(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】疎水性眼内レンズ
(51)【国際特許分類】
A61L 27/16 20060101AFI20240123BHJP
A61L 27/50 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
A61L27/16
A61L27/50
(21)【出願番号】P 2022066987
(22)【出願日】2022-04-14
(62)【分割の表示】P 2018561011の分割
【原出願日】2017-05-15
【審査請求日】2022-05-13
(32)【優先日】2016-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518407515
【氏名又は名称】ベンズ リサーチ アンド デベロップメント コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】BENZ RESEARCH AND DEVELOPMENT CORP.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ベンズ、 パトリック、 エイチ
(72)【発明者】
【氏名】リボウル、 アダム
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-502763(JP,A)
【文献】国際公開第2000/079312(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00441383(EP,A2)
【文献】特開平04-065407(JP,A)
【文献】国際公開第2015/161199(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 27/00-27/60
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)
コポリマーの合計重量に対して30重量%~65重量%のエトキシエトキシエチルメタクリレート(EOEOEMA)である第1のモノマーサブユニット、
(b)
コポリマーの合計重量に対して10重量%~30重量%の一般式(II)
【化1】
(式中、R’は水素又はメチルであり、YはOであり、XはBrであり、qは1であり、nは1であり、mは1であり、ZはHである。)
で表される第2のモノマーサブユニット、
(c)
一般式(I)
【化2】
(式中、R’は水素又はメチルであり、YはOであり、XはHであり、nは1である。)
で表される第3のモノマーサブユニット、
(d)
ポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート(200 PEG MW)又はポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート(400 PEG MW)である第4のモノマーサブユニット、及び
(e)
コポリマーの合計重量に対して0.5重量%~3重量%の二官能性又は三官能性の架橋剤
を含んでいる少なくとも1つのコポリマーを含んでな
り、
第3及び第4のモノマーサブユニットの組み合わせた量の合計量は、ポリマーの合計重量の10~30重量%である眼内レンズ
【請求項2】
前記コポリマーが、さらに、トリメタクリレート架橋剤の架橋サブユニットであるモノマーサブユニットを含む、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項3】
前記コポリマーが、27℃未満のガラス転移温度を有する、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項4】
前記コポリマーが
、0℃
~10℃のガラス転移温度を有する、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項5】
前記コポリマーが
、5重量%以下の平衡含水量を有する、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項6】
前記コポリマーが
、6重量%以下
又は4重量%以下の平衡含水量を有する、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項7】
SI値が850未満である、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項8】
SI値が750未満である、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項9】
モノマーサブユニットを含む少なくとも1つのコポリマーを含む
眼内レンズ用組成物を製造する方法であって、
(a)
コポリマーの合計重量に対して30重量%~65重量%のエトキシエトキシエチルメタクリレート(EOEOEMA)である第1のモノマーサブユニット、
(b)
コポリマーの合計重量に対して10重量%~30重量%の一般式(II)
【化1】
(式中、R’は水素又はメチルであり、YはOであり、XはBrであり、qは1であり、nは1であり、mは1であり、ZはHである。)
で表される第2のモノマーサブユニット、
(c)
一般式(I)
【化2】
(式中、R’は水素又はメチルであり、YはOであり、XはHであり、nは1である。)
で表される第3のモノマーサブユニット、
(d)
ポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート(200 PEG MW)又はポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート(400 PEG MW)である第4のモノマーサブユニット、及び
(e)
コポリマーの合計重量に対して0.5重量%~3重量%の二官能性又は三官能性の架橋剤
を含むコモノマー混合物を調製する工程と
光又は熱開始
剤を添加することにより、該コモノマー混合物を重合する工程と
を含む方法。
【請求項10】
前記開始剤が光開始剤である、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
(a)
コポリマーの合計重量に対して30重量%~65重量%のエトキシエトキシエチルメタクリレート(EOEOEMA)である第1のモノマーサブユニット、
(b)
コポリマーの合計重量に対して10重量%~30重量%の一般式(II)
【化1】
(式中、R’は水素又はメチルであり、YはOであり、XはBrであり、qは1であり、nは1であり、mは1であり、ZはHである。)
で表される第2のモノマーサブユニット、
(c)
一般式(I)
【化2】
(式中、R’は水素又はメチルであり、YはOであり、XはHであり、nは1である。)
で表される第3のモノマーサブユニット、
(d)
ポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート(200 PEG MW)又はポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート(400 PEG MW)である第4のモノマーサブユニット、及び
(e)
コポリマーの合計重量に対して0.5重量%~3重量%の二官能性又は三官能性の架橋剤
を含むコモノマー混合物を含
み、
第3及び第4のモノマーサブユニットの組み合わせた量の合計量は、ポリマーの合計重量の10~30重量%である眼内レンズ用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2016年5月16日に出願された米国仮出願第62/337,318号及
び2017年4月7日に出願された米国特許出願第15/481,791号の優先権を請
求するものであり、その完全な開示が参照により全体として本明細書に援用される。
【0002】
様々な種類の眼内レンズ(IOL)が知られている。例えば、一体型眼内レンズ及び複
数の部材から成る複合型眼内レンズが知られている。一体型眼内レンズは、光学的部分と
非光学的部分の両方が1つの材料から作られるものである。IOLの非光学部分は、触覚
部分と呼ばれ、取り付け目的のために使用される。
【背景技術】
【0003】
疎水性及び親水性の両方の折りたたみ可能なIOLが、例えば、米国特許第7,947
,796号、第7,387,642号、第7,067,602号、第6,517,750
号及び第6,267,784号明細書における先行技術に記載されており、その各々が、
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。また、例えば、米国特許公開第2013
/0253159号公報、第2008/0221235号公報、第2006/02766
06号公報、第2006/0199929号公報、第2005/0131183号公報、
第2002/0058724号公報、第2002/0058723号公報及び第2002
/0027302号公報と、WO/2015/161199も参照され、これらの各々が
、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0004】
さらに、モノマーの2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレートを含むレン
ズ材料が、例えば、WO2010/128266、WO2001/018079、WO2
000/079312、WO96/40303及び米国特許第5,693,095号明細
書における従来技術に開示されている。レンズ材料である2-エトキシエチルメタクリレ
ートも、当技術分野において、低いガラス転移温度を有する化合物として知られている。
例えば、Garcia, F., et al, J. of Polymer Sci
ence:Part A:Polymer Chemistry, Vol.40, 3
987-4001 (2002)を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第7,947,796号明細書
【文献】米国特許第7,387,642号明細書
【文献】米国特許第7,067,602号明細書
【文献】米国特許第6,517,750号明細書
【文献】米国特許第6,267,784号明細書
【文献】米国特許公開第2013/0253159号公報
【文献】米国特許公開第2008/0221235号公報
【文献】米国特許公開第2006/0276606号公報
【文献】米国特許公開第2006/0199929号公報
【文献】米国特許公開第2005/0131183号公報
【文献】米国特許公開第2002/0058724号公報
【文献】米国特許公開第2002/0058723号公報
【文献】米国特許公開第2002/0027302号公報
【文献】WO/2015/161199号公報
【文献】WO2010/128266号公報
【文献】WO2001/018079号公報
【文献】WO2000/079312号公報
【文献】WO96/40303号公報
【文献】米国特許第5,693,095号明細書
【非特許文献】
【0006】
【文献】Garcia, F., et al., J. of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry, Vol.40, 3987-4001 (2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば、過度の光沢を受けず、IOLの注入後の粘着性を無くすことが
できると共に、例えば、優れた機械的特性を維持しつつ良好な注入性を得て人の水晶体を
より正確に複製するような達成困難な特性の組み合わせを提供することができる、疎水性
材料を含む改善されたIOL材料が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[発明の概要]
本明細書に記載の実施形態は、例えば、コポリマー、レンズ、眼内レンズ、眼内レンズ
用のブランク(blanks)、及び組成物及び眼内レンズの製造方法及び使用方法を含む。
【0009】
1つの実施形態は、例えば、
(a)重合された(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのアルコキシアルコキシ
アルキル側基を含んでいる第1のモノマーサブユニット、
(b)重合された(メタ)アクリレート基を含んでおり、
少なくとも1つの側基が、
(i)少なくとも1つのハロゲンを含むアリールオキシ部分及び
(ii)少なくとも1つのヒドロキシル置換基を含んでおり前記アリールオキシ部分
を前記重合された(メタ)アクリレート基に結合させる脂肪族炭素部分
を含んでいる、第1のモノマーサブユニットとは異なる第2のモノマーサブユニット、
(c)重合された(メタ)アクリレート基を含んでおり、
少なくとも1つの側基が、
(i)アリールオキシ部分及び
(ii)少なくとも1つのヒドロキシル置換基を含んでおり前記アリールオキシ部分
を前記重合された(メタ)アクリレート基に結合させる脂肪族炭素部分
を含んでいる、第1及び第2のモノマーサブユニットとは異なる第3のモノマーサブユ
ニット、
(d)重合されたアクリレート又は(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのポリ
アルキレンオキシド側基を含んでいる、第1、第2及び第3のモノマーサブユニットとは
異なる任意の第4のモノマーサブユニット、及び
(e)重合された(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのアルコキシアルキル側
基を含んでいる、第1、第2、第3及び第4のモノマーサブユニットとは異なる任意の第
5のモノマーサブユニットを含んでいる少なくとも1つのコポリマーを含んでなる眼内レ
ンズを提供する。
【0010】
(a)重合された(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのアルコキシアルコキシ
アルキル側基を含んでいる第1のモノマーサブユニット、
(b)重合された(メタ)アクリレート基を含んでおり、
少なくとも1つの側基が、
(i)少なくとも1つのハロゲンを含むアリールオキシ部分及び
(ii)少なくとも1つのヒドロキシル置換基を含んでおり前記アリールオキシ部分
を前記重合された(メタ)アクリレート基に結合させる脂肪族炭素部分
を含んでいる、第1のモノマーサブユニットとは異なる第2のモノマーサブユニット、
(c)重合された(メタ)アクリレート基を含んでおり、
少なくとも1つの側基が、
(i)アリールオキシ部分及び
(ii)少なくとも1つのヒドロキシル置換基を含んでおり前記アリールオキシ部分
を前記重合された(メタ)アクリレート基に結合させる脂肪族炭素部分
を含んでいる、第1及び第2のモノマーサブユニットとは異なる第3のモノマーサブユ
ニット、
(d)重合されたアクリレート又は(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのポリ
アルキレンオキシド側基を含んでいる、第1、第2及び第3のモノマーサブユニットとは
異なる任意の第4のモノマーサブユニット、及び
(e)重合された(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのアルコキシアルキル側
基を含んでいる、第1、第2、第3及び第4のモノマーサブユニットとは異なる任意の第
5のモノマーサブユニットを含んでいる少なくとも1つのコポリマーを含む組成物が、本
発明で提供される。
【0011】
モノマーサブユニットを含む少なくとも1つのコポリマーを含む組成物を製造する方法
であって、
(a)重合された(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのアルコキシアルコキシ
アルキル側基を含んでいる第1のモノマーサブユニット、
(b)重合された(メタ)アクリレート基を含んでおり、
少なくとも1つの側基が、
(i)少なくとも1つのハロゲンを含むアリールオキシ部分及び
(ii)少なくとも1つのヒドロキシル置換基を含んでおり前記アリールオキシ部分
を前記重合された(メタ)アクリレート基に結合させる脂肪族炭素部分
を含んでいる、第1のモノマーサブユニットとは異なる第2のモノマーサブユニット、
(c)重合された(メタ)アクリレート基を含んでおり、
少なくとも1つの側基が、
(i)アリールオキシ部分及び
(ii)少なくとも1つのヒドロキシル置換基を含んでおり前記アリールオキシ部分
を前記重合された(メタ)アクリレート基に結合させる脂肪族炭素部分
を含んでいる、第1及び第2のモノマーサブユニットとは異なる第3のモノマーサブユ
ニット、
(d)重合されたアクリレート又は(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのアル
キレンオキシド側基を含んでいる、第1、第2及び第3のモノマーサブユニットとは異な
る任意の第4のモノマーサブユニット、及び
(e)重合された(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのアルコキシアルキル側
基を含んでいる、第1、第2、第3及び第4のモノマーサブユニットとは異なる任意の第
5のモノマーサブユニットを含むコモノマー混合物を調製する工程と、
光又は熱開始剤を添加することにより該コモノマー混合物を重合する工程とを含む方法
も提供される。
【0012】
(a)重合された(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのアルコキシアルコキシ
アルキル側基を含んでいる第1のモノマーサブユニット、
(b)重合された(メタ)アクリレート基を含んでおり、
少なくとも1つの側基が、
(i)少なくとも1つのハロゲンを含むアリールオキシ部分及び
(ii)少なくとも1つのヒドロキシル置換基を含んでおり前記アリールオキシ部分
を前記重合された(メタ)アクリレート基に結合させる脂肪族炭素部分
を含んでいる、第1のモノマーサブユニットとは異なる第2のモノマーサブユニット、
(c)重合された(メタ)アクリレート基を含んでおり、
少なくとも1つの側基が、
(i)アリールオキシ部分及び
(ii)少なくとも1つのヒドロキシル置換基を含んでおり前記アリールオキシ部分
を前記重合された(メタ)アクリレート基に結合させる脂肪族炭素部分
を含んでいる、第1及び第2のモノマーサブユニットとは異なる第3のモノマーサブユ
ニット、
(d)重合されたアクリレート又は(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのアル
キレンオキシド側基を含んでいる、第1、第2及び第3のモノマーサブユニットとは異な
る任意の第4のモノマーサブユニット、及び
(e)重合された(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのアルコキシアルキル側
基を含んでいる、第1、第2、第3及び第4のモノマーサブユニットとは異なる任意の第
5のモノマーサブユニットから本質的に成る少なくとも1つのコポリマーを含んでなる眼
内レンズも提供される。
【0013】
(a)重合された(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのアルコキシアルコキシ
アルキル側基を含んでいる第1のモノマーサブユニット、
(b)重合された(メタ)アクリレート基を含んでおり、
少なくとも1つの側基が、
(i)少なくとも1つのハロゲンを含むアリールオキシ部分及び
(ii)少なくとも1つのヒドロキシル置換基を含んでおり前記アリールオキシ部分
を前記重合された(メタ)アクリレート基に結合させる脂肪族炭素部分
を含んでいる、第1のモノマーサブユニットとは異なる第2のモノマーサブユニット、
(c)重合された(メタ)アクリレート基を含んでおり、
少なくとも1つの側基が、
(i)アリールオキシ部分及び
(ii)少なくとも1つのヒドロキシル置換基を含んでおり前記アリールオキシ部分
を前記重合された(メタ)アクリレート基に結合させる脂肪族炭素部分
を含んでいる、第1及び第2のモノマーサブユニットとは異なる第3のモノマーサブユ
ニット、
(d)重合されたアクリレート又は(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのアル
キレンオキシド側基を含んでいる、第1、第2及び第3のモノマーサブユニットとは異な
る任意の第4のモノマーサブユニット、及び
(e)重合された(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのアルコキシアルキル側
基を含んでいる、第1、第2、第3及び第4のモノマーサブユニットとは異なる任意の第
5のモノマーサブユニットを含んでいるコモノマー混合物を含む組成物が、さらに、本発
明で提供される。
【発明の効果】
【0014】
少なくとも1つの実施形態の少なくとも1つの利点は、IOL、特に疎水性IOLの優
れた非光沢性を含む。
少なくとも1つの実施形態の少なくとも1つのさらなる利点は、IOLの良好な展開特
性を含む。例えば、本明細書に具体化されたIOLは、5~10秒で展開することができ
る。
少なくとも1つの実施形態の少なくとも1つのさらなる利点は、IOLの注入後に粘着
特性が存在しないこと(例えば、触覚部分が目に粘着しない)を含むことである。
少なくとも1つの実施形態の少なくとも1つの追加の利点は、Trattler過酷度
指数によって測定されるような低い光沢性と組み合わせて1.50を超える屈折率を含む
。
少なくとも1つの実施形態のさらに別の利点は、1.8mmの注入器、例えば、Med
icel Viscoject(商標)1.8mmのような小さなオリフィス注入器を通
過することができる高ジオプターIOLであることである。
少なくとも1つの実施形態のさらに別の利点は、高い屈折率(例えば、1.51より高
い)を維持する低いガラス転移温度(例えば、12℃未満)を有するIOLであることで
ある。
少なくとも1つの実施形態のさらに別の利点は、アッベ数が45以上のIOLであるこ
とである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[序論]
本明細書中に引用される全ての参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。
【0016】
眼内レンズは、当該技術分野において一般的に知られている。例えば、米国特許第7,
947,796号、7,387,642号、7,067,602号、6,517,750
号及び6,267,784号明細書を参照されたい。
【0017】
本明細書で使用される「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリル酸又はメタク
リル酸、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル、及びアクリル酸又はメタクリル酸の塩
、アミド及び他の適切な誘導体、並びにそれらの混合物を指す。
【0018】
適切な(メタ)アクリル酸モノマーの説明的な例としては、限定はされないが、以下の
メタクリル酸エステル、すなわち、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-
プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート(BMA)、イソプロピルメタクリ
レート、イソブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリ
レート、イソアミルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロ
キシプロピルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-
ジエチルアミノエチルメタクリレート、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、2-ス
ルホエチルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレ
ート(GMA)、ベンジルメタクリレート、アリルメタクリレート、2-n-ブトキシエ
チルメタクリレート、2-クロロエチルメタクリレート、sec-ブチル-メタクリレー
ト、tert-ブチルメタクリレート、2-エチルブチルメタクリレート、シンナミルメ
タクリレート、クロチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロペンチ
ルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、ヘ
キサフルオロイソプロピルメタクリレート、メタリルメタクリレート、3-メトキシブチ
ルメタクリレート、2-メトキシブチルメタクリレート、2-ニトロ-2-メチルプロピ
ルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、
2-フェノキシエチルメタクリレート、2-フェニルエチルメタクリレート、フェニルメ
タクリレート、プロパルギルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート及
びテトラヒドロピラニルメタクリレートが挙げられる。
【0019】
適切なアクリル酸エステルの例としては、限定はされないが、メチルアクリレート、エ
チルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチル
アクリレート(BA)、n-デシルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-アミル
アクリレート、n-ヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、2-ヒドロキシエ
チルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、N、N-ジメチルアミノエチ
ルアクリレート、N、N-ジエチルアミノエチルアクリレート、t-ブチルアミノエチル
アクリレート、2-スルホエチルアクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、グリ
シジルアクリレート、ベンジルアクリレート、アリルアクリレート、2-n-ブトキシエ
チルアクリレート、2-クロロエチルアクリレート、sec-ブチル-アクリレート、t
ert-ブチルアクリレート、2-エチルブチルアクリレート、シンナミルアクリレート
、クロチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、
2-エトキシエチルアクリレート、フルフリルアクリレート、ヘキサフルオロイソプロピ
ルアクリレート、メタリルアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、2-メトキ
シブチルアクリレート、2-ニトロ-2-メチルプロピルアクリレート、n-オクチルア
クリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2
-フェニルエチルアクリレート、フェニルアクリレート、プロパルギルアクリレート、テ
トラヒドロフルフリルアクリレート及びテトラヒドロピラニルアクリレートが挙げられる
。
【0020】
1つの実施形態は、例えば以下のものを含む一連のモノマーサブユニットを含んでいる
少なくとも1つのコポリマーを含んでなる眼内レンズを提供する:
(a)重合された(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのアルコキシアルコキシ
アルキル側基を含んでいる第1のモノマーサブユニット、
(b)重合された(メタ)アクリレート基を含んでおり、
少なくとも1つの側基が、
(i)少なくとも1つのハロゲンを含むアリールオキシ部分及び
(ii)少なくとも1つのヒドロキシル置換基を含んでおり前記アリールオキシ部分
を前記重合された(メタ)アクリレート基に結合させる脂肪族炭素部分
を含んでいる、第1のモノマーサブユニットとは異なる第2のモノマーサブユニット、
(c)重合された(メタ)アクリレート基を含んでおり、
少なくとも1つの側基が、
(i)アリールオキシ部分及び
(ii)少なくとも1つのヒドロキシル置換基を含んでおり前記アリールオキシ部分
を前記重合された(メタ)アクリレート基に結合させる脂肪族炭素部分
を含んでいる、第1及び第2のモノマーサブユニットとは異なる第3のモノマーサブユ
ニット、
(d)重合されたアクリレート又は(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのポリ
アルキレンオキシド側基を含んでいる、第1、第2及び第3のモノマーサブユニットとは
異なる任意の第4のモノマーサブユニット、及び
(e)重合された(メタ)アクリレート基及び少なくとも1つのアルコキシアルキル側
基を含んでいる、第1、第2、第3及び第4のモノマーサブユニットとは異なる任意の第
5のモノマーサブユニット。
【0021】
[第1/基本のモノマーサブユニット]
第1のモノマーサブユニットは、コポリマーに対して重量%で測定して最大量で存在す
るモノマーサブユニットであることができる。第1のモノマーサブユニットは、アクリレ
ート、メタクリレート、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドのような重合可能な
部分を含む。第1のモノマーサブユニットはまた、少なくとも1つのアルコキシアルコキ
シアルキル側基を含む。第1のモノマーサブユニットは、折りたたみ可能なIOLに適し
た疎水性モノマーサブユニットを含むことができる。その例としては、アルコキシアルコ
キシアルキル(メタ)アクリレート又はアルコキシアルコキシ(メタ)アクリルアミドが
挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
もう1つの実施形態において、重合されたアクリレート又はメタクリレート基を含む第
1のモノマーサブユニットは、その代わりに、水素又はC1~C5アルキルによって窒素
において置換されていてもよい重合されたアクリルアミド又はメタクリルアミド基を含ん
でもよい。いくつかの実施形態において、第1のモノマーサブユニットは、重合されたメ
タクリレート基を含む。
【0023】
アルコキシアルコキシアルキルメタクリレートモノマーサブユニットは、式:R15-
O-R5-O-R6-MAで表すことができ、式中、R5、R6、R15はアルキル基で
あり、「MA」はメタクリレートである。
アルコキシアルコキシアルキルアクリレートモノマーサブユニットは、式:R20-O
-R7-O-R8-Aで表すことができ、式中、R7、R8、R20はアルキル基であり
、「A」はアクリレートである。
アルコキシアルコキシアルキルメタクリレート及びアルコキシアルコキシアルキルアク
リレートはいずれも、当業者に認識されるように、エステル含有モノマー化合物である。
【0024】
いくつかの実施形態において、R5~R8、R15及びR20は、独立して、1~5個
の炭素原子、いくつかの実施形態では、1、2、3、4又は5個の炭素原子を有するアル
キル基から選択することができ、
R6に関して、アルキル基はR5-O基のOに結合し、またMA基のO原子に結合して
いることが理解される。
同様に、R8に関して、アルキル基はR7-O基のOに結合し、A基のO原子にも結合
していることが理解される。
【0025】
本実施形態に従って使用することができるアルキル基には、メチル、エチル、プロピル
、ブチル及びペンチル基を含むが、これに限定されない直鎖アルキル基が含まれる。
アルキル基はまた、限定はされないが、例としてのみ提供される-CH(CH3)2、
-CH(CH3)(CH2CH3)、-CH(CH2CH3)2、-C(CH3)3等を
含む、直鎖アルキル基の分枝鎖異性体も含むことができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、R5~R8、R15及びR20が1、2、3又は4個の
炭素原子を有するアルコキシアルコキシアルキルメタクリレート又はアルコキシアルコキ
シアルキルアクリレートが選択される。
【0027】
ここでの実施形態のコポリマーを形成するのに有用ないくつかの特定のアルコキシアル
コキシアルキルメタクリレート及びアルコキシアルコキシアルキルアクリレートモノマー
サブユニットの例としては、限定はされないが、メトキシメトキシエチルメタクリレート
、エトキシエトキシエチルメタクリレート、プロポキシプロポキシエチルメタクリレート
、ブトキシブトキシメチルメタクリレート、メトキシメトキシプロピルメタクリレート、
エトキシエトキシプロピルメタクリレート、プロポキシプロポキシプロピルメタクリレー
ト、ブトキシブトキシプロピルメタクリレート、メトキシメトキシブチルメタクリレート
、エトキシエトキシブチルメタクリレート、プロポキシプロポキシブチルメタクリレート
、ブトキシブトキシブチルメタクリレート、メトキシメトキシエチルアクリレート、エト
キシエトキシエチルアクリレート、プロポキシプロポキシエチルアクリレート、ブトキシ
ブトキシメチルアクリレート、メトキシメトキシプロピルアクリレート、エトキシエトキ
シプロピルアクリレート、プロポキシプロポキシプロピルアクリレート、ブトキシブトキ
シプロピルアクリレート、メトキシメトキシブチルアクリレート、エトキシエトキシブチ
ルアクリレート、プロポキシプロポキシブチルアクリレート及びブトキシブトキシブチル
アクリレートが挙げられる。いくつかの好ましい実施形態において、コポリマーはエトキ
シエトキシエチルメタクリレート(EOEOEMA)を含む。
【0028】
したがって、特に好ましい実施形態は、アルコキシアルコキシアルキル基がC3~C1
2基である眼内レンズを提供する。1つの実施形態において、アルコキシアルコキシアル
キル基は2つの酸素原子を含む。特定の実施形態において、アルコキシアルコキシアルキ
ル基は2-エトキシエトキシエチルである。
【0029】
[第2のモノマーサブユニット]
第2のモノマーサブユニットは、コポリマーに対して重量%で測定して2番目に大きな
量で存在するモノマーサブユニットであることができる。このサブユニットは、アクリレ
ート、メタクリレート、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドのような重合性部分
を含む。このサブユニットはまた、1つ以上のヒドロキシル部分を含む脂肪族スペーサー
を含む。最後に、第2のモノマーサブユニットは、例えばF、Cl、Br及び/又はIを
含む少なくとも1つのハロゲンを含む置換されていてもよいアリール又はアリールオキシ
部分を含む。もう1つの実施形態において、重合されたアクリレート又はメタクリレート
基は、水素又はC1~C5アルキルによって窒素において必要に応じて置換されている重
合されたアクリルアミド又はメタクリルアミド基を代わりに含むことができる。いくつか
の実施形態において、第2のモノマーサブユニットは重合されたメタクリレート基を含む
。
【0030】
例えば、アリールオキシアルキルメタクリレートモノマーサブユニットは、式:Ar-
O-R1-MAで表すことができ、式中、Arは置換されていてもよいアリール化合物、
例えば、置換されていてもよいフェニルであり、R1は脂肪族スペーサー、例えば2価の
アルキル基であり、「MA」はメタクリレートである。
また、アリールオキシアルキルアクリレートモノマーサブユニットは、式:Ar-O-
R2-Aで表すことができ、式中、Arは、置換されていてもよいアリール化合物、例え
ば、置換されていてもよいフェニルであり、R2は、脂肪族スペーサー、例えば2価のア
ルキル基であり、「A」はアクリレートである。
【0031】
同様に、アリールオキシアルキルアクリルアミドモノマーサブユニットは、式:Ar-
O-R3-AAで表すことができ、式中、Arは、置換されていてもよいアリール化合物
、例えば、置換されていてもよいフェニルであり、R3は、脂肪族スペーサー、例えば、
2価のアルキル基であり、「AA」はアクリルアミドである。
さらに、アリールオキシアルキルメタクリルアミドモノマーサブユニットは、式:Ar
-O-R4-MAAにより表すことができ、式中、Arは、置換されていてもよいアリー
ル化合物、例えば、置換されていてもよいフェニルであり、R4は脂肪族スペーサー、例
えば、2価のアルキル基であり、「MAA」はメタクリルアミドである。2価の基R1、
R2、R3及びR4は、少なくとも1つのヒドロキシ基でさらに置換されていてもよい。
AA又はMAAモノマーサブユニットは、窒素において水素又はC1~C5アルキルで置
換されていてもよい。C1~C5アルキルの例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル
、ペンチル及びそれらの異性体が含まれる。
【0032】
ヒドロキシ及びハロゲン置換されたアリールオキシアルキルメタクリレート及びヒドロ
キシ及びハロゲン置換されたアリールオキシアルキルアクリレートは、当業者に認識され
るように、エステル含有モノマー化合物である。同様に、当業者は、ヒドロキシ及びハロ
ゲン置換されたアリールオキシアルキルアクリルアミド並びにヒドロキシ及びハロゲン置
換されたアリールオキシアルキルメタクリルアミドをアミド含有モノマー化合物として認
識するであろう。
【0033】
いくつかの実施形態において、R1、R2、R3及びR4は、独立して、1~5個の炭
素原子を有するヒドロキシ置換されたアルキル基から選択することができ、いくつかの実
施形態では、1,2,3,4又は5個の炭素原子を有し、アルキル基は1つ以上のヒドロ
キシ基で置換されている。
R1に関して、ヒドロキシ置換されたアルキル基はAr-O基のOに結合し、MA基の
O原子にも結合していることが理解される。
同様に、R2に関して、ヒドロキシ置換されたアルキル基はAr-O基のOに結合し、
またA基のO原子に結合していることが理解される。
同様に、R3に関して、ヒドロキシ置換されたアルキル基はAr-O基のOに結合し、
またAA基のN原子に結合していることが理解される。
同様に、R4に関して、ヒドロキシ置換されたアルキル基はAr-O基のOに結合し、
またMAA基のN原子に結合していることが理解される。
ヒドロキシ基は、アルキル基の任意の炭素に対して置換されていてもよい。
【0034】
本実施形態に従って使用することができるヒドロキシ置換されたアルキル基は、メチル
、エチル、プロピル、ブチル及びペンチル基を含むがこれらに限定されない直鎖アルキル
基を含み、少なくとも1つのC-HがC-OHに置換されている。
アルキル基はまた、直鎖アルキル基の分枝鎖異性体を含み、限定するものではないが、
例としてのみ提供される-CH(CH3)2、-CH(CH3)(CH2CH3)、-C
H(CH2CH3)2、-C(CH3)3等を含み、少なくとも1つのCHがC-OHに
置換されているものである。
【0035】
いくつかの実施形態において、R1及びR2は、1、2、3、又は4個の炭素原子を有
するヒドロキシ置換されたアリールオキシアルキルメタクリレート又はヒドロキシ置換さ
れたアリールオキシアルキルアクリレートが選択される。
【0036】
R1、R2、R3及びR4の特定の実施形態は、非限定的な例示である。AA又はMA
Aモノマーサブユニットは、窒素において水素又はC1~C5アルキルで置換されていて
もよい。
【0037】
アリールオキシ基は、当業者には、酸素原子に結合したアリール化合物を含むと認識さ
れるであろう。
【0038】
いくつかの実施形態において、アリール基は、置換されていてもよいフェニル又はナフ
チルを含む。
いくつかの実施形態において、アリール基は、非限定的な例として窒素又は硫黄等の1
つ又は複数のヘテロ原子を含んでもよい。
アリール部分は、メチル、エチル、プロピル、ブチル及びペンチル基を含むがこれに限
定されない1つ以上のアルキル基によって場合により置換されていてもよい。アルキル基
は、直鎖アルキル基の分枝鎖異性体であってもよい。
アリール部分は、必要に応じて、酸素に結合したアルキル基を含む1以上のアルコキシ
基で置換されていてもよく、そのアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル及び
/又はペンチル基を含む。アルキル基は、直鎖アルキル基の分枝鎖異性体であってもよい
。
【0039】
さらに、アリール部分は、1つ以上のハロゲン基、例えばF、Cl、Br及び/又はI
で置換されている。
いくつかの実施形態において、アリール部分は1つのハロゲンで置換されている。
いくつかの実施形態において、アリール部分は、2,3,4又は5つのハロゲンで置換
されている。アリール部分が少なくとも2つのハロゲンで置換されているいくつかの実施
形態において、ハロゲンは同一でも異なっていてもよい。
【0040】
コポリマーを形成するのに有用ないくつかの特定のヒドロキシ及びハロゲン置換された
アリールオキシアルキルメタクリレート、ヒドロキシ及びハロゲン置換されたアリールオ
キシアルキルアクリレート、ヒドロキシ及びハロゲン置換されたアリールオキシアルキル
メタクリルアミド及びヒドロキシ及びハロゲン置換されたアリールオキシアルキルアクリ
ルアミドモノマーサブユニットの例としては、これらに限定されないが、2-ブロモ-2
-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、3-ブロモ-2-ヒドロキシ-3
-フェノキシプロピルアクリレート、4-ブロモ-2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロ
ピルアクリレート、2-ブロモ-2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレー
ト、3-ブロモ-2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、4-ブロモ
-2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、2-ブロモ-2-ヒドロキ
シ-3-フェノキシプロピルアクリルアミド、3-ブロモ-2-ヒドロキシ-3-フェノ
キシプロピルアクリルアミド、4-ブロモ-2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルア
クリルアミド、及び/又は2-ブロモ-2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタク
リルアミド、3-ブロモ-2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリルアミド又
は4-ブロモ-2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリルアミドが挙げられる
。
【0041】
いくつかの実施形態において、第2のモノマーは、ブロモ-2-ヒドロキシ-3-フェ
ノキシプロピルメタクリレート(BrHPPMA)を含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、本発明のコポリマーは、一般式(II)で表される第2
のモノマーも含むことができ、式中、R’は水素又はメチルであり、YはO又はNR’’
であり、XはH、Cl、Br、-CH3又は-OCH3であり、nは1~6であり、mは
1~6であり、R’’は水素又はC1~C5アルキルであり、ZはH、OH又はハロゲン
基である。
【0043】
【0044】
他の実施形態において、n及びmは1又は2であり、XはBrであり、ZはHであり、
YはOであり、qは1、2、3、4又は5である。一部の実施形態において、qは1又は
2である。
【0045】
したがって、1つの好ましい実施形態は、第2のモノマーサブユニットが重合された(
メタ)アクリレート基を含む眼内レンズを提供する。もう1つの実施形態において、アリ
ールオキシ基は、フェノキシ基を含む。さらにもう1つの実施形態において、アリールオ
キシ基は、非置換フェノキシ基を含む。もう1つの実施形態において、第2のモノマーの
脂肪族炭素部分は、1つのヒドロキシル基で置換されている。もう1つの実施形態におい
て、第2のモノマーの脂肪族炭素部分は、C3部分である。もう1つの実施形態において
、第2のモノマーの脂肪族炭素部分は、-CH(Br)-CHOH-CH2によって表さ
れる。最後に、第2のモノマーの側基は、1つの実施形態において、-CH(Br)-C
HOH-CH2-OPhが挙げられ、式中、OPhは非置換フェノキシ基である。
【0046】
[第3のモノマーサブユニット]
第3のモノマーサブユニットは、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド及び
/又はメタクリルアミドのような重合可能な部分を含む。このサブユニットはまた、1つ
以上のヒドロキシル部分を含む脂肪族スペーサーを含む。最後に、第3のモノマーサブユ
ニットは、置換されていてもよいアリール又はアリールオキシ部分を含む。もう1つの実
施形態において、重合されたアクリレート又はメタクリレート基を含む第3のモノマーサ
ブユニットは、代わりに、必要に応じて窒素において水素又はC1~C5アルキルにより
置換されている重合されたアクリルアミド又はメタクリルアミド基を含むことができる。
いくつかの実施形態において、第3のモノマーサブユニットは重合されたメタクリレート
基を含む。
【0047】
例えば、アリールオキシアルキルメタクリレートモノマーサブユニットは、式:Ar-
O-R1-MAにより表すことができ、Arは置換されていてもよいアリール化合物、例
えば、置換されていてもよいフェニルであり、R1は脂肪族スペーサー、例えば2価のア
ルキル基であり、「MA」はメタクリレートである。
また、アリールオキシアルキルアクリレートモノマーサブユニットは、式:Ar-O-
R2-Aで表すことができ、式中、Arは置換されていてもよいアリール化合物、例えば
置換されていてもよいフェニルであり、R2は脂肪族スペーサー、例えば2価アルキル基
であり、「A」はアクリレートである。
【0048】
同様に、アリールオキシアルキルアクリルアミドモノマーサブユニットは、式:Ar-
O-R3-AAで表すことができ、式中、Arは、置換されていてもよいアリール化合物
、例えば置換されていてもよいフェニルであり、R3は、脂肪族スペーサー、例えば2価
のアルキル基であり、「AA」はアクリルアミドである。
さらに、アリールオキシアルキルメタクリルアミドモノマーサブユニットは、式:Ar
-O-R4-MAAで表すことができ、式中、Arは置換されていてもよいアリール化合
物、例えば、置換されていてもよいフェニルであり、R4は脂肪族スペーサー、例えば2
価のアルキル基であり、「MAA」はメタクリルアミドである。
【0049】
2価の基R1、R2、R3及びR4は、少なくとも1つのヒドロキシ基でさらに置換さ
れていてもよい。AA又はMAAモノマーサブユニットは、窒素において水素又はC1~
C5アルキルで置換されていてもよい。C1~C5アルキルの例には、メチル、エチル、
プロピル、ブチル、ペンチル及びそれらの異性体が含まれる。
ヒドロキシ置換されたアリールオキシアルキルメタクリレート及びヒドロキシ置換され
たアリールオキシアルキルアクリレートはいずれも、当業者には認識されるように、エス
テル含有モノマー化合物である。
同様に、当業者は、ヒドロキシ置換されたアリールオキシアルキルアクリルアミド及び
ヒドロキシ置換されたアリールオキシアルキルメタクリルアミドをアミド含有モノマー化
合物として認識するであろう。
【0050】
いくつかの実施形態において、R1、R2、R3及びR4は、独立して、1~5個の炭
素原子、いくつかの実施形態において、1、2、3、4又は5個の炭素原子を有するヒド
ロキシ置換されたアルキル基から選択することができ、そのアルキル基は1又は2以上の
ヒドロキシ基で置換されている。
R1に関して、ヒドロキシ置換されたアルキル基は、Ar-O基のOに結合し、またM
A基のO原子に結合していることが理解される。
同様に、R2に関して、ヒドロキシ置換されたアルキル基は、Ar-O基のOに結合し
、またA基のO原子に結合していることが理解される。
同様に、R3に関して、ヒドロキシ置換されたアルキル基はAr-O基のOに結合し、
またAA基のN原子に結合していることが理解される。
同様に、R4に関して、ヒドロキシ置換されたアルキル基はAr-O基のOに結合し、
またMAA基のN原子に結合していることが理解される。
【0051】
ヒドロキシ基は、アルキルの任意の炭素に対して置換されていてよい。
本実施形態に従って使用され得るヒドロキシ置換されたアルキル基には、限定はされな
いがメチル、エチル、プロピル、ブチル及びペンチル基を含む直鎖アルキル基が含まれ、
少なくとも1つのC-HがC-OHに置換されている。
アルキル基は、直鎖アルキル基の分枝鎖異性体も含み、例としてのみ提供される-CH
(CH3)2、-CH(CH3)(CH2CH3)、-CH(CH2CH3)2、-C(
CH3)3等を含むが、これらに限定されず、その少なくとも1つのCHがC-OHに置
換されている。
【0052】
いくつかの実施形態において、R1及びR2は、1、2、3、又は4個の炭素原子を有
するヒドロキシ置換されたアリールオキシアルキルメタクリレート又はヒドロキシ置換さ
れたアリールオキシアルキルアクリレートが選択される。
R1、R2、R3及びR4の特定の実施形態は、非限定的な例として、1-ヒドロキシ
プロピル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシブチル、
3-ヒドロキシブチル、2,3-ジヒドロキシブチル等が挙げられる。
AA又はMAAモノマーサブユニットは、窒素において水素又はC1~C5アルキルで
置換されていてもよい。
【0053】
アリールオキシ基は、当業者には、酸素原子に結合したアリール化合物を含むと認識さ
れるであろう。
いくつかの実施形態において、アリール基は、置換されていてもよいフェニル又はナフ
チルを含む。
いくつかの実施形態において、アリール基は、非限定的な例として窒素又は硫黄等の1
つ又は複数のヘテロ原子を含んでもよい。
アリール部分は、メチル、エチル、プロピル、ブチル及びペンチル基を含むがこれに限
定されない1つ以上のアルキル基によって場合により置換されていてもよい。
アルキル基は、直鎖アルキル基の分枝鎖異性体であってもよい。アリール部分は、必要
に応じて、酸素に結合したアルキル基を含む1以上のアルコキシ基で置換されていてもよ
く、そのアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル及び/又はペンチル基を含む
。アルキル基は、直鎖アルキル基の分枝鎖異性体であってもよい。
【0054】
コポリマーを形成するのに有用ないくつかの特定のヒドロキシ置換されたアリールオキ
シアルキルメタクリレート、ヒドロキシ置換されたアリールオキシアルキルアクリレート
、ヒドロキシ置換されたアリールオキシアルキルメタクリルアミド及びヒドロキシ置換さ
れたアリールオキシアルキルアクリルアミドモノマーサブユニットの例としては、限定さ
れないが、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3
-フェノキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリ
ルアミド、及び/又は2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリルアミドが挙げ
られる。いくつかの実施形態において、第1のモノマーは、2-ヒドロキシ-3-フェノ
キシプロピルメタクリレート(HPPMA)を含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、本発明のコポリマーは、一般式(I)により表される第
3のモノマーを含むこともでき、式中、R’は水素又はメチルであり、YはO又はNR’
’であり、XはH、-CH3又はOCH3であり、nは1~6であり、R’’は水素又は
C1~C5アルキルである。
【0056】
【0057】
他の実施形態において、nは1又は2であり、Xは水素であり、YはOである。
【0058】
したがって、1つの好ましい実施形態は、第3のモノマーサブユニットが重合された(
メタ)アクリレート基を含む眼内レンズを提供する。もう1つの実施形態において、アリ
ールオキシ基は、フェノキシ基を含む。さらにもう1つの実施形態において、アリールオ
キシ基は、非置換フェノキシ基を含む。もう1つの実施形態において、第3のモノマーサ
ブユニットの脂肪族炭素部分は、1つのヒドロキシル基で置換されている。もう1つの実
施形態において、第3のモノマーサブユニットの脂肪族炭素部分はC3部分である。もう
1つの実施形態において、第3のモノマーサブユニットの脂肪族炭素部分は、-CH2-
CHOH-CH2-で表される。最後に、第3のモノマーサブユニットの側基は、1つの
実施形態において、-CH2-CHOH-CH2-OPhを含み、OPhは、非置換フェ
ノキシ基である。
【0059】
[第4のモノマーサブユニット]
第4のモノマーサブユニットは任意であり、第1、第2及び第3のモノマーサブユニッ
トとは異なるものであってもよい。本発明のコポリマーは、例えば、高い分子量を有する
1種又は2種以上のポリアルキレングリコールアルキルエーテルアクリレート及び/又は
ポリアルキレングリコールアルキルエーテルメタクリレートモノマーサブユニットを含ん
でもよい。
【0060】
ポリアルキレングリコールアルキルエーテルアクリレート及び/又はポリアルキレング
リコールアルキルエーテルメタクリレートの例としては、例えば、種々の分子量のポリエ
チレングリコールモノメチルエーテルメタクリレートモノマーサブユニットを含む。いく
つかの実施形態において、第5のモノマーは、ポリエチレングリコールモノメチルエーテ
ルメタクリレート(200 PEG MW)又はポリエチレングリコールモノメチルエー
テルメタクリレート(400 PEG MW)であってもよい。もう1つの実施形態にお
いて、他の分子量のポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレートを使用す
ることができる。他のポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート組成物
を使用してもよい。
【0061】
いくつかの実施形態において、本発明で提供されるコポリマーは、第4のモノマーサブ
ユニットを含まない。
したがって、特に好ましい実施形態は、アルキレンオキシド側基がポリ(アルキレンオ
キシド)側基である眼内レンズ又はIOLブランクを提供する。1つの実施形態において
、アルキレンオキシド側基は、100g/mol~2,000g/molの分子量を有す
る。もう1つの実施形態において、アルキレンオキシド側基は、100g/mol~1,
000g/molの分子量を有する。さらにもう1つの実施形態において、アルキレンオ
キシド側基は、100g/mol~500g/molの分子量を有する。1つの実施形態
において、アルキレンオキシド側基はポリ(エチレンオキシド)側基である。1つの実施
形態において、第4のモノマーサブユニットは、約150~250のポリエチレングリコ
ール分子量を有する重合されたポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレー
トから成る。もう1つの実施形態において、第4のモノマーサブユニットは、約350~
450のポリエチレングリコール分子量を有する重合されたポリエチレングリコールモノ
メチルエーテルメタクリレートから成る。
【0062】
第4のモノマーサブユニットの分子量への言及は平均分子量を指すと理解されるべきで
ある。したがって、200 PEG MWは、約200の平均分子量を有するポリエチレ
ングリコールモノメチルエーテルメタクリレートを意味する。同様に、400 PEG
MWは、約400の平均分子量を有するポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタ
クリレートを意味する。200 PEG MW及び400 PEG MWは、それぞれ約
200又は400の平均分子量を有するものとして市販されている。いくつかの実施形態
において、平均分子量は、重量平均分子量を指す。いくつかの実施形態において、平均分
子量は、列挙された分子量の+/-5又は10%、又は+/-5、10、25又は30g
/mol未満である。
【0063】
[第5のモノマーサブユニット]
本発明のコポリマーはまた、第1、第2、第3及び第4のモノマーサブユニットとは異
なる第5のモノマーサブユニットから形成され得る1つ以上の疎水性モノマーサブユニッ
トを含むことができる。
第5のモノマーサブユニットを製造するために使用されるこのような疎水性モノマーサ
ブユニットの例には、アルコキシアルキルメタクリレート及び/又はアルコキシアルキル
アクリレートモノマーサブユニットが含まれる。
【0064】
いくつかの実施形態において、第5のモノマーサブユニットは、重合された(メタ)ア
クリレート基を含み、1つのアルコキシアルキル側基を含む。
アルコキシアルキルメタクリレートモノマーサブユニットは、式:R5-O-R6-M
Aにより表すことができ、式中、R5及びR6はアルキル基であり、「MA」はメタクリ
レートである。
アルコキシアルキルアクリレートモノマーサブユニットは、式:R7-O-R8-Aに
より表すことができ、式中、R7及びR8はアルキル基であり、「A」はアクリレートで
ある。
アルコキシアルキルメタクリレート及びアルコキシアルキルアクリレートはいずれも、
当業者には理解されるように、エステル含有モノマー化合物である。
【0065】
いくつかの実施形態において、R5~R8は、独立して、1~5個の炭素原子を有する
、いくつかの実施形態において、1、2、3、4又は5個の炭素原子を有するアルキル基
から独立して選択することができる。
R6に関して、アルキル基はR5-O基のOに結合し、MA基のO原子にも結合してい
ることが理解される。
同様に、R8に関して、アルキル基はR7-O基のOに結合し、A基のO原子にも結合
していることが理解される。
本実施形態に従って使用することができるアルキル基としては、メチル、エチル、プロ
ピル、ブチル及びペンチル基を含むがこれらに限定されない直鎖アルキル基が含まれる。
アルキル基は、直鎖アルキル基の分枝鎖異性体も含むことができ、限定することなく、
以下の:-CH(CH3)2、-CH(CH3)(CH2CH3)、-CH(CH2CH
3)2、-C(CH3)3等が挙げられるが、単なる例として提供されるものである。
【0066】
いくつかの実施形態において、R5~R8が1、2、3、又は4個の炭素原子を有する
アルコキシアルキルメタクリレート又はアルコキシアルキルアクリレートが選択される。
本明細書の実施形態のコポリマーを形成するのに有用ないくつかの特定のアルコキシアル
キルメタクリレート及びアルコキシアルキルアクリレートモノマーサブユニットの例とし
ては、限定はされないが、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレー
ト、プロポキシエチルメタクリレート、ブトキシメチルメタクリレート、メトキシプロピ
ルメタクリレート、エトキシプロピルメタクリレート、プロポキシプロピルメタクリレー
ト、ブトキシプロピルメタクリレート、メトキシブチルメタクリレート、エトキシブチル
メタクリレート、プロポキシブチルメタクリレート、ブトキシブチルメタクリレート、メ
トキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、プロポキシエチルアクリレー
ト、ブトキシメチルアクリレート、メトキシプロピルアクリレート、エトキシプロピルア
クリレート、プロポキシプロピルアクリレート、ブトキシプロピルアクリレート、メトキ
シブチルアクリレート、エトキシブチルアクリレート、プロポキシブチルアクリレート及
びブトキシブチルアクリレートが挙げられる。いくつかの好ましい実施形態において、コ
ポリマーはエトキシエチルメタクリレート(EOEMA)を含む。
【0067】
したがって、特に好ましい実施形態は、アルコキシアルキル基がC3~C12基である
眼内レンズを提供する。1つの実施形態において、アルコキシアルキル基は単一の酸素原
子を含む。いくつかの実施形態において、アルコキシアルキル基は、繰り返しアルコキシ
アルキル基ではない。特定の実施形態において、アルコキシアルキル基は2-エトキシエ
チルである。
いくつかの実施形態において、アルコキシアルキルメタクリレート及び/又はアルコキ
シアルキルアクリレートモノマーサブユニットが、より高いガラス転移温度を有するコポ
リマーを生成するために、本明細書に開示のコポリマーにおいて利用される。
いくつかの実施形態において、本発明で提供されるコポリマーは、第5のモノマーサブ
ユニットを含まない。
【0068】
[架橋剤(第6のモノマー)]
眼内レンズは、架橋された第6のモノマーサブユニットをさらに含むコポリマーを含む
ことができる。特に、架橋されたサブユニットを形成するために、二官能性又は三官能性
の架橋剤を使用することができる。しかしながら、当技術分野で公知の他の二官能性又は
多官能性の架橋剤を、二官能性又は三官能性の架橋剤の代わりに、又はそれに加えて使用
してもよい。
【0069】
コポリマーは、ポリマー化学の分野で知られている従来の重合技術を用いて調製するこ
とができる。重合反応には架橋剤を使用することができる。例えば、任意の架橋又は二官
能性モノマーは、所望の架橋密度を与えるために有効な量で使用することができる。例え
ば、ポリマーの重量を基準にして0~約10重量%、例えば約0.01~約4重量%、又
はいくつかの実施形態において、0.5~3重量%の濃度範囲である。適切な架橋剤の例
としては、ジオレフィン官能性成分又はエチレングリコールジメタクリレート(EGDM
A)が挙げられる。一般に、架橋剤は、得られるコポリマーの寸法安定性を高めるのに役
立つ。
【0070】
いくつかの実施形態において、組成物は、3つ以上の重合性官能基を有する1又は2以
上の架橋剤(多官能性架橋剤)を含む。多官能性架橋剤の例としては、トリメチロールプ
ロパントリメタクリレート(TMPTMA)が挙げられるが、これに限定されない。類似
のアクリレート架橋剤、例えばトリメチロールプロパントリアクリレートもまた、それら
のメタクリレート類似体のいずれかの代わりに、又はメタクリレート類似体と組み合わせ
て利用することができる。
【0071】
いくつかの実施形態は、2つ以上の3官能性架橋剤又は多官能性架橋剤及び当技術分野
で知られているか、又は例えばEGDMAのような本明細書に参考として援用される二官
能性架橋剤を含む。したがって、いくつかの実施形態において、コポリマー組成物は、E
GDMA及び/又はTMPTMAを含む。いくつかのこのような実施形態において、EG
DMA及び/又はTMPTMAの量は、乾燥コポリマーの重量を基準にして、約0.5~
約5(例えば、約2~約3又は約2.5~約3)重量%の範囲である。
【0072】
1つの実施形態において、使用される唯一の架橋剤は、3官能性架橋剤、例えば3官能
性メタクリレート架橋剤である。
【0073】
本実施形態において有用な特定のコポリマーの例が、実施例において説明され、全ての
重量がグラムで示されている。
【0074】
[組成/量]
本明細書に記載のコポリマーは、重量で測定して、多量成分として、第1及び第2のモ
ノマーサブユニット、例えば、アルコキシアルコキシアルキルメタクリレート、アルコキ
シアルコキシアルキルアクリレート、ヒドロキシ及びハロゲン置換されたアリールオキシ
アルキルメタクリレート及びヒドロキシ及びハロゲン置換されたアリールオキシアルキル
アクリレートモノマーサブユニットを含み、少量成分として、第3及び第4のモノマーサ
ブユニットを含むことができる。
【0075】
[重量による量]
いくつかの実施形態において、本発明で提供されるコポリマーは、コポリマーの合計重
量に対して約30重量%~約65重量%の第1のモノマーサブユニットを含むことができ
る。いくつかの実施形態において、第1のモノマーサブユニットは、コポリマーの約40
~50重量%、約50~60重量%又は約50~65重量%を含む。いくつかの実施形態
において、第1のモノマーサブユニットは、重量基準で、コポリマーの約40~45%、
約45~50%、約50~55%、約55~60%、又は約60~65%を含む。いくつ
かの実施形態において、第1のモノマーサブユニットは、重量基準で、コポリマーの約4
0%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約4
8%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約5
6%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約6
4%又は約65%を含む。いくつかの実施形態において、第1のモノマーサブユニットは
、コポリマーの約42.5重量%を含む。いくつかの実施形態において、第1のモノマー
サブユニットはコポリマーの約47.5重量%を含む。いくつかの実施形態において、第
1のモノマーサブユニットは、コポリマーの約52.5重量%を含む。いくつかの実施形
態において、第1のモノマーサブユニットは、コポリマーの約57.5重量%を含む。
【0076】
いくつかの実施形態において、第1のモノマーサブユニットは、疎水性モノマーサブユ
ニットを含むことができる。いくつかの実施形態において、疎水性モノマーサブユニット
は、EOEOEMAを含む。
【0077】
本特許請求の範囲は理論によって制限されないが、第1のモノマーサブユニットの存在
は低いガラス転移温度を提供する。
【0078】
いくつかの実施形態において、本発明で提供されるコポリマーは、コポリマーの全重量
に対して約10重量%~約30重量%の第2のモノマーサブユニットを含むことができる
。いくつかの実施形態において、第2のモノマーサブユニットは、コポリマーの約15~
25重量%を含む。いくつかの実施形態において、第2のモノマーサブユニットは、重量
基準で、コポリマーの約15~20%、約20~25%、又は約25~30%を含む。い
くつかの実施形態において、第2のモノマーサブユニットは、重量基準で、コポリマーの
約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、
約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%又は約30%
を含む。いくつかの実施形態において、第2のモノマーサブユニットは、コポリマーの約
25重量%を含む。いくつかの実施形態において、第2のモノマーサブユニットは、コポ
リマーの約27.5重量%を含む。
【0079】
いくつかの実施形態において、第2のモノマーサブユニットはBrHPPMAを含む。
【0080】
本発明のコポリマーでは、第1及び第2のモノマーサブユニットの1又は2以上の全量
が、重量で測定して、コポリマーのマジョリティ(majority)を構成することができる。
例えば、いくつかの実施形態において、任意のアルコキシアルコキシアルキルメタクリレ
ート、アルコキシアルコキシアルキルアクリレート、ヒドロキシ及びハロゲン置換された
アリールオキシアルキルメタクリレート、及びヒドロキシ及びハロゲン置換されたアリー
ルオキシアルキルアクリレートモノマーサブユニットの組み合わせた量の合計量は、コポ
リマーの合計重量に対して約55重量%~約95重量%であってもよい。
【0081】
いくつかの実施形態において、第1及び第2のモノマーサブユニットは、重量基準で、
コポリマーの約55~60%、約55~65%、約55~70%、約55~75%、約5
5~80%、約55~85%又は約55~90%を含むことができる。いくつかの実施形
態において、第1及び第2のモノマーサブユニットは、重量基準で、コポリマーの約55
~65%、約65~75%、約75~85%又は約75~95%を含むことができる。い
くつかの実施形態において、第1及び第2のモノマーサブユニットは、重量基準で、コポ
リマーの約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約
62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約
70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約
78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約
86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約
94%又は約95%を含むことができる。いくつかの実施形態において、第1及び第2の
モノマーサブユニットは、コポリマーの約72.5重量%を含むことができる。いくつか
の実施形態において、第1及び第2のモノマーサブユニットは、コポリマーの約77.5
重量%を含む。いくつかの実施形態において、第1及び第2のモノマーサブユニットは、
コポリマーの約85重量%を含む。
【0082】
本発明のコポリマーでは、第3及び第4のモノマーサブユニットの1又は2以上の合計
は、重量で測定してポリマーのマイナリティ(minority)を構成するであろう。
【0083】
いくつかの実施形態において、本発明で提供されるコポリマーは、コポリマーの合計重
量に対し約5~約30重量%の第3のモノマーサブユニットを含むことができる。いくつ
かの実施形態において、第3のモノマーサブユニットは、重量基準で、コポリマーの約5
~10%、約5~15%、約5~20%又は約5~25%を含むことができる。いくつか
の実施形態において、第3のモノマーサブユニットは、重量基準で、コポリマーの約5%
、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14
%15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、
約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%又は約30%
を含むことができる。いくつかの実施形態において、第3のモノマーサブユニットは、コ
ポリマーの約10重量%を含む。いくつかの実施形態において、第3のモノマーサブユニ
ットは、コポリマーの約15重量%を含む。
【0084】
いくつかの実施形態において、本発明で提供されるコポリマーは、コポリマーの合計重
量に対して約0~15重量%の第4のモノマーサブユニットを含むことができる。いくつ
かの実施形態において、第4のモノマーサブユニットは、コポリマーの約5~10重量%
又は約7~10重量%を含むことができる。いくつかの実施形態において、第4のモノマ
ーサブユニットは、重量基準で、コポリマーの約5%、約6%、約7%、約8%、約9%
、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%又は約15%を含むことができる
。いくつかの実施形態において、第4のモノマーサブユニットは、コポリマーの約7.5
重量%を含むことができる。
いくつかの実施形態において、本発明で提供されるコポリマーは、コポリマーの合計重
量に対して約0重量%の第4のモノマーサブユニットを含むことができる。
【0085】
いくつかの実施形態において、第4のモノマーサブユニットは、より高い分子量を有し
、したがって、最終ポリマー材料のTgを実質的に増加させることもなく、より少ない数
の分子を使用することによって、光沢の低下を提供することができる。
【0086】
いくつかの実施形態において、第4のモノマーサブユニットは、200 PEG MW
を含む。
【0087】
いくつかの実施形態において、第3及び第4のモノマーサブユニットの組み合わせた量
の合計量は、ポリマーの合計重量の約10~約45重量%とすることができる。いくつか
の実施形態において、第3及び第4のモノマーサブユニットは、重量基準で、コポリマー
の約10~15%、約10~20%、約10~25%、約10~30%、約10~35%
又は約10~40%を含むことができる。いくつかの実施形態において、第3及び第4の
モノマーサブユニットは、コポリマーの約10~20重量%、約20~30重量%、約3
0~40重量%又は約30~45重量%を含む。いくつかの実施形態において、第3及び
第4のモノマーサブユニットは、重量基準で、コポリマーの約10%、約11%、約12
%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20
%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28
%、約29%、約30%、約31%、32%、約33%、約34%、約35%、約36%
、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%
又は約45%を含む。
【0088】
いくつかの実施形態において、本発明で提供されるコポリマーは、コポリマーの合計重
量に対して約0~25重量%の第5のモノマーサブユニットを含むことができる。いくつ
かの実施形態において、第5のモノマーサブユニットは、重量基準で、コポリマーの約0
~10%、約0~15%又は約0~20%を含むことができる。いくつかの実施形態にお
いて、第5のモノマーサブユニットは、重量基準で、コポリマーの約0%、約1%、約2
%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、
約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、
約20%、約21%、約22%、約23%、約24%又は約25%を含むことができる。
いくつかの実施形態において、第5のモノマーサブユニットは、コポリマーの約20重量
%を含むことができる。
【0089】
いくつかの実施形態において、第5のモノマーサブユニットは、EOEMAを含む。
【0090】
本発明のコポリマーでは、架橋性モノマーサブユニットの1種又は2種以上の合計量が
、コポリマーのマイノリティ(minority)を構成するであろう。例えば、いくつかの実施
形態において、組み込まれた架橋性モノマーサブユニットを組み合わせた量の合計量は、
コポリマーの合計重量に対して約0.5~3.0重量%の範囲である。いくつかの実施形
態において、架橋性モノマーサブユニットは、重量基準で、コポリマーの約0.5~1.
0%、約0.5~1.5%、約0.5~2.0%又は約0.5~2.5%を含むことがで
きる。いくつかの実施形態において、架橋性モノマーサブユニットは、重量基準で、コポ
リマーの約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、
約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7
%、約1.8%、約1.9%、約2.0%、約2.1%、約2.2%、約2.3%、約2
.4%、約2.5%、約2.6%、約2.7%、約2.8%、約2.9%又は約3.0%
を含むことができる。いくつかの実施形態において、架橋性モノマーサブユニットは、コ
ポリマーの約2.74重量%を含むことができる。
【0091】
いくつかの実施形態において、架橋性モノマーサブユニットはTMPTMAを含む。
【0092】
ポリマー又はコポリマーがエトキシエチルメタクリレートのようなモノマーサブユニッ
トを含むか又は含有する(include or contain)と言われる場合、これはエトキシエチル
メタクリレートモノマーサブユニットが反応してポリマーに組み込まれたことを意味する
ことが理解される。
【0093】
特許請求の範囲に記載の化合物のモノマーサブユニットは、重合して具体的コポリマー
化合物にすることができるオリゴマーの形態であってもよい。
【0094】
いくつかの実施形態において、コポリマーは、約50%~約60%の第1のモノマー、
約20%~約30%の第2のモノマー、約10%以下の第3のモノマー、約5%~10%
の第4のモノマーと、約0%~約5%の架橋剤とを含むことができる。
【0095】
いくつかの実施形態において、コポリマーは、約50%~約60%のEOEOEMA、
約20%~約30%のBrHPPMA、約10%のHPPMA、約5%~10%の200
PEG MW及び約0%~約5%のTMPTMAを含むことができる。
【0096】
いくつかの実施形態において、コポリマーは、約57.5%の第1のモノマー、約25
%の第2のモノマー、約10%の第3のモノマー、約7.5%の第4のモノマー及び約2
.74%の架橋剤を含むことができる。
【0097】
いくつかの実施形態において、コポリマーは、約57.5%のEOEOEMA、約25
%のBrHPPMA、約10%のHPPMA、約7.5%の200 PEG MW及び約
2.74%のTMPTMAを含むことができる。
【0098】
もう1つの実施形態において、先の段落の組成物は、重合されたアルコキシアルコキシ
アルキルメタクリレート及び/又は重合されたアルコキシアルコキシアルキルアクリレー
トの代わりに第1のモノマーサブユニットとして重合されたアルコキシアルコキシアルキ
ルメタクリルアミド及び/又は重合されたアルコキシアルコキシアルキルアクリルアミド
を含む。
【0099】
いくつかの実施形態において、本実施形態のコポリマー組成物は、アルコキシアルコキ
シアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル及びハロゲン置換されたアリールオキシ
アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ置換されたアリールオキシアルキル(メタ)
アクリレート、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルメタクリレート及び1種又は
2種以上の架橋剤から形成されたコポリマーから成る、又は本質的に成る。
【0100】
いくつかの実施形態において、コポリマーは、2-エトキシエトキシエチルメタクリレ
ート、ブロモ-2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキ
シ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテ
ルメタクリレート及びTMPTMAから成るモノマーサブユニットから形成される。
【0101】
いくつかの実施形態において、コポリマーは、以下の成分を含む、以下の成分から本質
的に成る、又は以下の成分から成る:
(a)約40~65%の量の2-エトキシエトキシエチルメタクリレートのような組み
込まれたアルコキシアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;
(b)約15~30%の量のブロモ-2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタク
リレートのような組み込まれたヒドロキシ及びハロゲン置換されたアリールオキシアルキ
ル(メタ)アクリレート;
(c)約5~30%の量の2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレートの
ような組み込まれたヒドロキシ置換されたアリールオキシアルキル(メタ)アクリレート
;
(d)5~15%の量のPEG200M又はPEG400Mのような組み込まれたポリ
エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート;
(e)場合により、水、1種又は2種以上のUV吸収性化合物又はモノマー、着色剤及
び酸化防止剤のような1種又は2種以上の任意の他の成分。
【0102】
いくつかの実施形態において、第1、第2及び第3のモノマーサブユニットは一緒にな
って、重量基準で、モノマーサブユニット組成物の約70、75、80、85及び/又は
90%以上を含む。
【0103】
[重量比]
いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、以下の3つの成分比の1又は2以上
を満たす:
第1の比:短鎖脂肪族モノマー対芳香族モノマー;
第2の比:第1のモノマー対第5のモノマー(例えば、短鎖脂肪族モノマー);
第3の比:第2のモノマー対第3のモノマー(例えば、芳香族モノマー)。
【0104】
理論に拘泥することはないが、第1の比の調整は、使用者が比較的高い脂肪族含有量を
有することによって機械的特性を調整することを可能にすると考えられる。第2の比は、
使用者が有益な機械的特性を維持しながらTgを調整することを可能にする。第3の比は
、使用者が有益な機械的特性及び/又は所望のTgを維持しながら、高い屈折率を維持す
ることを可能にする。
【0105】
いくつかの実施形態において、第2の比は、機械的特性及び/又はアッベ数及び/又は
屈折率が実質的に同じであって、Tgが変更されるように調整される。
いくつかの実施形態において、機械的特性及び/又はアッベ数及び/又はTgが実質的
に同じであって、屈折率が増加するように、第3の比が調整される。
いくつかの実施形態において、第1の比は1:1より大きい。
【0106】
いくつかの実施形態において、本発明で提供されるコポリマーは、コポリマーが低いガ
ラス転移温度を有するが高い屈折率を有するように、短鎖脂肪族モノマーと芳香族モノマ
ーの組み合わせを含むことができる。
いくつかの実施形態において、コポリマーは、約30%~約65%の短鎖脂肪族モノマ
ー、約15%~約65%の芳香族モノマー及び約5%~約15%の他のモノマーを含むこ
とができる。
いくつかの実施形態において、コポリマーは、約35%~約65%、約40%~約65
%、約45%~約65%、約50%~約65%、約55%~約65%%又は約60%~約
65%の短鎖脂肪族モノマーを含むことができる。
いくつかの実施形態において、コポリマーは、約15%~約60%、約15%~約55
%、約15%~約50%、約15%~約45%、約15%~約40%、約15%~約35
%、約15%~約30%、約15%~約25%、約15%~約20%の芳香族モノマーを
含むことができる。
【0107】
いくつかの実施形態において、コポリマーのガラス転移温度は、短鎖脂肪族モノマーの
量を増加させることによって低下させることができる。
いくつかの実施形態において、芳香族モノマーの量を増加させることによって、コポリ
マーの屈折率を高めることができる。
いくつかの実施形態において、短鎖脂肪族モノマー及び芳香族モノマーのそれぞれの量
を変更することにより、所望の低ガラス転移温度及び所望の高屈折率を有するコポリマー
を達成することができる。
【0108】
いくつかの実施形態において、15℃、14℃、13℃、12℃、11℃、10℃、9
℃、8℃、7℃、6℃、5℃、4℃、3℃、2℃、1℃、0℃、-1℃、-2℃、-3℃
、-4℃又は5℃を下回るガラス転移温度をコポリマーが有するように、コポリマーは、
短鎖脂肪族モノマーと芳香族モノマーとの組み合わせを含むことができる。
いくつかの実施形態において、1.48、1.49、1.50、1.51、1.52又
は1.53の屈折率をコポリマーが有するように、コポリマーは、短鎖脂肪族モノマーと
芳香族モノマーとの組み合わせを含むことがでる。
いくつかの実施形態において、コポリマーは、コポリマーが10℃未満のガラス転移温
度と少なくとも1.50の屈折率を有するように、30%以上の短鎖脂肪族モノマー及び
30%以下の芳香族モノマーを含むことができる。
【0109】
いくつかの実施形態において、第1のモノマーサブユニットと第2及び第3モノマーサ
ブユニットとの比は、本発明で提供されるコポリマーの高い屈折率及び低いガラス転移温
度を提供する。
いくつかの実施形態において、第1のモノマーサブユニットと第2及び第3のモノマー
サブユニットとの比は1以上である。言い換えれば、いくつかの実施形態において、本発
明で提供されるコポリマーは、第2及び第3のモノマーサブユニットと同等以上の量の第
1のモノマーサブユニットを含むことができる。
【0110】
いくつかの実施形態において、第1のモノマーサブユニットと第2及び第3のモノマー
サブユニットとの比は、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1
.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2
.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4又は3.5:1である
。
【0111】
いくつかの実施形態において、第2の比は1:1~1:0である。すなわち、第1のモ
ノマーは、第1のモノマーと第5モノマーの合計に対するマジョリティ(majority)であ
る。いくつかの実施形態において、第5のモノマーは存在しない。
【0112】
いくつかの実施形態において、第3の比(すなわち、第2のモノマーサブユニットと第
3のモノマーサブユニットとの比)は、Tg、アッベ数、本発明で提供されるコポリマー
の一定の低いガラス転移温度のような機械的特性を維持しつつRIを変化させる性能を提
供する。
【0113】
いくつかの実施形態において、第2のモノマーサブユニットと第3のモノマーサブユニ
ットとの比は1より大きい。換言すれば、いくつかの実施形態において、本発明で提供さ
れるコポリマーは、第3のモノマーサブユニットよりも多い量の第2のモノマーサブユニ
ットを含むことができる。
いくつかの実施形態において、第2のモノマーサブユニットと第3のモノマーサブユニ
ットとの比は、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2
.3、2.4又は2.5:1である。
【0114】
短鎖脂肪族モノマーは、例えば、上記の第1及び第5のモノマーを含むことができ、例
えば、EOEOEMA及びEOEMAは、短鎖脂肪族モノマーを含むか又はそれらから成
ることができる。芳香族モノマーは、例えば、Br-HPPMA及びHPPMAのような
、上記で開示した第2及び第3のモノマーを含むことができる。
【0115】
[組成物の特性]
コポリマーは、水中で完全に平衡化された後のコポリマーの重量を基準にして、約5%
未満、又は約3%未満の水分含有量を有することができる。いくつかの実施形態において
、コポリマーは、水中で完全に平衡化された後のコポリマーの重量に対して、約1%~約
5%の範囲の平衡状態の水含有量を有する。他の実施形態において、水含有量は、コポリ
マーが水で完全に平衡化された後、コポリマーの約2%~約4重量%の範囲である。
【0116】
コポリマーは、IOLを製造するために使用される他の材料、例えば、従来技術よりも
屈折率が高く、折りたたみ可能で、光沢が低く、アッベ数が高い、優れた機械的及び光学
的特性を有することができる。本実施形態の構成要素は、高い屈折率を維持しながら、所
望の信頼性のある展開時間を有するIOLを提供するような、低いTg、減少した光沢及
び減少した粘着性を有する疎水性レンズを提供することができる。
【0117】
コポリマーは、広い範囲の物理的特性を有するように設計することができる。
いくつかの例では、本発明のコポリマーは、約35℃以下、約30℃以下、約25℃以
下、例えば約-25℃~約35℃、30℃又は25℃、-5℃~約5℃、10℃、15℃
、20℃又は約25℃、又は約0℃~約15℃のガラス転移温度を有するように設計する
ことができる。
【0118】
いくつかの実施形態において、ガラス転移温度は、約0℃~約10℃、約0℃~約8℃
、約0℃~約5℃、又は約0℃~約3℃である。好ましい実施形態において、ガラス転移
温度は約-5℃~約5℃である。好ましい実施形態において、ガラス転移温度は、約10
℃、9℃、8℃、7℃、6℃、5℃、4℃、3℃、2℃、1℃、0℃、-1℃、-2℃、
-3℃、-4℃又は約-5℃を下回る。
【0119】
本明細書で言及されるガラス転移温度は、10℃/分の温度変化率として半値幅におい
て測定、又は当技術分野で公知の他の方法で測定することができる。
【0120】
本発明のコポリマーは、眼内レンズとして使用するように設計されているので、典型的
には屈折率が高く、一般に約1.46以上又は1.50以上である。本発明のコポリマー
のいくつかは1.48以上の屈折率を有することができる。本発明のコポリマーのいくつ
かは1.50以上の屈折率を有することができる。いくつかの実施形態において、本発明
で提供されるコポリマーは、1.50、1.51、1.52又は1.53の屈折率を有す
る。
【0121】
本コポリマーは疎水性であるので、約5%以下、例えば4%、3%、2%、1%以下の
平衡含水量を有することもできる。それらの低い含水率のために、本発明のコポリマーは
一般にヒドロゲルとはみなされず、疎水性とみなされ得る。
【0122】
一般に、本発明のレンズは、シリコーン又はp-ヒドロキシエチルメタクリレートを含
有するレンズと同等の又はより高い屈折率を有し、得られるポリマーの屈折率を増加させ
るために芳香族モノマーサブユニットを含む疎水性レンズよりも可撓性を有する、例えば
、折り畳み可能であるので、従来のレンズと比較して有利な特性も有する。
【0123】
いくつかの実施形態において、本発明のコポリマーは、45又は46を超えるアッベ数
を有することができる。
いくつかの実施形態において、本発明のコポリマーは、45、46、47、48又は4
9のアッベ数を有することができる。
いくつかの実施形態において、本発明のコポリマーは約47のアッベ数を有する。人の
水晶体は約47のアッベ数を有する。高いアッベ数は低い色収差を示し、これはIOLに
とって望ましい品質である。したがって、特定の実施形態において、本開示のIOLは、
45、46、47、48又は49のアッベ数を有する。
【0124】
いくつかの実施形態において、アッベ数は、以下の式によって測定することができる。
アッベ数=(589nm-1での屈折率)
(486nmでの屈折率-656nmでの屈折率)
【0125】
いくつかの実施形態において、本発明で提供されるコポリマーは、850未満のSI値
を有する。
いくつかの実施形態において、本発明で提供されるコポリマーは、約600~約850
のSI値を有する。
いくつかの実施形態において、本発明で提供されるコポリマーは、Trattlerの
過酷度指数で測定して825、800、775、750、725、700、675、65
0又は625未満のSI値を有する。
【0126】
[レンズ]
本実施形態はまた、少なくとも部分的に本発明のコポリマーから製造される眼内レンズ
も提供する。そのような眼内レンズは、光学部分及び1つ以上の触覚部分を含む。典型的
には、実施形態のコポリマーは、眼内レンズの光学部分の一部又は全部を構成する。いく
つかの実施形態において、レンズの光学部分は、異なるポリマー又は材料で取り囲まれた
本コポリマーの1つから作られたコアを有する。光学部分が少なくとも部分的に本コポリ
マーの1つで構成されているレンズは、通常、触覚部分も有する。触覚部分はまた、実施
形態のコポリマーから作製されてもよく、又は異なる材料、例えば別のポリマーから作製
されてもよい。
【0127】
いくつかの実施形態において、本発明の眼内レンズは、軟質で折り畳み可能であり、中
央の光学領域と外側の周辺領域(触覚領域)とを有し、両領域が同じポリマーから成る、
一体型レンズである。他の実施形態において、必要に応じて、異なるタイプのポリマー又
は材料から光学領域及び触覚領域を形成することができる。いくつかのレンズは、例えば
、1つ以上の触覚部分が光学部分と同じ材料から作製され、他の触覚部分が実施形態のポ
リマー以外の材料で作製される場合等、異なる材料から構成される触覚部分を有すること
もできる。多成分レンズは、一方の材料を他の材料に埋め込み、同時に押出し、軟質材料
の周りで硬質材料を凝固させるか、又は予め形成された疎水性コアに硬質成分の相互侵入
ネットワークを形成することによって製造することができる。1つ以上の触覚部分がレン
ズの光学部分とは異なる材料で作られている場合には、触覚部分は、当技術分野で知られ
ている任意の方法で、例えば、光学部分に1つ又は複数の孔を開けて触覚部分を挿入する
ことにより、光学部分に取り付けることができる。
【0128】
本実施形態のコポリマーは、小さい切開部を通して眼内レンズを個体の眼に挿入できる
ように折り畳むことができるように設計することができる。レンズの触覚部分は、レンズ
の挿入及び展開後の眼内レンズの必要な支持を提供し、挿入及び切開閉鎖後のレンズの位
置を安定化するのに役立つ傾向がある。触覚部分の設計の形状は、特に限定されず、例え
ば、C型ループデザインとしても知られているプレート型又は段階的厚さ螺旋状フィラメ
ントのいずれかの所望の構成とすることができる。
【0129】
IOLの光学部分は、水和の前に約6mmの直径にすることができる。6mmの直径は
、当該技術分野ではかなり標準的であり、一般に、自然に発生する条件下で完全に拡張し
た状態の瞳孔を覆うように選択される。しかしながら、他のサイズも可能であり、本実施
形態は、眼内レンズの特定の直径又はサイズに限定されない。さらに、レンズ光学部分が
円形である必要はない。楕円形、正方形、又は任意の他の形状であってもよい。
【0130】
眼内レンズは、光学部分の最も外側の周辺表面から離れて延びているIOLの1又は2
以上の非光学触覚構成要素をさらに含むことができる。触覚構成要素は、任意の所望の形
状、例えば段階的螺旋フィラメント又は平板セクションであってもよく、眼の後房内にレ
ンズを支持するために使用される。任意の所望の設計形状を有するレンズを製造すること
ができる。さらに、2つのタイプの触覚デザインが図面に示されているが、触覚部分は、
図示されたもの以外の構成を有することができる。眼内レンズが光学部分及び触覚部分以
外の他の構成要素を含む場合、そのような他の部分は、触覚部分及び光学部分のポリマー
、又は必要に応じて別の材料から作製することができる。
【0131】
実施形態の眼内レンズは、既知の方法で眼に挿入することができる。例えば、眼内レン
ズは、典型的には眼科医によって使用されるタイプの小型の細い鉗子によって眼内に挿入
される前に折り畳まれてもよい。レンズが目標位置にきた後、レンズは解放されて展開さ
れる。当技術分野で周知のように、典型的には、交換されるレンズは、眼内レンズの挿入
前に除去される。本実施形態の眼内レンズは、一般的に、折りたたまれ展開された後でも
澄んでいる透明な屈折レンズ体を提供することができる生理学的に不活性な軟質ポリマー
材料で作ることができる。
【0132】
いくつかの実施形態において、本実施形態の折りたたみ可能な眼内レンズは、注入(in
jection)によって任意の眼に挿入することができ、機械的に適合する材料が、折り畳ま
れ、内径1mm~3mmのチューブのような小型のチューブを通過させられる。1つの実
施形態において、小型のチューブは、約2.0又は1.9又は1.8又は1.7又は1.
6又は1.5mm以下の内径を有する。1つの実施形態において、内径は約1.4~2.
0mmである。1つの実施形態において、内径は約1.8mmであり、別の実施形態にお
いて1.6mmである。1つの実施形態において、完成したIOLレンズは微小注入可能
である(例えば、約1.8mm又は1.6mmの内径を有する小型のチューブを通して注
入することができる)。
【0133】
[組成物の製造方法]
本実施形態のコポリマーは、ポリマー化学の分野で知られている従来の重合技術を用い
て調製することができる。架橋性剤とも呼ばれる架橋剤を重合反応に使用することができ
る。例えば、任意の適切な架橋二官能性、多官能性モノマー、又はこれらの組み合わせを
、有効量で使用して、所望の架橋密度を得ることができる。例えば、乾燥コポリマーの重
量に対して、0.5~約5(例えば、約2~約3又は約2.5~約3)重量%の濃度範囲
である。適切な架橋剤の例としては、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA
)及びテトラエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)ようなジオレフィン
化合物、及び3つの以上のオレフィン性重合性官能基を含むトリメチロールプロパントリ
メタクリレート(TMPTMA)のような他の架橋剤が挙げられる。一般に、架橋剤は、
得られるポリマーの寸法安定性を高めるのに役立つ。
【0134】
また、所望により重合開始剤を重合に使用することができる。2,2-アゾビス(2,
4-ジメチルバレロニトリル)及びプロパンニトリル、2-メチル-2,2’-アゾビス
のようなアゾ誘導体のような当業界で一般に使用されている任意の開始剤を使用すること
ができる。開始剤はまた、光開始剤、熱開始剤、又は当業者によって認識される他のタイ
プの開始剤であってもよい。一部の実施形態において、光開始剤はCGI819である。
開始剤は開始目的に有効な量で使用され、一般にポリマーの重量に対して約0.01~1
.0重量%存在する。
【0135】
本実施形態のコポリマーは、ポリマーに紫外線(UV)吸収を付与するモノマー及び/
又は青色光遮蔽等のレンズに吸収を与えるモノマー等の追加のモノマーを含むことができ
るが、これらに限定されない。UV吸収モノマーは、典型的には、オレフィン官能基を有
する芳香族化合物である。有利なUV吸収化合物は、当該技術分野において周知のように
、得られるポリマーへの導入のために重合前に添加することができる。UV吸収剤は、好
ましくは生理学的条件下で安定であるようにレンズマトリックス中に重合することができ
るべきである。眼内レンズの基本的な特性に実質的又は悪影響を与えない限り、説明した
モノマーサブユニットと共重合可能ないかなるモノマーも任意に使用することができる。
用いることができる有用なさらなるモノマーの例が、複合眼内レンズに関する米国特許第
5,326,506号明細書に記載されており、参照として本明細書に組み込まれる。さ
らに、アリール置換トリアゾール化合物、例えば、米国特許第6,365,652号明細
書に記載のトリス-アリールトリアゾール化合物を、低い濃度で使用して、所望のUV吸
収特性を達成することができる。このような任意の追加のモノマーは、ポリマーの合計重
量に対して、10重量%以下、一般に5重量%未満の合計量で存在することが好ましい。
【0136】
いくつかの実施形態において、重合反応は無溶媒で行われる。
【0137】
上述のように、得られるポリマーの寸法安定性を高めるために、例えば、EGDMA、
TEGDMA又はTMPTMAのような架橋剤を添加することが有用であり得る。得られ
たポリマーに組み込むために重合の前にUV吸収化合物をレンズモノマーサブユニットと
共に添加することも有利であり得る。UV吸収剤は、好ましくは、生理的条件下での排出
に抵抗するようにレンズマトリックス中に重合することができるべきである。UV吸収性
モノマーは、所望のUV吸収特性を与えるのに有効な量、一般にポリマーの4重量%未満
、例えばポリマーの0.01重量%~約1重量%で存在することができる。UV吸収剤と
しては、ナチュラルイエロー、ベンゾトリアゾール、米国特許第13/619043号明
細書に記載のもの等の当該分野で公知のものが挙げられる。
本実施形態において有用な特定のコポリマーの例が表1に含まれており、これらは、実
施例でも説明されており、重合において用いられる全ての重量はgで表され、全てのモノ
マーサブユニット及び架橋剤をコポリマーに取り込むことを前提として全てのモノマーサ
ブユニットと架橋剤との合計に対して、ポリマー中のモノマーサブユニットの百分率を括
弧内に示している。
【0138】
[眼内レンズの形成]
本実施形態の眼内レンズは、当該技術分野で知られている方法によって形成することが
できる。例えば、例示的なプロセスでは、コポリマーを形成するモノマーサブユニットが
ポリマーロッド(polymer rod)に重合され、ポリマーブランク又はディスク(polymer bl
anks or disks)がロッドから形成され、次いでブランクが、例えば旋盤によって眼内レン
ズに切断される。ロッドは、管状又は円筒状の型のような型において、開始剤及びモノマ
ーサブユニットの混合物を重合して、光学的に透明な軟質レンズ体を形成することから開
始する手順で作製することができる。上述のように、架橋材料及び紫外線吸収化合物を、
重合中に、又は得られるポリマーマトリックス中に組み込むことが望ましい場合がある。
いくつかの実施形態において、次いで、ポリマーロッドを旋盤切断によって、所望の直径
及び厚さのブランクに切断し、粉砕又は機械加工し、Tg未満の温度で機械加工して眼内
レンズにする。
【0139】
一般に、複合材料ロッドは、レンズ本体の中心から脚部又は触覚部分の最も遠い縁部ま
での所要距離よりも0.5~2.0mm厚い直径まで旋盤切断又は研削される。次いで、
このロッドを均一な厚さのブランクに切断する。ブランクは、本実施形態の眼内レンズへ
の従来の方法による旋盤切断及び機械ミリングに適した直径及び厚さに研磨されラップさ
れる。本発明のコポリマーは低いガラス転移温度を有することができるので、ロッド又は
ブランクは、切断、旋盤加工及び/又はフライス加工の前及び/又はその間にTg未満へ
の冷却を必要とすることがある。
【0140】
ブランクを眼内レンズに形成するための段階的プロセスの一般的な説明は、以下のフロ
ーチャートに示されている。眼内レンズ製造分野の当業者であれば、本明細書の見直しに
より、眼内レンズの製造に関する一般的な知識及び極低温加工のプロセスを用いて眼内レ
ンズを作製することができる。
眼内レンズはまた、本発明のコポリマーを成形して、レンズの光学的部分の全部又は一
部を形成することによって作製することができる。例えば、本発明のコポリマーは、モノ
マーサブユニット及びさらなる成分の液体混合物により型内で本コポリマーを重合して、
光学的に透明なソフトレンズ本体を形成することができる。これらの成形方法は、レンズ
の半分、例えば前部又は後部にレンズを成形すること、又はレンズを完全に成形すること
を含むことができる。レンズの光学部分の半分だけが金型内に形成される場合、第2の側
方光学系は、例えば上述のように機械加工され得る。これらの実施形態のいずれにおいて
も、追加の材料を成形して、様々な触覚デザインの機械加工を可能にすることができる。
コポリマーは、当該技術分野で公知の予備成形されたレンズの形態で、任意に、ユニバー
サルブランクとして成形することができる。
【0141】
[成分を含まないポリマー]
1つの実施形態において、コポリマー組成物は、約150g/モル未満又は約100g
/モル未満の分子量を有する親水性低分子量モノマーである第4のモノマーサブユニット
を含まない。
例えば、1つの実施形態において、コポリマー組成物は、重合されたヒドロキシエチル
アクリレート(HEA)を含まない。1つの実施形態において、コポリマー組成物は、重
合されたグリシジルメタクリレート(GMA)を含まない。1つの実施形態において、コ
ポリマー組成物は、HEAとGMAとの組み合わせを含まない。
1つの実施形態において、コポリマー組成物は、アルコキシアルキル(メタ)アクリレ
ートである第5のモノマーサブユニットを含まない。
【0142】
[用途]
1つの用途は、IOLを含む、人間の目に適合したレンズを含むレンズである。
さらなる実施形態は、以下の非限定的な実施例において提供され、比較例と対比される
。
【実施例】
【0143】
HPPMAは、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート
Br-HPPMAは、4-ブロモ-2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリ
レート
EOEOEAは、エトキシエトキシエチルアクリレート
EOEOEMAは、エトキシエトキシエチルメタクリレート
EOEMAは、2-エトキシエチルメタクリレートを指す。
PEG200Mは、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート(20
0 PEG MW)を指す。
PEG400Mは、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート(40
0 PEG MW)を指す。
TMPTMAは、トリメチロールプロパントリメタクリレートを指す。
【0144】
実施例1 4-ブロモ-2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレートの調製
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
N2下において、4-ブロモフェノール、無水DMFを室温でフラスコに加えた。無水
DMFと共にTEAB及びGMA(合計1L)を添加した。混合物をゆっくりと70℃に
加熱し、70℃で2日間保持した。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、もはや出発物
質がなく、生成物のみを示した。反応混合物を室温まで冷却した。水(2L)を添加した
。酢酸エチル(EtOAc)(2×1L)を用いて抽出を行った。このEtOAc層を、
10%KOH水溶液、次いで水で洗浄し、無水Na2S04上で乾燥させた。有機層を濾
過した。溶媒を除去した。残渣を、ヘキサン(ヘキサン)、次いで5%EtOAc/ヘキ
サンで溶出する、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した。87gの白
色固体を集めた。白色固体をCH2Cl2(200mL)に溶解した。CH2Cl2溶液
を10%KOH水溶液、次いで水で洗浄した。溶媒を除去した。固体をアセトン(20m
L)に溶解した。溶液が濁るまでヘキサン(100mL)を加えた(1滴のアセトンで透
明になった)。この溶液を室温で一晩放置し、白色固体を沈殿させた。溶液を濾過し、乾
燥させた。白色固体を集めた(45g)。融点:68~69℃、HPLC:99.7%、
GC:100%
酸含量試験:メタノール/水(2:1、200mL)をフェノールフタレインを用いて
0.02N NaOH水溶液で中和した。生成物2gを加えて溶解させた。NaOH水溶
液(0.02N)を添加したが、赤色は1分以内に消失しなかった。
【0149】
実施例2 2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレートの調製
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
N2下において、フェノール、無水DMFを室温でフラスコに加えた。無水DMFと共
にTEAB及びGMA(合計1.5L)を添加した。混合物をゆっくりと70℃に加熱し
、70℃で2日間保持した。TLCは、もはや出発物質がなく、生成物のみを示した。反
応混合物を室温まで冷却した。水(2L)を添加した。EtOAc(3×1L)を用いて
抽出を行った。このEtOAc層を、10%KOH水溶液、次いで水で洗浄し、無水Na
2SO4上で乾燥させた。有機層を濾過した。溶媒を除去した。残渣を、ヘキサンで、次
いで5%EtOAc/ヘキサンで溶離するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによ
り精製した。210gの無色の油状物を集めた。粗油状物をCH2Cl2(300mL)
に溶解した。CH2Cl2溶液を10%KOH水溶液、次いで水で洗浄した。溶媒を除去
した。油状物をアセトン(50mL)に溶解した。溶液が濁るまでヘキサン(300mL
)を加えた(1滴のアセトンで透明になる)。この溶液を冷蔵庫で2日間保存し、白色固
体が沈殿するまで非常に頻繁に振盪した。溶液を濾過し、乾燥させた。白色固体を集めた
(135g)。融点:28~29℃、HPLC:99.6%、GC:99.1%
酸含量試験:メタノール/水(2:1、200mL)をフェノールフタレインを用いて
0.02N NaOH水溶液で中和した。生成物2gを加えて溶解させた。NaOH水溶
液(0.02N)を添加したが、赤色は1分以内に消失しなかった。
【0154】
[ポリマーの例]
特記しない限り、以下の重合を4~5gスケールで行った。
【0155】
実施例3
25重量%のBr-HPPMAを10重量%のHPPMA、57.5重量%のEOEO
EMA、7.5重量%のPEG200M及び2.7重量%のTMPTMAと混合した。均
質な混合物を脱気した。混合物を金型に分注し、2.5mW/cm2で60分間30℃で
光硬化させ(10分間隔でパルスした)、続いて、3.0mW/cm2で10分間75℃
で光硬化させた。金型を室温まで冷却した。金型を開け、ポリマーディスクを取り出し、
検査した。ポリマーの特性は表1に要約されている。
【0156】
実施例4
25.0重量%のBr-HPPMAを10.0重量%のHPPMA、57.5重量%の
EOEOEMA、7.5重量%のPEG200M及び2.7重量%のTMPTMAと混合
した。均質な混合物を脱気した。混合物を金型に分注し、0.25mW/cm2で60分
間25~40℃で光硬化し、次いで、3.0mW/cm2で10分間75℃で光硬化した
。金型を室温まで冷却させた。金型を開け、ポリマーディスクを取り出し、検査した。ポ
リマーは表1に要約されている特性を示した。
【0157】
実施例5
25.0重量%のBr-HPPMAを10.0重量%のHPPMA、57.5重量%の
EOEOEMA、7.4重量%のPEG200M及び2.7重量%のTMPTMAと混合
した。混合物を0.1μmフィルターで濾過し、脱気した。混合物を金型に分注し、0.
25mW/cm2で60分間40℃で光硬化させ、次に3.0mW/cm2で10分間7
5℃で光硬化させた。金型を室温まで冷却させた。金型を開け、ポリマーディスクを取り
出し、検査した。ポリマーは表1に要約されている特性を示した。
【0158】
実施例6
20グラムスケールで、25.0重量%のBr-HPPMAを10.0重量%のHPP
MA、57.5重量%のEOEOEMA、7.4重量%のPEG200M及び2.7重量
%のTMPTMAと混合した。混合物を0.1μmフィルターで濾過し、脱気した。混合
物を金型に分注し、0.25mW/cm2で60分間40℃で光硬化させ、次に3.0m
W/cm2で10分間75℃で光硬化させた。型を室温に冷却させた。金型を開け、ポリ
マーディスクを取り出し、検査した。ポリマーは表1に要約されている特性を示した。
【0159】
実施例7
25.0重量%のBr-HPPMAを10.0重量%のHPPMA、15重量%のEO
EMA、42.5重量%のEOEOEMA、7.4重量%のPEG200M及び2.7重
量%のTMPTMAと混合した。混合物を0.1μmフィルターで濾過し、脱気した。混
合物を金型に分注し、0.25mW/cm2で60分間40℃で光硬化させ、次に3.0
mW/cm2で10分間75℃で光硬化させた。金型を室温まで冷却させた。金型を開け
、ポリマーディスクを取り出し、検査した。ポリマーは表1に要約されている特性を示し
た。
【0160】
実施例8
25.0重量%のBr-HPPMAを10.0重量%のHPPMA、12重量%のEO
EMA、45.5重量%のEOEOEMA、7.4重量%のPEG200M及び2.7重
量%のTMPTMAと混合した。混合物を0.1μmフィルターで濾過し、脱気した。混
合物を金型に分注し、0.25mW/cm2で60分間40℃で光硬化させ、次に3.0
mW/cm2で10分間75℃で光硬化させた。金型を室温まで冷却させた。金型を開け
、ポリマーディスクを取り出し、検査した。ポリマーは表1に要約されている特性を示し
た。
【0161】
【0162】
当業者に理解されるように、任意の及びすべての目的のために、特に書面による説明を
提供する観点から、本明細書に開示されるすべての範囲は、その可能な部分範囲及び部分
範囲の組み合わせをも包含する。任意の列挙された範囲は、同じ範囲が少なくとも同等の
半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1等に分解されることを充分に記載し可
能にすることを容易に認識することができる。非限定的例として、本明細書に記載の各例
が、下位の3分の1、中位の3分の1及び上位の3分の1等に容易に分解することができ
る。当業者には理解されるように、「~まで」、「少なくとも」、「より大きい」、「よ
り小さい」、「より多く」等のすべての言語は、列挙された数字を含み、後に上述したよ
うに部分範囲に分解することができる範囲を指す。同様に、本明細書に開示されるすべて
の比率は、より広い比率に含まれるすべての副比率も含む。
【0163】
当業者であれば、要素がマーカッシュグループのような一般的な方法で一緒にグループ
化されている場合、本実施形態は全体として列挙されたグループ全体だけでなく、グルー
プの各要素を個別に、及びすべてメイングループの可能なサブグループを含む。したがっ
て、すべての目的のために、本実施形態は、主要なグループだけでなく、1つ以上のグル
ープメンバーを欠く主要なグループも包含する。本実施形態はまた、クレームされた実施
形態におけるグループメンバーのいずれかの1つ以上の明白な除外を想定している。
【0164】
本明細書に開示されている全ての参考文献、特許及び公報は、全体として完全に記載さ
れているかのように、すべての目的のためにその全体が参考として援用される。特に明記
しない限り、「a」又は「an」は「1つ又は複数」を意味する。
【0165】
好ましい実施形態を図示し説明してきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲に規定さ
れているような広範な態様における実施形態から逸脱することなく、変更及び修正を加え
ることができることを理解されたい。