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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】電池セルおよび電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/103 20210101AFI20240123BHJP
   H01M 50/124 20210101ALI20240123BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20240123BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20240123BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20240123BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240123BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240123BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20240123BHJP
【FI】
H01M50/103
H01M50/124
H01M50/291
H01M50/588
H01M50/591
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/6557
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022011077
(22)【出願日】2022-01-27
(65)【公開番号】P2023109521
(43)【公開日】2023-08-08
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本田 亮平
(72)【発明者】
【氏名】松山 智
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直剛
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-033668(JP,A)
【文献】国際公開第2016/035395(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/155714(WO,A1)
【文献】特開2012-033419(JP,A)
【文献】特開2019-117740(JP,A)
【文献】登録実用新案第3183854(JP,U)
【文献】特開平10-129770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10
H01M 50/50
H01M 50/20
H01M 10/60
B65D 5/00
B65D 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体を収容する有底角筒状のケース体と、
折り曲げられることにより前記ケース体を被覆する帯状の絶縁シートとを備え、
前記ケース体は、
底面と、
前記底面の縁から立設された一対の第1側面と、
前記底面の縁から立設され、前記一対の第1側面に隣接した一対の第2側面とを含み、
前記絶縁シートは、
前記ケース体の前記底面を覆う底面部と、
前記底面部と連続して形成され、前記ケース体の前記一対の第1側面を覆う一対の第1側面部と、
前記ケース体の前記一対の第2側面の一部を覆う一対の第2側面部とを含み、
前記一対の第2側面部は、前記底面部に隣接かつ連続的に形成された第1部分と、前記一対の第1側面部に隣接かつ連続的に形成された第2部分と、前記第1部分および前記第2部分と隣接かつ連続的に形成され、前記ケース体の前記一対の第2側面上において前記第1部分および前記第2部分と折り重ねられた第3部分とを有する、電池セル。
【請求項2】
前記第1側面および前記第2側面は略矩形形状を有し、前記第2側面は前記第1側面よりも大きな面積を有する、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記第2部分および前記第3部分の少なくとも一方は、前記ケース体の前記底面に沿って前記ケース体と前記絶縁シートとの間に流入する水分流路を封止する封止部を含む、請求項1または請求項2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記電池セルは、前記絶縁シートと前記ケース体との間に設けられた接着剤層をさらに備え、
前記絶縁シートは、前記接着剤層を間に挟んで前記ケース体に接着されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項5】
前記第1部分は第1の幅を有し、前記第2部分は前記第1の幅と異なる第2の幅を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電池セルと、
前記電池セルに隣接して配置された絶縁部材とを備え、
前記電池セルおよび前記絶縁部材は、第1の方向に交互に並ぶように配置される、電池モジュール。
【請求項7】
前記絶縁部材は、前記第1の方向において、前記絶縁シートの前記第2側面部の少なくとも一部と重なる、請求項6に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記絶縁部材は、前記第1の方向において、前記ケース体の前記第2側面に向かって突出した複数の突出部を有する、請求項6または請求項7のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電池セルおよび電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電素子の構成を開示した先行技術文献として、国際公開第2018/092775号(特許文献1)がある。特許文献1に記載された蓄電素子は、電極体と、ケースと、外装シートとを備える。ケースは、電極体を収容している。外装シートは、絶縁性を有する樹脂によって形成され、ケースの外面に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/092775号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1枚の絶縁シートによりケースの外面を被覆するために、絶縁シートに切れ目を入れる場合がある。この場合、絶縁シートに切れ目を入れるための加工工程が必要になるため、絶縁シートの生産性が低下する。
【0005】
本技術は、上記の課題を解決するためになされたものであって、絶縁シートに切れ目を入れるための加工工程を省略して、絶縁シートの生産性を向上させることができる、電池セルおよび電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に基づく電池セルは、ケース体と、絶縁シートとを備える。ケース体は、電極体を収容する有底角筒状である。絶縁シートは、折り曲げられることによりケース体を被覆する帯状である。ケース体は、底面と、一対の第1側面と、一対の第2側面とを含む。一対の第1側面は、底面の縁から立設されている。一対の第2側面は、底面の縁から立設され、一対の第1側面に隣接している。絶縁シートは、底面部と、一対の第1側面部と、一対の第2側面部とを含む。底面部は、ケース体の底面を覆う。一対の第1側面部は、底面部と連続して形成され、ケース体の一対の第1側面を覆う。一対の第2側面部は、ケース体の一対の第2側面の一部を覆う。一対の第2側面部は、第1部分と、第2部分と、第3部分とを有する。第1部分は、底面部に隣接かつ連続的に形成されている。第2部分は、一対の第1側面部に隣接かつ連続的に形成されている。第3部分は、第1部分および第2部分と隣接かつ連続的に形成され、ケース体の一対の第2側面上において第1部分および第2部分と折り重ねられている。
【発明の効果】
【0007】
本技術によれば、絶縁シートに切れ目を入れるための加工工程を省略して、絶縁シートの生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本技術の実施の形態1に係る電池モジュールの構成を示す斜視図である。
図2】本技術の実施の形態1に係る電池モジュールの構成の一部を示す斜視図である。
図3図2の電池モジュールをIII-III線矢印方向から見た断面図である。
図4】本技術の実施の形態1に係る電池セルの構成を示す斜視図である。
図5】本技術の実施の形態1に係る電池セルが備える絶縁シートの構成を示す展開図である。
図6図5に示す絶縁シートが折り曲げられた状態を示す斜視図である。
図7図6に示す絶縁シートのVII部を拡大して示す斜視図である。
図8】本技術の実施の形態1に係る電池セルと絶縁部材との位置関係を示す正面図である。
図9】本技術の実施の形態1の第1変形例に係る電池セルが備える絶縁シートの構成を示す展開図である。
図10図9に示す絶縁シートが折り曲げられた状態を示す正面図である。
図11】本技術の実施の形態1の第2変形例に係る電池セルが備える絶縁シートの構成を示す展開図である。
図12図11に示す絶縁シートが折り曲げられた状態を示す正面図である。
図13】本技術の実施の形態1の第3変形例に係る電池セルが備える絶縁シートの構成を示す展開図である。
図14図13に示す絶縁シートが折り曲げられた状態を示す正面図である。
図15】本技術の実施の形態1の第3変形例に係る電池セルが備える絶縁シートが折り曲げられている途中の構成を示す斜視図である。
図16】本技術の実施の形態2に係る電池セルの構成を示す正面図である。
図17】本技術の実施の形態2に係る電池セルが備える絶縁シートの構成を示す展開図である。
図18】本技術の実施の形態2の変形例に係る電池セルの構成を示す正面図である。
図19】本技術の実施の形態2の変形例に係る電池セルが備える絶縁シートの構成を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0010】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。
【0011】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0012】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池など他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。また、「電極板」は正極板および負極板を総称し得る。
【0013】
なお、図面においては、電池セルの積層方向に直交し、かつ、電池セルの高さ方向に直交する方向をX方向、電池セルの積層方向をY方向、電池セルの高さ方向をZ方向とする。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本技術の実施の形態1に係る電池モジュールの構成を示す斜視図である。図2は、本技術の実施の形態1に係る電池モジュールの構成の一部を示す斜視図である。図3は、図2の電池モジュールをIII-III線矢印方向から見た断面図である。
【0015】
図1図3に示すように、本技術の実施の形態1に係る電池モジュール1は、電池セル100と、絶縁部材200と、エンドプレート300と、拘束部材400とを備える。
【0016】
複数の電池セル100は、第1の方向(Y方向)に並ぶように積層されている。電池セル100同士の間には、絶縁部材200が介装されている。2つのエンドプレート300に挟持された複数の電池セル100は、エンドプレート300によって押圧され、2つのエンドプレート300の間で拘束されている。
【0017】
図2に示すように、絶縁部材200は、電池セル100に隣接して配置されている。電池セル100および絶縁部材200は、第1の方向(Y方向)に交互に並ぶように配置されている。
【0018】
図3に示すように、絶縁部材200は、第1の方向(Y方向)において、後述する電池セル100のケース体120の第2側面123に向かって突出した複数の突出部210を有している。これにより、複数の突出部210の各々の間に隙間が形成され、当該隙間に空気を通流させることができる。なお、電池セル100を水冷方式によって冷却する場合、絶縁部材200には複数の突出部210が設けられていなくてもよい。
【0019】
絶縁部材200は、樹脂またはゴムにより構成されている。これにより、複数の突出部210の各々が電池セル100の間においてY方向に弾性変形することができる。絶縁部材200が電池セル100を介してエンドプレート300によってY方向に押圧される際、複数の突出部210の各々がY方向に弾性変形することによって、絶縁部材200のY方向の寸法を小さくすることができる。
【0020】
図1および図2に示すように、エンドプレート300は、複数の電池セル100の第1の方向(Y方向)の両端に設けられている。エンドプレート300は、電池モジュール1を収納する筐体などの基台に固定される。エンドプレート300は、たとえば、アルミニウムまたは鉄により構成されている。
【0021】
図1に示すように、拘束部材400は、電池セル100、絶縁部材200およびエンドプレート300のX方向の両端に設けられている。積層された電池セル100、絶縁部材200およびエンドプレート300に対してY方向の圧縮力を作用させた状態で拘束部材400をエンドプレート300に係合させ、その後に圧縮力を解放することにより、2つのエンドプレート300を接続する拘束部材400に引張力が働く。その反作用として、拘束部材400は、2つのエンドプレート300を互いに近づける方向に押圧する。その結果、拘束部材400は、複数の電池セル100をY方向に拘束する。
【0022】
図4は、本技術の実施の形態1に係る電池セルの構成を示す斜視図である。図4に示すように、電池セル100は、電極端子110と、ケース体120と、ガス排出弁130と、絶縁シート140と、接着剤層141とを含む。
【0023】
電極端子110は、正極端子111と、負極端子112とを含む。電極端子110は、ケース体120上に形成されている。
【0024】
ケース体120は、有底角筒状に形成されている。ケース体120には、図示しない電極体および電解液が収容されている。ケース体120は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄または鉄合金などにより構成されている。
【0025】
ケース体120は、底面121と、一対の第1側面122と、一対の第2側面123とを含む。
【0026】
底面121は、電池モジュール1を収容する筐体などの基台に接する側に配置されている。本実施の形態における底面121は、Z方向から見て、略矩形形状を有している。
【0027】
一対の第1側面122は、底面121の縁から立設されている。本実施の形態における一対の第1側面122は、X方向における底面121の両端の縁から立設されている。第1側面122は、X方向から見て、略矩形形状を有している。
【0028】
一対の第2側面123は、底面121の縁から立設されている。本実施の形態における一対の第2側面123は、Y方向における底面121の両端の縁から立設されている。一対の第2側面123は、一対の第1側面122に隣接している。第2側面123は、Y方向から見て、略矩形形状を有している。第2側面123は、第1側面122よりも大きな面積を有している。
【0029】
ガス排出弁130は、ケース体120内の圧力が所定値以上となった際に破断する。これにより、ケース体120内のガスがケース体120外に排出される。
【0030】
絶縁シート140は、帯状のシートである。絶縁シート140は、折り曲げられることによりケース体120を被覆している。
【0031】
絶縁シート140は、たとえば、0.09mmの厚みを有している。絶縁シート140は、たとえば、1×1012Ω以上の絶縁抵抗値を有している。絶縁シート140は、たとえば、1×1015Ωcm以上の体積抵抗を有している。絶縁シート140は、たとえば、6kV以上の絶縁破壊電圧を有している。絶縁シート140は、たとえば、0.1W/(m・K)以上の熱伝導率を有している。
【0032】
接着剤層141は、絶縁シート140とケース体120との間に設けられている。絶縁シート140は、接着剤層141を間に挟んでケース体120に接着されている。なお、接着剤層141を設けることなく、絶縁シート140がケース体120を被覆していてもよい。
【0033】
図5は、本技術の実施の形態1に係る電池セルが備える絶縁シートの構成を示す展開図である。図6は、図5に示す絶縁シートが折り曲げられた状態を示す斜視図である。図7は、図6に示す絶縁シートのVII部を拡大して示す斜視図である。
【0034】
図4図7に示すように、絶縁シート140は、底面部150と、一対の第1側面部151と、一対の第2側面部152とを含む。底面部150は、ケース体120の底面121を覆う。
【0035】
一対の第1側面部151は、底面部150と連続して形成されている。一対の第1側面部151は、ケース体120の一対の第1側面122を覆う。
【0036】
一対の第2側面部152は、ケース体120の一対の第2側面123の一部を覆う。本実施の形態における一対の第2側面部152は、一対の第2側面123のうち、X方向の両端側およびZ方向の底面121側を覆っている。
【0037】
一対の第2側面部152は、第1部分161と、第2部分162と、第3部分163とを有する。
【0038】
第1部分161は、底面部150に隣接かつ連続的に形成されている。第2部分162は、一対の第1側面部151に隣接かつ連続的に形成されている。第3部分163は、第1部分161および第2部分162と隣接かつ連続的に形成されている。第3部分163は、ケース体120の一対の第2側面123上において第1部分161および第2部分162と折り重ねられている。なお、絶縁シート140は、第1側面部151により第2側面123を覆い、第2側面部152により第1側面122の一部を覆う構成であってもよい。
【0039】
図4に示すように、第1部分161のZ方向における第1の幅W1は、第2部分162のX方向における第2の幅W2と同じ寸法である。第1の幅W1および第2の幅W2の各々は、たとえば、IEC60664に準拠しつつ、汚染度、インパルス耐電圧または公称電圧などによって設定される。第1の幅W1および第2の幅W2は、たとえば、X方向の電池セル100の幅に対して、約10分の1程度であることが望ましい。
【0040】
図5図7に示すように、絶縁シート140は、折り曲げられることによって、ケース体120を被覆する形状に形成される。絶縁シート140には、各面の境界において、折り曲げ線が形成されている。具体的には、第1折り曲げ線171と、第2折り曲げ線172と、第3折り曲げ線173と、第4折り曲げ線174と、第5折り曲げ線175と、第6折り曲げ線176と、第7折り曲げ線177と、第8折り曲げ線178と、第9折り曲げ線179と、第10折り曲げ線180と、第11折り曲げ線181と、第12折り曲げ線182と、第13折り曲げ線183と、第14折り曲げ線184と、第15折り曲げ線185と、第16折り曲げ線186とが形成されている。
【0041】
図5中の一点鎖線で示す、第3折り曲げ線173、第6折り曲げ線176、第12折り曲げ線182および第15折り曲げ線185を山折りにして折り曲げる。図5中の破線で示す、上記以外の折り曲げ線を谷折りにして折り曲げる。これにより、図6および図7に示す絶縁シート140の形状が形成される。
【0042】
図7に示すように、第2部分162および第3部分163の少なくとも一方は、封止部190を含む。本実施の形態においては、第2部分162が封止部190を含む。
【0043】
封止部190は、ケース体120の底面121に沿ってケース体120と絶縁シート140との間に流入する水分流路を封止する。具体的には、ケース体120の底面121付近において、結露水などの水分が絶縁シート140における第2折り曲げ線172と第4折り曲げ線174との間からX方向に沿ってケース体120と絶縁シート140との間に流入する場合がある。この場合、第2部分162のZ方向の端部に位置する封止部190がX方向の水分の流入を抑制する向きに傾斜しているため、ケース体120への水分の流入が抑制される。
【0044】
図8は、本技術の実施の形態1に係る電池セルと絶縁部材との位置関係を示す正面図である。図8においては、絶縁部材200を透視して示している。
【0045】
図8に示すように、絶縁部材200は、ケース体120の第2側面123より小さい面積を有して電池セル100に隣接している。絶縁部材200は、第1の方向(Y方向)において、絶縁シート140の第2側面部152の少なくとも一部と重なっている。本実施の形態においては、絶縁部材200と第2側面部152とが重なることによって、重なり部220が形成されている。重なり部220は、第1部分161、第2部分162および第3部分163に亘って連続して形成されている。
【0046】
重なり部220のZ方向に延びている部分のX方向における幅W3は、たとえば、5mmである。重なり部220のX方向に延びている部分のZ方向における幅W4は、たとえば、5mmである。重なり部220の幅W3,W4は、電池セル100の耐絶縁特性によって設定される。なお、電池セル100は、耐絶縁特性および絶縁部材200の強度特性に影響がなければ、重なり部220が形成されていなくてもよい。
【0047】
絶縁部材200が樹脂などによって構成されることによりY方向における絶縁部材200の厚みが調整可能である場合、絶縁部材200の厚みは、第2側面123の中央付近で厚く、外側において薄い方が望ましい。これにより、絶縁部材200の外側に重なり部220が形成される際に、絶縁部材200の薄い部分と第2側面部152とを重ねることができるため、絶縁部材200の厚い部分と第2側面部152とが重なる場合と比較して、電池モジュール1をY方向において薄くすることができる。
【0048】
本技術の実施の形態1に係る電池セル100および電池モジュール1においては、第2側面123を被覆する第2側面部152が第1部分161、第2部分162および第3部分163により連続して形成されていることによって、帯状の絶縁シート140に切れ目を入れることなく折り曲げられた絶縁シート140をケース体120に組み付けることができるため、絶縁シート140に切れ目を入れる加工工程を省略して、絶縁シート140の生産性を向上させることができる。
【0049】
また、本技術の実施の形態1に係る電池セル100および電池モジュール1においては、ケース体120に組み付ける帯状の絶縁シート140を、ロール状に巻いた原反の状態から帯状に加工する簡易な加工工程により形成することができるため、絶縁シート140を簡易な形状にしつつ絶縁シート140の生産性を向上させることができる。
【0050】
本技術の実施の形態1に係る電池セル100および電池モジュール1においては、第1側面122より面積が大きい第2側面123に、第2側面123の一部を覆う第2側面部152を配置することによって、絶縁シート140により第2側面123の全面を覆う場合と比較して、絶縁シート140を小さくすることができるため、絶縁シート140の生産性を向上させることができる。
【0051】
本技術の実施の形態1に係る電池セル100および電池モジュール1においては、第2部分162が封止部190を配置することによって、電池モジュール1が結露して水分が発生した場合、ケース体120の底面121に沿ってケース体120と絶縁シート140との間に流入する水分流路を封止することができる。
【0052】
本技術の実施の形態1に係る電池セル100および電池モジュール1においては、絶縁シート140に接着剤層141を設けることによって、絶縁シート140をケース体120に接着させながら組み付けることができるため、絶縁シート140をケース体120に組み付けやすくすることができる。
【0053】
本技術の実施の形態1に係る電池セル100および電池モジュール1においては、帯状の絶縁シート140に切れ目を入れることなくケース体120に絶縁シート140を組み付けた電池セル100を用いて、電池セル100の間に絶縁部材200を挟んだ電池モジュール1を構成することができる。
【0054】
本技術の実施の形態1に係る電池セル100および電池モジュール1においては、絶縁シート140と絶縁部材200とが第1の方向(Y方向)において重なることによって、電池モジュール1の絶縁耐力を向上させることができる。
【0055】
本技術の実施の形態1に係る電池セル100および電池モジュール1においては、絶縁部材200に突出部210を設けることによって、電池セル100の間において突出部210同士の隙間から空気を通流させることができるため、電池セル100を冷却することができる。
【0056】
以下、本技術の実施の形態1の変形例に係る電池セルおよび電池モジュールについて説明する。本変形例に係る電池セルおよび電池モジュールは、絶縁シートの構成が本技術の実施の形態1に係る電池セル100および電池モジュール1と異なるため、本技術の実施の形態1に係る電池セル100および電池モジュール1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0057】
図9は、本技術の実施の形態1の第1変形例に係る電池セルが備える絶縁シートの構成を示す展開図である。図10は、本技術の実施の形態1の第1変形例に係る電池セルが備える絶縁シートの構成を示す正面図である。
【0058】
図9中の一点鎖線で示す、第3折り曲げ線173A、第6折り曲げ線176A、第12折り曲げ線182Aおよび第15折り曲げ線185Aを山折りにして折り曲げる。図9中の破線で示す、上記以外の折り曲げ線を谷折りにして折り曲げる。これにより、図10に示す絶縁シート140Aの形状が形成される。
【0059】
図10に示すように、本変形例においては、第2側面部152Aにおける第3部分163Aが封止部190Aを含む。第3部分163AのZ方向の端部に位置する封止部190AがX方向の水分の流入を抑制する向きに傾斜しているため、ケース体120への水分の流入が抑制される。
【0060】
図11は、本技術の実施の形態1の第2変形例に係る電池セルが備える絶縁シートの構成を示す展開図である。図12は、本技術の実施の形態1の第2変形例に係る電池セルが備える絶縁シートの構成を示す正面図である。
【0061】
図11中の一点鎖線で示す、第4折り曲げ線174B、第5折り曲げ線175B、第13折り曲げ線183Bおよび第14折り曲げ線184Bを山折りにして折り曲げる。図11中の破線で示すように、それ以外の折り曲げ線を谷折りにして折り曲げる。これにより、図12に示す絶縁シート140Bの形状が形成される。
【0062】
図12に示すように、本変形例においては、第2側面部152Bにおける第2部分162Bが封止部190Bを含む。第2部分162BのZ方向の端部に位置する封止部190BがX方向の水分の流入を抑制する向きに傾斜しているため、ケース体120への水分の流入が抑制される。
【0063】
図13は、本技術の実施の形態1の第3変形例に係る電池セルが備える絶縁シートの構成を示す展開図である。図14は、本技術の実施の形態1の第3変形例に係る電池セルが備える絶縁シートの構成を示す正面図である。図15は、本技術の実施の形態1の第3変形例に係る電池セルが備える絶縁シートが折り曲げられている途中の構成を示す斜視図である。
【0064】
図13中の一点鎖線で示す、第4折り曲げ線174C、第5折り曲げ線175C、第13折り曲げ線183Cおよび第14折り曲げ線184Cを山折りにして折り曲げる。図13中の破線で示す、上記以外の折り曲げ線を谷折りにして折り曲げる。これにより、図14に示す絶縁シート140Cの形状が形成される。
【0065】
図15に示すように、本変形例の電池セルは、封止部は形成されていないため、結露水が発生しにくい環境下での使用に適している。本変形例における絶縁シート140Cは、第2側面部152Cの第2部分162Cが矩形形状で第1側面122に直接接触するため、他の変形例と比較して、ケース体120の第1側面122側の絶縁特性を確保しやすい。
【0066】
本技術の実施の形態1の変形例に係る電池セルおよび電池モジュールにおいても、実施の形態1と同様に、切れ目を入れることなく折り曲げられた帯状の絶縁シート140A,140B,140Cをケース体120に組み付けることができるため、絶縁シート140A,140B,140Cに切れ目を入れる加工工程を省略して、絶縁シート140A,140B,140Cの生産性を向上させることができる。
【0067】
(実施の形態2)
以下、本技術の実施の形態2および実施の形態2の変形例に係る電池セルおよび電池モジュールについて説明する。本技術の実施の形態2および実施の形態2の変形例に係る電池セルおよび電池モジュールは、絶縁シートの構成が本技術の実施の形態1に係る電池セル100および電池モジュール1と異なるため、本技術の実施の形態1に係る電池セル100および電池モジュール1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0068】
図16は、本技術の実施の形態2に係る電池セルの構成を示す正面図である。図17は、本技術の実施の形態2に係る電池セルが備える絶縁シートの構成を示す展開図である。
【0069】
図16および図17に示すように、本実施の形態における絶縁シート140Dは、第2側面部152Dを含む。第2側面部152Dは、第1部分161Dと、第2部分162Dと、第3部分163Dとを有する。
【0070】
第1部分161DはZ方向において第1の幅W5を有し、第2部分162DはX方向において第1の幅W5と異なる第2の幅W6を有している。具体的には、第1の幅W5は、第2の幅W6より小さい。図17に示す絶縁シート140Dを、一点鎖線の折り曲げ線を山折りにして折り曲げ、破線の折り曲げ線を谷折りにして折り曲げることによって、図16に示す絶縁シート140Dの形状に形成することができる。
【0071】
図18は、本技術の実施の形態2の変形例に係る電池セルの構成を示す正面図である。図19は、本技術の実施の形態2の変形例に係る電池セルが備える絶縁シートの構成を示す展開図である。
【0072】
図18および図19に示すように、本変形例における絶縁シート140Eは、第2側面部152Eを含む。第2側面部152Eは、第1部分161Eと、第2部分162Eと、第3部分163Eとを有する。
【0073】
第1部分161EはZ方向において第1の幅W7を有し、第2部分162EはX方向において第1の幅W7と異なる第2の幅W8を有している。具体的には、第1の幅W7は、第2の幅W8より大きい。図19に示す絶縁シート140Eを、一点鎖線の折り曲げ線を山折りにして折り曲げ、破線の折り曲げ線を谷折りにして折り曲げることによって、図18に示す絶縁シート140Eの形状に形成することができる。
【0074】
本技術の実施の形態2および変形例に係る電池セル100D,100Eおよび電池モジュールにおいては、第1部分161D,161Eの第1の幅W5,W7と第2部分162D,162Eの第2の幅W6,W8とを異ならせることによって、電池セル100D,100Eの絶縁特性を必要に応じて変化させることができる。
【0075】
なお、各実施の形態においては、電池モジュールの構成を記載したが、電池セル100を筐体により直接支持する構成(Cell to Pack)であってもよい。また、各実施の形態における絶縁シートは、1枚から構成されているが、複数枚の帯状の絶縁シートによって構成されていてもよい。具体的には、複数枚の帯状の絶縁シートの各々がケース体の底面側における複数の角部の各々に組み付けられる構成であってもよい。
【0076】
なお、本明細書において、寸法が同じであるとは、製作公差を含まず、設計値の寸法が同じであることを意味する。すなわち、寸法が異なるとは、設計値の寸法が異なることを意味する。また、本明細書において、矩形とは、製造による製作公差を考慮して、角部の角度が厳密に直角でない場合を含む。
【0077】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0078】
1 電池モジュール、100,100D,100E 電池セル、110 電極端子、111 正極端子、112 負極端子、120 ケース体、121 底面、122 第1側面、123 第2側面、130 ガス排出弁、140,140A,140B,140C,140D,140E 絶縁シート、141 接着剤層、150 底面部、151 第1側面部、152,152A,152B,152C,152D,152E 第2側面部、161,161D,161E 第1部分、162,162B,162C,162D,162E 第2部分、163,163A,163D,163E 第3部分、171 第1折り曲げ線、172 第2折り曲げ線、173,173A 第3折り曲げ線、174,174B,174C 第4折り曲げ線、175,175B,175C 第5折り曲げ線、176,176A 第6折り曲げ線、177 第7折り曲げ線、178 第8折り曲げ線、179 第9折り曲げ線、180 第10折り曲げ線、181 第11折り曲げ線、182,182A 第12折り曲げ線、183,183B,183C 第13折り曲げ線、184,184B,184C 第14折り曲げ線、185,185A 第15折り曲げ線、186 第16折り曲げ線、190,190A,190B 封止部、200 絶縁部材、210 突出部、220 重なり部、300 エンドプレート、400 拘束部材。
図1
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