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特許7425148タルクを有するポリエチレンテレフタレート合金
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】タルクを有するポリエチレンテレフタレート合金
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/20 20060101AFI20240123BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20240123BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
C08J3/20 B CFD
C08L67/02
C08K3/34
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022158043
(22)【出願日】2022-09-30
(62)【分割の表示】P 2020552305の分割
【原出願日】2018-05-07
(65)【公開番号】P2022173491
(43)【公開日】2022-11-18
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】62/648,119
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520368116
【氏名又は名称】オクタル、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラジーム、モハメッド
(72)【発明者】
【氏名】ディアーミット、クリス
【審査官】馳平 憲一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-048465(JP,A)
【文献】特開2014-201660(JP,A)
【文献】特開2014-159134(JP,A)
【文献】特開2004-168876(JP,A)
【文献】特開2013-049790(JP,A)
【文献】国際公開第2013/031769(WO,A1)
【文献】中国特許第102408686(CN,B)
【文献】特開2007-100004(JP,A)
【文献】特開2015-048464(JP,A)
【文献】特開2014-051542(JP,A)
【文献】特表2004-526848(JP,A)
【文献】特開2005-163015(JP,A)
【文献】特開2013-129713(JP,A)
【文献】特開2018-012836(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0275372(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0227506(US,A1)
【文献】上出 健二,分子量と分子量分布(1),繊維と工業,日本,社団法人繊維学会,1976年,第32巻第4号,第128頁-第139頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00 - 3/28
C08J 99/00
C08J 9/00 - 9/42
C08J 5/00 - 5/02
C08J 5/12 - 5/22
C08K 3/00 - 13/08
C08L 1/00 - 101/14
B29B 7/00 - 11/14
B29B 13/00 - 15/06
B29C 31/00 - 31/10
B29C 37/00 - 37/04
B29C 71/00 - 71/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タルクを有するポリエチレンテレフタレート(PET)合金を形成する方法であって、
PET/タルク混合物のフィード(PET/タルクフィード)を提供することであって、前記PET/タルク混合物は、
PETのフィード(PETフィード)を提供すること、
タルクのフィード(タルクフィード)を提供すること、及び
前記PETのフィードと前記タルクのフィードとを、PET:タルク比が3:1~1:3の重量比で、ミキサーで混合して別のタイプのポリマーを含まないPET/タルク混合物を形成することにより得られ、前記PET/タルク混合物は、第1のPET分布の第1の平均分子量を有するPETを含む、PET/タルク混合物のフィード(PET/タルクフィード)を提供することと、
第2のPETのフィード(第2のPETフィード)を提供することであって、前記第2のPETフィードは、第2のPET分布の第2の平均分子量を有するPETを含み、前記第2の平均分子量は、前記第1の平均分子量よりも大きい、第2のPETのフィード(第2のPETフィード)を提供することと、
前記第2のPETのフィードと前記PET/タルク混合物のフィードとをミキサーで混合して、別のタイプのポリマーを含まない1%(w/w)~50%(w/w)のタルクを有するPET合金を形成することと、
前記PET合金を、前記第1のPET分布の前記第1の平均分子量と前記第2のPET分布の前記第2の平均分子量とを有する二峰性のPETとして提供すること
を含み、
前記第1の平均分子量および前記第2の平均分子量は、数平均分子量、重量平均分子量、およびZ平均分子量から選択される、方法。
【請求項2】
PET供給部が、
PET反応器システムであって、PET前駆体試薬から前記PETを重合するPET反応器システム、
PETリサイクルシステムであって、PET製品から前記PETをリサイクルするPETリサイクルシステム、
PET調整システムであって、タルクと混合するために前記PETを調整し、前記調整が、加熱、PETペレット若しくはシート若しくは他のPET部材の細断、撹拌、押出し、乾燥、ガス抜きの1つ以上から選択されるPET調整システム、又は
液体PETを有するPETリザーバであって、前記液体PETが溶融PETであるPETリザーバ
のうちの1つ以上から前記第2のPETフィードを受け取る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ミキサーが、脱気、均質化、分散、又は加熱のうちの1つ以上も実行する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記PET合金を出力システムに提供することを含み、前記出力システムが、前記PET合金を貯蔵部又は分析システム又は製造システムに提供し、
前記分析システムが、
溶融PET合金出力の流量を決定すること、
PET合金出力の融点を決定すること、
PET合金出力の結晶化温度を決定すること、
PET合金出力の示差走査熱量測定プロファイルを決定すること、又は
PET合金出力の熱変形温度を決定すること
を行う1つ以上の分析システムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記製造システムが、前記PET合金出力を製造製品に変換するように構成されており、前記方法が、前記PET合金出力を前記製造製品に変換することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記PET/タルクフィードと混合する前に前記第2のPETフィードを乾燥させること、及び/又は
前記第2のPETフィードと混合する前に前記PET/タルクフィードを乾燥させること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ポリエチレンテレフタレート(PET)合金であって、
第1のPET分布および第2のPET分布を含む二峰性のPETであって、
1の平均分子量を有する前記第1のPET分布のPETポリマー及
2の平均分子量を有する前記第2のPET分布のPETポリマ
含み、
前記第1のPET分布と前記第2のPET分布とを有する前記二峰性のPETのために、前記第1の平均分子量が、前記第2の平均分子量より小さい、二峰性のPETと、
前記PET中のタルクであって、前記タルクが、重量比で少なくとも1%かつ50%未満の量で存在している、前記PET中のタルクとを含み、
前記PET合金は、別のタイプのポリマーを含まず、
前記第1の平均分子量および前記第2の平均分子量は、数平均分子量、重量平均分子量、およびZ平均分子量から選択される、PET合金。
【請求項8】
前記タルクが、0.25ミクロン~100ミクロンのタルク粒子を含む、請求項7に記載のPET合金。
【請求項9】
前記PET合金が、重量比で5%未満の水を含む、請求項7に記載のPET合金。
【請求項10】
前記PET合金が、重量比で60%~99%のPET濃度を有する、請求項7に記載のPET合金。
【請求項11】
前記PET合金が、重量比で1%~40%のタルク濃度を有する、請求項7に記載のPET合金。
【請求項12】
前記PET合金は、30℃のメルカプトプロピオン酸イソオクチルを含む60/40フェノール/1,1,2,2テトラクロロエタンに溶解させた後の固有粘度が0.5dL/g~0.9dL/gである、請求項7に記載のPET合金。
【請求項13】
前記PET合金が、タルクとTiO粒子との組み合わせを、重量比で1%~40%の合計濃度で有する、請求項7に記載のPET合金。
【請求項14】
前記PET合金が、240℃~250℃の溶融温度を有する、請求項7に記載のPET合金。
【請求項15】
前記PET合金が、3~6CC/(m/日)±25%の酸素透過率を有する、請求項7に記載のPET合金。
【請求項16】
前記PET合金が、200℃~230℃の結晶化温度を有する、請求項7に記載のPET合金。
【請求項17】
非ポリマーである以下の材料:
TiO、ガラスペレット、ガラス繊維、ガラス粒子、ステアリン酸ナトリウム、核剤、帯電防止剤、抗菌剤、発泡剤、安定剤、UV遮断剤、アセトアルデヒド捕捉剤、顔料、及び潤滑剤
のうちの1つ以上をさらに含む、請求項7に記載のPET合金。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月26日に出願された米国仮出願第62/648,119号に対する優先権を主張し、この仮出願は、その全体が特定の参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(PET)は結晶性ポリマーであり、この結晶化はPET製品の透明度、剛性、強度などの多くの特性に影響を与える。市販のPETの高分子量は、流動性の低下につながり、PETを使用した薄肉の射出成形部品の製造を妨げる。PETは結晶化が遅いため、長いサイクルタイムが発生し、これは商業的に実行可能ではない。さらに、PETは、熱変形温度(HDT)が低いため、PET製品は比較的低温で軟化し得る。
【0003】
PETの良好な特性を維持しながら、より優れた流動性、より速い結晶化、及びより高いHDTを有するPETポリマーが望ましい。
【化1】
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、タルクを含むポリアルキレンテレフタレート(PAT)(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))混合物を形成する方法が提供される。この方法は、PATのフィード(PATフィード)を提供すること、タルクのフィード(タルクフィード)を提供すること、PATのフィードとタルクのフィードとを、PAT:タルク比が約3:1~約1:3で、ミキサーで混合してPAT/タルク混合物を形成すること、及びPAT/タルク混合物を出力として提供することを含み得る。
【0005】
一実施形態では、タルクを含むポリアルキレンテレフタレート(PAT)混合物を形成するシステムが提供される。このシステムは、PATのフィード(PATフィード)、タルクのフィード(タルクフィード)、及びPATフィードの出口及びタルクフィードの出口に連結されたミキサーであって、PATとタルクとを、PAT:タルク比が約3:1~約1:3で混合してPAT/タルク混合物を形成することができるミキサー
を含み得る。
【0006】
一実施形態では、タルクを有するポリアルキレンテレフタレート(PAT)合金を形成する方法が提供される。この方法は、PATのフィード(PATフィード)を提供すること、PAT/タルクのフィード(PAT/タルクフィード)を提供すること、PATのフィードとPAT/タルクのフィードとをミキサーで混合して、約1%(w/w)~約50%(w/w)のタルクを有するPAT合金を形成すること、及びPAT合金を出力として提供することを含み得る。
【0007】
一実施形態では、タルクを有するポリアルキレンテレフタレート(PAT)合金を形成するシステムが提供される。このシステムは、PATのフィード(PATフィード)、PAT/タルクのフィード(タルクフィード)、PATフィードの出口及びPAT/タルクフィードの出口に連結されたミキサーであって、PATとPAT/タルクとを混合して、約1%(w/w)~約50%(w/w)のタルクを有するPAT合金を形成することができるミキサーを含み得る。
【0008】
一実施形態では、ポリアルキレンテレフタレート/タルク(PAT/タルク)混合物は、約3:1~約1:3のPAT:タルク比でタルクを含むポリアルキレンテレフタレート(PAT)を含み得る。
【0009】
一実施形態では、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)合金は、タルクを有するPATを含み得る。PATは、第1の平均分子量を有するPATポリマーの第1の部分と、第2の平均分子量を有するPATポリマーの第2の部分とを含むことができ、第1の平均分子量は第2の平均分子量未満である。タルクはPAT中にあり、タルクは少なくとも1%かつ50%未満の量で存在する。
【0010】
一実施形態では、金型システムは、金型キャビティを有する金型と、
第1の平均分子量を有するPATポリマーの第1の部分及び第2の平均分子量を有するPATポリマーの第2の部分を含むPATを有するPAT合金と、PAT中のタルクとを含むことができ、第1の平均分子量は第2の平均分子量未満であり、タルクは少なくとも1%かつ50%未満の量で存在し、PAT合金は金型の金型キャビティを完全に満たす。PATは次式であり得る。
【化2】
【0011】
PATでは、nは任意の適切な整数であってもよく、例えば、1(ポリメチレンテレフタレート(PMT))、2(ポリエチレンテレフタレート(PET))、3ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、4(ポリブチレンテレフタレート(PBT))、又は5ポリペンチレンテレフタレート(PPentT)など(例えば、nは、6、7、8、9、10などである)であり得る。
【0012】
前述の要約は、例示にすぎず、決して限定を意図するものではない。上記の例示的な態様、実施形態、及び特徴に加えて、さらなる態様、実施形態、及び特徴は、図面及び以下の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。
【0013】
本開示の上記及び以下の情報並びに他の特徴は、添付の図面と併せて、以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。これらの図面は、本開示によるいくつかの実施形態のみを示し、したがって、その範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解し、添付の図面を使用することにより、本開示をさらに具体的かつ詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】PET/タルク混合物を調製するシステムの略図である。
図2】タルクを有するPET合金を調製するシステムの略図である。
図3】PET合金を様々な製品に製造するシステムの略図であり、任意選択的に追加の任意選択構成要素を備える。
図4】PET合金を射出成形品に製造する射出成形システムの略図である。
図5A】PETポリマー鎖長に対する流動性と強度との関係を示す図である。
図5B】PETポリマー鎖長に対する流動性と強度との関係を示す別の図である。
図5C】PETポリマー鎖長に対する流動性と強度との関係を示すさらに別の図である。
図6A】PETの示差走査熱量測定DSCデータを示すグラフを含む。
図6B】タルクを有するPETのDSCデータを示すグラフを含む。
図6C】110℃で形成された、タルクを有するPETのDSCデータを示すグラフを含む。
図6D】120℃で形成された、タルクを有するPETのDSCデータを示すグラフを含む。
図6E】125℃で形成された、タルクを有するPETのDSCデータを示すグラフを含む。
図6F】105℃で形成された、タルクを有するPETのDSCデータを示すグラフを含む。
図7】DSCによって得られたPET合金の特性を示す表を含む。
図8】PET合金の酸素透過性を示す表を含む。
図9】DSCによって得られたPET合金の特性を示す表を含む。
図10】PET合金及びPET/タルクのモル質量平均分子量を示す表を含む。
図11】PET、及び様々な量のタルクを有するPET合金の熱変形温度(HDT)を示すグラフである。
図12】チョップドガラス繊維(CGF)をさらに有するPET合金の機械的特性を示す表を含む。
図13A】PET合金の機械的特性を示す表を含む。
図13B】汎用ポリスチレン(GPPS)の機械的特性を示す表を含む。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付の図面を参照する。図面では、文脈による別段の指示がない限り、類似の記号は通常、類似の構成要素を識別する。詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲に記載されている例示的な実施形態は、限定することを意味するものではない。本明細書に提示される主題の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、他の変更を行なうことができる。本開示の態様は、本明細書で一般的に説明され、図に示されるように、多種多様な異なる構成で配置、置換、結合、分離、及び設計することができ、そのすべてが本明細書で明示的に企図されることは容易に理解されよう。
【0016】
一般に、本技術は、タルクを含むポリエチレンテレフタレート(PET)合金を調製するシステム及び方法を含む。PET合金は、PET/タルク混合物を調製し、PET/タルク混合物をPET組成物と組み合わせてPET合金を生成するシステムで形成される。したがって、本システム及び方法を使用して、正確な様式で製造されたタルク充填PET(例えば、PET/タルク混合物)を製造することができ、次いで、このPET/タルク混合物をPET(例えば、未加工のPET、未使用のPET、又はタルクを含まないPETなど)と混合して、PETよりも優れた流動性、高速結晶化、高いHDT、及び優れた遮断性を有しながら、PETの他の望ましい特性である引張強度及び曲げ降伏強度などを維持するPET合金材料を形成する。
【0017】
PETは、撥水性及び防湿性を備えているため、製品に好適であることができ、これにより、PET合金製品を飲料など(例えば、清涼飲料、水、ビールなど)の液体貯蔵用の容器にすることが可能になる。PET合金の高い機械的強度により、磁気テープ用の搬送容器又は感圧性接着テープ用の裏材など、テープでの使用を可能にすることができる。
【0018】
ここで、PET合金は、PET/タルク混合物中、同様にPET合金中のタルクの処理及び量を調節して、結晶化プロセスを調節することができ、それにより、PET合金製品の透明度、剛性、及び強度の調整が可能になる。PET合金には、タルクと混合された低分子量のPETを含むことができ、高分子量のPETは、より速い、又はさもなければ改善された流動性をもたらすことができるため、薄肉の射出成形部品の製造などの射出成形、同様にテール及び繊維、並びにチョッパーでペレット化するためのシリンダーなどの様々な押出成形品を形成するための押出成形でPET合金を使用できるようになる。PET合金は、結晶化のサイクルタイムが大幅に短く、それにより、PET合金を使用したPETのための改善された方法及び用途が可能になる。さらに、PET合金は、より高い熱変形温度(HDT)を有するため、従来のPET(例えば、非合金)と比較して大幅に高い温度でPET合金が軟化することを可能にする。したがって、PET合金は、より良い流動性、より速い結晶化、及びより高いHDTを有するポリマーを提供する。改善されたシステム及び方法を使用して、正確な様式で製造されたタルク充填PET(例えば、PET/タルク混合物)を製造することができ、次いで、このPET/タルク混合物を未使用のPET(例えば、タルクを含まない)と混合して、酸素透過性の低下(図8のデータを参照)などのより優れた遮断性を有するPET合金材料を形成する。データは、PET合金が、標準的な非改良PETと比較して、ガス透過性に対するより効果的な遮断をもたらすことを示す。データは、二酸化炭素、水蒸気、及びその他のガスの透過性の低下も示すと予想される。改善された遮断性は、結晶化度の増加と、板状の不透過性固体であるタルクの存在とに起因する。これらの2つの変更により、すべてのタイプの浸透剤の透過性が低下する。
【0019】
PET合金は、非結晶(透明)製品又は半結晶製品に形成されてもよい。半結晶材料は、その結晶構造及び粒子サイズに応じて、透明(例えば、粒子サイズが500nm未満の場合)、又は不透明かつ白(例えば、粒子サイズが数マイクロメートルまでの場合)に見える。
【0020】
一例では、PETフィード材料は、任意の適切なプロセスによって調製することができる。一般に知られているように、モノマーのビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレートは、テレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応によって水を副生成物として合成することができ、又はエチレングリコールとジメチルテレフタレート(DMT)とのエステル交換反応によってメタノールを副生成物として合成することができる。重合は、モノマーの重縮合反応(例えば、エステル化/エステル交換の直後に行なわれる)を介して水を副生成物として行なわれる。PETフィード材料は、その全体が特定の参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2009/0212457号に記載のように調製することができる。PETフィード材料は、シート、ペレット又は他の形態並びに液体PETであり得る。PETフィード材料は、本明細書に記載の方法論に適した液体及び流動性状態になるように処理することができる。
【0021】
一実施形態では、タルクを含むポリエチレンテレフタレート(PET)混合物を形成する方法が提供される。このような方法は、図1に示すようなPET/タルクシステム100で実行することができる。タルクを含むPET混合物を形成するPET/タルクシステム100には、PETのフィード120(PETフィード)、タルクのフィード122(タルクフィード)、及びPETフィード120の出口及びタルクフィード122の出口に連結されたミキサー110が含まれ得る。ミキサー110は、PET:タルク比が約3:1~約1:3でPETをタルクと混合して、PET/タルク混合物を形成することができ、又は所望の他の比で形成することができる。システム100はまた、ミキサー110の出口に動作可能に連結された出力部136を含むことができる。出力部136は、コンテナ、ポンプ、フローライン、加熱器、冷却器、押出機、ダイ、ペレタイザー、ミキサー、及びそれらの組み合わせ、並びにPETシステムのための他の技術的に既知の構成要素から選択される。図示のように、システム100は、PET供給部124に連結された入口を有するPETフィード120を含むことができる。
【0022】
PETは、本方法及びシステム100において、PAT又は任意の他のタイプのPATで置き換えてもよいことが認識されるべきである。すなわち、本システムは、任意のPATとともに使用するように構成してもよく、そのため、PETの列挙は、本明細書並びに本明細書で提供される他の方法及び他のシステムのPATも指すことがある。例えば、PET/タルクシステム100は、PAT/タルクシステム100などであり得る。
【0023】
システム100はまた、タルク供給部126に連結された入口を有するタルクフィード122を含み得る。システム100は、PET反応器システム128、PETリサイクルシステム130、PET調整システム132、又はPETリザーバ134のうちの1つ以上を含むことができる。PET反応器システム128は、PET前駆体試薬からPETを重合するように構成される。PETリサイクルシステム130は、PET製品からPETをリサイクルするように構成される。PET調整システム132は、タルクと混合するためにPETを調整するように構成され、調整は、加熱、PETペレット若しくはシート若しくは他のPET部材の細断、撹拌、押出し、乾燥、又はガス抜きなどの1つ以上から選択される。PETリザーバ134は、液体PETを含み、液体PETは溶融PETである。
【0024】
システム100は、流動性形式のタルク粉末を有するタルク供給部126を含むことができる。流動性形式は、タルク粉末形式などのタルク粒子を含み得る。タルク粉末は、約0.25ミクロン~約100ミクロン、又は約0.5ミクロン~約75ミクロン、又は約0.75ミクロン~約0.5ミクロン、又は約1ミクロン~約40ミクロン、又は約5ミクロン~約30ミクロン、又は約10ミクロン~約25ミクロン、又は約15ミクロン~約20ミクロンのタルク粒子を含む。
【0025】
システム100は、ミキサー110を含み、ミキサー110は、バッチ又は連続形式で液体PETとタルクとを混合可能な任意のミキサーであることができ、その例としては、一軸ミキサー、二軸ミキサー、連続混練機(例えば、B&P Littleford社製連続混練機、Buss社製混練機)、往復スクリューミキサー(例えば、B&P Littleford社製TriVolution)、二軸押出機(B&P Littleford社)、連続プラウミキサー(例えば、B&P Littleford社)などが挙げられる。一態様では、ミキサー110はまた、脱気、均質化、分散、又は加熱のうちの1つ以上を実行する。
【0026】
システム100は、PET/タルク混合物貯蔵部138を含むことができる。PET/タルク混合物貯蔵部は、任意の形式であることができ、PET/タルクは、任意の形式でその中に含まれ得る。しかしながら、PET/タルクは、貯蔵部に入る前にペレット化するか、他の貯蔵可能な形式(例えば、溶融液)に形成することができる。
【0027】
システム100は、分析システム140を含むことができる。分析システム140は、様々な分析プロセスが可能な1つ以上の分析システムを含む。例えば、分析システム140は、溶融PET/タルク混合物出力102の固有粘度を決定するように構成することができる。別の例では、分析システム140は、溶融PET/タルク混合物出力102の流量を決定するように構成することができる。別の例では、分析システム140は、PET/タルク混合物出力102の融点を決定するように構成することができる。別の例では、分析システム140は、PET/タルク混合物出力102の結晶化温度を決定するように構成することができる。別の例では、分析システム140は、PET/タルク混合物出力102の示差走査熱量測定プロファイルを決定するように構成することができる。別の例では、分析システム140は、PET/タルク混合物出力102の熱変形温度を決定するように構成することができる。
【0028】
PET/タルク混合物を形成するシステム100に従って、PET/タルク混合物を形成する方法を実行することができる。このような方法には、PETのフィード120(PETフィード)を提供すること、タルクのフィード122(タルクフィード)を提供すること、PETのフィードとタルクのフィードとを、PET:タルク比が約3:1~約1:3で、ミキサー110で混合してPET/タルク混合物を形成すること、及びPET/タルク混合物を出力102として提供することが含まれ得る。一態様では、PETフィード120は、PET供給部124からのものである。一態様では、タルクフィード122は、タルク供給部126からのものである。
【0029】
一実施形態では、PET供給部124は、PET反応器システム128、PETリサイクルシステム130、PET調整システム132、又はPETリザーバ134のうちの1つ以上からPETフィードを受け取る。PET反応器システム128は、PET前駆体試薬からPETを重合する。PETリサイクルシステム130は、PET製品からPETをリサイクルする。PET調整システム132は、タルクと混合するためにPETを調整し、調整は、加熱、PETペレット若しくはシート若しくは他のPET部材の細断、撹拌、押出し、乾燥、ガス抜の1つ以上から選択される。液体PETを有するPETリザーバ134であって、液体PETは溶融PETである。
【0030】
一実施形態では、タルク供給部126は、流動性形式のタルク粉末を含む。これは、タルクを粉末として提供することを含むことができ、この粉末は、約0.25ミクロン~約100ミクロン、又は約0.5ミクロン~約75ミクロン、又は約0.75ミクロン~約0.5ミクロン、又は約1ミクロン~約40ミクロン、又は約5ミクロン~約30ミクロン、又は約10ミクロン~約25ミクロン、又は約15ミクロン~約20ミクロンのタルク粒子を含み得る。
【0031】
一実施形態では、本方法は、タルク粒子を有するようにタルクを調製することを含むことができ、調製には、タルク粒子を形成するための採鉱、粉砕、研磨、又は他の処理が含まれる。任意選択的に、システム100は、採鉱設備、粉砕機、研磨機などのタルクを調製する設備を含んでもよい。
【0032】
混合は、ミキサー110によって実施することができ、ミキサー110は、バッチ又は連続形式で液体PETとタルクとを混合可能な任意のミキサーであることができ、その例としては、一軸ミキサー、二軸ミキサー、連続混練機(例えば、B&P Littleford社製連続混練機、Buss社製混練機)、往復スクリューミキサー(例えば、B&P Littleford社製TriVolution)、二軸押出機(B&P Littleford社)、連続プラウミキサー(例えば、B&P Littleford社)、又はPETとタルクとを混合可能なその他のミキサーなどが挙げられる。任意選択的に、ミキサー110はまた、脱気、均質化、分散、又は加熱のうちの1つ以上を実行する。
【0033】
本方法はまた、PET/タルク混合物出力102を出力システム136に提供することを含むことができる。出力システム136は、PET/タルク混合物を貯蔵部138(例えば、ペレットで)又はPET合金システム200又は分析システム140に提供する。本方法は、ペレタイザーを用いて、PET/タルク混合物出力102をペレット化することを含み得る。分析システム140は、溶融PET/タルク混合物出力102の固有粘度を決定すること、溶融PET/タルク混合物出力102の流量を決定すること、PET/タルク混合物出力102の融点を決定すること、PET/タルク混合物出力102の結晶化温度を決定すること、PET/タルク混合物出力102の示差走査熱量測定プロファイルを決定すること、又はPET/タルク混合物出力102の熱変形温度を決定することが可能な1つ以上の分析システムを含む。
【0034】
PET合金システム200は、以下で詳細に説明される。しかしながら、一態様では、PET合金システム200は、PET/タルク混合物出力102を第2のPETのフィード220(第2のPETフィード)と組み合わせてPET合金202を生成するように構成される。
【0035】
一態様では、PETフィード120は、別のポリマーを含まない。別の態様では、タルクフィード122は、別のポリマーを含まない。しかしながら、PETフィード120及び/又はタルクフィードは、本明細書で定義されるPAT、又はポリカーボネートなどの他のポリマーを含み得る。一態様では、PETフィード120は、PETから本質的になる(又はそれからなる)。一態様では、タルクフィード122は、(任意選択的に微量水を含んで)タルクから本質的になる(又はそれからなる)。一態様では、PETフィード120は、溶融PETを含む。
【0036】
一実施形態では、PETフィード120は、5%未満、若しくは1%未満、若しくは0.1%未満の量の水、若しくは微量の水を含むか、又は水を含まない。したがって、本方法は、タルクフィード122と混合する前にPETフィード120を乾燥させることを含むことができる。また、本方法は、PETフィード120と混合する前にタルクフィード122を乾燥させることを含むことができる。
【0037】
一実施形態では、本方法は、PETを調製することを含むことができる。したがって、本方法は、重合性試薬からPETを重合することを含み得る。
【0038】
本方法は、PET:タルク比が約2:1~約1:2又は約1:1のPET/タルク混合物出力102を提供することを含むことができる。あるいは、提供されるPET/タルク混合物出力102は、約20%~約80%、約25%~約75%、約40%~約60%、又は約50%のPET濃度を有する。別の代替形態では、提供されるPET/タルク混合物出力102は、約20%~約80%、約25%~約75%、約40%~約60%、又は約50%のタルク濃度を有する。
【0039】
一実施形態では、提供されるPET/タルク混合物出力102は、約0.25~約0.7、又は約0.3~約0.65、又は約0.35~約0.6、又は約0.4~約0.5の固有粘度を有する。
【0040】
タルクを有するポリエチレンテレフタレート(PET)合金を形成する方法は、図2のシステム200で実行することができる。ポリエチレンテレフタレート(PET)合金タルクを形成するシステム200は、PETのフィード220(PETフィード)を含むことができ、これには、未使用のPET、リサイクルPET、又は他のPETソース(例えば、他のポリマー、添加剤などを含むか又は含まない)が含まれ得る。システム200はまた、図1のシステム100で使用される方法から得られるPET/タルク混合物出力102であり得るPET/タルクのフィード222(タルクフィード)を含むことができる。システム200は、PETフィード220の出口及びPET/タルクフィード222の出口に連結されたミキサー210を含むことができ、ミキサー210は、PETをPET/タルクと混合して、約1%(w/w)~約50%(w/w)のタルクを有するPET合金を形成することができる。システム200は、ミキサー110の出口に動作可能に連結された出力部136を含むことができ、出力部は、コンテナ、ポンプ、フローライン、加熱器、冷却器、押出機、ダイ、ペレタイザー、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0041】
一実施形態では、システム200は、PET供給部224に連結された入口を有するPETフィード220を含むことができる。PET供給部224は、図1のシステム100のPET供給部124と同じタイプであり得る。システム200は、PET前駆体試薬からPETを重合するように構成されたPET反応器システム128を含むことができる。システム200は、PET製品からPETをリサイクルするように構成されたPETリサイクルシステム130を含むことができる。システム200は、PET/タルクと混合するためにPETを調整するように構成されたPET調整システム132を含むことができ、調整は、加熱、PETペレット若しくはシート若しくは他のPET部材の細断、撹拌、押出し、乾燥、ガス抜き、又は他の調整の1つ以上から選択される。システム200は、固体PETペレット又は液体PETを有するPETリザーバ134を含むことができ、液体PETは溶融PETである。PETを適切な温度に加熱し、固体PETペレットを液化するために、加熱システムを含んでもよく、そのような加熱システムは、任意のシステム構成要素又はフローラインに含まれ得る。
【0042】
一実施形態では、システム200は、PET/タルク供給部226に連結された入口を有するPET/タルクフィード122を含むことができる。PET/タルク供給部226は、PET/タルク混合物出力202を含むことができ、固体ペレット形態又は溶融液体形態であり得る。一態様では、PET/タルク供給部226は、流動性形式のPET/タルクを含む、及び/又はPET/タルクを加熱して流動性形式(例えば、溶融PET/タルク液体)にするための加熱器を含む。一態様では、PET/タルクは、約0.25ミクロン~約100ミクロン、又は約0.5ミクロン~約75ミクロン、又は約0.75ミクロン~約0.5ミクロン、又は約1ミクロン~約40ミクロン、又は約5ミクロン~約30ミクロン、又は約10ミクロン~約25ミクロン、又は約15ミクロン~約20ミクロンのタルク粒子を含む。
【0043】
一実施形態では、ミキサー210は、バッチ又は連続形式で液体PETとPET/タルクとを混合可能な任意のミキサーであり、その例としては、一軸ミキサー、二軸ミキサー、連続混練機(例えば、B&P Littleford社製連続混練機、Buss社製混練機)、往復スクリューミキサー(例えば、B&P Littleford社製TriVolution)、二軸押出機(B&P Littleford社)、連続プラウミキサー(例えば、B&P Littleford社)などが挙げられる。ミキサー210は、脱気、均質化、分散、又は加熱のうちの1つ以上を実行するように構成される。
【0044】
一実施形態では、システム200は、貯蔵部238を含むことができる。貯蔵部238は、加熱された液体、又は固体(例えば、ペレット化された固体)などの任意の形式のPET合金を含み得る。
【0045】
システム200は、分析システム240を含むことができる。分析システム240は、様々な分析プロセスが可能な1つ以上の分析システムを含む。例えば、分析システム240は、溶融PET合金出力202の固有粘度を決定するように構成することができる。別の例では、分析システム240は、溶融PET合金出力202の流量を決定するように構成することができる。別の例では、分析システム240は、PET合金出力202の融点を決定するように構成することができる。別の例では、分析システム240は、PET合金出力202の結晶化温度を決定するように構成することができる。別の例では、分析システム240は、PET合金出力202の示差走査熱量測定プロファイルを決定するように構成することができる。別の例では、分析システム240は、PET合金出力202の熱変形温度を決定するように構成することができる。
【0046】
一実施形態では、システム200は、PET合金出力202を製造製品302に変換するように構成された製造システム300を含むことができる。製造システム300は、任意成分入力フィード320を含むことができる。任意成分入力フィード320は、PET合金に任意の成分を提供するように構成することができる。任意の成分は、充填剤、TiO、第2のポリマー、ガラスペレット、ガラス繊維、ガラス粒子、ナトリウムアイオノマー、ステアリン酸ナトリウム、核剤、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)若しくは他のポリアルキレンテレフタレート(PAT)、又はPET製造製品302のその他の成分から選択され得る。図3に示すように、製造システム300は、PET合金フィード301、流動性PET合金を含む1つ以上の流路308、ミキサー310、加熱システム312、PET合金押出成形品317を製造する押出機システム316、ポンピングシステム318、射出成形システム322、及び/又は冷却システム314のうちの1つ以上を含むことができる。
【0047】
一態様では、任意の成分は、ミキサー110に提供され、混合されてPET/タルク混合物出力102となり得るか、又はミキサー210に提供され、混合されてPET合金出力202になり得る。あるいは、提供されるPET220は、任意の成分を含み得るか、又は提供されるPET/タルク222は、任意の成分を含むように調製され得る。したがって、任意の成分は、本明細書に記載されている処理の任意の段階でPETに導入することができる。
【0048】
システム200は、本明細書に記載されているものなどの様々な修正を有することができる。一態様では、PETフィード220は、別のポリマーを含まない。一態様では、PET/タルクフィード222は、別のポリマーを含まない。一態様では、PETフィード220は、PETから本質的になる(又はそれからなる)。一態様では、PET/タルクフィード222は、(任意選択的に微量水を含んで)PET及びタルクから本質的になる(又はそれらからなる)。一態様では、PETフィード220は、溶融PETを含む。一態様では、PETフィード220は、5%未満、若しくは1%未満、若しくは0.1%未満の量の水、若しくは微量の水を含むか、又は水を含まない。
【0049】
一実施形態では、システム200は、PET/タルクフィード222と混合する前にPETフィード220を乾燥させる乾燥機を含むことができる。一実施形態では、システム200は、PETフィード220と混合する前にPET/タルクフィード222を乾燥させる乾燥機を含むことができる。そのような乾燥機は、システム200の任意の場所に含むことができ、又は任意の適切な構成要素に乾燥機を装備してもよい。乾燥機は、タルクを有するPET合金の処理及び調製を強化するために水の除去を促進することができる。
【0050】
一実施形態では、システム200は、PET:タルク比が約3:1~約1:3、又は約2:1~約1:2又は約1:1の提供されるPET/タルクフィード222を含むことができる。一態様では、提供されるPET合金出力202は、約50%~約99%、約25%~約75%、約40%~約60%、又は約50%のPET濃度を有する。一態様では、提供されるPET合金出力202は、約2%~約40%、約5%~約30%、約10%~約25%、又は約20%のタルク濃度を有する。
【0051】
一実施形態では、システム200の提供されるPETフィード220は、約0.6~約0.9、又は約0.625~約0.8、又は約0.65~約0.7など、0.55以上の固有粘度を有する。一態様では、提供されるPET合金出力102は、約0.5~約0.9、又は約0.6~約0.8、又は約0.625~約0.7、又は約0.65~約0.675の固有粘度を有する。
【0052】
一実施形態では、タルクを有するポリエチレンテレフタレート(PET)合金を形成する方法は、本明細書に記載されているシステム200で実行することができる。タルクを有するPET合金を形成する方法は、PETのフィード220(PETフィード)を提供すること、PET/タルクのフィード222(PET/タルクフィード)を提供すること、ミキサー210内でPETのフィード220をPET/タルクのフィード222と混合して、約1%(w/w)~約50%(w/w)のタルクを有するPET合金を形成すること、及び出力202としてPET合金を提供することを含むことができる。一態様では、PETフィード220は、本明細書で記載されているようなPET供給部224からのものである。一態様では、PET/タルクフィード122は、本明細書に記載されているようなPET/タルク供給部226からのものである。
【0053】
一実施形態では、本方法は、PET反応器システム128、PETリサイクルシステム130、PET調整システム132、又はPETリザーバ134のうちの1つ以上からPETフィードを受け取るPET供給部224を含むことができる。PET反応器システム128は、PET前駆体試薬からPETを重合することができる。PETリサイクルシステム130は、PET製品からPETをリサイクルすることができる。PET調整システム132は、PET/タルクと混合するためにPETを調整することができ、調整は、加熱、PETペレット若しくはシート若しくは他のPET部材の細断、撹拌、押出し、乾燥、ガス抜きの1つ以上から選択される。PETリザーバ134は、PETを固体状態(例えば、ペレット)で、又は液体PETとして保持することができ、液体PETは溶融PETである。
【0054】
一実施形態では、本方法は、タルクを得ることを含むことができる。タルクは、粒子として得るか、又は粉砕によって粒子に形成することができる。タルク粒子は、約0.25ミクロン~約100ミクロン、又は約0.5ミクロン~約75ミクロン、又は約0.75ミクロン~約0.5ミクロン、又は約1ミクロン~約40ミクロン、又は約5ミクロン~約30ミクロン、又は約10ミクロン~約25ミクロン、又は約15ミクロン~約20ミクロンであり得る。
【0055】
一実施形態では、本方法は、PETとタルクとを混合して、タルクを有するPET合金にするミキサー210を含む。そのような混合は、バッチ又は連続形式で液体PETとタルクとを混合可能な任意のミキサーによって行なうことができ、その例としては、一軸ミキサー、二軸ミキサー、連続混練機(例えば、B&P Littleford社製連続混練機、Buss社製混練機)、往復スクリューミキサー(例えば、B&P Littleford社製TriVolution)、二軸押出機(B&P Littleford社)、連続プラウミキサー(例えば、B&P Littleford社)などが挙げられる。一態様では、ミキサー210はまた、脱気、均質化、分散、又は加熱のうちの1つ以上を実行する。
【0056】
一実施形態では、PET合金出力202は、出力システム236に提供される。出力システム236は、PET合金を貯蔵部238又は分析システム240又は製造システム300に提供する。貯蔵部238は、PET合金を、加熱器を含めることなどによって液体として、又はペレットとして保持するように適合されてもよく、そのため、出力システム236は、PET合金をペレット化するためにペレタイザーを含み得る。一態様では、分析システム240は、PET合金に対して、以下の分析方法、溶融PET合金出力202の固有粘度を決定すること、溶融PET合金出力202の流量を決定すること、PET合金出力202の融点を決定すること、PET合金出力202の結晶化温度を決定すること、PET合金出力202の示差走査熱量測定プロファイルを決定すること、又はPET合金出力202の熱変形温度を決定することのうちの1つ以上を実行することができる1つ以上の分析システムを含む。一態様では、製造システム300は、PET合金出力202を製造製品に変換するように動作される。一態様では、製造製品は、PET合金ペレットであり得る。一態様では、製造製品は、システム300又は本明細書に記載されている他のシステムでPET合金に導入され得る他の成分を含むことができる。本明細書では、製造システム300をより詳細に説明する。
【0057】
一実施形態では、本方法は、別のポリマーを含まないPETフィード220を提供することを含む。一態様では、本方法は、別のポリマーを含まないPET/タルクフィード222を提供することを含むことができる。一態様では、本方法は、PETから本質的になる(又はそれからなる)PETフィード220を提供することを含むことができる。別の態様では、本方法は、(任意選択的に微量水を含んで)PET及びタルクから本質的になる(又はそれらからなる)PET/タルクフィード222を提供することを含むことができる。一態様では、本方法は、溶融PETとしてPETフィード220を提供することを含む。一態様では、本方法は、5%未満、若しくは1%未満、若しくは0.1%未満の量の水、若しくは微量の水を含むか、又は水を含まないPETフィード220を提供することを含む。
【0058】
一実施形態では、本方法は、PET/タルクフィード222と混合する前にPETフィード220を乾燥させることを含むことができる。一態様では、本方法は、PETフィード220と混合する前にPET/タルクフィード222を乾燥させることを含むことができる。
【0059】
一実施形態では、本方法は、重合性試薬からPETを重合することを含むことができる。
【0060】
一実施形態では、本方法は、PET:タルク比が約3:1~約1:3、又は約2:1~約1:2若しくは約1:1のPET/タルクフィード222を提供することを含むことができる。一態様では、本方法は、約60%~約99%、約70%~約95%、約75%~約90%、又は約80%のPET濃度を有するPET合金出力202を提供することを含むことができる。一態様では、本方法は、約1%~約40%、約5%~約30%、約10%~約25%、又は約20%のタルク濃度を有するPET合金出力202を提供することを含むことができる。
【0061】
一実施形態では、本方法は、約0.6~約0.9、又は約0.625~約0.8、又は約0.65~約0.7など、0.55以上の固有粘度を有するPETフィード220を提供することを含むことができる。一態様では、本方法は、約0.5~約0.9、又は約0.6~約0.8、又は約0.625~約0.7、又は約0.65~約0.675の固有粘度を有するPET合金出力102を形成することを含むことができる。
【0062】
一実施形態では、システム200は、PET合金出力202を製造製品302に変換するように構成された製造システム300を含むことができる。製造システム300は、任意成分入力フィード320を含むことができる。任意成分入力フィード320は、PET合金に任意の成分を提供するように構成することができる。任意の成分は、充填剤、TiO、第2のポリマー、ガラスペレット、ガラス繊維、ガラス粒子、ナトリウムアイオノマー、ステアリン酸ナトリウム、核剤、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)若しくは他のポリアルキレンテレフタレート(PAT)、又はPET製造製品302のその他の成分から選択され得る。
【0063】
図3に示すように、製造システム300は、PET合金フィード301、流動性PET合金を含む1つ以上の流路308、ミキサー310、システム300の任意の構成要素を加熱することができる加熱システム312、PET合金押出成形品317を製造する押出機システム316(例えば、PET合金押出成形品317をペレット化するためのペレタイザーも含み得る)、PET合金をシステム300内の任意の構成要素にポンピングすることができるポンピングシステム318、射出成形システム322、及び/又はシステム内の任意の構成要素を冷却することができる冷却システム314のうちの1つ以上を含むことができる。
【0064】
本明細書に記載されるように、システム100及び対応する方法は、PET及びタルクを含むポリエチレンテレフタレート/タルク(PET/タルク)混合物を調製することができる。PET/タルクは、PET中に様々な量のタルクを含み得る。したがって、PET:タルクは、タルクを有するPET合金を形成するためにPET/タルクを使用するのに適切な比を有し得る。PET/タルクは、約3:1~約1:3のPET:タルク比を含むことができるが、他の比率も可能である。
【0065】
PET/タルクは、タルク粒子を含むことができる。タルク粒子は、約0.25ミクロン~約100ミクロン、又は約0.5ミクロン~約75ミクロン、又は約0.75ミクロン~約0.5ミクロン、又は約1ミクロン~約40ミクロン、又は約5ミクロン~約30ミクロン、又は約10ミクロン~約25ミクロン、又は約15ミクロン~約20ミクロンであり得る。一態様では、PET/タルク混合物は、約2:1~約1:2又は約1:1のPET:タルク比を有する。一態様では、PET/タルク混合物は、約20%~約80%、約25%~約75%、約40%~約60%、又は約50%のPET濃度を有する。一態様では、PET/タルク混合物は、約20%~約80%、約25%~約75%、約40%~約60%、又は約50%のタルク濃度を有する。
【0066】
一実施形態では、PET/タルク混合物は、5%未満、若しくは1%未満、若しくは0.1%未満の量の水、若しくは微量の水を含むか、又は水を含まない。したがって、PET/タルクを形成するPET及び/又はタルクフィードは、水を含まないか、又は非常に少量の水を含み得る。
【0067】
一態様では、PET/タルク混合物は、約0.25~約0.7、又は約0.3~約0.65、又は約0.35~約0.6、又は約0.4~約0.5の固有粘度を有する。
【0068】
本明細書に記載されるように、システム200及び対応する方法は、タルクを有するポリエチレンテレフタレート合金を調製することができる。PET合金は、PET中に様々な量のタルクを含み得る。したがって、PET:タルクは、射出成形などの様々な製造製品を形成するのに適した比率のPET合金を有し得る。このようなPET合金は、PET及びタルクを含み得る。PET合金のPETは、第1の平均分子量を有するPETポリマーの第1の部分と、第2の平均分子量を有するPETポリマーの第2の部分とを含み得る。第1の平均分子量は、第2の平均分子量未満である。タルクは、PET中に少なくとも1%かつ50%未満の量で存在する。
【0069】
高分子量のPET鎖は、強度は高くなるが流動性は低下する。通常、流動性を改善するための任意の処理によって強度が犠牲になる、トレードオフの関係にある。このPET合金は、優れた流動性及び優れた強度を提供する。図5Cに示すように、PET合金は、二峰性のPETと見なすことができる。図5Aは、通常のPETの平均分子量分布を示し、より低い分子量では、流動性に優れるが強度は低く、より高い分子量では、強度に優れるが流動性は悪い。図5Bは、より低い平均分子量分布を示し、流動性に優れるが強度が低いPETポリマーがより多い。図5Bでは、タルク又はタルク内の水からの加水分解などにより、PETポリマー鎖が短縮されて良好な流動性を示すが、より短い鎖は効果的に絡み合うほど十分に長くないため、PETの強度は低下する。図5Cは、流動性に優れるが強度が低い部分と、通常のPETである部分とを有するPET合金を示し、より低い分子量部分は、合金の強度を大幅に低下させることなく優れた流動性を得ることに寄与する。低分子量、高流動性のPET/タルク混合物を製造し、少量のPET/タルク混合物を未使用の高分子量PETと組み合わせることにより、驚くべきことに、優れた強度を保持しながら流動性が非常に優れたPET合金材料が得られることがわかった。図5A図5Cの図は、例示のみを目的とする。
【0070】
一実施形態では、タルクの大部分は、PETポリマーの第1の部分のPETポリマーに関連している。タルクはPETの分子量を低下させることができ、それによりPET/タルク中のPETは、PET/タルクを形成するために使用されるPET及び/又はPET合金を形成するために使用されるPETよりも小さい分子量を有し得ることが見出された。PET/タルク中のPETは、第1の平均分子量の分子量を有し得る。システム100又はシステム200に供給されるPETは、第2の平均分子量を有し得る。
【0071】
一実施形態では、PET合金は、PET全体に不均一に分布するタルクを含む。場合によっては、PETとPET/タルクとを一緒に完全に混合することなく、ある部分が他の部分よりも多くのPET/タルクを有するように、PET合金を調製することができる。これは、射出成形などのPET合金の加工を容易にするのに役立つ。あるいは、PET合金は、PET全体に均一に分布するタルクを含む。一貫性及び組成が重要な一部の製品では、PET全体でタルクを均一に混合することに価値がある場合がある。
【0072】
一実施形態では、PET合金は、約0.25ミクロン~約100ミクロン、又は約0.5ミクロン~約75ミクロン、又は約0.75ミクロン~約0.5ミクロン、又は約1ミクロン~約40ミクロン、又は約5ミクロン~約30ミクロン、又は約10ミクロン~約25ミクロン、又は約15ミクロン~約20ミクロンのタルク粒子を含む。
【0073】
一実施形態では、PET合金は、5%未満、又は1%未満、若しくは0.1%未満の量の水、若しくは微量の水を含むか、又は水を含まない。
【0074】
一実施形態では、PET合金は、約60%~約99%、約70%~約95%、約75%~約90%、又は約80%のPET濃度を有する。
【0075】
一実施形態では、PET合金は、約1%~約40%、約5%~約30%、約10%~約25%、又は約20%のタルク濃度を有する。
【0076】
一実施形態では、PET合金は、約0.5~約0.9、又は約0.6~約0.8、又は約0.625~約0.7、又は約0.65~約0.675の固有粘度を有する。
【0077】
PET合金は、任意の成分を含み得る。任意の成分は、充填剤、TiO、第2のポリマー、ガラスペレット、ガラス繊維、ガラス粒子、ナトリウムアイオノマー、ステアリン酸ナトリウム、核剤、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)若しくは他のポリアルキレンテレフタレート(PAT)、又はPET製造製品302のその他の成分から選択され得る。一態様では、PET合金は、TiOを含む。
【0078】
一実施形態では、PET合金は、タルク粒子とTiO粒子との組み合わせを、約1%~約40%、約5%~約30%、約10%~約25%、又は約20%の合計濃度で有する。一実施形態では、PET合金は、約1%~約40%、約5%~約30%、約10%~約25%、又は約20%の濃度のTiO粒子を有する。一実施形態では、PET合金は、約1%~約40%、約5%~約30%、約10%~約25%、又は約20%の濃度の任意成分を有する。
【0079】
一実施形態では、PET合金は、約240℃~約250℃、又は約245℃の溶融温度を有する。
【0080】
一実施形態では、PET合金は、約3~6CC/(m/日)、+/-25%、20%、15%、10%、5%、2%、又は1%の酸素透過率を有する。一態様では、PET合金は、PET合金が約3.6CC/(m/日)、+/-25%、20%、15%、10%、5%、2%、又は1%の酸素透過率を有するように約10%(w/w)のタルクを有する。一態様では、PET合金は、PET合金が約5.6CC/(m/日)、+/-25%、20%、15%、10%、5%、2%、又は1%の酸素透過率を有するように約20%(w/w)のタルクを有する。
【0081】
一実施形態では、PET合金は、約200℃~約230℃、又は約210℃~約220℃、又は約212℃の結晶化温度を有する。
【0082】
一実施形態では、PET合金は、製造製品を形成するための射出成形に使用することができる。したがって、射出成形システム400は、PET合金を含む射出成形品402を形成するために、図4に示すようなPET合金のフィード420を含み得る。PET合金フィード420は、液体PET合金(例えば、溶融PET合金)であり得る。しかしながら、射出成形システム400は、液体PET合金としての流動性を得るためにPET合金フィード420を加熱するPET合金加熱器424を含み得る。加熱器424は、ペレット428、加熱液体PET合金430として、又はPET432としてPET/タルク434とともに、PET合金を受け取ることができ、PET合金は、本明細書に記載のミキサーなどのミキサーとして構成された加熱器424で混合される。加熱器424は、PET合金フィード420を押出機410に提供することができる。任意選択的に、乾燥及び/又は濾過されたPET合金ペレットフィード422が、PET合金乾燥及び/又は濾過装置426から押出機410に提供されてもよい。
【0083】
PET合金は、射出成形システム400で、及び射出成形システムのインライン濾過システムを介して処理することができる。PET合金ペレットは、乾燥ホッパーを介してシステム400に供給することができ、乾燥ホッパーは次に、押出機410の可塑化スクリューの入口端に供給する。可塑化押出しスクリューは、バレルヒーターによって加熱されるバレル(すなわち、押出機410)に封入されている。スクリューのヘリカルフライト(又は他のフライト)によって、PET合金は、スクリューの操作軸に沿って搬送される。典型的には、スクリューの谷径は、スクリューの操作軸に沿って、入口端から離れる方向に徐々に大きくなる。所望の量のPET合金溶融物が押出機410に蓄積されると、溶融物アキュムレータ440に移送され、溶融物アキュムレータ440は、溶融PET合金を金型キャビティ438に射出する機能を実行する射出プランジャを備え得る。
【0084】
押出機410と溶融物アキュムレータ440との間で流体連通して配置された溶融物フィルタ436は、インラインの濾過ステップを実行する。溶融物フィルタ436の目的は、押出機410から溶融物アキュムレータ440に移送されるPET合金材料から不純物及び他の異物を濾過することである。溶融物フィルタの特定の実装は、特に限定されず、例として、ノースカロライナ州マシューズのGneuss Inc.社(www.gneuss.com)の既製のフィルタを使用して、溶融物フィルタ436を実装することができる。
【0085】
インライン濾過ステップは、濾過されるPET合金の流入を可能にする入口と、濾過されたPET合金の流出を可能にするフィルタ出口とを有する溶融物フィルタ436において実施され得る。溶融物フィルタ436は、フィルタ入口とフィルタ出口との間に配置された濾過部材を含む。
【0086】
金型439は、金型キャビティ438を満たすようにPET合金を受け入れる。これは、そのような射出成形システムでは十分に射出されない従来のPETに対して進歩性がある。ここで、金型キャビティ438は、射出成形品を損なうエアギャップを伴わずにPET合金で完全に満たすことができる。これにより、PET合金を射出成形して、成形されたPET製造製品402にすることができる。
【0087】
一実施形態では、金型システムは、金型キャビティ438を有する金型439を含むことができる。PET合金は、第1の平均分子量を有するPETポリマーの第1の部分と、第2の平均分子量を有するPETポリマーの第2の部分とを含むPETを有することができ、第1の平均分子量は第2の平均分子量未満である。PET合金は、PET中にタルクを有することができ、タルクは、少なくとも1%かつ50%未満の量で存在する。PET合金は、金型439の金型キャビティ438を完全に満たす。
【0088】
本明細書に記載されるシステム及び方法は、多くのPET製品を調製するために使用することができ、射出成形などの様々な加工技術で使用することができる新規のPET合金を提供する。これにより、PET合金を金型に射出して、薄肉の製品を形成することが可能になる。さらに、PET合金は、液体PET合金から固体PET合金へのサイクルタイムがPETサイクルタイムに比べて大幅に短縮されるため、射出成形が可能となる。
【0089】
また、PET合金は、PETと比較して改善された熱変形温度を有する。PETの熱変形温度(HDT)は、0.46MPa(すなわち、66psi)で66℃を超える場合があり、0.46MPaで68℃~0.46MPaで約95℃、又は0.46MPaで約70℃~0.46MPaで約90℃、又は0.46MPaで約72℃~0.46MPaで約88℃の範囲であり得る。これにより、PET合金を有する製造製品は、高温の液体飲料などの高温材料を含有又は保持することができる製品となることができ、それにより、PET合金を使用して、高温飲料の容器を製造製品として調製することができる。さらに、多くの製造工程で容器に高温の材料が充填され、その後、高温材料は容器内で冷却される。したがって、PET合金のHDTが改善されたことにより、PET合金を製造工程で高温の液体を中に入れる容器として使用することが可能になる。PET合金は、座屈又はその他の好ましくない歪みなしに容器の形状を保持する。一態様では、PET合金は十分なHDTを有し、それによりPET合金によって食器洗い機対応の製品を形成することができる。一態様では、PET合金は十分なHDTを有し、それによりPET合金によって電子レンジ対応の製品を形成することができる。PET合金は簡単に折れる特性を示すため、ヨーグルトのマルチパック及び医療用ブリスターパックなどの切込み付き最終製品並びに関連製品で役立つ。
【0090】
本明細書ではPETについて説明したが、本システム及び方法を使用して、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)を調製することもできる。
【化3】
【0091】
ポリアルキレンテレフタレート(PAT)構造では、nは任意の適切な整数であってもよく、例えば、1(ポリメチレンテレフタレート(PMT))、2(ポリエチレンテレフタレート(PET))、3ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、4(ポリブチレンテレフタレート(PBT))、又は5ポリペンチレンテレフタレート(PPentT)など(例えば、nは、6、7、8、9、10などである)であり得る。したがって、本明細書に記載の方法及びシステムは、任意の適切なポリアルキレンでの使用に適合させることができる。すなわち、PET/タルク中のPETは、PAT/タルクを形成するために、任意のPATで置き換えてもよい。PET合金中のPETは、PAT合金を形成するために、任意のPATで置き換えてもよい。場合によっては、PAT/タルクは、第1のPAT(例えば、PET)を含んでもよく、PAT/タルクと混合された未使用のPATは、第2の異なるPAT(例えば、PBT)を含んでもよく、その結果、PAT合金は、タルクを含む2つの異なるPATを有する。
【0092】
したがって、本明細書で説明されるシステム及び方法はPETに関するが、そのようなシステム及び方法は、PBTなどの任意の適切なPATを含んでもよい。
【実施例
【0093】
PET合金は、最初にPET/タルク混合物を調製し、次にPET合金を調製することによって調製した。PET(例えば、タルクなし)、50重量%のPET及び50重量%のタルクを有するPET/タルク、80%のPET及び20重量%のタルクを有するPET/タルク、並びに80%のPET及び20重量%のタルクを有するPET合金の間で比較を行なった。パラメータを表1に示す。
表1
【表1】
【0094】
表1は、IV(固有粘度)を示し、これは、PET、未乾燥のPET中に50(重量)%のタルクを含むPET/タルク、合金製造の中間ステップなしで20%のタルクを直接PETに添加したポリマーであるPET/タルク2、及びPET合金のポリマー内の分子のサイズを表す。数値からわかるように、PET合金は結晶化度がより低く、IVがより低い。直接添加の例では、IVが低すぎるため、射出成形によって製造される最終製品には有用ではない。このように、PET合金は、多大な利益をもたらす。
【0095】
タルクを含むPET合金とタルクを含まないPETとの間の流動性の違いを試験するために、比較研究を行なった。試験を行なったフォークは0.023インチの厚さのフォークであり、フォークの金型は250MT Krauss Maffei射出成形機で試験した。PET合金は金型を満たしたが、圧力を最大にしてサイクルタイムを長くしてみても、PETは金型を満たさなかった。したがって、PET合金は、好ましくないエアギャップなしで金型スペースを充填できるため、射出成形に使用することができる。
【0096】
PET合金は、標準的な手順に従って示差走査熱量測定(DSC)を使用して調製及び試験した。PET、タルク充填PETシート、110℃で熱成形されたPET合金(110 PET合金)、120℃で熱成形されたPET合金(120 PET合金)、125℃で熱成形されたPET合金(125 PET合金)、及び105℃で熱成形されたPET合金(105 PET合金)の試験を行なった。図6Aは、PETのDSCサーモグラムのオーバーレイを示す。図6Bは、タルク充填PETシートのDSCサーモグラムのオーバーレイを示す。図6Cは、110 PET合金のDSCサーモグラムのオーバーレイを示す。図6Dは、120 PET合金のDSCサーモグラムのオーバーレイを示す。図6Eは、125 PET合金のDSCサーモグラムのオーバーレイを示す。図6Fは、125 PET合金のDSCサーモグラムのオーバーレイを示す。データによって、以下の図7に示す情報が得られた。さらに、以下のパーセント結晶化度を測定した:PET5.3%、タルク充填PETシート13.5%、110℃で熱成形されたPET合金(110 PET合金)25.8%、120℃で熱成形されたPET合金(120 PET合金)27.2%、125℃で熱成形されたPET合金(125 PET合金)29.5%、105℃で熱成形されたPET合金(105 PET合金)23.8%。PET合金は、16%のタルクを含んでいた。そのため、タルクの量を増大又は減少させて値を調整することができ、タルクがより少ない場合、PET値に近づき、タルクがより多い場合、PET値から離れる。
【0097】
タルク充填剤の存在は一般に熱転移温度を低下させることがわかった。最初の加熱サイクルでは、未充填のPETシート(PETのみ)の溶融温度は約252℃であったが、他のサンプルは245℃~247℃で溶融した。両方の加熱サイクルにおいて他の遷移も同様に影響を受けた。結晶化度は処理温度に依存することが観察された。サンプルは、温度の上昇とともに結晶化度の上昇を示した。結晶化度の増加は、タルクがPETの結晶化の核となっていることを証明している。結晶化度の増加は、降伏強度及び遮断性を改善することがよく知られている(結晶は不透過性である)。最も重要なこととして、高いHDTを実現するためには、結晶化度に加えてタルクなどの強化充填剤が必要であり、これは、タルクを有するPET合金で達成される。
【0098】
図8は、PET(コントロール)、10%タルクを含むPET合金(VF2)、及び20%タルクを含むPET合金(VF4)のガス透過性データを示す。このデータは、標準のPETの酸素透過率が8.67CC/(m/日)であるのに対し、PET合金材料の値は35%及びほぼ60%弱であることを示す。他のガスの透過性は、同じ量だけ変化する。ガス透過性の低下は、食品の鮮度をより長く保つのに役立つため、食品包装用途に役立てることができ、これは、PETを食品容器で利用できることを示す。
【0099】
希釈溶液粘度測定は、PET、PET 20%タルク(例えば、20重量%タルクを含むPET)、及びPET合金(例えば、50重量%タルクを40%及びPETを60%含むPET)で行った。各試験片のサンプル質量を調整して、充填剤の含有量が適切になるようにした。各サンプルの一部を、メルカプトプロピオン酸イソオクチル安定剤を含む60/40フェノール/1,1,2,2テトラクロロエタンに加熱しながら溶解した。溶液を合計3時間10分加熱した。次に溶液を金網で濾過し、粘度をウベローデ1B粘度計で30.00℃で測定した。固有粘度は、ビルマイヤー(Billmeyer)の近似を使用して計算された固有粘度と同様に、以下のように報告される。PETの固有粘度は0.654(dL/g)、及び0.684(dL/g)であった。PET 20%タルクの固有粘度は、0.467(dL/g)、及び0.482(dL/g)であった。PET合金の固有粘度は、0.636(dL/g)、及び0.664(dL/g)であった。これらの3つのPET組成物は、DSCでも試験し、図9のデータが得られた。これらの3つのPET組成物の結晶化度は、以下のように測定された:PET 30.7%、PET 20%タルク13.0%、及びPET合金34.4%。PET 20%タルク及びPET合金組成物は、サイズ排除クロマトグラフィーを受け、図10のデータが得られた。屈折率(RI)クロマトグラム、累積モル質量分布プロット、微分モル質量分布を検量線と比較して、モル質量平均(Mn(数平均)、Mw(重量平均)、及びMz(Z平均)、並びに多分散性(Mw/Mn))を決定した。データは、PET合金がPET 20%タルクサンプルよりもモル質量が大きいことを示した。PET合金は、より広い分布と一致して、より大きな多分散性指数も示した。固有粘度のみを試験したニートPETサンプルは、PET合金及びPET 20%タルクサンプルよりもモル質量が大きい。PET 20%タルクサンプルは、247℃で溶融ピークを示した。ニートPETサンプル及びPET合金はいずれも、それぞれ最大およそ233℃及び247℃の二峰性の溶融ピークを示した。PET 20%タルクサンプルの受け取ったままの結晶化度は、ニートPET(40%)及びPET合金(34%)の結晶化度と比較して13%と大幅に低かった。
【0100】
分子量は、実施例に示すように定義することができる。少量の低分子量PETと大画分の高分子量PETとのブレンドは、分子量に関係なく有効であるはずである。しかしながら、実際的な目的のためには、より高い分子量の成分の分子量がもつれを形成するには不十分である場合、機械的特性、特に強度は低すぎるであろう。例えば、高分子量画分(例えば、未使用のPET又はPAT)のIVは0.55を超える必要がある。
【0101】
さらに、図11に示すように、PET及びタルクを含むPET合金について、タルクの重量パーセントの範囲にわたってHDTを試験した。したがって、タルクの量が増加するにつれて、HDTは増加し、これは、PET合金がPETよりも使用温度が高い製品に使用できることを示す。図12は、ガラス繊維を追加すると、HDTがさらに増加し、曲げ弾性率(Kpsi)、及び曲げ強度(psi)が増加することを示す。
【0102】
さらに、PET合金(図13A)を汎用ポリスチレン(GPPS)(図13B)と比較して、機械的特性を調べた。PET合金はGPPSよりも優れた機械的特性を示し、PET合金は同等のコストで調製することができる。
【0103】
したがって、本明細書に記載のシステム及び方法によってPET及びPET/タルクの2段階調製から調製されたPET合金は、広範囲の製造技術で多数の製造製品を調製するための有用なプラスチックとなり得る。これにより、PET合金を射出成形で使用して、薄肉の成形品を製造することができる。
【0104】
PET/タルクは、実験で使用するために、本明細書に記載のように調製した。そのようなプロセスの例を示す。PETフィードを60%とタルクフィードを40%とを、バレル温度が約517°F~565°F(例えば、500°Fを超える)の押出機に提供し、混合物が押出機に押し出されるときに混合した。ヘッド圧力は約370psi、吸引圧力は293psi、吐出圧力は424psi、溶融圧力は266psiであった。押出機は、145.5RPM、49.7のトルクで運転、ギアポンプは、17RPM、7.1のトルクで運転した。温度が約530°Fの様々なダイゾーンがあった。スループットは約1098lbs/時間であった。固有粘度は約0.656であった。様々な割合のPETとタルクとを、同様の操作パラメータで調製することができる。
【0105】
さらに、PET/タルクは、PET合金を調製するために、いくつかの変形例を用いて、同様の操作パラメータを使用して未使用のPETと混合した。PET/タルク又はPET合金を調製するためのこれらのパラメータ値は、+/-1、2、3、5、10、15、20、25、30、又は50%変動し得る。
【0106】
PET合金を使用して、正常に射出成形を行ない、PET合金を金型に充填した。単一のキャビティのホットランナーを例として使用したが、複数のキャビティも正常に使用されている。成形機は、KM 120で、スプルーの半径は3.4インチ及び9.32インチ開口であった。バレル温度は、全長にわたって470°F、465°F、460°F、455°F、445°Fであった。射出速度は、約2インチ/秒で、7500psiの射出圧力及び5000psiの保持圧力に設定した。可塑化速度は約200RPMであった。冷却時間は約2秒で、サイクルタイムは8.67秒であった。射出時間は約0.44秒であった。金型の冷却温度は、前部が約65°F、後部が90°Fであった。ゲートは0.031ピンゲートであった。これは、PET合金を射出成形で使用して、調理器具、食品容器、高温製品の容器、プレート、及びその他の製造製品まで様々な射出成形品を製造できることを示す。
【0107】
射出成形フォークの場合、PPコポリマーのサイクルタイムは7.1秒であったが、本明細書に記載のPET合金材料は6.2秒で成形することができる。さらに、PPフォークは薄すぎて剛性が不十分で、フォークとして使用できなかったが、PET合金材料は、より硬く、使用可能なフォークをもたらした。金型温度は、100°F~60°Fで変更した。バルブゲートは、約650°Fであった。金型温度をさらに50°Fまで下げた場合、サイクルタイムはわずか5.9秒であった。マスターバッチ濃縮液を介して、PET合金材料に黒色を加えた。色は均一で、サイクルタイムは影響を受けなかった。すべての試験は、再現性を保証するために、多回数及び安定状態条件で行った。この試験は、120トンのKrauss Maffei射出成形機で行った。他の成功した試験は、様々なゲート/ランナー構成を有する異なるマシンで実行した。PET合金フォークの重量平均は2.8gであったが、同じ金型で製造されたPPフォークの重量は1.7gであった。
【0108】
別の試験では、汎用ポリスチレンをPET合金材料と比較した。試験では、カトラリーの製造に一般的に使用されているIneos Styrolution 3600/3601グレードの汎用ポリスチレン(GPPS)を使用した。GPPSの成形プロセスは、全体のサイクルタイムが8.67秒に改善された。フォークの肉厚は0.023で、これは改良型PETの場合には十分であるが、弱く脆い汎用ポリスチレンフォークが製造された。直径0.026のホットピンゲートを使用した。PET合金材料のサイクルタイムは9.6秒であった。
【0109】
油圧クランプ及び24オンスのバレルを備えた1991式の350トンのKrauss Maffei射出成形機を利用して、さらなる試験を行なった。いわゆる「ホット・トゥ・コールド(hot-to-cold)」タイプの25個のキャビティスプーン型を使用した。15%及び20%のタルクを含むPET合金材料は、どちらも良質の成形部品及びサイクルタイムをもたらした。
【0110】
本明細書で開示されるこの及び他のプロセス及び方法について、プロセス及び方法で実行される動作は、異なる順序で実装されてもよい。さらに、概説された操作は例としてのみ提供されており、一部の操作は任意であり、開示される実施形態の本質を損なうことなく、より少ない操作に結合され、排除され、さらなる操作で補足され、又は追加の操作に拡張され得る。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B