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特許7425124ポリアミド-イミド系フィルム、その製造方法、並びにそれを含む複合フィルムおよびディスプレイ装置
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  • 特許-ポリアミド-イミド系フィルム、その製造方法、並びにそれを含む複合フィルムおよびディスプレイ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】ポリアミド-イミド系フィルム、その製造方法、並びにそれを含む複合フィルムおよびディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20240123BHJP
   C08J 7/046 20200101ALI20240123BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20240123BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240123BHJP
   C08G 73/14 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
C08J5/18 CFG
C08J7/046 Z
B32B27/34
G09F9/00 302
C08G73/14
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022115154
(22)【出願日】2022-07-19
(65)【公開番号】P2023035860
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0115990
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523061191
【氏名又は名称】エスケーマイクロワークス 株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK microworks Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】84, Jangan-ro 309beon-gil, Jangan-gu, Suwon-si,Gyeonggi-do, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】520287378
【氏名又は名称】エスケーマイクロワークス ソリューションズ 株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK microworks solutions Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】112, Seonggeo-gil, Seonggeo-eup, Seobuk-gu, Cheonan-si,Chungcheongnam-do 31044, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソンファン
(72)【発明者】
【氏名】オ、デソン
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ユンヒ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジンウ
【審査官】大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0082203(KR,A)
【文献】特開2021-055094(JP,A)
【文献】特開2021-030735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00-5/02;5/12-5/22
C08J 7/04- 7/06
C08G 73/00-73/26
B32B 1/00-43/00
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド-イミド系重合体を含み、
下記式1で表示されるrSE値が0.8~1.25であり、
下記SE1は35dyn/cm~60dyn/cmであり、
下記SE2は35dyn/cm~60dyn/cmであり、
下記式2で表示されるdAp値が8°以下であり、
下記式3で表示されるdAd値が13°以下である、ポリアミド-イミド系フィルム:
[式1]
rSE=SE1/SE2
[式2]
dAp(°)=|Ap2-Ap1|
[式3]
dAd(°)=|Ad2-Ad1|
前記式1において、
前記SE1は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの第1面の表面エネルギー(dyn/cm)であり、
前記SE2は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの第2面の表面エネルギー(dyn/cm)であり、
前記式2および式3において、
前記Ap1は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの第1面に対する水の接触角(°)であり、
前記Ap2は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの第2面に対する水の接触角(°)であり、
前記Ad1は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの第1面に対するジヨードメタン(diiodomethane)の接触角(°)であり、
前記Ad2は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの第2面に対するジヨードメタンの接触角(°)である。
【請求項2】
前記ポリアミド-イミド系フィルムの第1面に対する水の接触角(Ap1)が60°~83°であり、
前記ポリアミド-イミド系フィルムの第2面に対する水の接触角(Ap2)が60°~85°であり、
前記ポリアミド-イミド系フィルムの第1面に対するジヨードメタンの接触角(Ad1)が30°~50°であり、
前記ポリアミド-イミド系フィルムの第2面に対するジヨードメタンの接触角(Ad2)が30°~55°である、請求項1に記載のポリアミド-イミド系フィルム。
【請求項3】
前記ポリアミド-イミド系フィルムが、フィラー、青色顔料およびUVA吸収剤からなる群より選択される1種以上をさらに含み、
前記ポリアミド-イミド系重合体が、イミド系繰り返し単位およびアミド系繰り返し単位を2:98~70:30のモル比で含む、請求項1に記載のポリアミド-イミド系フィルム。
【請求項4】
ポリアミド-イミド系フィルムおよび機能層を含み、
前記ポリアミド-イミド系フィルムがポリアミド-イミド系重合体を含み、
前記ポリアミド-イミド系フィルムの下記式1で表示されるrSE値が0.8~1.25であり、
下記SE1は35dyn/cm~60dyn/cmであり、
下記SE2は35dyn/cm~60dyn/cmであり、
下記式2で表示されるdAp値が8°以下であり、
下記式3で表示されるdAd値が13°以下である、ポリアミド-イミド系複合フィルム:
[式1]
rSE=SE1/SE2
[式2]
dAp(°)=|Ap2-Ap1|
[式3]
dAd(°)=|Ad2-Ad1|
前記式1において、
前記SE1は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの第1面の表面エネルギー(dyn/cm)であり、
前記SE2は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの第2面の表面エネルギー(dyn/cm)であり、
前記式2および式3において、
前記Ap1は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの第1面に対する水の接触角(°)であり、
前記Ap2は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの第2面に対する水の接触角(°)であり、
前記Ad1は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの第1面に対するジヨードメタン(diiodomethane)の接触角(°)であり、
前記Ad2は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの第2面に対するジヨードメタンの接触角(°)である。
【請求項5】
前記機能層はハードコーティング層を含み、
クロスハッチ試験を行ったとき、前記ポリアミド-イミド系複合フィルムと前記ハードコーティング層との付着力が5B以上であり、
前記ポリアミド-イミド系複合フィルムの前記ハードコーティング層が形成された面に、340nm波長、0.63W/m光量、60℃温度で72時間UVを照射した後、前記クロスハッチ試験を行ったとき、前記ポリアミド-イミド系フィルムと前記ハードコーティング層との付着力が4B以上である、請求項4に記載のポリアミド-イミド系複合フィルム。
【請求項6】
表示部と、
前記表示部上に配置されたカバーウィンドウとを含み、
前記カバーウィンドウがポリアミド-イミド系フィルムと機能層とを含み、
前記ポリアミド-イミド系フィルムがポリアミド-イミド系重合体を含み、
前記ポリアミドイミド系フィルムの下記式1で表示されるrSE値が0.8~1.25であり、
下記SE1は35dyn/cm~60dyn/cmであり、
下記SE2は35dyn/cm~60dyn/cmであり、
下記式2で表示されるdAp値が8°以下であり、
下記式3で表示されるdAd値が13°以下である、ディスプレイ装置:
[式1]
rSE=SE1/SE2
[式2]
dAp(°)=|Ap2-Ap1|
[式3]
dAd(°)=|Ad2-Ad1|
前記式1において、
前記SE1は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの第1面の表面エネルギー(dyn/cm)であり、
前記SE2は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの第2面の表面エネルギー(dyn/cm)であり、
前記式2および式3において、
前記Ap1は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの第1面に対する水の接触角(°)であり、
前記Ap2は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの第2面に対する水の接触角(°)であり、
前記Ad1は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの第1面に対するジヨードメタン(diiodomethane)の接触角(°)であり、
前記Ad2は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの第2面に対するジヨードメタンの接触角(°)である。
【請求項7】
有機溶媒上でジアミン化合物、ジアンヒドリド化合物およびジカルボニル化合物を重合して、ポリアミド-イミド系重合体溶液を調製する段階と、
前記ポリアミド-イミド系重合体溶液をキャスティングした後、乾燥して、ゲルシートを製造する段階と、
前記ゲルシートを熱処理する段階とを含み、
前記ポリアミド-イミド系重合体溶液をキャスティングする前に、前記溶液を撹拌する段階を含み、
前記ポリアミド-イミド系重合体溶液を調製する段階は、有機溶媒に溶解したフィラーを投入する段階を含み、
前記有機溶媒に溶解したフィラーの直径(D50)が50nm~1000nmであり、
前記溶液を撹拌した後、前記ポリアミド-イミド系重合体溶液内に含まれているフィラーの直径(D50)が500nm~3000nmであり、
前記溶液を撹拌する段階は、0℃~25℃の温度にて120rpm~500rpmの回転速度で行われる、請求項1に記載のポリアミド-イミド系フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実現例は、ポリアミド-イミド系フィルム、その製造方法、並びにそれを含む複合フィルムおよびディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリ(アミド-イミド)(poly(amide-imide)、PAI)等のようなポリイミド系樹脂は、摩擦、熱、および化学的な抵抗力に優れ、1次電気絶縁材、コーティング剤、接着剤、押出用樹脂、耐熱塗料、耐熱板、耐熱接着剤、耐熱繊維、および耐熱フィルムなどに応用される。
【0003】
ポリイミドは、様々な分野で活用されている。例えば、ポリイミドは、粉末状に作られ金属または磁石ワイヤなどのコーティング剤として使用され、用途に応じて他の添加剤と混合して使用される。また、ポリイミドは、フッ素重合体とともに装飾や腐食防止のための塗料として使用され、フッ素重合体を金属基板に接着させる役割をする。また、ポリイミドは、厨房調理器具にコーティングをするためにも使用され、耐熱性と耐薬品性の特徴があって、ガス分離に用いるメンブレンとしても使用され、天然ガス油井において二酸化炭素、硫化水素および不純物のような汚染物をろ過する装置にも使用される。
【0004】
最近では、ポリイミドをフィルム化することにより、より安価でありながらも光学的、機械的、および熱的特性に優れたポリイミド系フィルムが開発されている。このようなポリイミド系フィルムは、有機発光ダイオード(OLED、organic light-emitting diode)または液晶ディスプレイ(LCD、liquid-crystal display)などのディスプレイ材料に適用可能であり、位相差物性の実現時に、反射防止フィルム、補償フィルム、または位相差フィルムに適用可能である。
【0005】
このようなポリイミド系フィルムをカバーウィンドウやディスプレイ装置に適用する場合、フィルムの表面硬度の向上のためにハードコーティング層を付着する必要があり、製造されたディスプレイ装置はUV光源にさらされた環境における使用が避けられない。
【0006】
そこで、ハードコーティング層との付着力およびUV光源に対する耐光性が改善されたフィルム開発に対する要求が持続的に増加している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実現例の目的は、ハードコーティング層との付着力およびUV光源に対する耐光性に優れたポリアミド-イミド系フィルム、その製造方法、並びにそれを含む複合フィルムおよびディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実現例は、ポリアミド-イミド系重合体を含み、下記式1で表示されるrSE値が0.8~1.25である、ポリアミド-イミド系フィルムを提供する。
【0009】
[式1]
rSE=SE1/SE2
前記式1において、
前記SE1は、前記フィルムの第1面の表面エネルギー(dyn/cm)であり、
前記SE2は、前記フィルムの第2面の表面エネルギー(dyn/cm)である。
【0010】
他の実現例は、ポリアミド-イミド系フィルムおよび機能層を含み、前記ポリアミド-イミド系フィルムがポリアミド-イミド系重合体を含み、前記ポリアミド-イミド系フィルムの前記式1で表示されるrSE値が0.8~1.25である、ポリアミド-イミド系複合フィルムを提供する。
【0011】
また他の実現例は、表示部と、前記表示部上に配置されたカバーウィンドウとを含み、前記カバーウィンドウがポリアミド-イミド系フィルムと機能層とを含み、前記ポリアミド-イミド系フィルムがポリアミド-イミド系重合体を含み、前記ポリアミド-イミド系フィルムの前記式1で表示されるrSE値が0.8~1.25である、ディスプレイ装置を提供する。
【0012】
一実現例は、有機溶媒上でジアミン化合物、ジアンヒドリド化合物およびジカルボニル化合物を重合して、ポリアミド-イミド系重合体溶液を調製する段階と、前記溶液をキャスティングした後、乾燥して、ゲルシートを製造する段階と、前記ゲルシートを熱処理する段階とを含み、前記ポリアミド-イミド系重合体溶液をキャスティングする前に、前記溶液を撹拌する段階を含む、ポリアミド-イミド系フィルムの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
実現例によるポリアミド-イミド系フィルムは、所定範囲のrSE値を有することにより、優れた耐光性を示し、外観品質が均一で、優れた機械的特性、光学特性を有し得る。
【0014】
特に、前記ポリアミド-イミド系フィルムの製造後、耐指紋性、帯電防止、飛散防止および付着力向上のような機能を付与するためのハードコーティング層のような機能層を積層する工程などの後工程を経ることとなるが、この際、機能層との付着力に優れたポリアミド-イミド系フィルムを実現し得る。
【0015】
実現例によるポリアミド-イミド系フィルムのrSE値が特定範囲に制御されることにより、前記フィルムが適用されたディスプレイ装置用カバーウィンドウまたはディスプレイ装置のような最終製品の品質信頼度および製品歩留まりを向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、一実現例によるディスプレイ装置の概略的分解図である。
図2図2は、一実現例によるディスプレイ装置の概略的斜視図である。
図3図3は、一実現例によるディスプレイ装置の概略的断面図である。
図4図4は、一実現例によるポリアミド-イミド系フィルムの製造方法の概略的手順を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように、実現例について添付の図面を参考にして詳細に説明する。しかし、実現例は様々な異なる形態で実現されてよく、本明細書で説明する実現例に限定されない。
【0018】
本明細書において、各フィルム、ウインドウ、パネル、または層などが、各フィルム、ウインドウ、パネル、または層などの「上(on)」または「下(under)」に形成されるものと記載される場合において、「上(on)」と「下(under)」は、「直接(directly)」または「他の構成要素を介して(indirectly)」形成されるものをすべて含む。また、各構成要素の上/下に対する基準は、図面を基準に説明する。なお、図面における各構成要素の大きさは、説明のために誇張されることがあり、実際に適用される大きさを意味するものではない。また、明細書全体に亘って、同一参照符号は同一構成要素を指す。
【0019】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0020】
本明細書において、単数表現は、特別な説明がなければ、文脈上解釈される単数または複数を含む意味で解釈される。
【0021】
また、本明細書に記載されている構成成分の量、反応条件などを表すすべての数字および表現は、特に記載がない限り、すべての場合に「約」という用語で修飾されるものと理解するべきである。
【0022】
本明細書において、第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために用いられるものであり、前記構成要素は、前記用語によって限定されてはならない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素と区別するためにのみ用いられる。
【0023】
また、本明細書において「置換された」ということは、特に記載がない限り、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、エステル基、ケトン基、カルボキシル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換の脂環式有機基、置換または非置換のヘテロ環基、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のヘテロアリール基からなる群より選択された1種以上の置換基で置換されたことを意味し、前記列挙された置換基は互いに結合して環を形成し得る。
【0024】
[ポリアミド-イミド系フィルム]
実現例は、所定範囲のrSE値を有することにより、機能層との付着力およびUV光源に対する耐光性に優れるため、最終製品の品質信頼性および製品歩留まりを向上させ得るポリアミド-イミド系フィルムを提供する。
【0025】
実現例によるポリアミド-イミド系フィルムは、ポリアミド-イミド系重合体を含む。
【0026】
前記ポリアミド-イミド系フィルムの、下記式1で表示されるrSE値は0.8~1.25である。
【0027】
[式1]
rSE=SE1/SE2
前記式1において、
前記SE1は、前記フィルムの第1面の表面エネルギー(dyn/cm)であり、
前記SE2は、前記フィルムの第2面の表面エネルギー(dyn/cm)である。
【0028】
図3は、一実現例によるディスプレイ装置の概略断面図を示すものであり、具体的に、図3には、第1面101と、前記第1面101と対向する第2面102とを含むポリアミド-イミド系フィルム100が例示されている。
【0029】
前記第1面は、ポリアミド-イミド系フィルムが製造される工程において、前記ポリアミド-イミド重合体溶液をキャスティングするキャスティング体と直接接触する面であり得る。具体的に、前記第1面は、ポリアミド-イミド重合体溶液をキャスティングする段階において、前記キャスティング体、例えばベルト等に接するベルト(belt)面であり得る。
【0030】
前記第2面は、ポリアミド-イミド系フィルムが製造される工程において、前記ポリアミド-イミド重合体溶液をキャスティングするキャスティング体と直接接触しない面であり得る。具体的に、前記第2面は、前記ポリアミド-イミド重合体溶液がキャスティングされる際、空気と接触するエア(air)面であり得る。
【0031】
具体的に、前記ポリアミド-イミド系フィルムの前記式1で表示されるrSE値は、0.8以上、0.85以上、0.90以上、0.92以上、0.93以上、0.95以上、または0.96以上であり、1.25以下、1.20以下、1.15以下、1.12以下、1.10以下、1.08以下、1.07以下、1.05以下、または1.03以下であり得る。
【0032】
前記ポリアミド-イミド系フィルムのrSE値が前述の範囲に制御されることにより、機能層積層工程のような後加工処理の際、機能層との付着力が向上して、製品に適用する際に層間剥離が起こる現象を著しく低減し得る。
【0033】
一方、実現例によるポリアミド-イミド系フィルムのrSE値が前述の範囲から外れると、機能層との付着力が低く、特に、機能層形成後UVに露出された後には、付着力が急激に低下する現象が発生するため、フィルムの品質信頼性が低下するだけでなく、不良率の高い製品につながり得る。
【0034】
前記ポリアミド-イミド系フィルムの前記SE1は35dyn/cm~60dyn/cmである。
【0035】
前記SE1は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの第1面の表面エネルギー、具体的に、前記ポリアミド-イミド系フィルムのベルト面の表面エネルギーであり得る。
【0036】
具体的に、前記ポリアミド-イミド系フィルムの前記SE1は、35dyn/cm以上、38dyn/cm以上、40dyn/cm以上、41dyn/cm以上であり、60dyn/cm以下、55dyn/cm以下、50dyn/cm以下、47dyn/cm以下、45dyn/cm以下であり得る。
【0037】
前記ポリアミド-イミド系フィルムの前記SE2は35dyn/cm~60dyn/cmである。
【0038】
前記SE2は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの第2面の表面エネルギー、具体的に、前記ポリアミド-イミド系フィルムのエア面の表面エネルギーであり得る。
【0039】
具体的に、前記ポリアミド-イミド系フィルムのSE2は、35dyn/cm以上、38dyn/cm以上、40dyn/cm以上、または41dyn/cm以上であり、60dyn/cm以下、55dyn/cm以下、50dyn/cm以下、または46dyn/cm以下であり得る。
【0040】
前記ポリアミド-イミド系フィルムの下記式2で表示されるdAp値は8°以下である。
【0041】
[式2]
dAp(°)=|Ap2-Ap1|
前記式2において、
前記Ap1は、前記フィルムの第1面に対する水の接触角(°)であり、前記Ap2は、前記フィルムの第2面に対する水の接触角(°)である。
【0042】
例えば、前記Ap1は、前記フィルムのベルト面に対する水の接触角(°)であり、前記Ap2は前記フィルムのエア面に対する水の接触角(°)であり得る。
【0043】
具体的に、前記dAp値は、7.5°以下、7°以下、6.5°以下、6°以下、または5.5°以下であり、0°以上、または0.1°以上であり得る。
【0044】
前記ポリアミド-イミド系フィルムの第1面に対する水の接触角(Ap1)は60°~83°である。
【0045】
具体的に、前記Ap1は、60°以上、63°以上、65°以上、68°以上、70°以上、72°以上、または74°以上であり、83°以下、82°以下、81°以下、または80°以下であり得る。
【0046】
前記ポリアミド-イミド系フィルムの第2面に対する水の接触角(Ap2)が60°~85°である。
【0047】
具体的に、前記Ap2は、60°以上、63°以上、65°以上、67°以上、70°以上、72°以上、または73°以上であり、85°以下、83°以下、または81°以下であり得る。
【0048】
前記ポリアミド-イミド系フィルムの下記式3で表示されるdAd値が13°以下である。
【0049】
[式3]
dAd(°)=|Ad2-Ad1|
前記Ad1は、前記フィルムの第1面に対するジヨードメタン(diiodomethane)の接触角(°)であり、前記Ad2は前記フィルムの第2面に対するジヨードメタンの接触角(°)である。
【0050】
例えば、前記Ad1は前記フィルムのベルト面に対するジヨードメタンの接触角(°)であり、前記Ad2は前記フィルムのエア面に対するジヨードメタンの接触角(°)であり得る。
【0051】
具体的に、前記dAd値は、12°以下、10°以下、8°以下、7°以下、5°以下、4°以下、3°以下、または2.5°以下であり、0.2°以上、0.3°以上、または、0.5°以上であり得る。
【0052】
前記ポリアミド-イミド系フィルムの第1面に対するジヨードメタンの接触角(Ad1)が30°~50°である。
【0053】
具体的に、前記Ad1は、30°以上、33°以上、35°以上、37°以上、または38°以上であり、50°以下、48°以下、47°以下、または45°以下であり得る。
【0054】
前記ポリアミド-イミド系フィルムの第2面に対するジヨードメタンの接触角(Ad2)が30°~55°である。
【0055】
具体的に、前記Ad2は、30°以上、33°以上、35°以上、37°以上、または40°以上であり、55°以下、53°以下、50°以下、48°以下、47°以下、または45°以下であり得る。
【0056】
前記ポリアミド-イミド系フィルムでクロスハッチ(cross-hatch)試験を行ったとき、前記フィルムとハードコーティング層との付着力が5B以上であり、前記フィルムに340nm波長、0.63W/m光量、60℃温度で72時間UVを照射した後、前記クロスハッチ試験を行ったとき、前記フィルムと前記ハードコーティング層との付着力が4B以上である。
【0057】
UV照射前後のクロスハッチ試験による付着力が前述の範囲を満足すると、前記フィルムをディスプレイ装置に適用する際、OLED、LCDなどのバックライトまたは野外における太陽光への露出にもコーティング層が浮く現象が発生しない。すなわち、前記ポリアミド-イミド系フィルムは、コーティング層との付着力だけでなく、優れた耐光性まで実現することにより、最終製品の品質信頼性を向上させ得る。
【0058】
実現例によると、前記ポリアミド-イミド系フィルムの透過度は80%以上である。例えば、前記透過度は、85%以上、88%以上であり、100%以下または99%以下であり得る。
【0059】
前記ポリアミド-イミド系フィルムのヘイズは1%以下である。具体的に、前記ヘイズは、0.8%以下、0.7%以下、または0.6%以下であり得るが、これに限定されるものではない。
【0060】
前記ポリアミド-イミド系フィルムの黄色度(yellow index)は4以下である。例えば、前記黄色度が、3.8以下、3.5以下、3.0以下、または2.8以下であり得るが、これに限定されるものではない。
【0061】
前記ポリアミド-イミド系フィルムは、表面硬度がHB以上であり得る。具体的に、前記表面硬度がH以上または2H以上であり得るが、これに限定されるものではない。
【0062】
前記ポリアミド-イミド系フィルムは、引張強度が15kgf/mm以上であり得る。具体的に、前記引張強度が18kgf/mm以上、20kgf/mm以上、21kgf/mm以上、または22kgf/mm以上であり得るが、これに限定されるものではない。
【0063】
前記ポリアミド-イミド系フィルムは、厚さ50μmを基準に曲率半径が3mmになるようにフォルディングする際、破断する前までのフォルディング回数が20万回以上であり得る。
【0064】
前記フォルディング回数は、フィルムの曲率半径が3mmになるように曲げて広げることを1回とする。
【0065】
前記ポリアミド-イミド系フィルムが前記範囲のフォルディング回数を満足することにより、フォルダブルディスプレイ装置やフレキシブルディスプレイ装置に有用に適用され得る。
【0066】
前記ポリアミド-イミド系フィルムの表面粗さは、0.01μm~0.07μmであり得る。具体的に、前記表面粗さは、0.01μm~0.07μmまたは0.01μm~0.06μmであり得るが、これに限定されるものではない。
【0067】
前記ポリアミド-イミド系表面粗さが前記範囲を満足することにより、ディスプレイ装置に適用するために有利な輝度条件や質感を実現するのに有利であり得る。
【0068】
前記ポリアミド-イミド系フィルム内の残留溶媒の含有量は1500ppm以下であり得る。例えば、前記残留溶媒の含有量は、1200ppm以下、1000ppm以下、800ppm以下、500ppm以下であり得るが、これに限定されるものではない。
【0069】
前記残留溶媒は、フィルム製造時に揮発せず、最終的に製造されたフィルムに残留する溶媒の量のことを意味する。
【0070】
前記ポリアミド-イミド系フィルム内の残留溶媒の含有量が前記範囲を超えると、フィルムの耐久性が低下し、フィルムの品質バラツキにも影響を及ぼし得る。特に、機械的強度に影響を及ぼすため、フィルムの後加工の際に不利な影響を及ぼし、フィルムの吸湿性を加速化させ、機械的物性に加えて光学物性や耐熱特性も低下し得る。
【0071】
実現例による前記ポリアミド-イミド系フィルムは、ポリアミド-イミド系重合体を含み、前記ポリアミド-イミド系重合体は、ジアミン化合物、ジアンヒドリド化合物およびジカルボニル化合物を重合して形成され得る。
【0072】
前記ポリアミド-イミド系重合体は、イミド繰り返し単位とアミド繰り返し単位とを含む重合体である。
【0073】
具体的に、前記ポリアミド-イミド系重合体は、ジアミン化合物とジアンヒドリド化合物との重合に由来するイミド(imide)繰り返し単位と、前記ジアミン化合物とジカルボニル化合物との重合に由来するアミド(amide)繰り返し単位とを含む。
【0074】
前記ジアミン化合物は、前記ジアンヒドリド化合物とイミド結合し、前記ジカルボニル化合物とアミド結合して、共重合体を形成する化合物である。
【0075】
前記ジアミン化合物は特に制限されないが、例えば、芳香族構造を含む芳香族ジアミン化合物であり得る。例えば、前記ジアミン化合物は、下記化学式1の化合物であり得る。
【0076】

前記化学式1において、Eは、置換または非置換の2価のC-C30脂環式基、置換または非置換の2価のC-C30ヘテロ脂環式基、置換または非置換の2価のC-C30芳香族環基、置換または非置換の2価のC-C30芳香族ヘテロ環基、置換または非置換のC-C30アルキレン基、置換または非置換のC-C30アルケニレン基、置換または非置換のC-C30アルキニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-C(CH-、および-C(CF-の中から選択され得る。
【0077】
eは1~5の整数の中から選択され、eが2以上の場合、Eは互いに同一または異なり得る。
【0078】
前記化学式1の(E)は、下記化学式1-1a~1-14aで表される基の中から選択され得るが、これに限定されるものではない。

【0079】
具体的に、前記化学式1の(E)は、下記化学式1-1b~1-13bで表される基の中から選択され得るが、これに限定されるものではない。

【0080】
より具体的に、前記化学式1の(E)は、前記化学式1-6bで表される基または前記化学式1-9bで表される基であり得る。
【0081】
一実現例において、前記ジアミン化合物は、フッ素含有置換基を有する化合物またはエーテル基(-O-)を有する化合物を含み得る。
【0082】
前記ジアミン化合物は、フッ素含有置換基を有する化合物からなり得る。ここで、前記フッ素含有置換基はフッ素化炭化水素基であり、具体的にトリフルオロメチル基であり得るが、これに限定されるものではない。
【0083】
一部の実現例において、前記ジアミン化合物は1種のジアミン化合物を含み得る。すなわち、前記ジアミン化合物は単一成分からなり得る。
【0084】
例えば、前記ジアミン化合物は、下記のような構造を有する2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノビフェニル(2,2'-Bis(trifluoromethyl)-4,4'-diaminodiphenyl、TFDB)を含み得るが、これに限定されるものではない。

【0085】
前記ジアンヒドリド化合物は、複屈折値が低いため、前記ポリアミド-イミド系重合体を含むフィルムの透過度のような光学物性の向上に寄与し得る化合物である。
【0086】
前記ジアンヒドリド化合物は特に限定されないが、例えば、芳香族構造を含む芳香族ジアンヒドリド化合物であり得る。例えば、前記芳香族ジアンヒドリド化合物は、下記化学式2の化合物であり得る。
【0087】
前記化学式2において、Gは置換または非置換の4価のC-C30脂環式基、置換または非置換の4価のC-C30ヘテロ脂環式基、置換または非置換の4価のC-C30芳香族環基、置換または非置換の4価のC-C30芳香族ヘテロ環基であり、前記脂環式基、前記ヘテロ脂環式基、前記芳香族環基または前記芳香族ヘテロ環基が単独で存在するか、互いに結合され縮合環を形成するか、置換または非置換のC-C30アルキレン基、置換または非置換のC-C30アルケニレン基、置換または非置換のC-C30アルキニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-C(CH-、および-C(CF-の中から選択された連結基によって結合されている。
【0088】
前記化学式2におけるGは、下記化学式2-1a~2-9aで表される基の中から選択され得るが、これに限定されるものではない。

【0089】
例えば、前記化学式2におけるGは、前記化学式2-2aで表される基、前記化学式2-8aで表される基、または前記化学式2-9aで表される基であり得る。
【0090】
一実現例において、前記ジアンヒドリド化合物は、フッ素含有置換基を有する化合物、ビフェニル基を有する化合物、またはケトン基を有する化合物を含み得る。
【0091】
前記フッ素含有置換基は、フッ素化炭化水素基であり、具体的にはトリフルオロメチル基であり得るが、これに限定されるものではない。
【0092】
他の実現例において、前記ジアンヒドリド化合物は、1種の単一成分または2種の混合成分からなり得る。
【0093】
例えば、前記ジアンヒドリド化合物は、下記のような構造を有する2,2'-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンヒドリド(2,2'-Bis-(3,4-Dicarboxyphenyl)hexafluoropropane dianhydride、6FDA)および3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3,3',4,4'-biphenyltetracarboxylic dianhydride、BPDA)からなる群より選択される1種以上を含み得るが、これに限定されるものではない。

【0094】
前記ジアミン化合物と前記ジアンヒドリド化合物とが重合してポリアミック酸を生成し得る。
【0095】
次いで、前記ポリアミック酸は、脱水反応によりポリイミドに転換され得、前記ポリイミドはイミド繰り返し単位を含む。
【0096】
前記ポリイミドは、下記化学式Aで表される繰り返し単位を形成し得る。
【0097】
前記化学式Aにおいて、E、G、およびeに関する説明は、前述の通りである。
【0098】
例えば、前記ポリイミドは、下記化学式A-1で表される繰り返し単位を含み得るが、これに限定されるものではない。
【0099】
前記化学式A-1におけるnは1~400の整数であり得る。
【0100】
前記ジカルボニル化合物は特に制限されないが、例えば、下記化学式3の化合物であり得る。
【0101】
前記化学式3において、Jは、置換または非置換の2価のC-C30脂環式基、置換または非置換の2価のC-C30ヘテロ脂環式基、置換または非置換の2価のC-C30芳香族環基、置換または非置換の2価のC-C30芳香族ヘテロ環基、置換または非置換のC-C30アルキレン基、置換または非置換のC-C30アルケニレン基、置換または非置換のC-C30アルキニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-C(CH-、および-C(CF-の中から選択され得る。
【0102】
jは1~5の整数の中から選択され、jが2以上の場合、Jは互いに同一または異なり得る。
Xはハロゲン原子である。具体的に、XはF、Cl、Br、I等であり得る。より具体的に、XはClであり得るが、これに限定されるものではない。
【0103】
前記化学式3の(J)は、下記化学式3-1a~3-14aで表される基の中から選択され得るが、これに限定されるものではない。
【0104】
具体的に、前記化学式3の(J)は、下記化学式3-1b~3-8bで表される基の中から選択され得るが、これに限定されるものではない。
【0105】
より具体的に、前記化学式3の(J)は、前記化学式3-1bで表される基、前記化学式3-2bで表される基、3-3bで表される基、または3-8bで表される基であり得る。
【0106】
例えば、前記化学式3の(J)は、前記化学式3-1bで表される基または前記化学式3-2bで表される基であり得る。
【0107】
一実現例において、前記ジカルボニル化合物は、1種のジカルボニル化合物を単独で使用するか、互いに異なる少なくとも2種のジカルボニル化合物を混合して使用し得る。前記ジカルボニル化合物が2種以上使用される場合、前記ジカルボニル化合物は、前記化学式3において(J)が前記化学式3-1b~3-8bで表される基の中から選択される2種以上が使用され得る。
【0108】
他の実現例において、前記ジカルボニル化合物は、芳香族構造を含む芳香族ジカルボニル化合物であり得る。
【0109】
前記ジカルボニル化合物は、下記のような構造を有するテレフタロイルクロリド(terephthaloyl chloride、TPC)、1,1'-ビフェニル-4,4'-ジカルボニルジクロリド(1,1'-biphenyl-4,4'-dicarbonyl dichloride、BPDC)、イソフタロイルクロリド(isophthaloyl chloride、IPC)、またはその組み合わせを含み得るが、これに限定されるものではない。
【0110】
前記ジアミン化合物と前記ジカルボニル化合物とが重合して、下記化学式Bで表される繰り返し単位を形成し得る。

前記化学式Bにおいて、E、J、e、およびjに関する説明は前述の通りである。
【0111】
例えば、前記ジアミン化合物と前記ジカルボニル化合物とが重合して、化学式B-1およびB-2で表されるアミド繰り返し単位を形成し得る。
【0112】
または、前記ジアミン化合物と前記ジカルボニル化合物とが重合して、化学式B-2およびB-3で表されるアミド繰り返し単位を形成し得る。
【0113】
前記化学式B-1のxは1~400の整数である。
【0114】
前記化学式B-2のyは1~400の整数である。
【0115】

前記化学式B-3のyは1~400の整数である。
【0116】
一実現例によると、前記ポリアミド-イミド系重合体は、下記化学式Aで表される繰り返し単位および下記化学式Bで表される繰り返し単位を含み得る。
【0117】
【0118】
【0119】
前記化学式AおよびBのうち、EおよびJは互いに独立して、置換または非置換の2価のC-C30脂環式基、置換または非置換の2価のC-C30ヘテロ脂環式基、置換または非置換の2価のC-C30芳香族環基、置換または非置換の2価のC-C30芳香族ヘテロ環基、置換または非置換のC-C30アルキレン基、置換または非置換のC-C30アルケニレン基、置換または非置換のC-C30アルキニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-C(CH-、および-C(CF-の中から選択され、
eおよびjは互いに独立して1~5の整数の中から選択され、
eが2以上の場合、2以上のEは互いに同一または異なり、
jが2以上の場合、2以上のJは互いに同一または異なり、
Gは、置換または非置換の4価のC-C30脂環式基、置換または非置換の4価のC-C30ヘテロ脂環式基、置換または非置換の4価のC-C30芳香族環基、置換または非置換の4価のC-C30芳香族ヘテロ環基であり、前記脂環式基、前記ヘテロ脂環式基、前記芳香族環基、または前記芳香族ヘテロ環基が単独で存在するか、互いに結合して縮合環を形成するか、置換または非置換のC-C30アルキレン基、置換または非置換のC-C30アルケニレン基、置換または非置換のC-C30アルキニレン基、-O-、-S-、-C(=O)-、-CH(OH)-、-S(=O)-、-Si(CH-、-C(CH-、および-C(CF-の中から選択された連結基によって結合されている。
【0120】
前記ポリアミド-イミド系重合体は、イミド系繰り返し単位およびアミド系繰り返し単位を2:98~70:30のモル比で含み得る。
【0121】
具体的に、前記ポリアミド-イミド系重合体は、前記イミド系繰り返し単位とアミド系繰り返し単位とのモル比が、2:98~60:40、5:95~60:40、5:95~55:45、5:95~50:50、5:95~45:55、または7:93~45:55であり得るが、これに限定されるものではない。
【0122】
イミド繰り返し単位とアミド繰り返し単位とのモル比が前記範囲であると、ポリアミド-イミド系フィルムのrSE値を効果的に制御することができ、特徴的な工程方法と結びついて、フィルムの品質信頼性を高め得る。
【0123】
前記ポリアミド-イミド系重合体において、前記化学式Aで表される繰り返し単位と前記化学式Bで表される繰り返し単位とのモル比は、2:98~70:30であり得る。具体的に、前記化学式Aで表される繰り返し単位と前記化学式Bで表される繰り返し単位とのモル比は、2:98~60:40、5:95~60:40、5:95~55:45、5:95~50:50、5:95~45:55、または7:93~45:55であり得るが、これに限定されるものではない。
【0124】
実現例によるポリアミド-イミド系フィルムは、ポリアミド-イミド系重合体に加えて、フィラー、青色顔料およびUVA吸収剤からなる群より選択される1種以上をさらに含み得る。
【0125】
前記フィラーは例えば、金属または準金属の酸化物、炭酸化物、硫酸化物などを含み得る。例えば、前記フィラーは、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどを含み得るが、これらに限定されるものではない。
【0126】
前記フィラーは粒子状で含まれ得る。また、前記フィラーは、表面に特別なコーティング処理がされていない状態であり、フィルム全体に亘って均一に分散されている。
【0127】
前記ポリアミド-イミド系フィルムが前記フィラーを含むことにより、前記フィルムは光学特性の低下もなく、広い視野角を確保することができ、照度および巻取性を向上させ得ることはもちろん、フィルム製造の際の走行性スクラッチ改善効果を向上させ得る。
【0128】
前記フィラーの屈折率は1.55~1.75であり得る。具体的に、前記フィラーの屈折率は、1.60~1.75、1.60~1.70、1.60~1.68、または1.62~1.65であり得るが、これに限定されるものではない。
【0129】
前記フィラーの屈折率が前記範囲を満足することにより、nx、ny、nzに関連する複屈折値が適切に調節され、フィルムの様々な角度における輝度が改善され得る。
【0130】
一方、前記フィラーの屈折率が前記範囲から外れると、フィルム上でフィラーの存在が目視されたり、フィラーによってヘイズが上昇したりする問題が生じ得る。
【0131】
前記フィラーの含有量は、ポリアミド-イミド系重合体固形分の総重量を基準に、100ppm~15000ppmであり得る。具体的に、前記フィラーの含有量は、ポリアミド-イミド系重合体固形分の総重量を基準に、100ppm以上、300ppm以上、500ppm以上、700ppm以上、800ppm以上、または1000ppm以上であり、15000ppm以下、12000ppm以下、10000ppm以下、8000ppm以下、6000ppm以下、5000ppm以下、3000ppm以下、2500ppm以下、2000ppm以下、または1500ppm以下であり得るが、これに限定されるものではない。
【0132】
前記フィラーの含有量が前記範囲から外れると、フィルムのヘイズが急激に増加し、フィルム表面にフィラー同士の凝集現象が発生して、異物感が目視で確認されたり、生産工程において走行に問題が発生したり、巻取性が低下し得る。
【0133】
前記フィラーが有機溶媒(例えばDMAc)に溶解した状態における直径(D50)は50nm~1000nmである。具体的に、前記フィラーが有機溶媒に溶解した状態における直径(D50)は、50nm以上、70nm以上、80nm以上、または100nm以上であり、1000nm以下、800nm以下、700nm以下、500nm以下、400nm以下、300nm以下、250nm以下、220nm以下、または200nm以下であり、より具体的に、50nm~300nm、50nm~250nm、80nm~250nm、80nm~220nm、100nm~220nm、または100nm~200nmであり得る。
【0134】
前記青色顔料は、TOYO社のOP-1300Aを含み得るが、これに限定されない。
【0135】
一部の実現例において、前記青色顔料は、前記ポリアミド-イミド系重合体の総重量に対して50ppm~5000ppmで含まれ得る。好ましくは、前記青色顔料は、前記ポリアミド-イミド系重合体の総重量に対して、100ppm~5000ppm、200ppm~5000ppm、300ppm~5000ppm、400ppm~5000ppm、50ppm~3000ppm、100ppm0~3000ppm、200ppm~3000ppm、300ppm~3000ppm、400ppm~3000ppm、50ppm~2000ppm、100ppm~2000ppm、200ppm~2000ppm、300ppm~2000ppm、400~2000ppm、50ppm~1000ppm、100ppm~1000ppm、200ppm~1000ppm、300~1000ppm、または400ppm~1000ppmで含まれ得るが、これらに限定されるものではない。
【0136】
前記UVA吸収剤は、当技術分野で使用される10nm~400nm波長の電磁波を吸収する吸収剤を含み得る。例えば、前記UVA吸収剤はベンゾトリアゾール(benzotriazole)系化合物を含み、前記ベンゾトリゾール系化合物はN-フェノールベンゾトリアゾール(N-phenolic benzotriazole)系化合物を含み得る。一部の実現例において、前記N-フェノールベンゾトリアゾール系化合物は、フェノール基が炭素数1~10のアルキル基で置換されたN-フェノールベンゾトリゾールを含み得る。前記アルキル基は、2個以上で置換され、直鎖状、分枝状または環状であり得る。
【0137】
一部の実現例において、前記UVA吸収剤は、前記ポリアミド-イミド系重合体の総重量に対して0.1重量%~10重量%で含まれ得る。好ましくは、前記UVA吸収剤は、前記ポリアミド-イミド系重合体の総重量に対して、0.1重量%~5重量%、0.1重量%~3重量%、0.1重量%~2重量%、0.5重量%~10重量%、0.5重量%~5重量%、0.5重量%~3重量%、0.5重量%~2重量%、1重量%~10重量%、1重量%~5重量%、1重量%~3重量%、または1重量%~2重量%で含まれ得るが、これらに限定されるものではない。
【0138】
前術の前記ポリアミド-イミド系フィルムの物性は、40μm~60μmの厚さを基準とする。例えば、前記ポリアミド-イミド系フィルムの物性は、50μmの厚さを基準とする。前記ポリアミド-イミド系フィルムは、厚さ50μmを基準に、厚さ偏差が3μm以下、または2μm以下であり得る。また、前記厚さ偏差率は、5%以下、4%以下、または3%以下であり得るが、これに限定されるものではない。
【0139】
前記フィルムの厚さは、日本ミツトヨ社のデジタルマイクロメータ547-401を用いて、ランダムな位置の5か所の厚さを測定し、平均値をもって厚さを測定した。
【0140】
前述のポリアミド-イミド系フィルムの構成成分および物性に関する特徴は互いに組み合わされ得る。
【0141】
また、前記ポリアミド-イミド系フィルムの前述のrSE値、SE1、SE2、dAp値、Ap1、Ap2、dAd値、Ad1、Ad2等は、前記ポリアミド-イミド系フィルムをなす成分の化学的、物理的物性とともに、後述する前記ポリアミド-イミド系フィルムの製造方法において、各段階の具体的な工程条件が総合して調節され得る。
【0142】
例えば、前記ポリアミド-イミド系フィルムをなす成分の組成と含有量、フィルム製造工程における重合条件、撹拌条件および熱処理条件などと、全てのものが総合され、目的とする範囲のrSE値を実現し得る。
【0143】
[ポリアミド-イミド系複合フィルム]
一実現例によるポリアミド-イミド系複合フィルムは、ポリアミド-イミド系フィルムと機能層とを含む。
【0144】
前記ポリアミド-イミド系フィルムは、ポリアミド-イミド系重合体を含み、前記ポリアミド-イミド系フィルムの前記式1で表示されるrSE値が0.8~1.25である。
【0145】
前記ポリアミド-イミド系フィルムに関する具体的な説明は、前述の通りである。
【0146】
実現例において、前記機能層はハードコーティング層を含み、クロスハッチ試験を行ったとき、前記ポリアミド-イミド系複合フィルムと前記ハードコーティング層との付着力が5B以上であり、前記ポリアミド-イミド系フィルムに340nm波長、0.63W/m光量、60℃温度で72時間UVを照射した後、前記クロスハッチ試験を行ったとき、前記ポリアミド-イミド系フィルムと前記ハードコーティング層との付着力が4B以上である。
【0147】
前記機能層200は有機樹脂を含み得る。
また、前記機能層200は、フィラーをさらに含み得る。
前記機能層200は、その他の添加剤をさらに含み得る。
【0148】
前記有機樹脂は硬化性樹脂であり得る。前記有機樹脂はバインダー樹脂であり得る。前記有機樹脂は、アクリレート系モノマー、ウレタンアクリレート系オリゴマー、およびエポキシアクリレート系オリゴマーからなる群より選択された1種以上であり得る。
【0149】
前記アクリレート系モノマーは、置換または非置換のアクリレートおよび置換または非置換のメタクリレートからなる群より選択された1種以上であり得る。
【0150】
前記アクリレート系モノマーは、1~10官能基を含み得る。前記ウレタンアクリレート系オリゴマーは、2~15官能基を含み得る。前記エポキシアクリレート系オリゴマーは、1~10官能基を含み得る。
【0151】
前記アクリレート系モノマーの例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(TMPEOTA)、グリセリンプロポキシトリアクリレート(GPTA)、ペンタエリトリトールテトラアクリレート(PETA)、またはジペンタエリトリトールヘキサアクリレート(DPHA)などが挙げられる。
【0152】
前記アクリレート系モノマーの重量平均分子量(Mw)は、約200g/mol~約2000g/mol、約200g/mol~約1000g/mol、または約200g/mol~約500g/molの範囲であり得る。
【0153】
前記アクリレート系モノマーのアクリレート当量(equivalent weight)は、約50g/eq~約300g/eq、約50g/eq~約200g/eq、または約50g/eq~約150g/eqの範囲であり得る。
【0154】
前記ウレタンアクリレート系オリゴマーの例としては、重量平均分子量1400~25000の2官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量1700~16000の3官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量500~3500の4官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量818~2600の6官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量3500~5500の9官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量3200~3900の10官能ウレタンアクリレートオリゴマー、または重量平均分子量2300~20000の15官能ウレタンアクリレートオリゴマーなどが挙げられる。
【0155】
前記エポキシアクリレート系オリゴマーの例としては、重量平均分子量100~300の1官能エポキシアクリレートオリゴマー、重量平均分子量250~2000の2官能エポキシアクリレートオリゴマー、または重量平均分子量1000~3000の4官能エポキシアクリレートオリゴマーなどが挙げられる。
【0156】
前記エポキシアクリレート系オリゴマーのエポキシ当量は、約50g/eq~約300g/eq、約50g/eq~約200g/eq、または約50g/eq~約150g/eqの範囲であり得る。
【0157】
前記有機樹脂の含有量は、前記機能層の総重量を基準に30wt%~100wt%であり得る。具体的に、前記有機樹脂の含有量は、前記機能層の総重量を基準に40wt%~90wt%、50wt%~90wt%、または50wt%~80wt%であり得る。
【0158】
前記機能層に含まれているフィラーの例としては、シリカ、硫酸バリウム、酸化亜鉛、またはアルミナなどが挙げられる。
【0159】
前記フィラーの含有量は、前記機能層の総重量を基準に40000ppm~300000ppmであり得る。具体的に、前記フィラーの含有量は、前記機能層の総重量を基準に、40000ppm~250000ppm、50000ppm~250000ppm、50000ppm~240000ppm、または70000ppm~240000ppmであり得るが、これに限定されるものではない。
【0160】
前記フィラーの粒径は5nm~100nmであり得る。具体的に、前記フィラーの粒径は、5nm~80nm、5nm~60nm、5nm~50nm、5nm~30nm、5nm~20nm、または10nm~15nmであり得る。
【0161】
前記フィラーは表面処理され得る。前記フィラーは、シランカップリング剤等により表面処理され得る。前記シランカップリング剤の例としては、(メタ)アクリルシラン((meth)acrylsilane)、メタクロキシシラン(methacroxysilane)、ビニールシラン(vinylsilane)、エポキシシラン(epoxysilane)、またはメルカプトシラン(mercaptosilane)などが挙げられる。
【0162】
具体的に、前記フィラーはシリカであり、粒径は5nm~100nm、例えば、10nm~15nmであり得るが、これに限定されるものではない。
【0163】
前記機能層が前記フィラーを含むと、ポリアミド-イミド系複合フィルムの表面硬度を向上させ得るだけでなく、表面粗さおよび光路にも影響を与えてレインボー現象を低減し、適切な表面質感を実現し得る。
【0164】
一実現例において、ポリアミド-イミド系複合フィルムに含まれているポリアミド-イミド系フィルムは第1フィラーをさらに含み、前記機能層は第2フィラーをさらに含み得る。
【0165】
具体的に、前記第1フィラーと前記第2フィラーとは、同一または異なり得る。
【0166】
前記機能層は、光開始剤をさらに含み得る。
前記光開始剤の例としては、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン、メチルベンゾイルホルメート、α,α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン、2-ベンゾイル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1ブタノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド、またはビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、現在市販の商品としては、Irgacure(登録商標)184、Irgacure 500、Irgacure 651、Irgacure 369、Irgacure 907、Darocur(登録商標)1173、Darocur MBF、Irgacure 819、Darocur TPO、Irgacure 907、Esacure(登録商標)KIP 100Fなどが挙げられる。前記光開始剤は、単独で、または互いに異なる2種以上を混合して使用し得る。
【0167】
前記機能層は、界面活性剤、UV吸収剤、UV安定剤、黄変防止剤、レベリング剤、防汚剤、または色相値改善のための染料などを、その他の添加剤として含み得る。また、前記添加剤の含有量は、前記機能層の物性を低下させない範囲内で多様に調節され得る。例えば、前記添加剤の含有量は、前記機能層を基準に、約0.01wt%~約10wt%で含まれ得るが、これに限定されるものではない。
【0168】
前記界面活性剤は、1~2官能性のフッ素系アクリレート、フッ素系界面活性剤、またはシリコーン系界面活性剤であり得る。前記界面活性剤は、前記機能層内に分散または架橋されている形態で含まれ得る。
【0169】
前記UV吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、またはトリアジン系化合物などが挙げられ、前記UV安定剤としては、テトラメチルピペリジン(tetramethyl piperidine)などが挙げられる。
【0170】
前記機能層を形成するために、コーティング組成物が調製され得る。前記コーティング組成物は、前記有機樹脂、前記フィラー、前記添加剤および有機溶媒を含む。
【0171】
前記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールのようなアルコール系溶媒と、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノールのようなアルコキシアルコール系溶媒と、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン系溶媒と、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテルのようなエーテル系溶媒と、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族溶媒となどを単独でまたは混合して使用し得る。
【0172】
前記有機溶媒の含有量は、コーティング組成物の物性を低下させない範囲内で多様に調節し得るので特に制限はないが、前記コーティング組成物に含まれる成分のうち固形分に対して、固形分:有機溶媒の重量比が約30:70~約99:1となるように含み得る。前記有機溶媒が前記範囲にあるとき、適切な流動性および塗布性を有し得る。
【0173】
前記機能層が調製される過程において、前記有機溶媒が使用されるため、前記機能層には前記有機溶媒が微量で残り得る。
【0174】
具体的に、前記コーティング組成物は、有機樹脂およびフィラーを含み得る。
【0175】
前記フィラーは、溶媒に分散したゾルの状態で含まれ得る。例えば、前記フィラーがシリカであり、前記シリカはシリカゾルの状態で含まれ得る。
【0176】
前記コーティング組成物は、有機樹脂とフィラーとが分散されたゾルを90:10~40:60、85:15~40:60、85:15~50:50の重量比で含み得るが、これに限定されるものではない。
【0177】
前記コーティング組成物は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの前面または背面に塗布され得る。前記コーティング組成物は、バーコート方式、ナイフコート方式、ロールコート方式、ブレードコート方式、ダイコート方式、マイクログラビアコート方式、コンマコート方式、スロットダイコート方式、リップコート方式、またはソリューションキャスティング(solution casting)方式などを利用し得る。
【0178】
その後、前記コーティング組成物に含まれている有機溶媒が除去され得る。前記有機溶媒は蒸発によって除去され得る。
【0179】
その後、前記コーティング組成物層は、光および/または熱によって硬化され得る。
【0180】
前記機能層は、完全に硬化した後、厚さが約2μm以上、または約3μm以上、例えば、約2μm~約20μm、約2μm~約15μm、約2μm~約10μm、約3μm~約10μmの厚さを有し得る。
【0181】
前記ポリアミド-イミド系フィルムおよび前記機能層の間に追加層がさらに配置され得る。前記追加層は帯電防止層であり、帯電防止機能を果たすか、低屈折率層であって低反射(low reflection)機能を果たし得る。これとは異なり、前記機能層自体が帯電防止機能および/または低反射機能を果たすこともできる。
【0182】
また、前記機能層の屈折率は、1.45~1.60である。具体的に、前記機能層の屈折率は、1.46~1.58、1.46~1.55、1.46~1.52、1.48~1.51、または1.49~1.51であり得るが、これに限定されるものではない。
【0183】
前記機能層の屈折率が前記範囲を満足することにより、フィルムの優れた反射外観を実現し得る。
【0184】
前述の機能層の構成成分および物性に関する特徴は互いに組み合され得る。
【0185】
[ディスプレイ装置用カバーウィンドウ]
一実現例によるディスプレイ装置用カバーウィンドウは、ポリアミド-イミド系フィルムと機能層とを含む。
【0186】
前記ポリアミド-イミド系フィルムは、ポリアミド-イミド系重合体を含み、前記ポリアミド-イミド系フィルムの前記式1で表示されるrSE値が0.8~1.25である。
【0187】
前記ポリアミド-イミド系フィルムに関する具体的な説明は、前述の通りである。
【0188】
前記ディスプレイ装置用カバーウィンドウは、ディスプレイ装置に有用に適用され得る。
【0189】
[ディスプレイ装置]
一実現例によるディスプレイ装置は、表示部と、前記表示部上に配置されたカバーウィンドウとを含み、前記カバーウィンドウがポリアミド-イミド系フィルムと機能層とを含む。
【0190】
前記ポリアミド-イミド系フィルムは、ポリアミド-イミド系重合体を含み、前記ポリアミド-イミド系フィルムの前記式1で表示されるrSE値が0.8~1.25である。
【0191】
前記ポリアミド-イミド系フィルムおよびカバーウィンドウに関する具体的な説明は、前述の通りである。
【0192】
図1は、一実現例によるディスプレイ装置の概略的な分解図である。図2は、一実現例によるディスプレイ装置の概略的な斜視図である。図3は、一実現例によるディスプレイ装置の概略的な断面図である。
【0193】
具体的に、図1図3には、表示部400と、前記表示部400上に第1面101および第2面102を有するポリアミド-イミド系フィルム100と機能層200とを含むカバーウィンドウ300とが配置され、前記表示部400とカバーウィンドウ300との間に接着層500が配置されたディスプレイ装置が例示されている。
【0194】
前記表示部400は、画像が表示され得るものであり、フレキシブル(flexible)な特性を有し得る。
【0195】
前記表示部400は、画像を表示するための表示パネルであり得るが、例えば、液晶表示パネルまたは有機電界発光表示パネルであり得る。前記有機電界発光表示パネルは、前面偏光板および有機ELパネルを含み得る。
【0196】
前記前面偏光板は、前記有機ELパネルの前面上に配置され得る。具体的に、前記前面偏光板は、前記有機ELパネルにおいて、画像が表示される面に接着され得る。
【0197】
前記有機ELパネルは、ピクセル単位の自己発光によって画像を表示し得る。前記有機ELパネルは、有機EL基板および駆動基板を含み得る。前記有機EL基板は、ピクセルにそれぞれ対応する複数の有機電界発光ユニットを含み得る。具体的に、それぞれ陰極、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、および陽極を含み得る。前記駆動基板は、前記有機EL基板に駆動的に接続され得る。すなわち、前記駆動基板は、前記有機EL基板に駆動電流などのような駆動信号を印加し得るように接続されることにより、前記有機電界発光ユニットにそれぞれ電流を印加して、前記有機EL基板を駆動し得る。
【0198】
また、前記表示部400および前記カバーウィンドウ300の間に接着層500が含まれ得る。前記接着層は、光学的に透明な接着層であって良く、特に限定されない。
【0199】
前記カバーウィンドウ300は、前記表示部400上に配置され得る。前記カバーウィンドウは、実施例によるディスプレイ装置の外郭に位置して、前記表示部を保護し得る。
【0200】
前記カバーウィンドウ300は、ポリアミド-イミド系フィルムおよび機能層を含み得る。前記機能層は、ハードコーティング層、反射率低減層、防汚層、および防眩層からなる群より選択された1種以上であり得る。前記機能層は、前記ポリアミド-イミド系フィルムの少なくとも一面にコーティングされ得る。
【0201】
実現例によるポリアミド-イミド系フィルムの場合、ディスプレイ駆動方式やパネル内部のカラーフィルター、積層構造などの変更もなく簡単にディスプレイ装置の外部にフィルム状で適用して、均一な厚さ、低いヘイズ、高い透過率および透明性を有するディスプレイ装置を提供し得るので、過度の工程変更やコスト増加を必要としないので、生産コストを削減できるという利点もある。
【0202】
実現例によるポリアミド-イミド系フィルムは、高い透過度、低いヘイズ、低い黄色度のような優れた光学特性およびモジュラス、柔軟性などの機械的特性を有することができ、紫外線にさらされても光学/機械的特性の変化(劣化)が抑制され得る。
【0203】
具体的に、前述した範囲のrSE値を有するポリアミド-イミド系フィルムの場合、機能層との付着力およびUV光源に対する耐光性が改善され、品質が均一であり、優れた機械的特性および光学特性を有し得る。
【0204】
これにより、前記ポリアミド-イミド系フィルムをディスプレイ装置用カバーウィンドウまたはディスプレイ装置に適用した場合、最終製品の品質信頼度および製品歩留まりを向上させ得る。
【0205】
[ポリアミド-イミド系フィルムの製造方法]
一実現例は、ポリアミド-イミド系フィルムの製造方法を提供する。
【0206】
一実現例によるポリアミド-イミド系フィルムの製造方法は、有機溶媒中でジアミン化合物、ジアンヒドリド化合物およびジカルボニル化合物を重合して、ポリアミド-イミド系重合体溶液を調製する段階(S100)と、前記溶液をキャスティングした後、乾燥して、ゲルシートを製造する段階(S200)と、前記ゲルシートを熱処理する段階(S300)とを含み(図4参照)、前記ポリアミド-イミド系重合体溶液をキャスティングする前に、前記溶液を撹拌する段階を含む。
【0207】
一部の実現例によるポリアミド-イミド系フィルムの製造方法は、前記ポリアミド-イミド系重合体溶液の粘度を調整する段階(S110)、前記ポリアミド-イミド系重合体を熟成させる段階(S120)および/または前記ポリアミド-イミド系重合体溶液を脱気する段階(S130)をさらに含み得る。
【0208】
前記ポリアミド-イミド系フィルムは、ポリアミド-イミド系重合体が主成分であるフィルムであって、前記ポリアミド-イミド系重合体は、構造単位としてイミド繰り返し単位とアミド繰り返し単位とを所定のモル比で含む重合体である。
【0209】
前記ポリアミド-イミド系フィルムの製造方法において、前記ポリアミド-イミド系重合体を調製するための重合体溶液は、反応器内で有機溶媒中にジアミン化合物、ジアンヒドリド化合物およびジカルボニル化合物を同時または順次混合し、前記混合物を反応させて調製され得る(S100)。
【0210】
一実現例において、前記重合体溶液を有機溶媒中にジアミン化合物、ジアンヒドリド化合物およびジカルボニル化合物を同時投入して反応させることにより調製され得る。
【0211】
他の実現例において、前記重合体溶液を調製する段階は、溶媒中に前記ジアミン化合物と前記ジアンヒドリド化合物とを1次混合および反応させてポリアミック酸(Polyamic acid、PAA)溶液を調製する段階と、前記ポリアミック酸(PAA)溶液に前記ジカルボニル化合物を2次混合および反応させて、アミド結合およびイミド結合を形成する段階とを含み得る。前記ポリアミック酸溶液は、ポリアミック酸繰り返し単位を有する重合体を含む溶液である。
【0212】
または、前記重合体溶液を調製する段階は、溶媒中に前記ジアミン化合物と前記ジアンヒドリド化合物とを1次混合および反応させてポリアミック酸溶液を調製する段階と、前記ポリアミック酸溶液を脱水してポリイミド(Polyimide、PI)溶液を調製する段階と、前記ポリイミド(PI)溶液に前記ジカルボニル化合物を2次混合および反応させて、アミド結合を追加形成する段階とを含み得る。前記ポリイミド溶液は、イミド繰り返し単位を有する重合体を含む溶液である。
【0213】
また他の実現例において、前記重合体溶液を調製する段階は、溶媒中に前記ジアミン化合物と前記ジカルボニル化合物とを1次混合および反応させて、ポリアミド(Polyamide、PA)溶液を調製する段階と、前記ポリアミド(PA)溶液に前記ジアンヒドリド化合物を2次混合および反応させて、イミド結合を追加形成する段階とを含み得る。前記ポリアミド溶液は、アミド繰り返し単位を有する重合体を含む溶液である。
【0214】
このようにして調製された前記重合体溶液は、ポリアミック酸(PAA)繰り返し単位、ポリアミド(PA)繰り返し単位およびポリイミド(PI)繰り返し単位からなる群より選択される1種以上を含む重合体が含有された溶液であり得る。
【0215】
または、前記重合体溶液に含まれている重合体は、前記ジアミン化合物と前記ジアンヒドリド化合物との重合に由来のイミド繰り返し単位と、前記ジアミン化合物と前記ジカルボニル化合物との重合に由来のアミド繰り返し単位とを含む。
【0216】
前記ジアミン化合物、ジアンヒドリド化合物およびジカルボニル化合物に関する説明は、前述の通りである。
【0217】
前記重合体溶液に含まれている固形分の含有量は10重量%~30重量%であり得る。または、前記重合体溶液に含まれている固形分の含有量は15重量%~25重量%であり得るが、これに限定されるものではない。
【0218】
前記重合体溶液に含まれている固形分の含有量が前記範囲であると、押出およびキャスティング工程において、効果的にポリアミド-イミド系フィルムが製造され得る。
【0219】
他の実現例において、前記重合体溶液を調製する段階は、触媒を投入する段階をさらに含み得る。
【0220】
この際、前記触媒は、ベータピコリン、酢酸無水物、イソキノリン(isoquinoline、IQ)およびピリジン系化合物からなる群より選択される1種以上を含み得るが、これに限定されるものではない。
【0221】
前記触媒は、前記ポリアミック酸1モルを基準に、0.01モル当量~0.5モル当量、0.01モル当量~0.4モル当量、または0.01モル当量~0.3モル当量を投入し得るが、これに限定されるものではない。
【0222】
前記触媒を投入すると、反応速度を向上させることができ、繰り返し単位構造間または繰り返し単位構造内の化学的結合力を向上させ得る。
【0223】
一実現例において、前記重合体溶液を調製する段階は、前記重合体溶液の粘度を調整する段階(S110)をさらに含み得る。前記重合体溶液の粘度は、常温を基準に、80000cps~500000cps、100000cps~500000cps、150000cps~500000cps、150000cps~450000cps、200000cps~450000cps、200000cps~400000cps、または200000cps~350000cpsで調整され得る。この場合、ポリアミド-イミド系フィルムの製膜性を向上させることにより、厚さ均一度を向上させ得る。
【0224】
具体的に、前記重合体溶液を調製する段階は、有機溶媒中にジアミン化合物、ジアンヒドリド化合物およびジカルボニル化合物を同時または順次混合および反応させて、第1重合体溶液を調製する段階と、前記ジカルボニル化合物を追加投入して目標粘度を有する第2重合体溶液を調製する段階とを含み得る。
【0225】
前記第1重合体溶液を調製する段階および第2重合体溶液を調製する段階の場合、調製された重合体溶液の粘度が異なる。例えば、前記第1重合体溶液よりも前記第2重合体溶液の粘度がさらに高い。
【0226】
前記第1重合体溶液を調製する際の撹拌速度と、前記第2重合体溶液を調製する際の撹拌速度とが異なり得る。例えば、前記第1重合体溶液を調製する際の撹拌速度が、前記第2重合体溶液を調製する際の撹拌速度より速くても良い。
【0227】
また他の実現例において、前記重合体溶液を調製する段階は、前記重合体溶液のpHを調整する段階をさらに含み得る。この段階において、前記重合体溶液のpHは4~7に調整され、例えば、4.5~7に調整され得る。
【0228】
前記重合体溶液のpHは、pH調整剤を添加することにより調整され、前記pH調整剤は特に制限されないが、例えば、アルコキシアミン、アルキルアミンまたはアルカノールアミンなどのアミン系化合物を含み得る。
【0229】
前記重合体溶液のpHを前述の範囲で調整することにより、前記重合体溶液から製造されたフィルムの欠陥発生を阻止し、黄色度およびモジュラスの面で目的とする光学物性および機械的物性を実現し得る。
【0230】
前記pH調整剤は、前記重合体溶液内の単量体の総モル数を基準に、0.1モル%~10モル%の量で添加され得る。
【0231】
一実現例において、前記有機溶媒は、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide、DMF)、ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide、DMAc)、N-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone、NMP)、m-クレゾール(m-cresol)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、THF)、およびクロロホルムからなる群より選択された1種以上であり得る。前記重合体溶液に用いられる有機溶媒は、ジメチルアセトアミド(DMAc)であり得るが、これに限定されるものではない。
【0232】
他の実現例において、前記重合体溶液に、フィラー、青色顔料およびUVA吸収剤からなる群より選択される1種以上を添加し得る。
【0233】
前記フィラー、青色顔料およびUVA吸収剤の種類、含有量などの具体的な内容は前述の通りである。前記フィラー、青色顔料および/またはUVA吸収剤は、前記重合体溶液内で前記ポリアミド-イミド系重合体と混合され得る。
【0234】
具体的に、前記ポリアミド-イミド系重合体溶液を調製する段階は、有機溶媒に溶解したフィラーを投入する段階をさらに含み得る。例えば、前記有機溶媒に溶解したフィラーを投入する段階は、重合体溶液の調製前の有機溶媒に最初から投入するか、ポリアミド-イミド系重合体を調製する過程で投入するか、粘度調整段階を行う際に、前記第1重合体溶液の調製後に投入するか、または第2重合体溶液の調製後に投入し得る。
【0235】
一実現例によると、前記ポリアミド-イミド系重合体溶液を調製する段階は、有機溶媒に溶解したフィラーを投入する段階を含み、前記有機溶媒に溶解したフィラーの直径(D50)が50nm~1000nmである。前記フィラーが有機溶媒に溶解した状態における直径(D50)は、50nm以上、70nm以上、80nm以上、または100nm以上であり、1000nm以下、800nm以下、700nm以下、500nm以下、400nm以下、300nm以下、250nm以下、220nm以下、または200nm以下であり、より具体的に、50nm~300nm、50nm~250nm、80nm~250nm、80nm~220nm、100nm~220nm、または100nm~200nmであり得る。
【0236】
一部の実現例において、前記重合体溶液または前記粘度調整された重合体溶液を熟成させ得る(S120)。
【0237】
前記熟成は、前記重合体溶液を、24時間以上-20℃~20℃、-20℃~10℃、-20℃~5℃、-20℃~0℃、または-20℃~-5℃の温度条件に静置して行われ得る。この場合、前記重合体溶液に含まれているポリアミド-イミド系重合体または未反応物が、例えば、反応を仕上げたり、化学平衡をなしたりすることによって、前記重合体溶液が均質化され、これにより形成されたポリアミド-イミド系フィルムの機械的特性および光学特性がフィルムの全面積に対して実質的に均一となり得る。
【0238】
一実現例において、前記ポリアミド-イミド系重合体溶液を脱気する段階(S130)をさらに含み得る。前記脱気により前記重合体溶液中の水分を除去し、不純物を減少させることにより、反応収率を増加させることができ、最終フィルムの優れた表面外観および機械的物性などを実現し得る。
【0239】
前記脱気は、真空脱泡または不活性ガスパージを含み得る。
前記真空脱泡は、前記重合体溶液が収容された反応器を0.1bar~0.7barに減圧した後、30分~3時間行われ得る。このような条件にて真空脱泡を行うことにより、前記重合体溶液内部の気泡を低減させることができ、その結果、それにより製造されたフィルムの表面欠陥を防止し、ヘイズなどの優れた光学物性を実現し得る。
【0240】
また、前記パージは、不活性ガスを用いて前記タンクの内部圧力を1気圧~2気圧でパージする方法により行われ得る。このような条件にて前記パージを実施することにより、前記重合体溶液内部の水分を除去し、不純物を減少させることによって、反応収率を増加させることができ、ヘイズなどの優れた光学物性および優れた機械的物性などを実現し得る。
【0241】
前記不活性ガスは、窒素、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、およびラドン(Rn)からなる群より選択された1種以上であり得るが、これに限定されるものではない。具体的に、前記不活性ガスは窒素であり得る。
【0242】
前記真空脱泡および前記不活性ガスパージは、別の工程で行われ得る。
例えば、真空脱泡する工程が行われ、それ以降に不活性ガスでパージする工程が行われ得るが、これに限定されるものではない。
【0243】
前記真空脱泡および/または前記不活性ガスパージを行うことにより、製造されたポリアミド-イミド系フィルム表面の物性が向上し得る。
【0244】
前記ポリアミド-イミド系重合体溶液を熟成させる段階(S120)と、前記ポリアミド-イミド系重合体溶液を脱気する段階(S130)とをいずれも行う場合、前記ポリアミド-イミド系重合体溶液を熟成させる段階(S120)の後に前記ポリアミド-イミド系重合体溶液を脱気する段階(S130)を行っても良く、前記ポリアミド-イミド系重合体溶液を脱気する段階(S130)の後に前記ポリアミド-イミド系重合体溶液を熟成する段階S120を行っても良い。または、前記ポリアミド-イミド系重合体溶液を熟成させる段階(S120)、ポリアミド-イミド系重合体溶液を脱気する段階(S130)、および前記ポリアミド-イミド系重合体溶液を熟成させる段階(S120)を順次行っても良い。
【0245】
一実現例によると、後述する前記重合体溶液をキャスティングする前に、前記溶液を撹拌する段階を行い得る。
【0246】
前記溶液を撹拌する段階は、120rpm~500rpmの回転速度で行われ得る。前記溶液を撹拌する段階は、120rpm~450rpm、120rpm~400rpm、150rpm~400rpm、150rpm~350rpm、200rpm~350rpm、または200rpm~300rpmの回転速度で行われ得る。
【0247】
また、前記溶液を撹拌する段階は、0℃~25℃、0℃~20℃、3℃~20℃、3℃~15℃、3℃~12℃、3℃~10℃、5℃~10℃、または6℃~8℃の温度にて行われ得る。
【0248】
前記溶液を撹拌する段階は、ポリアミド-イミド系重合体溶液を調製する段階(S100)以降に行われ得る。
【0249】
具体的に、前記溶液を撹拌する段階は、ポリアミド-イミド系重合体溶液を調製する段階(S100)、前記ポリアミド-イミド系重合体溶液の粘度を調整する段階(S110)、前記ポリアミド-イミド系重合体溶液を熟成させる段階(S120)および/または前記ポリアミド-イミド系重合体溶液を脱気する段階(S130)以降に行われ得る。
【0250】
より具体的に、前記重合体溶液をキャスティングする前に、キャスティングダイの上部に配置されたミキサーで前記溶液を撹拌する段階が行われ得る。
【0251】
前記ミキサーは、撹拌軸および前記撹拌軸に結合されるインペラ(impeller)を含み得る。
前記ミキサーのインペラーは、パドルブレード(paddles blade)、分散ホモジェナイザーブレード(dispersing homogenizer blade)、プロペラ(propeller)、アンカーブレード(anchor blade)、ゲートブレード(gate blade)、リボンブレード(ribbon blade)、スクリュータイプ(screw type)、ブルマギンタイプ(brumagin type)、タービンブレード(turbine blade)、カーブ型ブレードパドル(curved blade paddle)、スパイラルプロペラブレード(spiral propeller blade)、または平坦ブレードタービンタイプ(flat blade turbine type)であり得るが、これに限定されるものではない。例えば、前記ミキサーのインペラーはパドルブレードであり得る。より具体的に、前記ミキサーのインペラーは、ブレードが多段に形成されたパドルタイプであり得るが、これに限定されるものではない。
【0252】
前記溶液を撹拌した後、前記ポリアミド-イミド系重合体溶液内に含まれているフィラーの直径(D50)は500nm~3000nmである。具体的に、前記溶液を撹拌した後、前記ポリアミド-イミド系重合体溶液内に含まれているフィラーの直径(D50)は、500nm以上、700nm以上、800nm以上、または1000nm以上であり、3000nm以下、2800nm以下、または2,500nm以下であり得る。
【0253】
前記溶液を撹拌した後の前記ポリアミド-イミド系重合体溶液は、後述するキャスティングされる重合体溶液に該当する。
【0254】
前記撹拌条件により撹拌することにより、前記ポリアミド-イミド系フィルムのrSE値が前述の範囲に制御され、ハードコーティングのような後加工の際、ハードコーティング層との密着力が改善され、製品に適用する際にハードコーティング層が浮く現象を著しく減らし得る。さらには、ハードコーティング層との優れた密着力は、UV光源を特定の時間照射した後でも密着力がほとんど低下することなく維持され得る。
【0255】
また、前記溶液撹拌の後、前記ポリアミド-イミド系重合体溶液内に含まれているフィラーの直径(D50)が前述の範囲を満足することにより、ポリアミド-イミド系フィルムのrSE値を特定範囲に制御することができ、前記フィルムを適用されたディスプレイ装置用カバーウィンドウまたはディスプレイ装置のような最終製品の品質信頼度および製品歩留まりを向上させ得る。
【0256】
前記重合体溶液をキャスティングしてゲルシートを製造し得る(S200)。
例えば、前記重合体溶液を支持体上で塗布、押出および/または乾燥してゲルシートを形成し得る。
【0257】
また、前記重合体溶液のキャスティング厚は200μm~700μmであり得る。前記重合体溶液が前記厚さ範囲にキャスティングされることにより、乾燥および熱処理を経て最終フィルムとして製造されたとき、適切な厚さと厚さ均一度とを確保し得る。
【0258】
前記重合体溶液の粘度は前述のように、常温にて80000cps~500000cpsであり得る。前記粘度範囲を満足することにより、前記重合体溶液がキャスティングされる際に欠陥なく均一な厚さにキャスティングされ、乾燥過程において局所的/部分的な厚さ変化もなく、実質的に均一な厚さのポリアミド-イミド系フィルムを形成し得る。
【0259】
前記重合体溶液をキャスティングした後、60℃~150℃、70℃~150℃、80℃~150℃の温度で、5分~60分間乾燥してゲルシートを製造し得る。具体的に、前記重合体溶液を70℃~140℃の温度で15分~40分間乾燥してゲルシートを製造し得る
【0260】
前記乾燥中に前記重合体溶液の溶媒が一部または全部揮発され、前記ゲルシートが製造され得る。
【0261】
前記乾燥されたゲルシートを熱処理して、ポリアミド-イミド系フィルムを形成し得る(S300)。
前記ゲルシートの熱処理は、例えば、熱硬化装置により行われ得る。
【0262】
前記ゲルシートを熱処理する段階は、少なくとも1つのヒーターによって熱処理する段階を含む。
【0263】
また、前記ゲルシートを熱処理する段階は、熱風によって熱処理する段階をさらに含み得る。
【0264】
一実現例において、前記ゲルシートを熱処理する段階は、熱風によって熱処理する段階と、少なくとも1つのヒーターによって熱処理する段階とを含む。
【0265】
一実現例において、前記熱風により熱処理する段階を行うと、熱量が均等に付与され得る。もし、熱量が均等に分布されないと、満足のいく表面粗さが実現できないか、または表面品質が不均一となることがあり、表面エネルギーが上昇し過ぎたり、低下し過ぎたりし得る。
【0266】
前記熱風による熱処理は、60℃~500℃の範囲で5分~200分間行われ得る。具体的に、前記ゲルシートの熱処理は、80℃~350℃の範囲で2℃/分~80℃/分の速度で昇温させながら10分~150分間行われ得る。
【0267】
この際、前記ゲルシートの熱処理開始温度は60℃以上であり得る。具体的に、前記ゲルシートの熱処理開始温度は80℃~180℃であり得る。また、熱処理中の最高温度は200℃~500℃であり得る。
【0268】
また、前記ゲルシートの熱風による熱処理は2段階以上で行われ得る。具体的に、前記ゲルシートの熱風による熱処理は、第1熱風処理段階と第2熱風処理段階とを順次行い、前記第2熱風処理段階における温度が第1熱風処理段階における温度より高くあり得る。
【0269】
一実現例において、前記ゲルシートを熱処理する段階は、少なくとも1つのヒーターによって熱処理する段階、具体的には複数のヒーターによって熱処理する段階を含み得る。
【0270】
前記少なくとも1つのヒーターは、IRヒーターを含み得る。ただし、少なくとも1つのヒーターの種類は、前記の例に限定されず、様々に変更され得る。
【0271】
具体的に、前記複数のヒーターはIRヒーターを含み得る。より具体的に、第1ヒーター、第2ヒーター、および第3ヒーターはIRヒーターを含み得る。
【0272】
前記少なくとも1つのヒーターによる熱処理は、300℃以上の温度範囲で行われ得る。具体的に、前記少なくとも1つのヒーターによる熱処理は、300℃~500℃の温度範囲で1分~30分間行われ得る。
【0273】
次いで、前記ゲルシートを熱処理する段階以降、硬化したフィルムを移動させながら冷却する段階を行い得る。
【0274】
前記硬化フィルムを移動させながら冷却する段階は、100℃/分~1000℃/分の速度で減温する第1減温段階と、40℃/分~400℃/分の速度で減温する第2減温段階とを含み得る。
【0275】
この際、具体的に、前記第1減温段階後に前記第2減温段階が行われ、前記第1減温段階の減温速度は、前記第2減温段階の減温速度より速くても良い。
【0276】
例えば、前記第1減温段階中の最大速度が、前記第2減温段階中の最大速度よりも速い。または、前記第1減温段階中の最低速度が、前記第2減温段階中の最低速度よりも速い。
【0277】
前記硬化フィルムの冷却段階が、このように多段階で行われることにより、前記硬化フィルムの物性をより安定化することができ、前記硬化過程で確立したフィルムの光学物性および機械的物性をより安定して長期間維持し得る。
【0278】
また、前記冷却した硬化フィルムを、ワインダー(winder)により巻取る段階を行い得る。
【0279】
この際、前記乾燥時のベルト上において、ゲルシートの移動速度:巻取時の硬化フィルムの移動速度の比は1:0.95~1:1.40である。具体的に、前記移動速度の比は、1:0.99~1:1.20、1:0.99~1:1.10、または1:1.01~1:1.10であり得るが、これに限定されるものではない。
【0280】
前記移動速度の比が前記範囲から外れると、前記硬化フィルムの機械的物性が損なわれるおそれがあり、柔軟性および弾性特性が低下するおそれがある。
【0281】
前記ポリアミド-イミド系フィルムの製造方法において、下記一般式1による厚さ偏差(%)は3%~30%であり得る。具体的に、前記厚さ偏差(%)は5%~20%であり得るが、これに限定されるものではない。
【0282】
[一般式1]
厚さ偏差(%)={(M1-M2)/M1}×100
前記一般式1において、M1は前記ゲルシートの厚さ(μm)であり、M2は巻取時の冷却された硬化フィルムの厚さ(μm)である。
【0283】
前記ポリアミド-イミド系フィルムは、前述の製造方法に基づいて製造されることにより、光学的、機械的に優れた物性を示すだけでなく、ハードコーティング層との付着力およびUV光源に対する耐光性に優れるため、信頼性の高い品質を実現し得る。このようなポリアミド-イミド系フィルムは、バックライト(back light)および野外における太陽光への露出時にも外観品質に優れるため、様々な用途に適用可能であり得る。例えば、前記ポリアミド-イミド系フィルムは、ディスプレイ装置だけでなく、太陽電池、半導体素子、センサなどにも適用され得る。
【0284】
前記で述べた製造方法により製造されたポリアミド-イミド系フィルムに関する説明は、前述の通りである。
【0285】
(実施例)
前記の内容を下記実施例によりさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例は、本発明を例示するためのものであるのみ、実施例の範囲がこれらにのみ限定されるものではない。
【0286】
(実施例1)
温度調節が可能な反応器に、20℃の窒素雰囲気下で有機溶媒であるジメチルアセトアミド(DMAc)を満たした後、芳香族ジアミンである2,2'-ビス(トリフルオロメチル)-4,4'-ジアミノビフェニル(TFMB)を徐々に投入しながら溶解した。
【0287】
次いで、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンヒドリド(6-FDA)を徐々に投入して1時間撹拌した。
【0288】
そして、テレフタロイルクロリド(TPC)を投入し1時間撹拌し、イソフタロイルクロリド(IPC)を投入モルに対して94%投入して1時間撹拌して、第1重合体溶液を調製した。
【0289】
調製された第1重合体溶液の粘度を測定した後、測定された粘度が目標とする粘度に達しなかった場合、20万cpsの粘度になるまで、DMAc有機溶媒に10重量%のIPC溶液を調製して添加した後、30分間撹拌する過程を繰り返して第2重合体溶液を調製した。
【0290】
そして、DMAc有機溶媒に分散した硫酸バリウム溶液(固形分18.2%)をフィルム内のフィラー含有量がポリアミド-イミド系重合体固形分の総重量を基準に1500ppmとなるように、前記第2重合体溶液に投入して1時間撹拌した。
【0291】
次いで、前記第2重合体溶液を-10℃のタンクに移動させて保管し、タンク内の圧力が0.3barとなるように1.5時間脱泡した後、窒素ガスを用いてタンクの内部圧力を1.5気圧でパージした。パージの後、前記第2重合体溶液をタンク内で30時間保管した。
【0292】
その後、前記第2重合体溶液をキャスティングダイ上部に位置するミキサー(ブレードが多段に形成されたパドルタイプのインペラー)で温度6℃、回転速度200rpmで撹拌しながらステンレススチールベルトにキャスティングした後、80℃の熱風で30分間乾燥して、ゲルシートを製造した。
【0293】
次いで、前記ゲルシートを移動させながら80℃~350℃までの範囲で2℃/分~80℃/分の速度で昇温しながら、最高温度にて約25分間熱処理しており、その後約800℃/分の速度で第1段階の減温処理をした後、約100℃/分の速度で第2段階の減温処理をしてフィルムを得ており、これをワインダーにより巻き取った。この際、乾燥時ベルト上におけるゲルシートの移動速度は1m/sであり、前記乾燥時のベルト上におけるゲルシートの移動速度:巻取時フィルムの移動速度の比が1:1.01~1:1.10の範囲となるようにワインダーの速度を調整した。
【0294】
ポリアミド-イミド系重合体の具体的な組成およびモル比は、下記表1に記載の通りである。
【0295】
(実施例2~6および比較例1~3)
下記表1に記載のように、重合体の組成およびモル比、フィラーの種類および含有量、撹拌工程条件などを異にしたことを除いて、実施例1と同様の方法によりフィルムを製造した。
【0296】
(評価例)
前記実施例および比較例において製造されたフィルムについて、下記のように物性を測定および評価し、その結果を下記表1に示した。
【0297】
(評価例1:透過度およびヘイズ測定)
日本電色工業社のヘイズメーターNDH-5000Wを用いて、JIS K 7136規格に基づいて光透過度およびヘイズを測定した。
【0298】
(評価例2:黄色度測定)
黄色度(Yellow Index、YI)は、分光光度計(UltraScan PRO、Hunter Associates Laboratory)によりd65、10°の条件で、ASTM-E313規格に基づいて測定した。
【0299】
(評価例3:重合体溶液内のフィラーの粒径(D50)測定)
DMAc溶媒:サンプル(フィラーを含む重合体溶液、撹拌後にキャスティングされる重合体溶液)を50:1の重量比で希釈し、Horiba社のLB-550機器を用いて、セルホルダー(Cell holder)温度25℃にて60秒ずつ3回、フィラーの粒径を測定した。3回の測定値の平均値を表1に示す。
【0300】
(評価例4:接触角および表面エネルギー測定)
実施例および比較例によるポリアミド-イミド系フィルムの表面をきれいにした後、KRUSS社のMSA(Mobile Surface Analyzer)を表面に載置して、水の接触角、ジヨードメタン(diiodomethane)の接触角および幾何平均法(OWRK Method)で計算される表面エネルギーを測定した。同じ測定を5回繰り返して、上限と下限を除いた3回の測定値の平均値を測定した。このような測定をポリアミド-イミド系フィルムの第1面(ベルト面)および第2面(エア面)のそれぞれに対して行い、下記表1に示した。
【0301】
(評価例5:ハードコーティング層の付着力評価)
[5-1:ポリアミド-イミド系複合フィルムの製造]
ウレタンアクリレートオリゴマー(MU9800、ミウォンスペシャルティケミカル(Miwon Specialty Chemical)社)54.32重量部、多官能アクリレートモノマー(M300、ミウォンスペシャルティケミカル社)23.28重量部、シリカ微粒子(平均粒径:10nm~15nm)が30重量%でメタノールに分散されたシリカゾル(MA-ST、日産化学社)19.4重量部、光開始剤(I-184、BASF社)3重量部を撹拌機で配合して、ハードコーティング形成用組成物を調製した。
【0302】
その後、前記ハードコーティング形成用組成物を、固形分100重量部を基準に、溶媒であるメチルイソブチルケトン100重量部を添加して撹拌した後、実施例および比較例によるポリアミド-イミド系フィルムの第2面(エアー面)にダイコート法で塗布した。次いで、80℃の乾燥室に通過させて約1分間溶媒を乾燥させた後、高圧水銀ランプの紫外線を1000mJ/cmの光量で照射して硬化させ、5μmの厚さで塗膜を形成した。
【0303】
[5-2:付着力評価(クロスハッチ試験)]
付着力評価は、ASTM D3359評価法に基づいて評価した。具体的に、ハードコーティング層が形成された複合フィルムサンプル表面に、クロスハッチカッター(Elcometer社、107-1542)を垂直に立てて一定の力を加えて上から下に引き、前記サンプルを90度回して再度同じ方法により上から下に引いた。この際、ハードコーティング層のみをカットし、実施例および比較例によるポリアミド-イミド系フィルムには損傷が生じない程度の力を加えてカットした。ブラシで複合フィルム表面をきれいにし、クロスカット(cross cutting)した面の上にテープを貼り付けた。テープを素早く剥がした後、ハードコーティング層の脱落有無を確認した。
【0304】
この際、0%の脱落が起こる場合は5B、0%超~5%以下の脱落が起こる場合は4B、5%超~15%以下の脱落が起こる場合は3B、15%超~35%以下の脱落が起こる場合は2B、35%超~65%以下の脱落が起こる場合は1B、65%超の脱落が起きる場合は0Bと評価して、下記表1に示した。
【0305】
(評価例6:耐光性評価)
前記評価例5による方法によりハードコーティング層の付着力評価を行い、下記表1のUV照射前に該当する欄に示し、前記5-1により製造されたポリアミド-イミド系複合フィルムのハードコーティング層が形成された面に、340nm波長、0.63W/m光量、60℃温度で72時間UVを照射した後、前記5-2のクロスハッチ試験によるハードコーティング層の付着力を評価して、下記表1のUV照射後に該当する欄に示した。
【0306】
【表1】
【0307】
表1を参照すると、rSE値(第1面の表面エネルギー/第2面の表面エネルギー)が0.8~1.25に調節された実施例によるフィルムの場合、クロスハッチ試験を行ったとき、ハードコーティング層との付着力が、UV照射前には5B以上、UV照射後は4B以上を示しており、付着力だけでなく耐光性も優れていることを確認した。
【符号の説明】
【0308】
100:ポリアミド-イミド系フィルム
101:第1面
102:第2面
200:機能層
300:ポリアミド-イミド系複合フィルム、カバーウィンドウ
400:表示部
500:接着層
図1
図2
図3
図4