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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】プラズマ照射装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/26 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
H05H1/26
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022166222
(22)【出願日】2022-10-17
【審査請求日】2023-09-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中埜 吉博
(72)【発明者】
【氏名】松元 裕次
(72)【発明者】
【氏名】杉山 有美
(72)【発明者】
【氏名】曽根 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】野又 郁実
(72)【発明者】
【氏名】安部 快彦
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/256030(WO,A1)
【文献】特開2022-011605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/26
A61C 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に向かってガスを誘導するガス誘導路と、
前記ガス誘導路内でプラズマを発生させる放電部と、を有するプラズマ照射装置であって、
把持部として機能する基部と、
前記ガス誘導路の前記先端部と、前記放電部と、を有し、前記基部に対して着脱可能に取り付けられる着脱部品と、を備え
前記放電部は、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に介在する誘電体層を含む誘電体、のみによって構成され、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印加されることに応じて前記ガス誘導路内でプラズマを発生させ、
前記ガス誘導路は、前記基部に設けられる第1流路と、前記着脱部品に設けられる第2流路と、を有し、
前記プラズマ照射装置は、前記第1電極に電気的に接続される第1配線と、前記第2電極に電気的に接続される第2配線と、を有し、
前記第1配線は、前記基部に設けられる第1導電路と、前記着脱部品に設けられる第2導電路と、を有し、
前記第2配線は、前記基部に設けられる第3導電路と、前記着脱部品に設けられる第4導電路と、を有し、
前記基部は、前記着脱部品に接続される第1コネクタ部を有し、
前記着脱部品は、前記第1コネクタ部に接続される第2コネクタ部を有し、
前記第1流路の一端、前記第1導電路の一端、及び前記第3導電路の一端は、それぞれ前記第1コネクタ部に設けられ、
前記第2流路の一端、前記第2導電路の一端、及び前記第4導電路の一端は、それぞれ前記第2コネクタ部に設けられ、
前記第1コネクタ部に前記第2コネクタ部が接続されたときに、前記第1流路から前記第2流路にガスを供給可能な状態となり、前記第1導電路に前記第2導電路が電気的に接続され、前記第3導電路に前記第4導電路が電気的に接続される
プラズマ照射装置。
【請求項2】
前記放電部は、前記着脱部品における前記先端部側に配置される
請求項1に記載のプラズマ照射装置。
【請求項3】
前記着脱部品は、前記放電部の先端面を覆う絶縁性の先端保護部を有する
請求項2に記載のプラズマ照射装置。
【請求項4】
前記誘電体の先端は、前記第1電極及び前記第2電極のいずれよりも前記先端部側に配置され、前記着脱部品の先端に露出する
請求項に記載のプラズマ照射装置。
【請求項5】
前記放電部は、前記ガス誘導路の少なくとも一部を構成する中空状をなし、
前記着脱部品は、前記放電部の外周を覆う絶縁性の外周保護部を有する
請求項に記載のプラズマ照射装置。
【請求項6】
前記基部は、入力電圧を昇圧して昇圧した電圧を前記放電部に印加する昇圧回路部を有する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のプラズマ照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラズマを照射するプラズマ照射装置が開示されている。プラズマ照射装置は、歯科治療などの手術に用いられる。プラズマ照射装置におけるプラズマを照射する部分の周辺では、照射対象からの飛散物が付着しやすい。しかし、特許文献1では、プラズマ照射装置におけるプラズマを照射する部分を含むノズルが、着脱可能となっている。このため、照射対象からの飛散物がノズルに付着しても、ノズルだけの交換が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-10770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成では、プラズマ発生部からノズルの先端(プラズマを照射する部位)までの距離が長くなりやすく、当該距離が長くなると、ノズルの先端(プラズマを照射する部位)からプラズマが照射されにくくなる。
【0005】
本発明は、プラズマを照射する部位を交換可能とし、且つプラズマ照射装置からプラズマが照射されやすい技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔1〕本開示のプラズマ照射装置は、
先端部に向かってガスを誘導するガス誘導路と、
前記ガス誘導路内でプラズマを発生させる放電部と、を有するプラズマ照射装置であって、
把持部として機能する基部と、
前記ガス誘導路の前記先端部と、前記放電部と、を有し、前記基部に対して着脱可能に取り付けられる着脱部品と、を備える。
【0007】
上記プラズマ照射装置は、放電部でプラズマ化したガスが、プラズマ照射装置のガス誘導路の先端部から、照射対象に向けて照射されるが、照射対象からの飛散物が付着しやすい上記先端部を有する着脱部品を交換することができる。しかも、放電部が着脱部品側に配置されるため、放電部から上記先端部までの距離を短くすることができる。したがって、この構成によれば、プラズマを照射する部位が交換可能となり、且つガス誘導路の先端部からプラズマが照射されやすくなる。
【0008】
〔2〕前記放電部は、第1電極、第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に介在する誘電体層を含む誘電体、のみによって構成され、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧が印加されることに応じて前記ガス誘導路内でプラズマを発生させてもよい。
【0009】
この構成によれば、放電部を、第1電極と第2電極と誘電体とによって構成される簡素な構成とすることができる。
【0010】
〔3〕前記〔2〕のプラズマ照射装置において、前記放電部は、前記着脱部品における前記先端部側に配置されてもよい。
【0011】
放電部が、着脱部品におけるガス誘導路の先端部から後端側に離れて配置されると、プラズマのエネルギーが減衰してプラズマ化したガスの量が減衰していくため好ましくない。そのため、上記プラズマ照射装置では、放電部が着脱部品におけるガス誘導路の先端部側に配置される。このため、上記プラズマ照射装置は、プラズマ化したガスがガス誘導路の先端部からより一層照射されやすくなる。
【0012】
〔4〕前記〔2〕又は〔3〕のプラズマ照射装置において、前記着脱部品は、前記放電部の先端面を覆う絶縁性の先端保護部を有してもよい。
【0013】
この構成によれば、放電部を着脱部品におけるガス誘導路の先端部側に配置しつつも、放電部の先端面を照射対象からの飛散物から保護し、且つ放電部よりも先端側の絶縁性を高めることができる。
【0014】
〔5〕前記〔2〕又は〔3〕のプラズマ照射装置において、前記誘電体の先端は、前記第1電極及び前記第2電極のいずれよりも前記先端部側に配置され、前記着脱部品の先端に露出してもよい。
【0015】
この構成によれば、放電部を着脱部品におけるガス誘導路の先端部側に配置しつつも、誘電体によって第1電極及び第2電極よりも先端側の絶縁性を確保することができる。
【0016】
〔6〕前記〔2〕又は〔3〕のプラズマ照射装置において、前記放電部は、前記ガス誘導路の少なくとも一部を構成する中空状をなしてもよい。前記着脱部品は、前記放電部の外周を覆う絶縁性の外周保護部を有してもよい。
【0017】
この構成によれば、放電部の外周を保護しつつ、放電部よりも外周側の絶縁性を高めることができる。
【0018】
〔7〕前記〔2〕から〔6〕のいずれかのプラズマ照射装置において、前記ガス誘導路は、前記基部に設けられる第1流路と、前記着脱部品に設けられる第2流路と、を有してもよい。前記プラズマ照射装置は、前記第1電極に電気的に接続される第1配線と、前記第2電極に電気的に接続される第2配線と、を有してもよい。前記第1配線は、前記基部に設けられる第1導電路と、前記着脱部品に設けられる第2導電路と、を有してもよい。前記第2配線は、前記基部に設けられる第3導電路と、前記着脱部品に設けられる第4導電路と、を有してもよい。前記基部は、前記着脱部品に接続される第1コネクタ部を有してもよい。前記着脱部品は、前記第1コネクタ部に接続される第2コネクタ部を有してもよい。前記第1流路の一端、前記第1導電路の一端、及び前記第3導電路の一端は、それぞれ前記第1コネクタ部に設けられてもよい。前記第2流路の一端、前記第2導電路の一端、及び前記第4導電路の一端は、それぞれ前記第2コネクタ部に設けられてもよい。前記第1コネクタ部に前記第2コネクタ部が接続されたときに、前記第1流路から前記第2流路にガスを供給可能な状態となり、前記第1導電路に前記第2導電路が電気的に接続され、前記第3導電路に前記第4導電路が電気的に接続されてもよい。
【0019】
この構成によれば、第1コネクタ部に第2コネクタ部が接続されるだけで、第1流路から第2流路にガスを供給可能な状態となり、基部側から第1電極と第2電極との間に電圧を印加する電気経路を構成することができる。
【0020】
〔8〕前記〔1〕から〔7〕のいずれかのプラズマ照射装置において、前記基部は、入力電圧を昇圧して昇圧した電圧を前記放電部に印加する昇圧回路部を有してもよい。この構成によれば、基部よりも後方から昇圧された電力が供給される構成と比較して、放電部の近くで昇圧することができるため、電力損失が少ない。しかもこの構成によれば、着脱部品の交換時に昇圧部を交換しなくて済む。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、プラズマを照射する部位が交換可能となり、且つプラズマ照射装置からプラズマが照射されやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、第1実施形態のプラズマ照射システムを概略的に例示する構成図である。
図2図2は、基部に着脱部品が取り付けられる前の状態を例示する側面図である。
図3図3は、基部に着脱部品が取り付けられた状態を例示する側断面図である。
図4図4は、着脱部品の側断面図である。
図5図5は、第2実施形態の着脱部品の側断面図である。
図6図6は、第3実施形態の着脱部品の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.第1実施形態
1-1.プラズマ照射装置100の構成
本開示の一例であるプラズマ照射装置100を図1に示す。図1のプラズマ照射装置100は、低侵襲の低エネルギーのプラズマPを照射する。プラズマ照射装置100は、例えば施術対象の生体組織に対して止血などを行い得る手術用装置として構成される。プラズマ照射装置100は、プラズマ照射器具20と、ガス供給装置102と、電源装置104と、を備える。
【0024】
ガス供給装置102は、ヘリウムガス等の不活性ガス(以下、単にガスともいう)を供給する装置である。ガス供給装置102は、例えば、プラズマ照射器具20とガス供給装置102との間に介在する可撓性の管路(図示省略)を介して後述するガス誘導路22に不活性ガスを供給する。ガス供給装置102は、例えばボンベ等から供給される高圧ガスを減圧するレギュレータと、流量制御を行う制御部とを含む。
【0025】
電源装置104は、後述する放電部23の第1電極31と第2電極32との間に所望の電圧を印加するための装置である。図3に示すように、第1電極31は、第1配線36Aを介して電源(例えば商用電源やバッテリ)の高電位側に電気的に接続されている。第2電極32は、第2配線36Bを介してグラウンドに電気的に接続されている。第1配線36A及び第2配線36Bには、電圧を昇圧する昇圧回路部39が設けられている。電源装置104は、第2電極32をグラウンド電位に保ちながら、第1電極31と第2電極32との間に所定周波数の交流電圧を印加する。なお、電源装置104が発生させる高電圧の周波数は、一定値に固定された周波数であってもよく、変動してもよい。また、電源装置104が第2電極32と第1電極31との間に印加する電圧は、周期的に変化する電圧であればよく、正弦波の交流電圧であってもよく、非正弦波(例えば、矩形波、三角波など)の交流電圧であってもよい。
【0026】
1-2.プラズマ照射器具20の構成
プラズマ照射器具20は、例えば、手術を行う術者によって把持されて使用される器具である。プラズマ照射器具20は、施術対象の生体組織等に対して非接触の状態で使用されることが想定されている。図4に示すように、プラズマ照射器具20は、基部15と、着脱部品12とに分離可能である。
【0027】
基部15は、図2に示すように、所定方向(より具体的には、先後方向)に長い形態をなしている。基部15は、把持部として機能する。基部15は、第1ケース16を有する。第1ケース16は、基部15の外殻をなす。第1ケース16は、絶縁性を有し、例えば樹脂材料を用いて構成される。第1ケース16は、所定方向(より具体的には、先後方向)に長い筒状をなしている。基部15(より具体的には、基部15の先端部)には、着脱部品12が着脱可能に取り付けられる。
【0028】
着脱部品12は、図2に示すように、第2ケース17を有する。第2ケース17は、着脱部品12の外殻をなす。第2ケース17は、絶縁性を有し、例えば樹脂材料を用いて構成される。第2ケース17は、筒状をなす。着脱部品12には、放出口22Bが形成されている。
【0029】
プラズマ照射器具20は、図3に示すように、自身の先端部に向かってガスを誘導するガス誘導路22と、ガス誘導路22内でプラズマを発生させる放電部23と、を有する。ガス誘導路22は、ガス供給装置102から供給されたガスを、ガス誘導路22の先端部に向かって誘導する。
【0030】
ガス誘導路22は、図3に示すように、ガスを導入する導入口22Aと、ガスを放出する放出口22Bと、導入口22Aと放出口22Bとの間に設けられる流路22Cと、を有する。ガス誘導路22は、ガス供給装置102から供給されるガスを導入口22Aから導入し、導入口22A側から導入されたガスを流路22C内の空間を通して放出口22Bに誘導する誘導路となっている。放出口22Bは、プラズマ照射装置100の先端部に設けられ、先方に向かって開放されている。ガス誘導路22は、流動するガスを放出口22Bを介して放出する。放出口22Bは、「ガス誘導路22の先端部」に相当する。
【0031】
放電部23は、図3及び図4に示すように、第1電極31、第2電極32、及び第1電極31と第2電極32との間に介在する誘電体層33Aを含む誘電体33、のみによって構成される。放電部23は、中空状をなしており、ガス誘導路22の少なくとも一部を構成している。放電部23は、基部15の長手方向(先後方向)に長い形態をなしている。放電部23は、着脱部品12に設けられる。放電部23は、着脱部品12における先端部(放出口22B)側に配置される。なお、「着脱部品12における先端部側」は、「着脱部品12における先後方向(基部15の長手方向)の中心よりも先端部側」のことである。
【0032】
第1電極31は、放電電極として機能する。第1電極31及び第2電極32は、それぞれ基部15の長手方向(先後方向)に沿って延びる形態をなしている。第1電極31及び第2電極32は、誘電体33と一体的に設けられている。第1電極31及び第2電極32は、互いに離間して配置され、誘電体33の誘電体層33Aを介在させて互いに対向して配置される。
【0033】
誘電体33は、中空状をなしており、ガス誘導路22の少なくとも一部を構成している。誘電体33は、基部15の長手方向(先後方向)に長い形態をなしている。誘電体33は、例えばアルミナなどのセラミック材料、ガラス材料、樹脂材料などを好適に用いることができる。誘電体33の先端は、第1電極31及び第2電極32のいずれよりも先端側に配置されている。
【0034】
放電部23は、第1電極31と第2電極32との間に電圧が印加されることに応じてガス誘導路22内でプラズマを発生させる。より具体的には、放電部23は、第1電極31と第2電極32との電位差に基づく電界をガス誘導路22内で発生させて、放電(より具体的には、沿面放電)によるプラズマ(より具体的には、低温プラズマ)をガス誘導路22内で発生させるように機能する。放電部23は、周期的に変化する電圧が第1電極31に印加されることに応じてガス誘導路22内で沿面放電させ、プラズマ(より具体的には、低温プラズマ)を発生させる。
【0035】
上述したガス誘導路22の流路22Cは、基部15に設けられる第1流路35Aと、着脱部品12に設けられる第2流路35Bと、を有する。第1流路35Aは、第1ケース16の内部に配置される。第1流路35Aは、第2流路35Bよりもガス供給装置102側に配置される。第2流路35Bは、第1流路35Aよりも放出口22B側に配置される。第1流路35Aには、ガス供給装置102側から供給されるガスが導入される。第1流路35Aは、ガス供給装置102側から供給されたガスを、第2流路35B側に流す。第2流路35Bは、第1流路35A側から供給されたガスを放出口22B側に誘導し、放出口22Bから放出させる。なお、放電部23は、第2流路35B内でプラズマを発生させる。
【0036】
プラズマ照射器具20は、第1電極31に電気的に接続される第1配線36Aと、第2電極32に電気的に接続される第2配線36Bと、を有する。第1配線36Aと第2配線36Bとの間には、電源装置104に基づく電圧が印加される。第1配線36Aと第2配線36Bとの間に印加された電圧は、第1電極31と第2電極32との間に印加される。
【0037】
第1配線36Aは、基部15に設けられる第1導電路37Aと、着脱部品12に設けられる第2導電路37Bと、を有する。第2配線36Bは、基部15に設けられる第3導電路37Cと、着脱部品12に設けられる第4導電路37Dと、を有する。第1導電路37A及び第3導電路37Cは、第1ケース16内に配置される。第2導電路37B及び第4導電路37Dは、第2ケース17内に配置される。なお、図4では、第2導電路37B及び第4導電路37Dの具体的な配線経路が省略されている。
【0038】
基部15は、第1コネクタ部38Aを有する。第1コネクタ部38Aは、基部15の先端部に設けられる。着脱部品12は、第2コネクタ部38Bを有する。第2コネクタ部38Bは、着脱部品12の後端部に設けられる。第1コネクタ部38Aと第2コネクタ部38Bは、互いに接続される。
【0039】
第1流路35Aの一端は、第1コネクタ部38Aに設けられる。第1流路35Aの他端には、導入口22Aが設けられる。第1導電路37Aの一端、及び第3導電路37Cの一端は、それぞれ第1コネクタ部38Aに設けられる。
【0040】
第2流路35Bの一端は、第2コネクタ部38Bに設けられる。第2流路35Bの他端には、放出口22Bが設けられる。第2導電路37Bの一端、及び第4導電路37Dの一端は、それぞれ第2コネクタ部38Bに設けられる。第2導電路37Bの他端は、第1電極31に電気的に接続される。第4導電路37Dの他端は、第2電極32に電気的に接続される。
【0041】
第1コネクタ部38Aに第2コネクタ部38Bが接続されたときに、第1流路35Aから第2流路35Bにガスを供給可能な状態となり、第1導電路37Aに第2導電路37Bが電気的に接続され、第3導電路37Cに第4導電路37Dが電気的に接続される。
【0042】
例えば、第1流路35Aを構成する第1管部と、第2流路35Bを構成する第2管部とが、ガス漏れを防止した状態で接続される。例えば、第1導電路37A及び第2導電路37Bは、一方に雌端子が設けられ、他方に雄端子が設けられ、雌端子と雄端子が接続されることで互いに電気的に接続される。例えば、第3導電路37C及び第4導電路37Dは、一方に雌端子が設けられ、他方に雄端子が設けられ、雌端子と雄端子が接続されることで互いに電気的に接続される。
【0043】
基部15は、入力電圧を昇圧して昇圧した電圧を放電部23に印加する昇圧回路部39を有する。昇圧回路部39は、第1ケース16内に配置される。昇圧回路部39は、昇圧トランスを有する。昇圧回路部39には、第1導電路37Aの他端及び第3導電路37Cの他端が電気的に接続される。昇圧回路部39は、電源装置104に基づく入力電圧を昇圧し、昇圧した電圧を第1導電路37Aと第3導電路37Cとの間に印加する。これにより、昇圧回路部39は、第1電極31と第2電極32との間に所望の電圧を印加する。
【0044】
昇圧回路部39は、高周波電圧発生回路として機能する。昇圧回路部39は、第2電極32をグラウンド電位に保ちつつ、第1電極31と第2電極32との間に所定周波数の交流電圧を印加する。昇圧回路部39は、高周波数(例えば、20kHz~300kHz程度)の高電圧(例えば、振幅が0.5kV~10kVの高電圧)を生成し得る回路であれば、公知の様々な回路を採用し得る。なお、昇圧回路部39が発生させる高電圧の周波数は、一定値に固定された周波数であってもよく、変動してもよい。また、昇圧回路部39が第1電極31と第2電極32との間に印加する電圧は、周期的に変化する電圧であればよく、正弦波の交流電圧であってもよく、非正弦波(例えば、矩形波、三角波など)の交流電圧であってもよい。
【0045】
着脱部品12は、図4に示すように、外周保護部41を有する。外周保護部41は、絶縁性を有し、例えば樹脂材料を用いて構成される。外周保護部41は、中空状をなす放電部23の外周を覆う。外周保護部41は、筒状をなしている。外周保護部41は、第2ケース17内に配置される。外周保護部41の外周は、第2ケース17に覆われる。
【0046】
着脱部品12の第2ケース17は、図4に示すように、先端保護部42を有する。先端保護部42は、絶縁性を有し、例えば樹脂材料を用いて構成される。先端保護部42は、放電部23の先端面を覆う。先端保護部42は、放電部23の先端面に接触しており、放電部23の先端面に固定されている。先端保護部42は、ガス誘導路22の一部を構成している。先端保護部42の先端部には、放出口22Bが形成されている。
【0047】
着脱部品12は、図4に示すように、スイッチ43を有する。スイッチ43は、第2ケース17の上面側に設けられている。スイッチ43は、プラズマ照射装置100(より具体的には、プラズマ照射器具20)からプラズマを照射する状態と、プラズマの照射を停止する状態とを切り替える操作部である。例えば、スイッチ43は、押圧式スイッチであり、押圧状態でプラズマを照射する状態となり、押圧解除状態でプラズマの照射を停止する状態となる。なお、図4では、スイッチ43の周辺構成(スイッチ43の操作に基づいて放電部23の放電等を制御する回路等)を省略しているが、一般的な制御回路等を採用することができる。
【0048】
1-3.効果の例
プラズマ照射装置100は、先端部に向かってガスを誘導するガス誘導路22と、ガス誘導路22内でプラズマを発生させる放電部23と、を有する。プラズマ照射装置100は、把持部として機能する基部15と、基部15に対して着脱可能に取り付けられる着脱部品12と、を備える。着脱部品12は、上記ガス誘導路22の先端部(放出口22B)と、上記放電部23と、を有する。このプラズマ照射装置100は、放電部23でプラズマ化したガスが、プラズマ照射装置100のガス誘導路22の先端部から、照射対象に向けて照射されるが、照射対象からの飛散物が付着しやすい当該先端部を有する着脱部品12を交換することができる。しかも、放電部23が着脱部品12側に配置されるため、放電部23から当該先端部までの距離を短くすることができる。したがって、この構成によれば、プラズマを照射する部位が交換可能となり、且つガス誘導路22の先端部からプラズマが照射されやすくなる。
【0049】
更に、放電部23は、第1電極31、第2電極32、及び第1電極31と第2電極32との間に介在する誘電体層33Aを含む誘電体33、のみによって構成される。放電部23は、第1電極31と第2電極32との間に電圧が印加されることに応じてガス誘導路22内でプラズマを発生させる。この構成によれば、放電部23を、第1電極31と第2電極32と誘電体33とによって構成される簡素な構成とすることができる。
【0050】
更に、放電部23は、着脱部品12におけるガス誘導路22の先端部(放出口22B)側に配置される。放電部23が、着脱部品12におけるガス誘導路22の先端部から後端側に離れて配置されると、プラズマのエネルギーが減衰してプラズマ化したガスの量が減衰していくため好ましくない。そのため、プラズマ照射装置100では、放電部23が着脱部品12におけるガス誘導路22の先端部側に配置される。このため、プラズマ照射装置100は、プラズマ化したガスがガス誘導路22の先端部からより一層照射されやすくなる。
【0051】
更に、着脱部品12は、放電部23の先端面を覆う絶縁性の先端保護部42を有する。この構成によれば、放電部23を着脱部品12におけるガス誘導路22の先端部(放出口22B)側に配置しつつも、放電部23の先端面を照射対象からの飛散物から保護し、且つ放電部23よりも先端側の絶縁性を高めることができる。
【0052】
更に、放電部23は、ガス誘導路22の少なくとも一部を構成する中空状をなす。着脱部品12は、放電部23の外周を覆う絶縁性の外周保護部41を有する。この構成によれば、放電部23の外周を保護しつつ、放電部23よりも外周側の絶縁性を高めることができる。
【0053】
更に、ガス誘導路22は、基部15に設けられる第1流路35Aと、着脱部品12に設けられる第2流路35Bと、を有する。プラズマ照射装置100は、第1電極31に電気的に接続される第1配線36Aと、第2電極32に電気的に接続される第2配線36Bと、を有する。第1配線36Aは、基部15に設けられる第1導電路37Aと、着脱部品12に設けられる第2導電路37Bと、を有する。第2配線36Bは、基部15に設けられる第3導電路37Cと、着脱部品12に設けられる第4導電路37Dと、を有する。基部15は、着脱部品12に接続される第1コネクタ部38Aを有する。着脱部品12は、第1コネクタ部38Aに接続される第2コネクタ部38Bを有する。第1流路35Aの一端、第1導電路37Aの一端、及び第3導電路37Cの一端は、それぞれ第1コネクタ部38Aに設けられる。第2流路35Bの一端、第2導電路37Bの一端、及び第4導電路37Dの一端は、それぞれ第2コネクタ部38Bに設けられる。第1コネクタ部38Aに第2コネクタ部38Bが接続されたときに、第1流路35Aから第2流路35Bにガスを供給可能な状態となり、第1導電路37Aに第2導電路37Bが電気的に接続され、第3導電路37Cに第4導電路37Dが電気的に接続される。この構成によれば、第1コネクタ部38Aに第2コネクタ部38Bが接続されるだけで、第1流路35Aから第2流路35Bにガスを供給可能な状態となり、基部15側から第1電極31と第2電極32との間に電圧を印加する電気経路を構成することができる。
【0054】
更に、基部15は、入力電圧を昇圧して昇圧した電圧を放電部23に印加する昇圧回路部39を有する。この構成によれば、基部15よりも後方から昇圧された電力が供給される構成と比較して、放電部23の近くで昇圧することができるため、電力損失が少ない。しかもこの構成によれば、着脱部品12の交換時に昇圧部を交換しなくて済む。
【0055】
2.第2実施形態
第2実施形態では、放電部23の先端面が露出される例について説明する。なお、第2実施形態の説明では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0056】
図5に示す第2実施形態の着脱部品212は、第1実施形態の着脱部品12から先端保護部42を除いた構成に相当する。着脱部品212の第2ケース217は、着脱部品212の外殻をなす。第2ケース217は、筒状をなす。第2ケース217は、第1実施形態の第2ケース17から先端保護部42を除いた構成に相当する。
【0057】
放電部23の外周は、外周保護部41によって覆われる。外周保護部41の外周は、第2ケース217によって覆われる。
【0058】
放電部23における誘電体33の先端は、着脱部品212の先端に露出する。また、誘電体33の先端は、第1電極31及び第2電極32のいずれよりも先端部側に配置される。この構成によれば、放電部23を着脱部品212における先端部側に配置しつつも、誘電体33によって第1電極31及び第2電極32よりも先端側の絶縁性を確保することができる。
【0059】
3.第3実施形態
第3実施形態では、第2実施形態で説明した放電部23の先端面に、保護部材を取り付けた例を説明する。なお、第3実施形態の説明では、第2実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0060】
第3実施形態のプラズマ照射装置は、保護部材380(図6参照)を有する点で第2実施形態のプラズマ照射装置とは異なり、その他の点で共通する。図6に示すように、保護部材380は、第2実施形態で説明した着脱部品212に取り付けられる。保護部材380は、環状をなす。保護部材380は、放出口22Bを塞がないように、放電部23の先端面(より具体的には、誘電体33の先端面)に取り付けられる。保護部材380は、放電部23の先端面(より具体的には、誘電体33の先端面)を覆う。この構成によれば、保護部材380によって、放電部23の先端面を保護しつつ、放電部23よりも先端側の絶縁性を確保することができる。
【0061】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述した実施形態や後述する実施形態の様々な特徴は、矛盾しない組み合わせであればどのように組み合わされてもよい。
【0062】
昇圧回路部は、基部以外に設けられてもよい。例えば、昇圧回路部は、着脱部品に設けられてもよいし、基部よりも後端側に設けられてもよい。
【0063】
ガスは、基部を経由せずに、着脱部品に供給される構成であってもよい。
【0064】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
12…着脱部品
15…基部
22…ガス誘導路
22B…放出口(ガス誘導路の先端部)
23…放電部
31…第1電極
32…第2電極
33…誘電体
33A…誘電体層
35A…第1流路
35B…第2流路
36A…第1配線
36B…第2配線
37A…第1導電路
37B…第2導電路
37C…第3導電路
37D…第4導電路
38A…第1コネクタ部
38B…第2コネクタ部
39…昇圧回路部
41…外周保護部
42…先端保護部
100…プラズマ照射装置
212…着脱部品
P…プラズマ
【要約】
【課題】プラズマを照射する部位を交換可能とし、且つプラズマ照射装置からプラズマが照射されやすくする。
【解決手段】プラズマ照射装置100は、先端部に向かってガスを誘導するガス誘導路22と、ガス誘導路22内でプラズマを発生させる放電部23と、を有する。プラズマ照射装置100は、把持部として機能する基部15と、基部15に対して着脱可能に取り付けられる着脱部品12と、を備える。着脱部品12は、ガス誘導路22の先端部と、放電部23と、を有する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6