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  • 特許-診断装置 図1
  • 特許-診断装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】診断装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240123BHJP
   G05B 19/18 20060101ALI20240123BHJP
   G05B 19/4155 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
G05B23/02 Z
G05B19/18 W
G05B19/4155 V
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021575871
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(86)【国際出願番号】 JP2021004199
(87)【国際公開番号】W WO2021157676
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-09-14
(31)【優先権主張番号】P 2020020064
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和宏
(72)【発明者】
【氏名】飯島 一憲
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-185415(JP,A)
【文献】特開2018-18507(JP,A)
【文献】特開2018-12164(JP,A)
【文献】国際公開第2017/179189(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02028609(EP,A2)
【文献】特開2009-217708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00 -23/02
G05B 19/18 -19/416
G05B 19/42 -19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業機械の状態を診断する診断装置であって、
前記産業機械の状態を診断するためのモデルを記憶するモデル記憶部と、
前記産業機械の状態に係るデータとして前記産業機械に設定された機械設定情報と、前記産業機械の稼働に係る機械稼働情報とを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得したデータに基づいて、前記モデル記憶部に記憶されたモデルを用いて前記産業機械の状態を判定する状態判定部と、
前記データ取得部が取得した前記機械設定情報、前記機械稼働情報、及び、前記状態判定部が判定した前記産業機械の状態に係るデータの少なくともいずれかの変化に基づいて、前記産業機械の部品が交換されたことを検知する部品交換検知部と、
前記産業機械の部品が交換されたことが検知された場合に、前記モデル記憶部に記憶されるモデルを部品交換後の前記産業機械の状態の診断に適応させるモデル適応実施部と、
を備え
前記部品交換検知部は、前記産業機械の工具オフセット値の時系列変化に基づいて部品の交換を検知する、
診断装置。
【請求項2】
産業機械の状態を診断する診断装置であって、
前記産業機械の状態を診断するためのモデルを記憶するモデル記憶部と、
前記産業機械の状態に係るデータとして前記産業機械に設定された機械設定情報と、前記産業機械の稼働に係る機械稼働情報とを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得したデータに基づいて、前記モデル記憶部に記憶されたモデルを用いて前記産業機械の状態を判定する状態判定部と、
前記データ取得部が取得した前記機械設定情報、前記機械稼働情報、及び、前記状態判定部が判定した前記産業機械の状態に係るデータの少なくともいずれかの変化に基づいて、前記産業機械の部品が交換されたことを検知する部品交換検知部と、
前記産業機械の部品が交換されたことが検知された場合に、前記モデル記憶部に記憶されるモデルを部品交換後の前記産業機械の状態の診断に適応させるモデル適応実施部と、を備え
前記部品交換検知部は、前記産業機械のアラーム情報の時系列変化に基づいて部品の交換を検知する、
診断装置。
【請求項3】
前記部品交換検知部は、前記産業機械の部品が交換されたことを検知した際にモデルの適応処理の要否の確認を行い、
前記モデル適応実施部は、モデルの適応処理が必要であるという入力が行われた場合に、前記モデル記憶部に記憶されるモデルを部品交換後の前記産業機械の状態の診断に適応させる、
請求項1または2に記載の診断装置。
【請求項4】
前記モデル適応実施部は、前記部品交換検知部が部品の交換を検知した後に前記データ取得部が取得したデータを用いて前記モデル記憶部に記憶されるモデルの再学習処理を行うことで、前記モデルを部品交換後の前記産業機械の状態に適応させる、
請求項1または2に記載の診断装置。
【請求項5】
前記モデル適応実施部は、前記部品交換検知部が部品の交換を検知した後に前記データ取得部が取得したデータを用いて前記モデル記憶部に記憶されるモデルの追加学習処理を行うことで、前記モデルを部品交換後の前記産業機械の状態に適応させる、
請求項1または2に記載の診断装置。
【請求項6】
前記モデル適応実施部は、前記部品交換検知部が部品の交換を検知した後に前記データ取得部が取得したデータに対して適応するように前記モデル記憶部に記憶されるモデルのパラメータを修正することで、前記モデルを部品交換後の前記産業機械の状態に適応させる、
請求項1または2に記載の診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械やロボット等の産業機械の状態を診断する方法として、各々の産業機械毎に所定の診断に用いるモデルを作成し、作成したモデルを用いて産業機械から取得されたデータに基づいた診断を行う方法が知られている(例えば、特許文献1等)。この方法により産業機械の状態を診断する診断装置は、産業機械が正常に動作している時に取得されるデータに基づいて状態を診断するためのモデルを構築し、構築されたモデルを用いて産業機械の状態を診断する。産業機械に個体差がある場合であっても、当該産業機械から取得したデータを用いてモデルを構築するため、状態の診断精度を維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-033526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工場で産業機械が稼働している際に、例えば部品の摩耗や欠損等が発生することで正常な状態から外れたデータが取得されるようになると、診断装置は産業機械の状態が異常であると診断する。産業機械の状態が異常であると診断された際には、オペレータは該産業機械の稼働を停止し、メンテナンス作業を行う。メンテナンス作業では、各部の調整や部品の交換が行われる。メンテナンス作業後、オペレータは産業機械を再稼働する。
【0005】
再稼働後の産業機械は、再び診断装置によりその状態を診断される。しかしながら、メンテナンスにより交換された部品に個体差がある等の理由により、従前に利用していたモデルをそのまま用いて診断を継続すると、産業機械の状態の診断精度が低下する場合がある。このような場合に、状態の診断精度を維持するためには、モデルの再学習、追加学習、モデルのパラメータ調整、モデルの切替等のような、診断モデルの適応処理が必要となる。しかしながら、一般に産業機械自体は部品が交換されたタイミングを明示的に検出する機能を持っていない。そのため、オペレータはメンテナンス等で部品の交換等を行なった場合、診断モデルの適応の必要性を自分で判断して、手作業で診断モデルの適応指令を診断装置に入力する必要がある。このような作業はオペレータにとって負担となり、特に部品の交換が頻繁に必要となる産業機械に対する診断モデルの適応指令は、大きな負担となる。
そのため、部品の交換等のメンテナンス作業が行われた時に、明示的に指令しなくとも必要に応じてモデルの適応処理を行わせる技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による診断装置は、診断対象となる機械の稼働情報、設定情報、診断結果の値のいずれかを用いてモデルの適応処理のタイミングを判断し、ユーザにモデルの適応処理の実行判断を促す表示をしたり、モデルの適応処理を自動で実行したりすることで、上記課題を解決する。
【0007】
そして、本発明の一態様は、産業機械の状態を診断する診断装置であって、前記産業機械の状態を診断するためのモデルを記憶するモデル記憶部と、前記産業機械の状態に係るデータとして前記産業機械に設定された機械設定情報と、前記産業機械の稼働に係る機械稼働情報とを取得するデータ取得部と、前記データ取得部が取得したデータに基づいて、前記モデル記憶部に記憶されたモデルを用いて前記産業機械の状態を判定する状態判定部と、前記データ取得部が取得した前記機械設定情報、前記機械稼働情報、及び、前記状態判定部が判定した前記産業機械の状態に係るデータの少なくともいずれかの変化に基づいて、前記産業機械の部品が交換されたことを検知する部品交換検知部と、前記産業機械の部品が交換されたことが検知された場合に、前記モデル記憶部に記憶されるモデルを部品交換後の前記産業機械の状態の診断に適応させるモデル適応実施部と、を備え、前記部品交換検知部は、前記産業機械の工具オフセット値の時系列変化に基づいて部品の交換を検知する、診断装置である。
本発明の他の態様は、産業機械の状態を診断する診断装置であって、前記産業機械の状態を診断するためのモデルを記憶するモデル記憶部と、前記産業機械の状態に係るデータとして前記産業機械に設定された機械設定情報と、前記産業機械の稼働に係る機械稼働情報とを取得するデータ取得部と、前記データ取得部が取得したデータに基づいて、前記モデル記憶部に記憶されたモデルを用いて前記産業機械の状態を判定する状態判定部と、前記データ取得部が取得した前記機械設定情報、前記機械稼働情報、及び、前記状態判定部が判定した前記産業機械の状態に係るデータの少なくともいずれかの変化に基づいて、前記産業機械の部品が交換されたことを検知する部品交換検知部と、前記産業機械の部品が交換されたことが検知された場合に、前記モデル記憶部に記憶されるモデルを部品交換後の前記産業機械の状態の診断に適応させるモデル適応実施部と、を備え、前記部品交換検知部は、前記産業機械のアラーム情報の時系列変化に基づいて部品の交換を検知する、診断装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様により、モデルの適応処理の実行タイミングを通知したり自動で決定することが可能となり、オペレータの負担を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態による診断装置の概略的なハードウェア構成図である。
図2】第1実施形態による診断装置の概略的な機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は本発明の一実施形態による診断装置の要部を示す概略的なハードウェア構成図である。本発明の診断装置1は、例えば、産業機械を制御する制御装置として実装することができ、また、産業機械を制御する制御装置に併設されたパソコンや、有線/無線のネットワークを介して制御装置と接続されたパソコン、フォグコンピュータ、クラウドサーバの上に実装することができる。本実施形態では、診断装置1を、産業機械を制御する制御装置とネットワークを介して接続されたパソコン上に実装する。
【0011】
本実施形態による診断装置1が備えるCPU11は、診断装置1を全体的に制御するプロセッサである。CPU11は、バス22を介してROM12に格納されたシステム・プログラムを読み出し、該システム・プログラムに従って診断装置1全体を制御する。RAM13には一時的な計算データや表示データ、及び外部から入力された各種データ等が一時的に格納される。
【0012】
不揮発性メモリ14は、例えば図示しないバッテリでバックアップされたメモリやSSD(Solid State Drive)等で構成され、診断装置1の電源がオフされても記憶状態が保持される。不揮発性メモリ14には、インタフェース15を介して外部機器72から読み込まれたデータや制御用プログラム、入力装置71を介して入力されたデータや制御用プログラム、センサ4が備え付けられた産業機械を制御する制御装置3やフォグコンピュータ6、クラウドサーバ7等の他のコンピュータから取得される各データ等が記憶される。このようなデータには、例えば産業機械の動作状態を検出するために設けられた負荷検出器、電流/電圧計、音検出器、光検出器等のセンサ4から取得されたデータ等を含む。不揮発性メモリ14に記憶されたデータや制御用プログラムは、実行時/利用時にはRAM13に展開されても良い。また、ROM12には、公知の解析プログラムなどの各種システム・プログラムがあらかじめ書き込まれている。
【0013】
インタフェース15は、診断装置1のCPU11とUSB装置等の外部機器72と接続するためのインタフェースである。外部機器72側からは、例えば産業機械の制御に用いられる制御用プログラムや各パラメータ等を読み込むことができる。また、診断装置1内で編集した制御用プログラムや各パラメータ等は、外部機器72を介して外部記憶手段に記憶させたり、ネットワーク5を介して制御装置3や他のコンピュータに対して送信したりすることができる。
【0014】
表示装置70には、メモリ上に読み込まれた各データ、制御用プログラムやシステム・プログラム等が実行された結果として得られたデータ等がインタフェース18を介して出力されて表示される。また、キーボードやポインティングデバイス等から構成される入力装置71は、インタフェース19を介して作業者による操作に基づく指令,データ等をCPU11に渡す。
【0015】
インタフェース20は、診断装置1のCPUと有線乃至無線のネットワーク5とを接続するためのインタフェースである。ネットワーク5には、産業機械を制御する制御装置3やフォグコンピュータ6、クラウドサーバ7等が接続され、診断装置1との間で相互にデータのやり取りを行っている。
【0016】
図2は、本発明の第1実施形態による診断装置1が備える機能を概略的なブロック図として示したものである。本実施形態による診断装置1が備える各機能は、図1に示した診断装置1が備えるCPU11がシステム・プログラムを実行し、診断装置1の各部の動作を制御することにより実現される。
【0017】
本実施形態の診断装置1は、データ取得部100、状態判定部110、部品交換検知部120、モデル適応実施部130を備える。また、診断装置1のRAM13乃至不揮発性メモリ14には、産業機械を制御する制御装置3から取得したデータを記憶する取得データ記憶部200、診断に用いるモデルが予め記憶されたモデル記憶部210、状態判定部110による産業機械の状態判定結果の履歴を記憶するための判定履歴記憶部220が予め用意されている。
【0018】
データ取得部100は、図1に示した診断装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理と、インタフェース20を用いた通信処理が行われることで実現される。データ取得部100は、産業機械を制御する制御装置3から、該産業機械の動作状態を示すデータを取得する。データ取得部100が取得するデータは、産業機械乃至制御装置に設定されている各種オフセット値や時定数等の機械設定情報であって良い。データ取得部100が取得するデータは、産業機械の稼働/停止を示す情報、産業機械の駆動部の位置、速度、加速度、産業機械の駆動部の電流/電圧値、駆動部の負荷、各部の温度、産業機械周辺の音、産業機械の動作範囲を撮像した画像等の機械稼働情報であって良い。データ取得部100が取得するデータは、産業機械から直接取得できるデータであっても良いし、産業機械乃至産業機械の周辺に取り付けられたセンサ4で検出されたデータであっても良い。データ取得部100が取得するデータは、所定の時刻に取得されたデータであっても良いし、所定の周期で取得された時系列データであっても良い。データ取得部100が取得したデータは、検出された時刻や産業機械の識別子等と関連付けて取得データ記憶部200に記憶される。
【0019】
状態判定部110は、図1に示した診断装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理が行われることで実現される。状態判定部110は、データ取得部100が取得したデータに基づいて、モデル記憶部210に記憶された診断用のモデルを用いた産業機械の状態判定処理を実行する。モデル記憶部210には、予め産業機械のデータに基づいて構築された診断用のモデルが記憶されている。診断用のモデルは、所謂教師なし学習により構築されたモデルであって良く、例えば産業機械が正常に動作している時に取得されたデータ集合のクラスタであって良い。この場合、状態判定部110は、産業機械から取得された機械稼働情報のベクトル値が、正常動作時に取得されたデータ集合のクラスタ中心からどれだけ離れているか(距離)等に基づいて、産業機械の状態が正常の範囲内にあるのか、または異常な動作をしているのかを診断することができる。
診断用のモデルは、所謂教師あり学習により構築されたモデルであって良く、例えば産業機械の正常/異常を診断するニューラルネットワークや回帰式であって良い。この場合、状態判定部110は、産業機械から取得された機械稼働情報をモデルに入力し、出力された値(スコア値)に基づいて、産業機械の状態が正常の範囲内にあるのか、または異常な動作をしているのかを診断することができる。状態判定部110による判定結果は、表示装置70へと出力される。状態判定部110が異常であると判定した場合、その旨を表示装置70に表示すると共に、光や音などでオペレータに警告を発するようにしても良い。また、必要に応じて異常な状態であると判定した産業機械(を制御する制御装置3)に対して、該産業機械の動作を停止する指令を出力するようにしても良い。状態判定部110による産業機械の状態の判定結果は、更に部品交換検知部120に出力されると共に、判定履歴記憶部220に判定履歴情報として記憶される。この時、状態判定部110は、産業機械の状態の判定に用いた所定の算出値(上記例では、診断に用いられるクラスタ中心からの距離やスコア値等)も合わせて判定履歴情報として記憶しても良い。
【0020】
部品交換検知部120は、図1に示した診断装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理が行われることで実現される。部品交換検知部120は、産業機械を制御する制御装置3から取得された機械設定情報や機械稼働情報、状態判定部110による産業機械の状態の判定履歴情報に基づいて、該産業機械の部品の交換が行われたことを検知する。部品交換検知部120は、例えば機械設定情報から工具オフセット値が予め定めた所定の閾値以上に負方向へ変更された場合に、工具の交換が行われたものとして検知するようにしても良い。部品交換検知部120は、例えば産業機械にアラームが発生した後に動作が停止し、予め定めた所定の時間が経過後に再稼働した場合に、何らかの部品の工具が行われたと検知するようにしても良い。部品交換検知部120は、例えば状態判定部110による産業機械の状態の判定結果が、判定履歴記憶部220に記憶された判定履歴情報と比較して、所定の閾値以上に正常な方向へと好転した場合に、何らかの部品の工具が行われたと検知するようにしても良い。その他にも、部品交換検知部120は、産業機械の特性に応じて、機械設定情報、機械稼働情報、状態判定部110による判定結果の少なくともいずれかを用いて、産業機械における部品の交換を検知するようにしても良い。例えば、機械設定情報、機械稼働情報、判定履歴情報の少なくともいずれか、又はその組み合わせにおける所定の時系列的な変化から、部品の交換を検出するようにしても良い。部品交換検知部120は、産業機械の部品交換を検知した際に、その旨を表示装置70に対して表示するようにして良い。また、部品交換検知部120は、産業機械の部品交換を検知した際に、その旨をモデル適応実施部130に対して出力するようにしても良い。
【0021】
モデル適応実施部130は、図1に示した診断装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理が行われることで実現される。モデル適応実施部130は、産業機械の部品交換を検知された際に、モデル記憶部210に記憶されるモデルを部品交換後の産業機械の状態の診断に適応させる処理を実行する。モデル適応実施部130は、例えば部品交換後の産業機械から取得されたデータを用いた再学習処理を行うことで、部品交換後の産業機械に診断用のモデルを適応させるようにしても良い。モデル適応実施部130は、例えば部品交換後の産業機械から取得されたデータを用いた追加学習処理を行うことで、部品交換後の産業機械に診断用のモデルを適応させるようにしても良い。モデル適応実施部130は、例えば部品交換後の産業機械から取得されたデータに対して適応するように診断用のモデルのパラメータ(例えば、クラスタの中心位置やクラスタの広がり、モデルが式で表される場合はその係数、ニューラルネットワークで表される場合には重み係数等)を調整することで、部品交換後の産業機械に診断用のモデルを適応させるようにしても良い。モデル適応実施部130は、例えば診断に用いるモデルを、部品交換後の産業機械から取得されたデータに対して適応する他の診断用のモデルに切り替えることで、部品交換後の産業機械に診断用のモデルを適応させるようにしても良い。
【0022】
上記構成を備えた本実施形態による診断装置1は、産業機械において部品が交換されたことを検知した際に、産業機械の状態の診断に用いるモデルを、部品交換後の産業機械から取得されたデータに対して適応させる処理を自動的に行う。そのため、オペレータはモデルの適応処理の実行を自分で判断して行う必要がなくなり、オペレータの負担を低減することができる。
【0023】
本実施形態による診断装置1の一変形例として、部品交換検知部120は、産業機械の部品が交換されたことを検知した際に、表示装置70に対してモデル適応処理を実施するか否かを確認する表示を行うようにしても良い。部品交換検知部120は、産業機械の部品が交換されたことを検知した際に、例えば「YYYY/MM/DD HH:MMに部品Aを交換しましたか?交換された場合はモデルの適応処理を実施してください。(Yes/No)」等の表示を行い、これに対してオペレータがYesを選択した場合に、モデル適応実施部130がモデルの適応処理を実施する。部品交換検知部120による部品交換の検知は、正確ではない場合もあるため、最終判断をユーザにゆだねることで不要なモデルの適応処理を防止することができる。
【0024】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態の例のみに限定されることなく、適宜の変更を加えることにより様々な態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 診断装置
3 制御装置
4 センサ
5 ネットワーク
6 フォグコンピュータ
7 クラウドサーバ
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 不揮発性メモリ
15,18,19,20 インタフェース
22 バス
70 表示装置
71 入力装置
72 外部機器
100 データ取得部
110 状態判定部
120 部品交換検知部
130 モデル適応実施部
200 取得データ記憶部
210 モデル記憶部
220 判定履歴記憶部
図1
図2