(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】電力フィードバックループを用いるモータ制御装置
(51)【国際特許分類】
H02P 29/00 20160101AFI20240123BHJP
【FI】
H02P29/00
(21)【出願番号】P 2021554563
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(86)【国際出願番号】 US2019063189
(87)【国際公開番号】W WO2020185268
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-06-02
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501105602
【氏名又は名称】アレグロ・マイクロシステムズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【氏名又は名称】鳥居 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】ル,イソン
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特公平03-032313(JP,B2)
【文献】特開2003-134896(JP,A)
【文献】特開2003-088197(JP,A)
【文献】特表2016-501509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータに電力を供給するために前記モータに結合されたモータ制御回路と
を備えたシステムであって、
前記モータ制御回路は、
基準電力レベルを供給するための電力基準回路と、
前記モータが実質的に一定のモータ速度にて実質的に一定のトルクで動作するように、前記モータに実質的に一定の電力レベルを供給
し、前記一定の電力レベルが前記基準電力レベルに比例するように構成された電力制御回路と
、
前記モータの逆起電力電圧を表す逆起電力信号と基準速度信号との間の差を表す差分信号を生成する差分回路を含む速度フィードバックループと
を含み、
前記速度フィードバックループは、前記差分信号から前記モータを制御するための制御信号を生成し、前記制御信号は、前記電力基準回路の入力部で受信される、システム。
【請求項2】
前記モータ制御回路が電力フィードバックループを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電力フィードバックループが、前記基準電力レベルと前記モータに印加される電力レベルとの間の差を表す信号を生成する差分回路を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記モータに印加される前記電力レベルが、前記モータに印加される電圧と電流とを乗算することにより計算される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記モータに印加される前記電力レベルが、モータドライバ回路への入力電圧を前記モータドライバ回路への入力電流と乗算することにより計算される、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記モータに印加される前記電圧を測定するための回路をさらに備える、請求項
4に記載のシステム。
【請求項7】
前記モータに印加される前記入力電流を測定するための回路をさらに備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記モータが三相型である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前
記速度フィードバックループ
は、前記差分信号を受信して前記制御信号を生成するPI制御回路をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
モータに電力を供給するために結合された複数のスイッチを有するモータドライバ回路と、
モータ制御回路と
を備える回路であって、
前記モータ制御回路は、
基準電力レベルを供給するための電力基準回路と、
前記モータが実質的に一定のトルクで動作するように、前記モータに一定の電力レベルを印加するように前記モータドライバ回路を制御
し、前記一定の電力レベルが前記基準電力レベルに比例するように構成された
電力制御回路と
、
前記モータの逆起電力電圧を表す逆起電力信号と基準速度信号との間の差を表す差分信号を生成する差分回路を含む速度フィードバックループと
を含み、
前記速度フィードバックループは、前記差分信号から前記モータを制御するための制御信号を生成し、前記制御信号は、前記電力基準回路の入力部で受信される、回路。
【請求項11】
前記モータ制御回路が電力フィードバックループを含む、請求項
10に記載の回路。
【請求項12】
前記電力フィードバックループが、前記基準電力レベルと前記モータに印加される電力レベルとの間の差を表す信号を生成する差分回路を含む、請求項
11に記載の回路。
【請求項13】
前記モータに印加される前記電力レベルが、前記モータに印加される電圧と電流とを乗算することにより計算される、請求項
12に記載の回路。
【請求項14】
前記モータに印加される前記電圧を測定するための回路をさらに備える、請求項
13に記載の回路。
【請求項15】
前記モータに印加される前記電流を測定するための回路をさらに備える、請求項
13に記載の回路。
【請求項16】
前
記速度フィードバックループ
は、前記差分信号を受信して前記制御信号を生成するPI制御回路をさらに含む、請求項
10に記載の回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、モータ制御システムおよび回路に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]ブラシレスDC(「BLDC」)電動モータを精密に制御し、駆動し、調整するための回路が、多くの用途で要求される。これらの回路は、モータへの電力を制御するために使用されるパルス幅変調(「PWM」)駆動信号を多くの場合に生成する。
【0003】
[0003]BLDCモータは、多数のコイルを含むことができる。これらのコイルは、励磁されたときに、モータを回転させる。しかしながら、モータを連続的に回転させるために、モータ制御回路は、一度に複数のコイルのうちの(すべてではないが)1つ以上のコイルを励磁しなければならないこと、特定の順序でコイルを励磁しなければならないこと、異なる時間に順方向および逆方向でコイルを励磁しなければならないことなどがある。コイルが励磁される期間は、いわゆるモータの「位相」としばしば呼ばれる。ある位相の間に励磁されるコイル(または複数のコイル)は、位相コイルと呼ばれることがある。
【0004】
[0004]コイルが励磁される順序およびタイミングは、BLDCモータの設計に依存する。一例として、1つのBLDCモータは、モータを回転させるために、順序どおりに、すなわち、ラウンドロビン方式で励磁されなければならない3つのコイルを有し得る。このようなモータは、3つの「位相」を有し得る。各々の位相では、3つのコイルのうちの異なる1つ以上のコイルが励磁される。モータが回転するにつれて、位相は変化し、モータドライバは、モータを回し続けるため次の1つ以上のコイルを励磁することになる。
【0005】
[0005]各々の位相が励磁されるので、各位相がモータの回転子を物理的に駆動する。コイルに供給される電力量は、モータにより生成されるトルクの大きさに正比例し得る。多くのBLDCモータでは、コイルに与えられる電力量は、コイルが励磁されるにつれて時間とともに上下する。結果として、モータは、一定のトルク出力を生成しない。
【0006】
[0006]様々な電動モータ駆動回路が、米国特許第7,590,334号(2007年8月8日出願)、米国特許第7,747,146号(2007年8月8日出願)、米国特許第8,729,841号(2011年10月12日出願)、米国特許出願第13/595,430号(2012年、8月27日出願)、米国特許第9,088,233号(2012年12月18日出願)、米国特許第9,291,876号(2013年5月29日出願)、および米国特許出願第15/967,841号(2018年5月1日出願)に記載されており、これらの各々が参照により本明細書に組み込まれており、これらの各々が、この特許の譲受人に譲渡される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]ある実施形態では、システムは、モータと、モータに電力を供給するためにモータに結合されたモータ・制御回路とを備える。モータ制御回路は、基準電力レベルを供給するための電力基準回路と、モータが実質的に一定のモータ速度にて実質的に一定のトルクで動作するように、モータに実質的に一定の電力レベルを供給するように構成された電力制御回路とを備える。当該一定の電力レベルは、基準電力レベルに比例する。
【0008】
[0008]下記の特徴のうちの1つ以上のものが、含まれ得る。
【0009】
[0009]モータ制御回路が、電力フィードバックループを含むことができる。
【0010】
[0010]電力フィードバックループが、基準電力レベルとモータに印加された電力レベルとの間の差を表す信号を生成する差分回路を含むことができる。
【0011】
[0011]モータに印加された電力レベルが、モータに印加される電圧と電流とを乗算することにより計算され得る。
【0012】
[0012]モータに印加された電力レベルが、モータドライバ回路への入力電圧をモータドライバ回路への入力電流と乗算することにより計算され得る。
【0013】
[0013]システムが、モータに印加された電圧を測定するための回路を含むことができる。
【0014】
[0014]システムが、モータに印加された電流を測定するための回路を含むことができる。
【0015】
[0015]上記信号が、電力入力制御回路への入力として与えられ得る。
【0016】
[0016]モータが三相型であり得る。
【0017】
[0017]モータ制御回路が、速度フィードバックループを含むことができる。
【0018】
[0018]速度フィードバックループが、基準速度値とモータの測定された速度との間の差を表す信号を生成する差分回路を含むことができる。
【0019】
[0019]別の実施形態では、回路は、モータに電力を供給するために結合された複数のスイッチを有するモータドライバ回路と、モータ制御回路とを備える。モータ制御回路は、基準電力レベルを供給するための電力基準回路と、モータが実質的に一定のモータ速度にて実質的に一定のトルクで動作するように、モータに一定の電力レベルを印加するようにモータドライバ回路を制御するように構成されたモータ制御回路とを備える。当該一定の電力レベルは、基準電力レベルに比例する。
【0020】
[0020]下記の特徴のうちの1つ以上のものが、含まれ得る。
【0021】
[0021]モータ制御回路が、電力フィードバックループを含むことができる。
【0022】
[0022]電力フィードバックループが、基準電力レベルとモータに印加された電力レベルとの間の差を表す信号を生成する差分回路を含むことができる。
【0023】
[0023]モータに印加された電力レベルが、モータに印加される電圧と電流とを乗算することにより計算され得る。
【0024】
[0024]モータに印加された電圧を測定するための回路が含まれ得る。
【0025】
[0025]モータに印加された電流を測定するための回路が含まれることがある。
【0026】
[0026]上記信号が、電力入力制御回路への入力として与えられることがある。
【0027】
[0027]モータ制御回路が、速度フィードバックループを含むことができる。
【0028】
[0028]速度フィードバックループが、基準速度値とモータの測定された速度との間の差を表す信号を生成する差分回路を含むことができる。
【0029】
[0029]別の実施形態では、一定のトルクでモータを駆動する方法は、モータに印加される電圧を測定するステップと、モータに印加された電流を測定するステップと、当該測定された電圧および電流に基づいて、モータに印加された瞬時電力を計算するステップと、瞬時電力と基準電力レベルとの間の差を検出するステップと、瞬時電力が基準電力レベルと一致するように、モータに印加される電圧および/または電流を調節するステップとを備える。
【0030】
[0030]別の実施形態では、システムは、モータと、当該モータのトルク出力が実質的に一定となるように一定の電力を実現するようにモータを駆動する手段とを備える。
【0031】
[0031]前述の特徴は、下記の図面の説明からより完全に理解され得る。図面は、開示技術を説明する際および理解する際に助けとなる。可能性のあるすべての実施形態を図示すること、および説明することは多くの場合に実際的ではなく、または不可能であるので、提供される図面は、1つ以上の例示的な実施形態を表すものである。したがって、図面は、発明の範囲を限定するものではない。図面中の同様な符号は、同様な構成要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】[0032]モータを制御するためのシステムのブロック図である。
【
図2】[0033]モータを制御するためのシステムのブロック図である。
【
図3】[0034]従来技術のモータ制御回路によって駆動されるモータに関するモータ電力のグラフである。
【
図4】[0035]実質的に一定なトルク出力を与えるモータ制御回路によって駆動されるモータに関するモータ電力のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[0036]
図1は、モータ102を制御するためのモータ制御システム100の回路図である。モータ制御システム100は、モータドライバ回路106に結合されたモータ制御回路104を含む。モータドライバ回路106は、モータ102に結合され、モータ102に電力を供給する。実施形態では、モータ制御回路を、非サイン波ブラシレスDCモータ制御回路とすることができる。
【0034】
[0037]
図1に示した例では、モータ102は三相モータである。したがって、モータドライバ回路106は、電力線108と戻り線110との間に対結合の6個の電界効果トランジスタ(FET)スイッチを有する。対の間のノード(すなわち、ノードA、B、およびC)は、モータ102のコイルに結合される。FETスイッチが開閉するので、これらのスイッチは、モータ102に電力を供給し、モータ102からの戻り経路を提供する。例えば、FETスイッチ112およびFETスイッチ114が閉じられ(例えば、導通状態にあり)、一方で他のFETスイッチが開かれる(例えば、非導通状態にある)場合には、電流は、電力線108からFETスイッチ112を通りノードAへ、ノードAからモータ102の内部コイルを通りノードBへ、およびノードBからFETスイッチ114を通りグランドへと流れ得る。
【0035】
[0038]図の説明を容易にするために、FETスイッチ112のゲートだけが、モータ制御回路104に結合されて示されている。しかしながら、実施形態では、モータドライバ回路106内部の各々のFETスイッチのゲートは、モータ制御回路104に結合され得る。モータ制御回路104は、複数のFETスイッチを選択的に開閉するために信号104aを用いて各々のFETスイッチのゲートを駆動できる。このことは、モータ102のコイルに電力を配向することでモータ102を効果的に駆動する。当業者は、他の実施形態では、バイポーラ接合トランジスタ(「BJT」)やリレーなどのスイッチとして動作し得る任意のデバイスによって、FETスイッチが置き換えられてもよいことを認識するだろう。
【0036】
[0039]実施形態では、信号104aを、パルス幅変調(「PWM」)信号とすることができる。PWMオン時間がゼロから100%まで増加するにつれて、モータに供給される電流量は、ゼロからその最大値まで比例して増加する。このように、モータ制御回路104は、信号104aのパルス幅を変えることによりモータ102に供給される電流量を制御できる。
【0037】
[0040]モータ制御システム100は、モータ102に供給される電圧および電流を測定するためのセンサを含むことができる。一例として、モータ102に供給される電圧を測定するために、アナログ-デジタル変換器(「ADC」)116を、マルチプレクサ118を介してノードA、Bおよび/またはCに結合することができる。ADC116は、モータ102へ電力を供給しているノードにおける電圧を測定でき、モータ102に供給された電圧を表す信号116aを生成できる。マルチプレクサ118を、モータ制御回路104(または別の制御回路)により制御することができて、モータ102に電力を現在供給しているノード(例えば、A、BまたはC)をADC116に接続する。実施形態では、プロセッサまたは回路は、信号116aを受信でき、モータ102に供給された電圧の平均値またはRMS値を計算するために信号116aを使用できる。
【0038】
[0041]もう1つの例として、モータ102を流れる電流を測定するために、モータ制御システム100は、電流経路内にシャントレジスタ120を含むことができる。差動増幅器122の入力を、シャントレジスタ120の両端に結合することができる。このように、増幅信号122a(すなわち、差動増幅器122の出力)は、シャントレジスタ120の両端間の電圧を表すことができる。ADC124は、増幅信号122aをデジタル信号124aへと変換でき、モータ102を流れる電流を計算するために、デジタル信号124aをモータ制御回路104(または別の回路)で使用することができる。実施形態では、シャントレジスタ120は、キルヒホッフの電流則にしたがうことができ、シャントレジスタ120を通る計算された電流が、モータ102への入力電流および/または出力電流を表すものとなり得る。
【0039】
[0042]シャントレジスタ120の抵抗が既知であるので、モータ制御回路104は、モータ102を流れる電流を測定するためにシャントレジスタ120の両端間の電圧を使用できる。よって、デジタル信号124aは、測定電流を表すこともできる。実施形態では、シャントレジスタ120は、非常に小さな抵抗を有することができ、そのためシャントレジスタ120は、電流の流れを大きくは妨げず、しかも大量の電力を浪費しない。シャントレジスタ120についての典型的な値は、0.1オーム以下とされ得る。また、シャントレジスタ120は、モータ102から戻る電流(Iout)を測定するために戻り線110に結合されるように示されているが、シャントレジスタを、モータ102へと流れ込む電流(Iin)を測定するために電力線108に結合してもよい。
【0040】
[0043]
図2を参照すると、モータ制御システム200は、モータ制御回路202を含み、これはモータ制御回路104と同一または類似のものでよい。モータ制御回路202は、モータドライバ回路204に結合されているが、これはモータドライバ回路106と同一または類似のものでよい。モータドライバ回路106と同様に、モータドライバ回路204は、モータ102へ電力を供給するためにモータ102に結合され得る。
【0041】
[0044]モータ制御回路202は、基準速度回路206からの入力として、モータ102の所望の速度を表す基準速度信号206aを受信できる。基準速度回路206は、モータ102の所望の速度を表すように基準速度信号206aを発生できる任意の外部回路とされ得る。実施形態では、基準速度回路206を、外部制御回路やプロセッサ回路などとすることができる。他の実施形態では、基準速度信号206aを、モータ制御回路202で内部発生することができる。
【0042】
[0045]モータ制御回路202は、電力基準信号208aを発生できる電力基準回路208も含むこともできる。電力基準信号208aは、モータ102に印加すべき電力量を表すことができる。実施形態では、電力基準信号208aを、一定の信号もしくは可変信号とすることができ、および/または、電力基準回路208で内部発生することができる。他の実施形態では、電力基準回路208は、外部ソースから、所望の電力レベルを表し得る外部電力制御信号208bを受信できる。この場合の電力基準信号208aは、外部電力制御信号208bに比例もしくは基づくものとされ得る。
【0043】
[0046]基準速度信号206aを、モータ制御回路202の外部で発生できる。基準速度信号206aは、モータ102の速度を制御する動作中には一定でもよいし、変化してもよい。電力基準信号208aを、基準速度信号206a(例えば、所望の速度)と信号102a(実際の速度)との間の誤差(例えば、差分)に基づいて計算することができる。信号212aは、基準速度信号206aと信号102aとの間の誤差を表すことができる。電力基準回路208は、次いで電力基準信号208aを計算するためにその誤差を使用できる。
【0044】
[0047]例えば、基準速度信号206aが1000rpmのモータ速度を指示し、測定速度102aが980rpmであると仮定する。信号212aは、誤差(例えば、20rpm)を表すことができ、電力基準信号208aを増大させるためにPIループ回路208で使用され得るので、モータは所定の電力レベルで1000rpmまで加速する。
【0045】
[0048]モータ制御システム200は、速度フィードバックループおよび電力フィードバックループという2つのフィードバックループを含むことができる。速度フィードバックループは、差分回路212および比例積分(「PI」)制御装置214を含むことができる。差分回路212は、基準速度信号206aおよび逆起電力(Back EMF)信号102aを受信でき、基準速度信号206aと逆起電力信号102aとの間の差または「誤差」を表す差分信号212aを発生できる。逆起電力は、モータ102の逆起電力電圧を表す信号、または、モータ102の速度を表し得る他の任意タイプの信号とすることができる。
【0046】
[0049]PI制御回路214は、差分信号212aを受信でき、制御信号214aを生成できる。実施形態では、制御信号214aを、モータ102を制御するためのパルス幅変調信号とすることができる。例えば、PI制御回路214は、モータ102の速度を増大させるために制御信号214aのパルス幅を大きくすることができ、モータ102の速度を低減させるために制御信号214aのパルス幅を小さくすることができる。そのようにすることによって、PI制御回路214は、モータ102の速度を基準速度信号206aで表された所望の速度と一致させることができる。
【0047】
[0050]図示しないが、モータ制御システム100は、差分回路212により受信される前に逆起電力信号102aを調整するために、増幅器やフィルタなどの信号整形回路を含むことができる。
【0048】
[0051]電力フィードバックループは、差分回路216、PI制御装置218、および乗算器回路220を含むことができる。乗算器回路は、モータ102の電圧を表す信号(例えば、
図1の信号116a)を、モータ102を通る電流を表す信号(例えば、
図1のデジタル信号124a)と乗算することができる。乗算器回路の電力信号220aは、モータ102に印加される瞬時電力(例えば、現在の電力)を表すことができる。実施形態では、乗算器回路は、
図1に示したように、電力信号220aを発生するために、モータ102への入力電圧(V
in)をモータ102への入力電流(I
in)と乗算することができる。他の実施形態では、乗算器回路は、電力信号220aを発生するために、モータ102からの出力電圧(V
out)を、モータ102からの出力電流(I
out)と乗算することができる。
【0049】
[0052]差分回路216は、現在(例えば、瞬時)の電力信号220aおよび所望の電力基準信号208aを受信でき、電力信号220aと電力基準信号208aとの間の差または「誤差」を表す差分信号216aを生成できる。PI制御装置218は、差分信号216aを受信でき、制御信号218aを生成できる。制御信号218aは、モータ102を制御するためのパルス幅変調信号とすることができる。例えば、PI制御装置218は、制御信号218aのパルス幅を大きくすることができて、モータ102に印加される電力を増大させることができ、制御信号218aのパルス幅を小さくすることができて、モータ102に印加される電力を減少させることができる。そのようにすることによって、PI制御装置218は、モータ102に印加される電力を電力基準信号208aで表される所望の電力と一致させることができる。実施形態では、制御信号218aを、信号104a(
図1参照)と同一または同様のものとすることができる。
【0050】
[0053]実施形態では、モータ102に供給される電力を、電力基準信号218aに比例させることができる。比例は、電力基準信号218aの値が変化することにより、モータ102に印加される電力が変化し得ることを意味する。例えば、電力基準信号218aが増大すると、モータ102に印加される電力が増加し得る。実施形態では、電力基準信号は、一定値を有することができので、モータ102に供給される電力は、一定の電力レベルである。いくつかのケースでは、モータ102に供給される電力を、電力基準信号218aの値のスカラー倍とすることができる。
【0051】
[0054]
図3を参照すると、グラフ300は、従来技術のモータ電力曲線を示すものである。横軸は、任意単位の時間を表し、縦軸は、任意単位の電力を表す。グラフ300は、従来技術のモータ制御回路によって駆動される三相モータのトルクプロファイルを示している。
【0052】
[0055]下側の波形304、306および308の各々は、3つのモータ位相のうちの1つで駆動されたときのモータの出力電力を表すものである。各々の位相がアクティブ状態になると(例えば、電流が位相コイルを流れると)、電力は、ピークまで増大した後、位相が非アクティブ状態になるので低下する。これら3つのトルク曲線を加算すると、曲線310になり、これが従来技術の三相モータに関するモータの全体出力電力を表している。図示したように、全体電力曲線は、一定ではなく、時間の経過とともにサイン波の振幅(または絶対値)と同様の形でピークを形成し低下する。これは、例えば、モータが非サイン波ブラシレスDCモータ制御装置によって駆動される場合に生じ得る。モータ電力はトルク×モータ速度の積であるので、曲線310のような電力曲線で駆動されるときにモータが定常状態のモータ速度に到達したときは、モータのトルクは、一定のままとはならないだろう。
【0053】
[0056]
図4を参照すると、グラフ400は、モータ102の電力出力曲線を示すものである。横軸は、任意単位の時間を表し、縦軸は、任意単位の電力を表す。波形は、モータがモータ制御回路104(またはモータ制御回路202)によって制御されるので、モータ入力電力およびモータ出力電力の実験結果である。
【0054】
[0057]波形402は、モータ102への電力入力を表し、これは上述したように、入力電圧と電流とを乗算することにより計算することができる。出力電力波形404は、モータ102からの出力を表す。図示するように、出力電力波形404は、すべての3つのモータ位相A、B、およびCを通じて通して比較的一定であり、縮小したサイン波パターンを示す。結果としては、トルクがモータ速度で電力を除算したときの商であるので、モータの出力トルクも任意の一定のモータ速度に対して一定である。
【0055】
[0058]様々な実施形態が、この特許に記載される。しかしながら、特許の範囲は、記載した実施形態に限定されるべきではなく、むしろ別記の特許請求の範囲の趣旨および範囲によってのみ限定されるべきである。この特許において引用したすべての参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。