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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20240123BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240123BHJP
   G09F 9/40 20060101ALI20240123BHJP
   B32B 37/00 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
G09F9/00 342
G09F9/30 308A
G09F9/40 301
B32B37/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022170792
(22)【出願日】2022-10-25
(62)【分割の表示】P 2018121261の分割
【原出願日】2018-06-26
(65)【公開番号】P2023015124
(43)【公開日】2023-01-31
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 誠
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0045771(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107688403(CN,A)
【文献】特開2016-083946(JP,A)
【文献】特開2017-208229(JP,A)
【文献】国際公開第2014/021192(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H05B 33/00-33/28
44/00
45/60
H10K 50/00-99/00
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面部分を有し、かつ透光性の前面板に対して、前記前面板よりも小さい、板状の表示パネルを複数貼り合わせる表示装置の製造方法であって、
弾性を有する弾性体と対向するステージに前記前面板を取り付け、前記弾性体と前記前面板との間に挿入されるキャリアシートに前記表示パネルを取り付ける準備工程と、
前記準備工程の後で、前記キャリアシート及び前記表示パネルを前記弾性体と前記ステージとで挟み、前記表示パネルを前記前面板に圧着させる、圧着工程と、
前記圧着工程の後で、前記表示パネルと、前記前面板とが貼り合わされた状態のまま、前記キャリアシートを前記表示パネルから剥離させる、剥離工程と、
を含み、
前記準備工程、前記圧着工程、前記剥離工程を繰り返し、
前記弾性体は、第1弾性体と、第2弾性体と、第3弾性体とを有し、
前記第1弾性体、前記第2弾性体及び前記第3弾性体は、それぞれ、前記固定面に沿う凹形状の受圧面を有し、
前記ステージは、前記前面板を固定する、曲面部分を有する固定面を有し、
複数の前記準備工程のうち第1準備工程では、前記第1弾性体を準備し、
複数の前記圧着工程のうち第1圧着工程では、第1の前記キャリアシート及び第1の前記表示パネルを前記第1弾性体と前記ステージとで挟み、第1の前記表示パネルを前記前面板に圧着し、
複数の前記圧着工程のうち第1剥離工程では、第1の前記キャリアシートを第1の前記表示パネルから剥離し、
複数の前記準備工程のうち第2準備工程では、前記第2弾性体を準備し、
複数の前記圧着工程のうち第2圧着工程では、第2の前記キャリアシート及び第2の前記表示パネルを前記第2弾性体と前記ステージとで挟み、第2の前記表示パネルを前記前面板に圧着し、
複数の前記圧着工程のうち第2剥離工程では、第2の前記キャリアシートを第2の前記表示パネルから剥離し、
複数の前記準備工程のうち第3準備工程では、前記第3弾性体を準備し、
複数の前記圧着工程のうち第3圧着工程では、第3の前記キャリアシート及び第3の前記表示パネルを前記第3弾性体と前記ステージとで挟み、第3の前記表示パネルを前記前面板に圧着し、
複数の前記圧着工程のうち第3剥離工程では、第3の前記キャリアシートを第3の前記表示パネルから剥離する、
表示装置の製造方法。
【請求項2】
曲面部分を有し、かつ透光性の前面板に対して、前記前面板よりも小さい、板状の表示パネルを複数貼り合わせる表示装置の製造方法であって、
弾性を有する第1弾性体に、第1の前記表示パネルを取り付け、前記第1弾性体と対向するステージに前記前面板を取り付ける第1準備工程と、
前記第1準備工程の後で、第1の前記表示パネルを前記第1弾性体と前記ステージとで挟み、第1の前記表示パネルを前記前面板に圧着させる、第1圧着工程と、
弾性を有する第2弾性体に、第2の前記表示パネルを取り付け、前記第2弾性体と対向するステージに前記前面板を取り付ける第2準備工程と、
前記第2準備工程の後で、第2の前記表示パネルを前記第2弾性体と前記ステージとで挟み、第2の前記表示パネルを前記前面板に圧着させる、第2圧着工程と、を含み、
前記第1弾性体及び前記第2弾性体は、それぞれ、前記固定面に沿う凹形状又は凸形状の受圧面を有し、
前記ステージは、前記前面板を固定する、曲面部分を有する固定面を有する
表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記前面板の曲面部分の曲率が全面に亘って一定である、請求項1又は2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記前面板が複数の曲面部分を有し、各曲面部分の曲率が異なる、請求項1又は2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記前面板が複数の曲面部分を有し、前記曲面部分には、凹面の曲面部分と、凸面の曲面部分とを含む請求項1又は2に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
湾曲した表面を有する表示装置が知られている。例えば特許文献1には、表面が湾曲した前面板であるカバーガラスを採用した技術が記載されている。
【0003】
カバーガラスに表示パネルを貼り合わせる、貼り合わせ方式としては、特許文献2に示すローラー方式と特許文献3に示すダイヤフラム方式に大別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-92422号公報
【文献】特開2016-179600号公報
【文献】特開2015-79587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に示すローラー方式の技術は、1つの前面板に対して、複数の表示パネルを貼り合わせると、ローラーが表示パネルの端から湾曲した表面に押しつけられ、表示パネルに部分的な伸び量の差が起こることから、表示パネルの表示品質が低下する可能性がある。
【0006】
特許文献3に示すダイヤフラム方式の技術は、複数の表示パネルを取り付けたダイヤフラムを使って貼り合わせると、前面板の凸部又は凹部に対して中央に配置された表示パネルは、表示パネルの端から湾曲した表面に押しつけられることがない。しかしながら、前面板の凸部又は凹部の端側に対して対向する位置に配置された表示パネルは、表示パネルの端から湾曲した表面に押しつけられ、表示パネルに部分的な伸び量の差が起こることから、表示パネルの表示品質が低下する可能性がある。
【0007】
本発明は、曲面部分を有する板状の第1ワークに対して、この第1ワークよりも小さい板状の第2ワークを複数貼り合わせても、第2ワークに生じる部分的な伸び量の差を抑制する圧着装置、及び表示パネルの表示品質低下が抑制された表示装置の製造方法のうち少なくとも1つを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様の圧着装置は、曲面部分を有する板状の第1ワークに対して、前記第1ワークよりも小さい板状の第2ワークを複数貼り合わせる、圧着装置であって、真空チャンバーと、前記真空チャンバー内に配置され、前記第1ワークが載置されるステージと、前記ステージよりも弾性を有する弾性体と、を備え、前記弾性体と前記ステージとの距離が近くなることで、前記第2ワークを前記第1ワークに圧着させる。
【0009】
一態様の表示装置の製造方法は、曲面部分を有し、かつ透光性の前面板に対して、前記前面板よりも小さい表示パネルを複数貼り合わせる表示装置の製造方法であって、弾性を有する弾性体と対向するステージに前記前面板を取り付け、前記弾性体と前記前面板との間に挿入されるキャリアシートに前記表示パネルを取り付ける準備工程と、前記準備工程の後で、前記キャリアシート及び前記表示パネルを前記弾性体と前記ステージとで挟み、前記表示パネルを前記前面板に圧着させる、圧着工程と、を含む。
【0010】
他の態様の表示装置の製造方法は、曲面部分を有し、かつ透光性の前面板に対して、前記前面板よりも小さい表示パネルを複数貼り合わせる表示装置の製造方法であって、弾性を有する弾性体に、前記表示パネルを取り付け、前記弾性体と対向するステージに前記前面板を取り付ける準備工程と、前記準備工程の後で、前記表示パネルを前記弾性体と前記ステージとで挟み、前記表示パネルを前記前面板に圧着させる、圧着工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1に係る表示装置の模式的な断面図である。
図2図2は、実施形態1に係る表示装置の模式的な平面図である。
図3図3は、実施形態1に係る圧着装置の構成図である。
図4図4は、実施形態1に係る圧着装置において、キャリアシートの保持を説明する上面図である。
図5図5は、実施形態1に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。
図6図6は、実施形態1に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。
図7図7は、実施形態1に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。
図8図8は、比較例に係る圧着装置のダイヤフラムを説明するための説明図である。
図9図9は、実施形態1の変形例1に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。
図10図10は、実施形態1の変形例1に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。
図11図11は、実施形態1の変形例1に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。
図12図12は、実施形態2に係る表示装置の模式的な断面図である。
図13図13は、実施形態2に係る表示装置が模式的な平面図である。
図14図14は、実施形態2に係る圧着装置の構成図である。
図15図15は、実施形態2に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。
図16図16は、実施形態2に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。
図17図17は、実施形態2に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。
図18図18は、実施形態3に係る圧着装置の構成図である。
図19図19は、実施形態3に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。
図20図20は、実施形態4に係る圧着装置の構成図である。
図21図21は、実施形態4に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。
図22図22は、実施形態5に係る圧着装置の構成図である。
図23図23は、実施形態5に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。
図24図24は、実施形態5に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。
図25図25は、実施形態5に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0013】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る表示装置の模式的な断面図である。図2は、実施形態1に係る表示装置の模式的な平面図である。図1は、図2におけるI-I’断面である。図1に示すように、実施形態1に係る表示装置3は、前面板1と、3つの表示パネル2と、を備える。前面板1には、図2に示す間隔ΔLをあけて、3つの表示パネル2が貼り合わされている。表示パネル2は、平面視でみると、前面板1よりも小さい。
【0014】
前面板1は、表示パネル2を保護するカバー部材である。表示パネル2は、前面板1の一方側に配置され、不図示の粘着層を介して前面板1に取り付けられる。前面板1は、図2に示すように正面からみて矩形であるが、形状を限定するものではない。
【0015】
図1に示すように、前面板1は、曲率R1で、全体に湾曲している。前面板1は、透光性を有するガラス又は合成樹脂である。このため、表示パネル2からの光は、前面板1を透過する。そして、視認者からは前面板1の表面に沿った表示面に、映像が表示されているようにみえる。
【0016】
表示パネル2は、例えば液晶パネル又は有機発光ダイオードパネル(以下、OLEDパネルという)である。液晶パネル又はOLEDパネルには、タッチパネルを含んでいてもよい。表示パネル2が液晶パネルの場合、表示パネル2の裏側にはバックライトが設けられる。表示パネル2は、ガラス等で形成された第1基板及び第2基板と、第1基板及び第2基板に挟まれた液晶層と、を備える。
【0017】
例えば、表示パネル2は正面からみて矩形である。表示パネル2は、湾曲しており、視認者からみて、表示パネル2の一方向の両端が一方向の中央より手前に位置する。
【0018】
図1に示すように、前面板1は、曲面部分の曲率が全面に亘って一定である。表示パネル2の前面が、前面板1の第2面1Rに貼り付けられている。
【0019】
以上説明した表示装置3を製造するために、実施形態1において、圧着装置100が用意されている。図3は、実施形態1に係る圧着装置の構成図である。図4は、実施形態1に係る圧着装置において、キャリアシートの保持を説明する説明図である。図5は、実施形態1に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。圧着装置100は、真空チャンバー5、真空源51、ステージ10、弾性体20、固定台62、設置台61、63、昇降装置65、配管52及び制御装置30を備える。
【0020】
真空チャンバー5は、ステージ10、固定台62、設置台61、63及び昇降装置65を収容する容器である。真空源51は、ポンプであって、配管52を介して真空チャンバー5内の空気を排出し、真空チャンバー5内の圧力を大気より減圧する。
【0021】
ステージ10は、真空チャンバー5内に配置され、前面板1を曲面部分の表面に沿った固定部11に密着した状態で固定するための治具である。設置台61は、ステージ10を設置する。固定台62と、設置台61との間隔は、昇降装置65により、適宜変更が可能となっている。昇降装置65は、制御装置30の制御指令に基づいて油圧やモータなどの駆動機構の駆動により、固定台62に対して、設置台61を昇降する。
【0022】
弾性体20は、弾性を有する台座である。この弾性体20は、無圧力印加時において、膜厚の均一なシート状の合成ゴム、エラストマーなどで形成されている。弾性部材は、天然ゴムであってもよい。弾性体20は、設置台63の設置台61がある側の面に固定される。図3に示すように、弾性体20は、固定部11の固定面11Fに沿う凹形状の受圧面20Fを有する。
【0023】
キャリアシート4は、弾性部材である。この弾性部材は、無圧力印加時において、膜厚の均一なシート状の合成ゴム、エラストマーなどで形成されている。弾性部材は、天然ゴムであってもよい。
【0024】
図4に示すように、キャリアシート4は、両端を支持板40で支持されている。これにより、キャリアシート4が平面視で前面板1の一部を覆う。表示パネル2は、予め粘着層などでキャリアシート4に貼られている。キャリアシート4は、表示パネル2が平面視で前面板1と重なり合う所定の位置に、位置決めされる。
【0025】
図3に示すように、キャリアシート4は、弾性体20と、ステージ10との間に、非接触で挟まれている。キャリアシート4において、表示パネル2が取り付けられる取り付け面の断面線L1は、最小距離で対向する前面板1の接線L2に沿っている。
【0026】
このように、キャリアシート4において、表示パネル2が取り付けられる取り付け面が傾斜しており、取り付け面の傾斜角度は、最小距離で対向するステージ10の固定面11Fの接線に沿っている。
【0027】
制御装置30は、例えば、演算装置であるCPU(Central Processing Unit)と、記憶装置であるメモリとを少なくとも備えたコンピュータである。制御装置30は、これらのハードウェア資源を用いてコンピュータプログラムを実行することによって各種の機能を実現することもできる。
【0028】
具体的には、制御装置30は、所定の記憶部(図示せず)に記憶されているコンピュータプログラムを読み出してメモリに展開し、メモリに展開されたプログラムに含まれる命令をCPUに実行させる。実施形態1において、制御装置30は、真空源51の動作を制御して、真空チャンバー5内の圧力を制御する。また、制御装置30は、昇降装置65の動作を制御して、設置台61と、設置台63との間の距離を制御する。これにより、昇降装置65の駆動に応じて、弾性体20と、ステージ10との距離が変わる。
【0029】
次に、上述した圧着装置100を用いた表示装置の製造方法について、説明する。まず、準備工程において、図3に示すように、真空チャンバー5内のキャリアシート4に、粘着層を介して1つ目の表示パネル2を取り付ける。このとき、表示パネル2には、前面板1と対向する側にも粘着層を貼っておくようにする。また、キャリアシート4側の粘着層は、前面板1と対向する側の粘着層よりも粘着力が小さくなっている。
【0030】
さらに、準備工程において、前面板1を固定部11に密着した状態で固定し、前面板1がステージ10に粘着層を介して取り付けられる。このように、前面板1がステージ10に載置される。前面板1のステージ10への取り付けは、1つ目の表示パネル2のキャリアシート4への取り付けの前後どちらでもよく、同時でもよい。
【0031】
準備工程の後において、真空チャンバー5内の減圧を行う減圧工程を行う。制御装置30は、真空源51の動作を制御して、真空チャンバー5内の圧力を制御する。
【0032】
真空チャンバー5内の圧力が所定圧力となった後において、前面板1に表示パネル2を貼り合わせる圧着工程を行う。図5に示すように、制御装置30は、昇降装置65を上昇状態とし、設置台61と設置台63との距離を小さくする。
【0033】
その結果、キャリアシート4とステージ10の固定部11との距離が近くなり、キャリアシート4に取り付けられた1つ目の表示パネル2と、前面板1とが当接する。圧着工程において、前面板1が1つ目の表示パネル2に当接すると、1つ目の表示パネル2がキャリアシート4ごと、弾性体20と前面板1とに挟まれる。
【0034】
圧着工程の後、剥離工程において、図6に示すように、制御装置30は、昇降装置65を下降状態とし、設置台61と設置台63との距離を大きくする。これにより、1つ目の表示パネル2と、前面板1とが貼り合わされた状態のまま、キャリアシート4が1つ目の表示パネル2から剥離する。
【0035】
次に、図6に示すように、キャリアシート4に、粘着層を介して2つ目の表示パネル2を取り付ける。キャリアシート4は、1つ目の表示パネル2を取り付けた位置とは異なり、かつ2つ目の表示パネル2が平面視で前面板1と重なり合う所定の位置に、位置決めされる。次に、図示は省略するが上述したように、圧着工程において、制御装置30は、昇降装置を上昇状態とし、設置台61と設置台63との距離を小さくする。
【0036】
圧着工程の後、剥離工程において、図7に示すように、制御装置30は、昇降装置を下降状態とし、設置台61と設置台63との距離を大きくする。これにより、2つ目の表示パネル2と、前面板1とが貼り合わされた状態のまま、キャリアシート4が2つ目の表示パネル2から剥離する。
【0037】
次に、図7に示すように、キャリアシート4に、粘着層を介して3つ目の表示パネル2を取り付ける。キャリアシート4は、1つ目の表示パネル2及び2つ目の表示パネルを取り付けた位置とは異なり、かつ3つ目の表示パネル2が平面視で前面板1と重なり合う所定の位置に、位置決めされる。次に、図示は省略するが上述したように、圧着工程が処理される。そして、剥離工程が処理される。
【0038】
次に、真空チャンバー5内の圧力が大気圧に戻され、図1及び図2に示す表示装置3が取り出される。
【0039】
図8は、比較例に係る圧着装置のダイヤフラムを説明するための説明図である。図8に示すように、複数の表示パネル2を取り付けたダイヤフラム7を使って貼り合わせると、前面板1の凸部又は凹部に対して中央に配置された表示パネル2は、表示パネル2の端から湾曲した表面に押しつけられることがない。しかしながら、前面板1の凸部又は凹部の端側に対して対向する位置に配置された表示パネル2は、表示パネル2の端から湾曲した表面に押しつけられ、個々の表示パネル2の片側にギャップGが生じる。これにより、前面板1の凸部又は凹部の端側に対して対向する位置に配置された表示パネル2に部分的な伸び量の差が起こることから、当該表示パネル2の表示品質が低下する可能性がある。
【0040】
これに対して、図5図6及び図7に示すように、実施形態1において、複数の表示パネル2(3つの表示パネル2)は、表示パネル2の端から湾曲した表面に押しつけられることがない。表示パネル2の中央から両端に向かって、表示パネル2と、前面板1とが貼り合わされていくことになる。これにより、表示パネル2に部分的な伸び量の差が、表示パネル2の中央を挟んで両側に生じて、相殺される。その結果、表示パネル2の表示品質低下が抑制される。
【0041】
実施形態1において、製造された表示装置3は、例えば、車両のダッシュボードに取り付けられる。表示装置3は、前面板1の表面が湾曲していることにより、車両の曲面状の内装と表示装置3の表面とが滑らかに繋がるという利点がある。表示パネル2には、例えば、ナビゲーション、スピードメーター、タコメーター、燃料計及び水温計等が表示される。
【0042】
なお、表示装置3は、必ずしも車両に搭載されなくてもよく、携帯端末等のその他の電子機器に適用されてもよい。また、表示装置3が車両に搭載される場合でも、表示装置3が表示する映像は車両の計器類に限らず、例えばカーナビゲーションの地図等であってもよい。
【0043】
なお、表示パネル2は、有機ELパネルであってもよい。表示パネル2が有機ELパネルである場合、バックライトは必要ない。また表示パネル2は、タッチ検出機能を有していてもよい。すなわち、表示パネル2の内部又は表示パネル2の表面上にタッチパネルが設けられてもよい。
【0044】
なお、前面板1は、必ずしもガラスで形成されていなくてもよい。前面板1は、例えば透光性の合成樹脂で形成されていてもよい。
【0045】
以上で説明したように、圧着装置100は、弾性体20と、ステージ10と、弾性体20及びステージ10の間に挿入されたキャリアシート4とを備える。ステージ10は、前面板1における曲面部分の第1面1Fと重ね合わせて固定し、第1面1Fに沿う形状を有する。キャリアシート4は、表示パネル2を保持し、弾性体20とステージ10との距離が近くなることで、第2ワークである表示パネル2を、第1ワークである前面板1の第2面1Rに圧着させる。
【0046】
これにより、表示パネル2に生じる部分的な伸び量の差が抑制される。また、圧着装置100は、曲面部分を有する板状の第1ワークとしての前面板1に対して、板状の第2ワークである表示パネル2を同時に複数貼り合わせることもできる。これにより、表示装置3の製造時間が短縮され、表示装置3のコストが低減される。
【0047】
さらに、実施形態1の圧着装置100であれば、キャリアシート4の位置により、複数種類の前面板1の大きさに対応して、任意の位置に表示パネル2を貼り合わせることができる。
【0048】
また、以上説明した表示装置3の製造方法によれば、表示パネル2を前面板1に押し当てる圧力が十分加えることができる。その結果、表示パネル2と、前面板1とが貼り合わせられた状態が安定し、表示品質の低下が抑制される。また、前面板1から表示パネル2が脱落しにくくなる。
【0049】
また、表示パネル2が液晶パネルである場合、表示パネル2に生じる部分的な伸び量の差が抑制されるので、アレイ基板と対向基板とのずれが抑制される。その結果、表示品質低下が抑制される。
【0050】
(実施形態1の変形例1)
図9から図11は、実施形態1の変形例1に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。実施形態1の変形例1の説明において、実施形態1と同じ構成要素については、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0051】
実施形態1に係る圧着装置と同様に、実施形態1の変形例1に係る圧着装置100は、ステージ10の固定面11Fが曲面部分を有している。実施形態1の変形例1のステージ10は、実施形態1で説明した固定部11を有している。
【0052】
実施形態1に係る圧着装置と異なり、実施形態1の変形例1に係る圧着装置100は、上述した準備工程ごとに異なる弾性体21、22、23を備える。図9に示すように、弾性体21は、設置台63に取り付けられている。弾性体21は、ステージ10の固定面11Fの一部に対向する大きさを有している。図10に示すように、弾性体22は、設置台63に取り付けられている。弾性体22は、ステージ10の固定面11Fの一部に対向する大きさを有している。図11に示すように、弾性体23は、設置台63に取り付けられている。弾性体23は、ステージ10の固定面11Fの一部に対向する大きさを有している。
【0053】
図9に示すように、弾性体21は、固定部11の固定面11Fに沿う凹形状の受圧面21Fを有する。また、図10に示すように、弾性体22は、固定部11の固定面11Fに沿う凹形状の受圧面22Fを有する。また、図11に示すように、弾性体23は、固定部11の固定面11Fに沿う凹形状の受圧面23Fを有する。
【0054】
実施形態1の弾性体20に比べ、弾性体21、22、23が小さいので、ステージ10を弾性体21、22、23のそれぞれに押し当てる圧力が小さくても、前面板1に表示パネル2を貼り合わせることができる。
【0055】
この構造によれば、実施形態1と同様の作用効果を奏する。実施形態1に係る圧着装置と同様に、実施形態1の変形例1に係る圧着装置100は、準備工程と、圧着工程と、剥離工程とを繰り返すことで、複数の表示パネル2を前面板1に貼り合わせることができる。
【0056】
(実施形態2)
図12は、実施形態2に係る表示装置の模式的な断面図である。図13は、実施形態2に係る表示装置が模式的な平面図である。図12は、図13におけるXII-XII’断面図である。実施形態2の説明において、実施形態1と同じ構成要素については、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0057】
実施形態2に係る前面板1は、図12に示すように、曲率R2の曲面部分15と、曲率R2とは異なる曲率R3の曲面部分16と、曲面部分15と曲面部分16とを接続する連結部17とを有している。すなわち、表示パネル2側からみて曲面部分15を凸面とすると、曲面部分16は凹面であり、視認者側からみて、曲面部分15を凹面とすると、曲面部分16は凸面であるように湾曲している。このように、前面板1は、複数の曲面部分15、16を有し、各曲面部分15、16の曲率が異なる。
【0058】
図12及び図13に示すように、表示パネル2は、湾曲している。視認者からみて、曲面部分15に貼り付けられた表示パネル2の一方向の両端が長手の中央より手前に位置する。また、視認者からみて、曲面部分16に貼り付けられた表示パネル2の一方向の両端が一方向の中央より後ろ側に位置する。
【0059】
図14は、実施形態2に係る圧着装置の構成図である。図15から図17は、実施形態2に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。図14から図17に示すように、圧着装置100は、真空チャンバー5、真空源51、ステージ10、弾性体24、25、固定台62、64、設置台61、63、昇降装置65、66、配管52及び制御装置30を備える。
【0060】
ステージ10は、真空チャンバー5内に配置され、前面板1を曲面部分15、16の第1面1Fに沿った固定部11、12に密着した状態で固定するための治具である。固定部11は、設置台63側が膨らむ凸形状であり、固定部12は、設置台61側が凹む凹形状である。
【0061】
図14に示すように、弾性体24は、固定部11の固定面11Fに沿う凹形状の受圧面24Fを有する。また、図16に示すように、弾性体25は、固定部12の固定面12Fに沿う凸形状の受圧面25Fを有する。
【0062】
設置台61は、ステージ10を設置する。固定台62と、設置台61との間隔は、昇降装置65により、適宜変更が可能となっている。設置台63は、弾性体24、25を設置する。固定台64と、設置台63との間隔は、昇降装置66により、適宜変更が可能となっている。昇降装置66は、制御装置30の制御指令に基づいて油圧やモータなどの駆動機構の駆動により、固定台64に対して、設置台63を昇降する。
【0063】
図14に示すように、キャリアシート4は、弾性体24と、ステージ10との間に、非接触で挟まれている。キャリアシート4において、表示パネル2が取り付けられる取り付け面の断面線L3は、最小距離で対向する前面板1の接線L4に沿っている。
【0064】
図16に示すように、キャリアシート4は、弾性体25と、ステージ10との間に、非接触で挟まれている。キャリアシート4において、表示パネル2が取り付けられる取り付け面の断面線L5は、最大距離で対向する前面板1の接線L6に沿っている。図16に示す固定面12Fの法線上における、表示パネル2及び前面板1の最大法線距離は、図14に示す固定面11Fの法線上における、表示パネル2及び前面板1の最小法線距離に等しくなっている。
【0065】
次に、上述した圧着装置100を用いた表示装置の製造方法について、説明する。まず、準備工程において、図14に示すように、真空チャンバー5内のキャリアシート4に、粘着層を介して1つ目の表示パネル2を取り付ける。このとき、1つ目の表示パネル2には、前面板1と対向する側にも粘着層を貼っておくようにする。また、キャリアシート4側の粘着層は、前面板1と対向する側の粘着層よりも粘着力が小さくなっている。
【0066】
さらに、準備工程において、前面板1を固定部11、12に密着した状態で固定し、前面板1がステージ10に粘着層を介して取り付けられる。前面板1のステージ10への取り付けは、1つ目の表示パネル2のキャリアシート4への取り付けの前後どちらでもよく、同時でもよい。
【0067】
準備工程の後において、真空チャンバー5内の減圧を行う減圧工程を行う。制御装置30は、真空源51の動作を制御して、真空チャンバー5内の圧力を制御する。
【0068】
真空チャンバー5内の圧力が所定圧力となった後において、前面板1に表示パネル2を貼り合わせる圧着工程を行う。図15に示すように、制御装置30は、昇降装置65を上昇状態とし、設置台61と設置台63との距離を小さくする。
【0069】
その結果、キャリアシート4とステージ10の固定部11との距離が小さくなり、キャリアシート4に取り付けられた表示パネル2と、前面板1とが当接する。圧着工程において、前面板1が1つ目の表示パネル2に当接すると、1つ目の表示パネル2がキャリアシート4ごと、弾性体24と前面板1とに挟まれる。
【0070】
圧着工程の後、剥離工程において、図16に示すように、制御装置30は、昇降装置65を下降状態とし、設置台61と設置台63との距離を大きくする。これにより、1つ目の表示パネル2と、前面板1とが貼り合わされた状態のまま、キャリアシート4が1つ目の表示パネル2から剥離する。
【0071】
次に、図16に示すように、キャリアシート4に、粘着層を介して2つ目の表示パネル2を取り付ける。キャリアシート4は、1つ目の表示パネル2を取り付けた位置とは異なり、かつ2つ目の表示パネル2が平面視で前面板1と重なり合う所定の位置に、位置決めされる。
【0072】
次に、前面板1に表示パネル2を貼り合わせる圧着工程を行う。図17に示すように、制御装置30は、昇降装置66を下降状態とし、設置台61と設置台63との距離を小さくする。
【0073】
その結果、キャリアシート4とステージ10の固定部12との距離が小さくなり、キャリアシート4に取り付けられた表示パネル2と、前面板1とが当接する。圧着工程において、前面板1が2つ目の表示パネル2に当接すると、2つ目の表示パネル2がキャリアシート4ごと、弾性体25と前面板1とに挟まれる。
【0074】
圧着工程の後、剥離工程において、図示は省略するが、制御装置30は、昇降装置66を上昇状態とし、設置台61と設置台63との距離を大きくする。これにより、2つ目の表示パネル2と、前面板1とが貼り合わされた状態のまま、キャリアシート4が2つ目の表示パネル2から剥離する。
【0075】
次に、真空チャンバー5内の圧力が大気圧に戻され、図12及び図13に示す表示装置3が取り出される。
【0076】
実施形態2において、2つの表示パネル2は、表示パネル2の端から湾曲した表面に押しつけられることがない。表示パネル2の中央から両端に向かって、表示パネル2と、前面板1とが貼り合わされていくことになる。これにより、表示パネル2に部分的な伸び量の差が、表示パネル2の中央を挟んで両側に生じて、相殺される。その結果、表示パネル2の表示品質低下が抑制される。
【0077】
以上で説明したように、圧着装置100は、キャリアシート4の位置により、曲率R2の曲面部分15及び曲率R2とは異なる曲率R3の曲面部分16がある前面板1に対応して、任意の位置に表示パネル2を貼り合わせることができる。また、圧着装置100は、キャリアシート4の位置により、凹面及び凸面がある前面板1に対応して、任意の位置に表示パネル2を貼り合わせることができる。
【0078】
これにより、表示パネル2に生じる部分的な伸び量の差が抑制される。また、圧着装置100は、曲面部分を有する板状の第1ワークとしての前面板1に対して、板状の第2ワークである表示パネル2を同時に複数貼り合わせることもできる。これにより、表示装置3の製造時間が短縮され、表示装置3のコストが低減される。
【0079】
弾性体24と、弾性体25との厚みを変えることで、設置台61からの距離が異なる曲面部分15と、曲面部分16にもそれぞれ表示パネル2を押し当てる圧力を十分に加えることができる。その結果、凹凸のある形状の前面板1であっても、複数の表示パネル2を貼り付けることができる。また、前面板1から表示パネル2が脱落しにくくなる。
【0080】
(実施形態3)
図18は、実施形態3に係る圧着装置の構成図である。図19は、実施形態3に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。実施形態3の説明において、実施形態1と同じ構成要素については、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0081】
圧着装置100は、真空チャンバー5、真空源51、ステージ10、弾性体20、固定台62、設置台61、63、昇降装置65、配管52及び制御装置30を備える。実施形態3に係る圧着装置において、実施形態1で説明したキャリアシート4は、使用されない。表示パネル2は、弾性体20に直接取り付けられる。
【0082】
次に、実施形態3の圧着装置100を用いた表示装置の製造方法について、説明する。まず、準備工程において、図18に示すように、真空チャンバー5内の弾性体20の受圧面20Fに、粘着層を介して3つの表示パネル2を取り付ける。このとき、表示パネル2には、前面板1と対向する側にも粘着層を貼っておくようにする。また、受圧面20F側の粘着層は、前面板1と対向する側の粘着層よりも粘着力が小さくなっている。
【0083】
さらに、準備工程において、前面板1を固定部11に密着した状態で固定し、前面板1がステージ10に粘着層を介して取り付けられる。前面板1のステージ10への取り付けは、1つ目の表示パネル2のキャリアシート4への取り付けの前後どちらでもよく、同時でもよい。
【0084】
図18に示すように、弾性体20は、固定部11の固定面11Fに沿う凹形状の受圧面20Fを有する。このため、各表示パネル2と、前面板1との距離D1、D2及びD3は同じ大きさになる。
【0085】
準備工程の後において、真空チャンバー5内の減圧を行う減圧工程を行う。制御装置30は、真空源51の動作を制御して、真空チャンバー5内の圧力を制御する。
【0086】
真空チャンバー5内の圧力が所定圧力となった後において、前面板1に表示パネル2を貼り合わせる圧着工程を行う。図19に示すように、制御装置30は、昇降装置65を上昇状態とし、設置台61と設置台63との距離を小さくする。
【0087】
その結果、弾性体20とステージ10の固定部11との距離が小さくなり、3つの表示パネル2と、前面板1とが当接する。圧着工程において、前面板1が1つ目の表示パネル2に当接すると、表示パネル2が弾性体20と前面板1とに挟まれる。
【0088】
圧着工程の後、剥離工程において、制御装置30は、昇降装置65を下降状態とし、設置台61と設置台63との距離を大きくする。これにより、3つの表示パネル2と、前面板1とが貼り合わされた状態のまま、弾性体20が3つの表示パネル2から剥離する。
【0089】
次に、真空チャンバー5内の圧力が大気圧に戻され、図1及び図2に示す表示装置3が取り出される。
【0090】
以上で説明したように、圧着装置100は、弾性体20が表示パネル2を保持し、弾性体20とステージ10との距離が近くなることで、表示パネル2を前面板1の第2面1Rに圧着させる。
【0091】
以上説明したように、表示装置3の製造方法によれば、曲面部分を有し、かつ透光性の前面板1に対して、前面板1よりも小さい表示パネル2を複数貼り合わせることができる。表示装置3の製造方法は、準備工程と、圧着工程と、剥離工程とを含む。準備工程は、弾性を有する少なくとも1つの弾性体20に、表示パネル2を取り付け、弾性体20と対向するステージ10に前面板1を取り付ける。圧着工程は、準備工程の後で、表示パネル2を弾性体20とステージ10とで挟み、各表示パネル2をそれぞれ前面板1の異なる位置に圧着させる。剥離工程において、弾性体20とステージ10との距離を離し、弾性体26から表示パネル2を剥離する。
【0092】
これにより、表示パネル2に生じる部分的な伸び量の差が抑制される。また、圧着装置100は、曲面部分を有する板状の第1ワークとしての前面板1に対して、板状の第2ワークである表示パネル2を同時に複数貼り合わせる。これにより、表示装置3の製造時間が短縮され、表示装置3のコストが低減される。
【0093】
あるいは、実施形態1の変形例のように、弾性体21、22及び23を用いて、第2ワークである表示パネル2を第1ワークである前面板1の第2面1Rに1つずつ圧着させることも可能である。
【0094】
これにより、複数の表示パネル2を1つずつ変形させることで、貼付位置精度を向上させ、表示品位の低下を抑制できる。そして、表示パネル2に生じる部分的な伸び量の差が抑制される。
【0095】
実施形態3によれば、複数の表示パネル2の貼付位置精度を向上させ、表示品位の低下を抑制できる。そして、表示パネル2に生じる部分的な伸び量の差が抑制される。
【0096】
(実施形態4)
図20は、実施形態4に係る圧着装置の構成図である。図21は、実施形態4に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。実施形態4の説明において、実施形態2と同じ構成要素については、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0097】
実施形態3において、前面板1の曲面部分の曲率が全面に亘って一定である例について説明したが、前面板1の曲面部分が複数あってもよい。また、前面板1は、異なる曲率を有する曲面部分を有していてもよい。また、前面板1は、複数の曲面部分を有し、これら曲面部分には、凹面の曲面部分と、凸面の曲面部分とを含むようにしてもよい。
【0098】
圧着装置100は、真空チャンバー5、真空源51、ステージ10、弾性体26、固定台62、64、設置台61、63、昇降装置65、66、配管52及び制御装置30を備える。実施形態4に係る圧着装置において、実施形態1で説明したキャリアシート4は、使用されない。表示パネル2は、弾性体26に直接取り付けられる。
【0099】
次に、実施形態4の圧着装置100を用いた表示装置の製造方法について、説明する。まず、準備工程において、図20に示すように、真空チャンバー5内の弾性体26の受圧面26FA、26FBに、粘着層を介して2つの表示パネル2を取り付ける。このとき、表示パネル2には、前面板1と対向する側にも粘着層を貼っておくようにする。また、受圧面26FA、26FB側の粘着層は、前面板1と対向する側の粘着層よりも粘着力が小さくなっている。
【0100】
さらに、準備工程において、前面板1を固定部11に密着した状態で固定し、前面板1がステージ10に粘着層を介して取り付けられる。前面板1のステージ10への取り付けは、表示パネル2のキャリアシート4への取り付けの前後どちらでもよく、同時でもよい。
【0101】
図20に示すように、弾性体26は、固定部11の固定面11Fに沿う凹形状の受圧面26FAを有する。また、図26に示すように、弾性体26は、固定部12の固定面12Fに沿う凸形状の受圧面26FBを有する。このため、各表示パネル2と、前面板1との距離D5及びD6は同じ大きさになる。
【0102】
準備工程の後において、真空チャンバー5内の減圧を行う減圧工程を行う。制御装置30は、真空源51の動作を制御して、真空チャンバー5内の圧力を制御する。
【0103】
真空チャンバー5内の圧力が所定圧力となった後において、前面板1に表示パネル2を貼り合わせる圧着工程を行う。図21に示すように、制御装置30は、昇降装置65を上昇状態とし、設置台61と設置台63との距離を小さくする。
【0104】
その結果、弾性体26とステージ10の固定部11との距離が小さくなり、2つの表示パネル2と、前面板1とが当接する。圧着工程において、前面板1が表示パネル2に当接すると、表示パネル2が弾性体26と前面板1とに挟まれる。
【0105】
圧着工程の後、剥離工程において、制御装置30は、昇降装置65を下降状態とし、設置台61と設置台63との距離を大きくする。これにより、表示パネル2と、前面板1とが貼り合わされた状態のまま、弾性体26が表示パネル2から剥離する。
【0106】
次に、真空チャンバー5内の圧力が大気圧に戻され、図1及び図2に示す表示装置3が取り出される。
【0107】
なお、圧着工程において、制御装置30は、昇降装置66を下降状態とし、設置台61と設置台63との距離を小さくするようにしてもよい。この場合、剥離工程において、制御装置30は、昇降装置66を上昇状態とし、設置台61と設置台63との距離を大きくする。
【0108】
以上で説明したように、圧着装置100は、弾性体26が表示パネル2を保持し、弾性体20とステージ10との距離が近くなることで、表示パネル2を前面板1の第2面1Rに圧着させる。
【0109】
これにより、表示パネル2に生じる部分的な伸び量の差が抑制される。また、圧着装置100は、曲面部分を有する板状の第1ワークとしての前面板1に対して、板状の第2ワークである表示パネル2を同時に複数貼り合わせる。これにより、表示装置3の製造時間が短縮され、表示装置3のコストが低減される。
【0110】
以上説明したように、表示装置3の製造方法によれば、曲面部分を有し、かつ透光性の前面板1に対して、前面板1よりも小さい表示パネル2を複数貼り合わせることができる。表示装置3の製造方法は、準備工程と、圧着工程と、剥離工程とを含む。準備工程は、弾性を有する少なくとも1つの弾性体26に、表示パネル2を取り付け、弾性体26と対向する平坦なステージ10に前面板1を取り付ける。圧着工程は、準備工程の後で、表示パネル2を弾性体26とステージ10とで挟み、各表示パネル2をそれぞれ前面板1の異なる位置に圧着させる。剥離工程において、弾性体26とステージ10との距離を離し、弾性体26から表示パネル2を剥離する。
【0111】
実施形態4によれば、複数の表示パネル2の貼付位置精度を向上させ、表示品位の低下を抑制できる。そして、表示パネル2に生じる部分的な伸び量の差が抑制される。
【0112】
(実施形態5)
図22は、実施形態5に係る圧着装置の構成図である。図23は、実施形態5に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。実施形態5の説明において、実施形態1と同じ構成要素については、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0113】
圧着装置100は、真空チャンバー5と、真空源51と、圧力源34と、ステージ10と、貼付ユニット8と、設置台61、63と、制御弁31、配管36、35、52、53及び制御装置30を備える。
【0114】
貼付ユニット8は、設置台63と、封止部材6と、ダイヤフラム7とを備える。封止部材6は、ダイヤフラム7の周に設けられ、設置台63と、ダイヤフラム7との間の空間を封止する部材である。
【0115】
ダイヤフラム7は、弾性部材である。この弾性部材は、無圧力印加時において、膜厚の均一なシート状の合成ゴム、エラストマーなどで形成されている。弾性部材は、天然ゴムであってもよい。
【0116】
制御弁31は、ソレノイドを有する電磁弁であり、制御装置30の指令に基づいて、ソレノイドが動作し、減圧状態と加圧状態とを切り替える。制御弁31は、2位置3ポートの仕様であるが、この仕様に限られない。例えば、制御弁31は、減圧状態、閉止状態、加圧状態のうちどれかを選択する3位置3ポートの仕様であってもよい。
【0117】
制御弁31は、減圧状態において、ダイヤフラム7、封止部材6及び設置台63で囲まれる空間と、真空源51とを配管36及び配管53を介して接続する。制御弁31は、減圧状態において、上述したダイヤフラム7、封止部材6及び設置台63で囲まれる空間に圧力源34からの気体を供給しない。
【0118】
制御弁31は、加圧状態において、ダイヤフラム7、封止部材6及び設置台63で囲まれる空間と、圧力源34とを配管36及び配管35を介して接続する。制御弁31は、加圧状態において、ダイヤフラム7、封止部材6及び設置台63で囲まれる空間に圧力源34からの気体を供給する。
【0119】
次に、上述した圧着装置100を用いた表示装置の製造方法について、説明する。まず、準備工程において、図22に示すように、真空チャンバー5内のダイヤフラム7のステージ10側に、弾性体27を取り付ける。弾性体27の周りは、ダイヤフラム7よりも、金属などの剛性の高い板材で形成されたマスク9で覆う。弾性体27には、粘着層を介して表示パネル2を取り付ける。このとき、表示パネル2には、前面板1と対向する側にも粘着層を貼っておくようにする。また、ダイヤフラム7側の粘着層は、前面板1と対向する側の粘着層よりも粘着力が小さくなっている。
【0120】
さらに、準備工程において、前面板1を固定部11に密着した状態で固定し、前面板1がステージ10に粘着層を介して取り付けられる。前面板1のステージ10への取り付けは、表示パネル2の弾性体27への取り付けの前後どちらでもよく、同時でもよい。
【0121】
準備工程の後において、真空チャンバー5内の減圧を行う減圧工程を行う。制御装置30は、制御弁31を減圧状態とし、真空源51を駆動して、真空源51の動作を制御して、真空チャンバー5内の圧力を制御する。
【0122】
真空チャンバー5内の圧力が所定圧力となった後において、前面板1に表示パネル2を貼り合わせる圧着工程を行う。図23に示すように、制御装置30は、制御弁31を加圧状態とし、ダイヤフラム7、封止部材6及び設置台63で囲まれる空間内の圧力を大きくする。圧着工程において、真空チャンバー5内の圧力と、ダイヤフラム7、封止部材6及び設置台63で囲まれる空間内の圧力とに圧力差が生じ、ダイヤフラム7がそれぞれ変形する。これにより、マスク9で覆われていないダイヤフラム7が変形し、ダイヤフラム7、封止部材6及び設置台63で囲まれる空間の体積が大きくなる。
【0123】
その結果、弾性体27とステージ10の固定部11との距離が小さくなり、弾性体27に取り付けられた表示パネル2と、前面板1とが当接する。
【0124】
圧着工程の後、剥離工程において、弾性体27が表示パネル2から剥離されるように、制御弁31が、加圧状態から減圧状態に切り替えられる。弾性体27が表示パネル2から剥離された後、真空チャンバー5内の圧力が大気圧に戻される。
【0125】
次に、図24に示すように、図23に示す弾性体27とは異なる位置において、ダイヤフラム7のステージ10側に、弾性体28を取り付ける。弾性体28の周りは、ダイヤフラム7よりも、金属などの剛性の高い板材で形成されたマスク9で覆う。弾性体28には、粘着層を介して表示パネル2を取り付ける。準備工程の後において、上述した減圧工程を行う。
【0126】
真空チャンバー5内の圧力が所定圧力となった後において、前面板1に表示パネル2を貼り合わせる圧着工程を行う。図24に示すように、制御装置30は、制御弁31を加圧状態とし、ダイヤフラム7、封止部材6及び設置台63で囲まれる空間内の圧力を大きくする。圧着工程において、真空チャンバー5内の圧力と、ダイヤフラム7、封止部材6及び設置台63で囲まれる空間内の圧力とに圧力差が生じ、ダイヤフラム7がそれぞれ変形する。これにより、マスク9で覆われていないダイヤフラム7が変形し、ダイヤフラム7、封止部材6及び設置台63で囲まれる空間の体積が大きくなる。
【0127】
その結果、弾性体28とステージ10の固定部11との距離が小さくなり、弾性体28に取り付けられた表示パネル2と、前面板1とが当接する。
【0128】
圧着工程の後、剥離工程において、弾性体28が表示パネル2から剥離されるように、制御弁31が、加圧状態から減圧状態に切り替えられる。弾性体28が表示パネル2から剥離された後、真空チャンバー5内の圧力が大気圧に戻される。
【0129】
次に、図25に示すように、図23に示す弾性体27及び図24に示す弾性体28とは異なる位置において、ダイヤフラム7のステージ10側に、弾性体29を取り付ける。弾性体29の周りは、ダイヤフラム7よりも、金属などの剛性の高い板材で形成されたマスク9で覆う。弾性体29には、粘着層を介して表示パネル2を取り付ける。準備工程の後において、上述した減圧工程を行う。
【0130】
真空チャンバー5内の圧力が所定圧力となった後において、前面板1に表示パネル2を貼り合わせる圧着工程を行う。図25に示すように、制御装置30は、制御弁31を加圧状態とし、ダイヤフラム7、封止部材6及び設置台63で囲まれる空間内の圧力を大きくする。圧着工程において、真空チャンバー5内の圧力と、ダイヤフラム7、封止部材6及び設置台63で囲まれる空間内の圧力とに圧力差が生じ、ダイヤフラム7がそれぞれ変形する。これにより、マスク9で覆われていないダイヤフラム7が変形し、ダイヤフラム7、封止部材6及び設置台63で囲まれる空間の体積が大きくなる。
【0131】
その結果、弾性体29とステージ10の固定部11との距離が小さくなり、弾性体29に取り付けられた表示パネル2と、前面板1とが当接する。
【0132】
圧着工程の後、剥離工程において、弾性体29が表示パネル2から剥離されるように、制御弁31が、加圧状態から減圧状態に切り替えられる。弾性体29が表示パネル2から剥離された後、真空チャンバー5内の圧力が大気圧に戻される。そして、図1及び図2に示す表示装置3が取り出される。
【0133】
以上で説明したように、圧着装置100は、真空チャンバー5と、ステージ10と、貼付ユニット8と、を備える。ステージ10は、真空チャンバー5内に配置され、前面板1の第1面1Fと重ね合わせて固定し、第1面1Fに沿う形状を有する。貼付ユニット8は、それぞれ内部の圧力により弾性を有するダイヤフラム7を変形させる。ダイヤフラム7の変形に応じて、弾性体27、28、29のいずれかとステージ10との距離が変わる。これにより、弾性体27、28、29に貼り付けられた表示パネル2が前面板1の第2面1Rに圧着する。
【0134】
この構造によれば、実施形態1と同様の作用効果を奏する。さらに、実施形態5に係る圧着装置100であれば、複数種類の前面板1の大きさに対応して、任意の位置に表示パネル2を貼り合わせることができる。
【0135】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0136】
1 前面板
1F 第1面
1R 第2面
2 表示パネル
3 表示装置
4 キャリアシート
5 真空チャンバー
6 封止部材
7 ダイヤフラム
8 貼付ユニット
9 マスク
10 ステージ
20、21、22、23、24、25、26、27、28、29 弾性体
30 制御装置
65、66 昇降装置
100 圧着装置
図1
図2
図3
図4
図5
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