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特許7425134新規の抗マイコバクテリア複素環式アミド
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  • 特許-新規の抗マイコバクテリア複素環式アミド 図1
  • 特許-新規の抗マイコバクテリア複素環式アミド 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】新規の抗マイコバクテリア複素環式アミド
(51)【国際特許分類】
   C07D 235/30 20060101AFI20240123BHJP
   C07D 333/66 20060101ALI20240123BHJP
   C07D 277/82 20060101ALI20240123BHJP
   C07D 263/58 20060101ALI20240123BHJP
   A61K 31/4184 20060101ALI20240123BHJP
   A61K 31/381 20060101ALI20240123BHJP
   A61K 31/423 20060101ALI20240123BHJP
   A61K 31/428 20060101ALI20240123BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
C07D235/30 A
C07D333/66 CSP
C07D277/82
C07D263/58
A61K31/4184
A61K31/381
A61K31/423
A61K31/428
A61P31/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022129667
(22)【出願日】2022-08-16
(62)【分割の表示】P 2020545340の分割
【原出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2022166191
(43)【公開日】2022-11-01
【審査請求日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】62/636,328
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509085962
【氏名又は名称】クレストーン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】デイ,ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】グラハム,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ジャービス,テール
(72)【発明者】
【氏名】マクファディン,エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】オクスナー,ウルス
(72)【発明者】
【氏名】スン,シーチェン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,クリスティナ
【審査官】小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/164482(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/049107(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/026848(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/031681(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N-(5,7-ジクロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド。
【請求項2】
N-(1-ベンゾチオフェン-2-イル)-5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、
N-(5-ブロモ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、
N-(5,7-ジフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、
N-(5,7-ジメチル-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、
N-(4,6-ジフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、
N-(6-ブロモ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、
N-(6-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、
N-[6-(ジフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]-5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、及び
N-(5、7-ジクロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、
からなる群より選択される化合物。
【請求項3】
式(I)
【化1】
ここで、
【化2】
は5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボニルであり、
Xは、C又はNより選択され、
Yは、N、O、又はSより選択され
R1、R2、R3、R4は、H、ハロゲン、低級アルキル(C1-C6)、低級アルキルオキシ(C1-C6)、ハロゲン化低級アルキル(C1-C6)、ハロゲン化低級アルキルオキシ(C1-C6)、及びカルボキシレートからなる群より独立して選択され、
Xが炭素である場合、R5は、H、アルキル、ハロゲン、及びシアノからなる群より選択され、Xが窒素である場合、R5はヌル(null)であり、
Yが窒素である場合、R6は、H、アルキル、及び置換アルキルからなる群より選択され、YがO又はSである場合、R6はヌルである、
の化合物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物又は請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物の医薬的に許容される塩の治療有効量を含んでなる医薬組成物。
【請求項5】
患者を細菌感染症から保護するための方法に用いるための、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物又は請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物の医薬的に許容される塩の、医薬組成物の製造における使用。
【請求項7】
医薬組成物が、患者を細菌感染症から保護するための方法に用いるための医薬組成物である、請求項6に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、非結核性及び結核性の抗酸菌のようなマイコバクテリアによって引き起こされる感染の治療に有用な新規の複素環式アミド化合物に関する。さらに本開示は、マイコバクテリア感染の治療に有用な新規化合物の製造の方法と、その新規化合物を含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] マイコバクテリア(抗酸菌)は、全世界で依然として重要な、しばしば薬剤耐性のヒト病原体であって、結核菌(M. tuberculosis)とこれまでさほど理解されてこな
かった非結核性マイコバクテリア(NTM)が含まれる。米国では、肺のNTM疾患が2010年度の86,000症例から2014年度の推定181,000症例へと着実に増加していて、関連する直接医療費は、17億ドルである(Strollo, S.E., et al. Ann Am Thorac Soc 12, 1458-1464, 2015)。罹病性の増加をもたらす肺の基礎疾患には、気管支拡張症、慢性閉塞性肺疾患、及び嚢胞性線維症が含まれる(Marras, T.K., et al. Clin Chest Med 23, 553-567, 2002; De Groote, M.A., et al. Clin Infect Dis 42, 1756-1763. 2006; Adjemian, J., et al Am J Respir Crit Care Med 185, 881-886, 2012; Skolnik, K., et al. Curr Treat Options Infect Dis 8, 259-274, 2016; Cavalli, Z., et al. J Cyst Fibros 16, 579-584, 2017)。他の危険因子は、IL-12、TNFα、又はIFN-γの経路異常が関与する原発性免疫不全症(Lake, M.A., et al. BMC Med 14, 54, 2016)、HIV感染による免疫能力低下(Vinnard, C., et al. Ann Am Thorac Soc 13, 1951-1955, 2016)、又は免疫抑制性の医薬品(Winthrop, K.L., et al. Ann Rheum Dis 72, 37-42, 2013)である。その疫学には、60歳以上の年齢や女性といった人口統計上の危険因子も反映されている(Prevots, D.R., et al. Am J Respir Crit Care Med 182, 970-976, 2010; Lake, M.A., et al. BMC Med 14, 54, 2016)。結核(TB)は、依然として地球規模で進行中の公衆衛生への脅威であって、全世界で20億人を超す人々がこの感染症を保有している。結核菌(M. tuberculosis, MtB)の桿菌は、長期間にわたって潜伏し続けることが可能であるが、それでも多くの不顕性感染の保有宿主によって、活動性疾患を有する患者集団の増加が刺激され、2016年度では、新たなTB症例が推定1040万人、そして死亡例が170万件に達している(WHO, 2017)。TB症例の大多数は、30の高負荷国で生じている(WHO, 2017)。米国では、2016年度に全部で9,287例の新規TB症例が報告された(Schmit, K. Tuberculosis - United States. Prevention Morbidity and Mortality Weekly Report 66, 289-294, 2017)。1999年~2014年で米国のTB関連死亡例は50%以上減少して、2014年には、1,021件まで低下した。百万人につき年間3.3人のTB関連死亡率に相当する(Vinnard, C., et al. Ann Am Thorac Soc 13, 1951-1955, 2016)。対照的に、NTM関連死亡数は、この期間の間ほとんど変化せず、百万人につき年間2.3人のNTM関連死亡率であった。ある国では、今やNTM感染症の罹患率がTBのそれを上回っている(Low, J.L., et al. Front Microbiol 8, 1539, 2016)。注目すべきことに、致死性NTM感染症の疫学は、変化しつつあって、HIV被感染者の症例が減少する一方で、高齢白人女性の死者数が増加している(Vinnard, C., et al. Ann Am Thorac Soc 13, 1951-1955, 2016)。
【0003】
[0003] マイコバクテリア病原体は、本来的に多くの抗生物質に対して抵抗性であって、全世界でヒトの健康への多大な課題と疾患制御への重大な脅威になっている(Fonseca, J.D., et al. Int J Infect Dis 32, 94-100, 2015)。結核菌(M. tuberculosis)における抗生物質耐性の機序は、かなりよく理解されていて、1)細胞壁の低透過性による固有の耐性、染色体の変異により獲得される耐性、標的改変に基づいた特化した耐性機序、2)標的模倣、又は薬物の修飾、分解、又は流出を介した薬物に対する直接効果、及び3)生残菌をもたらし得る代謝又は生理学上の変化に反応したエピジェネティクスによる表現型の寛容が含まれる(Nguyen, L. (2016). Arch Toxicol 90, 1585-1604.; Gold, B., et al Microbiol Spectr 5, 2017; Jansen, R.S., et al. Trends Pharmacol Sci 38, 393-405, 2017)。継続的な選択圧は、多剤耐性(MDR)、広範囲薬剤耐性(XDR)、そして最終的には完全薬剤耐性(TDR)の結核菌株に見られる、第一選択薬や第二選択薬に対する累積的な耐性をもたらしてきた(Dorman, S.E., et al. Nat Med 13, 295-298, 2007; Udwadia, Z.F. Thorax 67, 286-288, 2012)。XDR結核菌株での感染症は、地球規模のTB制御プログラムを危うくしている。米国では、XDR-TB症例が実際に起きていて、483,000ドル/症例の推定平均コストに関連して、XDR-TBの死亡率は、抗生物質以前の時代のそれを連想させている(CDC, 2009)。
【0004】
[0004] Mtb 感染症を治療するために開発された治療薬剤は、しばしばNTMに対する活性に乏しいが、TB活性化合物のライブラリーをNTMに対してスクリーニングすることにより新たなNTM薬探索プロジェクトを始めることは、依然として魅力的なアプローチであって、実際に高いヒット率をもたらしてきた(Low, J.L., et al. Front Microbiol 8, 1539, 2016)。旧薬の中で、NTM治療レジメンにおけるクロファジミン(clofazimine)の潜在的な役割が示唆されてきたのは、この薬剤が殺菌活性と、いずれもNTM感染症を治療するのによく使用される抗生物質であるアミカシン(amikacin)又はクラリスロマイシンとの相乗作用を示したからである(Ferro, B.E., et al. Antimicrob Agents Chemother, 60, 1097-1105, 2016)。NTM治療レジメンは、菌種によって、特に M. abscessus(Mabs)コンプレックス(M. abscessus, ssp. abscessus, bolletti, 及びmassiliensis), M. chelonae, M. fortuitum, その他からなる迅速発育菌(RGM)と、M. avium, M. intracellurare, 及び M. chimaera(M. avium complex(アビウム・コンプレックス)、又はMAC)によって代表される遅育菌の間で異なるものである。一般に、薬物治療は、長くてコストがかかって、薬物関連性の毒性と不良転帰を伴うことが多い(van Ingen, J., et al. Drug Resist Updat 15, 149-161, 2012; Kasperbauer, S.H., et al. Semin Respir Crit Care Med 29, 569-576, 2015)。NTMへの治療選択肢がきわめて限られていて、新規の抗マイコバクテリア剤の開発への今回の提唱を促している。特に、M. abscessus complex(マイクロバクテリウム・アブセッサス・コンプレックス)は、有効な療法がしばしば不明で、厄介で、高コストである新興のNTM感染症である(Ballarino, G.J., et al Respir Med 103, 1448-1455, 2009; Griffith, 2010; Griffith, D.E. (2007). Curr Opin Infect Dis 20, 198-203.; Leber, A., et al. Eur Respir J 37, 1158-1165, 2011)。Mabs 感染の治療には、典型的には、アミカシン、セフォキシチン、イミペナム、又はチゲサイクリンのような1~2種の非経口薬剤をクラリスロマイシン又はアジスロマイシンのような経口マクロライドと併用することが含まれる(Kasperbauer, S.H., et al. Clin Chest Med 36, 67-78, 2015)。残念ながら、最近の監視調査では、クラリスロマイシン感受性である Mabs 菌株は16%に過ぎず、その24%は耐性であって、59%はerm誘導型マクロライド耐性を発現することが明らかになった(Lee, M., et al. N Engl J Med 367, 1508-1518, 2012)。従って、Mabs 感染症の臨床上及び微生物学上の全体治癒率が41%にすぎないことは、驚きではない(Diel, R., et al. Chest 152, 120-142, 2017)。
【0005】
[0005] NTM感染の獲得が生じるのは、環境要因による(Falkinham, J.O. J Appl Microbiol 107, 356-367, 2009)が、嚢胞性線維症患者の間では、Mabs ssp. massiliense(マシリエンス)のヒトからヒトへの伝染が報告されている(Bryant, J.M., et al. Science 354, 751-757, 2016)。NTMの流行が汚染した機器又は給水配管により病院で起きたこともある(Aitken, M.L., et al Am J Respir Crit Care Med 185, 231-232, 2012; D'Antonio, S., et al. Int J Mycobacteriol 5, 244-247, 2016)。ブラジルでは、消毒に使用されてきた2%グルタルアルデヒドに対して耐性である Mabs ssp. massiliense 菌株で汚染された腹腔鏡によって、皮膚及び軟組織の感染症の大規模な発生が引き起こされた(Lorena, N.S., et al. Rev Col Bras Cir 36, 266-267, 2009; Duarte, R.S., et al. J Clin Microbiol 47, 2149-2155, 2010)。医療手技とは無関係なRGM感染症の発生についても報告があり、レクリエーション水域での Mabs(Dytoc, M.T., et al. Diagn Microbiol Infect Dis 53, 39-45, 2005)、飲料水中の M. gordonae(マイコバクテリウム・ゴルドナエ(Lalande, V., et al. J Hosp Infect 48, 76-79, 2001)又は M. chelonae(マイクロバクテリウム・ケロエ)で汚染されたタトゥーインク(Kennedy, B.S., et al. N Engl J Med 367, 1020-1024, 2012)による感染流行が含まれる。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 今回、置換された複素環式アミド化合物がマイコバクテリア感染症の治療に有用であることを見出した。本発明は、これらの抗マイコバクテリア化合物とその塩、上記化合物を含んでなる医薬組成物、並びに耐性マイコバクテリア感染症が含まれる、マイコバクテリア感染症の治療におけるこれらの使用の方法に関する。
【0007】
[0007] 1つの側面において、本発明は、式(I):
【0008】
【化1】
【0009】
[式中:
Xは、C又はNより選択され、
Yは、N、O、又はSより選択され、
nは、1~6であり、
R1、R2、R3、R4は、H、ハロゲン、低級アルキル(C1-C6)、低級アルキルオキシ(C1-C6)、ハロゲン化低級アルキル(C1-C6)、ハロゲン化低級アルキルオキシ(C1-C6)、及びカルボキシレートからなる群より独立して選択され、
Xが炭素である場合、R5は、H、アルキル、ハロゲン、及びシアノからなる群より選択され、Xが窒素である場合、R5はヌル(null)であり、
Yが窒素である場合、R6は、H、アルキル、及び置換アルキルからなる群より選択され、YがO又はSである場合、R6はヌルであり、
R7は、H、低級アルキル(C1-C6)、ハロゲン化低級アルキル(C1-C6)からなる群より選択され、n<3である場合、R7は、Hであり得ず、
それぞれのR8は、H、低級アルキル(C1-C6)、ハロゲン化低級アルキル(C1-C6)からなる群より独立して選択され、mは、1~6であり、
R7とR8は、それらがアルキル又はハロゲン化アルキルである場合、一緒に連結して環を形成することが可能である]の化合物を提供する。
【0010】
[0008] 上記の特徴と他の様々な特徴、並びに本発明を特徴付ける利点は、以下の詳細な記載の読解と付帯の特許請求項の検討より明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、[14C]酢酸塩での代謝標識を示す。A.総脂質、B.細胞壁に結合したミコール酸。
図2図2は、Mabs肺感染症のモデルマウスに気管内投与したCRS400226の効能(A)と忍容性(B)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0009] 本発明は、抗マイコバクテリア化合物とその塩、これらの化合物を含んでなる医薬組成物、及びそれらの使用の方法に関する。本発明の化合物は、抗生物質耐性の細菌感染症が含まれる細菌感染症からの患者の保護に有用である。
【0013】
[0010] 特に、本発明の抗マイコバクテリア化合物には、複素環式アミド化合物が含まれる。
[0011] 1つの態様において、本発明は、式(I):
【0014】
【化2】
【0015】
の化合物を提供する。
1つの態様において、
Xは、C又はNより選択され、
Yは、N、O、又はSより選択され、
nは、1~6であり、
R1、R2、R3、R4は、H、ハロゲン、低級アルキル(C1-C6)、低級アルキルオキシ(C1-C6)、ハロゲン化低級アルキル(C1-C6)、ハロゲン化低級アルキルオキシ(C1-C6)、及びカルボキシレートからなる群より独立して選択され、
Xが炭素である場合、R5は、H、アルキル、ハロゲン、及びシアノからなる群より選択され、Xが窒素である場合、R5はヌル(null)であり、
Yが窒素である場合、R6は、H、アルキル、及び置換アルキルからなる群より選択され、YがO又はSである場合、R6はヌルであり、
R7は、H、低級アルキル(C1-C6)、ハロゲン化低級アルキル(C1-C6)からなる群より選択され、n<3である場合、R7は、Hであり得ず、
それぞれのR8は、H、低級アルキル(C1-C6)、ハロゲン化低級アルキル(C1-C6)からなる群より独立して選択され、mは、1~6であり、
R7とR8は、それらがアルキル又はハロゲン化アルキルである場合、一緒に連結して環を形成することが可能である、但し、
【0016】
【化3】
【0017】
には、4-プロピルシクロヘキサン-1-カルボニル、1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-ウンデカフルオロシクロヘキサン-1-カルボニル、4-メチルシクロヘキサン-1-カルボニル、4-ブチルシクロヘキサン-1-カルボニル、シクロヘキサンカルボニル、シクロペンタンカルボニル、シクロブタンカルボニル、シクロヘプタンカルボニル、3-(トリフルオロメチル)シクロヘキサン-1-カルボニル、4,4-ジフルオロシクロヘキサン-1-カルボニル、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボニル、1-メチルシクロペンタン-1-カルボニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボニル、アダマンタン-1-カルボニル、3-ブロモアダマンタン-1-カルボニル、3-クロロアダマンタン-1-カルボニル、3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボニル、3-メチルアダマンタン-1-カルボニル、5,5,6-トリフルオロ-6-(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボニル、アダマンタン-2-カルボニルが含まれない。
【0018】
【化4】
【0019】
に適した一致物(identities)には、限定されないが:
5-トリフルオロメチル-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン;6-イソプロピル-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン;6-ブチル-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、6-ジメチルアミノ-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、[1,3]ジオキソロ[4’,5’:4,5]ベンゾ[1,2-d]チアゾール-6-アミン、6-エトキシベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、6-イソプロポキシベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、5,7-ジフルオロベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、5,7-ジクロロベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、5,7-ジメチルベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、6-(メチルチオ)ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、6-(ジフルオロメトキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、6-(トリフルオロメトキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、6-(tert-ブチル)ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、7-フルオロベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、6-ブロモ-4-フルオロ-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、5-ブロモ-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、5-クロロ-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、2-アミノベンゾ[d]チアゾール-6-カルボン酸エチル、6-ブロモ-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、5-フルオロ-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、4-フルオロ-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、5,6-ジフルオロ-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、4,5,6-トリフルオロ-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、4,6-ジクロロ-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、6-メチル-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、6-フルオロ-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、4-フルオロ-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、6-クロロ-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、6-メトキシ-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、6-トリフルオロメチル-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、4,6-ジフルオロ-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、4-トリフルオロメチル-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミン、6-トリフルオロメチル-ベンゾ[d]チアゾール-2-アミンが含まれる。
【0020】
【化5】
【0021】
に適した一致物には、限定されないが:
(1R,2R,4R)-2-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-カルボニル、(1R,2S,4R)-2-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-カルボニル、デカヒドロナフタレン-2-カルボニル、(1R,3S)-1,2,2,3-テトラメチルシクロペンタン-1-カルボニル、3,3-ジフルオロ-1-メチルシクロペンタン-1-カルボニル、3,3-ジメチルシクロペンタン-1-カルボニル、1-エチルシクロペンタン-1-カルボニル、3-メチルシクロペンタン-1-カルボニル、シクロペンタンカルボニル、1-メチルシクロヘプタン-1-カルボニル、1,2-ジメチルシクロペンタン-1-カルボニル、2-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボニル、1,3-ジメチルシクロペンタン-1-カルボニル、1-イソブチルシクロペンタン-1-カルボニル、ピバリル、2-メチル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボニル、5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボニル、3-メチルビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボニル、1-エチルシクロヘキサン-1-カルボニル、1-メチルシクロヘキサン-1-カルボニル、ビシクロ[3.3.1]ノナン-3-カルボニル、シクロヘキサンカルボニル、シクロオクタンカルボニル、3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボニルが含まれる。
【0022】
[0012] 本明細書において使用される場合、「アルキル」という用語と「アルコキシ」のような類似の用語には、すべての直鎖、分岐鎖、及び環式の異性体が含まれる。アルキルは、元のアルカンより1、2、又は3個の水素原子の除去によって誘導される、指定数の炭素原子(即ち、C1-C6は、1~6個の炭素原子を意味する)を有する飽和した分岐鎖、直鎖、又は環式の一価炭化水素ラジカルを意味する。その代表例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロブチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、メチレン、及び
【0023】
【化6】
【0024】
が含まれる。フルオロ置換されてもよいアルキルは、そのアルキル鎖上にHの代わりに1個以上のFの置換基を有し得る。フルオロ置換されてもよいアルキルの代表例は、トリフルオロメチルである。
【0025】
[0013] 本明細書において使用される場合、「アルケニル」及び「アルキニル」という用語には、すべての直鎖、分岐鎖、及び環式の異性体が含まれる。その代表例には、ビニル、エチニル、及び1-プロピニルが含まれる。フルオロ置換されてもよいアルケニルは、そのアルケニル鎖上にHの代わりに1個以上のFの置換基を有し得る。フルオロ置換されてもよいアルケニルの代表例は、フルオロビニルである。
【0026】
[0014] アルキル基及びアルケニル基に好ましい置換基には、例えば、そして他に規定されなければ、ハロゲン、シアノ、アジド、ニトロ、カルボキシ、(C1-6)アルコキシカルボニル、カルバモイル、モノ若しくはジ(C1-6)アルキルカルバモイル、スルホ、スルファモイル、モノ若しくはジ(C1-6)アルキルスルファモイル、アミノ、モノ若しくはジ(C1-6)アルキルアミノ、アシルアミノ(例、ピリジルオキシ)、ウレイド、(C1-6)アルコキシカルボニルアミノ、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、(C1-6)アルコキシ(例、エトキシ、イソプロポキシ)、アシルオキシ(例、フェニルオキシ、ベ
ンジルオキシ、フェネトキシ)、オキソ、アシル、2-チエノイル、(C1-6)アルキルチオ、(C1-6)アルキルスルフィニル、(C1-6)アルキルスルホニル、ヒドロキシイミノ、(C1-6)アルコキシイミノ、ヒドラジノ、ヒドラゾノ、ベンゾヒドロキシモイル、グアニジノ、アミジノ、及びイミノアルキルアミノが含まれる。また好ましいのは、4-ホルミル-ピペラジン-1-イル、4-メチルピペラジン-1-イル-、4-エチルピペラジン-1-イル-、4-フェニルピペラジン-1-イル-、4-ピリミジン-2-イル-ピペラジン-1-イル、ヘキサヒドロキシ-ピロロ[1,2-a]イミダゾール-1-イル、モルホリン-4-イル、3-(2-メトキシ-エチル)-メチル-アミノ、及び3-(2-メトキシ-エチル)-メチル-アミノである。他の適正な置換基には、アルキル-S-基(ここでアルキル基は、先に記載した通りである)を意味する、アルキルチオが含まれる。好適なアルキルチオ基の非限定的な例には、メチルチオとエチルチオが含まれる。親部分に対する結合は、そのイオウを介する。置換基には、アルキル-O-CO-基を意味するアルコキシカルボニルが含まれる。好適なアルコキシカルボニル基の非限定的な例には、メトキシカルボニルとエトキシカルボニルが含まれる。親部分に対する結合は、そのカルボニルを介する。別の好適な置換基は、アルキル-SO基を意味するアルキルスルホニルである。好ましいアルキルスルホニル基は、その中のアルキル基が低級アルキルであるものである。親部分に対する結合は、そのスルホニルを介する。
【0027】
[0015] 本明細書において使用される場合、「アリール」という用語は、各環が約6~約14個の炭素原子、好ましくは約6~約10個の炭素原子を含んでなる、芳香族の単環式又は多環式の環系を意味する。アリール基は、1個以上の「環系置換基」で置換されていてもよくて、同じであっても異なってもよくて本明細書に定義される通りである、5個以下、好ましくは3個以下の置換基で置換されていてもよい。好適なアリール基の非限定的な例には、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、インダニル、インデニル、等が含まれる。アリール部分についてはよく知られていて、例えば、「ハーレーの縮約化学辞典(Hawley's Condensed Chemical Dictionary)」(第13版), R. J. Lewis(監修)、J.ウィリー・アンド・サンズ社、ニューヨーク(1997) に記載されている。アリール基は、置換されても未置換でもよい。
【0028】
[0016] 置換される場合、アリール基は、3個以下の置換基を有し得る。アリール基に好ましい置換基(「環系置換基」)には、例えば、そして他に規定されなければ、ハロゲン、シアノ、(C1-6)アルキル、モノ~ペルフルオロ(C1-3)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、(C2-6)アルケニル、(C1-6)アルコキシ、(C2-6)アルケノキシ、アリール(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルキル、ヒドロキシ、アミノ、モノ若しくはジ(C1-6)アルキルアミノ、アシルアミノ、ニトロ、カルボキシ、(C1-6)アルコキシカルボニル、(C1-6)アルケニルオキシカルボニル、(C1-6)アルコキシカルボニル(C1-6)アルキル、カルボキシ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルキルカルボニルオキシ、カルボキシ(C1-6)アルキルオキシ、(C1-6)アルコキシカルボニル(C1-6)アルコキシ、(C1-6)アルキルチオ、(C1-6)アルキルスルフィニル、(C1-6)アルキルスルホニル、スルファモイル、モノ及びジ(C1-6)-アルキルスルファモイル、カルバモイル、モノ及びジ(C1-6)アルキルカルバモイル、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルが含まれる。他の好ましいアリール基には、アルキル置換されたアリール基を意味するアリールアルキルが含まれる。他の好ましいアリール基には、アリール-O-基(ここでアリール基は、先に記載された通りである)を意味するアリールオキシが含まれる。好適なアリールオキシ基の非限定的な例には、フェノキシとナフトキシが含まれる。親部分に対する結合は、そのエーテル酸素を介する。アリールアルキルオキシは、アリールアルキル-O-基(ここでアリールアルキル基は、先に記載された通りである)を意味する。好適なアリールアルキルオキシ基の非限定的な例には、ベンジルオキシとフェネチルオキシが含まれる。親部分に対する結合は、そのエーテル酸素を介する。別の好ましいアリールは、アリール-S-基(ここでアリール基は、先に記載された通りである)を意味するアリールチオである。好適なアリールチオ基の非限定的な例には、フェニルチオとナフチルチオが含まれる。親部分に対する結合は、そのイオウを介する。他の好ましいアリールには、アリールアルキル-S-基(ここでアリールアルキル基は、先に記載された通りである)を意味するアリールアルキルチオが含まれる。好適なアリールアルキルチオ基の非限定的な例は、ベンジルチオである。親部分に対する結合は、そのイオウを介する。他の好ましいアリールは、アリール-O-C(O)-基を意味するアリールオキシカルボニルである。好適なアリールオキシカルボニル基の非限定的な例には、フェノキシカルボニルとナフトキシカルボニルが含まれる。親部分に対する結合は、そのカルボニルを介する。別のそのような基は、アリールアルキル-O-C(O)-基を意味するアリールアルコキシカルボニルである。好適なアリールアルコキシカルボニル基の非限定的な例は、ベンジルオキシカルボニルである。親部分に対する結合は、そのカルボニルを介する。なお別のそのような基は、アリール-SO-基を意味するアリールスルホニルである。親部分に対する結合は、そのスルホニルを介する。
【0029】
[0017] 本明細書において使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、単環式及び多環式の芳香族炭化水素を意味し、イオウ、酸素、又は窒素単独、又はその組合せのような、少なくとも1個のヘテロ原子の環員が含まれる。好ましくは、ヘテロアリール環は、4~7個、そして好ましくは5~6個の環原子を含む。好適なヘテロアリールの非限定的な例には、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、イミダゾ[2,1-b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4-トリアジニル、ベンゾチアゾリル、トリアジニル、フリル、キノリル、イソキノリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドリル、ピリル、オキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンズチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、2,3-ジヒドロベンゾチエニル、2,3-ジヒドロベンゾチエニル-S-オキシド、2,3-ジヒドロベンゾチエニル-S-ジオキシド、ベンゾオキサゾリン-2-オン-イル、インドリニル、ベンゾジオキソラニル、ベンゾジオキサン、等が含まれる。ヘテロアリール基は、置換されても未置換でもよい。縮合ヘテロアリール環系には、炭素環式環が含まれ得て、1個の複素環式環が含まれることだけが求められる。
【0030】
[0018] 本明細書において使用される場合、「ヘテロシクリル」という用語は、約3~約10個の環原子、好ましくは約5~約10個の環原子を含んでなる、芳香族又は非芳香族の飽和単環式又は多環式(好ましくは、二環式)環系を意味し、ここでこの環系中の1個以上の原子は、炭素以外の元素、例えば、窒素、酸素、又はイオウの単独、又は組合せである。好適には、複素環式環は、4~7個、好ましくは5~6個の環原子を含む。縮合複素環式環系には、炭素環式環が含まれ得て、1個の複素環式環が含まれることだけが求められる。この環系には、隣接した酸素及び/又はイオウ原子が存在しない。好ましいヘテロシクリルは、約5~約6個の環原子を含有する。ヘテロシクリル基名(root name)の前にあるアザ、オキサ、又はチアという接頭辞は、それぞれ少なくとも1個の窒素、酸素、又はイオウ原子が環原子として存在していることを意味する。ヘテロシクリル環中のどの-NHも、例えば、-N(Boc)、-N(CBz)、-N(Tos)基、等のように保護化されて存在してよく、そのような保護化部分も本発明の一部とみなされる。ヘテ
ロシクリルは、同じであっても異なってもよくて本明細書に定義される通りである、1個以上の「環系置換基」によって置換されていてもよい。ヘテロシクリルの窒素又はイオウ原子は、対応するN-オキシド、S-オキシド、又はS,S-ジオキシドへ酸化されていてもよい。好適な単環式ヘテロシクリル環の非限定的な例には、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,4-ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピリミジル、オキサゾリジニル、等が含まれる。
【0031】
[0019] 置換される場合、ヘテロアリール又はヘテロシクリル基は、3個以下の置換基を有し得る。好ましいそのような置換基には、アリール基並びにオキソについて先に言及したものが含まれる。
【0032】
[0020] 本明細書において使用される場合、「ハロゲン」及び「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを意味する。
[0021] 本明細書において使用される場合、「アシル」という用語は、H-C(O)-、アルキル-C(O)-、又はシクロアルキル-C(O)-基を意味し、ここでの様々な基は、先に記載した通りである。親部分に対する結合は、そのカルボニルを介する。好ましいアシルは、低級アルキルを含有する。好適なアシル基の非限定的な例には、ホルミル、アセチル、及びプロパノイルが含まれる。
【0033】
[0022] 本明細書において使用される場合、「置換(された)」という用語は、指定原子上の1個以上の水素が指定群からの選択物に置き換わっていることを意味するが、但し、指定原子の既存状況下での通常原子価を超えるものではなくて、その置換が安定した化合物をもたらすことが条件である。置換基及び/又は変数の組合せが許容されるのは、そのような組合せが安定した化合物をもたらす場合だけである。「安定した化合物」又は「安定した構造」とは、反応混合物からの有用な純度までの単離と有効な治療薬剤への製剤化に耐え抜くほど十分に頑丈であることを意味する。「置換されてもよい(optionally substituted)」という用語は、特定の基、ラジカル、又は部分での有っても無くてもよい置換(optional substitution)を意味する。
【0034】
[0023] 本明細書の本文、スキーム、実施例、及び表において、原子価が不飽和であるどのヘテロ原子にも、その原子価を飽和にする水素原子があると仮定されている。化合物中の官能基が「保護されている」と呼ばれる場合、このことは、該化合物がある反応に処される場合に、保護化部位での望まれない副反応を受けないように該基が修飾された形態にあることを意味する。好適な保護基については当業者に認識されているだけでなく、例えば、T. W. Greene et al,「有機合成の保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」(1991), ウィリー(ニューヨーク)のような標準教科書が参考になろう。
【0035】
[0024] どの変数(例、アリール、複素環、R、等)も、構成要素又は式(I)において1回より多く出現する場合、それぞれの出現に関してのその定義は、他のあらゆる出現でのその定義とは無関係である。
【0036】
[0025] 本明細書において使用される場合、「組成物」という用語には、特定成分を特定量で含んでなる製品、並びにその特定成分の特定量での組合せより直接的又は間接的に生じるあらゆる製品が含まれると企図される。
【0037】
[0026] 本発明による化合物は、好適には、実質的純粋な形態で、例えば少なくとも50%純粋な、好適には少なくとも60%純粋な、有利には少なくとも75%純粋な、好ましくは、少なくとも85%純粋な、より好ましくは少なくとも95%純粋な、特に少なくとも98%純粋な(いずれの百分率も、重量/重量として計算される)形態で提供される。本発明による化合物の不純な、又はさほど純粋でない形態は、例えば、医薬使用に適した、同じ化合物、又は関連化合物(例えば、対応する誘導体)のより純粋な形態の製造に使用し得る。
【0038】
[0027] 本発明のある化合物は、1個以上のキラル中心を含み得るので、化合物は、ジアステレオ異性体とエナンチオマーが含まれる立体異性体として存在する場合があると理解されよう。本発明には、すべてのそのような立体異性体と、ラセミ体が含まれるそれらの混合物が網羅される。
【0039】
従って、本開示は、以下の化合物を提供する:
[0028] N-(1-ベンゾチオフェン-2-イル)-5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、N-(5、7-ジクロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、N-(5-ブロモ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、N-(5,7-ジフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、5-メチル-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]ビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、1-メチル-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロヘプタン-1-カルボキサミド、N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]アダマンタン-2-カルボキサミド、N-(5,7-ジメチル-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、5-メチル-N-(4,5,6-トリフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)ビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、N-(4,6-ジフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、N-(6-ブロモ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、N-(6-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、N-[6-(ジフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]-5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、(3R,5S,7s)-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]アダマンタン-1-カルボキサミド、N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]ビシクロ[3.3.1]ノナン-3-カルボキサミド、N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]-デカヒドロナフタレン-2-カルボキサミド、(1R,3S)-1,2,2,3-テトラメチル-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロペンタン-1-カルボキサミド、N-(5,7-ジクロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-1-メチルシクロヘプタン-1-カルボキサミド、N-(1-ベンゾチオフェン-2-イル)アダマンタン-2-カルボキサミド、N-(5,7-ジクロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アダマンタン-2-カルボキサミド、5-メチル-N-[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]ビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、1,3-ジメチル-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロペンタン-1-カルボキサミド、N-(5,7-ジクロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(5-ブロモ-1-ベンゾチオフェン-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、3,3,5-トリメチル-N-[5-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(1-ベンゾチオフェン-2-イル)アダマンタン-1-カルボキサミド、1-エチル-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロヘキサン-1-カルボキサミド、1-メチル-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]トリシクロ[3.3.1.0]ノナン-3-カルボキサミド、(3R,5S,7s)-N-(4,5,6-トリフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アダマンタン-1-カルボキサミド、N-(5,7-ジフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(5,7-ジフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(4,6-ジフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)ビシクロ[3.3.1]ノナン-3-カルボキサミド、N-(5,7-ジクロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(5,7-ジクロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロオクタンカルボキサミド、N-(5-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(6-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、(1R,3R,7r)-3,5-ジメチル-N-[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]アダマンタン-1-カルボキサミド、N-(1-ベンゾチオフェン-2-イル)ビシクロ[3.3.1]ノナン-3-カルボキサミド、N-(4,5,6-トリフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)ビシクロ[3.3.1]ノナン-3-カルボキサミド、N-(1-ベンゾチオフェン-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(7-フルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(5,6-ジフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、3,5-ジメチル-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]アダマンタン-1-カルボキサミド、3,3,5-トリメチル-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(1-ベンゾチオフェン-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(5-ブロモ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(5,7-ジクロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-1-メチルシクロペンタン-1-カルボキサミド、(1R,2R,4R)-2-メチル-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-カルボキサミド、3,3-ジメチル-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロペンタン-1-カルボキサミド、1-メチル-N-[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロヘプタン-1-カルボキサミド、N-(5-ブロモ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-1-メチルシクロヘプタン-1-カルボキサミド、N-(1-ベンゾチオフェン-2-イル)-1-メチルシクロヘプタン-1-カルボキサミド、N-(6-ブロモ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アダマンタン-2-カルボキサミド、N-(6-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アダマンタン-2-カルボキサミド、N-(5,7-ジフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アダマンタン-2-カルボキサミド、N-(4,5,6-トリフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アダマンタン-2-カルボキサミド、N-[6-(ジフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]アダマンタン-2-カルボキサミド、1,2-ジメチル-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロペンタン-1-カルボキサミド、3,5-ジメチル-N-[5-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]アダマンタン-1-カルボキサミド、N-(6-ブロモ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)ビシクロ[3.3.1]ノナン-3-カルボキサミド、N-[6-(ジフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]ビシクロ[3.3.1]ノナン-3-カルボキサミド、N-(6-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)ビシクロ[3.3.1]ノナン-3-カルボキサミド、N-(5,7-ジメチル-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(5,7-ジクロロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、3,5-ジメチル-N-{6-[(トリフルオロメチル)スルファニル]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル}アダマンタン-1-カルボキサミド、N-[6-(ジフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(6-ブロモ-4-フルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(5-フルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(4,6-ジフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(7-フルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(6-ブロモ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(6-フルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(6-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(6-ブロモ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、3,3,5-トリメチル-N-(4,5,6-トリフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド、3,5-ジメチル-N-[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]アダマンタン-1-カルボキサミド、3,3,5-トリメチル-N-[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(4,6-ジフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、3,3-ジフルオロ-1-メチル-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロペンタン-1-カルボキサミド、N-(4,6-ジフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アダマンタン-2-カルボキサミド、N-(5,7-ジメチル-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アダマンタン-2-カルボキサミド、1-メチル-N-[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロヘキサン-1-カルボキサミド、1-(2-メチルプロピル)-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロペンタン-1-カルボキサミド、N-(4,6-ジフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アダマンタン-1-カルボキサミド、N-[6-(ジフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]アダマンタン-1-カルボキサミド、
N-(5,6-ジフルオロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(1-ベンゾチオフェン-2-イル)シクロオクタンカルボキサミド、N-(5,7-ジメチル-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-[6-(ジフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(6-ブロモ-4-フルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(5-フルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(4-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(4,6-ジクロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、3,5-ジメチル-N-(6-メチル-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アダマンタン-1-カルボキサミド、3,5-ジメチル-N-[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロヘキサン-1-カルボキサミド、2-(3,5-ジメチルアダマンタン-1-アミド)-1,3-ベンゾチアゾール-6-カルボン酸エチル、1-エチル-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロペンタン-1-カルボキサミド、3-メチル-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロペンタン-1-カルボキサミド、1-メチル-N-(4,5,6-トリフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)シクロヘプタン-1-カルボキサミド、2-メチル-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキサミド、N-(1-ベンゾチオフェン-2-イル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(6-ブロモ-5,7-ジメチル-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(6-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)アダマンタン-1-カルボキサミド、N-[6-(ジフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロオクタンカルボキサミド、N-(4,6-ジフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)シクロオクタンカルボキサミド、N-(6-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)シクロオクタンカルボキサミド、N-(6-エトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イ)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(5,6-ジクロロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(5,6-ジクロロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(5-クロロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(6-ブロモ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(4,5,6-トリフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)シクロオクタンカルボキサミド、N-(6-クロロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(6-クロロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(5,6-ジフルオロ-1H-1,3-ベンゾジアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(6-フルオロ-1H-1,3-ベンゾジアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(4-フルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(4-フルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(6-フルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、3-(トリフルオロメチル)-N-[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロヘキサン-1-カルボキサミド、3-メチル-N-[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロヘキサン-1-カルボキサミド、1-メチル-N-[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロペンタン-1-カルボキサミド、(1R、2S、4R)-2-メチル-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-カルボキサミド、N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロペンタンカルボキサミド、N-(1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)アダマンタン-2-カルボキサミド、5-メチル-N-[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル]ビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、N-(5,7-ジフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(6-ブロモ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(6-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、1-メチル-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロペンタン-1-カルボキサミド、3-メチル-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]ビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミド、N-(6-エトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)ビシクロ[3.3.1]ノナン-3-カルボキサミド、N-(4,6-ジフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)シクロヘプタンカルボキサミド、N-(5-クロロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(4,5,6-トリフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)シクロヘプタンカルボキサミド、N-(5,7-ジクロロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(5,7-ジメチル-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(4-フルオロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(6-メトキシ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(1H-1,3-ベンゾジアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]スピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド、1-(3-メチルシクロヘキシル)-3-[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]尿素、3,5-ジメチル-N-[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル]アダマンタン-1-カルボキサミド、N-(5,6-ジクロロ-1H-1,3-ベンゾジアゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、3-メチル-N-[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロペンタン-1-カルボキサミド、N-(5-ブロモ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-1-メチルシクロペンタン-1-カルボキサミド、1-メチル-N-(4,5,6-トリフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)アダマンタン-1-カルボキサミド、N-[6-(ジフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロヘキサンカルボキサミド、N-(4,6-ジフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)シクロヘキサンカルボキサミド、N-(6-ブロモ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)ビシクロ[3.3.1]ノナン-3-カルボキサミド、N-(1-ベンゾチオフェン-2-イル)シクロヘプタンカルボキサミド、N-(5,7-ジメチル-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(6-メトキシ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、3,3,5-トリメチル-N-[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル]シクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(5,6-ジクロロ-1H-1,3-ベンゾジアゾール-2-イル)-3,5-ジメチルアダマンタン-1-カルボキサミド、N-(1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-2-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(4-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(6-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(4,6-ジフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(6-フルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(4,6-ジフルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-[6-(ジフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]-1-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、2、2-ジメチル-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]プロパンアミド、N-(7-ヒドロキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(5,6-ジフルオロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(1-ベンゾチオフェン-2-イル)シクロヘキサンカルボキサミド、3,3,5-トリメチル-N-{6-[(トリフルオロメチル)スルファニル]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル}シクロヘキサン-1-カルボキサミド、
N-(6-フルオロ-1H-1,3-ベンゾジアゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(4-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、3-メチル-N-(4-メチル-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)シクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3-メチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(4-メチル-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキサミド、N-(5,7-ジクロロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-5-メチルビシクロ[3.3.1]ノナン-1-カルボキサミド、2-メチル-N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボキサミド、N-[6-(ジメチルアミノ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)シクロオクタンカルボキサミド、N-[6-(トリフルオロメトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]シクロヘキサンカルボキサミド、N-(4,6-ジフルオロ-1,3-ベンゾオキサゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(5-ブロモ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-(6-クロロ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)-3-メトキシシクロヘキサン-1-カルボキサミド、N-[6-(トリフルオロメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]スピロ[2.5]オクタン-6-カルボキサミド。
【0040】
[0029] 本発明では、本発明の化合物のプロドラッグと溶媒和物も想定される。「プロドラッグ」という用語は、本明細書において利用されるように、被験者への投与後すぐに代謝的又は化学的なプロセスによって化学変換を受けて式(I)の化合物又はその塩及び/又は溶媒和物を生じる医薬前駆体である化合物を意味する。そのいずれも参照により本明細書に組み込まれる、T. Higuchi and V. Stella,「新規送達系としてのプロドラッグ
(Pro-drugs as Novel Delivery Systems)」(1987) A.C.S. シンポジウム・シリーズ14
巻と「ドラッグデザインにおける生可逆性担体(Bioreversible Carriers in Drug Design)(1987) Edward B. Roche(監修), 米国製薬協会及びペルガモン・プレス(American Pharmaceutical Association and Pergamon Press)には、プロドラッグについての考察が提供されている。
【0041】
[0030] 本明細書において使用される場合、「溶媒和物」という用語は、1以上の溶媒分子と本発明の化合物の物理的会合物を意味する。この物理的会合には、水素結合が含まれる、様々な度合いのイオン結合及び共有結合が伴う。ある事例において、溶媒和物は、例えば、結晶性固形物の結晶格子に1個以上の溶媒分子が取り込まれる場合、単離が可能であろう。「溶媒和物」には、溶液相の溶媒和物と単離可能な溶媒和物がともに含まれる。好適な溶媒和物の非限定的な例には、エタノール和物、メタノール和物、等が含まれる。
【0042】
[0031] 本明細書において使用される場合、「水和物」という用語は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
[0032] 本明細書において使用されるように、「有効量」又は「治療有効量」という句は、細菌の複製を阻害して、それにより所望される治療、改善、阻害、又は予防の効果をもたらすのに有効な本発明の化合物又は組成物の量について記載することを意味する。
【0043】
[0033] 本明細書において式(I)と定義されるような式(I)の化合物は塩を生成することが可能であって、それもまた本発明の範囲内にある。本明細書での式(I)の化合物への言及には、他に断らなければ、その塩への言及が含まれると理解される。「塩(複数)」という用語は、本明細書において利用されるように、無機酸及び/又は有機酸と生成される酸性塩、並びに無機塩基及び/又は有機塩基と生成される塩基性塩を意味する。加えて、式(I)の化合物が塩基性部分(限定されないが、ピリジン又はイミダゾールのような)と酸性部分(限定されないが、カルボン酸のような)をともに含有する場合、両性イオン(「分子内塩」)が生成される場合があって、本明細書において使用されるような「塩(複数)」という用語内に含まれる。医薬的に許容される(即ち、無害な、生理学的に許容される)塩が好ましが、他の塩も有用である。式(I)の化合物の塩は、例えば、式(I)の化合物をある量(当量のような)の酸又は塩基と、その塩が沈殿するような媒体において、又は水性媒体において反応させて、凍結乾燥を続けることによって生成され得る。
【0044】
[0034] 例示の酸付加塩には、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシラートとしても知られている)、等が含まれる。加えて、医薬的に有用な塩の塩基性の医薬化合物からの生成に適していると概してみなされている酸についても、例えば、S. Berge et al, Journal of Pharmaceutical Sciences (1977) 66(1) 1 19; P. Gould, International J. of Pharmaceutics (1986) 33 201 217; Anderson et al,「医化学の実践(The Practice of Medicinal Chemistry)」(1996), アカデミックプレス、ニューヨーク;及び「オレンジブック(The Orange Book)」、米国食品医薬品局、ワシントン(D.C.)又はそのウェブサイトに考察されている。これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
[0035] 例示の塩基性塩には、アンモニウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩、及びカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩とマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン、t-ブチルアミンのような有機塩基(例えば、有機アミン)との塩、及びアルギニン、リジン、等のようなアミノ酸との塩が含まれる。塩基性の窒素含有基は、低級アルキルハロゲン化物(例、メチル、エチル、及びブチルの塩化物、臭化物、及びヨウ化物)、硫酸ジアルキル(例、硫酸ジメチル、ジエチル、及びジブチル)、長鎖ハロゲン化物(例、デシル、ラウリル、及びステアリルの塩化物、臭化物、及びヨウ化物)、ハロゲン化アリールアルキル(例、臭化ベンジル及びフェネチル)のような薬剤で四級化され得る。
【0046】
[0036] 本発明の目的では、すべてのそのような酸塩及び塩基塩が本発明の範囲内の医薬的に許容される塩であると企図されて、すべての酸塩及び塩基塩が対応する化合物の遊離型と同等であるとみなされる。
【0047】
[0037] 式(I)の化合物とその塩、溶媒和物、及びプロドラッグは、それらの互変異性型(例えば、アミド又はイミノエーテルのような)で存在し得る。すべてのそのような
互変異性型が本明細書では本発明の一部としてみなされる。本発明の範囲内には、様々な置換基上の不斉炭素により存在し得るもののような、本発明の化合物(該化合物の塩、溶媒和物、及びプロドラッグ、並びに該プロドラッグの塩及び溶媒和物が含まれる)のすべての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体、等)が想定されて、エナンチオマー型(これは、不斉炭素の非存在時にも存在する場合がある)、回転異性体型、アトロプ異性体、及びジアステレオ異性型が含まれ、位置異性体(例えば、4-ピリジルと3-ピリジルのような)も同様である。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含まなくても、例えば、ラセミ体として、又は他のすべての異性体と、又は他の選択された立体異性体と混合されてもよい。本発明の化合物のキラル中心は、「IUPAC 1974 推奨事項」によって定義されるようなS又はR配置を有する可能性がある。「塩」、「溶媒和物」、「プロドラッグ」、等という用語の使用は、本発明の化合物のエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ体、又はプロドラックの塩、溶媒和物、及びプロドラッグにも等しく適用されると企図される。
【0048】
[0038] 本発明の別の側面は、患者をマイコバクテリア感染症から保護する方法である。患者は、動物、好ましくは哺乳動物、なおより好ましくは、細菌感染症に関連した疾患又は状態を有するか又はそれを受け易いヒトであり得る。保護することは、予防的(即ち、本発明の化合物を細菌感染症の診断の非存在時に投与すること)、又は療法的(即ち、本発明の化合物を細菌感染症の診断時に投与すること)であり得る。保護は、少なくとも1つの式(I)の化合物、又は前記化合物の医薬的に許容される塩又は溶媒和物の治療有効量を該患者へ投与することによって達成され得る。好ましい投与量は、式(I)の化合物、又は前記化合物の医薬的に許容される塩又は溶媒和物の約0.001~500mg/kg(体重)/日である。特に好ましい投与量は、式(I)の化合物、又は前記化合物の医薬的に許容される塩又は溶媒和物の約0.01~25mg/kg(体重)/日である。
【0049】
[0039] 当該技術分野では、患者において細菌感染症を診断する方法が知られている。治療するのに好ましい細菌感染症には、本発明の化合物が抗マイコバクテリア効果を及ぼす細菌型又は種によって引き起こされる細菌感染症が含まれる。特に好ましい細菌型又は種には、グラム陽性菌とグラム陰性菌が含まれて、最も好ましい細菌型には、グラム陽性菌が含まれる。
【0050】
[0040] 動物を細菌感染症から保護するために、本発明の治療用又は予防用の組成物を細菌感染症が最小化される、及び/又は抑制されるような有効なやり方で該動物へ投与する。好ましくは、細菌感染症、及び/又は感染菌の細菌負荷は、少なくとも約50%、少なくとも約70%、そしてより好ましくは、少なくとも約90%、95%、又は97%抑制される。
【0051】
[0041] 治療するのに適した患者には、ヒト;ニワトリ、ダチョウ、ウズラ、七面鳥のような鳥類;伴侶動物(イヌ、ネコ、及び齧歯動物が含まれる)、及び、食肉及び/又は毛皮、又は他の製品用の動物(ウマ、ウシ、リャマ、チンチラ、フェレット、ヤギ、ヒツジ、齧歯動物、ミンク、ウサギ、アライグマ、及びブタのような)といった他の哺乳動物が含まれる。
【0052】
[0042] 本発明の化合物はまた、例えば、他の既知の抗菌薬剤群(例えば、β-ラクタム、グリコペプチド、オキサゾリジノン、マクロライド、ケトライド、キノロン、フルオロキノロン、アミノグリコシド、テトラサイクリン、及びリポペプチドのような)での治療のような他のマイコバクテリア治療薬の1以上との併用(一緒に、又は連続的に投与される)において有用であり得る。一定用量として製剤化されるならば、そのような配合品では、本発明の化合物が本明細書に記載される投与量範囲内で、そして他の医薬活性剤又は治療薬がその投与量範囲内で利用される。式(I)の化合物はまた、ある配合製剤が不
適切である場合、既知の抗菌剤と連続的に投与してよい。本発明は、投与の順序に限定されないので、式(I)の化合物は、既知の抗菌剤の投与の前でも後でも投与してよい。そのような技術については、当業者、並びに担当医の技量の範囲内にある。
【0053】
[0043] 従って、ある側面において、本発明には、少なくとも1つの式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩又は溶媒和物のある量と、上記に列挙した1以上の抗菌剤又は治療薬のある量を含んでなる配合品が含まれ、ここで該化合物/治療薬の量は、所望される治療効果をもたらす。本発明の化合物の薬理学的特性は、いくつかの薬理学的アッセイによって確認することができる。本発明に記載される例示の薬理学的アッセイは、本発明による化合物及び/又はその塩で実行されたことがある。
【0054】
[0044] 別の側面において、本発明には、少なくとも1つの式(I)の化合物又は前記化合物の医薬的に許容される塩又は溶媒和物と、少なくとも1つの医薬的に許容される担体を含む医薬組成物が含まれる。従って、本発明には、1以上の式(I)の化合物と医薬的に許容される担体を含んでなる組成物がさらに含まれる。
【0055】
[0045] 本明細書において使用される場合、「医薬的に許容される担体」という句は、生理活性剤の患者(特に、哺乳動物)への送達について当該技術分野で一般的に許容された媒体に言及する。医薬的に許容される担体は、典型的には、当該技術分野の通常技術の範囲内にあるいくつかの要因に従って製剤化される。これらには、限定無しに、製剤化される活性剤の種類及び本質;その薬剤含有組成物が投与されることになる被験者;該組成物の企図される投与経路;並びに、標的となる治療上の適応症が含まれる。医薬的に許容される担体には、水性と非水性の両方の液体媒体、並びに多様な固体及び半固体の剤形が含まれる。そのような担体には、活性剤に加えていくつかの異なる成分及び添加剤が含まれ得て、そのような追加成分が該製剤中に含まれるのは、当業者によく知られた多様な理由からである(例、活性剤、結合剤の安定化、等)。例えば、参照により本明細書に組み込まれる「レミントン製薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」第17版、マック・パブリッシング・カンパニー、ペンシルヴェニア州イーストン(1985)のような容易に入手可能な様々な情報源には、好適な医薬的に許容される担体とそれらの選択に関与する要因についての記載が見出される。
【0056】
[0046] 本発明の医薬組成物の調製には、不活性で固体又は液体の医薬的に許容される担体の包含が含まれる。固形調製品には、散剤、錠剤、分散顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤、及び坐剤が含まれる。散剤と錠剤は、約5~約95パーセントの有効成分から構成され得る。当該技術分野では好適な固体担体が知られている(例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、ショ糖、乳糖、デンプン、又はセルロース誘導体)。経口投与に適した固体剤形として、錠剤、散剤、カシェ剤、及びカプセル剤を使用することができる。A. Gennaro(監修)、「レミントン製薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」第18版(1990)、マック・パブリッシング・カンパニー、ペンシルヴェニア州イーストンには、医薬的に許容される担体と様々な組成物の製造法の例を見出すことができる。
【0057】
[0047] 液状調製品には、溶液剤、懸濁液剤、及び乳液剤が含まれる。例として、非経口注射には、水又は水-プロピレングリコール溶液剤、又は経口の溶液剤、懸濁液剤、及び乳液剤には、甘味剤及び乳白剤の添加を使用することができる。液状調製品には、鼻腔内投与用の溶液剤も含まれ得る。ゼラチンカプセル剤を使用して、有効成分と、限定されないが、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はセルロース誘導体のような好適な担体を包含することができる。同様の希釈剤を使用して、圧縮錠剤を作製することができる。錠剤もカプセル剤も、医薬品の一定時間にわたる連続放出を提供するための持続放出製品として製造することができる。圧縮錠剤は、不快な味をマスクす
るために糖衣又はフィルム被覆させてよい、又は有効成分を外界から保護するために、又は錠剤の胃腸管における選択的な崩壊を可能にするために使用することができる。経口投与用の液状剤形はまた、患者受容を高めるために着色剤又は香味剤を包含することができる。
【0058】
[0048] 典型的には、水、医薬的に許容される油剤、生理食塩水、デキストロース水溶液と関連の糖溶液剤、並びにプロピレングリコール又はポリエチレングリコールのようなグリコール類が非経口溶液剤に適した担体である。非経口投与用の溶液剤は、例えば、有効成分の水溶性塩と好適な安定化剤(複数)を包含することができる。重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、又はアスコルビン酸のような抗酸化剤は、単独でも組み合わせても、好適な安定化剤として作用することができる。また安定化剤として適しているのは、クエン酸とその塩、及びEDTAである。さらに、非経口溶液剤は、例えば、塩化ベンザルコニウム、メチル又はプロピル-パラベン、及びクロロブタノールのような保存剤を包含することができる。
【0059】
[0049] 吸入組成物が好ましくて、一般に、不活性希釈剤又は担体が含まれて、乾燥粉末吸入剤又は溶液剤/懸濁液剤として調製し得る。この吸入剤形は、患者へ週1回、週2回、週3回、週4回、週5回、週6回、又は1日1、2、3、又は4回投与される。本発明の化合物は、1日3回又は3回未満、より好ましくは1日1回又は2回投与されることが好ましい。経口での治療投与の目的では、活性のある単数又は複数の化合物は、賦形剤とともに取り込まれることが可能であって、錠剤、カプセル剤、舐剤、又はトローチ剤の形態で使用し得る。医薬的に適合可能な結合剤とアジュバント物質をこの組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤、等は、以下の成分又は類似性質の化合物のいずれも包含し得る:限定されないが、トラガカントゴム、アカシア、トウモロコシデンプン、又はゼラチンのような結合剤;微結晶性セルロース、デンプン、又は乳糖のような賦形剤;限定されないが、アルギン酸とトウモロコシデンプンのような崩壊剤;限定されないが、ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤;限定されないが、コロイド状二酸化ケイ素のような滑り剤;ショ糖又はサッカリンのような甘味剤;及び、ペパーミントのような香味剤、又は果実フレーバー。
【0060】
[0050] 単位剤形がカプセル剤である場合、それは、上記タイプの物質に加えて、脂肪油剤のような液体担体を包含し得る。加えて、この単位剤形は、単位剤形の物理的形状を修飾する様々な他の物質、例えば、糖のコーティング剤と他の腸溶剤を包含することができる。該化合物は、エリキシル剤、懸濁液剤、シロップ剤、ウエハー剤(wafer)、チュ
ーイングガム剤、等の成分として投与することもできる。シロップ剤は、活性化合物に加えて、甘味剤としてのショ糖とある種の保存剤、色素剤、着色剤、及び香味剤を包含してよい。活性物質はまた、所望される作用を妨害しない他の活性物質とも、所望される作用を補足する物質とも混合し得る。
【0061】
[0051] 非経口、皮内、皮下、又は局所の適用に使用される溶液剤又は懸濁液剤には、以下の成分のいずれも含めることができる:注射用水のような無菌希釈剤、生理食塩水溶液、脂肪油(fixed oil)、天然に存在する植物油(ゴマ油、ヤシ油、落花生油、綿実油
、等のような)、又は合成脂肪担体(オレイン酸エチル、等のような)、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又は他の合成溶媒;ベンジルアルコール及びメチルパラベンのような抗微生物剤;アスコルビン酸及び重亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のようなキレート形成剤;酢酸塩、クエン酸塩、及びリン酸塩のような緩衝剤;並びに、張度の調整用の薬剤(塩化ナトリウム及びデキストロースのような)。非経口調製品は、ガラス、プラスチック、又は他の好適な材料より作製されるアンプル、使い捨てシリンジ、又は多用量バイアルに封入することができる。緩衝剤、保存剤、抗酸化剤、等を必要に応じて取り込むことができる。
【0062】
[0052] 静脈内に投与される場合、好適な担体には、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、並びにブドウ糖、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びこれらの混合物のような濃化剤及び可溶化剤を含有する溶液剤が含まれる。組織指向性リポソームが含まれるリポソーム懸濁液剤も医薬的に許容される担体として適している場合がある。これらは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,522,811号に記載されるような既知の方法に従って調製され得る。
【0063】
[0053] 活性化合物は、本発明の化合物を胃の酸性環境から保護するための時間放出製剤又はコーティング剤(腸溶コーティング剤のような)のように、該化合物を身体からの急速な消失に抗して保護する担体とともに調製し得る。当業者には、腸溶性錠剤がよく知られている。さらに、酸性の胃から保護するようにそれぞれ被覆された小球で充たされたカプセル剤も当業者によく知られている。他のそのような担体には、限定されないが、埋込製剤(implants)とマイクロカプセル化送達系のような制御放出製剤と、コラーゲン、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸、等のような生分解性、生体適合性ポリマーが含まれる。当業者には、そのような製剤の調製の方法が知られている。
【0064】
[0054] 本発明の化合物は、肺内経路より、経口、非経口(IV、IM、デポーIM,SQ、及びデポーSQ)、舌下、鼻腔内(吸入)、髄腔内、局所、又は直腸より投与することができる。本発明の化合物の送達には、当業者に知られた剤形が適している。
【0065】
[0055] 肺内経路より投与される場合、本発明の化合物は、当業者によく知られていて本明細書においてより詳しく記載されるような、吸入投与用の通常剤形で投与することができる。これらの剤形には、溶液又は懸濁液を使用する、乾燥粉末吸入器とネブライザーが含まれる。
【0066】
[0056] 本発明の化合物は、非経口的に、例えば、IV、IM、デポーIM、SC、又はデポーSCによって投与することができる。非経口的に投与される場合、1日につき約0.5~約100mg/日、好ましくは、約5~約50mgのヒトへの治療有効量が送達されるべきである。デポー製剤を月1回又は2週毎に1回の注射用に使用する場合、ヒトへの用量は、約0.5mg/日~約50mg/日、又は約15mg~約1,500mgの月間用量であるべきである。他のタイプの患者への投薬は、適正なヒト用量から推定することができる。
【0067】
[0057] 本発明の化合物は、舌下で投与することができる。舌下で与えられる場合、本発明の化合物は、IM投与について上記に記載した量で1日1~4回与えられるべきである。
【0068】
[0058] 本発明の化合物は、鼻腔内でも投与することができる。この経路によって与えられる場合、適正な剤形は、当業者に知られているように、鼻腔スプレー剤又は乾燥粉末剤である。本発明の化合物の鼻腔内投与での投与量は、IM投与について上記に記載した量である。
【0069】
[0059] 本発明の化合物は、髄腔内で投与することができる。この経路によって与えられる場合、適正な剤形は、当業者に知られているように、非経口剤形であり得る。本発明の化合物の髄腔内投与での投与量は、IM投与について上記に記載した量である。
【0070】
[0060] 本発明の化合物は、局所的に投与することができる。この経路によって与えられる場合、適正な剤形は、クリーム剤、軟膏剤、又はパッチ剤である。局所的に投与され
る場合、投与量は、約0.5mg/日~約200mg/日である。本発明の化合物は、当業者に知られているように、坐剤によって直腸より投与することができる。坐剤によって投与される場合、治療有効量は、ヒトでは、約0.5mg~約500mgである。本発明の化合物は、当業者に知られているように、埋込製剤によって投与することができる。本発明の化合物を埋込製剤によって投与する場合、その治療有効量は、デポー投与について上記に記載した量である。
【0071】
[0061] 1つの側面において、本発明には、新規化合物と本発明の化合物を使用する新たな方法が含まれる。本発明の特別な化合物と所望される剤形があれば、当業者ならば、適正な剤形を調製して投与する方法がわかるはずである。
【0072】
[0062] 本発明の化合物が不十分な溶解性を明示する場合、可溶化するための方法を使用してよい。そのような方法が知られていて、限定されないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)のような共溶媒を使用すること、Tween.RTMが含まれるポリソルベートのような界面活性剤を使用すること、及び重炭酸ナトリウム水溶液中での溶解が含まれる。有効な医薬組成物を製剤化する場合には、塩又はプロドラッグのような本化合物の誘導体も使用してよい。
【0073】
[0063] 化合物の濃度は、該化合物がそのために投与される障害の少なくとも1つの症状を軽減するか又は改善する、投与時の量の送達に有効である。典型的には、本発明の組成物は、単回用量投与用に製剤化される。好適な単回用量は、好適な時間帯にわたって1回以上投与されるときに、感染菌での細菌感染及び/又は細菌負荷を低減することが可能である用量である。例えば、式(I)の化合物の好ましい単回用量は、約1マイクログラム~約10ミリグラムに及ぶが、患者の体重1キログラムにつき100ミリグラムまでの組成物に及ぶことも可能である。
【0074】
[0064] 活性化合物は、典型的には、治療される患者に対して望まれない副作用の非存在下で治療上有用な効果を発揮するのに十分な量で医薬的に許容される担体に含まれる。治療上有効な濃度は、治療される障害についての既知の試験管内(in vitro)及び生体内(in vivo)モデル系において該化合物を試験することによって実験的に決定し得る。
【0075】
[0065] 本発明の化合物及び組成物は、多用量又は単用量の容器に被包することができる。被包された化合物及び組成物は、例えば、使用のために組み立てられ得る構成部品が含まれるキットにおいて提供することができる。例えば、凍結乾燥型の本発明の化合物と好適な希釈剤を、使用に先立って組み合わせる、別々の構成成分として提供し得る。キットには、本発明の化合物と同時投与用の第二の治療薬剤を含めてよい。本発明の化合物と第二の治療薬剤は、別々の構成部品として提供してよい。
【0076】
[0066] 本発明のキットには、複数の容器が含まれてよく、各容器は、本発明の化合物の1単位以上の用量を保有する。この容器は、限定されないが、経口投与用の錠剤、ゲルカプセル剤、持続放出カプセル剤、等;非経口投与用のデポー製品、充填済シリンジ剤、アンプル剤、バイアル剤、等;及び局所投与用のパッチ剤、メディパッド(medipads)、クリーム剤、軟膏剤、等が含まれる、所望される投与形式に好ましくは適合させる。
【0077】
[0067] 活性化合物の医薬組成物中の濃度は、該活性化合物の吸収、不活性化、及び排出の濃度、投与計画、及び投与量、並びに当業者に知られた他の要因に依存する。有効成分は、1回だけ投与されても、いくつかの低用量へ分割されて一定の時間間隔で投与されてもよい。正確な投与量と治療期間は、治療される疾患の関数であって、既知の試験プロトコールを使用して実験的に、又は生体内(in vivo)若しくは試験管内(in vitro)試
験データからの外挿によって決定し得ると理解される。
【0078】
[0068] 濃度や投与量の数値は、緩和されるべき状態の重症度に応じて変化する場合もあることに留意されたい。さらに、ある特別な被験者では、個々の被験者のニーズと該組成物(複数)を投与するか又はその投与を指導する人物の専門的判断に従って具体的な投薬計画が経時的に是正されるべきこと、そして本明細書において説明した濃度範囲が例示にすぎず、特許請求される組成物の範囲や実践について制限することを企図しないことを理解されたい。
【0079】
[0069] 本発明の化合物は、以下の実施例に記載されるように製造することができる。
[0070] 本明細書において開示される本発明を以下の製法と実施例によって例解するが、これらは、本開示の範囲を限定するものと解釈してはならない。当業者には、代替可能な機構経路と類似の構造が明らかであろう。
【実施例
【0080】
[0071] 以下の略語は、「実施例」セクションを通して使用して、本開示の範囲を限定するものではない。
TLC=薄層クロマトグラフィー
eq.=当量
equiv.=当量
THF=テトラヒドロフラン
DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン
DIEA=ジイソプロピルエチルアミン
DCM=ジクロロメタン
MeOH=メタノール
EtOAc=酢酸エチル
BOCO=二炭酸ジtert-ブチル
mCPBA=3-クロロ過安息香酸
DMAP=4-(ジメチルアミノ)ピリジン
TFA=トリフルオロ酢酸
DMA=N,N-ジメチルアセトアミド
TBTU=O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム・テトラフルオロホウ酸塩
DMSO=ジメチルスルホキシド
EtO=ジエチルエーテル
MeCN=アセトニトリル
DMF=N,N-ジメチルホルムアミド
NMP=1-メチル-2-ピロリジノン
DAST=三フッ化(ジエチルアミノ)イオウ
DCE=1,2-ジクロロエタン
表1において下記に示す実施例1~実施例192の化合物は、方法1に記載の方法によって製造した。
【0081】
式Iの化合物の製造
【0082】
【表1-1】
【0083】
【表1-2】
【0084】
【表1-3】
【0085】
【表1-4】
【0086】
【表1-5】
【0087】
【表1-6】
【0088】
【表1-7】
【0089】
【表1-8】
【0090】
表1中の化合物の合成法:
[0072] 方法1:複素環式アミド類似体の合成
【0091】
【化7】
【0092】
[0073] カルボン酸(2ミリモル、1当量)とHATU(76mg,0.2ミリモル,1当量)を、撹拌子を入れた1ドラムバイアルにおいて1mL DCEに溶かした。DIPEA(0.1mL,0.6ミリモル、3当量)を加えて、生じる溶液を室温で10分間撹拌した。この混合物へアミン(0.2ミリモル、1当量)を加えた。この反応溶液を45℃まで加熱して、一晩撹拌した。完了後、この反応混合物を濃縮して、60gのC-18カートリッジ上へ載せて、5~95% ACN:HOのグラジエントで精製した。生成物を含有する各分をLC-MSによって確認して、真空内で濃縮して、最終生成物を得た。
【0093】
[0074] 同様の手順を使用して、市販のアミンとカルボン酸より、他の複素環式アミド類似体を製造した。
[0075] 方法セクションの終わり。
【0094】
実施例193:抗マイコバクテリア効果と作用機序の実証
[0076] M. abscessus(マイコバクテリウム・アブセッサス)、M. chelonae(マイコ
バクテリウム・ケロナエ)、M. fortuitum(マイコバクテリウム・フォルツイナム)、M.
peregrinum(マイコバクテリウム・ペレグリナム)、M. avium(マイコバクテリウム・
アビウム)、M. intracellulare(マイコバクテリウム・イントラセルラーレ)、M. chimaera(マイコバクテリウム・キマイラ)、及び M. tuberculosis(結核菌)が含まれる多様な病原微生物に対する抗マイコバクテリア活性についてのアッセイを行って、最小発育阻止濃度(MIC)を決定した。いずれの化合物も、CLSIガイドライン(米国臨床検査標準協議会[Clinical and Laboratory Standards Institute]、文書:M24-A)に準拠した標準的な方法及び条件を使用して検査した。M. abscessus に対して、実施例1~実施例101に記載の化合物は、0.03~1μg/mLのMICを有して、実施例102~実施例192の化合物は、2~32μg/mLのMICを有したが、S. aureus(黄色ブドウ球菌)、S. pneumoniae(肺炎連鎖球菌)、S. pyogenes(化膿連鎖球菌)、E. faecalis(エンテロコッカス・フェカーリス)、E. coli(大腸菌)、P. aeruginosa(緑膿菌)、及び C. albicans(カンジダ・アルビカンス)が含まれる他の病原菌に対しては不活性(MIC>16μg/mL)であった。実施例2に記載の化合物は、M. abscessus と結核菌に対して殺菌性であることが示された。
【0095】
[0077] 本発明の化合物は、マクロライド類、テトラサイクリン類、スルファメトキサゾール、イソニアジド、リファンピン、及びフルオロキノロン類が含まれる、試験された他の薬物群に対して存在する耐性によって弱められなかった。特に、実施例2、実施例5、実施例45、実施例46、及び実施例80に記載の化合物は、アジスロマイシン、ドキシサイクリン、及びスルファメトキサゾール耐性の M. abscessus に対して、そしてイソニアジド、リファンピシン、及びフルオロキノロン耐性の結核菌に対して有効であった。MICは、薬剤感受性株と薬剤耐性株で同等であって、臨床上重要な耐性株に対して0.03~4μg/mLに及んだ。
【0096】
[0078] 本発明の化合物は、すべてのマイコバクテリアに対して広域スペクトルの抗マイコバクテリア活性を示した。実施例2、実施例5、実施例45に記載の化合物は、M. abscessus、M. chelonae、及び M. fortuitum に対して0.12~1μg/mLに及ぶM
IC90(菌株の90%を阻止する濃度)を明示した。
【0097】
[0079] 作用機序。このベンゾチアゾールアミド系列の作用機序の解明を実施した。この系列由来の化合物が Mabs と Mtb の両方で、多分トレハロースモノミコール酸輸送体
、MmpL3の阻害を介して、ミコール酸のその細胞エンベロープアクセプターへの移動に影響を及ぼすとする証拠を得た。この結論は、以下の事実によって裏付けられる:1)無処理であるか又はそのMICの2倍と10倍のシクロヘキシルアミドで処理した Mabs ATCC19977 培養物を[14C]酢酸塩で代謝標識すると、アラビノガラクタンとトレハロースジミコール酸の両方へのミコール酸の移動の濃度依存性の阻害(MmpL3阻害剤の特質)をもたらすこと(図面1);2)Mtb 由来MmpL3タンパク質の75種の異なる突然変異体を発現する M.smegmatis(マイコバクテリウム・スメグマチス)ライブラリーのスクリーニングにより、ベンゾチアゾールヘキシルアミド阻害剤に対するそれらの耐性の4倍以上の増加を示す11種の突然変異体(3種の突然変異体では、8倍以上の増加)が得られたこと;3)4xMIC濃度の阻害剤を含有する7H11-ADC寒天培地で単離された、化合物79と化合物80に対する自然耐性 Mabs ATCC19977 変異体では、それらのmmpL3遺伝子に非同義の突然変異(L551S,I306S,A309P)を収容することが見出されたこと。これらの突然変異が自然耐性変異体の耐性表現型に関与していることは、Mabs ATCC19977 の同質遺伝子背景におけるリコンビニアリング(recombineering)によるそれらの導入がベンゾチアゾールアミド化合物に対する4倍以上の耐性を付与するのに十分であることを示すことによって確かめられた。
【0098】
[0080] 初期リード化合物、CRS400153(化合物80)のMmpL3活性に対する阻害効果は、Mtb インタクト細胞と反転膜小胞の膜電位と電気化学的pH勾配に対するCRS400153処理の効果を追跡することによって証明されたように、MmpL3がそのエネルギーを得るプロトン駆動力の急落より生じたものではない(データ示さず)。
【0099】
[0081] 同じ化合物群からの16種の類似体についてさらに試験すると、それらのいずれもがmmpL3遺伝子に突然変異を収容しているCRS400153耐性変異体に対して低下した活性を示すことが示された。このデータは、CRS400153の構造群由来の化合物がその主要な生化学的標的としてMmpL3に作用することを示唆する。対照的に、異なるサブ系列由来の8種の構造的に多様な化合物は、CRS400153耐性変異
体に対して依然として活性であった。もっとも、これらの非交差耐性化合物の中には、Mabs におけるミコール酸のその細胞エンベロープアクセプターへの移動も阻害するものがあった。従って、これらの化合物は、陰性対照として役立てた。
【0100】
[0082] 生体内(in vivo)効果。数種の化合物について、マウスのPK試験と忍容性
試験においてスクリーニングして、様々な用量と投与経路を評価した。十分に忍容されるものの、該化合物の脂溶性は、効能のための経口投与経路をより困難にすることが明らかになった。その代わり、NTMと Mtb のような肺感染症の治療のための肺内送達法を探
究した。より初期のリード化合物であるCRS400226(化合物45)を、生体内(in vivo)試験を支えるために多グラム量で合成して、この送達経路のためにさらに開発した。我々は、CRS400226が本質的には水に溶けないものの、トウモロコシ油には250mg/mLまでの濃度で溶けることを見出した。CRS400226をトウモロコシ油/生理食塩水乳液剤(5%)として製剤化する初期の試みによって、概念実証(proof-of-concept)の生体内効能を入手する機会を得た。気管内送達に関する主導的な専門家である、CSUの Gonzalez-Juarrero 博士と研究して、我々は、慢性NTM肺感染症の28日マウスモデルにおいて、Mabs #21に抗するCRS400226について評価した。この研究では、ヒト感染症の臨床関連モデルの代表である、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子ノックアウト(GM-CSFKO)マウスを使用した。これらのマウスでは、その特異的な免疫欠乏と病理学的変化の故に、慢性 M.abscessus spp.(NTM)呼吸器感染症が容易に確立される(De Groote,2014)。5x10~1x10個の細菌の肺への送達には、Penn Century 製のミクロ噴霧器を使用した。10日後から始めて、試験化合物を5%トウモロコシ油/生理食塩水乳液剤として、気管内噴霧投与によって1日1回、4週にわたって投薬した。肺における細菌負荷は、ホモジェネートの系列希釈液を7H11寒天培地上で平板培養して、37℃でのインキュベーション後のコロニーを計数ることによって決定した。CRS400226は、担体対照に比較して、25mg/kgで統計学的に有意なCFU低下を明示して(図面2A)、4週間の投与でもごく十分に忍容された(図面2B)。
【0101】
[0083] 言及された目的及び利益、並びにその中の固有のものを達成するのに本発明が十分適していることは、明らかであろう。本開示の目的のために、現行で好ましいいくつかの態様について記載してきたが、本発明の範囲内に十分ある様々な変更及び修飾を施すことが可能である。当業者には、それ自体が容易に示唆される、数多くの他の変更態様が実施可能であって、それらは、本明細書に開示されて付帯の特許請求項において明確化されるような、本発明の精神に含まれる。
【0102】
[0084] 本明細書に引用される開示内容全体とすべての出版物は、参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2