005】
しかし、前記1つの方法の場合、繊維にSAPを混入させて空気流により搬送するため、吸収体においてSAPを間欠的に配置したり、SAPの坪量や散布幅を変化させたりすることは困難である。
【0006】
たとえば、繊維層が厚い部分はSAPの坪量も大きくなる。一方、繊維層の厚さが均一である場合、SAPの坪量も均一になる。すなわち、繊維層の坪量に対するSAPの坪量は一定になる。
【0007】
したがって、本発明の1つの目的は、吸収体の製造装置および方法において、繊維層の坪量や大きさに対し、SAPの坪量や分布領域を変化させることができるようにすることである。
【0008】
前記別の方法の場合,積繊ドラムに繊維が集積された状態でSAPを散布するので、SAPを空気搬送するダクトからの気流の影響により、SAPが周囲に飛散したり、所期のSAPの散布パターンが得られないといった問題がある。特に、図12に示す公知例のように、積繊ドラム100には繊維を積繊するための積繊凹所101が形成されており、そのため、前記凹所とダクト先端との間に隙間が生じるのは避けられず、ダクト先端と凹所101との間においてエアの流れが生じ、前述の問題が大きくなる。
【0009】
したがって、本発明の別の目的は、吸収体の製造装置および方法において、SAPが周囲に飛散することなく、パルプ繊維の集積体上にSAPを散布することができ、SAPの坪量や散布幅を変化させたり、SAPを間欠的に配置することができるようにすることである。
【0010】
1つの局面において、本発明装置は、解繊された繊維Fを空気流により搬送するダクト1と、
前記ダクト1により搬送された前記繊維Fを内部からの吸引力で外周面10F上に集積し、集積した繊維Fの積繊体Rを搬送する第1ドラム10と、前記第1ドラム10は前記積繊体Rの形状を規定する第1パターンドラムであり、
吸収性の粉粒体SAを散布する散布装置3と、
前記散布された粉粒体SAを内部からの吸引力で外周面20F上に集めた集合体Sを搬送する第2ドラム20と、前記第2ドラム20は前記集合体Sの分布を制御する第2パターンドラムであり、
前記積繊体Rと前記集合体Sとを互いに積層する積層部とを備える。
【0011】
1つの局面において、本発明方法は、解繊された繊維Fをダクト1内を流れる空気流により搬送する繊維搬送工程と、
前記ダクト1により搬送された前記繊維Fを第1ドラム10の内部からの吸引力で前記第1ドラム10の外周面10F上に集積し、集積した繊維Fの積繊体Rを搬送する積繊工程と、
散布装置3から吸収性の粉粒体SAを散布する散布工程と、
前記散布された粉粒体SAを第2ドラム20の内部からの吸引力で前記第2ドラムの外周面20F上に集めた集合体Sを搬送する搬送する集合工程と、
前記積繊体Rと前記集合体Sとを互いに積層する積層工程とを備える。
【0012】
これらの1つの局面において、型板51を有する第1ドラム10で繊維Fが第1ドラム10上に集積されて積繊体Rが生成され、一方、有孔板61を有する第2ドラム20で粉粒体SAが第2ドラム20上に集合されて、粉粒体SAの集合体Sが生成される。したがって、積繊体Rと集合体Sとを互いに積層することで、繊維層の坪量や大きさに対し、SAPの坪量や分布領域を変化させることができる。
【0013】
別の局面において、本発明装置は、解繊された繊維Fを空気流により搬送するダクト1と、
前記ダクト1により搬送された前記繊維Fを内部からの吸引力で外周面10F上に集積すると共に集積した繊維Fの積繊体Rを搬送する第1ドラム10と、
前記第1ドラム10に隣接して配置され、前記第1ドラム10から前記積繊体Rを受け取って前記積繊体Rを搬送する第2ドラム20と、
前記第2ドラム20により搬送されている前記積繊体Rの上方において吸収性の粉粒体SAを散布することで前記積繊体Rおよび前記粉粒体SAを含む吸収層Rを形成する散布装置3とを備える。
【0014】
別の局面において、本発明方法は、解繊された繊維Fをダクト1内を流れる空気流により搬送する繊維搬送工程と、
前記ダクト1により搬送された前記繊維Fを第1ドラム10の内部からの吸引力で前記第1ドラム10の外周面10F上に集積すると共に集積した繊維Fの積繊体Rを搬送する積繊工程と、
前記第1ドラム10に隣接して配置された第2ドラム20の上に前記第1ドラム10から前記積繊体Rを受け取って、前記第2ドラム20によって前記積繊体Rを搬送する積繊体移送工程と、
前記第2ドラム20により搬送されている前記積繊体Rに吸収性の粉粒体SAを散布装置3から散布することで前記積繊体Rおよび前記粉粒体SAを含む吸収層Rを形成する散布工程とを備える。
【0015】
これらの別の局面において、粉粒体SAを繊維Fと共に空気流により搬送するのではなく、粉粒体SAを積繊体R上に散布するので、粉粒体SAを間欠的に配置したり、あるいは、粉粒体SAの坪量や散布幅を変化させることができる。
【0016】
特に、ダクト1からの繊維Fを積繊する第1ドラム10とは別の第2ドラム20で搬送中の積繊体Rの上方において粉粒体SAが散布されるので、粉粒体SAの散布中にダクトからの気流の影響が生じない。そのため、粉粒体SAが周囲に飛散することがなく、積繊体R内に粉粒体SAが混入する。そのため、所期の粉粒体SAの散布パターンを得易い。なお、「第1ドラムの外周面上に集積する」とは、繊維が第1ドラムの外周面上に直接集積する場合の他、第1ドラムの外周面上で搬送されている第1キャリアウェブを介して繊維を第1ドラムの外周面上に集積する場合を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本発明の吸収体の製造装置の実施形態1を示す概略レイアウト図である。
図2図2は第1ドラムから第2ドラムへの受け渡し箇所を示す概略側面図である。
図3図3は吸収体を拡大して示す概略断面図である。
図4図4は同装置の実施形態2を示す概略レイアウトである。
図5図5は同装置の実施形態3を示す概略レイアウトである。
図6図6は本発明の実施形態4の製造装置および方法により生成されるコア及び吸収体の一例を示し、図6(a)はコアの平面図、図6(b)および(c)は吸収体の横断面図、図6(d)は吸収体の縦断面図である。
図7図7は同装置の実施形態4を示す概略レイアウト図である。
図8図8は同装置の積層部を拡大して示す概略側面図である。
図9図9は第1ドラムのセグメントの一例を示す概略斜視図である。
図10図10は第2ドラムのセグメントの一例を示す概略斜視図である。
図11図11は同装置の実施形態5を示す概略レイアウト図である。
図12図12は公知の積繊ドラムの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施形態の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかし、実施形態および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0019】
以下、本発明の各実施形態を図面にしたがって説明する。図1図3は実施形態1を示す。
本製造装置の説明に先立って、本製造装置により生成される吸収体の一例について説明する。
【0020】
本製造装置により製造される吸収体は吸収性コアとも呼ばれ、例えば使い捨てパンツやオムツの他に失禁パッドなどのコアとして用いられ、例えば砂時計型の形状を有する。
【0021】
図3に示すように、吸収体Cは吸収層Rと第1および第2キャリアウェブW1,W2とを備える。各ウェブW1,W2は例えばティッシュペーパーのような薄葉紙であってもよいし、不織布であってもよい。
【0022】
両ウェブW1,W2は吸収層Rを挟むように配置され、吸収層Rを包んでいてもよい。各ウェブW1,W2は面方向の拡散性が高く液体を広範囲に浸透させることができる。
【0023】
吸収層Rは積繊体RにSAPと呼ばれる無数(多数)の粉粒体SAが混入されたものである。積繊体Rはパルプを解繊した繊維の集合体である。
【0024】
図3において吸収体Cは吸収層Rと粉粒体SAが混入していない積繊体Rとを含んでいてもよい。例えば、各吸収体Cの長手方向の両端部には粉粒体SAが混入していなかったり、両端部の粉粒体SAの密度が粗であってもよい。また、吸収体Cは長手方向の一部たとえば中央部において粉粒体SAの密度が密で、かつ、両側において密度が粗であってもよい。
【0025】
両ウェブW1,W2の少なくとも一方は積繊体Rの表面に接着されていてもよい。周知のように、一対のウェブW1,W2に吸収層Rおよび積繊体Rが包まれて、吸収体Cは個々の着用物品の一部となる。
【0026】
図1に示すように、本製造装置は供給装置としてのダクト1、第1ドラム10、第2ドラム20および散布装置3を備える。
【0027】
ダクト1は先端がドーム状で上流に解繊機19を備える。解繊機19はパルプを繊維状に解繊(粉砕)してフラッフパルプ(繊維F)を生成する。フラッフパルプはダクト1内に充満すると共に、第1ドラム10の吸引室15が負圧に設定されていることにより、第1ドラム10の外周面10F上に積繊される。このような解繊および積繊は周知の技術であり、たとえば、JP2009-112438Aに開示されている。
なお、散布装置3は吸収体を構成する素材として、いわゆるSAPと呼ばれる高い吸収能力を持つ高分子化合物の粉粒体(高吸収性ポリマー粒子)を添加する。
【0028】
すなわち、図1の積繊用の第1ドラム10は、周方向Rに連続的に回転しながらダクト1から供給された繊維を外周面10Fから内側の吸引室15に向かって吸引することで、繊維を図示しない積繊凹所の外周面10Fに連続的に積繊すると共に繊維F(図3)の積繊体Rを周方向Rに搬送する。
【0029】
第1ドラム10のダクト1の下流には、第1導入装置11としての第1導入ローラが設けられている。この第1導入装置11は、第1ドラム10上に集積された積繊体Rの第1表面R1を覆うように、積繊体Rに重なる第1キャリアウェブW1を第1ドラム10上の積繊体Rの第1表面R1に沿って導入する。
なお、第1表面R1は積繊体Rの積繊直後に外部に露出している表面である。
【0030】
第2ドラム20は第1ドラム10に隣接して配置され、第1ドラム10から積繊体Rを第1キャリアウェブW1と共に受け取り、内部(吸引室25)からの吸引力で積繊体Rおよび第1キャリアウェブW1を吸着しながら搬送する。
【0031】
第2ドラム20の吸着力は第1ドラム10のそれよりも大きくてもよい。また、第1ドラム10から第2ドラム20に積繊体Rを受け渡す際に、受け渡し部分の第1ドラム10の負圧吸引を停止し、積繊体Rを第2ドラム20が吸引してもよい。
なお、第2ドラム20は積繊体Rおよび第1キャリアウェブW1を必ずしも吸引搬送する必要はない。
【0032】
図2に明示するように、散布装置3は第2ドラム20に吸引されて搬送中の積繊体Rの上方において吸収性の無数(複数)の粉粒体SAを散布することで積繊体Rに粉粒体SAが混入した吸収層Rを形成する。
なお、粉粒体SAは一般にSAPと呼ばれている高吸水性ポリマーの粉粒体である。
【0033】
吸収層Rは第1キャリアウェブW1と第2キャリアウェブW2とによってサンドイッチされる。この第2キャリアウェブW2は第2導入装置21によって搬送される。第2導入装置21は第2導入ローラ23を備え、第2キャリアウェブW2を第2ドラム20上の吸収層Rの第2表面R2に沿って導入する。第2キャリアウェブW2は吸収層Rの第2表面R2に重なって吸収体Cを形成する。
【0034】
図2に示すように、散布装置3の先端開口30は、第2導入ローラ23と第1ドラム10との間において開口している。すなわち、散布装置3の先端開口30は、第2ドラム20により搬送される吸収層Rの第2表面R2の上方において、かつ、第1ドラム10と第2導入装置21との間の位置において開口し、散布装置3の先端開口30から積繊体R上に粉粒体SAが散布される。
【0035】
なお、第2ドラム20が内部に負圧吸引する吸引室25を備えている場合、粉粒体SAは積繊体R内に入り込み易い。吸引室25を設ける場合、散布装置3の先端開口30が臨む部位に吸引室25が設けられるのが好ましい。
【0036】
散布装置3は供給制御部31およびホッパ32を有していてもよい。供給制御部31は先端開口30から落下する粉粒体SAの供給量を制御してもよい。また、散布装置3は先端開口30から粉粒体SAを間欠的に排出してもよい。あるいは、散布装置3は積繊体Rの長手(搬送)方向に沿って粉粒体SAの供給量を制御して吸収体Cの長手方向の中央部において粉粒体SAが密になるようにしてもよいし、幅方向に坪量が変化するように粉粒体SAを散布してもよい。また、例えば砂時計型となるように、積繊体Rの幅方向において散布幅が変化するように粉粒体SAを散布してもよい。
【0037】
本形態の場合、図1の前記第2導入ローラ23は第2ドラム20の頂部22よりも第1ドラム10に近い位置に配置されている。また、本形態の場合、第2キャリアウェブW2は第2導入ローラ23においてヘアピンのように急に曲がった搬送路に沿って第2ドラム20に供給されている。
【0038】
本形態の場合、第2キャリアウェブW2の導入経路に塗布器4が設けられていてもよい。塗布器4は前記第2キャリアウェブW2における図2の前記吸収層Rに接する内表面Wとなる面に接着剤を塗布する。
【0039】
なお、接着剤は積繊体Rの第2表面R2に塗布されてもよい。また、図1の第1キャリアウェブW1における吸収体Cの内面となる側にも接着剤が塗布されてもよい。
【0040】
両ウェブW1,W2によりサンドイッチされた吸収層Rは導出ローラ70に沿って導出され、個々の着用物品の単位に切断される。
【0041】
つぎに、吸収体Cの製造方法について説明する。
【0042】
図1において、解繊機19はパルプを連続的に解繊してフラッフパルプと呼ばれる繊維Fを生成する。解繊された繊維Fはダクト1内を流れる空気流により搬送される。
【0043】
ダクト1により搬送された繊維Fは第1ドラム10の内部(吸引室15)からの吸引力で第1ドラム10の外周面10F上に集積すると共に集積した繊維の積繊体Rが第1ドラム10により搬送されて、積繊工程が実行される。
【0044】
作図の都合上、図1の積繊体Rは第1ドラム10の周方向Rに連続しているが、不連続で個々の着用物品の単位に応じた長さであってもよい。この場合、第1ドラム10の外周部には個々の着用物品の単位に応じた周知の積繊凹所が設けられていてもよい。
【0045】
一方、第1ドラム10には第1キャリアウェブW1が導入されている。この第1キャリアウェブW1は積繊工程後、第1ドラム10上に集積された積繊体Rの第1表面R1を覆うように、第1ドラム10上の積繊体Rの第1表面R1に沿って導入されて、積繊体Rに重なる。
【0046】
第1キャリアウェブW1および積繊体Rは第1ドラム10の周方向Rに沿って第2ドラム20に向かって搬送される。図2の第2ドラム20は、第1ドラム10から第1キャリアウェブW1および積繊体Rを受け取って、第2ドラム20によって積繊体Rを搬送する積繊体移送工程を実行する。
【0047】
この工程において、図2に示すように、第1キャリアウェブW1は積繊体Rの内側(第2ドラム20側)に配置され、したがって、第1キャリアウェブW1と反対側の積繊体Rの第2表面R2は露出している。この積繊体Rの第2表面R2が露出した状態で次の散布工程が実行される。
【0048】
図2の散布工程においては、第2ドラム20に吸引されて搬送中の積繊体Rに吸収性の粉粒体SAを散布装置3から散布することで積繊体Rに粉粒体SAが混入した吸収層Rが形成される。
この散布工程においては、第2ドラム20により搬送される吸収層Rの第2表面R2の上方において、かつ、第1ドラム10と第2導入装置21との間の位置において、散布装置3の先端開口30から積繊体R上に粉粒体SAが散布される。散布された粉粒体SAは積繊体Rに混入される。
【0049】
一方、第2キャリアウェブW2における吸収層Rに接する内表面Wとなる面には、図1の塗布器4から吐出された接着剤が塗布される。この接着剤が塗布された図2の内表面Wは第2導入ローラ23でターンして吸収層Rの第2表面R2に導入されると共に接着される。
【0050】
すなわち、第2キャリアウェブW2の第2導入工程においては、第2キャリアウェブW2が第2ドラム20上の吸収層Rの第2表面R2に沿って導入される。これにより第2キャリアウェブW2は第1キャリアウェブW1と共に第2ドラム20上を搬送される吸収層Rの第2表面R2に重なって吸収体Cを形成する。
【0051】
両ウェブW1,W2によりサンドイッチされた吸収層R(つまり吸収体C)は、図1の導出ローラ70に沿って導出され、個々の着用物品の単位に切断等された後、周知のように着用物品の一部として着用物品に組み込まれる。
【0052】
図4および図5は、それぞれ、本製造装置の実施形態2および3を示す。
図4に示すように、第2ドラム20は第1ドラム10の側部14の上方に配置されてもよい。また、図5に示すように、第2ドラム20は第1ドラム10の天部12に対向する下部13でなければ、第1ドラム10の斜め下部に配置されてもよい。すなわち、第2ドラム20は第1導入ローラ11が配置された側とは反対側の側部14側に配置されていればよい。
【0053】
また、図1および図4に示すように、粉粒体SAの散布は、第2ドラム20の頂部22よりも第1ドラム10に近い位置で行うのが好ましいが、図5のように、頂部22よりも第1ドラム10から遠い位置で行ってもよい。
【0054】
図7図10は本製造装置の実施形態4を示す。
本形態の製造装置の説明に先立って、本製造装置により生成される吸収体の別の例(図6)について説明する。
【0055】
本製造装置により製造される吸収体は、例えば使い捨てパンツやオムツの他に失禁パッドなどのコアとして用いられ、例えば砂時計型の形状を有する。
【0056】
図6(d)に示すように、吸収体Cは吸収層Rと第1および第2キャリアウェブW1,W2とを備える。各ウェブW1,W2は例えばティッシュペーパーのような薄葉紙であってもよいし、不織布であってもよい。
【0057】
両ウェブW1,W2は吸収層Rを挟むように配置され、吸収層Rを包んでいてもよい。各ウェブW1,W2は面方向の拡散性が高く液体を広範囲に浸透させることができる。
【0058】
吸収層RはSAPと呼ばれる無数(多数)の第1および第2粉粒体SA,SBと、積繊体Rとを含む。積繊体Rはパルプを解繊した繊維の集合体である。
【0059】
第1粉粒体SAは第2キャリアウェブW2の内表面Wに接着剤G2の層を介して付着されている。一方、第2粉粒体SBは積繊体R内に入り込んでおり、積繊体Rは第1キャリアウェブW1の内表面Wに接着剤G1の層を介して付着されている。
【0060】
図6(b)~(d)に示すように、第2粉粒体SBは吸収層Rの幅方向および長さ方向に均一に分布している。一方、第1粉粒体SAは不均一に分布している。
例えば、図6(a)の吸収性コアの平面図に示すように、前部、中央部および後部において、第1粉粒体SAは幅方向には均一の密度で分布し、長さ方向については前部に片寄って分布されていてもよい。
逆に、中央部において第1粉粒体SAの密度が密となり、前部および後部において同密度が粗となるように分布されていてもよい。
【0061】
図6(b)および(c)に示すように、第1キャリアウェブW1は折り曲げられて接着剤G3を介して、第2キャリアウェブW2に接着されていてもよい。こうして、吸収層Rが一対のウェブW1,W2に包まれて、吸収体Cは個々の着用物品の一部となる。
【0062】
図7に示すように、本製造装置は供給装置としてのダクト1、第1ドラム10、第2ドラム20、導出ローラ70および散布装置3を備え、更に第1および第2導入装置11,21と第1および第2塗布器41,42を備える。
【0063】
第1ドラム10は積繊体Rの形状を規定する型板51(図9)を有する第1パターンドラムである。一方、第2ドラム20は集合体Sの分布を制御する有孔板61(図10)を有する第2パターンドラムである。
【0064】
第1ドラム10は複数ないし多数の第1セグメント5A(図9)を備えた円筒状部を有する。一方、第2ドラム20は複数ないし多数の第2セグメント5B(図10)を備えた円筒状部を有する。
【0065】
作図の便宜上、図9および図10は各セグメント5A,5Bの構成部品を分解した上で平坦に展開して示す。各セグメント5A,5Bはメッシュ部材52および格子部材53などを備える。格子部材53は縦横に延びる仕切部53aにより構成されている。
【0066】
図9において、メッシュ部材52は、薄い金属板に周知のエッチング加工により多数ないし無数の貫通孔52aが形成されている。貫通孔52aは、エアを通し、かつ、繊維Fおよび第2粉粒体SBを受け止めることのできる大きさに設定されている。第1セグメント5Aの型板51は例えば一対設けられ、メッシュ部材52の外周面側に配置され積繊凹部50を定義する。
すなわち、一対の型板51,51は幅方向Dに互いに離間しており、その間の空間は積繊凹部50を定義している。この積繊凹部50に積繊された繊維Fや第2粉粒体SBが個々の着用物品の吸収性コアとなる。
【0067】
図10において、第2セグメント5Bは有孔板61と前述のメッシュ部材52および格子部材53を備える。有孔板61は、周方向に開口率が大きい第1部61aと第1部61aの開口率よりも小さい開口率の第2部61bとを有している。これらの開口率の相違で吸引率の相違が発揮され、第1粉粒体SAの密度がコントロールされる。
【0068】
なお、図7の第1および第2ドラム10,20はこれらのセグメントを有していなくてもよい。
【0069】
図7の第1導入装置11はダクト1よりも上流において第1ドラム10の外周面10Fに沿って第1キャリアウェブW1を導入する。第2導入装置21は散布装置3よりも上流において第2ドラム20の外周面20Fに沿って第2キャリアウェブW2を導入する。
【0070】
第1塗布器41は第1ドラム10に導入される第1キャリアウェブW1の表面に接着剤を塗布する。第2塗布器42は第2ドラム20に導入される第2キャリアウェブW2の表面に接着剤を塗布する。
【0071】
図7のダクト1は先端がドーム状で上流に図示しない解繊機(図1参照)を備える。解繊機で解繊されたフラッフパルプ(繊維F)はダクト1内に充満すると共に、第1ドラム10の吸引室15が負圧に設定されていることにより、第1ドラム10の外周面10F上の第1キャリアウェブW1上に積繊される。このような解繊および積繊は周知の技術であり、たとえば、JP2009-112438Aに開示されている。
【0072】
ダクト1内には吸収体を構成する素材として、第2粉粒体SBが添加されている。なお、第2粉粒体SBは添加されていなくてもよい。
【0073】
図7の積繊用の第1ドラム10は、周方向Rに連続的に回転しながら前記ダクト1から供給された繊維Fおよび第2粉粒体SBを外周面10Fから内側の吸引室15に向かって吸引することで、繊維Fおよび第2粉粒体SBを図示しない積繊凹所の外周面10Fに第1キャリアウェブW1を介して連続的に積繊すると共に繊維Fの積繊体R図8)を周方向Rに搬送する。
【0074】
第1ドラム10のダクト1の下流には、第2ドラム20が設けられている。
第2塗布器42により第2キャリアウェブW2の表面に接着剤が塗布された後、第2導入装置21(第2導入ローラ23)により第2キャリアウェブW2が第2ドラム20に導入される。
図8に示すように、第2キャリアウェブW2上の接着剤が塗布された第2キャリアウェブW2に第1粉粒体SAが散布される。第2キャリアウェブW2および第1粉粒体SAは第2ドラム20の吸引室25からの負圧により内側に向かって吸引され、第2ドラム20の外周面上に保持される。
【0075】
図7に示すように、第1ドラム10と第2ドラム20とは互いに隣接して配置されている。図8に示すように、第1ドラム10は第2ドラム20から第1粉粒体SAが付着した第2キャリアウェブW2を受け取り、第1ドラム10の吸引室15からの吸引力で、第1キャリアウェブW1上の積繊体Rおよび第2粉粒体SBに前述の第1粉粒体SAが付着した第2キャリアウェブW2を吸着して搬送する。
【0076】
第1ドラム10の吸着力は第2ドラム20のそれよりも大きくてもよい。また、第2ドラム20から第1ドラム10に第2キャリアウェブW2を受け渡す際に、受け渡し部分の第2ドラムの負圧吸引を停止し、第1ドラム10が第2キャリアウェブW2を吸引してもよい。
【0077】
図8に明示するように、散布装置3は第2ドラム20に吸引されて搬送中の第2キャリアウェブW2の上方において吸収性の無数(複数)の粉粒体SAを散布することで第2キャリアウェブW2に第1粉粒体SAが付着する。
なお、第1粉粒体SAは一般にSAPと呼ばれている高吸水性ポリマーの粉粒体である。
【0078】
吸収層Rは第1キャリアウェブW1と第2キャリアウェブW2とによってサンドイッチされる。この第2キャリアウェブW2は第2導入装置21によって搬送される。第2導入装置21は第2導入ローラ23を備え、第2キャリアウェブW2を第2ドラム20に沿って導入する。第2キャリアウェブW2は吸収層Rに重なって吸収体Cを形成する。
【0079】
図8に示すように、散布装置3の先端開口30は、第2ドラム20と第1ドラム10との間において開口している。
具体的には、先端開口30は、第1キャリアウェブW1、吸収層Rおよび第2キャリアウェブW2を介して第2ドラム20と第1ドラム10とが互いに接する部位の上方で、かつ、第2ドラム20と第1ドラム10との間のΔ形の領域内に配置されている。先端開口30は第2ドラム20の天(紙面の上方向の頂点)よりも下方に配置されている。また、先端開口30は第2ドラム20の吸引室25に臨む位置に設けられている。
【0080】
散布装置3は供給制御部(フィーダ)31、ホッパ32およびシャッタ33を有している。供給制御部31は先端開口30から落下する第1粉粒体SAの供給量を制御してもよい。また、散布装置3は先端開口30から第1粉粒体SAを間欠的に排出してもよい。すなわち、シャッタ33により先端開口30を開閉することで第1粉粒体SAを間欠的に排出してもよい。あるいは、散布装置3は積繊体Rの長手(搬送)方向および/または幅方向に坪量が変化するように第1粉粒体SAを散布してもよい。
また、例えば砂時計型となるように、積繊体RFの幅方向において散布幅が変化するように第1粉粒体SAを散布してもよい。
図7の第1および第2塗布器41,42は図6(d)の第1および第2キャリアウェブにおける吸収層Rに接する各内表面Wとなる面に接着剤G1,G2を塗布する。
【0081】
図7の導出ローラ70は吸収体Cを第1ドラム10から導出する。導出ローラ70の下流には接着剤G3(図6(c))を第2キャリアウェブW2に塗布する第3塗布器43と第1キャリアウェブW1を折るフォルダ80とが設けられている。
【0082】
両ウェブW1,W2によりサンドイッチされた吸収層Rは導出ローラ70に沿って導出され、フォルダ80により第1キャリアウェブW1が折られた後、個々の着用物品の単位に切断される。
【0083】
つぎに、吸収体Cの製造方法について説明する。
【0084】
図7において、第1キャリアウェブW1に積繊体Rが積繊されるように、ダクト1よりも上流において第1ドラム10の外周面10Fに沿って第1キャリアウェブW1が導入される。
一方、第2キャリアウェブW2上に第1粉粒体SA(図8)が集められるように、散布装置3よりも上流において第2ドラム20の外周面20Fに沿って第2キャリアウェブW2が導入される。
【0085】
第1ドラム10に導入される第1キャリアウェブW1の表面には第1塗布器41から接着剤G1(図6(d))が塗布される。一方、第2ドラム20に導入される第2キャリアウェブW2の表面には第2塗布器42から接着剤G2(図6(d))が塗布される。
【0086】
図8に示す積繊搬送工程において、ダクト1内の繊維Fに吸収性の第2粉粒体SBを加えてダクト内を流れる空気流により繊維Fおよび第2粉粒体SBを搬送する。これらの第2粉粒体SBおよび繊維Fは積繊搬送工程において、第1ドラム10の外周面10F上の第1キャリアウェブW1上に集積される。
【0087】
図8に示すように、ダクト1により搬送された繊維Fおよび第2粉粒体SBは、第1ドラム10の内部(吸引室15)からの吸引力で第1ドラム10の外周面10F上の第1キャリアウェブW1に集積し、集積した繊維Fおよび第2粉粒体SBの積繊体Rが搬送される。
【0088】
一方、散布された第1粉粒体SAは第2ドラム20の内部(吸引室25)からの吸引力で第2ドラム20上の第2キャリアウェブW2に付着し、集合体Sとして搬送される。
【0089】
積繊体Rと集合体Sとは第1ドラム上で互いに積層される。
すなわち、第2ドラム20に吸着されていた第2キャリアウェブW2および第1粉粒体SAが第1キャリアウェブW1および積繊体Rを介して第1ドラム10に吸着されて、第1キャリアウェブW1、積繊体R、第1粉粒体SAおよび第2キャリアウェブW2を含む吸収体Cが第1ドラム10により搬送される。
【0090】
作図の都合上、図7の積繊体Rは第1ドラム10の周方向Rに連続しているが、不連続で個々の着用物品の単位に応じた長さであってもよい。この場合、第1ドラム10の外周部には個々の着用物品の単位に応じた周知の積繊凹所が設けられていてもよい。
【0091】
図8に示すように、両ウェブW1,W2によりサンドイッチされた吸収層R、つまり吸収体Cが導出ローラ70に沿って導出され、図7のフォルダ80により図6(b),(c)のように第1キャリアウェブW1が折られる。その後、吸収体Cは個々の着用物品の単位に切断等された後、周知のように着用物品の一部として着用物品に組み込まれる。
【0092】
図11は製造装置の実施形態5を示す。
この図に示すように、生成された吸収体Cは第1キャリアウェブW1が導入されてくる側(第1導入装置11側)に導出されてもよい。なお、図7の実施形態4では、生成された吸収体Cは第2キャリアウェブW2が導入されてくる側(第2導入装置21側)に導出される。これらの図7または図11のレイアウトのうち一方を選択することで、着用物品の製造ラインに適合した配置を選択することができる。
その他の構造および吸収体の製造方法は実施形態4と同様であり、それらの説明は省略する。
【0093】
上述した各実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
【0094】
前述の1つの局面において、好ましい製造装置として、前記ダクト1よりも上流において前記第1ドラム10の前記外周面10Fに沿って第1キャリアウェブW1を導入する第1導入装置11と、前記散布装置3よりも上流において前記第2ドラム20の前記外周面20Fに沿って第2キャリアウェブW2を導入する第2導入装置21と、を更に備える。
【0095】
また、前述の1つの局面において、好ましい製造方法として、第1キャリアウェブW1に前記積繊体Rが積繊されるように、前記ダクト1よりも上流において前記第1ドラム10の前記外周面10Fに沿って前記第1キャリアウェブW1を導入する第1導入工程と、第2キャリアウェブW2上に前記粉粒体SAが集められるように、前記散布装置3よりも上流において前記第2ドラム20の前記外周面20Fに沿って前記第2キャリアウェブW2を導入する第2導入工程と、を更に備える。
【0096】
これらの場合、第1キャリアウェブW1が積繊体Rの一方の表面を覆い、第2キャリアウェブW2が第1粉粒体SAを保持する。したがって、吸収層が両ウェブによりサンドイッチされた状態となり、第1粉粒体SAの脱落や落下を防止し易い。
【0097】
前述の1つの局面において、更に好ましい製造装置として、前記第1ドラム10に導入される前記第1キャリアウェブW1の表面に接着剤を塗布する第1塗布器41と、前記第2ドラム20に導入される前記第2キャリアウェブW2の表面に接着剤を塗布する第2塗布器42と、を更に備える。
【0098】
また、前述の1つの局面において、更に好ましい製造方法として、前記第1ドラム10に導入される前記第1キャリアウェブW1の表面に第1塗布器41から接着剤を塗布する第1塗布工程と、前記第2ドラム20に導入される前記第2キャリアウェブW2の表面に第2塗布器42から接着剤を塗布する第2塗布工程と、を更に備える。
【0099】
これらの場合、第1および第2塗布器41,42から第1および第2キャリアウェブW1,W2に塗布された接着剤は、積繊体Rおよび第1粉粒体SAの集合体Sを各ウェブW1,W2に付着させて、繊維Fや第1粉粒体SAの脱落や落下をより一層防止し得る。
【0100】
前述の1つの局面において、更に好ましい製造方法として、前記積繊搬送工程において、前記ダクト1内の繊維Fに吸収性の第2粉粒体SBを加えて前記ダクト内を流れる空気流により前記繊維Fおよび第2粉粒体SBを搬送し、これらの第2粉粒体SBおよび繊維Fを前記積繊搬送工程において、前記第1ドラム10の前記外周面10F上に集積する。
【0101】
この場合、第2キャリアウェブW2に付着した第1粉粒体SAとは別に積繊体R内に第2粉粒体SBが混入している。したがって、吸収層Rの厚さ方向について全体に粉粒体が分布し、そのため、安定した吸液機能が得られる。
【0102】
前述の別の局面において、好ましい製造装置としては、第1ドラム10上に集積された積繊体Rの第1表面R1を覆うように、積繊体Rに重なる第1キャリアウェブW1を第1ドラム10上の積繊体Rの第1表面R1に沿って導入する第1導入装置11と、第1キャリアウェブW1と共に第2ドラム20上を搬送される吸収層Rの第2表面R2に重なって吸収体Cを形成する第2キャリアウェブW2を第2ドラム20上の吸収層Rの第2表面R2に沿って導入する第2導入装置21とを備える。
【0103】
一方、前述の別の局面において、好ましい方法としては、第1ドラム10上に集積された積繊体Rの第1表面R1を覆うように、積繊体Rに重なる第1キャリアウェブW1を第1ドラム10上の積繊体Rの第1表面R1に沿って導入する第1導入工程と、第1キャリアウェブW1と共に第2ドラム20上を搬送される吸収層Rの第2表面R2に重なって吸収体Cを形成する第2キャリアウェブW2を第2ドラム20上の吸収層Rの第2表面R2に沿って導入する第2導入工程とを備える。
【0104】
これらの場合、第1キャリアウェブW1により積繊体Rの第1表面R1を覆うので、積繊体Rを構成する繊維Fが周囲に飛散しにくい。一方、吸収層Rの第2表面R2が第2キャリアウェブW2に覆われるので、吸収層Rが両ウェブによりサンドイッチされた状態となり、第1粉粒体SAの脱落ないし落下を防止し得る。
ここで、第1表面R1は第1ドラムで搬送中の積繊体の露出側の面であり、一方、第2表面R2は第2ドラムで搬送中の吸収層の露出側の面(第1表面R1とは反対側の面)である。
【0105】
前記別の局面において、更に好ましい製造装置としては、第2ドラム20により搬送される吸収層Rの第2表面R2の上方において、かつ、第1ドラム10と第2導入装置21との間の位置において、散布装置3の先端開口30が開口し、散布装置3の先端開口30から積繊体R上に第1粉粒体SAが散布される。
【0106】
一方、前記別の局面において、更に好ましい方法としては、第2ドラム20により搬送される吸収層Rの第2表面R2の上方において、かつ、第1ドラム10と第2キャリアウェブW2の導入位置との間の位置において、散布装置3の先端開口30から積繊体R上に第1粉粒体SAが散布されて散布工程が実行される。
【0107】
これらの場合、第1ドラム10と第2ドラム20とが積繊体Rを介して互いに近接する狭い空間において、第1粉粒体SAを積繊体R上に散布することができる。したがって、第1粉粒体SAの周囲への飛散を更に抑制することができる。
【0108】
前記別の局面において、より好ましい製造装置としては、第2導入装置21は第2ドラム20に第2キャリアウェブW2を導入する(第2)導入ローラ23を備え、(第2)導入ローラ23と第1ドラム10との間において先端開口30が開口している。
【0109】
この場合、装置全体がコンパクトになり易い。
【0110】
なお、第2キャリアウェブW2における吸収層Rに接する内表面Wとなる面に接着剤を塗布する塗布器4を更に備え、第2キャリアウェブW2における吸収層Rに接する内表面Wとなる面に接着剤を塗布する塗布工程を更に備えていてもよい。
【0111】
前述の各実施態様に関連して説明/およびまたは図示した特徴は、1つまたはそれ以上の他の実施態様において同一または類似な形で、および/または他の実施態様の特徴と組み合わせて、または、その代わりに利用することができる。
【0112】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、第1キャリアウェブに接着剤を塗布して積繊体と接着してもよいし、接着剤を塗布しなくてもよい。
また、1枚のキャリアウェブによって積繊体を包むようにしてもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は使い捨てパンツやオムツなどの種々の吸収体の製造に利用できる。
【符号の説明】
【0114】
1:ダクト
10:第1ドラム 10F:外周面 20:第2ドラム 20F:外周面
11:第1導入装置 21:第2導入装置
12:天部 13:下部 14:側部 15:吸引室 19:解繊機
22:頂部 23:(第2)導入ローラ 25:吸引室
3:散布装置 30:先端開口 31:供給制御室 32:ホッパ 33:シャッタ
4:塗布器 41:第1塗布器 42:第2塗布器
5A,5B:セグメント 50:積繊凹部 51:型板 52:メッシュ部材
53:格子部材 53a:桟
61:有孔板
70:導出ローラ 80:フォルダ
C:吸収体
S:集合体 SA:第1粉粒体 SB:第2粉粒体
F:繊維
:積繊体 R:吸収層 R1:第1表面 R2:第2表面
W1:第1キャリアウェブ W2:第2キャリアウェブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12