(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】開口部装置
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20240123BHJP
E06B 7/22 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B7/22 B
(21)【出願番号】P 2022007491
(22)【出願日】2022-01-20
(62)【分割の表示】P 2020216831の分割
【原出願日】2017-07-13
【審査請求日】2022-02-21
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2016142735
(32)【優先日】2016-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】大楠 安紀
(72)【発明者】
【氏名】米道 貴広
(72)【発明者】
【氏名】澤田 晃尚
(72)【発明者】
【氏名】丸池 勇
(72)【発明者】
【氏名】荒井 直樹
【合議体】
【審判長】住田 秀弘
【審判官】古屋野 浩志
【審判官】土屋 真理子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-145950(JP,U)
【文献】実開昭56-169077(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0226234(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0079623(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-1/70
E06B 5/00-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部を閉塞するパネル
体を保持する室外側装置と、室外側装置の室内側に配置され建物開口部を閉塞す
る障子を保持する室内側装置を備え、
室外側装置は、建物開口部に求められる防火性能を有さずに、建物開口部に求められる水密性能・気密性能及び耐風圧性能を有しており、
室内側装置は、建物開口部に求められる防火性能を有している開口部装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
建築物等の開口部に配置され、開口部における防火機能を発揮する建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の開口部に配置される建具には、水密性・気密性・耐風圧性を備える建具が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、建築物の建具には、防火性能が求められるようになり、建物開口部に設置されている建具に対して、防火性能を付与するための改装等が求められる場合がある。
しかし、建物開口部に設置されている建具を、防火性能を備えた建具に改装するには、枠体を取り外すなど改修工事が大がかりとなる場合があり、手間がかかっていた。
【0005】
本発明は、上記の事情を鑑みたものであり、建物開口部に配置することにより、建具の防火性能を向上させることができる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の開口部装置は、建物開口部を閉塞するパネル体を保持する室外側装置と、室外側装置の室内側に配置され建物開口部を閉塞する障子を保持する室内側装置を備え、室外側装置は、建物開口部に求められる防火性能を有さずに、建物開口部に求められる水密性能・気密性能及び耐風圧性能を有しており、室内側装置は、建物開口部に求められる防火性能を有している開口部装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、防火建具を室内側建具として配置することにより、建物開口部に防火性能を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る二重建具の縦断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る二重建具の横断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る二重建具を構成する室外側建具の縦断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る二重建具を構成する室外側建具の横断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る二重建具を構成する室内側建具の縦断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る二重建具を構成する室内側建具の横断面図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る二重建具を構成する室内側建具の縦断面図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係る二重建具を構成する室内側建具の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(二重建具の全体構成)
本発明の防火建具について、気密性・断熱性を備える複合サッシが配置されている建物開口部に対して、防火機能を備える防火サッシを配置することにより、全体として防火建具に改修した改修防火建具を用いて説明する。
本発明の実施形態に係る改修防火建具は、
図1,2に示すように、建物開口部の室外側に配置される気密機能、断熱機能を有する室外側建具Aと、室外側建具Aの室内側に配置される防火機能を有する室内側建具Bを備えている。
【0010】
-室外側建具-
室外側建具Aは、建物開口部の室外側に半外付け状に配置されており、建物開口部の内周に固定される枠体1に対して、内障子2及び外障子3が引違い自在に配置されるとともに、網戸障子4が配置されている。
室外側建具Aを構成する枠体1は、アルミ合金等の金属材料により形成された室内側及び室外側の枠材を断熱ブリッジにより連結して構成され、また、室外側建具Aを構成する内、外障子2,3の框体は、金属框の室内側に樹脂框を配置して構成されることで、高い断熱性能を備えている。
また、枠体1と内、外障子2,3の框体間には、気密材による気密ラインが形成されるとともに、風止め部材が設けられており、建具として必要な水密性能、気密性能及び耐風圧性能を備えている。
以下、室外側建具Aの構造について具体的に説明する。
【0011】
(室外側建具の枠体)
室外側建具Aの枠体1は、上枠11,下枠12及び左、右縦枠13,14を四周に枠組することにより形成されている。
上枠11は、
図3に示すように、アルミ合金等の押出形材からなる室外上枠111と室内上枠112を断熱性を有する樹脂材料等からなるブリッジ部材113で連結して形成されており、室外上枠111の下面には外障子3の上端を案内する室外側上レール111a及び網戸障子4の上端を案内する網戸上レール111bが下方に垂設され、室内上枠112の下面には内障子2の上端を案内する室内側上レール112aが下方に垂設されている。
【0012】
上枠11の室外側上レール111aと室内側上レール112aとの間であって、外障子3と内障子2の召合框の上方位置にはヒレ状の風止め部材114aが配置されており、また、上枠11の網戸上レール111bと室外側上レール111aとの間であって、外障子3の召合框の上方位置にはヒレ状の風止め部材114bが配置されている。
また、室内上枠112の室内側上レール112aの室内側面から室内上枠112の内周面にかけて樹脂上枠115が配置されており、樹脂上枠115の室内側には建物開口部の内周に至る顎部115aが形成されている。
そして、樹脂上枠115は、
図1に示すように、室内上枠112の内周面とともにビス等の固定手段b1により建物開口部に固定されており、さらに、顎部115aがビス等の固定手段b2により建物開口部に対して固定されている。
【0013】
下枠12は、
図3に示すように、アルミ合金等の押出形材からなる中空構造の室外下枠121と室内下枠122を断熱性を有する樹脂材料等からなるブリッジ部材123で連結して形成されており、室外下枠121の上面には、外障子3を案内する室外側下レール121a及び網戸障子4を案内する網戸下レール121bが上方に向けて設けられているとともに、室内下枠122の上面には、内障子2を案内する室内側下レール122aが上方に向けて設けられている。
【0014】
下枠12の室外側下レール121aと室内側下レール122aとの間であって、内、外障子2,3の閉鎖時において外障子3が配置される部位には、室内下枠122から室外下枠121にかけて上面を覆う樹脂カバー部材124が配置されている。
また、室内下枠122の室内側下レール122aの室内側面から室内下枠122の内周面にかけて樹脂下枠125が配置されており、樹脂下枠125の室内側には建物開口部の内周に至る顎部125aが形成されている。
【0015】
左縦枠13は、
図4に示すように、アルミ合金等の押出形材からなる左縦枠本体131の内周に外障子3の戸先框に配置された引寄部材fが当接する内周突壁131aが設けられており、左縦枠本体131の室内側内周面には、樹脂左縦枠132が係合配置されている。
樹脂左縦枠132は、左縦枠本体131の室内側内周面を覆う本体部132aと本体部132aの室内側に連続する顎部132bとを有し、本体部132aの室外側内周端から外障子3の戸先框33に向けて気密部132cが延設されている。
【0016】
右縦枠14は、
図4に示すように、アルミ合金等の押出形材からなる右縦枠本体141の内周に内障子2の戸先框24に配置された引寄部材fが当接する内周突壁141aが設けられており、右縦枠本体141の内周突壁141aよりも室内側内周面には、樹脂右縦枠142が配置されている。
樹脂右縦枠142は、右縦枠本体141の内周面を覆う本体部142aと本体部142aの室内側に連続する顎部142bとを有している。
【0017】
(室外側建具の内、外障子)
室外側建具Aの内障子2は、
図3,4に示すように、上框21,下框22及び左、右縦框23,24を四周に組んで、その内周に複層ガラス等のパネル体25を取り付けて形成されている。
内障子2の上框21は、
図3に示すように、アルミ合金等の押出形材からなり中空部を有する金属上框211と金属上框211の室内側に係合され中空部を有する樹脂上框212とを備えており、金属上框211の室外側内周面を延設してなる室外側間口壁211aと樹脂上框212の室内側内周面を延設してなる室内側間口壁212aとによって、複合ガラス等のパネル体25を保持するパネル間口21aが形成されている。
金属上框211の外周には室内側上レール112aに案内される開口部211bを有しており、開口部211bを形成する室外側壁の室内側面には、室内側上レール112aの室外側面に当接する気密材s1が配置されて内障子2の上框21と上枠11との間の気密ラインを形成している。
また、樹脂上框212の上端には室内側上レール112aの室内側面に近接するヒレ部212bが設けられており、開口部211b内を半密閉空間として内障子2の上框21における断熱性を向上させている。
【0018】
内障子2の下框22は、
図3に示すように、アルミ合金等の押出形材からなり中空部を有する金属下框221と、金属下框221の室内側に係合され中空部を有する樹脂下框222とを備えており、金属下框221の室外側内周面を延設してなる室外側間口壁221aと樹脂下框222の室内側内周面を延設してなる室内側間口壁222aとによって、複合ガラス等のパネル体25を保持するパネル間口22aが形成されている。
金属下框221の外周には室内側下レール122aに案内される開口部221bを有しており、開口部221bを形成する室外側壁の室内側面には、室内側下レール122aの室外側面に当接する気密材s2が配置されて内障子2の下框22と下枠12との間の気密ラインを形成している。
また、樹脂下框222の下端に室内側下レール122aの室内側面に近接するヒレ部222bが設けられており、開口部221b内を半密閉空間として内障子2の下框22における断熱性を向上させている。
下框22の所定位置には、室内側下レール122a上を走行する車輪222cが配置され、室内側下レール122a上を走行自在に配置されている。
【0019】
内障子2の戸先(右縦)框24は、
図4に示すように、アルミ合金等の押出形材からなり中空部を有する金属右縦框241と金属右縦框241の室内側に係合され中空部を有する樹脂右縦框242とを備えており、金属右縦框241の室外側内周面を延設してなる室外側間口壁241aと樹脂右縦框242の室内側内周面を延設してなる室内側間口壁242aとによって、複合ガラス等のパネル体25を保持するパネル間口24aが形成されている。
金属右縦框241の外周には引寄部材fが取り付けられる開口部241bを有しており、開口部241bを形成する室外側壁の室内側面には、右縦枠14の内周突壁141aに当接する気密材s6が配置されて内障子2の戸先(右縦)框24と右縦枠14との間の気密ラインを形成している。
なお、内障子2の右縦框24の上端には、図示しない振れ止め部材が配置されており、室内側上レール112aに対して内障子2が開閉中などにぐらつくことを防止している。
【0020】
内障子2の召合(左縦)框23は、
図4に示すように、アルミ合金等の押出形材からなり中空部を有する金属左縦框231と金属左縦框231の室内側及び外周側を覆うように係合される樹脂左縦框232とを備えており、金属左縦框231の室外側内周面を延設してなる室外側間口壁231aと樹脂左縦框232の室内側内周部232aとによって、複合ガラス等のパネル体25を保持するパネル間口23aが形成されている。
召合(左縦)框23の室外側面には、外障子3の召合框34の室内側面との間に煙り返しを形成する煙返し片が形成されており、また、召合(左縦)框23の外周面には、クレセント錠81が取り付けられている。
【0021】
パネル体25は、
図3,4に示すように、室内側網ガラスと室外側ガラスとをスペーサ及びシール材を介して二重に配置してなる複合ガラスにより形成されており、上框21,下框22及び左、右縦框23,24のパネル間口に対して、グレイジングチャンネルを介して取り付けられている。
【0022】
室外側建具Aの外障子3は、
図3,4に示すように、上框31,下框32及び左、右縦框33,34を四周に組んで、その内周に複層ガラス等のパネル体35を取り付けて形成されている。以下に外障子3について説明するが、外障子3と内障子2とは、基本的のその構成を同じくするものであるため、内障子2の構成と同様の構成については、その説明を省略する。
外障子3の上框31は、
図3に示すように、金属上框311と樹脂上框312とを備えており、樹脂上框312の形状が内障子2の上框21と若干異なっている。
そして、金属上框311の開口部311bを形成する室外側壁の室内側面には、室外側上レール111aの室外側面に当接する気密材s3が配置されて外障子3の上框31と上枠11との間の気密ラインを形成している。
また、樹脂上框312の上端には室外側上レール111aの室内側面に近接するヒレ部312bが設けられており、開口部311b内を半密閉空間として内障子2の上框21における断熱性を向上させている。
【0023】
外障子3の下框32は、
図3に示すように、金属下框321と樹脂下框322とを備えており、樹脂下框322の形状が内障子2の下框22と若干異なっている。
そして、金属下框321の開口部321bを形成する室外側壁の室内側面には、室外側下レール121aの室外側面に当接する気密材s4が配置されて外障子3の下框32と下枠12との間の気密ラインを形成している。
また、樹脂下框322の下端に室外側下レール121aの室内側面に近接するヒレ部322bが設けられており、開口部321b内を半密閉空間として外障子3の下框32における断熱性を向上させている。
【0024】
外障子3の戸先(左縦)框33は、
図4に示すように、金属左縦框331と樹脂左縦框332とを備えており、内障子2の戸先框24とほぼ同様の構成を備えている。
金属左縦框331の開口部331bを形成する室外側壁の室内側面には、左縦枠13の内周突壁131aに当接する気密材s5が配置されて外障子3の戸先(左縦)框33と左縦枠13との間の気密ラインを形成している。
また、左縦枠13の樹脂左縦枠132の気密部132cが左縦框33に当接することで、左縦框33の開口部321bを密閉空間として外障子3の左縦框33における断熱性を向上させている。
【0025】
外障子3の召合(左縦)框34は、
図4に示すように、金属右縦框341を備え、金属右縦框341の室内側面に内障子2の金属左縦框231の室外側面に当接する気密材s7が配置されており、召合わせ部における内障子2と外障子3との間の気密ラインを形成している。
また、金属右縦框341の室内側面には内障子2の召合框23の煙返し片とともに煙返しを形成する煙返し片が形成されており、煙返し片の内周側には、クレセント受け82が取り付けられている。
【0026】
以上の本実施形態においては、室外側建具Aは、外障子3及び内障子2と枠体1との間の気密材s1乃至s6、外障子3と内障子2の召合せ部の気密材s7、及び枠体1の上枠11下面に設けた風止め部材114aとにより、建具全体に亘って気密ラインが形成され、建物開口部における水密性、気密性及び耐風圧性を確保するとともに、断熱部材から形成されたブリッジにより連結された上枠11及び下枠12と、室内側に樹脂框を備える複合材料により内障子2及び外障子3の框材を形成することで、断熱性を備えている。
【0027】
-室内側建具(防火建具)-
室内側建具Bは、建物開口部の室内側の内周面に固定される枠体5に対して、内障子6及び外障子7が引違い自在に配置されている。
室内側建具Bを構成する枠体5及び内、外障子6,7の框体は、アルミ合金等の金属材料のみからなり断熱性を向上させるための樹脂部材を用いずに形成されており、また、パネル体として耐火性耐熱性を有する単板ガラスを採用することで、建具として高い防火性能を有している。
【0028】
(室内側建具の枠体)
室内側建具Bの枠体5は、アルミ合金等の押出形材により形成される略板状構造の複数の枠材、具体的には、上枠51,下枠52及び左、右縦枠53,54を備えている。
各枠材は、金属材料のみにより構成されており、それらが枠組されることなく、
図5,6に示すように、上枠51,下枠52及び左、右縦枠53,54が建物開口部の内周面にビス等の固定手段により固定されることで開口部の四周に亘る枠体5が形成されている。
【0029】
上枠51は、
図5に示すように、建物開口部の内周面上面にビス等の固定部材b,bにより固定される略平板状の上枠本体511と上枠本体511の下面より垂設される室内側上レール511a及び室外側上レール511bを備えている。
上枠本体511の室内側端には、室内側壁511cが下方に垂設されており、その先端は内、外障子6,7の上端と見込み方向において重複している。
そして、上枠51の室内側上レール511aと室外側上レール511bとの間であって、内障子6及び外障子7の召合框の上方位置にはヒレ状の風止め部材512が配置されている。
さらに、上枠51の室内側上レール511aと室外側上レール511bとの間には、火災時の加熱により膨張する加熱膨張材f1が配置されている。
【0030】
下枠52は、
図5に示すように、建物開口部の内周面下面にビス等の固定部材b,bにより固定される略平板状の下枠本体521と下枠本体521の上面より立設される室内側下レール521a及び室外側下レール521bを備えている。
下枠本体521の室内側端には、室内側壁521cが上方に立設されており、その先端は内、外障子6,7の下端と見込み方向において重複している。
【0031】
左、右縦枠53,54は、
図6に示すように、建物開口部の両縦内周面にビス等の固定部材b,bにより固定される略平板状の左、右縦枠本体531,541と左、右縦枠本体531,541の内周面に形成されて内障子6もしくは外障子7の戸先框64,73に配置される気密材s15,s16が当接する当接壁531a,541aを備えている。
なお、建物開口部の四隅において、横枠(上枠51,下枠52)の室内側上レール511a、室外側上レール511b及び室内側下レール521a、室外側下レール521bもしくは縦枠(左縦枠53,右縦枠54)の当接壁531a,541aの一部が切欠かれることにより、上枠51,下枠52及び左、右縦枠53,54を四周に亘って固定することができ枠体5が構成されている。
【0032】
以上の本実施形態においては、建物開口部の室内側に配置される室内側建具Bは、上下左右の枠体を略平板状の部材と略平板状の部材から立ち上がるレール等により構成されているので、略平板状の部材をビス等の固定部材によって建物開口部に取り付けることで、室外側建具が施工されている建物開口部に対して後付けで簡単に施工することができ、また、施工後の開口面積の減少を少なく抑えることができる
【0033】
(室内側建具の内外障子)
室内側建具Bの内障子6は、
図5,6に示すように、アルミ合金等の押出形材により形成される上框61,下框62及び左、右縦框63,64を四周に組んで、その内周にパネル体65を取り付けて形成されており、内障子6を構成する各框は金属材料のみから構成されている。
内障子6の上框61は、
図5に示すように、内周側にはパネル体65を保持するためのパネル間口61aが、外周側には室内側上レール511aに案内される開口部61bを備えている。
開口部61bを構成する室外側壁には室内側上レール511aに当接する気密材s11が取り付けられているとともに、開口部61bの底部には、火災時の加熱により膨張する加熱膨張材f2が配置されている。
【0034】
内障子6の下框62は、
図5に示すように、内周側にはパネル体65を保持するためのパネル間口62aが、外周側には室内側下レール521aに案内される開口部62bを備えている。
開口部62bを構成する室外側壁には室内側下レール521aに当接する気密材s12が取り付けられているとともに、開口部62bを構成する室内側壁の室外側面には、火災時の加熱により膨張する加熱膨張材f3が配置されている。
下框62のパネル間口62a内には、下方に向けて開口する断面略逆U字状の補強部材621が配置され、同開口部62b内には、室内側に向けて開口する断面略U字状の補強部材622が配置されている。
また、開口部62bの所定位置には、室内側下レール521a上を走行する車輪623が配置され、室内側下レール521a上を走行自在に配置されている。
【0035】
内障子6の戸先(右縦)框64は、
図6に示すように、中空部を有する右縦框本体64aと右縦框本体64aの内周側に形成されるパネル間口64bと右縦框本体64aの外周側に形成される戸先開口部64cとを有し、戸先開口部64cを構成する室外側壁の室内側面には、右縦枠54の当接壁541aに当接する気密材s16が配置されている。
戸先(右縦)框64の右縦框本体64aの中空内部には、室外側に向けて開口する断面略U字状の補強部材641が配置され、パネル間口64b内には、外周側に向けて開口する断面略U字状の補強部材642が配置されている。
【0036】
内障子6の召合(左縦)框63は、
図6に示すように、中空部を有する左縦框本体63aと左縦框本体63aの内周側に形成されるパネル間口63bを備えており、召合(左縦)框63の室外側面には、外障子7の召合框74の室内側面との間に煙返しを形成する煙返し片が形成されており、また、召合(左縦)框63の外周面には防火クレセント錠83が取り付けられている。
召合(左縦)框63の左縦框本体63aの中空内部には、内周部及び室内側部を有する断面略L字状の補強部材631が配置され、同パネル間口63b内には、外周側に向けて開口する断面略U字状の補強部材632が配置されている。
【0037】
パネル体65は、
図5,6に示すように、耐火性耐熱性を有するガラス、より具体的には単板ガラスにより形成されており、上框61,下框62及び左、右縦框63,64のパネル間口に対して、難燃性のグレイジングチャンネルを介して取り付けられている。
【0038】
室内側建具Bの外障子7は、
図5,6に示すように、アルミ合金等の押出形材により形成される上框71,下框72及び左、右縦框73,74を四周に組んでなり、その内周にパネル体75を取り付けて形成されている。以下に外障子7について説明するが、外障子7と内障子6とは、基本的のその構成を同じくするものであるから、内障子6の構成と同様の構成については、その説明を省略する。
【0039】
外障子7の上框71は、
図5に示すように、開口部71bを構成する室外側壁には室外側上レール511bに当接する気密材s13が取り付けられているとともに、開口部71bの底部には、火災時の加熱により膨張する加熱膨張材f4が配置されている。
外障子7の下框72は、
図5に示すように、開口部72bを構成する室外側壁には室外側下レール521bに当接する気密材s14が取り付けられているとともに、開口部72bを構成する室内側壁の室外側面には、火災時の加熱により膨張する加熱膨張材f5が配置されている。
下框72のパネル間口72a内には、下方に向けて開口する断面略逆U字状の補強部材721が配置され、同開口部72b内には、室内側に向けて開口する断面略U字状の補強部材722が配置されている。
【0040】
外障子7の戸先(左縦)框73は、
図6に示すように、戸先開口部73cを構成する室外側壁の室内側面に、左縦枠53の当接壁531aに当接する気密材s15が配置されている。
戸先(左縦)框73の左縦框本体73aの中空内部には、室外側に向けて開口する断面略U字状の補強部材731が配置され、パネル間口73b内には、外周側に向けて開口する断面略U字状の補強部材732が配置されている。
【0041】
外障子7の召合(右縦)框74は、
図6に示すように、アルミ合金等の押出形材からなり中空部を有する右縦框本体74aと右縦框本体74aの内周側に形成されるパネル間口74bを備えており、右縦框本体74aの室内側面には内障子6の召合框63の煙返し片とともに煙返しを形成する煙返し片が形成されて、煙返し片の内周側には、防火クレセント受け84が取り付けられている。
召合(右縦)框74の右縦框本体74aの中空内部には、内周部及び室外側部を有する断面略L字状の補強部材741が配置され、同パネル間口74b内には、外周側に向けて開口する断面略U字状の補強部材742が配置されている。
【0042】
以上の実施形態においては、建物開口部の室内側に配置される室内側建具Bは、上枠51の室内側上レール511aと室外側上レール511bとの間に加熱膨張材f1が配置されているとともに、内、外障子6,7の上框61,71の開口部61b,71bの底部には、加熱膨張材f2,f4が配置されているので、火災時には加熱膨張材f1,f2,f4が膨張することで、室内側建具Bにおける上枠と障子上方部分との間の連通を防止することができる。
同様に、内、外障子6,7の下框62,72の開口部62b,72bには、加熱膨張材f3,f5が配置されているので、火災時には加熱膨張材f3,f5が膨張することで、室内側建具Bにおける下枠と障子下方部分との間の連通を防止することができる。
【0043】
また、室内側建具Bの下框62,72及び左、右縦框63,64,73,74には、補強部材が配置されており、内、外障子6,7が防火クレセント錠83及び防火クレセント受け84により係合されているので、火災時にアルミ合金等により形成された框体が熱によって溶けても補強部材及び防火クレセントの係合により内、外障子6,7の形状を保つことができ、加熱膨張材f1乃至f5による枠体と障子との間の連通を遅らせることができる。
さらに、内、外障子6,7のパネル体65,75を耐火性耐熱性を備える単板の防火ガラスにより形成することで、熱によるガラス板の変形を防止するとともに、複合ガラス板間を保持するシール部材が燃えることによる可燃性ガスの発生を防止することができる。
【0044】
すなわち、上記の実施形態の室内側建具(防火建具)Bは、建物開口部に配置される枠体と、枠体の内周に配置されパネル体を有する障子を備え、枠体は、金属材料のみからなる略板状構造の複数の枠材を備え、複数の枠材が建物開口部の内周に固定されることで枠体を形成し、障子は、金属材料のみからなる框体の内周に耐火性耐熱性を有するガラスを配置して形成されており、建物開口部に設置されることで建物開口部の防火性能を担保するから、建物開口部において、従来建具の内側に配置することにより、建物開口部に防火性能を付与することができる
そして、上記の実施形態の二重建具は、建物開口部に配置される室外側建具及び室内側建具を備え、室内側建具として、上記防火建具を配置することにより、従来建具に対して簡単に防火機能を付与することができ、全体として、水密性、気密性、耐風圧性及び防火性を備える建物開口部を構成することができる。
【0045】
以上のように、本発明の実施形態の防火建具においては、できるだけ火炎や熱に弱い材料を用いることなく、アルミ合金等の金属材料のみからなる枠体と、アルミ合金等の金属材料のみからなる框体と耐火性防火性を備えるガラスからなる障子との組み合わせにより、防火性能に特化した建具を構成することができ、この防火建具の枠体を板状部材の内周面にレール等の必要部位を形成した単純な形状の枠体により形成することにより、従来の防火性能を有しない(室外側)建具の室内側に枠体をネジ止め等固定して建物開口部に設置されることで建物開口部の防火性能を担保することができる。
そして、上記防火建具を、建物開口部における水密性、気密性及び耐風圧性を担保する建具と組み合わせて二重建具を構成することにより,全体として、水密性、気密性、耐風圧性及び防火性を有する建具を、簡単、確実に構築することができる。
【0046】
-他の実施形態の室内側建具(防火建具)-
本発明の他の実施形態の室内側建具B2の枠体5は、略板状構造の上枠56,下枠57及び左、右縦枠58,59を備えており、各枠材は、枠組されることなく、
図7,8に示すように、上枠56,下枠57及び左、右縦枠58,59が建物開口部の内周面に固定されることで開口部の四周に亘る枠体5が形成されている。
【0047】
上枠56は、
図7に示すように、樹脂材料からなる略平板状の上枠本体561と、アルミ合金等の金属材料からなり上枠本体561の内周面(下面)に配置される上レール部材562を有しており、上枠本体561と上レール部材562は、ビス等の固定手段b4により、建物開口部の内周面上面にともに固定されている
上枠本体561は、建物開口部に固定される上枠本体部561aと、上枠本体部561aの室内側端から垂下する室内側壁561bを有し、上枠本体部561aと建物開口部の内周面との間には、見付け方向のほぼ全長に沿って室内外2条の加熱膨張材f61,f61が配置されている。
上レール部材562は、室内外の両端部より下方に垂設される室内側上レール562a及び室外側上レール562bを有しており、上レール部材562の内周面で室内側上レール562aと室外側上レール562bとの間に加熱膨張材f62が配置されている。
そして、上枠56の室内側上レール562aと室外側上レール562bとの間であって、内障子6及び外障子7の召合框の上方位置にはヒレ状の風止め部材563が配置されている。
【0048】
下枠57は、
図7に示すように、樹脂材料からなる略平板状の下枠本体571と、アルミ合金等の金属材料からなり下枠本体571の内周面(上面)に配置される下レール部材572を有しており、下枠本体571と下レール部材572は、ビス等の固定手段b4により、建物開口部の内周面下面にともに固定されている。
下枠本体571は、建物開口部に固定される下枠本体部571aと、下枠本体部571aの室内側端から上方に立設される室内側壁571bを有しており、下枠本体部571aと建物開口部の内周面との間には、見付け方向のほぼ全長に沿って室内外2条の加熱膨張材f71,f71が配置されている。
下レール部材572は、室内外に立設する室内側下レール572a及び室外側下レール572bを有しており、下レール部材572の内周面で室内側下レール572aと室外側下レール572bとの間に加熱膨張材f72が配置されている。
【0049】
左、右縦枠58,59は、
図8に示すように、樹脂材料からなる略平板状の左、右縦枠本体581,591を有しており、ビス等の固定部材b5,b5により、建物開口部の両縦内周面に固定されている。
左、右縦枠本体581,591は、建物開口部に固定される左、右縦枠本体部581a,591aと、左、右縦枠本体部581a,591aの見込み方向略中央位置から内周方向に突設される中央壁581b,591bと、左、右縦枠本体部581a,591aの室内側端から内周方向に突設される室内側壁581c,591cと、左、右縦枠本体部581a,591aの室外側端から内周方向に突設される室外側壁581d,591dとを有しており、左、右縦枠本体部581a,591aと建物開口部の内周面との間には、見付け方向のほぼ全長に沿って室内外2条の加熱膨張材f81,f81,f91,f91が配置されている。
中央壁581b,591bの内周端には、室内外両側にヒレ状の気密片が設けられており、内障子6もしくは外障子7の閉鎖時において、内、外障子6,7の戸先框69,78に当接する。
【0050】
左縦枠58の中央壁581bよりも室外側の内周面、および、右縦枠59の中央壁591bよりも室内側の内周面に、金属材料からなり断面略L字状の長尺部材である補強部材582,592が配置されている。左縦枠58に配置される補強部材582は、左縦枠58の中央壁581bの室外側面と左縦枠本体部581aの内周面を覆い、右縦枠59に配置される補強部材592は、右縦枠59の中央壁591bの室内側面と右縦枠本体部591aの内周面を覆い、それぞれ固定部材b5によって、左、右縦枠本体部581a,591aとともに建物開口部に固定されている。
左、右縦枠58,59に配置された補強部材582,592の内周面には、加熱膨張材f82,f92が配置されている。
【0051】
なお、他の実施形態の室内側建具B2においても、建物開口部の四隅において、横枠(上枠56,下枠57)の上レール部材562及び下レール部材572の少なくとも室内側上レール562a、室外側上レール562b及び室内側下レール572a、室外側下レール572bもしくは縦枠(左縦枠58,右縦枠59)の中央壁581b,591bの一部が切欠かれることにより、上枠56,下枠57及び左、右縦枠58,59を四周に亘って固定することができ枠体5が構成されている。
【0052】
以上の他の実施形態においては、建物開口部の室内側に配置される室内側建具B2は、上下左右の枠体を略平板状の部材と上下のレール部材等により構成されているので、略平板状の部材を建物開口部に配置し、上、下枠体の内周面に上、下レール部材を配置して、ビス等の固定手段によって建物開口部に固定して施工することができるので、室外側建具が既に施工されている建物の開口部に対して後付けで簡単に施工することができ、また、施工後の開口面積の減少を少なく抑えることができる。
【0053】
(室内側建具の内外障子)
以上の他の実施形態の室内側建具B2の内障子6は、
図7,8に示すように、上框66,下框67及び左、右縦框68,69を四周に組んで、その内周にパネル体65を取り付けて形成されている。
内障子6の上框66は、
図7に示すように、樹脂材料からなる上框本体661と、アルミ合金等の金属材料からなり上框本体661に内装される補強芯材662を有している。
上框本体661は、パネル体65を保持するためのパネル間口661aと、パネル間口661aの外周側に形成され室内側上レール562aに案内される開口部661bを有し、開口部661b内に補強芯材662が配置されている。
【0054】
パネル間口661a内には、スチール等の金属材料からなりパネル体65を保持する補強部材663が配置されており、パネル体65が、補強部材663及び難燃性のグレイジングチャンネルを介してパネル間口661aに保持されている。
また、開口部661bを構成する室内、外側壁の上端には室内側上レール562aに当接もしくは近接する気密片が設けられている。
【0055】
補強芯材662は、開口部661bの底部に沿って配置される底壁部662aと、底壁部662aの室内側端部及び室外側端部から開口部661bの内壁に沿って立設された室内壁部662b及び室外壁部662cを有しており、底壁部662aの外周面(上面)に加熱膨張材f63が配置されるとともに、底壁部662aの下面と開口部661bの底部との間に、加熱膨張材f64が配置されている。
補強芯材662と補強部材663とは、開口部661bの底壁及び加熱膨張材f64を間にして連結手段を介して連結されており、補強部材663の底面とグレイジングチャンネルとの間には加熱膨張材f65が配置されている。
【0056】
内障子6の下框67は、
図7に示すように、樹脂材料からなる下框本体671と、アルミ合金等の金属材料からなり下框本体671に内装される第1補強芯材672及び第2補強芯材673を有している。
下框本体671は、中空部を有する下框本体部671aと、下框本体部671aの内周側に形成されパネル体65を保持するためのパネル間口671bと、下框本体部671aの外周側に形成され室内側下レール572aに案内される開口部671cを有している。
【0057】
第1補強芯材672は、断面矩形の中空形状をなしており、下框本体部671aの中空部内に配置されている。一方、第2補強芯材673は、矩形中空部と下方に開口する開口部を備える断面形状をなしており、下框本体部671aの開口部671cの開口内に配置されている。第1補強芯材672の中空部内には、スチール等からなる断面略U字状の第1補強部材674が外周方向に開口するように配置され、第2補強芯材673の中空部内及び開口部内には、断面略U字状の第2補強部材675及び第3補強部材676がそれぞれ室内方向に開口するように配置されている。
【0058】
パネル間口671b内には、スチール等の金属材料からなりパネル体65を保持する第4補強部材677が配置されており、パネル体65が、第4補強部材677及び難燃性のグレイジングチャンネルを介してパネル間口671bに保持されている。
第4補強部材677と第1補強芯材672に配置された第1補強部材674は、パネル間口671bの底壁を挟んで連結手段を介して連結されており、第4補強部材677の底面とグレイジングチャンネルとの間には、加熱膨張材f73が配置されている。
また、第1補強芯材672と第2補強芯材673内に挿入された第2補強部材675は、間に下框本体部671aの下壁を挟んで連結手段により連結されているとともに、第2補強部材675は第3補強部材676と連結手段により連結されている。
【0059】
第3補強部材676の下面及び第2補強芯材673の室外側壁の下端室内側面及び室内側壁の下端室外側面には、それぞれ火災時の加熱により膨張する加熱膨張材f74が配置されている。
また、開口部671cの所定位置には、室内側下レール572a上を走行する車輪678が配置され、室内側下レール572a上を走行自在に配置されている。
【0060】
内障子6の戸先(右縦)框69は、
図8に示すように、樹脂材料からなる右縦框本体691を有している。
右縦框本体691は、断面略矩形の中空部を有する右縦框本体部691aと、右縦框本体部691aの内周側に形成されパネル体65を保持するためのパネル間口691bを有している。
右縦框本体部691aの中空部内には、スチール等の金属材料からなり外周側に向けて開口する断面略U字状の第1補強部材692が配置されている。パネル間口691b内には、同じく金属材料からなり内周側に向けて開口し、パネル体65の端面を支持する断面略U字状の第2補強部材693が配置されており、パネル体65が、第2補強部材693及び難燃性のグレイジングチャンネルを介してパネル間口691bに保持されている。
【0061】
断面U字状の第1補強部材692の見込み壁および室内外の見付け壁の内周面には、火災時の加熱により膨張する加熱膨張材f93が配置されている。
第1補強部材692と第2補強部材693とは、右縦框本体部691aの内周側の壁及び加熱膨張材f94を挟んで連結手段により連結されており、第2補強部材693の底面とグレイジングチャンネルとの間には加熱膨張材f95が配置されている。
【0062】
内障子6の召合(左縦)框68は、
図8に示すように、樹脂材料からなる左縦框本体681を有している。
左縦框本体681は、中空部を有する左縦框本体部681aと左縦框本体部681aの室外側内周に形成されるパネル間口681bを有している。
召合(左縦)框68の室外側面には、外障子7の召合框79の室内側面との間に煙返しを形成する金属材料からなる煙返し片が取り付けられており、また、召合(左縦)框68の外周面には防火クレセント錠83が取り付けられている。
【0063】
召合(左縦)框68の左縦框本体部681aの中空部内には、スチール等の金属材料からなり少なくともパネル間口681bの底壁に沿う面部及び左縦框本体部681aの室外側面に沿う面部を有する第1補強部材682と、第1補強部材682に固定され少なくとも左縦框本体部681aの室内側面に沿う面部を有する第2補強部材683が配置されている。一方、パネル間口681b内には、内周側に向けて開口する断面略U字状の第3補強部材684が配置されており、パネル体65が、第3補強部材684及び難燃性のグレイジングチャンネルを介してパネル間口681bに保持されている。
第1補強部材682と第3補強部材684は、間に左縦框本体部681aの内周側の壁及び加熱膨張材f84を挟んで連結手段により連結されている。第3補強部材684の底面とグレイジングチャンネルとの間に加熱膨張材f85が配置されており、第1補強部材682と第2補強部材683の何れかに、加熱膨張材f83が配置されている。
【0064】
パネル体65は、耐火性、耐熱性を有するガラス、例えば、結晶化ガラスにより形成されており、
図7,8に示すように、上框66,下框67及び左、右縦框68,69のパネル間口に対して、難燃性のグレイジングチャンネル及び補強部材を介して取り付けられている。
【0065】
室内側建具B2の外障子7は、樹脂材料により形成される上框76,下框77及び左、右縦框78,79を四周に組んで、その内周にパネル体75を取り付けて形成されている。
以下に、室内側建具B2の外障子7について説明するが、外障子7と内障子6とは、基本的のその構成を同じくするものであるから、内障子6の構成と同様の構成については、その説明を省略する。
【0066】
外障子7の召合(右縦)框79は、
図8に示すように、樹脂材料からなる右縦框本体791を有している。
右縦框本体791は、中空部を有する右縦框本体部791aと右縦框本体部791aの内周側に形成されるパネル間口791bを有している。
召合(右縦)框79の室内側面には内障子6の召合框68の煙返し片とともに煙返しを形成する金属材料からなる煙返し片が取り付けられており、煙返し片の内周側には、防火クレセント受け84が取り付けられている。
召合(右縦)框79の右縦框本体部791aの中空部内には、室内側に開口する断面略U字状の第1補強部材792が配置されている。一方、パネル間口791b内には、内周側に向けて開口する断面略U字状の第2補強部材793が配置されており、パネル体75が、第2補強部材793及び難燃性のグレイジングチャンネルを介してパネル間口791bに保持されている。
第1補強部材792と第2補強部材793は、間に右縦框本体部791aの内周側の壁及び加熱膨張材f97を挟んで連結手段により連結されている。また、第1補強部材792には、火災時の加熱により膨張する加熱膨張材f96が配置されている。
【0067】
以上の他の実施形態においては、建物開口部の室内側に配置される室内側建具B2は、樹脂材料からなる上枠56、下枠57及び左、右縦枠58,59の内周に金属材料からなるレール部材もしくは補強部材が配置されて枠体が形成されているとともに、枠体は、建物開口部との間に加熱膨張材を介在させて建物開口部に固定されている。したがって、火災時には、建物開口部との間に介在する加熱膨張材が膨張して、枠体が火災の熱によって変形、溶融して生じる建物開口部と枠体との間の隙間を塞ぐとともに、建物開口部における躯体を保護することができ、延焼を抑えることができる。
なお、枠体と建物開口部との間に配置する加熱膨張材は、枠体の外周面全域に配置するのではなく、室外側と室内側の2条に配置することで、加熱膨張材の過剰な膨張による枠体の変形を防止することができる。
【0068】
また、室内側建具B2の内、外障子6,7は、樹脂材料からなる上框本体、下框本体及び左、右縦框本体に、金属材料からなる補強芯材もしくは補強部材が内装されており、補強芯材及び補強部材同士は連結手段により連結されているとともに、補強芯材及び補強部材の適宜部位には、加熱膨張材が配置されている。
特に、縦枠に対向する戸先框の縦框本体には、外周側に向けて開口する断面略U字状の補強部材が配置されており、補強部材の内周面の三面には加熱膨張材が配置されている。
したがって、室内側および室外側の何れの側からの火災に対しても早期に加熱膨張材が膨張し、補強部材の内周で膨張した加熱膨張材は外周側、すなわち縦枠や補強部材582,592に向けて膨張するので、樹脂材料からなる戸先框本体が溶融、消失したとしても、障子と枠体との間を確実に封鎖することができる。
【0069】
さらに、建具の閉鎖時に外障子が配置される側の縦枠(左縦枠)においては、縦枠の中央壁の室外側面に補強部材及び加熱膨張材を配置し、建具の閉鎖時に内障子が配置される側の縦枠(右縦枠)においては、縦枠の中央壁の室内側面に補強部材及び加熱膨張材を配置して、左、右縦枠に配置する加熱膨張材を縦枠の見込み方向中央位置付近に配置するとともに、上、下枠においては、室内外レールを有する上、下レール部材の内外レール間に加熱膨張材を配置して、上、下枠に配置する加熱膨張材を上、下枠の見込み方向中央位置付近に配置することによって、火災時に枠体と内、外障子との間を封鎖する防火ラインを枠体の見込み方向中央位置において四周に連続して形成することができる。
したがって、火災時に樹脂材料からなる枠体や框体が溶融しても、連結された補強芯材及び補強部材を包むように加熱膨張材が膨張し、内、外障子6,7の形状を保つことができ、建具の四周にわたって、加熱膨張材によって枠体と障子との間の連通を遅らせることができる。
【0070】
以上のように、本発明の他の実施形態の防火建具においては、樹脂材料により形成された枠体及び框体本体に金属材料から成る補強芯材もしくは補強部材を加熱膨張材と共に配置することで、防火性能に特化した建具を構成することができる。
そして、この防火建具の枠体は、板状部材の内周面にレール部材を配置した単純な形状の枠体として形成されているので、従来の防火性能を有しない(室外側)建具の室内側に枠体をビス等の固定手段を用いて建物開口部に設置することができ、建物開口部に簡単に高い防火性能を付与することができる。
そして、上記防火建具を、建物開口部における水密性、気密性及び耐風圧性を担保する建具と組み合わせて二重建具を構成することにより,全体として、水密性、気密性、耐風圧性及び防火性を有する建具を、簡単、確実に構築することができる。
【0071】
なお、本発明において、室外側建具に対して水密性能、気密性能及び耐風圧性能に加えて防火性能等を備えているもの、同様に、室内側建具に対して防火性能に加えて水密性能、気密性能及び耐風圧性能等を備えているものを除外するものではなく、少なくとも室外側建具において建物開口部における水密性能、気密性能及び耐風圧性能を担保し、室内側建具において建物開口部における防火性能を担保するものであればよい。
また、室外側建具に対して、水密性能、気密性能及び耐風圧性能を付与する構成は、上記実施形態の構成に限るものではなく、同様に、室内側建具に対して防火性能を付与する構成も、上記実施形態の構成に限るものではない。
さらに、本発明において、室内側建具及び室外側建具は、それぞれ引違い窓に限定されるものではなく、どのようなタイプの窓を採用してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 :枠体
11 :上枠
111 :室外上枠
111a :室外側上レール
111b :網戸上レール
112 :室内上枠
112a :室内側上レール
113 :ブリッジ部材
114a :風止め部材
114b :風止め部材
115 :樹脂上枠
115a :顎部
12 :下枠
121 :室外下枠
121a :室外側下レール
121b :網戸下レール
122 :室内下枠
122a :室内側下レール
123 :ブリッジ部材
124 :樹脂カバー部材
125 :樹脂下枠
125a :顎部
13 :左縦枠
131 :左縦枠本体
131a :内周突壁
132 :樹脂左縦枠
132a :本体部
132b :顎部
132c :気密部
14 :右縦枠
141 :右縦枠本体
141a :内周突壁
142 :樹脂右縦枠
142a :本体部
142b :顎部
2 :内障子
21 :上框
21a :パネル間口
211 :金属上框
211a :室外側間口壁
211b :開口部
212 :樹脂上框
212a :室内側間口壁
212b :ヒレ部
22 :下框
22a :パネル間口
221 :金属下框
221a :室外側間口壁
221b :開口部
222 :樹脂下框
222a :室内側間口壁
222b :ヒレ部
222c :ヒレ部
23 :右縦框
23a :パネル間口
231 :金属左縦框
231a :室外側間口壁
232 :樹脂左縦框
232a :室内側内周部
24 :戸先框
24a :パネル間口
241 :金属右縦框
241a :室外側間口壁
241b :開口部
242 :樹脂右縦框
242a :室内側間口壁
25 :パネル体
3 :外障子
31 :上框
311 :金属上框
311b :開口部
312 :樹脂上框
312b :ヒレ部
32 :下框
321 :金属下框
321b :開口部
322 :樹脂下框
33 :戸先框
331 :金属左縦框
331b :開口部
332 :樹脂左縦框
34 :召合框
341 :金属右縦框
35 :パネル体
4 :網戸障子
5 :枠体
51 :上枠
511 :上枠本体
511a :室内側上レール
511b :室外側上レール
511c :室内側壁
512 :風止め部材
52 :下枠
521 :下枠本体
521a :室内側下レール
521b :室外側下レール
521c :室内側壁
53 :左縦枠
531 :右縦枠本体
531a :当接壁
54 :右縦枠
541 :右縦枠本体
541a :当接壁
6 :内障子
61 :上框
61a :パネル間口
61b :開口部
62 :下框
62a :パネル間口
62b :開口部
621 :補強部材
622 :補強部材
623 :車輪
63 :召合框
63a :左縦框本体
63b :パネル間口
631 :補強部材
632 :補強部材
64 :戸先框
64a :右縦框本体
64b :パネル間口
64c :戸先開口部
641 :補強部材
642 :補強部材
65 :パネル体
7 :外障子
71 :上框
71b :開口部
72 :下框
72a :パネル間口
72b :開口部
721 :補強部材
722 :補強部材
73 :戸先框
73a :左縦框本体
73b :パネル間口
73c :戸先開口部
731 :補強部材
732 :補強部材
74 :召合框
74a :右縦框本体
74b :パネル間口
741 :補強部材
742 :補強部材
75 :パネル体
81 :クレセント錠
82 :クレセント受け
83 :防火クレセント錠
84 :防火クレセント受け